JP4902278B2 - 予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料 - Google Patents

予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料 Download PDF

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Description

本発明は、予混合圧縮自己着火式エンジン用の燃料に関し、詳しくは、特に供給ソース多様化の観点からFT合成基材を含有し、予混合圧縮自己着火燃焼において優れた着火性を有し、エンジン出力並びにエンジン回転領域をできるだけ広げ、エンジン熱効率の向上を達成することができる予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料に関する。
今日、自動車用内燃機関としては、ガソリンを燃料とする火花点火式ガソリンエンジンと、軽油を燃料とする圧縮自己着火式ディーゼルエンジンの二種類が広く使用されている。
ガソリンと軽油は、その原料の大部分を原油に依存しているが、原油の需要は、自動車保有台数の増加等を背景に、増加を続けており、原油が有限な資源であることも考えると、自動車用燃料の供給ソースを多様化すること、すなわち、原油以外の資源からも自動車燃料を製造することや、原油から製造できる自動車用燃料の得率を向上させることが求められている。
火花点火式ガソリンエンジンは、吸気ポートあるいは燃焼室内に燃料を噴射して燃料と空気の予混合気を形成させ、スパークプラグによる電気放電で強制的に点火、燃焼させる方式であり、燃料特性として、蒸発しやすいこと、自己着火し難いこと、点火後は火炎伝播がスムーズに行われること等が求められる。火花点火式ガソリンエンジンにおいては、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)が排出されるため、これらの浄化に三元触媒等が広く使用されている。しかし、三元触媒による排出ガス浄化システムは、燃料と空気との割合が理論空燃比近傍になる範囲にしか適用できないため、圧縮自己着火式ディーゼルエンジンと比較すると熱効率、燃費が著しく劣るという欠点がある。
一方、圧縮自己着火式ディーゼルエンジンは、圧縮工程でのピストン上昇により燃焼室内の空気が圧縮されて温度が上昇し、軽油の臨界温度以上に達したところに燃料を噴霧し自己着火燃焼させる方式であり、燃料特性には自己着火しやすいことが求められる。圧縮自己着火式ディーゼルエンジンは、燃費及び熱効率面に優れるものの燃料噴霧を圧縮上死点前30クランク角度から圧縮上死点後10クランク角度付近で行うため、燃焼時の温度分布に濃淡が生じ、NOx及び煤の排出量が著しく高くなるという欠点がある。また圧縮自己着火式ディーゼルエンジンでは、排出ガス浄化のための触媒があまり普及しておらず、NOxが100〜1200質量ppmと非常に高いレベルで大気中に放出されるケースもある。
このように、従来の火花点火式ガソリンエンジンは、排出ガスの浄化はある程度できるが燃費や熱効率の面に課題があり、一方、圧縮自己着火式ディーゼルエンジンは、低燃費、高熱効率であるが、NOx等の排出ガスの面に課題がある。このため、低NOx排出ガス、低燃費及び高熱効率を同時に達成するという課題を解決すべく予混合圧縮自己着火式エンジンが現在検討されている。
予混合圧縮自己着火式エンジンは、燃料の噴射圧力レベルが20MPa以下と圧縮自己着火式ディーゼルエンジンにおける噴射圧力に比べると著しく低い燃料噴射圧力にて燃料を吸気ポート又は燃焼室内に噴射し、そのサイクルで燃焼する燃料噴射を圧縮上死点前60クランク角度以前に終了するシステムであって、燃料と空気との予混合気をスパークプラグによる強制点火ではなく、自己着火で燃焼させるエンジンである。予混合圧縮自己着火式エンジンは、従来の圧縮自己着火式ディーゼルエンジンに比べて燃料が噴射されてから燃焼の始まるまでの時間が長く、燃料が燃料室内で均一に混合されるため、燃焼時に局部的に温度の高い領域ができず、NOx排出レベルを触媒未装着状態で10質量ppm以下に抑えることが可能となり、かつ燃費及び熱効率を圧縮自己着火式ディーゼルエンジン並みの低燃費、高効率にすることが可能である。
このような予混合圧縮自己着火式エンジン用の燃料としては、燃料の揮発性指標およびセタン価、オクタン価等の既存のガソリンエンジン、ディーゼルエンジンの着火性指標に
着目した燃料が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また本発明者らも、予混合圧縮自己着火燃焼を効率よく行わせることができ、良好な性能を示す燃料をすでに数多く開発し特許出願を行っている(例えば、特許文献2〜13参照。)。
しかしながら、予混合圧縮自己着火燃焼における熱効率や燃費の面でさらに優れた燃料の開発が望まれている。
特開2004−315604号公報 特開2004−91657号公報 特開2004−91658号公報 特開2004−91659号公報 特開2004−91660号公報 特開2004−91661号公報 特開2004−91662号公報 特開2004−91663号公報 特開2004−91664号公報 特開2004−91665号公報 特開2004−91666号公報 特開2004−91667号公報 特開2004−91668号公報
