JP4911129B2 - 表示装置 - Google Patents
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Description
図6は、従来のHMD付ヘルメット100の概略構成の一例を示す断面図である。HMD付ヘルメット100は、開口部10aを有する半球状のヘルメット本体10と、開口部10aを塞ぐように運転者Rの眼Eの前方に配置される半透明なシールド11と、画像表示光Lを出射するディスプレイ2と、運転者Rの眼Eの前方に配置される半透明なコンバイナ16と、画像表示光をコンバイナ16の反射作用面16aに導くレンズやミラー等を有するリレー光学系(図示せず)とを備える。そして、ディスプレイ2から出射される画像表示光Lは、リレー光学系を通過した後、コンバイナ16の反射作用面16aで反射されることにより、運転者Rの眼Eに導かれることになる。これにより、運転者Rは、観察対象の虚像を視認できるとともに、コンバイナ16とシールド11とを透過する光により前方実在物も視認できるようになっている。よって、シールド11の反射作用面16aの形状を、X’軸方向の曲率1/Rx’とY’軸方向の曲率1/Ry’とがほぼ同じになるように設計する必要がなくなるので、二輪車用ヘルメットの形状自体は、そのまま従来の市販品と同じとなるものを用いている。
一方、HMD付ヘルメット100において、視野角が小さくなるが、サイズを小さくするためには、平面ミラーやトーリックミラー等のリレー光学系で中間像を形成せずに、画像表示光Lをコンバイナ16の反射作用面16aで反射させることで、運転者Rの眼Eに導いている。このようにリレー光学系で中間像を形成しない場合には、コンバイナ16の反射作用面16aのX’軸方向の曲率1/Rx’は、例えば0.010mm-1となり、Y’軸方向の曲率1/Ry’は、例えば0.008mm-1となるように設計される。
ここで、「中心光線」とは、眼の中心と表示素子の中心とを、光学素子やリレー光学系等を介しながら通る光線のことをいう。よって、中心光線は光学素子等で反射されたりすることにより、折れ線となる。
よって、二輪車用ヘルメットの形状自体は、そのまま従来の市販品と同じとなるものを用いることができる上に、コンバイナ等を新たに設ける必要がないため、常にコンバイナ等を透視せずに前方実在物を視認することができる。つまり、前方実在物の見え方に差異が生じることがない。
また、上記の発明において、前記中心光線と反射作用面の交点において、前記反射作用面の法線方向をZ’軸方向とし、Z’軸方向と垂直となる方向をX’軸方向とし、X’軸方向及びZ’軸方向と垂直となる方向をY’軸方向としたときに、前記中心光線と反射作用面の交点では、x軸方向はX’Z’面に含まれるとともに、y軸方向はY’Z’面に含まれ、
X’軸方向の曲率の絶対値は、Y’軸方向の曲率の絶対値より大きくなるようにしてもよい。
そして、上記の発明において、前記反射作用面のX’軸方向の曲率の絶対値は、前記反射作用面のY’軸方向の曲率の絶対値の1.5倍以上であるようにしてもよい。
さらに、上記の発明において、前記光学素子は、ヘルメットのシールドであるようにしてもよい。
HMD付ヘルメット1は、開口部10aを有する半球状のヘルメット本体10と、開口部10aを塞ぐように運転者Rの眼Eの前方に配置される半透明なシールド(光学素子)11と、画像表示光Lを出射するディスプレイ(表示装置)2と、画像表示光Lをシールド11の反射作用面11aに導くリレー光学系21とを備える。
なお、眼Eの中心とディスプレイ2の出射面の中心2aとを通る光線を中心光線とし、
その方向をz軸方向とし、z軸方向に直交する方向をx軸方向とするとともに、z軸方向及びx軸方向に直交する方向をy軸方向とする。この中心光線は、シールド1やリレー光学系21等で反射されたりするので、折れ線となる。
シールド11の反射作用面11aは、そのまま従来の市販品と同じ形状となるものであり、シールド11の反射作用面11aのX’軸方向の曲率1/Rx’は、9.6×10−3mm-1であり、Y’軸方向の曲率1/Ry’は、4.1×10−4mm-1ある軸ずらしトーリック形状の凹面となっている。すなわち、X’軸方向の曲率1/Rx’の絶対値は、Y’軸方向の曲率1/Ry’の絶対値の1.5倍以上となっているとともに、シールド11の最も曲率の絶対値が大きい方向がX’軸方向となり、X’軸方向に直交する方向がY’軸方向となっている。なお、中心光線と反射作用面11aの交点において、反射作用面11aの法線方向をZ’軸方向、Z’軸方向と垂直となる方向をX’軸方向、X’軸方向及びZ’軸方向に垂直となる方向をY’軸方向とする。
そして、HMD付ヘルメット1では、中心光線と反射作用面11aの交点では、x軸方向はX’Z’面に含まれるとともに、y軸方向はY’Z’面に含まれるようになっている。
ここで、軸ずらしトーリック形状は、図2に示すシールド11の反射作用面11aのXYZ座標空間において下記の数式(1)で示す形状関数により特定される面において、その面の対称軸から偏心した中心を有する面で表される。
リレー光学系21は、ディスプレイ2とシールド11との間に配置され、カバー12と第一ミラー(トーリックミラー)13と第二ミラー(トーリックミラー)14とレンズ15と第三ミラー(平面ミラー)16とを備える。
