JP3973482B2 - 内壁構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、建物の内壁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は外壁と内壁とを一体化した従来の壁構造51を示した断面図である。この壁構造51における外壁部分は、外装面材(窯業系面材等)52及び外装下地53から成り、内壁部分は内装面材(石膏ボード等)54及び内装下地(角材等)55から成る。外装下地53と内装下地55とは直接に固着されている。図示しない柱には外装下地53におけるパネルフレーム部分が固定される。前記外壁部分と内装部分との間の空間には吸音材56が設けられている。また、図6は外壁と内壁とが分離している従来の壁構造61を示した断面図である。この壁構造61は、外装面材62、内装面材63及び内装下地64から成り、内部には吸音材65が設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、音楽鑑賞のためのリスニングルームや映画鑑賞を目的としたホームシアターが普及してきているが、このようなホームシアター等を構築する場においては、屋外で生じた音が室内に入り込んでくるのを阻止すると同時に大音量で映画等を視聴する際に音が屋外に漏れてしまうのを阻止することが重要であり、高い遮音性を持つ空間を家屋内に造り出すことが求められることになる。また、映画の迫力を十分に引き出すためには重低音の出力が不可欠であるが、重低音用のスピーカ(ウーハー)は他のスピーカに比べて大きく、スペースがないために重低音用のスピーカを設置できない、或いは、重低音用のスピーカを設置したために他の機器のレイアウトが制約されるといった不満がある。
【0004】
この発明は、上記の事情に鑑み、遮音性に優れると共に重低音用のスピーカとして機能し得る内壁構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の内壁構造は、上記の課題を解決するために、内装面材及びこれを支持する内装下地が壁面構成要素として必要とされる剛性を備えつつ弾性的挙動を許すように少なくとも中央部では弾性緩衝材を介在させ非固定とされて建物構成要素に固定されていることを特徴とする。
【0006】
上記の構成であれば、内壁の弾性的挙動が許されることでその振動形態が緩やかとなり(フレキシブルとなり)、略全周波数域で遮音性能が向上することになる。また、このように内壁の弾性的挙動が許されることにより、内壁は振動板として機能することができ、電気信号で振動する振動体の装着によってスピーカとなる。内壁の面積は大きく重低音用のスピーカとして好適である。内壁として求められる強さにおいては、弾性緩衝材介在箇所の建物構成要素(外壁面構成要素を含む)を強固にしておくことで、内装面材は一定以上は変形(変位)できないことになり、壁としての強度を十分に備えることができる。
【0007】
内装面材の裏面又は内装下地に振動体が装着され、前記振動体へ電気信号を供給するコードの入力端子部が内装面材の表側に露呈可能に設けられているのがよい。これによれば、音響機器におけるスピーカ用コードを前記入力端子部に接続するといった簡単な作業で内壁をスピーカにすることができる。入力端子部は露呈のままでもよく、或いは蓋状物の開閉によって露呈/非露呈とされるものでもよい。
【0008】
内装面材の表側に振動体が固着される構造としてもよい。また、振動体を着脱自在に装着するための装着部が内装面材の表側に設けられていてもよい。これによれば、振動体を前記装着部に装着することで内壁をスピーカとすることができる一方、スピーカとすることが不要であるときには、振動体を壁から離脱させておくことができる。
【0009】
外壁に一体化されており、前記外壁の外装下地に前記弾性緩衝材を介して前記内装下地の少なくとも中央部が支持されると共に前記外壁の外装下地に前記内装下地の縁部が強固に固定されている構造としてもよい。かかる構成では、内装一体型の外壁パネルとなり、パネル工法の適用で施工性も悪くはならない。
【0010】
また、かかる内壁構造は室内の間仕切りとして構成されてもよい。また、内装面材の裏面側に吸音材が設けられる構造としてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の内壁構造を図1乃至図4に基づいて説明していく。
【0012】
図1は外壁と内壁が一体化された壁構造を示した図であって、同図(a)は側面断面図であり、同図(b)は拡大して示した平面断面図である。外装面材(窯業系面材等)1の裏面には外装下地(断面コ字形状の鋼材を枠状に配置した方形フレームや角材等)2が固定されており、この外装下地2における方形フレーム部が図示しない柱に固定される。内装面材(石膏ボード等)3の裏面には内装下地4が前記外装下地2と向き合うように設けられている。そして、この実施形態では、内装下地4は比較的小さい断面積で弾性変形可能な低剛性の鋼製角パイプ材としており(例えば、40mm×20mmを用いることができる)、内装下地4と内装面材3とが一体となって振動できるようにしてある。
【0013】
この実施形態では、内装下地4はその上縁部及び下縁部において連結材5によって強固に外装下地2に固定されており、それ以外の部分についてはどこにも固定されず、内装面材3と内装下地4とにおける全体的な振動が許容されるようにしている。そして、上下方向中央箇所においては外装下地2と内装下地4との間に弾性緩衝材6を介在させており、当該箇所では外装下地2と内装下地4とは間接的に緩やかに連結されている。弾性緩衝材6としては、例えば、柔らかめのゴム(発泡系ゴム等)やウレタン等を用いることができる。
【0014】
