JP4903654B2 - 放射線検出装置およびその効率校正方法 - Google Patents

放射線検出装置およびその効率校正方法 Download PDF

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Description

本発明は、全吸収ピーク効率を計算により求めることより校正する方法および当該校正方法により校正する放射線検出装置に関する。
物質中に含まれる放射能を定量測定することは、原子炉核燃料施設周辺に人工放射能が無いこと、原子炉核燃料施設の健全性が保たれていること、放射能が管理区域から搬出されていないこと等を評価するために産業上広く用いられている。例えば、原子炉核燃料施設周辺から土壌、海産物、農産物を合成樹脂製の容器に採取して試料とし、放射能定量測定が行なわれている。また、原子炉の排水や配管中の水また配管の内側に沈着した錆びの放射能を定量し、原子炉核燃料施設の健全性の確認が行なわれている。さらに、放射能による汚染のおそれがある管理区域から機材、工具等を搬出する際、放射能の付着が無いか放射能定量測定が行なわれている。
これら試料の放射能を定量するために、各種放射線検出装置が用いられている。詳しくは後述するが、簡単に表現すれば、放射線検出部で得られた計数から試料の放射能に換算する際、検出効率という係数が必要となる。ゲルマニウム半導体放射線検出装置の場合は、その測定方法から、検出効率の中でも全吸収ピーク効率(全エネルギーピーク効率)と呼ばれる検出効率が一般に用いられている。この全吸収ピーク効率とは試料に含まれる放射性核種から、あるエネルギーのガンマ線が1個放出した際、全吸収ピーク面積として計数する割合である。
本発明における検出効率とは、測定の目的とする放射線の量に対し放射線が検出器と相互作用して得られた信号の量の割合をいう。検出効率の逆数を換算係数といい、この換算係数を信号の量にかけることにより、放射線の量を算出することができる。放射線の量としては放射線の量子の数、放射能や線量等が、また信号の量としては計数(カウントとも呼ぶ)、電流、電荷や発光量等が挙げられる。放射線検出装置の検出効率または該換算係数を表示、記録または演算装置に記憶し与えることを、放射線検出装置の効率校正といい、換算係数を求めることと同じことである。ゲルマニウム半導体放射線検出装置等は、有感領域で一つのガンマ線量子が相互作用して電離を起こした場合一つのパルスとして計数する。この場合、ガンマ線の数が放射線の量であり、計数が信号の量となる。このように、放射線量子によって得られたパルスを計数する放射線検出装置の検出効率を計数効率とも呼ぶ。検出効率は、2つの側面から述べると判り易い。
一面としては、絶対効率と固有効率とに分類する。絶対効率とは、線源(試料)より放出される放射線量子の数に対し記録されたパルスの数(計数)の割合である。放射能の絶対効率は、含有する放射性核種、放射能、放射線のエネルギー、放射線の放出率、形状、組成、密度が既知の線源(以下、標準線源と呼ぶ)を用いて測定し、得られた計数と放射能から決定している。固有効率とは、放射線検出部に入射した放射線量子の数に対し記録されたパルスの数の割合である。また検出器効率とも呼ばれる。入射した放射線量子の数が同じでも、入射方向で記録されるパルスの数が少し違うため、上記固有効率の定義は、問題を有する。しかし、固有効率は、放射線量子を並行ビームとか点線源とかの数学解析的に記述できる幾何学的形状に仮定(以下モデル化と呼ぶ)することで、幾何学的な計算により求めることができ、絶対効率の代わりに、または補正係数をかけて絶対効率の算出に用いられている。
もう一面としては、ピーク効率とトータル効率に分類する。ピーク効率とは、横軸を検出器からのピークの高さとし、縦軸を度数としたスペクトルにおいて、ピークの面積を計数する場合の検出効率である。トータル効率とは、スペクトルの全面積すなわち全ての計数を計数する場合の検出効率である。トータル効率に対するピーク効率の比をピーク対トータルと呼ぶ。
検出効率を正確に記述するには、固有か絶対か、ピークかトータルか述べなければならない。固有と絶対は補正係数で、ピークとトータルはピーク対トータル比で繋がっている。ゲルマニウム半導体放射線検出装置の全吸収ピーク効率は、上述の表現からすると、絶対効率およびピーク効率となる。標準線源を用いた全吸収ピーク効率の決定は、非特許文献1に記載されている。また標準線源を用いずに、全線減弱係数、標準線源と放射線検出部の位置、放射線検出部の形状等から、幾何学的、数学解析的な積分により固有効率すなわち検出器効率を決定する方法については、非特許文献2に記載されている。さらに、非特許文献3では、標準点線源を使用した実測と、モンテカルロ法により計算した全吸収ピーク効率の比較が行なわれている。
図21は、非特許文献3のFigure1.をモデル化した図である。本発明では、「放射線に不感な層、領域」を不感層と定義する。非特許文献3においてS.Kinaseらは、クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部の不感層40の厚さを0.7mmから1.6mmまで変化させて全吸収ピーク効率を計算し、実測による全吸収ピーク効率と比較したところ、厚さが1.0mmの場合、150keV以下でよく一致しており(つまり、150keV以上でよく一致しておらず)、1.6mmの場合、150keV以上でよく一致している(つまり、150keV以下でよく一致していない)と述べられている。
非特許文献3に示されるように、モンテカルロ法等の計算においては、測定系のモデル化が必要である。図22は、幾つか円筒形ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部をモデル化した上面図と断面図である。図22(a)は、プレーナー型といい、円筒形のゲルマニウム結晶端面に、符号27と符号28の計2つのコンタクトが設けられている。本発明では、コンタクトの定義を「有感領域の中で放射線の相互作用により発生した電荷を取り出すためのもの」とする。コンタクトに対応して不感層がある。図22(b)は、同軸型といい、円筒形のゲルマニウム結晶の側面と軸に符号29と符号30の計2つのコンタクトが設けられている。円形である端面31の、符号29と符号30のコンタクト以外の部分は、絶縁である。端面31に垂直に放射線が入射した場合、端面の軸中心部分は第2のコンタクト30に対応して放射線に不感な領域が形成されるので、放射線を検出する事ができない。この不具合を解消するために、放射線が入射する端面側の第2のコンタクト30を、この端面まで貫通させずに、円筒形の内部で終端し、この端面まで第1のコンタクト29を延ばしたものが、図22(c)のクローズドエンド型である。このクローズドエンド型の第2のコンタクト4は、軸中心に貫通しない穴があけられ、その穴の内面に、ホウ素をイオンインプランテーションすることで作製される。コンタクトピン17により穴の中と外との導通がとられている。クローズドエンド型の第1のコンタクト3は、リチウムを拡散して作製される。放射能の定量測定においては、このクローズドエンド型が一般に用いられている。
グレンF.ノル、「放射線計測ハンドブック(第2版)」、日刊工業新聞社、1991年1月30日第2版刷発行、p457〜465 ニコラス ツルファニディス、「放射線計測の理論と演習(上)基礎編」、現代工学社、1993年12月15日ニ版発行、p279〜284 S.Kinase et al., Radiation Protection Dosimetry Vol.105,No.1−4,pp.467−472(2003)
ゲルマニウム半導体放射線検出装置を用いて、原子炉核燃料施設等での試料の放射能を定量する場合、数十keVから2MeV程度までのガンマ線を評価すれば良い。全吸収ピーク効率は、エネルギーによって違うため、少なくとも、十数種類のエネルギーにおける全吸収ピーク効率をこのエネルギー間でほぼ等間隔に得る必要がる。このため、標準線源に含有する放射性核種は、十種類程度となる。放射性核種は、その種類により異なる半減期を有し、時間が経つと放射線を放出する数が減っていく。標準線源に含有する放射性核種の中には、半減期が短いものもあり、数年おきに、標準線源を廃棄し、新しい標準線源を購入する必要がある。
非特許文献1では、標準線源を用いて、全吸収ピーク効率を決定しているが、標準線源の廃棄および購入には、多大なコストがかかった。このため、非特許文献2のように、数学解析的な積分計算により全吸収ピーク効率を決定する方法も考えられているが、簡単な線源および放射線検出部のモデルでしか解けず、また、放射線検出部中の2次放射線の放射線検出部外への飛散など考慮することができず、正確ではなかった。
モンテカルロ法による全吸収ピーク効率の計算は、若干複雑な線源や放射線検出部の形状であっても、モデル化可能の範囲内で計算可能であり、2次放射線の発生等も評価できるため、研究が進められている。しかし、非特許文献3に示すように、ゲルマニウム半導体放射線検出装置の不感層を変えることにより、実際の全吸収ピーク効率に近づけることはできたが、150keV以上で合わなかったり、150keV以下で合わなかったりした。
上述の如く、標準線源を用いた全吸収ピーク効率の決定方法は、コストが高価となり、これを改善するために、計算による全吸収ピーク効率の決定が試みられているが、正確な全吸収ピーク効率を得ることはできなかった。
