以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1はこの発明による被測定デバイス搭載ボードの一実施例を模式的に示したものであり、図15と対応する部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
この例では多層プリント配線板構造を有する被測定デバイス搭載ボード50は、その上下面の電極パッド21、22と内層配線パターン24との接続に、スルーホール23とSVH(Surface Buried Via Hole)51とを用いるものとされる。
各内層配線パターン24の両端は、そのいずれか一方がスルーホール23と接続され、残る他方がSVH51と接続されており、これら接続されたSVH51、内層配線パターン24及びスルーホール23によって上下面の対応する電極パッド21、22間の配線が構成されている。
図1では内層配線パターン24を模式的に3本示しているが、このうち2本は被測定デバイス40接続用の電極パッド21部分にSVH51が形成されたものとなっており、残る1本はコネクタ15接続用の電極パッド22部分にSVH51が形成されたものとなっている。内層配線パターン24の両端のいずれの側にSVH51を設けるかは、例えば内層配線パターン24の配線位置や被測定デバイス40接続側の電極パッド21のピッチ等を考慮して適宜選定される。
上記のような構成を有する被測定デバイス搭載ボード50によれば、内層配線パターン24の両端のいずれか一方にSVH51を採用したことにより、図15に示した従来の被測定デバイス搭載ボード20に比し、SVH51を用いた分、スタブ部分25の長さを短くすることができ、よってスタブ部分25の容量を減らすことができるため、信号の高速化に対応することができるものとなる。
なお、図1に示したような構造を有する被測定デバイス搭載ボード50で、SVH51を構成するためには、一方の配線板にのみバイアホール(ビアホール)を形成した後、2枚の配線板(基板)を貼り合わせることによって製造される。図1中、二点鎖線は貼り合わせ部(貼り合わせ面)52を示す。
図2はこの発明による被測定デバイス搭載ボードの他の実施例として、内層配線パターン24の一部に例えば抵抗素子等を実装する必要があり、内層配線パターン24の途中にSVH51を設けた例を示したものである。図2中、53は抵抗素子等の素子を示す。素子53はSVH51が形成された一対の電極パッド54に実装されている。
この図2に示したような被測定デバイス搭載ボード55も要求される仕様に応じて用いられる。なお、この被測定デバイス搭載ボード55は上述した被測定デバイス搭載ボード50の製造方法と同様の製造方法によって製造することができる。
図3は図1及び2に示した被測定デバイス搭載ボード50、55の構造と異なり、SVH51を構成するためにバイアホールが形成された2枚の配線板の間に第3の配線板を介在させ、それら3枚の配線板を貼り合わせた構造の被測定デバイス搭載ボード56を示したものであり、このような構造を採用すれば図1に示した被測定デバイス搭載ボード50に比し、さらにスタブ部分25の容量を削減することができる。
上述した被測定デバイス搭載ボード50、55及び56は図14に示したIC試験装置のデバイスインタフェース部3においてパフォーマンスボードと称されて用いられるものであるが、デバイスインタフェース部3の構造はこの図14に示した構造に限られず、IC試験装置の使用・用途により他の構成を採用しているものもある。
図4(a)、(b)はそのようなデバイスインタフェース部3の他の構成例をテストヘッド2と共に示したものであり、以下、これらの構成を簡単に説明する。
図4(a)ではデバイスインタフェース部3はパフォーマンスボード60と、図14と同様の多数のケーブル12と、一般にソケットボードと称される複数の被測定デバイス搭載ボード57と、ICソケット320とよりなる。
パフォーマンスボード60はその下面にテストヘッド2との接続用のコネクタ(図示せず)を具備しており、テストヘッド2とコネクタ接続されてテストヘッド2上に搭載されている。この例ではパフォーマンスボードと称されるボードの位置は図14と異なっている。