内装面材3の裏面(内装下地4でもよい)には振動体7が固着されている。この振動体7はオーディ出力信号を入力して振動するものであり、内装面材3及び内装下地4を振動させるのに好適な重量を有する。振動体7へ電気信号を供給するコードの入力端子部8は内装面材3の表側に設けられている。音響機器におけるスピーカ用コード(図示せず)を前記入力端子部8に接続することで内壁(内装面材3及び内装下地4)はスピーカとなる。入力端子部8は露呈のままでもよく、或いは蓋状物の開閉によって露呈/非露呈とされるものでもよい。
【0015】
図2は図1に示した構造の内壁構造における遮音特性を示した図であり、横軸には周波数(Hz)をとり、縦軸には音響透過損失(dB)をとっている。図5の従来構造における遮音特性(破線)に比べ、本願の図1に示す内壁構造は、略全周波数において10dBほど遮音性が向上している。また、一般的な壁構造に比べて低音域の性能が大きく向上していることも分かる。
【0016】
図3は内装面材3の表面側に振動体7を装着するタイプの内壁構造を示している。振動体7の先端面には板部が設けられており、この板部がビス11…によって内壁に固定されている。ビス11…は内装面材3を貫通して内装下地4に螺合させてある。振動体7の振動は内装面材3及び内装下地4に伝わり、これら内装面材3及び内装下地4をスピーカとして機能させることになる。
【0017】
図4は内装面材3の表面側に振動体7を装着部9に装着するタイプの内壁構造を示している。装着部9は第1板部材9aと第2板部材9bとから成る。第1板部材9aは平板形状を成しビス12…によって内壁に固定されている。ビス12…は内装面材3を貫通して内装下地4に螺合させてある。第2板部材9bは屈曲形状を成し四隅に設けたビス13…によって第1板部材9aに固定されている。第1板部材9aと第2板部材9bの貼り合わせ状態において前記振動体7の収容凹部が形成され、この収容凹部に振動体7の板部を収容することで振動体7が装着部9にセットされる。振動体7の振動は装着部9を介して内装面材3及び内装下地4に伝わり、これら内装面材3及び内装下地4をスピーカとして機能させることになる。一方、内壁をスピーカとすることが不要であるときには、振動体7を壁から離脱させて収納しておくことができる。なお、装着部9と振動体7の板部とのがたつきを無くすようにこれらにテーパ形状を持たせておいてもよい。
【0018】
上述した例では、内壁が外壁に一体化された壁構造を示したが、これに限るものではない。また、この内壁構造は室内を仕切る間仕切りとして構成することもできる。この間仕切り構成とする場合には、内装面材3と内装下地4とから成る構成物を二組用い、内装下地4同士が向かい合うように貼り合わせ、この貼り合わせ面に弾性緩衝材6を介在させる。ここで、スピーカとして機能させたい内壁については、内装下地4としては弾性変形可能なものを用いるが、スピーカとして機能させることを予定しない内壁については、内装下地4としては高剛性のものを用いればよい。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、内壁の弾性的挙動が許されることでその振動形態が緩やかとなり、略全周波数域で遮音性能が向上することになる。また、このように内壁の弾性的挙動が許されることにより、内壁は振動板として機能することができ、振動体の装着によってスピーカとなる。特に、内壁の面積は大きく重低音用のスピーカとして好適である。また、内装面材は弾性緩衝材を介して建物構成要素に支持され、一定以上は変形できないことになるから、壁としての強度を十分に備えることができる。
【0020】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態の内壁構造(振動体付き)を示した図であって、同図(a)は側面断面図であり、同図(b)は拡大して示した平面断面図である。
【図2】図1に示した構造の内壁構造における遮音特性を示した図である。
【図3】この発明の実施形態の内壁構造において振動体の装着例を示した斜視図である。
【図4】この発明の実施形態の内壁構造において振動体の装着例を示した斜視図である。
【図5】外壁と内壁とを一体化した従来の壁構造を示した断面図である。
【図6】外壁と内壁とを一体化した従来の壁構造を示した断面図である。
【符号の説明】
1 外装面材
2 外装下地
3 内装面材
4 内装下地
5 連結材
6 弾性緩衝材
7 振動体
8 入力端子部
9 装着部
Claims (7)
- 内装面材及びこれを支持する内装下地が壁面構成要素として必要とされる剛性を備えつつ弾性的挙動を許すように少なくとも中央部では前記内装下地と建物構成要素との間に弾性緩衝材を介在させることで該建物構成要素に対して非固定とされる一方で、前記内装下地の縁は前記建物構成要素に非弾性固定されていることを特徴とする内壁構造。
- 請求項1に記載の内壁構造において、内装面材の裏面又は内装下地に振動体が装着され、前記振動体へ電気信号を供給するコードの入力端子部が内装面材の表側に露呈可能に設けられていることを特徴とする内壁構造。
- 請求項1に記載の内壁構造において、内装面材の表側に振動体が装着されたことを特徴とする内壁構造。
- 請求項1に記載の内壁構造において、振動体を着脱自在に装着するための装着部が内装面材の表側に設けられたことを特徴とする内壁構造。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の内壁構造において、外壁に一体化されており、前記外壁の外装下地に前記弾性緩衝材を介して前記内装下地の少なくとも中央部が支持されると共に前記外壁の外装下地に前記内装下地の縁部が強固に固定されていることを特徴とする内壁構造。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の内壁構造において、室内の間仕切りとして構成されたことを特徴とする内壁構造。
- 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の内壁構造において、内装面材の裏面側に吸音材が設けられたことを特徴とする内壁構造。
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