そこで、本発明は、ゲルマニウム半導体放射線検出装置等の放射線検出装置の全吸収ピーク効率を、計算により高精度に求めて装置の効率校正を行う方法およびその方法により校正した放射線検出装置を提供することを目的とする。さらに、本発明で用いた計算は、放射線量子の発生において、位置、方向および数を自由に変えることができ、また放射線検出部に入射した放射線量子の数や計数されたスペクトル全体を計算できるため、絶対効率およびピーク効率のみならず、固有効率やトータル効率を求め効率校正を行うことができる。
上記課題を解決するために、本発明は、第1のコンタクトと第2のコンタクトの2つのコンタクトを有するゲルマニウム結晶を備えたゲルマニウム半導体放射線検出装置の全吸収ピーク効率を計算し効率校正する方法において、前記第1のコンタクトに対応する第1の不感層の厚さと前記第2のコンタクトに対応する第2の不感層の厚さを、第1と第2のガンマ線を用いて決定するステップを有することを特徴とする。また、クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の場合においては、第1の不感層を、第3の不感層と第4の不感層の領域に分けるステップを有することを特徴とする。前記第3の不感層の厚さを第3のガンマ線を用いて決定するステップと、前記第4の不感層の厚さを第4のガンマ線を用いて決定するステップ有することを特徴とする。
不感層の厚さを決定するステップとしては、少なくとも一つ以上の不感層の厚さを仮定し、仮定された各厚さで全吸収ピーク効率を計算するステップと、計算された全吸収ピーク効率の値を内そう、または外そう、またはフィティング、またはスプライン等で線化するステップと、前記線と標準線源を用いて実測した全吸収ピーク効率の合致点によって、不感層の厚さを決定することを特徴とする。
請求項1に記載の発明では、有感領域と、有感領域の中で放射線の相互作用により発生した電荷を取り出す第1のコンタクト及び第2のコンタクトと、第1のコンタクトにより形成され、放射線に不感である第1の不感層と、第2のコンタクトにより形成され、放射線に不感である第2の不感層とを有する放射線検出装置の効率校正方法であって、
所定の物性値が既知の標準線源である第1の標準線源を用いて、効率校正対象の放射線検出装置により、前記第1の標準線源から発生する第1のガンマ線の全吸収ピーク計数率を測定する第1の全吸収ピーク計数率の測定ステップと、前記第1の全吸収ピーク計数率の測定値から第1の実測全吸収ピーク効率の算出ステップと、前記第1の不感層の厚さを一つ以上仮定して、前記第1のガンマ線の全吸収ピーク計数率測定の構成をモデル化し、第1の全吸収ピーク効率の計算値を求める第1の計算全吸収ピーク効率の算出ステップと、前記第1の実測全吸収ピーク効率と前記第1の計算全吸収ピーク効率を比較して第1の不感層の厚さを決定するステップと、第2の標準線源を用いて、効率校正対象の放射線検出装置により、前記第2の標準線源から発生する第2のガンマ線の全吸収ピーク計数率を測定する第2の全吸収ピーク計数率の測定ステップと、前記第2の全吸収ピーク計数率の測定値から第2の実測全吸収ピーク効率の算出ステップと、前記第2の不感層の厚さを一つ以上仮定して、前記第2のガンマ線の全吸収ピーク計数率測定の構成をモデル化し、第2の全吸収ピーク効率の計算値を求める第2の計算全吸収ピーク効率の算出ステップと、
前記第2の実測全吸収ピーク効率と前記第2の計算全吸収ピーク効率を比較して第2の不感層の厚さを決定するステップと、決定された前記第1の不感層の厚さと前記第2の不感層の厚さを取り入れて、前記放射線検出装置により、任意の線源から発生するガンマ線を計数する構成をモデル化してモデル化全吸収ピーク効率の算出ステップと前記モデル化全吸収ピーク効率を表示、記録または演算装置に記憶ステップとを有する。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の放射線検出装置の効率校正方法であって、前記放射線検出装置内にある放射線検出部が円筒形であり、前記第1のコンタクトは前記円筒形の筒部と一方の端面に上部を有し他方の底部が開口された形状であり、前記放射線検出部は、前記第1のコンタクトの前記上部により形成された第3の不感層と前記第1のコンタクトの前記円筒形の筒部により形成された第4の不感層を備え、前記第1の全吸収ピーク計数率の測定ステップは、第3の標準線源を用いて、前記放射線検出装置により、前記第3の標準線源から発生する第3のガンマ線の全吸収ピーク計数率を測定する第3の全吸収ピーク計数率の測定ステップと、第4の標準線源を用いて、前記放射線検出装置により、前記第4の標準線源から発生する第4のガンマ線の全吸収ピーク計数率を測定する第4の全吸収ピーク計数率の測定ステップとからなり、前記第1の実測全吸収ピーク効率の算出ステップは、前記第3の全吸収ピーク計数率を用いて第3の実測全吸収ピーク効率の算出ステップと、前記第4の全吸収ピーク計数率を用いて第4の実測全吸収ピーク効率の算出ステップとからなり、前記第1の計算全吸収ピーク効率の算出ステップは、前記第3の不感層の厚さを一つ以上仮定して、前記第3のガンマ線の全吸収ピーク計数率測定の構成をモデル化し、第3の全吸収ピーク効率の計算値を求める第3の計算全吸収ピーク効率の算出ステップと、前記第4の不感層の厚さを一つ以上仮定して、前記第4のガンマ線の全吸収ピーク計数率測定の構成をモデル化し、第4の全吸収ピーク効率の計算値を求める第4の計算全吸収ピーク効率の算出ステップとからなり、前記第1の不感層の厚さを決定するステップは、前記第3の実測全吸収ピーク効率と前記第3の計算全吸収ピーク効率を比較して第3の不感層の厚さを決定するステップと、前記第4の実測全吸収ピーク効率と前記第4の計算全吸収ピーク効率を比較して第4の不感層の厚さを決定するステップからなる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2いづれかに記載の放射線検出装置の効率校正方法であって、前記第1乃至第4の不感層の厚さを決定するステップのいずれかまたは全てのステップは、前記それぞれの計算全吸収ピーク効率と前記仮定された不感層の厚さにより近似される関数を導出するステップと、前記近似された関数における前記第1乃至第4の実測全吸収ピーク効率全に対応する不感層の厚さを決定するステップを有する。
請求項3に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の効率校正方法で効率校正した放射線検出装置である。
本発明によれば、第1のコンタクトに対応する不感層(以下第1の不感層と呼ぶ」、)と第2のコンタクトに対応する不感層(以下第2の不感層と呼ぶ)の厚さを、ガンマ線を用いて決定するステップを有することによって、非特許文献3に示すように第1の不感層の厚さのみを変えて評価する場合に比べて、第2の不感層の厚さを評価することができる。この評価により決定された2つの不感層の厚さから、実際と合うように各不感層の厚さがモデル化され、より正確に全吸収ピーク効率を計算によって得ることができる。さらに、ガンマ線を用いて不感層を決定するステップは、非破壊検査であり、不感層の見積後もゲルマニウム半導体放射線検出装置は、何ら影響も無く使用することができる。
クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の場合においては、第1のコンタクトに対応する第1の不感層の厚さを第1のガンマ線を用いて決定するステップと、第2のコンタクトに対応する第2の不感層の厚さを第2のガンマ線を用いて決定するステップを有することにより、第1のエネルギーのガンマ線で第1の不感層の厚さを、エネルギーの違う第2のエネルギーのガンマ線で第2の不感層の厚さを決定することができる。
ガンマ線のエネルギーが低い程、ゲルマニウム結晶中における透過率が低い。エネルギーの低いガンマ線は、ゲルマニウム結晶に入射した場合、入射付近で多く相互作用し、深くなるにつれてガンマ線は届かなくなっていく。よって、エネルギーの低い方が、“ガンマ線が入射する第1の不感層の厚さ”の変化に敏感に影響される。逆に、ガンマ線のエネルギーが低いと第2の不感層まで届かず、第2の不感層の厚さの変化にあまり影響されない。つまり、少なくとも第1のガンマ線のエネルギーは、第2のガンマ線よりも低い方が、各不感層の厚さを精度よく決定することができる。また、第2のガンマ線のエネルギーは、第1のガンマ線よりも高い方でも、各不感層の厚さを精度よく決定することができる。
クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の第1のコンタクトは、円筒形の一方の端面と側面とから構成されている。端面と側面は、垂直に交差しているため、不感層の厚さも違うことが予想される。そこで、第1のコンタクトに対応する第1の不感層を、端面の第3の不感層と、側面の第4の不感層に領域を分けることで、第3の不感層と第4の不感層の厚さを別々に決定することができ、これより実際に適合したモデル化ができ、より正確な全吸収ピーク効率を得ることができる。第3の不感層の厚さを第3のガンマ線を用いて決定するステップと、第4の不感層の厚さを第4のガンマ線を用いて決定するステップを有することで、エネルギーの違うガンマ線を違う場所に設置して同時に測定し、第3の不感層と第4の不感層の厚さを短時間に決定することもできる。なお、第3のガンマ線と第4のガンマ線は、第1のガンマ線のように、エネルギーの低い方が、不感層の厚さの変化にともなう影響が大きい。また、第3のガンマ線と第4のガンマ線は、同時に測定しないのであれば同じエネルギーであってもかまわないが、第2のガンマ線よりエネルギーが低い方が前述の如く各不感層の厚さを精度よく決定することができる。
