JP4911972B2 - 空気調和機の室内機 - Google Patents

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Description

この発明は、空気調和機の室内機に係り、特にクロスフローファンを採用した室内機の送風系において、比較的大きな通風抵抗の存在に対して好適な送風性能を確保するための技術に関する。
一般に、室内機および室外機の2つのユニットから成るいわゆるセパレート式空気調和機のうち特に室内機が壁掛け式であるものは、その室内機1の構成として図9に示すように、室内機ケース2の前面から天面にかけての範囲に吸込口24が、室内機ケース2の前面から底面にかけての範囲に吹出口25がそれぞれ設けられ、かつ室内機ケース2内部にクロスフローファン4が設けられ、クロスフローファン4と吸込口24の間に熱交換器3が設けられ、かつクロスフローファン4の下流部と吹出口を連通する送風ダクト23が設けられる、といった構成を成している。
このような構成の空気調和機の室内機1において、たとえば特許文献1(実開平4−68921号公報)に示されるように、熱交換器3が複数の部分からなり、前面側の熱交換器群37と背面側の熱交換器群38とが略逆V字型を成すよう配置され、さらに前面側や背面側の熱交換器群37,38は、クロスフローファン4を取り囲むように複数部分の熱交換器が各々所定の角度をもって配置されているといったものがある。これは、空気調和機運転における省エネルギー化の要請に鑑み、室内機1の容積を極力従来程度のコンパクトさにとどめつつ熱交換器3の表面積を増加させ、伝熱効率を向上させようとするものである。
実開平4−68921号公報
上記背景技術において、クロスフローファンを取り囲んで熱交換器を設置することによる熱交換器の表面積の増大に伴い、通風抵抗が大きく増大するといった問題があった。特に伝熱性能をより多く得るために、たとえば冷媒管の列数を3列以上にし熱交換器の厚みを相当程度厚くしたものや、たとえば冷媒管の管直径を7mm以上にし冷媒管の太さを相当程度太くしたものにおいては、従来の設計基準におけるファン送風系(クロスフローファンおよび送風経路)の想定を大きく超えた通風抵抗が生じる。さらには、室内機内の送風経路にてたとえば電気集塵機やイオン発生装置など、空気の通風を要しなおかつ相当程度の通風抵抗を有する付属品を設置した場合には、さらにも増して大きな通風抵抗が生じることになる。
この場合、このファン送風系の性能向上を図る手段の一つとして、リアガイド部を上流側に伸ばすといった手段がとられる。これは、リアガイド部により形成されるスクロール曲線の長さを延ばし送風風量を増大するとともに、ファン送風系の吸込側面積を適正化することにより、風量と静圧のバランスを適正化するという効果を期待してのものである。
しかし上記のような手法を採った場合、リアガイド部の延長に伴って、特に室内機断面で見た場合のファン送風系の吸込開口角(クロスフローファンを軸中心としスタビライザ部の上流側端部からリアガイド部の上流側端部までの開口角度)が、熱交換器の取り囲み角度(クロスフローファンを軸中心とし熱交換器の前面側下端から背面側下端までの取り囲み角度)よりも有意に狭くなる。そのため、ファン送風系の吸込側部分において、従来のように熱交換器の取り囲み角度全域からほぼ均等に吸い込むのではなく、ある程度の指向性をもって偏って吸い込むといった事象が起こっていた。
したがってこのようにファン送風系の吸込側部分において指向性を持った吸い込みがなされる場合、伝熱および送風に関する性能を劣化させることなくまたより好適に性能を引き出すために、その吸込みの方向と熱交換器の取り囲み方に対して適切な、ファン送風系の位置関係および形状を設定する必要があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、ファン送風系の吸込開口角が熱交換器の取り囲み角度よりも相当程度狭い場合において、より好適な吸込み流れ場を実現しより好適な伝熱および送風性能を実現しうる、室内機の構成の設計指針を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、下記の手段を提示する。
