JP2005069692A - アミノ酸の分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】自然界に存在する全てのアミノ酸の分析を可能にする。
【解決手段】流路7a,ポンプ8bを介して前記のカラム7の一端側から他端側方向に対し酸性の移動相を一定流量で供給する。また、前記の移動相に対し、アミノ酸を含んだ一定量の試料液をインジェクタ8aから注入する。さらに、フローセル9の作用電極2に対して所定の電位を印加する。なお、前記作用電極2には、電位窓の上限が2.0V以上の導電性ダイヤモンド電極を用いる。そして、作用電極2表面におけるアミノ酸の酸化反応による電流変化を検出することにより、アミノ酸の分析を行う。
【選択図】 図10
【解決手段】流路7a,ポンプ8bを介して前記のカラム7の一端側から他端側方向に対し酸性の移動相を一定流量で供給する。また、前記の移動相に対し、アミノ酸を含んだ一定量の試料液をインジェクタ8aから注入する。さらに、フローセル9の作用電極2に対して所定の電位を印加する。なお、前記作用電極2には、電位窓の上限が2.0V以上の導電性ダイヤモンド電極を用いる。そして、作用電極2表面におけるアミノ酸の酸化反応による電流変化を検出することにより、アミノ酸の分析を行う。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性ダイヤモンド電極を用いたアミノ酸の分析装置に関するものであり、例えば自然界に存在するアミノ酸の分析に適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、遺伝子工学,バイオ工学等の技術進歩に伴って蛋白質,糖類等の種々の有機物における解析が多く行われているが、その一例として蛋白質の配列に関するアミノ酸(自然界に存在するアミノ酸)の解析が注目されている。なお、自然界に存在するアミノ酸としては、一般的にアラニン,バリン,ロイシン,イソロイシン,メチオニン,トリプトファン,フェニルアラニン,プロリン,グリシン,セリン,スレオニン,システイン,チロシン,アスパラギン,グルタミン,リジン,ヒスチジン,アルギニン,アスパラギン酸,グルタミン酸の20種類が知られている。
【0003】
また、アミノ酸の分析装置も種々のものが開発されているが、例えば溶液中の電気化学的活性物を分析することが可能なボルタンメトリによる溶液分析装置が知られている。さらに、アミノ酸の電気化学的活性が低いことを考慮し、分析装置の作用電極として例えば銅から成る電極(以下、銅電極と称する)を用い、その銅電極の表面をアルカリ性雰囲気下(例えば、アルカリ性溶液中)に曝して酸化物の被膜を形成し、その被膜の触媒作用により作用電極表面におけるアミノ酸の酸化反応を惹起させてアミノ酸の分析を行う技術が知られている。
【0004】
図9は、ボルタンメトリーによるアミノ酸の分析装置の一例を示す概略説明図である。図9において、符号1は測定容器を示すものであり、その測定容器1内には被分析対象(アミノ酸)を含んだ試料液1aが所定量投入される。この測定容器1に投入される試料液1aは、例えばアルカリ性の緩衝液によってpH調整する。符号2は銅から成る作用電極、符号3は白金等から成る対電極、符号4はAg/AgCl等から成る参照電極を示すものであり、それら作用電極2,対電極3,参照電極4はそれぞれ一定の距離を隔てて、前記測定容器1内の試料液1a中に浸されるように配置される。
【0005】
符号5はポテンシオスタットを示すものであり、そのポテンシオスタット5には前記作用電極2,対電極3,参照電極4がそれぞれの配線2a,3a,4aを介して接続される。また、前記ポテンシオスタット5には、必要に応じてポテンシャルスイーパ5a,レコーダ5b等が接続される。
【0006】
次に、図9に示した溶液分析装置によるアミノ酸の分析方法の一例を説明する。まず、ポテンシオスタット4により作用電極2の電位(参照電極4を基準にした電位;以下、同様であるため省略)を正電位方向にスイープ(例えば、自然電極電位から正電位方向にスイープ)する。これにより、作用電極2表面に酸化銅の被膜が形成されると共に、所定の電位にて前記の被膜と被分析対象との錯体が形成される。この錯体形成による作用電極2の酸化電流の変化を検出することにより、被分析対象を分析することが可能となる。
【0007】
前記のような溶液分析装置では、例えば試料液中の被分析対象であるアミノ酸が複数の場合には、それら各アミノ酸を同時に且つ個別に分析することは困難である。このため、被分析対象が複数の場合には、液体クロマトグラフィとフローインジェクション分析器(以下、フローセルと称する)とを組み合わせた分析装置(以下、フロー型分析装置と称する)が適用されている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−149918号公報(段落[0001],[0002],[0008],[0009]等)。
【0009】
【特許文献2】
特開平7−72135号公報(段落[0001]〜[0003]等)。
【0010】
図10は、フロー型分析装置の一例を示す概略説明図である。なお、図9に示すものと同様なものには同一符号等を用いて、その詳細な説明を省略する。図10において、符号7は、被分析対象に適した固定相が充填された液体クロマトグラフィ用のカラムを示すものである。このカラム7の一端側には、流路7aを介して例えばインジェクタ(例えば、計量管を備えたインジェクタ)8a,ポンプ(定量ポンプ)8b,移動相を貯留した貯留槽8cが接続され、そのカラム7の他端側には流路7bを介してフローセル9が接続される。前記フローセル9(移動相が通過する部分)には、作用電極2,対電極3,参照電極4が備えられ、それら各電極はポテンシオスタット(図示省略)に接続される。
