JP4914216B2 - 細胞、組織、臓器、および生物においてスタシスを誘導するための方法、組成物、および装置 - Google Patents

細胞、組織、臓器、および生物においてスタシスを誘導するための方法、組成物、および装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4914216B2
JP4914216B2 JP2006536810A JP2006536810A JP4914216B2 JP 4914216 B2 JP4914216 B2 JP 4914216B2 JP 2006536810 A JP2006536810 A JP 2006536810A JP 2006536810 A JP2006536810 A JP 2006536810A JP 4914216 B2 JP4914216 B2 JP 4914216B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxygen
gas
hydrogen sulfide
cell
agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006536810A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007509162A5 (ja
JP2007509162A (ja
Inventor
マーク ビー. ロス
エリック ブラックストーン
Original Assignee
フレッド ハッチンソン キャンサー リサーチ センター
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by フレッド ハッチンソン キャンサー リサーチ センター filed Critical フレッド ハッチンソン キャンサー リサーチ センター
Publication of JP2007509162A publication Critical patent/JP2007509162A/ja
Publication of JP2007509162A5 publication Critical patent/JP2007509162A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4914216B2 publication Critical patent/JP4914216B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N1/00Preservation of bodies of humans or animals, or parts thereof
    • A01N1/02Preservation of living parts
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N1/00Preservation of bodies of humans or animals, or parts thereof
    • A01N1/02Preservation of living parts
    • A01N1/0205Chemical aspects
    • A01N1/021Preservation or perfusion media, liquids, solids or gases used in the preservation of cells, tissue, organs or bodily fluids
    • A01N1/0221Freeze-process protecting agents, i.e. substances protecting cells from effects of the physical process, e.g. cryoprotectants, osmolarity regulators like oncotic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2500/00Specific components of cell culture medium
    • C12N2500/02Atmosphere, e.g. low oxygen conditions

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • Environmental Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Thermotherapy And Cooling Therapy Devices (AREA)