この発明に基づいた、空気調和機の室内機においては、吸込口から室内空気を吸い込み吹出口から吹き出すためのクロスフローファンと、上記クロスフローファンの上流側に位置し、主として上記吸込口の前面側から上記クロスフローファンに向かう空気の流れ中に配設された第1の熱交換器と、主として上記吸込口の背面側から上記クロスフローファンに向かう空気の流れ中に配設された第2の熱交換器と、上記クロスフローファンの近傍および下流側に位置し、スタビライザ部およびリアガイド部を有する送風ダクトとを有し、吸込開口角が熱交換器取り囲み角より小であって、上記スタビライザ部のファンへの近接尖端部と上記クロスフローファンの軸中心とを結ぶ線分をLcとし、上記第1の熱交換器の上端の延長線と上記第2の熱交換器の上端の延長線との交点Pと、上記クロスフローファンの軸中心とを結ぶ線分をLpとし、線分Lcと線分Lpとが成す角度が100度〜140度であり、かつ、上記ディフューザ部の天面側壁面と底面側壁面とが成す開き角度の2等分線をLmとし、上記線分Lpと上記2等分線Lmとの成す角度が130度以下であることを特徴としている。
この構成を採用することにより、本発明の課題にて示した、ファン送風系の吸込開口角が熱交換器の取り囲み角度よりも相当程度狭い場合において、ファン送風系に適切な送風性能を発揮させより好適な吸込み流れ場を実現することができる。
また、上記空気調和機の室内機においては、上記線分Lcと上記線分Lpとが成す角度が、115度〜130度であることを特徴とする。この構成により、熱交換器の配置に対してファン送風系の吸込方向に偏りがある構成においても好適な送風性能を実現できるとともに、さらには、熱交換器において比較的通過風量の多い前面側と比較的通過風量の少ない背面側との通過風量の差を極力小さくすることができる。
また、上記空気調和機の室内機においては、上記線分Lpと上記2等分線Lmとの成す角度が、100度〜120度であることを特徴とする。この構成により、リアガイド部を上流側に延長した構成においてより好適な送風性能を実現できるとともに、さらには、熱交換器において比較的通過風量の多い前面側と比較的通過風量の少ない背面側との通過風量の差を極力小さくすることができる。
また、上記空気調和機の室内機においては、上記スタビライザ部の上流側端部と上記クロスフローファンの軸中心とを結ぶ線分をLaとし、上記線分Laと上記線分Lcとが成す角度が0度〜10度であることを特徴とする。この構成により、スタビライザ上流側端部での流れが整流化され、約1〜2dB(A)程度の騒音低減効果を得ることができる。
また、上記空気調和機の室内機においては、上記ディフューザ部の天面側壁面と上記スタビライザ部とが成す設置角度が54度〜67度であることを特徴とする。この構成により、特にファン送風系の騒音に寄与するファンのスタビライザ部近傍での吹出し分流の適正化を図ることができ、ファン送風系の騒音エネルギーを抑えることができる。
また、上記空気調和機の室内機においては、上記ディフューザ部の天面側壁面に屈曲部を有し、該屈曲部は上記ディフューザ部の底面側壁面の下流側端部よりも前面側に位置し、かつ、該屈曲部より下流側の天面側壁面は上流側の天面側壁面より開き角が大であることを特徴とする。この構成により、底面側壁面の下流側端部において、流路抵抗を抑制することができると共にディフューザの効果をさらに継続して有せしめることができる。
また、上記空気調和機の室内機においては、上記天面側壁面の下流側壁面が水平面と成す角度は、上記天面側壁面の上流側壁面が水平面と成す角度よりも大であることを特徴とする。この構成により、特に冷房運転時の冷気送風の際に上記の屈曲部以降でのディフューザ効果により、冷気に水平もしくは天面方向への運動量を加えることができ、送風後の冷気のダレを極力緩和することができる。