【0011】
図10に示したようなフロー型分析装置により種々の被分析対象を含んだ試料液を分析する場合、まず前記の流路7a,ポンプ8bを介して前記のカラム7の一端側から他端側方向に対して一定流量の移動相を供給すると共に、その移動相に対しインジェクタ8aを介して一定量の試料液を注入する。また、前記の作用電極2に対して、所定の電位を印加する。
【0012】
これにより、前記の注入された試料液中の各被分析対象がカラム7内に導入されると、それら各被分析対象はカラム7内における応答時間(保持時間)の違いにより展開(分離)され、それぞれ異なる時間で前記フローセル9内に順次導入される。また、このフローセル9内に導入された各被分析対象は、それぞれ作用電極2の表面で酸化反応を起こした後、水中燃焼して前記の移動相と共にフローセル9から排出される。
【0013】
前記の酸化反応により、前記の作用電極2では各被分析対象の量に応じて電流変化が起こる。すなわち、前記の応答時間と対比しながら前記の酸化反応による作用電極の電流変化を検出することにより、試料液中の被分析対象の分析を行うことができる。
【0014】
図10に示したような構成のフロー型分析装置により試料液中の複数のアミノ酸を分析する場合、カラムの固定相には酸性雰囲気下(例えば、酸性の移動相)で機能を果たすものが用いられている。このため、フロー型分析装置におけるフローセルの作用電極として銅電極を適用する場合には、まず酸性または中性の移動相と共に試料液をカラム内に導入して該試料液中の各アミノ酸を展開すると共に、そのカラム内を通過した移動相をフローセルの前段にてアルカリ性に調整する必要があり、例えば前記のカラムとフローセルとの間に対して、アルカリ性の溶液を注入するための装置を構成する必要があった。
【0015】
近年、前記フローセルの作用電極として、グルタメートをポリピロール中にドープし銅電極上に修飾して成る電極(以下、修飾銅電極と称する)を適用する技術が報告されている。この修飾銅電極を作用電極として適用する技術は、グルタメートの被膜の触媒作用によって作用電極に対するアミノ酸の酸化反応を惹起させるものである。また、予めグルタメートの被膜が形成された銅修飾電極を用いるため、酸性の移動相を適用することができ、前記の銅電極を用いた場合のようにアルカリ性の溶液を注入するための装置を構成する必要がない。
【0016】
【非特許文献1】
ハバナ・エイ.・デオレ(Bhavana A. Deore),ヒロシ・シイギ(Hiroshi Shiigi),ツトム・ナガオカ(Tsutomu Nagaoka),「パルスド アンペロメトリック ディテクションオブ アンデリヴァタイズド アミノ アシッズ ユージング ポリピロールモディファイド コッパー エレクトロード イン アシディック ソルーション(Pulesed amperometric detection ofunderivatized amino acids using polypyrrole modified copper electrode in acidic solution)」,(米国),タランタ(Talanta),エルゼビア(ELSEVIER),2002,58,1203−1211。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
前記のようにアミノ酸の分析装置において、銅電極や修飾銅電極を作用電極として構成したものが種々開発されているが、それぞれ分析可能なアミノ酸の種類は限られていた。すなわち、蛋白質の配列に関する20種類のアミノ酸全てを分析する場合には、2種類以上の分析装置が必要であった。
【0018】
また、分析を繰り返す毎に、作用電極の表面に対して種々の物質が付着して汚れてしまい、分析精度の低下等を招く恐れがあるため、分析とは別に作用電極表面の洗浄等の工程(以下、再生工程と称する)を行う必要があった。
【0019】
本発明は、前記課題に基づいて成されたものであり、自然界に存在する全てのアミノ酸を分析することが可能で、その分析と共に作用電極表面の再生工程を行うことが可能なアミノ酸の分析装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題の解決を図るために、請求項1記載の発明は、少なくとも作用電極,対電極,参照電極(例えば、Ag/AgClから成る参照電極)を構成し、前記の各電極を少なくともアミノ酸を含んだ溶液中にそれぞれ配置し、前記の作用電極に電位を印加し正電位方向へ掃引すると共に該作用電極の電流変化を検出することによりアミノ酸の分析が可能な分析装置において、前記の作用電極は電位窓の上限が2.0V以上の導電性ダイヤモンド電極であることを特徴とする。
【0021】
請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の発明において、前記溶液は酸性であることを特徴とする。
【0022】
請求項3記載の発明は、移動相中の複数のアミノ酸を分離することが可能なカラムと、少なくとも作用電極,対電極,参照電極を有するフローセルと、を構成し、前記のカラムによって分離されたアミノ酸を含む移動相を前記フローセル内に導入すると共に前記の作用電極に電位を印加し、該作用電極の電流変化を検出してアミノ酸を分析することが可能な分析装置において、前記作用電極は電位窓の上限が2.0V以上の導電性ダイヤモンド電極であることを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の発明は、前記請求項3記載の発明において、前記移動相は酸性であることを特徴とする。
【0024】
請求項5記載の発明は、前記請求項1乃至4記載の発明において、導電性ダイヤモンド電極の表面は、酸素終端化処理されたことを特徴とする。