ケーブル12はその下端及び上端がパフォーマンスボード60及び被測定デバイス搭載ボード57にそれぞれ半田付けされて接続されており、各被測定デバイス搭載ボード57上にはICソケット320が実装されている。被測定デバイス搭載ボード57の数は図4(a)では簡略化しているが、例えば16個や32個とされる。
一方、図4(b)ではデバイスインタフェース部3は多数のケーブル12よりなるマザーボード(マザーボードユニット)70と、図4(a)と同様、ソケットボードと称される複数の被測定デバイス搭載ボード57と、それら被測定デバイス搭載ボード57にそれぞれ実装されたICソケット320とよりなる。
この例ではケーブル12はその下端及び上端にコネクタ(図示せず)をそれぞれ具備するものとされ、下端がテストヘッド2に直接コネクタ接続され、上端が被測定デバイス搭載ボード57にコネクタ接続されるものとなっている。
図1乃至図3に示したようなこの発明による被測定デバイス搭載ボードの構造は、これら図4(a)、(b)に示したデバイスインタフェース部3の、一般にソケットボードと称される被測定デバイス搭載ボード57にも同様に適用することができ、これにより高速信号に対応できるものとなる。
図5は、被測定デバイス搭載ボードの一例である、パフォーマンスボード300の詳細な構成の例を示す図である。図5は、パフォーマンスボード300の断面図を示す。パフォーマンスボード300は、図1から図4に関連して説明した被測定デバイス搭載ボード(50、55、56、及び57)と同一又は同様の機能及び構成を有し、電子デバイス310(被測定デバイス40)と、電子デバイス310を試験する試験装置とを電気的に接続する。
パフォーマンスボード300は、ICソケット320、ソケット基板350、複数の高周波信号用コネクタ370、及び複数の低周波信号用コネクタ372とを備える。
ICソケット320は、電子デバイス310を保持し、電子デバイス310の各ピンと、パフォーマンスボード300の各ピンとを電気的に接続する。また、ソケット基板350は、ICソケット320をソケット基板350の上面に保持し、ICソケット320を介して電子デバイス310と電気的に接続される。また、ソケット基板350は、接続ユニット100(図10参照)を介して試験装置200(図10参照)と電気的に接続する。
複数の高周波信号用コネクタ370及び複数の低周波信号用コネクタ372は、ソケット基板350の下面に設けられ、電子デバイス310に供給するべき試験紙信号を接続ユニット100を介して試験装置200から受け取り、ソケット基板350及びICソケット320を介して電子デバイス310に供給する。
本例において、ソケット基板350の面のうち、電子デバイス310と対向する面を上面とし、試験装置200と対向する面を下面として説明しているが、他の例においては、試験装置200と対向する面を上面とし、電子デバイス310と対向する面を下面としてもよい。
また、低周波信号用コネクタ372は、高周波信号用コネクタ370より、ICソケット320から遠い位置に設けられ、高周波信号用コネクタ370がICソケット320に供給する試験信号より周波数の低い信号を接続ユニット100を介して試験装置200から受け取る。
ソケット基板350は、深さ方向における複数の層に、低周波信号用配線376、高周波信号用配線380、及びGND配線が形成されている。低周波信号用配線376、及び高周波信号用配線380は、図1から図4において説明した内層配線パターン24の一例である。
また、ソケット基板350には、複数の層に渡って低周波用スルーホール374、高周波用スルーホール362、低周波用片面ホール360、高周波用片面ホール382、及びGND用スルーホール384が設けられている。
低周波用スルーホール374、高周波用スルーホール362、及びGND用スルーホール384は、図1から図4に関連して説明したスルーホール23の一例であり、低周波用片面ホール360、及び高周波用片面ホール382は図1から図4に関連して説明したSVH51の一例である。
低周波用スルーホール374は、低周波信号用コネクタ372に電気的に接続し、ソケット基板350の低周波信号用コネクタ372が設けられた下面から、ソケット基板350の電子デバイス310を載置する上面まで貫通して設けられる。本例において低周波用スルーホール374は、高周波用片面ホール382、低周波用片面ホール360、及び高周波用スルーホール362よりソケット基板350の外周側に設けられる。
