以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施例について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いられる「上流」及び/又は「下流」との文言は、特段の説明がなされない限り、後述される洗濯槽の水槽の排出口から排水制御ユニットに向かう洗濯液の流れにおける「上流」及び/又は「下流」を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係るドラム式洗濯機の概略構成図である。尚、本発明の原理は、図1に示されるドラム式洗濯機に限らず、他の洗濯機(例えば、パルセータ方式の洗濯機や攪拌式洗濯機など)に適用することも可能である。
ドラム式洗濯機1は、筐体2を備える。筐体2の内部には、洗濯槽3が配設される。洗濯槽3は、筐体2の内部で揺動自在に支持される一端有底円筒状の水槽31と、水槽31内で回転自在に支持される一端有底円筒状の回転ドラム32と、回転ドラム32を回転させるモータ33とを含む。モータ33は、水槽31の底部外面に取り付けられる。水槽31は、洗濯液を排出するための排出口311と、洗濯液が流入する流入口312とを含み、洗濯液を循環して使用することができる構造をなす。
筐体2の内部には更に、水槽31内へ給水する給水系4、水槽31内の洗濯液を排水或いは循環させる排水系5及び洗濯物を乾燥させるための温風を洗濯槽3に送り込む乾燥系6を収容する。尚、乾燥系6は必ずしも必要とされるものではない。
乾燥系6は、水槽31の排気口313と接続する一端部と、水槽31の底部から乾燥用空気を送り込むための通気口とを備える循環管路61と、循環管路61の内部に配設されるとともに循環管路61内で空気を流動させる送風機62とを含む。乾燥系6は、必要に応じて、糸屑類を捕集するとともに除塵するフィルタ、除塵後の導入空気を除湿する除湿部、除塵後の空気を加熱するとともに乾燥した高温空気を作り出す加熱部とを含むことができる。
ドラム式洗濯機1は、筐体2の前面上部に配設される操作パネル8を備える。操作パネル8は、使用者がドラム式洗濯機1の運転コース等のモードや各種機能を選択することを可能にする。操作パネル8は、制御回路部81を含む。制御回路部81は、使用者が入力した情報を操作パネル8が備える表示部に表示する。また、操作パネル8を通じて、ドラム式洗濯機1の運転開始が設定されると、例えば、水槽31内の液位を検知する液位センサ、洗濯液の濁度を検知する濁度センサとして用いられる光センサ72や洗濯液の導電度を検知する導電センサとして用いられる電極センサ73等から検知信号を受信し、これら検知信号に基づき、給水系4に含まれる電磁弁や排水系5に含まれる排水弁75などに対する制御を実行する。モータ33、給水系4、排水系5及び乾燥系6は、制御回路部81によって、モード設定や制御プログラムに従い、自動制御され、少なくとも洗い工程、すすぎ工程、脱水工程及び乾燥工程を実行することができる。
給水系4は、水槽31に接続される給水管路41と、洗剤を収容する洗剤収容部42とを含む。給水系4は、電磁弁の開閉動作により、給水管路41を介して水槽31に適時に給水することができる(図1中、実線矢印を参照)。また、図1に示されるドラム式洗濯機1は、給水系4の給水を利用して、給水管路41を部分的に横切って配設される洗剤収容部42内の洗剤を水槽31内に適時に投入することができる。
排水系5は、水槽31の排出口311に接続される一端部を備える第1管路51と、第1管路51の他端部に接続されるとともに水槽31からの洗濯液を受ける排水制御ユニット7と、排水制御ユニット7が備える循環ポンプ71と水槽31との間で延びる第2管路52とを含む。図1に示されるドラム式洗濯機1において、循環ポンプ71は、台板712に固定されている。第2管路52の一端部は、循環ポンプ71の吐出口と接続され、第2管路52の他端部は、水槽31の流入口312に接続される。水槽31、第1管路51、排水制御ユニット7及び第2管路52は、洗濯液の循環路を形成する。循環ポンプ71は、循環路内で洗濯液を排出口311から流入口312に向けて流動・循環させる。
排水制御ユニット7は、循環ポンプ71に加えて、洗濯液の濁度を検知する濁度センサとして用いられる光センサ72、洗濯液の導電度を検知する導電センサとして用いられる電極センサ73、洗濯液を外部に排水するための排水管路74、排水管路74の途中部に配設されるとともに排水管路74を開閉させる排水弁75及び第1管路51から流入する洗濯液に含まれるリント(糸くずなど)を捕集するフィルタ部76を含む。
排水弁75は、洗い工程終了時やすすぎ工程終了時など必要に応じて開く。この結果、第1管路51から排水制御ユニット7に流入した洗濯水は、フィルタ部76を通じてリントの除去処理を施された後、外部に排出される。
排水弁75を閉じ、循環ポンプ71を作動させることにより、水槽31内に存する洗濯液は、第1管路51を通じて、排水制御ユニット7に流入する。その後、洗濯液は、排水制御ユニット7内に配設されるフィルタ部76を通過し、汚れ成分の除去がなされる。フィルタ部76を通過した後、循環ポンプ71の吸引口と接続される吸引管路711を通じて、洗濯液は、循環ポンプ71内に流入し、循環ポンプ71の吐出口と接続される第2管路52を通じて、水槽31内に戻される。洗い工程やすすぎ工程を実行している間、必要に応じて、このような洗濯液の循環を繰り返し行なうことで、洗い工程やすすぎ工程の機能向上を図ることが可能となる。
循環ポンプ71の回転数は可変とすることができる。循環ポンプ71の回転数が高く設定される(例えば、3500rpm)と、水槽31の流入口312に流入した洗濯液は、回転ドラム32内に向かう軌跡を描いて移動する(図1中、矢印Fi参照)。一方で、循環ポンプ71の回転数が低く設定される(例えば、1000rpm)と、水槽31の流入口312に流入した洗濯液は、回転ドラム32と水槽31との間に形成される空間内に向かう(図1中、矢印Fo参照)。
循環ポンプ71は、例えば、洗い工程とすすぎ工程のうち少なくとも1つの工程の開始時において、低速回転される。これにより、洗濯終了時の溶け残った洗剤或いは柔軟剤投入直後の高濃度の柔軟剤が、回転ドラム32内の洗濯物に降り注がれることが防がれる。
回転ドラム32と水槽31との間の空間に流入した洗濯液は、排出口311から排水系5に排出され、再度、水槽31の流入口312に戻る(水槽内循環工程)。水槽内循環工程を繰り返すことにより、洗剤は完全に溶解され、柔軟剤の濃度は均一化されることになる。この結果、溶け残った洗剤や高濃度の柔軟剤に起因する洗濯物のしみなどの問題を回避することが可能となる。