【0025】
請求項6記載の発明は、前記請求項1乃至5記載の発明において、導電性ダイヤモンド電極は、研磨されたことを特徴とする。
【0026】
本発明のような導電性ダイヤモンド電極により、たとえ被分析対象であるアミノ酸が酸性の溶液(緩衝液や移動相)中に存在する場合であっても、自然界に存在する全てのアミノ酸を電気化学的に分析することできる。また、前記の分析の際に例えば作用電極表面に対して種々の物質が付着しても、その付着物質は水中燃焼される。
【0027】
なお、成膜工程直後の電極表面の粗度は大きくなってしまう。このような電極をフローセルに適用した場合には、その電極表面が凹凸なため流路を大きく確保しなければならず、その結果、S/N比を低下させてしまう。また、電極表面の凹凸により乱流が起こり易くなり、測定値の再現性を低下させてしまう。一方、導電性ダイヤモンド電極の表面を研磨した場合には、フローセル内の流路を小さく(電極表面が凹凸なものと比較して小さく)することができ、高S/N比を得ることができる。
【0028】
また、導電性ダイヤモンド電極はプラズマCVD法等により製造されるが、そのCVD法等による成膜工程直後の電極表面は水素終端であるため、時間経過と共に前記の水素終端が外れて電極表面状態が変化し、その電極の電気化学的特性が変化する恐れがある。一方、前記の電極表面を酸素終端化処理(例えば、電極表面の研磨後に酸素終端化処理)した場合には、従来のような電極表面状態の変化は起こらず、安定した電気化学的特性を維持(再現性)することが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態におけるアミノ酸の分析装置を図面等に基づいて詳細に説明する。なお、図9,図10に示したようなものと同様なものには同一符号等を用いて、その詳細な説明を省略する。
【0030】
本実施の形態におけるフロー型分析装置は、従来のように作用電極として銅電極や修飾銅電極を適用するのではなく、Ag/AgCl参照電極に対する酸化電位(電位窓の上限)が2.0V以上の導電性を有するダイヤモンド電極(以下、導電性ダイヤモンドと称する)を適用したものである。
【0031】
前記のような導電性ダイヤモンド電極によれば、電気化学的活性が低いアミノ酸であっても電気化学的分析を行うことができる。また、作用電極に対して高い酸化電位(本実施の形態では1.8V)を印加することが可能となり、その作用電極表面に種々の物質が付着しても水中燃焼(例えば、CHO→CO2+H2O)され、その表面の汚れを防止することができる。さらに、酸性雰囲気下にて酸化電位を検出することができるため、従来のフロー型分析装置のように移動相をアルカリ性に調整するための装置が不要となり、装置の小型化,簡略化を図ることが可能となる。
【0032】
[導電性ダイヤモンド電極]
以下、本実施の形態に適用される導電性ダイヤモンド電極の製造方法の一例として、ASTeX社製のマイクロ波CVD成膜装置を用いたマイクロ波プラズマアシストCVD法による製造方法を説明する。まず、前記導電性基板としてシリコン基板(Si(100))を用い、そのシリコン基板表面をテクスチャー処理(例えば、0.5μmのダイヤモンド粉により研磨)した後、前記シリコン基板を成膜装置のホルダーに固定した。成膜用ソースとしては、アセトンとメタノールとの混合物(液体;混合比は、体積比で9:1)を用い、その混合物に酸化ホウ素(B2O3)をホウ素/炭素(B/C)比で104ppmとなる量を溶解したものを用いた。
【0033】
また、前記成膜用ソースは、その成膜用ソースに対しキャリアガスとして純H2ガスを通してからチャンバー内に導入した。前記チャンバー内は、予め別ラインから水素を流す(本実施の形態では532cc/min)ことにより、所定圧力(本実施の形態では約15332.03Pa)となるように調整した。その後、前記チャンバー内にて、2.45GHzのマイクロ波電力により放電させ、その電力が5kWとなるように調整した。
【0034】
さらに、前記電力が安定した後、前記成膜用ソースにキャリアガスとして純H2ガス(本実施の形態では15cc/min)を流し、成膜速度1〜4μm/hで成膜時間を調整することにより、厚さ約500μmで直径5mmの膜から成る電極を得た。このような成膜工程により得た電極表面を表面粗さ計で測定(スキャン距離27.63μmで測定)したところ、図1に示すように凹凸であった。
【0035】
そこで、本実施の形態では、前記の成膜工程直後の電極表面を研磨(ダイヤモンドを用いた「とも擦り」と称される研磨)によって鏡面化処理した。この鏡面化処理後の電極表面について表面粗さ計で測定(スキャン距離27.63μmで測定)したところ、図2に示すように平滑であった。
【0036】
そして、前記の鏡面化処理された電極表面について、酸素飽和雰囲気下でのプラズマによって酸素終端化処理することにより、導電性ダイヤモンド電極を得た。
【0037】
なお、図9に示した溶液分析装置の試料液1aの替わりに0.1Mの硫酸溶液を用い、作用電極2として前記の導電性ダイヤモンド電極を適用して、参照電極(Ag/AgCl)に対する導電性ダイヤモンド電極の電位窓を測定(北斗電工製のポテンシオスタット(HZ−3000)を使用して測定)したところ、図3に示すように電位窓の上限が約2.0V以上であることを確認できた。
【0038】
また、本実施の形態における成膜装置において、特に基板の加熱等の作業は行わなかったが、その基板の温度は定常状態で約850〜950℃であった。前記のダイヤモンドの薄膜における形成状況は、ラマン分光分析法により調べることができる。
【0039】
[溶液分析装置による分析]
