JP4910548B2 - 乾留焼却炉 - Google Patents

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Description

この発明は、廃棄物などの被焼却物を焼却処理するための焼却炉に関するものである。特に、被焼却物を乾留ガス化して、その乾留ガスを燃焼させる形式の乾留焼却炉に関するものである。
本件発明者らは、先に、下記特許文献1に開示される乾留焼却炉を提案している。この乾留焼却炉では、その図4に示されるように、燃焼室(4)の基端部に、バーナ筒(29)と助燃バーナ(3)とから構成される乾留バーナ(23)を配置している。そして、ガス化室(2)からの乾留ガスは、バーナ筒(29)の周側壁に接続される接続管(34)を介して、バーナ筒(29)内へ導入される。また、送風機からの燃焼用空気は、バーナ筒(29)の周側壁に形成された第一開口(31)と、バーナ筒(29)の先端側フランジ(32)に形成された第二開口(33)とを介して、バーナ筒(29)内や燃焼室(4)内へ導入される。ここで、括弧書きの符号は、特許文献1中における符号である。
特開2006−64359号公報(図4)
前記特許文献1に開示される発明によれば、簡易な構成および制御で燃焼不良の改善が図られるが、より一層の燃焼性の改善について鋭意研究に努めた結果、次のことが明らかとなった。すなわち、前記特許文献1の図4に示される構成の場合、接続管からバーナ筒内へ導入される乾留ガスは、バーナ筒の内周面下部に沿って流れる傾向がある。その一方、助燃バーナの火炎は、浮力で上方へ向かう傾向があるので、乾留ガスとの混合を図る上で改善の余地がある。
また、前記特許文献1に開示される発明の場合、バーナ筒の先端部に設けたフランジと、燃焼室を構成する筒体とを密着させる構成ではないので、両者の隙間から空気が燃焼室内へ漏れるおそれがあった。そのため、燃焼室の内外での燃焼用空気の差圧が確保されず、燃焼性に悪影響を及ぼすおそれがあった。
この発明が解決しようとする課題は、簡易な構成で燃焼性の一層の改善を図り、ひいては煤塵やダイオキシンの一層の低減を図ることのできる乾留バーナと、それを備えた乾留焼却炉を提供することにある。
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被焼却物を収容して乾留ガス化するガス化室と、このガス化室から接続管を介して乾留ガスが導入されると共に、送風機から燃焼用空気が導入されるバーナ筒と、このバーナ筒の基端部に設けられ、前記バーナ筒と共に乾留バーナを構成する助燃バーナと、前記バーナ筒の先端部に設けられ、前記乾留バーナにより前記ガス化室からの乾留ガスを燃焼させる燃焼室と、前記接続管に設けられ、前記ガス化室からの乾留ガスを前記助燃バーナへ向ける絞り手段とを備え、前記ガス化室内で乾留ガスを発生させると共にこの乾留ガスを前記燃焼室内で燃焼させる乾留工程では、燃焼室温度が燃焼停止温度を超えない限り、前記助燃バーナは一定の燃焼量で作動を継続し、前記バーナ筒は、先端側に大径部を配置した段付き円筒形状で、大径部の基端側の周側壁に前記接続管が接続され、小径部の内穴に前記助燃バーナの先端部が差し込まれて配置され、前記大径部および段付き部にそれぞれ燃焼用空気の給気穴が形成されており、前記接続管内に設けられる前記絞り手段としての偏向板は、前記接続管の内穴の内、前記バーナ筒の先端側となる領域を閉塞すると共に、前記バーナ筒の側へ行くに従って、前記バーナ筒の基端側へ傾斜する傾斜面を有しており、前記ガス化室からの乾留ガスは、前記偏向板により、前記接続管の内穴の内、前記バーナ筒の基端側へ寄せられて、前記バーナ筒の大径部の基端部において、段付き部に沿うよう前記バーナ筒内へ導出されることを特徴とする乾留焼却炉である。
請求項1に記載の発明によれば、ガス化室からの乾留ガスは、接続管の絞り手段により、助燃バーナの側へ向けられてバーナ筒内へ供給される。これにより、助燃バーナの火炎への接触および混合を良好に維持して、燃焼性を改善することができる。
また、請求項1に記載の発明によれば、絞り手段は、接続管の一部を閉塞するだけで構成される。これにより、簡易な構成で、ガス化室からの乾留ガスを助燃バーナへ向けて供給でき、燃焼性を改善することができる。
また、請求項1に記載の発明によれば、傾斜面を有する偏向板により、助燃バーナの炎への乾留ガスの接触および混合を円滑で確実になすことができる。
さらに、請求項1に記載の発明によれば、バーナ筒を段付き円筒状とし、助燃バーナの外周に配置されるその段付き部からも燃焼用空気が供給される。これにより、助燃バーナの炎、燃焼用空気、およびガス化室からの乾留ガス、それぞれの接触および混合を確実に行うことができ、燃焼性を改善することができる。
請求項2に記載の発明は、前記バーナ筒は、先端側の大径部にフランジが形成されており前記大径部の周側壁、その周側壁の先端部に設けられた前記フランジ、および前記周側壁の基端部に設けられた段付き部に、それぞれ燃焼用空気の給気穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乾留焼却炉である。
請求項2に記載の発明によれば、簡易な構成で、助燃バーナの炎、燃焼用空気、およびガス化室からの乾留ガスの接触および混合を一層確実に行うことができ、燃焼性を改善することができる。
請求項3に記載の発明は、前記段付き部に形成される前記給気穴は、前記接続管が接続される側の開口率が高められて形成されることを特徴とする請求項2に記載の乾留焼却炉である。
請求項3に記載の発明によれば、バーナ筒の段付き部に形成される給気穴は、ガス化室からの乾留ガスが導入される側の開口率が高められている。これにより、燃焼用空気と乾留ガスとの混合を一層確実に行って、燃焼性を改善することができる。