Description

1.発明の分野
本発明は、全般的に、細胞生物学の分野に関する。より詳しく述べると、本発明は、酸素と競合する物質を用いて、細胞、組織、臓器、および生物においてスタシスを誘導する方法および装置に関する。特定の態様において、酸素アゴニストに曝露された被験者における疾患および状態を処置する、予防する、および診断する方法および装置が存在する。
本出願は、その全てが参照により本明細書に組み入れられる、2003年10月22日に提出された米国特許仮出願第60/513,458号、2004年2月26日に提出された米国特許仮出願第60/548,150号、および2004年6月8日に提出された米国特許仮出願第60/557,942号に対する優先権を主張する。
米国政府は、国立一般医療科学研究所(NIGMS)の助成金番号GM048435号により本発明に権利を保有しうる。
2.関連技術の説明
スタシスは、「休止」を意味するラテン語である。生きている組織におけるスタシスという場合、最も一般的な形のスタシスは、移植または再接着のための組織の保存に関連する。典型的に、そのような組織は、生理食塩液のような生理的液体に浸され、細胞の損傷に至る生化学的プロセスを減少させるために低温に置かれる。このスタシスは不完全であり、長期間あてにすることはできない。実際に、臓器移植および脚の再結合の成功は、臓器または脚が無傷の生体に接触していない時間と反比例する。
より極端な場合のスタシスは、口語で「仮死状態」として知られる状態に生体全体を置くことを含む。このことは主として科学小説の領域で考えられていたが、裕福な人々が、将来の医学の大進歩によって彼らの復活および致死的な病気の治癒が可能となるであろうという望みを持って、死後の凍結保存を要求したことから、いくぶん悪評が立っている。伝えられるところでは、1967年における最初の試み以降、100人より多い人々が凍結保存されており、1000人より多い人々がいくつかの機構の一つ、例えばAlcor Life Extension Foundationと、人体冷凍術に関する法的および財政的取り決めを交わした。そのような方法は、抗虚血剤の投与、低温保存、および凍結固定液による人体全体の潅流法を含む。この形式の生物的(organismal)スタシスが可逆的であることは、未だ実証されていない。
本明細書に記述の組成物、方法、または製品によって企図される生体物質においてスタシスを誘導する有用性は、スタシスの誘導もしくは開始後のスタシスが維持される期間、その後の正常もしくはほぼ正常な生理的状態への逆転、またはスタシスを全体的または部分的にも受けたことがない生体物質の状態より良好な状態であると当業者が認識するであろう状態を特徴とする。
スタシスはまた、スタシスではないものとして定義することができる。有機体のスタシスは、以下の状態のいずれでもない:睡眠、昏睡、死、麻酔状態、または大発作。
低体温状態に曝露後、通常冷たい水に入っていた後に脈拍および呼吸が見かけ上停止したものの生き延びた人に関する多数の報告がある。科学者によって完全には理解されていないが、そのような状況を生き延びる能力は、おそらく「哺乳類の潜水反射」と呼ばれるものに由来する。この反射は、生きている臓器を保護するために、肺、心臓、咽頭、および食道を制御する迷走神経系を刺激すると考えられている。おそらく、皮膚における神経受容体の冷水刺激によって、皮膚、消化管、および四肢ではなくて、脳および心臓への血流のバイパス形成が引き起こされる。同時に、保護的な反射徐脈または心拍の遅延は、次第に減少した体内の酸素供給を維持する。残念なことに、この反射の発現は全ての人々において同じではなく、冷水浸漬状態の症例のごく10〜20%における要因であると考えられている。
低体温症および/または酸素に完全にまたは全く依存しない組成物および方法は、組織または細胞保存の状況のみならず、臓器保存の状況において有用となる可能性がある。細胞および組織は現在、低体温を用いて、しばしば液体窒素のような実質的に凍結より低い温度で保存されている。しかし、温度に依存することは、そのような低温を産生する装置および物質が、必要な場合にまたはそれらが交換を必要とする場合に容易に利用できない可能性があることから、問題となりうる。例えば、組織培養細胞はしばしば、液体窒素を入れたタンクに長期間保存される;しかし、これらのタンクはしばしば、ユニット内の液体窒素を定期的に交換する必要があり、そうでなければ液体窒素が枯渇して温度が維持されなくなる。さらに、凍結/融解プロセスの結果として、細胞および組織に対する損傷が起こる。このように、改善された技術が必要である。
その上、切断および低体温のような外傷を受けた生物全体では細胞および生理的代謝の制御能がないことも、医学の分野における重要な短所である。一方、上記の逸話風の証拠は、正しく理解および調節されれば、細胞、組織および生物全体においてスタシスを誘導できる可能性があることを強く示唆している。このように、外傷の条件で代謝プロセスを制御する改善された方法が強く必要である。
発明の概要
したがって、本発明は、生物内に存在するもしくは生物に由来する細胞、組織、および臓器と共に生物自身において、スタシスを誘導するための方法、組成物、製品、および装置を提供する。そのような方法は、生体物質を保護するためと共に、生物における疾患および病態を予防、処置、または診断するために用いることができる。そのような応用および他の用途の詳細を下記に記述する。本発明は、保護機能を有する、およびこのように保護物質として作用すると決定された化合物に関する試験に基づく。その上、異なる化合物を含む試験の全体的な結果から、利用可能な電子供与中心を有する化合物がスタシスの誘導において特に有効であることが示されている。さらに、これらの化合物は可逆的なスタシスを誘導し、このことは、それらが物質が死ぬまたは分解するほど特定の生体物質に対して毒性ではないことを意味している。
本発明は、生体物質のスタシスを得るために、生体物質を物質の量に曝露する段階を含む。いくつかの態様において、本発明は、以下を含む、インビボ生体物質においてスタシスを誘導するための方法に関する:a)スタシスが望ましい生物を同定する段階;およびb)インビボ生体物質においてスタシスを誘導するために酸素アンタゴニストの有効量を生物に曝露する段階。生体物質において「スタシス」を誘導することは、物質が生存しているが、以下の一つまたはそれ以上を特徴とすることを意味する;生体物質による二酸化炭素産生速度または量の少なくとも2倍減少;生体物質による酸素消費速度または量の少なくとも2倍減少;および運動または運動製の少なくとも10%減少(精子細胞、心臓、もしくは脚のような運動する細胞もしくは組織、または生物全体にスタシスが誘導される場合に限って適用される)(集合的に「細胞呼吸指標」と呼ばれる)。本発明の方法において、スタシスは一時的および/または可逆的であり、このことは、生体物質が後の時点でスタシスの特徴をもはや示さないことを意味している。
「生体物質」という用語は、細胞、組織、臓器、および/または生物、およびその任意の組み合わせを含む、生きている任意の生物材料(好ましい態様において哺乳類の生物材料)を指す。スタシスは、その部分が臓器内に留まっているか、生物から摘出されているか、または生物全身がスタシス状態に存在するか否かによらず、生物の一部(細胞、組織、および/または一つまたはそれ以上の臓器のように)において誘導されてもよいと企図される。「インビボ生体物質」という用語は、インビボである、すなわちなおも生物内に存在するまたは生物に結合している生体物質を指す。その上、「生体物質」という用語は、「生物材料」という用語と同義であると理解されるであろう。
スタシスを必要とする生物は、生物の全てまたは一部のスタシスが直接的または間接的な生理的利益を生じる可能性がある生物である。例えば、出血性ショックのリスクを有する患者は、スタシスが必要であると見なされる可能性があり、または冠動脈バイパス手術を受ける患者は、虚血/再潅流損傷から心臓を保護することによって利益を得る可能性がある。他の応用は、本出願を通して考察される。いくつかの場合において、生物は、スタシスを受けることによって予防または処置することができる病態もしくは疾患、または病態もしくは疾患のリスクを示す、一つまたはそれ以上の試験、スクリーニング、または評価に基づいて、スタシスを必要とすると同定または決定される。または、患者の既往または患者の家族の既往を得ること(患者の問診)によって、生物がスタシスを必要とするという情報が得られる可能性がある。
「酸素アンタゴニスト」という用語は、それが生存するために酸素を必要とする生体物質(「酸素利用生体物質」)によって用いられる限り、酸素と競合する物質を指す。酸素は典型的に、生体物質の容易に利用可能な主なエネルギー源を産生する様々な細胞プロセスのために用いられ、必要である。酸素アンタゴニストは、酸素利用生体物質にとって利用可能な酸素量、および/または酸素利用生体物質が用いることができる酸素量を有効に減少または消失させる。このように、いくつかの態様において、酸素アンタゴニストは、例えばそうでなければ酸素に結合するであろうチトクロームcオキシダーゼ上の部位に結合することによって、細胞において起こる細胞呼吸量を阻害または減少させる。チトクロームcオキシダーゼは、酸素に特異的に結合して、これを水に変換する。好ましくは、酸素アンタゴニストによるチトクロームcオキシダーゼに対する結合は特異的である。いくつかの態様において、チトクロームcオキシダーゼに対するそのような結合は、好ましくは放出可能または可逆的な結合である(例えば、インビトロ解離定数Kdが少なくとも10-2、10-3、10-4 Mであり、インビトロ解離定数Kdは10-6、10-7、10-8、10-9、10-10、または10-11 Mより大きくない)。いくつかの態様において、酸素アンタゴニストは、ATPおよび/または二酸化炭素産出量を測定することによって評価される。
「有効量」という用語は、記載の結果を得ることができる量を意味する。本発明の方法において、「有効量」は、例えばスタシスを必要とする生体物質においてスタシスを誘導する量である。組織または臓器においてスタシスを誘導する場合、有効量は組織または臓器の細胞呼吸の集団的な量によって決定した場合の組織または臓器においてスタシスを誘導する量であると理解されるであろう。したがって、例えば、心臓による酸素消費レベル(集合的に心臓の細胞に関して)が、特定の酸素アンタゴニストの特定の量に対する曝露後少なくとも2倍減少すれば、それは心臓においてスタシスを誘導するための有効量であると理解されるであろう。同様に、生物においてスタシスを誘導する物質の有効量は、スタシスの特定のパラメーターの集団的または集合的レベルに関して評価される量である。同様に、生物においてスタシスを誘導する場合、有効量は、生物の特定の部分を標的とする場合を除き、生物全体に関して一般的にスタシスを誘導する量であると理解されるであろう。
特定の化合物の有効量に関する考え方は、生体物質にとって利用可能な酸素がどのくらいの量存在するかに関連している。一般的に、スタシスは、いずれの酸素アンタゴニストも存在しない場合、酸素約100,000 ppmまたはそれ未満である場合に誘導されうる(室内の空気は酸素約210,000 ppmを有する)。酸素アンタゴニストは、有効利用できる酸素量を変化させるように作用する。このように、生体物質が曝露される酸素の実際の濃度は、10 ppmより高い、さらにより高い可能性があるが、生体物質における本質的な酸素代謝タンパク質に対する結合に関する酸素アンタゴニストと酸素との競合的作用のために、スタシスを誘導することができる。言い換えれば、酸素アンタゴニストの有効量は、存在する酸素を用いることができない点まで有効な酸素濃度を減少させる。このことは、酸素アンタゴニストの量が本質的な酸素代謝タンパク質に対する酸素結合のKm(すなわち、酸素10 ppmと同等)より低く有効酸素濃度を減少させる場合に起こるであろう。したがって、いくつかの態様において、酸素アンタゴニストは、有効酸素濃度を約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、5000倍、6000倍、7000倍、8000倍、9000倍、または10000倍、またはそれ以上、またはそこから誘導可能な任意の範囲減少させる。これは、細胞呼吸の減少を示すもう一つの方法であると理解される。
その上、有効量は、曝露時間の長さに対する定性を有するまたは有しない濃度として表記することができる。いくつかの態様において、一般的に、スタシスを誘導するために、生体物質は、酸素アンタゴニストに約、少なくとも約、または多くて約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60秒、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1、2、3、4、5、6、7日、1、2、3、4、5週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20年またはそれ以上、およびそこから誘導可能な任意の組み合わせまたは範囲のあいだ、曝露されると企図される。その後、生体物質は、酸素アンタゴニストに曝露され続けてもよく、または本発明の他の態様において生体物質はもはや酸素アンタゴニストに曝露されない。この後者の段階は、スタシスが望まれる生体物質の存在から酸素アンタゴニストを除去するもしくは有効に除去することによって行うことができ、または酸素アンタゴニストを含む環境から生体物質を除去してもよい。
したがって、本発明のいくつかの態様において、スタシスが誘導され、本発明の方法におけるさらなる段階は、関連する生体物質をスタシス状態で維持することである。これは、酸素アンタゴニストに生体物質を曝露し続ける、または生体物質を非生理的温度に曝露することによって行うことができる。または、生体物質を保存物質もしくは溶液中に入れる、または通常酸素もしくは低酸素条件に曝露してもよい。生体物質は、スタシスに約、少なくとも約、または多くて約30秒間、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1、2、3、4、5、6、7日、1、2、3、4、5週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20年またはそれ以上、およびそこから誘導可能な任意の組み合わせ、または範囲のあいだ、維持されてもよいと企図される。
動物全体に関する「スタシス」および細胞もしくは組織に関する「スタシス」は、スタシスの異なる期間を必要とする可能性があると認識される。このように、ヒト被験者に関して、例えば、外科的処置、悪性の高体温症、または外傷の犠牲者の処置を受ける被験者に関して、12、18、または24時間までのスタシスが一般的に企図される。非ヒト動物被験者、例えば商業的目的のために輸送または保存される非ヒト動物に関して、2もしくは4日、2もしくは4週間、またはそれより長い期間のスタシスが企図される。
「曝露する」という用語は、生体物質が酸素アンタゴニストに供されることを示すためのその通常の意味において用いられる。これは、いくつかの態様において、生体物質を酸素アンタゴニストに接触させることによって行うことができる。インビボ細胞、組織、または臓器の場合、「曝露する」は、これらの材料を酸素アンタゴニストに接触させることができるように、これらの材料を「開放的に横たえる」ことを意味する可能性がある。これは、例えば外科的に行うことができる。生体物質を酸素アンタゴニストに曝露することは、アンタゴニストにおいてもしくはアンタゴニストと共に(浸漬を含む)インキュベートする、アンタゴニストを潅流もしくは注入する、生体物質に酸素アンタゴニストを注射、または生体物質に酸素アンタゴニストを適用することによって行うことができる。さらに、生物全身のスタシスが望ましい場合、酸素アンタゴニストの吸入もしくは接種、または薬学的投与の任意の他の経路が、酸素アンタゴニストと共に用いるために企図される。
いくつかの態様において、有効量は、酸素アンタゴニストの致死下量であるという特徴を有する。細胞、組織、または臓器のスタシスを誘導する状況において(生物全身ではない)、「致死下用量」は、投与24時間以内に生体物質における少なくとも大部分の細胞を死滅させるであろう酸素アンタゴニストの量の半分より少ない酸素アンタゴニストの1回投与を意味する。生物全身のスタシスが望ましい場合、「致死下用量」は、投与24時間以内に生物を死亡させるであろう酸素アンタゴニストの量の半分より少ない酸素アンタゴニストの1回投与を意味する。他の態様において、有効量は酸素アンタゴニストのほぼ致死量であるという特徴を有する。同様に、細胞、組織、または臓器(生物全身ではない)のスタシスを誘導する状況において、「ほぼ致死量」は、投与24時間以内に少なくとも大部分の細胞を死滅させるであろう阻害剤の量の25%以内である酸素アンタゴニストの1回投与を意味する。細胞全身のスタシスが望ましい場合、「ほぼ致死用量」は、投与24時間以内に生物を死亡させるであろう阻害剤の量の25%以内である酸素アンタゴニストの1回投与を意味する。いくつかの態様において、致死下量は酸素アンタゴニストの既定量を生物材料に投与することによって、投与される。
いくつかの態様において、有効量は、単独または併用して投与される酸素アンタゴニストの量のモニタリング、酸素アンタゴニストの投与期間のモニタリング、酸素アンタゴニストの投与に対する生物材料の生理的反応のモニタリング(例えば、脈拍、呼吸、疼痛反応、運動、または運動性等)、およびその反応における変化に関して既定の最低値または最高値が測定された場合の酸素アンタゴニストの投与の減少、中断、または中止等によって投与される。その上、これらの段階は、本発明の任意の方法においてさらに用いることができる。
特定の態様において、生体物質は、生体物質による二酸化炭素の産生速度または産生量を、少なくとも2倍、しかし約、少なくとも約、または多くて約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍またはそれ以上、またはそこから誘導可能な任意の範囲減少させる酸素アンタゴニストの量に曝露される。なおさらなる態様において、生体物質は、生体物質による酸素の消費速度または消費量を、少なくとも2倍、しかし約、少なくとも約、または多くて約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍またはそれ以上、またはそこから誘導可能な任意の範囲減少させる酸素アンタゴニストの量に曝露される。なおさらなる態様において、生体物質は、運動または運動性を、少なくとも約10%、しかし約、少なくとも約、または多くて約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99、または100%またはそこから誘導可能な任意の範囲減少させる酸素アンタゴニストの量に曝露される。他の態様に関して、これらの特徴およびパラメーターは、どのような状況で生体物質がスタシス状態に誘導されるかということである。このように、スタシスが生物の心臓において誘導される場合、これらのパラメーターは、心臓に関して評価され、生物全身に関して評価されないであろう。生物の状況では、およそ8倍の次数での酸素消費の減少は、「冬眠」と呼ばれるある種のスタシスである。その上、本出願において、約1000倍の次数での酸素消費の減少は「仮死状態」であると見なされうると理解されるであろう。スタシスに関する本発明の態様は、適当であれば冬眠または仮死状態レベルで得ることができると理解されるであろう。
さらに、本発明のいくつかの態様において、スタシスに達するために必要な値ほど高くてもよく、高くなくてもよい細胞呼吸を減少させる方法が提供される。本発明の方法において、酸素消費の約、少なくとも約、または多くて約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100%減少が提供される。これはまた、任意の細胞呼吸指標に関して表現および評価することができる。
生体物質は、一つまたはそれ以上の酸素アンタゴニストに1回より多く露出されてもよいと企図される。生体物質は、一つまたはそれ以上の酸素アンタゴニストに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれ以上曝露されてもよいと企図され、このことは生体物質が、そのあいだに休止期間が存在する(酸素アンタゴニストの曝露に関して)多数回曝露されることを意味する。
いくつかの場合において、致死下集団用量または非致死集団用量を生体物質に投与する。先に述べたように、生物全体ではない生体物質においてスタシスを誘導することに関して、「致死下集団用量」は、集合的に、1回の投与後24時間以内に細胞の少なくとも大部分を死滅させるであろう酸素アンタゴニストの量の半分より少ない酸素アンタゴニストの複数回投与の量を意味する。他の態様において、有効量は、酸素アンタゴニストのほぼ致死量であると特徴づけられる。同様に、「ほぼ致死集団用量」は、1回の投与後24時間以内に細胞の少なくとも大部分を死滅させるであろう酸素アンタゴニストの量の25%以内である酸素アンタゴニストの複数回投与の量を意味する。多数回投与は、生物全体においてスタシスを誘導するために投与することができると企図される。「致死下集団用量」および「ほぼ致死集団用量」に関する定義は、生物全体におけるスタシスに関して先に考察した個々の用量に基づいて外挿することができる。
本発明の文脈において使用される生体物質は、酸素利用細胞を含む任意の生体物質を含むことが企図される。細胞は真核細胞または原核細胞であってもよい。特定の態様において、細胞は真核細胞である。より詳しく述べると、いくつかの態様において、細胞は哺乳類細胞である。本発明において用いるために企図される哺乳類細胞には、ヒト、サル、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、フェレット、ウシ、ヒツジ、およびウマ由来の細胞が含まれるがこれらに限定されない。
その上、本発明の細胞は二倍体であってもよいが、場合によっては細胞は半数体(性細胞)であってもよい。さらに、細胞は多倍体、異数体、または無核細胞であってもよい。細胞は、心臓、肺、腎臓、肝臓、骨髄、膵臓、皮膚、骨、静脈、動脈、角膜、血管、小腸、大腸、脳、脊髄、平滑筋、骨格筋、卵巣、精巣、子宮、および臍帯からなる群より選択されるような、特定の組織または臓器に由来しうる。その上、細胞はまた、以下の細胞タイプの一つに特徴づけることができる:血小板、骨髄球、赤血球、リンパ球、脂肪細胞、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、内分泌細胞、グリア細胞、ニューロン、分泌細胞、障壁機能細胞、収縮細胞、吸収細胞、粘膜細胞、輪部細胞(角膜)、幹細胞(全能性、多能性、多能性)、非受精もしくは受精卵細胞、または精子。
生体物質は、一つより多い酸素アンタゴニストに曝露または接触させてもよい。生体物質は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多い酸素アンタゴニスト、またはそこから誘導可能な任意の範囲を含む、少なくとも一つの酸素アンタゴニストに曝露されてもよい。多数の酸素アンタゴニストに関して、「有効量」という用語は、酸素アンタゴニストの集団量を指す。例えば、生体物質を、第一の酸素アンタゴニストに曝露した後、第二の酸素アンタゴニストに曝露してもよい。または、生体物質を一つより多い酸素アンタゴニストに同時または重なり合うように曝露してもよい。さらに、生体物質が曝露される単一の組成物におけるような、一つより多い酸素アンタゴニストを含んでもよくまたは共に混合してもよいと企図される。
本発明の方法および装置は、いくつかの態様において酸素アンタゴニストである保護物質を含む。なおさらなる態様において、酸素アンタゴニストは還元剤である。さらに、酸素アンタゴニストはカルコゲナイド化合物としての特徴を有しうる。
特定の態様において、カルコゲナイド化合物は硫黄を含み、他の態様において、カルコゲナイド化合物はセレン、テルル、またはポロニウムを含む。特定の態様において、カルコゲナイド化合物は、一つまたはそれ以上の露出したスルフィド基を含む。このカルコゲナイド化合物は、1、2、3、4、5、6個またはそれ以上のまたはそこから誘導可能な任意の範囲の露出したスルフィド基を含む。特定の態様において、そのようなスルフィド含有化合物は、CS2(二硫化炭素)である。
その上、本発明のいくつかの方法において、スタシスは、以下の化学構造を有する還元剤に細胞を曝露することによって、細胞において誘導される:
Figure 0004914216
式中、XはN、O、Po、S、Se、またはTeである;
YはNまたはOである;
R1はH、C、低級アルキル、低級アルコール、またはCNである;
R2はH、C、低級アルキル、低級アルコール、またはCNである;
nは0または1である;
mは0または1である;
kは0、1、2、3、または4である;および
pは1または2である。
「低級アルキル」および「低級アルコール」という用語は、その通常の意味に従って用いられ、記号は、化学元素を指すために用いられる記号である。この化学構造は、「還元剤構造」と呼ばれ、この構造を有する任意の化合物は、還元剤構造化合物と呼ばれるであろう。さらなる態様において、kは還元剤構造において0である。その上、他の態様において、R1および/またはR2基は、アミンまたは低級アルキルアミンとなりうる。他の態様において、R1および/またはR2基は、短鎖アルコールまたは短鎖ケトンとなりうるであろう。さらに、R1およびR2は架橋されてもよく、および/または化合物は環状化合物であってもよい。なおさらなる態様において、Xはハロゲンであってもよい。「低級」という用語は、炭素原子1、2、3、4、5、もしくは6個、またはそこから誘導可能な任意の範囲を意味する。その上、R1および/またはR2は、C2-C5エステル、アミド、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エーテル、ニトリル、無水物、ハロゲン化物、アシルハロゲン化物、スルフィド、スルホン、スルホン酸、スルホキシド、および/またはチオールを含む他の低分子有機官能基であってもよい。そのような置換は、R1および/またはR2に関して明らかに企図される。特定の他の態様において、R1および/またはR2は、上記の低分子有機官能基の短鎖型であってもよい。「短鎖」とは、炭素原子1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12個またはそこから誘導可能な任意の範囲を意味する。
還元剤構造の化合物は、いくつかの場合においてカルコゲナイド化合物となりうると企図される。特定の態様において、カルコゲナイド化合物は、露出したカルコゲナイドを有するアルキル鎖を有する。他の態様において、カルコゲナイド化合物は、生体物質に取り込まれた後露出されるようになるカルコゲナイドを有する。この点において、カルコゲナイド化合物は酸素アンタゴニストとしてのプロドラッグと類似である。したがって、化合物上の一つまたはそれ以上の硫黄、セレニド、酸素、テルル、ポロニウム、またはウンウンヘキシウム分子は、カルコゲナイド化合物に対する生体物質の曝露後に利用できるようになる。この状況において、「利用できる」は、硫黄、セレニド、酸素、テルル、ポロニウム、またはウンウンヘキシウムが、電子を保持するであろうことを意味する。
なおさらなる態様において、還元剤構造化合物は、H2S、H2Se、H2Te、およびH2Poからなる群より選択される。いくつかの場合において、還元剤構造はSであるXを有する。他の場合においてXはSeであり、またはXはTeであり、またはXはPoであり、またはXはOである。さらに、還元剤構造におけるkはいくつかの態様において、0または1である。特定の態様において、還元剤構造化合物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルスルフィド(DMS)、一酸化炭素、メチルメルカプタン(CH3SH)、メルカプトエタノール、チオシアネート、シアン化水素、メタンチオール(MeSH)、またはCS2である。特定の態様において、酸素アンタゴニストはH2S、H2Se、CS2、MeSH、またはDMSである。これらの分子の大きさの順の化合物は特に企図される(すなわち、その分子量の平均値の50%以内)。
その上、本明細書において酸素アンタゴニストとして考察したいずれの化合物も、生体物質に対するプロドラッグ型で提供することができ、このことは生体物質または生体物質の環境における他の物質が、プロドラッグをその活性型、すなわち酸素アンタゴニストへと変化させることを意味すると一般的に理解されるであろう。
酸素アンタゴニストは、酸素と競合することができる状態で生体物質に提供される。酸素アンタゴニストはガス、半固体液体(ゲルまたはペーストのような)、液体、またはガスであってもよい。生体物質は、一つより多い酸素アンタゴニスト、および/または一つより多い状態の酸素アンタゴニストに曝露されてもよいと企図される。
特定の態様において、酸素アンタゴニストはガスである。特定の態様において、ガス様酸素アンタゴニストには、一酸化炭素、窒素、硫黄、セレン、テルル、またはポロニウム、またはその混合物が含まれる。その上、酸素アンタゴニストは、ガスとしてのカルコゲナイド化合物であると特に企図される。いくつかの態様において、酸素アンタゴニストは、一つより多いガスを含むガスの混合物である。いくつかの態様において、他のガスは非毒性および/または非反応性のガスである。いくつかの態様において、他の気体は希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、またはウンウンオクチウム)、窒素、酸化窒素、水素、またはその混合物である。
いくつかの場合において、ガス混合物はまた酸素を含む。本発明の他の態様において、酸素アンタゴニストのガスを酸素と混合して酸素ガス混合物を形成する。酸素ガス混合物における酸素の量が、混合物における他の全てのガスまたは複数のガスの全量より少ない酸素ガス混合物が特に企図される。
いくつかの態様において、酸素アンタゴニストガスは、一酸化炭素であり、一酸化炭素の量は、酸素ガス混合物における酸素の任意の量とほぼ同じまたはこれより多い。特定の多様において、一酸化炭素は血液を含まない生体物質について用いられる。「血液を含まない生体物質」という用語は、移植のための臓器のような、その酸素飽和が血管に依存しない、またはもはや依存しない細胞および臓器を指す。好ましくは、大気は100%COであるが、当業者に明らかであるように、CO量は利用可能な酸素量が細胞呼吸を防止するレベルまで減少する限り、酸素以外のガスによって平衡にしてもよい。この状況において、一酸化炭素対酸素の比は、好ましくは85:15もしくはそれ以上、199:1もしくはそれ以上、または399:1もしくはそれ以上である。特定の態様において、比は約、少なくとも約、または多くて約1:1、2:1、2.5:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、100:1、110:1、120:1、130:1、140:1、150:1、160:1、170:1、180:1、190:1、200:1、210:1、220:1、230:1、240:1、250:1、260:1、270:1、280:1、290:1、300:1、310:1、320:1、330:1、340:1、350:1、360:1、370:1、380:1、390:1、400:1、410:1、420:1、430:1、440:1、450:1、460:1、470:1、480:1、490:1、500:1、またはそれ以上、またはそこから誘導可能な任意の範囲である。
なおさらなる態様において、上記の数値は、一酸化炭素対酸素と一つまたはそれ以上の他の気体との混合物の比に関する。場合によっては、他のガスは窒素(N2)のような非反応性のガスであると企図される。このように、本発明の他の態様において、上記の数値は、本発明の方法および装置において用いることができる一酸化炭素対酸素と窒素(O2/N2)の混合の比に当てはまる。したがって、他のガスが存在してもよく、存在しなくてもよいと理解されるであろう。いくつかの態様において、CO:酸素比は、一つまたはそれ以上の他の気体(非一酸化炭素および非酸素ガス)によって釣り合う。特定の態様において、CO:酸素比は窒素によって平衡となる。なおさらなる態様において、COの量は、上記の数値によって記述されるように、室内の空気と比較したCOの比である。
いくつかの場合において、一酸化炭素の量は酸素の量に相関するが、その他の場合では一酸化炭素の量は絶対量である。例えば、本発明のいくつかの態様において、酸素の量は、20℃および1気圧の標準的な温度および大気圧での百万分率での酸素の体積の割合の測定値である「百万分率(ppm)」で表され、ガスの体積の平衡は、一酸化炭素によって補われる。この状況において、一酸化炭素対酸素の量は、一酸化炭素によって平衡にした酸素の百万分率に関して関連する。生体材料が曝露またはインキュベートされる大気は、一酸化炭素およびいくつかの場合において、非毒性および/または非反応性ガスと混合した一酸化炭素によってバランスをとった酸素の少なくとも0、50、100、200、300、400、500、1000、または2000 ppmであってもよいと企図される。「環境」という用語は、生体物質のすぐ周囲の環境を指し、すなわち試料が直接接触している環境を指す。このように、生体材料は、一酸化炭素に直接曝露されなければならず、一酸化炭素の密封されたタンクが生体物質と同じ室内に存在して、本発明に従う「環境」と共にインキュベートすると見なされるには不十分である。または、大気はkPaによって表記してもよい。1気圧において百万分の1=101 kPaであると一般的に理解される。本発明の態様において、生体材料がインキュベートまたは曝露される環境は、O2が約、少なくとも約、または多くて約0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.5、0.90、0.95、1.0 kPaまたはそれ以上、またはそこから誘導可能な任意の範囲である。先に記述したように、そのようなレベルは一酸化炭素および/または他の非毒性および/または非反応性ガスによって平衡にすることができる。同様に、大気はCOレベルをkPa単位で定義してもよい。特定の態様において、大気はCOが約、少なくとも約、または多くて1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、101、101.3 kPaまたはそこから誘導可能な任意の範囲である。特定の態様において、COの部分圧は、約、または少なくとも約85、90、95、101、101.3 kPaまたはそこから誘導可能な任意の範囲である。
試料が一酸化炭素にインキュベートまたは曝露される期間もまた、本発明の態様において変更することができる。いくつかの態様において、試料を一酸化炭素と共に約、少なくとも約、または多くて約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60分またはそれ以上、および/または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、および/または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10日またはそれ以上インキュベートまたは曝露してもよい。
本発明のいくつかの態様において、生体物質を、密封容器においてガスに曝露する。いくつかの場合において、密封容器は、特定の環境を維持する、または望ましいように環境を調節することができる。環境は、生体物質が曝露される酸素アンタゴニストの量および/または環境の温度を指す。いくつかの場合において、生体物質は酸素アンタゴニストの曝露前、あいだ、または後に真空下に置かれる。その上、他の場合において、生体材料は酸素アンタゴニストに曝露された後、通常酸素の環境に曝露される。
その上、他の態様において、生体物質を含む環境は、酸素アンタゴニストの異なる量または濃度に対して少なくとも1回循環し、量または濃度の差は少なくとも1%の差である。環境は、酸素アンタゴニストの一つもしくはそれ以上の量もしくは濃度のあいだで循環させてもよく、または環境は酸素アンタゴニストの量もしくは濃度を徐々に増加または減少させてもよい。いくつかの場合において、異なる量または濃度は、生体物質が最初に曝露される酸素アンタゴニストの量または濃度の約0〜99.9%である。量および/または濃度の差は、約、少なくとも約、または多くて約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%またはそれ以上、またはそこから誘導可能な任意の範囲である。
本発明の方法には、生体物質を制御された温度環境に供する段階が含まれうる。特定の態様において、生体物質を、「非生理的温度環境」である温度に曝露し、これは生体物質が96時間より長く生存することができない温度を指す。制御された温度環境は、約、少なくとも約、または多くて約
Figure 0004914216
またはそれ以上、またはそこから誘導可能な任意の範囲の温度を有しうる。生体物質はまた、室温で酸素アンタゴニストに曝露してもよく、室温は約20℃〜約25℃の温度を意味する。さらに、生体物質は、考察した任意の量または量の範囲の中心温度に達することが企図される。
生体物質は、酸素アンタゴニストに曝露のあいだまたは曝露後に、非生理的温度環境、または制御された温度環境に供することができると企図される。さらに、いくつかの態様において、生体物質を、約1分〜約1年の期間、非生理的温度環境または制御された温度環境に供する。期間は約、少なくとも約、または多くて約30秒、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1、2、3、4、5、6、7日、1、2、3、4、5週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20年またはそれ以上、およびそこから誘導可能な任意の組み合わせまたは範囲であってもよい。その上、低下した温度に対して室温を上昇させる段階が存在してもよい。
その上、温度はプロセスの際に変化または循環させてもよいと企図される。いくつかの態様において、生体物質の温度は、酸素アンタゴニストを有する環境に生体物質を入れる前に最初に減少させてもよく、一方他の態様において、生体物質を、生体物質の温度より低い酸素アンタゴニスト環境に入れることによって冷却してもよい。生体物質および/または環境は、生体物質または環境の温度が一つの温度で始まってその後もう一つの温度に達するように、徐々に冷却または加熱してもよい。
特定の態様において、方法には、環境の酸素レベルを調節する段階、または酸素を有する環境から生物材料を除去する段階が含まれる。操作上、酸素が減少しているまたは存在しない環境に生物材料を曝露する段階は、酸素アンタゴニストに対する生物材料の曝露を模倣する可能性がある。
本発明の方法において、スタシスが誘導される生体物質における酸素アンタゴニストおよび/または酸化的燐酸化レベルを評価する段階も同様に存在する。
本発明の組成物、方法、および製品は、それが由来する(自己)ドナー生物または異なるレシピエント(異種)被験者に戻されるであろう生体物質に基づくことができる。いくつかの態様において、生体物質はドナー生物から直接得られる。他の態様において、生体物質は酸素アンタゴニストに曝露される前に培養される。他の態様において、生体物質は、生体物質を採取する前に体外膜型酸素化を行ったドナー生物から得られ、これは生体物質の保存において役立つように実行される技術である。その上、方法には、生きているレシピエント生物にスタシスが誘導される、生体物質を投与または埋め込む段階が含まれる。
本発明の方法はまた、生体物質がスタシスに入るために有効な期間、低酸素状態を生成する酸素アンタゴニストと共に生体物質をインキュベートする段階を含む、インビボ生体物質においてスタシスを誘導することに関する。
さらに、本発明の他の態様には、その酸素必要量を減少させるために有効な量の酸素アンタゴニストに生体物質を接触させる段階を含む、インビボ生体物質における酸素必要量を減少させる方法が含まれる。酸素必要量は、酸素アンタゴニストに曝露されていない、またはもはや曝露されていない生体物質の細胞、または生体物質由来の細胞の代表的な試料における酸素必要量に関して、約、少なくとも約、または多くて約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%または100%、またはそこから誘導可能な任意の範囲減少すると企図される。
本発明の他の局面は、インビボで生体物質を保存するために、酸素アンタゴニストの有効量をインビボ生体物質に曝露することを含む、インビボ生体物質を保存するための方法に関する。
本発明はまた、外傷のリスクを有する生体物質を酸素アンタゴニストの有効量に曝露する段階を含む、生物に存在するまたは生物における外傷の影響を遅らせる方法にも関する。
本発明の他の局面において、酸素アンタゴニストの有効量を患者に曝露する段階を含む、患者における出血性ショックを処置または予防する方法が存在する。
生物において心拍数を減少させる方法も同様に本発明の一部として含まれる。そのような方法は、生物試料または生物を酸素アンタゴニストの有効量に接触させる段階を含む。
本発明の一つの態様は、哺乳類を酸素アンタゴニストの有効量に接触させる段階を含む、哺乳類において冬眠を誘導する方法に関する。
もう一つの態様において、麻酔が望ましい生体物質を酸素アンタゴニストの有効量に曝露する段階を含む、生物を麻酔する方法が存在する。麻酔は局所または全身麻酔と類似であってもよいと企図される。
本発明にはさらに、放射線療法または化学療法の前またはあいだに酸素アンタゴニストの有効量を哺乳類に接触させる段階を含む、放射線療法または化学療法から哺乳類を保護する方法が含まれる。癌治療の局所投与の場合、酸素アンタゴニストは罹患臓器、組織、および/または細胞に局所投与してもよいと特に企図される。
さらなる態様において、酸素アンタゴニストの有効量を哺乳類に接触させる段階、および哺乳類を高体温療法に供する段階を含む、過増殖疾患(例えば、癌)を処置する方法が存在する。
本発明の方法は、移植のための臓器を保存するために適用してもよいが、本発明の他の局面はレシピエント生物に関する。いくつかの態様において、酸素アンタゴニストの有効量を哺乳類に提供する段階を含む、哺乳類における臓器移植の拒絶を阻害する方法が存在する。
温度調節は、酸素アンタゴニストを用いることによって生物において得ることができる。いくつかの態様において、以下を含む、低体温症の被験者を処置する方法が存在する:(a)被験者を酸素アンタゴニストの有効量に接触させる段階;および(b)被験者の体温より高い環境温度に被験者を供する段階。他の態様において、本発明には、(a)被験者を酸素アンタゴニストの有効量に接触させる段階を含む、高体温症の被験者を処置する方法が含まれる。いくつかの場合において、高体温症の処置には(b)被験者の体温より少なくとも約20℃低い室温に被験者を供する段階が含まれる。先に考察したように、被験者を非生理的または制御された温度に曝露する段階は、さらなる態様において用いることができる。
いくつかの場合において、本発明は、酸素アンタゴニストの有効量を患者に投与する段階を含む、バイパス手術を受ける患者において心臓麻痺を誘導する方法に関する。投与は心臓を保護するように心臓に対して局所的であってもよいと企図される。
本発明の他の局面は、酸素アンタゴニストの有効量を患者に投与する段階を含む、患者における出血性ショックを予防する方法に関する。
その上、酸素アンタゴニストの有効量を生物または創傷に投与する段階を含む、生物における創傷治癒を促進する方法が存在する。
さらに、本発明は、酸素アンタゴニストの有効量を哺乳類に投与する段階を含む、哺乳類における神経変性を予防または処置する方法に関する。
生体物質が損傷またはさらなる損傷から保護される場合において、生体物質は、初回の障害(外傷、創傷、または変性)が起こった後、約、少なくとも約、または多くて約30秒、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1、2、3、4、5、6、7日、1、2、3、4、5週、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20年またはそれ以上のあいだ、およびそこから誘導可能な任意の組み合わせまたは範囲のあいだ、酸素アンタゴニストに曝露してもよいと企図される。このように、本発明のさらなる態様において、方法には、任意の損傷、外傷、創傷、または変性の初回評価が含まれる。
本発明の方法は、生体物質が入れられるまたは曝露される環境を維持する装置またはシステムを含みうる。本発明には、酸素アンタゴニストが特にガスとして供給される装置が含まれる。いくつかの態様において、装置には、生体物質を保持するための試料室を有する容器が含まれ、容器は酸素アンタゴニストを含むガスの供給元に接続される。容器は固体容器を含んでもよく、またはバッグのように柔軟であってもよいと特に企図される。
いくつかの態様において、本発明は、容積が775 lを超えない試料室を有する容器;および一酸化炭素を含む、試料室との液体連絡路を有する第一のガス供給装置を有する、細胞を保存する装置である。さらなる態様において、装置には、試料室内部の温度を調節する冷却単位および/またはチャンバー内の酸素アンタゴニストの量またはチャンバー内の溶液における酸素アンタゴニストの量を調節するガス調節装置が含まれる。
第二もしくはさらなるガスのガス供給、または酸素アンタゴニストのためのさらなるガス供給が存在してもよいと企図される。第二のガス供給を、試料室に接続してもよく、または第一のガス供給に接続してもよい。上記のように、さらなるガスは非毒性および/または非反応性ガスであってもよい。
ガス調節装置は、本発明のいくつかの態様において装置の一部である。一つ、二つ、三つまたはそれ以上のガス調節装置を用いてもよい。いくつかの場合において、ガス調節装置は、第一のガス供給から試料室に供給されるガスを調節する。または、これは、試料室に供給されるガス、または第二のガス供給からの第一のガス供給を調節してもよく、または第一と第二のガス供給の双方の調節装置であってもよい。任意のガス調節装置は、試料室および/またはもう一つのガス供給に供給されたガスの量を制御するようにプログラムすることができるとさらに企図される。調節は一定期間であってもよく、そうでなくてもよい。試料室に直接または間接的に接続される任意のガス供給のための、プログラム可能であってもなくてもよいガス調節装置が存在してもよい。場合によっては、ガス調節物質は電子的にプログラム可能である。
いくつかの場合において、チャンバー内の圧力および/または温度は、圧調節装置または温度調節装置のいずれかによって調節することができる。ガス調節装置の場合のように、これらの調節装置は電子的にプログラム可能であってもよい。本発明の装置はまた、上記の温度に達するために冷却および/または加熱単位を有してもよい。単位は電子的にプログラム可能であってもなくてもよい。
さらなる態様において、装置には、容器を載せる車輪付きのカートが含まれ、またはカートは一つもしくはそれ以上のハンドルを有してもよい。
本発明には、試料室を有する容器;酸素アンタゴニストを含む、試料室と液体連絡路を有する第一のガス供給;および第一のガス供給から試料室に適用されたガスを調節する電子的にプログラム可能なガス調節装置を有する、細胞、組織、臓器、およびさらに生物全体のための、装置が含まれると特に企図される。
いくつかの態様において、装置は試料室内で真空を提供するように形成された構造を有する。
その上、本出願において記述の任意の酸素アンタゴニストは、本発明の装置において用いるために特に企図される。特定の態様において、この装置を用いて一酸化炭素を投与することができる。他の場合において、カルコゲナイド化合物、または還元物質構造を有する化合物を投与することができる。
さらに、本発明は、スクリーニングアッセイに関する。いくつかの態様において、候補物質は、酸素アンタゴニストとして作用する能力に関してスクリーニングされる。これは、二酸化炭素産生量の測定によるような、本明細書に記述の任意のアッセイを用いて行うことができる。酸素アンタゴニストの特徴を示すと同定された任意の物質を、さらに特徴決定する、または試験することができる。その上、そのような物質は、スタシスを誘導するために生体物質に投与する、またはその後製造することができると企図される。
当然、明記された疾患または病態に対する処置または保護のための薬剤を調製する状況において、任意の治療法を用いることができると理解される。これには、出血性または血液性ショック、創傷および組織損傷、高体温、低体温、神経変性、敗血症、癌、ならびに外傷の処置のための薬剤の調製が含まれるがこれに限定されるわけではない。その上、本発明には、ショック、外傷、臓器または組織の拒絶、癌処置による損傷、神経変性、および創傷または組織障害の処置のための薬剤の調製が含まれるがこれに限定されるわけではない。
本発明の一つの局面に関して考察されるいずれの態様も、同様に他の局面に当てはまる。
実施例の章における態様は、本発明の全ての局面に適用可能である本発明の態様であると理解される。
添付の特許請求の範囲において用いられる用語「または」の使用は、開示が代用物および「および/または」のみを示す定義を支持していても、代用物のみを指すことを明白に示している場合または代用物が相互に排他的である場合を除き、「および/または」を意味するために用いられる。
本出願を通して、「約」という用語は、値を決定するために用いられる装置または方法に関する誤差の標準偏差が、値に含まれることを示すために用いられる。
積年の特許法に従って、「一つの(a)」および「一つの(an)」は、添付の特許請求の範囲または明細書における「含む」という用語と共に用いる場合、特に明記していなければ一つまたはそれ以上を指す。
本発明の他の目的、特徴、および長所は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかし、詳細な説明から、様々な変更および改変が当業者には明らかとなるであろうがそれらも本発明の趣旨および範囲に含まれることから、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の特定の態様を示しているが、例として示されるに過ぎないと理解すべきである。
例示的態様の説明
I.スタシス