不感層の厚さを決定するためには、標準線源を用いた実測による全吸収ピーク効率(以下、実測により得られた全吸収ピーク効率を、「実測全吸収ピーク効率」と呼ぶ)を真値とし、トライ・アンド・エラーで真値と一致するまで、幾つもの不感層の厚さで全吸収ピーク効率を計算することができる。この、実測と計算での全吸収ピーク効率の値が一致した場合の、計算で用いた不感層の厚さが、見積もられた不感層の厚さである。しかしながら、モンテカルロ法による計算は、パーソナルコンピュータを用い、100万ヒストリで十数分必要であった。それ故、トライ・アンド・エラーで、幾つもの不感層の厚さで全吸収ピーク効率を計算し、実測と一致させることは、大変に時間がかかることであった。そこで、少なくとも一つ以上の不感層の厚さを仮定し、仮定された各厚さで全吸収ピーク効率を計算するステップと、計算された全吸収ピーク効率の値を内そう、または外そう、またはフィティング、またはスプライン等で線化するステップと、前記線と標準線源を用いて実測した全吸収ピーク効率の合致点によって、不感層の厚さを決定するステップを行うことにより、トライ・アンド・エラーで幾つもの不感層の厚さで全吸収ピーク効率を計算する場合と比較し、短時間に精度よく不感層の厚さを決定することができる。したがって、この不感層の厚さを用いて行う放射線検出装置の校正は、従来に比べて短時間に精度よく行えるようになった。
まず、ゲルマニウム半導体放射線検出装置の全吸収ピーク効率を計算により求めて放射線検出装置の効率校正を行う方法について、その概要を説明する。
ゲルマニウム半導体放射線検出装置の全吸収ピーク効率を計算により求めて放射線検出装置の効率校正を行う方法は、原子炉関連施設、加速機器関連施設のみならず、放射線を利用した医療機器、分析機器、核物理学、宇宙物理学、工業計測等の分野における放射線測定に幅広く利用することができる。
通常、試料中には、複数の放射性核種が含まれている。放射能を定量する場合は、各放射性核種から放出される放射線を検出し、計数を行い、この計数と検出効率等から放射能に換算を行なっている。正確に放射能を定量する場合、各放射性核種から放出される放射線のエネルギーが違うとともに、放射線検出装置の検出効率も放射線のエネルギーに依存するため、試料から放出される放射線のエネルギー別に検出効率が必要となる。また、試料の中には、エネルギーの大きく違わない放射線を放出する放射性核種が含まれることがあり、これを定性するためには、エネルギーの分別が良い、即ちエネルギー分解能の良い放射線検出装置が有用である。ゲルマニウム半導体放射線検出装置は、極めてエネルギー分解能の良いガンマ線検出器である。
放射線には、アルファ線、ガンマ線、ベータ線等があるが、エネルギーのスペクトルが分布を持たず単一であれば、放射性核種を同定しやすい。すなわち放射性核種から放出された放射線が、単一エネルギーであり、試料内等で減衰せず、放出されたままのエネルギーで放射線検出部に到達し、全てのエネルギーを放射線検出部の有感領域で沈着されれば、その沈着エネルギーを評価する事により、放出された放射線のエネルギーが判り、放射性核種を同定することができる。
ガンマ線は、放射性核種から単一のエネルギーで放出され、他の物質との相互作用を起こさなければ、飛程距離に関わらず、そのエネルギーは減衰しない。また、減衰されなかったガンマ線は、ある確率で放射線検出部内の有感領域で、光電効果等の相互作用により、その全てのエネルギーを沈着する。つまり、ガンマ線は、放射線核種から放出された際のエネギーを減衰させずに全て、放射線検出部に沈着することができる放射線である。
以上の理由から、放射能を定量する場合、ゲルマニウム半導体放射線検出装置によるガンマ線測定が広く用いられている。図1は、試料をゲルマニウム半導体放射線検出装置を用いて測定したスペクトルの例を示す線図である。横軸の電圧パルスの高さは、ガンマ線がゲルマニウム半導体放射線検出装置の有感領域に沈着したエネルギーの量を示している。縦軸は、計数である。例えば、320keV付近にあるピークの計数は、10E+4強になることが判る。また、エネルギー分解能が良いため、ピークが鋭く、12個のピークが重なり合わないで分解されていることが判る。
ここで、ゲルマニウム半導体放射線検出装置を用いての試料の放射能測定の概要について図2を参照して説明する。図2は、クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置を用いた放射能測定の概念図である。図2に示すように、クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部1は、円筒に成形されたゲルマニウム結晶2を備えている。ゲルマニウム結晶2には、第1のコンタクト3と第2のコンタクト4の2つのコンタクトが形成されている。第1のコンタクトには、電力供給をするための高圧電源5が電気的に接続されている。第2のコンタクトは、放射線による電気的信号を取り出すための電荷型前置増幅器6と電気的に接続されている。電荷型前置増幅器6からは、クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部1に沈着したガンマ線のエネルギーに比例した高さの電圧パルス7が出力される。
ガンマ線9は、ゲルマニウム結晶2の中の有感領域8で光電効果の相互作用を起こし、全てのエネルギーを有感領域8に沈着して電子とホールの生成エネルギーに変換した場合について示している。この際、光電効果を起こしたガンマ線9のエネルギーに統計的に比例した数の電子とホールが生成される。ゲルマニウム結晶2内での電子とホールの移動に伴い、ゲルマニウム結晶1の第1のコンタクト3と第2のコンタクト4には、誘導電荷が発生し、最終的に、生成された電子またはホールの全数の電荷が誘導され帰還コンデンサー10に蓄積される。よって、帰還コンデンサー10の電極には、ガンマ線のエネルギーに統計的に比例した電荷が蓄電されることになる。一般にコンデンサーにかかる電圧は、その電極に蓄電された電荷に比例するため、帰還コンデンサー10には、ガンマ線のエネルギーに比例した電圧がかかることになる。帰還コンデンサーに蓄電された電荷は、帰還抵抗11から放電されるとともに、帰還コンデンサーにかかる電圧は減衰する。電荷が蓄積される時間が放電される時間より極めて短いため、電荷型前置増幅器6の出力は、電圧パルス7のような形状となる。この電圧パルス7の高さは、生成された電子とホールの数、つまり入射ガンマ線のエネルギーに比例したものであるから、もし、入射ガンマ線のエネルギーが単一で、有感領域8で光電効果のみを起こし、全てのエネルギーを沈着した場合、ある一定の高さのみの電圧パルス7が観測される。
図3は、単一エネルギーのガンマ線を放出する試料を図2の如く測定し、横軸に電圧パルス7の高さ、縦軸に計数をプロットしたスペクトルの内、ピーク部分を拡大した線図である。横軸の電圧パルスの高さは、有感領域8に沈着したエネルギーに比例するためエネルギーの単位(MeV)で示すことができる。ピーク23は、試料から放出した単一エネルギーのガンマ線が、ガンマ線9のように光電効果で、またはガンマ線12のように複数の相互作用を経由して、放射線検出器部の有感領域8に全エネルギーを沈着した場合にできるピークである。これを全吸収ピーク(全エネルギーピークとも呼ばれる)と呼ぶ。ガンマ線14のように、有感領域8で相互作用を起こしても、そのエネルギーの一部がガンマ線として有感領域外に飛んで行ってしまった場合等、ガンマ線の一部しか有感領域8に沈着しなかった場合は、全吸収ピーク23のエネルギーより小さいエネルギーで計数される。全吸収ピーク面積24とは、この全吸収ピーク23のバックグランド25を除いた計数である。バックグランド25の除き方は、数値演算の方法としてコベル法等が知られているが、目で見た感覚で除いても、ピークのベースが除かれていれば、どのような方法でもかまわない。
一般の試料中には、複数の放射性核種が含まれており、各放射性核種からは、単一で特有のエネルギーのガンマ線が放出される。また、1回の崩壊で複数個のエネルギーの違う単一エネルギーのガンマ線を放出する放射性核種も存在する原子核ライブラリーには、放射性核種から放出されるほぼ全てのガンマ線のエネルギーが開示されている。試料の測定で得られた全吸収ピークの横軸の位置から各ガンマ線のエネルギーが判明する。よって原子核ライブラリーから、各エネルギーのガンマ線を放出する放射性核種を探し出すことができ、核種同定がなされる。原子核ライブラリーでは、各放射性核種が、1回の崩壊で、そのエネルギーのガンマ線を放出する割合(以下、放出率と呼ぶ)も開示されている。
全吸収ピーク効率は、以下のようにして得ることができる。全吸収ピーク効率の単位は、カウント/ガンマ線である。放射能とは、放射性核種が1秒間に崩壊する数である。単位は、Bq(ベクレル)である。全吸収ピーク計数率とは、全吸収ピーク面積をライブタイム(実際に測定にかかった時間であるリアルタイムから、計数等の信号処理により測定していなかった時間であるデットタイムを引いた時間)で割った値である。全吸収ピーク計数率Nは、数1で与えられる。
Figure 0004903654
