JP4898495B2 - 旋回体連結装置 - Google Patents

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本発明は、走行体と旋回体を連結する旋回体連結装置に関する。
大型のクレーン等は、輸送重量を軽減するために上部旋回体が下部走行体から分解可能であり、このように上部旋回体を下部走行体に分解可能に連結する装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置は、旋回体フレームと走行体フレームの連結部において、両フレームを貫通して旋回中心から水平放射方向に複数本のピンを突設する。そして、これら各ピンが作業時に脱落しないように、各ピンの先端部にそれぞれボルトによって抜け止め部材が取り付けられる。
実開昭57−196093号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の装置は、上部旋回体を下部走行体から分解する度に抜け止め部材を取り外す必要があるので、抜け止め部材の管理が大変であり、作業効率の悪化を伴う。
本発明は、旋回輪もしくはその周囲に設けられた略リング状の旋回体連結部および走行体連結部を互いに連結し、走行体上に旋回体を旋回可能に支持する旋回体連結装置であって、旋回体連結部および走行体連結部を貫通し、旋回体連結部または走行体連結部の外周面から先端部が突出するとともに、この先端部に係合部が設けられた抜き差し可能な連結ピンと、係合部に係合および離脱する抜け止め部材と、係合部に係合して連結ピンの抜き差しを禁止するロック位置、および係合部から離脱して連結ピンの抜き差しを許容するアンロック位置に、抜け止め部材を移動可能に支持する支持機構とを備え、連結ピンは、旋回輪の周囲に放射状に複数設けられ、抜け止め部材は、ロック位置で複数の連結ピンの係合部に同時に係合するロック部と、アンロック位置で複数の連結ピンの係合部から同時に離脱するアンロック部とを有することを特徴とする
抜け止め部材には、連結ピンの外径よりも小径の第1の貫通孔と連結ピンの外径よりも大径の第2の貫通孔とを互いに連なって設け、抜け止め部材がロック位置にあるときは、連結ピンが第1の貫通孔に位置して係合部が抜け止め部材に係合し、抜け止め部材がアンロック位置にあるときは、連結ピンが第2の貫通孔に位置して係合部が抜け止め部材から離脱するようにしてもよい。
抜け止め部材の移動方向に沿って設けられたスリット孔と、このスリット孔を貫通して旋回体連結部または走行体連結部の外周面に固定される貫通ピンとにより支持機構を構成することもできる。
抜け止め部材をロック位置に拘束するロック機構をさらに備えることが好ましい。
本発明によれば、連結ピンの先端部に係合部を設け、この係合部に抜け止め部材が係合および離脱するように抜け止め部材を移動可能に支持したので、旋回体を分解および組み立てる際に抜け止め部材を取り外す必要がなく、作業効率が向上する。
以下、図1〜図7を参照して本発明による旋回体連結装置の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る旋回体連結装置を有するクレーンの外観側面図である。下部走行体1の上方には旋回輪を介して上部旋回体2が旋回可能に支持されている。旋回体2の前部には前後方向に回動可能にブーム3が軸支され、ブーム3の後方には旋回体2の上方を通って前後方向に回動可能にライブマスト4が軸支されている。旋回体2の前端部には運転室5が設けられ、後端部にはカウンタウエイト6が設けられている。旋回体2には、フロントドラム7、リヤドラム8、起伏ドラム9がそれぞれ搭載されている。
旋回体2のフレーム(上部フレーム21)は走行体1のフレーム(下部フレーム11)から上下方向に分解可能である。クレーンを輸送する際は、輸送重量を軽減するために図2に示すように上部フレーム21を下部フレーム11から分離し、上部フレーム21と下部フレーム11を別々にトレーラに載せて搬送する。