水槽内循環工程は、例えば、洗い工程及び/又はすすぎ工程の給水工程の約10秒後に設定されることが好ましい。或いは、例えば、水槽3の下端から40mm程度の液位を検知したときに水槽内循環工程が開始されることが好ましい。これにより、循環ポンプ71内に洗濯液が十分に満たされていない状態での循環ポンプ71の作動を避けることが可能となる。これにより、循環ポンプ71の泡がみ音などの異音、不十分な洗濯液量に起因する循環ポンプ71の異常温度並びに異常温度下での循環ポンプ71の作動を回避することができる。
ドラム式洗濯機1は、更に、風呂水を水槽31へ供給するためのポンプ等を備えてもよい。この場合には、風呂水供給用のポンプにより、水槽に風呂水を供給した後に、水槽内循環工程がなされることが好ましい。これにより、風呂水供給用のポンプと循環ポンプ71とが同時に動作せず、使用者を不快にさせる大きな騒音の発生を防止することが可能となる。
ドラム式洗濯機1は、操作パネル8の操作により、予約運転を設定することが可能である。ドラム式洗濯機1が予約運転されるとき、水槽内循環工程は、例えば、通常時の2倍の長さの期間、行なわれることが好ましい。これにより、予約待機中(予約設定してから実際にドラム式洗濯機1が動作を開始するまでの期間)に固化した洗剤を確実に溶解することが可能となる。この結果、予約運転の間、十分な洗浄力が得られるとともに、洗剤残りの問題も回避可能となる。
ドラム式洗濯機1は、必要に応じて、温度センサを備えることができる。温度センサを用いて測定された洗濯水の温度に応じて、水槽内循環工程の長さを変化させてもよい。例えば、温度センサが5℃の洗濯水の温度を検知したときには、例えば、20℃の洗濯水の温度を検知したときの倍の長さの水槽内循環工程を実行することができる。これにより、低い水温下においても、十分に洗剤を溶解することが可能となる。
図2は、図1に示される排水制御ユニット7の筐体の断面図である。図2(a)は、筐体の一方の断面を示し、図2(b)は、筐体の反対側の断面を示す。
排水制御ユニット7は筐体70を含む。筐体70には、図1に示された循環ポンプ71、光センサ72、電極センサ73、排水管路74、排水弁75やフィルタ部76などが取り付けられる。筐体70は、第1管路51に接続される一端部を備えるとともに水平方向に延びる直管部701と、直管部701の他端部に接続されるとともに直管部701との接続部を基端として斜め上方に延設する収容管部702と、収容管部702内に収容されるとともにリントを除去するためのフィルタ部76とを含む。直管部701と収容管部702は一体的に成型され、1つの管路を構成する。
直管部701は、略円管状に形成されるが、直管部701の途中部から下流に位置する収容管部702に向けて、平坦な内面772が形成される。平坦な内面772は、直管部701の中心軸を通過する水平面に沿って延び、収容管部702に向けて延出する平坦な帯状領域を形成する。平坦な内面772は、光センサ72の光の出射及び受光に用いられ、光センサ72が用いる赤外光線の不要な屈折を防ぐ。
直管部701は更に、一対の貫通穴773を含む。貫通穴773は、電極センサ73の電極部を直管路701内に突出させ、直管路701に内包される洗濯液と接触させるために設けられる。
収容管部702の内部空間下方には、排水管路74と接続される第1の開口部774と、循環ポンプ71の吸引口と接続される第2の開口部771が形成される。第1の開口部774及び第2の開口部771は、直管部701の貫通穴773と対向する側の面に設けられる。第1の開口部774は、排水管路74との接続部となり、第2の開口部771は、循環ポンプ71との接続部となる。
フィルタ部76は、メッシュ状に形成されるフィルタ776と、フィルタ776と接続されるとともに、収容管部702の先端開口部とシール可能に接続する蓋部704を備える。フィルタ776は、リントを除去する役割を担う。蓋部704の外面からは、収容管部702の軸に沿って外方に延びる摘み部705が形成される。フィルタ部76は、収容管部702に対して着脱自在である。したがって、使用者は、摘み部705を用いて、収容管部702からフィルタ部76を容易に取り外すことができる。
図3は、排水制御ユニット7の平面図であり、図4は、排水制御ユニット7の正面図であり、図5は、排水制御ユニット7を循環ポンプ71側から見た側面図であり、図6は、排水制御ユニット7を電極センサ73側から見た側面図である。
図3、図5及び図6には、第1の管路51が部分的に示されている。洗濯液は、水槽31から第1の管路51を通じて、排水制御ユニット7に流入する。排水制御ユニット7に流入した洗濯液は、光センサ72によって、濁度の検知が行なわれる。
図7は、排水制御ユニット7の筐体70の直管部701に取り付けられた光センサ72を示す。図8は、光センサ72の縦断面図(図8(a))、正面図(図8(b))、右側面図(図8(c))、左側面図(図8(d))及び平面図(図8(e))である。図9は、光センサ72が備える支持体の縦断面図(図9(a))、正面図(図9(b))、右側面図(図9(c))、左側面図(図9(d))、平面図(図9(e))及び底面図(図9(f))である。
光センサ72は、赤外光線を出射する発光素子721と、発光素子721から出射された赤外光線を受光する受光素子722とを含む。発光素子721及び受光素子722は、直管部701の外側に位置し、互いに対向する。したがって、発光素子721と受光素子722の間には、赤外光線の光軸が形成されるため、直管部701は、少なくとも部分的に、赤外光線を透過させる材質を含む。直管部701の管壁部により取り囲まれる空間内に満たされた洗濯液中を、発光素子721からの赤外光線が通過する。洗濯液の濁りが大きいとき、受光素子722に到達する赤外光線の光量は小さくなり、洗濯液の濁りが小さいとき、受光素子722に到達する赤外光線の光量は大きくなる。したがって、光センサ72は、洗濯液の濁度を検知する濁度センサとして機能することができる。
光センサ72は更に、発光素子721及び受光素子722を保持するための支持体723を備える。支持体723は、発光素子721を支持する第1支持部724と、受光素子722を支持する第2支持部725と、第1支持部724と第2支持部725とを連結させるとともに、発光素子721と受光素子722とを互いに対向する位置に保持する架橋部726とを含む。架橋部は、直管部701の上方で直管部701の軸に対して直角の方向に横切るように配設される。支持体723は、全体として、正面視略U字形状の立体をなす。