次に、図9に示した溶液分析装置の作用電極2として前記の導電性ダイヤモンド電極を適用し、その装置により自然界に存在する20種類のアミノ酸の分析をそれぞれ試みた。
【0040】
まず、酸性(pH1.5),アルカリ性(pH11)の緩衝液は、0.1MのKCl溶液に1MのHCl溶液および1MのNaOH溶液をそれぞれ適宜所定量加えることにより得た。中性(pH7)の緩衝液については、0.05Mのリン酸緩衝液に1MのNaOH溶液を適宜所定量加えることにより得た。次に、前記の酸性(pH1.5),中性(pH7),アルカリ性(pH11)に調整された各緩衝液に対して、それぞれ10mMのヒスチジンを加えて試料液1aを得た。
【0041】
そして、前記の酸性,中性,アルカリ性の試料液1aを用い、作用電極2の電位を自然電極電位から2.5Vの間を100mV/sにてスイープすることにより、その作用電極2の電位変化に対する電流変化をそれぞれ検出し、それら各結果を図4(酸性),図5(中性),図6(アルカリ性)の電位変化に対する電流変化特性図に示した。
【0042】
図4乃至図6に示すように、それぞれ作用電極のベース電流の影響を受けることなく、所定の電位にてピーク電流が検出されていることが読み取れる。このことから、導電性ダイヤモンド電極によれば、酸性,中性,アルカリ性の何れの雰囲気下であっても、ヒスチジンの分析が可能であることを確認できた。
【0043】
そこで、前記のヒスチジンを用いた場合と同様の方法により、アラニン,バリン,ロイシン,イソロイシン,メチオニン,トリプトファン,フェニルアラニン,プロリン,グリシン,セリン,スレオニン,システイン,チロシン,アスパラギン,グルタミン,リジン,ヒスチジン,アルギニン,アスパラギン酸,グルタミン酸についても、それぞれ酸性(pH1.5),中性(pH7),アルカリ性(pH11)のうち何れかにpH調整した試料液1aを得、それら各試料液1aを用いて電位変化に対する電流変化をそれぞれ検出した。そして、前記の各電流変化特性におけるピーク値をそれぞれ読み取り図7のピーク値特性図に示した。
【0044】
図7に示すように、前記20種類のアミノ酸のうちチロシンを中性またはアルカリ性に調整した場合は、それぞれ酸化電位を検出することができなかった。一方、前記の各アミノ酸を酸性に調整した場合には、それぞれ酸化電位を検出することができた。
【0045】
したがって、導電性ダイヤモンド電極によれば、酸性雰囲気下にて20種類のアミノ酸全てを分析できることを確認できた。
【0046】
[フロー型分析装置による分析]
次に、前記の導電性ダイヤモンド電極を図10に示したフローセル9の作用電極2として適用し、複数のアミノ酸を含んだ試料液の分析を試みた。なお、移動相には0.1MのKH2PO4から成るpH4.1の緩衝液、試料液にはトリプトファン,メチオニン,ヒスチジンをそれぞれ0.1mM用い混合して得たものを用いた。また、カラム7にはアミノ酸分析用カラム(東ソー製のTSK gelAminopack)、インジェクタ8aには20μlの計量管を備えたもの(レオダイン製のMODEL7125)、ポンプ8bには液体クロマトグラフィ用のもの(島津製のLC−6A)を用いた。さらに、フローセル9にはクロスフローセル(自作品)を用い、ポテンシオスタット5には電気化学分析用(Als/Chi製のMODEL812)、対電極3にはステンレス鋼電極、参照電極4にはAg/AgCl電極を用いた。
【0047】
まず、ポンプ8bを介して前記のカラム7の一端側から他端側方向に対して一定流量の移動相を供給しながら、前記の作用電極2に対して1.8Vの電位を印加し、前記の移動相に対しインジェクタ8aを介して一定量の試料液を注入した。そして、前記の作用電極2における電流変化を検出し、その結果を図8の時間変化(カラム7の応答時間に相当)変化に対する電流変化特性図に示した。
【0048】
図8に示すように、試料液中に含まれたトリプトファン,メチオニン,ヒスチジンに係るピーク値が検出されていることが読み取れる。このことから、導電性ダイヤモンド電極によれば、たとえ試料液中のアミノ酸が複数であっても、それぞれ分析できることを確認できた。また、前記の分析を行った後、作用電極表面を観察したところ汚れが無かったことを確認できた。
【0049】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【0050】
【発明の効果】
以上示したように本発明によれば、たとえ被分析対象であるアミノ酸が酸性の溶液(緩衝液や移動相)中に存在する場合であっても、電気化学的活性が低いアミノ酸(例えば、自然界に存在する20種類のアミノ酸)の分析を行うことができる。また、その作用電極表面の汚れを防止することができ、高精度かつ高感度の分析が可能であると共に、その再現性を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における成膜工程直後の電極表面を示す説明図。
【図2】本実施の形態における鏡面化処理後の電極表面を示す説明図。
【図3】本実施の形態における導電性ダイヤモンド電極の電位窓を示す特性図。
【図4】酸性雰囲気下における電位変化に対する電流変化特性図。
【図5】中性雰囲気下における電位変化に対する電流変化特性図。
【図6】アルカリ性雰囲気下における電位変化に対する電流変化特性図。
【図7】20種類のアミノ酸におけるピーク値特性図。
【図8】時間変化に対する電流変化特性図。
【図9】一般的な溶液分析装置の概略説明図。
【図10】一般的なフロー型分析装置の概略説明図。
【符号の説明】
1…測定容器
2…作用電極
3…対電極
4…参照電極
5…ポテンシオスタット
7…カラム
8a…インジェクタ
9…フローセル