また、低周波用片面ホール360は、前述したSVH51であって、電子デバイス310の低周波信号用ピンに電気的に接続し、ソケット基板350の上面から、ソケット基板350の下面に達しない中層位置まで形成される。本例において、低周波用片面ホール360は、高周波用スルーホール362よりソケット基板350の外周側に設けられる。
そして、低周波信号用配線376は、ソケット基板350の複数の層のいずれかに形成され、低周波用スルーホール374と低周波用片面ホール360とを電気的に接続し、低周波の試験信号を伝送する。ソケット基板350には、複数の層にGND配線378が形成されており、低周波信号用配線376は、いずれかのGND配線378の間に形成される。
このような構成により、ソケット基板350は、低周波の試験信号を電子デバイス310に供給することができる。また、ICソケット320と電気的に接続するために低周波用片面ホール360としてSVHを用いているため、試験信号の伝送に寄与しないスタブ部分の領域を低減することができるため、試験信号を精度よく伝送することができる。
高周波用片面ホール382は、前述したSVH51であって、高周波信号用コネクタ370に電気的に接続し、ソケット基板350の高周波信号用コネクタ370が設けられた下面から、ソケット基板350の上面に達しない中層位置まで形成される。
また、高周波用スルーホール362は、電子デバイス310の高周波信号用ピンに電気的に接続し、ソケット基板350の上面から下面まで貫通して形成される。そして、高周波信号用配線380は、ソケット基板350の複数の層のうち、低周波信号用配線376が形成された層よりソケット基板350の下面側の層に形成され、高周波用片面ホール382と高周波用スルーホール362とを電気的に接続し、高周波の試験信号を伝送する。高周波用片面ホール382が上部層の低周波信号用配線376の邪魔にならず、また低周波用片面ホール360が下部層の高周波信号用配線380の邪魔とならないため、高密度のパターン配線が可能となる利点が得られる。
このような構成により、高周波の試験信号を電子デバイス310に供給することができる。また、高周波用片面ホール382としてSVHを用いているため、試験信号の伝送に寄与しないスタブ部分の領域を低減することができるため、試験信号を精度よく伝送することができる。更に、高周波用片面ホール382を、低周波用スルーホール374より内側に設けることにより、高周波の試験信号の伝送経路長を短くすることができ、更に精度よく試験信号を伝送することができる。
また、複数の層に形成されたGND配線378は、GND層のほぼ全面に形成される全面ベタの接地面であって、GND用スルーホール384と電気的に接続され、GND用スルーホール384を介して接地電位に接続される。また、図5においては一のGND用スルーホール384のみを図示しているが、複数のGND用スルーホール384は、ソケット基板350の全面に必要なピッチで設けられる。また、高周波用片面ホール382等の片面ホールやスルーホールの近傍に設けられる。
図6は、ソケット基板350の断面の拡大図の例を示す図である。前述したようにソケット基板350には、深さ方向における複数の層にGND配線378が形成され、低周波信号用配線376又は高周波信号用配線380の信号用配線は、GND配線378の間の層に形成されて、例えば50Ωの特性インピーダンスとなる。
また、ソケット基板350のGND層において、低周波用スルーホール374、高周波用片面ホール382、低周波用片面ホール360、及び高周波用スルーホール362が形成される領域においては、これらのスルーホール又は片面ホールとGND配線378との間において、予め所定のパターンをそれぞれのGND層に形成する必要がある。つまり、それぞれのGND層の水平方向において、スルーホール又は片面ホールと、GND配線378とが、所定の間隔を有して形成される必要がある。本例において、スルーホール又は片面ホールの直径は0.3mm〜0.35mm程度で形成される。
