JP2010203686A - 貯湯式給湯装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 湯水の放熱を回収して再利用することで、エネルギーの有効活用、および貯湯ユニット内部の温度低下の促進を図ることが可能な貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる貯湯式給湯装置100の構成は、低温水を加熱することにより高温水を生成する湯水生成装置110と、高温水を貯湯する蓄熱槽132と、蓄熱槽を収容するケーシング130aと、ケーシングの内部であって蓄熱槽の上方に設けられ、ケーシング内の加熱された空気によって低温水を加熱して予熱水を生成する熱交換器140と、少なくとも熱交換器に低温水を供給する給水配管154と、予熱水と高温水とを混合した湯水を給湯する給湯配管158と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】 本発明にかかる貯湯式給湯装置100の構成は、低温水を加熱することにより高温水を生成する湯水生成装置110と、高温水を貯湯する蓄熱槽132と、蓄熱槽を収容するケーシング130aと、ケーシングの内部であって蓄熱槽の上方に設けられ、ケーシング内の加熱された空気によって低温水を加熱して予熱水を生成する熱交換器140と、少なくとも熱交換器に低温水を供給する給水配管154と、予熱水と高温水とを混合した湯水を給湯する給湯配管158と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、水を加熱して生成した湯水を貯湯し、貯湯した湯水を給湯設備に供給する貯湯式給湯装置に関する。
近年、住宅等における熱源の1つとして、湯水(温水)を蓄熱槽(貯湯タンクと称されることもある。)に貯湯しておき、必要に応じて蓄熱槽から給湯設備等に供給する貯湯式給湯装置の普及が進んでいる。従来は熱源として電気やガスなどのエネルギーを用いて直接的に熱を用いていたところ、住宅等で使用される熱の温度は、必ずしも数百度といった高温ではなく、例えば風呂やシャワーでは40℃程度、台所の湯沸かし器でも80℃〜90℃程度、床暖房でも35℃〜55℃程度である。したがって、水を十分に熱媒体として利用することができ、これに蓄熱することにより、熱の受給に時間差を設けたり、排熱の回収を行うことによって効率の向上を図ったりすることができる。
このような給湯装置における湯水生成装置として、ヒートポンプの普及が進んでいる(例えば特許文献1)。ヒートポンプは内部に熱媒体が循環しており、熱媒体を電力を利用して循環させることにより、空気熱とポンプ仕事をあわせた熱量で水を加熱することができるため、高い効率で湯水を生成することができる。さらに、水を熱媒体として熱の受給に時間差を設けることができることから、安価な夜間電力を利用して生成した湯水を蓄熱槽に貯湯し、貯湯された湯水を日中使用すれば、使用者(需要家)は電気に要するコストを削減することができる。
また例えば、上記のような給湯装置における湯水生成装置として、ガス給湯器を用いたり、またはガス発電機の排熱を回収して温水を生成したりする場合もある。ガスは燃焼によって高熱を生じることから、必要な分の熱を取り出すためには捨てる熱が多く、排熱を回収して再利用することによってエネルギー効率の向上を図ることができる。
上述したように貯湯式給湯装置は、生成した湯水を蓄熱槽に貯湯し、貯湯された湯水を使用者の必要に応じて給湯設備等に供給する。しかし、蓄熱槽に貯湯されてから給湯設備に供給されるまでの時間が長くなる(経過する)につれて、湯水が有する熱は徐々に放熱され、温度が低下する。このように、湯水の温度が使用される(供給される)前に低下するということは、エネルギーは、消費されるだけで使用されていない、すなわち有効活用されていないということになる。このような事態は省エネルギーの観点において好ましくない。
また湯水の放熱により生じる他の問題として、貯湯ユニット内部の温度上昇が挙げられる。詳細には、蓄熱槽に貯湯された湯水が放熱すると、その熱により蓄熱槽が設けられている貯湯ユニット内部の空気が加熱され、その温度(内部温度)が上昇する。内部温度が上昇すると、ケーシング内外の温度差(熱勾配)が大きくなり、断熱材の断熱効率に準じて外部に漏れる熱が増えてきてしまう。また内部温度が上昇すると、蓄熱槽や配管はともあれ、電子基板上の電気素子(特にアルミ電解コンデンサ)の劣化を早め、装置寿命が短くなるおそれがある。
そこで従来からも、湯水の放熱を抑制するために、蓄熱槽に断熱材を覆設する等の対処が為されていた。これにより、放熱はある程度抑制されたものの、未だ十分と言える程度には到っていない。故に、湯水の放熱を更に抑制するために、蓄熱槽に断熱材を更に覆設し断熱を強化することも考えられたが、蓄熱槽が設けられている貯湯ユニットの内部のスペースを考慮すると、断熱材をこれ以上増やすことは難しい。また貯湯ユニットの内部には蓄熱槽に接続される様々な配管が複雑に巡らされているため、その隙間を断熱材で充填することも困難である。
したがって、蓄熱槽だけでなく、貯湯ユニット内部に設けられた蓄熱槽以外の部材の断熱を強化することも検討された。その結果、蓄熱槽を断熱ブロックで挟み込むように覆っていても熱が漏れていること、および加熱に対して高いレスポンスでケーシング内の空気の温度が上昇することから、配管から熱が漏れている可能性があると考えられた。
しかし、配管は、貯湯ユニット内部に張り巡らされており、屈曲部が多いため断熱処置を施すことが難しい。また配管に断熱材を覆設する等の断熱処置を施しても、屈曲部において隙間が生じやすいため、その断熱効果は蓄熱槽に施したものよりも低くなる。したがって、配管における放熱は大きいと考えられるものの、その断熱強化は極めて困難であるという結論に到った。
したがって、現状では、蓄熱槽や配管等の貯湯ユニット内の部材の断熱強化は限界に達しており、これによる湯水の放熱の抑制は困難である。故に、エネルギーの有効活用、および貯湯ユニット内部の温度低下の促進を図るためには、湯水の放熱を抑制するという手法以外の新たな手法の確立が求められていた。
本発明は、このような課題に鑑み、湯水の放熱を抑制することなく、エネルギーの有効活用、および貯湯ユニット内部の温度低下の促進を図ることが可能な貯湯式給湯装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために発明者は鋭意検討し、湯水の放熱による貯湯ユニット内の空気の温度上昇に着目した。すなわち、湯水の放熱により空気の温度が上昇しているということは、湯水から空気への熱伝導(エネルギーの移動)が生じているということである。したがって、空気の熱を回収し、回収した熱を再利用することでエネルギーの有効活用が図れると考えた。また空気の熱を回収することで貯湯ユニット内部の空気の温度を低下させることもできると考えた。そして、更に研究を重ね、本発明を完成するに到った。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明にかかる貯湯式給湯装置の代表的な構成は、低温水を加熱することにより高温水を生成する湯水生成装置と、高温水を貯湯する蓄熱槽と、蓄熱槽を収容するケーシングと、ケーシングの内部であって蓄熱槽の上方に設けられ、ケーシング内の加熱された空気によって低温水を加熱して予熱水を生成する熱交換器と、少なくとも熱交換器に低温水を供給する給水配管と、予熱水と高温水とを混合した湯水を給湯する給湯配管と、を備えることを特徴とする。