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性ダイヤモンド電極を用いたアミノ酸の分析装置に関するものであり、例えば自然界に存在するアミノ酸の分析に適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、遺伝子工学,バイオ工学等の技術進歩に伴って蛋白質,糖類等の種々の有機物における解析が多く行われているが、その一例として蛋白質の配列に関するアミノ酸(自然界に存在するアミノ酸)の解析が注目されている。なお、自然界に存在するアミノ酸としては、一般的にアラニン,バリン,ロイシン,イソロイシン,メチオニン,トリプトファン,フェニルアラニン,プロリン,グリシン,セリン,スレオニン,システイン,チロシン,アスパラギン,グルタミン,リジン,ヒスチジン,アルギニン,アスパラギン酸,グルタミン酸の20種類が知られている。
【0003】
また、アミノ酸の分析装置も種々のものが開発されているが、例えば溶液中の電気化学的活性物を分析することが可能なボルタンメトリによる溶液分析装置が知られている。さらに、アミノ酸の電気化学的活性が低いことを考慮し、分析装置の作用電極として例えば銅から成る電極(以下、銅電極と称する)を用い、その銅電極の表面をアルカリ性雰囲気下(例えば、アルカリ性溶液中)に曝して酸化物の被膜を形成し、その被膜の触媒作用により作用電極表面におけるアミノ酸の酸化反応を惹起させてアミノ酸の分析を行う技術が知られている。
【0004】
図9は、ボルタンメトリーによるアミノ酸の分析装置の一例を示す概略説明図である。図9において、符号1は測定容器を示すものであり、その測定容器1内には被分析対象(アミノ酸)を含んだ試料液1aが所定量投入される。この測定容器1に投入される試料液1aは、例えばアルカリ性の緩衝液によってpH調整する。符号2は銅から成る作用電極、符号3は白金等から成る対電極、符号4はAg/AgCl等から成る参照電極を示すものであり、それら作用電極2,対電極3,参照電極4はそれぞれ一定の距離を隔てて、前記測定容器1内の試料液1a中に浸されるように配置される。
【0005】
符号5はポテンシオスタットを示すものであり、そのポテンシオスタット5には前記作用電極2,対電極3,参照電極4がそれぞれの配線2a,3a,4aを介して接続される。また、前記ポテンシオスタット5には、必要に応じてポテンシャルスイーパ5a,レコーダ5b等が接続される。
【0006】
次に、図9に示した溶液分析装置によるアミノ酸の分析方法の一例を説明する。まず、ポテンシオスタット4により作用電極2の電位(参照電極4を基準にした電位;以下、同様であるため省略)を正電位方向にスイープ(例えば、自然電極電位から正電位方向にスイープ)する。これにより、作用電極2表面に酸化銅の被膜が形成されると共に、所定の電位にて前記の被膜と被分析対象との錯体が形成される。この錯体形成による作用電極2の酸化電流の変化を検出することにより、被分析対象を分析することが可能となる。
【0007】
前記のような溶液分析装置では、例えば試料液中の被分析対象であるアミノ酸が複数の場合には、それら各アミノ酸を同時に且つ個別に分析することは困難である。このため、被分析対象が複数の場合には、液体クロマトグラフィとフローインジェクション分析器(以下、フローセルと称する)とを組み合わせた分析装置(以下、フロー型分析装置と称する)が適用されている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−149918号公報(段落[0001],[0002],[0008],[0009]等)。
【0009】
【特許文献2】
特開平7−72135号公報(段落[0001]〜[0003]等)。
【0010】
図10は、フロー型分析装置の一例を示す概略説明図である。なお、図9に示すものと同様なものには同一符号等を用いて、その詳細な説明を省略する。図10において、符号7は、被分析対象に適した固定相が充填された液体クロマトグラフィ用のカラムを示すものである。このカラム7の一端側には、流路7aを介して例えばインジェクタ(例えば、計量管を備えたインジェクタ)8a,ポンプ(定量ポンプ)8b,移動相を貯留した貯留槽8cが接続され、そのカラム7の他端側には流路7bを介してフローセル9が接続される。前記フローセル9(移動相が通過する部分)には、作用電極2,対電極3,参照電極4が備えられ、それら各電極はポテンシオスタット(図示省略)に接続される。
【0011】
図10に示したようなフロー型分析装置により種々の被分析対象を含んだ試料液を分析する場合、まず前記の流路7a,ポンプ8bを介して前記のカラム7の一端側から他端側方向に対して一定流量の移動相を供給すると共に、その移動相に対しインジェクタ8aを介して一定量の試料液を注入する。また、前記の作用電極2に対して、所定の電位を印加する。
【0012】
これにより、前記の注入された試料液中の各被分析対象がカラム7内に導入されると、それら各被分析対象はカラム7内における応答時間(保持時間)の違いにより展開(分離)され、それぞれ異なる時間で前記フローセル9内に順次導入される。また、このフローセル9内に導入された各被分析対象は、それぞれ作用電極2の表面で酸化反応を起こした後、水中燃焼して前記の移動相と共にフローセル9から排出される。
【0013】
前記の酸化反応により、前記の作用電極2では各被分析対象の量に応じて電流変化が起こる。すなわち、前記の応答時間と対比しながら前記の酸化反応による作用電極の電流変化を検出することにより、試料液中の被分析対象の分析を行うことができる。
【0014】
