JP4901306B2 - ガス加圧方式による温水熱供給システム - Google Patents

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Description

本発明は、系内の水をある特定の温度に加熱しても沸騰させないように系内の水のその温度における飽和蒸気圧より高い圧力までガスで加圧し、100℃以上の温水の熱を外部に供給する温水熱供給システム及びその利用に関する。
従来、窒素ガスボンベ、コンプレッサ、加圧ポンプ等により加圧したガスを膨張タンクに供給し、系の温水を1気圧より高い圧力まで加圧して温水ボイラで100℃以上に加熱した温水を沸騰させないようにし、温水の熱を外部に供給するような、温水による地域暖房システム等の温水熱供給システムが開発されている(例えば、非特許文献1参照)。
地域冷暖房技術手引書,日本地域冷暖房協会,昭和58年3月,32−36頁
本発明は、窒素ガスボンベ、コンプレッサ、加圧ポンプ等を用いることなく、系内の水を100℃以上の特定の温度に加熱しても沸騰させないように系内の水のその温度における飽和蒸気圧より高い圧力までガスで加圧し、加熱した水の熱を外部に供給することができる新規温水熱供給システム及びその利用を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る温水熱供給システムは、温水ボイラと、前記温水ボイラで加熱した水により熱を外部に供給する熱供給装置と、前記温水ボイラと前記熱供給装置との間で循環する前記水の循環路と、前記循環路内の前記水を循環させる循環ポンプと、水に難溶性のガスのハイドレートを気化させることにより産生される気化水を、前記ハイドレートを気化させることにより産生される前記ガスで加圧し、加圧した前記気化水を利用して前記循環路内を加圧するハイドレート気化装置と、を備える。
本発明に係る温水熱供給システムは、前記ハイドレート気化装置から前記気化水が圧入されることによって、タンク内の水を前記循環路内に圧入する膨張タンクをさらに備えることとしてもよい。
また、本発明に係る温水熱供給システムは、前記気化水の一部の冷熱を利用する熱交換器と、前記熱交換器において冷熱を提供した前記気化水を前記ハイドレート気化装置に戻す手段と、をさらに備えることとしてもよい。
なお、前記水に難溶性のガスのハイドレートが可燃性ガスのハイドレートである場合には、前記温水ボイラが前記ハイドレート気化装置で前記可燃性ガスのハイドレートを気化させることにより産生される前記可燃性ガスを燃料として前記循環路内の水を加熱してもよいし、前記ハイドレート気化装置で前記可燃性ガスのハイドレートを気化させることにより産生される前記可燃性ガスを燃料とするガス発電機をさらに備えて、前記温水ボイラが前記ガス発電機において前記可燃性ガスを燃焼することにより得られる排熱を利用して前記循環路内の水を加熱してもよい。
また、前記水に難溶性のガスのハイドレートとしては、例えば、窒素ガスハイドレートや、メタンハイドレート、エタンハイドレート、プロパンハイドレート、天然ガスハイドレート等の可燃性ガスのハイドレートなど、又はこれらの混合物を用いることができる。
本発明に係る建築物は、上述のような温水熱交換システムを備えることを特徴とする。
本発明によれば、窒素ガスボンベ、コンプレッサ、加圧ポンプ等を用いることなく、系内の水を100℃以上の特定の温度に加熱しても沸騰させないように系内の水のその温度における飽和蒸気圧より高い圧力までガスで加圧し、加熱した水の熱を外部に供給することができる新規温水熱供給システム及びその利用を提供することができる。
以下、好ましい実施の形態につき、添付図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態として説明する温水熱供給システム100の概略構成を示す図である。図1に示すように、本発明に係る温水熱供給システム100は、NGH気化装置10、循環ポンプ20、温水ボイラ30、熱供給装置40などを備える。なお、温水ボイラ30と熱供給装置40との間においては、温水ボイラ30と熱供給装置40とを交互に水が循環するように構成された配管(循環路)3が設置されている。
温水ボイラ30は、水を加熱する装置である。熱供給装置40は、温水ボイラ30によって得られた温水の熱を外部に供給する装置である。熱供給装置40は、例えば、給湯装置、暖房装置、融雪装置などである。
循環ポンプ20は、温水ボイラ30と熱供給装置40との間に設置された循環路3内の水を循環させる装置である。この循環ポンプ20によって循環路3内を循環する水は、温水ボイラ30で加熱された後、熱供給装置40に供給されて熱を外部に提供し、再び温水ボイラ30で加熱される。
