JP4899292B2 - 半導体装置 - Google Patents

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この発明は、半導体素子や回路を静電気による過電圧破壊から保護する半導体保護素子を有する半導体装置に関する。
パワーICに求められている特性の一つにESD(Electro Static Discharge)破壊耐量がある。特に自動車分野等では、電荷を帯びた人や物が接触するので、このESD破壊耐量は非常に重要である。
このESD破壊耐量を向上させるために、ESD電圧が印加されたときに、スイッチング素子自体に形成される寄生サイリスタを動作させる方法が報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。また、スイッチング素子と並列にツェナーダイオードなどの半導体保護素子を同一半導体基板に形成する方法がある。この半導体保護素子を形成してESD破壊耐量を向上する方法について説明する。
図10は、従来の半導体装置の要部平面図である。被保護素子であるMOSFETと半導体保護素子である縦型ツェナーダイオード(以下、VZDと称す)と回路部が集積形成された半導体チップ31を銅ベース20に固着する。MOSFETのソース電極18の一部であるソースパッド21と銅ベース20の一部である外部導出端子20bをワイヤ36で接続し、ドレイン/カソード電極17と外部導出端子20aをワイヤ35で接続し、ゲートパッド34と外部導出端子20cをワイヤ37で接続する。銅ベース20と外部導出端子20a、20cはモールド樹脂で固定する。ESD試験回路を構成する場合、外部導出端子20b、20cはGND(グランド)と接続し、外部導出端子20aはESD試験回路を構成する主回路インダクタ39と接続する。
ワイヤ36、銅ベース20、主回路インダクタ39のそれぞれのインダクタンスはLmos、Lvzd、Ldである。
図11は、従来の半導体装置の要部断面図である。この半導体装置は、半導体保護素子であるVZDと被保護素子であるMOSFETを同一半導体基板に集積したものである。VZDをMOSFETと電気的に並列接続することで、MOSFETのESD破壊を防止し、半導体装置のESD破壊耐量を改善させる。
被保護素子であるMOSFETにおいて、300μm程度の厚いp基板1(不純物濃度が1×1018cm-3〜1×1019cm-3のオーダー)上にpエピタキシャル層2(不純物濃度が1×1015cm-3程度、厚みが15μm程度)を形成し、このpエピタキシャル層2の表面層にnウェル領域3(不純物濃度が1×1015cm-3〜1×1016cm-3程度、厚みが2μm〜5μm程度)を形成し、このnウェル領域3の表面層にpウェル領域4(不純物濃度が1×1015cm-3〜1×1017cm-3、厚みが1μm〜2μm程度)を形成する。
pウェル領域4の表面層にnソース領域5(不純物濃度が1×1018cm-3〜1×1019cm-3のオーダー)とnオフセット領域6(不純物濃度が1×1017cm-3〜1×1018cm-3のオーダー)を形成し、nオフセット領域6の表面層にnドレイン領域7(不純物濃度が1×1018cm-3〜1×1019cm-3のオーダー)を形成し、nソース領域5上、nドレイン領域7上にソース電極18とドレイン/カソード電極17を形成する。nオフセット領域6上にはLOCOS酸化膜8を形成する。nソース領域5とnオフセット領域6に挟まれたpウェル領域4上に数十nm厚みのゲート酸化膜14を介してポリシリコンのゲート電極15を形成する。pエピタキシャル層2の表面層に高濃度のpコンタクト領域13を形成し、pウェル領域4の表面層にpコンタクト領域11を形成し、nソース領域5上とpコンタクト領域13上およびpコンタクト領域11上にソース電極18を延在させる。nウェル領域3の表面層にnコンタクト領域12を形成し、nコンタクト領域12上にドレイン/カソード電極17を延在させる。p基板1の裏面に裏面電極19を形成し、裏面電極19と銅ベース20を固着する。