本発明の目的は、自動車燃料供給ソースの多様化を可能にする、予混合圧縮自己着火燃焼において優れた着火性を有し、エンジン出力並びにエンジン回転領域をできるだけ広げ、エンジン熱効率の向上を達成することができる予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、特定の組成を有し、かつ特定の要件を具備する燃料が予混合圧縮自己着火式エンジンの燃料に適していることを見いだし、また、この燃料においては、幅広い炭素含有物質を原料とすることが可能なFT合成基材を配合することで燃料供給ソースの多様化が可能となることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、FT合成基材の留出温度範囲が25℃から210℃の留分の全部もしくはその一部を20〜100容量%含有し、以下の(a)、(b)、(c)および(d)を満足することを特徴とする予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料に関する。
(a)含有量が5容量%以下の炭化水素の合計含有量が30容量%以上
(b)リサーチ法オクタン価が60以上90未満
(c)下記式(1)で示されるHCCI Indexが20.98以上52.85以下
HCCI Index=MON−0.424×A−0.377×B−0.202×C−0.205×D (1)
(式(1)中、MONはモーター法オクタン価、Aはノルマルパラフィン含有量(容量%)、Bはイソパラフィン含有量(容量%)、Cはオレフィン含有量(容量%)、Dは芳香族含有量(容量%)を表す。)
(d)ナフテンの含有量が0容量%以上20容量%以下
また本発明は、初留点が45℃以下であり、終点が210℃以下であることを特徴とする前記記載の予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料に関する。
また本発明は、式(2)で示されるNDIが100以上であることを特徴とする前記記載の予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料に関する。
NDI=4×E1+3×E2+2×E3−1×E4−4×E5 (2)
(式(2)中、E1は沸点70℃未満の留分(容量%)、E2は沸点70℃以上100℃未満の留分(容量%)、E3は沸点100℃以上130℃未満の留分(容量%)、E4は沸点130℃以上160℃未満の留分(容量%)、E5は沸点160℃以上の留分(容量%)を表す。)
また本発明は、15℃における密度が0.60g/cm以上0.78g/cm以下であることを特徴とする前記記載の予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料に関する。
また本発明は、硫黄分が50質量ppm以下であることを特徴とする前記記載の予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料に関する。
本発明の燃料は、自動車燃料供給ソースの多様化を可能にするとともに、予混合圧縮自己着火燃焼において優れた着火性を有し、予混合圧縮自己着火燃焼時のエンジン出力並びにエンジン回転領域をできるだけ広げ、エンジン熱効率の向上を達成することができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明の予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料(以下、本発明の燃料ともいう。)は、FT合成基材を含有している必要がある。
ここで、FT合成基材とは、水素及び一酸化炭素を主成分とする混合ガス(合成ガスと称する場合もある。)に対してフィッシャートロプシュ(FT)反応を適用させて得られるナフサ、灯油、軽油相当の液体留分、およびこれらを水素化精製、水素化分解することによって得られる炭化水素混合物、およびFT反応により液体留分およびFTワックスを生成し、これを水素化精製、水素化分解することにより得られる炭化水素混合物からなる基材のことを示す。
FT合成基材の原料となる混合ガスは、炭素を含有する物質を、酸素および/または水および/または二酸化炭素を酸化剤に用いて酸化し、更に必要に応じて水を用いたシフト反応により所定の水素および一酸化炭素濃度に調整して得られる。
炭素を含有する物質としては、天然ガス、石油液化ガス、メタンガス等の常温で気体となっている炭化水素からなるガス成分や、石油アスファルト、バイオマス、石炭、建材やゴミ等の廃棄物、汚泥、及び通常の方法では処理しがたい重質な原油、非在来型石油資源等を高温に晒すことで得られる混合ガスが一般的であるが、水素及び一酸化炭素を主成分とする混合ガスが得られる限りにおいては、本発明はその原料を限定するものではない。
フィッシャートロプシュ反応には金属触媒が必要である。活性触媒成分としては、好ましくは周期律表第8族の金属、例えば、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、ニッケル、鉄等、更に好ましくは第8族第4周期の金属が用いられる。これらの活性金属は、シリカやアルミナ、チタニア、シリカアルミナなどの担体上に担持して得られる触媒の形態で使用することが一般的である。また、これら触媒に上記活性金属に加えて第2金属を組合せて使用することにより、触媒性能を向上させることもできる。第2金属としては、ナトリウム、リチウム、マグネシウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の他に、ジルコニウム、ハフニウム、チタニウムなどが挙げられ、一酸化炭素の転化率向上やワックス生成量の指標となる連鎖成長確率(α)の増加など、目的に応じて適宜使用されている。