請求項4に記載の発明は、前記燃焼室を構成する筒体の基端面が、前記フランジにセラミックパッキンを介して接続されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の乾留焼却炉である。
請求項4に記載の発明によれば、燃焼室を構成する筒体と、乾留バーナのバーナ筒とが、セラミックパッキンを介して密着される。これにより、両者の隙間から空気が燃焼室内へ漏れるおそれがなく、燃焼室の内外での燃焼用空気の差圧が確保され、燃焼性を改善することができる。
請求項5に記載の発明は、前記バーナ筒への前記接続管の開口部の側へ向けて、前記助燃バーナの先端部を傾斜させて設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の乾留焼却炉である。
請求項5に記載の発明によれば、助燃バーナを傾斜させて設置することで、助燃バーナの火炎と、ガス化室からの乾留ガス(火炎状態を一部に含む。)との接触および混合を一層確実に行い、燃焼性の改善を図ることができる。
さらに、請求項6に記載の発明は、前記バーナ筒への前記接続管の開口部に、前記バーナ筒の半径方向内側へ行くに従って拡幅すると共に前記バーナ筒の軸線方向へ沿って、断面略V字形状材を延出して設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の乾留焼却炉である。
請求項6に記載の発明によれば、略V字形状材により、ガス化室からの乾留ガスをバーナ筒の周方向へ分岐させて供給できる。これにより、バーナ筒内で乾留ガスを分散させて、燃焼性の改善を図ることができる。
この発明によれば、簡易な構成で一層の燃焼性の改善を図り、ひいては煤塵やダイオキシンの一層の低減を図ることができる。
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。
本発明の乾留焼却炉は、乾留ガス化方式および二次燃焼方式の焼却炉であり、着火手段を有するガス化室と、助燃バーナを有する燃焼室とを備える。
ガス化室は、中空ボックス状に形成され、投入扉により開閉可能である。廃棄物などの被焼却物は、前記投入扉からガス化室内へ投入され、ガス化室内に収容される。ガス化室内に収容された被焼却物に点火するために、ガス化室には着火手段が備えられる。この着火手段は、ガス化室の側壁や前記投入扉などに設けられ、灯油などの補助燃料を燃焼させるバーナが好適に用いられる。
この着火バーナにて点火された被焼却物を燃焼(乾留を含む)させるために、ガス化室内へはガス化空気路を介して外部から空気(ガス化空気)が導入可能とされる。このガス化空気路を介したガス化室内への空気供給は、通常はガス化室の炉床から行われる。ガス化室には、さらに、ガス化室内の温度を計測するガス化室温度センサが設けられる。
燃焼室は、ガス化室と連通して設けられ、典型的には水平または垂直に配置される。いずれの場合も、ガス化室の上壁または側壁と、燃焼室の基端部とが接続される。そして、燃焼室の先端部には、排気筒(煙突)が設けられ、外気と連通される。但し、燃焼室と排気筒との間に、燃焼室からの排ガスを冷却する冷却塔や、ダイオキシンが万一発生した場合にそれを吸着除去するダイオキシン吸着塔などを設けてもよい。
燃焼室には、さらに助燃バーナが設けられる。この助燃バーナは、灯油などの補助燃料を燃焼させるものであり、燃焼室の基端部に設けられる。その際、燃焼室を構成する筒体の基端部には、段付き円筒状のバーナ筒が配置され、このバーナ筒の基端部に助燃バーナが設けられる。助燃バーナからの火炎は、バーナ筒内へ向けられる。
また、バーナ筒内へは、ガス化室からの乾留ガスが導入されると共に、燃焼用空気路を介して送風機からの空気(燃焼用空気)が導入される。従って、助燃バーナの火炎にて、ガス化室からの乾留ガスは、燃焼室内へ火炎を向けて燃焼される。このようにして、燃焼室の基端部には、助燃バーナに近接して、乾留ガスとその燃焼用空気とが導入され、助燃バーナの火炎により燃焼されるので、助燃バーナ付きのバーナ筒の部分を、乾留バーナと呼ぶことができる。
この乾留バーナの構成について、さらに具体的に説明すると、本実施形態では、バーナ筒は段付き円筒形状とされ、燃焼室を構成する筒体と同一軸線上に配置される。段付き円筒形状のバーナ筒は、先端側に大径部を配置し、基端側に小径部を配置して設けられる。そして、大径部の先端部には、半径方向外側へ延出してフランジが形成されている。そのフランジの外周部に、燃焼室を構成する筒体の基端面が、耐熱性および弾性を有する円環状パッキンを介して気密状態に接続される。そのパッキンとしては、セラミックパッキンが好適に使用される。一方、バーナ筒の基端側の小径部には、助燃バーナの先端部が差し込まれて配置される。
バーナ筒内へ乾留ガスを供給するために、ガス化室とバーナ筒とは、接続管を介して接続される。この接続管は、一端部がガス化室に接続される一方、他端部がバーナ筒の周側壁に接続される。この際、接続管の他端部は、バーナ筒の先端側大径部の周側壁に接続される。
バーナ筒を介して燃焼用空気を供給するために、バーナ筒には、多数の給気穴が貫通形成されている。本実施形態では、前記大径部の周側壁、その周側壁の先端部に設けられた前記フランジ、および前記周側壁の基端部に設けられた段付き部に、それぞれ給気穴が形成される。前記フランジに形成される給気穴は、前記パッキンよりも内周側に配置される。
このようにして、バーナ筒へは、接続管を介してガス化室から乾留ガスが導入されると共に、給気穴を介して送風機から燃焼用空気が導入される。また、バーナ筒の基端部から先端側へ火炎を向けて助燃バーナが燃焼可能とされる。助燃バーナの火炎への乾留ガスの接触および混合を円滑で確実になすために、接続管内には、ガス化室からの乾留ガスを助燃バーナへ向ける絞り手段が設けられる。