本発明の構成によれば、ファン送風系の吸込開口角が熱交換器の取り囲み角度よりも相当程度狭い場合においても、良好な吸込み流れ場を実現しうる空気調和機の室内機を容易に設計することができる。そして、より良好な伝熱および送風性能を実現することにより、空気調和機の室内機全体での省エネルギー化の効果を実現することができる。
以下、図を参照しながら、本発明に基づいた実施の形態における空気調和機の室内機を説明する。なお、各実施の形態においては、同一の部位には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
本発明に基づいた実施の形態1における空気調和機の室内機を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態における室内機の概略的な構成を示す断面図である。図1に示すように、室内機1は、室内機ケース2の内部に熱交換器3、クロスフローファン4、集塵用のフィルタ5、風向制御用の縦ルーバ61、風向制御用の横ルーバ62、クロスフローファン4の駆動用のモータ(図示省略)、および、ファンモータや冷熱サイクルの運転などの制御を行う制御部(図示省略)を有した構成をなしている。
室内機ケース2は主に、室内機1の外装を成す外装面21と、壁面に好適に設置するための背面22と、室内機1の内部送風経路のうち主としてクロスフローファン4のファンケーシングとしての目的を持つ送風ダクト23とからなる。外装面21のうち主に天面側には吸込口24が、主に底面側には吹出口25がそれぞれ形成されている。吸込口24および吹出口25は室内機1の内部送風経路と連通しており、特に吹出口25は送風ダクト23を経由しクロスフローファン4の吹出側と連通している。
送風ダクト23は、クロスフローファン4の送風を好適に行うため、スタビライザ部26、リアガイド部27、およびディフューザ部28を有する。スタビライザ部26はクロスフローファン4より正面側に位置し、ディフューザ部28の天面側28aと連結している。また、リアガイド部27はクロスフローファン4より背面側に位置し、いわゆるスクロール形状を形成しつつディフューザ部28の底面側28bと連結している。
熱交換器3は内部送風経路のうち吸込口24からクロスフローファン4の吹出側までの経路中に位置し、この経路を通過する空気の大部分が熱交換器3を通過するよう、熱交換器3の端部は両端ともに内部送風経路と接して設置されている。ここで熱交換器3は、4つのプレートフィンチューブ型熱交換器の組み合わせにより構成され、クロスフローファンを取り囲むようにそれぞれ、前面下側31、前面上側32、背面上側33、および背面下側34に配置されており、前面上側熱交換器32と背面上側熱交換器33とは略逆V字型を成すよう配置されている。前面下側部分31の下端および背面下側部分34の下端が、上記の熱交換器3の端部であり内部送風経路と接している部分である。
プレートフィンチューブ型熱交換器31〜34のその他の端部は、各々直接または間接的に接しており、各々所定の角度をもって配置されている。プレートフィンチューブ型熱交換器31〜34は、等間隔に配列された直径5mmの冷媒管35が厚み方向に3列配置されており、その冷媒管に串刺しにされるように、厚み約0.3mmのフィン36が約2mm間隔で奥行方向に重なって配置するといった構成を成している。冷媒管の間隔および太さは上記4つのプレートフィンチューブ型熱交換器31〜34のいずれとも同じであり、したがって各プレートフィンチューブ型熱交換器31〜34での単位領域あたりの通風抵抗はすべて同じである。
