JP4909234B2 - 電解による被測定物質の検出方法 - Google Patents

電解による被測定物質の検出方法 Download PDF

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本発明は水溶液の流路に設けられた電解装置により電解を行なって水溶液中の被測定物質成分を検出する方法において、ダイヤモンド電極を使用した特定の構成の電解装置を使用することにより、微量の各種有機化合物等を検出する方法に関するものである。
種々の有機化合物などを含有する溶液中の成分を検出する方法の一つとして溶液の電解電流を測定する方法がある。このような電気化学的な検出に使用する電極としては炭素系材料、金属、金属酸化物、半導体などが知られており、特にグラッシーカーボンなどの炭素質の電極は広く使用されている。
さらに特開平11−83799号公報(特許文献1)に示されるように、電解装置の作用電極としてダイヤモンド電極が注目されるようになった。特許文献1においてはダイヤモンド電極としてシリコン単結晶の基板上にプラズマ励起CVDによりダイヤモンド薄膜を形成したものを使用している。なお導電性を付与するために微量の硼素を混入させている。そしてこのようなダイヤモンドによる検出極(引用文献1では作用電極をこのように称している)と対極および参照極とを電解槽中の並べて保持し、電極間に電圧を印加して電解電流を測定している。
特許文献1においては、被測定物質により電解が開始する電圧が相違することを利用して複数の成分が混在してしている溶液においてそれぞれの成分の濃度を求めることができるとしている。たとえばダイヤモンド電極上でグルコースの酸化は+2.2Vで開始し、アスコルビン酸の酸化は+0.7Vで開始する。したがってたとえば+1.5Vと+2.5Vで電解を行なってその時の応答電流を求めれば、+1.5Vでの応答電流はアスコルビン酸のみ、+2.5Vの応答電流はアスコルビン酸とグルコースの合計に対応するので、それぞれの濃度を求めることができる。電流としては、グルコース濃度が5mMのとき、+2.5Vにおいて0.5mA/cm2といった値が示されている。
引用文献1では上記の例のように5mMといった濃度の溶液で電解槽を満たすので、被測定物質の全体量はかなり多くなる。それでも濃度を低くしても測定可能であれば被測定物質が小量で済むが、検出される電流値も低くなって外乱の影響のため測定が困難になる。引用文献1には電解装置として電解槽に電極を挿入するものの他に、参照極、検出極および対極が間に電気絶縁層を挟んで1列に配置されたものが示されている。これにより被測定物質を含んだ電解液が各電極の1面で接触した状態で測定が行なわれるとしているので、前記の電解槽の場合よりも電解液の量が減らせる可能性はあるが、実際に測定した例は示されていない。
一方、特開2001−50924号公報(特許文献2)には、試料溶液を連続的に導入して電解を行なった後に排出する一般にフローセルと称する電解装置において、ダイヤモンド電極を適用した装置が示されている。引用文献2においては、電解装置を示す図面においては四角形の中に対極、作用電極、参照電極をそれぞれ示す3本の線が平行に並んでいるだけで、その構造に関する詳細な説明はないが、そのようなフローセルに緩衝液を連続的に流した状態で試料溶液を間欠的に注入して電解電流を測定するフローインジェクション分析が示されている。
たとえば設定電位を1.275V(vs. Ag/AgCl)として、0.1Mの燐酸塩緩衝液を流速1ml/minで流しつつ、1μMないし100μMの範囲の各濃度のヒスタミンを含有する溶液を20μlずつ注入して電解電流を測定している。その結果、注入する度にピーク電流が確認されており、100μMの場合には437.096nAとなっている。そしてこれより濃度が低い溶液においては濃度に比例した低い電流が得られているので、これにより正確な濃度測定が可能であるとしている。
特開平11−83799号公報 特開2001−50924号公報
