JP4900089B2 - スピーカーの天井取付構造 - Google Patents

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Description

本発明は、室内の天井面に設けられるスピーカーおよびこのスピーカーの天井取付構造に関する。
近年の家庭用プロジェクターや大画面テレビ等の低価格化にともなって、住宅にオーディオルームやシアタールーム等の音響・映像設備を備えた居室を設ける例が見られるようになっている。また、このような音響・映像専用の居室を計画せずとも、通常のリビングルームなどを、そのままシアタールームとして使用するケースも増えてきている。これらのシアタールーム等の魅力は、大画面による迫力のある映像を楽しめるほか、複数のスピーカーを視聴位置の周囲に配置し、あたかも映画館や音楽ホールのような雰囲気で映画や音楽等を楽しむことができることである。
また、このような音響・映像設備を備えた居室では、複数のスピーカーが吊り下げ設置されたり、スクリーンの側部や後部の床面に載置されたりしている。しかし、住宅等の限られた居室空間においてスピーカーを床面に設置したり、天井から複数のスピーカーが吊り下げられたりすることは、居住スペースを狭めるだけでなくインテリアとして意匠性にも劣る場合があり、スピーカーを天井面に埋め込み設置する方が好ましい場合が多く見られた。
天井埋め込み設置型のスピーカーは、吊り下げ設置されるスピーカーとは異なり、天井懐に納められるので居室のインテリアに影響を与えず、またスピーカーケーブル等も天井懐や壁内に納められて露出しないので、非常にすっきりと見せることができるという利点がある。しかし、天井ボード等の下地材をくり抜いて天井面に開口部を設け、この下地材の開口部にスピーカーを納めて、下地材に直接固定する設置方法が採用されるため、スピーカー鳴動時には、スピーカーの発する振動が下地材を介して建物躯体へ伝搬し、この固体振動音が上階や隣室への音漏れとなってしまうことが懸念された。このような周囲の居室への音漏れが生じると、他の居住者に迷惑となるだけでなく、スピーカー使用者は他の居住者に対して心理的負担を感じてしまうため、好みの音量で存分に音を楽しむことができないという不都合があった。
このような音漏れの問題に対して、従来、天井懐においてスピーカーの上側をボックス形状あるいは曲面形状等の防音カバーで囲い込み、それにより遮音するという方法が提案されているが、スピーカーに生じる振動が天井下地材に伝搬して、これを遮断することができないため、天井面全体に振動を生じてしまい、遮音効果をあまり期待できないものであった。また、このように天井懐において、スピーカーの周囲にボックス形状等の防音カバーを設置することは、施工手間がかかるものであった。
このため、前記シアタールーム等の普及に際しては、意匠性および音響効果の高い天井埋め込み設置型のスピーカーを採用するにあたって、スピーカーが発する振動の伝達をできるだけ抑えて、スピーカーの取り付けられている天井下地材から周囲の建物躯体や隣室へと伝わらないようにする具体的な方策が求められていた。
この種の振動を抑えるように考えられたスピーカーとして、例えば特許文献1には、スピーカーと筐体との間にゴムスペーサを介在させた構造が記載されている。この構造では、スピーカーの振動をゴムスペーサに吸収させて、スピーカーが発する振動が筐体に伝わりにくくなるように意図されている。
特開平3−123153号公報
しかし、上記従来例のようなスピーカーの構造は、ゴムスペーサの分だけスピーカー全体が大きくなり、天井面に設けるようなスピーカーに適用すれば、ゴムスペーサの厚みによりスピーカーが天井面から突出するなど、意匠的に好ましくない設置形態となって、スピーカーを天井埋め込み設置する優位性を著しく損なってしまうという問題点があった。また、このようなスピーカーを取り付ける天井は、天井下地材として石こうボード等を使用していることが多く、重負荷が掛けられないので、部材点数を増やすことなく、安定的な設置形態であることが求められていた。
そこで本発明は、上記のような問題点にかんがみてなされたものであり、天井埋め込み型のスピーカーにおいて、発生する振動が天井下地材を介して隣室や建物躯体に伝搬しないような構造を備えるとともに、施工性および意匠性を兼ね備えたスピーカーおよびスピーカーの天井取付構造を提供するものである。