第1支持部724内には、発光素子721に加えて、発光素子721から赤外光線を出射させるための回路基板727が配される。第2支持部725内には、受光素子722に加えて、受光素子722が受けた赤外光線の光量に応じて電圧信号を生成するための回路基板728が配される。更に、光センサ72は、回路基板727,728に電力供給するための電線729を含む。図7及び図8に示される回路基板727,728は、薄板形状をなし、回路基板727,728の長手方向軸は、上下方向に延びる。
第1支持部724は、第2支持部725に対向する内側面241を備える。内側面241は、発光素子721のレンズ部211を含み、発光素子721から出射された赤外光線はレンズ部211を通じて、第2支持部725へ向かう。レンズ部211は、内側面241の他の部分に対して僅かに隆起している。内側面241の上下方向に延びる縁に沿って第1のリブ242が形成される。第1のリブ242は、内側面241から内方(直管部701の軸方向)に突出する。
第2支持部725は、第1支持部724に対向する内側面251を備える。内側面251は、受光素子722のレンズ部221を含み、発光素子721から出射された赤外光線は、レンズ部221を通じて、受光素子722に到達する。レンズ部221は、内側面251の他の部分に対して僅かに隆起している。内側面251の上下方向に延びる縁に沿って第2のリブ252が形成される。第2のリブ252は、内側面251から内方(直管部701の軸方向)に突出する。
平坦な内面772を形成する直管部701の管壁部分の外面も平坦に形成される。したがって、発光素子721から出射された赤外光線は、直管部701の両壁面により不必要に屈折されることはない。支持体723は、上方から直管部701に向けて外嵌される。したがって、発光素子721は、赤外光線を直管部701外部から出射し、受光素子722は、赤外光線を直管部701外部で受光することとなる。支持体723が直管部701と嵌合すると、第1支持部724の第1のリブ242と、第2支持部725の第2のリブ252とが、直管部701の平坦な外面に当接する。リブ242,252は、第1支持部724及び第2支持部725の内側面241,251を直管部701の平坦な外面から離間させる。この結果、支持体723と直管部701との嵌合に起因するレンズ部211,221及び直管部701の損傷を防止することができる。このため、リブ242,252と直管部701の外面との間の圧力(嵌合力)を高く設定することが可能となり、支持体723を強固に直管部701に取り付けることが可能となる。
支持体723の架橋部726の中央部には、上下方向に延びる環状の収容壁261が形成される。環状の収容壁261は、架橋部726の上面を形成する受板262とともに円柱形状の収容空間263を形成する。受板262は、貫通穴264を備える。貫通穴264は、収容空間263に連通する。直管部701は、上方に延びる円柱形状の突出部265を備える。支持体723と直管部701との嵌合がなされると、突出部265は、収容空間263に挿入され、突出部265の上面は、受板262の下面と当接する。突出部265は、下方に延びるねじ穴を備える。ねじが、受板262の貫通穴264を通じて、突出部265のねじ穴に螺合し、支持体723が確実に直管部701に固定されることとなる。受板262は、発光素子721及び受光素子722の上方を横切り、支持体723が取り付けられた直管部701の部分に向かう埃や水滴などの落下物を受け止めることができる。
図2乃至図6を再度参照する。光センサ72に対して僅かに下流側には、排水弁75が配される。排水弁75は、排水管路74を介して、排水制御ユニット7の筐体70に接続する。排水弁75が開くと、直管部701及び収容管部702に内包される洗濯液は、排水管路74を通じて外部に排水される。排水管路74と筐体70との接続位置は、収容管部702の基端部付近とすることができる。この結果、排水弁75が開くことによって、収容管部702並びに収容管部702と直管部701との接続部周辺では、循環ポンプ71が作動しているときとは逆方向の洗濯液の流れを生ずることとなる。
排水管路74と収容管部702との接続位置より僅かに下流側に電極センサ73が配される。電極センサ73は、光センサ72よりも下流側に配置される。光センサ72は、洗濯液の濁度を検知する濁度センサとして機能し、電極センサ73は、洗濯液の導電度を検知する導電センサとして機能する。
電極センサ73は、一対の端子板731,732を備える。端子板732は、端子板731よりも下流側に配設される。両端子板731,732それぞれには電線733が接続され、端子板731,732に高周波交流電圧が供給される。印加される電圧周波数並びに振幅は、洗濯液の導電度を測定できるものであれば特に限定されるものではない
図10は、端子板731の概略図である。図10(a)は、端子板731の側面図であり、図10(b)は、端子板731の正面図である。図10と併せて、図3及び図6を参照する。尚、図2乃至図6に関連して説明された下流側に配設される端子板732は、端子板731と同形同大とすることができる。
端子板731は、1つの金属板から形成することができる。端子板731は、折り曲げ構造をなし、上下方向に延びる折り曲げ線734を境に、端子板731の縁部735,736が同方向に折り曲げられている。したがって、折り曲げ線734を横切る軸周りの曲げモーメントに対して、端子板731は高い剛性を有する構造を備えている。端子板731の上部には、電線733との接続部737が形成される。
端子板731の縁部735,736の折り曲げ方向と反対側の面に円板状の肉厚部738及び円柱状の電極部739が形成される。端子板731は、肉厚部738を介して電極部739の基端部に接続される。電極部739の基端部にOリング371が嵌合される。電極部739は、排水制御ユニット7の筐体70の直管部701に形成された貫通穴773(図2参照)に挿入される。
端子板731は、一対の貫通穴311を備える。一方の貫通穴311は、電極部739に対して上方に位置し、他方の貫通穴311は、電極部739に対して下方に位置する。一対の貫通穴311及び電極部739は上下方向に整列する。折り曲げ線734は、一対の貫通穴311の中心点を結ぶ線に対して平行である。貫通穴311には、ボルト等の固定具が挿入され、貫通穴311は端子板731を直管部701の外面に取り付けるための固定部として機能する。
