JP4899707B2 - 耐熱性pet容器の製造方法 - Google Patents

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本発明は、耐熱性に優れるPET容器の製造方法に関する。
従来から、マグカップなどは瀬戸物で製造されることが多く、種々の使用者の嗜好に適するように、一般に白色の食器に彩色が施されている。しかしながら、瀬戸物製では保温性に劣る場合があり、かつ割れやすい。これに対し、プラスチック製のマグカップは一般に衝撃に強く、割れづらい利点がある。このようなプラスチック製の食器に、更に耐熱性、耐衝撃性を付与するため、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET系樹脂と称する。)をTg以上の温度に加温して結晶化する技術がある。
一例として、リサイクルPET系樹脂のペレットを220〜280℃で溶融させた溶融PET系樹脂を金型内に射出して原食器を成形し、ついで120〜200℃で加熱して、耐熱性に優れ、所定の耐衝撃性を有する食器を製造する方法がある(特許文献1)。該特許文献1では、前記原食器は、内部が結晶化した耐熱性の高い結晶化層となるが外側の表面部分は非結晶で耐熱温度の低い非結晶層であり、次いで、120〜200℃で加熱して結晶化を促進させることで、耐熱性に優れ、光沢を有する食器が得られるとしている。
更に、リサイクルPET系樹脂のペレットを220〜280℃で溶融させた溶融PET系樹脂を金型内に射出して原食器を成形し、得られた原食器に有機色素染料で印刷し、ついで120〜200℃で加熱し、滲まずに鮮明で、耐熱性に優れ、所定の耐衝撃性を有する食器を製造する方法もある(特許文献2)。該特許文献2では、印刷後の原食器を120〜200℃で加熱すると、インクを定着させることができ、かつ結晶化を促進させ、耐熱性に優れる食器が得られる、という。
特開2003−311795号公報 特開2004−136510号公報
前記したように、PET系樹脂はTg以上の温度で結晶化する。例えば、PETはTg73℃であり、温度120〜180℃で結晶化し構造が安定する。また、PETのTmは220〜240℃であるから結晶化後に昇温するとTm以上の温度で溶融する。PET系樹脂を射出成型して耐熱性容器を製造するにはPET系樹脂を溶融する必要があるが、溶融温度と結晶化温度とが解離し、結晶化温度は樹脂が軟化するTg温度以上であるため、容器の変形を防止しつつ均一かつ高い結晶化度を有する耐熱性PET容器を製造することは困難である。上記特許公報1および2では、製造する容器のサイズに関する記載はないが、マグカップなど深さと厚みのある容器を製造する場合には、溶融PET系樹脂を容器壁の内部に至るまで均一に結晶化させることができず、したがって、十分な耐熱性を確保することができない場合がある。特に、PET系樹脂は、結晶化すると白化するが、結晶化が不均一な場合には白化も不均一となり、外観が劣り商品価値を低下させる一因となる。
また、前記した方法は、溶融PET系樹脂を射出成型して射出成型容器を得る際、加熱により結晶化させ、溶融温度(Tm)からTg温度以下まで冷却固化して離型するが、容器が肉厚である場合には、均一な熱履歴を経ることができない。具体的には、溶融温度(Tm)とTgとの間に存在する、結晶化が進行する結晶化温度領域を通過する熱履歴が成型品の各部分で変動し、このため成型品の各部分で結晶化度が異なり、例えばゲート付近は開口部より結晶化度が高く、また厚い壁厚の表面付近は、中心部より低くなるなど、不均一になる。更に、次の加熱結晶化工程で前記射出成型容器が加熱される場合には、結晶化が不十分な部分は軟化し自重で変形する場合があり、結晶化の不均一性が結晶化後の容器の変形をもたらす。これらを防止するため金型内に結晶化温度で長時間とどめればよいが、結晶化して硬化した容器を離型することは割れの発生、金型、特にコア型への抱き付きが発生するため困難であり、生産性もきわめて低い。
