JP4912761B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、車両の転覆防止性能を向上させるべく非対称のトレッドを採用した、装着方向指定型の空気入りタイヤに関する。
近年、経済性や取扱い易さなどの理由から、いわゆるコンパクトカーと呼ばれる小型乗用車の需要が高まっている。コンパクトカーは、車幅が小さい割に車高が高いため、コーナリング時に高速旋回すると、転覆の可能性があり、装着される空気入りタイヤに対して、転覆防止性能が求められている。
転覆防止性能を向上させるには、一般的に、コーナリングフォースの最大値(CFmax)を低減したり、車両前輪の装着条件でのCFmax値に対し車両後輪の装着条件でのCFmax値を高くする手法が採られている。
前者のようにCFmax値を低減するには、トレッドゴムのμ値(摩擦係数)を低下させるのが効果的であるが、背反性能として、制動性が低下するという問題が生じる。後者の手法では、車両前輪の装着条件でのCFmax値と車両後輪の装着条件でのCFmax値の比率が、タイヤサイズに起因する所が大きく、その他の要素で比率を変化させるのは、一般に困難である。
一方、従来より、トレッドゴムを車両装着時の内側と外側とに分割して、両者のゴム硬度を変えた空気入りタイヤが知られており、例えば、下記の特許文献1には、摩擦係数(μ値)のより大きい高硬度ゴムを分割トレッドの外側に配する点が開示されている。しかし、摩擦係数(μ値)のより大きい高硬度ゴムを分割トレッドの外側に設ける場合、転覆防止性能の向上には、逆効果であることが判明した。
また、下記の特許文献2には、トレッド表面に形成されたセカンドリブ(中央側)とショルダーリブ(外側)との間に段差を設けて、高速耐久性を向上させた空気入りタイヤが提案されている。しかし、このタイヤでは、キャンバー角によって高速走行時にタイヤの内側ショルダーの接地圧が局所的に高くなるのを、表面を高く設定したセカンドリブで抑制しており、接地圧の分散によって、転覆防止性能の向上には逆効果になることが判明した。
なお、角張った接地端形状を有する、いわゆるスクエアショルダーは、従来、接地幅を増加させるために採用されており、接地幅を狭めるために、スクエアショルダーを採用した例は、現在まで知られていなかった。
特開平11−321237号公報 特開2000−238506号公報
そこで、本発明の目的は、制動性能を維持しながら、車両の転覆防止性能を向上させることができる空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部と、そのビード部から各々タイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部と、そのサイドウォール部間に設けたトレッド部とを備え、装着方向が指定される空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部の車両装着時の内側には、ラウンドショルダーが形成され、車両装着時の外側には段差部を有することで段差部の外側を非接地部とした段付きショルダーが形成されており、前記段差部とトレッド面との境界を、タイヤ最大幅を基準としたトレッド中央からの距離として、前輪装着条件における前記ラウンドショルダー側の接地端までの距離の93〜100%の距離に配置してあり、前記段差部の高さを1〜10mmとすることを特徴とする。
本発明において、前輪装着条件とは、タイヤの内圧を230kPaとし、タイヤサイズに応じて最大負荷荷重の70%の荷重を垂直方向に負荷した条件を指す。また、タイヤ最大幅は、適用リムに装着し、規定の空気圧とし、無負荷状態で測定した軸方向の最大幅を指す。