固定具を用いて、端子板731を直管部701の外面に圧接させると、電極部739の基端部に取り付けられたOリング371が圧縮される。Oリング371の復元力及び貫通孔311に挿通される固定具は、端子板731に曲げモーメントを生じさせる。折り曲げ線は、一対の貫通孔311の整列方向に沿って延び、端子板の左右縁が折り曲げ線に沿って折り曲げられることにより、端子板731は、曲げモーメントに対して高い剛性を有することになる。したがって、強い力で端子板731を直管部701の外面に取り付けることが可能となる。この結果、電極部739の基端部に配設されるOリング371は、強い力で圧縮され、高いシール性能を発揮することができる。したがって、直管部701に形成された貫通穴773を通じて、洗濯液が漏れ出ることが防止されることとなる。尚、本実施形態では、折り曲げ線734が軸Maに直交しているが、折り曲げ線734と軸Maとの交差角度は特に限定されるものではない。また、本実施形態では、固定部として貫通穴311が示されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、クランプを用いて、端子板731を直管部701の外壁に圧接する固定手法やOリングにシール機能を発揮させるのに十分な力で端子板731を直管部701の外壁に圧接させることができる他の固定手法を適用することが可能である。尚、クランプを用いる場合には、クランプに挟持される端子板731の部分が固定部として機能する。
図11は、端子板731,732が取り付けられた直管部701の断面図である。図11(a)は、上流側に位置する端子板731及び電極部739周囲の断面図であり、図11(b)は、下流側に位置する端子732及び電極部739周囲の断面図である。
電極部739は、直管部701の平坦な内面772を横切って、直管部701内部に突出し、直管部701に内包される洗濯液と接触する。電線733を通じて、端子板731,732に高周波交流電圧が印加され、一対の電極部739の間に存する洗濯液の導電度(インピーダンス)の測定がなされる。
図12は、電極部739周囲の洗濯液の流動を模式的に示す図である。尚、図12において、上流側に配される電極部に対して符号739aが付され、下流側に配される電極部に対して符号739bが付されている。
図12に示す如く、一対の電極部739a、739bは、直管部701の長手方向に沿って並べて配置される。一対の電極部739a、739bの軸によって定義される平面Pは、直管部701の軸に対して平行である。上流側に位置する電極部739aは、直管部701の軸に沿って流れる洗濯液を上下方向に分流するので、平面Pを横切る洗濯液の流量は少なくなる。したがって、洗濯液の導電度を測定するために適切な電極部739a、739bの間隔の範囲(例えば、15mm以上30mm以下)では、洗濯液の流動性は低減し、導電度の測定に適した洗濯液の流動が得られる。
また、図12に示す如く、一対の電極部739a,739bの軸を含む平面Pは水平面をなす。一対の電極部739a,739bはともに、直管部701の内部空間上部(排水制御ユニット7の設計上、空気溜りが発生する可能性のある空間(例えば、直管部701の内部空間のうち上側1/5の領域))及び直管部701の内部空間下部(排水制御ユニット7の設計上、汚れ成分が堆積する可能性のある空間(例えば、直管部701の内部空間のうち下側1/5の領域))を横切らない。この結果、電極部739a,739bの突出部分の面全体が直管部701内の洗濯液に接触し、直管部701内の空気が導電度の測定に影響を与えることを抑制することができる。また、直管部701の内部空間のうち上側4/5の領域で電極部739a,739bが突出することにより、直管部701内で堆積した汚れ成分が導電度の測定に影響を与えることを抑制することができる。
図13は、光センサ72及び電極センサ73周囲の洗濯液の流動を模式的に示す。図13において、図7乃至図9に関連して説明された光センサ72の発光素子721と受光素子722との間の赤外光線の光軸250が示されている。また、図12と同様に、上流側に配される電極部に対して符号739aが付され、下流側に配される電極部に対して符号739bが付されている。
光軸250を形成する赤外光線の不要な屈折を防ぐために直管部701の内壁面に形成される平坦な内面772の上流側端部277は、他の内壁面から隆起する。したがって、上流側端部277は、洗濯液の流れを乱すこととなる。このため、洗濯液の流れを、光軸250に達するまでに整えるために、光軸250に対して十分に上流側に離間した位置に形成されることが好ましい。このとき、光軸250を横切る洗濯液は、図7乃至図9に関連して説明された光センサ72の受光素子722に到達した赤外光線の光量に基づき判定される洗濯液の濁度の測定に好適な流れとなる。光センサ72の赤外光線は、洗濯液の流動に何ら影響を与えない。したがって、洗濯液の流れは、整流された状態で、電極部739a、739bに到達することになる。
図12に関連して説明されたように、上流側の電極部739aによって、直管部701の軸方向に平行な流れの一部は、上下に分流される。この結果、洗濯液の流れは、乱されることになる。この電極部739aに起因する洗濯液の流れの乱れは、図7乃至図9に関連して説明された光センサ72よりも下流側で発生するので、光センサ72による濁度の測定に何ら影響を与えることはない。
図12に関連して説明されたように、電極部739a,739bの軸により定義される平面Pは、直管部701の軸に対して平行である。したがって、例えば、直管部701内で洗濯液を逆流(直管部701から水槽31の排出口311(図1参照)に向かう方向)させた場合において、電極部739bは、洗濯液の流れを上下に分流するが、電極部739aは、洗濯液の流れ方向において、電極部739bと重なるため、過度に洗濯液の流れを乱すことはない。したがって、洗濯液を逆流させた場合においても、比較的高い精度で、光軸250を通過する洗濯液の濁度を検知することができる。
平坦な内面772の上側の境界を定める上縁391と、平坦な内面772の下側の境界を定める下縁392において、直管部701は凹状に屈曲した断面輪郭形状をなす(図7参照)。この屈曲した断面輪郭形状をなす部分において、洗濯液の流れは他の部分と比べて滞留しやすくなる。図13に示される如く、電極部739a,739bの断面の一部が平坦な内面772に入り込むように、電極部739a,739bが配設される。電極部739a,739bにより挟まれる上縁391の近傍において、洗濯液は特に滞留しやすくなるため、洗濯液の導電性を測定するのに好適な低い流動性の流れを得ることができる。また、電極部739a,739bの間で定められる平面Pを、上縁391と平行にすることにより、一層、導電度の測定精度を向上させることができる。