引用文献2に示されているフローインジェクション分析のようなフローセルによる電解は、液体クロマトグラフィーと組み合わせれば混合溶液において各成分の分離定量が可能である。しかもダイヤモンド電極は電位窓が広くかなり高い電圧でも水の電解が発生しないので、広い範囲の化合物において電解電流の検出ができる。しかしながら引用文献2の分析方法においては、試料の濃度が100μMでも検出される電流のピーク値は0.4μAといった程度である。引用文献2の説明によれば一般にフローセルを用いた分析では脈動が分析に多大な影響を与えるところ、導電性ダイヤモンド電極においてはバックグラウンド電流が極めて小さいので脈動の影響が極めて少なく、正確な分析が可能であるとしている。しかしながら血液中の微量成分の測定といった測定対象物質の濃度が極く低い場合が多い医学的な検査試料などでは電解電流が微弱になり、引用文献2の測定方法では感度が不十分である。本発明は上記のような問題からダイヤモンド電極を使用した電解装置を使用して分析する場合において、微量の物質を感度良く検出する方法を提供することを目的とする。
本発明は前記課題を解決するものであって、試料溶液の流路に設けられた電解装置により電解を行なって試料溶液中の被測定物質成分を検出する方法において、電解装置は導電体の電極板の少なくとも片面に導電性のダイヤモンド皮膜が形成された作用電極と、作用電極のダイヤモンド皮膜を有する面と0.05ないし1.0mmの間隔をもって対向する導電体からなる対極と、先端が作用電極と0.05ないし1.0mmの間隔をもって対向する参照電極とを有し、作用電極のダイヤモンド皮膜を有する面のうち、対極および参照電極と対向して試料溶液の流路になっている個所の幅は1.5mm以上4.0mm以下となっているものであって、作用電極と対極および参照電極との間に前記試料溶液を流しつつ作用電極と対極との間に電圧を印加して被測定物質の濃度1μMあたり0.1μA以上の電解電流を発生させ、電解電流を測定することにより被測定物質の濃度を測定することを特徴とする電解による被測定物質の検出方法である。ここにおいて電解電流が分子の原子間の結合の切断によるものであることも特徴とする。
本発明の電解による被測定物質の検出方法によれば、電解装置に電位窓の大きな導電性のダイヤモンドを作用電極として使用することにより、電解電圧が高いため水の電気分解が発生して炭素質の電極では検出できない物質の検出が可能となる。さらに作用電極と対極の間隔および作用電極と参照電極の間隔をそれぞれ0.05ないし1.0mmと極めて狭くすることにより、極く微量の成分でも十分測定可能な電解電流を得ることができる。
本発明は水溶液の流路に設けられた電解装置により電解を行なって水溶液中の被測定物質成分を検出するものであって、緩衝液などの電解液を流した状態で電解装置の上流において試料溶液を入れるフローインジェクション分析や、液体クロマトグラフから流出する溶離液を電解装置に導入するポストカラム分析などとして適用される。本発明に使用する電解装置は導電性ダイヤモンドを作用電極として使用するものであって、これと対極、参照電極との配置を特別な構成にすることによって微量の成分で大きな電解電流の発生を可能にしている。
本発明の方法においては、被測定物質を検出する電解装置の作用電極として上記のようにダイヤモンド電極を使用することにより従来より高い電圧を印加して電解することが可能である。すなわち従来の電解装置において作用電極として一般に使用されているグラッシーカーボンなどの炭素質の電極はアノードとしての電位が対標準水素電極(以下「対NHE」と称する)1.2Vを超えると水の電気分解が発生し、成分中の物質による電解電流の測定が困難になる。一方、本発明で使用する電解装置は約2.5V(Ag/AgCl基準電極に対して)まで水の電気分解が発生しない。したがって本発明の被測定物質の検出方法では電解電圧が高かったため従来は検出できなかった物質の検出が可能となる。
図1および図2は本発明に使用する電解装置を示す図であって、図1は軸方向に平行な断面図、図2は図1におけるA−A´矢視断面図である。これらの図において11は作用電極であって(図2では位置関係を2点鎖線で示している)、薄い板状の電導性の基板の少なくとも表側の面、すなわち図2において少なくとも左側の面に導電性のダイヤモンド皮膜が形成されている。また12は弗素樹脂など耐薬品性の電気絶縁体からなるスペーサであって、図2に見るように一つの細長い穴121が開いている。また13はチタンなどの耐蝕性を有する導電体のブロックからなる対極であって、スペーサ12を挟んで作用電極11のダイヤモンドが形成された面と対向している。