本発明の空気入りタイヤによると、トレッド部の車両装着時の外側には、段差部を有することで段差部の外側を非接地部とした段付きショルダーが形成されているため、車両装着時の外側の接地端を、ラウンドショルダーに比べて内側に設定することができる。一方、図2(a)に示すように、従来の対称トレッドのタイヤでは、前輪装着条件において、ラウンドショルダー側(内側)の接地端TEiと外側の接地端TEoとは、タイヤ最大幅を基準としたトレッド中央Cからの距離が略同じになる。図2(b)に示すように、点線で囲まれた前輪装着条件における接地面は、コーナリング時に外側に大きく膨らみ、実線で囲まれた接地面形状となる(斜線部が面積増加部)。このような接地面によってタイヤのグリップ力が生じるが、本発明のように、段差部20とトレッド面1cとの境界21を、タイヤ最大幅を基準としたトレッド中央Cからの距離として、前輪装着条件におけるラウンドショルダー側の接地端TEiまでの距離D1の93〜100%の距離D2に配置することで、図2(c)に示すように、コーナリング時の接地面積を小さくすることができ(接地端TEo1がTEo2に移動)、その分グリップ力を低下させることで、車両の転覆防止性能を向上させることができる。しかも、この範囲に境界21を設けた場合、直進走行や制動時に接地面積が変化しにくく、また、トレッド部の車両装着時の内側には、ラウンドショルダーが形成されているため、制動性能を十分維持することができる。
上記において、前記段差部とトレッド面との境界付近が、スクエアショルダーによって形成されていることが好ましい。スクエアショルダーによると、段差部とトレッド面との境界を明確に形成することができ、コーナリング時の接地面積をより確実に低減することができる。
また、前記トレッド部のトレッドゴムが少なくとも2分割され、車両装着時の最も内側に配されるトレッドゴムの損失正接(tanδ)が0.25〜0.45であり、車両装着時の最も外側に配されるトレッドゴムの損失正接(tanδ)が0.09〜0.25であることが好ましい。本発明における各種の物性値等は、具体的には実施例に記載の測定方法で測定される値である。
このように従来のトレッドゴムより低い損失正接を有するトレッドゴムを外側に配することにより、従来より低いμ値となり、図2(c)に示すようなコーナリング時の接地面積が増加した部分において、μ値の低下によりグリップ力を低下させることができる。また、コーナリング時の接地面積内で低いμ値のゴムが占める接地面積の割合が、低荷重に比べて高荷重で多くなるため、後輪荷重CFmax/前輪荷重CFmaxを向上させることができ、車両の転覆防止性能を更に向上させることができる。しかも、従来のトレッドゴムより高い損失正接を有するトレッドゴムを内側に配することにより、従来より高いμ値となり、トレッド全体のμ値をある程度維持することができるため、制動性能を十分維持することができる。
また、トレッド表面におけるトレッドゴムの分割位置が、タイヤ最大幅を基準としたトレッド中央より外側に5mmの位置から、前記段差部とトレッド面との境界より内側に20mmの位置の範囲内に配置されることが好ましい。
分割位置をこの範囲に設定することによって、図2(c)に示すようなコーナリング時の接地面積が増加した部分に対して、効果的にμ値を低下させることができ、グリップ力の低下による車両の転覆防止性能を更に向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の空気入りタイヤの一例を示す子午線断面図であり、図3は本発明の空気入りタイヤのトレッドパターンの一例を示す平面図である。
本発明の空気入りタイヤは、図1に示すように、一対のビード部3と、ビード部3から各々タイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部2と、サイドウォール部2間に設けたトレッド部1とを備えるものである。このような構造は、従来の空気入りタイヤと同じであり、トレッド部1以外については、従来公知の材料、構造、製法をいずれも採用することができる。
例えば、一対のビード部3の間にはカーカス層6が架け渡されるように配される。カーカス層6はポリエステル等のコードをゴム引きした1層から形成されたラジアルカーカスであり、カーカス層6の外側にはゴム層が形成される。また、チューブレスタイヤでは最内層にインナーライナー層4が形成される。カーカス層6のタイヤ径方向外側には、たが効果による補強を行うベルト層5が配置され、そのベルト層5のタイヤ径方向外側にトレッド部1が形成される。ベルト層5はタイヤ赤道線Cに対して約20°の傾斜角度で平行配列したスチールコードをゴム引きした2層を、スチールコードがタイヤ赤道線Cを挟んで交差するように積層して形成される。また、ベルト層5を覆うように、コードがタイヤ周方向に配列するベルト補強層を設けてもよい。