ケーシング内において最も放熱が著しい場所は、高温水(高温の湯水)を大量に貯湯している蓄熱槽である。そして、空気は高温になるにつれて上昇するため、蓄熱槽に貯湯される高温水から放出された熱(放熱)により加熱された空気は、蓄熱槽の上方に向かって上昇する。
したがって、上記構成のように蓄熱槽の上方に熱交換器を備えることにより、かかる熱交換器は、加熱された空気が有する熱を最も効率的に回収することができる。これにより、熱交換器に熱を回収された空気の温度、すなわちケーシング(貯湯ユニット)内部の温度が低下するため、かかるケーシング内に設けられる電子基板上の電気素子の早期の劣化を防ぎ、長寿命化を図ることが可能となる。
そして、熱交換器において、加熱された空気から回収した熱を用いて低温水(水)を加熱して予熱水を生成し、かかる予熱水と高温水とを混合した湯水を給湯することで、蓄熱槽に貯湯された高温水からケーシング内の空気に移動した熱(エネルギー)を再利用することが可能となる。したがって、高温水から空気に移動した熱が排熱とされないため、湯水生成装置において高温水の生成に用いられたエネルギーの有効活用を図ることができる。
上記の蓄熱槽は、鉛直方向の略中間に配置された1つ以上の中間取水口を備え、当該貯湯式給湯装置は、予熱水と、中間取水口から取水した中温水とを混合した湯水を給湯するとよい。
蓄熱槽は、その上方に、湯水生成装置において生成された高温水が供給され、その下方に、給湯設備に供給された湯水の量を補うための低温水が供給される。このため、蓄熱槽に貯湯された湯水には温度差(温度分布)が生じており、蓄熱槽は、上方に高温水、下方に低温水が存在し、略中間部分には高温と低温の略中間の温度の湯水、すなわち中温水(中温の湯水)が存在する。
したがって、上記構成によれば、予熱水と、中間取水口から取水した中温水とを混合し、中温付近の湯水とすることが可能となる。これにより、かかる湯水を、然程高い温度(高温)を必要としない用途、例えば床暖房用や除霜用に用いることができる。
上記の給水配管は、ケーシングの天板の下面に沿って設けられるとよい。上述したように空気は高温になるにつれて上昇するため、ケーシング内において最も高温な場所はケーシングの上方、すなわちケーシングの天板の直下である。したがって、かかる構成によれば、給水配管がケーシングの天板の下面に沿って設けられるため、給水配管を流通する低温水と、蓄熱槽に貯湯された高温水の放熱により加熱された空気との接触頻度が増加する。これにより、熱交換器に供給される低温水は、給水配管を通過する際においても、加熱された空気の熱を回収することができるため熱回収効率を向上させることが可能となる。
当該貯湯式給湯装置は、給水配管の上方に、略板状の断熱材からなり、加熱された空気を滞留させる断熱トラップを更に備えるとよい。
上記構成によれば、断熱トラップにより、これより上への加熱された空気の上昇が阻止される。したがって、加熱された空気は、ケーシングの上方(ケーシングの天板直下)まで上昇せず、給水配管の上方且つ断熱トラップの下方の空間、すなわち給水配管の近傍に滞留(存在)することとなる。これにより、給水配管を流通する低温水と、加熱された空気との熱交換(熱伝導)が容易に行われるようになるため、熱回収効率を向上させることが可能となる。
上記の給水配管は、高温水を蓄熱槽に供給する加熱後配管の上方に配置されているとよい。
これにより、給水配管を流通する低温水は、湯水生成装置において生成された高温水が蓄熱槽に供給されるまでの間、すなわち加熱後配管を通過する間に放熱する熱を効率的に回収することが可能となり、熱回収効率を向上させることができる。
当該貯湯式給湯装置は、給水配管および加熱後配管をまとめて包囲する集合管断熱材を更に備えるとよい。
かかる構成により、加熱後配管を通過する高温水の熱は、ケーシング内の空間全体にではなく、集合管断熱材により包囲された空間に放出される。そして、給水配管もまとめて包囲されていることから、給水配管を流通する低温水は、高温水からかかる空間に放出された熱を高効率で回収することが可能となる。
当該貯湯式給湯装置は、予熱水を貯留する貯水槽を更に備え、貯水槽は、蓄熱槽より上方に設けられるとよい。
上記構成のように貯水槽を備えることにより、熱交換器において生成された予熱水を、貯水槽に貯留しておき、必要に応じて供給することが可能となる。また貯水槽が蓄熱槽より上方に設けられていることで、蓄熱槽に貯湯された高温水から放出される熱を、貯水槽に貯湯された予熱水により回収することができる。これにより、熱回収効率を向上させ、且つ予熱水の温度低下を防ぐことが可能となる。
当該貯湯式給湯装置は、熱交換器の鉛直方向下方に配置された吸水手段を更に備えるとよい。
放熱により加熱された空気が熱交換器において低温水に吸熱されると、空気の温度が低下する。そして、その温度が露点温度を下回ると、気体となって空気に含まれていた水は凝結して液体となり(結露し)、熱交換器の表面に水滴が付着する。この水滴が、ケーシング内に飛散すると、かかるケーシング内面や配管における錆の発生や、電子基板の損傷の原因となるおそれがある。したがって、上記構成のように熱交換器の鉛直方向下方に吸水手段を配置することにより、熱交換器に結露した水滴が落下してもそれを吸収することでき、水滴の飛散を防ぐことが可能となる。
上記のケーシングは、その内面が断熱材で被覆されるとよい。ケーシング内の加熱された空気の熱がケーシング外に放出されると、熱交換器において低温水が回収する熱が減少し、熱回収効率が低下してしまう。したがって、かかる構成によれば、ケーシング内の加熱された空気が有する熱のケーシングの外への放出量が低減されるため、熱回収効率の向上を図ることができる。
当該貯湯式給湯装置は、蓄熱槽を収容する断熱ブロックを更に備え、断熱ブロックは貫通孔を有し、給水配管は、貫通孔を挿通して配置されるとよい。
かかる構成により、蓄熱槽に貯湯された湯水から断熱ブロックに伝導した(漏れた)熱を、給水配管を流通する低温水により回収することができる。また給水配管を断熱ブロックの貫通孔に挿通するため、給水配管も断熱ブロックに覆われることとなる。したがって、低温水が回収した熱の、ケーシング内の空気への移動を防ぐことができる。これらにより、熱回収効率の向上が可能となる。
当該貯湯式給湯装置は、蓄熱槽を収容する断熱ブロックを更に備え、断熱ブロックは水平方向で複数に分割されており、給水配管は、複数に分割された断熱ブロックを蓄熱槽の外側に取り付けた際の接合部に沿って配置されるとよい。
上記構成のように断熱ブロックが複数に分割されていることにより、蓄熱槽の外側に複数の断熱ブロックを取り付け、蓄熱槽を断熱ブロックに容易に収容することができる。そして、断熱ブロックの接合部に給水配管を配置することで、蓄熱槽に貯湯された湯水の、接合部から漏れた熱を、給水配管を流通する低温水により効率的に回収することができ、熱回収効率を向上させることが可能となる。