ここで、εは全吸収ピーク効率、Aは放射能、δは放出率である。σは、その他の全ての係数である。例えば、デッドタイム補正係数、パイルアップ補正係数等が含まれる。本発明では、σ=1として説明する。放出率は、前述のように原子核ライブラリー等で一般に開示されている。全吸収ピーク計数率Nが、標準線源の測定で得られれば、標準線源の放射能Aと放出率δが判っているので、数1を変形した数2より全吸収ピーク効率εを求めることができる。
Figure 0004903654
放射能が未知の試料の放射能を求めるには、試料の測定により全吸収ピーク計数率Nを出し、放出率δと標準試料の測定で得られた全吸収ピーク効率εから、数1を変形した数3により求めることができる。
Figure 0004903654
つまり、ゲルマニウム半導体放射線検出装置で放射能を定量する方法は、比較法である。あらかじめ放射能が判っている標準線源で測定して得られた全吸収ピーク計数率と放射能を求めたい未知の試料を測定して得られた全吸収ピーク計数率の比が、それぞれの放射能の比と同じであることを前提としている。
図4は、効率曲線を説明するための線図である。縦軸が全吸収ピーク効率、横軸がガンマ線エネルギーである。12個の○で示されている各ポイントは、実際に標準線源の測定で得られた全吸収ピーク効率である。一般の試料からは、標準線源から放出されないエネルギーのガンマ線も放出されるため、各ポイント間をある関数でフィッティング、スプライン、内そう、外そう等を行い線化し、任意のエネルギーにおける全吸収ピーク効率を算出できるようにしている。この曲線を効率曲線26と呼ぶ。効率曲線26は、表示、記録または演算装置に記憶され、目的とする放射線の量である放射能に換算するために用いられる。
試料から放出したガンマ線は、図2のガンマ線15のように試料内部やガンマ線16のように構成物で吸収されたりする。中には、ガンマ線13のように、何も相互作用を起こさずに放射線検出部を通り抜けてしまうものもある。このように、ガンマ線の輸送形態は、検出器と試料間の構成で決まる。前述の如く、ゲルマニウム半導体放射線検出装置による放射能の定量測定は、標準線源との比較法であるため、標準線源を用いて全吸収ピーク効率を測定する場合と同じ、線源(試料)と放射線検出部との位置関係、容器、構成物、組成等にしないと、ガンマ線の輸送過程が変わるとともに、全吸収ピーク効率が変わってしまい正確に見積もることができない。標準線源には、密度を1g/cm3に近いエポキシ樹脂、寒天、アルミナ粉等が用いられている。しかしながら、試料には、牛乳、海藻、松の葉、原子炉施設の配管中の水等があり、標準線源と密度、組成等が違っているため、正確に標準線源と試料の全吸収ピーク効率が一致しておらず、ここに定量誤差が生じている。また、標準線源に用いられている放射性核種の中には、半減期の短いものも含まれており、2〜3年に1回、新しい標準線源を購入し、古い標準線源を廃棄することが行なわれている。これは、極めてコストが高いという問題があった。さらに、配管を模擬した標準線源や金属中に放射性核種を均一に混入した標準線源は、その作製が極めて難しく、大掛かりとなり、コストも高いものであった。このような問題から、全吸収ピーク効率を、標準線源を用いずに計算により求める手法が近年注目されてきた。ガンマ線の相互作用には、レイレー(コヒーレント)散乱、光電効果、コンプトン(インコヒーレント)散乱、電子対生成が挙げられる。ほぼ全ての元素に対し、原子1個当たりの各相互作用断面積が開示されている。物質の組成、密度および相互作用断面積とから全線減弱係数を求めることができる。放射線検出部の全線減弱係数から円筒形内の有感領域で放射線が相互作用する確率を数学解析的に積分し、検出器効率を求める方法の一例が非特許文献2である。この方法は、計算にかかる時間は短いが、簡単な線源および放射線検出部のモデルでしか解けなかった。また、ガンマ線12のように有感領域8中で、複数回の相互作用による全エネルギーの沈着や、ガンマ線14のように2次放射線の放射線検出部外への飛散など対応することができず、正確ではなかった。この他、ガンマ線の各種輸送計算が行なわれてきたが、その汎用性の無さ、理論の複雑さから、一部の専門家の間でしか行なわれていなかった。
近年、汎用モンテカルロコードが普及し、またパーソナルコンピュータの計算速度が向上したことから、モンテカルロ法による放射線のシミュレーションが容易にできるようになってきた。汎用モンテカルロコードとしては、EGSやMCNPをあげることができる。モンテカルロ法は、試料内でのガンマ線の発生から、消滅するまでのヒストリを、乱数で決定していくため、ガンマ線15やガンマ線16のように、試料内での吸収、測定系で吸収体となる構成物等による吸収や、ガンマ線12のような有感領域での複数回の相互作用を含めたエネルギーの沈着を計算することができる。よって、より正確な全吸収ピーク効率を計算で求められることが期待されている。
ゲルマニウム半導体放射線検出装置 図5は、マリネリ標準線源を設置してクローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の全吸収ピーク効率を実測する形態をモデル化した断面図である。マリネリ標準線源32は、円筒形で、中心軸に沿って、円筒形の窪みが形成されている。この窪みの中に、クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部1を挿入することにより、マリネリ標準線源32で発生したガンマ線が、クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部1の上面と側面から入射するようにしている。図6は、図5に示した形態で実測したマリネリ標準線源の実測全吸収ピーク効率を内そうした効率曲線33と、メーカーのカタログで開示されているクローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部1の構成および寸法からMCNPで計算したカタログ計算全吸収ピーク効率を内そうした効率曲線34とを比較した線図である。カタログ計算全吸収ピーク効率は、メーカーが開示している2つのコントクトの厚さを不感層の厚さとして計算を行った。縦軸が全吸収ピーク効率、横軸がガンマ線エネルギーである。図6に示すように、カタログ計算全吸収ピーク効率34は、マリネリ標準線源の実測全吸収ピーク効率33より全体的に極めて大きな値となった。
そこで、我々は、何が原因で、計算結果が実測結果より極めて大きくなったかを一つ一つ検討を行なった。要因としては、MCNPで採用しているガンマ線の相互作用断面積、メーカーが開示しているマリネリ標準線源32、クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部1の構成物の素材、比重、寸法等の情報等が実際とは違う等、さまざま考えられた。
モンテカルロシミュレーション計算を行う際には、メーカーの情報にもとづいてクローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部1やマリネリ標準線源32等を図5のように簡略したモデリング化を行っている。しかし、これら構成物の素材的情報が、多少違っていても、また、モデル化により実際と形状が多少違っていても、それらが主要因で、このように大きく計算と実測全吸収ピーク効率の違いがでてくるとは考えにくかった。また、計算で用いられている相互作用断面積も信頼できるものであった。このような様々な検討を行なった結果、メーカーが開示している2つのコントクトの厚さを不感層の厚さとするのではなく、「2つのコンタクト部分に対応して形成される不感層の厚さを、放射線を用いて決定する」こと、つまり、第1のコンタクトに対応して形成される不感層の厚さのみならず、第2のコンタクトに対応して形成される不感層を含めた、各不感層の厚さを、何らかの方法で決定する必要がると言うことが判った。また、一般に厚さを測定する方法としては、破壊検査と非破壊検査がある。破壊検査方法としては、SIMS、Auger分光分析等、スパッタ法で表面から掘り下げる方法、SEMやFIB等による断面作製後に分析する方法等があげられる。これら、破壊検査においては、検査後の放射線検出部は、破壊されているため使用不能になる。そこで、我々は、放射線を用いて、まさに、この放射線を検査対象の放射線検出装置で実測することと、計算によって、その放射線検出部の不感層の厚さを決定する方法を提案するものである。放射線を用いた本発明の方法は、非破壊検査であり、放射線測定と計算で決定するため、放射線検出部の使用は検査後も可能である。
以下に、コンタクトと不感層の違いにいて述べる。
ガンマ線は、一般に原子番号が大きいほど、また密度が大きいほどその物質と相互作用する確率が高い。測定系の構成物の中で、ゲルマニウム結晶は、原子番号が大きい部類に入り、この形状の変化は、全吸収ピーク効率の計算に大きく影響を与えるはずである。通常、測定系は、検出効率を高くするために、試料からのガンマ線を測定系の構成物による減衰をできるだけ少なくしてゲルマニウム結晶に入射させる構成になっている。
クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の2つのコンタクトは、その作製方法が異なるが故に厚さも違っていると考えられる。メーカーのカタログでは、クローズドエンド型の第1のコンタクト3は、リチウムをゲルマニウム結晶内に拡散して作製しており、厚さ約600μmと記載されている。また、クローズドエンド型の第2のコンタクト4は、ホウ素をイオンインプランテェィションして作製しており、厚さは約0.3μmと記載されている。各コンタクトは、上記形成の方法から、キャリアが大量にあり高い電気伝導度をもっている。このため、高圧電源を第1のコンタクトに印加したとしても、コンタクト内は、電場が無く同電位で有ると考えられる。各コンタククトに放射線が入射し、相互作用してエネルギーをコンタクトに沈着した場合、電子とホールは、生成されるが、電場が無いため、生成された電子とホールは、移動できず、またコンタクト内のキャリアと再結合したりしてコンタクトから取り出せない。よって、キャリアが大量にある部分は放射線に不感であると考えられる。ゲルマニウム半導体放射線検出装置で取り出せる電荷は、、有感領域で発生した電子やホールが、有感領域で移動する際、コンタクトに発生する誘導電荷である。
拡散やイオンインプランテェィションでゲルマニウム結晶に注入されたリチウムやホウ素は、ゲルマニウム結晶表面付近は濃度が濃く、表面から深くなるにつれて濃度が薄くなると考えられる。リチウムやホウ素により生成されるキャリアの濃度も、同様な分布を形成していると考えられる。よって、“コンタクトの厚さ”を定義するのは、極めて難しい。
しかしコンタクトの機能が無いと、(誘導)電荷の収集ができないためゲルマニウム半導体放射線検出装置による放射線計測はできない。本発明におけるコンタクトの意義は、「電荷を取り出す機能を持ったもの」が存在することにある。ゲルマニウム結晶内にコンタクトが形成されると同時にこのコンタクトに対応して、上述の如く、放射線に不感となる層つまり不感層が形成される。注目すべきことは、上述の如くコンタクトと不感層は、その機能が違うということである。よって、コンタクトの厚さと不感層の厚さは、本来別々なものとして捉えるべきものであるということである。また、正確には本発明の特徴とするところは、“コンタクトの厚さ”ではなく、“不感層の厚さ”に関するものであるということである。
不感層の厚さは、本発明の「全吸収ピーク効率を計算する方法」に大きく影響を及ぼす。図7は、Am−241、Co−60から放出する60keV、1.33MeVのガンマ線の、ゲルマニウム中の透過率を計算した例を示す線図である。縦軸が透過率、横軸がゲルマニウムの厚さである。符号35で示す実線は、60keVガンマ線の透過率曲線である。透過率曲線35より、60keVのガンマ線が半分透過するゲルマニウムの厚さは約0.6mmで、7mmの厚さがあれは殆ど透過しないことが判る。このように、ガンマ線のエネルギーが低く、図5の第1の電極3に対応する不感層の厚さが厚い場合、ガンマ線が不感層を透過せず、有感領域8で計数されないことも考えられる。符号36で示す破線は1.33MeVガンマ線の透過率曲線である。透過率曲線36より、1.33MeVのガンマ線が半分透過するゲルマニウムの厚さは約26mmで、100mmの厚さがあっても1割程度は透過することが判る。このようにガンマ線のエネルギーが高い場合、ゲルマニウム結晶全体で相互作用する。ゲルマニウム結晶内で不感層が厚い場合、不感層以外の有感領域8の体積が小さくなるため、全吸収ピーク効率が小さくなることも考えられる。
メーカーのカタログでは、前述のようにコンタクトの厚さを記載している。図6のカタログ計算全吸収ピーク効率34では、カタログで記載された“コンタクトの厚さ”を、本来違うものとして捉えるべき“不感層の厚さ”として計算を行なっいた。前述の、コンタクト、不感層とゲルマニウムに対するガンマ線の透過率の考察から、不感層の厚さが、カタログ記載のコンタクトの厚さと大きく違うことが、図6での計算と実測で全吸収ピーク効率が大きく違う主要因であると考えた。
図8は、本発明で用いた放射線検出装置の構成を示すブロック図である。試料54から放出された放射線55は放射線検出部56内の有感領域で相互作用して信号が発生する。放射線検出部56には、信号を得るために高圧電源5が接続されている。得られた信号は、前置増幅器57、主増幅器58を通して増幅され、計数器(マルチチャンネル波高分析器)59に接続して計数される。計数器から得られた計数は、換算部60に接続され実測による検出効率演算部61からの検出効率または換算係数により測定の目的とする放射線の量に換算される。放射線検出装置の効率校正は、試料の代わりに標準線源54を用いて計測し、計数器(マルチチャンネル波高分析器)59から得られた計数は、実測による検出効率演算部61に接続され検出効率または換算係数が演算さるとともに、検出効率または換算係数を表示、記録または演算装置63に記憶される。一方、計算による検出効率演算部62により、モンテカルロ法等により検出効率または換算係数が計算されとともに、検出効率または換算係数を表示、記録または演算装置63に記憶される。試料54の測定で得られた計数は、換算部60に接続され計算による検出効率演算部62からの検出効率または換算係数により測定の目的とする放射線の量に換算される。換算部60、実測による検出効率演算部61および計算による検出効率演算部62は、一つの演算装置例えばパーソナルコンピュータで行っても良いし、個別の演算装置で行ってもかまわない。
図9に基づいて、実施例1の構成を説明する。所定の物性値が既知の標準線源である第1の標準線源を用いて第1の全吸収ピーク計数率の測定64を行い、前記第1の全吸収ピーク計数率の測定64値から第1の実測全吸収ピーク効率の算出65を行う。次に前記第1の不感層の厚さを一つ以上仮定して、前記第1の全吸収ピーク計数率測定の構成をモデル化し、第1の計算全吸収ピーク効率の算出66をモンテカルロ法等で行う。前記第1の実測全吸収ピーク効率の算出65値と前記第1の計算全吸収ピーク効率の算出66値を比較して第1の不感層の厚を決定67する。さらに、第2の標準線源を用いて第2の全吸収ピーク計数率の測定68を行い、前記第2の全吸収ピーク計数率の測定68値から第2の実測全吸収ピーク効率の算出69を行う。次に前記第2の不感層の厚さを一つ以上仮定して、前記第2のガンマ線の全吸収ピーク計数率測定の構成をモデル化し、第2の計算全吸収ピーク効率の算出70をモンテカルロ法等で行う。前記第2の実測全吸収ピーク効率の算出69値と前記第2の計算全吸収ピーク効率の算出77値を比較して第2の不感層の厚を決定71する。前記第1の不感層の厚さを決定67した値と前記第2の不感層の厚さを決定71した値を取り入れて、前記放射線検出装置により、任意の線源から発生するガンマ線を計数する構成をモデル化してモデル化全吸収ピーク効率の算出72を行う。前記モデル化全吸収ピーク効率を表示、記録または演算装置に記憶73することで放射線検出装置の効率校正が終了する。
図10は、実施例1に係る、第1の不感層と第2の不感層の厚さを決定するための測定系におけるクローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置と第1または第2の標準線源をモデル化した断面図である。図10に示す如く、クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部1の円筒軸上に、Am−241を第1の標準線源として符号37の位置に設置し、Am−241の放射性核種から放出される60keVのガンマ線を第1のガンマ線とし、第1の全吸収ピーク計数率の測定を行なった。統計誤差を1%以下にするために、第1のガンマ線の全吸収ピーク面積の計数を10000以上にすることが望ましい。Am−241の60keVガンマ線放出率は、0.36である。また、半減期は、432.2年である。この半減期と標準線源37の購入時に添付されている検定日と放射能から測定時における放射能を算出する。測定時における放射能、全吸収ピーク計数率、放出率から数2を用い、第1の実測全吸収ピーク効率を算出した。
実施例1では、第1の標準線源としてAm−241標準線源を用い、第1のガンマ線のエネルギーとして60keVを利用したが、クローズドエンド型の第2のコンタクトの先端38まで殆ど透過しないガンマ線のエネルギーであれば、どのエネルギーのガンマ線を第1のガンマ線とし、どの標準線源を第1の標準線源として用いてもかまわない。また、第1の標準線源から放出したガンマ線がゲルマニウム結晶上面39以外からゲルマニウム結晶2に入射しない位置ならば、第1の標準線源は、何処に設置してもよく、また標準点線源以外でも標準面線源、標準体積線源であってもかまわない。第1の標準線源の放射能が、小さかったり、ゲルマニウム半導体放射線検出装置から遠い位置に設置されたりすると、計数率が小さく、統計精度1%以下、すなわち全吸収ピーク面積の計数を10000以上にするのに測定時間がかかる。このような場合、25cmよりも近い位置に第1の標準線源を設置してもかまわない。また、逆に第1の標準線源の放射能が大きいため、計数率が大きく、デッドタイムが大きくなり、ピークパイルアップやサムピークが計数される場合、全吸収ピーク面積に計数されるべき計数が計数されずに、どこかのエネルギーで計数されてしまうため、第1の標準線源を25cmよりも遠い位置に設置してもかまわない。
実施例1で用いたゲルマニウム結晶2の形状は、直径52.0mm、長さ38.4mm、ゲルマニウム結晶上面39からクローズドエンド型の第2のコンタクトの穴の先端38までの距離は、27.8mmである。Am−241から放出する60keVガンマ線がゲルマニウム結晶上面39に入射した場合、まず第1の不感層40に突入する。もし第1の不感層の厚さが0.6mmであれば、ガンマ線が、相互作用を起こさずに不感層を通り過ぎ有感領域8に到達できる確率は、約50%である。そして、6から7mm程度の深さで、全てのガンマ線が何らかの相互作用を起こすことになる。つまり、60keVのガンマ線を第1のガンマ線とした第1の標準線源で得られた実測全吸収ピーク効率は、第1の不感層40の厚さに敏感に影響される。実際に得られた、第1の実測全吸収ピーク効率は、5.79E−4カウント/ガンマ線であった。