フィッシャートロプシュ反応は、混合ガスを原料として、液体留分およびFTワックスを生成する合成法である。この合成法を効率的に行うために、一般には混合ガス中の水素と一酸化炭素の比を制御することが好ましい。一酸化炭素に対する水素のモル混合比(水素/一酸化炭素)は1.2以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、1.8以上であることが更により好ましい。また、この比率は3以下であることが好ましく、2.6以下であることがより好ましく、2.2以下であることが更により好ましい。
上記触媒を用いてフィッシャートロプシュ反応を行う場合の反応温度は、180℃以上320℃以下であることが好ましく、200℃以上300℃以下であることがより好ましい。反応温度が180℃未満では一酸化炭素がほとんど反応せず、炭化水素収率が低い傾向にある。また、反応温度が320℃を超えると、メタンなどのガス生成量が増加し、液体留分およびFTワックスの生成効率が低下してしまう。
触媒に対するガス空間速度に特に制限は無いが、500h−1以上4000h−1以下が好ましく、1000h−1以上3000h−1以下がより好ましい。ガス空間速度が500h−1未満では液体燃料の生産性が低下する傾向にあり、また4000h−1を超えると反応温度を高くせざるを得なくなると共にガス生成が大きくなり、目的物の収率が低下してしまう。
反応圧力(一酸化炭素と水素からなる合成ガスの分圧)は特に制限が無いが、0.5MPa以上7MPa以下が好ましく、2MPa以上4MPa以下がより好ましい。反応圧力が0.5MPa未満では液体燃料の収率が低下する傾向にあり、また7MPaを超えると設備投資額が大きくなる傾向にあり、非経済的になる。
FT合成基材は、上記FT反応により生成された液体留分およびFTワックスを、必要に応じて任意の方法で水素化精製または水素化分解し、目的にあった蒸留性状、組成等に調整することも可能である。水素化精製及び水素化分解は目的に即して選択すればよく、どちらか一方のみまたは両方法の組み合わせ等の選択も本発明の燃料組成物を製造しうる範囲において何ら限定されるものではない。
水素化精製に用いる触媒は水素化活性金属を多孔質担体に担持したものが一般的であるが、同様の効果が得られる触媒であれば本発明はその形態を何ら限定するものではない。
多孔質担体としては無機酸化物が好ましく用いられる。具体的には、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカ、ゼオライトなどが挙げられる。
ゼオライトは結晶性アルミノシリケートであり、フォージャサイト、ペンタシル、モルデナイトなどが挙げられ、好ましくはフォージャサイト、ベータ、モルデナイト、特に好ましくはY型、ベータ型が用いられる。なかでも、Y型は超安定化したものが好ましい。
活性金属としては以下に示す2つの種類(活性金属Aタイプおよび活性金属Bタイプ)が好ましく用いられる。
活性金属Aタイプは周期律表第8族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属である。好ましくはRu、Rh、Ir、PdおよびPtから選ばれる少なくとも1種類であり、さらに好ましくはPdまたは/およびPtである。活性金属としてはこれらの金属を組み合わせたものでよく、例えば、Pt−Pd、Pt−Rh、Pt−Ru、Ir−Pd、Ir−Rh、Ir−Ru、Pt−Pd−Rh、Pt−Rh−Ru、Ir−Pd−Rh、Ir−Rh−Ruなどがある。これらの金属からなる貴金属系触媒を使う際には、水素気流下において予備還元処理を施した後に用いることができる。一般的には水素を含むガスを流通させ、200℃以上の熱を所定の手順に従って与えることにより触媒上の活性金属が還元され、水素化活性を発現することになる。
また活性金属Bタイプとして、周期律表第6A族および第8族金属から選ばれる少なくとも一種類の金属を含有し、望ましくは第6A族および第8族から選択される二種類以上の金属を含有しているものも使用することができる。例えば、Co−Mo、Ni−Mo、Ni−Co−Mo、Ni−Wなどが挙げられ、これらの金属からなる金属硫化物触媒を使う際には予備硫化工程を含む必要がある。
金属源としては一般的な無機塩、錯塩化合物を用いることができ、担持方法としては含浸法、イオン交換法など通常の水素化触媒で用いられる担持方法のいずれの方法も用いることができる。また、複数の金属を担持する場合には混合溶液を用いて同時に担持してもよく、または単独溶液を用いて逐次担持してもよい。金属溶液は水溶液でもよく有機溶剤を用いてもよい。
活性金属Aタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の反応温度は、180℃以上400℃以下であることが好ましく、200℃以上370℃以下であることがより好ましく、250℃以上350℃以下であることが更に好ましく、280℃以上350℃以下が更により好ましい。水素化精製における反応温度が400℃を超えると、ナフサ留分へ分解する副反応が増えて中間留分の収率が極度に減少するため好ましくない。また、反応温度が180℃を下回ると、アルコール分が除去しきれずに残存するため好ましくない。