上記した目的を達成するため本発明は、天井材に設けられたスピーカー取付穴に対し振動吸収性能を有する防振部材を介在させてスピーカーの放音部が室内に臨むように固定するスピーカーの天井取付構造であって、前記スピーカーは放音部を底部に備えたスピーカー本体部とこのスピーカー本体部の底部外周に張り出すようにして設けられたフランジ部とこのフランジ部に向けて前記スピーカー本体部の側面から垂下された固定部材とを有し、前記固定部材と前記フランジ部とが天井材を上下から挟み込むことにより前記スピーカーが天井材に固定され、前記スピーカー本体部と前記フランジ部との間には第1の防振部材が介装され、前記固定部材と天井材との間には第2の防振部材が配設され、前記第1の防振部材は、内周および外周にそれぞれ一条の嵌合溝を備え、内周の嵌合溝に前記スピーカー本体部の底部外周縁部が、外周の嵌合溝に前記フランジ部の内周縁部がそれぞれ嵌合され、前記フランジ部がスピーカー取付穴の室内側周縁部に当接して天井面とほぼフラットな取付形態で固定され、前記第2の防部材は、前記固定部材の下端部に設けられて、前記第1の防振部材によって前記フランジ部とスピーカー本体部とが絶縁され、放音時に前記スピーカー本体部に生じる振動の前記フランジ部および天井材への伝達を抑制し、前記第2の防振部材によって前記スピーカ本体部と天井材とが絶縁され、放音時に前記スピーカー本体部に生じる振動の天井材への伝達を抑制することを特徴とする。
このように構成されることにより、スピーカーの使用時にスピーカー本体部が振動しても、その振動がフランジ部に伝わるのを抑制し、天井面に振動を伝搬させないようにすることが可能となる。したがって、スピーカーを設けた居室の隣室、上層階等への音漏れを防ぐことができる。また、第1の防振部材はスピーカー本体部とフランジ部との間に介装されるものであるので、スピーカー本体部の天井面からの突出量を抑え、フラットな天井面を形成することが可能である。また、簡単な構造で部品点数を増やすことなく、スピーカー本体部にフランジ部を保持固定することができ、意匠性を損なわずに、これらを一体化させることが可能となる。また、スピーカー本体部が天井面に安定的に保持されるように取り付けることができ、また、固定部材が直接、天井材に接するのではなく、第2の防振部材が介在されて固定されるので、スピーカー本体部に生じる振動を天井材に伝えないように取り付けることが可能となる。
また、本発明では前記固定部材が、前記スピーカー本体部の側面の凹部に対し収納可能および回動可能に形成され、前記スピーカー本体部に対して出没自在とされていてもよい
このように構成されることにより、スピーカー取り付けの際に凹部に収納された固定部材を回動させ、スピーカー本体部の側面に張り出すように配設し、当該固定部材とフランジ部とで天井材を上下から挟み込み、スピーカー本体部を支持固定することができる
上述のように構成される本発明によれば、天井埋め込み型のスピーカーにおいて発生する振動を、隣室や建物躯体に伝搬しない構造とすることができ、かつ良好な施工性のもと、安定した保持構造を実現し、天井面とほぼフラットな取付形態でスピーカーを設置することができるので居室インテリアの意匠性を損なうことなく、存分に音楽や映像等を楽しむことのできる音響空間を形成することが可能となる。
以下、本発明に係るスピーカーおよびスピーカーの天井取付構造を実施するための最良の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明のスピーカーおよびスピーカーの天井取付構造を示す断面図、図2はスピーカーの取り付けられた天井の見上げ図である。
本発明を実施する居室10には、天井部に天井材102が配設されて天井面101が構成されている。天井材102は、例えば石こうボード等の天井下地材にクロス張りするなどして仕上げられる。天井面101(天井材102)には、円形状のスピーカー取付穴103が開穿されており、このスピーカー取付穴103にスピーカー1が取り付けられるようになっている。
この形態のスピーカー1は、スピーカー本体部2を有している。スピーカー本体部2は、底部に着脱自在なスピーカーカバー21を備えており、このスピーカーカバー21を通して音を発するように内側に放音部22が備えられている。また、このスピーカー本体部2の外部には、図示しないスピーカーケーブル等が配設され電気接続されるようになっている。
このスピーカー本体部2の底部には、その外周に鍔状に張り出すようにしてフランジ部3が設けられている。これらのスピーカー本体部2とフランジ部3との間には、振動吸収性能を有する第1の防振部材4aが介装されている。