この絞り手段の構成は特に問わないが、接続管の内穴の内、バーナ筒の先端側となる領域を閉塞するのが簡易である。また、その際、接続管の他端部側(バーナ筒側)へ行くに従って、バーナ筒の基端部側へ傾斜する傾斜面を有する偏向板により形成するのが好適である。
また、乾留ガスとその燃焼用空気との混合を確実に行うために、バーナ筒の段付き部に形成される給気穴は、接続管が接続される側の開口率を高めるのが好ましい。開口率を高めるためには、接続管が接続される側の略半周部の給気穴の直径を大きくするか、あるいは給気穴の個数を多くすればよい。
さらに、助燃バーナの火炎を乾留ガスへ確実に接触させるために、バーナ筒への接続管の開口部の側へ向けて、助燃バーナの先端部を傾斜させるのが好ましい。この傾斜角度は、特に問わないが、たとえばバーナ筒の軸線に対し5〜30°の範囲で設定され、特に10°前後が好適である。5°未満では、バーナ筒の軸線に沿って助燃バーナを配置した場合と変わらない反面、30°を超えると、助燃バーナからの火炎がすぐにバーナ筒などの特定箇所に接触して異常加熱させるおそれがあるからである。
また、所望により、バーナ筒への接続管の開口部に、断面略V字形状材を設けてもよい。この部材は、バーナ筒の半径方向内側へ行くに従って拡幅するよう断面略V字形状に形成され、バーナ筒の軸線方向へ沿って延出して配置される。この略V字形状材により、ガス化室からの乾留ガスは、バーナ筒の内周面に沿って周方向へ分岐して供給され、バーナ筒内で乾留ガスを分散させることで燃焼性の改善が図られる。
さらに、燃焼室には、この燃焼室内の温度を計測する燃焼室温度センサが設けられる。本実施形態では、この燃焼室温度センサは、燃焼室の出口付近に設けられる。ここで燃焼室の温度とは、燃焼室における燃焼反応がほぼ完了した燃焼ガス温度を意味する。
ところで、ガス化空気路を介したガス化室内への空気供給、燃焼用空気路を介した乾留バーナ付き燃焼室内への空気供給、ガス化室の着火バーナへの空気供給、および燃焼室の助燃バーナへの空気供給は、送風機からの空気をそれぞれへ送り込むことでなされる。本実施形態では、一つの共通の送風機から前記各所へ空気が供給可能とされる。送風機から前記各所へ送り込まれる各空気量は、それぞれに設けられた空気量調整手段により設定される。この空気量調整手段としては、典型的にはダンパが使用される。このダンパは、駆動モータあるいはソレノイドなどの作動により、それが設けられた管路の開度を変更する弁体である。
ガス化室や燃焼室およびそれらに設けた各バーナへの送風量や送風圧、および各バーナへの補助燃料の供給量、各バーナへの空気と補助燃料の供給を伴う各バーナの作動などは、制御手段により制御される。具体的には、この制御手段は、前記各ダンパの停止位置をそれぞれ制御することで、着火バーナへの供給空気量、ガス化空気路を介したガス化室への供給空気量、助燃バーナへの供給空気量、および燃焼用空気路を介した燃焼室への供給空気量を変更可能である。また、制御手段は、前記送風機と各ダンパとの空間に設けた圧力センサの出力に基づき送風機の回転数をインバータ制御することで、送風機から前記各ダンパを通過させる空気の風圧を一定にすることができる。さらに、制御手段は、燃料供給管に設けられたバルブを開閉制御することで、前記各バーナへの補助燃料の供給量を切り替える。
以上のように構成される乾留焼却炉は、被焼却物を順次投入して連続焼却するのではなく、バッチ処理により焼却を行うものである。つまり、最初にガス化室内へ被焼却物を投入して収容した後、乾留焼却のための各工程が順次に実行され、その一連の処理が完了するまでは、ガス化室に新たに被焼却物が投入されることはない。このような運転制御は、予め設定された手順(プログラム)に従い、ガス化室および燃焼室に設けた各温度センサ、および前記各ダンパと送風機との間に設けた圧力センサの出力、制御手段自体が把握する経過時間、ガス化室に投入される被焼却物の重量などを用いて自動でなされる。
ところで、以上の説明ではバーナ筒は、段付き円筒形状としたが、段付き部のない単なる円筒形状とすることもできる。この場合、助燃バーナの先端側外周部に、フランジ状のバッフル片を設け、バーナ筒の基端側から供給した燃焼用空気を、このバッフル片に形成した小穴や、バッフル片の外周部とバーナ筒の内周部との隙間、を介して先端側へ導出する。このような構成により、バッフル片を介した燃焼用空気の供給は、前記段付き部の給気穴を介した燃焼用空気の供給と同様のものとなる。
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。但し、本発明の乾留焼却炉は、下記実施例の構成に限らず、適宜変更可能なことは言うまでもない。
図1は、本発明の乾留焼却炉の実施例1を示す概略構成図である。本実施例の乾留焼却炉は、乾留ガス化方式および二次燃焼方式により、廃棄物などの被焼却物を焼却処理する装置である。具体的には、乾留焼却炉は、着火バーナ1を有し被焼却物(不図示)を収容するガス化室2と、このガス化室2内の被焼却物から発生させた乾留ガスを燃焼させる助燃バーナ3付きの燃焼室4と、この燃焼室4からの排ガスを装置外へ排出する排気筒5と、ガス化室2や燃焼室4およびそれらに設けた前記各バーナ1,3へ空気を供給する送風機6と、前記各バーナ1,3および前記送風機6などを制御する制御器7とを備える。
ガス化室2は、被焼却物を収容可能に、中空ボックス状に形成されている。本実施例のガス化室2には、正面の上下に、被焼却物の投入扉8と焼却後の灰出し扉9とが開閉可能に設けられており、側面に、着火バーナ1が設けられている。着火バーナ1は、ガス化室2の中央部よりやや下方に配置されており、先端部をガス化室2内へ向けて横向きに設けられる。