図11は、第1の不感層の厚さを一つ以上仮定して、60keVの第1の計算全吸収ピーク効率を算出し、その計算結果から、実測全吸収ピーク効率5.79E−4カウント/ガンマ線となる第1の不感層40の厚さを決定した例を示す線図である。図11においては、X軸を第1の不感層の厚さ、Y軸を計算による全吸収ピーク効率としたが、X軸とY軸を入れ替えて描いてもかまわない。計算に使用した汎用モンテカルロコードは、MCNP−4Cである。その他EGS−4等のコードを用いてもよい。図11のプロット(図中の8個の○)は、仮定した8種類の第1の不感層40の厚さで全吸収ピーク効率の計算を行なった値である。第2の不感層41の厚さは、評価できていないので、とりあえずカタログ記載のコンタクトの厚さ0.3μmとした。プロットした点を結ぶ右下がりの曲線は、5次の多項式で計算全吸収ピーク効率をフィッティングしたものである。この曲線は、各プロットにほぼ一致していれば、内そう、外そう、スプライン、スムージング等どの線を用いてもかまわない。この曲線から第1の不感層の厚さを決定した。実際に測定で得られた第1の実測全吸収ピーク効率が5.79E−4カウント/ガンマ線であり、この曲線上、実測全吸収ピーク効率が一致する第1の不感層の厚さは、1090μmと決定された。上述では、60keVのガンマ線を用いて第1の不感層40の厚さを決定する手段について述べたが、ガンマ線のエネルギーが高い場合、クローズドエンド型の第2のコンタクトの穴の先端38に達する確率も多くなる。このため、ゲルマニウム結晶の形状によるが第1のガンマ線は、200keV以下の低エネルギーガンマ線を使用するのが望ましい。
次にCo−60を第2の標準線源とし、第1の標準線源と同じ位置に設置した場合を考察する。放射性核種Co−60からは、1.33MeVのガンマ線が放出される。このガンマ線を第2のガンマ線とする。第2のガンマ線がゲルマニウム結晶上面39に入射した場合、上面から約26mmの深さまでで約50%が何らかの相互作用を起こし、約36%が何も相互作用を起こさずにゲルマニウム結晶を通り過ぎる。つまり、第2のガンマ線は、ゲルマニウム結晶2の体積全体で相互作用を起こす。このため、第2のガンマ線の全吸収ピーク効率は、第2の不感層41の厚さの変化による有感領域8の体積の変化に影響される。第2の標準線源を用いて実際に測定で得られた第2の実測全吸収ピーク効率は、1.86E−4カウント/ガンマ線であった。
次に、第1の不感層40の厚さを前述で得られた1090μmとし、第2の不感層41の厚さのみを変えて、第2のガンマ線の第2の全吸収ピーク効率を算出した。図12は、第2の不感層の厚さを決定した例を示す線図である。縦軸は全吸収ピーク効率、横軸は第2の不感層の厚さである。○が16個あるように、16種類の不感層の厚さで、計16回計算している。前述の第1の不感層40を見積もった場合と同様に第2の不感層41の厚さを見積もった。実測全吸収ピーク効率1.86E−4カウント/ガンマ線となる第2の不感層41の厚さは、2530μmと決定された。この例では、1.33MeVのガンマ線を第2のガンマ線として用い、第2の不感層41の厚さを決定する手段について述べたが、第2のガンマ線のエネルギーが低い場合、ゲルマニウム結晶の下面42まで届かず、中間で殆ど相互作用してしまう確率も多くなる。このため、ゲルマニウム結晶の形状によるが第2のガンマ線は、100keV以上の高エネルギーガンマ線を使用するのが望ましい。
実施例1では、エネルギーの低い第1のガンマ線を用いて、クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の2つのコンタクトの内、ガンマ線が入射する側の第1の不感層の厚さを見積もり、エネルギーの高い第2のガンマ線を用いて、ガンマ線が有感領域8を透過して抜ける側の第2の不感層の厚さを決定した。よって、その透過性から少なくとも第1のガンマ線は、第2のガンマ線より低いエネルギーのガンマ線であることが望ましい。
図13は、上述の手法により決定された第1の不感層と第2の不感層の厚さを用いて、図5に示す任意の形態の試料の代表とされるマリネリ標準線源32での体系で計算した実施例1のモデル化全吸収ピーク効率と、マリネリ標準線源の実測全吸収ピーク効率と、第1の不感層と第2の不感層の厚さをカタログ記載のコンタクトの厚さとして計算したカタログ計算全吸収ピーク効率との3つの結果を比較して示した線図である。縦軸が全吸収ピーク効率、横軸がガンマ線エネルギーである。符号43で示される一点鎖線がマリネリ標準線源での体系で計算した実施例1のモデル化全吸収ピーク効率を内そうした効率曲線であり、符号33で示される実線がマリネリ標準線源の実測全吸収ピーク効率を内そうした効率曲線であり、符号34で示される破線が第1の不感層と第2の不感層の厚さをカタログ記載のコンタクトの厚さで計算したカタログ計算全吸収ピーク効率を内そうした効率曲線である。図13に示されるように、実施例1のモデル化全吸収ピーク効率43は、カタログ計算全吸収ピーク効率34に比べ、実測全吸収ピーク効率33に近い曲線になっていることが判る。このようにして得られたモデル化全吸収ピーク効率の効率曲線は、目的とする放射線の量に換算するために、表示、記録または演算装置に記憶される。
図14に基づいて、実施例2の構成について説明する。前記放射線検出装置内にある放射線検出部が円筒形であり、前記第1のコンタクトは前記円筒形の筒部と一方の端面に上部を有し他方の底部が開口された形状であり、
前記放射線検出部は、前記第1のコンタクトの前記上部により形成された第3の不感層と前記第1のコンタクトの前記円筒形の筒部により形成された第4の不感層を備え、
前記第1の全吸収ピーク計数率の測定64ステップは、第3の標準線源を用いて、前記放射線検出装置により、前記第3の標準線源から発生する第3のガンマ線の全吸収ピーク計数率を測定する第3の全吸収ピーク計数率の測定74ステップと、第4の標準線源を用いて、前記放射線検出装置により、前記第4の標準線源から発生する第4のガンマ線の全吸収ピーク計数率を測定する第4の全吸収ピーク計数率の測定75ステップとからなり、
前記第1の実測全吸収ピーク効率の算出65ステップは、前記第3の全吸収ピーク計数率を用いて第3の実測全吸収ピーク効率の算出76ステップと、前記第4の全吸収ピーク計数率を用いて第4の実測全吸収ピーク効率の算出77ステップとからなり、
前記第1の計算全吸収ピーク効率の算出66ステップは、前記第3の不感層の厚さを一つ以上仮定して、前記第3のガンマ線の全吸収ピーク計数率測定の構成をモデル化し、第3の全吸収ピーク効率の計算値を求める第3の計算全吸収ピーク効率の算出78ステップと、前記第4の不感層の厚さを一つ以上仮定して、前記第4のガンマ線の全吸収ピーク計数率測定の構成をモデル化し、第4の全吸収ピーク効率の計算値を求める第4の計算全吸収ピーク効率の算出79ステップとからなり、
前記第1の不感層の厚さを決定67するステップは、前記第3の実測全吸収ピーク効率と前記第3の計算全吸収ピーク効率を比較して第3の不感層の厚さを決定80するステップと、前記第4の実測全吸収ピーク効率と前記第4の計算全吸収ピーク効率を比較して第4の不感層の厚さを決定81するステップからなることとした。
第2の不感層の厚さを決定71するステップとモデル化全吸収ピーク効率の算出72ステップと表示、記録または演算装置に記録73するステップは、実施例1と同様に行った。
図15は、実施例2に係る、第1の不感層を、第3の不感層と第4の不感層の領域に分ける場合について説明するためのクローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置と2つの標準線源をモデル化した断面図である。
まず、図10の第1の不感層40の領域を、図15に示すように、円筒形のゲルマニウム結晶2の端面に対応して第3の不感層46と、側面に対応して第4の不感層47とに区分する。
次に、実施例1の第1の不感層の厚さを決定する決定する場合と同様に、クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部1の円筒軸上、25cmの位置に、Am−241の第3の標準線源44を設置した。Am−241からは、60keVのガンマ線が発生する。この第3の標準線源から放出されるガンマ線を第3のガンマ線とする。クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部1は、実施例1と同じものを用いた。得られた第3の全吸収ピーク計数率と放出率から数3で第3の実測全吸収ピーク効率を算出した。得られた第3の実測全吸収ピーク効率は、5.79E−4カウント/ガンマ線と実施例1と同じとなった。
MCNP−4Cを用いて幾つかの第3の不感層46の厚さで第3の全吸収ピーク効率の算出を行なった。この計算では、第4の不感層47と、第2の不感層41の厚さは、評価されていないので、カタログ記載のコンタクトの厚さ0.6mm、0.3μmとした。
図16は、実施例2に係る、第3の不感層の厚さを変えて算出した第3の計算全吸収ピーク効率と、第3の実測全吸収ピーク効率とから、第3不感層の厚さを決定する決定するための線図である。縦軸が全吸収ピーク効率、横軸が第3の不感層の厚さである。○が8個あるので、8種類の不感層の厚さで計8回計算している。図16の曲線と第3の実測全吸収ピーク効率から決定された第3の不感層46の厚さは、1090μmとなり、実施例1と同じ結果となった。