当該貯湯式給湯装置は、接合部に沿って設けられた配管の接合部と反対側を覆う断熱被覆を更に備えるとよい。
かかる構成によれば、給水配管および接合部は断熱被覆で覆われる。特に接合部が断熱被覆で覆われることにより、接合部から漏れた熱は断熱被覆で覆われた空間に貯留される。したがって、給水配管を流通する低温水は、かかる熱をより効率的に回収することができる。また給水配管が断熱被覆で覆われることで、低温水が回収した熱の、ケーシング内の空気への移動を防ぐことができ、熱回収効率の向上が可能となる。
当該貯湯式給湯装置は、蓄熱槽に隣接する空間を鉛直方向に分断する断熱仕切を更に備えるとよい。
上記構成によれば、蓄熱槽に隣接する空間は断熱仕切により鉛直方向で複数に分断される。これにより、蓄熱槽に隣接する空間が複数に分断されていない1つの空間である場合と比較して、空間における対流の速度を低下させることができ、かかる空間の空気と蓄熱槽表面との熱交換を抑制することが可能となる。
詳細には、空間における対流の速度が速いと、その空間の空気と蓄熱槽表面との熱交換が促進され、蓄熱槽に貯湯されている湯水の温度低下が加速する。したがって、空気と蓄熱槽表面との熱交換を抑制するためには、気流の速度を低下させる必要があり、気流の速度は、その空間の鉛直方向の幅(空間の高さ)を狭めると低下する。したがって、上記構成のように断熱仕切で蓄熱槽に隣接する空間を分断することにより、上述した利点が得られる。
上記の湯水生成装置はヒートポンプであるとよい。ヒートポンプは、物質間の熱移動(熱伝導)により熱(エネルギー)を取得する熱交換サイクルを利用している。このため、かかるヒートポンプを用いた給湯装置(ヒートポンプ型給湯器)は、化石燃料等を燃焼する従来の給湯器と比較し、省エネルギーおよび二酸化炭素排出量の削減が可能である。したがって、上記構成によれば、当該湯水生成装置を、環境負荷が低減された湯水生成装置とすることができる。
本発明によれば、湯水の放熱を回収して再利用することで、エネルギーの有効活用、および貯湯ユニット内部の温度低下の促進を図ることが可能な貯湯式給湯装置を提供することができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
なお以下の説明において、本実施形態では、湯水生成装置としてヒートポンプを備えたヒートポンプ式給湯装置を貯湯式給湯装置として例示するが、これに限らず、湯水を一時的にタンク等に貯湯し、貯湯されている湯水を供給する貯湯式の給湯装置であればよい。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる貯湯式給湯装置の構成を説明する図である。なお、図1において、黒色の太い実線は熱媒体が循環する配管を表しており、白抜きの線は水または湯水が流通する配管を示している。また図1中の矢印は、配管内における水または湯水の流れる方向を示しており、特に、黒色の矢印は高温水の流れる方向を、ハッチングの矢印は低温水の流れる方向を示す。
図1は、第1実施形態にかかる貯湯式給湯装置の構成を説明する図である。なお、図1において、黒色の太い実線は熱媒体が循環する配管を表しており、白抜きの線は水または湯水が流通する配管を示している。また図1中の矢印は、配管内における水または湯水の流れる方向を示しており、特に、黒色の矢印は高温水の流れる方向を、ハッチングの矢印は低温水の流れる方向を示す。
図1に示すように、貯湯式給湯装置(以下、給湯装置100と称する)は、湯水生成装置であるヒートポンプユニット110と、貯湯ユニット130から構成される。
ヒートポンプユニット110は、内部に自然冷媒である二酸化炭素(以下、熱媒体と称する)が循環しており、熱媒体の熱を用いて低温水(水)を加熱することにより後述する蓄熱槽132に貯湯する高温水(湯水)を生成する。またヒートポンプユニット110は、蓄熱槽132内に貯湯された湯水の温度低下によりかかる湯水の使用に支障をきたす場合には、その湯水の再加熱を行うこともある。
かかるヒートポンプユニット110は熱交換サイクルを利用しているため、省エネルギーおよび二酸化炭素排出量の削減が可能である。したがって、当該給湯装置100を、従来の燃焼式給湯装置よりも環境負荷が低減された給湯装置とすることができる。
上述したように、本実施形態では熱媒体として自然冷媒である二酸化炭素を用いるため、ヒートポンプユニット110は、後述する圧縮機114による圧縮過程と、放熱器116による放熱過程の間に熱媒体が超臨界状態となる超臨界サイクルを行う。超臨界サイクルは高圧で動作し、動作温度範囲内で相変化(気液変化)を行わないために、自由で幅の広い温度範囲と大きな熱搬送を設定することができる。また二酸化炭素は自然冷媒であるため、環境に対して無害である。したがって、環境への負荷を低減することが可能となる。
かかるヒートポンプユニット110は、蒸発器112と、圧縮機114と、放熱器116と、膨張手段118とを含んで構成される。
蒸発器112は、ヒートポンプユニット110内を循環する熱媒体と外気との熱交換を行う。かかる蒸発器112は空気熱交換器とも呼ばれる。これにより、熱媒体は、外気(大気中)の熱を吸熱して蒸発し、低温水を加熱するための熱を得ることができる。
圧縮機114は、外気の熱を吸熱して蒸発した熱媒体を電力を利用して圧縮する。これにより、熱媒体は高圧状態となり高熱を発生し、かかる熱を用いて後述する放熱器116において低温水を加熱することが可能となる。
放熱器116は、後述する蓄熱槽132から供給された低温水(水)を加熱し、高温水(湯水)を生成する。かかる放熱器116は水熱交換器とも呼ばれる。放熱器116は、圧縮機114により圧縮されて高温となった熱媒体と、蓄熱槽132から供給される低温水との熱交換を行う。これにより、熱媒体の熱を用いて低温水を加熱し高温水を生成することができる。
膨張手段118は、放熱器116において低温水と熱交換を行った後の熱媒体を減圧状態とし、膨張冷却する。これにより、かかる熱媒体が再度外気の熱を吸収することが可能となり、熱媒体を再利用することができる。なお、本実施形態では膨張手段118として膨張弁を用いるが、これに限定されるものではなく、低温水と熱交換を行った後の熱媒体を膨張冷却できるものであればよい。
貯湯ユニット130は、ヒートポンプユニット110により生成された高温水を貯湯し、使用者が必要とするときに、風呂、台所、洗面所等の給湯設備(図示せず)に湯水を供給する。かかる貯湯ユニット130は、そのケーシング130aの内部に収容される、蓄熱槽132と、沸き上げポンプ134と、給湯混合弁136と、給水弁138と、減圧弁139と、熱交換器140と、貯水槽142と、複数の配管とを含んで構成される。
本実施形態では、貯湯ユニット130のケーシング130aは、その内面が断熱材130b(図1中、ハッチングで示す。)で被覆されている。これにより、ケーシング130a内の加熱された空気が有する熱のケーシング130a外への放出が抑制されるため、後述する熱交換器140において低温水はより多くの熱を回収することができ、熱回収効率が向上する。