一方、半導体保護素子であるVZDにおいて、pエピタキシャル層2の表面層に深いnカソード領域9を形成し、nカソード領域9の表面層に高濃度のnコンタクト領域10を形成し、nコンタクト領域10上にドレイン/カソード電極17を延在させる。p基板1とpエピタキシャル層2とnカソード領域9でVZDが形成される。pコンタクト領域13は、pエピタキシャル層2の電位を安定させるため必要である。また、pエピタキシャル層2がVZDのアノード領域となる。
ESD試験時には、ソース電極18はワイヤ36を介してGNDと接続し、ゲート電極15は図示しないゲートパッド34を介してワイヤ37でGNDと接続し、ドレイン/カソード電極17は図示しないワイヤ39とESD試験回路40を構成する主回路インダクタ35と接続し、銅ベース20はGNDと接続する。
前記のpエピタキシャル層2の電位を安定させる働きをするpコンタクト領域13の面積は広く、このpコンタクト領域13直下のpエピタキシャル層2の縦方向抵抗Repi0は、通常1Ω程度に設計される。
VZDのブレークダウン電圧値は、少なくとも並列接続されたMOSFETのブレークダウン電圧値よりも低くなるように設計する。
図12は、図11のMOSFETとVZDの等価回路およびESD試験回路を示す図である。ESD試験回路は、Contact Discharge Modeを模擬したESD試験のための回路である。
VZDのカソードとMOSFETのドレインを接続し、MOSFETのソースと、pエピタキシャル層の縦方向抵抗であるRepi0およびインダクタンスLmosのワイヤ36(ソース配線)と接続する。Repi0とVZDのアノードは接続し、さらにインダクタンスLvzdの銅ベース20と接続し、ワイヤ36は図示しない外部導出端子20bを介してGNDと接続し、銅ベース20は図示しない外部導出端子20bを介してGNDと接続する。
MOSFETのゲートはゲート抵抗Rgと接続し、RgはインダクタンスLgのワイヤ37を介してGNDと接続する。VZDのカソードおよびMOSFETのドレインはESD試験回路40のインダクタンスLdの主回路インダクタ39と接続する。ESD試験回路40は、主回路インダクタ39と制限抵抗ResdとスイッチSWとESD電圧に充電された主回路コンデンサCesdで構成され、CesdはGNDと接続する。スイッチSWを閉じることで、VZDとMOSFETにESD電圧が印加される。
図11、図12を用いてESD試験時の様子を説明する。ESDのような急峻なdV/dtの過電圧がMOSFETのドレイン−ソース間に印加されると、この急峻なdV/dtによりMOSFETに電流54(この電流は変位電流(Idis=C×dV/dt C:MOSFETのnオフセット領域6とpウェル領域4のpn接合容量)である)がnソース領域5に向かって流れる。このとき、ゲート容量(ゲート電極15とpウェル領域4の間の容量)を介して電流54が流れて、ゲート電極15の電位をソース電極18に対してプラスに上昇させ、ゲート電極15直下のpウェル領域4にチャネルを形成する。そのため、ドレイン/カソード電極17からの電流53はチャネルを通って電流55としてnソース領域5に流れる。この電流55はソース電極18に流入し、電流56と電流57に分流する。電流56はワイヤ36を通ってGNDへ流れる。電流57はpコンタクト領域13を通りpエピタキシャル層2へ流入し、p基板1、裏面電極19を通って銅ベース20へ流れて行く。
電流53が増大するとドレイン/カソード電極17の電位が上昇し、VZDのnカソード領域9にツェナー電圧を超えるとツェナー電流(電流52)が流れてVZDが動作する。VZDが動作すると、ESD試験回路40からの電流51は、MOSFETに流れる電流53とVZDに流れる電流52に分流して流れ、MOSFETのドレイン・ソース間にはVZDのツェナー電圧が印加されて電圧の上昇が小さくなるため、MOSFETに流れる電流53の増大は抑制され、電流51の増大分はVZDに流れる。
そのため、MOSFETはスナップバック現象、または、アバランシェ現象に入らず、MOSFETはESD破壊を起こさない。
特開2001−320047号公報 図1 特開2002−94063号公報 図1