「スタシス」または「仮死状態」において、細胞、組織、臓器、または生物(集合的に「生物材料」と呼ばれる)は、生きているが、細胞分裂、発達的進行、代謝状体のために必要な細胞機能は、遅れているまたは停止さえしている。この状態は、多くの状況において望ましい。スタシスはそれ自身保存法として用いることができ、または凍結保存レジメの一部として含めてもよい。生物材料は、研究での使用、輸送、移植、治療的処置(エクスビボ処置のような)、および例えば外傷の発生を防止するために保存されてもよい。生物全体に関するスタシスは類似の用途を有する。例えば、生物の輸送は、生物がスタシスに入れば容易となりうるであろう。これは、ストレスまたは物理的損傷を減少または消失させることによって、生物に対する物理的および生理的損傷を減少させる可能性がある。これらの態様は下記にさらに詳細に考察される。スタシスは、酸素および従って血流に対する生体材料の必要性を減少させることによって有益となる可能性がある。これは、生物材料を、生命を維持する環境から単離することができる、および死を誘導するような環境に曝露することができる期間を延長させる可能性がある。
比較的長期間の偶発的低体温からの回復が報告されているが(Gilbertら、2000)、生物において仮死状態を意図的に誘導することに最近関心が集まっている(いずれの参考文献に関する考察も、参考文献が先行技術であると認めたわけではないと解釈される。実際に本明細書に開示のいくつかの参考文献は優先権の出願に関して、先行技術ではないであろう)。制御された高体温と共に、大動脈への低温溶液の投与(Tisherman, 2004)、心停止の誘導(Behringerら、2003)、または酸化窒素誘導仮死状態(Teodoroら、2004)が調査されている。
スタシスにおける生物は全身麻酔下の生物とは区別される。例えば、軽度のスタシス(細胞呼吸の約2〜約5倍の減少)の生物を室内の空気に曝露すると、身震いし始めるが、麻酔下の生物はそうではない。同様に、軽度のスタシスの生物は足指の圧迫に対して反応すると期待されるが、麻酔下の生物は通常反応しない。その結果、スタシスは一般的に実践されている麻酔下と同じではない。
本発明は、特定のタイプの化合物が生物学的に可逆的なスタシスを有効に誘導するという知見に基づいている。
A.体温調節
温血動物におけるスタシスは体温調節に影響を及ぼすであろう。体温調節は、いわゆる「温血動物」の特徴であり、これによって生物は有意に変化した(低温または高温)の環境温度に曝露された場合でも比較的一定の中心体温を維持できる。スタシスの誘導によって体温調節を制御できることは、本発明の一つの局面であり、それによって上記の用途と類似の用途が可能となる。
体温調節は、生物、脚、または単離された臓器もしくは組織を、温度を制御できるチャンバー/装置に入れることによって容易となる可能性がある。例えば、暖かい部屋または高圧室と類似のチャンバー様装置は、生物全体を含み、温度調節装置に接続してもよい。ブランケット、スリーブ、カフ、またはグローブのようなより小さい装置(例えば、AVAcore Technologies, Palo Alto, CA、米国特許第6,602,277号のCORE CONTROL冷却システム)も同様に企図される。そのようなチャンバー/装置は室温を上昇または低下させるために用いてもよい。
B.生体物質
本発明に関して用いるために企図される生物材料には、哺乳類を含む無脊椎動物および脊椎動物に由来する材料が含まれる;生物材料には生物が含まれる。ヒトの他に、本発明は、以下のクラスに由来するものを含む、獣医学または農業的に重要な哺乳類に関して用いることができる;イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、マウス、ブタ、ヤギ、齧歯類、ウサギ、オオカミ、およびクマ。本発明はまた、魚およびトリにも拡大される。他の例を下記に開示する。
その上、生体物質のタイプは変化する。これは、細胞、組織、および臓器となりうると共にそれに関して異なる組成物、方法および装置が関連性を有する生物となりうる。「Methods, Compositions and Devices for Inducing Stasis in Cells」、および「Methods, Compositions and Devices for Inducing Stasis in Tissues and Organs」と題する、出願人Mark. B. Rothが2004年10月22日に提出した米国特許出願は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
1.異なる起源
以下は生体物質を得てもよい起源の例である。本発明の態様にはこれらの例が含まれるがこれらに限定されない。
a.哺乳類
本発明の特定の局面において、哺乳類は、カモノハシ目(Monotremata)、フクロネズミ目(Marsupialia)、モグラ目(Insectivora)、ハネジネズミ目(Macroscelidia)、ヒヨケザル目(Dermoptera)、コウモリ目(Chiroptera)、ツバイ目(Scandentia)、サル目(Primates)、異節亜目(Xenarthra)、センザンコウ目(Pholidota)、ツチブタ目(Tubulidentata)、ウサギ目(Lagomorpha)、ネズミ目(Rodentia)、クジラ目(Cetacea)、ネコ目(Carnivora)、ゾウ目(Proboscidea)、イワダヌキ目(Hyracoidea)、ジュゴン目(Sirenia)、ウマ目(Perissodactyla)またはウシ目(Artiodactyla)の動物である。
カモノハシ目の例には、ハリモグラ科(Tachyglossidae)(例えば、ハリモグラ)およびカモノハシ科(Ornithorhynchidae)(例えば、カモノハシ)が含まれる。フクロネズミ目の例には、オポッサム科(Didelphidae)(例えば、オポッサム)、ミクロビオテリイダエ(Microbiotheriidae)(例えば、モニトデルモンテ(Monito del Monte))、パレオテンテス科(Caenolestidae)(例えば、ケノレステス)、フクロネコ科(Dasyuridae)(例えば、フクロネズミ)、アリクイ科(Myrmecobiidae)(例えば、フクロアリクイ)、フクロオオカミ科(Thylacinidae)(例えば、フクロオオカミ)、バンディクート科(Peramelidae)(例えば、バンディクート)、チラコミイダエ(Thylacomyidae)(例えば、ミミナガバンディクート)、フクロモグラ科(Notoryctidae)(例えば、フクロモグラ)、ユビムスビ科(Phalangeridae)(例えば、クスクス)、ムササビ科(Petauridae)(例えば、キャコミスル、フクロムササビ)、ブーラミス科(Burramyidae)(例えば、マウスオポッサム)、カンガルー科(Macropodidae)(例えば、カンガルー、ワラビー)、フクロミツスイ科(Tarsipedidae)(例えば、フクロミツスイ)、ウォンバット科(Vombatidae)(例えば、ウォンバット)、およびコアラ科(Phascolarctidae)(例えば、コアラ)が含まれる。
モグラ目には、例えば、ソレノドン科(Solenodontidae)(例えば、ソレノドン)、テンレック科(Tenrecidae)(例えば、テンレック、カワウシジネズミ)、キンモグラ科(Chrysochloridae)(例えば、キンモグラ)、ハリネズミ科(Erinaceidae)(例えば、ハリネズミ、ジヌムラ)、トガリネズミ科(Soricidae)(例えば、トガリネズミ)、およびモグラ科(Talpidae)(例えば、モグラ、デスマン)が含まれる。ハネジネズミ目には、ハネジネズミ科(Macroscelidia)(例えば、ハネジネズミ)が含まれる。ツバイ目には、ツバイ科(Tupaiidae)(例えば、ツバイ)が含まれる。ヒヨケザル目には、ヒヨケザル科(Cynocephalidea)(例えば、ヒヨケザル)が含まれる。コウモリ目には、オオコウモリ科(Pteropodidae)(例えば、オオコウモリ(Fruit Bats)、オオコウモリ(Flying Foxes))、オナガコウモリ科(Rhinopomatidae)(例えば、オナガコウモリ)、クラセオニクテリダエ(Craseonycteridae)(例えば、マルハナまたはマルハナバチコウモリ)、サシオコウモリ科(Emballonuridae)(例えば、サシオコウモリ)、ミゾコウモリ科(Nycteridae)(例えば、ミゾコウモリ)、アラコウモリ科(Megadermatidae)(例えば、アラコウモリ)、キクガシラコウモリ科(Rhinolophidae)(例えば、キクガシラコウモリ)、ウオクイコウモリ科(Noctilionidae)(例えば、ウオクイコウモリ(Bulldog Bat)、ウオクイコウモリ(Fisherman Bat))、モルモオピダエ(Mormoopidae)、ヘラコウモリ科(Phyllostomidae)(例えば、ヘラコウモリ)、アシナガコウモリ科(Natalidae)、ツメナシコウモリ科(Furipteridae)、スイツキコウモリ科(Thyropteridae)、ミザポジダエ(Myzapodidae)、ヒナコウモリ科(Vespertilionidae)(例えば、ヒナコウモリ)、ツギホコウモリ科(Mystacinidae)(例えば、ツギホコウモリ)、およびオヒキコウモリ科(Molossjdae)(例えば、オヒキコウモリ)が含まれる。
サル目には、キツネザル科(Lemuridae)(例えば、キツネザル)、ケイロガレイダエ(Cheirogaleidae)(例えば、コビトキツネザル)、インドリ科(Indriidae)(例えば、インドリ、ウーリーキツネザル)、アイアイ科(Daubentoniidae)(例えば、アイアイ)、ロリス科(Lorisidae)(例えば、ロリス、ブッシュベビー、ガラゴ)、メガネザル科(Tarsiidae)(例えば、メガネザル)、オマキザル科(Cebidae)(例えば、広鼻猿類のサル、マーモセット、タマリン)、テナガザル科(Hylobatidae)(例えば、テナガザル)、オランウータン科(Pongidae)(例えば、類人猿)、およびヒト科(Hominidae)(例えば、ヒト)が含まれる。
異節亜目の例には、アリクイ科(Myrmecophagidae)(例えば、アリクイ)、ナマケモノ科(Bradypodidae)(例えば、ミツユビナマケモノ)、ナマケモノ下目(Megalonychidae)(例えば、フタツユビナマケモノ)、およびアルマジロ科(Dasypodidae)(例えば、アルマジロ)が含まれる。センザンコウ目の例には、センザンコウ科(Manidae)(例えば、センザンコウ)が含まれる。ツチブタ目の例にはツチブタ科(Orycteropodidae)(例えば、ツチブタ)が含まれる。ウサギ目の例には、ナキウサギ(Ochotonidae)(例えば、ナキウサギ)およびウサギ科(Leporidae)(例えば、野ウサギおよびウサギ)が含まれる。
ネズミ目の例には、アポロドンチダエ(Aplodontiae)(例えば、ヤマビーバー)、リス科(Sciuridae)(例えば、リス、マーモット、シマリス)、ホリネズミ科(Geomyidae)(例えば、ホリネズミ)、ポケットネズミ科(Heteromyidae)(例えば、ポケットネズミ(Pocket Mice)、ポケットネズミ(Kangaroo Rat))、ビーバー科(Castoridae)(例えば、ビーバー)、ウロコオリス科(Anomaluridae)(例えば、ウロコオリス)、トビウサギ科(Pedetidae)(例えば、トビウサギ)、ネズミ科(Muridae)(例えば、ラットおよびマウス)、ヤマネ科(Gliridae)(例えば、ヤマネ)、セレビニイダエ(Seleviniidae)(例えば、デザートドーマウス(Desert Dormouse))、オナガネズミ科(Zapodidae)(例えば、トビハツカネズミ)、トビネズミ科(Dipodidae)(例えば、トビネズミ)、ヤマアラシ科(Hystricidae)(例えば、ヤマアラシ)、キノボリヤマアラシ科(Erethizontidae)(例えば、キノボリヤマアラシ)、テンジクネズミ科(Caviidae)(例えば、モルモット、マラ(Mara))、トチカガミ科(Hydrochaeridae)(例えば、カピバラ)、ディノミダエ(Dinomyidae)(例えば、パカラナ(Pacarana))、アグーチ科(Agoutidae)(例えば、パカ)、アグーチ科(Dasyproctidae)(例えば、アグーチ)、チンチラ科(Chinchillidae)(例えば、チンチラ、ビスカッチャ)、カプロミダエ(Capromyidae)(例えば、フチアクーガ)、ヌートリア科(Myocastoridae)(例えば、ヌートリア)、アナホリネズミ科(Ctenomyidae)(例えば、ツコツコ)、オクトドン科(Octodontidae)(例えば、オクトドン、デグー)、チンチラネズミ(Abrocomidae)(例えば、チンチラネズミ)、エキミス科(Echimyidae)(例えば、エキミス)、スリオノミダエ(Thryonomyidae)(例えば、アフリカタケネズミ)、ペトロミダエ(Petromyidae)(例えば、アフリカイワネズミ(African Rock Rat))、デバネズミ科(Bathyergidae)(例えば、デバネズミ)、およびグンディ科(Ctenodactylidae)(例えば、グンディ)が含まれる。
クジラ目には、イニイダエ(Iniidae)(例えば、アマゾンポポイス(Amazon Popoise))、リポチダエ(Lipotidae)、カワイルカ科(Platanistidae)、ポントポリイダエ(Pontoporiidae)、アカボウクジラ科(Ziphiidae)(例えば、オオギハクジラ)、マッコウクジラ科(Physeteridae)(例えば、マッコウクジラ)、イッカク科(Monodontidae)(例えば、ベルーガ、イッカク)、マイルカ科(Delphinidae)(例えば、ウミイルカ、シャチ)、ネズミイルカ科(Phocoenidae)(例えば、ネズミイルカ)、ナガスクジラ科(Balaenopteridae)(例えば、イワシクジラ)、セミクジラ科(あぁえにだえ)(例えば、セミクジラ)、およびコククジラ科(Eschrichtiidae)(例えば、コククジラ)が含まれる。
ネコ目には、イヌ科(Canidae)(例えば、イヌ、キツネ、オオカミ、ジャッカル、コヨーテ)、クマ科(Ursidae)(例えば、クマ)、アライグマ科(Procyonidae)(例えば、アライグマ(Racoons)、アライグマ(Coatis)、キンカジュー、レッサーパンダ)、ジャイアントパンダ(Ailuropodidae)(例えば、ジャイアントパンダ科)、イタチ科(Mustelidae)(例えば、イタチ、スカンク、アナグマ、カワウソ)、ジャコウネコ科(Viverridae)(例えば、シベット、ジェネット)、カニクイマングース科(Herpestidae)(例えば、マングース)、プロテリダエ(Protelidae)(例えば、ツチオオカミ)、ハイエナ科(Hyaenidae)(例えば、ハイエナ)、ネコ科(Felidae)(例えば、ネコ)、アシカ科(Otariidae)(例えば、アシカ、トド)、セイウチ科(Odobenidae)(例えば、セイウチ)およびアザラシ科(Phocidae)(例えばアザラシ)が含まれる。
ゾウ目には、ゾウ科(Elephantidae)(例えば、ゾウ)が含まれる。イワダヌキ目にはハイラックス科(Procaviidae)(例えば、ハイラックス)が含まれる。ジュゴン目には、ジュゴン科(Dugongidae)(例えば、ジュゴン)およびマナティー科(Trichechidae)(例えば、マナティー)が含まれる。ウマ目にはウマ科(Equidae)(例えば、ウマ、ロバ、シマウマ)、バク(Tapiridae)(例えば、バク)、およびサイ(Rhinocerotidae)(例えばサイ)が含まれる。ウシ目には、イノシシ科(Suidae)(例えば、ブタ、バビルサ)、ペッカリー(Tayassuidae)(例えば、ペッカリー)、カバ科(Hippopotamidae)(例えば、カバ)、ラクダ科(Camelidae)(例えば、ラクダ、ラマ、ビクーナ)、マメジカ科(Tragulidae)(例えば、マメジカ)、モスキダエ(Moschidae)(例えば、ジャコウジカ)、シカ科(Cervidae)(例えば、シカ、オオシカ、ムース)、キリン科(Giraffidae)(例えば、キリン、オカピ)、プロングホーン科(Antilocapridae)(例えば、プロングホーン)、およびウシ科(Bovidae)(例えば、ウシ、ヒツジ、カモシカ、ヤギ)が含まれる。
b.は虫類
特定の態様において、生物材料はは虫類である、またはは虫類に由来する。は虫類は、カメ目(Chelonia)、ヘビクビガメ亜目(Pleurodira)、トカゲ目(Squamata)、ムカシトカゲ目(Rhynchocephalia)、またはワニ目(Crocodylia)のは虫類であってもよい。カメ目のは虫類は、例えばスッポンモドキ科(Carettochelyidae)、カミツキガメ科(Chelydridae)(例えば、カミツキガメ)、ウシガメ科(Cheloniidae)(例えば、アオウシガメ、ミドリガメ)、デルマトミエス科(Dermatomydidae)(例えば、オサガメ)、エミス科(Emydidae)(例えば、ニシキガメ、ポンドスライダー(Pond Sliders)、イケガメ、ナメクジを食べるカメ(Snail-Eating Turtle)、アメリカハコガメ)、ドロガメ科(Kinosternidae)(例えば、ニオイガメ)、オオニオイガメ科(Saurotypidae)、リクガメ科(Testudinidae)(例えば、ガラパゴスカメ、サバクガメ、アルダブラカメ、スプタイドカメ(Spu-Thighed Tortoise)、ヘルマンカメ)、スッポン科(Trionychidae)(例えば、スッポン、スパイニーソフトシェル(Spiny Softshell))、またはオオクビガメ科(Platysternidae)であってもよい。ヘビクビガメ亜目のは虫類は、例えば、マタマタ(Chelidae)(例えば、ヘビクビガメ)、またはヘビクビガメ科(Pelomedusidae)(例えば、ヘルメット型カメ)であってもよい。
トカゲ目は、例えば、アガマ科(Agamidae)(例えば、ニジイロトカゲ、アゴヒゲトカゲ、インディアンブラッドサッカー(Indian Bloodsucker)、スパイニーテールドリザード(Spiny-Tailed Lizard))、カメレオン科(Chamaeleontdidae)(例えば、カメレオン)、イグアナ科(Iguanidae)(例えば、アノリ、バジリスク、エリマキトカゲ、イグアナ、ツノトカゲ、チャクワラ、ヨモギトカゲ、サイドブロッチドリザード(Side-Blotched Lizard))、ヤモリ科(Gekkonidae)(例えば、ヤモリ)、ピゴープス科(Pygopodidae)、テグートカゲ科(Teiidae)(例えば、ハシリトカゲ、テグートカゲ)、カナヘビ科(Lacertidae)(例えば、スナトカゲ、目玉模様のトカゲ、胎生トカゲ、イワカナヘビ、しっぽの長いトカゲ(Long-Tailed Lizard))、クサンツシア科(Xantuslidae)、トカゲ科(Scincidae)(例えば、スキンク)、ヨロイトカゲ科(Cordylidae)(例えば、サンゲイザー(Sungazer))、ディバムストカゲ科(Dibamidae)、ワニオトカゲ科(Xenosauridae)、アンギストカゲ科(Anguidae)(例えば、アシナガトカゲ、アリゲータートカゲ、シェルトプシク(Sheltopusik)、ガラストカゲ)、ドクトカゲ科(Helodermatidae)(例えば、アメリカドクトカゲ)、ランタノトゥス科(Lanthanotidae)、オオトカゲ科(Varanidae)(例えば、オオトカゲ)、ホソメクラヘビ科(Leptotyphlopidae)、メクラヘビ科(Typhlopidae)、カワリメクラヘビ科(Anomalepididae)、アニリウス科(Aniliidae)(例えば、パイプヘビ)、ウロペイチダエ(Uropeitidae)、サンビームヘビ(Xenopeltidae)、ボア科(Boidae)(例えば、ボア、アナコンダ、アフリカニシキヘビ)、ヤスリミズヘビ(Acrochordidae)(例えば、ヤスリミズヘビ)、ヘビ科(Colubridae)(例えば、マングローブスネーク、ムチヘビ、ヨーロッパナメラ、卵を食べるヘビ(Egg-Eating Snake)、ブームスラン、ラットスネーク、アイスクラーピウスヘビ、4本線のあるヘビ(Four-Lined Snake)、オリエンタルビューティースネーク(Oriental Beauty Snake)、テンタクルドスネーク(Tentacled Snake)、ハナダカヘビ、キングスネーク、モンペリエスネーク、ヨーロッパヤマカガシ、ミズヘビ、ガーターヘビ、ツウィグ(Twig)ヘビ、キールバックヘビ)、コブラ科(Elapidae)(例えば、デスアダー、アマガサヘビ、マンバ、サンゴヘビ、コブラ、コッパーヘッド、パフアダー)、クサリヘビ科(Viperidae)(例えば、クサリヘビ、ライト(right)アダー、ガラガラヘビ、ヒメガラガラヘビ、アダー)、ウミヘビ科(Hydrophiidae)(例えば、シーブレイト(Sea Brait))、アンフィスベーナ科(Amphisbaenidae)(例えば、ミミズトカゲ)、フタアシミミズトカゲ科(Bipedidae)、またはトロゴノフィダエ(Trogonophidae)(例えば、アナホリトカゲ)であってもよい。
ムカシトカゲ目のは虫類は、例えば、ムカシトカゲ科(Sphenodontidae)(例えば、ムカシトカゲ)であってもよい。ワニ目のは虫類は、例えばアリゲーター科(Alligatoridae)(例えば、アリゲーター、カイマン)、クロコダイル科(Crocodylidae)(例えば、クロコダイル)、またはガビアル科(Gavialidae)(例えば、ガビアル)であってもよい。
c.両生類
本発明の生物材料は両生類であってもよく、または両生類に由来してもよい。両生類は、例えばカエルまたはヒキガエルであってもよい。カエルまたはヒキガエルは、例えば、アースロレプチダエ(Arthroleptidae)(例えば、スクリーチングフロッグ(Screeching frog))、アスカフス科(Ascaphidae)(例えば、オガエル)、ブラキセファリダエ(Brachycephalidae)(例えば、ゴールドフロッグ(gold frog)およびシールドトード(shield toad))、ヒキガエル科(Bufonidae)(例えば、ヒキガエル)、アマガエルモドキ科(Centrolenidae)(例えば、グラスフロッグ(glass frog)およびリーフフロッグ(leaf frog))、デンドロバテス科(Dendrobatidae)(例えば、ポイズンダートフロッグ(poison-dart-frog))、スズガエル科(Discoglossidae)(例えば、ファイアベリードトード(fire-bellied toad))、ヘレオフィリニダエ(Heleophrynidae)(例えば、ゴーストフロッグ(ghost frog))、ヘミソチダエ(Hemisotidae)(例えば、シャベルノーズドフロッグ(shovel-nosed frog))、アマガエル科(Hylidae)(例えば、ニューワールドツリーフロッグ(New World tree frog))、ヒペロリイダエ(Hyperoliidae)(例えば、アフリカンツリーフロッグ(African tree frog))、レイオペルマチダエ(Leiopelmatidae)(例えば、ニュージーランドカエル)、ユビナガカエル科(Leptodactylidae)(例えば、新熱帯カエル)、メゴフィリダエ(Megophryidae)(例えば、南アジアカエル)、ヒメアマガエル科(Microhylidae)(例えば、ヒメアマガエル)、ミオバトラキダエ(Myobatrachidae)(例えば、オーストラリアカエル)、ペロバチダエ(Pelobatidae)(例えば、スキアシガエル)、ペロジチダエ(Pelodytidae)(例えば、パセリカエル)、ピパ科(Pipidae)(例えば、無舌類のカエル)、アベコベカエル科(Pseudidae)(例えば、パラドックスカエル)、アカガエル科(Ranidae)(例えば、水辺のカエル、真のカエル)、アオガエル科(Phacophoridae)(例えば、旧世界のtree frog)、ハナガエル科(Rhinodermatidae)(例えば、ダーウィンカエル)、メキシコジムグリガエル科(Rhinophrynidae)(例えば、ブロウイングトード(Burrowing toad))、スーグロシダエ(Sooglossidae)(例えば、セイシェルカエル)、具尾下綱(Caudata)(例えば、サンショウウオ)、またはアシナシイモリ科(Gymnophiona)(例えば、アシナシイモリ)であってもよい。
両生類はサンショウウオであってもよい。サンショウウオは、例えば、アンビストーマ科(Ambystomatidae)(例えば、モグラサンショウウオ)、アンフューマ科(Amphiumidae)(例えば、アンフューマ)、オオサンショウウオ科(Cryptobranchidae)(例えば、オオサンショウウオ、およびヘルベンダー)、ジカンプトドンチダエ(Dicamptodontidae)(例えば、太平洋オオサンショウウオ)、サンショウウオ科(Hynobiidae)(例えば、アジアサンショウウオ)、プレトドン科(Plethodontidae)(例えば、無肺サンショウウオ)、ホライモリ科(Proteidae)(例えば、マッドパピーおよびオオサンショウウオ)、リヤコトリトニダエ(Rhyacotritonidae)(例えば、キュウリュウサンショウウオ)、イモリ科(Salamandridae)(例えば、イモリおよびサンショウウオ)、またはシレン科(Sirenidae)(例えば、シレン)であってもよい。または両生類は、アシナシイモリであってもよい。アシナシイモリは、例えばアシナシイモリ科(Caeciliidae)(例えば、アシナシイモリ)、ヌメアシナシイモリ科(Ichthyophiidae)(例えば、アジアンテールド(Asiatic tailed)アシナシイモリ)、リナトレマチダエ(Rhinatrematidae)(例えば、新熱帯テールド(tailed)アシナシイモリ)、スコレコモルフィダエ(Scolecomorphidae)(例えば、アフリカアシナシイモリ)、チフロネクチダエ(Typhlonectidae)(例えば、水生アシナシイモリ)、またはウレオチフリダエ(Uraeotyphlidae)(例えば、インドアシナシイモリ)であってもよい。
d.鳥類
本発明の生物材料は鳥類であってもよく、または鳥類に由来してもよい。鳥類は、例えば、ガンカモ目(Anseriforme)(例えば、水鳥)、アマツバメ目(Apodiforme)(例えば、ハチドリおよびアマツバメ)、ヨタカ目(Caprimulgiforme)(例えば、ヨタカ)、チドリ目(Charadriiforme)(例えば、チドリ)、コウノトリ目(Ciconiiforme)(例えば、コウノトリ)、ネズミドリ目(Coliiforme)(例えば、ネズミドリ)、ハト目(Columbiforme)(例えば、ハト(dove)およびハト(pigeon))、ブッポウソウ目(Coraciiforme)(例えば、カワセミ)、ホウカンチョウ目(Craciforme)(例えば、カカラス(chacalacas)、ホウカンチョウ、シャクケイ、ツカツクリ)、ホトトギス目(Cuculiforme)(例えば、カッコー、ツメバケイ、エボシドリ)、タカ目(Falconiforme)(例えば、餌を求める昼行性のトリ)、キジ目(Galliforme)(例えば、ニワトリ様のトリ)、アビ目(Gaviiforme)(例えば、アビ)、ツル目(Gruiforme)(例えば、オオバン、ツル、クイナ)、スズメ目(Passeriforme)(例えば、スズメ)、ペリカン目(Pelecaniforme)(例えば、ペリカン)、フラミンゴ目(Phoenicopteriforme)(例えば、フラミンゴ)、キツツキ目(Piciforme)(例えば、キツツキ)、カイツブリ目(Podicipediforme)(例えば、カイツブリ)、ミズナギドリ科(Procellariiforme)(例えば、管鼻を持つ水鳥)、オウム目(Psittaciforme)(例えば、オウム)、ペンギン目(Sphenisciforme)(例えば、ペンギン)、フクロウ目(Strigiforme)(例えば、フクロウ)、ダチョウ目(Struthioniforme)(例えば、ヒクイドリ、エミュー、キーウィ、ダチョウ、レア)、シギダチョウ目(Tinamiforme)(例えば、シギダチョウ)、キヌバネドリ科(Trogoniforme)(例えば、キヌバネドリ)、またはミフウズラ目(Turniciforme)(例えば、ミフウズラ)であってもよい。
e.魚類
本発明の生物材料は、魚であってもよく、または魚に由来してもよい。魚は例えば、チョウザメ目(Acipenseriforme)(例えば、ヘラチョウザメ、スプーンフィッシュ、およびチョウザメ)、ポリプテルス目(Polypteriforme)(例えば、ビチャー、ビチャー、ロブドフィンドパイク(lobed-finned pike)、およびリードフィッシュ(reed fish))、トウゴロウイワシ目(Atheriniforme)(例えば、虹色の魚、およびトウゴロウイワシ)、ダツ目(Beloniforme)(例えば、サヨリおよびダツ)、キンメダイ目(Beryciforme)、タイワンドジョウ目(Channiforme)、メダカ目(Cyprinodontiforme)(例えば、タップミノー)、セミホウボウ目(Dactylopteriforme)(例えば、セミホウボウ)、トゲウオ目(Gasterosteiforme)(例えば、ヨウジウオおよびトゲウオ)、ボラ目(Mugiliforme)(例えば、ボラ)、ウミテング目(Pegasiforme)(例えば、タツノオトシゴ、およびウミテング)、スズキ目(Perciforme)(例えば、パーチ様魚)、カレイ目(Pleuronectiforme)(例えば、カレイ、ヒラメ、およびソール)、カサゴ目(Scorpaeniforme)(例えば、カサゴおよびカジカ)、ステファノベリシフォルム(Stephanoberyciforme)、タウナギ目(Synbrachiforme)(例えば、湿地ウナギ(swamp eel))、フグ目(Tetraodontiforme)(例えば、ハコフグ、モンガラカワハギ、カワハギ、フグ、モンガラカワハギ、およびハコフグ)、マトウダイ目(Zeiforme)(例えば、口の突き出た魚、ニシマトウダイ、マトウダイ)、アテリノモルファ(Atherinomorpha)、ニシン目(Clupeiforme)(例えば、アンチョビおよびニシン)、ヒメ目(Aulopiforme)、アルブリフォルム(Albuliforme)、ウナギ目(Anguilliforme)(例えば、ウナギ)、カライワシ目(Elopiforme)(例えば、ターポン)、ソコギス目(Notacanthiforme)(例えば、スパイニーイールおよびタピアフィッシュ(tapirfish))、フウセンウナギ目(Saccopharyngiforme)、アカマンボウ目(Lampridiforme)(例えば、アカマンボウおよびリボンフィッシュ)、カラシン目(Characiforme)(例えば、レポリン(leporin)およびピラニア)、コイ目(Cypriniforme)(例えば、ミノウ、サッカー、およびゼブラフィッシュ)、ネズミギス目(Gonorhynchiforme)(例えば、サバヒーおよびシェルイヤー(shellear))、ナギナタナマズ目(Gymnotiforme)、ナマズ目(Siluriforme)(例えば、ナマズ)、アフレドデルス目(Aphredoderiforme)(例えば、洞窟魚およびカイゾクスズキ)、バトラコイデス目(Batrachoidiforme)、タラ目(Gadiforme)(例えば、マダラおよびタラ)、ウバウオ目(Gobiesociforme)、アンコウ目(Lophiiforme)(例えば、アンコウ)、アシロ目(Ophidiiforme)、サケスズキ目(Percopsiforme)(例えば、サケスズキ)、ポリミキシホルム(Polymixiiforme)(例えば、ベアードフィッシュ)、クジラウオ目(Cetomimiforme)、クテノスリッサ目(Ctenothrissiforme)、カワカマス目(Esociforme)(例えば、ドロミノウおよびカワカマス)、キュウリウオ目(Osmeriforme)(例えば、ニギスおよびワカサギ)、サケ目(Salmoniforme)(例えば、サケ)、ハダカイワシ目(Myctophiforme)(例えば、ラターンフィッシュ(Latern Fish))、シャチフリ目(Ateleopodiforme)、ワニトカゲギス目(Stomiiforme)、アミア目(Amiiforme)(例えば、アミア)、セミオノタス目(Semionotiforme)(例えば、ガー)、ヨウジウオ目(Syngnathiforme)(例えば、ヨウジウオおよびウミウマ)、ケラトダス目(Ceratodontiforme)(例えば、オーストラリア肺魚)、レピドシレン目(Lepidosireniforme)(例えば南アメリカ肺魚およびアフリカ肺魚)、またはシーラカンス目(Coelacanthiforme)(例えば、シーラカンス)であってもよい。
f.無脊椎動物
本発明の生体材料は無脊椎動物であってもよく、または無脊椎動物に由来してもよい。無脊椎動物は例えば、海綿動物(Porifera)(例えば、海綿)、刺胞動物(Cnidaria)(例えば、クラゲ、ヒドラ、イソギンチャク、カツオノエボシ、およびサンゴ)、扁形動物(Platyhelminthe)(例えば、プラナリア、フルーク、および条虫を含む扁虫)、線虫(Nematoda)(例えば、輪虫を含む回虫、および線虫)、軟体動物(Mollusca)(例えば、軟体動物、マキガイ、ナメクジ、タコ、イカ)、環形動物(Annelida)(例えば、ミミズ、ヒル、およびmarine wormを含む条虫)、棘皮動物(Echinodermata)(例えば、ヒトデ、ナマコ、タコノマクラ、ウニ)、箒虫(Phoronida)(例えば、ホースシューワーム(Horseshoe Worm))、緩歩動物(Tardigrada)(例えば、緩歩類)、鉤頭動物(Acanthocephala)(例えば、鉤頭虫)、有櫛動物(Ctenophora)(例えば、有櫛動物)、または節足動物(Arthropod)(例えば、クモ、甲殻類、多足類、ムカデ、昆虫)であってもよい。
節足動物は、例えば、コウチュウ目(Coleoptera)(例えば、カブトムシ)、ハエ目(Diptera)(例えば、ハエ)、ハチ目(Hymenoptera)(例えば、アリ、ハチ、スズメバチ)、チョウ目(Lepidoptera)(例えば、チョウ、ガ)、シリアゲムシ目(Mecoptera)(例えば、シリアゲムシ)、ヘビトンボ亜目(Megaloptera)、アミメカゲロウ目(Neuroptera)(例えば、クサカゲロウおよび近縁種)、ノミ目(Siphonaptera)(例えば、ノミ)、ネジレバネ目(Strepsiptera)(寄生昆虫およびネジレバネ寄生虫)、トビケラ目(Trichoptera)(例えば、トビケラ)、シラミ目(Anoplura)(例えば、シラミ)、カメムシ目(Hemiptera)(例えば、バグおよびその近縁種)、ハジラミ目(Mallophaga)(例えば、ハジラミ)、チャタテムシ目(Psocoptera)(例えば、チャタテムシ)、アザミウマ目(Thysanoptera)(例えば、アザミウマ)、バッタ目(Orthoptera)(例えば、キリギリス、バッタ)、ハサミムシ目(Dermaptera)(例えば、ハサミムシ)、網翅類(Dictyoptera)、シロアリモドキ目(Embioptera)(例えば、シロアリモドキ)、ガロアムシ目(Grylloblattodea)、マントファスマトデア(Mantophasmatodea)(例えば、グラディエーター(Gladiator))、カワゲラ目(Plecoptera)(例えば、カワゲラ)、ジュズヒゲムシ目(Zoraptera)(例えば、ジュズヒゲムシ)、カゲロウ目(Ephemeroptera)(例えば、カゲロウ)、トンボ目(Odonata)(例えば、トンボおよびイトトンボ)、ナナフシ目(Phasmatoptera)(例えば、ナナフシ)、シミ目(Thysanura)(例えば、シミ)、アルケオグナタ(Archaeognatha)、トビムシ目(Collembora)(例えば、カワゲラおよびトビムシ)、ムカデ綱(Chilopoda)(例えば、ムカデ)、ヤスデ綱(Diplopoda)(例えば、ヤスデ)、エダヒゲムシ目(Pauropoda)(例えば、エダヒゲムシ、エダヒゲムシ、前性類)、コムカデ目(Symphyla)(例えば、偽ムカデおよびコムカデ)、軟甲類(Malacostraca)(例えば、カニ、クリール、ワラジムシ、エビ)、アゴアシ亜綱(Maxillopoda)、ミジンコ亜綱(Branchiopoda)(例えば、ミジンコ)、カシラエビ亜綱(Cephalocarida)、貝虫亜綱(Ostracoda)(例えば、貝虫類)、ムカデエビ亜綱(Remipedia)、エラオ下綱(Branchiura)、フジツボ目(Cirripedia)(例えば、バーナクル)、クモ類(Arachnida)(例えば、無鞭目、クモ、メクラグモ、メクラグモ、ミクロスコーピオン(microscorpion)、カニムシ、偽サソリ、カニムシ、サソリ、ヒタケムシ、サンスパイダー(sun spider)、およびウロピジド(uropygid)を含むクモ類)、節口類(Merostomata)(例えば、カブトガニ)、またはウミグモ(Pycnogonida)(例えば、ウミグモ)であってもよい。
g.真菌
本発明の生物材料は、真菌であってもよく、真菌に由来してもよい。真菌は、例えば、子嚢菌門(Ascomycota)(子嚢菌)、担子菌門(Basidiomycota)(ホウキタケ)、ツボカビ門(Chytridiomycota)(ツボカビ)、不完全菌門(Deuteromycota)、または接合菌門(Zygomycota)であってもよい。真菌は、クモノスカビ属(Rhizopus)、ミズタマカビ属(Pilobolus)、アルスルボトリー(Arthrobotry)、アスペルギルス属(Aspergillus)、カワリミズカビ属(Allomyces)、ツボカビ属(Chytridium)、ハラタケ属(Agaricus)、テングタケ属(Amanita)、フウセンタケ属(Cortinarius)、アカパンカビ属(Neurospora)、アミガサダケ属(Morchella)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ピチア属(Pichia)、カンジダ属(Candida)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、またはバッカク属(Ergot)であってもよい。特定の態様において、真菌は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンブ(Schizosaccharomyces pombe)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、またはピチア・パストリス(Pichia pastoris)であってもよい。
h.植物
本発明の生体材料は、植物または植物に由来してもよい。植物は、コケ植物門(Bryophyte)(例えば、コケ類、タイ類、ツノゴケ)、ヒカゲノカズラ綱(Lycophyte)(例えば、ヒカゲノカズラ、アスヒカズラ)、有節植物門(Sphenophyte)(例えば、トクサ)、シダ門(Pterophyte)(例えば、シダ)、ソテツ門(Cycadophyte)(例えば、ソテツ)、マオウ門(Gnetophyte)(例えば、グネツム、マオウ、ウェルウィチア)、球果植物門(Coniferophyte)(例えば、針葉樹)、イチョウ門(Ginkophyte)(例えば、イチョウ)、または被子植物門(Anthophyte)(例えば、顕花植物)であってもよい。被子植物は、単子葉類または双子葉類であってもよい。単子葉類の非制限的な例には、コムギ、トウモロコシ、ライ麦、コメ、ターフグラス、モロコシ、キビ、サトウキビ、ユリ、アイリス、リュウゼツラン、アロエ、ラン、アナナス、およびシュロが含まれる。双子葉植物の非制限的な例には、タバコ、トマト、ジャガイモ、ダイズ、ヒマワリ、アルファルファ、キャノーラ、バラ、シロイヌナズナ、コーヒー、柑橘類、豆類、アルファルファ、およびワタが含まれる。
i.原生植物
本発明の生物材料は、原生植物であってもよく、または原生植物に由来してもよい。原生植物は、紅色植物門(Rhodophyte)(例えば、紅藻)、褐藻綱(Phaeophyte)(例えば、褐藻、ケルプ)、緑藻植物門(Chlorophyte)(例えば、緑藻)、ミドリムシ植物(Euglenophyte)(例えば、ミドリムシ)、変形菌類(Myxomycot)(例えば、粘菌)、卵菌類(Oomycot)(例えば、水カビ、べと病菌、ジャガイモ胴枯れ病)、または珪藻綱(Bacillariophyte)(例えば、珪藻)であってもよい。
j.原核生物
本発明の特定の態様において、生物材料は、原核細胞であり、または原核細胞に由来する。特定の態様において、原核細胞は、古細菌(古細菌)である。古細菌は、例えばクレナーケオータ(Crenarchaeota)、ユーリアーケオータ(Euryarchaeota)、コラーケオータ(Korarchaeota)、またはナノアーケオータ(Nanoarchaeota)であってもよい。特定の態様において、ユーリアーケオータは、ハロバクテリア(Halobacteria)、メタノバクテリア(Methanobacteria)、メタノコッカス(Methanococci)、メタノミクロビア(Methanomicrobia)、メタノサルチナ(Methanosarcinae)、メタノピリ(Methanopyri)、アルケオグロビ(Archoglobi)、テルモプラズマ(Thermoplasmata)、またはテルモコッカス(Thermococci)である。古細菌の特異的な非制限的な例には、アエロピルム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)、メタノコッカス・ジャナシイ(Methanococcus jannaschii)、ハロバクテリウム・マリスモルツイ(Halobacterium marismortui)、およびテルモプラズマ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum)が含まれる。
特定の態様において、原核生物は、真正細菌である。真正細菌は、例えば、アクチノバクテリア(Actinobacteria)、アキフィカエ(Aquificae)、バクテリオイデステ(Bacteroidetes)、緑色硫黄細菌(Green sulfur bacteria)、クラミジア(Chlamydiae)、ベルコミクロビア(Verrucomicrobia)、クロロフレキシ(Chloroflexi)、クリシオゲネテス(Chrysiogenetes)、シアノバクテリア(Cyanobacteria)、デフェリバクター(Deferribacteres)、デイノコッカス・サームス(Deinococcus Thermus)、ジクチオグロミ(Dictyoglomi)、フィブロバクター/アシドバクテリア(Fibrobacteres/Acidobacteria)、ファーミキューテス(Firmicutes)、フソバクテリア(Fusobacteria)、ゲンマチモナデテス(Gemmatimonadetes)、ニトロスピラ(Nitrospirae)、オムニバクテリア(Omnibacteria)、プランクトミセテス(Planctomycetes)、プロテオバクテリア(Proteobacteria)、スピロヘータ(Spirochaetes)、サーモデスルホバクテリア(Thermodesulfobacteria)、またはサーモトガエ(Thermotogae)であってもよい。アクチノバクテリアの非制限的な例には、アクチノミセス属(Actinomyces)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、フランキア属(Frankia)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、ミクロモノスポラ属(Micromonospora)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、およびストレプトミセス属(Streptomyces)の細菌が含まれる。アクチノバクテリアの特定の例には、らい菌(Mycobacterium leprae)、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、トリ型結核菌(Mycobacterium avium)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、瘡プロピオニバクテリウム(Propionibacterium acnes)、およびロドコッカス・エクイ(Rhodococcus equi)が含まれる。
アキフィカエの非制限的な例には、アキフェクス(Aquifex)、ヒドロゲニビルガ(Hydrogenivirga)、ヒドロゲノバクター(Hydrogenobacter)、ヒドロゲノバクルム(Hydrogenobaculum)、サーモクリニス(Thermocrinis)、ヒドロゲノサームス(Hydrogenothermus)、ペルセフォネラ(Persephonella)、スルフリヒドロゲニビウム(Sulfurihydrogenibium)、バルネアリウム(Balnearium)、デスルフロバクテリウム(Desulfurobacterium)、およびサーモビブリオ(Thermovibrio)属の細菌が含まれる。ファーミキューテスの例には、桿菌(Bacilli)、クロストリジウム(Clostridia)、およびモレキューテス(Molecutes)属の細菌が含まれる。ファーミキューテスの特定の例には、リステリア・イノキュア(Listeria innocua)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、枯草菌(Bacillus subtilis)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、バシラス・スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、クロストリジウム・アセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、マイコプラズマ・ゲニタリウム(Mycoplasma genitalium)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、マイコプラズマ・プルモニス(Mycoplasma pulmonis)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、ミュータンス連鎖球菌(Streptococcus mutans)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、およびエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)が含まれる。
クラミジア/ベルコミクロビアの非制限的な例には、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)のような細菌が含まれる。デイノコッカス・サームスの非制限的な例は、デイノコッカス属(Deinococcus)およびサームス属(Thermus)の細菌が含まれる。
プロテオバクテリアはグラム陰性菌である。プロテオバクテリアの非制限的な例は、大腸菌(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、ビブリオ(Vibrio)、リケッチア(Rickettsia)、アグロバクテリウム(Agrobacteirum)、ブルセラ(Brucella)、リゾビウム(Rhizobium)、ナイセリア(Neisseria)、ボルデテラ(Bordetella)、ブルクホルデリ(Burkholderi)、ブクネラ(Buchnera)、エルシニア(Yersinia)、クレブシエラ(Klebsiella)、変形菌(Proteus)、赤痢菌(Shigella)、ヘモフィルス(Haemophilus)、パスツレラ(Pasteurella)、アクチノバシラス(Actinobacillus)、レジオネラ(Legionella)、マンヘイミア(Mannheimia)、コクシエラ(Coxiella)、エアロモナス(Aeromonas)、フランシセラ(Francisella)、モラキセラ(Moraxella)、シュードモナス(Pseudomonas)、カンピロバクター(Campylobacter)、およびヘリコバクター(Helicobacter)属の細菌が含まれる。プロテオバクテリアの特定の例には、丘疹熱リケッチア(Rickettsia conorii)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekki)、発疹熱リケッチア(Rickettsia typhi)、エールリッヒア・ボビス(Ehrlichia bovis)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、リゾビウム・リゾゲネス(Rhizobium rhizogenes)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、パラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ブルクホルデリ・マレイ(Burkholderi mallei)、ブルクホルデリ・シュードマレイ(Burkholderi pseudomallei)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ペスト菌(Yersinia pestis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)、ゾンネ菌(Shigella sonnei)、志賀赤痢菌(Shigella dysenterica)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、アクチノバチルス・プルロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)、ヘモフィルス・ソムヌス(Haemophilus somnus)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、マンヘイミア・ヘモリチカ(Mannheimia haemolytica)、ビブリオコレラ(Vibrio cholerae)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)、Q熱リケッチア(Coxiella burnetii)、アエロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、アエロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida)、野兎病菌(Francisella tularesis)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、およびヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobacter pylori)が含まれる。