蓄熱槽132は、ヒートポンプユニット110により生成された高温水(湯水)を貯湯する。蓄熱槽132に貯湯される湯水には温度分布があり、蓄熱槽132の上方になるにつれ、高温の湯水が貯湯されている。
沸き上げポンプ134は、後述する循環配管150(本実施形態においては特に加熱用水配管150a)上に設けられ、蓄熱槽132を介して蓄熱槽給水配管154b(給水配管154)から供給される低温水を放熱器116へと送出し循環させる。
給湯混合弁136は、後述する出湯配管152、混合弁給水配管154a(給水配管154)、予熱水供給配管156、給湯配管158を接続される。かかる給湯混合弁136は、出湯配管152を通じて供給される蓄熱槽132からの高温水と、給水弁138を介して給水配管154から供給される低温水、または予熱水供給配管156を通じて供給される熱交換器140からの予熱水とを混合することで、湯水の温度を使用者が所望する温度に調節し、かかる湯水(混合した湯水)を給湯配管158を通じて給湯設備に供給する。
給水弁138は、後述する給水配管154の分岐部であり、給水配管154を通じて供給された低温水を、蓄熱槽132、給湯混合弁136および熱交換器140に供給する。減圧弁139は、給水配管154に設けられ、水道(図示せず)からかかる給水配管154に供給される低温水(水)の給水圧を減圧する。
熱交換器140は、放熱により加熱されたケーシング130a内の空気が有する熱を用いて、熱交換器給水配管154c(給水配管154)から供給される低温水を加熱して予熱水を生成する。すなわち熱交換器140は、加熱された空気の有する熱を回収し、かかる熱により低温水を加熱して予熱水を生成する。そして、上記の給湯混合弁136において、予熱水を、蓄熱槽132からの高温水に混合する水(湯水)として用いることで、高温水からケーシング130a内の空気に移動した熱(エネルギー)を再利用することが可能となる。したがって、高温水から空気に移動した熱を排熱とせず、エネルギーの有効活用を図ることができる。
本実施形態において、熱交換器140は、ケーシング130aの内部であって且つ蓄熱槽132の上方に設けられる。上述したように、蓄熱槽132にはヒートポンプユニット110において生成された高温水が貯湯されるため、ケーシング130a内では蓄熱槽132からの放熱が最も著しい。そして、蓄熱槽132からの放熱により加熱されて高温となった空気は、蓄熱槽132の上方に向かって上昇する。したがって、本実施形態のように蓄熱槽132の上方に熱交換器140を備えることで、熱交換器140に供給される低温水は、加熱された空気が有する熱を最も効率的に回収することが可能となる。これにより、熱交換器140に熱を回収された空気の温度(ケーシング130a内部の温度)が低下するため、かかるケーシング130a内に設けられる電子基板上の電気素子(図示せず)の早期の劣化を防止し、長寿命化を図ることが可能となる。
貯水槽142は、予熱水供給配管156上、且つ蓄熱槽132より上方に設けられ、熱交換器140において生成された予熱水を貯水する。これにより、熱交換器140において生成された予熱水を貯水槽142に一時的に貯留しておき、必要に応じて給湯混合弁136に供給することが可能となる。また貯水槽142が蓄熱槽132より上方に設けられているため、蓄熱槽132に貯湯された高温水からの放熱により加熱された空気の熱を、貯水槽142に貯湯された予熱水により回収することができる。したがって、熱回収効率の向上、且つ予熱水の温度低下の抑制を図れる。
複数の配管は、貯湯ユニット130内に設けられ、水または湯水が流通する。かかる複数の配管は、循環配管150と、出湯配管152と、給水配管154と、予熱水供給配管156と、給湯配管158とから構成される。
循環配管150は、蓄熱槽132とヒートポンプユニット110の放熱器116とにおいて水または湯水(低温水または高温水)を循環させる配管である。かかる循環配管150は、加熱用水配管150aと加熱水配管150bとからなる。
加熱用水配管150aは、一端が蓄熱槽132の下部に、他端が放熱器116の入口に接続されており、蓄熱槽132の下方の低温水を加熱用の水(加熱用水)として放熱器116に送出する。加熱水配管150bは、一端が放熱器116の出口に、他端が蓄熱槽132の上部に接続されており、放熱器116において生成された高温水を蓄熱槽132の上方に供給する。すなわち、加熱水配管150bは、放熱器116における加熱後の水(高温水)を蓄熱槽132に供給する加熱後配管である。
出湯配管152は、蓄熱槽132上方の高温水を給湯混合弁136に供給する配管である。
給水配管154は、給水弁138に接続され、減圧弁139において給水圧が減圧された低温水を当該貯湯ユニット130に供給する配管である。かかる給水配管154は、給水弁138において混合弁給水配管154aと、蓄熱槽給水配管154bと、熱交換器給水配管154cとに分岐する。
混合弁給水配管154aは、一端が給水弁138に、他端が給湯混合弁136に接続されており、給水配管154からの低温水を混合用の水として給湯混合弁136に供給する。蓄熱槽給水配管154bは、一端が給水弁138に、他端が蓄熱槽132の下部に接続されており、給水配管154からの低温水を補充用の水として蓄熱槽132に供給する。熱交換器給水配管154cは、一端が給水弁138に、他端が熱交換器140の入口に接続されており、給水配管154からの低温水を予熱水用の水として熱交換器140に供給する。
本実施形態では、熱交換器給水配管154c(給水配管154)は、ケーシング130aの天板の下面に沿って設けられる。上述したように、放熱により加熱された高温の空気はケーシング130a内を上昇するため、ケーシング130a内において最も高温な場所はケーシング130aの上方、すなわちケーシング130aの天板の直下である。したがって、本実施形態のように熱交換器給水配管154c(給水配管154)をケーシング130aの天板の下面に沿って設けることで、熱交換器給水配管154cを流通する低温水と、加熱された空気との接触頻度を増加させることができる。これにより、熱交換器140に供給される低温水は、熱交換器140内においてだけでなく、熱交換器給水配管154cを通過する際においても、加熱された空気の熱を回収することができるため、熱回収効率を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態において、給水配管154は、給水弁138において混合弁給水配管154aと、蓄熱槽給水配管154bと、熱交換器給水配管154cとに分岐するとしたが、これに限定するものではなく、給水弁138以外の部分において分岐してもよい。
給湯配管158は、出湯配管152を通じて蓄熱槽132から供給された高温水と、混合弁給水配管154aを通じて給水配管154から供給された低温水、または予熱水供給配管156を通じて熱交換器140から供給された予熱水とが給湯混合弁136において混合されることで温度調節された湯水(混合された湯水)を、給湯設備に給湯する。