活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の反応温度は、170℃以上320℃以下であることが好ましく、175℃以上300℃以下であることがより好ましく、180℃以上280℃以下であることが更に好ましい。水素化精製における反応温度が320℃を超えると、ナフサ留分へ分解する副反応が増えて中間留分の収率が極度に減少するため好ましくない。また、反応温度が170℃を下回ると、アルコール分が除去しきれずに残存するため好ましくない。
活性金属Aタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の水素圧力は、0.5MPa以上12MPa以下であることが好ましく、1.0MPa以上5.0MPa以下であることがより好ましい。水素圧力は高いほど水素化反応が促進されるが、一般には経済的に最適点が存在する。
活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の水素圧力は、2MPa以上10MPa以下であることが好ましく、2.5MPa以上8MPa以下であることがより好ましく、3MPa以上7MPa以下であることが更に好ましい。水素圧力は高いほど水素化反応が促進されるが、一般には経済的に最適点が存在する。
活性金属Aタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の液空間速度(LHSV)は、0.1h−1以上10.0h−1以下であることが好ましく、0.3h−1以上3.5h−1以下であることがより好ましい。LHSVは低いほど反応に有利であるが、低すぎる場合には極めて大きな反応塔容積が必要となり過大な設備投資となるので経済的に好ましくない。
活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の液空間速度(LHSV)は、0.1h−1以上2h−1以下であることが好ましく、0.2h−1以上1.5h−1以下であることがより好ましく、0.3h−1以上1.2h−1以下であることが更に好ましい。LHSVは低いほど反応に有利であるが、低すぎる場合には極めて大きな反応塔容積が必要となり過大な設備投資となるので経済的に好ましくない。
活性金属Aタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の水素/油比は、50NL/L以上1000NL/L以下であることが好ましく、70NL/L以上800NL/L以下であることがより好ましい。水素/油比は高いほど水素化反応が促進されるが、一般には経済的に最適点が存在する。
活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化精製を行う場合の水素/油比は、100NL/L以上800NL/L以下であることが好ましく、120NL/L以上600NL/L以下であることがより好ましく、150NL/L以上500NL/L以下であることが更に好ましい。水素/油比は高いほど水素化反応が促進されるが、一般には経済的に最適点が存在する。
水素化分解に用いる触媒は水素化活性金属を固体酸性質を有する担体に担持したものが一般的であるが、同様の効果が得られる触媒であれば本発明はその形態を何ら限定するものではない。
固体酸性質を有する担体にはアモルファス系と結晶系のゼオライトがある。具体的にはアモルファス系のシリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニアとゼオライトのフォージャサイト型、ベータ型、MFI型、モルデナイト型などがある。好ましくはフォージャサイト型、ベータ型、MFI型、モルデナイト型のゼオライト、より好ましくはY型、ベータ型である。Y型は超安定化したものが好ましい。
活性金属としては以下に示す2つの種類(活性金属Aタイプおよび活性金属Bタイプ)が好ましく用いられる。
活性金属Aタイプとしては主に周期律表第6A族および第8族金属から選ばれる少なくとも1種類の金属である。好ましくはNi、Co、Mo、Pt、PdおよびWから選ばれる少なくとも1種類の金属である。これらの金属からなる貴金属系触媒を使う際には、水素気流下において予備還元処理を施した後に用いることができる。一般的には水素を含むガスを流通し、200℃以上の熱を所定の手順に従って与えることにより触媒上の活性金属が還元され、水素化活性を発現することになる。
また活性金属Bタイプとしてはこれらの金属を組み合わせたものでよく、例えば、Pt−Pd、Co−Mo、Ni−Mo、Ni−W、Ni−Co−Moなどが挙げられる。また、これらの金属からなる触媒を使う際には、予備硫化したのち使用するのが好ましい。
金属源としては一般的な無機塩、錯塩化合物を用いることができ、担持方法としては含浸法、イオン交換法など通常の水素化触媒で用いられる担持方法のいずれの方法も用いることができる。また、複数の金属を担持する場合には混合溶液を用いて同時に担持してもよく、または単独溶液を用いて逐次担持してもよい。金属溶液は水溶液でもよく有機溶剤を用いてもよい。
活性金属Aタイプおよび活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化分解を行う場合の反応温度は、200℃以上450℃以下であることが好ましく、250℃以上430℃以下であることがより好ましく、300℃以上400℃以下であることが更に好ましい。水素化分解における反応温度が450℃を超えると、ナフサ留分へ分解する副反応が増えて中間留分の収率が極度に減少するため好ましくない。一方、200℃未満の場合は触媒の活性が著しく低下するので好ましくない。