本発明の空気入りタイヤは、図1に示すように、前記トレッド部1の車両装着時の内側には、ラウンドショルダー1aが形成され、車両装着時の外側には段差部20を有することで段差部20の外側を非接地部23とした段付きショルダー1bが形成されている。本実施形態では、段差部20とトレッド面1cとの境界付近が、スクエアショルダーによって形成されている例を示す。各図において、矢印OUTは、指定された装着方向で車両にタイヤが装着された場合の外側を示している。
ラウンドショルダー1aは、接地可能な面において段部のないショルダーを指し、子午線断面において、単一の円弧又は複数の円弧が連続する曲線、曲率半径を部分的に変化させた曲線などを有する形状が挙げられる。
段付きショルダー1bの段差部20は、例えば平面や曲面で形成される。段差部20の高さとしては、非接地部23を円弧状に内側に延長した線を基準とする段差部20とトレッド面1cとの境界21の高さHが、1〜10mmであり、3〜8mmがより好ましい。高さHが1mmより小さいと、段差部20の外側を非接地部23とするのが困難になる傾向がある。また、高さHが10mmを超えると、トレッドゴム部の厚みを通常より厚く調整する必要が出てくるため、タイヤ重量や転がり抵抗が悪化する傾向がある。
スクエアショルダーで形成する場合の角部の曲率半径は、1.5〜10mmが好ましい。また、段差部20と非接地部23との境界付近曲率半径は、5〜20mmが好ましい。また、段差部20の傾斜角度は、車軸法線方向に対して10〜60°が好ましい。
本発明では、段差部20とトレッド面1cとの境界21を、タイヤ最大幅Wを基準としたトレッド中央Cからの距離として、前輪装着条件におけるラウンドショルダー側の接地端TEiまでの距離D1の93〜100%の距離D2に配置してあることを特徴とする。境界21までの距離D2は、より好ましくは95〜100%である。境界21までの距離D2が93%未満であると、通常走行における接地面積が小さくなって、制動性能が低下する傾向があり、境界21までの距離D2が110%を超えると、コーナリング時における接地面積の低減効果が小さくなって、車両の転覆防止性能を向上させにくくなる。
本発明では、図1に示すように、トレッド部1のトレッドゴム9が少なくとも2分割され、車両装着時の最も内側に配される内側トレッドゴム9aの損失正接(tanδ)が、車両装着時の最も外側に配される外側トレッドゴム9bの損失正接(tanδ)より大きいことが好ましい。
より好ましくは、内側トレッドゴム9aの損失正接が0.30〜0.40、特に0.35〜0.40の場合であり、外側トレッドゴム9bの損失正接が0.10〜0.20、特に0.10〜0.15の場合である。内側トレッドゴム9aの損失正接が0.25未満であると、トレッド全体のμ値が低くなり制動性能を維持することが困難になる傾向があり、0.45を超えるとμ値が高くなりすぎ、転覆防止性能の向上が見られない傾向がある。また、外側トレッドゴム9bの損失正接が0.09未満であると、μ値が低くなりすぎ制動性能が悪化する傾向があり、0.25を超えると、μ値が高くなって、グリップ力の低下による車両の転覆防止効果が小さくなる傾向がある。
トレッド部1を形成するトレッドゴム9の原料としては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。これらのゴムはカーボンブラックやシリカ等の充填材で補強されると共に、加硫剤、加硫促進剤、可塑剤、老化防止剤等が適宜配合される。
上記のように、従来のトレッドゴムより、損失正接が大きいものを得る場合、損失正接が大きいゴムの種類(例えばNRやIR)を選択したり、可塑剤の量を増やしたり、カーボンブラックの粒子径を小さくなどすればよい。逆に、従来のトレッドゴムより、損失正接が小さいものを得る場合、損失正接が小さいゴムの種類(例えばBRやSBR)を選択したり、可塑剤の量を減らしたり、カーボンブラックの粒子径を大きくするなどすればよい。
トレッドゴム9のμ値は、ゴムの硬度によっても変化させることができ、JISA硬度が大きいほどμ値も大きくなる。このため、損失正接の場合と同様の理由から、本発明では、内側トレッドゴム9aのJISA硬度が、外側トレッドゴム9bのJISA硬度より大きいことが好ましい。より好ましくは、内側トレッドゴム9aのJISA硬度が60〜75°の場合であり、外側トレッドゴム9bのJISA硬度が50〜60°の場合である。