しかし、図11において、Repi0が1Ω程度と小さいと、電流57が大きくなり、そのため、MOSFETに流れる電流53が大きくなり、図13で示すように、MOSFETはスナップバックに突入する。MOSFETがスナップバックすると、MOSFETに流れる電流53は急増し、MOSFETはESD破壊を起こす。
この発明の目的は、前記の課題を解決して、高ESD耐量を有する半導体装置を提供することである。
前記の目的を達成するために、第1導電形の半導体基板と、該半導体基板上に形成した第1導電形の半導体層と、該半導体層の表面層に形成された第2導電形の第1ウェル領域と、該第1ウェル領域表面に形成された第1導電形の第2ウェル領域とを有し、該第2ウェル領域内に横型のスイッチング素子であるMOSFETが形成され、前記第2ウェル領域が前記第1ウェル領域によって前記半導体層から分離され、前記MOSFETと離して前記半導体層と前記半導体基板に形成され、過電圧から前記MOSFETを保護する縦型の半導体保護素子と、を有する半導体装置において、
前記MOSFETの低電位電極と前記半導体層を、該半導体層の表面層に形成したコンタクト領域を介して電気的に接続し、該コンタクト領域を点在させることで前記低電位電極から半導体基板に流れる電流経路の抵抗を増大させる構成とする。
また、第1導電形の半導体基板と、該半導体基板上に形成した第1導電形の半導体層と、該半導体層の表面層に形成された第2導電形の第1ウェル領域と、該第1ウェル領域表面に形成された第1導電形の第2ウェル領域とを有し、該第2ウェル領域内に横型のスイッチング素子であるMOSFETが形成され、前記第2ウェル領域が前記第1ウェル領域によって前記半導体層から分離され、前記MOSFETと離して前記半導体層と前記半導体基板に形成され、過電圧から前記MOSFETを保護する縦型の半導体保護素子と、を有する半導体装置において、
前記MOSFETの低電位電極と前記半導体層を、該半導体層の表面層に形成したコンタクト領域を介して電気的に接続し、前記スイッチング素子下の半導体基板の比抵抗を前記半導体保護素子を形成する半導体基板の部分の比抵抗より高くすることで、前記低電位電極から半導体基板に流れる電流経路の抵抗を増大させる構成とする。
また、第1導電形の半導体基板と、該半導体基板上に形成した第1導電形の半導体層と、該半導体層の表面層に形成された第2導電形の第1ウェル領域と、該第1ウェル領域表面に形成された第1導電形の第2ウェル領域とを有し、該第2ウェル領域内に横型のスイッチング素子であるMOSFETが形成され、前記第2ウェル領域が前記第1ウェル領域によって前記半導体層から分離され、前記MOSFETと離して前記半導体層と前記半導体基板に形成され、過電圧から前記MOSFETを保護する縦型の半導体保護素子と、を有する半導体装置において、
前記MOSFETの低電位電極と前記半導体層を、該半導体層の表面層に形成したコンタクト領域を介して電気的に接続し、前記半導体基板と該半導体基板の裏面電極とが絶縁膜を介して固着し、該絶縁膜が前記半導体保護素子形成箇所で開口し、該開口部で半導体基板と前記裏面電極を電気的に接触させることで、前記低電位電極から前記裏面電極に流れる電流経路の抵抗を増大させる構成とする。
また、第1導電形の半導体基板と、該半導体基板上に形成した第1導電形の半導体層と、該半導体層の表面層に形成された第2導電形の第1ウェル領域と、該第1ウェル領域表面に形成された第1導電形の第2ウェル領域とを有し、該第2ウェル領域内に横型のスイッチング素子であるMOSFETが形成され、前記第2ウェル領域が前記第1ウェル領域によって前記半導体層から分離され、前記MOSFETと離して前記半導体層と前記半導体基板に形成され、過電圧から前記MOSFETを保護する縦型の半導体保護素子と、を有する半導体装置において、
前記MOSFETの低電位電極と前記半導体層の表面層に形成したコンタクト領域を、抵抗性導電膜を介して電気的に接続することで、前記低電位電極から半導体基板に流れる電流経路の抵抗を増大させる構成とする。