また、PET系樹脂は結晶化により収縮するため、そりや変形の一因となり、前記したように射出成型時に金型より離脱する際にひび割れが生じる場合もあり、このような変形を防止する必要もある。
更に、食器に絵付けを行った場合に摩擦によって印刷が剥離する場合があり、商品価値を低下させ、および食器としての寿命を短命にする場合がある。
本発明は、PET系樹脂製の容器であって、製造時の変形やヒビわれを防止し、均一に結晶化され、耐熱性、保温性および耐衝撃性に優れるPET容器を製造する方法を提供するものである。
本発明者は、従来の瀬戸物製の食器に代えてPET系樹脂を使用することができ、該PET系樹脂を結晶化させると白化するため瀬戸物と同様の質感が得られること、結晶化によって耐熱性が付与され、かつ保温性が付与されること、容器を結晶化するに金型のコア側とキャビティ側の温度とを所定温度に制御して射出成型し、および所定温度で再加熱することで容器の変形やヒビ割れを防止しつつ結晶化を均一に行うことができ、および射出成型した容器に所定の染料で印刷を行うと、極めて鮮明な印刷が可能となることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、結晶化度を有し、かつ瀬戸物と質感が共通する、厚さ3.0〜7.0mmの機能上十分な耐熱性PET容器を、容器の変形を防止しつつ製造することができる。
本発明の耐熱性PET容器は、耐熱性に優れ、熱伝導性が金属磁器に比較して低く、マグカップなど取っ手のある容器を製造した場合でも取っ手部が熱くならず、取り扱いに優れる。
耐熱性PET系樹脂はガラスよりも熱伝導性が低いため、本発明の耐熱性PET系樹脂の製造方法によって、保温性に優れ、内容物がさめ難い容器を製造することができる。
本発明によれば、特定の染料を使用して印刷後に加熱することで、簡便に耐摩擦性に優れる印刷を施した容器を製造することができる。
本発明は、容器平均厚が3.0〜7.0mmである金型のコアの温度を40〜50℃、キャビティーの温度を15〜25℃に加熱し、温度230〜240℃の溶融PET系樹脂を射出成型して射出成型容器を得る工程と、前記射出成型容器を温度120〜200℃で加熱する工程とからなる、耐熱性PET容器の製造方法である。PET系樹脂は結晶化によって収縮するため、容器に厚みのある場合には射出成型によっては変形しやすく、かつ容器の内部と表面との間の結晶化度に差が生じやすいが、本発明によれば均一にかつ高い結晶化度を有する耐熱性PET容器を製造することができる。
(1)金型
本発明の耐熱性PET容器の製造方法では、溶融PET系樹脂を金型に射出形成する工程が必須である。該工程で使用する金型は、容器平均厚が3.0〜7.0mm、より好ましくは4.0〜6.0mm、特に好ましくは4.5〜5.5mmの容器製造用の金型である。7.0mmを超える場合には、結晶化が均一に行われない場合が多い。なお、容器の厚さに下限はなく、本願発明によってフィルム状の容器も製造することができるが、射出成型可能な厚さとして上記下限を設けた。このような容器としては、皿、鉢、碗、コップなど、従来瀬戸物で製造され、耐熱性や保温性が要求される容器に広く応用することができる。なお、本願において、金型の「コア」および「キャビティー」とは、凸形状のものと凹形状のものを組み合わせてその間隙に樹脂を充填して製品を作る金型において、凹型状の型をキャビティーを、凸形状の型をコアとする。また、金型の形状によっては上記定義に即しない場合には、容器の内側を形成する金型をコアと称し、容器の外側を形成する金型をキャビティーと称する。なお、本発明で使用する金型は、PET系樹脂を充填する表面にブラスト加工を行ってもよい。ブラスト加工によって射出成型容器の離型性が向上する場合がある。
(2)PET系樹脂