図2において、下部フレーム11の上面中央部には略リング状の支持プレート12が上方に向けて突設され、この支持プレート12に対応して、上部フレーム21の下面中央部には略リング状の連結プレート22が下方に向けて突設されている。連結プレート22は例えば旋回輪の外輪を構成し、もしくは外輪の周囲に外輪と一体に設けられている。一方、上部フレーム21には図示しない内輪が固定され、内輪と外輪との間には転動体が設けられている。このような内輪、外輪、および転動体からなる旋回輪を介し、連結プレート22は上部フレーム21に相対回転可能に支持されている。支持プレート12の上面には全周に渡って溝部13(図4参照)が設けられ、この溝部13に連結プレート22が嵌合して固定されることで、下部フレーム11に対し上部フレーム21が相対回転可能(旋回可能)である。
図3は、下部フレーム11を上方から見た図である。なお、この図は下部フレーム11に上部フレーム22を連結した状態に対応するが、上部フレーム22の図示は省略している。下部フレーム11の上部には、複数の油圧シリンダ14が周方向等間隔に放射状に配設されている。各油圧シリンダ14の先端部にはそれぞれ連結ピン15が取り付けられ、連結ピン15は支持プレート12をそれぞれ水平方向(旋回中心に対して径方向)に貫通している。
図4(a),(b)は、連結ピン15が位置する図3のIV−IV線断面図であり、図では支持プレート12の溝部13に連結プレート22が嵌合している。各連結ピン15の延長線上に位置する支持プレート12と連結プレート22には、それぞれ貫通孔12a,22aが開口されている。図4(a)に示すように油圧シリンダ14を最大に縮退すると、連結ピン15は貫通孔22aから退避する。これにより支持プレート12と連結プレート22とは非連結状態となり、上部フレーム21が下部フレーム11から分解可能となる。
一方、図4(b)に示すように油圧シリンダ14を最大に伸張すると、連結ピン15は貫通孔12a,22aをそれぞれ貫通し、その先端部は支持プレート12の外周面よりも外側に突出する。これにより連結ピン15によって支持プレート12に連結プレート22が連結され、上部フレーム21が下部フレーム11から分解不能となる。このとき作業時の振動や衝撃等により連結ピン15が貫通孔12a,22aから脱洛しないようにするため、連結ピン15の抜け止め対策が必要となる。本実施の形態では連結ピン15の先端部外周面に全周にわたって切り欠き15aを設け、この切り欠き15aを用いて以下のように連結ピン15の抜け止めを行う。
図5(a),(b)は、連結ピン15の抜け止め機構を示す斜視図であり、図6(a),(b)は、図5(a)の矢視VI図である。なお、図5(a),図6(a)は連結ピン15の抜き差しを禁止したロック状態を、図5(b),図6(b)は連結ピン15の抜き差しを許容したアンロック状態を示す。
支持プレート12の外周面には、略円弧状の係合プレート31が支持プレート12の外周面に沿って周方向(図5のAB方向)にスライド可能に設けられている。係合プレート31は図3に示すように周方向に4分割され、これら4枚の係合プレート31のスライドにより、全ての連結ピン15の抜け止めが行われる。
図6に示すように係合プレート31には、各連結ピン15の突出位置において、連結ピン15の外径よりも大径の貫通孔31aがそれぞれ開口されている。また、この大径孔31aに連なり、連結ピン15の外径よりも小径の貫通孔31bが開口されている。すなわち係合プレート31には、ひょうたん型の貫通孔31a,31bが開口されている。貫通孔31bの大きさは切り欠き15aの外径に等しく、貫通孔31bには連結ピン15の切り欠き15aが係合可能である。なお、図5に示すように係合プレート31の一端部には、貫通孔31a,31bではなく、貫通孔31bと同サイズの切り欠き31cが設けられている。
図6に示すように、係合プレート31にはそのスライド方向に沿ってスリット孔31dが開口され、スリット孔31dをボルト32が貫通している。図7は図6(a)のVII-VII線断面図である。図7に示すように、ボルト32はカラー33およびワッシャー34を挟んで、支持プレート12の外周面に設けたねじ穴に螺合されている。これにより係合プレート31はカラー33に沿って水平方向にのみスライド可能となり、係合プレート31の上下方向の位置が拘束される。