図15に示すように、クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部1の側面から20cmの位置にAm−241の第4の標準線源45を設置した。Am−241からは、60keVのガンマ線が発生する。この第4の標準線源から放出されるガンマ線を第4のガンマ線とする。Am−241の60keVのガンマ線を使用しなくても、第2のコンタクトの側面まで殆ど透過しないガンマ線のエネルギーであれば、どのエネルギーのガンマ線を第4のガンマ線とし、どの標準線源を第4の標準線源として用いてもかまわない。また、標準線源から放出したガンマ線がゲルマニウム結晶の側面48以外からゲルマニウム結晶2に入射しない位置ならば、標準線源は、何処に設置してもよく、また標準点線源以外でも標準面線源、標準体積線源であってもかまわない。クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部1の側面からの距離を、20cmより遠くても、近くてもかまわない。
第4の実測全吸収ピーク効率を得るために、第4の全吸収ピーク計数率の測定を行った。測定時における放射能、第4の全吸収ピーク計数率、放出率から数3で第4の実測全吸収ピーク効率を算出した。次に、MCNP−4Cを用いて、幾つかの第4の不感層47の厚さで第4の計算全吸収ピーク効率の算出を行った。この計算では、第3の不感層46の厚さは、先で見積もられた1090μmとし、第2の不感層41の厚さは、カタログ記載のコンタクトの厚さ0.3μmとした。
図17は、実施例2に係る、第4の不感層の厚さを変えて算出した第4の計算全吸収ピーク効率と、第4の実測全吸収ピーク効率とから、第4の不感層の厚さを決定する算出するための線図である。縦軸が全吸収ピーク効率、横軸が第4の不感層の厚さである。○が8個あるので、8種類の不感層の厚さで計8回計算している。この曲線から第4の不感層の厚さを決定した。実測全吸収ピーク効率が4.09E−4カウント/ガンマ線であったので、決定された第4の不感層47の厚さは、1440μmとなった。
次に、第2の不感層41の厚さを、実施例1と同様に、第2のガンマ線を発生する第2の標準線源を用いて決定した。第3の不感層46と第4の不感層47の厚さは、上述で得られた、1090μm、1440μmを用いた。
図18は、実施例2に係る、第2の不感層の厚さを変えて算出した第2の計算全吸収ピーク効率と、第2の実測全吸収ピーク効率とから、第2の不感層の厚さを決定するための線図である。縦軸が全吸収ピーク効率、横軸が第2の不感層の厚さである。○が17個あるので、17種類の不感層の厚さで計17回計算している。1.33MeVでの実測全吸収ピーク効率は1.86E−4カウント/ガンマ線なので、見積もられた第2の不感層41の厚さは、1910μmであった。
実施例2では、エネルギーの低い第3のガンマ線を用いて第3の不感層の厚さを、エネルギーの低い第4のガンマ線を用いて第4の不感層の厚さを見積もり、エネルギーの高い第2のガンマ線を使用して、第2の不感層を見積もった。第3のガンマ線と第4のガンマ線は、同じエネルギーであってもかまわないが、第3と第4のガンマ線は、第2のガンマ線よりエネルギーが低い方が各不感層の厚さを精度よく決定することができる。
次に、上述のようにして得られた、第3の不感層46、第4の不感層47と第2の不感層41の厚さ、1090μm、1440μmと1910μmを用いて、任意の形態の試料の代表としてマリネリ標準線源を用いたモデル化計算全吸収ピーク効率を計算した。
図19は、上述の手法により見積もられた第3の不感層と第4の不感層と第2の不感層の厚さを用いて、図5に示す任意の形態の試料の代表とされるマリネリ標準線源での体系で計算した実施例2のモデル化計算全吸収ピーク効率と、実測による実測全吸収ピーク効率と、実施例1で得られたモデル化計算全吸収ピーク効率と、カタログ記載のコンタクトの厚さで計算したカタログ計算全吸収ピーク効率の4つの結果を比較して示した線図である。縦軸が全吸収ピーク効率、横軸がガンマ線エネルギーである。符号49で示される一点鎖線が実施例2のモデル化計算全吸収ピーク効率を内そうした効率曲線であり、符号33で示される実線がマリネリ標準線源の実測全吸収ピーク効率を内そうした効率曲線であり、符号43で示される破線が実施例1でのモデル化計算全吸収ピーク効率を内そうした効率曲線であり、符号34で示される点線がカタログ計算全吸収ピーク効率を内そうした効率曲線である。図19に示されるように、実施例2の計算全吸収ピーク効率49は、実施例1での計算全吸収ピーク効率43に比べ、実測全吸収ピーク効率33に近い曲線になっていることが判る。また、図19のピーク位置における実測全吸収ピーク効率33との差を比較すると、実施例1と実施例2で得られた、本発明の計算全吸収ピーク効率(符号43と符号49)は、カタログ計算全吸収ピーク効率34と比較し、その差が約50%以上小さく改善されておることが判る。
図20は、実施例3に係る、第5の不感層と第6の不感層の厚さを決定するための測定系におけるプレーナー型ゲルマニウム半導体放射線検出部の結晶部分と標準線源のモデルの例を示す断面図である。
プレーナー型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の場合、図22のプレーナー型の第1のコンタクト27に対応する第5の不感層50は、第5の標準線源52を用い、第5のガンマ線を入射させ、実測全吸収ピーク効率を測定し、この測定の体系での計算全吸収ピーク効率を算出して、実測と計算の全吸収ピーク効率を比較することで、実施例1のように、第5の不感層50の厚さを決定することができる。また、プレーナー型の第2のコンタクト28に対応する第6の不感層51は、第6の標準線源53を用い、第6のガンマ線を入射させ、実測全吸収ピーク効率を測定し、この測定の体系での計算全吸収ピーク効率を算出して、実測と計算の全吸収ピーク効率を比較することで、実施例1のように、不感層51の厚さを決定することができる。この場合、第5と第6のガンマ線は、実施例1の第1の不感層を決定する場合と同じように、符号50と符号51の不感層がガンマ線の入射する側にあるため、低いエネルギーであることが望ましい。
また、片方の不感層側にのみに、例えば、図19の標準線源52の位置に、2種類の第7と第8の標準線源を用い、第7と第8のガンマ線の放射線を入射させ、実測全吸収ピーク効率を測定し、この測定の体系での計算全吸収ピーク効率を算出して、実測と計算の全吸収ピーク効率を比較することで、第50と第51の不感層の厚さを決定することができる。つまり、実施例1の第1と第2の不感層の厚さを、第1と第2の標準線源とガンマ線を用いた場合と同様ように行なえばよい。この場合、実施例1と同様に、第50の不感層は、ガンマ線が入射する側にあり、第51の不感層は、ガンマ線が有感領域8を透過して抜ける側にあるため、少なくとも、第7のガンマ線は、第8のガンマ線よりエネルギーが低い方が望ましい。
本実施例の計算全吸収ピーク効率を用いた放射線検出装置およびその校正方法については、最良の形態で説明したものと同様である。
実施例1乃至3に示した如く、本発明によれば各不感層の厚さを、実測と計算により迅速に決定することができ、さらにゲルマニウム半導体放射線検出装置おける任意の形状試料の全吸収ピーク効率を、正確に計算することができ、これを用いた校正を行うことにより、測定精度の高い放射線検出器装置を提供できる。ゲルマニウム半導体放射線検出装置以外の放射線検出装置においても、不感層が存在する放射線検出装置の場合、本発明により不感層の厚さを正確に決定することで、計算による精度の高い効率校正ができる。さらに、試料と放射線検出部の間に、厚さの不明な吸収体が存在する場合においても、本発明の不感層の厚さを決定する手法を用いることによって、該吸収体の厚さを正確に決定することができ、計算による精度の高い効率校正ができることは明白である。
試料をゲルマニウム半導体放射線検出装置を用いて測定したスペクトルの例を示す線図である。 クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置を用いた放射能測定の概念図である。 スペクトルの内、ピーク部分を拡大して示す線図である。 効率曲線を説明するための線図である。 マリネリ標準線源を設置してクローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の全吸収ピーク効率を実測する形態をモデル化した断面図である。 ゲルマニウム半導体放射線検出装置の実測全吸収ピーク効率と、メーカーから開示されているゲルマニウム半導体放射線検出装置の構成および寸法からMCNPで計算した計算全吸収ピーク効率とを比較した線図である。 Am−241、Co−60から放出する60keV、1.33MeVのガンマ線の、ゲルマニウム中の透過率を計算した例を示す線図である。 本発明で用いた放射線検出装置の構成を示すブロック図である。 実施例1の構成図である。 実施例1に係る、第1の不感層と第2の不感層の厚さを決定するための測定系におけるクローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置と第1または第2の標準線源37をモデル化した断面図である。 実施例1に係る、第1の不感層の厚さを一つ以上仮定して、60keVの第1の計算全吸収ピーク効率を算出し、その計算結果から、実測全吸収ピーク効率となる第1の不感層の厚さを決定した例を示す線図である。 