活性金属Aタイプおよび活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化分解を行う場合の水素圧力は、1MPa以上20MPa以下であることが好ましく、4MPa以上16MPa以下であることがより好ましく、6MPa以上13MPa以下であることが更に好ましい。水素圧力は高いほど水素化反応が促進されるが、分解反応はむしろ進行が鈍化し反応温度の上昇で進行を調整する必要が生じるため、転じて触媒寿命の低下に繋がってしまう。そのため、一般に反応温度には経済的な最適点が存在する。
活性金属Aタイプからなる触媒を用いて水素化分解を行う場合の液空間速度(LHSV)は、0.1h−1以上10h−1以下であることが好ましく、0.3h−1以上3.5h―1以下であることがより好ましい。LHSVは低いほど反応に有利であるが、低すぎる場合には極めて大きな反応塔容積が必要となり過大な設備投資となるので経済的に好ましくない。
上記活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化分解を行う場合の液空間速度(LHSV)は、0.1h−1以上2h−1以下であることが好ましく、0.2h−1以上1.7h―1以下であることがより好ましく、0.3h−1以上1.5h−1以下であることが更に好ましい。LHSVは低いほど反応に有利であるが、低すぎる場合には極めて大きな反応塔容積が必要となり過大な設備投資となるので経済的に好ましくない。
活性金属Aタイプからなる触媒を用いて水素化分解を行う場合の水素/油比は、50NL/L以上1000NL/L以下であることが好ましく、70NL/L以上800NL/L以下であることがより好ましく、400NL/L以上1500NL/L以下であることが更に好ましい。水素/油比は高いほど水素化反応が促進されるが、一般には経済的に最適点が存在する。
活性金属Bタイプからなる触媒を用いて水素化分解を行う場合の水素/油比は、150NL/L以上2000NL/L以下であることが好ましく、300NL/L以上1700NL/L以下であることがより好ましく、400NL/L以上1500NL/L以下であることが更に好ましい。水素/油比は高いほど水素化反応が促進されるが、一般には経済的に最適点が存在する。
水素化処理する装置はいかなる構成でもよく、反応塔は単独または複数を組み合わせてもよく、複数の反応塔の間に水素を追加注入してもよく、気液分離操作や硫化水素除去設備、水素化生成物を分留し、所望の留分を得るための蒸留塔を有していてもよい。
水素化処理装置の反応形式は、固定床方式をとりうる。水素は原料油に対して、向流または並流のいずれの形式をとることもでき、また、複数の反応塔を有し向流、並流を組み合わせた形式のものでもよい。一般的な形式としてはダウンフローであり、気液双並流形式がある。反応塔の中段には反応熱の除去、あるいは水素分圧を上げる目的で水素ガスをクエンチとして注入してもよい。
本発明の燃料に含有されるFT合成基材は、留出温度範囲が25℃から210℃の留分の全部もしくはその一部である必要がある。
留分範囲の例としては、例えば25℃〜70℃の軽質留分、70℃〜160℃の中間留分、160℃〜210℃の重質留分等が挙げられる。この他、25℃〜210℃の留分から一部の留分範囲を除いた残りを使用すること等もできる。
本発明の燃料は、留出温度範囲が25℃から210℃の留分の全部もしくはその一部からなるFT合成基材の配合量は、供給ソース多様化の観点から、10容量%以上であることが好ましく、20容量%以上がより好ましく、50容量%以上が最も好ましい。また、本発明の燃料は、全量がFT合成基材であっても構わない。
本発明の燃料は、予混合圧縮自己着火方式エンジンに適した燃料である。ここで予混合圧縮自己着火方式とは、下記(A)、(B)及び(C)の条件下に燃料を噴射させ、自己着火により燃焼を行わせる燃焼形態をいう。
(A)燃料噴射圧力:20MPa以下
(B)燃料噴射位置:吸気ポート及び/又は燃焼室内部
(C)燃料噴射終了時期:圧縮上死点前60クランク角度以前
予混合圧縮自己着火方式は、従来のディーゼルエンジンなどにみられる圧縮自己着火方式と比較し、(A)の燃料噴射圧力が著しく低く、(C)の燃料噴射終了時期、即ち、燃料が噴射されてから燃焼が始まるまでの時間がかなり長い。従って、予混合圧縮自己着火方式においては、燃料が燃焼室内で均一に混合されるため、燃焼室内において局部的に温度の高い領域ができず、窒素酸化物の排出量を触媒未装着状態で10質量ppm以下にすることができる。
なお、予混合圧縮自己着火方式は、HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)、PCCI(Premixed Charge Compression Ignition)、PCI(Premixed Compression Ignition)、CAI(Controlled Auto-Ignition)、AR(Active Radical (Combustion) )と呼ばれることもある。
本発明の予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料(以下、本発明の燃料ともいう。)は、蒸留性状や着火性のバランスが重要であり、多成分系燃料をベースとした燃料であることが求められる。このことから燃料中に含まれる5容量%以下の炭化水素の合計含有量が30容量%以上であることが必要であり、好ましくは35容量%以上、より好ましくは40容量%以上である。