図6(a)は、低周波用スルーホール374の近傍の拡大図の一例を示す図である。本例においては、それぞれのGND層における、低周波用スルーホール374と同心円であって、低周波用スルーホール374より直径が大きい円状の領域においては、GND配線378が存在しないように形成される。本例においては、それぞれのGND層において、低周波用スルーホール374と同心円であって、直径が0.75mmの円状の領域には、GND配線378が形成されない。
図6(b)は、低周波用スルーホール374の近傍の拡大図の他の例を示す図である。本例においては、図6(a)において説明した例より、それぞれのGND層において、直径の大きい円状の領域に、GND配線378が形成されない。本例においては、直径1.25mmの円状の領域にGND配線378が形成されない。このような構成にすることにより、低周波用スルーホール374とGND配線378との距離を広げることができ、低周波用スルーホール374とGND配線378間に生じる容量成分を低減でき、試験信号を精度よく伝送することができる。また、高周波用スルーホール362の近傍においては、図6(b)と同様の構成を有することが望ましい。
図6(c)は、高周波用片面ホール382の近傍の拡大図の一例を示す図である。図6(c)に示すように、高周波用片面ホール382又は低周波用片面ホール360の片面ホールは、ソケット基板350を貫通せずに形成される。このため、片面ホールをソケット基板350の上面又は下面まで延長した場合に、片面ホールが形成される領域にはGND配線378が形成される。
また、前述したように、ソケット基板350は片面ホールを貫通孔として形成した複数の基板を貼り合わせて形成するため、片面ホール(SVH)の深さ方向における長さは、それぞれ一定となる。このため、深さの異なるそれぞれの層における信号用配線と電気的に接続した場合、SVHを用いた場合であっても、試験信号の伝送に寄与しないスタブ部分が生じてしまう。
ここで、複数のGND配線378を、高周波信号用配線380よりソケット基板350の上面側の層に形成される上層GND配線378−2と、高周波信号用配線380よりソケット基板350の下面側の層に形成される下層GND配線378−1とに分割する。
図6(c)に示すように、複数の上層GND配線378−2のうちの少なくとも一部と、高周波用片面ホール382との水平方向における距離が、下層GND配線378−1と高周波用片面ホール382との水平方向における距離より大きくなるように形成することにより、スタブ部分における容量成分を低減することができる。つまり、下層GND配線378−1が形成されるべき層の、高周波用片面ホール382が形成される領域において、下層GND配線378−1が形成されない円状領域の直径をxとすると、xが1.25mmより小さくなるように形成されることが好ましい。
また、複数の上層GND配線378−2のうち、最も高周波信号用配線380に近い上層GND配線378−2と、高周波用片面ホール382との水平方向における距離は、下層GND配線378−1と高周波用片面ホール382との水平方向における距離と略同一であり、他の上層GND配線378−2と高周波用片面ホール382との水平方向における距離より小さいことが好ましい。このような構成にすることにより、高周波信号用配線380におけるノイズの影響を低減しつつ、スタブ部分における容量成分を低減することができる。
図7は、図6において説明したそれぞれの例において生じる、反射成分の計測結果の一例を示す図である。図7において縦軸は反射成分の大きさを示し、横軸は反射成分が生じる位置を示す。また、図7において(a)は図6(a)に示した例における反射成分、(b)は図6(b)に示した例における反射成分、(c)は図6(c)に示した例における反射成分の大きさを示す。
図7に示すように、図6(a)に示した例においては、片面ホールのスタブ部分では、試験信号に対して−19.5%の反射成分が生じている。これに対し、図6(b)に示した例においては、試験信号に対して−12.5%の反射成分が生じており、片面ホールとGND配線378との間隔を広げたことにより、反射成分が低減していることがわかる。