図10に示したような構成のフロー型分析装置により試料液中の複数のアミノ酸を分析する場合、カラムの固定相には酸性雰囲気下(例えば、酸性の移動相)で機能を果たすものが用いられている。このため、フロー型分析装置におけるフローセルの作用電極として銅電極を適用する場合には、まず酸性または中性の移動相と共に試料液をカラム内に導入して該試料液中の各アミノ酸を展開すると共に、そのカラム内を通過した移動相をフローセルの前段にてアルカリ性に調整する必要があり、例えば前記のカラムとフローセルとの間に対して、アルカリ性の溶液を注入するための装置を構成する必要があった。
【0015】
近年、前記フローセルの作用電極として、グルタメートをポリピロール中にドープし銅電極上に修飾して成る電極(以下、修飾銅電極と称する)を適用する技術が報告されている。この修飾銅電極を作用電極として適用する技術は、グルタメートの被膜の触媒作用によって作用電極に対するアミノ酸の酸化反応を惹起させるものである。また、予めグルタメートの被膜が形成された銅修飾電極を用いるため、酸性の移動相を適用することができ、前記の銅電極を用いた場合のようにアルカリ性の溶液を注入するための装置を構成する必要がない。
【0016】
【非特許文献1】
ハバナ・エイ.・デオレ(Bhavana A. Deore),ヒロシ・シイギ(Hiroshi Shiigi),ツトム・ナガオカ(Tsutomu Nagaoka),「パルスド アンペロメトリック ディテクションオブ アンデリヴァタイズド アミノ アシッズ ユージング ポリピロールモディファイド コッパー エレクトロード イン アシディック ソルーション(Pulesed amperometric detection ofunderivatized amino acids using polypyrrole modified copper electrode in acidic solution)」,(米国),タランタ(Talanta),エルゼビア(ELSEVIER),2002,58,1203−1211。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
前記のようにアミノ酸の分析装置において、銅電極や修飾銅電極を作用電極として構成したものが種々開発されているが、それぞれ分析可能なアミノ酸の種類は限られていた。すなわち、蛋白質の配列に関する20種類のアミノ酸全てを分析する場合には、2種類以上の分析装置が必要であった。
【0018】
また、分析を繰り返す毎に、作用電極の表面に対して種々の物質が付着して汚れてしまい、分析精度の低下等を招く恐れがあるため、分析とは別に作用電極表面の洗浄等の工程(以下、再生工程と称する)を行う必要があった。
【0019】
本発明は、前記課題に基づいて成されたものであり、自然界に存在する全てのアミノ酸を分析することが可能で、その分析と共に作用電極表面の再生工程を行うことが可能なアミノ酸の分析装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題の解決を図るために、請求項1記載の発明は、少なくとも作用電極,対電極,参照電極(例えば、Ag/AgClから成る参照電極)を構成し、前記の各電極を少なくともアミノ酸を含んだ溶液中にそれぞれ配置し、前記の作用電極に電位を印加し正電位方向へ掃引すると共に該作用電極の電流変化を検出することによりアミノ酸の分析が可能な分析装置において、前記の作用電極は電位窓の上限が2.0V以上の導電性ダイヤモンド電極であることを特徴とする。
【0021】
請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の発明において、前記溶液は酸性であることを特徴とする。
【0022】
請求項3記載の発明は、移動相中の複数のアミノ酸を分離することが可能なカラムと、少なくとも作用電極,対電極,参照電極を有するフローセルと、を構成し、前記のカラムによって分離されたアミノ酸を含む移動相を前記フローセル内に導入すると共に前記の作用電極に電位を印加し、該作用電極の電流変化を検出してアミノ酸を分析することが可能な分析装置において、前記作用電極は電位窓の上限が2.0V以上の導電性ダイヤモンド電極であることを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の発明は、前記請求項3記載の発明において、前記移動相は酸性であることを特徴とする。
【0024】
請求項5記載の発明は、前記請求項1乃至4記載の発明において、導電性ダイヤモンド電極の表面は、酸素終端化処理されたことを特徴とする。
【0025】
請求項6記載の発明は、前記請求項1乃至5記載の発明において、導電性ダイヤモンド電極は、研磨されたことを特徴とする。
【0026】
本発明のような導電性ダイヤモンド電極により、たとえ被分析対象であるアミノ酸が酸性の溶液(緩衝液や移動相)中に存在する場合であっても、自然界に存在する全てのアミノ酸を電気化学的に分析することできる。また、前記の分析の際に例えば作用電極表面に対して種々の物質が付着しても、その付着物質は水中燃焼される。
【0027】
なお、成膜工程直後の電極表面の粗度は大きくなってしまう。このような電極をフローセルに適用した場合には、その電極表面が凹凸なため流路を大きく確保しなければならず、その結果、S/N比を低下させてしまう。また、電極表面の凹凸により乱流が起こり易くなり、測定値の再現性を低下させてしまう。一方、導電性ダイヤモンド電極の表面を研磨した場合には、フローセル内の流路を小さく(電極表面が凹凸なものと比較して小さく)することができ、高S/N比を得ることができる。
【0028】