着火バーナ1は、灯油などの補助燃料を燃焼させるものである。そのために、着火バーナ1には、給油路(不図示)を介して補助燃料が供給されると共に、着火バーナ空気路10を介して送風機6から空気が供給される。ここで、着火バーナ1への補助燃料の供給は、前記給油路に設けた給油弁(不図示)の開閉により調整される。また、着火バーナ1への空気の供給は、着火バーナ空気路10に設けた着火バーナダンパ11により調整される。本実施例の着火バーナダンパ11は、ソレノイド12により上下位置を変更されて、着火バーナ空気路10の開度を調整するものである。
ガス化室2には、ガス化室2内へ空気を導入するガス化空気路13が接続されている。このガス化空気路13は、送風機6からの空気をガス化室2の炉床からガス化室2内へ導入するものである。ガス化空気路13には、ガス化空気ダンパ14が設けられており、ガス化室2への供給空気量が調整される。本実施例のガス化空気ダンパ14は、ガス化空気路13を構成する管路15と直交する方向に配置した回転軸16まわりに回転可能な板材であり、モータ17により回転停止位置を変更されてガス化空気路13の開度を調整する。より具体的には、ガス化空気路13を構成する管路15が、弁箱18内へ突出しており、その突出部の管端を開閉するように、板状のガス化空気ダンパ14が、その一側端部に設けた回転軸16まわりに回転可能に設けられる。
さらに、ガス化室2には、ガス化室2内の温度を計測するために、ガス化室温度センサ19が設けられる。本実施例のガス化室温度センサ19は、ガス化室2から燃焼室4への出口部付近に設けられる。
ガス化室2の上部には、燃焼室4が水平に設けられる。具体的には、ガス化室2の上部には、内筒20と外筒21とから構成される二重の筒体が、水平に配置される。内筒20とこれより大径の外筒21とは、それぞれ円筒形状に形成されている。そして、内筒20に外筒21を被せるようにして、内筒20と外筒21とは同一軸線上に配置される。これにより、内筒20の外周面と外筒21の内周面との間に、円筒状隙間22が形成される。
内筒20の基端部には、段付き円筒形状のバーナ筒23が接続され、このバーナ筒23の基端部に助燃バーナ3が設けられる。内筒20と外筒21との円筒状隙間22は、内筒20および外筒21の先端部において閉塞される。一方、外筒21は、内筒20よりも基端側へ延出しており、バーナ筒23の基端部と対応した位置において、外筒21とバーナ筒23との隙間が閉塞される。
助燃バーナ3は、着火バーナ1と同様に、灯油などの補助燃料を燃焼させるものである。そのために、助燃バーナ3には補助燃料が供給されると共に、助燃バーナ空気路24を介して送風機6から空気が供給される。助燃バーナ空気路24には、助燃バーナ3への供給空気量を決定する助燃バーナダンパ25が設けられている。本実施例の助燃バーナダンパ25は、助燃バーナ空気路24を構成する管路と直交する方向に配置した軸まわりに回転可能な板材からなる。従って、その回転停止位置を調整することで、助燃バーナ3への供給空気量を調整することができるが、本実施例では所定の開度に固定されている。
上述したように、内筒20は、その基端部にバーナ筒23を介して助燃バーナ3が設けられるが、このような内筒20によって燃焼室4が構成される。すなわち、内筒20と外筒21とから構成される二重の筒体は、燃焼室4の壁を構成し、内筒20内が燃焼室4として実質的に機能する。そして、この燃焼室4内へは、ガス化室2から乾留ガスが接続管26を介して導入されると共に、その乾留ガスの燃焼用空気が燃焼用空気路27を介して導入される。
具体的には、バーナ筒23とガス化室2とは接続管26で接続され、この接続管26を介して、ガス化室2からの乾留ガスが燃焼室4内へ導入される。本実施例では、水平に配置されたバーナ筒23の周側壁下端部と、ガス化室2の上端部とが、垂直に配置された円筒状の接続管26にて接続される。
一方、燃焼室4内への燃焼用空気の供給は、燃焼用空気路27を介して送風機6から空気を送り込むことでなされる。この際、内筒20と外筒21との円筒状隙間22が、燃焼用空気路27の末端部として用いられる。すなわち、送風機6からの空気は、前記ガス化空気ダンパ14と同様の構成の燃焼用空気ダンパ28を介した後、外筒21の先端側の周側壁に形成した開口から、前記円筒状隙間22へ供給される。そして、円筒状隙間22へ供給された空気は、基端側へ導かれ、内筒20の基端部に配置したバーナ筒23を介して燃焼室4内へ導出される。
このようにして、バーナ筒23内へは乾留ガスと燃焼用空気とが供給され、助燃バーナ3の火炎にて燃焼される。その際、ガス化室2からの乾留ガスは、燃焼室4内へ火炎を向けて燃焼される。このようなことから、助燃バーナ3付きのバーナ筒23の部分を、乾留バーナ29と定義することができる。以下に、この乾留バーナ29の構成について、さらに具体的に説明する。
図2から図4は、本実施例の乾留バーナ29付き燃焼室4を示す概略図であり、図2は一部を省略した縦断面図、図3はそのIII−III断面図、図4はそのIV−IV断面図である。また、図5は、図2におけるA部の拡大図である。さらに、図6は、接続管26が設けられたバーナ筒23を、先端側から見た概略斜視図である。
燃焼室4を構成する内筒20の基端部には、段付き円筒形状のバーナ筒23が配置される。このバーナ筒23は、その大径部30を先端側に配置し、小径部31を基端側に配置して、内筒20と同一軸線上に配置される。また、大径部の先端部には、フランジ32が形成されている。ここで、大径部30は、内筒20の内径よりも小さく、小径部31は、助燃バーナ3の外径(燃焼筒33の外径)よりも大きい。また、フランジ32の外径は、内筒20の外径と同じかそれより若干大きい。