さらに、これらにおいて、前記MOSFETが、前記第2ウェル領域の表面層に形成された第2導電形のソース領域と、該ソース領域と離して前記第ウェル領域の表面層に形成される第2導電形のオフセット領域と、該オフセット領域よりも高不純物濃度で該オフセット領域の表面層に形成される第2導電形のドレイン領域と、前記ソース領域と前記オフセット領域に挟まれた前記第2ウェル領域上にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極と、からなる横型のMOSFETであり、前記半導体層がエピタキシャル層であり、
前記半導体保護素子が、前記エピタキシャル層に前記第1ウェル領域と離して形成され、前記半導体基板近傍に達する第2導電形のカソード領域と、前記エピタキシャル層とからなる縦型のツェナーダイオードであり、前記半導体層の表面層に前記第1ウェル領域と離して形成される第1導電形のコンタクト領域と、該コンタクト領域上と前記ソース領域上に形成した低電位電極であるソース電極と、前記ドレイン領域上と前記カソード上に共通に形成したドレイン/カソード電極と、前記半導体基板の裏面上に形成した裏面電極と、該裏面電極と固着する導電体とを有する半導体装置とする。
また、前記コンタクト領域を直下の半導体層に投影した領域の半導体層の縦方向抵抗が2Ω以上であるとよい。
また、前記コンタクト領域を直下の半導体層に投影した領域の半導体層の縦方向抵抗が10Ω以上であるとよい。
また、前記半導体基板と前記裏面電極の間に前記絶縁膜を挟む構成の前記半導体装置において、前記半導体基板を20μm以下と薄くすることで、前記低電位電極から半導体基板に流れる電流経路の抵抗を増大させるとよい。
また、前記抵抗性導電膜が、ポリシリコンであるとよい。
この発明において、pコンタクト領域の面積を小さくして、pエピタキシャル層の縦方向抵抗を増大させることで、ESD時にMOSFETに流れる電流を抑制して、ESD破壊を防止して、ESD耐量を向上させることができる。
また、MOSFET下のp基板の縦方向抵抗を増大させることで、ESD耐量を向上できる。
また、VZD下のみのp基板に裏面電極を接触させ、p基板の横方向抵抗を利用することで、MOSFETに流れる電流を抑制して、ESD耐量を向上できる。
また、ソース電極とpコンタクト領域を抵抗性導電膜を介して接続することで、MOSFETに流れる電流を抑制して、ESD耐量を向上できる。
この発明の実施の形態は、pエピタキシャル層の電位を安定させるために、ソース電極とpエピタキシャル層をpコンタクト領域を介して電気的に接続する。ソース領域からソース電極、pエピタキシャル層、p基板を経由して流れる電流の経路抵抗を高めることで、被保護素子であるMOSFETのESD破壊を防止することにある。以下の説明で従来素子と同一の部位には同一の符号を付した。
図1は、この発明の第1実施例の半導体装置の構成図であり、同図(a)は要部断面図、同図(b)は図10のソースパッド21に相当する要部平面図である。ここでは、被保護素子であるMOSFETを同一半導体基板に集積した要部断面図を示す。
被保護素子であるMOSFETにおいて、300μm程度の厚いp基板1(不純物濃度が1×1018cm-3〜1×1019cm-3のオーダー)上にpエピタキシャル層2(不純物濃度が1×1015cm-3程度、厚みが15μm程度)を形成し、このpエピタキシャル層2の表面層にnウェル領域3(不純物濃度が1×1015cm-3〜1×1016cm-3程度、厚みが2μm〜5μm程度)を形成し、このnウェル領域3の表面層にpウェル領域4(不純物濃度が1×1015cm-3〜1×1017cm-3、厚みが1μm〜2μm程度)を形成する。