本発明で使用するPET系樹脂は、主としてPETが使用されるが、PET樹脂の本質が損なわれない限り、エチレンテレフタレート単位を主体として、他のポリエステル単位を含む共重合ポリエステルも使用でき、たとえば耐熱性を向上させるためにナイロン系樹脂、ポリエチレンテレナフタレート樹脂等の樹脂をブレンドして使用することもできる。共重合ポリエステル形成用の成分としては、たとえばイソフタル酸、ナフタレン2,6−ジカルボン酸、アジピン酸等のジカルボン酸成分、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等のグリコール成分を使用することができる。また、必ずしもPET系樹脂ペレットを溶融する必要はなく、使用後のPETを粉砕したリサイクルPET樹脂などを使用することもできる。
(3)射出成型工程
本発明において、射出成型時のコアの温度は、40〜50℃であり、より好ましくは43〜47℃、特に好ましくは45℃である。また、キャビティーの温度は、15〜25℃、より好ましくは18〜22℃、特に好ましくは20℃である。上記したコアおよびキャビティーの温度は、いずれもPET系樹脂の結晶化温度よりも低い。この温度範囲でキャビティー側とコア側との間に温度に差を設け、コア側の温度をキャビティー側の温度よりも高く設定し、結晶化温度よりも高温で溶融したPET系樹脂を金型に充填すると、射出成型容器におけるコア側の結晶化度を高くすることができ、その結果、次工程で温度120〜200℃でキャビティー側をコア側より先に加熱して結晶化を促進する際に、容器の変形を防止することができる。
射出成型工程において、本発明ではPET系樹脂を、温度230〜240℃、より好ましくは235〜240℃、特に好ましくは238〜240℃に加熱および溶融して射出成型する。射出成型時の溶融温度が240℃を超えると、結晶化率が低くまたは結晶化したPET系樹脂が溶融するため、射出成型容器が透明容器となる場合がある。一方、230℃を下回ると射出形成に適度な流動性が得られず生産性が低下する場合がある。なお、射出圧力は、30%〜50%であり、より好ましくは35%〜50%、特に好ましくは38%〜42%である。50%を超えるとヒケが発生する場合があり、一方、30%を下回ると生産効率が低下する場合がある。
なお、射出形成工程で使用する前記溶融PET系樹脂は、予め温度120〜180℃の範囲で温度を漸増させつつ50〜70分加熱溶融して結晶化させたものを使用することが好ましい。結晶化の後に更に4〜5時間の乾燥工程を行ってもよい。このような温度漸増の一例として、例えば120℃で20分、140℃で20分、160℃で10分、180℃で10分加熱し、結晶化する方法がある。このような処理によって該PET系樹脂の結晶化度を、35〜50%、より好ましくは40〜45%、特に好ましくは42〜43%とすることができる。
上記した射出成型工程で得られる射出成型容器は、コア側の結晶化度がキャビティー側の結晶化度よりも高く傾斜した結晶化度を持ち、かつゲート付近の結晶化度より容器開口部の結晶化度が低いという特徴を有する。この結晶化度の違う容器を前駆体として使用することで、次の加熱工程により変形なく良好に結晶化することが可能になる。
(4)加熱工程
上記によって射出成型容器を得た後、本発明では、該射出成型容器を温度80〜200℃で90〜100分、より好ましくは80〜180℃で90〜100分、特に好ましくは80〜160℃で90〜100分加熱し、結晶化を促進させる。この際、結晶化を促進するには、温度118〜122℃で18〜22分、ついで温度150〜160℃で8〜12分と複数段に加熱するとより結晶化をより促進することができる。120℃を下回ると、結晶化率が低下する場合があり、一方、200℃を超えると、結晶化したPET系樹脂が再度溶融するため、容器が変形する場合がある。なお、上記方法に代えて、温度80〜120℃の範囲で漸次温度を上昇させながら、60〜90分加熱して結晶化を促進する方法であってもよい。