バーナ筒23の小径部31には、先端側へ向けて助燃バーナ3が設けられる。この助燃バーナ3は、従来公知の構成であり、ノズルパイプ34の先端部に設けたノズルチップ35から、補助燃料の供給量が略一定に維持されて噴出される。また、助燃バーナ3には、前述したように、助燃バーナ空気路24を介して空気が供給される。このような構成の助燃バーナ3は、バッフル板36を介して燃焼筒33から先端側へ火炎を向けて燃焼可能とされる。ところで、助燃バーナ3の燃焼筒33は、その先端部がバーナ筒23の小径部31の中央部に配置され、バーナ筒23の基端側から段付き部37に対応した位置まで差し込まれて設けられる。
バーナ筒23への接続管26の開口部の側(図2においてバーナ筒23の下方)へ向けて、助燃バーナ3の先端部を傾斜させるのが好ましい。この傾斜角度は、特に問わないが、たとえばバーナ筒23の軸線に対し5〜30°の範囲で設定され、特に10°前後が好適である。5°未満では、バーナ筒23の軸線に沿って助燃バーナ3を配置した場合と変わらない反面、30°を超えると、助燃バーナ3からの火炎がすぐにバーナ筒23などの特定箇所に接触して異常加熱させるおそれがあるからである。
前記フランジ32の先端面の外周部には、耐熱性および弾性を有する円環状パッキン38が設けられる。この際、フランジ32の先端面に形成した円筒状段部39にはめ込むようにして、パッキン38が設けられる。本実施例のパッキン38は、セラミックパッキンとされる。そして、内筒20の基端面がこのパッキン38に当接して設置される。これにより、内筒20とバーナ筒23とは、気密状態に接続され、しかも、内筒20の熱膨張または熱収縮は、パッキン38の弾性変形によって吸収される。
ところで、本実施例では、内筒20は、ステンレス製筒体40の内面に、セラミック製筒体41を配置した二重構造とされている。これにより、燃焼室4の断熱が図られ、燃焼室4の温度上昇を図り易くする。その反面、前記ステンレス製筒体40や外筒21は、両者間の円筒状隙間22を流れる燃焼用空気によって冷却を図られ、また燃焼用空気は予熱を図られる。
バーナ筒23の大径部30には、その周側壁の下端部に、接続管26の上端部が接続される。この接続管26は、上下方向に沿う円筒からなり、下端部がガス化室2の上部に接続され、上端部がバーナ筒23の周側壁下部に接続される。この際、図示例では、大径部30の基端部に、接続管26が接続されている。接続管26内には、ガス化室2からの乾留ガスを上方へ行くに従ってバーナ筒23の基端部側へ方向付ける偏向板42が設けられる。
本実施例の偏向板42は、板材であり、接続管26の下端部内周面から、上方へ行くに従ってバーナ筒23の基端部側へ傾斜する傾斜面43と、その上端部から垂直上方へ延びる垂直面44とを有する。この偏向板42の上端縁は、図3に示すように、バーナ筒23の内周面に沿った円弧状に形成されている。このようにして、偏向板42は、接続管26の内穴の内、バーナ筒23の先端側の略半分を閉塞するよう設けられる(図4)。すなわち、偏向板42は、前記垂直面44が、接続管26の直径方向に沿って配置され、その下端部が傾斜面43を介して、接続管26の内周面下部に接続される。
ところで、バーナ筒23には、多数の給気穴45,46,47が形成され、その給気穴45,46,47を介して、燃焼用空気がバーナ筒23ひいては内筒20内へ供給される。具体的には、バーナ筒23の大径部30には、周側壁に多数の第一給気穴45,45…が貫通形成されている。図6では、第一給気穴45は、千鳥状に形成されているが、格子状などに形成してもよい。また、バーナ筒23のフランジ32には、周方向等間隔に、第二給気穴46,46…が貫通形成されている。この第二給気穴46は、前記パッキン38よりも内周側に形成されている。さらに、バーナ筒23の段付き部37にも、周方向等間隔に、第三給気穴47,47…が貫通形成されている。
ここで、バーナ筒23の段付き部37に形成される第三給気穴47は、水平に配置されたバーナ筒23の上方よりも下方の開口率を高めて形成するのが好ましい。典型的には、バーナ筒23の下半周部に形成される第三給気穴47は、バーナ筒23の上半周部に形成される第三給気穴47よりも大径に形成される。但し、同一直径の第三給気穴47を用いつつ、下半周部の第三給気穴47の形成個数を、上半周部の第三給気穴47の形成個数より多くしてもよい。また、バーナ筒23への接続管26の開口部側の開口率を高めればよく、必ずしも下半周部と上半周部とで分ける必要はない。
送風機6からの燃焼用空気は、外筒21の先端部の周側壁に形成した開口(不図示)を介して、内筒20と外筒21との円筒状隙間22へ供給され、その円筒状隙間22を基端側へ導かれ、外筒21とバーナ筒23との隙間へ導かれる。そして、その燃焼用空気は、バーナ筒23に形成された各給気穴45,46,47を介して、バーナ筒23や内筒20内へ供給される。ここで、バーナ筒23の基端部には、先端側へ向けて助燃バーナ3が設けられているので、バーナ筒23内へ供給された乾留ガスおよび燃焼用空気は、混合して助燃バーナ3の火炎により着火され、燃焼室4(内筒20)内で燃焼する。
燃焼室4の先端部には、図1に示すように、円筒状の排気筒5が上方へ延出して設けられる。そして、この排気筒5の下端部で、且つ前記燃焼室4の先端部と対面した周側壁には、燃焼室出口の温度を計測する燃焼室温度センサ48が設けられる。
前記送風機6は、前記着火バーナ空気路10、前記ガス化空気路13、前記助燃バーナ空気路24、および前記燃焼用空気路27に共通的に空気を送り込むファンである。本実施例の送風機6は、インバータ制御にて送風圧が一定となるように回転数を制御可能とされている。具体的には、送風機6と各ダンパ11,14,25,28との間の空間には、その空間内の圧力を計測する圧力センサ49が設けられており、この圧力センサ49の出力に基づき、前記送風機6の回転数が制御される。