スピロヘータの非制限的な例には、ブラキスピラセア科(Brachyspiraceae)、レプトスピラ科(Leptospiraceae)、およびスピロヘータ科(Spirochaetaceae)の細菌が含まれる。スピロヘータの特定の例には、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)が含まれる。
2.異なるタイプの生体物質
本発明の方法および装置は、生物に適用することができる。生物のスタシスを誘導することができる、または生物の細胞、組織、および/または臓器においてスタシスを誘導することができる。本発明の方法および装置に関して用いることが企図されるスタシスを誘導することができる生体物質は、酸素を利用してエネルギーを産生する細胞を含む場合に限って限定される。
スタシスは、以下を含む細胞、組織、または臓器において誘導することができる:心臓、肺、腎臓、肝臓、骨髄、膵臓、皮膚、骨、静脈、動脈、角膜、血液、小腸、大腸、脳、脊髄、平滑筋、骨格筋、卵巣、精巣、子宮、および臍帯。
その上、スタシスは、以下の種類の細胞において誘導することができる:血小板、骨髄球、赤血球、リンパ球、脂肪細胞、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、内分泌細胞、グリア細胞、ニューロン、分泌細胞、障壁機能細胞、収縮細胞、吸収細胞、粘膜細胞、輪部細胞(角膜の)、幹細胞(全能性、多能性、または多能性)、非受精または受精卵母細胞、または精子。
その上、スタシスは、果物、花、葉、茎、種子、挿し木を含む植物または植物の一部において誘導することができる。植物は農業用、医薬用、または鑑賞用となりうる。植物におけるスタシスの誘導は、植物全体または一部の半減期、または病原体抵抗性を増強する可能性がある。
本発明の方法および装置は、インビボ生体物質においてスタシスを誘導するために用いることができる。これは、生体物質もしくは生物自身を保護および/または保存するために、またはそれらもしくは生物全身に対する障害もしくは損傷(またはさらなる障害もしくは損傷)を予防するために役立ちうる。
3.アッセイ
スタシスは、生体試料によって消費される酸素量、試料によって産生される二酸化炭素の量(細胞呼吸の間接的な測定)を定量すること、または運動性の特徴を調べることを含む、多様な方法で測定することができる。
酸素消費速度または二酸化炭素産生速度を決定するために、二つの開口部;ガスの流入口と流出口を有する密封されたチャンバーに生体物質を入れる。チャンバーの気圧を約1気圧に維持するように、ガス(室内の空気または他のガス)を所定の流速でチャンバーの中から出口へと通過させる。チャンバーに対する曝露の前後に、ガスを二酸化炭素検出器および/または酸素検出器の中に通過させて、ガス混合物における各化合物の量を(毎秒)測定する。これらの値の経時的な比較によって、酸素消費または二酸化炭素産生速度が得られる。
II.酸素アンタゴニスト
酸素代謝は好気性後生動物の生命にとって根本的な要求である。好気性呼吸量は、ほとんどの動物におけるエネルギー産生の大部分を占め、同様に、重要な細胞反応を行うために必要な還元能を維持するために役立つ。低酸素症では、酸素利用率の減少によって、電子輸送鎖の最終段階における分子酸素に対する電子の不十分な転移が起こる。この無効性によって、主に、複合体IIIでの電子の未成熟な放出およびチトクロームcオキシダーゼによるO2 -の形成により、好気性エネルギー産生の減少および損傷性のフリーラジカルの産生の増加の双方が起こる(Semenza, 1999)。限定されたエネルギー供給およびフリーラジカル障害は、タンパク質合成および膜の極性の維持のような本質的な細胞プロセスを妨害することがあり(Hochachkaら、1996)、最終的に細胞死に至る。
A.一酸化炭素
一酸化炭素(CO)は、ヒトを含む動物に対して毒性となりうる無色無臭の味のないガスである。疾病予防センターによれば、450人を超える人々が毎年、知らず知らずのあいだに一酸化炭素のために死亡している。
一酸化炭素は、その血液がその生存を維持するために酸素を輸送する生物に対して毒性となりうる。一酸化炭素は、通常の呼吸を通して肺に入り、血流からの酸素を置換することによって、有毒となりうる。正常な酸素供給が中断されると、心臓、脳の機能、および生体の他の生命維持に必須の機能を危険に曝す。しかし、医療的応用のための一酸化炭素の使用が、調査されている(Ryter et al., 2004)。
約50 ppmの量での一酸化炭素は、それに曝露されるヒトに対して症状を示さない。しかし、200 ppmでは2〜3時間以内に、一酸化炭素は軽度の頭痛を生じる;400 ppmでは1〜2時間以内に、前頭の頭痛を引き起こし、これは3時間以内に広範となる可能性がある;および800 ppmでは、これは45分以内にめまい、悪心、および/または痙攣を引き起こし、2時間以内に被験者は不感性となりうる。約1000 ppmのレベルでは、生物は、約1〜2分より多い曝露後に死亡しうる。
生物に対する一酸化炭素の周知のおよび十分に報告された毒性作用のために、このように、一酸化炭素が、スタシスを誘導するために用いることができることおよび/または生きた生物試料を保存するために役立つことは意外であり、予想外である。このように、一酸化炭素は、血液を含まない生体物質のような単離された生体物質においてスタシスを誘導するために用いることができると企図される(これはスタシスの誘導に関係する経路とは異なる経路である、一酸化炭素がヘモグロビンに関して有する作用のために)。
スタシスを誘導するために、またはスタシス誘導物質によって引き起こされた任意の損傷を制限もしくは防止するための一酸化炭素に対する曝露の他に、本発明は、一酸化炭素を、生物材料の保存および/または移植/移植プロセスを補助する物質または方法と併用して用いてもよいと企図する。
B.カルコゲナイド化合物
酸化物を除く周期表の6族の元素のようなカルコゲン元素を含む化合物は、一般的に「カルコゲナイド」、または「カルコゲナイド化合物」と呼ばれる(本明細書において互換的に用いられる)。これらの元素は硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、およびポロニウム(Po)である。一般的なカルコゲナイドは、他の元素の他にS、Se、およびTeの一つまたはそれ以上を含む。カルコゲナイド化合物は還元剤として用いることができる。
本発明者らは、以下の理論に拘束されることなく、カルコゲナイドが細胞においてスタシスを誘導できること、および動物において中心体温の調節を行うことができることは、チトクロームオキシダーゼに対するこれらの分子の結合に由来すると考えている。そのように行うために、カルコゲナイド化合物が自律的な体温調節を遮断できること、すなわち「温血動物」の中心体温を、環境温度の制御を通して操作できることは、先に記述した同じメカニズム−チトクロームオキシダーゼに対する結合、および酸化的燐酸化の活性の遮断または減少に由来すると考えている。カルコゲナイドは、ガス様型と共に液体状で提供されてもよい。
カルコゲナイドは、哺乳類に対して毒性となりうる、および何らかのレベルで致死的となりうる。本発明に従って、カルコゲナイドレベルは適当な環境において致死レベルを超えてはならないと予想される。カルコゲナイドの致死レベルは、例えばそれぞれのカルコゲナイドに関する材料安全性データシート、または米国政府の職業安全健康局(OSHA)から入手可能な情報シートにおいて認められる可能性がある。
一酸化炭素およびカルコゲナイド化合物は酸素アンタゴニストとして作用することによってスタシスを誘導できるが、それらはスタシスの誘導能とは異なる毒性作用を有する。その上、スタシス作用を媒介するために必要な濃度は、チトクロームオキシダーゼの異なる親和性のために異なる。酸素に対するチトクロームオキシダーゼの親和性は、一酸化炭素と比較して約1:1であるが、H2Sに関する親和性は、酸素の場合と比較して約300:1の次数で表れる。これは、スタシス誘導濃度で認められる毒性作用に影響を及ぼす。このように、カルコゲナイド化合物は、生物全体における生体物質および生物全体のスタシスを誘導するために特に適していると企図される。
同様に、カルコゲナイドを除去する前に、生体物質に対してさらなる刺激を提供することが有用となることが判明する可能性がある。特に、カルコゲナイド源を除去する前に上昇した室温に動物を供する必要があると想像される。
1.H2S
硫化水素(H2S)は、石油化学および天然ガス、下水、製紙パルプ、革なめし、および食品加工にしばしば関連するおそらく毒性のガスである。細胞レベルでの主な作用は、チトクロームオキシダーゼおよび他の酸化酵素の阻害であり、それによって細胞低酸素症が起こるように思われる。極端なレベル(500 ppm)の曝露の結果、突然の虚脱および無意識、いわゆる「ノックダウン」作用が起こり、その後回復する。曝露後の作用は数年持続することがあり、これには、協調の喪失、記憶喪失、運動機能障害、人格の変化、幻覚、および不眠が含まれる。
しかし、H2Sとのほとんどの接触は、そのような急性の毒性レベル未満で十分に起こる。それにもかかわらず、亜急性レベルで長期間接触することに対しては一般的な懸念がある。平衡感覚および記憶の持続的な障害を示す報告がいくつかあると共に、慢性的な低レベルのH2S曝露後にヒトにおいて知覚運動機能の変化が起こる可能性がある。KilburnおよびWarshaw(1995);Kilburn(1999)。他の研究者は、ラットに低い(20または50 ppm)のH2Sを妊娠後から生後21日まで1日7時間持続的に曝露すると、小脳のプルキンエ細胞のaborizationの減少を伴ってより長い樹状細胞分岐が起こることを報告した。比較的低レベルのH2Sに関連した他の神経学的欠損には、脳神経伝達物質濃度の変化および海馬θEEG活性の増加のような変化した神経反応が含まれる。
H2Sの中等度のレベルに曝露したラットにおいて、行動学的毒性を調べた。結果から、H2Sが曝露終了直後に区別できる回避反応を阻害すること(Higuchi and Fukamachi, 1997)、および同様にラットが餌のある放射状の迷路作業を学習する能力を妨害すること(Partloら、2001)が示された。80 ppm H2Sを用いたもう一つの出生前後の試験において、曝露したラット仔において神経病理学的作用または変化した運動活性、受動回避、または聴性驚愕反応を認めなかった。Dormanら(2000)。最後に、Struveら(2001)は、様々なレベルのH2Sガスを1日3時間5日間連続してラットに曝露した。80 ppmまたはそれより高いH2Sの曝露後に、運動活性、水迷路成績および体温の有意な減少を認めた。併せて考慮すると、これらの報告は、H2Sが、哺乳類組織の生化学に対して様々な作用を有しうるが、行動に関する反応には明確なパターンを示さないことを示している。
本発明に従って用いることが企図される硫化水素の典型的なレベルには、約1〜約150 ppm、約10〜約140 ppm、約20〜約130 ppm、および約40〜約120 ppmの値、またはその同等の経口、静脈内、または経皮投与量が含まれる。他の関連する範囲には、約10〜約80 ppm、約20〜約80 ppm、約10〜約70 ppm、約20〜約70 ppm、約20〜約60 ppm、および約30〜約60 ppm、またはその同等の経口、静脈内、または経皮投与量が含まれる。所定の動物に関して、所定の期間、被験者におけるカルコゲナイドのおそらく致死的な増強を回避するために、カルコゲナイド大気を減少させなければならないと同様に企図される。例えば、80 ppmの初回環境濃度を30分後に60 ppmに減少してもよく、その後1時間(40 ppm)および2時間(20 ppm)でさらに減少してもよい。
2.H2Se、H2Te、およびH2Po
セレン化水素(H2Se)は、チオールおよびNADPH依存的レダクターゼによる還元を通してセレノジグルタチオン(GSSeSG)によって無機セレン化ナトリウム(酸化状態+4)から形成され、リアーゼ作用によってセレノシステインから放出される重要な代謝物である(Ganther, 1999)。セレン化水素は、セレノホスフェートへの活性化後セレノプロテインの合成のためのSeを提供する。
テルル化水素(H2Te)は、不安定な気体として存在する。
3.その他のカルコゲナイド
特定の態様において、還元物質構造化合物は、メチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルスルフィド(DMS)、メチルメルカプタン(CH3SH)、メルカプトエタノール、チオシアネート、シアン化水素、メタンチオール(MeSH)またはCS2である。特定の態様において、酸素アンタゴニストは、CS2、MeSH、またはDMSである。これらの分子の大きさの次数の化合物が特に企図される(すなわち、その分子量の約50%以内)。
スタシスを誘導するために有用であると想像されるさらなる化合物には、その多くが容易に入手可能であって当業者に公知である以下の構造(CAS番号によって識別される)が含まれるがこれらに限定されない:104376-79-6(セフトリアキソンナトリウム塩);105879-42-3;1094-08-2(塩酸エトプロパチン);1098-60-8(塩酸トリフルプロマジン);111974-72-2;113-59-7;113-98-4(ペニシリンG K+);115-55-9;1179-69-7;118292-40-3;119478-56-7;120138-50-3;121123-17-9;121249-14-7;1229-35-2;1240-15-9;1257-78-9(プロクロロペラジンエジシレート塩);128345-62-0;130-61-0(塩酸チオリダン);132-98-9(ペニシリンV K+);13412-64-1(ジクロキサシリンNa+水和物);134678-17-4;144604-00-2;146-54-3;146-54-5(2塩酸フルフェナジン);151767-02-1;159989-65-8;16960-16-0(副腎皮質刺激ホルモン断片1-24);1982-37-2;21462-39-5(塩酸クリンダマイシン);22189-31-7;22202-75-1;23288-49-5(プロブコール);23325-78-2;24356-60-3(セファピリン);24729-96-2(クリンダマイシン);25507-04-4;26605-69-6;27164-46-1(セファゾリンNa+);2746-81-8;29560-58-8;2975-34-0;32672-69-8(メソリダジンベンゼンスルホネート);32887-01-7;33286-22-5((+)-塩酸シスジルチアゼム);33564-30-6(セフォキシチンNa+);346-18-9;3485-14-1;3511-16-8;37091-65-9(アゾシリンNa+);37661-08-8;3819-00-9;38821-53-3(セフラジン);41372-02-5;42540-40-9(セファマンドールナフェート);4330-99-8(トリメプラジンヘミ-(+)-酒石酸塩);440-17-5 2塩酸トリフルオペラジン;4697-14-7(チカルシリン2 Na+);4800-94-6(カルベニシリン2 Na+);50-52-2;50-53-3;5002-47-1;51481-61-9(シメチジン);52239-63-1(6-プロピル-2-チオウラシル);53-60-1(塩酸プロマジン);5321-32-4;54965-21-8(アルベンダゾール);5591-45-7(チオチキセン);56238-63-2(セフロキシムNa+);56796-39-5(セフメタゾールNa+);5714-00-1;58-33-3(塩酸プロメタジン);58-38-8;58-39-9(ペルフェナジン);58-71-9(セファロチンNa+);59703-84-3(ピペラシリンNa+);60-99-1(マレイン酸メトトリメプラジン);60925-61-3;61270-78-8;6130-64-9(ペニシリンGプロカイン塩水和物);61318-91-0(硝酸スルコナゾール);61336-70-7(アモキシシリン三水和物);62893-20-3(セフォペラゾンNa+):64485-93-4(セフォタキシムNa+);64544-07-6;64872-77-1;64953-12-4(モキサラクタムNa+);66104-23-2(ペルゴリドメシレート);66309-69-1;66357-59-3(塩酸ラニチジン);66592-87-8(セフォドロキシル);68401-82-1;69-09-0(塩酸クロルプロマジン);69-52-3(アンピシリンNa+);69-53-4(アンピシリン);69-57-8(ペニシリンG Na+);70059-30-2;70356-03-5;7081-40-5;7081-44-9(クロキサシリンNa+ H2O);7177-50-6(ナフシリンNa+ H2O);7179-49-9;7240-38-2(オキサシリンNa H2O);7246-14-2;74356-00-6;74431-23-5;74849-93-7;75738-58-8;76824-35-6(ファモチジン);76963-41-2;79350-37-1;81129-83-1;84-02-6(プロクロルペラジン二マレイン酸塩);87-08-1(フェノキシメチルペニシリン酸);87239-81-4;91-33-8(ベンズサイアザイド);91832-40-5;94841-17-5;99294-94-7;154-42-7(6-チオグアニン);36735-22-5;536-33-4(エチオナミド);52-67-5(D-ペニシラミン);304-55-2(メソ-2,3-ジメルカプトコハク酸);59-52-9(2,3-ジメルカプト+プロパノール);6112-76-1(6-メルカプトプリン);616-91-1(N-アセチル-L-システイン);62571-86-2(カプトプリル);52-01-7(スピロノラクトン);および80474-14-2(プロピオン酸フルチカゾン)。
D.その他のアンタゴニスト
1.低酸素症および無酸素症
低酸素症は一般的な自然のストレスであり、低酸素環境に対する細胞の適応を促進するいくつかの十分に保存された反応が存在する。低酸素症における好気的エネルギー産生能の減少を代償するために、細胞は、嫌気的エネルギー産生を増加させるか、またはエネルギー需要を減少させなければならない(Hochachkaら、1996)。これらの反応の双方の例は、後生動物において一般的であり、用いられる特定の反応は、一般的に細胞にとって利用可能な酸素量に依存する。
軽度の低酸素症において、酸化的燐酸化はなおも部分的に活性であり、何らかの好気的エネルギー産生が可能である。低酸素症誘導転写因子HIF-1によって部分的に媒介されるこの状況に対する細胞反応は、糖分解酵素およびブドウ糖輸送体のような、嫌気性エネルギー産生に関係する遺伝子をアップレギュレートすることによって、好気性エネルギー産生の減少を補足することである(Semenza, 2001;Guilleminら、1997)。この反応はまた、フリーラジカルによる損傷から保護する、カチラーゼ(catylase)およびスーパーオキシドジスムターゼのような抗酸化剤のアップレギュレーションを促進する。その結果として、細胞は、軽度の低酸素症においてほぼ通常の活性レベルを維持することができる。
本明細書においてO2が<0.001 kPaとして定義される「無酸素症」と呼ばれる極端な型の低酸素症では、酸化的燐酸化は休止して、このように、エネルギー産生能は劇的に減少する。この環境を生存するために、細胞は、細胞活性を減少させることによってエネルギー需要を減少させなければならない(Hochachkaら、2001)。例えば、酸素を枯渇したカメの肝細胞において、タンパク質合成、イオンチャンネル活性、および同化経路のような活性を制限するために細胞によって行われる定方向の努力によって、ATP必要量は94%減少する(Hochachkaら、1996)。ゼブラフィッシュ(Danio rerio)の胚では、無酸素に対する曝露によって、心拍、運動、細胞周期進行、および発達の進行は完全に停止する(Padillaら、2001)。同様に、C.エレガンスは、仮死状態に入ることによって無酸素に対して反応し、この場合、細胞分裂および発達の進行を含む認められうる全ての運動は休止する(Padillaら、2002;Van Voorhiesら、2000)。C.エレガンスは24時間またはそれ以上仮死状態に留まりうるが、酸素正常状態に戻ると、高い生存率で回復するであろう。この反応によって、C.エレガンスは、エネルギー的に代償の高いプロセスの割合を減少させて、障害、すなわち異数性のような取り返しのつかない事象の発生を予防することによって、低酸素ストレスを生き延びることができる(Padillaら、2002;Nystulら、2003)。
最近発見された反応は、ヘムオキシゲナーゼ-1による一酸化炭素の低酸素による産生である(Dulakら、2003)。内因性に産生された一酸化炭素は、抗アポトーシス(Brouardら、2003)および抗炎症(Otterbeinら、2000)活性を通して低酸素による損傷を緩和するシグナル伝達カスケードを活性化することができ、類似の細胞保護作用は、外因性の一酸化炭素の潅流によって移植モデルにおいて得ることができる(Otterbeinら、2003;Amersiら、2002)。より高い濃度では、一酸化炭素は、ミトコンドリアチトクロームおよびヘモグロビンのような鉄含有タンパク質に結合するために酸素と競合する(Gormanら、2003)が、この活性が低酸素状態において有する細胞保護作用は調べられていなかった。
低酸素症の損傷に対するこれらの洗練された防御メカニズムの存在にもかかわらず、低酸素症はなおもしばしば障害性のストレスである。例えば、哺乳類はヘムオキシゲナーゼ-1およびHIF-1の双方を有し、いくつかの証拠から、仮死状態が哺乳類においても可能であることが示唆されている(Bellamyら、1996;Alamら、2002)。しかし、心臓発作、卒中、または血液の喪失のような外傷による低酸素障害は、主要な死因である。低酸素症ストレス、残っている活気または仮死状態を生存するための二つの根本的な戦略の限界を理解することは、これが多様な条件下の多様な系における研究に基づいているという事実のために進んでいない。
「低酸素症」は、酸素の正常な生理学的レベルが細胞または組織に供給されない場合に起こる。「酸素正常状態」は、調べる特定の細胞タイプ、細胞状態、または組織に関して正常な生理的レベルの酸素を指す。「無酸素症」は酸素が存在しないことである。「低酸素状態」は、細胞低酸素症に至る状態である。これらの条件は細胞状態、組織または臓器内の細胞の特定の構築、または位置と共に、細胞の代謝状態に依存する。本発明の目的に関して、低酸素状態には、酸素濃度が正常な大気の状態であるか、またはそれ未満である状態、すなわち20.8、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0%未満である状態が含まれる;またはこれらの数値は、大気圧1気圧(101.3 kPa)での大気の百分率を表しうる。ゼロパーセントでの酸素濃度は無酸素条件を定義する。このように、低酸素状態には、無酸素状態が含まれるが、いくつかの態様において、0.5%以上の低酸素状態が実行される。本明細書において用いられるように、「酸素正常(normoxic)条件」とは、約20.8%、またはそれより高い酸素濃度を構成する。
低酸素症または無酸素症を得るための標準的な方法は、十分に確立されており、チャンバーから酸素を除去する場合に化学触媒に依存する環境的チャンバーを用いることが含まれる。そのようなチャンバーは、例えば、BD Diagnostic Systems(Sparks, MD)からGASPAK使い捨て水素+二酸化炭素エンベロープ、またはBIO-BAG環境チャンバーとして市販されている。または、酸素は、チャンバー内の空気を、窒素のような非酸素ガスに交換することによって枯渇してもよい。酸素濃度は例えば、FYRITE酸素アナライザー(Bacharach, Pittsburgh, PA)を用いて決定してもよい。
本発明の方法は、酸素アンタゴニストに対する曝露と、室内の空気と比較した酸素濃度の変化との組み合わせを用いることができる。その上、生体物質を含む環境の酸素濃度は約、少なくとも約、多くて約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%または100%、またはそこから誘導可能な任意の範囲となりうる。その上、濃度の変化は、室内の空気または制御された環境と比較した減少または増加に関して、上記の任意の百分率または範囲となりうる。
III.処置的または保護的応用
A.外傷
特定の態様において、本発明は、外傷を受けている、または外傷に対して感受性がある患者の処置において用いられる可能性がある。外傷は、火傷、創傷、切断、銃創、もしくは外科的外傷のような外部損傷、循環の急性の減少が起こる卒中もしくは心臓発作のような内部損傷、または低温もしくは放射線に対する曝露のような非侵襲性ストレスによる循環の減少によって引き起こされる可能性がある。細胞レベルでは、外傷によってしばしば、低酸素症に対する細胞、組織、および/または臓器の曝露が起こり、それによってプログラムされた細胞死、または「アポトーシス」の誘導が起こる。全身的に、外傷によって、凝固、炎症、低血圧症のような一連の生化学的プロセスの誘導が起こり、持続すれば臓器の機能障害、非可逆的な細胞損傷および死に至る可能性があるショックを生じる可能性がある。生物学的プロセスは、外傷による損傷に対して体を防御するように設計される;しかし、それらによって、有害であることが判明する一連の事象が起こる可能性があり、場合によっては致死的となる可能性がある。
したがって、本発明は、外傷の有害な作用からそれらを保護する方法のような、組織、臓器、脚および生物全身でさえスタシス状態にすることを企図する。医学的注意が容易に得られない特定のシナリオでは、インビボまたはエクスビボでスタシスを誘導することにより、または組織、臓器、もしくは生物の温度の低下と併用して、被験者に対する医学的注意を払うことによって、医学的注意を払って被験者を輸送することによって、被験者に関して「時間を稼ぐ」ことができる。本発明はまた、創傷治癒および組織再生の遅れを引き起こす可能性がある生物プロセスの予防/遅延によって、組織再生および創傷治癒を誘導する方法を企図する。この状況において、脚または生物に対して実質的な創傷があるシナリオにおいて、インビボまたはエクスビボでのスタシスの誘導は、または組織、臓器、もしくは生物の温度の低下と共に、治癒および再生を阻害する生物学的プロセスを管理することによって、創傷治癒および組織再生プロセスにおいて役立ちうる。
下記の創傷治癒および出血性ショックの他に、本発明の方法は、心停止または卒中のような外傷を予防または処置するために行うことができる。本発明は特に、開胸術、開腹術、および脾臓離断のような緊急の外科的技法による外傷のリスクに関して特に重要性を有する。
1.創傷治癒
多くの場合において、創傷および組織損傷は、難治性であるか、または治癒するまでにかなりの時間を要する。例は、慢性的な開口損傷(糖尿病性足潰瘍および3期&4期圧迫潰瘍)、急性および外傷性創傷、皮弁および移植片、ならびに亜急性創傷(すなわち裂開)である。これはまた、他の組織損傷、例えば火傷および喫煙/熱い空気の吸入による肺損傷に適用される可能性がある。
これまでの実験から、冬眠が損傷に対して保護的であることが示されており(すなわち、脳におけるピン)、したがって治癒作用を有する可能性がある。その結果、この技術は、組織をより代謝的に制御された環境に置くことによって、創傷治癒プロセスの制御において有用となる可能性がある。より詳しく述べると、細胞または組織がスタシスにおいて維持される期間は、損傷に応じて変化しうる。本発明のいくつかの態様において、生体物質は酸素アンタゴニストに約、少なくとも約、または多くて約30秒、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1、2、3、4、5、6、7日、1、2、3、4、5週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月またはそれ以上のあいだ曝露される。
2.血液性ショック(出血性ショック)
これは、生命にとって必須の臓器の適切な潅流を維持するための循環系の不全を特徴とする血液障害および代謝障害の病態である。これは、不適切な血液量(低血液量ショック)、不適切な心機能(心原性ショック)、または不適切な血管運動緊張(神経原性ショック、敗血症ショック)に起因する可能性がある。これによってしばしば患者の急速な死亡が起こる。
全身の冬眠をマウスにおいて誘導したところ、全体的な代謝状態の即時的な低下が起こった(CO2放出によって測定)。これは可逆的であり、マウスは繰り返し曝露後であっても正常に機能するように思われる。したがって、本発明は、患者の生命にとって必須の臓器および生命を保存するために、H2S(または他の酸素アンタゴニスト)を用いて全身の冬眠状態を誘導することに関する。これによって、ショックの最初の原因に対処することができる制御された環境(例えば、手術)に輸送することができ、その後患者を制御された方法で正常機能に戻すことができるであろう。この適応に関して、「ゴールデンアワー」と呼ばれる損傷後の最初の1時間は、転帰の成功にとって重要である。この期間のあいだに患者を安定化すること、および損傷に適切に対処することができる重要な治療施設(例えば、救急救命室、手術室等)への輸送は、主要な目標である。このように、これを可能にするため、ならびにショック原のような即時的懸念に対処する、血液損失を補給する、および恒常性を再確立するために患者をスタシスに維持することは理想的であろう。これは、有意に変化するが、ほとんどの場合、スタシスが維持される時間は、損傷後約6〜約72時間である。本発明のいくつかの態様において、生体物質は酸素アンタゴニストに約、少なくとも約、または多くて約30秒、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1、2、3、4、5、6、7日またはそれ以上、およびその任意の範囲または組み合わせの期間、曝露される。
B.低体温症
さらにもう一つの態様において、本発明者らは、極端な低体温症の人を処置するために本発明を用いることを提唱する。方法は、極端な低体温症の患者に酸素アンタゴニストを投与する、または酸素アンタゴニストを曝露した後、制御された方法で酸素アンタゴニストを回収しながら正常体温に徐々に回復させることを提供する。このようにして、酸素アンタゴニストは、被験者にショック(または害)を与えることなく徐々に開始されるように、被験者内の生体系の緩衝剤として作用する。
一つの態様において、低体温症を有する被験者に、酸素アンタゴニストの静脈内または経口用量を投与する。被験者が反応しない可能性があること、および長期間で制御された用量を提供できることから、静脈内に提供することが好ましいであろう。または、利用可能であれば、酸素アンタゴニストは、例えば吸入のためのマスク、または被験者の全身を収容できる密封容器を用いて、ガス様状態で提供してもよい。
理想的には、任意の変化を行う前に、患者を心拍数、呼吸数、および体温に関して安定化させる。安定すれば、周囲の環境温度を再度徐々に増加させる。これは低体温条件から被験者を除去することによって単に行ってもよい。より調節された体温の増加は、布またはブランケットの連続した層を加えることによって、熱を徐々に増加させる温熱ラップを用いることによって、または可能であれば被験者の体温が徐々に増加する可能性があるチャンバーに被験者を入れることによって行ってもよい。
体温の増加する期間のあいだ、被験者のバイタルサインをモニタリングすることが好ましい。同様に、体温の増加とと共に、酸素アンタゴニストを被験者の環境から除去する。熱および酸素アンタゴニストの処置は、状況をモニタリングする医師によって判断して適当なエンドポイントで中止するが、いずれにせよ、被験者の体温およびその他のバイタルサインが正常範囲に戻った時点で中止する。処置中止後の継続的なモニタリングが少なくとも24時間のあいだ推奨される。
C.高体温症
遺伝的、感染症、薬物、または環境的原因に起因しうる特定の条件において、患者は恒常的体温調節を失って重度の制御不能な熱(高体温症)が起こることがある。これによって、適切に制御しなければ、死亡または長期の罹患、特に脳の損傷が起こりうる。
H2S 80 ppmを吸入したマウスは直ちに冬眠に入った。これには、周囲の温度が室温より低く低下した場合にその体温を調節できないことが含まれた。したがって、この技術は、高体温症の特定の状態において全身の体温を制御するために用いることができるであろう。これはおそらく冬眠状態を誘導するために、吸入によってH2S(または他の酸素アンタゴニスト)を投与すること、または血液供給にH2Sを灌流することを含む。約6〜約24時間のあいだ、患者をスタシス状態にすることは有用となり、そのあいだに発熱源に対処することができる。本発明のいくつかの態様において、患者は酸素アンタゴニストに、約、少なくとも約、または多くて約30秒、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1、2、3、4、5、6、7日またはそれ以上、およびその任意の範囲または組み合わせの期間、曝露される。
これは、いくつかの全身体温調節(氷浴/ブランケット/冷却システム)と併用することができる。
D.心臓麻痺
特定の態様において、本発明は、心臓バイパス手術(CABG)のための心臓麻痺溶液として用いてもよい。心臓麻痺溶液を血管および心室の中に潅流して、臓器の生存を維持しながら、その内因性の鼓動を停止させる。心臓麻痺(心臓の麻痺)は、開胸心手術の際に、ならびに心臓移植技法において用いるためにドナー心臓を調達、輸送、および保存する際に望ましい。
いくつかの異なる心臓麻痺溶液が入手可能であり、心臓麻痺溶液を用いる異なる技術が、当技術分野で公知である。例えば、心臓麻痺溶液はしばしば、異なる量のカリウム、マグネシウム、およびいくつかの他の軽微な成分を有する。時に、筋弛緩および虚血に対する保護に役立つように、薬物が心臓麻痺溶液に加えられる。心臓麻痺溶液を用いる温度を変化させることも同様に、有用な作用を有する可能性がある。
心臓麻痺の誘導に関する現在の方法によって提供される保護作用にもかかわらず、なおも心筋に対して何らかの程度の虚血再潅流損傷が存在する。心臓バイパス手術の際の虚血再潅流損傷によって、特に既に衰弱した心臓の状態のために不良な転帰が起こる(罹患および死亡の双方)。心筋虚血によって、嫌気性心筋代謝が起こる。嫌気性代謝の最終産物によって、急速にアシドーシス、ミトコンドリア機能障害、および心筋細胞の壊死が起こる。高エネルギーリン酸塩枯渇はほとんど直ちに起こり、ATP貯蔵の50%が10分以内に喪失する。収縮性の減少は1〜2分以内に起こり、虚血性拘縮および非可逆的な損傷は正常体温(37℃)での虚血の30〜40分後に起こる。
再潅流損傷は、冠血管循環の回復後の周知の現象である。再潅流損傷は異常な心筋の酸化的代謝を特徴とする。虚血の際に形成された構造的変化の他に、再潅流は、細胞障害性酸素フリーラジカルを生じる可能性がある。これらの酸素フリーラジカルは、筋線維鞘リン脂質を酸化して、このように膜の完全性を破壊することによって、再潅流損傷の発症に重要な役割を果たす。酸化された遊離の脂肪酸は冠静脈血に放出され、これは心筋膜リン脂質過酸化のマーカーである。プロタミンは、補体の活性化を誘導し、これは好中球を活性化する。活性化好中球および他の白血球は、さらなる酸素フリーラジカルおよび他の細胞障害性物質源となる。
本発明は、バイパス手術の際に心臓に対してより大きい保護を提供する、心臓麻痺を誘導するための方法および組成物を提供する。特定の態様において、本発明は、溶液に溶解したH2S(またはもう一つの酸素アンタゴニスト)を含む心臓麻痺溶液を提供する。いくつかの態様において、本発明は、心臓麻痺溶液の適当な用量を心臓に導入するためのカテーテルまたはカニューレのような少なくとも第一の装置をさらに含む。特定の局面において、本発明は、心臓から心臓麻痺溶液を除去するためのカテーテルまたはカニューレのような少なくとも第二の装置をさらに含む。
バイパス手術は典型的に3〜6時間持続するが、合併症および多血管CABGは、12時間またはそれ以上延長しうる。心臓は手術の際にスタシスに維持されるであろうと企図される。このように、本発明のいくつかの態様において、心臓は酸素アンタゴニストに約、少なくとも約、または多くて約30秒、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18時間またはそれ以上、およびその任意の範囲または組み合わせの期間、曝露される。
E.癌治療による損傷の減少
癌は、世界の工業国における主な死因である。癌の治療に対する最も簡便なアプローチは、正常細胞より癌細胞に対して致死作用を示す細胞障害物質を癌患者に投与すること(またはエクスビボでの組織の処置)である。用量がより高くなれば、または物質がより致死的となれば、治療はより有効となるであろう。しかし、同じ理由によって、そのような物質は正常細胞に対してもさらに毒性が強い(および時に致死的である)。したがって、化学療法および放射線療法はしばしば、重度の副作用を特徴とし、そのいくつかは生命に危険があり、例えば口の爛れ、嚥下困難、口の渇き、悪心、下痢、嘔吐、疲労、出血、脱毛および感染症、皮膚の刺激、およびエネルギーの喪失(Curran, 1998;Brizel, 1998)である。
最近の研究から、一過性で可逆的の中心体温の低下または「低体温状態」により、癌との闘いにおいて改善が得られる可能性があることが示唆されている。28℃の低体温症は、最近、マウスにおいて放射線照射、ドキソルビシンおよびシスプラチンによる毒性を減少させることが判明した。これらの薬物/処置の癌と闘う活性は、低温の動物に投与した場合、影響を受けない;むしろ、これは特にシスプラチンの場合では増強された(Lundgren-Erikssonら、2001)。この研究および他の公表された研究に基づき、本発明者らは、中心体温のさらなる低下が癌患者に対して利益を提供するであろうと提唱する。このように、本発明は、癌患者の正常組織においてスタシスを誘導するために酸素アンタゴニストを用いて、それによってそれらの組織に及ぼす化学または放射線療法の可能性がある影響を減少させることを企図する。それによってまた、化学および放射線療法のより高用量を用いることが可能となり、それによってこれらの処置の抗癌作用を増加させることができる。
良性および悪性新生物、非新生物過増殖疾患、前新生物病態、および前癌様病変を含む実質的に任意の過増殖性の障害の処置が企図される。そのような障害には、再狭窄、癌、多剤耐性癌、原発性乾癬、および転移性腫瘍、血管新生、リウマチ性関節炎、炎症性腸疾患、乾癬、湿疹、および二次白内障と共に口腔毛白斑、気管支異形成、上皮内癌、および上皮内過形成が含まれる。特に、本発明は、前立腺、肺、脳、皮膚、肝臓、乳腺、リンパ系、胃、精巣、卵巣、膵臓、骨、骨髄、消化管、頭頚部、子宮頚部、食道、眼、胆嚢、腎臓、副腎、心臓、結腸、および血液の癌を含むヒト癌の処置に向けられる。上皮および内皮細胞を含む癌も同様に処置のために企図される。
一般的に、化学療法および放射線療法は、腫瘍の大きさを減少させる、腫瘍細胞の増殖を減少させる、腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導する、腫瘍血管を減少させる、転移を減少または予防する、腫瘍の増殖速度を減少させる、腫瘍細胞の死を加速する、および腫瘍細胞を殺すように設計される。本発明の目標は決して異ならない。このように、本発明の酸素アンタゴニストは、過増殖疾患の処置において有効である二次的な抗癌物質(二次物質)と併用されるであろうと企図される。「抗癌」剤は、例えば、癌細胞を殺す、癌細胞においてアポトーシスを誘導する、癌細胞の増殖速度を減少させる、腫瘍もしくは癌細胞に対する血液供給を減少させる、癌細胞もしくは腫瘍に対する免疫応答を促進する、癌の進行を予防もしくは阻害する、または癌を有する被験者の寿命を増加させることによって、被験者における癌に負の影響を及ぼすことができる。
二次抗癌物質には、生体物質(生物療法)、化学療法剤、および放射線療法剤が含まれる。より一般的に、これらの他の組成物は、同時に、正常細胞に対する二次物質の影響を減少または最小限にしながら、癌もしくは腫瘍細胞を殺す、またはその増殖を阻害するために有効な複合量で提供される。このプロセスは、酸素アンタゴニストと二次物質とを同時に細胞に接触させる、または曝露することを含んでもよい。これは、細胞を単一の組成物もしくは双方の物質を含む薬学的製剤に接触させることによって、または一つの組成物が酸素アンタゴニストを含み、もう一つの組成物が第二の物質を含む、異なる二つの組成物もしくは製剤を細胞に同時に接触させるもしくは曝露することによって得てもよい。
または、酸素アンタゴニスト処置は、数分から数週間の間隔をあけて二次物質処置の前または後に行ってもよい。他の物質および発現構築物が細胞に個別に適用される場合、一般的に物質と発現構築物とが細胞に対して都合のよい併用作用を発揮することができるように、各送達時間のあいだに有意な期間が経過しないようにするであろう。そのような場合、細胞を双方の様相に互いに約12〜24時間以内、より好ましくは互いに約6〜12時間以内に接触させてもよいと企図される。いくつかの状況において、処置期間を有意に延長させることが望ましい可能性があるが、それぞれの投与のあいだは数日(2、3、4、5、6、または7日)から数週間(1、2、3、4、5、6、7、または8日)である。特定の態様において、生体物質は、癌治療が投与されるあいだ約2〜約4時間スタシスに維持されるであろうと想像される。本発明のいくつかの態様において、生体物質は、酸素アンタゴニストに約、少なくとも約、または多くて約30秒、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55分、1、2、3、4、5、6時間またはそれ以上、およびその任意の範囲または組み合わせの期間、曝露される。
様々な組み合わせを用いてもよい;酸素アンタゴニストは「A」であって、放射線または化学療法のような二次抗癌剤は「B」である。
Figure 0004914216
本発明の酸素アンタゴニスト化合物の患者への投与は、もしあれば化合物の毒性を考慮に入れて、化学療法剤の投与のための一般的なプロトコールに従う。処置サイクルは、必要に応じて繰り返されるであろうと期待される。同様に、様々な標準的な処置と共に外科的介入を、上記の抗癌剤療法と併用して応用してもよいと企図される。
1.化学療法
化学療法にはまた、化学療法および放射線療法に基づく処置の双方を含む多様な併用療法が含まれる。併用化学療法には、例えば、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ニトロソウレア、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、ラロキシフェン、エストロゲン受容体結合物質、タキソール、ゲンシタビン、ナベルビン、ファルネシル-タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランスプラチン、5-フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびメソトレキセート、テマゾロミド(DTICの水溶性型)、または前述の任意の類似体もしくは誘導体変種が含まれる。化学療法と生物療法の併用は、生化学療法として知られる。
2.放射線療法
DNA損傷を引き起こし、広く用いられている他の要因には、一般的にγ線、X線、および/または腫瘍細胞に対する放射線の定方向送達として知られる要因が含まれる。マイクロ波およびUV照射のような他の形のDNA損傷因子も同様に企図される。これらの要因は全て、DNA、DNAの前駆物質、DNAの複製および修復、ならびに染色体の集合および維持に広範囲の損傷を及ぼす可能性が最も高い。X線の線量は長期間(3〜4週間)での1日量50〜200レントゲンから2000〜6000レントゲンの1回照射の範囲である。放射性同位元素の用量範囲は広く異なり、同位元素の半減期、放射される放射線の強度およびタイプ、ならびに新生物細胞による取り込みに依存する。
細胞に適用された場合に「接触した」および「曝露された」という用語は、本明細書において、本発明の組成物(例えば、低酸素性抗腫瘍化合物)または化学療法剤もしくは放射線療法剤が標的細胞に送達される、または標的細胞の直接近傍に留置されるプロセスを記述するために用いられる。併用処置において、殺細胞またはスタシスを得るために、双方の物質を、細胞を殺すためにまたは細胞分裂を阻害するために有効な併用量で細胞に送達してもよい。
3.免疫療法
免疫療法剤は一般的に、癌細胞を標的として破壊するように免疫エフェクター細胞および分子を用いることに依存する。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞表面上のいくつかのマーカーに対して特異的な抗体であってもよい。抗体は単独で、処置のエフェクターとして作用してもよく、または他の細胞を動員して殺細胞を実際に行ってもよい。抗体はまた、薬物または毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素等)に結合させてもよく、単にターゲティング物質として作用してもよい。または、エフェクターは、直接または間接的に腫瘍細胞標的と相互作用する表面分子を有するリンパ球であってもよい。様々なエフェクター細胞には、細胞障害性T細胞およびNK細胞が含まれる。
免疫療法はまた、併用処置の一部として用いることができる。併用療法の全般的アプローチを下記に示す。免疫療法の一つの局面において、腫瘍細胞は、ターゲティングに対して感受性がある、すなわち他の細胞の大部分に存在しないいくつかのマーカーを有しなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれも、本発明の状況においてターゲティングに適している可能性がある。一般的な腫瘍マーカーには、癌胎児抗原、前立腺特異抗原、尿腫瘍関連抗原、胎児抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、エストロゲン受容体、ラミニン受容体、erb Bおよびp155が含まれる。免疫療法のもう一つの局面は、免疫刺激作用を有する抗癌作用である。以下を含む免疫刺激分子も同様に存在する:IL-2、IL-4、IL-12、GM-CSF、γ-IFNのようなサイトカイン、MIP-1、MCP-1、IL-8のようなケモカイン、およびFLT3リガンドのような増殖因子。タンパク質としての免疫刺激分子の併用、またはmda-7のような腫瘍抑制因子と併用した遺伝子送達を用いることは、抗腫瘍効果を増強することが示されている(Juら、2000)。
先に考察したように、現在治験中または用いられている免疫療法の例は、免疫アジュバント(例えば、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、ジニトロクロロベンゼンおよび芳香族化合物)(米国特許第5,801,005号;米国特許第5,739,169号;Hui and Hashimoto, 1998;Christodoulidesら、1998)、サイトカイン療法(例えば、インターフェロンα、β、およびγ;IL-1、GM-CSFおよびTNF)(Bukowskiら、1998;Davidsonら、1998;Hellstrandら、1998)、遺伝子治療(例えば、TNF、IL-1、IL-2、p53)(Qinら、1998;Austin-Ward and Villaseca, 1998;米国特許第5,830,880号および米国特許第5,846,945号)ならびにモノクローナル抗体(例えば、抗ガングリオシドGM2、抗HER-2、抗p185)(Pietrasら、1998;Hanibuchiら、1998)である。ハーセプチン(トラスツズマブ)は、HER2-neu受容体を遮断するキメラ(マウス-ヒト)モノクローナル抗体である。これは抗腫瘍活性を有し、悪性腫瘍の処置に用いられるために承認されている(Dillman, 1999)。ハーセプチンと化学療法とを用いる癌の併用療法は、個々の処置より有効であることが示されている。このように、本明細書に記述の抗腫瘍療法と共に一つまたはそれ以上の抗癌治療を用いてもよいと企図される。
F.神経変性
本発明は、神経変性疾患を処置するために用いてもよい。神経変性疾患は、神経組織の変性を特徴とし、記憶の喪失、運動機能の喪失、および認知症をしばしば伴う。認知症疾患の場合、知的およびより高度な統合認識能が時間と共にますます損なわれる。65歳以上またはそれ以上の人の約15%が軽度から中等度の認知症であると推定される。神経変性疾患には、パーキンソン病;原発性神経変性疾患;ハンチントン舞踏病;脳卒中および他の低酸素もしくは虚血プロセス;神経外傷;代謝的に誘導された神経損傷;脳性発作の続発症;出血性ショック;二次神経変性疾患(代謝性または毒性);アルツハイマー病、その他の記憶障害;または血管性認知症、多発梗塞性認知症、レーヴィ小体認知症、または神経変性認知症が含まれる。
証拠は、生物、特に神経系の健康は、概日リズムに密接に関連する酸化および還元状態のあいだのサイクルに依存する。すなわち、覚醒時の体に与えられた酸化的ストレスは、睡眠時の還元的環境に循環される。これは、睡眠が健康にとって重要である理由の大きい部分であると考えられている。ハンチントン病およびアルツハイマー病のような特定の神経変性疾患状態のみならず、通常の加齢プロセスは、このサイクルパターンの不一致に連鎖している。同様に、脳H2Sレベルは、これらの条件で減少しているという証拠がいくつかある(Etoら、2002)。
本発明はまた、酸化および還元状態のあいだでのサイクルを調節および制御するために用いることができる。さらに、低下した代謝活性全体は、加齢動物およびヒトにおける健康に相関することが示されている。したがって、本発明は、高齢者の寿命および健康を増加させるために全体的な代謝機能を抑制するために有用であろう。このタイプの処置は、夜間、睡眠時に毎日6〜10日間投与される可能性があると企図される。これは、数ヶ月から数年の長期間毎日処置を必要とするであろう。
IV.保存的応用