また、導電性ダイヤモンド電極はプラズマCVD法等により製造されるが、そのCVD法等による成膜工程直後の電極表面は水素終端であるため、時間経過と共に前記の水素終端が外れて電極表面状態が変化し、その電極の電気化学的特性が変化する恐れがある。一方、前記の電極表面を酸素終端化処理(例えば、電極表面の研磨後に酸素終端化処理)した場合には、従来のような電極表面状態の変化は起こらず、安定した電気化学的特性を維持(再現性)することが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態におけるアミノ酸の分析装置を図面等に基づいて詳細に説明する。なお、図9,図10に示したようなものと同様なものには同一符号等を用いて、その詳細な説明を省略する。
【0030】
本実施の形態におけるフロー型分析装置は、従来のように作用電極として銅電極や修飾銅電極を適用するのではなく、Ag/AgCl参照電極に対する酸化電位(電位窓の上限)が2.0V以上の導電性を有するダイヤモンド電極(以下、導電性ダイヤモンドと称する)を適用したものである。
【0031】
前記のような導電性ダイヤモンド電極によれば、電気化学的活性が低いアミノ酸であっても電気化学的分析を行うことができる。また、作用電極に対して高い酸化電位(本実施の形態では1.8V)を印加することが可能となり、その作用電極表面に種々の物質が付着しても水中燃焼(例えば、CHO→CO2+H2O)され、その表面の汚れを防止することができる。さらに、酸性雰囲気下にて酸化電位を検出することができるため、従来のフロー型分析装置のように移動相をアルカリ性に調整するための装置が不要となり、装置の小型化,簡略化を図ることが可能となる。
【0032】
[導電性ダイヤモンド電極]
以下、本実施の形態に適用される導電性ダイヤモンド電極の製造方法の一例として、ASTeX社製のマイクロ波CVD成膜装置を用いたマイクロ波プラズマアシストCVD法による製造方法を説明する。まず、前記導電性基板としてシリコン基板(Si(100))を用い、そのシリコン基板表面をテクスチャー処理(例えば、0.5μmのダイヤモンド粉により研磨)した後、前記シリコン基板を成膜装置のホルダーに固定した。成膜用ソースとしては、アセトンとメタノールとの混合物(液体;混合比は、体積比で9:1)を用い、その混合物に酸化ホウ素(B2O3)をホウ素/炭素(B/C)比で104ppmとなる量を溶解したものを用いた。
【0033】
また、前記成膜用ソースは、その成膜用ソースに対しキャリアガスとして純H2ガスを通してからチャンバー内に導入した。前記チャンバー内は、予め別ラインから水素を流す(本実施の形態では532cc/min)ことにより、所定圧力(本実施の形態では約15332.03Pa)となるように調整した。その後、前記チャンバー内にて、2.45GHzのマイクロ波電力により放電させ、その電力が5kWとなるように調整した。
【0034】
さらに、前記電力が安定した後、前記成膜用ソースにキャリアガスとして純H2ガス(本実施の形態では15cc/min)を流し、成膜速度1〜4μm/hで成膜時間を調整することにより、厚さ約500μmで直径5mmの膜から成る電極を得た。このような成膜工程により得た電極表面を表面粗さ計で測定(スキャン距離27.63μmで測定)したところ、図1に示すように凹凸であった。
【0035】
そこで、本実施の形態では、前記の成膜工程直後の電極表面を研磨(ダイヤモンドを用いた「とも擦り」と称される研磨)によって鏡面化処理した。この鏡面化処理後の電極表面について表面粗さ計で測定(スキャン距離27.63μmで測定)したところ、図2に示すように平滑であった。
【0036】
そして、前記の鏡面化処理された電極表面について、酸素飽和雰囲気下でのプラズマによって酸素終端化処理することにより、導電性ダイヤモンド電極を得た。
【0037】
なお、図9に示した溶液分析装置の試料液1aの替わりに0.1Mの硫酸溶液を用い、作用電極2として前記の導電性ダイヤモンド電極を適用して、参照電極(Ag/AgCl)に対する導電性ダイヤモンド電極の電位窓を測定(北斗電工製のポテンシオスタット(HZ−3000)を使用して測定)したところ、図3に示すように電位窓の上限が約2.0V以上であることを確認できた。
【0038】
また、本実施の形態における成膜装置において、特に基板の加熱等の作業は行わなかったが、その基板の温度は定常状態で約850〜950℃であった。前記のダイヤモンドの薄膜における形成状況は、ラマン分光分析法により調べることができる。
【0039】
[溶液分析装置による分析]
次に、図9に示した溶液分析装置の作用電極2として前記の導電性ダイヤモンド電極を適用し、その装置により自然界に存在する20種類のアミノ酸の分析をそれぞれ試みた。
【0040】
まず、酸性(pH1.5),アルカリ性(pH11)の緩衝液は、0.1MのKCl溶液に1MのHCl溶液および1MのNaOH溶液をそれぞれ適宜所定量加えることにより得た。中性(pH7)の緩衝液については、0.05Mのリン酸緩衝液に1MのNaOH溶液を適宜所定量加えることにより得た。次に、前記の酸性(pH1.5),中性(pH7),アルカリ性(pH11)に調整された各緩衝液に対して、それぞれ10mMのヒスチジンを加えて試料液1aを得た。
【0041】
そして、前記の酸性,中性,アルカリ性の試料液1aを用い、作用電極2の電位を自然電極電位から2.5Vの間を100mV/sにてスイープすることにより、その作用電極2の電位変化に対する電流変化をそれぞれ検出し、それら各結果を図4(酸性),図5(中性),図6(アルカリ性)の電位変化に対する電流変化特性図に示した。
【0042】
図4乃至図6に示すように、それぞれ作用電極のベース電流の影響を受けることなく、所定の電位にてピーク電流が検出されていることが読み取れる。このことから、導電性ダイヤモンド電極によれば、酸性,中性,アルカリ性の何れの雰囲気下であっても、ヒスチジンの分析が可能であることを確認できた。
【0043】