前記制御器7は、前記ガス化室2や前記燃焼室4およびそれらに設けた各バーナ1,3への送風量や送風圧、および前記各バーナ1,3への補助燃料の供給などを制御する。具体的には、前記各ダンパ11,14,28の駆動手段をそれぞれ制御することで、前記着火バーナ1への供給空気量、前記ガス化空気路13を介した前記ガス化室2への供給空気量、および前記燃焼用空気路27を介した前記燃焼室4への供給空気量を変更できる。但し、本実施例では、助燃バーナダンパ25は、所定状態に固定されているので、助燃バーナ3の作動時には一定量の空気が助燃バーナ3へ供給される。
また、前記制御器7は、前記圧力センサ49の出力に基づき前記送風機6の回転数をインバータ制御することで、前記送風機6から前記各ダンパ11,14,25,28へ送る空気の風圧を一定にできる。さらに、前記各バーナ1,3への補助燃料の供給は、給油路(不図示)に設けられた前記給油弁(不図示)を開閉制御することでなされる。
このような制御は、予め設定された手順(プログラム)に従い、ガス化室2および燃焼室4(排気筒5)に設けた各温度センサ19,48、および圧力センサ49の出力、さらには制御器7自身が把握する経過時間などを用いてなされる。この制御器7による工程制御は、前記温度センサ19,48による温度制御を基本とし、これに時間制御を付加したものとしている。
次に、本実施例の乾留焼却炉の運転について説明する。まず、乾留焼却炉の運転開始に際し、投入扉8を開けて被焼却物をガス化室2内へ投入し、投入扉8を閉めて被焼却物をガス化室2内に収容する。そして、予め決められたプログラムに従い、制御器7により被焼却物の焼却処理がなされる。具体的には、通常、以下に述べるような処理が順次になされる。
この処理は、バッチ処理であり、図7に示すように、プレパージ工程ST1、予熱工程ST2、着火工程ST3、乾留工程ST4、おき火工程ST5、およびポストパージ工程ST6とからなる。そして、これら作業中には、送風機6を作動させるが、ガス化室2や燃焼室4への各供給空気量は、それぞれに設けたダンパ14,28の停止位置を調整することで設定される。その際、圧力センサ49の出力に基づいて、送風機6の回転数を制御することで、所定の風圧で空気を供給できる。従って、各工程において所望の送風量を安定して供給できる。
プレパージ工程ST1は、各バーナ1,3を停止した状態で燃焼用空気ダンパ28のみを全開として、燃焼用空気路27から燃焼室4内へ空気を送り込むことで、ガス化室2および燃焼室4内の空気を外部へ排出して、安全確保を図る工程である。所定時間だけプレパージ工程ST1を継続した後、予熱工程ST2へ移行する。
予熱工程ST2は、ダイオキシン類を分解できる温度以上に、燃焼室4内を予熱する工程である。より早く温度を上昇させるために、ガス化空気ダンパ14を閉じる一方、燃焼用空気ダンパ28は若干開いた状態で、助燃バーナ3のみを作動させる。このようにして燃焼室4内で補助燃料を燃焼させることにより、設定された着火開始温度まで燃焼室4内を予熱する。本実施例では、助燃バーナ3には、所定の補助燃料および空気が一定供給され、燃焼室4内の温度を600〜700℃まで予熱する。燃焼室4内の温度が着火開始温度以上になると、着火工程ST3が開始される。
着火工程ST3は、助燃バーナ3に加えて、着火バーナ1も運転を開始し、その炎でガス化室2内の被焼却物に着火する工程である。また、この着火工程ST3は、被焼却物に確実に着火させて乾留に至らせるための工程でもある。この着火工程ST3では、ガス化室2内で補助燃料を燃焼させ、しかも被焼却物に着火しガス化室2に一定の送風量を加えることで被焼却物の発熱を促し、燃焼室4の温度を設定された着火終了温度まで上昇させる。ここでは、着火終了温度として900℃を設定しており、その着火終了温度になるか、あるいは、設定時間だけ着火バーナ1を連続的に作動させた後、乾留工程ST4へ移行する。
ところで、着火工程ST3においては、ガス化空気ダンパ14および燃焼用空気ダンパ28は、所定の開かれた状態に維持される。この際、燃焼用空気ダンパ28は、当初は若干開かれた全閉位置とし、燃焼ガス温度が設定値(たとえば600℃)となると全開となるように構成している。
次に、乾留工程ST4について説明すると、この乾留工程ST4に入ると、着火バーナ1の作動は停止される。これ以降、着火バーナ1は、乾留ガスの発生を促す必要があるとき作動を再開される。つまり、着火バーナ1は、乾留の状況に応じて作動と停止が調整される。具体的には、着火バーナ1は、乾留ガスの発生が少なくなり、燃焼室4内の温度が800℃以下になると作動を再開して、被焼却物を加熱することにより乾留ガスの発生を促す。そして、燃焼室4内の温度が820℃になると停止する。但し、このような着火バーナ1の作動は、乾留工程ST4の前半に一定時間のみ行われる。
乾留工程ST4において、助燃バーナ3は、一定の燃焼量で作動を継続する。但し、燃焼室温度が燃焼停止温度(ここでは1100℃)を越えると、停止するよう制御する。また、乾留工程ST4中、燃焼用空気ダンパ28は、一定の開度を維持する。本実施例では、燃焼用空気ダンパ28は、全開位置に維持される。このようにして、燃焼室4には継続して、燃焼用空気路27から乾留ガスの焼却量に対応する一定量の燃焼用空気が供給される。一方、ガス化空気路13を介したガス化室2への空気供給は、燃焼室温度センサ48による燃焼室温度に基づき、ガス化空気ダンパ14を自動調整することでなされる。
乾留工程中、助燃バーナ3の火炎と、ガス化室2からの乾留ガス、および燃焼用空気路27からの燃焼用空気が、乾留バーナ29において混合し、燃焼室4内に燃焼火炎が形成される。燃焼室4の出口に配置された燃焼室温度センサ48を用いて、燃焼室出口温度を一定にするようガス化空気ダンパ14の開度が調整される。