本発明は、輸送および/または保存目的で生物の全身を保存または貯蔵するために用いることができる。そのような生物は、実験動物のマウス(マウスバンク)のような研究目的、または魚のような消費のために用いることができる。これらの状況において、スタシスは、無限に維持することができる。その上、スタシスは、植物、または果実、花、葉、茎、種子、接ぎ木を含む植物の一部において誘導することができる。植物は、農業、医薬品、または観賞用となりうる。植物におけるスタシスの誘導は、植物もしくは植物全体の保存期間または病原体の抵抗性を増強する可能性がある。このように、本発明の態様において、生物またはその一部を、約、少なくとも約、または多くて約30秒間、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55分、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、1、2、3、4、5、6、7日、1、2、3、4、5週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20年またはそれ以上、またはそこから誘導可能な任意の組み合わせまたは範囲、酸素アンタゴニストに曝露することができる。
A.その他の保存物質
その中で臓器が保存溶液に取り囲まれている、または灌流されている多様な保存溶液が開示されている。最も一般的に用いられる溶液の一つは、低温保存と共に用いられるViaSpan(登録商標)(Belzer UW)である。そのような溶液またはそのような溶液の成分の他の例には、セントトーマス溶液(Ledinghamら、J. Thorac. Cardiobasc. Surg. 93:240〜246, 1987)、ブルセ溶液、UW溶液(Ledinghamら、Circulation 82(Part2)IV 351〜8, 1990)、Celsior溶液(Menascheら、Eur. J. Cardio. Thorac. Surg.8:207〜213, 1994)、スタンフォード大学溶液、および溶液B20(Bernardら、J. Thorax Cardiovasc. Surg. 90:235〜242, 1985)と共に、米国特許第6,524,785号;第6,492,103号;第6,365,338号;第6,054,261号;第5,719,174号;第5,693,462号;第5,599,659号;第5,552,267号;第5,405,742号;第5,370,989号;第5,066,578号;第4,938,961号;および第4,798,824号に記述および/または請求される溶液が含まれる。
溶液の他に、他のタイプの材料も同様に、臓器および組織の輸送に用いられることが公知である。これらには、米国特許第5,736,397号に記述されるような、ゼラチン様、または他の半固体材料が含まれる。
臓器保存のためのシステムおよび溶液のいくつかは、酸素化環境において臓器または組織を維持することが生存率を改善すると考えられていることから、特に臓器を酸素に曝露するために溶液または系における酸素潅流を含む。Kurodaら(Transplantation 46(3):457〜460, 1988)および米国特許第6,490,880号;第6,046,046号;第5,476,763号;第5,285,657号;第3,995,444号;第3,881,990号;および第3,777,507号を参照されたい。4時間より長く酸素を枯渇された単離された心臓は、活力を失っていると考えられ、虚血/再潅流損傷のために、レシピエントにおいて有用ではないと考えられる。米国特許第6,054,261号を参照されたい。
その上、臓器保存および移植のための溶液および容器の全てではないが多くは、低温(室温より低い温度、しばしば0℃に近いが0℃より低くならない)を必要とし、これは「臓器および組織保存のための全ての有用な方法の基本原則」と呼ばれている。米国特許第6,492,103号。
移植成功の見通しを改善するために、移植のために臓器をよりよく保存する技術が開発されている。二つの一般的な開発領域があり、一つは保存溶液であり、もう一つは臓器容器の領域である。
その上、臓器保存および移植のための溶液および容器の全てではないが多くは、低温(室温より低い温度、しばしば0℃に近いが0℃より低くならない)を必要とし、これは「臓器および組織保存のための全ての有用な方法の基本原則」と呼ばれている。米国特許第6,492,103号。
臓器移植の分野において、特定の条件が臓器の状態および移植の成功に関する予後に関連すると考えられている:1)細胞膨張および浮腫の最小化;2)細胞内アシドーシスの予防;3)虚血損傷の最小化;ならびに4)再潅流の際の高エネルギーリン酸塩化合物およびATPの再生のための基質の提供。臓器移植における虚血/再潅流損傷は、採取された臓器が体から除去されて、血液源から単離され、それによって酸素および栄養が長期間枯渇しているために、特に問題である(米国特許第5,912,019号)。実際に、今日の移植における最も重要な問題の一つは、術後の急性尿細管壊死(ATN)による遅延移植機能(DGF)の発生率が比較的高いことである。現在の方法はなおもこれらの領域において問題を有し、これは本発明の重要性を強調する。
それにもかかわらず、本発明は、他の保存組成物および方法と共に用いることができる。米国特許第5,952,168号、第5,217,860号、第4,559,258号、および第6,187,529号(特に参照として本明細書に組み入れられる)において考察したように、生物材料は、例えば、移植可能または置換可能な臓器を長期間維持するために保存することができる。
細胞、組織/臓器、または死体は、移植のために臓器の状態を増強または維持する化合物を投与することができる。そのような方法および組成物には、米国特許第5,752,929号および第5,395,314号に記述されるものが含まれる。
その上、本発明の方法には、酸素アンタゴニストに対する曝露の他に、記述のような保存液に生体物質を曝露することが含まれうる。
生きていて、生体材料として用いられる生物試料と共に用いられる任意の物質または溶液は、薬学的に許容されるまたは薬理学的に許容されると企図される。「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」という句は、ヒトに投与した場合に、アレルギーまたは類似の望ましくない反応を生じない分子実体および組成物を指す。活性成分としてタンパク質を含む水性組成物の調製は、当技術分野において十分に理解されている。典型的に、そのような組成物は、液体溶液または浮遊液のいずれかとして調製される;使用前に液体において溶液または懸濁液にするために適した固体剤形も同様に調製することができる。
移植のための臓器は、特に移植体として用いることに関してその状態を評価するためにモニタリングしてもよい。そのような方法は米国特許第5,699,793号に記述されている。
臓器移植を受けた後の患者に、その回復プロセスを補助するために多くの薬剤を投与することができる。そのような薬物には、提供された臓器に対して免疫反応を減少または阻害する化合物および物質が含まれる。
その上、米国特許第6,552,083号(N-(3,4-ジメトキシシナモイル)アントラニル酸を含む阻害物質)および第6,013,256号(ヒト化抗Tax抗体のような、IL-2受容体に結合する抗体)に記述されるような、さらなる薬物が絶え間なく研究されており、臓器移植において用いるために提供されている。
B.保存装置
臓器および組織を輸送するための系または容器も同様に、何年ものあいだ開発されている。これらの態様のいずれも、酸素アンタゴニストを用いることができる本発明の装置と組み合わせてもよい。
ほとんどは、実行のために冷却システム、例えばシステムの中をポンプで送られる冷却液による能動的冷却を用いる米国特許第4,292,817号、第4,473,637号、および第4,745,759号に記述される系を含む。米国特許第5,434,045号および第4,723,974号のような多室または二重容器を含む、いくつかの洗練された装置が設計されている。
米国特許第6,490,880号;第6,100,082号;第6,046,046号;第5,326,706号;第5,285,657号;第5,157,930号;第4,951,482号;第4,502,295号;および第4,186,565号において記述されるように、保存液において臓器または組織を潅流するために装置が考案されているシステムを構成するものもある。
臓器または組織を酸素化環境において維持することは生存率を改善すると考えられていることから、臓器保存のための系および溶液のいくつかは、特に、臓器を酸素に曝露するために溶液または系における酸素潅流を含む。Kurodaら(Transplantation 46(3):457〜460, 1988)および米国特許第6,490,880号;第6,046,046号;第5,476,763号;第5,285657号;第3,995,444号;第3,881,990号;および第3,777,507号を参照されたい。4時間より長く酸素を枯渇された単離された心臓は、虚血/再潅流損傷のために、活力を失い、レシピエントにおいて用いられない。米国特許第6,054,261号を参照されたい。
V.診断応用
亜硫酸塩は、硫黄含有アミノ酸の正常な代謝の際に、体における全ての細胞によって産生される。亜硫酸塩オキシダーゼは亜硫酸塩を除去して、このように亜硫酸塩レベルを調節する。これらの酵素の異なる活性によって、組織特異的に発生する亜硫酸塩のレベルは異なるであろう。上記の実施例において、低酸素条件における固形腫瘍に関して、亜硫酸塩は、免疫監視の阻害と共に代謝状態の減少を通して腫瘍細胞に対して局所保護状態を提供するためにより高いレベルで産生される可能性がある。したがって、亜硫酸塩レベルを測定して、固形腫瘍のようないくつかの疾患状態の診断の一部としてこれを組み入れることは有用であろう。さらに、本発明者らは、様々な応用のために亜硫酸塩を用いることを提唱することから、ある種の造影または他のモニタリングプロセスを用いてこれを追跡することは有用であろう。
現在の技術(例えば、HPLC)を用いて、総亜硫酸レベルを得るために血清中の亜硫酸塩レベルを測定することは可能である。亜硫酸塩の造影の可能性を探索する価値はある。または、プロテオミックアプローチによって、亜硫酸塩の代謝に関与する酵素の調節が特定の疾患状態においてどのように変化するかを理解することができ、この診断に対するアプローチを可能にする。
VI.スクリーニング応用
なおさらなる態様において、本発明は、スタシスの誘導に関して同様に作用する酸素アンタゴニストおよび分子を同定する方法を提供する。いくつかの場合において、求められる酸素アンタゴニストは、酸素アンタゴニストが存在しなければ生体物質を殺すであろう低酸素または無酸素環境において中心体温を低下させるため、または生存率を保持するために、カルコゲナイド化合物のような挙動を示す。これらのアッセイは、大きい候補物質ライブラリのランダムスクリーニングを含んでもよい;またはアッセイは、それらを酸素アンタゴニストとして作用する可能性をより高くすると考えられる属性に関して、肉眼で選択した化合物の特定のクラスに重点を置いて用いてもよい。例えば方法は一般的に以下を含む:
(a)候補調節物質を提供する段階;
(b)候補調節物質を生体物質と混合する段階;
(c)酸素アンタゴニスト処置の特徴である一つまたはそれ以上の細胞反応を測定する段階;および
(d)候補調節物質の非存在下での生体物質による一つまたはそれ以上の反応を比較する段階。
アッセイは、単離された細胞、組織/臓器、または無傷の生物について行ってもよい。
本発明のスクリーニング法は全て、有効な候補物質が認められない可能性があるという事実にもかかわらず、それ自身有用であると当然理解されるであろう。本発明は、単にそれらを発見する方法ではなくて、そのような候補物質をスクリーニングする方法を提供する。しかし、調節物質は、一つまたはそれ以上のアッセイに従って有効な調節物質であると同定される可能性があると理解され、このことは、調節物質が、生体物質においてスタシスを誘導することによるような、酸素アンタゴニストとして作用する何らかの能力を有するように思われることを意味する。いくつかの態様において、スクリーニングは、調節物質を同定するために実施例において記述されるアッセイを用いることを含む。
有効な調節物質を、さらに特徴を調べる、またはアッセイしてもよい。その上、有効な調節物質を、インビボ動物もしくは動物モデルにおいて用いてもよい(下記のように)、または同じ種の動物もしくは異なる動物種を含んでもよいインビボ動物もしくは動物モデルにおいてさらに用いてもよい。
さらに、本発明の態様に従って同定された調節物質はまた、スクリーニング後に製造してもよいと企図される。同様に、生体物質は、特に処置的または保存的態様に関して、本発明の方法に従って有効な調節物質に曝露または接触させてもよい。
A.調節物質
本明細書において用いられるように、「候補物質」は、例えば中心体温を変化させることによって、生体物質においてスタシスを誘導する可能性がある任意の分子を指す。候補物質はタンパク質またはその断片、低分子、または核酸分子であってもよい。有用な化合物の同定を力任せに行う努力において、有用な薬物の基本的な基準を満たすと考えられる低分子ライブラリを様々な販売元から得てもよい。組み合わせによって産生されたライブラリ(例えば、ペプチドライブラリ)を含むそのようなライブラリのスクリーニングは、多数の近縁の(および無関係な)化合物を活性に関してスクリーニングするための迅速かつ有効な方法である。組み合わせアプローチによって、活性であるがそれ以外は望ましくない化合物をモデルとした第二、第三、第四世代の化合物を作製することによって、それらの化合物は可能性がある薬物へと急速に発展する。
候補化合物には、天然に存在する化合物の断片もしくは一部が含まれてもよく、またはそれ以外は不活性である公知の化合物の活性な組み合わせとして発見されてもよい。動物、細菌、真菌、葉および樹皮を含む植物起源、ならびに海洋試料を含む天然起源から単離された化合物は、おそらく有用な薬剤の存在に関して候補物質としてアッセイしてもよいと提唱される。スクリーニングされる薬剤はまた、化学組成物または人工的な化合物から誘導または合成されうると理解されるであろう。このように、本発明によって同定された候補物質は、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、低分子阻害剤、または公知の阻害剤もしくは刺激剤を開始材料とする合理的ドラッグデザインによって設計してもよい他の任意の化合物であってもよいと理解される。
他の適した調節物質には、そのそれぞれが標的分子に対して特異的であるアンチセンス分子、siRNA、リボザイム、および抗体(一本鎖抗体を含む)が含まれる。そのような化合物は、本明細書において他所でより詳細に記述される。例えば、翻訳もしくは転写開始部位、またはスプライス接合部に結合するアンチセンス分子は、理想的な候補阻害剤であろう。
最初に同定された化合物を調節するほかに、本発明者らはまた、他の構造的に類似の化合物を、調節物質の構造の重要な部分を模倣するように調製してもよいと企図する。ペプチド調節物質のペプチド模倣体が含まれてもよいそのような化合物は、最初の調節物質と同様に用いてもよい。
B.インビボアッセイ
インビボアッセイは、様々な動物モデルを用いることを含む。その大きさ、取り扱いの容易さ、ならびにその生理学および遺伝的構成に関する情報のために、マウスは好ましい態様である。しかし、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、アレチネズミ、ウッドチャック、マウス、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、およびサル(チンパンジー、テナガザル、およびヒヒを含む)を含む他の動物も同様に適している。魚はまた、線虫と同様に、インビボアッセイによって用いるために企図される。調節物質のアッセイは、これらの任意の種に由来する動物モデルを用いて行ってもよい。
そのようなアッセイにおいて、一つまたはそれ以上の候補物質を動物に投与して、不活性な溶媒(陰性対照)およびH2S(陽性対照)と比較して、候補物質がスタシスを誘導できれば、中心体温を低下させることができれば、または生物材料に低酸素もしくは無酸素環境条件の生存能を付与できれば、調節物質であると同定される。動物を試験化合物によって処置することは、適当な形で動物に化合物を投与することを含むであろう。候補化合物の投与(ガスまたは液体)は、経口、鼻腔内(吸入またはエアロゾル)、口腔内、または局所が含まれるがこれらに限定されない、臨床または非臨床目的のために利用されうる任意の経路であってもよい。または、投与は気管内注入、気管支内注入、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、または静脈内注射によって行ってもよい。特に企図される経路は、全身静脈内注射、血管またはリンパ管による局所投与、または罹患部位への直接注射である。
VII.投与様式および薬学的組成物
カルコゲナイド薬学的組成物の有効量は、一般的に、対象疾患の程度を検出可能に改善する、減少する、最小限にする、または制限するために十分な量であると定義される。疾患の消失、根治、または治癒を含むより厳密な定義を適用してもよい。
A.投与
カルコゲナイド化合物の投与経路は、処置される病態の位置および特性によって当然変化して、これには例えば吸入、皮内、経皮、非経口、静脈内、筋肉内、鼻腔内、皮下、経皮、気管内、腹腔内、腫瘍内、潅流、洗浄、直接注射、および経口投与および製剤が含まれる。
移植の場合、宿主または移植片材料を休止状態にするために、本発明を術前または術後に用いてもよい。特定の態様において、手術部位は、カルコゲナイド化合物を含む製剤を注射または潅流してもよい。潅流は、例えば、手術部位に埋め込まれたカテーテルを留置することによって、術後も継続してもよい。
B.注射用組成物および製剤
本発明の酸素アンタゴニストを送達するための好ましい方法は、吸入、静脈内注射、特定領域の潅流、および経口投与である。しかし、本明細書に開示の薬学的組成物は、米国特許第5,543,158号、米国特許第5,641,515号、および米国特許第5,399,363号に記述されるように、非経口、皮内、筋肉内、経皮、または腹腔内投与してもよい(そのそれぞれが参照により本明細書に組み入れられる)。
活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合して水において調製してもよい。分散剤はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびその混合物ならびに油において調製してもよい。通常の保存および使用条件において、これらの調製物は微生物の増殖を予防するために保存剤を含む。注射によって用いるために適した薬学的剤形には、滅菌水溶液または分散剤、および滅菌注射液もしくは分散液の即時調製のための滅菌粉末が含まれる(その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,466,468号)。全ての場合において、剤形は滅菌でなければならず、容易な注入操作性が存在する程度に流動的でなければならない。これは、製造および保存条件で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)を含む溶媒または分散媒体、その適した混合物、および/または植物油となりうる。例えばレシチンのようなコーティングを用いることによって、分散剤の場合には、必要な粒子径を維持することによって、および界面活性剤を用いることによって、適切な流動性を得てもよい。微生物の作用の予防は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサル等によって行うことができる。多くの場合、等張剤、例えば糖または塩化ナトリウムを含めることが好ましいであろう。注射用製剤の持続的な吸収は、吸収遅延剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物において用いることによって得ることができる。
水溶液において非経口投与するために、例えば、溶液は、必要であれば適切に緩衝作用を有しなければならず、液体希釈剤は、十分な生理食塩液またはグルコースによってまず等張にしなければならない。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、腫瘍内、および腹腔内投与のために特に適している。これに関連して、用いることができる滅菌水性媒体は、本開示に照らして当業者に公知であろう。例えば、一つの用量を等張NaCl溶液1 mlに溶解して、皮下注入液1000 mlに加えるか、または提唱される注入部位に注射してもよい(例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照されたい)。処置される被験者の状態に応じて、用量の何らかの変更は必ず起こるであろう。担当医は、いずれにせよ、個々の被験者の適当な用量を決定するであろう。その上、ヒトでの投与に関して、調製物は、FDA生物標準局が必要とする滅菌性、発熱性、全身的安全性、および純度標準を満たさなければならない。
滅菌注射用溶液は、先に列挙した他の様々な成分と共に適当な溶媒において必要量の活性化合物を組み入れた後、濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散剤は、基礎分散培地および先に列挙した生物から必要な他の成分を含む滅菌溶媒に様々な滅菌活性成分を組み入れることによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製法は、既に濾過滅菌されたその溶液から、活性成分プラスさらなる所望の成分の粉末を生じる真空乾燥および凍結乾燥技法である。
本明細書において用いられるように、「担体」には、任意の全ての溶媒、分散媒体、溶媒、コーティング、希釈剤、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤、緩衝剤、担体溶液、懸濁液、コロイド等が含まれる。薬学的に活性な物質のためにそのような媒体および物質を用いることは、当技術分野において周知である。任意の通常の培地または物質が活性成分と適合性である限り、治療組成物におけるその使用が企図される。補助活性成分も同様に組成物に組み入れることができる。
「薬学的に許容される」、または「薬理学的に許容される」という句は、ヒトに投与した場合に、アレルギーまたは類似の望ましくない反応を生じない分子実体および組成物を指す。活性成分としてタンパク質を含む水性組成物の調製は、当技術分野において十分に理解されている。典型的に、そのような組成物は、注射用製剤として、液体溶液または懸濁液のいずれかとして調製される;注射前に液体において溶液、または懸濁液とするために適した固体剤形も同様に調製することができる。
C.カテーテル
特定の態様において、カテーテルは生物に保護物質を提供するために用いられる。特に重要なのは、そのような物質の心臓または血管系への投与である。カテーテルはしばしば、この目的のために用いられる。本出願の前にカテーテルを用いることは一般的に公知であったが、Yaffeら、2004は、特に仮死状態の状況におけるカテーテルを考察している。
D.ガスの送達
1.呼吸系
例としてのガス送達システム100を図9に示す。送達システム100は、活性物質を含む呼吸可能なガスを被験者の呼吸器系に送達するために適している。ガス送達システム100には、一つまたはそれ以上のガス源102が含まれる。ガス源102のそれぞれは、調節器104および流量計106に接続される。ガス送達システム100にはまた、活性物質源107、任意の気化器108、出口制御器110、排煙装置112、および警告/モニタリングシステム114が含まれる。
送達システム100には、麻酔送達装置において一般的に用いられる特定の要素が含まれてもよい。例えば、麻酔送達装置には一般的に、高圧回路、低圧回路、呼吸回路、および排煙回路が含まれる。図10〜11に記述するように、一つまたはそれ以上のガス源102、気化器108、出口制御器110、排煙装置112および/または警告/モニタリングシステム114は、高圧、低圧、呼吸、および/または排煙経路を有する装置の一部として抵抗されてもよく、これらの要素は、麻酔送達装置において一般的に用いられる要素と類似であってもよい。麻酔送達送達は、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,034,753号;第4,266,573号;第4,442,856号;および第5,568,910号に記述される。
ガス源102は、圧縮ガスのタンクによって提供されてもよい;しかし、ガス源102は、ガスまたはガスに変換される液体起源のいずれかとなりうると理解すべきである。例えば、気化器108は、液体ガス源を気化するために用いることができる。調節装置104には、ガス源102のそれぞれの圧力を減少させる弁が含まれる。次に、減圧されたガスは、それぞれのガス源102からのガスの流量を測定して制御する流量計106の一つの中を通る。
ガス源102は、活性物質107を送達するために用いられる担体ガスであってもよい。担体ガスは、それに対して活性物質源107から活性物質が送達される被験者に関して所望の環境を提供するように選択してもよい。例えば、活性物質が呼吸可能なガスとして患者に送達される場合、担体ガスには、患者の必要量を満足するために十分な量の酸素、一酸化窒素、または空気が含まれうる。他の不活性または活性ガスも同様に用いてもよい。
いくつかの態様において、ガス源102の一つには、活性物質源107が含まれる。活性物質源107からの活性物質は、気化器108によって気化された液体ガス源であってもよく、または活性物質は、高圧下での圧縮ガスのようなガス様起源であってもよい。活性物質は一つまたはそれ以上のガス源102と混合することができる。出口制御装置110は、被験者に提供されるガス混合物の量を制御する。
排煙装置112は、被験者に提供されるガスを排煙および/または換気する装置または系である。例えば、活性物質源107からの活性物質が患者に対して呼吸可能なガスとして提供される場合、排煙装置112を用いて、吸入剤(活性物質のような)、未使用の酸素、および呼気二酸化炭素の老廃ガスを除去することができる。
警告/モニタリングシステム114には、送達システム100内の一つまたはそれ以上の位置でガス流および/またはガス量をモニタリングするセンサーが含まれる。例えば、酸素の流れまたは量は、起源107からの活性物質が呼吸可能なガスとして患者に提供される場合に、患者にとって十分な酸素が確実に担体ガスに含まれるようにモニタリングしてもよい。警告/モニタリングシステム114にはまた、視覚的ディスプレイ、光、またはアラーム音のような、送達システム100のユーザーに対して聴覚もしくは視覚的アラーム、またはモニタリング情報を提供するように形成されたユーザーインターフェースが含まれる。警告/モニタリングシステム114は、既定の条件が合致した場合にユーザーに通知する、および/またはガスレベルに関する情報を提供するように形成することができる。
図10を参照して、システム100Aには、高圧回路116、低圧回路118、呼吸回路120、および排煙回路122が含まれる。
高圧回路116には、調節弁104b、104aに接続された圧縮ガス源102が含まれる。調節弁104aは、ガス源102のそれぞれから流れるガスの量を制御して、調節弁104bは、例えば周辺空気に対して開口部を提供することによって、ガス圧を増加させるように開口部を有してもよい。
低圧回路118には、流量計106、活性物質源107、および気化器108が含まれる。ガス源102からのガス混合物は、ガス源102からのガスのそれぞれの量を制御する流量計106によって提供される。図10に示すように、活性物質源107は液体である。活性物質源107は気化器108によって気化されて、ガス混合物に加えられる。
呼吸回路120には、出口制御装置110、二つの一方向弁124、126、および吸収装置128が含まれる。排煙回路122には、弁112a、リザーバー112b、および出口112cが含まれる。被験者130は、出口制御装置110からガス混合物を受けて、得られたガスを排煙回路122によって換気する。より詳しく述べると、出口制御装置110は、一方向弁124を通して被験者130に送達されるガス混合物の量を制御する。呼気は一方向弁126の中を通って弁112aおよびリザーバー112bまで流れる。過剰なガスは排煙装置112の出口112cを通って外に出る。ガスの一部は、再循環されて、吸収装置128の中を通って呼吸回路120に流れる。吸収装置128は呼気ガスからの二酸化炭素ガスを減少させるために二酸化炭素吸収装置であってもよい。この形状において、使用済みの酸素および/または活性物質を再循環および再利用してもよい。
一つまたはそれ以上のセンサーSをシステム100Aの様々な位置で加えてもよい。センサーSは、システム100Aにおいてガスを感知および/またはモニタリングする。例えば、ガス源102の一つが酸素である場合、センサーSの一つは、患者が適切な量の酸素を得るように、システム100Aにおいて酸素をモニタリングするように形成および配置された酸素であってもよい。センサーSは、警告/モニタリングシステム114と接続している(図9を参照されたい)。望ましくない、または危険なガスレベルがシステム100に存在する場合、警告/モニタリングシステム114は、被験者130に与えられる酸素レベルの増加、または送達システム100Aと被験者130の接続切断のような、適当な措置がとられるようにシステム100Aのユーザーに警告を発してもよい。
図11を参照して、活性物質源107が二つの調節弁104b、104aに接続されるシステム100Bを示す。活性物質源107が液体ガス源である場合、液体ガス源を気化するために任意で気化器108が提供される。活性物質源107がガス様(例えば、高圧ガス)である場合、気化器108は省略してもよい。活性物質源107からの活性物質を、低圧回路118において他のガス源102と流量計106によって制御される量で混合する。低圧回路118には、呼吸回路120に流れる際のガス混合物の任意の溢流を含むガスリザーバー109が含まれる。活性物質源107および/または任意のガス源102を、気化器を有する液体ガス源として提供してもよいと理解すべきである。図11に示すシステム100Bの要素は、図10に関して先に記述した内容と本質的に同じであり、これ以上説明しない。
システム100、100A、100Bを用いて行ってもよい本発明の態様に従う方法を図12に記述する。一つまたはそれ以上の呼吸可能なガス源の混合物が提供される(ブロック202)。呼吸可能なガス源を、図9〜11に関して記述したようにガス源102から得てもよい。図9〜11における活性物質源107に関して示すように、規定量の活性物質をガス混合物(ブロック204)に加える。ガス混合物を被験者120(ブロック306)に投与する。呼気ガスを、例えば排煙装置112によって、換気および/またはリサイクルする(ブロック208)。図12の方法は、図9〜11のシステム100、100A、100Bに関して記述しているが、図12における段階を行うために、任意の適した系または装置を用いてもよいと理解すべきである。
2.減圧送達システム
ガス送達システム300の態様を図13に関して説明する。ガス送達システム300は、被験者302の上に配置される。ガス送達システム300は、ガス混合物を被験者302の組織、例えば創傷組織に送達するために特に適している。
システム300には、被験者302の処置領域を覆うスクリーン306を有する減圧室304が含まれる。減圧室304をポンプの出口310aによって真空ポンプ310に接続する。減圧室304には、入口308aおよび出口308bが含まれ、これらを次に活性物質源307に接続する。制御装置320は活性物質源307および真空ポンプ310に接続される。減圧室および真空ポンプシステムは、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,645,081号および第5,636,643号において考察される。
減圧室304は、減圧または陰圧によって領域の処置を行うために、液体が漏れないまたはガスが漏れない封入を提供するために、被験者302の領域および活性物質源307を封入するように形成される。圧力室304は、柔軟な接着性の液体非透過性のポリマーシートのようなカバー(示していない)と共に被験者302に固定してもよい。カバーは、処置される領域の末梢周辺の皮膚を覆うように、および一般的にガスが漏れないまたは液体が漏れない密封を提供するように、および圧力室304をその位置で維持するように機能する接着性の裏剤を有しうる。
スクリーン306は、被験者302の処置領域の上に配置される。例えば、被験者302の処置領域に創傷が含まれる場合、スクリーン306はその過増殖を防止するために創傷の上に配置することができる。スクリーン306の大きさおよび形状は、個々の処置領域に適合するように調節することができ、多様な多孔性材料から形成してもよい。材料は、活性物質源307からのガスのような酸素以外のガスが処置領域に達することができるように十分に多孔性でなければならない。例えば、スクリーン306は、処置領域におよび/または処置領域からガスを流すために十分に多孔性であるポリウレタンフォームのような連続気泡発泡体ポリマーの形状となりうる。厚さおよび堅さが異なるフォームを用いてもよいが、患者が処置のあいだ器具に横たわらなければならない場合に患者の快適さのためにスポンジ様材料を用いることが望ましいかも知れない。フォームはまた、ガス流を増強するため、およびシステム300の重量を減少させるために穴を開けてもよい。スクリーン306は、処置領域において適合するように適当な形状および大きさに切断して、またはスクリーン306は、周辺の皮膚に重なり合うように十分に大きくてもよい。
真空ポンプ310は、減圧室304内での吸引源を提供する。活性物質源307は、減圧室304に活性物質の量を提供する。制御装置320は、真空ポンプ310によって減圧室304に適用された真空の量、および活性物質源307によって減圧室304に適用された活性物質の量を制御する。
制御装置320は、実質的に一定に、周期的に、または様々な変動またはパターンもしくはパターンの組み合わせを用いて、真空および/または活性物質を適用することができると理解すべきである。いくつかの態様において、活性物質は、真空ポンプ310の真空ポンプ作用と交互に活性物質源307によって供給される。すなわち、制御装置320は、活性物質源307を不活化しながら真空ポンプ310を交互に活性化して、その後真空ポンプ310を不活化しながら活性物質源307を活性化する。減圧室304における圧力は変動させる。他の態様において、真空ポンプ310によって実質的に一定の圧力が維持され、活性物質源307は減圧環境において減圧室304に活性物質の実質的に一定量を提供する。いくつかの態様において、真空ポンプ310によって実質的に一定の圧力が維持され、活性物質の量は周期的に変動する。他の態様において、減圧室304における圧力を真空ポンプ310によって変動させ、活性物質源307によって提供される活性物質の量も同様に変動する。真空ポンプ310および減圧室304において得られた圧または活性物質源307によって供給された活性物質の量の変動は、周期的であってもよく、または周期的でなくてもよい。
システム300を用いて行ってもよい本発明の態様に従う方法を、図14に示す。減圧室304は、被験者302の処置領域の上に配置される(ブロック402)。圧は真空ポンプ310によって減圧室304において減少する(ブロック404)。活性物質源307からの活性物質の既定量をチャンバーに適用する(ブロック406)。図6の方法は図5のシステム300に関して記述しているが、段階14における段階を行うために、任意の適したシステムまたは装置を用いてもよいと理解すべきである。例えば、出口308bを省略してもよく、活性物質を1つの入口308aによってチャンバー304に供給してもよい。他のガスも同様に、活性物質源307に関して説明した場合のように、例えば単一の入口または入口と出口とを用いて、および入口308aおよび出口308bを用いて、チャンバー304に加えてもよい。いくつかの態様において、例えば米国特許第5,636,643号に記述されるように、処置領域からの滲出物を回収するために、真空ポンプ310を、ポンプ310とチャンバー304とのあいだのさらなる回収容器に接続する。
図13に記載した陰圧ガス送達システム300は、治療のために様々な領域を処置するため、特に創傷を処置するために有用である。システム300によって処置してもよい創傷には、感染した開口損傷、褥瘡性潰瘍、裂傷、中間層熱傷、および皮弁または移植片が結合している様々な病変が含まれる。創傷の処置は、これまでに示し、記述したように、処置部位にガス送達システムを固定すること、減圧室304内の実質的に連続的または周期的に減少した圧力を維持すること、および創傷が所望の改善条件に達するまで実質的に連続的または周期的に減圧室304に活性物質を供給することによって、行うことができる。改善された状態の選択された状態には、皮弁または移植片の結合にとって十分な肉芽組織の形成、創傷における微生物感染症の減少、熱傷浸透の停止もしくは逆転、創傷の閉鎖、下に存在する創傷組織と皮弁もしくは移植片との統合、完全な創傷治癒、または創傷もしくは創傷複合体の所定のタイプにとって適当な他の改善または治癒段階が含まれてもよい。ガス送達システムは、処置のあいだ、特に創傷の上または中にスクリーンを組み入れるガス送達システムを用いる場合には、48時間間隔のように、周期的に変更してもよい。方法は、0.01〜0.99気圧の範囲で陰圧または減圧を用いて行ってもよく、または0.5〜0.8気圧の範囲の陰圧もしくは減圧を用いて行ってもよい。創傷に関して方法を用いる期間は、少なくとも12時間であるが、例えば1日もしくはそれ以上の日数延長することができる。それを超えて方法を用いてももはや有益でないという上限はない;方法は創傷が実際に閉じる時間まで閉鎖速度を増加することができる。大気圧より約2〜7 in.Hg下と同等の減圧を用いることによって、様々なタイプの創傷に関して満足の行く処置が得られる可能性がある。
上記のように、簡潔または周期的にガス送達システムに減圧を供給することは、活性物質の存在下で創傷を処置するために有用となる可能性がある。ガス送達システムに対する減圧の間欠的または周期的供給は、真空系の手動または自動制御によって得られる可能性がある。そのような間欠的減圧処置におけるサイクル比、「オン」時間対「オフ」時間の比は、通常、1:10もの低さ、または10:1もの高さであってもよい。典型的な比は約1:1であり、これは通常、減圧供給および非供給の交互5分間隔で行われる。
適した真空システムには、少なくとも0.1ポンド、または3ポンドまでの吸引、または14ポンドまでの吸引を提供することができる任意の吸引ポンプが含まれる。ポンプは、必要な吸引を提供することができる医学目的にとって適した任意の通常の吸引ポンプとなりうる。ポンプと減圧器具とを相互接続するチューブの寸法は、ポンプが操作にとって必要な吸引レベルを提供する能力によって制御される。直径1/4インチのチューブが適している可能性がある。
本発明の態様にはまた、創傷における細菌密度を減少させるために十分な選択された期間および選択された程度、創傷および活性物質に対して陰圧を適用する段階が含まれる、損傷組織を処置する方法が含まれる。開口創傷は、ほとんど常に有害な細菌に汚染されている。一般的に、細菌密度105個/g組織は、感染していると見なされる。一般的に、この感染レベルでは、移植された組織は創傷に接着しないであろうと認められる。これらの細菌は、創傷が閉鎖する前に、宿主の天然の免疫応答、または何らかの外的方法のいずれかによって、殺されなければならない。陰圧および活性物質を創傷に適用すると、創傷の細菌密度が減少する可能性がある。この作用は、細菌と陰圧環境との不適合性による、または血液はそれと共に細菌を破壊する細胞および酵素を運ぶことから、活性物質に対する曝露と併用した創傷領域に対する血流の増加によると考えられている。本発明の態様に従う方法は、創傷における細菌密度を少なくとも半分減少させることができる。いくつかの態様において、これは細菌密度を少なくとも1,000倍、または少なくとも1,000,000倍減少させるために用いることができる。
本発明の態様にはまた、既定の減圧によっておよび全層性熱傷の形成を阻害するために十分な期間、領域の上の熱傷に陰圧および活性物質を適用する段階が含まれる。死んだ組織の表面層およびその下のスタシス域を有する中間層熱傷はしばしば、全ての表皮構造が破壊される全層性熱傷へと24〜48時間以内に変化することから十分に感染している。陰圧および活性物質の量を創傷に適用すると、基礎となる上皮構造の破壊を引き起こすほど感染症が重症となることを防止する可能性がある。圧適用の程度、パターン、および期間は、個々の創傷において変化しうる。
本発明の態様にはまた、最初に生きている組織を創傷に結合させて創傷組織複合体を形成する段階、複合体に対する上皮および皮下組織の遊走を促進するために十分な、選択された大きさの陰圧または減圧および活性物質の量を領域の上の創傷-組織複合体に適用する段階を含む、生きている組織の創傷に対する結合を増強する方法が含まれ、陰圧および活性物質の曝露は、創傷の閉鎖を促進するために十分な選択された期間維持される。創傷に対する生きている組織の結合は、多くの形を取りうる共通の技法である。例えば、一つの一般的な技法は、「皮弁」を用いることであり、この技術は創傷に隣接する領域からの皮膚組織を三面で離断するが、第四面は結合したままにして、創傷の上に移動させる。もう一つのしばしば用いられる技術は、皮膚がもう一つの皮膚表面から完全に離断されて、創傷に移植される開放皮膚移植片である。陰圧および活性物質を創傷-移植片複合体に適用すると、創傷における細菌密度が減少し、創傷に対する血流が改善し、それによって移植された組織の結合が改善する。
E.その他の装置
本発明の特定の態様に関して、外傷を受ける、または受けた患者の処置のために、患者の中心体温を外から調節することができる本発明の方法を追加することが望ましいであろう。この点において、患者の中心体温は、本発明の方法と併用して、侵襲性、または非侵襲性経路によって操作してもよい。中心体温を操作する侵襲性の方法には、例えば、患者の血液を加熱または冷却するために心肺ポンプを用いることが含まれ、このように、患者の中心体温を上昇または冷却することが含まれる。中心体温を操作する非侵襲性の経路には、患者の体の内外で心臓を転移させるシステムおよび装置が含まれる。
VIII.併用処置
本発明の化合物および方法は、多数の治療的および診断的応用の状況において用いてもよい。酸素アンタゴニストのような本発明の組成物による処置の有効性を増加させるために、それらの疾患および病態の処置において有効な他の物質とこれらの組成物を併用することが望ましい可能性がある(二次処置)。例えば、脳卒中の処置(抗卒中処置)は、典型的に、抗血小板剤(アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、チクロピジン)、抗凝固剤(ヘパリン、ワルファリン)、または血栓溶解剤(組織プラスミノーゲン活性化因子)を含む。
様々な併用を用いてもよい;例えば、H2Sのような酸素アンタゴニストは「A」であり、二次処置は「B」である。
Figure 0004914216
本発明の酸素アンタゴニストを生体物質に投与することは、もしあれば酸素アンタゴニスト処置の毒性を考慮に入れて、その特定の二次処置を投与するための一般的プロトコールに従う。処置サイクルは必要に応じて繰り返されるであろうと期待される。同様に、様々な標準処置と共に外科的介入を、記述の処置と併用して適用してもよいと企図される。
IX.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を証明するために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、本発明者らによって本発明の実践において十分に機能すると発見された技術を表し、このように、その実践のために好ましい様式を構成すると見なされうることは当業者によって認識されなければならない。しかし、当業者は、本開示に照らして、開示の特定の態様に多くの変更を行うことができる、それでもなお同様または類似の結果が得られ、それらも本発明の趣旨および範囲に含まれることを認識すべきである。
実施例1:一酸化炭素における線虫の保存
大気は酸素210,000 ppmを含む。低レベルの酸素に対する曝露、または低酸素状態によって、細胞の損傷が起こり、ヒトでは死亡する。線虫であるC.エレガンス(C. elegans)では、100 ppm〜1000 ppmの酸素濃度も同様に致死的である。一定範囲の酸素分圧に対する線虫の反応を批判的に調べることによって、10 ppm未満および5000 ppmを超える酸素濃度は致死的ではないことが判明した。窒素によって平衡にした酸素10 ppmでは、線虫は可逆性の仮死状態に入り、光学顕微鏡下で観察可能な全ての局面の生気は消失する(Padillaら、2002)。酸素濃度5000 ppm(窒素によって平衡)およびそれ以上では、線虫はその生命サイクルを通常に進行させる。線虫を低酸素障害から保護する薬物を探索するために、一酸化炭素を調べた。
特異的大気条件を得るために、以下の装置を用いた:気密性のシールを作製するために、筒の大きい開口部を注文製の機械処理したスチールとゴム製のフィッティングによって密封したルアーロックのようなロッキング装置を有する先端を有するガラスシリンジ筒を、それぞれがルアーロックフィッティングのようなロッキング装置に固定された入口と出口とを有する環境チャンバーの入口に、ロッキング装置によって固定した。定義されたガスを湿潤させて、2回蒸留水を満たしたガス洗浄瓶(500 ml Kimex)によって圧縮タンク(Byrne Specialty Gas, Seattle, WA)からのガスを最初に通気させることによって環境チャンバーに提供した。ガス洗浄瓶をガス流量計の後の環境チャンバーに接続した。ガス流量計を用いて、24時間のインキュベーションを通して環境チャンバーの中に調節された70 cc/分の流れを提供した。
誘導された可逆的なスタシスがC.エレガンス線虫において得られうるか否かを調べるために、C.エレガンス2細胞胚、L3幼虫、または成体線虫を採取して有効100%CO環境、100%N2環境、一酸化炭素によって平衡にした500 ppm酸素を含む環境、または窒素によって平衡にした100、500、もしくは1000 ppm酸素を含む環境のいずれかに室温で曝露した。線虫は、微分干渉位相差顕微鏡(ノマルスキーオプティクスとしても知られる)を用いて可視化した。像を採取してNIH画像およびAbobe Photoshop 5.5を用いて分析した。胚は長さが約50 μmである。
これらの実験の結果は、100%一酸化炭素が致死的ではなく、可逆的な仮死状態を誘導することを示した。線虫は、窒素によって平衡にした500 ppm酸素を生存することができなかったが、一酸化炭素によって平衡にした500 ppm酸素によって処置した線虫は、仮死状態に入り、生存した。下記を参照されたい。
実施例2:一酸化炭素におけるヒト皮膚の保存
一酸化炭素は、酸素を組織に分配する主な分子であるヘモグロビンとの結合に関して酸素と強く競合することから、ヒトに対して極めて毒性である。ヘモグロビンを有しない線虫が一酸化炭素に抵抗性であって、この薬物によって低酸素障害に対する保護さえ得られるという事実により、組織移植または血液を含まない手術分野のような、血液が存在しない状況においてヒト組織における低酸素障害に対して、一酸化炭素が保護するであろうという可能性が示唆された。この仮説を調べるためにヒト皮膚を用いた。
ヒト包皮3例をこの目的のために得た。包皮組織を、インスリン、EGF(0.1 ng/ml)、ヒドロコルチゾン(0.5 mg/ml)、およびウシ下垂体抽出物(約50 μg/mlタンパク質)を含むケラチノサイト増殖培地(KGM)において保存した。包皮をPBSによってすすぎ、過剰量の脂肪組織を除去した。各包皮試料を2個の等しい小片に分けた。各小片を、24 mg/mlディスパーゼII(Bacillus Polymyxa EC 3.4.24.4:Roche Diagnostics Corp., Indianapolis, IN)を含むPBS溶液を含む異なる容器に入れた。一つの容器(ディスパーゼIIを有するPBSにおいて包皮小片を含む)を、換気フードの中で湿潤チャンバーにおいて維持した。他の容器(ディスパーゼIIを有するPBSにおいて包皮の残り半分を含む)を同じ換気フードにおいて、湿潤100%COを灌流した環境チャンバーに入れた。双方の試料を、室温で24時間維持した。既定の大気条件を確立するために用いた方法は、実施例1において用いた方法と同一であった。
酸素正常状態または100%COに24時間曝露後、ケラチノサイトをBoyceら(1983;1985;そのそれぞれの全内容が参照により本明細書に組み入れられる)によって記述された方法に従って包皮から単離した。簡単に説明すると、それぞれの包皮試料からの表皮を、PBSを含む新鮮な培養皿に採取した。表皮を細切して、ホモジナイズしてから、0.05%トリプシン、1 mM EDTA 3mlと共に室温で5分間インキュベートして、上皮から基底細胞を分離した。インキュベーション後、400 μg/mlダイズトリプシン阻害剤6 ml、1 mg/ml BSAを加えて試料を900 rpmで遠心分離した。各試料からの上清を捨てて、試料の沈降物をKGM 10 mlに浮遊させた。各試料を、そのそれぞれがKGM 5 mlおよびHEPES(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸)pH 7.3 100 μlを含む10 cmプレート2枚に分けた、プレートを95%大気、5%二酸化炭素によって灌流した37℃インキュベーターにおいて5日間インキュベートした。
細胞を倒立位相差顕微鏡を用いて肉眼的に検分した。酸素正常状態に曝露したケラチノサイト集団は三つ全てがほとんどまたは全く増殖を示さなかった。100%COを曝露したケラチノサイト集団は三つ全てが有意な増殖を示した。コロニー形成によって判断した生存ケラチノサイト数を、包皮3例中2例に関して定量した。図1を参照されたい。
(表1)コロニー形成の定量
Figure 0004914216
実施例3:実施例1に関連したより多くの情報
以下の実施例は、実施例1に開示した情報と重なり合い、これを拡大する情報を含む。
A.材料および方法
環境チャンバーおよび装置