また、図6(c)に示した例においては、試験信号に対して−7.2%の反射成分が生じており、スルーホールに代えて片面ホール(SVH)を用い、図6(c)のようにGND配線378を形成することにより、更に反射成分が低減していることがわかる。
図8は、高周波用片面ホール382の近傍の拡大図の他の例を示す図である。本例においては、領域390におけるGND配線378が除去された形態例である。このような構成とすることにより、スタブ部分の上側に形成されたGND配線378と高周波用片面ホール382との間に生じる容量成分が低減されて、更に精度よく試験信号を伝送することができる。
また、本例においては、それぞれのGND層において、GND配線378が形成されない円状の領域の直径を1.5mmとして形成する。当該円状の領域の直径は、高周波信号用配線380と隣接するGND層を除き、できるだけ大きいことが好ましいが、前述したようにソケット基板350の全面にGND用スルーホール384が形成され、隣接して存在しているため、その大きさが制限される。つまり、それぞれのGND層においてGND配線378が形成されない円状の領域の直径は、ソケット基板350の全面に形成されるGND用スルーホール384と所定のマージンを有して重ならない範囲で、最大となるように形成されることが好ましい。
図9は、被測定デバイス搭載ボードの一例である、プローブカード400の詳細な構成の例を示す図である。図9は、プローブカード400の断面図を示す。図5から図8においては、パフォーマンスボード300を用いて電子デバイス310と電気的に接続したが、パフォーマンスボード300に代えて、プローブカード400を用いて電子デバイス310と電気的に接続してもよい。
この場合、プローブカード400は、パフォーマンスボード300と同様の機能及び構成を有する。本例において、プローブカード400は、パフォーマンスボード300の構成において、ICソケット320に代えて、電子デバイス310の端子と電気的に接続する複数のプローブピン364を備える。この場合、ソケット基板350は、プローブピン364を保持するプローブ基板として機能する。また、プローブカード400を用いた場合、電子デバイス310は、パッケージされていないウェハ形状で試験することができる。
次に、パフォーマンスボード300又はプローブカード400と試験装置本体とを接続する接続ユニットについて説明する。接続ユニットは、例えば図4において説明したマザーボード70の一例である。
図10は、電子デバイスの試験を説明する図である。図4において説明したように、試験されるべき電子デバイス310は、被測定デバイス搭載ボードの一例であるパフォーマンスボード300に載置される。パフォーマンスボード300は、図5から図8において説明したパフォーマンスボード300と同一又は同様の機能及び構成を有する。試験装置200は、半導体素子等の電子デバイス310を試験するための試験信号を生成する。また、接続ユニット100は、試験装置200とパフォーマンスボード300とを電気的に接続し、試験信号をパフォーマンスボード300に載置された電子デバイス310に供給する。
試験装置200は、電子デバイス310に対応する所望のパターンを有する試験信号を生成し、接続ユニット100、及びパフォーマンスボード300を介して電子デバイス310に供給する。また、試験装置200は、電子デバイス310から出力される出力信号を、接続ユニット及びパフォーマンスボード300を介して受け取る。試験装置200は、電子デバイス310に対応する期待値信号を発生し、受け取った出力信号と比較し、電子デバイス310の良否を判定する。
パフォーマンスボード300は、ソケット基板350、ICソケット320、複数のパフォーマンスボード側コネクタ330、及び複数の信号配線340を備える。パフォーマンスボード300は、接続ユニット100と対向する面に複数のパフォーマンスボード側コネクタ330を保持し、当該対向する面の上面にICソケット320を保持する。パフォーマンスボード側コネクタ330は、例えば図5において説明した高周波信号用コネクタ370及び低周波信号用コネクタ372である。
ICソケット320は、電子デバイス310を保持する。また、ICソケット320は、電子デバイス310のそれぞれのピンと電気的に接続する端子を有する。