乾留工程ST4中、ガス化空気路13からガス化室2内への供給空気量は、被焼却物の燃焼量に必要とする理論空気量以下(空気比0.1〜0.2)に制限される。これにより、被焼却物を蒸し焼き状態とし、被焼却物から乾留ガスが発生する。
このようにして、乾留工程ST4では、ガス化室2内で乾留ガスを発生させながら、この乾留ガスを燃焼室4内で燃焼させる。その燃焼排ガスは、排気筒5より大気中へ排出される。この乾留工程ST4においては、被焼却物をダイオキシン類の発生が少ない乾留ガス化方式にて焼却処理できる。その際、ガス化室2内で発生したダイオキシン類も、燃焼室4内で熱分解することができる。さらに、燃焼室4内の燃焼において発生したダイオキシン類も、燃焼室4内で熱分解することができる。
前記乾留工程ST4の前記制御により、乾留が安定して行われるが、乾留の進行に伴い、ガス化量が減少し、燃焼室温度を所定に維持できず低下してくる。このようにして、所定の最低乾留工程時間が経過し、設定された移行温度(750℃)まで燃焼室4の温度が低下した後、おき火工程ST5へ移行する。このおき火工程ST5は、乾留ガスが発生した残りの被焼却物,すなわち炭化した状態の被焼却物をおき火の状態で燃焼させる工程である。
このおき火工程ST5においては、助燃バーナ3のみを作動させる。このおき火工程ST5においても、乾留工程ST4のときと同様、燃焼室4からの燃焼排ガスは、排気筒5を介して大気中へ排出される。ところで、おき火工程ST5においては、ガス化空気ダンパ14は原則として灰化に必要な設定開度を維持する。この開度は、通常、全開位置とされる。そして、その状態で、燃焼室4の温度が一定になるように、燃焼用空気ダンパ28の開度を自動調整する。すなわち、制御器7は、燃焼室温度センサ48の検出温度に基づき、燃焼用空気ダンパ28の駆動モータ17を制御して、燃焼用空気ダンパ28の回転停止位置を調整する。
おき火工程ST5の進行に伴い、被焼却物が燃え尽きるので、徐々にガス化室2内の温度は低下し、それに伴い、燃焼用空気ダンパ28は徐々に開度を開くことになる。そして、ガス化室2内の温度が所定温度,たとえば350℃以下になるか、設定時間の経過により、被焼却物がほぼ燃焼し尽くしたと判断されるので、ポストパージ工程ST6へ移行する。
ポストパージ工程ST6は、ガス化室2および燃焼室4を冷却する工程である。このポストパージ工程ST6においては、両バーナ1,3をともに停止させ、ガス化空気ダンパ14は全閉位置にする一方、燃焼用空気ダンパ28は全開位置とする。これにより、燃焼室4へ送風機6からの空気を供給することで、ガス化室2および燃焼室4の冷却が図られる。そして、設定時間に亘るポストパージ工程ST6が終了すると、送風を停止し、焼却処理を終了する。
本実施例の乾留焼却炉によれば、ガス化室2と燃焼室4との接続管26内に偏向板42を設けることで、バーナ筒23内への乾留ガスの導出は、バーナ筒23の基端部側へ向けられる。これにより、バーナ筒23へ導入された乾留ガスが、燃焼室4側へショートパスして燃焼性が低下することが防止される。また、助燃バーナ3を下方へ傾斜させて設け、またバーナ筒23の段付き部37からも燃焼用空気を供給する構成とした。これにより、助燃バーナ3の火炎、乾留ガスおよび燃焼用空気の接触および混合を一層良好なものとすることができる。ところで、接続管26からの乾留ガスは、バーナ筒23の段付き部37に沿って流れ、第三給気穴47からの噴流と良好な混合が行われて安定した火炎を形成する。さらに、内筒20とバーナ筒23とをセラミックパッキン38を介して気密に接続することで、空気の漏れを防止し、バーナ筒23の内外の差圧が適正に確保され、燃焼性が改善される。このようにして、本実施例の乾留焼却炉によれば、燃焼性が改善され、燃焼室4内での乾留バーナ29からの炎を短炎化することができ、煤塵やダイオキシンの低減も図ることができる。
次に、本発明の乾留焼却炉の実施例2について説明する。実施例2の乾留焼却炉も基本的には、前記実施例1の乾留焼却炉と同様の構成である。そこで、以下では、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
図8から図10は、本実施例の乾留バーナ29付き燃焼室4を示す概略図であり、図8は一部を省略した縦断面図、図9はそのIX−IX断面図、図10はそのX−X断面図である。また、図11は、図8におけるB部の拡大図である。さらに、図12は、接続管26が設けられたバーナ筒23を、先端側から見た概略斜視図である。
前記実施例1と同様に、接続管26には、傾斜面43と垂直面44とを有する偏向板42が設けられ、接続管26の内穴の内、バーナ筒23の先端側となる略半分が閉塞される。本実施例2では、さらに、接続管26の上部開口に、略V字形状材50が設けられる。この略V字形状材50は、接続管26の内穴の内、バーナ筒23の基端側となる略半分の領域に設置される。すなわち、前記偏向板42の垂直面44と、接続管26の内周面との間の空間に、略V字形状材50が設置される。
この略V字形状材50は、図9に示すように、バーナ筒23の半径方向内側へ行くに従って拡幅するよう断面略V字形状に形成され、バーナ筒23の軸線方向へ沿って延出して配置される。この略V字形状材50により、ガス化室2からの乾留ガスは、バーナ筒23の内周面に沿って周方向へ分岐して供給され、バーナ筒23内で乾留ガスを分散させることで燃焼性の改善が図られる。
次に、本発明の乾留焼却炉の実施例3について説明する。実施例3の乾留焼却炉も基本的には、前記実施例1の乾留焼却炉と同様の構成である。そこで、以下では、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