W. Van Voorhies(Van Voorhiesら、2000)によって設計された注文製の大気チャンバーを用いて酸素枯渇実験を行った。チャンバーは、確実に完全な密封が得られるように、viton-O-環2個を裏打ちした注文製のスチールストッパーを備えた30 mlガラスシリンジ(Fisher #14-825-10B)である。ストッパーはその中に穴をあけてあり、圧縮ガスを運ぶホースを結合することができるように外表面上でスチール製のルアーロックを有する。既定のガス混合物を、圧縮タンクから、流速をモニタリングするために最初に回転計(Aalborg、フローチューブチャンバー032-41ST)または質量流量制御装置(Sierra Instruments #810)の中を最初に通過させて、その後ガスを水和するために水250 mlを含む500 mlガス洗浄瓶(Fisher #K28220-5001)の中に通過させることによって、一定の圧力および流速でチャンバーに送達する。1/4" ODのナイロン(Cole-Parmer #P06489-06)またはFEP(Cole-Parmer #A-06450-05)チューブを用いてチューブと調節装置、およびチューブと回転計との接続を真鍮製のJohn-Guest型フィッティング(Byrne Gas)によって作製した。他の接続は全て微量流クイックコネクトフィッティング(Cole-Parmer #A-06363-57、#A-06363-52)または標準的なルアーフィッティング(Cole-Parmer #A-06359-37、#A-06359-17)のいずれかによって行った。
低酸素状態における線虫の生存率
Bristol株N2は、集団が枯渇しないように注意しながら20℃で連続的に維持した。対数期の成体C.エレガンスを、ガラスプレートにおいて、100 μg/mlアンピシリン、15μg/mlテトラサイクリンおよび200μg/mlストレプトマイシンを含む滅菌水滴に加えた。成体をカミソリの刃で切り刻み、マウスピペットを用いて2 細胞胚を採取した。2 細胞胚30〜60個を、1%アガロースのM9溶液3 mlを含む小さいガラス容器(大気チャンバーに適合するように作製、Avalon Glass Works, Seattle, WA)に移した。容器を湿潤チャンバーに2時間入れて、胚を生育させ、その後環境チャンバーに入れた。環境チャンバーを、純粋なN2(グレード4.5)、100 ppm O2/N2、500 ppm O2/N2、1000 ppm O2/N2、または5000 ppm O2/N2のいずれかによって70 cc/分で24時間室温で絶えず還流した。曝露後、胚を含むアガロース塊を容器から切り出して、大腸菌(OP50)を播種した中等度の大きさのNGMプレートに胚が面するように加えた。曝露24時間後に孵化に関して胚を採点し、孵化したL1をNGMプレートの表面に移して成体まで生育させた。説明することができない動物は、全体から除去した。ガスは全て、Byrne Gas(Seattle, WA)によって供給された。純粋なN2は、不純物10 ppm未満を含むことが保証され、O2/N2混合物は全て酸素含有量が±2%であることが認定された(例えば、100 ppm O2/N2は、98 ppm O2〜102 ppm O2を含むと認定された)。百万分率からkPaへの変換は、1気圧で1百万分率=101 kPaに基づいた。
一酸化炭素に基づく大気における線虫の生存率
胚30〜60個を、先に記述したように連続的に維持したBristol N2およびhif-2(ia04)株から採取した。環境チャンバーを、純粋なCO(グレードCP)または500 ppm O2/COによって70 cc/分で24時間、室温で連続的に灌流した。2500 ppm O2/COまたは2500 ppm O2/N2を得るために、流量を正確にモニタリングするために二つの質量流量制御装置(Sierra Instruments 810)を用いて、5000 ppm O2/N2を純粋なCOまたは純粋なN2のいずれかと共に1:1で混合した。それぞれのガスを3方向弁に50 cc/分で送達して、得られた混合物をガス洗浄瓶の中に通し、24時間の曝露によって環境チャンバーに通過させた。ガスは全てByrne Gas(Seattle, WA)によって供給された。500 ppm O2/CO混合物は、酸素含有量が±2%であることが認定され、タンクの使用を通して一貫したO2/CO比を確保するために7000 ppm N2を含んだ。
細胞生物学分析
窒素に基づく大気における生育の進行の程度を決定するために(表2)、2細胞胚に、上記のように様々な程度の低酸素を曝露して、直ちに写真を撮影するか、湿潤チャンバーにおいて12時間の回復期間の後に写真を撮影した。胚が一酸化炭素に基づく大気において停止したか否かを決定するために、2細胞胚を室内の空気で2時間生育させて、直ちに写真を撮影するか、または100%一酸化炭素もしくは0.05 kPa O2/COに24時間入れて、曝露直後に写真を撮影した。全ての場合において、DIC顕微鏡は、胚を薄い1%アガロースパッド上のカバーガラスの下に載せて、Zeissアキシオスコープにおいて観察することによって行った。RS ImageおよびAdobe Photoshopソフトウェアを用いて写真を撮影した。
B.結果
HIF-1は、軽度の低酸素状態(0.5 kPa O2(Padillaら、2002)および1 kPa O2(Jiangら、2001))においてC.エレガンスにおいて必要であることが既に報告されており、無酸素状態(>0.001 kPa O2)では仮死状態が起こりうることが公知である(Padillaら、2002)。これらの反応のそれぞれが活性である範囲を正確に決定するために、軽度の低酸素状態と無酸素状態のあいだの様々な酸素分圧に対する24時間の曝露後の、野生型C.エレガンス胚の生存率を決定した。無酸素状態に曝露した胚は、既に報告されたように仮死状態に入り、このように高い生存率で曝露に対して生存した。0.5 kPa O2での胚は、曝露のあいだ活力を維持し、同様に高い生存率で生存した。しかし、中等度の低酸素状態と無酸素状態の中間の酸素分圧(0.1 kPa O2〜0.01 kPa O2)に曝露した胚は、意外にも生存しなかった(図2)。
胚は、この中間範囲の低酸素状態に対する曝露のあいだ孵化せず、このことはそれらがHIF-1媒介反応を首尾よく実行しなかったことを示している。それらが仮死状態であるように見えるか否かを決定するために、この中間範囲の胚が曝露の際に胚形成を停止するか否かを調べた。致死酸素分圧での胚は胚形成を停止しなかったが、酸素量の増加は、胚における発達の進行の程度の増加に関連した(表2)。再酸素化を行うと、これらの胚の大部分が孵化することができず、孵化した胚の多くは異常なL1として停止した。これらのデータは、酸素レベルが持続的な活力を促進するほど十分に高くない場合、または仮死状態を誘導できるほど十分に低くない場合に、中間範囲の低酸素状態は、独自のストレスであることを示している。
これらの知見に基づいて、酸素結合の競合的阻害剤である一酸化炭素が、低レベルの酸素の存在下で仮死状態を誘導できれば、この致死範囲の低酸素状態に対する保護を提供するであろうという仮説を立てた。この可能性を調べるために、様々な濃度の一酸化炭素におけるC.エレガンス胚の生存率を最初に決定した。高レベルの一酸化炭素がいくつかの系において有しうる毒性作用にもかかわらず、C.エレガンス胚は広範囲の一酸化炭素分圧に対して顕著に抵抗性であることが判明した。実際に、C.エレガンス胚は、101 kPa CO(100%CO)に対する連続的な24時間の曝露に対して高い生存率で耐えることができる(81.5%が成体まで生存、図3)。特に、101 kPa COでは、胚は、曝露の際に胚形成に進行せず、それらが仮死状態に入ったことを示している。一酸化炭素が致死的酸素分圧の存在下で胚を保護できるか否か調べるために、一酸化炭素によって平衡にした0.05 kPa O2に曝露した胚の生存率を決定した。N2によって平衡にした0.05 kPa O2に曝露した胚(そのほとんどが生存しない)とは対照的に、これらの胚は96.2%の生存率で成体まで回復した(図3)。その上、101 kPa COによって処置した胚と同様に、一酸化炭素によって平衡にした0.05 kPa O2の胚は胚形成を停止し、このことはそれらが仮死状態に入ったことを示している。したがって、一酸化炭素は仮死状態を誘導することによって、致死的な酸素分圧の存在下で低酸素障害から保護できる。
過剰な一酸化炭素によって保護されうる酸素分圧の範囲をさらに調べるために、HIF-1機能を欠損する胚(hif-1(ia04)株)を用いて、低酸素障害に対する保護が軽度の低酸素状態においても可能であるか否かに取り組んだ。窒素によって平衡にした0.1 kPa O2〜1 kPa O2までの様々な酸素分圧を調べた後、HIF-1の最大必要量は窒素によって平衡にした0.25 kPa O2であった。この大気において、野生型胚は、通常に発達が進行して高い生存率を示すが、hif-1(ia04)胚は、胚形成を終えることができず、100%致死を示す(表3)。したがって、一酸化炭素が0.25 kPa O2においてhif-1(ia04)胚を保護できるか否かを調べた。一酸化炭素によって平衡にした0.25 kPa O2において、野生型およびhif-1(ia04)胚はいずれも、仮死状態に入り、高い生存率(成体までそれぞれ、78.7%および84.0%生存)で曝露から生き残った(表3)。このように、一酸化炭素による仮死状態の誘導は0.25 kPa O2もの高い酸素分圧で可能であり、一酸化炭素はHIF-1機能の非存在下においても軽度の低酸素状態から保護できる。
(表2)低酸素症における発達の進行の定量
Figure 0004914216
野生型二細胞胚を様々な程度の低酸素状態に24時間入れて、それらが胚形成を進行した程度に関して採点した。増加量の酸素を含む大気に曝露すると、胚形成の進行の増加が得られた。胚形成の所定の20〜40分の範囲内で停止した胚の百分率を決定した。データは独立した3回の実験の結果である。
(表3)一酸化炭素は軽度の低酸素状態に対してhif-1胚を保護する
Figure 0004914216
成体に対する生存率を、野生型およびhif-1(ia04)胚において、0.25 kPa O2/N2または0.25 kPa O2/COの24時間曝露後にアッセイした。データポイントは全て、少なくとも3回の独立した実験の結果であり、説明できない虫は全体から除外した。
低温状態に反応した線虫の生存率
線虫の生存率はまた、温度感受性であり、低温(4℃;図15)に24時間曝露後では集団の100%が死亡した。しかし、温度低下前1時間、無酸素条件(<10 ppm酸素)に平衡にすることによって線虫をスタシスに誘導すると、実質的な割合の線虫が4℃に対する24時間の曝露後生存した(図15)。この実験において、線虫は低温期間のあいだ、およびそれらが室温に回復した後1時間スタシスに維持された。無酸素状態(純粋なN2)、増殖条件、および生存率測定を下記に示す。
実施例4:マウスにおける中心体温および呼吸の低下
A.材料および方法
遠隔操作装置の埋め込み
雌性C57BL/6Jマウス(Jackson Laboratories - Bar Harbor, Maine)に、製造元によって提供された標準的なプロトコールに従って、遠隔操作装置(PDT-4000 HR E-Mitter - MiniMitter Inc. - Bend. OR)を埋め込んだ。マウスを数週間回復させて、体温および心拍シグナルを安定化させた。中心体温、心拍数、およびマウスの運動を遠隔操作装置によって絶えずモニタリングして、VitalViewソフトウェア(MiniMitterによって提供)を用いて記録した。室温はHOBO(Onset Computer Corp. - Pocasset, MA)を用いてモニタリングして、データをBoxCarソフトウェア(Onset Computer Corp.によって提供)を用いて分析した。
調節された大気に対するマウスの曝露
各マウスを1 L/分の(a)最終濃度80 ppm H2Sおよび17%O2が得られるように、室内の空気と混合して窒素によって平衡にした500 ppm H2S(Byrne Specialty Gas - Seattle, Washington)を含む大気(Aalborg - Orangeburg, New Yorkからの3チャンネルガス分配器を用いて)、または(b)最終濃度17%O2を生じるように、室内の空気と混合した窒素大気。Innova GasTech GTシリーズ携帯型ガスモニターを用いて、H2SおよびO2測定を行った(Thermo Gas Tech - Newark, California)。
調節および非調節大気での試験に対する曝露の前およびあいだ、マウスを、大気の導入および換気のためにCole-Parmer(Vernon Hills, Illinois)のFEPチューブの入口と出口とを備えたガラスケージを含むガス付加チャンバーに入れた(飲料水を与えるが飼料は与えない)。ケージをDow Corningシリコン真空グリース(Sigma - St. Louis, Missouri)を用いて蓋で密封した。各ケージからのガスを出口チューブを通して換気フードに換気した。システムから確実にガスが漏れないように、GasTech GT携帯型モニターを用いて漏出を検出した。
呼吸測定
いくつかの実験において、酸素の消費は、PA-10a O2アナライザー(Sable Systems)を用いて製造元の説明書に従って測定した。同様に、動物によって産生された一酸化炭素は、LI-7000 CO2/H2Oアナライザー(Li-Cor Company)を用いて製造元の説明書に従ってモニタリングした。これらの機器は、ガスの入口および出口チューブの試料を採取できるように、環境チャンバーと並べて配置した。
室温の調節
マウスをShel Lab低温昼間照明インキュベーター(Sheldon Manufacturing Inc. - Cornelius, Oregon)に入れて、マウスの体温および照明サイクル(午前8時点灯、午後8時消灯)を調節した。マウスを上記のように調節された大気に曝露した。マウスを調節された大気に曝露する場合、インキュベーター内部の温度は所望の温度、例えば10℃〜15℃に低下した。マウスを調節された大気およびより低い温度で6時間維持した。ガス付加チャンバーにおける大気を室内の空気と交換して、マウスを通常の室温(22℃)に戻して、回復させた。
B.結果
基準値データ
致死下用量の硫化水素に対するマウスの反応を決定するために、本発明者らは最初に、室温で固定され、室内の空気によって潅流したインキュベーターに埋め込まれたトランシーバーによってマウス4匹からのデータを1週間記録することによって、中心体温、心拍数、および運動の基準値を確立した。基準値データから、マウスが、光を消灯した直後の夕方、光を点灯する直前の早朝に活性のピークを有する日周リズムを有することが証明された。中心体温は、その活性期間のあいだの37℃の高さからその不活性期間のあいだの33.5℃の低さまで変化した。心拍数はその活動期間の際の750 bpm(拍/分)から不活動期間の250 bpmまで変化した。心拍数は、中心体温に相関する可能性がある(体温が高ければ心拍数が多くなる)。同様に、総身体運動は夕方およびおよび明け方に最高であった。
室温で調節された大気に対するマウスの曝露
マウスを硫化水素に曝露する最初の試験は、インキュベーターにおいて27℃で固定されたガス付加チャンバーにマウスを1時間入れることを含んだ。1時間後、チャンバーを一般的に先に記述したように80 ppmによって潅流して、インキュベーターの温度を実験のあいだ18℃に低下した。心拍数および総身体運動に即時的な変化は検出されなかったが、中心体温の劇的な減少を認めた。実験を90分間行って、そのあいだに中心体温は28.6℃となり、先に記述した基準値試験においてマウス4匹のいずれにおいても記録した最低より5℃低かった。チャンバーを室内の空気で潅流した後の回復の際に、本発明者らは、動物が最初に比較的無動性であったことに気付いた(容易に捕まえることができる);しかし、60分以内に、動物は正常範囲の中心体温および活性に回復した。第二のマウスに同じプロトコールを曝露した;しかし、今回は80 ppmのガス付加を3時間行った。このあいだに、本発明者らは、心拍数が600 bpmから250 bpmまで有意に低下したこと、総身体運動はほとんど活性を示さなかったこと、および中心体温は18.6℃に低下したことに気付いた。
呼吸の変化は中心体温の低下を伴う
マウスを80 ppm H2Sに曝露すると、酸素消費および二酸化炭素産生の測定によって決定した場合、代謝速度も同様に低下する。例えば、中心体温および二酸化炭素産生を同時に測定したマウスは、動物の中心体温の低下に先立って二酸化炭素産生の急激な減少を示した(図4A)。二酸化炭素産生の約3倍減少は、H2Sに対する曝露後約5分で新たな基準値を確立した。
表4は、H2S(80 ppm)の存在下、または非存在下でCO2を除去した(したがって、対照に関して0値)室内の空気に曝露したマウスのO2およびCO2濃度の同時測定を行った実験の結果を示す。測定は、マウスを流速500 cc/分で0.5 Lの密封環境チャンバーに入れて、15分間にわたって行った。酸素の消費はマウスが存在する場合の酸素濃度をマウスが存在しない対照から差し引くことによって得た。同様に、二酸化炭素は、マウスが存在する場合の二酸化炭素濃度をマウスが存在しない対照の濃度から差し引くことによって得る。RQは呼吸指数を表し、産生された二酸化炭素対産生された酸素の比に等しい。この結果は、H2Sの存在下では酸素消費が2〜3倍低下することと共に、二酸化炭素産生が3〜4倍低下することを示す。呼吸指数の変化はH2Sの存在下または非存在下でのマウスによる酸素消費と二酸化炭素の産生の不一致を反映する。
(表4)H2S曝露はマウスにおいて呼吸を阻害する
Figure 0004914216
スタシスの異なるパラメータ(酸素消費の減少、二酸化炭素産生の減少、または運動性の減少)は、多様なアッセイおよび技術によって評価することができる。例えば、おそらくH2Sを投与したマウスにおけるスタシスの誘導を測定する最も容易な方法は、その呼吸の観察である。実際に、これは、酸素消費、二酸化炭素産生、および運動性の減少の指標である三つ全てのパラメータを含む。標準的な条件で室内の空気において正常なマウスは、呼吸約200回/分であろう。H2Sを80 ppmでマウスに投与すると、中心体温は15℃に低下して、呼吸は1〜10回/分のどこかまで少なくとも一次数減少する。実際に、これらの条件で1時間より長い期間、呼吸しなかったマウスが観察され、このことは深いレベルのスタシスが得られうることを示している。このように、これは、細胞呼吸(すなわち、酸素消費と二酸化炭素産生)の少なくとも約1〜20倍減少を表す。
低下した室温での調節された大気に対するマウスの曝露
マウスにおいて硫化水素が活動を低下させる能力の限界を定義し始めるために、本発明者らは、非遠隔測定マウスを用いるいくつかの実験を行い、データを獲得するために遠隔操作を有するマウスの曝露を行った。第一の実験は、マウスをガスに対する曝露前に27℃で1時間ガス付加チャンバーに入れて、室温を低下させたことを除き、上記と同じである材料および方法に本質的に記述されたように、低下した10℃のキャビネット内温度で、非遠隔測定マウスを80 ppmでのH2Sの調節された大気に供することであった。非遠隔測定マウスはこの処置において良好であり、ガス付加チャンバーからの除去後約90分以内に活性を回復した。遠隔操作マウスに、同じ条件を供したが、同様に良好であり、中心体温は約12.5℃低下を示した。本発明者らは、電子機器が15.3℃で作動しなくなることからこの温度を正確に決定することができなかった。したがって、12.5℃までの温度の低下は、作動しなくなる前の低下の勾配、および電子機器が作動しなった後に動物がチャンバーに留まっている時間に基づく推定値である。
機器の限界のために、本発明者らは次に、本質的に上記の通りに、約80 ppm硫化水素を含む調節された大気、または室内の空気を有するガス付加チャンバーにおいて、遠隔操作マウス4匹のそれぞれを6時間調べた。インキュベーターの温度は、実験開始時に一定の15℃まで低下した(調節された大気への曝露、室内の空気に曝露されたマウスに関して0時間)。6時間の終了時、マウスを、先に一般的に記述したように、室内の空気の大気および室温22℃に戻した。マウス4匹全てにおいて中心体温の明確な減少を認め、これは硫化水素80 ppmの使用に依存した(図4B)。体温低下に関連した心拍数および総身体運動の顕著な減少を認めた。マウスを4週間維持したが、動物の行動に見かけ上の変化を認めなかった。
実施例5−放射線損傷の減少に及ぼすマウス試験
A.科学的根拠
放射線損傷モデルの局面は、細胞培養において評価することができ、評価されてきたが、損傷および治癒プロセスに影響を及ぼす試験薬の能力を調べるためには、影響を受ける反応系の全てを含む必要がある。この時点で、それを得る唯一の方法は動物全体である。本発明者らは、最も適当なモデルとしてそのような試験のためにマウスを用いることを提唱する。C57BL/6マウスは、放射線肺損傷に対して非常に感受性があり、この系統において認容される放射線レベルは確立されていること、および本発明者らが最近、H2Sがこのマウス系統の中心体温を低下させることを示したことから、この系統のマウスを試験に選択した。
二つの同一の実験をこのプロトコールにおいて計画した。各実験は、放射線によって誘導された肺損傷の発症に及ぼすH2S誘導低体温の有効性を調べるであろう。1群マウス10匹に四つの試験条件の一つ(H2S/17.5 Gy胸部照射、H2S/胸部照射なし、H2Sなし/17.5 Gy胸部照射、またはH2Sなし/胸部照射なし)を曝露した後、13週間観察した。1群動物12匹に同様に曝露して、26週間観察した(個体数の増加は疾患の経過において後期に発生する死亡の増加を代償するために必要である)。
これらの実験に関して分散分析(ANOVA)を、データ解析の統計モデルとして用いる。4群(H2Sを投与した、またはH2Sを投与していない放射線照射、または非照射マウス)および二つの期間(13または26週間)での完全な交差無作為化二因子ANOVAを用いて、気管支肺胞洗浄液における炎症細胞数、総蛋白質濃度、および肺ヒドロキシプロリンレベルの時間的な変化を分析する。統計力80%、5%有意性、および両側検定を推定すると、損傷群、介入群および時間ポイントの組み合わせあたり生存マウス5匹が、群の平均値において基礎となる群間の標準偏差の1.7倍より大きい、または1.7倍に等しい検出可能な差を許容するであろう。群間の標準偏差は約25%に等しいと予想される。このように、対照値の35〜50%の炎症細胞数または肺コラーゲン含有量の変化が、これらの実験において識別されなければならない。
H2S曝露および胸部放射線照射は、線形加速装置においてSLU AHRにおいて行われる。気管支肺胞洗浄および剖検時の肺の摘出は、AHRマウス剖検室において行われる。気管支肺胞洗浄細胞数、タンパク質濃度、および肺ヒドロキシプロリン含有量の測定は、別の研究室(D3-255)において行われる。野生型C57BL/6マウスに胸部放射線17.5 Gyを照射する。マウスを腹腔内アベルチンによって麻酔し、個々の布製のマウス拘束ケージに収容して、線形加速器によって8.5 Gyで胸部のみを標的とするように視準された二つの側方視野を通して線量率3 Gy/分で放射線を照射した(胸部の総線量17.5 Gy)。
B.プロトコール
麻酔
野生型C57BL/6マウスをイソフルランの気管内投与のために麻酔した。麻酔の深さを触覚刺激に対する反応に関して呼吸速度に関してモニタリングする。アベルチンの腹腔内注射(0.4〜0.7 ml/マウスi.p.)を用いて胸部放射線照射技法のために動物を麻酔する。麻酔の深さは、呼吸速度および触覚刺激に対する反応によってモニタリングする。
硫化水素に対する曝露
マウスをマウス(IR1606)に関して既に用いられたものと類似の閉鎖プレクシグラスガス付加チャンバーに入れる。チャンバーは二つの口(入口と出口)を有する。室内の空気によって平衡にしたH2S(80 ppm)を含むガスをチャンバーの中に1 L/分の割合で通気する。ガスを、出口換気口から室内の排気口まで伸長するホースを有する部屋の換気システムを用いて部屋から換気する。
有害物質の投与
線形加速器を用いて総線量17.5 Gyによって、ガス付加室にいるマウスに放射線を照射する。この線量は、マウスにおいて、線維症へと進行する亜急性肺損傷を誘導するであろう。マウスは放射活性ではなく、またはそれ以外でもヒトもしくは他の動物に対して害を与えないであろう。放射線照射に関して、特別なモニタリング、容器、または排気は必要ではない。
計画的安楽死
胸部照射後約13〜26週で、動物を深部麻酔(アベルチン0.4〜0.7 ml i.p.を用いて)によって安楽死させた後、下大静脈穿刺による瀉血を行う。気管支肺胞洗浄を行って、炎症細胞数、白血球百分率、および洗浄液タンパク質濃度を決定する。肺および食道組織を組織学評価およびコラーゲン含有量分析のために摘出する。
瀕死の動物
胸部放射線照射は、マウスにおける最終的な死亡率に関連し、放射線照射後10週までに15%および22週までに50%が死につつある。試験者らは、有害事象に関して動物を毎日モニタリングして(マウスが安定に見えるまで最初は1日2〜3回、その後疾患が進行し始めるまで1日1回、その時点で本発明者らは毎日複数回観察に戻る)。動物の体重が減少する、毛繕い不能、重度の呼吸窮迫を示す、および/またはぎこちないまたは有意な運動の低下を示す場合、アベルチンの過剰投与によって安楽死させる。実際には、気管支肺胞洗浄および組織学のための組織採取を、これらの予定外の安楽死のために行う。
胸部放射線照射は、それ自身、痛みを伴わないがそれ自身(10週)呼吸数の増加、軽度の食欲喪失、軽度の体重減少、および/または毛繕い不能を示す可能性がある。試験者および動物施設のスタッフは、そのような有害作用に関して動物を毎日モニタリングする。動物が食べていないように思われる場合、軟らかい飼料および液体補助食を提供する。動物が疼痛を感じている場合、ブトルファノール(0.2 mg/kg i.p.)またはブフレノルフィン(1.0 mg/kg bid.s.q.)による鎮痛剤を必要に応じて投与する。動物が苦しんでいるように思われる、待期的手段によって改善されない場合、直ちに安楽死させる。肺および食道組織を、計画的剖検時の組織病理学的評価およびコラーゲン含有量の分析のために採取する。
放射線照射後の飼育
施設の他の部分に対して任意の病原体が伝搬するリスクを最小限にするために、およびいくぶん免疫無防備状態であるこれらの動物を保護するために、これらの動物に対する全ての作業は毎日最初に行い(施設における他の任意の動物の前に)、生物研究安全キャビネットにおいて行う。偶発性の感染症のリスクを最小限にするために、マウスにはオートクレーヴしたケージと床とを与える。さらに、それらには、病原体を殺すために放射線を照射した標準的な齧歯類用飼料を与える。
野生型C57BL/6マウスに17.5 Gyの胸部放射線照射を行う。マウスをアベルチンの腹腔内投与によって安楽死させて、個々の布製のマウスケージに入れて、マウス(IR1606)に関して既に記述したものと類似の閉鎖プレクシグラスガス付加チャンバーに入れる。チャンバーは二つの入口(入口と出口)を有する。室内の空気によって平衡にしたH2S(80 ppm)を含むガスを1 L/分の速度でチャンバーに通気する。ガスを、輸出用換気口から部屋の排気口まで伸びるホースを有する室内換気システムを用いて室内から換気する。ガス付加室において、マウスに線形加速器によって、胸部のみを標的とするように視準した二つの側方視野を通して線量率3 Gy/分で8.5 Gyを照射する(胸部総照射線量17.5 Gy)。胸部放射線照射の終了後、動物をマイクロアイソレーターケージに戻して麻酔から覚めるまでモニタリングする。
計画的剖検
動物一組を放射線照射後13週目に剖検して、損傷の炎症相を評価する。もう一組の動物を26週目に安楽死させて、損傷の線維症相を評価する。動物をアベルチンによって麻酔した後、瀉血した。肺をPBS 1000 μlならびに総細胞数および白血球百分率のために氷中で維持した洗浄液によって洗浄する。右肺をヒドロキシプロリン含有量のために採取して、左肺に10%NBFを気管を通して25〜30 cm圧によって注入する。食道、気管、左肺、および心臓を10%NBFに浸漬して、処理および病理評価のためにFHCRC組織学共同資源研究室に送る。
胸部放射線照射は、それ自身、痛みを伴わないがそれ自身(10週)呼吸数の増加、軽度の食欲喪失、軽度の体重減少、および/または毛繕い不能を示す可能性がある。試験者および動物施設のスタッフは、そのような有害作用に関して動物を毎日モニタリングする。動物が食べていないように思われる場合、軟らかい飼料および液体補助食を提供する。動物が疼痛を感じている場合、ブトルファノール(0.2 mg/kg i.p.)またはブフレノルフィン(1.0 mg/kg bid.s.q.)による鎮痛剤を必要に応じて投与する。動物が苦しんでいるように思われ、待期的手段によって改善されない場合、CO2窒息によって直ちに安楽死させる。
主な問題は、食道炎(飼料および水の摂取量の減少の結果)および呼吸不全(酸素取り込みの減少)である可能性がある。本発明者らは、動物が安定で良好となることが確信されるまでこれらの動物を1日2〜3回チェックし、その時点でチェックの回数を1日1回に減少させ、疾患が進行し始めた時点で動物を毎日複数回チェックに戻す。補助的な飼育はいくつかの方法において提供される。動物が十分に餌を食べず、水を飲んでいない場合(体重減少および毛繕いの問題によって示される)、本発明者らは、軟らかい飼料を提供し、輸液(乳酸加リンゲル液、1〜2 ml/マウス、口径の小さい針(>20 G)を用いて1日1〜2回sc)を提供する。動物が痛みを感じている場合、必要に応じてバトルファノール(0.2 mg/kg i.p.)またはブフレノルフィン(1.0 mg/kg bid s.q.)による鎮痛剤を投与する。動物が苦しんでいる用に見え、待期的手段によって改善しない場合、CO2窒息によって直ちに安楽死させる。動物が、胸部放射線照射時に有意な疼痛を示し、苦しんでいる場合には、動物をCO2窒息によって安楽死させる。
第三の実験は、本質的に先に記述した通りに低下したキャビネット内温度10.5℃で80 ppm H2Sの調節された大気に遠隔操作マウスを供することであった。実験のあいだ、マウスを肉眼で観察して、その運動をウェブカメラによって記録し、遠隔操作測定を上記のように記録した。マウスを80 ppm H2Sの調節大気に曝露して、キャビネットの温度を一定の10.5℃に低下した。約6時間の期間の終了後、キャビネットの温度を25℃に設定することによってキャビネットを加熱した。マウスを、中心体温が17℃〜18℃となるまで、調節されたH2S大気において加温して、その後調節された大気を部屋の空気と交換した。調節された大気において、マウスの中心体温の10.5℃への明らかな減少を認め、これは総身体運動の顕著な低下を伴った。呼吸速度は、約1時間15分のあいだ、肉眼で観察して検出不能な速度まで低下した。キャビネットを加温した後、マウスの中心体温が14℃に達すると、弱い呼吸を認めた。加温相のあいだ、中心体温は17℃〜18℃に上昇し、マウスは呼吸および運動を示し、調節された大気を室内の空気と交換した。中心体温が25℃に回復すると、正常な運動および呼吸は完全に明らかであった。マウスは、無処置動物と比較して、挙動に明らかな変化を示さなかった。
実施例6−細胞および哺乳類試験
A.イヌの試験
その中心体温をモニタリングするために、遠隔操作装置を外科的に埋め込んだイヌに関してイヌの試験を行う。動物を致死下用量の硫化水素の存在下または非存在下で10時間調べる。この期間のあいだ、マウスを遠隔操作によってバイタルサインに関して連続的にモニタリングする。環境温度も同様に、30分間15℃に低下させて、動物の中心体温に何らかの作用を有するか否かを決定する。
技法は、イヌ2匹の2群(計4匹)について行う。遠隔操作の出費のために、本発明者らは、これらの実験を連続して行う。第一の群からの結果が、仮説が正しくないことを示している場合、試験を第二の群のイヌ2匹について繰り返す。第二の群の結果が仮説を支持しない場合、プロジェクトを中止する。
毒性試験から、H2SレベルがヒトでのOSHA限界より高いものの、ラットおよびマウスの双方をH2S 80 ppmに毎日6時間、毎週5日間90日間曝露しても有害作用を示さないことがこれまでに示されていることが証明された。これには、腸管、肺、心臓、肝臓、腎臓、または他の臓器の肉眼的および組織病理学的検査の双方が含まれた。本試験者の知る限り、イヌの硫化水素に対する曝露に関する情報は入手できない。
H2Sに関する研究における重要な問題は、硫化水素に曝露して有害な作用を認めなかった齧歯類に関する研究を発表した他の研究者によって記述された用量(80 ppm)を超えていない点である。利用できるガスの科学にはかなりの経験があり、本発明者らは既定の用量でマウスにガスを送達することができる。動物および試験者の双方に害を与えないように、多くの予防策を講じる。これらの予防には、OSHA限界に対してアラームをセットして、感度を1 ppmにしてガス混合物をモニタリングすること、および系の内外に漏出することなく明細書に従ってガスを混合および送達することができる多様な機器を絶えずモニタリングすることが含まれる。
プロトコールのタイムラインを表5に示す。
(表5)試験のタイムライン
Figure 0004914216
B.ヒト血小板
酸化的燐酸化の阻害剤を用いることがヒトの利益のために用いることができるという考え方を調べるために、本発明者らは、酸素に対する致死的な曝露からそれらを保護するためのヒト組織において仮死状態を誘導した。予備実験において、本発明者らは、ヒト皮膚を100%CO環境に置いた。本発明者らは、24時間後、皮膚細胞がCOでは室内の空気の場合より100倍良好に生存することを観察する。これらの結果は非常にすばらしく;それらは酸化的燐酸化の阻害剤がヒト組織において有効となりうるという証明を提供する。
もう一組の実験は、血小板において誘導された仮死状態の保護作用を証明する。一単位の血小板を半分に分けた。最初の半分を標準的な保存条件で維持し、これは、血小板を絶えず振とうさせながら室温(22〜25℃)で維持することを含む。残りの半分を、酸素を除去するために標準的な方法を用いて無酸素環境(<10 ppm酸素)の中に入れた。2組の血小板を0、5、および8日目に比較した。無酸素条件で維持した血小板は、凝集脳、細胞形態学、アネキシン-V染色(初期アポトーシスマーカーとしての外膜に対するホスファチジルセリンのフリッピング)等を含む、異なるインビトロ試験5個のパネルに対して、標準条件で維持した血小板と同等またはそれより良好な性能を示した。これは、代謝活性、特に酸化的燐酸化の制御は、酸素の除去によって得ることができること、および長期間のスタシスにおいて細胞機能に及ぼす保護作用を有することを示している。
硫化水素は、チトクロームCオキシダーゼに結合することができると共にCOに結合することができ、必要に応じて酸化的燐酸化を停止させることができる。これは酸化的燐酸化の妨害に関して非常に強力であり、人が0.1%硫化水素を有する大気中で1回呼吸すると、もう一度吸うことはないであろう。その代わりに、人は直ちに床に倒れ、これは工業での状況において「ノックダウン」として一般的に呼ばれる事象である。新鮮な空気に急速に移動すると(および転倒によって損傷をうけなければ)、これらの人は時に蘇生して、神経学的問題もなく生き続けることから、これは可逆的であるように思われる。われわれの世界では一般的であるのみならず、実際に自身の細胞においても産生されるが、酸素送達に影響を及ぼさない酸化的燐酸化の強力な可逆的阻害剤である物質が存在する。
C.マウスの試験
H 2 Sを用いた冬眠様状態の誘導
定義によれば、恒温動物は、室温より10〜30℃高い中心体温を維持する。これらの動物がこれを行うためには、動物は、酸化的燐酸化によって産生されたエネルギーから熱を産生しなければならない。酸化的燐酸化における最終酵素複合体はチトクロームcオキシダーゼである。硫化水素はこの複合体を阻害することから(Petersen, 1977;Khanら、1990)、本発明者らは恒温動物を硫化水素に曝露すると、そのような動物が周囲温度よりかなり高いその中心体温を維持できなくなると予想する。
この仮説を調べるために、本発明者らは、恒温動物(マウス)の中心体温と活動度レベルの双方を連続的にモニタリングしようと考えた。マウスの腹腔に埋め込んだ遠隔操作装置は、これらの双方を行うことができ、マウスの取り扱いによる偏見を読み取り値に導入しないという長所を有する(Briese, 1988)。さらに、それらは、硫化水素ガスの曝露のあいだ、マウスを遠隔でモニタリングすることができる。用量80 ppmの硫化水素は、10週間まで曝露したマウスに対して無害であることがこれまでに示されている(CIIT 1983;Hays, 1972)。したがって、これらの実験に関して、本発明者らは用量80 ppmの硫化水素を用いて本発明者らの仮説を調べた。硫化水素80 ppmを含む大気を作製することは簡単ではない。酸素の存在下では、硫化水素は経時的に硫酸塩に酸化される。その理由から、本発明者らが80 ppm硫化水素を含む大気にマウスを絶えず曝露するために、本発明者らは、窒素によって平衡にした500 ppmの硫化水素のタンクによって室内の空気を絶えず混合する。
中心体温制御の特徴付け
マウスを80 ppm H2Sに曝露すると、その中心体温は、周囲より約摂氏2℃低下する(図5A)。この作用は80 ppm硫化水素に6時間曝露したマウス7匹の中心体温の平均値が類似のパターンに従うことから、非常に再現性が高い(図5A)。これらのマウス7匹の中心体温の最低の平均値は、室温13℃において15℃であった。これらのマウスは全て、大気を室内の空気のみを含む大気に切り替えて再度加温すると首尾よく回復した。対照として、本発明者らは、窒素を硫化水素の代わりに置換したが、中心体温の実質的な低下を認めなかった。
これらのマウスは、中心体温および呼吸速度の双方が一時的に低下したにもかかわらず、表面上は正常であるように思われるが、本発明者らは、硫化水素ガスに対する曝露、中心体温の極端な低下、呼吸速度の減少、またはこれらの作用の複合のために神経学的損傷が起こった可能性を除外するために、一連の行動学試験を行った。試験は全て、硫化水素に対する曝露の前後に行った。これらの行動学試験は、マウスヒト疾患モデル協会(Rogersら、1997)によって開発されたSHIRPAプロトコールから選択した。これから、本発明者らは、冬眠様状態に入ることは有害ではないという結論に達した。
H 2 S用量の予備的な最適化
上記の実験は、マウスの中心体温に及ぼす硫化水素80 ppmの影響を記述している。体温調節の喪失にとって十分な硫化水素の濃度を決定するために、本発明者らはマウスを一連の硫化水素濃度(20 ppm、40 ppm、60 ppm、および80 ppm)(図6)に曝露した。20 ppmおよび40 ppmの硫化水素はマウスの中心体温の低下を引き起こすために十分であったが、これは硫化水素60 ppmおよび80 ppmにおいて認められた低下と比較すると軽微であった。この実験から、本発明者らは、熱発生の喪失はマウスに投与された硫化水素濃度に直接依存するという結論に達した。硫化水素の用量範囲および薬物動態研究に関するこの予備試験は、より包括的な分析の必要性を強調する。
低い中心体温の限界の予備的な定義
本発明者らはまた、マウスに関してこの状態において許容される中心体温の範囲と期間の双方の認容性のより完全な理解を確立することに関心を持った。上記の実験は、本発明者らが必要に応じてマウスの中心体温を13〜15℃に繰り返し低下させることができることを示している。さらに、マウスは、この処置に何時間も認容できるように思われる。同じプロトコールを用いて、室温を低下させながら、本発明者らはマウスの中心体温を10.7℃にすることに成功した(図7)。中心体温をさらに低く、長期間にわたって低下させるさらなる試みを今後行う予定である。予備的ではあるが、これらの結果は、マウスの生物学によって許容される中心体温の有意な範囲が存在すること、および硫化水素曝露による熱調節の喪失を通してこの範囲を探索することができることを証明している。
内因性H 2 Sレベルの調節
哺乳類細胞が、内因性に硫化水素を産生することは周知である(Wang 2002)。この化学物質は、細胞において劇的に産生されることから、このことが外から投与された硫化水素の薬物動態に劇的な影響を及ぼしうることから、異なる条件で基礎レベルを理解することが重要である。本発明者らの研究のこの本質的な局面に取り組むために、本発明者らは、マウスにおける内因性の硫化水素レベルをアッセイし始めた。本発明者らは、ガスクロマトグラフィーおよび質量特異的検出と組み合わせた抽出アルカリ技術を用いて、硫化水素を定量した(Hysplerら、2002)。この方法を用いて、本発明者らは、無処置のマウスにおける硫化水素レベルを調べた。図8Aは、マウスにおいて有意な量の硫化水素が存在することを示している。さらに、硫化水素レベルは、マウスの周囲温度に依存するように思われる。特に、マウスが低温に存在する場合、マウスの内因性のスルフィドレベルは低く、マウスが暖かい周囲環境に存在する場合、マウスの内因性のスルフィドレベルは増加した。このことから、本発明者らは、マウスが室温に反応してそのスルフィドレベルを調節するという結論に達した。
内因性レベルの変化はH 2 Sの有効性に影響を及ぼす
室温はマウスにおいて内因性スルフィドレベルを変化させることから、本発明者らは、室温が、外因性の硫化水素に曝露した場合の中心体温の変化に影響を及ぼす可能性があると仮説を立てた。マウスを〜12℃の低温に馴化させて、中心体温の初回減少後に本発明者らが認める長期間持続する平衡を得る(図8B)。したがって、この低温に対する馴化により、マウスは硫化水素ガスの作用による体中心の冷却に対してより抵抗性となるように思われる。しかし、ガス曝露の前にマウスを暖かい熱的中性温度に馴化させると、この平衡は消失する。実際に、正常な体温のマウスは、硫化水素に対して曝露した場合に低温馴化マウスよりかなり急速に低温となった(図8B)。これらのデータは、マウスにおける内因性硫化水素レベルが外からの硫化水素の有効性に対して直接影響を及ぼすことを示唆している。
H 2 Sは低酸素状態からマウスを保護する
正常な室内の空気は酸素を約21%含む。マウスモデルにおける低酸素症に及ぼすスタシスの保護作用を調べる予備実験において、80 ppm硫化水素に曝露したマウスは5.2%酸素の11分を生き延びて、3週間後、マウスは元気であった。これまでに公表された研究では、硫化水素の非存在下でこのように曝露したこれらの動物(C57BL)の90%が生存しないことが示されている(Zhangら、2004)。この実験は、80 ppm H2Sにマウスを3時間予め平衡にした後、先の実験に記述したチャンバーにおける酸素分圧を低下させることを含んだ。先に記述した場合と同じ流速を用いた(すなわち0.5 Lチャンバーにおいて500 cc/ml)。当業者には、マウスの群を4%酸素に曝露した場合、100%が15分以内に死亡するであろうことは十分に確立されている。したがって、酸素分圧が4%に減少したあいだH2Sを投与したマウスは、これらの低酸素条件において長時間(1時間まで)生存している。マウスは回復後これらの条件によって影響を受けないように思われ、24時間後に調べたところ、生存して正常に反応する。この実験は、マウスが、酸素分圧が正常レベル(21%O2)に戻るまで低酸素条件の曝露終了時のH2Sにおいて保持されるという点において上記とは異なる。
本明細書に開示および請求される組成物および方法は全て、本開示に照らして不当な実験を行うことなく作製および実行することができる。本発明の組成物および開示は好ましい態様に関して記述されているが、組成物および方法、本明細書に記述の方法の段階または段階の順序に変更を適用してもよく、それらも本発明の概念、趣旨、および範囲に含まれることは当業者に明らかであろう。より詳しく述べると、化学および物理的に関連する特定の物質を本明細書に記述の物質に置換してもよく、同じまたは類似の結果が得られるであろうことは明らかであろう。当業者に明らかなそのような類似の置換および改変は添付の特許請求の範囲によって明らかにされる本発明の趣旨、範囲、および概念に含まれると思われる。
参考文献
以下の参考文献は、それらが本明細書に記載の内容を補足する例としての技法または他の詳細を提供する程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
米国特許第3,777,507号
米国特許第3,881,990号
米国特許第3,995,444号
米国特許第4,034,753号
米国特許第4,186,565号
米国特許第4,266,573号
米国特許第4,292,817号
米国特許第4,442,856号
米国特許第4,447,415号
米国特許第4,473,637号
米国特許第4,502,295号
米国特許第4,559,258号
米国特許第4,745,759号
米国特許第4,798,824号
米国特許第4,828,976号
米国特許第4,938,961号
米国特許第4,951,482号
米国特許第5,066,578号
米国特許第5,157,930号
米国特許第5,217,860号
米国特許第5,231,025号
米国特許第5,285,657号
米国特許第5,326,706号
米国特許第5,370,989号
米国特許第5,395,314号
米国特許第5,399,363号
米国特許第5,405,742号
米国特許第5,466,468号
米国特許第5,470,738号
米国特許第5,476,763号
米国特許第5,543,158号
米国特許第5,552,267号
米国特許第5,568,910号
米国特許第5,569,579号
米国特許第5,580,781号
米国特許第5,599,659号
米国特許第5,636,643号
米国特許第5,641,515号
米国特許第5,645,081号
米国特許第5,693,462号
米国特許第5,699,793号
米国特許第5,719,174号
米国特許第5,736,397号
米国特許第5,739,169号
米国特許第5,752,929号
米国特許第5,801,005号
米国特許第5,830,880号
米国特許第5,846,945号
米国特許第5,912,019号
米国特許第5,952,168号
米国特許第6,013,256号
米国特許第6,046,046号
米国特許第6,046,046号
米国特許第6,054,261号
米国特許第6,054,261号
米国特許第6,057,148号
米国特許第6,100,082号
米国特許第6,187,529号
米国特許第6,365,338号
米国特許第6,490,880号
米国特許第6,492,103号
米国特許第6,524,785号
米国特許第6,552,083号
米国特許第6,602,277号
米国特許第6,790,603号
Figure 0004914216
Figure 0004914216
Figure 0004914216
以下の図面は本明細書の一部を構成し、本発明の特定の局面をさらに示すために含まれる。本発明は、本明細書に示した特定の態様の詳細な説明と共に、これらの図面の一つまたはそれ以上を参照することによってよりよく理解される可能性がある。
ヒトケラチノサイトは100%COに対する曝露後生存する。細胞を倒立位相差顕微鏡を用いて肉眼的に調べた。細胞死の指標であるトリパンブルー染色によって判断した生存ケラチノサイト数の定量。 低酸素症における生存性の不連続性。成体に対する生存率を、野生型胚における無酸素症(純粋なN2)、中間的な低酸素症(0.01 kPa O2、0.05 kPa O2、または0.1 kPa O2)、または軽度の低酸素症(0.5 kPa O2)に対する24時間の曝露後にアッセイした。データポイントは全て少なくとも3回の独立した実験の結果であり、説明することができない虫は全体から除去した。 一酸化炭素は低酸素症から保護する。成体に対する生存率を、野生型胚における純粋な一酸化炭素、0.05 kPa O2/N2、または0.05 kPa O2/COの24時間の曝露後にアッセイした。データポイントは全て、少なくとも3回の実験の結果であり、説明することができない虫は全体から除去した。 マウスを硫化水素に曝露した場合、体中心温度の前に代謝速度は減少する。マウスに80 ppm(X軸の0分)を曝露すると、5分未満でCO2産生(黒い線)は約3倍減少する。これは、室温に対して動物のコア温度(灰色の線)の低下の前に起こる。 硫化水素に曝露されたマウスの体温。それぞれの軌跡は、80ppmのH2Sまたは室内の空気のいずれかに対して曝露された個々のマウスの中心体温の連続的な測定を表す。垂直軸の数値は、セ氏での体温である。横軸の数値は時間を反映する。実験を6時間行った後、回復の記録を行った。開始点は1:00であり、6時間処置の終了時間は約7:00である。 80 ppm硫化水素に対する曝露はマウスの中心体温を室温に近づける。ガスのスイッチを入れて、0:00時から温度を低下させた。大気を6:00時に室温に戻した。三角は、無線遠隔測定によって決定したマウスの中心体温を示す。これは0:00時で約39℃であった。菱形は室温を示し、これは実験の最初の3時間で23℃から13℃に減少し、その後6:00時から23℃に向けて再度増加して9:00時頃に安定化した。 中心体温の低下速度は、マウスに曝露した硫化水素濃度に依存する。線は全て、放射遠隔測定によって決定したマウス1匹の中心体温を表す。20 ppmおよび40 ppm H2Sを与えたマウスは、中心体温のわずかな低下を示す。60 ppmの曝露は、約4:00時に始まった体温の実質的な低下を誘導した。80 ppmを曝露したマウスは、ほぼ2:00時に始まった体温の実質的な低下を示した。 最低中心体温。80 ppm硫化水素に曝露したマウスに関して記録された最低中心体温は、10.7℃であった。三角は、0時に約39℃で開始した放射遠隔測定によって決定したマウスの中心体温を示す。菱形は室温を示し、これは約23℃で始まり、実験の中間地点までに10℃未満に低下し、その後室温に向けて再度増加した。 硫化水素の内因性レベルは、暖かい気候に馴化させたマウスにおいて増加する。灰色のバー(左の二つのバー)は、4℃に馴化させた異なる2匹のマウスの内因性のH2S濃度を示す;黒色のバー(右の二つのバー)は、30℃に馴化させた個々のマウス2匹の内因性のH2S濃度を示す。硫化水素濃度はGC/MSによって決定した。 硫化水素依存的体温低下に及ぼす室温の影響。硫化水素の曝露による中心温度(℃で表記)の低下速度は、馴化温度に依存する。マウスを1:00にガスに曝露した。三角は、放射遠隔測定によって決定した、12℃に馴化させたマウスの中心体温を示す。四角は、30℃に馴化させた動物の中心体温を示す。 本発明の態様に従う呼吸ガス送達システムを示すブロック図である。 本発明の態様に従う呼吸ガス送達システムを示す略図である。 本発明のさらなる態様に従う呼吸ガス送達システムを示す略図である。 本発明の態様に従う操作を示すフローチャートである。 本発明の態様に従う組織処置ガス送達システムを示す略図である。 本発明の態様に従う操作を説明するフローチャートである。 代謝的阻害は線虫における低体温症誘導死から保護する。低温(4℃)に曝露した線虫は24時間後生存することができない。しかし、低体温症の期間無酸素状態で維持すると(およびその前後1時間)、実質的な比率の線虫が生存する。