当該給湯装置100において高温水を生成して貯湯する通常運転を行う場合、図1に示す矢印のように、まず、蓄熱槽給水配管154b(給水配管154)を通じて供給された蓄熱槽132の下方の低温水が、加熱用水配管150a(循環配管150)を通じて放熱器116に送出される。そして、かかる低温水は、放熱器116における熱媒体との熱交換により高温水(加熱水)となり、高温水は、加熱水配管150b(循環配管150)を通じて蓄熱槽132に供給され、貯湯される。
上述したように放熱器116(ヒートポンプユニット110)において生成された高温水は蓄熱槽132に貯湯されるが、このとき、加熱用水配管150aおよび蓄熱槽132において、高温水が有する熱がケーシング130a内に放熱され、そして、かかる放熱によりケーシング130a内の空気が加熱される。すると、ヒートポンプユニット110において高温水を生成するために用いられたエネルギーは有効活用されないこととなってしまい、またケーシング130a内の温度上昇により、かかるケーシング130a内に設けられる電子基板上の電気素子(特にアルミ電解コンデンサ)の劣化を早め、装置寿命が短くなるおそれがある。
したがって、本実施形態のようにケーシング130a内に熱交換器140を設けることで、加熱された空気の熱を、熱交換器140を流通する低温水により回収することができる。これにより、空気の温度、すなわちケーシング130a(貯湯ユニット130)内部の温度が低下するため、かかるケーシング130a内に設けられる電子基板上の電気素子の早期劣化を防ぎ、長寿命化を図ることが可能となる。特に、ケーシング130a内でも、高温水を大量に貯湯し、放熱が最も著しい蓄熱槽132の上方に熱交換器140を配置することにより、熱交換器における熱回収効率を最も高めることができる。
そして当該給湯装置100運転時に放熱器116において生成され、蓄熱槽132に貯湯された高温水を給湯設備に供給する場合、通常は、まず蓄熱槽132の上方に貯湯された高温水は出湯配管152を通じて給湯混合弁136に供給される。そして、蓄熱槽132から供給された高温水は、給湯混合弁136において、混合弁給水配管154a(給水配管154)から供給される低温水と混合され、その温度が調節される。温度が調節された湯水は、給湯配管158を通じて給湯設備に供給される。このようにして蓄熱槽132から供給された湯水の分の水量を補うために、蓄熱槽132には蓄熱槽給水配管154bから適宜水が供給される。
本実施形態においては、高温水へ混合する水(または湯水)として、低温水だけでなく、熱交換器140において生成された予熱水も用いることができる。すなわち、上述したように、熱交換器140において、放熱により加熱されたケーシング130a内の空気と、熱交換器給水配管154c(給水配管154)から供給される低温水とが熱交換を行うことで、低温水が加熱されて予熱水が生成される。そして、生成された予熱水を高温水に混合する湯水として用いることで、蓄熱槽132に貯湯された高温水からケーシング130a内の空気に移動した熱(エネルギー)を再利用することが可能となる。したがって、高温水から空気に移動した熱が排熱とされないため、放熱器116において高温水の生成に用いられたエネルギーの有効活用を図ることができる。
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態にかかる貯湯式給湯装置の構成を説明する図である。図2(a)に示すように、貯湯式給湯装置(以下、給湯装置200と称する)は、湯水生成装置(以下、ヒートポンプユニット110と称する)と、貯湯ユニット230から構成される。なお、図2においても、黒色の太い実線は熱媒体が循環する配管を表しており、白抜きの線は水または湯水が流通する配管を示している。また、以下の説明において、第1実施形態と同様の要素および構成については、同一の符号を付することでその説明を省略する。
図2は、第2実施形態にかかる貯湯式給湯装置の構成を説明する図である。図2(a)に示すように、貯湯式給湯装置(以下、給湯装置200と称する)は、湯水生成装置(以下、ヒートポンプユニット110と称する)と、貯湯ユニット230から構成される。なお、図2においても、黒色の太い実線は熱媒体が循環する配管を表しており、白抜きの線は水または湯水が流通する配管を示している。また、以下の説明において、第1実施形態と同様の要素および構成については、同一の符号を付することでその説明を省略する。
貯湯ユニット230は、ヒートポンプユニット110により生成された湯水を貯湯し、使用者が必要とするときに、風呂、台所、洗面所等の給湯設備(図示せず)に湯水を供給する。かかる貯湯ユニット230は、そのケーシング230aの内部に収容される、蓄熱槽232と、沸き上げポンプ134と、給水弁138と、減圧弁139と、熱交換器140と、断熱ブロック234と、断熱トラップ236と、複数の配管と、集合管断熱材238と、蓄熱槽給湯弁240と、給湯混合弁242と、を含んで構成される。
蓄熱槽232は、ヒートポンプユニット110により生成された高温水(湯水)を貯湯する。本実施形態にかかる蓄熱槽232は、鉛直方向の略中間に配置された中間取水口232aを備える。上述したように、蓄熱槽232は、その上方に、ヒートポンプユニット110において生成された高温水が、その下方に、給湯設備に供給された湯水の量を補うための低温水が供給されるため、蓄熱槽232に貯湯された湯水には温度差(温度分布)が生じている。故に、蓄熱槽232の上方には高温水、下方には低温水が存在し、略中間部分には高温と低温の略中間の温度の湯水、すなわち中温水(中温の湯水)が存在する。したがって、本実施形態にかかる蓄熱槽232によれば、中間取水口232aを備えるため、かかる中間取水口232aから中温付近の湯水(中温水)を取水することができる。
なお、本実施形態においては蓄熱槽232が備える中間取水口232aは1つであるが、これに限定するものではなく、かかる蓄熱槽232は中間取水口232aを2つ以上備えてもよい。
断熱ブロック234は、蓄熱槽232を収容する断熱材である。これにより、蓄熱槽232に供給される湯水(特に高温水)からの放熱を抑制することができる。図2(b)は、図2(a)のA−A断面図である。図2(b)に示すように、断熱ブロック234は、熱交換器給水配管254c(給水配管154)を挿通される貫通孔234aを有する。これにより、蓄熱槽232に貯湯された湯水から断熱ブロック234に伝導した(漏れた)熱を、熱交換器給水配管254cを流通する低温水により回収することができる。
断熱トラップ236は、熱交換器給水配管254c(給水配管154)の上方に設けられる略板状の断熱材であり、加熱された空気を滞留させる。これにより、放熱で加熱された空気の、断熱トラップ236より上への上昇が阻止される。したがって、加熱された空気は、ケーシング230aの上方(ケーシング230aの天板直下)まで上昇せず、熱交換器給水配管254cの上方且つ断熱トラップ236の下方の空間(熱交換器給水配管254cの近傍)に滞留(存在)することとなる。これにより、熱交換器給水配管254cを流通する低温水と、加熱された空気との熱交換(熱伝導)が容易に行われるようになるため、熱回収効率を向上させることが可能となる。