実施例1に係る、第2の不感層の厚さを決定した例を示す線図である。 実施例1に係る、モデル化全吸収ピーク効率と、実測全吸収ピーク効率と、カタログ計算全吸収ピーク効率との3つの結果を比較して示した線図である。 実施例2の構成図である。 実施例2に係る、第1の不感層を、第3の不感層と第4の不感層の領域に分ける場合について説明するためのクローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置と2つの標準線源をモデル化した断面図である。 実施例2に係る、第3の不感層の厚さを変えて算出した第3の計算全吸収ピーク効率と、第3の実測全吸収ピーク効率とから、第3不感層の厚さを決定する決定するための線図である。 実施例2に係る、第4の不感層の厚さを変えて算出した第4の計算全吸収ピーク効率と、第4の実測全吸収ピーク効率とから、第4の不感層の厚さを決定する算出するための線図である。 実施例2に係る、第2の不感層の厚さを変えて算出した第2計算全吸収ピーク効率と、第2の実測全吸収ピーク効率とから、第2の不感層の厚さを決定するための線図である。 実施例2に係る、実施例2のモデル化計算全吸収ピーク効率と、実測による実測全吸収ピーク効率と、実施例1で得られたモデル化計算全吸収ピーク効率と、カタログ計算全吸収ピークの4つの結果を比較して示した線図である。 実施例3に係る、第5の不感層と第6の不感層の厚さを決定するための測定系におけるプレーナー型ゲルマニウム半導体放射線検出部の結晶部分と標準線源のモデルの例を示す断面図である。 非特許文献3のFigure1.をモデル化した図である。 幾つか円筒形ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部をモデル化した上面図と断面図である。
符号の説明
1 クローズドエンド型ゲルマニウム半導体放射線検出装置の放射線検出部
2 ゲルマニウム結晶
3、27、29 第1のコンタクト
4、28、30 第2のコンタクト
5 高圧電源
6 電荷型前置増幅器
7 電圧パルス
8 有感領域
9 ガンマ線の経路の例1
10 帰還コンデンサー
11 帰還抵抗
12 ガンマ線の経路の例2
13 ガンマ線の経路の例3
14 ガンマ線の経路の例4
15 ガンマ線の経路の例5
16 ガンマ線の経路の例6
17 コンタクトピン
18 クリスタル カップ
19 エンドキャップ
20 真空
21 試料
22 構成物
23 全吸収ピーク
24 全吸収ピーク面積
25 バックグランド
26 効率曲線
31 同軸型の端面
32 マリネリ標準線源
33 マリネリ標準線源の実測全吸収ピーク効率を内そうした効率曲線
34 カタログ計算全吸収ピーク効率を内そうした効率曲線
35 ゲルマニウム中の60keVガンマ線の透過率曲線
36 ゲルマニウム中の1.33MeVガンマ線の透過率曲線
37 第1または第2の標準線源
38 クローズドエンド型の第2のコンタクトの先端
39 ゲルマニウム結晶上面
40 第1の不感層
41 第2の不感層
42 ゲルマニウム結晶の下面
43 実施例1のモデル化計算全吸収ピーク効率を内そうした効率曲線
44 第3の標準線源
45 第4の標準線源
46 第3の不感層
47 第4の不感層
48 ゲルマニウム結晶の側面
49 実施例2のモデル化計算全吸収ピーク効率を内そうした効率曲線
50 第5の不感層
51 第6の不感層
52 第5の標準線源
53 第6の標準線源
54 試料または標準線源
55 放射線
56 放射線検出部
57 前置増幅器
58 主増幅器
59 計数器(マルチチャンネル波高分析器
60 換算部
61 実測による検出効率演算部
62 計算による検出効率演算部
63 演算装置
64 第1の全吸収ピーク計数率の測定
65 第1の実測全吸収ピーク効率の算出
66 第1の計算全吸収ピーク効率の算出
67 第1の不感層の厚を決定
68 第2の全吸収ピーク計数率の測定
69 第2の実測全吸収ピーク効率の算出
70 第2の計算全吸収ピーク効率の算出
71 第2の不感層の厚さを決定
72 モデル化全吸収ピーク効率の算出
73 表示、記録または演算装置に記憶
74 第3の全吸収ピーク計数率の測定
75 第4の全吸収ピーク計数率の測定
76 第3の実測全吸収ピーク効率の算出
77 第4の実測全吸収ピーク効率の算出
78 第3の計算全吸収ピーク効率の算出
79 第4の計算全吸収ピーク効率の算出

Claims (4)

  1. 有感領域と、有感領域の中で放射線の相互作用により発生した電荷を取り出す第1のコンタクト及び第2のコンタクトと、第1のコンタクトにより形成され、放射線に不感である第1の不感層と、第2のコンタクトにより形成され、放射線に不感である第2の不感層とを有する放射線検出装置の効率校正方法であって、
    所定の物性値が既知の標準線源である第1の標準線源を用いて、効率校正対象の放射線検出装置により、前記第1の標準線源から発生する第1のガンマ線の全吸収ピーク計数率を測定する第1の全吸収ピーク計数率の測定ステップと、
    前記第1の全吸収ピーク計数率の測定値から第1の実測全吸収ピーク効率の算出ステップと、
    前記第1の不感層の厚さを一つ以上仮定して、前記第1のガンマ線の全吸収ピーク計数率測定の構成をモデル化し、第1の全吸収ピーク効率の計算値を求める第1の計算全吸収ピーク効率の算出ステップと、
    前記第1の実測全吸収ピーク効率と前記第1の計算全吸収ピーク効率を比較して第1の不感層の厚さを決定するステップと、
    第2の標準線源を用いて、効率校正対象の放射線検出装置により、前記第2の標準線源から発生する第2のガンマ線の全吸収ピーク計数率を測定する第2の全吸収ピーク計数率の測定ステップと、
    前記第2の全吸収ピーク計数率の測定値から第2の実測全吸収ピーク効率の算出ステップと、
    前記第2の不感層の厚さを一つ以上仮定して、前記第2のガンマ線の全吸収ピーク計数率測定の構成をモデル化し、第2の全吸収ピーク効率の計算値を求める第2の計算全吸収ピーク効率の算出ステップと、
    前記第2の実測全吸収ピーク効率と前記第2の計算全吸収ピーク効率を比較して第2の不感層の厚さを決定するステップと、
    決定された前記第1の不感層の厚さと前記第2の不感層の厚さを取り入れて、前記放射線検出装置により、任意の線源から発生するガンマ線を計数する構成をモデル化してモデル化全吸収ピーク効率の算出ステップと
    前記モデル化全吸収ピーク効率を表示、記録または演算装置に記憶ステップとを有することを特徴とする放射線検出装置の効率校正方法。
  2. 前記放射線検出装置内にある放射線検出部が円筒形であり、前記第1のコンタクトは前記円筒形の筒部と一方の端面に上部を有し他方の底部が開口された形状であり、
    前記放射線検出部は、前記第1のコンタクトの前記上部により形成された第3の不感層と前記第1のコンタクトの前記円筒形の筒部により形成された第4の不感層を備え、
    前記第1の全吸収ピーク計数率の測定ステップは、第3の標準線源を用いて、前記放射線検出装置により、前記第3の標準線源から発生する第3のガンマ線の全吸収ピーク計数率を測定する第3の全吸収ピーク計数率の測定ステップと、第4の標準線源を用いて、前記放射線検出装置により、前記第4の標準線源から発生する第4のガンマ線の全吸収ピーク計数率を測定する第4の全吸収ピーク計数率の測定ステップとからなり、
    前記第1の実測全吸収ピーク効率の算出ステップは、前記第3の全吸収ピーク計数率を用いて第3の実測全吸収ピーク効率の算出ステップと、前記第4の全吸収ピーク計数率を用いて第4の実測全吸収ピーク効率の算出ステップとからなり、
    前記第1の計算全吸収ピーク効率の算出ステップは、前記第3の不感層の厚さを一つ以上仮定して、前記第3のガンマ線の全吸収ピーク計数率測定の構成をモデル化し、第3の全吸収ピーク効率の計算値を求める第3の計算全吸収ピーク効率の算出ステップと、前記第4の不感層の厚さを一つ以上仮定して、前記第4のガンマ線の全吸収ピーク計数率測定の構成をモデル化し、第4の全吸収ピーク効率の計算値を求める第4の計算全吸収ピーク効率の算出ステップとからなり、
    前記第1の不感層の厚さを決定するステップは、前記第3の実測全吸収ピーク効率と前記第3の計算全吸収ピーク効率を比較して第3の不感層の厚さを決定するステップと、前記第4の実測全吸収ピーク効率と前記第4の計算全吸収ピーク効率を比較して第4の不感層の厚さを決定するステップからなることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置の効率校正方法。
  3. 前記第1乃至第4の不感層の厚さを決定するステップのいずれかまたは全てのステップは、前記それぞれの計算全吸収ピーク効率と前記仮定された不感層の厚さにより近似される関数を導出するステップと、前記近似された関数における前記第1乃至第4の実測全吸収ピーク効率全に対応する不感層の厚さを決定するステップを有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の放射線検出装置の効率校正方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の効率校正方法で効率校正した放射線検出装置。
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