上記の作用電極11は導電性の薄板、たとえば厚さが0.7mm程度の導電性のシリコンの単結晶板を基板として数μmの大きさの微細なダイヤモンドの結晶からなる30μm程度の厚さの皮膜を形成することによって作成される。ダイヤモンド皮膜の形成はアセトンなどの炭素源を含有する水素ガス中でプラズマCVDにより行なえる。なおダイヤモンドに導電性を付与するために酸化硼素などを前記炭素源に溶解することにより硼素をドープする。
前記スペーサ12の穴121によって形成される一つの空間14にそれぞれ開口して、溶出液の導入口15および排出口16ならびに参照電極30があるが、これらはいずれも対極13のブロックに設けられている。すなわち溶出液の導入口15および排出口16は対極13のブロックに穴をあけることによって形成され、溶出液の導入、排出のための流体継手17、18が対極のブロックにねじ込まれている。また参照電極30も対極のブロックにねじ込んで取り付けられている。なお19は対極13への通電端子である。
参照電極30はAg−AgCl系の例を示しているが、弗素樹脂のような耐薬品性の容器301の中に飽和KCl溶液をゼラチンによりゲル状にしたものが電解液302として充填されている。さらにこの中に表面をAgClにしたAg線が電極材303として挿入されている。また304は参照電極の電解液302と被測定液体である溶出液とを隔てる多孔質セラミックスなどのフィルターである。
また作用電極11の電極板の裏面、すなわち対極13と対向する面の反対側には作用電極への通電板20が設けられ、作用電極11に接触している。21は作用電極11への通電端子である。また22は耐薬品性の電気絶縁体からなる与圧カバーであって、図示しない複数の止めねじによって前記の対極13のブロックと結合されており、Oリング23、24でシールすることにより電解装置の内部を与圧状態に保持する。また前記の通電板20の一部にOリング26を設けてその内側に試料溶液が入らないようにし、液体を介さず直接に通電板を電極板の裏面に電気的接触させる。また27は対極13の金属ブロック全体を覆うプラスチック製の絶縁カバーである。
上記のように電解装置の内部は与圧状態になっているが、作用電極11の電極板のダイヤモンドが形成されていない裏面および端面や、通電板20の表面での水の電気分解による影響を少なくするためである。すなわち作用電極の電極板の面で液をシールするのは加圧力による電極板の破損の問題から困難であるので、本発明における電解装置は作用電極11の電極板の裏面や端面も試料溶液との接触を許容する構造にしている。このため作用電極の裏面や端面、通電板の表面などで水の電気分解によって気体が発生する。しかし電解装置の内部を加圧すれば発生した気体の膜を安定に維持し、装置を起動させて時間が経過したときにこれらの個所で電気分解を安定に停止状態にできる。したがって分析中に時々水の電解電流が流れて測定値に対する外乱となるのを防止できる。加圧力としては効果の点と装置のシールの問題から、1.0kg/cm2 以上15.0kg/cm2 以下(ゲージ圧)が適当である。
さらに本発明の電解装置においては、作用電極と対極との間隔を0.05ないし1.0mmとする。この間隔はスペーサ12の厚さによって規制されるのでこれの厚さを調節すれば良い。またさらに作用電極と対極との間隔だけでなく、参照電極と対極との間隔もを0.05ないし1.0mmとする。先に述べたように参照電極は対極のブロックにねじ込んで取付けられているので、このときの参照電極の取付け位置と前記の作用電極と対極との間隔とによって、参照電極と対極との間隔が所定の値に維持される。参照電極の先端部を対極の電極面の位置と同じにすれば対極と参照電極の両方とも作用電極と同じ間隔になるが、通常はこのような状態で良い。
このように作用電極11および参照電極30と対極13の電極面とを狭い間隙をもって対向させることにより微量の成分で極めて大きな電解電流を得ることができる。すなわち作用電極と対極との間隔、参照電極と対極との間隔のいずれかが上記より大きくても電解電流は観測されるが、引用文献2に示されているように濃度が100μMの試料で検出される電流は0.4μAといった程度である。ところが本発明における電解装置においては同じ成分量で100倍以上の電解電流が得られる。したがって本発明における電解装置では、引用文献2の方法よりもはるかに微量の試料でも検出可能な電流が得られる。種々の有機化合物における実験結果を総合すると、本発明においては溶液中の被測定物質の濃度1μM(1pmol/μl)あたり0.1μA以上の電解電流が得られる。したがって1μM程度の濃度があれば電解電流を測定することにより被測定物質の濃度を測定することができる。