NGH気化装置10は、天然ガスハイドレート(NGH)を温めて気化させる装置である。NGH気化装置10は、装置10内に導入されたNGHを気化させることにより水(気化水)及び天然ガスを産生する。NGH気化装置10において産生された気化水は、産生された天然ガスにより加圧されて配管2を介して循環路3内に圧入され、循環路3内を加圧する。これにより、NGH気化装置10は、循環路3内の温度上昇に伴って体積が膨張した水を加圧することができ、系内の温水をその飽和圧力より高い圧力まで加圧して100℃以上の温水を沸騰させないようにすることができるようになる。なお、循環路3内の圧力の減圧は、NGH気化装置10はNGHの気化を中止したり、NGH気化装置10に溜まった水の一部を排水弁12により排水したりすることによって行われる。
一方、NGH気化装置10において産生された天然ガスは、ガス供給弁11を開放することにより配管1を介して温水ボイラ30に供給され、温水ボイラ30の燃料として使用される。
なお、本実施の形態の配管においては、NGH気化装置10に溜まった水の一部を排水弁12によって排水できるような構成としているが、排水する水の冷熱を熱交換器で有効に利用できる構成としてもよいし、浄化槽を設けて排水する水を浄化し、飲料水として利用できる構成としてもよい。また、本実施の形態においては、配管2を介してNGH気化装置10から循環路3内に圧入される気化水を、循環ポンプ20の吸い込み側に供給できるような構成としているが、このような構成に制限されるものではない。
以上のように、本発明に係る温水熱供給システム100は、NGH気化装置10を備えることによって、循環路3内の温度変化による水の体積変化を吸収することが可能となる。このように、循環路3内の水を加圧することにより、温水ボイラ30によって100℃以上に加熱しても沸騰を防止することが可能となり、温水ボイラ30によって得られた温水の熱を熱供給装置40で有効に利用することができる。
また、本発明の温水熱供給システム100においては、NGHを気化させることにより得られた天然ガスを、循環路3内を加圧するために利用するだけではなく、温水ボイラ30の燃料として使用することができる。従って、加圧ポンプ、コンプレッサ等の加圧装置や温水ボイラ30の燃料タンクなどを別途設ける必要がないので、システム全体の規模の縮小化を図ることができ、経済的に優れているといえる。
さらに、本発明の温水熱供給システム100においては、NGHを気化させることにより得られた気化水を循環路3内に補給する補給水として利用することが可能である。
上述の温水熱供給システム100は、図1に示すように、熱交換器14と、NGH気化装置10から循環路3内に圧入される気化水の一部を熱交換器14に供給するポンプ13と、気化水の一部を配管2からポンプ13及び熱交換器14を介してNGH気化装置10に戻す配管4と、をさらに備えることとしてもよい。これにより、NGHを気化させることにより得られた気化水の冷熱を有効に利用することができ、冷熱を提供した気化水をNGH気化装置10においてNGHを気化させるのに利用することができる。
なお、上述においては、NGH気化装置10において加圧された気化水を循環路3内に直接圧入して循環路3内を加圧することとしているが、NGH気化装置10において圧縮された気化水を利用して循環路3内を加圧することとしてもよい。図2に、本発明の一実施形態において、NGH気化装置10において加圧された気化水を利用して循環路3内を加圧する温水熱供給システム100の概略構成を示す。
図2に示すように、本発明に係る温水熱供給システム100は、配管2に設けられた膨張タンク50と、NGH気化装置10から膨張タンク50に圧入される気化水の量を調節する水供給弁15と、膨張タンク50に溜まった水の一部を排水する排水弁51と、膨張タンク50内の水の量(水位)の変化に伴って変化する膨張タンク50内のガススペースの圧力を所定圧に調節する圧力調節弁52などを備える。
膨張タンク50は、循環路3内の温度変化による水の体積変化を吸収する密閉式の耐圧容器である。例えば、循環路3内の温度上昇に伴って水の体積が膨張した場合には、膨張タンク50は、NGH気化装置10から気化水が圧入されることによって加圧されたタンク50内の水を循環路3内に圧入して、循環路3内を加圧する。
圧力調節弁52による圧力の調節は、膨張タンク50内の水量の変化によるガススペースの膨張・収縮に伴い、膨張タンク50にNGHを気化させることにより得られる天然ガスを配管1に接続されている配管5を介して導入したり、膨張タンク50内の天然ガスを配管5を介して排出したりして行われる。