上記80〜200℃という温度範囲は、PET樹脂のガラス転移点である73℃よりも高い温度であるため、PET系樹脂の結晶化温度であると同時にPET系樹脂が軟化、溶融する温度であり、本来、射出成型容器が変形しやすい温度である。しかしながら、本発明では、前記射出成型工程で金型のコアの温度をキャビティーの温度よりも高くすることで射出成型容器のコア側の結晶化度を促進させているため、容器内側の耐熱強度が高くなっており、容器内部の強度に依存して加熱工程での容器の変形を有効に防止することができる。しかも、変形を防止できるため、加熱時間を長くすることでき、結晶化度を向上させることができる。
本発明では、上記加熱工程において、射出成型容器の開口部側に貫通孔を有する遮蔽板を載置することが好ましい。このような遮蔽板と、その使用例を図1に示す。図1において、(a)は射出成型容器(100)の断面図であり、(b)は遮蔽板(10)の平面図、(c)は遮蔽板(10)を図1(b)のA−A線で切断した断面図である。加熱雰囲気中に前記遮蔽板(10)を載置する。該遮蔽板(10)には、射出成型容器(100)の開口部の丸みに対応して、開口部の円周に沿って円弧のくぼみ(13)が形成されている。また、遮蔽板(10)の中央部には貫通孔(15)が設けられており、該貫通孔(15)を介して加熱雰囲気が射出成型容器(100)の内部に流入される。該、遮蔽板(10)には、取り扱いが便利なように翼(17)が設けられており、翼(17)には、加熱雰囲気の流通を阻害しないように、複数の翼部貫通孔(19)が設けられている。
本発明において、遮蔽板(10)に設けられた貫通孔(15)が存在すると、加熱雰囲
気は、該貫通孔(15)を介して射出成型容器(100)の内側に流入するが、射出成型容器(100)の外側よりも内側の温度上昇が遅くなる。このため加熱雰囲気によって容器外側の樹脂が柔軟になった場合でも容器内側の軟化を遅延させて容器の変形を抑えることができる。加えて、前記したように、本発明では、前記射出成型工程で金型のコアの温度をキャビティーの温度よりも高くして、射出成型容器(100)のコア側の結晶化度を促進させているため、加熱初期段階での耐熱変形性は十分あり、両者があいまって、容器変形を効率的に防止することができる。更に、上記遮蔽板(10)を使用して容器内側と外側との軟化時間に差を設けることで、変形を防止しつつ容器外側の結晶化を完成させて容器外側に強度を付与させ、ついで容器内側の結晶化を完成させ、容器の変形を有効に防止すると共に容器全体の均一な結晶化を同時に達成することができる。
さらに、射出成型容器(100)の開口部は、結晶化度が低いため変形が発生するが、この開口部を開口部の円周に沿って形成された円弧のくぼみ(13)に載置して加熱すれば、前記開口部は初期段階で軟化してこのくぼみ(13)で賦型され、次いで結晶化の進行により硬化する。射出成型容器(100)の開口部が軟化してくぼみ(13)で賦型されるため、前記開口部は滑らかな表面に歪みなく仕上げられる。
このような遮蔽板(10)は、例えば、ステンレス、アルミニウム、鉄、銅などの金属、木片、セラミックスなどで製造することができる。熱伝導性に優れる点で、金属製が好ましい。また、遮蔽板(10)に設ける貫通孔(15)のサイズは、上記目的を達成するものであれば特に制限はなく、1に限らず複数の貫通孔(15)を設けてもよい。また、貫通孔の位置も中央に限定されず、複数の貫通孔(15)を均等に、または容器開口部の円周に沿って設けてもよい。一般には、貫通孔の総面積が、容器開口面積の30%以下、より好ましくは15〜25%、特に好ましくは18〜22%である。
(5)印刷工程
一方、容器に印刷を施す場合には、前記(3)の射出成型工程の後に、得られた射出成型容器に溶媒で溶解した染料を使用して彩色して印刷することができ、その後に印刷した射出成型容器を前記(4)の加熱工程で加熱することで印刷の定着と結晶化とを同時に行うことができる。
本発明で使用できる染料としては、口紅用の色素を使用することが好ましい。安全性が高く、かつ熱によってPET系樹脂内に浸透し、印刷後の安定性が高いからである。このような染料としては、アントラピリドン系色素などがある。