図13は、本実施例の乾留バーナ29を示す概略縦断面図である。前記実施例1では、バーナ筒23は、段付き円筒形状としたが、本実施例3では、バーナ筒23は単なる円筒体51とされている。但し、先端部には、前記実施例1と同様に、フランジ32が形成されている。また、本実施例3の場合、助燃バーナ3は、バーナ筒23と同一軸線上に配置されるように、水平に配置されている。但し、前記実施例1と同様に、助燃バーナ3は、その先端部を下方へ傾けて配置してもよい。
また、本実施例3では、助燃バーナ3の燃焼筒33の先端側外周部には、フランジ状に延出してバッフル片52を設けるのが好ましい。このバッフル片52には、複数の小穴53,53…が周方向等間隔に形成されている。そして、バーナ筒23の第一給気穴45から供給された燃焼用空気は、前記バッフル片52の後方(助燃バーナ3の基端部側)からも供給され、バッフル片52の作用によって絞られて導出されることで、乾留ガスや助燃バーナの火炎と円滑に混合される。このように、バッフル片52を介した燃焼用空気の供給は、前記実施例1における第三給気穴47を介した燃焼用空気の供給に相当する。ところで、本実施例3においても、前記実施例2と同様に、接続管26の上端部に、略V字形状材50を配置してもよい。
本発明の乾留焼却炉の実施例1を示す概略構成図である。 実施例1の乾留バーナ付き燃焼室を示す概略縦断面図であり、一部を省略して示している。 図2におけるIII−III断面図である。 図2におけるIV−IV断面図である。 図2におけるA部の拡大図である。 実施例1における接続管付きバーナ筒を示す概略斜視図であり、先端側から見た状態を示している。 実施例1の乾留焼却炉の運転工程の一例を示すフローチャートである。 実施例2の乾留バーナ付き燃焼室を示す概略縦断面図であり、一部を省略して示している。 図8におけるIX−IX断面図である。 図8におけるX−X断面図である。 図8におけるB部の拡大図である。 実施例2における接続管付きバーナ筒を示す概略斜視図であり、先端側から見た状態を示している。 実施例3の乾留バーナを示す概略縦断面図である。
符号の説明
1 着火バーナ
2 ガス化室
3 助燃バーナ
4 燃焼室
6 送風機
23 バーナ筒
26 接続管
29 乾留バーナ
30 大径部
31 小径部
32 フランジ
37 段付き部
38 パッキン
42 偏向板(絞り手段)
43 傾斜面
45 第一給気穴
46 第二給気穴
47 第三給気穴
50 略V字形状材
52 バッフル片
53 小穴

Claims (6)

  1. 被焼却物を収容して乾留ガス化するガス化室と、
    このガス化室から接続管を介して乾留ガスが導入されると共に、送風機から燃焼用空気が導入されるバーナ筒と、
    このバーナ筒の基端部に設けられ、前記バーナ筒と共に乾留バーナを構成する助燃バーナと、
    前記バーナ筒の先端部に設けられ、前記乾留バーナにより前記ガス化室からの乾留ガスを燃焼させる燃焼室と、
    前記接続管に設けられ、前記ガス化室からの乾留ガスを前記助燃バーナへ向ける絞り手段とを備え
    前記ガス化室内で乾留ガスを発生させると共にこの乾留ガスを前記燃焼室内で燃焼させる乾留工程では、燃焼室温度が燃焼停止温度を超えない限り、前記助燃バーナは一定の燃焼量で作動を継続し、
    前記バーナ筒は、先端側に大径部を配置した段付き円筒形状で、大径部の基端側の周側壁に前記接続管が接続され、小径部の内穴に前記助燃バーナの先端部が差し込まれて配置され、前記大径部および段付き部にそれぞれ燃焼用空気の給気穴が形成されており、
    前記接続管内に設けられる前記絞り手段としての偏向板は、前記接続管の内穴の内、前記バーナ筒の先端側となる領域を閉塞すると共に、前記バーナ筒の側へ行くに従って、前記バーナ筒の基端側へ傾斜する傾斜面を有しており、
    前記ガス化室からの乾留ガスは、前記偏向板により、前記接続管の内穴の内、前記バーナ筒の基端側へ寄せられて、前記バーナ筒の大径部の基端部において、段付き部に沿うよう前記バーナ筒内へ導出される
    ことを特徴とする乾留焼却炉。
  2. 前記バーナ筒は、先端側の大径部にフランジが形成されており
    前記大径部の周側壁、その周側壁の先端部に設けられた前記フランジ、および前記周側壁の基端部に設けられた段付き部に、それぞれ燃焼用空気の給気穴が形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の乾留焼却炉。
  3. 前記段付き部に形成される前記給気穴は、前記接続管が接続される側の開口率が高められて形成される
    ことを特徴とする請求項2に記載の乾留焼却炉。
  4. 前記燃焼室を構成する筒体の基端面が、前記フランジにセラミックパッキンを介して接続される
    ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の乾留焼却炉。
  5. 前記バーナ筒への前記接続管の開口部の側へ向けて、前記助燃バーナの先端部を傾斜させて設けた
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の乾留焼却炉。
  6. 前記バーナ筒への前記接続管の開口部に、前記バーナ筒の半径方向内側へ行くに従って拡幅すると共に前記バーナ筒の軸線方向へ沿って、断面略V字形状材を延出して設けた
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の乾留焼却炉。
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