pウェル領域4の表面層にnソース領域5(不純物濃度が1×1018cm-3〜1×1019cm-3のオーダー)とnオフセット領域6(不純物濃度が1×1017cm-3〜1×1018cm-3のオーダー)を形成し、nオフセット領域6の表面層にnドレイン領域7(不純物濃度が1×1018cm-3〜1×1019cm-3のオーダー)を形成し、nソース領域5上、nドレイン領域7上にソース電極18とドレイン/カソード電極17を形成する。nオフセット領域6上にLOCOS酸化膜8を形成する。nソース領域5とnオフセット領域6に挟まれたpウェル領域4上に数十nm厚みのゲート酸化膜14を介してポリシリコンのゲート電極15を形成する。pエピタキシャル層2の表面層に高濃度のpコンタクト領域13を形成し、pウェル領域4の表面層にpコンタクト領域11を形成し、nソース領域5上とpコンタクト領域13上およびpコンタクト領域11上にソース電極18を延在させる。nウェル領域3の表面層にnコンタクト領域12を形成し、nコンタクト領域12上にドレイン/カソード電極17を延在させる。p基板1の裏面に裏面電極19を形成し、裏面電極19と銅ベース20を固着する。
一方、半導体保護素子であるVZDにおいて、pエピタキシャル層2の表面層に深いnカソード領域9を形成し、nカソード領域9の表面層に高濃度のnコンタクト領域10を形成し、nコンタクト領域10上にドレイン/カソード電極17を延在させる。p基板1とpエピタキシャル層2とnカソード領域9でVZDが形成される。pコンタクト領域13は、pエピタキシャル層2の電位を安定させるため必要である。また、pエピタキシャル層2がVZDのアノード領域となる。
ESD試験時には、ソース電極18はワイヤ36を介してGNDと接続し、ゲート電極15は図示しないゲートパッド34を介してワイヤ37でGNDと接続し、ドレイン/カソード電極17は図示しないワイヤでESD試験回路40を構成する主回路インダクタ39と接続し、銅ベース20はGNDと接続する。
前記のpエピタキシャル層2の厚さが15μm程度と薄く、pコンタクト領域13から流入した電流57は横方向に広がらずにp基板1へ流れて行く。そのため、pコンタクト領域2の面積をS1とすると、pエピタキシャル層2の縦方向抵抗Repi1はpエピタキシャル層2の比抵抗×(pエピタキシャル層の厚さ/S1)で決まる。つまり、pコンタクト領域13を同図(b)のように点在させることで、その面積S1を従来の10分の1とすることで、Repi1を10Ω程度と大きくすることができる。
縦方向抵抗Repi1を大きくすることで、MOSFETに流れる電流53を抑制して、MOSFETがスナップバックすることを防止することができる。
図2は、図1の半導体装置の等価回路およびESD試験回路を示す図である。図12との違いは、1ΩのRepi0が10ΩのRepi1に変更されている点である。
図3は、図2の等価回路を用いて回路シミュレーションした波形を示す図である。p基板1の比抵抗ρを0.05Ωcm、素子厚みを500μmで素子サイズを1mm2 (ここでの素子サイズとはMOSFEおよびVZDの面積である)、Repi1を10Ωとした場合である。Repi1を10Ωと大きくすることで、MOSFETのスナップバックを防止することができる。
図4は、Repi1をパラメータして、ESD破壊電圧とLmos/Lvzdの関係を示す。縦軸のESD VoltageはESD破壊電圧のことである。Repi1を大きくすると、ESD破壊電圧がLmos/Lvzdに大きく依存するようになる。
Repi1を1Ωより大きくし、Lmos/Lvzdを大きくすると、VZDに流れる電流52の割合が大きくなり、MOSFETに流れる電流53が小さくなるため、ESD破壊電圧は高くなる。Lmos/Lvzdを10以上として、集積回路で実用上必要とされるESD破壊電圧である5kV以上とするためには、Repi1は2Ω以上とするとよい。また、Lmos/Lvzdが40以上とし、Repi1を10Ω以上とするとESD破壊電圧は25kV以上となり、大きなESD耐量を必要とする自動車にも適用可能となる。
尚、図10のように、Lvzdが銅ベース20のインダクタンスで、Lmosがソース配線(ワイヤ36)のインダクタンスの場合はLmos/Lvzdは20から100程度となる。ソース配線を導体で行った場合はLmos/Lvzdは10程度となる。
図5は、この発明の第2実施例の半導体装置の要部断面図である。ここでは、MOSFETとVZDを同一半導体基板に集積した要部断面図を示す。
図1との違いは、pコンタクト領域13下およびMOSFET下のp基板1と裏面電極19との接触抵抗をさらに大きくして、p基板1の縦方向抵抗Rsub1を大きくすることで、MOSFETのスナップバックをさらに起こりにくくした点である。