このような色素は、溶媒に溶解して使用することができる。このような溶媒としては、例えば化粧品用のオイルであれば安全性に優れる。上記染料に使用できる溶媒としては、リンゴ酸ジイソステアリルがある。
上記染料を使用する場合において、射出成形容器に浸透する染料は、温度が高くなるほど、時間が長くなるほど濃くなる。したがって、使用する染料の量と印刷時間とは、彩色の状況から適宜判断する。なお、印刷方法は、従来のいかなる方法であってもよく、例えば、シルク印刷、スクリーン印刷、タンポ印刷などを好適に行うことができる。また、本発明の射出成型容器の絵付面側であるキャビティー側表面は、結晶化度を低くしているため染料が浸透しやすく、また浸透後に結晶化が十分進行するため、染色はより安定したものとなる。
このように印刷した射出成形容器は、前記した加熱工程で前記温度範囲で加熱する。本発明では、結晶化のための加熱工程の条件と、印刷を固定するための加熱固定処理とを共通させることで工程数を削減することができる。なお、上記染料の射出成形容器への浸透は、温度120℃ころより開始される。このため、結晶化と同時に染料の浸透を行うことができる。なお、印刷の色調をよくするには温度160℃まで加熱する必要があり、PET系樹脂の結晶化にも温度160℃近傍の加熱が必要であるが、急激な温度上昇を行うと結晶化していない部分が変形する場合がある。そこで、印刷の色調をよくしかつ射出成形容器の変形を防止するため、本発明では、該射出成型容器に対する加熱温度を漸増させ、例えば、温度118〜122℃の加熱雰囲気下に18〜22分載置し、ついで、150〜160℃で8〜12分加熱することが好ましい。これによって色調が鮮明となり、同時にPET系樹脂の結晶化を促進させることができる。なお、上記方法に代えて、温度80〜160℃の範囲で漸次温度を上昇させながら、60〜90分加熱して結晶化を促進する方法であってもよい。なお、印刷後の加熱工程においても、前記したように、遮蔽板を載置し、その上に射出成形容器を伏せておき、加熱することが変形防止の点で好ましい。
加熱後の容器は、加熱工程による印刷固定および結晶化終了後に、浸透しなかった染料を除去するため、洗浄することが好ましい。その後、乾燥して製品とする。このようにして得られた本発明の耐熱性PET容器は、結晶化度が35%〜40%である。
(6)耐熱性PET容器
本発明では、前記(3)の射出成型工程および前記(4)の加熱工程を経た容器をそのまま耐熱性PET容器として使用することができ、前記(3)の射出成型工程についで前記(5)の印刷工程を行い、ついで前記(4)の加熱工程を経た容器を耐熱性PET容器として使用することができる。
本発明の耐熱性PET容器の製造方法によれば、結晶化度35〜40%の耐熱性PET容器を製造することができる。
本発明の耐熱性PET容器としては、皿、鉢、碗、コップなどがあり、深さがある容器としてコップや、特に取っ手のあるマグカップなどを好適に製造することができる。このようにして得られた耐熱性PET容器は、耐熱性に優れるため、電子レンジでの加熱によっても、取っ手部が熱くならず好適に使用することができる。また、殺菌のために加熱処理しても変形せず、衛生的である。また、印刷用の染料はPET系樹脂に浸透しているため、摩擦などによる抵抗力があり、耐久性に優れる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
実施例1
予め樹脂充填側をブラスト処理した平均厚が3.0〜7.0mm、内径90〜100mm、高さ100〜110mmのマグカップ用金型のコアの温度を40〜50℃、キャビティーの温度を15〜25℃に加熱した。
これに、温度120℃で20分、140℃で20分、160℃で10分、180℃で10分加熱したPETを240℃で加熱溶融し、前記金型に射出した。30〜40秒かけて放冷したのち金型から取り出した。