図1乃至図5を再度参照する。電極センサ73の下流には、循環ポンプ71が配設される。循環ポンプ71と排水制御ユニット7の筐体70の間には、循環ポンプ71の吸引口と接続される一端部と、排水制御ユニット7の筐体70に形成される第2の開口部771に接続される他端部とを含む吸引管路711が配設される。循環ポンプ71の吐出口から、第2管路52が延びる。第2管路52は、水槽31に形成された流入口312に接続される。
図14は、電極センサ73から循環ポンプ71へ至る洗濯液の流れを模式的に示す平面図である。図14と併せて、図1及び図2を参照する。図14において、吸引管路711が示されている。図14に示されるように、電極センサ73は、吸引管路711と排水制御ユニット7との接続部771(図2において、第2の開口部771として示される)よりも上流側に位置づけられている。また、図12と同様に、上流側に配される電極部に対して符号739aが付され、下流側に配される電極部に対して符号739bが付されている。
排水制御ユニット7の筐体70を構成する直管部701と収容管部702とは、平面視において、真っ直ぐな流路を形成する(図14中、直管部701と収容管部702との境界が点線を用いて示されている)。吸引管路711は、直管部701と収容管部702とが形成する真っ直ぐな流路に接続する。吸引管路711は、直管部701と収容管部702とが形成する真っ直ぐな流路の延出方向とは異なる方向(図14に示される排水制御ユニット7の構造では、直角方向)に延出する。真っ直ぐな流路に沿って流れる洗濯液は、循環ポンプ71からの吸引力を受けて、流動方向を変え、吸引管路711に向けて流れることとなる。電極センサ73は、接続部771に対向する側の直管部の内面から突出する。尚、「接続部771に対向する側の内面」とは、直管部701及び収容管部702の長手方向軸に沿って、直管部701及び収容管部702を仕切った場合において、接続部771から遠い位置に存在する方の内面であって、吸引管路711の軸を基点として、例えば、吸引管路711の内径の3倍乃至4倍の長さだけ上流及び/又は下流に位置する収容管部702及び/又は直管部の内面領域をいう。より好ましくは、吸引管路711の軸を基点として、吸引管路711の内径の3.5倍の長さだけ上流及び/又は下流に位置する収容管部702及び/又は直管部の内面領域を意味し、より好ましくは、吸引管路711の軸を基点として、吸引管路711の内径の3倍の長さだけ上流及び/又は下流に位置する収容管部702及び/又は直管部の内面領域を意味する。電極センサ73の電極部739a,739bは、このような内面領域から突出している。
図14には、電極センサ73近傍の管路を横切る断面C上の任意の点P1が示される。点P1は、接続部771から離間した位置(即ち、接続部771に対向する面近傍)の任意の点である。点P1において、電極部739a,739bの基端部から先端部へ向かう方向の洗濯液の流力V1が働く。したがって、電極センサ73を、接続部771に対向する位置に配設することにより、電極センサ73に引っ掛かったリントの除去が促されることになる。
上述の如く、電極部739a,739bは、直管部701内で突出部を形成することとなる。このため、排水制御ユニット7に流入する洗濯液に含まれるリントが電極部739a,739bに引っ掛かりやすい。しかしながら、電極センサ73の電極部739a,739bは、流力V1により、電極部739a,739bに引っ掛かったリントは、電極部739a,739bから比較的容易に除去されることになる。尚、図2に示される如く、収容管部702は、フィルタ部76を収容するので、フィルタ部76(図1参照)の一部は、電極センサ73と接続部771との間に存在することになる。図14において、フィルタ部76は網掛け領域で概略的に示されている。このため、洗濯液は、フィルタ部76の上流位置に存する電極センサ73を通過後、フィルタ部76の下流位置に存する吸引管路711に到達する前に、収容管路702内に配設されたフィルタ部76を通過する。したがって、リントは、電極部739a,739bから除去された後、フィルタ部76に捕捉されることになる。また、フィルタ部76は、洗濯液の流動に対して抵抗として機能するため、循環ポンプ71が停止した直後に電極部周囲の洗濯液の流動を急速に抑制させる機能を発揮する。
図15は、循環ポンプ71及び排水弁75を用いたリント除去を説明する図である。図15(a)は、電極センサ73から循環ポンプ71へ至る洗濯液の流れを模式的に示す平面図であり、図15(b)は、電極センサ73から排水弁75へ至る洗濯液の流れを模式的に示す平面図である。図15と併せて、図1を参照する。尚、図15中には、循環ポンプ71へ至る流路を形成する吸引管路711と、排水弁75へ至る流路を形成する排水管路74が示されている。また、図12と同様に、上流側に配される電極部に対して符号739aが付され、下流側に配される電極部に対して符号739bが付されている。尚、図15(a)は、図14に示される模式図と同様であり、図15(b)に示される洗濯液の流動形態との対比のために示されている。
図15(a)に示される如く、電極センサ73は、排水管路74の接続部774(第1の開口部774)に対して下流であって、吸引管路711の接続部771(第2の開口部771)に対して上流に配設されることが好ましい。このような位置に電極センサ73を配置することにより、電極部739a,739bが突出する管路部分では、排水弁75が開かれたときに、図15(b)に示される如く、循環ポンプ71作動時とは逆方向の洗濯液の流れが発生することになる。このため、電極部739a,739bに引っ掛かったリントは容易に電極部739a,739bから除去されることになる。
図16は、循環ポンプ71を示す。図16(a)は、循環ポンプ71の断面図であり、図16(b)は、循環ポンプ71の平面図であり、図16(c)は、循環ポンプ71を、吸引口側から見た図である。
循環ポンプ71は、循環ポンプ71の外壁を形成するポンプケーシング713を含む。ポンプケーシング713内部には、軸受隔壁714が配される。軸受隔壁714は、ポンプケーシング713の内部空間を2つの空間に区画する。吸引口715に連通する空間内には、インペラ717が配設される。インペラ717が配設される空間に隣接する空間内には、モータ718が配設される。モータ718として、例えば、DCブラシレスモータを利用することができる。モータ718のシャフト719は、軸受隔壁714を横切り、インペラ717が配設される空間に延びる。インペラ717は、軸受隔壁714と一体化されるとともに、モータシャフト719により支持される。モータ718の駆動により、インペラ717は軸受隔壁714とともに回転する。