なお、異性体についてはそれぞれ別個の炭化水素としてカウントする。
本発明の燃料のリサーチ法オクタン価(RON)は、60以上90未満であることが必要であり、好ましくは60以上88以下、より好ましくは60以上86以下である。リサーチ法オクタン価が60未満の場合はノッキングによりエンジンの熱効率の低下を招き、90以上の場合には運転領域が狭まることにより予混合圧縮自己着火燃焼を成立させるために様々なデバイスを必要とするようになってしまうため好ましくない。
なお、ここでリサーチ法オクタン価(RON)は、JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価試験方法及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」により測定されるリサーチ法オクタン価の値である。
本発明の燃料は、下記式(1)で示されるHCCI Indexが20.98以上52.85以下であることが必要であり、好ましくは20以上50以下である。
HCCI Index=MON−0.424×A−0.377×B−0.202×C−0.205×D (1)
(式(1)中、MONはモーター法オクタン価による計測値、Aはノルマルパラフィン含有量(容量%)、Bはイソパラフィン含有量(容量%)、Cはオレフィン含有量(容量%)、Dは芳香族含有量(容量%)を表す。)
なお、ここでいうイソパラフィン分、ノルマルパラフィン分、オレフィン分および芳香族分のそれぞれの含有量は、JIS K2536「石油製品−成分試験方法」に準拠してガスクロマトグラフを利用して測定される値である。
燃料の着火性については、従来、リサーチ法オクタン価やモーター法オクタン価だけで表現されてきたが、予混合圧縮自己着火燃焼の場合は更に一歩踏み込んで組成も加味した指標が必要となる。式(1)で示されるHCCI Indexは本発明者らが進めてきた研究より得られたもので、モーター法オクタン価に燃料の組成を組み合わせたものである。予混合圧縮自己着火燃焼ではモーター法オクタン価が同一で着火性が異なる例に関しても式(1)により表現をすることができるようになったものである。
本発明の燃料において、燃料中に含まれるナフテンの含有量は、0容量%以上20容量%以下であることが必要であり、好ましくは0容量%以上10容量%以下である。ナフテンの含有量が20容量%を超えると予混合圧縮自己着火燃焼をする際の低温酸化反応が小さくなるため好ましくない。
本発明の燃料の初留点は45℃以下であることが好ましい。初留点が45℃を超えると始動性が悪化するため好ましくない。
本発明の燃料の50容量%留出温度(T50)は50℃以上130℃以下であることが好ましく、より好ましくは50℃以上120℃以下である。T50が50℃未満の場合は燃料が蒸発しすぎることに起因する運転性不良や出力低下を招き、また130℃を超えると燃料の蒸発が悪いことに起因する運転性不良と出力低下を招くため好ましくない。
本発明の燃料の終点は210℃以下であることが好ましい。終点が210℃を超えると蒸発特性が悪化し、すすや未燃の炭化水素が過度に排出されるため好ましくない。
なお、ここでいう初留点、T50および終点は、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法−常圧法蒸留試験方法」によって測定される値である。
本発明の燃料は、下記式(2)で示されるNDIが100以上であることが好ましく、120以上であることがより好ましい。NDIが100未満の場合はエンジン始動性不良をもたらしたり、加速の際に空気と燃料のバランスが崩れ運転性を著しく悪化させるため好ましくない。
NDI=4×E1+3×E2+2×E3−1×E4−4×E5 (2)
(式(2)中、E1は沸点70℃未満の留分(容量%)、E2は沸点70℃以上100℃未満の留分(容量%)、E3は沸点100℃以上130℃未満の留分(容量%)、E4は沸点130℃以上160℃未満の留分(容量%)、E5は沸点160℃以上の留分(容量%)を表す。)
本発明の燃料の15℃における密度は、0.60g/cm以上0.78g/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.65g/cm以上0.78g/cm以下である。密度が0.60g/cm未満の場合はベーパーロックなどが問題となるため好ましくない。また0.78g/cmを超えるとアクセルレスポンスが鈍くなるため好ましくない。
なお、ここでいう密度とは、JIS K2249「原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」により測定される値である。
本発明の燃料において、燃料中の硫黄分は50質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは10質量ppm以下、さらに好ましくは5質量ppm以下である。硫黄分が50質量ppmを超えるとエンジンに装着した排出ガス浄化のための触媒が硫黄により被毒され、排出ガス浄化能力が低下する問題が生じ好ましくない。
なお、ここでいう硫黄分とは、JIS K2541「原油及び石油製品一硫黄分試験方法」により測定される値である。