第1の防振部材4aは、スピーカー本体部2に発生する振動を吸収することのできる弾性材料からなり、例えば軟質ゴム等の合成ゴム系材料、あるいは塩化ビニル樹脂、シリコン樹脂等の合成樹脂系材料からなる成形部材で、スピーカー本体部2の外周に沿って環状に取り付けられている。すなわち、第1の防振部材4aは、図1に示すように、内周および外周にそれぞれ一条の嵌合溝41、42が形成されて、断面略I形状(もしくは断面略H形状)をなすように構成されている。そして、この内周の嵌合溝41にスピーカー本体部2の底部外周縁部が嵌合され、外周の嵌合溝42にフランジ部3の内周縁部が嵌合されることにより保持固定され、スピーカー本体部2とフランジ部3とが一体化されている。
また、フランジ部3には、天井面101との当接面に位置決め片31が突設されている。この位置決め片31は、天井面101のスピーカー取付穴103の開口縁(内周)に対応させて配置されている。すなわち、位置決め片31はフランジ部3の当接面に環状に立設されており、位置決め片31の外径は、スピーカー取付穴103の内径とほぼ等しいか少し小さく形成されて、スピーカー取付穴103の内周にちょうど嵌め込まれるように形成されている。位置決め片31の内周は、第1の防振部材4aに接しないように配設されている。
スピーカー1は、このような位置決め片31がスピーカー取付穴103の開口縁に近接して配置されることにより、スピーカー1の天井面101への取付位置がおのずと決定されるとともに、第1の防振部材4aと天井材102とが接しないように完全に離隔させて、両者の接触による振動の伝達を確実に回避できるようになっている。
また、スピーカー1は、スピーカー本体部2の側面に固定部材5を備えている。この固定部材5は、スピーカー本体部2の側面に均等に4箇所に配設されて、互いに対向するように設けられていることが好ましい。また、各固定部材5は、スピーカー本体部2の側面から、フランジ部3の当接面に向けて垂下するように形成されている。
この固定部材5は、振動吸収性能を有する第2の防振部材4bが下端部に配設されている点に特徴がある。第2の防振部材4bは、前記第1の防振部材4aと同様に、スピーカー本体部2に発生する振動を吸収しうる弾性材料からなり、例えば軟質ゴム等の合成ゴム系材料、あるいは塩化ビニル樹脂、シリコン樹脂等の合成樹脂系材料からなる成形部材で形成されていることが好ましい。
また、各固定部材5は、スピーカー本体部2に対して出没自在に形成されていることが好ましい。より具体的には、略L字形状に形成されて、その下端部に第2の防振部材4を備えた固定部材5は、スピーカー本体部2の側面の図示しない凹部に対して回動可能に取り付けられており、図1の状態では、凹部に収納されていた固定部材5を回動させることにより、スピーカー本体部2の側面に張り出すように配設した状態を示している。このようにスピーカー本体部2の側面に張り出した固定部材5と、フランジ部3とが、天井面101を構成する天井材102を上下から挟み込むことにより、スピーカー本体部2が天井面101に支持固定されるようになっている。
なお、固定部材5は、例示した形態に限らず、第2の防振部材4bを備えてフランジ部3に対して垂設されたものであればよく、スピーカー本体部2の側面から突出する板バネ材によりフランジ部3を押さえ込んで係止するものであっても、また、側面からフランジ部3の方向へ斜めに突設した挟持片等で構成されていてもよい。
このような構造を有するスピーカー1は、天井面101のスピーカー設置位置にあらかじめ開設しておいたスピーカー取付穴103を介して、スピーカー1の電気接続を行い、スピーカー本体部2を室内側から挿し入れて取り付けられる。この取り付けの際には、スピーカー本体部2の各固定部材5を側面の凹部に収納した状態でスピーカー取付穴103に下方から挿入する。また、固定部材5が板バネ材であれば、そのバネ弾性を利用して差し込むようにすればよい。このとき、スピーカー本体部2はスピーカーカバー21を取り外した状態でスピーカー取付穴103に挿入される。
次に、スピーカー本体部2の内側から図示しないビスを螺合させて、側面から固定部材5を突出させ、天井材102の上面に当接させて締め付ける。これにより、天井材102は上方から固定部材5が圧着され、下方からフランジ部3の当接面が宛われて、上下から挟み込まれる。これとともに、スピーカー本体部2は天井面101に固定される。
スピーカー本体部2の内側からのビス締め等の取付作業を終えると、スピーカーカバー21をスピーカー本体部2の底部に装着する。これにより、図1に示すように、スピーカー1が天井面101に取付固定され、放音部22が室内に臨んで配設される。