次に、本実施の形態の特徴的な部分について図2を参照して説明する。図2はクロスフローファン4、送風ダクト23、および熱交換器3の各々の配置の詳細を示す断面図である。前述の通り、送風ダクト23はスタビライザ部26、リアガイド部27、およびディフューザ部28にて構成されている。ディフューザ部28は下流側の開口を吹出口25とした拡大流路であり、各々略平面状の天面側壁面28aと底面側壁面28bとで挟まれた流路区間である。このディフューザ部28の天面側壁面28aの上流側にて連通してスタビライザ部26が配置されている。また、ディフューザ部28の底面側壁面28bの上流側にてリアガイド部27と連通している。リアガイド部27は、下流側に向けて徐々に開口が大となるようないわゆるスクロール形状をなしており、また、上流側端部付近にはファンと最も近接する尖端をなす屈曲部27aを有している。スタビライザ部26はクロスフローファン4より正面側に位置し、下流側にてディフューザ部28の天面側28aと連結している。また上流側端部付近にはファンと最も近接する尖端をなす、先端部26aを有している。
送風ダクト23の上流側端部付近にて、スタビライザ部26とリアガイド部27に挟まれるようにクロスフローファン4が配置されている。クロスフローファン4には円筒の周縁部に複数枚(本実施の形態では35枚)の翼41が設けられている。
熱交換器3の前面下側31の下端Fは、スタビライザ部26の正面側とディフューザ部28の天面側壁面28aの天面側とで形成される窪みに位置しており、また、熱交換器3の背面下側34の下端Rは、リアガイド部27の背面側に形成される窪みに位置している。
ここで、上記スタビライザ部26の尖端部26aと上記クロスフローファン4の軸中心とを結ぶ線分をLc、上記リアガイド部27の屈曲部27aと上記クロスフローファン4の軸中心とを結ぶ線分をLdとし、線分Lcと線分Ldとが成す角度を吸込開口角θとする。
また、上記熱交換器3の前面下側31の下端Fと上記クロスフローファン4の軸中心とを結ぶ線分をLf、上記熱交換器3の背面下側34の下端Rと上記クロスフローファン4の軸中心とを結ぶ線分をLrとし、線分Lfと線分Lrとが成す角度を熱交換器取り囲み角ψとする。
また、上記前面側上部熱交換器32の上端の延長線と背面側上部熱交換器33の上端の延長線との交点P(略逆V字型の根元部分)とクロスフローファン4の軸中心とを結ぶ線分をLpとし、線分Lcと線分Lpとが成す角度を吸込方向角φとする。
また、上記スタビライザ部26の上流側端部と上記クロスフローファン4の軸中心とを結ぶ線分をLaとし、線分Laと線分Lcとが成す角度をスタビライザ助走角νとする。
また、上記ディフューザ部28の天面側壁面28aと底面側壁面28bとが成す開き角度の2等分線をLmとし、線分Lpと2等分線Lmとの成す角度を吹出方向角ωとする。
また、ディフューザ部28の天面側壁面28aとスタビライザ部26とが成す設置角度をζとする。また、ディフューザ部28の天面側壁面28aと底面側壁面28bとが成す、ディフューザの開き角をηとする。
本実施の形態において、たとえば図2に示した構成では、上記吸込開口角θは約150度、上記熱交換器取り囲み角ψは約220度であり、すなわちθ<ψとなっている。これは、上記の熱交換器3の通風抵抗に打ち勝つべく、ファン送風系の送風性能向上のためリアガイド部27を上流側に伸ばしていることに起因する。
このようなファン送風系において、本実施の形態では、φ、ω、ηについて以下に説明するように設計指針を規定する。
吸込方向角φは100度〜140度(即ち100度≦φ≦140度)となるようにする。図3にφと、このファン送風系の動作点での風量との関係を示す。図3によると、φが概ね120度の時が最も風量が多くなり、かつφを増減するといずれの方向においても風量が減少することが解かる。そこで、動作点での風量が最も多いφから2%風量が低下するまでの範囲をφの適正な設計範囲と判断し、その範囲を求めると、上記の100度≦φ≦140度となるのである。風量の低下下限幅を2%とすることにより、想定している所望の送風性能を確保することができる。
さらに望ましくは、吸込方向角φを115度〜130度(即ち115度≦φ≦130度)となるようにする。図4にφと、このファン送風系の動作点での熱交換器の背面側33、34における通過風量との関係を示す。図4によると、φが概ね124度の時が最も通過風量が多くなり、かつφを増減するといずれの方向においても通過風量が減少することが解かる。そこで、熱交換器背面側33、34での通過風量が最も多いφから2%通過風量が低下するまでの範囲をφの適正な設計範囲と判断し、その範囲を求めると、上記の115度≦φ≦130度となるのである。通過風量の低下下限幅を2%としたのは、通過風量の測定誤差を鑑みてのものである。