本発明の燃料において用いることができるFT合成基材以外の基材としては、上述の所定の性状を有する燃料を得られさえすれば、その基材については特に制限されるものではなく、例えば、原油蒸留装置、ナフサ改質装置、アルキレーション装置等から得られるプロパンを中心とした直留系プロパン留分、ブタンを中心とした直留系ブタン留分、それらを脱硫した直留系脱硫プロパン留分、直留系脱硫ブタン留分、接触分解装置等から得られるプロパン・プロピレンを中心とした分解系プロパン留分、ブタン・ブテンを中心とした分解系ブタン留分、原油を常圧蒸留して得られるナフサ留分(フルレンジナフサ)、ナフサの軽質留分(軽質ナフサ)、ナフサの重質留分(重質ナフサ)、フルレンジナフサを脱硫した脱硫フルレンジナフサ、軽質ナフサを脱硫した脱硫軽質ナフサ、重質ナフサを脱硫した脱硫重質ナフサ、軽質ナフサを異性化装置でイソパラフィンに転化して得られる異性化ガソリン、イソブタン等の炭化水素化合物に低級オレフィンを付加(アルキル化)することによって得られるアルキレート、接触改質法で得られる改質ガソリン、改質ガソリンから芳香族分を抽出した残分であるラフィネート、改質ガソリンの軽質留分、改質ガソリンの中重質留分、改質ガソリンの重質留分、接触分解法、水素化分解法等で得られる分解ガソリン、分解ガソリンの軽質留分、分解ガソリンの重質留分、原油の常圧蒸留装置から得られる直留軽油および直留灯油、常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置で処理して得られる減圧軽油、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を接触分解または水素化分解して得られる接触分解軽油、接触分解灯油、水素化分解軽油または水素化分解灯油、これらの石油系炭化水素を水素化精製して得られる水素化精製軽油、水素化脱硫軽油、若しく水素化精製灯油等の基材を1種又は2種以上混合して調製することができる。
本発明の燃料には、必要に応じて公知の燃料添加剤を添加しても良い。例えば、燃料添加剤としては、高級カルボン酸とアルコールアミンとのアミド化合物等の摩擦調整剤、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミン等の清浄分散剤、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジイソブチル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒンダードフェノール類等の酸化防止剤、N,N’−ジサリチリデン−1,2−ジアミノプロパン等のアミンカルボニル縮合化合物等の金属不活性化剤、有機リン系化合物等の表面着火防止剤、多価アルコール及びそのエーテル等の氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、高級アルコール硫酸エステル等の助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の帯電防止剤、アゾ染料等の着色剤、有機カルボン酸及びそれらの誘導体類、アルケニルコハク酸エステル等の防錆剤、ソルビタンエステル類等の水抜き剤、硝酸エステルや有機過酸化物等のセタン価向上剤、カルボン酸系、エステル系、アルコール系およびフェノール系の潤滑性向上剤、シリコン系などの消泡剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アルケニルコハク酸アミド等の低温流動性向上剤、キニザリン、クマリン等の識別剤、着臭剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独若しくは混合物として添加することができ、これら添加剤全量が、燃料全量基準で0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下となるような割合で添加することが好ましい。なお、ここでいう添加剤全量とは、添加剤の有効成分としての添加量を意味している。
本発明の燃料は、主成分として炭化水素を含むが、その他に、エーテル、アルコール、ケトン、エステル、グリコール等の含酸素化合物を含有していてもよい。
含酸素化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアルコール、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)、エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)、ターシャリーアミルメチルエーテル(TAME)、ターシャリーアミルエチルエーテル、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルエステル等が挙げられる。
本発明の燃料は、前記含酸素化合物を含有することにより、排出ガス中の未燃炭化水素(HC)、微小粒子状物質等を低減することができる。また、バイオマス由来の含酸素化合物を使用した場合は、二酸化炭素削減等にも寄与する。しかし、場合によっては窒素化合物の増加を招く場合もあるので、含酸素化合物の含有割合は、酸素元素換算(酸素含有量)で燃料全量に対し20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、3質量%以下が最も好ましい。
本発明の燃料は、予混合圧縮自己着火方式エンジンに好適な燃料であるほか、予混合圧縮自己着火方式エンジンと、火花点火方式エンジン、ディーゼルエンジン、電気モーターエンジン、火花点火方式エンジンまたはディーゼルエンジンと電気モーターエンジンを組み合わせたハイブリッド式エンジン等を併用するエンジンに対しても適用することができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