接触抵抗を増大させる方法として、例えば、p基板1の裏面からArなどの重いイオンによるダメージインプラを行うことである。このダメージインプラを全面に行うとVZDのアバランシェ動作抵抗も悪化させてしまうので、好ましくない。また、pコンタクト領域13下およびMOSFET下のp基板1の裏面にYAGレーザーを照射することで、表面層をアモルファス化して接触抵抗を大きくすることもできる。
また、p基板1の裏面にノンドープのポリシリコンを形成し、VZD箇所のポリシリコンをフォトエッチングで除去し、全面に裏面電極19を形成することで、pコンタクト領域13下およびMOSFET下のp基板1と裏面電極19間の抵抗を大きくして同様の効果を得ることができる。
図6は、この発明の第3実施例の半導体装置の要部断面図である。ここでは、MOSFETとVZDを同一半導体基板に集積した要部断面図を示す。
図1との違いは、裏面電極19をVZD下のみ電気的に接触させた点である。こうすることで、p基板1の横方向抵抗Rsub2がRepi1に加わり、電流57が流れる経路の抵抗をさらに増大できて、MOSFETに流れる電流53が一層抑制できる。その結果、ESD破壊が一層起こりにくくできる。
この場合は、Rsub2が大きい場合にはRepi0は従来のように1Ω程度でも効果がある。また、例えば、p基板1にArなどの重いイオンによるダメージインプラなど行うとさらに抵抗が増大し、電流57がさらに抑制される。
図7は、この発明の第4実施例の半導体装置の要部断面図である。ここでは、、MOSFETとVZDを同一半導体基板に集積した要部断面図を示す。
図6との違いは、p基板1の厚さを薄くした点である。横方向抵抗を大きくするためのp基板1の厚さは薄い程よい。しかし、p基板1上にpエピタキシャル層2を形成するときの拡散プロフィルのダレがあるため、薄くし過ぎるとp基板1の表面濃度が低下してオーミックコンタクトが得られない。そのため、p基板1の厚さは10μm以上を必要とする。また、p基板1が厚いと横方向抵抗が小さくなるため、p基板1の厚さを20μm以下とするとよい。
このようにp基板1の厚さを薄くすることで、p基板1の横方向抵抗Rsub3が大きくなり、電流57が流れる経路の抵抗を増大できて、MOSFETに流れる電流53が一層抑制できる。その結果、ESD破壊が一層起こりにくくできる。
図8は、この発明の第5実施例の半導体装置の要部断面図である。ここでは、MOSFETとVZDを同一半導体基板に集積した要部断面図を示す。
図1との違いは、pコンタクト領域13とnソース領域5の接続を、例えば、ポリシリコンのような抵抗性導電膜25で接続した点である。pコンタクト領域13上にAlのような導電膜27を形成し、この導電膜27とソース電極18との間を抵抗性導電膜25で接続する。抵抗性導電膜25上と導電膜27上に絶縁膜26を形成し、その上にソース電極18を形成する。
この場合も電流57の経路の抵抗を大きくするため、図1よりスナップバックしにくくなる。また、Repi1の抵抗が1Ω程度と小さい場合でも抵抗性導電膜25の抵抗が大きい場合は、電流57が抑制されてESD破壊防止に効果がある。
また、第1から第4実施例とこの第5実施例を組み合わせると、さらに効果が大きくなる。
図9は、この発明の第6実施例の半導体装置の要部断面図である。ここでは、、MOSFETとVZDを同一半導体基板に集積した要部断面図を示す。
図1との違いは、nソース領域5のみpウェル領域4の表面層に形成している点である。このような構造のMOSFETにも本発明を適用すると同様の効果が得られる。
前記の実施例のMOSFETはダブルリサーフ構造の場合を示したが、nウェル領域3(場合によってはpウェル領域4を含めて)を形成しない40V程度の低耐圧のMOSFETの場合でも同様の効果が得られる。