上記のように吸込方向角φを規定することにより、本実施形態のように熱交換器3の配置に対してファン送風系の吸込方向に偏りがある構成においても好適な送風性能を実現できるとともに、さらには、熱交換器3において比較的通過風量の多い前面側31,32と比較的通過風量の少ない背面33,34との通過風量の差を極力小さくすることができる。
また、ここでスタビライザ助走角νを設け、0度〜10度(即ち0度≦ν≦10度)とすると、スタビライザ上流側端部での流れが整流化され、約1〜2dB(A)程度の騒音低減効果を得ることができる。
次に、吹出方向角ωは130度以下(即ちω≦130度)となるようにする。図5にωと、このファン送風系の動作点での風量との関係を示す。図5によると、ωが概ね110度の時が最も風量が多くなることが解かる。そこで、動作点での風量が最も多いφから2%風量が低下するまでの範囲をφの適正な設計範囲と判断し、その範囲を求めると、上記のω≦130度となるのである。風量の低下下限幅を2%とすることにより、想定している所望の送風性能を確保することができる。
さらに望ましくは、吹出方向角ωを100度〜120度(即ち100度≦ω≦120度)となるようにする。図6にωと、このファン送風系の動作点での熱交換器の背面側33、34における通過風量との関係を示す。図6によると、ωが概ね110度の時が最も通過風量が多くなり、かつφを増減するといずれの方向においても通過風量が減少することが解かる。そこで、熱交換器背面側33、34での通過風量が最も多いωから2%通過風量が低下するまでの範囲をωの適正な設計範囲と判断し、その範囲を求めると、上記の100度≦ω≦120度となるのである。通過風量の低下下限幅を2%としたのは、通過風量の測定誤差を鑑みてのものである。
上記のように吹出方向角ωを規定することにより、本実施形態のようにリアガイド部27を上流側に延長した構成においてより好適な送風性能を実現できるとともに、さらには、熱交換器3において比較的通過風量の多い前面側31,32と比較的通過風量の少ない背面33,34との通過風量の差を極力小さくすることができる。
次に、スタビライザ設置角度ζは54度〜67度(即ち54度≦ζ≦67度)となるようにする。図7にζと、このファン送風系の騒音レベルとの関係を示す。図7によると、ζが概ね61度の時が最も騒音レベルの値が小さくなり、かつζを増減するといずれの方向においても騒音レベルの値は上昇することが解かる。そこで、騒音レベルの値が最も小さいζから0.5dB(A)だけ騒音レベルが上昇するまでの範囲をスタビライザ設置角度ζの適正な設計範囲と判断し、その範囲を求めると上記の54度≦γin≦67度となるのである。なお、騒音レベルの上昇上限幅を0.5dB(A)としたのは、騒音レベルの測定誤差を鑑みてのものである。上記のようにスタビライザ設置角度ζを規定することにより、特にファン送風系の騒音に寄与するファン36のスタビライザ部26近傍での吹出し分流の適正化を図ることができ、ファン送風系の騒音エネルギーを抑えることができる。
以上のような規定をもってファン送風系の適正化を図ることにより、上記の改善効果を得ることができる。
なお、本実施の形態における熱交換器は、上記の直径5mmの冷媒管を厚み方向に3列配置したプレートフィンチューブ型熱交換器に限らず、たとえばそれよりも若干抵抗の大きい直径7mmの冷媒管を厚み方向に2列配置したプレートフィンチューブ型熱交換器でもよい。さらには、直径5mmの冷媒管を厚み方向に6列まで配置した程度の通風抵抗をもつ熱交換器であれば、上記の規定によるファン送風系の適正化の効果を得ることができる。たとえば、上記の直径5mmの冷媒管を厚み方向に3列配置したプレートフィンチューブ型熱交換器に、さらに直径7mmの冷媒管を厚み方向に1列配置したプレートフィンチューブ型熱交換器を副次的に利用する熱交換器として重ねて配置した場合でも、その通風抵抗は、上記の規定によるファン送風系の適正化の範囲内である。