なお、上述においては、排水弁12を設けてNGH気化装置10に溜まった水を排水することとしているが、膨張タンク50や排水弁51等を設ける場合には、NGH気化装置10に溜まった水を膨張タンク50に圧入して排水弁51から排水できるので、排水弁12を設けなくてもよい。
以上のように、NGH気化装置10に循環路3内の温度変化による水の体積変化を吸収する機能を設けなくても、本発明に係る温水熱供給システム100に膨張タンク50の機能を設けることにより、循環路3内の水を温水ボイラ30によって100℃以上に加熱しても沸騰を防止することが可能となる。
なお、本実施の形態においては、NGH気化装置10において発生した天然ガスを、燃料として温水ボイラ30に配管1を介して供給し、循環路3内を循環する水を加熱しているが、ガスタービン、ガスエンジン等のガス発電機の燃料として供給し、ガス発電機が天然ガスを燃焼することにより得られる排熱を利用して温水ボイラ30が循環路3内の水を加熱してもよい。これにより、ガス発電機により発電した電気も利用することができるようになり、エネルギーの有効利用を図ることができる。
また、本実施の形態においては、NGHを気化させるNGH気化装置10を本発明に係る温水熱供給システム100に設けることとしているが、NGH以外のメタンハイドレート、エタンハイドレート、プロパンハイドレート等の可燃性ガスのハイドレートを気化させるハイドレート気化装置を設けることとしてもよいし、ハイドレートを気化させることにより発生したガスをボイラ等の燃料として使用しない場合には、窒素ガスハイドレートなどの水に難溶性、好ましくは不溶性のガスハイドレートを気化させるハイドレート気化装置を設けることとしてもよい。
上述のような温水熱供給システム100は、マンション等の建築物における給湯システム、暖房システム、冷暖房システム等として有用であり、また、道路や線路等の融雪システムとしても有用である。
本発明の一実施形態として説明する温水熱供給システムの全体構成を示す図である。 本発明の一実施形態において、NGH気化装置において圧縮された気化水を利用して循環路内を加圧する温水熱供給システムの全体構成を示す図である。
符号の説明
1〜5 配管
10 NGH気化装置
11 ガス供給弁
12,51 排水弁
13 ポンプ
14 熱交換器
15 水供給弁
20 循環ポンプ
30 温水ボイラ
40 熱供給装置
50 膨張タンク
52 圧力調節弁
100 温水熱供給システム

Claims (5)

  1. 温水ボイラと、
    前記温水ボイラで加熱した水により熱を外部に供給する熱供給装置と、
    前記温水ボイラと前記熱供給装置との間で循環する前記水の循環路と、
    前記循環路内の前記水を循環させる循環ポンプと、
    水に難溶性のガスのハイドレートを気化させて気化水とガスとを産生するハイドレート気化装置と、
    前記ガスにより加圧された前記気化水が前記ハイドレート気化装置から圧入され、かつ、前記循環路内に前記気化水を所定圧で圧入する、圧力調節弁を備えた膨張タンクと、
    を備えることを特徴とする温水熱供給システム。
  2. 前記水に難溶性のガスのハイドレートが、可燃性ガスのハイドレートであり、
    前記温水ボイラは、前記ハイドレート気化装置で前記可燃性ガスのハイドレートを気化させることにより産生される前記可燃性ガスを燃料とすることを特徴とする請求項に記載の温水熱供給システム。
  3. 前記水に難溶性のガスのハイドレートが、可燃性ガスのハイドレートであり、
    前記ハイドレート気化装置で前記可燃性ガスのハイドレートを気化させることにより産生される前記可燃性ガスを燃料とするガス発電機をさらに備え、
    前記温水ボイラは、前記ガス発電機が前記可燃性ガスを燃焼することにより得られる排熱を利用して前記循環路内の水を加熱することを特徴とする請求項に記載の温水熱供給システム。
  4. 前記気化水の一部の冷熱を利用する熱交換器と、
    前記熱交換器において冷熱を提供した前記気化水を前記ハイドレート気化装置に戻す手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の温水熱供給システム。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の温水熱供給システムを備えた建築物。
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