この発明の第1実施例の半導体装置の構成図であり、(a)は要部断面図、(b)は図10のソースパッド21に相当する要部平面図 図1の半導体装置の等価回路およびESD試験回路を示す図 図2の等価回路を用いて回路シミュレーションした波形を示す図 Repi1をパラメータとして、ESD破壊電圧とLmos/Lvzdの比の関係を示す図 この発明の第2実施例の半導体装置の要部断面図 この発明の第3実施例の半導体装置の要部断面図 この発明の第4実施例の半導体装置の要部断面図 この発明の第5実施例の半導体装置の要部断面図 この発明の第6実施例の半導体装置の要部断面図 従来の半導体装置の要部平面図 従来の半導体装置の要部断面図 図11のMOSFETとVZDの等価回路およびESD試験回路を示す図 図12の等価回路を用いて回路シミュレーションした波形を示す図
符号の説明
1 p基板
2 pエピタキシャル層
3 nウェル領域
4 pウェル領域
5 nソース領域
6 nオフセット領域
7 nドレイン領域
8 LOCOS酸化膜
9 nカソード領域
10 nコンタクト領域(nカソード領域)
11 pコンタクト領域(pウェル領域)
12 nコンタクト領域(nウェル領域)
13 pコンタクト領域(pエピタキシャル層)
14 ゲート酸化膜 15 ゲート電極
16 絶縁膜
17 ドレイン/カソード電極
18 ソース電極
19 裏面電極
20 銅ベース
21 ソースパッド
22 絶縁膜(p基板と裏面電極間に形成)
23 開口部
25 抵抗性導電膜
26 絶縁膜(ソース電極と抵抗性導電膜、導電膜の間に形成)
27 導電膜
31 半導体チップ
32 MOSFETとVZD形成箇所
33 回路部
34 ゲートパッド
35 ワイヤ(ドレイン配線)
36 ワイヤ(ソース配線)
37 ワイヤ(ゲート配線)
38 モールド樹脂
39 主回路インダクタ
40 ESD試験回路
51〜58 電流
Lmos ソース配線(ワイヤ36)のインダクタンス
Lvzd 銅ベースのインダクタンス
Rg ゲート電極の抵抗
Lg ゲート配線(ワイヤ37)のインダキタンス
Repi0 従来の半導体装置のエピタキシャル層の縦方向抵抗
Repi1 本発明の半導体装置のエピタキシャル層の縦方向抵抗
Rsub1 p基板の縦方向抵抗
Rsub2、Rsub3 p基板の横方向抵抗
S0 従来の半導体装置のpコンタクト領域の面積
S1 本発明の半導体装置のpコンタクト領域の面積
Ld 主回路インダクタのインダクタンス
Resd 主回路抵抗
Cesd 主回路コンデンサ
SW スイッチ
GND グランド

Claims (8)

  1. 第1導電形の半導体基板と、該半導体基板上に形成した第1導電形の半導体層と、該半導体層の表面層に形成された第2導電形の第1ウェル領域と、該第1ウェル領域表面に形成された第1導電形の第2ウェル領域とを有し、該第2ウェル領域内に横型のスイッチング素子であるMOSFETが形成され、前記第2ウェル領域が前記第1ウェル領域によって前記半導体層から分離され、前記MOSFETと離して前記半導体層と前記半導体基板に形成され、過電圧から前記MOSFETを保護する縦型の半導体保護素子と、を有する半導体装置において、
    前記MOSFETの低電位電極と前記半導体層を、該半導体層の表面層に形成したコンタクト領域を介して電気的に接続し、該コンタクト領域を点在させることで前記低電位電極から半導体基板に流れる電流経路の抵抗を増大させることを特徴とする半導体装置。
  2. 第1導電形の半導体基板と、該半導体基板上に形成した第1導電形の半導体層と、該半導体層の表面層に形成された第2導電形の第1ウェル領域と、該第1ウェル領域表面に形成された第1導電形の第2ウェル領域とを有し、該第2ウェル領域内に横型のスイッチング素子であるMOSFETが形成され、前記第2ウェル領域が前記第1ウェル領域によって前記半導体層から分離され、前記MOSFETと離して前記半導体層と前記半導体基板に形成され、過電圧から前記MOSFETを保護する縦型の半導体保護素子と、を有する半導体装置において、
    前記MOSFETの低電位電極と前記半導体層を、該半導体層の表面層に形成したコンタクト領域を介して電気的に接続し、前記MOSFET下の半導体基板の比抵抗を前記半導体保護素子を形成する半導体基板の部分の比抵抗より高くすることで、前記低電位電極から半導体基板に流れる電流経路の抵抗を増大させることを特徴とする半導体装置。