スピーカー1は、天井材102に取り付けられているが、スピーカー本体部2とフランジ部3とが第1の防振部材4aで絶縁されており、この第1の防振部材4aと天井材102とが位置決め片31で離隔して絶縁され、さらにスピーカー本体部2から張り出した固定部材5の下端部の第2の防振部材4bが天井材102との間に介在されて絶縁する。これにより、スピーカー本体部2に生じる振動が、これらの防振部材4a、4bで吸収されて、天井材102には全く伝搬しない取付構造となっている。したがって、スピーカー1の放音時、騒音影響を生じうる振動を天井材102から隣室や建物躯体へと伝えることがなく、他の居室の生活環境への影響を最小限に抑え、スピーカー使用者が心理的負担をもつことなく音楽等を楽しむ空間を形成するのに寄与することができる。
また、上記のように構成されることにより、スピーカー1における天井面101からの突出寸法を抑えてほぼフラットな天井面101を形成することができる。このため、天井面101に複数個のスピーカー1を設置しても居室インテリアの意匠性を損なうことがなく、快適な音響空間を形成することが可能となる。また、スピーカー1の取付施工も容易であり、フランジ部3の位置決め片31をスピーカー取付穴103の開口縁に近接配置するようにスピーカー本体部2を挿入し、固定部材5により固定するだけで、複雑な施工作業を経ずとも、天井材102と第1の防振部材4aとが接しないように完全に離隔させつつ、適切な取付位置に設置することができ、部品点数も少なく、良好な施工性のもと、安定した保持構造および防振構造を実現することができる。
なお、スピーカー1は、居室の天井面101に1箇所だけでなく複数箇所、例えば居室の天井に、スピーカー1を前方左右(フロントスピーカー)、後方左右(リアスピーカー)、および中央(センタースピーカー)の合計5箇所にそれぞれ配置し、5.1chサラウンドシステムを構成するようにしてもよく、より一層、高音質で臨場感あふれる音響効果を得ることが可能になる。また、かかるスピーカー1の裏側に適宜の形状の防音カバーを取り付けて、天井懐における遮音性を高めて、より効果的な音響環境を実現するようにしてもよい。
本発明のスピーカーおよびスピーカーの天井取付構造を示す断面図である。 本発明に係るスピーカーの取り付けられた天井の見上げ図である。
符号の説明
1 スピーカー
2 スピーカー本体部
22 放音部
3 フランジ部
31 位置決め片
4a 第1の防振部材
41、42 嵌合溝
4b 第2の防振部材
5 固定部材
10 居室
101 天井面
102 天井材
103 スピーカー取付穴

Claims (2)

  1. 天井材に設けられたスピーカー取付穴に対し振動吸収性能を有する防振部材を介在させてスピーカーの放音部が室内に臨むように固定するスピーカーの天井取付構造であって、
    前記スピーカーは放音部を底部に備えたスピーカー本体部とこのスピーカー本体部の底部外周に張り出すようにして設けられたフランジ部とこのフランジ部に向けて前記スピーカー本体部の側面から垂下された固定部材とを有し、
    前記固定部材と前記フランジ部とが天井材を上下から挟み込むことにより前記スピーカーが天井材に固定され、前記スピーカー本体部と前記フランジ部との間には第1の防振部材が介装され、前記固定部材と天井材との間には第2の防振部材が配設され、
    前記第1の防振部材は、内周および外周にそれぞれ一条の嵌合溝を備え、内周の嵌合溝に前記スピーカー本体部の底部外周縁部が、外周の嵌合溝に前記フランジ部の内周縁部がそれぞれ嵌合され、前記フランジ部がスピーカー取付穴の室内側周縁部に当接して天井面とほぼフラットな取付形態で固定され、前記第2の防部材は、前記固定部材の下端部に設けられて、
    前記第1の防振部材によって前記フランジ部とスピーカー本体部とが絶縁され、放音時に前記スピーカー本体部に生じる振動の前記フランジ部および天井材への伝達を抑制し、
    前記第2の防振部材によって前記スピーカ本体部と天井材とが絶縁され、放音時に前記スピーカー本体部に生じる振動の天井材への伝達を抑制することを特徴とするスピーカーの天井取付構造。
  2. 請求項1に記載のスピーカーの天井取付構造において、
    前記固定部材は、前記スピーカー本体部の側面の凹部に対し収納可能および回動可能に形成され、前記スピーカー本体部に対して出没自在であることを特徴とするスピーカーの天井取付構造。
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