(実施の形態2)
本実施の形態は、下記に示す特長部分の内容を除く他の部分においては、上記実施の形態1と同様の形態を有する。図8は、本実施の形態の空気調和機の室内機1の概略的な構成を示す断面図である。図8に示すように、本実施形態においてディフューザ部28の天面側壁面28aは吹出口付近(横ルーバの設置位置の近傍)にて屈曲部29を有している。該屈曲部29はディフューザ部28の底面側壁面28bの下流側端部Qよりも前面側に位置している。上記屈曲部29の上流側に位置する、天面側壁面28aの上流側壁面は、底面側壁面28bと一定の開き角ηをなすディフューザ流路を形成している。上記屈曲部29の下流側に位置する、天面側壁面28aの下流側壁面29aは、上記上流側壁面よりも角度κだけ前面向き(天面向き)に傾斜しており、底面側壁面28bに対して上記上流側よりも大きな開き角(η+κ)を有する。また、上記上流側壁面と水平面と成す角度をλ1、上記下流側壁面29aと水平面と成す角度をλ2とすると、λ1<λ2の関係が成り立つように形成されている。
上記のような構成を有する空気調和機の室内機では、以下に記載のような利点が得られる。従来では、ディフューザ部28の底面側壁面28bの下流側端部Qよりもさらに下流側に天面側壁面28aを延長した場合、その延長部において、その上流まで底面側壁面に沿っていた流れが天面側に偏って流れるようになり流れ幅が縮小するため、その上流までのディフューザの効果を損なうとともに、流路抵抗の原因にもなっていた。そこで上記のように屈曲部29を設けることにより、天面側壁面28aに沿う流れに対し、屈曲部29より下流にてさらに拡大する流路としての機能を与えることができるため、上記のようなディフューザの効果をさらに継続して有せしめることができるとともに、上記のような流路抵抗を抑制することができる。なお、角度κは、屈曲部29での流れの剥離等を起こさずディフューザとして好適に働くよう、15〜25度程度であることが望ましい。
また、上記のようにλ1<λ2とすると、特に冷房運転時の冷気送風の際に上記の屈曲部以降でのディフューザ効果により、冷気に水平もしくは天面方向への運動量を加えることができ、送風後の冷気のダレを極力緩和することができる。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
本発明に基づいた実施の形態1における室内機の概略的な構成を示す断面図である。 本発明に基づいた実施の形態1における室内機のファン送風系に関する要部の構成を示す断面図である。 本発明に基づいた実施の形態1における室内機の作用を説明するための図であり、吸込方向角とファン送風系の動作点での風量との関係を示す図である。 本発明に基づいた実施の形態1における室内機の作用を説明するための図であり、吸込方向角とファン送風系の動作点での熱交換器の背面側における通過風量との関係を示す図である。 本発明に基づいた実施の形態1における室内機の作用を説明するための図であり、吹出方向角とファン送風系の動作点での風量との関係を示す図である。 本発明に基づいた実施の形態1における室内機の作用を説明するための図であり、吹出方向角とファン送風系の動作点での熱交換器の背面側における通過風量との関係を示す図である。 本発明に基づいた実施の形態1における室内機の作用を説明するための図であり、スタビライザ設置角度とファン送風系の騒音レベルとの関係を示す図である。 本発明に基づいた実施の形態2における室内機の吹出口周辺に関する要部の構成を示す断面図である。 背景技術における空気調和機の室内機の概略的な構成を示す断面図である。
符号の説明