複数のパフォーマンスボード側コネクタ330は、試験装置200から接続ユニット100を介して、電子デバイス310に供給するべき試験信号を受け取り、信号配線340を介してICソケット320に供給する。また、電子デバイス310の出力信号をICソケット320から受け取り、接続ユニット100に供給する。ここで、信号配線340は、図5において説明した、高周波信号用配線380、高周波用片面ホール382、高周波用スルーホール362、低周波用スルーホール374、低周波信号用配線376、及び低周波用片面ホール360に該当する。
本例において、ICソケット320の近傍に設けられたパフォーマンスボード側コネクタ330cは、電子デバイス310に供給するべき試験信号のうち、高周波の試験信号を受け取り、ICソケット320に供給する高周波信号用ソケット370として機能する。また、パフォーマンスボード側コネクタ330cより、ICソケット320から遠い位置に設けられたパフォーマンスボード側コネクタ(330a、330b)は、パフォーマンスボード側コネクタ330cがICソケット320に供給する試験信号より周波数の低い信号を、接続ユニット100を介して試験装置200から受け取り、ICソケット320に供給する低周波信号用コネクタ372として機能する。
これらのパフォーマンスボード側コネクタ330の位置は、電子デバイス310のICピン数、ICピン配列に対応して変わる。また、より高周波の信号を受け取るパフォーマンスボード側コネクタ330は、ICソケット320のより近傍に設けられる。従って、ICソケット320との距離が、電子デバイス310によって変わる。なお、ICソケット320から遠い位置に設けられるパフォーマンスボード側コネクタ(330a、330b)は、電子デバイス310の電源電圧に供してもよい。
本例におけるパフォーマンスボード300によれば、受け取る信号の周波数に応じた位置にパフォーマンスボード側コネクタ330が設けられているため、良好な伝送特性で電子デバイス310に信号を供給することができる。パフォーマンスボード300は、電子デバイス310のICピン数、ICピン配列に対応してパフォーマンスボード側コネクタ330の位置が変更されたボードが制作される。
接続ユニット100は、保持基板30、複数の接続ユニット側コネクタ64、及び複数の接続ケーブル(66a、66b、66c)を備える。保持基板30は、複数の接続ユニット側コネクタ64を所定の位置に固定する構造体であって、パフォーマンスボード300と対向して設けられる。また、保持基板30は、パフォーマンスボード300と対向する面において、複数の接続ユニット側コネクタ64を保持する。
複数の接続ユニット側コネクタ(64a、64b、64c)は、共通的に再利用できるように保持基板30上から着脱可能であり、保持基板30上に設けられ、パフォーマンスボード300が備えるパフォーマンスボード側コネクタ(330a、330b、330c)と接続する。例えば、複数の接続接続ユニット側コネクタ64は、接続するべきパフォーマンスボード300におけるパフォーマンスボード側コネクタ330の位置に対応する、保持基板30に変換することで複数の接続ユニット側コネクタ64はそのまま使用できる。
それぞれの接続ケーブル66は、一端が対応する接続ユニット側コネクタ64に固定され、接続ユニット側コネクタ64と試験装置200とを電気的に接続する。試験装置200は、接続ケーブル66の他端と接続し、この接続を介して接続ユニット100に試験信号を供給し、接続ケーブル66を介して接続ユニット100から電子デバイス310が出力した出力信号を受け取る。
本例における接続ユニット100によれば、安価な保持基板30を取り換えるのみで、パフォーマンスボード側コネクタ330の配置の異なる複数種類のパフォーマンスボード300と接続することができる。このため、複数の接続ユニット側コネクタ64はそのままで、繰り返し再利用可能となる大きな利点が得られる。
また、本例においてはパフォーマンスボード300を用いて電子デバイス310に試験信号を供給したが、他の例においては、図9において説明したように、プローブカード400を用いて電子デバイス310に試験信号を供給してもよい。
図11は、保持基板30の上面図の一例を示す。接続ユニット100と、パフォーマンスボード300とが接続した場合、電子デバイス310は、載置位置312に載置される。