カバー12は、第一ミラー13と第二ミラー14とレンズ15と第三ミラー16とディスプレイ2とをケーシング(図示せず)する場合における窓部としての機能を有する。そして、カバー12は、平板形状であり、画像表示光Lを入射する入射面と、画像表示光Lを出射する出射面とは、平面形状となっている。
第一ミラー13の反射作用面は、数式(1)で示す軸ずらしトーリック形状の凸面となっている。
第二ミラー14の反射作用面は、数式(1)で示す軸ずらしトーリック形状の凹面となっている。
レンズ15は、画像表示光Lを入射する入射面と、画像表示光Lを出射する出射面とは、数式(1)で示す軸ずらしトーリック形状の凸面となっている。
第三ミラー16の反射作用面は、平面形状となっている。
まず、ディスプレイ2の出射面から出射された画像表示光Lが、第三ミラー16の反射作用面でレンズ15に向かうように反射される。その後、レンズ15の入射面に至った画像表示光Lは、レンズ15の入射面で屈折し、レンズ15の内部を通過して、さらにレンズ15の出射面で屈折して、第二ミラー14に向かう。
第二ミラー14の反射作用面に至った画像表示光Lは、第二ミラー14の反射作用面で第一ミラー13に向かうように反射され、さらに第一ミラー13の反射作用面でカバー12に向かうように反射される。このとき、画像表示光Lが第二ミラー14から第一ミラー13へ向かう途中の光束において、中心光線方向をz軸方向とし、z軸方向に垂直かつシールド11の反射作用面11aにてX’Z’面内に含まれることになる方向をx軸方向とし、x軸方向及びz軸方向に垂直となる方向をy軸方向とする場合、図4に示すようにxz面内では、中間像Gを形成する。一方、図3に示すようにyz面内では、中間像を形成しない。
そして、カバー12に至った画像表示光Lは、カバー12を透過することにより、シールド11の反射作用面11aに向かう。このとき、中心光線と反射作用面11aの交点では、x軸方向はX’Z’面に含まれるとともに、y軸方向はY’Z’面に含まれる。
最後に、シールド11の反射作用面11aに至った画像表示光Lは、シールド11の反射作用面11aで反射されることにより、観察者の眼Eに導かれる。
以上により、HMD付ヘルメット1における収差は小さく、さらに、観察対象の虚像の歪みは小さく、明瞭な虚像を形成できることを確認できる。
よって、二輪車用ヘルメットの形状自体は、そのまま従来の市販品と同じとなるものを用いることができる上に、コンバイナ等を新たに設ける必要がないため、常にコンバイナ等を透視せずに前方実在物を視認することができる。つまり、前方実在物の見え方に差異が生じることがない。
(1)上述したHMD付ヘルメットにおいて、ディスプレイ14は透過型液晶表示素子とする構成としたが、ビームスプリッタと組み合せた反射型表示素子や、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)や、有機EL等の自発光表示素子等とするような構成としてもよい。
(2)上述したHMD付ヘルメットにおいて、シールド11の反射作用面11aは軸ずらしトーリック形状とする構成としたが、自由曲面等の非球面形状や、関数式で表現できない形状等とするような構成としてもよい。関数式で表現できない形状とする場合の光学設計は、シールド11の形状を微小多角形の集合体として扱う等の手法によって行われる。
(3)上述したHMD付ヘルメットにおいて、二輪車用ヘルメットである構成としたが、航空機用ヘルメットや、競技スキー等に使用するヘルメット等であるような構成としてもよく、加工作業や警備等で用いる安全シールドのようにシールドはヘルメットと切り離された形態となるような構成としてもよい。
2 ディスプレイ(表示素子)
11 シールド(光学素子)
11a 反射作用面
21 リレー光学系
E 眼
L 画像表示光
R 運転者(観察者)
Claims (3)
- 画像表示光を出射する表示素子と、
観察者の眼の前方に配置される反射作用面を有する光学素子と、
前記光学素子の反射作用面に画像表示光を導くリレー光学系とを備え、
前記画像表示光は、前記反射作用面で反射されることにより、前記観察者の眼に導かれる表示装置であって、
前記眼の中心と表示素子の中心とを通る光線を中心光線とし、その方向をz軸方向としたときに、前記リレー光学系は、z軸方向と垂直となるx軸方向を含むxz面内では、中間像を形成する一方、z軸方向及びx軸方向と垂直となるy軸方向を含むyz面内では、中間像を形成しないで、前記反射作用面に画像表示光を導き、
前記中心光線と反射作用面の交点において、前記反射作用面の法線方向をZ’軸方向とし、Z’軸方向と垂直となる方向をX’軸方向とし、X’軸方向及びZ’軸方向と垂直となる方向をY’軸方向としたときに、前記中心光線と反射作用面の交点では、x軸方向はX’Z’面に含まれるとともに、y軸方向はY’Z’面に含まれ、
前記反射作用面のX’軸方向の曲率の絶対値は、前記反射作用面のY’軸方向の曲率の絶対値より大きくなることを特徴とする表示装置。 - 前記反射作用面のX’軸方向の曲率の絶対値は、前記反射作用面のY’軸方向の曲率の絶対値の1.5倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
- 前記光学素子は、ヘルメットのシールドであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
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