Claims (43)

  1. 硫化水素の有効量を含む、細胞、組織、臓器または生物においてスタシスを誘導するための剤であって、
    該スタシスは、細胞、組織、臓器、または生物は、生きているが、細胞分裂、発達的進行、または代謝状態のために必要な細胞機能が、遅れているまたは停止している状態であり、該スタシスは、睡眠、昏睡、死、麻酔状態、または大発作の状態ではない、剤。
  2. 硫化水素が、ガスまたは液体である、請求項1記載の剤。
  3. 硫化水素がガスである、請求項1または2記載の剤。
  4. 哺乳類がガスを吸入する、請求項3記載の剤。
  5. 液体が哺乳類に注射されるまたは哺乳類によって飲み込まれる、請求項2記載の剤。
  6. 剤が、硫化水素および他のガスを含むガス混合物である、請求項3または4記載の剤。
  7. 他のガスが非毒性ガスである、請求項6記載の剤。
  8. 他のガスが非反応性ガスである、請求項6記載の剤。
  9. 他のガスが非毒性および非反応性である、請求項6記載の剤。
  10. 非毒性、非反応性ガスが水素、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトン、またはウンウンオクチウムである、請求項9記載の剤。
  11. 硫化水素が酸素と混合されて酸素ガス混合物を形成する、請求項3〜4、6〜10のいずれかに記載の剤。
  12. 酸素ガス混合物における酸素の量が混合物における全ての他のガスの全量未満である、請求項11記載の剤。
  13. 硫化水素が哺乳類に2回またはそれ以上投与される、請求項1記載の剤。
  14. 哺乳類がヒトである、請求項13記載の剤。
  15. 哺乳類が物理的外傷に供される、請求項13記載の剤。
  16. 外傷が、手術、卒中、心臓発作、骨折、軟組織損傷、内部出血、臓器損傷、切断、振とう、および/または火傷である、請求項15記載の剤。
  17. 哺乳類が出血性ショックのリスクを有するまたは出血性ショックを有する、請求項4〜16のいずれかに記載の剤。
  18. 哺乳類が手術を受ける、請求項13記載の剤。
  19. 細胞、組織、臓器または生物が、心臓、肺、腎臓、肝臓、骨髄、膵臓、皮膚、骨、静脈、動脈、角膜、血液、小腸、大腸、脳、脊髄、平滑筋、骨格筋、卵巣、精巣、子宮、または臍帯からの臓器、組織、または細胞である、請求項1〜18のいずれかに記載の剤。
  20. 細胞、組織、臓器または生物が以下の細胞タイプ:血小板、骨髄細胞、赤血球、リンパ球、脂肪細胞、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、内分泌細胞、グリア細胞、ニューロン、分泌細胞、障壁機能細胞、収縮細胞、吸収細胞、粘膜細胞、輪部細胞(角膜)、幹細胞、非受精もしくは受精卵細胞、または精子を含む、請求項1〜18のいずれかに記載の剤。
  21. 硫化水素の有効量を含む、哺乳類における臓器移植の拒絶を阻害するための剤。
  22. 硫化水素の有効量を含む、バイパス手術を受ける患者において、バイパス手術時に、心臓の生存を維持しながら鼓動の停止を誘導するための剤。
  23. 硫化水素の有効量を含む、患者における出血性ショックを予防するための剤。
  24. 硫化水素の有効量を含む、低酸素/虚血の損傷の予防又は治療用薬剤。
  25. カルコゲナイド化合物の有効量を含む、出血性ショックの治療用薬剤であって、カルコゲナイド化合物が硫化水素を含む、治療用薬剤。
  26. 治療が、血液損失の間に行われる、請求項25に記載の薬剤。
  27. カルコゲナイド化合物の有効量を含む、中心体温を低下させることによる外傷の影響の治療用薬剤であって、カルコゲナイド化合物が硫化水素を含む、治療用薬剤。
  28. 前記薬剤が、静脈内、皮内、動脈内、腹腔内、病変内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、鼻腔内、硝子体内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、眼内、皮下、結膜下、膀胱内、粘膜内、心膜内、臍帯内、眼内、口腔内、局所塗布、吸入、注射、注入、連続注入、局所潅流、カテーテル、または洗浄により投与するために処方された、請求項24〜27のいずれかに記載の薬剤。
  29. 前記薬剤が、1分〜1週間の間の、注射、潅流またはインキュベートにより投与するために処方された、請求項24〜28のいずれかに記載の薬剤。
  30. 硫化水素が、ガスまたは液体である、請求項24〜28のいずれかに記載の薬剤。
  31. 硫化水素がガスであり、薬剤は硫化水素および他のガスを含むガス混合物であり、該他のガスが、水素、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトン、ラドン、およびウンウンオクチウムからなる群から選ばれる非毒性ガスおよび/または非反応性ガスである、請求項24〜28のいずれかに記載の薬剤。
  32. 硫化水素がガスであり、硫化水素は酸素と混合されて酸素ガス混合物を形成し、該酸素ガス混合物における酸素の量が混合物における全ての他のガスの全量未満である、請求項24〜28および31のいずれかに記載の薬剤。
  33. 薬剤が、非生理的温度である−20℃〜4℃の間の制御された温度環境に患者を供する前、あいだ、または後に投与するために処方された、請求項24〜29のいずれかに記載の薬剤。
  34. 薬剤が、非生理的温度である0℃〜50℃の間の制御された温度環境に患者を供する前、あいだ、または後に投与するために処方された、請求項24〜29のいずれかに記載の薬剤。
  35. 患者が、1分〜1年の期間制御された温度環境に供される、請求項33または34記載の薬剤。
  36. 患者が、調節された環境の酸素レベルに供される、または患者が、酸素を有する環境から除去された、請求項33または34記載の薬剤。
  37. 薬剤が、閉鎖環境における投与用に処方された、請求項33または34に記載の薬剤。
  38. 治療が、手術の前に行われるものであり、該手術が緊急の手術である、請求項24〜29のいずれかに記載の薬剤。
  39. 硫化水素が、静脈内投与または吸入により投与される、請求項38に記載の薬剤。
  40. 硫化水素の有効量を含む、哺乳類における出血性ショックによる細胞の損傷を低減するための薬剤。
  41. 硫化水素の有効量を含む、バイパス手術を受ける患者において、バイパス手術時に、心臓の生存を維持しながら心臓の鼓動の停止を誘導するための薬剤。
  42. 前記硫化水素が液体に溶解している、請求項40または41に記載の薬剤。
  43. 前記硫化水素がガスである、請求項40または41に記載の薬剤。
JP2006536810A 2003-10-22 2004-10-22 細胞、組織、臓器、および生物においてスタシスを誘導するための方法、組成物、および装置 Expired - Fee Related JP4914216B2 (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US51345803P 2003-10-22 2003-10-22
US60/513,458 2003-10-22
US54815004P 2004-02-26 2004-02-26
US60/548,150 2004-02-26
US57794204P 2004-06-08 2004-06-08
US60/577,942 2004-06-08
PCT/US2004/034980 WO2005041655A1 (en) 2003-10-22 2004-10-22 Methods, compositions and devices for inducing stasis in cells, tissues, organs, and organisms