[実施例1〜4および比較例1〜6]
表1に示す組成に従って本発明の燃料(実施例1〜4)及び比較用の燃料(比較例1〜6)を調製した。得られた各燃料の炭化水素化合物の含有割合、オクタン価(リサーチ法オクタン価、モーター法オクタン価)、蒸留性状の初留点と終点、硫黄分の測定結果とHCCI Index値、NDI値の計算結果を表1に併記した。
実施例1の燃料組成物は、水素及び一酸化炭素を主成分とする混合ガスに対してFT反応を適用させて得られたナフサ留分を水素化精製することによって得られた、留出温度範囲が35℃〜165℃のFT合成基材Aを50容量%含有している。
実施例2の燃料組成物は、水素及び一酸化炭素を主成分とする混合ガスに対してFT反応を適用させて得られたFTワックスを水素化分解することにより得られた、留出温度範囲が35℃〜165℃のFT合成基材Cを20容量%含有している。
実施例3の燃料組成物は、水素及び一酸化炭素を主成分とする混合ガスに対してFT反応を適用させて得られた150℃〜360℃の中間留分を水素化精製する際の副反応生成物のナフサとして得られる留出温度範囲が35℃〜165℃のFT合成基材Bを20容量%含有している。
実施例1の燃料組成物は、FT合成基材Aを20容量%含有している。
また、得られた各燃料を下記の予混合圧縮自己着火式エンジンを用いて、以下の試験を行い燃料の評価を実施した。結果を表2に示す。
(エンジン諸元)
エンジン種類:直列6気筒予混合圧縮自己着火式エンジン
排気量:2000cc
圧縮比:14
燃料噴射圧力:8MPa
(エンジン試験)
実施例及び比較例の燃料について、エンジン回転数:1500rpm、トルク:65Nmで、2400サイクル分(400サイクル分×6回)の燃焼圧力データ(分解能0.25CAdeg)を小野測器社製燃焼解析装置(型番DS2100)を用いて採取し、以下の値を求めた。
(1)平均有効圧力の変動値(平均有効圧力変動幅/平均有効圧力)
(2)最大圧力上昇率
(3)実施例4に対する燃費改善率
(4)回転数上限
表2の結果から明らかなように、実施例の燃料は、FT合成基材を含有することにより供給ソースの多様化に対応可能であると共に、全て予混合圧縮自己着火燃焼に適正な最大圧力上昇率を示し、平均有効圧力も許容の範囲にある。一方、HCCI Index値が20未満である比較例1及び比較例2の燃料は、最大圧力上昇率が大きく、激しいノッキングを生じており、予混合圧縮自己着火エンジン用燃料としては全く適していない。HCCI Index値が55を超えている比較例3及び比較例4の燃料は燃焼のサイクル間変動が大きく問題のあるレベルにある。比較例5の燃料はノルマルヘプタン93容量%とイソオクタン7容量%の2成分からなるオクタン価93の正標準燃料であり、比較例6はナフテンが30容量%以上含まれているケースである。比較例3、比較例4、比較例5、比較例6の燃料は、いずれも燃費面で全ての実施例の燃料に劣り、さらに可能エンジン回転領域の上限が低いことから、比較例3、比較例4、比較例5、比較例6の燃料は予混合圧縮自己着火エンジン用燃料としては全く適さない燃料である。
Figure 0004902278
Figure 0004902278

Claims (5)

  1. FT合成基材の留出温度範囲が25℃から210℃の留分の全部もしくはその一部を20〜100容量%含有し、以下の(a)、(b)、(c)および(d)を満足することを特徴とする予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料。
    (a)含有量が5容量%以下の炭化水素の合計含有量が30容量%以上
    (b)リサーチ法オクタン価が60以上90未満
    (c)下記式(1)で示されるHCCI Indexが20.98以上52.85以下
    HCCI Index=MON−0.424×A−0.377×B−0.202×C−0.205×D (1)
    (式(1)中、MONはモーター法オクタン価、Aはノルマルパラフィン含有量(容量%)、Bはイソパラフィン含有量(容量%)、Cはオレフィン含有量(容量%)、Dは芳香族含有量(容量%)を表す。)
    (d)ナフテンの含有量が0容量%以上20容量%以下
  2. 初留点が45℃以下であり、終点が210℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料。
  3. 式(2)で示されるNDIが100以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料。
    NDI=4×E1+3×E2+2×E3−1×E4−4×E5 (2)
    (式(2)中、E1は沸点70℃未満の留分(容量%)、E2は沸点70℃以上100℃未満の留分(容量%)、E3は沸点100℃以上130℃未満の留分(容量%)、E4は沸点130℃以上160℃未満の留分(容量%)、E5は沸点160℃以上の留分(容量%)を表す。)
  4. 15℃における密度が0.60g/cm以上0.78g/cm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料。
  5. 硫黄分が50質量ppm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の予混合圧縮自己着火式エンジン用燃料。
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