ポンプケーシング713には、吸引管路711と接続される吸引口715と、第2管路52と接続される吐出口716が形成される。吸引口715及び吐出口716は、インペラ717が配設される空間に連通する。
ポンプケーシング713の外面から半径方向に向けて、取付座131が突出する。図16に示される循環ポンプ71の取付座131は、外方に大きく突出する3つのC型の取付片132を含む。取付片132は、台板712(図1参照)のボス部にボルトを用いて固定される。
図17は、水槽31と第2管路52との接続部の構造を示す。図17(a)は、接続部を構成するダクトの平面図であり、図17(b)は、図17(a)に示されるダクトの横断面図であり、図17(c)は、図17(a)に示されるダクトの縦断面図である。
水槽31の流入口312は、水槽31の外壁から上方に突出する環状のリブ121により形成される。環状のリブ121の内周面に沿って、Oリング122が配設される。Oリング122は、ダクト520により押圧される。
ダクト520は、L字状に屈曲した本体部521を備える。本体部521は、第2管路52と接続されるダクト管522と、ダクト管522から流入口312に向けて延びる下半管路523とを含む。下半管路523の先端部は、流入口312の開口部と相補的な外周輪郭をなす環状の突出部525を備える。環状突出部525の内部には絞り壁123が配設される。絞り壁123は、環状突出部525の内部空間の略中心位置から下方に向けて弧状に湾曲し、回転ドラム32の回転中心方向に向かう断面を有する。絞り壁123の両端は、環状突出部525の内壁面に接続される。環状突出部525と環状のリブ121との間には、Oリング122が配設される。Oリング122は、環状突出部525と環状のリブ121との間で圧縮され、シール部材として機能する。
ダクト520の下半管路523は、環状リブ121に隣接して、水槽31の壁部に形成される厚肉部124に、固定具125(図17では、ビスが固定具125として示されている)を用いて固定される。
ダクト520は、更に、カバー524を含む。カバー524は、下半管路523とともに、ダクト管522により形成される流路から屈曲して、流入口312に向かう流路を形成する。循環ポンプ71の作動により、第2管路52からダクト520を通じて、洗濯液が流入口312に流入する。尚、循環ポンプ71は、例えば、3500rpmの回転数で回転することができる。
水槽31の内部には、回転ドラム32が配設される。回転ドラム32の上面と、流入口312の間には、受止壁126が配設される。受止壁126は、水槽31の外壁と接続される接続壁127により支持される。受止壁126は、絞り壁123とともに狭い流路を形成する。この狭い流路が洗濯液を洗濯槽3内へ噴射させる噴射口129として機能する。
受止壁126と絞り壁123とで形成される噴射口129を通過した洗濯液は、その後、水槽31の外面の一部を構成するとともに絞り壁126と協働してOリング122を押圧する前端壁128と、回転ドラム32の前端壁321の間に形成される流路281を通過し、回転ドラム32の内部に供給される。
噴射口129は、回転ドラム32とは別体に形成される。したがって、回転ドラム32内の洗濯物が噴射口129に接触せず、噴射口129は、洗濯工程、すすぎ工程或いは乾燥工程に何ら悪影響を与えることはない。また、噴射口129は、洗濯物を傷めたり、破いたりすることもなく、洗濯物の外観を損なわない。更に、噴射口129の下流に形成される流路281は、水槽31の前端壁128と、回転ドラム32の前端壁321とで形成されるため、水漏れを防止するための追加的な構造を必要としない。図17に示される構造においては、シール部材としてOリング122が用いられるだけである。
水槽31の前端壁128及び回転ドラム32の前端壁321は、環状の出口部282を形成する。流路281を通過した洗濯液は、環状の出口部282を通過し、回転ドラム32の回転中心軸に向けて噴射される。出口部282を通じて噴射された洗濯液は、回転ドラム32の内側回転領域に効率よく噴射される。このため、回転ドラム32内に収容される洗濯物の量に関係なく、洗濯液が洗濯物に効率よく供給されることになる。
水槽31の前端壁128の裏面(流路281を形成する面)は、傾斜面283と湾曲面284とを含む。傾斜面283は、流路281の断面積を下流に向けて徐々に低下させるため、流路281を通過する洗濯液の流速は徐々に増加することになる。したがって、流路281を通過する洗濯液は、速度を増しながら、湾曲面284に向かう。湾曲面284は、洗濯液の流れ方向を回転ドラム32の底部に向かう方向に変化させる。このため、出口部282から噴射される洗濯液は、回転ドラム32の底部に向かう。この結果、洗濯液が効率よく洗濯物に供給されることとなる。
噴射口129は、洗濯槽3の周方向の所定範囲にわたって開口している。接続板127及び受止壁126は、噴射口129を回転中心軸方向に向けて開口させる。接続板127及び受止壁126は、流入口312に流入した洗濯液を乱れなく、流路281に案内する。洗濯液は、噴射口129に至るまでに周方向に広がり、安定して流路281に流入することになる。その後、洗濯液は、環状の出口部282に至るまでに更に周方向に広がりつつ流れることになる。このため、洗濯液は出口部282全体から噴射されることになり、回転ドラム32内に収容された洗濯物の量に関係なく、安定的に洗濯物に供給されることになる。
ダクト520のカバー524は、簡単な取付構造を用いて、流入口312に向かう流路を形成することができる。流入口312を覆うカバー524の形状並びに寸法、接続壁127の形状並びに寸法及び受止壁126の形状並びに寸法を用いて、適切な洗濯水の回転ドラム32内への流入を確保することができる。カバー524、接続壁127及び受止壁126の設計パラメータを適切に定めることにより、噴出口129から噴射される洗濯液の流幅、流厚及び流速を適切な値にすることが可能となる。これにより、回転ドラム32内に収容される洗濯物の量に関係なく、効率よく洗濯液を洗濯物に供給することが可能である。
図17に示されるダクト520のカバー524の取付構造や接続壁127及び受止壁126の構造は非常に簡素であり、漏水の危険性が最小限化されるとともに製造コストの低廉化にも貢献する。