複数の接続ユニット側コネクタ64(図10参照)は、着脱可能であり、複数の配置位置34に移動させることも可能である。例えば、図11に示すように複数の接続ユニット側コネクタ64の保持基板30上における互いの距離が変更可能なように、保持基板30上に複数の配置位置34が設けられる。また、図11に示すように、複数の接続ユニット側コネクタ64の、ICソケット320の載置位置312に対する距離が変更可能なように、保持基板30上に複数の配置位置34が設けられる。また、パフォーマンスボード300に代えてプローブカードを用いる場合、ICソケット320の載置位置312は、プローブピンの実装位置となる。
また保持基板30は、それぞれの配置位置34に、接続ユニット側コネクタ64を保持するための位置決め部材42を有する。これにより、接続ユニット側コネクタ64が変更可能な配置位置34を指定する。
また保持基板30は、それぞれの配置位置34に、接続ユニット側コネクタ64が通過可能な大きさの貫通孔32を有する。貫通孔32は、保持基板30の、パフォーマンスボード300と対向する面から、試験装置200と対向する面に渡って設けられる。接続ユニット側コネクタ64の装着位置を移動する場合に、接続ユニット側コネクタ64を、貫通孔32を介して試験装置200側に通過させて外し、移動するべき配置位置34に対応する貫通孔32を介してパフォーマンスボード300側に通過させて装着する。これにより、接続ケーブル66(図10参照)が接続ユニット側コネクタ64に固定されている場合であっても、所望の位置に接続ユニット側コネクタ64を移動させることができる。従って、繰り返し再利用が可能となる大きな利点がある。
また、貫通孔32は、複数の配置位置34に渡って設けられていてよい。つまり、貫通孔32の開口部が複数の配置位置34に渡って設けられていてよい。例えば、図11に示す貫通孔32−1の開口部と貫通孔32−4の開口部とを接続して、一つの貫通孔としてもよい。この場合、接続ユニット側コネクタ64を、配置位置34−1から配置位置34−4に移動する場合に、配置位置34−1から配置位置34−4まで、接続ケーブル66が貫通孔を通過できるため、容易に接続ユニット側コネクタ64の位置を変更することができる。
また、図11に示すように複数の配置位置34は、ICソケット320の載置位置312を中心として、径方向及び周方向のいずれにも接続ユニット側コネクタ64の位置を変更できるように設けられることが好ましい。
また、本例において保持基板30と略平行な面におけるICソケット320及び接続ユニット側コネクタ64の断面はそれぞれ長方形である。上記径方向において、ICソケット320の載置位置312に最も近い配置位置34に、接続ユニット側コネクタを保持する場合、保持基板30は、接続ユニット側コネクタ64の断面の長辺が、ICソケット320の断面の最も近い辺と対向するように、接続ユニット側コネクタ64を保持することが好ましい。例えば、配置位置34−4に設けられた位置決め部材42は、接続ユニット側コネクタ64の長辺がICソケット320の断面の最も近い辺と略平行となるように、接続ユニット側コネクタを保持する。接続ユニット側コネクタ64には、長辺方向に沿って複数の端子が設けられるが、本例によれば、高周波の信号を供給するべくICソケット320の近傍に接続ユニット側コネクタ64を設けた場合に、それぞれの端子と電子デバイス310のピンとの距離を略等しくすることができ、良好な伝送特定で電子デバイス310に信号を供給することができる。
また、保持基板30は、小径パフォーマンスボード位置決め部材46と、大径パフォーマンスボード位置決め部材44とを有する。例えば、小径パフォーマンスボード位置決め部材46及び大径パフォーマンスボード位置決め部材44は、パフォーマンスボード300と対向する保持基板30の面に設けられた複数の嵌合用の突起であってよい。
小径パフォーマンスボード位置決め部材46は、径が予め定められた大きさ以下であるパフォーマンスボード300を保持するべき位置を定める。また、大径パフォーマンスボード位置決め部材44は、保持基板30上において、小径パフォーマンスボード位置決め部材46より、ICソケット320の載置位置312から遠い位置に設けられ、径が予め定められた大きさより大きいパフォーマンスボード300を保持するべき位置を定める。本例における接続ユニット100によれば、径の異なる複数種類のパフォーマンスボード300と精度よく接続することができる。