この射出成型容器に、染料インキ(住化ケムテック(株)製、商品名「スミプラスト」;アントラピリドン系色素)73gをりんご酸ジイソステアリル(日清オイリオ(株)製、商品名「コスモール222」)40gを溶媒として溶解したものを、シルク印刷した。
この容器を、図1に示すステンレス製の遮蔽板(10)を載置した加熱室内の前記遮蔽板(10)の上にうつぶせにし、容器開口部を、前記遮蔽板(10)の円弧のくぼみ(13)に合わせて置いた。なお、遮蔽板(10)の略中央には、直径12mmの貫通孔が設けられている。この加熱室内で、温度120℃で20分、ついで温度160℃に昇温して10分加熱して耐熱性PET容器を得た。
実施例2
実施例1で得た耐熱性PET容器について、図2に示す各部位の結晶化度を測定した。結果を表1に示す。なお、結晶化度は以下の式で示される。
Figure 0004899707
Figure 0004899707
比較例
実施例1の射出成型容器を50℃に加熱温調した射出成型用金型に射出成型後5分間とどめ、型内で結晶化させた後に離型を行った。しかしながら、射出成型容器はコア型に抱き付き、通常の射出エジッター圧力では離型できなかった。
本発明の耐熱性PET容器の製造方法は、結晶化を均一に行わせることができるため、耐熱性、保温性、耐衝撃性に優れ、かつ結晶化による白化も均一であるため、外観に優れる耐熱性PET容器を効率的に製造することができる。
本発明の加熱工程で使用する遮蔽板とその使用方法を説明する図である。 実施例1で得た耐熱性PET容器の結晶化度測定部位を示す図である。
符号の説明
10・・・遮蔽板、
13・・・円弧のくぼみ、
15・・・貫通孔、
17・・・翼、
19・・・翼部貫通孔、
100・・・射出成型容器。

Claims (9)

  1. 容器平均厚が3.0〜7.0mmである金型のコアの温度を40〜50℃、キャビティーの温度を15〜25℃に加熱し、温度230〜240℃の溶融PET系樹脂を射出成型して射出成型容器を得る工程と、
    前記射出成型容器を温度120〜200℃で加熱する工程とからなる、耐熱性PET容器の製造方法。
  2. 前記加熱工程は、前記射出成型容器を温度118〜122℃で18〜22分、次いで温度150〜160℃で8〜12分の雰囲気下で加熱するものである、請求項1記載の耐熱性PET容器の製造方法。
  3. 前記加熱工程において、前記射出成型容器の開口部側に貫通孔を有する遮蔽板を載置することを特徴とする、請求項1または2記載の耐熱性PET容器の製造方法。
  4. 前記射出成型工程において、前記溶融PET系樹脂は、結晶化度35〜50%のPET系樹脂を溶融したものである、請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱性PET容器の製造方法。
  5. 前記射出成型工程で得た射出成型容器に染料で印刷し、次いで、印刷後の射出成型容器を前記加熱工程で加熱することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性PET容器の製造方法。
  6. 得られた耐熱性PET容器の結晶化度が35〜40%である、請求項1〜5のいずれかに記載の耐熱性PET容器の製造方法。
  7. 前記耐熱性PET容器がコップである、請求項1〜6のいずれかに記載の耐熱性PET容器の製造方法。
  8. 前記溶融PET系樹脂を射出成型してなる射出成型容器の外側を加熱し、次いで容器内側を加熱し、容器内側の結晶化度を容器外側の結晶化度より高めることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の耐熱性PET容器の製造方法。
  9. 前記溶融PET系樹脂を射出成型してなる射出成型容器を加熱し、前記容器の開口部を軟化させ、前記遮蔽板に設けた凹部によって賦型することを特徴とする、請求項3〜8のいずれかに記載の耐熱性PET容器の製造方法。
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