1 室内機、2 室内機ケース、3 熱交換器、4 クロスフローファン、5 集塵用フィルタ、21 外装面、22 背面、23 送風ダクト、24 吸込口、25 吹出口、26 スタビライザ部、26a スタビライザ部の尖端部、27 リアガイド部、27a リアガイド部の屈曲部、28 ディフューザ部、28a ディフューザ部の天面側壁面、28b ディフューザ部の底面側壁面、29 ディフューザ部天面側壁面の屈曲部、29a 屈曲部の下流側壁面、31 熱交換器の前面下側部分、32 熱交換器の前面上側部分、33 熱交換器の背面上側部分、34 熱交換器の背面下側部分、35 冷媒管、36 フィン、37 前面側熱交換器群、38 背面側熱交換器群、41 翼、61 縦ルーバ、62 横ルーバ。

Claims (5)

  1. 吸込口から室内空気を吸い込み吹出口から吹き出すためのクロスフローファンと、前記クロスフローファンの上流側に位置し、主として前記吸込口の前面側から前記クロスフローファンに向かう空気の流れ中に配設された第1の熱交換器と、主として前記吸込口の背面側から前記クロスフローファンに向かう空気の流れ中に配設された第2の熱交換器と、
    前記クロスフローファンの近傍および下流側に位置し、スタビライザ部およびリアガイド部を有する送風ダクトとを有し、吸込開口角が熱交換器取り囲み角より小である空気調和機の室内機であって、
    前記スタビライザ部のファンへの近接尖端部と前記クロスフローファンの軸中心とを結ぶ線分をLcとし、
    前記第1の熱交換器の上端の延長線と前記第2の熱交換器の上端の延長線との交点Pと、前記クロスフローファンの軸中心とを結ぶ線分をLpとし、線分Lcと線分Lpとが成す角度が100度〜140度であり、かつ、前記ディフューザ部の天面側壁面と底面側壁面とが成す開き角度の2等分線をLmとし、前記線分Lpと前記2等分線Lmとの成す角度が130度以下であり、
    前記線分Lcと前記線分Lpとが成す角度が、115度〜130度であり、
    前記線分Lpと前記2等分線Lmとの成す角度が、100度〜120度であり、
    前記スタビライザ部の上流側端部と前記クロスフローファンの軸中心とを結ぶ線分をLaとし、前記線分Laと前記線分Lcとが成す角度が0度〜10度であり、
    前記ディフューザ部の天面側壁面と前記スタビライザ部とが成す設置角度が54度〜67度であり、
    前記ディフューザ部の天面側壁面に屈曲部を有し、
    該屈曲部は前記ディフューザ部の底面側壁面の下流側端部よりも前面側に位置し、かつ、該屈曲部より下流側の天面側壁面は上流側の天面側壁面より開き角が大であり
    前記上流側の天面側壁面を下流側に延長した線分と前記下流側の天面側壁面とが成す角度が15度〜25度であることを特徴とする、空気調和機の室内機。
  2. 前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器のいずれか一方は、直径5mmの冷媒管を厚み方向に3列以上6列以下配置したプレートフィンチューブ型熱交換器であることを特徴とする、請求項1に記載の空気調和機の室内機。
  3. 前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器のいずれか一方は直径7mmの冷媒管を厚み方向に2列配置したプレートフィンチューブ型熱交換器であることを特徴とする、請求項1に記載の空気調和機の室内機。
  4. 前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器のいずれか一方は直径5mmの冷媒管を厚み方向に3列配置したプレートフィンチューブ型熱交換器であり、さらに直径7mmの冷媒管を厚み方向に1列配置したプレートフィンチューブ型熱交換器が重ねて配置されることを特徴とする、請求項1に記載の空気調和機の室内機。
  5. 前記天面側壁面の下流側壁面が水平面と成す角度は、前記天面側壁面の上流側壁面が水平面と成す角度よりも大であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の空気調和機の室内機。
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