図12は、保持基板30及び接続ユニット側コネクタ64の断面の一例を示す。図11において説明したように、保持基板30は、接続ユニット側コネクタ64を保持する面に、位置決め部材42を有する。本例において、位置決め部材42は接続ユニット側コネクタ64の方向に延伸する突起である。
接続ユニット側コネクタ64は、保持基板30と対向する面に、位置決め部材42と嵌合する溝12を有する。位置決め部材42と、接続ユニット側コネクタ64の溝12とを嵌合させることにより、接続ユニット側コネクタ64を保持基板30上に保持することができる。また、位置決め部材42が溝形状であって、接続ユニット側コネクタ64が突起を有していてもよい。
図13は、保持基板30の上面図の他の例を示す。本例において、パフォーマンスボード300は、2個のICソケット320を載置する。接続ユニット100は、複数のICソケット320に対応して設けられた複数の接続ユニット側コネクタ64を備える。
保持基板30は、それぞれのICソケット320の載置位置312に対して、対応する接続ユニット側コネクタ64を、保持基板上30における位置が変更可能に保持する。つまり、保持基板30は、それぞれのICソケット320に対して、図11において説明した機能及び構成を有する。例えば、不図示の貫通孔に接続ユニット側コネクタ64を通過させることにより、接続ユニット側コネクタ64を所望の位置に移動させることができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
上記説明から明らかなように、この発明による被測定デバイス搭載ボードによれば、スルーホール部分のスタブ容量を削減することができ、よって高速信号に対応可能な被測定デバイス搭載ボードを得ることができる。
また、そのような被測定デバイス搭載ボードをIC試験装置のデバイスインタフェース部が具備することにより、高速信号においても良好な波形品質が得ら、高速試験を実行できるものとなる。
また、本発明に係る接続ユニットによれば、複数種類のパフォーマンスボード、又はプローブカードと接続して、電子デバイスに良好な伝送特性で信号を供給することができる。このため、電子デバイスを精度よく試験することができる。
1・・・メインフレーム、2・・・テストヘッド、3・・・デバイスインタフェース部、4・・・ケーブル、10・・・マザーボード、11・・・基板、12・・・溝、15・・・コネクタ、20・・・被測定デバイス搭載ボード、21・・・電極バッド、22・・・電極バッド、23・・・スルーホール、24・・・内装配線パターン、25・・・スタブ部分、30・・・保持基板、32・・・貫通孔、34・・・配置位置、40・・・被測定デバイス、42・・・位置決め部材、44・・・大径パフォーマンスボード位置決め部材、46・・・小径パフォーマンスボード位置決め部材、50・・・被測定デバイス搭載ボード、51・・・SVH、52・・・貼り合わせ部、55・・・被測定デバイス搭載ボード、56・・・被測定デバイス搭載ボード、57・・・被測定デバイス搭載ボード、60・・・パフォーマンスボード、64・・・接続ユニット側コネクタ、66・・・接続ケーブル、70・・・マザーボード、100・・・接続ユニット、200・・・試験装置、300・・・パフォーマンスボード、310・・・電子デバイス、312・・・載置位置、320・・・ICソケット、330・・・パフォーマンスボード側コネクタ、340・・・信号配線、350・・・ソケット基板、360・・・低周波用片面ホール、362・・・高周波用スルーホール、364・・・プローブピン、370・・・高周波信号用コネクタ、372・・・低周波信号用コネクタ、374・・低周波用スルーホール、376・・・低周波信号用配線、378・・・GND配線、378−1・・・下層GND配線、378−2・・・上層GND配線、380・・・高周波信号用配線、382・・・高周波用片面ホール、384・・・GND用スルーホール、390・・・領域、400・・・プローブカード