上述の如く、ダクト520は、下半管路523とカバー524とで流入口312に向かう流路を形成する。図1に示される如く、この流路は、水槽31の外面に沿って延びる。したがって、下半管路523とカバー524とで形成される管路断面を矩形とし、平坦な管路を形成することにより、水槽31と筐体2との間の小さな空隙に管路を形成することができる。また、平坦な管路の形成により、噴射口129の形状・大きさに適した流幅並びに流厚の洗濯液の流れを形成することができる。平坦な管路を洗濯液が通過することにより、洗濯液は整流され、噴射口129へ向かうこととなる。
回転ドラム32の前端壁321上には、複数の突条322が形成される。突条322は、回転ドラム32の前端壁321の周方向に所定長さの範囲で延びる。複数の突条322の周方向の位置及び/又は半径方向の位置は互いに異なるものとすることができる。突条322は、噴射口129の下流の流路281の断面積を局所的に小さくする。出口部282付近で突条322により流路断面積を狭められた場合と、出口部282から離れた場所で突条322により流路断面積を狭められた場合とでは、出口部282から噴出される洗濯液の移動軌跡が異なる。このため、出口部282から排出される洗濯液は、回転ドラム32内の広い範囲に振り撒かれることになり、洗濯物へ高い効率で洗濯液を供給することが可能となる。
突条322の形状は、図17に示されるものに限定されるものではない。例えば、突条322が、波型形状をなしてもよく、羽根型形状をなしてもよい。出口部282から排出される洗濯液の移動軌跡を変動させることができる任意の形状の突条322を採用することが可能である。また、出口部282から排出される洗濯液の移動軌跡を変動させることができる任意の突条322の配置が採用されてもよい。
受止壁126と回転ドラム32との間には、空隙261が形成される。循環ポンプ71が低速で運転されるとき(例えば、1000rpm)、洗濯液は、噴射口129から空隙261に流入する。空隙261に流入した洗濯液は、回転ドラム32と水槽31との間の空間を伝って、水槽31の排出口311に向かう。
図18は、制御回路部81の機能構成の一例を示す。
制御回路部81は、演算部813、判定部814及び記憶部816を含む。演算部813は、例えば、使用者が操作パネル8を操作したとき、判定部814は、制御回路部81が備えるタイマ及び記憶部816に格納されたプログラムを用いて、使用者が指定した洗濯モードの各工程のうちどの工程を洗濯機1が実行しているかを算出し、判定部814に、実行中の工程において、所定の動作が必要とされるか否かを判定させることができる。尚、演算部813が算出した結果は、記憶部816に一時的に格納されてもよい。例えば、演算部813がすすぎ工程開始時からの経過時間に関する情報を判定部814に伝送すると、判定部814はすすぎ工程開始時から所定の時間を経過したか否かを判定し、所定の時間が経過している場合には、排水弁75を開くための制御信号を排水弁75に向けて送信する。同様に、給水系4の電磁弁や排水系5の循環ポンプ71も、演算部813を基点とした信号の伝送により、洗濯モードの各工程において、予め定められた動作を実行することができる。
判定部814は、演算部813から洗い工程及び/又はすすぎ工程の開始時刻、及び/又は、洗い工程及び/又はすすぎ工程の経過時間の情報を受け、洗い工程及び/又はすすぎ工程の所定期間の期間、循環ポンプ71が間欠的に運転するように、循環ポンプ71に制御信号を送信し、循環ポンプ71は、運転及び停止を繰り返す間欠動作をする。
図19は、循環ポンプ71が間欠動作している間の光センサ72から送信される信号を示すグラフである。図19(a)は、洗濯液の泡立ちが大きいときの光センサ72からの信号を示し、図19(b)は、洗濯液の泡立ちが小さいときの光センサ72からの信号を示す。図19中、左側の縦軸は、循環ポンプ71の回転数を示し、右側の縦軸は、光センサ72からの出力をビットで表している。尚、グラフ中、光センサ72からの出力を表す各点は、サンプル数5の平均値である。また、ここでいう光センサ72からの出力とは、以下のような動作により表された出力のことである。すなわち、洗濯液の濁度が低い場合、濁度が高い場合に比べ光センサ72の受光素子722が光を多く受けることとなる。したがって、洗濯液の濁度が低い場合、濁度が高い場合に比べ受光素子722に電流が多く流れ、抵抗にかかる電圧が下がり、光センサ72の出力は下がることとなる。また、洗濯液の濁度が高い場合、濁度が低い場合に比べ光センサ72の受光素子722が少ない光を受けることとなる。したがって、洗濯液の濁度が高い場合、濁度が低い場合に比べ受光素子722に少ない電流が流れ、抵抗にかかる電圧が上がり、光センサ72の出力は上がることとなる。
図19に示されるように、光センサ72の出力は、循環ポンプ71の間欠運動に略同期して変動する。循環ポンプ71の回転数が増加すると、光センサ72の出力も増加する。循環ポンプ71が停止すると、光センサ72の出力は低下する。図19(a)と図19(b)を比較すると、洗濯液の泡立ちが大きいとき、光センサ72の出力の変化の振幅が大きくなることが分かる。洗濯液の泡は、光センサ72の発光素子721からの赤外光線を乱反射させるため、泡が多いとき、光センサ72の出力は大きくなり、泡が少ないとき、光センサ72の出力は小さくなる。循環ポンプ71が運転すると、水流により直管部701内に泡が多く発生し、直管部701内を流れる泡は、比較的多くなり、光センサ72の光線を乱反射させるため受光素子722に少ない電流が流れ、抵抗にかかる電圧が上がるため光センサ72の出力が増大する。一方で、循環ポンプ71が停止すると、洗濯液の流動状態が低下するので、直管部701内の泡は上方に浮き上がり、光センサ72の光線を乱反射させる泡の量が少なくなるため受光素子722に電流が多く流れ、抵抗にかかる電圧が下がり光センサ72の出力が低下する。このように、洗濯液の泡立ちの程度は、光センサ72の光線の乱反射量に直接的に関連し、光センサ72の光線を乱反射させる泡の量として定義づけることができる。
図18に示される演算部813は、例えば、循環ポンプ71が運転している間の光センサ72の出力と、循環ポンプ71が停止している間の光センサ72の出力との差(以下、出力差と称する)を演算する。尚、光センサ72の出力に含まれるノイズの影響を低減させるために、循環ポンプ71が運転している期間と停止している期間を一運転周期とし、運転周期ごとに出力差を算出し、算出された出力差を平均化することが好ましい。判定部814は、例えば、記憶部816に格納された光センサ72の出力差に対する閾値と、演算部813との演算結果とを比較し、洗濯液の泡立ちの程度を判定することが可能である。特に、平均化された出力差を閾値に対して比較することにより、泡立ちの判定に対するノイズの影響を低減することが可能となる。尚、演算部813による演算は、循環ポンプ71が運転している間の光センサ72の出力と、循環ポンプ71が停止している間の光センサ72の出力との差を算出するものに限定されるものではなく、循環ポンプ71の運転開始時或いは停止直後における光センサ72の出力の変化率や光センサ72の出力変動の大小を割り出すことができる他の演算を用いてもよい。