複数の配管は、貯湯ユニット230内に設けられ、水または湯水が流通する。かかる複数の配管は、循環配管150と、出湯配管252と、給水配管254と、予熱水供給配管156と、給湯配管158とから構成される。
出湯配管252は、蓄熱槽232に貯湯された湯水を給湯混合弁136に供給する配管である。かかる出湯配管252は、後述する蓄熱槽給湯弁240において、高温水出湯配管252aと、中温水出湯配管252bとに分岐する。
高温水出湯配管252aは、一端が蓄熱槽232の上方に、他端が後述する蓄熱槽給湯弁240に接続されており、蓄熱槽232上方に貯湯された高温水を蓄熱槽給湯弁240を介して給湯混合弁136に供給する。中温水出湯配管252bは、一端が蓄熱槽232の中間取水口232aに、他端が後述する蓄熱槽給湯弁240に接続されており、蓄熱槽232の略中間に貯湯された中温水を蓄熱槽給湯弁240を介して給湯混合弁242に供給する。
給水配管254は、給水弁138に接続され、減圧弁139において給水圧が減圧された低温水を当該貯湯ユニット230に供給する配管である。かかる給水配管254は、給水弁138において混合弁給水配管254aと、蓄熱槽給水配管154bと、熱交換器給水配管254cとに分岐する。
混合弁給水配管254aは、一端が給水弁138に、他端が給湯混合弁242に接続されており、給水配管254からの低温水を混合用の水として給湯混合弁242に供給する。蓄熱槽給水配管254bは、一端が給水弁138に、他端が蓄熱槽132の下部に接続されており、給水配管254からの低温水を補充用の水として蓄熱槽132に供給する。熱交換器給水配管254cは、一端が給水弁138に、他端が熱交換器140の入口に接続されており、給水配管254からの低温水を予熱水用の水として熱交換器140に供給する。
本実施形態においては、熱交換器給水配管254c(給水配管254)は、蓄熱槽232を収容する断熱ブロック234が有する貫通孔234aを挿通して配置される。これにより、蓄熱槽232だけでなく熱交換器給水配管254cも断熱ブロック234に覆われることとなる。したがって、熱交換器給水配管254cを流通する低温水が断熱ブロック234において回収した熱(断熱ブロック234に漏れた蓄熱槽232の湯水の放熱)の、ケーシング230a内の空気への移動を防ぐことができ、熱回収効率の向上が可能となる。
また本実施形態において、熱交換器給水配管254c(給水配管254)は、高温水を蓄熱槽232に供給する加熱水配管150b(加熱後配管)の上方に配置される。これにより、熱交換器給水配管254cを流通する低温水は、ヒートポンプユニット110において生成された高温水が蓄熱槽232に供給されるまでの間(加熱水配管150bを通過する間)に放出する熱を効率的に回収することが可能となり、熱回収効率を向上させることができる。
更に本実施形態において、上述したように上下に配置された加熱水配管150b、および熱交換器給水配管254c(給水配管254)は、集合管断熱材238によりまとめて包囲される。
図2(c)は、図2(a)のB−B断面図である。図2(c)に示すように、集合管断熱材238により包囲されることで、加熱水配管150b、および熱交換器給水配管254cは、集合管断熱材238により包囲された(形成された)空間に収容されることとなる。したがって、加熱水配管150bを通過する高温水の熱は、ケーシング230a内の空間全体にではなく、かかる空間に放出される。そして、熱交換器給水配管254cもまとめて包囲されていることから、熱交換器給水配管254cを流通する低温水は、高温水からかかる空間に放出された熱を高効率で回収することが可能となる。
なお、本実施形態においては、加熱水配管150bを断熱材で包囲していないが、図2(c)のB’−B’断面図に示すように、加熱水配管150bを断熱材150cで包囲することも可能である。これにより、加熱水配管150bを流通する高温水からの放熱をより抑制することが可能となる。
蓄熱槽給湯弁240は、出湯配管252の分岐部であり、高温水出湯配管252aを通じて供給された高温水、または中温水出湯配管252bを通じて供給された中温水を、出湯配管252を通じて給湯混合弁242に供給する。
給湯混合弁242は、予熱水供給配管156、給湯配管158、出湯配管252、混合弁給水配管254a(給水配管254)を接続される。かかる給湯混合弁242は、出湯配管252から供給される高温水または中温水と、予熱水供給配管156から供給される予熱水、または給水配管254から供給される低温水とを混合することで、湯水の温度を使用者が所望する温度に調節し、かかる湯水(混合した湯水)を給湯配管158を通じて給湯設備に供給する。
上述したように、第2実施形態にかかる給湯装置200によれば、中間取水口232aを備えることで、高温水と予熱水を混合した湯水だけでなく、中温水と予熱水とを混合した湯水をも給湯することが可能となる。したがって、中温水と予熱水とを混合した湯水を、然程高い温度(高温)を必要としない用途、例えば床暖房用や除霜用に用いることができる。また、断熱ブロック234、断熱トラップ236、および集合管断熱材238等を備えることで、高温水からケーシング230a内の空気への放熱や、ケーシング230a内からケーシング230a外への放熱を抑制することができ、熱交換器140における熱回収効率を向上することが可能となる。
(第3実施形態)
図3は、第3実施形態にかかる貯湯式給湯装置の構成を説明する図である。図3(a)に示すように、貯湯式給湯装置(以下、給湯装置300と称する)は、湯水生成装置(以下、ヒートポンプユニット110と称する)と、貯湯ユニット330から構成される。なお、図3においても、黒色の太い実線は熱媒体が循環する配管を表しており、白抜きの線は水または湯水が流通する配管を示している。また、以下の説明において、第1実施形態と同様の要素および構成については、同一の符号を付することでその説明を省略する。
図3は、第3実施形態にかかる貯湯式給湯装置の構成を説明する図である。図3(a)に示すように、貯湯式給湯装置(以下、給湯装置300と称する)は、湯水生成装置(以下、ヒートポンプユニット110と称する)と、貯湯ユニット330から構成される。なお、図3においても、黒色の太い実線は熱媒体が循環する配管を表しており、白抜きの線は水または湯水が流通する配管を示している。また、以下の説明において、第1実施形態と同様の要素および構成については、同一の符号を付することでその説明を省略する。
貯湯ユニット330は、ヒートポンプユニット110により生成された湯水を貯湯し、使用者が必要とするときに、風呂、台所、洗面所等の給湯設備(図示せず)に湯水を供給する。かかる貯湯ユニット330は、そのケーシング330aの内部に収容される、蓄熱槽132と、沸き上げポンプ134と、給湯混合弁136、給水弁138と、減圧弁139と、熱交換器140と、断熱ブロック332と、複数の配管と、断熱被覆334と、吸水手段336と、断熱仕切338と、を含んで構成される。
断熱ブロック332は、蓄熱槽132を収容する断熱材である。これにより、蓄熱槽132に供給される湯水(特に高温水)からの放熱を抑制することができる。図3(b)は、図3(a)のC−C断面図である。図3(b)に示すように、断熱ブロック332は、水平方向で分割された複数の断熱ブロック332aおよび332bから構成される。これにより、蓄熱槽132の外側に複数の断熱ブロック332aおよび332bを取り付け、蓄熱槽132を断熱ブロック332に容易に収容することができる。
また断熱ブロック332は、貫通孔332cを有する。本実施形態ではかかる貫通孔332cに、加熱水配管150bを挿通する。これにより、ヒートポンプユニット110で生成された高温水を蓄熱槽132に供給する際の加熱水配管150bにおける放熱を抑制することができ、ケーシング330a内の空気の温度上昇を防ぐことが可能となる。
なお、本実施形態においては、断熱ブロック332が有する貫通孔332cに加熱水配管150bを挿通したが、これに限定するものではなく、貫通孔332cには、加熱水配管150bまたは熱交換器給水配管154cのいずれかを挿通することができる。
複数の配管は、貯湯ユニット130内に設けられ、水または湯水が流通する。かかる複数の配管は、第1実施形態と同様に、循環配管150と、出湯配管152と、給水配管154と、予熱水供給配管156と、給湯配管158とから構成される。
なお、本実施形態においては、上記の複数の配管のうち、特に熱交換器給水配管154c(給水配管)は、複数に分割された断熱ブロック332aおよび332bを蓄熱槽232の外側に取り付けた際の接合部332dに沿って配置される。
再度図3(b)を参照するとわかるように、複数の断熱ブロック332aおよび332bを蓄熱槽132に取り付けると接合部332dが生じる。このため、断熱ブロック332に収容された蓄熱槽132および加熱水配管150bに存在する高温水から放出された熱が、接合部332dから断熱ブロック332の外に漏出してしまう。したがって、上記構成のように熱交換器給水配管154c(給水配管)を接合部332dに沿って配置することで、熱交換器給水配管154cを流通する低温水により、接合部332dから漏出した熱を回収することができ、熱回収効率を向上させることが可能となる。
更に、本実施形態においては、上述したように接合部332dに沿って配置した熱交換器給水配管154cの、接合部332dと反対側を、断熱被覆334により覆う(図3(b)参照)。これにより、熱交換器給水配管154c、およびこれを配置された接合部332dは断熱被覆334で覆われることとなる。したがって、接合部332dから漏れた熱は断熱被覆334で覆われた空間に貯留されるため、熱交換器給水配管154cを流通する低温水は、かかる熱をより効率的に回収することができる。また熱交換器給水配管154cが断熱被覆334で覆われることで、低温水が回収した熱の、ケーシング330a内の空気への移動を防ぐことができ、熱回収効率の向上が可能となる。
なお、本実施形態においては、複数の断熱ブロック332aおよび332bにより形成される接合部332dのうち、一方(図3(b)左側)の接合部332dのみに、熱交換器給水配管154cおよび断熱被覆334を設けたがこれに限定するものではなく、熱交換器給水配管154cおよび断熱被覆334は、他方(図3(b)右側)の接合部332d、または両方の接合部332dに設けてもよい。
吸水手段336は、吸水性を有する部材から構成され、熱交換器140の鉛直方向下方に配置される。加熱された空気が熱交換器140において吸熱されると、その温度が低下し、かかる温度が露点温度を下回ると、気体となって空気に含まれていた水は凝結して液体となり(結露し)、熱交換器140の表面に水滴が付着する。この水滴が、ケーシング330a内に飛散すると、ケーシング330a内面や配管における錆の発生や、電子基板の損傷の原因となるおそれがある。したがって、上記構成によれば、熱交換器140に結露し、落下した水滴を吸水手段336により吸収することでき、ケーシング330a内への水滴の飛散を防ぐことが可能となる。
断熱仕切338は、蓄熱槽132に隣接する空間を鉛直方向に分断する。図4は、蓄熱槽132に隣接する空間における対流を説明する図である。図4(a)は、ケーシング330a内に断熱仕切338を備えない場合を、図4(b)は、ケーシング330a内に断熱仕切338を備える場合を示す。
蓄熱槽132に隣接する空間の空気と、蓄熱槽132表面との熱交換の効率は、かかる空間における対流の速度に依存する。すなわち、空間における対流の速度が速いと、空気と蓄熱槽132表面との熱交換の効率は高くなり(熱交換が促進され)、対流の速度が遅いと、熱交換の効率は低くなる(熱交換が抑制される)。したがって、空間の空気と蓄熱槽132表面との熱交換を抑制し、蓄熱槽132に貯湯された湯水(特に高温水)からの放熱量を低減するためには、対流の速度を低下させることが有効である。
そこで、本実施形態では、図4(b)に示すように、断熱仕切338により、蓄熱槽132に隣接する空間を鉛直方向に分断する。これにより、空間の鉛直方向の幅(空間の高さ)を狭め、気流の速度を低下させることができる。したがって、図4(a)に示すように、蓄熱槽132に隣接する空間が複数に分断されていない1つの空間である場合と比較して、空間における対流の速度を低下させることができ、かかる空間の空気と蓄熱槽132表面との熱交換を抑制することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態にかかる給湯装置100、200、および300によれば、蓄熱槽132および232の上方に設けられた熱交換器140を用いて、加熱された空気が有する熱を回収することができる。これにより、熱交換器140に熱を回収された空気の温度、すなわちケーシング130a、230a、330a内部の温度が低下するため、かかるケーシング130a、230a、330a内に設けられる電子基板上の電気素子の早期の劣化を防ぎ、長寿命化を図ることが可能となる。
また、熱交換器140において、加熱された空気から回収した熱を用いて低温水(水)を加熱して予熱水を生成し、かかる予熱水と高温水とを混合した湯水を給湯することで、蓄熱槽132および232に貯湯された高温水からケーシング130a、230a、330a内の空気に移動した熱(エネルギー)を再利用することが可能となる。したがって、高温水から空気に移動した熱が排熱とされないため、湯水生成装置(ヒートポンプユニット)において高温水の生成に用いられたエネルギーの有効活用を図ることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、水を加熱して生成した湯水を貯湯し、貯湯した湯水を給湯設備に供給する貯湯式給湯装置として利用することができる。
100 …給湯装置
110 …ヒートポンプユニット
112 …蒸発器
114 …圧縮機
116 …放熱器
118 …膨張手段
130 …貯湯ユニット
130a …ケーシング
130b …断熱材
132 …蓄熱槽
134 …ポンプ
136 …給湯混合弁
138 …給水弁
139 …減圧弁
140 …熱交換器
142 …貯水槽
150 …循環配管
150a …加熱用水配管
150b …加熱水配管
150c …断熱材
152 …出湯配管
154 …給水配管
154a …混合弁給水配管
154b …蓄熱槽給水配管
154c …熱交換器給水配管
156 …予熱水供給配管
158 …給湯配管
200 …給湯装置
230 …貯湯ユニット
230a …ケーシング
232 …蓄熱槽
232a …中間取水口
234 …断熱ブロック
234a …貫通孔
236 …断熱トラップ
238 …集合管断熱材
240 …蓄熱槽給湯弁
242 …給湯混合弁
252 …出湯配管
254 …給水配管
254a …混合弁給水配管
254b …蓄熱槽給水配管
254c …熱交換器給水配管
300 …給湯装置
330 …貯湯ユニット
330a …ケーシング
332 …断熱ブロック
332a …ブロック
332b …ブロック
332c …貫通孔
332d …接合部
334 …断熱被覆
336 …吸水手段
338 …断熱仕切
110 …ヒートポンプユニット
112 …蒸発器
114 …圧縮機
116 …放熱器
118 …膨張手段
130 …貯湯ユニット
130a …ケーシング
130b …断熱材
132 …蓄熱槽
134 …ポンプ
136 …給湯混合弁
138 …給水弁
139 …減圧弁
140 …熱交換器
142 …貯水槽
150 …循環配管
150a …加熱用水配管
150b …加熱水配管
150c …断熱材
152 …出湯配管
154 …給水配管
154a …混合弁給水配管
154b …蓄熱槽給水配管
154c …熱交換器給水配管
156 …予熱水供給配管
158 …給湯配管
200 …給湯装置
230 …貯湯ユニット
230a …ケーシング
232 …蓄熱槽
232a …中間取水口
234 …断熱ブロック
234a …貫通孔
236 …断熱トラップ
238 …集合管断熱材
240 …蓄熱槽給湯弁
242 …給湯混合弁
252 …出湯配管
254 …給水配管
254a …混合弁給水配管
254b …蓄熱槽給水配管
254c …熱交換器給水配管
300 …給湯装置
330 …貯湯ユニット
330a …ケーシング
332 …断熱ブロック
332a …ブロック
332b …ブロック
332c …貫通孔
332d …接合部
334 …断熱被覆
336 …吸水手段
338 …断熱仕切
Claims (14)
- 低温水を加熱することにより高温水を生成する湯水生成装置と、
前記高温水を貯湯する蓄熱槽と、
前記蓄熱槽を収容するケーシングと、
前記ケーシングの内部であって前記蓄熱槽の上方に設けられ、該ケーシング内の加熱された空気によって低温水を加熱して予熱水を生成する熱交換器と、
少なくとも前記熱交換器に前記低温水を供給する給水配管と、
前記予熱水と前記高温水とを混合した湯水を給湯する給湯配管と、
を備えることを特徴とする貯湯式給湯装置。 - 前記蓄熱槽は、鉛直方向の略中間に配置された1つ以上の中間取水口を備え、
当該貯湯式給湯装置は、前記予熱水と、前記中間取水口から取水した中温水とを混合した湯水を給湯することを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。 - 前記給水配管は、前記ケーシングの天板の下面に沿って設けられることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
- 当該貯湯式給湯装置は、前記給水配管の上方に、略板状の断熱材からなり、前記加熱された空気を滞留させる断熱トラップを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記給水配管は、前記高温水を前記蓄熱槽に供給する加熱後配管の上方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
- 当該貯湯式給湯装置は、前記給水配管および前記加熱後配管をまとめて包囲する集合管断熱材を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の貯湯式給湯装置。
- 当該貯湯式給湯装置は、前記予熱水を貯留する貯水槽を更に備え、
前記貯水槽は、前記蓄熱槽より上方に設けられることを特徴する請求項1に記載の貯湯式給湯装置。 - 当該貯湯式給湯装置は、前記熱交換器の鉛直方向下方に配置された吸水手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記ケーシングは、その内面が断熱材で被覆されることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
- 当該貯湯式給湯装置は、前記蓄熱槽を収容する断熱ブロックを更に備え、
前記断熱ブロックは貫通孔を有し、
前記給水配管は、前記貫通孔を挿通して配置されることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。 - 当該貯湯式給湯装置は、前記蓄熱槽を収容する断熱ブロックを更に備え、
前記断熱ブロックは水平方向で複数に分割されており、
前記給水配管は、前記複数に分割された断熱ブロックを前記蓄熱槽の外側に取り付けた際の接合部に沿って配置されることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。 - 当該貯湯式給湯装置は、前記接合部に沿って設けられた配管の該接合部と反対側を覆う断熱被覆を更に備えることを特徴とする請求項11に記載の貯湯式給湯装置。
- 当該貯湯式給湯装置は、前記蓄熱槽に隣接する空間を鉛直方向に分断する断熱仕切を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記湯水生成装置はヒートポンプであることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
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---|---|---|---|
JP2009049954A JP2010203686A (ja) | 2009-03-03 | 2009-03-03 | 貯湯式給湯装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014001904A (ja) * | 2012-06-20 | 2014-01-09 | Mitsubishi Electric Corp | 貯湯式給湯機 |
CN103776164A (zh) * | 2014-02-28 | 2014-05-07 | 无锡同春新能源科技有限公司 | 锂离子电池供电的空气源热泵热水机 |
JP2016217563A (ja) * | 2015-05-15 | 2016-12-22 | 株式会社コロナ | 貯湯式給湯機 |
WO2018066036A1 (ja) * | 2016-10-03 | 2018-04-12 | 三菱電機株式会社 | 貯湯式給湯機 |
-
2009
- 2009-03-03 JP JP2009049954A patent/JP2010203686A/ja active Pending
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