  3. 第1導電形の半導体基板と、該半導体基板上に形成した第1導電形の半導体層と、該半導体層の表面層に形成された第2導電形の第1ウェル領域と、該第1ウェル領域表面に形成された第1導電形の第2ウェル領域とを有し、該第2ウェル領域内に横型のスイッチング素子であるMOSFETが形成され、前記第2ウェル領域が前記第1ウェル領域によって前記半導体層から分離され、前記MOSFETと離して前記半導体層と前記半導体基板に形成され、過電圧から前記MOSFETを保護する縦型の半導体保護素子と、を有する半導体装置において、
    前記MOSFETの低電位電極と前記半導体層を、該半導体層の表面層に形成したコンタクト領域を介して電気的に接続し、前記半導体基板と該半導体基板の裏面電極とが絶縁膜を介して固着し、該絶縁膜が前記半導体保護素子形成箇所で開口し、該開口部で半導体基板と前記裏面電極を電気的に接触させることで、前記低電位電極から前記裏面電極に流れる電流経路の抵抗を増大させることを特徴とする半導体装置。
  4. 第1導電形の半導体基板と、該半導体基板上に形成した第1導電形の半導体層と、該半導体層の表面層に形成された第2導電形の第1ウェル領域と、該第1ウェル領域表面に形成された第1導電形の第2ウェル領域とを有し、該第2ウェル領域内に横型のスイッチング素子であるMOSFETが形成され、前記第2ウェル領域が前記第1ウェル領域によって前記半導体層から分離され、前記MOSFETと離して前記半導体層と前記半導体基板に形成され、過電圧から前記MOSFETを保護する縦型の半導体保護素子と、を有する半導体装置において、
    前記MOSFETの低電位電極と前記半導体層の表面層に形成したコンタクト領域を、抵抗性導電膜を介して電気的に接続することで、前記低電位電極から半導体基板に流れる電流経路の抵抗を増大させることを特徴とする半導体装置。
  5. 前記MOSFETが、前記第2ウェル領域の表面層に形成された第2導電形のソース領域と、該ソース領域と離して前記第ウェル領域の表面層に形成される第2導電形のオフセット領域と、該オフセット領域よりも高不純物濃度で該オフセット領域の表面層に形成される第2導電形のドレイン領域と、前記ソース領域と前記オフセット領域に挟まれた前記第2ウェル領域上にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極と、からなる横型のMOSFETであり、前記半導体層がエピタキシャル層であり、
    前記半導体保護素子が、前記エピタキシャル層に前記第1ウェル領域と離して形成され、前記半導体基板近傍に達する第2導電形のカソード領域と、前記エピタキシャル層とからなる縦型のツェナーダイオードであり、
    前記半導体層の表面層に前記第1ウェル領域と離して形成される第1導電形のコンタクト領域と、該コンタクト領域上と前記ソース領域上に形成した低電位側電極であるソース電極と、
    前記ドレイン領域上と前記カソード上に共通に形成したドレイン/カソード電極と、
    前記半導体基板の裏面上に形成した裏面電極と、該裏面電極と固着する導電体と、を有する半導体装置であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置。
  6. 前記コンタクト領域を直下の半導体層に投影した領域の半導体層の縦方向抵抗が2Ω以上であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  7. 前記半導体基板を20μm以下と薄くすることで、前記低電位電極から半導体基板に流れる電流経路の抵抗を増大させることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
  8. 前記抵抗性導電膜が、ポリシリコンであることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
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