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2007509162A JP2007509162A (ja) 2007-04-12
JP2007509162A5 JP2007509162A5 (ja) 2007-12-20
JP4914216B2 true JP4914216B2 (ja) 2012-04-11

Family

ID=34557350

Family Applications (3)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006536810A Expired - Fee Related JP4914216B2 (ja) 2003-10-22 2004-10-22 細胞、組織、臓器、および生物においてスタシスを誘導するための方法、組成物、および装置
JP2006536822A Withdrawn JP2007509163A (ja) 2003-10-22 2004-10-22 組織および臓器においてスタシスを誘導する方法、組成物、および装置
JP2006536886A Withdrawn JP2007526241A (ja) 2003-10-22 2004-10-22 細胞においてスタシスを誘導する方法、組成物、および装置

Family Applications After (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006536822A Withdrawn JP2007509163A (ja) 2003-10-22 2004-10-22 組織および臓器においてスタシスを誘導する方法、組成物、および装置
JP2006536886A Withdrawn JP2007526241A (ja) 2003-10-22 2004-10-22 細胞においてスタシスを誘導する方法、組成物、および装置

Country Status (9)

Country Link
US (2) US7993681B2 (ja)
EP (5) EP2363022A3 (ja)
JP (3) JP4914216B2 (ja)
CN (1) CN1901795B (ja)
AU (4) AU2004285477A1 (ja)
BR (1) BRPI0415752A (ja)
CA (3) CA2542810A1 (ja)
HK (1) HK1216284A1 (ja)
WO (3) WO2005041655A1 (ja)

Families Citing this family (43)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7635680B2 (en) * 2001-02-21 2009-12-22 Alavita Pharmaceuticals, Inc. Attenuation of reperfusion injury
US7645739B2 (en) 2001-02-21 2010-01-12 Alavita Pharmaceuticals, Inc. Modified annexin compositions and methods of using same
US7635676B2 (en) * 2001-02-21 2009-12-22 Alavita Pharmaccuticals, Inc. Modified annexin proteins and methods for their use in organ transplantation
US20090291086A1 (en) * 2001-02-21 2009-11-26 Alavita Pharmaceuticals, Inc. Compositions and Methods for Treating Cerebral Thrombosis and Global Cerebral Ischemia
US20050053912A1 (en) * 2001-06-11 2005-03-10 Roth Mark B. Methods for inducing reversible stasis
US20050170019A1 (en) * 2003-10-22 2005-08-04 Fred Hutchinson Cancer Research Center Methods, compositions and devices for inducing stasis in cells
CN1901795B (zh) 2003-10-22 2014-03-26 弗雷德哈钦森癌症研究中心 用于在细胞,组织,器官,和有机体中诱导停滞的方法,组合物和装置
US20050136125A1 (en) * 2003-10-22 2005-06-23 Roth Mark B. Methods, compositions and devices for inducing stasis in cells, tissues, organs, and organisms
AU2006236150A1 (en) * 2005-04-20 2006-10-26 Fred Hutchinson Cancer Research Center Methods, compositions and articles of manufacture for enhancing survivability of cells, tissues, organs, and organisms
US20070003528A1 (en) * 2005-06-29 2007-01-04 Paul Consigny Intracoronary device and method of use thereof
WO2007033180A1 (en) 2005-09-12 2007-03-22 Abela Pharmaceuticals, Inc. Materials for facilitating administration of dimethyl sulfoxide (dmso) and related compounds
EP2324838A1 (en) 2005-09-12 2011-05-25 Abela Pharmaceuticals, Inc. Compositions Comprising Dimethyl Sulfoxide (DMSO)
US8480797B2 (en) 2005-09-12 2013-07-09 Abela Pharmaceuticals, Inc. Activated carbon systems for facilitating use of dimethyl sulfoxide (DMSO) by removal of same, related compounds, or associated odors
AU2006291134C1 (en) 2005-09-12 2013-08-15 Abela Pharmaceuticals, Inc. Systems for removing dimethyl sulfoxide (DMSO) or related compounds, or odors associated with same
GB0520176D0 (en) * 2005-10-04 2005-11-09 Imp College Innovations Ltd Use
CA2646674A1 (en) * 2006-04-20 2007-11-01 Fred Hutchinson Cancer Research Center Use of chalcogenides for treating shock and other adverse conditions
AU2007281514B2 (en) * 2006-08-01 2011-07-14 Resource Converting, LLC Improved drying system
US20090011051A1 (en) * 2006-09-28 2009-01-08 Roth Mark B Methods, Compositions and Articles of Manufacture for HIF Modulating Compounds
US7923037B2 (en) 2006-10-05 2011-04-12 Ikaria, Inc. Liquid chalcogenide compositions and methods of manufacturing and using the same
KR101538727B1 (ko) 2006-10-05 2015-07-22 이카리아 인코포레이티드 액체 칼코게나이드 조성물 및 이의 제조방법과 사용방법
WO2009003061A1 (en) * 2007-06-25 2008-12-31 Fred Hutchinson Cancer Research Center Methods and compositions regarding polychalcogenide compositions
ES2329329B1 (es) 2008-05-23 2010-09-17 Institut Quimic De Sarria Cets, Fundacio Privada Pasta termoplastica para la reparacion tejidos vivos.
WO2010005959A1 (en) 2008-07-07 2010-01-14 Rich Products Corporation Method for treatment and storage of platelets
US20100031892A1 (en) * 2008-07-07 2010-02-11 Ilyin Ilya Y Method for storage of live crustaceans
BRPI0921494A2 (pt) 2008-11-03 2018-10-30 Prad Reasearch And Development Ltd método de planejamento de uma operação de amostragem para uma formação subterrãnea, método de contolar uma operação de amostragem de formação subterrânea, método de controlar uma operação de perfuração para uma formação subterrãnea, e método de realizar uma amostragem durante a operação de perfuração.
WO2010146547A1 (en) * 2009-06-16 2010-12-23 Biomas Ltd. Tellurium-containing compounds for facilitating transplantation
US9855212B2 (en) 2009-10-30 2018-01-02 Abela Pharmaceuticals, Inc. Dimethyl sulfoxide (DMSO) or DMSO and methylsulfonylmethane (MSM) formulations to treat infectious diseases
JP2012046470A (ja) * 2010-08-30 2012-03-08 Japan Science & Technology Agency Gapdhの酵素活性阻害剤
CA2824948C (en) * 2011-02-07 2020-06-02 Rich Products Corporation Method for preserving cells and cell cultures
DK2760991T3 (en) 2011-09-26 2018-01-22 Rich Tech Holding Company Llc Method of preserving living tissue
WO2014059316A1 (en) * 2012-10-12 2014-04-17 University Of Pittsburgh - Of The Commonwealth System Of Higher Education Compositions and methods for organ preservation
CN102960335B (zh) * 2012-10-22 2013-12-25 同济大学附属上海市肺科医院 应用于无心跳供体肺移植中肺脏低温、通气序贯保存的装置
ES2784202T3 (es) * 2012-12-19 2020-09-23 Rich Tech Holding Company Llc Procedimiento de conservación de concentrado de plaquetas
US10076620B2 (en) 2012-12-22 2018-09-18 Dmf Medical Incorporated Anesthetic circuit having a hollow fiber membrane
PT3104939T (pt) 2014-02-10 2024-07-17 Fred Hutchinson Cancer Center Tratamento de ataque cardíaco e lesão isquémica com iodeto de sódio
CA2980316A1 (en) 2015-03-24 2016-09-29 Osiris Therapeutics, Inc. Compositions comprising meniscal tissues and uses thereof
KR101755255B1 (ko) * 2015-04-30 2017-07-07 연세대학교 원주산학협력단 저대사 유도용 조성물, 저대사 유도방법 및 그 기술을 이용한 어류 운송방법
CN110914202A (zh) 2017-05-15 2020-03-24 Bl科技公司 用于管理膜曝气生物膜中的蠕虫的过程
EP3709801A4 (en) * 2017-11-16 2021-09-08 Safetin Ltd. SYSTEM AND METHOD FOR BLOOD COMPONENTS STORED IN A CARBON MONOXIDE ATMOSPHERE
BR112021018174A2 (pt) * 2019-03-13 2021-11-16 Membrane Protective Tech Inc Métodos e sistemas para a suplementação protetora durante depressão de temperatura.
JP2022536084A (ja) 2019-06-03 2022-08-12 クーラー・ヘッズ・ケア・インコーポレイテッド 冷却キャップ組立体および冷却ユニット
JPWO2022210833A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06
CN118165809A (zh) * 2024-05-15 2024-06-11 保龄宝生物股份有限公司 一种同时满足厌氧好氧环境的发酵罐

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002101018A2 (en) * 2001-06-11 2002-12-19 Fred Hutchinson Cancer Research Center Methods for inducing reversible stasis

Family Cites Families (126)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US1379855A (en) * 1921-05-31 Joseph donneb
US2031489A (en) * 1932-04-15 1936-02-18 Parfumerie St Denis Stable depilatory
US2435854A (en) * 1945-05-07 1948-02-10 Nasa Apparatus for the freezing-drying of tissues
US2487558A (en) * 1948-02-24 1949-11-08 Kamlet Jonas Cream depilatory and process for preparing same
US3587899A (en) * 1967-04-10 1971-06-28 Charles E Bender Freeze drying container
US3777507A (en) 1971-11-24 1973-12-11 Waters Instr Inc Renal preservation system
US3881990A (en) 1971-11-24 1975-05-06 Waters Instr Inc Method of transporting and storing organs while retaining the organs in a viable condition
US3995444A (en) 1974-11-08 1976-12-07 American Hospital Supply Corporation Organ perfusion system
US4034753A (en) 1975-09-29 1977-07-12 Connel Allan A Gas anesthesia machine
US4186565A (en) 1978-05-19 1980-02-05 Henry Ford Hospital Perfusion system for organ preservation
US4266573A (en) 1979-10-19 1981-05-12 Airco, Inc. Anesthesia machine having proportion limiting control system
US4292817A (en) 1980-05-12 1981-10-06 The Mead Corporation Controlled temperature shipping assembly
EP0061277B1 (en) 1981-03-16 1986-09-03 Leonora I. Jost Anaerobic method for preserving whole blood, tissue and components containing living mammalian cells
US4442856A (en) 1981-08-18 1984-04-17 Puritan-Bennett Oxygen regulator and alarm system for an anesthesia machine
US4377554A (en) 1981-08-26 1983-03-22 Becton, Dickinson And Company Generation of microaerophilic atmosphere
WO1984001292A1 (en) 1982-09-27 1984-04-12 Baxter Travenol Lab Method and container for storing platelets
JPS5954598U (ja) 1982-10-01 1984-04-10 市川毛織株式会社 抄紙機の広巾ニツププレス用加圧ベルト
CA1216518A (en) 1982-11-01 1987-01-13 Gail A. Rock Plasma-free medium for platelet storage
US4473637A (en) 1982-11-10 1984-09-25 Guibert, Colman & Associates System for processing an organ preparatory to transplant
US4828976A (en) 1983-12-29 1989-05-09 Thomas Jefferson University Glucose free media for storing blood platelets
FR2559648B1 (fr) 1984-02-16 1988-07-08 Air Liquide Procede de conservation de denrees alimentaires vegetales perissables
US4502295A (en) 1984-02-21 1985-03-05 Mount Carmel Research And Education Corporation Organ hypothermic storage unit
US4562051A (en) 1984-02-27 1985-12-31 Becton, Dickinson And Company Generation of anaerobic or microaerophilic atmosphere
DE3688604T2 (de) 1985-04-30 1993-10-28 Toray Industries Optisches Gerät und Verfahren zu dessen Herstellung.
US4723974A (en) 1985-07-26 1988-02-09 Ammerman Stephen W Transporting container for an amputated extremity
US4798824A (en) * 1985-10-03 1989-01-17 Wisconsin Alumni Research Foundation Perfusate for the preservation of organs
US5266480A (en) 1986-04-18 1993-11-30 Advanced Tissue Sciences, Inc. Three-dimensional skin culture system
US4807442A (en) * 1986-12-03 1989-02-28 Board Of Regents The University Of Texas System Cryo-slamming apparatus and method for ultrarapid cooling of biological samples
US4745759A (en) 1986-12-23 1988-05-24 Bauer Dan O Kidney preservation machine
US5114842A (en) 1987-07-08 1992-05-19 The Scripps Research Institute Peptides and antibodies that inhibit platelet adhesion
US4923442A (en) * 1988-05-02 1990-05-08 Cryomedical Sciences Inc. Blood substitute
JPH0251404A (ja) * 1988-05-31 1990-02-21 Sankyo Kasei Kk 無水硫化ナトリウム結晶の製造法
US4920044A (en) * 1988-11-08 1990-04-24 The Cleveland Clinic Foundation Intracellular flush solution for preserving organs
US4951482A (en) * 1988-12-21 1990-08-28 Gilbert Gary L Hypothermic organ transport apparatus
US4938961A (en) 1989-04-28 1990-07-03 Geoffrey Collins Organ preservation solution containing pokyethylene gycol and method of performing cardioplegia
US5326706A (en) * 1989-07-17 1994-07-05 Research Foundation Of State University Of New York Homeostatic organ preservation system
WO1991001638A1 (en) 1989-07-27 1991-02-21 Jost Leonora I Biological support system container and process for preserving living mammalian matter, ex vivo
US5231025A (en) 1989-11-03 1993-07-27 The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services Anti-platelet monoclonal antibody
US5066578A (en) 1989-12-21 1991-11-19 The Regents Of The University Of California Long-term preservation of organs for transplantation
US5466468A (en) 1990-04-03 1995-11-14 Ciba-Geigy Corporation Parenterally administrable liposome formulation comprising synthetic lipids
FR2667297B1 (fr) 1990-09-28 1994-05-27 Electrolux Sarl Conteneur medical climatise.
US5584804A (en) 1990-10-10 1996-12-17 Life Resuscitation Technologies, Inc. Brain resuscitation and organ preservation device and method for performing the same
US5395314A (en) 1990-10-10 1995-03-07 Life Resuscitation Technologies, Inc. Brain resuscitation and organ preservation device and method for performing the same
US5399363A (en) 1991-01-25 1995-03-21 Eastman Kodak Company Surface modified anticancer nanoparticles
US5569579A (en) * 1991-04-01 1996-10-29 Thomas Jefferson University Synthetic-based platelet storage media
US5157930A (en) 1991-04-22 1992-10-27 Mcghee Samuel C Organ preservation apparatus
US5217860A (en) 1991-07-08 1993-06-08 The American National Red Cross Method for preserving organs for transplantation by vitrification
US5723282A (en) 1991-07-08 1998-03-03 The American National Red Cross Method of preparing organs for vitrification
US5645081A (en) 1991-11-14 1997-07-08 Wake Forest University Method of treating tissue damage and apparatus for same
US5636643A (en) 1991-11-14 1997-06-10 Wake Forest University Wound treatment employing reduced pressure
US5328821A (en) * 1991-12-12 1994-07-12 Robyn Fisher Cold and cryo-preservation methods for human tissue slices
US5552267A (en) 1992-04-03 1996-09-03 The Trustees Of Columbia University In The City Of New York Solution for prolonged organ preservation
US5370989A (en) 1992-04-03 1994-12-06 The Trustees Of Columbia University In The City Of New York Solution for prolonged organ preservation
EP0682697A4 (en) 1993-01-29 1997-07-30 New Brunswick Scientific Co METHOD AND APPARATUS FOR CULTURING ANCHOR AND SUSPENSION CELLS.
ATE155439T1 (de) 1993-01-29 1997-08-15 Schering Plough Healthcare Stabile sulfidepräperate, deren anwendung und herstellung
US5801029A (en) 1993-02-16 1998-09-01 Onyx Pharmaceuticals, Inc. Cytopathic viruses for therapy and prophylaxis of neoplasia
US5464768A (en) * 1993-02-24 1995-11-07 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Air Force Enhanced nitrite production in transfected murine cells
US5508012A (en) 1993-03-05 1996-04-16 Quaker Chemical Corporation Methods for recovering sodium sulfides from a sulfur scavenging reaction
US5599659A (en) 1993-03-11 1997-02-04 Breonics, Inc. Preservation solution for ex vivo, warm preservation of tissues, explants,organs and vascular endothelial cells comprising retinal-derived fibroblast growth factor, cyclodextrin and chondroitin sulfate
US5801005A (en) 1993-03-17 1998-09-01 University Of Washington Immune reactivity to HER-2/neu protein for diagnosis of malignancies in which the HER-2/neu oncogene is associated
US5405742A (en) * 1993-07-16 1995-04-11 Cyromedical Sciences, Inc. Solutions for tissue preservation and bloodless surgery and methods using same
SE9302431D0 (sv) 1993-07-16 1993-07-16 Ab Astra Use of indenoindole compounds
US5543158A (en) 1993-07-23 1996-08-06 Massachusetts Institute Of Technology Biodegradable injectable nanoparticles
US5770583A (en) * 1994-01-25 1998-06-23 Schering-Plough Healthcare Products, Inc. Stable sulfide compositions uses and process for preparation thereof
DE69535920D1 (de) 1994-05-20 2009-04-09 Breonics Inc Verfahren zur überwachung der lebensfähigkeit transplantabler organe
GB9506466D0 (en) 1994-08-26 1995-05-17 Prolifix Ltd Cell cycle regulated repressor and dna element
US5476764A (en) * 1994-09-16 1995-12-19 The Regents Of The University Of California Method using CO for extending the useful shelf-life of refrigerated red blood cells
US5635344A (en) 1994-12-07 1997-06-03 Cedra Corp. Shipping medium for organ-derived cells
US5554497A (en) * 1994-12-12 1996-09-10 Charlotte-Mecklenburg Hospital Authority Cardioplegic solution for arresting an organ
US5568910A (en) 1995-03-02 1996-10-29 Delmarva Laboratories, Inc. Anesthesia machine
JP3543869B2 (ja) 1995-03-07 2004-07-21 株式会社メニコン 培養皮膚およびその製造法
IE80468B1 (en) 1995-04-04 1998-07-29 Elan Corp Plc Controlled release biodegradable nanoparticles containing insulin
US5791151A (en) * 1995-06-07 1998-08-11 Verhaag; Hubert Method of preserving tissues and organs
US5739169A (en) 1996-05-31 1998-04-14 Procept, Incorporated Aromatic compounds for inhibiting immune response
US6013256A (en) * 1996-09-24 2000-01-11 Protein Design Labs, Inc. Method of preventing acute rejection following solid organ transplantation
EP1829550A3 (en) 1996-09-27 2008-04-30 The Trustees of Columbia University in the City of New York Methods for treating an ischemic disorder and improving stroke outcome
AU5251698A (en) 1996-11-07 1998-05-29 21St Century Medicine, Inc. A method for rapid cooling and warming of biological materials
US5912019A (en) 1997-02-07 1999-06-15 Musc Foundation For Research Development Compounds for reducing ischemia/reperfusion injury
US6164276A (en) * 1997-05-16 2000-12-26 Datex-Ohmeda, Inc. Accurate dose nitric oxide pulse delivery device with monitoring and alarms
US6100082A (en) 1997-09-23 2000-08-08 Hassanein; Waleed H. Perfusion apparatus and method including chemical compositions for maintaining an organ
US6109260A (en) * 1998-02-18 2000-08-29 Datex-Ohmeda, Inc. Nitric oxide administration device with timed pulse
US6054261A (en) * 1998-05-20 2000-04-25 Q-Pharma, Inc. Coenzyme Q10 compositions for organ protection during perfusion
FR2785501B1 (fr) 1998-11-10 2001-01-05 Centre Nat Rech Scient Solution de perfusion et/ou de conservation et/ou de reperfusion lors de la transplantation d'organes
US7678390B2 (en) * 1999-04-01 2010-03-16 Yale University Carbon monoxide as a biomarker and therapeutic agent
US6365338B1 (en) 1999-04-27 2002-04-02 David A. Bull Organ preservative solution containing trehalose, anti-oxidant, cations and an energy source
RU2177774C2 (ru) * 1999-04-29 2002-01-10 Научно-исследовательский центр курортологии и реабилитации (г.Сочи) Черноморского зонального управления специализированных санаториев МЗ РФ Способ лечения ишемической болезни сердца, стенокардии напряжения i-ii функциональных классов
FR2793651B1 (fr) * 1999-05-18 2003-05-16 Cair L G L Solution aqueuse de conservation de tissus et d'organes
ES2250154T3 (es) 1999-07-16 2006-04-16 Kissei Pharmaceutical Co., Ltd. Agentes que inhiben las reacciones de rechazo cronico despues de un transplante de organo.
RU2177299C2 (ru) * 1999-07-29 2001-12-27 Научно-исследовательский центр курортологии и реабилитации (г.Сочи) Черноморского зонального управления специализированных санаториев Способ лечения ишемической болезни сердца, стенокардии напряжения i-ii функциональных классов
AU2594001A (en) 1999-12-21 2001-07-03 Bioenergy Inc. Compositions for the storage of platelets
US6492103B1 (en) 2000-01-31 2002-12-10 Organ Recovery Systems, Inc. System for organ and tissue preservation and hypothermic blood substitution
WO2001060411A1 (en) * 2000-02-18 2001-08-23 Kanagawa Academy Of Science And Technology Pharmaceutical composition, reagent and method for intracerebral delivery of pharmaceutically active ingredient or labeling substance
AU2001259169A1 (en) 2000-04-26 2001-11-07 Massachusetts Institute Of Technology Cesert genes, proteins, and modulatory compounds
CA2410564A1 (en) 2000-05-27 2001-12-06 Exelixis Deutschland Gmbh Method for the identification of agents and genes influencing cardiovascular function
WO2001093749A2 (en) 2000-06-09 2001-12-13 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Methods and devices for manipulating thermoregulatory status
US6557492B1 (en) * 2002-07-19 2003-05-06 Sea Chick, Inc. System for transporting and storing live fish, components thereof and methods based thereon
AUPQ906300A0 (en) 2000-07-28 2000-08-24 Monash University Method of preserving cells and uses thereof
US6490880B1 (en) 2000-10-26 2002-12-10 Islet Technology Inc. Regulated organ containment shipping system using dual-layer preservation liquid
FR2816212A1 (fr) 2000-11-03 2002-05-10 Air Liquide Sante Int Utilisation de monoxyde de carbone (co) dans le traitement des inflammations du systeme cardiovasculaire
GB0111872D0 (en) * 2001-05-15 2001-07-04 Northwick Park Inst For Medica Therapeutic agents and methods
WO2002096387A1 (en) 2001-05-25 2002-12-05 Medtronic, Inc. Implantable medical device with controllable gaseous agent release system
MXPA03012031A (es) * 2001-06-21 2005-07-01 Univ Yale El monoxido de carbono mejoraresultados en transplantes de tejido y organo y suprime apoptosis.
US6472390B1 (en) * 2001-11-13 2002-10-29 Duke University Use of therapeutic dosages for nitric oxide donors which do not significantly lower blood pressure or pulmonary artery pressure
CN1602360A (zh) * 2001-12-06 2005-03-30 法布罗根股份有限公司 提高内源性红细胞生成素(epo)的方法
AU2003211102B2 (en) 2002-02-13 2010-03-04 Beth Israel Deaconess Medical Center, Inc. Methods of treating vascular disease
GB0206711D0 (en) * 2002-03-21 2002-05-01 Isis Innovation HIF Inhibitor
PL374241A1 (en) 2002-04-15 2005-10-03 University Of Pittsburgh Of The Commonwealth System Of Higher Education Methods of treating necrotizing enterocolitis
IL149611A (en) * 2002-05-13 2011-07-31 Safetin Ltd Method for extended storage of viable and pathogen-safe blood and blood components using carbon monoxide
US20030235571A1 (en) * 2002-06-19 2003-12-25 Gabriel Gojon-Romanillos Systemic treatment of pathological conditions resulting from oxidative stress and/or redox imbalance
US20040228930A1 (en) 2002-11-07 2004-11-18 Billiar Timothy R. Treatment for hemorrhagic shock
AU2003300435A1 (en) 2002-12-31 2004-07-29 The Board Of Trustees Of The University Of Illinois Tissue and organ preservation, protection and resuscitation
DE10306766A1 (de) * 2003-02-18 2004-08-26 Ino Therapeutics Gmbh Dosierte Abgabe eines therapeutischen Gases
US6857443B2 (en) * 2003-02-24 2005-02-22 George A. Volgyesi Electronic gas blender and gas flow control mechanism therefor
CN1816527A (zh) * 2003-06-06 2006-08-09 菲布罗根有限公司 含氮杂芳基化合物及其在增加内源性促红细胞生成素中的用途
US20080085329A1 (en) * 2003-10-22 2008-04-10 Fred Hutchinson Cancer Research Center, Inc. Methods, Compositions and Devices for Inducing Stasis in Cells, Tissues, Organs, and Organisms
CN1901795B (zh) 2003-10-22 2014-03-26 弗雷德哈钦森癌症研究中心 用于在细胞,组织,器官,和有机体中诱导停滞的方法,组合物和装置
US20050170019A1 (en) * 2003-10-22 2005-08-04 Fred Hutchinson Cancer Research Center Methods, compositions and devices for inducing stasis in cells
US20050136125A1 (en) * 2003-10-22 2005-06-23 Roth Mark B. Methods, compositions and devices for inducing stasis in cells, tissues, organs, and organisms
EP1682115A4 (en) 2003-11-07 2010-07-28 Univ Emory HIF-1 HEMMER AND APPLICATION METHOD THEREFOR
US20050217667A1 (en) * 2004-03-30 2005-10-06 Sunil Dhuper Aerosol deliver apparatus IV
US7326809B2 (en) * 2004-05-27 2008-02-05 Antibe Therapeutics Inc. Salts of 4- or 5-aminosalicylic acid
WO2006085127A1 (en) 2005-02-08 2006-08-17 Antibe Therapeutics, Inc. Topical compositions
US20090233888A1 (en) 2005-03-23 2009-09-17 Usc Stevens, University Of Southern California Treatment of disease conditions through modulation of hydrogen sulfide produced by small intestinal bacterial overgrowth
AU2006236150A1 (en) * 2005-04-20 2006-10-26 Fred Hutchinson Cancer Research Center Methods, compositions and articles of manufacture for enhancing survivability of cells, tissues, organs, and organisms
WO2006119258A2 (en) 2005-04-29 2006-11-09 University Of Houston Use of hydrogen sulfide in the treatment of eye diseases
US20060270635A1 (en) * 2005-05-27 2006-11-30 Wallace John L Derivatives of 4- or 5-aminosalicylic acid

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002101018A2 (en) * 2001-06-11 2002-12-19 Fred Hutchinson Cancer Research Center Methods for inducing reversible stasis

Also Published As

Publication number Publication date
AU2004283729A1 (en) 2005-05-06
WO2005039291A3 (en) 2005-08-25
WO2005039291A2 (en) 2005-05-06
BRPI0415752A (pt) 2006-12-19
AU2011202385B9 (en) 2013-09-19
WO2005041655A1 (en) 2005-05-12
WO2005041656A2 (en) 2005-05-12
US20050147692A1 (en) 2005-07-07
EP1684580A2 (en) 2006-08-02
US20120052479A1 (en) 2012-03-01
AU2011202385A1 (en) 2011-06-09
CA2542806A1 (en) 2005-05-12
HK1216284A1 (zh) 2016-11-04
CA2542810A1 (en) 2005-05-12
CN1901795A (zh) 2007-01-24
EP2363022A3 (en) 2011-12-21
EP1684579A1 (en) 2006-08-02
EP1689228A2 (en) 2006-08-16
US7993681B2 (en) 2011-08-09
JP2007509163A (ja) 2007-04-12
AU2011202385B2 (en) 2013-05-16
AU2004285468A1 (en) 2005-05-12
AU2004285477A1 (en) 2005-05-12
CN1901795B (zh) 2014-03-26
CA2542426A1 (en) 2005-05-06
EP2949212A1 (en) 2015-12-02
JP2007526241A (ja) 2007-09-13
JP2007509162A (ja) 2007-04-12
WO2005041656A3 (en) 2005-08-25
AU2004285468B2 (en) 2011-02-24
EP2363022A2 (en) 2011-09-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4914216B2 (ja) 細胞、組織、臓器、および生物においてスタシスを誘導するための方法、組成物、および装置
ES2443653T3 (es) Procedimientos, composiciones y artículos de fabricación para mejorar la supervivencia de células, tejidos, órganos y organismos
US20150164064A1 (en) Methods, compositions and devices for inducing stasis in cells, tissues, organs, and organisms
US20050136125A1 (en) Methods, compositions and devices for inducing stasis in cells, tissues, organs, and organisms
US20050170019A1 (en) Methods, compositions and devices for inducing stasis in cells
JP4521183B2 (ja) 組織および臓器移植の転帰を改善しかつアポトーシスを抑制する一酸化炭素
CN101203231A (zh) 增强细胞、组织、器官和生物的存活力的方法、组合物和制造品
Li et al. Regulation of spermatozoa motility in response to cations in Russian sturgeon Acipenser gueldenstaedtii
AU2013216643B2 (en) Methods, compositions and devices for inducing stasis in cells, tissues, organs, and organisms
AU2016201755A1 (en) Methods, compositions and devices for inducing stasis in cells, tissues, organs, and organisms
MXPA06004527A (en) Methods, compositions and devices for inducing stasis in cells, tissues, organs, and organisms
Stadnychenko et al. Effect of Zinc Ions in a Water Medium on the in vivo Respiration Parameters of Planorbarius corneus
Skulachev et al. Concept of aging as a result of slow programmed poisoning of an organism with mitochondrial reactive oxygen species
Betsy et al. Enhancing the life and potency of Cyprinus carpio spermatozoa during cryopreservation by glucose supplementation

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071019

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071019

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080827

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080827

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100929

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20101227

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110308

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110427

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110726

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110802

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111025

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111226

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120120

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4914216

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150127

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees