以下、図を参照して、この発明の実施形態につき説明する。なお、各図は、この発明に係る一構成例を示し、この発明が理解できる程度に各構成要素の配置関係等を概略的に示しているに過ぎず、この発明を図示例に限定するものではない。
まず、この発明のCDM送受信装置の構成及びその動作の説明に先立ち、従来のCDM送受信装置の構成及びその動作の説明を行う。この発明のCDM送受信装置の構成及びその動作の理解に資するため、この発明のCDM送受信装置の構成及びその動作と共通する事項については、予め、従来のCDM送受信装置の構成及びその動作の説明において行っておくものとする。なお、ここでは、従来及びこの発明のCDM送受信装置として、COF-PONシステムが利用される例を取り上げるが、この発明は、COF-PONシステムを利用するCDM送受信装置に限定されるわけではない。
<符号分割多重送受信装置>
図1〜図4を参照して、従来のCDM送受信装置の構成及びその動作の説明を行う。図1は、従来のCDM送受信装置の概略的ブロック構成図である。図1に示すCDM送受信装置は、中央局に対してN台の端末装置(Nは2以上の整数)が接続されて構成されており、一例として、中央局からN台の端末装置に信号が送られる場合を想定してある。すなわち、図1には、中央局が送信装置10を具えているものとして、送信装置10に対してN台の端末装置30-1〜30-Nが接続されて構成される、従来のCDM送受信装置の例を示してある。
図1には、光ファイバ伝送路12の一端に光合分岐器20を設け、この光合分岐器20から端末装置の数に等しい分岐光ファイバ伝送路14-1〜14-Nが接続されて構成されるPONを介して、送信装置10と端末装置30-1〜30-Nが接続されて構成される光アクセスネットワークシステムを示している。しかしながら、送信装置10と端末装置30-1〜30-Nとの接続には、光ファイバによって構成されるPONに限定されることなく、メタル伝送路あるいは、無線によっても接続することが可能である。
送信装置10と端末装置30-1〜30-Nとの接続にPONを利用する場合には、送信装置10に電気信号を光信号に変換する素子が必要となり、また端末装置には光信号を電気信号に変換する素子が必要である。また、送信装置10と端末装置30-1〜30-Nとの接続に無線を利用する場合には、送信装置10には電気信号を電波にして送信する装置が必要となり、また端末装置には電波を受信して電気信号に変換する装置が必要である。しかしながら、これらの素子あるいは装置が必要であり、また、これらの素子あるいは装置を、送信装置10あるいは端末装置30-1〜30-Nにどのように組み込めばよいかは当業者にとって自明なことであり、かつこの発明の本質的な構成部分でないので、以下の説明では、これらの素子あるいは装置についての説明は省略する。
送信装置10は、Nチャンネルの信号を符号分割多重してCDM信号を生成して、端末装置30-1〜30-Nのそれぞれに送信する。端末装置30-1〜30-Nのそれぞれは、送信装置10から送られてきたCDM信号から、自己に割り当てられている符号を用いて相関処理をして、自己に送信された送信信号を分離再生することによって受信する。
端末装置30-1〜30-Nのそれぞれは、第1〜第Nチャンネルが一対一に割り当てられ、第1〜第Nチャンネルのそれぞれには相異なる符号が割り当てられている。従って、第jチャンネル(jは1〜Nまでの全ての整数)を割り当てられている端末装置30-jは、送信装置10から送られてきたCDM信号を、第jチャンネルに割り当てられた符号によって相関処理して、第jチャンネルに割り当てられた符号の自己相関成分を抽出して、この自己相関成分から閾値処理によって、自己に送信された送信信号を分離再生することによって受信する。
(送信装置)
図2は、従来のCDM送受信装置の送信装置10の概略的ブロック構成図である。送信装置10は、第1〜第Nチャンネルのそれぞれの送信信号が符号化された符号化送信信号を多重してCDM信号を生成して、端末装置30-1〜30-Nに送信する機能を有している。端末装置30-1〜30-Nは、それぞれ自己に割り当てられているチャンネルに対応する符号によって復号化して、自己に送られてきた信号を再生する機能を有している。
送信装置10は、第1〜第Nチャンネルのそれぞれの送信信号を生成して出力する信号生成部40-1〜40-Nと、符号化部42-1〜42-Nと、多重部46とを具えている。信号生成部40-1〜40-Nは、それぞれ送信信号41-1〜41-Nを生成して出力する。符号化部42-1〜42-Nは、それぞれ送信信号41-1〜41-Nを入力されて、符号化送信信号43-1〜43-Nを生成して出力する。多重部46は、符号化送信信号43-1〜43-Nを多重してCDM信号47を生成し出力する。
符号化部42-1〜42-Nには、それぞれ第1〜第Nチャンネルに割り当てられた符号が設定されており、入力される送信信号41-1〜41-Nが、それぞれに設定されている符号によって符号化される。
符号化部42-1〜42-Nに設定される符号は、「1」及び「0」、あるいは「1」及び「-1」の2値からなる数列として表現することができ、例えば、符号化部42-1に設定されている符号を(1, 0, 0, 1)、符号化部42-2に設定されている符号を(1, 0, 1, 0)等と表記することが可能である。符号化部42-3〜42-Nについても同様であるが、ここでは、説明の便宜上、N=2として、符号化部42-1及び符号化部42-2を取り上げる。
上述したように、符号化部42-1及び符号化部42-2に設定される符号は、「1」及び「0」、あるいは「1」及び「-1」の2値からなる数列として表現することができるので、これを一般的な数列表現として、以後、符号を(C1, C2,...,CM)、(C1-1, C1-2,..., C1-M)あるいは、(Ca1-1, Ca1-2,...,Ca1-M)等で示す。すなわち、Cpが「1」または「0」のいずれか、あるいは「1」及び「-1」のいずれかの値をとる。ここで、pは、1, 2,..., M,(1-1), (1-2),..., (1-M), (a1-1), (a1-2),..., (a1-M)等を示し、符号を与える数列の各項を識別するための符丁(下つき文字:subscript)である。後述するように、符号を与える数列の項はチップと呼ばれることもある。従って、pはチップを識別するための下つき文字である。ここで、Mは2以上の整数である。
符号を規定する一般項Cpからなる数列の項数(上述の例ではM)を符号長ということもある。すなわち、符号(C1, C2,...,CM)の符号長はMであり、数列(1, 0, 0, 1)あるいは数列(1, 0, 1, 0)で与えられる符号の符号長は、これらの数列の項数が4であるから符号長は4であることになる。また、符号を与える数列を符号列といい、符号列の各項、すなわち「0」及び「1」をチップということもある。そして、0及び1そのものを符号値ということもある。従って、Cpは、符号値を与える変数である。
送信信号を構成するパルスの一つ一つが、符号化部において、その符号化部に設定されている符号によって、時間軸上に符号長に等しい数のチップパルスに変換される。ここで、符号は、入力される送信信号を構成する一つ一つのパルスを、それぞれ時間軸上に複数個のチップパルスとして時間拡散するために利用されるので、拡散符号と呼称されることもある。ただし、以後の説明においては、簡便化のために、特に混乱が生じない範囲で、拡散符号を単に符号ということもある。
ここで、送信信号が符号化される原理を、符号長が4である符号(1, 0, 0, 1)あるいは(1, 0, 1, 0)によって符号化する場合を例にとって説明する。この説明は、符号長が4以外の場合であっても同様に成立することは明らかである。
送信信号を符号化するにあたっては、送信信号の1ビットに割り当てられる時間スロットに対して、符号を構成する4チップが割り当てられる。すなわち、時間軸上で、送信信号の1ビット内に符号を規定する、数列(1, 0, 0, 1)あるいは(1, 0, 1, 0)に対応する符号化信号が完全に収まるように、時間軸上に配置される。
送信信号を符号長4の符号で符号化するという意味は、送信信号(以後「D」と表すこともある。)と符号(以後「C」と表すこともある。)との積D×Cを求めることに相当する。
積D×Cを求めるための符号化処理回路(符号化部)には、例えば、排他的論理和演算EXOR(エクスクルシーブ・オア)ゲートの出力にインバータを接続したゲート回路であるEXNOR(エクスクルシーブ・ノア)回路を用いることができる。この場合には、1と0との2値信号として表した送信信号及び符号化送信信号等を、1と-1の2値信号に変換する。具体的には、送信信号及び符号化送信信号のバイアス電圧を調整して、これらの信号の振幅の中心を0 Vの水準に変更すればよい。
ここで、符号化部42-1において、送信信号が(1, 0, 1,...)である場合を例にして、符号化部42-1に設定されている符号(1, 0, 0, 1)による符号化について具体的に説明する。
符号化部42-1に入力される送信信号を、(1, 0, 1, 1,...)であるとして説明する。もちろん、これ以外の(1, 1, 0, 0,...)等であっても以下の説明はそのまま成り立つ。まず、送信信号(1, 0, 1, 1,...)を、1と-1の2値信号(1, -1, 1, 1,...)に変換する。また同様に、符号化部42-1に入力される送信信号を符号化するために利用する符号(1, 0, 0, 1)を1と-1の2値信号(1, -1, -1, 1)に変換する。
上述したように、第1チャンネルの送信信号の第1番目のビットは「1」であり、第2番目のビットは「0」であり、第3番目のビットは「1」である。ここで、第1チャンネルの送信信号が、(1, -1, -1, 1)で与えられる符号で符号化されるとは、第1番目のビットである「1」が(1, -1, -1, 1)で与えられる符号で符号化され、第2番目のビットである「-1」が(1, -1, -1, 1)で与えられる符号で符号化され、第3番目のビットである「1」が(1, -1, -1, 1)で与えられる符号で符号化されることを意味する。第4番目以降のビットが符号化されることも同様である。
送信信号Dを符号Cで符号化するということは、積D×Cを求めることに相当するから、送信信号の第1番目のビットである「1」は、(Dの第1番目のビット(1))×C(1, -1, -1, 1)=(1×1, 1×(-1), 1×(-1), 1×1)=(1, -1, -1, 1)と符号化される。送信信号の第2番目のビットである「-1」は、(Dの第2番目のビット(-1))×C(1, -1, -1, 1)=((-1)×1, (-1)×(-1), (-1)×(-1), (-1)×1)=(-1, 1, 1, -1)と符号化される。第3番目のビットについても同様である。したがって、符号化部42-1から出力される符号化送信信号は、上述の説明のように((1, -1, -1, 1),(-1, 1, 1, -1),(1, -1, -1, 1),...)=(1, -1, -1, 1、-1, 1, 1, -1, 1, -1, -1, 1,...)となる。
一般に、送信信号の「1」で与えられるビットが符号(C1, C2, C3, C4)で符号化されると、1×(C1, C2, C3, C4)=(C1, C2, C3, C4)となる。また、送信信号の「-1」で与えられるビットが符号(C1, C2, C3, C4)で符号化されると、(-1)×(C1, C2, C3, C4)=(-C1, -C2, -C3, -C4)となる。
次に、符号化部42-2に入力される送信信号を、(1, 0, 1, 0,...)であるとして説明する。もちろん、これ以外の(1, 1, 1,...)等であっても以下の説明はそのまま成り立つ。ここでも、送信信号(1, 0, 1, 0,...)を1と-1の2値信号(1, -1, 1, -1,...)に変換する。また同様に、符号化部42-2に入力される送信信号を符号化するために利用する符号(1, 0, 1, 0)を1と-1の2値信号(1, -1, 1, -1)に変換する。
符号化部42-2に入力される送信信号が符号(1, 0, 1, 0)を1と-1の2値信号に変換した(1, -1, 1, -1)で符号化する場合も、上記の符号化部42-1に入力される送信信号の場合と同様である。送信信号の第1番目のビットである「1」は、(Dの第1番目のビット(1))×C(1, -1, 1, -1)=(1×1, 1×(-1), 1×1, 1×(-1)=(1, -1, 1, -1)と符号化される。送信信号の第2番目のビットも「1」であるからDの第2番目のビットも(1, -1, 1, -1)と符号化される。
第3番目のビットは「-1」であるから(Dの第3番目のビット(-1))×C(1, -1, 1、-1)=((-1)×1, (-1)×(-1), (-1)×1, (-1)×(-1)=(-1, 1, -1, 1)と符号化される。したがって、符号化部42-2に入力される送信信号が符号化されて得られる符号化送信信号は、上述の説明のように((1, -1, 1, -1),(1, -1, 1, -1),(-1, 1, -1, 1))=(1, -1, 1, -1, 1, -1, 1, -1, -1, 1, -1, 1,...)となる。
符号化部42-1から出力される符号化送信信号(1, -1, -1, 1, -1, 1, 1, -1, 1, -1, -1, 1,...)と符号化部42-2から出力される符号化送信信号(1, -1, 1, -1, 1, -1, 1, -1, -1, 1, -1, 1,...)との和で与えられるCDM信号は、(1+1, -1-1, -1+1, 1-1, -1+1, 1-1, 1+1、-1-1, 1-1, -1+1, -1-1, 1+1,... )=(2, -2, 0, 0, 0, 0, 2, -2, 0, 0, -2, 2,...)となる。
このCDM信号が、分岐光ファイバ伝送路14-jに接続された端末装置30-jに受信されると、端末装置30-jに設定されている符号によって受信信号が再生される。ここで、jは端末装置の全台数がN台である場合、1〜Nまでの全ての整数である。
すなわち、例えば、端末装置30-1に受信されると受信端末装置30-1に設定されている符号(1, 0, 0, 1)で復号化されて、受信信号(1, 0, 1 , 1,...)が再生される。同様に、端末装置30-2に受信されると、受信端末装置30-2に設定されている符号(1, 0, 1, 0)で復号化されて受信信号(1, 0, 1, 0,...)が再生される。したがって、CDM信号(2, -2, 0, 0, 0, 0, 2, -2, 0, 0, -2, 2,...)の時間波形の振幅の絶対値は本質的な意味を持っていない。したがって、CDM信号は、振幅の最大値と最小値の中心を0レベルに設定して、振幅の値を1に規格化して(1, -1, 0, 0, 0, 0, 1, -1, 0, 0, -1, 1,...)と表現しても、信号として同一の意味を持つ。
(端末装置)
図3は、従来のCDM送受信装置の端末装置の概略的ブロック構成図である。ここでは、端末装置30-1を代表させて示してある。端末装置30-2から30-Nについても、設定されている符号を除き、それぞれその構造は同一であるので、ここでは端末装置30-1について説明し、端末装置30-2から30-Nについての説明は省略する。
端末装置30-1〜30-Nには、それぞれ第1〜第Nチャンネルが割り当てられており、送信装置10から送られてきたCDM信号47から、それぞれ第1〜第Nチャンネルの送信信号を再生して受信する機能を有している。
送信装置10から送られてきたCDM信号47は、光合分岐器20によって、N分岐されて、それぞれ端末装置30-1〜30-Nに分配される。
端末装置30-1には、光合分岐器20によってN分岐され、その強度が1/NとなったCDM信号47が入力される。端末装置30-1は、分岐器50と、クロック信号抽出部56と、マッチドフィルタ52と、閾値判定部54とを具えている。
分岐器50は、CDM信号47をCDM信号51-1とCDM信号51-2とに2分岐する。クロック信号抽出部56は、CDM信号51-2から符号拡散レートに相当する周波数のクロック信号57を抽出して出力する。マッチドフィルタ52は、CDM信号51-1を入力して、第1チャンネルに割り当てられた符号によってクロック信号57に同期して相関処理して第1相関信号53を生成して出力する。閾値判定部54は、第1相関信号53を入力して、クロック信号57に同期して閾値判定処理を行って第1相関信号53の強度が閾値レベルを超えている時間帯をレベル1とし、第1相関信号53の強度が閾値レベルを下回っている時間帯をレベル0とする復号信号55として出力する。復号信号55が、端末装置30-1に送られた信号である。
送信信号を符号化するという意味は、上述したように送信信号Dと符号Cとの積D×Cを求めることに相当する。一方、符号化されて送信されてきたCDM信号を受信して、このCDM信号を復号化することは、CDM信号を再度同一の符号で符号化することに対応する。
ここで、以後の説明の便宜上、送信信号及び拡散符号を識別するための記号について、次のように定義する。すなわち、第1〜第N送信信号をそれぞれD1〜DNで表し、第1〜第Nチャンネルに割り当てられている符号をそれぞれC1〜CNで表すこととする。例えば、D1は、(1, 0, 1,...)であり、C1は、(C1-1, C1-2, C1-3, C1-4)=(1, 0, 0, 1)である。ここで、一般的な行列表現として符号を(C1, C2,...,CN)で表す場合の数列の一般項を示す場合は、Cp(ここで、pは1〜Nの全ての整数)と、符号を与える数列の項を識別する符丁として下つき文字(subscript)を用いる。一方、符号を与える数列そのものを指すC1〜CNにおいては、数列相互を識別する符丁としてCと同一の大きさの文字を併記してC1、C2、...、CN等と表記する。すなわち、Cと共に下つき文字が使われている場合は数列の項を示し、下つき文字が使われずCと併記されている場合は符号を示す数列そのものを指す。
CDM信号は、第1チャンネルの符号化送信信号(D1×C1)、第2チャンネルの符号化送信信号(D2×C2)、第3チャンネルの符号化送信信号(D3×C3)等、多重される全ての符号化送信信号の和となっている。したがって、CDM信号は、(D1×C1)+(D2×C2)+(D3×C3)+....で表される。このCDM信号を第1チャンネルに割り当てられた符号C1で復号化するとは、{(D1×C1)+(D2×C2)+(D3×C3)+....} ×C1を求めること、すなわちCDM信号を符号C1で符号化することに相当する。
すなわち、復号化されて出力される信号の時間波形は、{(D1×C1)+(D2×C2)+(D3×C3)+....}×C1=(D1×C1)×C1+(D2×C2)×C1+(D3×C3)×C1+....=(D1×C1×C1) + (D2×C2×C1) + (D3×C3×C1) + ....を反映した信号である。ここで、(C1×C1)=(1, 1, 1, 1)である。なぜならば、同一符号の積であるから、両者の符号を構成するチップは全て同一の値、すなわち「1」あるいは「-1」であるからである。すなわち、(C1×C1)の演算を符号のチップごとに見ると、各項において、1×1=1あるいは(-1)×(-1)=1と必ず「1」となるから、(C1×C1)=((1×1), (-1)×(-1), (-1)×(-1), 1×1))=(1, 1, 1, 1)となる。
したがって、復号化されて出力される信号の時間波形を表す第1項(D1×C1×C1)は、(D1×C1×C1)=D1×(1, 1, 1, 1)=(1, 0, 1,...)、すなわち、(D1×C1×C1)=D1となり、第1チャンネルの送信信号を構成する各ビットのパルスD1が再生される。すなわち、この成分がマッチドフィルタ52で復号化されて出力される信号の、第1チャンネルの送信信号に対する自己相関成分53に相当する。
例えば、CDM信号51-1が(D1×C1)+(D2×C2)+(D3×C3)+....に相当し、第1端末装置30-1が具えているマッチドフィルタ52によって、符号C1、すなわち(1, 0, 0, 1)で復号化するとは、{(D1×C1)+(D2×C2)+(D3×C3)+....}×C1=(D1×C1)×C1+(D2×C2)×C1+(D3×C3)×C1+....=(D1×C1×C1) + (D2×C2×C1) + (D3×C3×C1) + ....を求めることに相当する。(D1×C1×C1) + (D2×C2×C1) + (D3×C3×C1) + ....≒ D1 + 0 + 0 +....となり、第1チャンネルの送信信号である(1, 0, 1,...)が復号化される。なぜならば、(D1×C1×C1)=D1であり、(D2×C2×C1)≒(0, 0, 0,...)、(D3×C3×C1)≒(0, 0, 0,...)、...であるからである。
一方、復号化されて出力される信号の時間波形を表す第2項以下の項は、Ci×C1≠(1, 1, 1, 1)(ここで、i=2, 3,...である。)であるので、(D2×C2)×C1及び(D3×C3)×C1の項からは、第2、第3チャンネルの送信信号を構成する各ビットのパルスD2及びD3は再生されない。すなわち、これらの成分が復号化されて出力される信号の、第1チャンネルの送信信号に対する相互相関成分に相当する。この相互相関成分が閾値判定部54によって除去される。
マッチドフィルタ52としてアナログ式のマッチドフィルタを利用する場合には、
閾値判定部54は、コンパレータとD-フリップフロップ回路を組み合わせて、周知の方法で構成することが可能である。また、マッチドフィルタ52としてデジタル式のマッチドフィルタを利用すれば、マッチドフィルタ52から出力される相関信号53が「1」と「0」との2値デジタル信号であるので、閾値判定部54を設ける必要はなく、相関信号53がそのまま復号信号55となる。
(動作)
図4を参照して、従来のCDM送受信装置の動作について説明する。図4は、従来のCDM送受信装置の動作の説明に供するタイミングチャートである。図4の上段から順に、送信信号、拡散符号、符号化送信信号、クロック信号、相関信号、及び復号信号の時間波形を示してある。
図4においては、第1チャンネルについて代表して示してある。すなわち、送信信号、拡散符号、符号化送信信号、クロック信号、相関信号、及び復号信号のそれぞれは、図2及び図3に示した、送信信号41-1、符号化部42-1に設定されている拡散符号、符号化送信信号43-1、クロック信号57、相関信号53、及び復号信号55にそれぞれ対応する。しかしながら、図4を参照した以下の説明においては、使われる符号が異なるだけであり、第1チャンネル以外のチャンネルについても同様に成立することは明らかである。従って、以後の説明では第1チャンネルを例にとって説明するが、第1チャンネル以外のチャンネルにおいても同様である。
図4の最上段に示す時間波形は、第1チャンネルの送信信号を生成する信号生成部40-1で生成され出力される送信信号41-1の時間波形の一部を示している。送信信号41-1は「1」及び「0」の2値デジタル信号であり、図4ではその2ビット分が示されている。送信信号41-1の1ビット分は、時間軸上で、図4示すように、データ周期の1周期の長さ分を占めている。
この送信信号41-1の時間波形は、符号化される都合上、送信信号41-1のバイアス電圧が調整されて、この信号の振幅の中心が0 Vの水準に変更されることによって、「1」と「-1」の2値信号に変換される。「1」と「-1」の2値信号に変換された送信信号が送信信号41-1として符号化部42-1に入力される。
図4の最上段から2段目には、符号化部42-1に設定されている第1チャンネルに割り当てられた拡散符号の時間波形を一般的な形式(C1-1, C1-2,...,C1-M)で示してある。ここで、Mは2以上の整数を示す。従って、図4において最上段から2段目に示す符号はその符号長がMである符号を示している。上述したように、変数C1-1, C1-2,...,及びC1-Mは、「1」及び「-1」のいずれかの値をとる。
図4の最上段から3段目には、符号化部42-1から出力される符号化送信信号43-1の時間波形を一般的な形式で示してある。上述したように、符号化するとは、送信信号を構成する一つ一つのビットにそれぞれ符号(C1-1, C1-2,...,C1-M)が乗算されることに相当する。従って、送信信号が「1」で与えられているビット(図4では最初のビットが1である。)は、1×(C1-1, C1-2,...,C1-M)=(C1-1, C1-2,..., C1-M)となっている。また、送信信号が「0」すなわち、「1」と「-1」の2値信号に変換された後の信号形態では、「-1」で与えられているビット(図4では第2番目のビットが-1である。)は、(-1)×(C1-1, C1-2,...,C1-M)=(-C1-1, -C1-2,..., -C1-M)となっている。
図4によれば、送信信号41-1の1ビットは、符号長がMの符号によって符号化されることによって、チップ数がMであるチップパルスの列に変換される。従って、チップパルス1つ分は、時間軸上で符号周期分の長さを占めている。
図4の最上段から4段目には、クロック信号抽出部56から出力されるクロック信号57の時間波形を示している。このクロック信号57の時間波形において上向きの矢印で示す、クロック信号の立ち上がり時刻において、CDM信号51-1がマッチドフィルタ52によってラッチされて相関処理が行われる。すなわち、クロック信号57の立ち上がり時刻においてマッチドフィルタ52に入力されているC1-1, C1-2,..., C1-M、あるいは-C1-1, -C1-2,...,-C1-Mが、クロック信号57に同期する形で順次取り込まれ、符号(C1-1, C1-2,...,C1-M)との相関処理が行われる。
図4の最上段から5段目には、マッチドフィルタ52から出力される相関信号53の時間波形を示している。符号化送信信号43-1のチップパルス列(C1-1〜C1-M)と、符号(C1-1, C1-2,...,C1-M)とが合致すると、自己相関信号として図4の最上段から5段目の時間波形において下向きの矢印で示すようにピークが現れる。また、符号化送信信号43-1のチップパルス列(-C1-1〜-C1-M)と符号(C1-1, C1-2,...,C1-M)とが符号を除き合致すると、自己相関信号として図4の最上段から5段目の時間波形において上向きの矢印で示すようにピークが現れる。
図4では第1チャンネルの符号化送信信号がマッチドフィルタ52によって相関処理(復号化処理ともいう)されて自己相関信号が生成される様子を示しているので、復号化に使われる符号は、第1チャンネルの送信信号を符号化する時に利用した符号と同一の符号である。そのために、チップパルス列(C1-1〜C1-M)と、符号(C1-1, C1-2,..., C1-M)とが合致するという現象が起こっている。
しかしながら、復号化に使われる符号が、第1チャンネルの送信信号を符号化する時に利用した符号と同一の符号でない場合は、チップパルス列(C1-1〜C1-M)と、符号(C1-1, C1-2, ..., C1-M)とが合致するという現象は起こらない。そのため、相関信号53にはピークが現れない。この理由は、上述したように、C1×C1=(1, 1, 1, 1,...)となるのに対して、Ci×C1≠(1, 1, 1, 1,...)であるからである。ここで、i=2, 3,...である。一般にi=jのとき、Ci×Cj=(1, 1, 1, 1,...)であり、i≠jのときCi×Cj≠(1, 1, 1, 1,...)である。
図4の最上段から6段目には、閾値判定部54から出力される復号信号55の時間波形を示している。閾値判定部54で閾値判定がされた直後においては、復号信号55の時間波形は、「1」と「-1」との2値デジタル信号の形式であるが、この信号の振幅の最小値(すなわち-1の値)を0 Vの水準に変更することによって、「1」と「0」の2値信号に変換される。「1」と「0」の2値信号に変換されて閾値判定部54から出力される復号信号55が、第1チャンネルにおいて復号化されることによって、受信された信号となる。すなわち、閾値判定部54には、相関信号53が入力されて、閾値判定処理が行われ、相関信号53の強度が閾値レベルを超えている時間帯をレベル1とし、相関信号53の強度が閾値レベルを下回っている時間帯をレベル0とする復号信号55として出力される。
以上説明した様に、従来のCDM送受信装置では、送信信号を符号化するために利用される符号が、符号長がMである(C1-1, C1-2,...,C1-M)であると固定されている。すなわち、1チャンネルに対して一旦、符号(C1-1, C1-2,...,C1-M)が設定されると、符号長がM以外の符号で符号化して伝送することはできない。従って、多重するチャンネル数が少なくて済む場合、すなわち、符号長が短くとも済む場合でも、必要以上の符号長の符号で符号化するという無駄が生じる。
一方、例えば、送信装置10から端末装置30-kまでの距離が、送信装置10から他の端末装置までの距離に比べて特段に長い場合にも、何ら手立てを講ずることができない。すなわち、従来のCDM送受信装置は、送信装置10から端末装置30-kまでの距離は、CDM送受信装置が設計された段階で固定され、送信装置10から特段長い距離を隔てた距離にある場所に、端末装置30-kを簡単に増設することは困難な構造となっている。ここで、kは、1〜Nまでの全ての整数のうちの、いずれかの1つ又は複数の整数である。
<この発明の符号分割多重送受信装置>
図5〜図7-1及び図7-2を参照して、この発明の第1及び第2のCDM送受信装置の構成及びその動作を説明する。この発明の第1及び第2のCDM送受信装置においても、図1に示す従来のCDM送受信装置と同様、光ファイバ伝送路の一端に光合分岐器を設け、この光合分岐器から端末装置の数に等しい分岐光ファイバ伝送路が接続されて構成されるPONを介して、送信装置と端末装置とを接続して構成される光アクセスネットワークシステムを想定している。
ここで、この発明の第1及び第2のCDM送受信装置の全体を示す図は省略してある。この発明の第1及び第2のCDM送受信装置は、図1に示されている従来のCDM送受信装置において、送信装置10とあるブロックをを送信装置100に置き換え、端末装置30-1〜30-Nとあるブロックを端末装置130-1〜130-Nと置き換えたものであると了解されたい。
この発明の第1及び第2のCDM送受信装置も、従来のCDM送受信装置と同様に、送信装置と端末装置との接続には、光ファイバによって構成されるPONに限定されることなく、メタル伝送路あるいは、無線によっても接続することが可能である。
この発明の第1のCDM送受信装置と第2のCDM送受信装置との相違は、第j(1)閾値判定部、第j(2)閾値判定部、及び第j(1,2)閾値判定部を具えているか否かにある。すなわち、第1のCDM送受信装置は、第j(1)閾値判定部、第j(2)閾値判定部、及び第j(1,2)閾値判定部を具えていないのに対して、第2のCDM送受信装置は、第j(1)閾値判定部、第j(2)閾値判定部、及び第j(1,2)閾値判定部を具えている。
(送信装置)
図5は、この発明の第1及び第2のCDM送受信装置の送信装置100の構成及びその動作の説明に供する概略的ブロック構成図である。図5には、一例として、中央局に対して、N台の端末装置(Nは2以上の整数)が接続される場合を想定してある。すなわち、中央局が具えている送信装置100に対して、N台の端末装置が接続され、送信装置100には、第1〜第Nチャンネルがそれぞれ割り当てられた信号生成部140-1〜140-Nが設けられている。
送信装置100は、第1〜第Nチャンネルに対応する信号生成部140と、信号生成部140から出力される第1〜第N送信信号を入力して、第1〜第N符号化送信信号をそれぞれ生成して出力する符号化部142と、第1〜第N符号化送信信号をそれぞれパラレル/シリアル変換して第1〜第Nシリアル符号化送信信号に変換して出力するパラレル/シリアル変換部144と、第1〜第Nシリアル符号化送信信号を多重してCDM信号を生成して出力する多重部146とを具えている。図5において、パラレル/シリアル変換部をP/S変換部と簡略化して表記してある。
第1信号生成部140-1は、第1チャンネルの送信信号を生成して出力する第1(1)信号生成部140-1a及び第1(2)信号生成部140-1bを具えている。第2信号生成部140-2は、第2チャンネルの送信信号を生成して出力する第2(1)信号生成部140-2a及び第2(2)信号生成部140-2bを具えている。また、第N信号生成部140-Nは、第Nチャンネルの送信信号を生成して出力する第N(1)信号生成部140-Na及び第N(2)信号生成部140-Nbを具えている。
信号生成部140において、第jチャンネルの送信信号を、第j(1)及び第j(2)送信信号として生成する送信信号生成ステップである、ステップAまたはステップA'が実行される。
第1符号化部142-1は、第1(1)信号生成部140-1a及び第1(2)信号生成部140-1bからそれぞれ出力される第1(1)送信信号d140-1a及び第1(2)送信信号d140-1bをそれぞれ符号化して、それぞれ第1(1)符号化送信信号c142-1a及び第1(2)符号化送信信号c142-1bを生成して出力する第1(1)符号化部142-1a及び第1(2)符号化部142-1bを具えている。
第2符号化部142-2は、第2(1)信号生成部140-2a及び第2(2)信号生成部140-2bからそれぞれ出力される第2(1)送信信号d140-2a及び第2(2)送信信号d140-2bをそれぞれ符号化して、それぞれ第2(1)符号化送信信号c142-2a及び第2(2)符号化送信信号c142-2bを生成して出力する第2(1)符号化部142-2a及び第2(2)符号化部142-2bを具えている。
同様に、第N符号化部142-Nは、第N(1)信号生成部140-Na及び第N(2)信号生成部140-Nbからそれぞれ出力される第N(1)送信信号d140-Na及び第N(2)送信信号d140-Nbをそれぞれ符号化して、それぞれ第N(1)符号化送信信号c142-Na及び第N(2)符号化送信信号c142-Nbを生成して出力する第N(1)符号化部142-Na及び第N(2)符号化部142-Nbを具えている。
符号化部142において、第j(1)及び第j(2)送信信号をそれぞれ符号化して第j(1)及び第j(2)符号化送信信号を生成して出力する符号化ステップである、ステップBが実行される(jは1〜Nまでの全ての整数)。
第1パラレル/シリアル変換部144-1は、パラレルに入力される第1(1)符号化送信信号c142-1a及び第1(2)符号化送信信号c142-1bを、パラレル/シリアル変換して、第1シリアル符号化送信信号PC145-1を生成して出力する。
第2パラレル/シリアル変換部144-2は、パラレルに入力される第2(1)符号化送信信号c142-2a及び第2(2)符号化送信信号c142-2bを、パラレル/シリアル変換して、第2シリアル符号化送信信号PC145-2を生成して出力する。
同様に、第Nパラレル/シリアル変換部144-Nは、パラレルに入力される第N(1)符号化送信信号c142-Na及び第N(2)符号化送信信号c142-Nbを、パラレル/シリアル変換して、第Nシリアル符号化送信信号PC145-Nを生成して出力する。
パラレル/シリアル変換部144において、第j(1)及び第j(2)符号化送信信号を、パラレル/シリアル変換して、第jシリアル符号化送信信号を生成して出力するパラレル/シリアル変換ステップである、ステップCが実行される。
第1シリアル符号化送信信号PC145-1、第2シリアル符号化送信信号PC145-2、...、及び第Nシリアル符号化送信信号PC145-Nは、多重部146に入力されてCDM信号147として生成されて出力される。
多重部146において、第1〜第N符号化送信信号を多重してCDM信号を生成して出力する多重ステップである、ステップDが実行される。
(端末装置)
図6は、この発明の第1及び第2のCDM送受信装置の端末装置の構成及びその動作の説明に供する概略的ブロック構成図である。図6では、第1チャンネルが割り当てられている第1端末装置130-1を、端末装置として代表して示してある。第2〜第Nチャンネルがそれぞれ割り当てられている、第2〜第N端末装置については、設定される符号が異なるだけであり、構成そのものは同一である。従って、第1端末装置130-1についての構成及びその動作の説明は、割り当てられるチャンネル及び設定される符号を除き、第2〜第N端末装置についても同様に成立する。
図6においては、第1(1)閾値判定部168、第1(2)閾値判定部172、及び第1(1,2)閾値判定部170を具えている第2のCDM送受信装置の端末装置を示してある。第1のCDM送受信装置の端末装置については、第1(1)閾値判定部168、第1(2)閾値判定部172、及び第1(1,2)閾値判定部170が具わっていないものと了解されたい。すなわち、第1のCDM送受信装置の端末装置については、後述する、第1(1)相関信号163-1が第1(1)受信信号169、第1(2)相関信号165-1が第1(2)受信信号173、第1(1,2)相関信号167が第1(1,2)受信信号171に、それぞれ相当するものと了解されたい。
この発明の第1及び第2のCDM送受信装置の第1チャンネルが割り当てられた第1端末装置130-1は、共通して、クロック信号抽出部158と、分岐器150、152、162及び164と、第1(1)マッチドフィルタ154と、第1(2)マッチドフィルタ156と、第1相関信号加算器166とを具えている。図6では、第1(1)マッチドフィルタ及び第1(2)マッチドフィルタを、それぞれ第1(1)MF及び第1(2)MFと簡略化して表記してある。
中央局が具えている送信装置100から送信されたCDM信号147は、分岐器150によって、CDM信号150-1とCDM信号150-2とに2分割される。
CDM信号150-2は、クロック信号抽出部158に入力され、クロック信号159-1〜159-5が抽出される。クロック信号159-1〜159-5には、後述するように、例えば、クロック信号159-1に対してπ(ラジアン)だけ位相がシフトしたπ位相シフトクロック信号159-2等、相互に位相がずれた関係にあるクロック信号が含まれている。
クロック信号抽出部158において、CDM信号からクロック信号を抽出するクロック信号抽出ステップである、ステップEが実行される。
一方、CDM信号150-1は、分岐器152に入力されて第1(1)CDM信号151-1と第1(2)CDM信号151-2とに分岐される。
分岐器152において、CDM信号を第j(1)CDM信号と第j(2)CDM信号とに分岐する分岐ステップである、ステップFが実行される。
第1(1)マッチドフィルタ154は、第1(1)CDM信号151-1を入力して、クロック信号159-1に同期して、第1(1)符号化部142-1aに設定されている符号と同一の符号で相関処理して、第1(1)相関信号155を生成して出力する。第1(2)マッチドフィルタ156は、第1(2)CDM信号151-2を入力して、クロック信号159-1とπ(ラジアン)だけ位相がシフトしたπ位相シフトクロック信号159-2に同期して、第1(2)符号化部142-1bに設定されている符号と同一の符号で相関処理して、第1(2)相関信号157を生成して出力する。
この発明の第1のCDM送受信装置においては、第1(1)マッチドフィルタ154及び第1(2)マッチドフィルタ156には、デジタル方式のマッチドフィルタが利用される。そのため、第1(1)相関信号163-1、第1(2)相関信号165-2、及び第1(1,2)相関信号167は、「1」及び「0」からなる2値デジタル信号、あるいは、「1」及び「-1」からなる2値デジタル信号となっている。そのため、第1(1)相関信号163-1、第1(2)相関信号165-2、及び第1(1,2)相関信号167は、閾値処理をされることなく、そのまま受信信号として処理される。
第1(1)マッチドフィルタ154において、第j(1)CDM信号を入力して、クロック信号に同期して、第j(1)符号化部に設定されている符号と同一の符号で相関処理して、第j(1)相関信号を生成して出力する第j(1)相関処理ステップである、ステップGが実行される。
第1(2)マッチドフィルタ156において、第j(2)CDM信号を入力して、クロック信号とπ(ラジアン)だけ位相がシフトしたπ位相シフトクロック信号に同期して、第j(2)符号化部に設定されている符号と同一の符号で相関処理して、第j(2)相関信号を生成して出力する第1(2)相関処理ステップである、ステップHが実行される。
第1(1)相関信号155及び第1(2)相関信号157は、受信信号処理部160に入力される。分岐器162は、第1(1)相関信号155を、第1(1)相関信号163-1と第1(2)相関信号163-2とに2分岐する。分岐器164は、第1(2)相関信号157を、第1(2)相関信号165-1と第1(2)相関信号165-2とに2分岐する。また、第1相関信号加算器166は、第1(1)相関信号163-2と第1(2)相関信号165-2とを加算して第1(1,2)相関信号167を生成して出力する。
第1相関信号加算器166において、第j(1)相関信号と第j(2)相関信号とを加算して第j(1,2)相関信号を生成して、第j(1,2)相関信号を受信信号として出力する受信信号再生ステップである、ステップIが実行される。
閾値判定部168及び172において、第j(1)相関信号を第j(1)受信信号として生成し、第j(2)相関信号を第j(2)受信信号として生成して、第j(1)受信信号と第j(2)受信信号とを受信信号として出力する受信信号再生ステップであるステップKが実行される。
一方、この発明の第2のCDM送受信装置においては、第1(1)マッチドフィルタ154及び第1(2)マッチドフィルタ156には、アナログ方式のマッチドフィルタが利用される。この場合は、分岐器162、分岐器164、及び第1相関信号加算器166のそれぞれの後段に、第1(1)閾値判定部168、第1(2)閾値判定部172、及び第1(1,2)閾値判定部170を具え、第1(1)相関信号163-1、第1(2)相関信号165-1、及び第1(1,2)相関信号167が閾値処理されて、第1(1)受信信号169、第1(2)受信信号173、及び第1(1,2)受信信号171が生成される。
第1(1)閾値判定部168は、第1(1)相関信号163-1を入力して、クロック信号159-5に同期して、閾値判定処理を行って第1(1)相関信号163-1の強度が閾値レベルを超えている時間帯をレベル1とし、第1(1)相関信号163-1の強度が閾値レベルを下回っている時間帯をレベル0とする第1(1)受信信号169を第1(1)復号信号として出力する。
第j(1)閾値判定部168において、第j(1)相関信号を入力して、クロック信号に同期して、閾値判定処理を行って第j(1)相関信号の強度が閾値レベルを超えている時間帯をレベル1とし、第j(1)相関信号の強度が閾値レベルを下回っている時間帯をレベル0とする第j(1)復号信号を出力する第j(1)判定ステップである、ステップLが実行される。
第1(2)閾値判定部172は、第1(2)相関信号165-1を入力して、クロック信号159-3に同期して、閾値判定処理を行って第1(2)相関信号165-1の強度が閾値レベルを超えている時間帯をレベル1とし、第1(2)相関信号165-1の強度が閾値レベルを下回っている時間帯をレベル0とする第1(2)受信信号173を第1(1)復号信号として出力する。
第1(2)閾値判定部172において、第j(2)相関信号を入力して、クロック信号に同期して、閾値判定処理を行って第j(2)相関信号の強度が閾値レベルを超えている時間帯をレベル1とし、第j(2)相関信号の強度が閾値レベルを下回っている時間帯をレベル0とする第j(2)復号信号を出力する第j(2)判定ステップである、ステップMが実行される。
第1(1,2)閾値判定部170は、第1(1,2)相関信号167を入力して、クロック信号159-4に同期して、閾値判定処理を行って第1(1,2)相関信号167の強度が閾値レベルを超えている時間帯をレベル1とし、第1(1,2)相関信号167の強度が閾値レベルを下回っている時間帯をレベル0とする第1(1,2)受信信号171を第1(1,2)復号信号として出力する。
第1(1,2)閾値判定部170において、第j(1,2)相関信号を入力して、クロック信号に同期して、閾値判定処理を行って第j(1,2)相関信号の強度が閾値レベルを超えている時間帯をレベル1とし、第j(1,2)相関信号の強度が閾値レベルを下回っている時間帯をレベル0とする第j(1,2)復号信号を出力する第j(1,2)判定ステップである、ステップJが実行される。
(動作)
図7-1及び図7-2を参照して、この発明の第1及び第2のCDM送受信装置の動作について説明する。図7-1及び図7-2は、この発明の第1及び第2のCDM送受信装置の動作の説明に供するタイミングチャートである。図7-1は、上段から順に、第1(1)送信信号、第1(2)送信信号、拡散符号a、拡散符号b、第1(1)符号化送信信号、第1(2)符号化送信信号、クロック信号、及びπ位相シフトクロック信号の時間波形を示してある。また、図7-2は、上段から順に、クロック信号、π位相シフトクロック信号、第1(1)相関信号、第1(2)相関信号、第1(1)受信信号、及び第1(2)受信信号の時間波形を示してある。図7-1と図7-2の時間軸上の時間基準を統一するために、クロック信号、π位相シフトクロック信号の時間波形については、それれぞれ、図7-1の上段から第8及び第9段目、及び図7-2の上段から第1及び第2段目に重複させて示してある。
図7-1及び図7-2においては、図4と同様に、第1チャンネルについて代表して示してある。すなわち、第1(1)送信信号、第1(2)送信信号、拡散符号a、拡散符号b、第1(1)符号化送信信号、第1(2)符号化送信信号、クロック信号、及びπ位相シフトクロック信号、第1(1)相関信号、第1(2)相関信号、第1(1)受信信号、及び第1(2)受信信号のそれぞれは、図5及び図6に示した、第1(1)送信信号d140-1a、第1(2)送信信号d140-1b、第1(1)符号化部142-1aに設定された拡散符号a、第1(2)符号化部142-1bに設定された拡散符号b、第1(1)符号化送信信号c142-1a、第1(2)符号化送信信号c142-1b、クロック信号159-1、及びπ位相シフトクロック信号159-2、第1(1)相関信号163-1、第1(2)相関信号165-1、第1(1)受信信号169、及び第1(2)受信信号173にそれぞれ対応する。
しかしながら、図7-1及び図7-2を参照した以下の説明においては、使われる符号が異なるだけであり、第1チャンネル以外のチャンネルについても同様に成立することは明らかである。従って、以後の説明では第1チャンネルを例にとって説明するが、第1チャンネル以外のチャンネルにおいても同様である。
図7-1の最上段及び第2段目に示す時間波形は、第1チャンネルの送信信号を生成する信号生成部140-1で生成され出力される送信信号のうち、それぞれ第1(1)送信信号d140-1a及び第1(2)送信信号d140-1bの時間波形の一部を示している。第1(1)送信信号d140-1a及び第1(2)送信信号d140-1bは「1」及び「0」の2値デジタル信号であり、図7-1ではその2ビット分が示されている。また、第1(1)送信信号d140-1a及び第1(2)送信信号d140-1bの1ビット分は、時間軸上で、図7-1に示すように、データ周期の1周期の長さ分を占めている。
この第1(1)送信信号d140-1a及び第1(2)送信信号d140-1bの時間波形は、符号化される都合上、第1(1)送信信号d140-1a及び第1(2)送信信号d140-1bのバイアス電圧がそれぞれ調整されて、この信号の振幅の中心が0 Vの水準に変更されることによって、共に「1」と「-1」の2値信号に変換される。「1」と「-1」の2値信号に変換された送信信号が第1(1)送信信号d140-1a及び第1(2)送信信号d140-1bとして第1符号化部142-1に入力される。
第1(1)送信信号d140-1a及び第1(2)送信信号d140-1bは、送信信号生成ステップ(ステップAまたはステップA')で生成される。
図7-1の最上段から3段目及び4段目には、それぞれ第1(1)符号化部142-1a及び第1(2)符号化部142-1bに設定されている、第1チャンネルに割り当てられた拡散符号aの時間波形の一般的な形式(Ca1-1, Ca1-2,...,Ca1-M)、及び第1チャンネルに割り当てられた拡散符号bの時間波形の一般的な形式(Cb1-1, Cb1-2,...,Cb1-M)で示してある。ここで、Mは2以上の整数を示し、拡散符号の符号長である。従って、図7-1において最上段から3段目及び4段目に示す符号は、その符号長がMである符号を示している。
図7-1の最上段から5段目及び6段目には、それぞれ第1(1)符号化部142-1a及び第1(2)符号化部142-1bから出力される、第1(1)符号化送信信号c142-1a及び第1(2)送信信号d142-1bの時間波形を一般的な形式で示してある。上述したように、符号化するとは、送信信号を構成する一つ一つのビットにそれぞれ符号(Ca1-1, Ca1-2,..., Ca1-M)あるいは(Cb1-1, Cb1-2,...,Cb1-M)が乗算されることに相当する。
図7-1の最上段に示す第1(1)送信信号d140-1aは、「1」と「-1」の2値信号に変換すれば、最初のビットが1であるから、この最初のビットに対応する、図7-1の最上段から5段目に示す、第1(1)符号化送信信号c142-1aの第1ビットから第Mビットは、1×(Ca1-1, Ca1-2,...,C a1-M)=(Ca1-1, Ca1-2,...,Ca1-M)となっている。また、第2番目のビットが-1であるから、このビットに対応する、第(M+1)から第(M+M)ビットは、(-1)×(Ca1-1, Ca1-2,...,Ca1-M)=(-Ca1-1, -Ca1-2,...,-Ca1-M)となっている。
同様に、図7-1の最上段から2段目に示す第1(2)送信信号d140-1bは、「1」と「-1」の2値信号に変換すれば、最初のビットが-1であるから、この最初のビットに対応する、図7-1の最上段から6段目に示す、第1(2)符号化送信信号c142-1bの第1ビットから第Mビットは、(-1)×(Cb1-1, Cb1-2,...,Cb1-M)=(-Cb1-1, -Cb1-2,..., -Cb1-M)となっている。また、第2番目のビットが1であるから、このビットに対応する、最初の第(M+1)から第(M+M)ビットは、1×(Cb1-1, Cb1-2,...,Cb1-M)=(Cb1-1, Cb1-2,..., Cb1-M)となっている。
図7-1に示すように、第1(1)符号化送信信号c142-1a及び第1(2)符号化送信信号c142-1bの1ビットは、符号化部142-1a及び符号化部142-1bのそれぞれに設定された、符号長がMである拡散符号によって符号化されることによって、チップ数がMのチップパルス列に変換される。従って、チップパルス1つ分は、時間軸上で符号周期分の長さを占めている。
第1(1)符号化送信信号c142-1a及び第1(2)符号化送信信号c142-1bは、符号化ステップ(ステップB)で生成される。
第1(1)符号化送信信号c142-1a及び第1(2)符号化送信信号c142-1bは、パラレル/シリアル変換部144-1に入力されて、パラレル/シリアル変換されて、第1シリアル符号化送信信号PC145-1が生成されて出力される。
図7-1の最上段から7段目に示す第1シリアル符号化送信信号PC145-1の時間波形は、最初のデータ周期内が、(Ca1-1, -Cb1-1, Ca1-2, -Cb1-2, ...,Ca1-M, -Cb1-M)となっている。すなわち、第1(1)符号化送信信号c142-1aのチップパルス列と、第1(2)符号化送信信号c142-1bのチップパルス列の、それぞれのチップを交互に並べて形成されるチップパルス列となっている。言い換えると、第1(1)符号化送信信号c142-1aのチップパルス列(Ca1-1, Ca1-2,...,Ca1-M)に対して、第1(2)符号化送信信号c142-1bのチップパルス列(-Cb1-1, -Cb1-2,...,-Cb1-M)をビットインターリーブされて生成されている。
従って、第1シリアル符号化送信信号PC145-1は、データ周期1つ分に、第1(1)符号化送信信号c142-1aあるいは第1(2)符号化送信信号c142-1bのチップパルス数M個の2倍のチップパルス数である2M個のチップパルスが収まってなるチップパルス列として与えられる。これは、パラレル/シリアル変換部144-1において、並列入力信号である第1(1)符号化送信信号c142-1aと第1(2)符号化送信信号c142-1bとがパラレル/シリアル変換されて、シリアル信号である第1シリアル符号化送信信号PC145-1として生成されたことによる。
従って、パラレル/シリアル変換部144-1におけるパラレル/シリアル変換とは、具体的には、第1(1)符号化送信信号c142-1aのチップパルス列(Ca1-1, Ca1-2,...,Ca1-M)に対して、第1(2)符号化送信信号c142-1bのチップパルス列(-Cb1-1, -Cb1-2,..., -Cb1-M)をビットインターリーブする演算を意味する。すなわち、パラレル/シリアル変換部144-1におけるパラレル/シリアル変換によって、符号拡散レートが2倍の符号化送信信号が生成される。
このことによって、多重部146において第1シリアル符号化送信信号PC145-1、第2シリアル符号化送信信号PC145-2、...、及び第Nシリアル符号化送信信号PC145-Nが多重されて生成されるCDM信号147のビットレートも、パラレル/シリアル変換を行わない従来のCDM送受信装置の場合に比べて2倍となる。
第1シリアル符号化送信信号PC145-1、第2シリアル符号化送信信号PC145-2、...、及び第Nシリアル符号化送信信号PC145-Nのそれぞれは、パラレル/シリアル変換ステップ(ステップC)で生成される。
図面を見やすくするために、図7-1の上段から第8及び第9段目及び図7-2の上段から第1及び第2段目に、それぞれ、クロック信号159-1及びπ位相シフトクロック信号159-2の時間波形を重複して示してある。これらのクロック信号159-1及びπ位相シフトクロック信号159-2の時間波形において、上向きの矢印で示す立ち上がり時刻において、それぞれ第1(1)CDM信号151-1及び第1(2)CDM信号151-2が、第1(1)マッチドフィルタ154及び第1(2)マッチドフィルタ156によってラッチされて相関処理が行われる。
すなわち、クロック信号159-1の立ち上がり時刻において、第1(1)マッチドフィルタ154に入力されているCDM信号147に含まれている第1シリアル符号化送信信号PC145-1を構成するチップパルス列(Ca1-1, -Cb1-1, Ca1-2, -Cb1-2, ...,Ca1-M, -Cb1-M....)が、クロック信号159-1に同期する形で順次取り込まれ、符号(Ca1-1, Ca1-2,...,C a1-M)との相関処理が行われる。また、π位相シフトクロック信号159-2の立ち上がり時刻において、第1(2)マッチドフィルタ156に入力されているCDM信号147に含まれている第1シリアル符号化送信信号PC145-1を構成するチップパルス列(Ca1-1, -Cb1-1, Ca1-2, -Cb1-2, ..., Ca1-M, -Cb1-M....)が、π位相シフトクロック信号159-2に同期する形で順次取り込まれ、符号(Cb1-1, Cb1-2,...,Cb1-M)との相関処理が行われる。
このように、クロック信号159-1の立ち上がり時刻においては拡散符号(Ca1-1, Ca1-2,..., Ca1-M)との相関処理が行われ、π位相シフトクロック信号159-2の立ち上がり時刻においては拡散符号(Cb1-1, Cb1-2,...,Cb1-M)との相関処理が行われる理由は、クロック信号159-1に対して、π位相シフトクロック信号159-2の位相がちょうど半周期ずれていることに起因する。すなわち、クロック信号159-1の立ち上がり時刻とπ位相シフトクロック信号159-2の立ち上がり時刻は交互に訪れ、それぞれの立ち上がり時刻には、チップパルス列(Ca1-1, Ca1-2, ..., Ca1-M,....)及び(-Cb1-1, -Cb1-2,.... -Cb1-M....)のチップが時間軸上で交互に並んでいることに起因する。その結果、クロック信号159-1によってチップCa1-1がラッチされた後は、π位相シフトクロック信号159-2によってチップ-Cb1-1がラッチされる。そして、再びクロック信号159-1によってチップCa1-2がラッチされた後は、π位相シフトクロック信号159-2によってチップ-Cb1-2がラッチされるということが繰り返される。
クロック信号159-1及びπ位相シフトクロック信号159-2は、クロック信号抽出ステップ(ステップE)で抽出される。
このように、第1(1)マッチドフィルタ154及び第1(2)マッチドフィルタ156において、相関処理が行われるためには、次に示すように、クロック信号159-1と第1シリアル符号化送信信号PC145-1との同期が取られており、またπ位相シフトクロック信号159-2と第1シリアル符号化送信信号PC145-1との同期が取られている必要がある。
すなわち、まず、第1シリアル符号化送信信号PC145-1の、チップパルス列(Ca1-1, -Cb1-1, Ca1-2, -Cb1-2, ..., Ca1-M, -Cb1-M....)のうち、(Ca1-1, Ca1-2, ..., Ca1-M,....)となるチップが時間軸上で存在する時間スロットに、クロック信号159-1の立ち上がり時刻が含まれていることである。かつ第1シリアル符号化送信信号PC145-1の、(Ca1-1, -Cb1-1, Ca1-2, -Cb1-2, ..., Ca1-M, -Cb1-M....)のうち(-Cb1-1, -Cb1-2,.... -Cb1-M....)となるチップが時間軸上で存在する時間スロットに、π位相シフトクロック信号159-2の立ち上がり時刻が含まれていることである。
上述の同期条件が満たされるように、クロック信号159-1及びπ位相シフトクロック信号159-2は、クロック信号抽出部158においてその位相が調整される。この位相調整作業は、CDM信号150-2から再生されるクロック信号の時間位相を調整すればよく、この調整方法は周知の方法で実現できる。
この発明の第1及び第2のCDM送受信装置は、上述の同期の条件が満たされている、CDM送受信装置が同期型CDM送受信装置である。
図7-2の最上段から3段目及び4段目には、それぞれ第1(1)マッチドフィルタ154及び第1(2)マッチドフィルタ156から出力される第1(1)相関信号155及び第1(2)相関信号157の時間波形を示している。
第1(1)マッチドフィルタ154には、第1シリアル符号化送信信号PC145-1が強度分割された、第1(1)CDM信号151-1が入力される。第1(1)マッチドフィルタ154に、第1シリアル符号化送信信号PC145-1(第1(1)CDM信号151-1)を構成するチップパルス列(Ca1-1, -Cb1-1, Ca1-2, -Cb1-2, ..., Ca1-M, -Cb1-M....)が順次入力され、チップCa1-1, Ca1-2, ..., Ca1-M,....が時間軸上で存在する時間スロットに、クロック信号159-1の立ち上がり時刻が含まれていることによって、チップパルス列(Ca1-1, Ca1-2, ..., Ca1-M,....)としてラッチされる。第1(1)CDM信号151-1のチップパルス列(Ca1-1, -Cb1-1, Ca1-2, -Cb1-2, ..., Ca1-M, -Cb1-M)と、拡散符号(Ca1-1, Ca1-2, ..., Ca1-M,....)が正負の符号を除き合致すると、自己相関信号として図7-2の最上段から3段目の時間波形において下向きの矢印(P1)で示すようにピークが現れる。
また、第1(1)マッチドフィルタ154に、第1シリアル符号化送信信号PC145-1(第1(1)CDM信号151-1)を構成するチップパルス列(-Ca1-1, Cb1-1, -Ca1-2, Cb1-2, ..., -Ca1-M, Cb1-M....)が順次入力され、チップ-Ca1-1, -Ca1-2, ..., -Ca1-M,....が時間軸上で存在する時間スロットに、クロック信号159-1の立ち上がり時刻が含まれていることによって、チップパルス列(-Ca1-1, -Ca1-2, ..., -Ca1-M,....)としてラッチされる。第1(1)CDM信号151-1のチップパルス列(-Ca1-1, Cb1-1, -Ca1-2, Cb1-2, ..., -Ca1-M, Cb1-M)と拡散符号(Ca1-1, Ca1-2, ..., Ca1-M,....)が正負の符号を除き合致すると、自己相関信号として図7-2の最上段から3段目の時間波形において上向きの矢印(Q1)で示すようにピークが現れる。
同様に、第1(2)マッチドフィルタ156には、第1シリアル符号化送信信号PC145-1が強度分割された、第1(2)CDM信号151-2が入力される。第1(2)マッチドフィルタ156に、第1シリアル符号化送信信号PC145-1(第1(2)CDM信号151-2)を構成するチップパルス列(Ca1-1, -Cb1-1, Ca1-2, -Cb1-2, ..., Ca1-M, -Cb1-M....)が順次入力され、チップ-Cb1-1, -Cb1-2, ..., -Cb1-M,....が時間軸上で存在する時間スロットに、π位相シフトクロック信号159-2の立ち上がり時刻が含まれていることによって、チップパルス列(-Cb1-1, -Cb1-2, ..., -Cb1-M,....)としてラッチされる。第1(2)CDM信号151-2のチップパルス列(Ca1-1, -Cb1-1, Ca1-2, -Cb1-2, ..., Ca1-M, -Cb1-M)と、拡散符号(Cb1-1, Cb1-2, ..., Cb1-M,....)が正負の符号を除き合致すると、自己相関信号として図7-2の最上段から4段目の時間波形において上向きの矢印(P2)で示すようにピークが現れる。
また、第1(2)マッチドフィルタ156に、第1シリアル符号化送信信号PC145-1(第1(2)CDM信号151-2)を構成するチップパルス列(-Ca1-1, Cb1-1, -Ca1-2, Cb1-2, ..., -Ca1-M, Cb1-M....)が順次入力され、(Cb1-1, Cb1-2, ..., Cb1-M,....)となるチップが時間軸上で存在する時間スロットに、π位相シフトクロック信号159-2の立ち上がり時刻が含まれていることによって、チップパルス列(-Ca1-1, -Ca1-2, ..., -Ca1-M,....)としてラッチされる。第1(2)CDM信号151-2のチップパルス列(-Ca1-1, Cb1-1, -Ca1-2, Cb1-2, ..., -Ca1-M, Cb1-M)と、拡散符号(Cb1-1, Cb1-2, ..., Cb1-M,....)が正負の符号を除き合致すると、自己相関信号として図7-2の最上段から4段目の時間波形において下向きの矢印(Q2)で示すようにピークが現れる。
図7-1及び図7-2では、第1チャンネルの第1(1)及び第1(2)符号化送信信号が、それぞれ第1(1)及び第1(2)マッチドフィルタによって相関処理されて自己相関信号が生成される様子を示しているので、復号化に使われる拡散符号は、第1チャンネルの第1(1)及び第1(2)送信信号をそれぞれ符号化する時に利用した拡散符号a及び拡散符号bと同一の拡散符号である。そのために、チップパルス列(Ca1-1, Ca1-2, ..., Ca1-M)あるいは(-Ca1-1, -Ca1-2, ...,- Ca1-M)と、拡散符号(Ca1-1, Ca1-2, ..., Ca1-M)とが正負の符号を除き合致する、又は、チップパルス列(Cb1-1, Cb1-2, ..., Cb1-M)あるいは(-Cb1-1, -Cb1-2, ...,- Cb1-M)と、拡散符号(Cb1-1, Cb1-2, ..., Cb1-M)とが正負の符号を除き合致するという現象が起こっている。
しかしながら、復号化に使われる拡散符号が、第1チャンネルの第1(1)及び第1(2)送信信号を符号化する時に利用した拡散符号と同一の拡散符号でない場合は、上述のようにチップパルス列と拡散符号とが正負の符号を除き合致するという現象は起こらない。そのため、第1(1)及び第1(2)相関信号にはピークは現れない。
図7-2の最上段から5段目及び6段目には、それぞれ第1(1)閾値判定部168及び第1(2)閾値判定部172から出力される、第1(1)受信信号169及び第1(2)受信信号173の時間波形を示している。第1(1)閾値判定部168及び第1(2)閾値判定部172でそれぞれ閾値判定がされた直後においては、第1(1)受信信号169及び第1(2)受信信号173の時間波形は、「1」と「-1」との2値デジタル信号の形式であるが、この信号の振幅の最小値(すなわち-1の値)を0 Vの水準に変更することによって、「1」と「0」の2値信号に変換される。
ちなみに、第1(1)マッチドフィルタ154及び第1(2)マッチドフィルタ156にデジタル方式のマッチドフィルタを利用する場合は、第1(1)閾値判定部168及び第1(2)閾値判定部172、また後述する第1(1,2)閾値判定部170を設ける必要がない。
「1」と「0」の2値信号に変換されて、それぞれ第1(1)閾値判定部168及び第1(2)閾値判定部172から出力される第1(1)受信信号169及び第1(2)受信信号173が、第1チャンネルの受信信号となる。
第1(1)マッチドフィルタ154及び第1(2)マッチドフィルタ156の後段に、分岐器162及び164、第1相関信号加算器166、第1(1)閾値判定部168、第1(2)閾値判定部172、及び第1(1,2)閾値判定部170を具えている受信信号処理部160を設けることによって、次のステップを実行できる。
すなわち、ステップK、ステップI、ステップJ、ステップL、及びステップMである。ステップKは、第1(1)相関信号155を第1(1)受信信号169として生成し、第1(2)相関信号157を第1(2)受信信号173として生成して、第1(1)受信信号169と第1(2)受信信号173とを受信信号として出力する受信信号再生ステップである。
受信信号処理部160を設けることによってステップKを実行できる。例えば、ステップKによって、第1チャンネルの伝送量が非常に多い場合に、送信信号を、第1(1)送信信号d140-1a及び第1(2)送信信号d140-1bに2分割して送信し、第1(1)受信信号169と第1(2)受信信号173とを受信信号として受信するように、この発明のCDM送受信装置を動作させることによって、大容量モードによる動作を実現できる。
また、受信信号処理部160を設けることによってステップIを実行できる。例えば、ステップIによって、中央局と端末装置との距離が長い場合、信号が伝送される間に減衰され、端末装置においてその信号強度が非常に弱くなるが、送信信号である第1(1)送信信号d140-1aと第1(2)送信信号d140-1bとを同一の信号として送信することによって、長距離モードによる動作を実現できる。ステップIは、第1相関信号加算器166によって、第1(1)相関信号163-2と第1(2)相関信号165-2とを加算して第1(1,2)相関信号167を生成して出力し、第1(1,2)受信信号171を受信信号とするステップである。
このように、第1(1)送信信号d140-1aと第1(2)送信信号d140-1bとを同一の信号として送信し、第1(1,2)受信信号171を受信信号とするようにこの発明のCDM送受信装置を動作させることによって、実質的に2倍の強度の信号を送信したことに相当する。中央局と端末装置との距離が長く、信号強度の減衰が大きい場合に、ステップIを実行することによって、良好な符号分割多重送受信が実現される。
第1(1)マッチドフィルタ154及び第1(2)マッチドフィルタ156にアナログ式のマッチドフィルタを採用した場合は、第1(1)相関信号155及び第1(2)相関信号157は、自己相関成分と相互相関成分との和の形になっている。相互相関成分は、雑音成分であり、除去する必要がある。また、図7-2に示した第1(1)及び第1(2)相関信号のピーク(P1, P2, Q1, Q2で示してある。)が矩形となっていない。受信信号は、「1」及び「0」の2値デジタル信号であるので、パルス波形は、受信信号の1ビット分を占める時間スロットにおいて「1」あるいは「0」のいずれかを示す電位に保たれている状態を示す矩形形状となることが理想である。
そのため、相互相関成分を除去し、かつ受信信号を受信信号の1ビット分を占める時間スロットにおいて「1」あるいは「0」のいずれかを示す電位に保たれている矩形形状となるように、第1(1,2)相関信号167、第1(1)相関信号155及び第1(2)相関信号157を成形する。
ステップJは、第1(1,2)判定ステップである。このステップは、第1(1,2)相関信号167を第1(1,2)閾値判定部170に入力して、クロック信号159-4に同期して、閾値判定処理を行って第1(1,2)相関信号167の強度が閾値レベルを超えている時間帯をレベル1とし、第1(1,2)相関信号167の強度が閾値レベルを下回っている時間帯をレベル0とする第1(1,2)復号信号(第1(1,2)受信信号)171を出力するステップである。ステップJは、分岐器162及び164、第1相関信号加算器166及び第1(1,2)閾値判定部170によって実行される。
ステップLは、第1(1)判定ステップである。このステップは、第1(1)相関信号163-1を入力して、クロック信号159-5に同期して、閾値判定処理を行って第1(1)相関信号163-1の強度が閾値レベルを超えている時間帯をレベル1とし、第1(1)相関信号163-1の強度が閾値レベルを下回っている時間帯をレベル0とする第1(1)復号信号(第1(1)受信信号)169を出力する第1(1)判定ステップである。ステップLは、第1(1)閾値判定部168によって実行される。
ステップMは、第1(2)判定ステップである。このステップは、第1(2)相関信号165-1を入力して、クロック信号159-3に同期して、閾値判定処理を行って第1(2)相関信号165-1の強度が閾値レベルを超えている時間帯をレベル1とし、第1(2)相関信号165-1の強度が閾値レベルを下回っている時間帯をレベル0とする第1(2)復号信号(第1(2)受信信号)173を出力する第1(2)判定ステップである。ステップMは、第1(2)閾値判定部172によって実行される。