そこで、前記のヒスチジンを用いた場合と同様の方法により、アラニン,バリン,ロイシン,イソロイシン,メチオニン,トリプトファン,フェニルアラニン,プロリン,グリシン,セリン,スレオニン,システイン,チロシン,アスパラギン,グルタミン,リジン,ヒスチジン,アルギニン,アスパラギン酸,グルタミン酸についても、それぞれ酸性(pH1.5),中性(pH7),アルカリ性(pH11)のうち何れかにpH調整した試料液1aを得、それら各試料液1aを用いて電位変化に対する電流変化をそれぞれ検出した。そして、前記の各電流変化特性におけるピーク値をそれぞれ読み取り図7のピーク値特性図に示した。
【0044】
図7に示すように、前記20種類のアミノ酸のうちチロシンを中性またはアルカリ性に調整した場合は、それぞれ酸化電位を検出することができなかった。一方、前記の各アミノ酸を酸性に調整した場合には、それぞれ酸化電位を検出することができた。
【0045】
したがって、導電性ダイヤモンド電極によれば、酸性雰囲気下にて20種類のアミノ酸全てを分析できることを確認できた。
【0046】
[フロー型分析装置による分析]
次に、前記の導電性ダイヤモンド電極を図10に示したフローセル9の作用電極2として適用し、複数のアミノ酸を含んだ試料液の分析を試みた。なお、移動相には0.1MのKH2PO4から成るpH4.1の緩衝液、試料液にはトリプトファン,メチオニン,ヒスチジンをそれぞれ0.1mM用い混合して得たものを用いた。また、カラム7にはアミノ酸分析用カラム(東ソー製のTSK gelAminopack)、インジェクタ8aには20μlの計量管を備えたもの(レオダイン製のMODEL7125)、ポンプ8bには液体クロマトグラフィ用のもの(島津製のLC−6A)を用いた。さらに、フローセル9にはクロスフローセル(自作品)を用い、ポテンシオスタット5には電気化学分析用(Als/Chi製のMODEL812)、対電極3にはステンレス鋼電極、参照電極4にはAg/AgCl電極を用いた。
【0047】
まず、ポンプ8bを介して前記のカラム7の一端側から他端側方向に対して一定流量の移動相を供給しながら、前記の作用電極2に対して1.8Vの電位を印加し、前記の移動相に対しインジェクタ8aを介して一定量の試料液を注入した。そして、前記の作用電極2における電流変化を検出し、その結果を図8の時間変化(カラム7の応答時間に相当)変化に対する電流変化特性図に示した。
【0048】
図8に示すように、試料液中に含まれたトリプトファン,メチオニン,ヒスチジンに係るピーク値が検出されていることが読み取れる。このことから、導電性ダイヤモンド電極によれば、たとえ試料液中のアミノ酸が複数であっても、それぞれ分析できることを確認できた。また、前記の分析を行った後、作用電極表面を観察したところ汚れが無かったことを確認できた。
【0049】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【0050】
【発明の効果】
以上示したように本発明によれば、たとえ被分析対象であるアミノ酸が酸性の溶液(緩衝液や移動相)中に存在する場合であっても、電気化学的活性が低いアミノ酸(例えば、自然界に存在する20種類のアミノ酸)の分析を行うことができる。また、その作用電極表面の汚れを防止することができ、高精度かつ高感度の分析が可能であると共に、その再現性を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における成膜工程直後の電極表面を示す説明図。
【図2】本実施の形態における鏡面化処理後の電極表面を示す説明図。
【図3】本実施の形態における導電性ダイヤモンド電極の電位窓を示す特性図。
【図4】酸性雰囲気下における電位変化に対する電流変化特性図。
【図5】中性雰囲気下における電位変化に対する電流変化特性図。
【図6】アルカリ性雰囲気下における電位変化に対する電流変化特性図。
【図7】20種類のアミノ酸におけるピーク値特性図。
【図8】時間変化に対する電流変化特性図。
【図9】一般的な溶液分析装置の概略説明図。
【図10】一般的なフロー型分析装置の概略説明図。
【符号の説明】
1…測定容器
2…作用電極
3…対電極
4…参照電極
5…ポテンシオスタット
7…カラム
8a…インジェクタ
9…フローセル
Claims (6)
- 少なくとも作用電極,対電極,参照電極を構成し、
前記の各電極を少なくともアミノ酸が含まれた溶液中にそれぞれ配置し、前記の作用電極に電位を印加し正電位方向へ掃引すると共に、該作用電極の電流変化を検出することによりアミノ酸を分析することが可能な分析装置において、
前記の作用電極は電位窓の上限が2.0V以上の導電性ダイヤモンド電極であることを特徴とするアミノ酸の分析装置。 - 前記溶液は酸性であることを特徴とする請求項1記載のアミノ酸の分析装置。
- 移動相中の複数のアミノ酸を分離することが可能なカラムと、少なくとも作用電極,対電極,参照電極を有するフローセルと、から成る装置であって、
前記のカラムによって分離されたアミノ酸を含む移動相を前記フローセル内に導入すると共に前記の作用電極に電位を印加し、該作用電極の電流変化を検出してアミノ酸を分析することが可能な分析装置において、
前記作用電極は電位窓の上限が2.0V以上の導電性ダイヤモンド電極であることを特徴とするアミノ酸の分析装置。 - 前記移動相は酸性であることを特徴とする請求項3記載のアミノ酸の分析装置。
- 前記の導電性ダイヤモンド電極の表面は、酸素終端化処理されたことを特徴とする請求項1乃至4記載のアミノ酸の分析装置。
- 前記の導電性ダイヤモンド電極は、研磨されたことを特徴とする請求項1乃至5記載のアミノ酸の分析装置。
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