制御回路部81が備える記憶部816には、例えば、光センサ72の出力差に対する下限閾値として用いられる第1の閾値と、上限閾値として用いられる第2の閾値とが格納されてもよい。判定部814は、記憶部816から第1の閾値及び/又は第2の閾値を呼び出し、演算部813が算出した光センサ72の出力差とこれらを比較する。光センサ72の出力差が第1の閾値以下であるとき、光センサ72の出力差が第1の閾値より大きいときと比べて、洗い工程及び/又はすすぎ工程において給水する際の給水量が小さくなるように、給水系4の電磁弁に制御信号を送信する。これにより、不必要に多くの水を給水することがなくなり、好適に節水することが可能となる。光センサ72の出力差が第2の閾値以上であるとき、光センサ72の出力差が第2の閾値未満であるときと比べて、洗い工程及び/又はすすぎ工程において給水する際の給水量が大きくなるように、判定部814は、給水系4の電磁弁に制御信号を送信する。これにより、洗濯槽3内の洗濯液の液位が上がり、洗濯工程及び/又はすすぎ工程を適切な泡立ち状態の下で実行することができる。
図20は、記憶部816が備える光センサ72の上限閾値及び下限閾値に対するデータ構造の一例を示す図である。図18と併せて、図20を参照し、洗剤の種類に応じて、異なる閾値を用いて、洗濯液の泡立ちを判定する手法の一例について説明する。
図20に示されるように、記憶部816は、光センサ72の出力差に対して洗剤種ごとに異なる上限閾値及び下限閾値を格納することができる。また、記憶部816は、洗濯開始時の給水工程における洗剤種ごとの電極センサ73の出力及び光センサ72の出力の変化に関するデータを予め格納することができる。給水開始から所定時間経過の後、制御回路部81は、循環ポンプ71に制御信号を送信し、循環ポンプ71を作動させる。循環ポンプ71を作動させている間、演算部813は、所定時間ごとに電極センサ73及び光センサ72の出力を記憶部816に記憶させる。判定部814は、記憶部816に予め格納されたデータと、演算部813により記憶された電極センサ73及び光センサ72の出力とを比較し、洗剤の種類を判定し、判定結果を記憶部816に記憶させる。ただし、粉末洗剤と液体洗剤とを判別する方法として、ゼオライトを含む粉末洗剤と一般的にゼオライトを含まない液体洗剤とでは、ゼオライトを含む粉末洗剤のほうが、白濁度が高いので、光センサ72の出力の比較のみで洗剤の種類を判定することも可能である。
例えば、図20において「A1」で示される洗剤が、粉末洗剤であり、「A2」及び「A3」で示される洗剤が液体洗剤であるとする。このとき、洗剤A1に対して割り当てられた上限閾値UL1は、他の洗剤A2又はA3に割り当てられた上限閾値UL2又はUL3よりも大きく設定されることが好ましい。これにより、判定部814が、使用されている洗剤が粉末洗剤であると判定した場合には、判定部814は記憶部816から上限閾値UL1を読み出し、演算部813が演算した光センサ72の出力差と上限閾値UL1とを比較する。光センサ72の出力差が上限閾値UL1より大きい場合又は上限閾値UL1以上である場合には、給水系4の電磁弁に制御信号を送信する。この結果、他の洗剤よりも節水を控えてすすぎ工程を実行することができる。したがって、アルカリ度が高く、ゼオライトを含むような粉末洗剤に対して、好適なすすぎ条件を提供することができる。
記憶部816は、更に、洗剤の種類に対応する洗い時間を格納してもよい。例えば、液体洗剤A2,A3に対して、粉末洗剤A1よりも長い洗い時間が割り当てられる。判定部814が、使用されている洗剤が液体洗剤A2又はA3であると判定した場合には、演算部813は、記憶部816に格納された長い洗い時間のデータを読み出し、洗濯機1に、長い洗い時間で洗濯物を洗濯させる。これにより、乳化力が比較的小さく、洗浄効果も小さい液体洗剤A2又はA3であっても、長い時間洗い工程を実行することができ、十分な洗浄効果を発揮することができる。
なお、判定部814が、使用されている洗剤が粉末洗剤であるか液体洗剤であるかを判定した後、光センサ72の出力によって洗剤液の泡立ちの程度を判定する場合において、洗剤の量によっては、粉末洗剤と液体洗剤とで光センサ72で判定する泡立ちの程度が同程度の場合があるが、その際、液体洗剤であると判定した場合は粉末洗剤であると判定した場合よりも、洗濯工程及び/又はすすぎ工程において給水量を減らすように給水系4の電磁弁に制御信号を送信するシーケンスとすれば泡立ちの程度が同程度であっても洗剤の種類によって節水することが可能である。さらにこのとき、粉末洗剤であると判定した場合よりも長い時間洗い工程を実行するようにしてもよい。
上記説明において、導電度を測定する電極センサ73が、流路中に突出するセンサとして例示されたが、本発明の原理は、これに限られず、洗濯液の物性を検知するために洗濯液に直接接触させることを必要とする任意のセンサを用いる洗濯機に適用することができる。
上記説明において、光センサ72は、洗濯液の濁度を測定するために用いられたが、他の測定を目的として、用いられてもよい。本発明の原理は、汚れ成分の堆積を検知するために用いられる光センサ72や、光センサ72を用いて好適に測定可能な他の物性或いは環境変化に適用可能である。
上記説明において、洗濯液を流動させる流動装置として、ポンプを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、循環路或いは流路中に配設されるスクリュ等を用いて洗濯液を流動させてもよい。
上記説明において、排水装置として排水弁を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電気信号に応じて、排水管74を開閉できる任意の装置を排水装置に利用することができる。また、給水装置として、電磁弁を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電気信号に応じて、給水管路41を開閉できる任意の装置を給水装置に利用することができる。