本発明では、トレッド表面におけるトレッドゴム9の分割位置9cが、タイヤ最大幅Wを基準としたトレッド中央Cより外側に5mmの位置から、段差部20とトレッド面1cとの境界21より内側に20mmの位置の範囲内に配置されることが好ましい。より好ましくは、トレッド中央Cより外側に10mmの位置から、段差部20とトレッド面1cとの境界21より内側に30mmの位置の範囲内に配置される場合である。分割位置9cがトレッド中央Cより外側に5mmの位置より内側に配置されると、トレッド全体のμ値が低くなり制動性能を維持することが困難になる傾向があり、境界21より内側に20mmの位置より外側に配置されると、グリップ力の低下による車両の転覆防止効果が小さくなる傾向がある。
分割位置9cは、溝内に配設してもよく、陸部表面に配設してもよい。また、トレッドゴム9の分割境界面は、傾斜していても車軸方向に垂直であってもよい。
本発明の空気入りタイヤは、例えば図3に示すような、トレッドパターンTを備えるものであるが、トレッドパターンTそのものは、全く限定されず、従来公知のパターンが何れも採用することができる。図示した例では、トレッドパターンTは、タイヤ周方向PDに延びる太い周方向溝12と、細い周方向溝14と備え、複数の傾斜溝13とこれらを連通させる複数の連通溝15とを備えている。
トレッドパターンTの車両外側のショルダー部付近には、タイヤ周方向PDに連続し、陸部の中間まで延びる複数の傾斜溝13が形成された陸部が設けられ、その外側側壁として、段差部20が設けられている。実線で描かれた楕円内が前輪装着条件における接地面を示している。
本発明の空気入りタイヤは、装着方向が指定されるタイプであるが、トレッドパターンの形状に応じて、同時に回転方向が指定されるタイヤであってもよい。
[他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、トレッド部のトレッドゴムが少なくとも2分割される例を示したが、本発明におけるトレッド部は、内側と外側に分割されていないものでもよい。その場合、従来のトレッドゴムと同様の損失正接やμ値を有するものが使用される。
(2)前述の実施形態では、段差部とトレッド面との境界付近が、スクエアショルダーによって形成されている例を示したが、本発明では図4(a)〜(b)に示すように、種々の形状によって段差部を設けることが可能である。
図4(a)に示すものは、緩やかな傾斜面によって段差部20が形成されている例である。また、図4(b)に示すものは、複数段からなる階段状の段差部20が形成されている例である。
(3)前述の実施形態では、図3に示すトレッドパターンの例を示したが、段差部が形成される陸部としては、ブロック列、リブ、ラグなどいずれでもよい。また、段差部はトレッド中央からの距離D2が異なる位置に設けてよく、例えば、1ブロックごとに段差部の距離D2を変えることも可能である。その場合においても、何れか又は全部の段差部がトレッド中央からの距離として、前輪装着条件におけるラウンドショルダー側の接地端までの距離の93〜100%の距離に配置してあることが好ましい。
(4)本発明では、コーナリング時の接地面積を更に小さくして車両の転覆防止性能をより向上させる目的で、ベルト層を覆うように設けられ、コードがタイヤ周方向に配列するベルト補強層を非対称構造にすることも可能である。その場合、ベルト層の車両装着時の外側端部には、内側端部と比較してより高剛性のベルト補強層が設けられる。ベルト補強層は、ベルト層の外側端部のみに設けてもよいが、ベルト層の全体に設けるのが好ましい。例えば、ベルト層の上面全体が下層のベルト補強層に覆われると共に、車両装着時の外側端部には更に上層のベルト補強層が設けられる場合が挙げられる。また、ベルト補強層の車両装着時の外側端部を3層以上の構造にしたり、ベルト補強層の外側端部のコードの打ち込み数を増やした構造、ベルト補強層の外側端部のコードの弾性率をより大きくした構造、ベルト補強層の外側端部のコードの太さ(フィラメント数や撚り糸数)をより大きくした構造、これらを組み合わせた構造などでもよい。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