上記作用電極および参照電極と対極との間隔は0.05mmより小さいと作用電極や参照電極と対極とが接触するおそれがあり、一方、1.0mmより大きいと微量成分の検出感度が低下することがある。この点でさらに好ましいのは0.5mm以下である。またこのとき作用電極のダイヤモンド皮膜を有する面のうち、対極および参照電極と対向して水溶液の流路になっている個所の幅W(図2)は1.5mm以上4.0mm以下であることが好ましい。すなわち前記のように作用電極などと対極との間隔を狭くしていくと電解電流値のばらつきが大きくなる現象が見られたので、透明なプラスチックで模型を作成して流れの状況を調べた。その結果、作用電極と対極間の流路の幅が広いと流れが筋状に枝分かれし、それが動くことによって電解電流値が変動することが判明した。そこで流路の幅を4.0mm以下にすることによって流れの幅方向の変動を防止したのである。一方、流路の幅を1.5mmより小さくしても上記の効果は増加せず、電解電流が減少するだけなので1.5mm以上が好ましい。
引用文献2に示されているような微弱な電解電流は電子の離脱、すなわちイオン化によるものと考えられる。これに対し本発明における電解装置では微量の成分で極めて大きな電解電流が得られる理由は、分子構造の変化、特に分子の原子間の結合の切断によることが判明した。このことは単なる酸化反応ではないということであって、たとえば通常の化学反応においては、エタノールC25OHを酸化するとアセトアルデヒドCH3CHO、 さらに酢酸CH3COOHになり、最終的に二酸化炭素と水になる。ところが本発明の電 解装置においては、エタノールの場合はヒドロキシル基の離脱が生じていることが判明している。
このように分子の原子間の結合が一部分において切断することが他の化合物でも認められた。たとえばアミノ基(−NH2)、カルボキシル基(−COOH)、チオール基(−SH)の切断や、エステル結合、エーテル結合の切断が発生する。またこれら官能基だけでなく、鎖状に結合した原子間においても結合の切断が生ずることが判明した。たとえばエタン、ブタン、プロパンなどの他、ベンゼン、ナフタレンなどの環状結合の有機化合物のおいても分子の結合の切断が発生する。さらにポリ塩化ビフェニールやクロルベンゼンなどの有機ハロゲン化合物においても分子の結合の切断が発生することが確認された。また分子の原子間の結合の切断は必ずしも1個所ではでなく、複雑な化合物においては同時に複数個所で切断が生ずることもある。これらの分子の原子間の結合の切断に伴って発生する電解電流はそれぞれの分子において濃度と比例関係があるので、電流の測定により溶液の成分濃度の測定ができる。
上記のような分子の原子間の結合の切断に伴う大きな電解電流が、なぜ作用電極および参照電極と対極とを0.05ないし1.0mmといった狭い間隙をもって対向させた場合にのみ発生するのかは不明である。ただ、現象からみて間隔を狭くすることによる大きな電位傾度とこれによる電気的二重層の構造の変化が関与していることが推定される。しかし参照電極自体は電流が流れないものであり、なぜその先端を作用電極と狭い間隔をもって対向させる必要があるかについては推測できない。
(実施例1)
図1および図2に示した電解装置により電解を行なって試料溶液中の被測定物質成分の検出を行なった。電解装置はスペーサ11の厚みが異なるものを使用することにより作用電極11と対極13との間隔を0.2mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmと変えた。また参照電極30の先端位置をいずれの場合も対極の電極面と同じにしたので、参照電極と対極との間隔も作用電極と対極との間隔と同じになる。なお作用電極の面上の流路の幅はいずれの場合も2.5mmである。また電解装置の作用電極印加電圧は2.2V(Ag/AgCl基準電極に対して、以下同様)に設定したが、電源を投入して定常状態に達した後は水の電解は発生しなかった。
上記電解装置に100mM−KH2 PO4 溶液の緩衝液を0.5ml/minの速度で供給している状態で、エタノールが1pmol/μl(濃度1μM)の濃度のサンプルを20μl電解装置の手前の流路に注入したところ、作用電極と対極との間隔が0.2mm、0.5mm、1.0mmの場合にはそれぞれ2.4μA、2.0μA、1.7μAの電解電流のピークが検出された。しかし2.0mmの場合にはわずかな電解電流が認められたもののバックグラウンド電流のため電解電流値は測定が困難であった。
