JP4905628B2 - 保水性と透水性を兼備した床面用粉粒組成物およびそれを用いた床面固化層の形成方法 - Google Patents
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しかしながら、前記システムには、一方ではいくつかの欠点がある。すなわち、ベッド幅が小さいということは栽培株数が高密度となり収量増が期待できる反面、ベッド幅が小さいためにベッドへの水散布時には多量の有機肥料などが水と共に前記システムの下部床土に飛散して、軟質床土にしてしまい、歩き難くなってしまう。更に、該軟質床土は各種病原菌の温床土と化し、遂には繁殖して、栽培植物への思わぬ弊害を生じさせてしまう。この各種病原菌への解決方法として、該床土の消毒が一般的に提案される方法であるが、この方法は一時的な解決にはなるが、該床土を劣化することになり恒久的な解決方法にはならない。また栽培植物への影響も大となる。
一方、従来技術として、消石灰、生石灰及びセメントと粘土を含む原料を粒状に硬化させたものを床下に配置する建築内の調湿方法が提案されている(特許文献1)。又、セメントに水及下水汚染焼却灰を混練りしてセメントスラリーを形成して多孔質硬化体とする機能性セメント硬化体の提案がある(特許文献2)。
しかし、これらには、水耕栽培等の床用の構造体として必要とされる透水性と保水性とのバランス等に配慮した構成はなく、床用構造体として不充分なものでしかなかった。
粉粒組成物なのでそれを捲いて敷設でき、その後に水を撒水すればそのままの形態で固化され、上記適切な強度を保った構造体を形成し、且つ、使用後に廃棄物として処理する際には、クラッシャー等で破砕すれば容易に再度粉粒体となるので、これを再利用又は自然土に還元することができる。
鹿沼土は、土中に多量の球状非晶質アロフェンやイモゴライトが形成されていて、該アロフェンやイモゴライトが保有する中空球壁に多量の穴部の存在が通気性や保水性を高める性質を発現させている。同時に、該鹿沼土の粒子径を0.5±0.1mmφとすると、後述する如く粒子相互間に適度な間隙が形成され、前記球状非晶質の通気性や保水性の働きと協働して、より強力な透水性と吸水性と適度な蒸発性を備えることが可能となり、これを配合した粉粒体は軽量で、保水性と透水性を高めるものとなる。
表1に、本発明の保水性と透水性を兼備した粉粒組成物の基本組成を示す。
例えば山砂のシルト分100gと、ピートモスk3gと、無機系固化剤であるポルトランドセメント200g及びノニオン系界面活性剤2gをミキサー2に投入し、撹拌羽根3により撹拌して均一な組成混合物1を生成する。
次に該組成混合物1をミキサー2から取り出し、例えば水耕栽培の下部床土としての施工現場に散布し、ローラー等で転圧する。このとき、該混合物は粉粒体で構成されるからサラサラ状態で、床面に容易に散布することができる。次いで、該散布転圧面の上から150gに相当する水を均等に散水して、2〜3日間養生する。すると、ポルトランドセメントの水和反応が促されて、該組成混合物は、上記鹿沼土間の適正な空隙を確保しつつ、次第に固化すると共に、適度な強度を保持したものとなる。
本発明の粉粒土の主構成材料である鹿沼土の粒子径は、0.5±0.1mmφのふるい目のものが用いられ、ポルトランドセメントやノニオン系界面活性剤は水と混ざり合って液状化し、結合剤の働きをする。
更に、山砂のシルト分は鹿沼土に比べて配合量が少量で且つ粒子径が小さいので、点在する程度となる。また、鹿沼土粒子間に山砂のシルト分が粒子として挿入されると、山砂のシルト分に相当する粒子分ほど鹿沼土粒子間が広がり、従って鹿沼土粒子間の空隙が広がって、益々本発明の無機質組成物の吸排水機能が増加する。その他、ピートモスは配合量が少量なので、点在する程度となる。
図2に各粉体の分布状態の一例を拡大して模式的に示す。この図は、鹿沼土の均一で相対的に大きい粒子径のものaと、山砂のシルト分の細かい粒子径のものbと、ピートモスcとが満遍なく分布し、無機系固化剤dは各粒子に付着して粒子間を結合して、各粒子間にランダムに空隙eが形成されていることを示している。この空隙eがポーラス状で空気や水が必要量だけ保存でき易くなっていることを示している。
しかしながら、無機系固化剤の一成分であるポルトランドセメントは骨材間の接合力を大きく保持できるが、それ自体が団子状になり易く、空隙を埋め易い。即ち、ポルトランドセメント量が多量であると、ポルトランドセメントは水と反応して発熱溶融し、鹿沼土及び山砂シルト分などの回りをすっぽりと包み込んで、主剤及び骨材間の空隙を埋め易く、その結果、透水性の確保を図ることが困難となる。
そこで、ポルトランドセメント及び山砂シルト分の使用量を可及的に少量とすることが望ましく、と同時に、一定の強度を保つ必要がある。そこでポルトランドセメント及び山砂シルト分の配合割合を、鹿沼土100重量部に対し、ポルトランドセメント15〜30重量部及び山砂のシルト分5〜15重量部とすることで均衡が図られる。ポルトランドセメント15部以下、及び山砂シルト分5部以下では、床面の構造体として強度が不足となり、30部及び15部以上では空隙が狭く適正なポーラス状態を保てないからである。
鹿沼土は、該粒子の表面に存在する多量の穴部アロフェンやその内部の中空球壁イモゴライトにより、通気性や保水性を均一に高める性質を発現させている。加えて、鹿沼土の粒子径を適正な大きさに揃えることにより、適正な寸法の空隙が多量に形成され、各空隙において多量の空気や水が保存できる。即ち、鹿沼土は上記の如くそれ自身が通気性と保水性を保持する性能に優れると共に、該鹿沼土の粒子経を直径0.5±0.1mmφに粒子経を揃えることで適正な大きさの空隙が多数形成され、適量の空気や水が保存でき、二重の意味で通気性及び保水性に優れた効果を発揮するものとなる。
2 ミキサー
3 撹拌羽根
a 鹿沼土
b シルト
c ピートモス
d 無機系固化剤
e 空隙
Claims (3)
- 直径0.5±0.1mmφの鹿沼土100重量部に対し、山砂のシルト分5〜15重量部と、ピートモス1〜5重量部と、無機系固化剤であるポルトランドセメント15〜30重量部及びノニオン系界面活性剤0.1〜0.5重量部とを混合させて成る粉粒混合物であって、該粉粒混合物を床面に敷設させたのち表面に直接撒水することで保水性と透水性を兼備した固化層が形成されることを特徴とする床面用粉粒組成物。
- 粉粒組成物の固化後の曲げ強度が1.5〜2.5MPaであることを特徴とする請求項1記載の床面用粉粒組成物。
- 直径0.5±0.1mmφの鹿沼土100重量部に対し、山砂のシルト分5〜15重量部と、ピートモス1〜5重量部と、無機系固化剤であるポルトランドセメント15〜30重量部及びノニオン系界面活性剤0.1〜0.5重量部とを混合させて粉粒混合物とし、該粉粒混合物を床面に敷設し、該床面の表面に直接撒水して水和反応を促し、該反応後に保水性と透水性を兼備した固化層を形成することを特徴とする床面用固化層の形成方法。
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