(1)損失正接(tanδ)
岩本製作所製スペクトロメーター試験機を用いて、初期伸長率10%、動歪2%、温度60℃、振動数10Hzの条件下で測定した。試験片には5mm幅×1mm厚の短冊状のものを用意し、つかみ長さを20mmとした。
(2)JISA硬度
JISK6253のデュロメータ硬さ試験(タイプA)による硬度を測定した。
(3)制動距離
後述する試作タイヤをリム(7−JJ−17)に組み付けた後、内圧230kPaを充填し、実車(国産ステーションワゴン)に装着して、2名乗車の荷重条件でドライ路面を走行し、速度100km/hで走行した後にブレーキをかけて制動距離を測定した。制動性能は、従来品における制動距離を100として指数で評価した。当該指数が大きいほど制動性能が良好であることを意味する。
(4)コーナリングフォースの最大値(CFmax)
後述する試作タイヤをリム(7−JJ−17)に組み付けた後、内圧230kPaを充填し、フラットベルト・コーナリング試験機を用いて、試験速度80km/hで、徐々に蛇角を大きくしていき、コーナリングフォースが最大になったときの値をCFmaxとした。その際、荷重条件は、前輪装着条件が荷重4550N、後輪装着条件が荷重2550Nとした。CFmaxは、従来品における値を100として指数で評価した。中心荷重CFmax以外は、当該指数が大きいほど車両の転覆防止性能が良好であることを意味する。
従来品
図1に示す断面図において、内側のラウンドショルダー(ショルダー部の曲率半径30mm)を外側にも採用して、トレッドゴムの分割は行わずに、損失正接0.21、JISA硬度63のトレッドゴムによって、図3に示すパターン(但し、段差部を設けずに陸部を端部まで延長した)にてサイズ215/55R17の試作タイヤを作製し、評価した。その結果を表1に示す。
実施例1−1〜1−2、参考例1−1
図1に示す断面図において、トレッドゴムの分割は行わずに、損失正接0.21、JISA硬度63のトレッドゴムによって、図3に示すパターンにてサイズ215/55R17の試作タイヤを作製し、上記性能を評価した。その際、スクエアショルダーを曲率半径2mmとし、トレッド面との境界位置を表1のように設定した(D1は、前輪装着条件におけるラウンドショルダー側の接地端までの距離を示す)。その結果を表1に示す。
比較例1−1〜1−2
図1に示す断面図において、トレッドゴムの分割は行わずに、損失正接0.21、JISA硬度63のトレッドゴムによって、図3に示すパターンにてサイズ215/55R17の試作タイヤを作製し、上記性能を評価した。その際、スクエアショルダーを曲率半径2mmとし、トレッド面との境界位置を表1のように、本発明の範囲から外れるように設定した。その結果を表1に示す。
比較例1−3
図1に示す断面図において、外側のスクエアショルダーを内側にも採用して、トレッドゴムの分割は行わずに、損失正接0.21、JISA硬度63のトレッドゴムによって、図3に示すパターン(但し、D1に境界位置を有する両側対称な段差部を設けた)にてサイズ215/55R17の試作タイヤを作製し、評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0004912761
表1の結果が示すように、実施例の本発明の空気入りタイヤでは、制動性能を維持しながら、前輪荷重CFmaxを低下させて、車両の転覆防止性能を向上させることができた。これに対して、スクエアショルダーの境界位置が内側過ぎる比較例1−1では、制動性能が低下した。また、スクエアショルダーの境界位置が外側過ぎる比較例1−2では、前輪荷重CFmaxを低下させることができなかった。両側にスクエアショルダーを設けた比較例1−3では、制動性能が低下した。
実施例2−1〜2−2、参考例2−1〜2−2
図1に示す断面図において、トレッドゴムを表2に示す位置で分割し、図3に示すパターンにてサイズ215/55R17の試作タイヤを作製し、上記性能を評価した。その際、スクエアショルダーを曲率半径2mmとし、トレッド面との境界位置を表2のように設定した。また、外側トレッドゴムの損失正接0.11、JISA硬度55、内側トレッドゴムの損失正接0.38、JISA硬度66とした。その結果を表2に示す。