さらに作用電極と対極との間隔が0.5mmの場合において、エタノールの濃度を上記の1pmol/μlの他に10pmol/μl、100pmol/μl、1nmol/μlと変えた試料を注入したところ、濃度にほぼ比例した電解電流が得られた。なお注入されたサンプル溶液は流れの進行の前後端位置では緩衝液と混合して稀釈されるが、流れの進行の中心位置では注入された濃度のままで電解装置に達すると考えられる。
(実施例2)
実施例1で使用した電解装置において、参照電極についての条件を変更して電解を行ない試料溶液中の被測定物質成分の検出を行なった。ただし作用電極と対極との間隔は0.5mmで一定にした。条件Aとして、参照電極30の対極13に対する取付け位置を変更して、先端部を対極の電極面より1.5mm後退させた。したがって作用電極と対極との間隔が0.5mmであると、参照電極と対極の間隔は2.0mmとなる。また条件Bとして参照電極の先端部位置は対極の電極面と同じであるが参照電極への電気回路の接続を切り、代わりに電解装置への試料溶液の流入路に別の参照電極を設けてこれに電気回路を接続した。この場合、対極に取付けられた参照電極は単なる絶縁物の壁とみなし得る。
実施例1と同様に作用電極に2.2Vを印加し、電解装置に100mM−KH2 PO4溶液の緩衝液を0.5ml/minの速度で供給している状態で、エタノールが1pmol/μlの濃度のサンプルを20μl電解装置の手前の流路に注入した。しかしながら条件A、条件Bのどちらの場合も、実施例1のときと同じ測定感度で検出可能な電解電流は検出されなかった。
(実施例3)
実施例1で使用した電解装置において、作用電極での流路の幅についての条件を変更して電解を行なった。すなわち作用電極のダイヤモンド皮膜を有する面のうち、対極および参照電極と対向して試料溶液の流路になっている個所の幅を、スペーサ11の穴121の形状を変えて実施例1と同じ2.5mmの他に3.5mm、5.0mmと変えた。なお対極および参照電極と作用電極との間隔はすべて0.2mmとした。
実施例1と同様に作用電極に2.2Vを印加し、電解装置に100mM−KH2 PO4溶液の緩衝液を0.5ml/minの速度で供給している状態で、エタノールが1pmol/μlの濃度のサンプルを20μl電解装置の手前の流路に注入した。これを流路の各条件について20回繰り返したときの電解電流のピーク値の変動幅は、作用電極での流路の幅が2.5mmでは25nA、3.5mmでは31nAで問題の無い値であった。これに対し5.0mmでは260nAであり、実施例1で述べたように電解電流のピーク値は2.4μAであるので、これの10%に達し分析誤差の原因となる。
本発明に使用する電解装置を示す軸方向に平行な断面図 図1におけるA−A´矢視断面図
符号の説明
11 作用電極
12 スペーサ
121 穴
13 対極
14 空間
15、16 溶出液の導入口および排出口
17、18 流体継手
19 通電端子
20 通電板
21 通電端子
22 与圧カバー
23、24、26 Oリング
27 絶縁カバー
30 参照電極
301 容器
302 電解液
303 電極材
304 フィルター

Claims (2)

  1. 試料溶液の流路に設けられた電解装置により電解を行なって試料溶液中の被測定物質成分を検出する方法において、電解装置は導電体の電極板の少なくとも片面に導電性のダイヤモンド皮膜が形成された作用電極と、作用電極のダイヤモンド皮膜を有する面と0.05ないし1.0mmの間隔をもって対向する導電体からなる対極と、先端が作用電極と0.05ないし1.0mmの間隔をもって対向する参照電極とを有し、作用電極のダイヤモンド皮膜を有する面のうち、対極および参照電極と対向して試料溶液の流路になっている個所の幅は1.5mm以上4.0mm以下となっているものであって、作用電極と対極および参照電極との間に前記試料溶液を流しつつ作用電極と対極との間に電圧を印加して被測定物質の濃度1μMあたり0.1μA以上の電解電流を発生させ、電解電流を測定することにより被測定物質の濃度を測定することを特徴とする電解による被測定物質の検出方法。
  2. 電解電流が分子の原子間の結合の切断によるものであることを特徴とする請求項1に記載の電解による被測定物質の検出方法。
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