比較例2−1〜2−4
図1に示す断面図において、トレッドゴムを表2に示す位置で分割し、図3に示すパターンにてサイズ215/55R17の試作タイヤを作製し、上記性能を評価した。その際、スクエアショルダーを曲率半径2mmとした。また、トレッドゴムの分割位置を表2のように、本発明の範囲から外れるように設定し、外側トレッドゴムの損失正接0.11、JISA硬度55、内側トレッドゴムの損失正接0.38、JISA硬度66とした。その結果を表2に示す。
比較例2−5
実施例2−2において、分割したトレッドゴムの物性を内側と外側を逆転させたこと以外は、全く同じ条件で試作タイヤを作製し、上記性能を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0004912761
表2の結果が示すように、実施例の本発明の空気入りタイヤでは、制動性能を維持しながら、前輪荷重CFmaxを低下させて、かつ後輪荷重CFmax/前輪荷重CFmaxを向上させて、車両の転覆防止性能を向上させることができた。これに対して、トレッドゴムの分割位置が内側過ぎる比較例2−1及び2−3では、制動性能が低下した。また、トレッドゴムの分割位置が外側過ぎる比較例2−2及び2−4では、前輪荷重CFmaxを低下させることができなかった。更に、分割したトレッドゴムの物性を内側と外側を逆転させた比較例2−5では、前輪荷重CFmaxが上昇するなどして、車両の転覆防止性能が低下した。
本発明の空気入りタイヤの一例を示す子午線断面図 本発明の空気入りタイヤの作用効果を説明するための説明図 本発明の空気入りタイヤのトレッドパターンの一例を示す平面図 本発明の空気入りタイヤの要部の他の例を示す要部断面図
符号の説明
1 トレッド部
1a ラウンドショルダー
1b 段付きショルダー
1c トレッド面
2 サイドウォール部
3 ビード部
9 トレッドゴム
9a 内側トレッドゴム
9b 外側トレッドゴム
9c 分割位置
20 段差部
21 段差部とトレッド面の境界
23 非接地部
D1 ラウンドショルダー側の接地端までの距離
D2 段差部の境界までの距離
TEi ラウンドショルダー側の接地端
T トレッドパターン
PD タイヤ周方向
C トレッド中央
W タイヤ最大幅

Claims (4)

  1. 一対のビード部と、そのビード部から各々タイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部と、そのサイドウォール部間に設けたトレッド部とを備え、装着方向が指定される空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッド部の車両装着時の内側には、ラウンドショルダーが形成され、車両装着時の外側には段差部を有することで段差部の外側を非接地部とした段付きショルダーが形成されており、
    前記段差部とトレッド面との境界を、タイヤ最大幅を基準としたトレッド中央からの距離として、前輪装着条件における前記ラウンドショルダー側の接地端までの距離の93〜100%の距離に配置してあり、前記段差部の高さを1〜10mmとすることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記段差部とトレッド面との境界付近が、スクエアショルダーによって形成されている請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記トレッド部のトレッドゴムが少なくとも2分割され、車両装着時の最も内側に配されるトレッドゴムの損失正接(tanδ)が0.25〜0.45であり、車両装着時の最も外側に配されるトレッドゴムの損失正接(tanδ)が0.09〜0.25である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. トレッド表面におけるトレッドゴムの分割位置が、タイヤ最大幅を基準としたトレッド中央より外側に5mmの位置から、前記段差部とトレッド面との境界より内側に20mmの位置の範囲内に配置される請求項3記載の空気入りタイヤ。
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