図5に示すように、係合プレート31の表面には把手35が設けられ、作業員はこの把手35を把持して係合プレート31を周方向にスライドさせる。図5(a)に示すように係合プレートをA方向にスライドさせた状態(ロック状態)では、連結ピン15の切り欠き15aが貫通孔31b,31cの縁部に係合する。これにより連結ピン15の抜き差しが禁止される。
係合プレート31には、係合プレート31をロック状態に保持するロック機構40が設けられる。ロック機構40は、スリット孔31dを挟んで係合プレート31の表面に設けられた上下一対のブラケット41と、ブラケット41を貫通するロックピン42と、ロックピン42の落下を防止する落下防止用リング43とからなる。
ロック状態では、スリット孔31dの一端部(図では右端部)にカラー33が当接しており、係合プレート31のA方向へのスライドが阻止されている。この状態で図5(a)に示すようにロックピン42をブラケット41に挿入し、カラー33に隣接してカラー33の片側(図では左側)にロックピン42を配置する。これによりカラー33がロックピン42に当接して係合プレート31のB方向へのスライドが阻止され、係合プレート31をロック状態で保持できる。
係合プレート31をアンロック状態とする場合には、ロックピン42を一旦取り外した後、係合プレート31をB方向へスライドさせる。図5(b)に示すように係合プレート31のスライド後に再びロックピン42をブラケット41に挿入すると、ロックピン42はカラー33(ボルト32)の反対側(図では右側)に配置されるため、係合プレート31のA方向へのスライドが阻止され、係合プレート31をアンロック状態で保持できる。アンロック状態では、係合プレート31が連結ピン15から離脱し、連結ピン15の抜き差しが可能となる。
本実施の形態に係る旋回体連結装置により走行体1に旋回体2を連結する場合の手順について説明する。旋回体2を走行体1に連結する場合には、まず、周方向に4分割された係合プレート31を支持プレート12の外周面にボルト32によって取り付け、係合プレート31をアンロック状態とする。なお、工場出荷時等に予め係合プレート31を支持プレート12の外周面に取り付けておけば、以降、旋回体2の組立の際に係合プレート31を取り付ける必要はない。下部フレーム11の油圧シリンダ14は縮退状態としておく。
次に、補助クレーン等を用いて下部フレーム11上に上部フレーム21を降下し、貫通孔12a,22a同士の位置合わせをしながら、図4(a)に示すように支持プレート12の溝部13に連結プレート22を嵌合する。なお、図示は省略するが、例えば下部フレーム11からガイドピンを立設し、ガイドピンに沿って上部フレーム21を降下することで、貫通孔12a,22a同士の位置合わせを容易に行うことができる。
連結プレート22を嵌合した後、図4(b)に示すように油圧シリンダ14を伸張し、連結ピン15を貫通孔12a,22aに貫通させる。このとき、係合プレート31は図5(b)に示すアンロック状態にあり、連結ピン15の抜き差しが可能である。次いで、図5(a)に示すように係合プレート31をA方向にスライドさせ、係合プレート31をロック状態にして連結ピン15の抜き差しを禁止するとともに、ブラケット41にロックピン42を挿入し、係合プレート31をロック状態に保持する。以上で走行体1と旋回体2の連結作業が終了する。
旋回体2を走行体1から分解する際は、ロックピン42を取り外して係合プレートをB方向にスライドさせた後、油圧シリンダ14を縮退し、連結ピン15を貫通孔12a,22aから退避させる。以上の旋回体2の連結作業および分解作業を行う場合、係合プレート31が支持プレート12の外周面に常に保持されているので、係合プレート31を取り外して管理する必要がなく、作業効率がよい。
本実施の形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)支持プレート12の外周面に係合プレート31をスライド可能に支持し、係合プレート31のスライドにより連結ピン15をロックおよびアンロックするようにした。これにより走行体1に旋回体2を連結または分解する際に、抜け止め部材としての係合プレート31を取り外す必要がなく、作業効率がよい。
(2)作業時にボルトの取り外し等が不要であり、工具等を用いずに連結ピン15をロックおよびアンロックすることができるので、作業が簡単である。
(3)係合プレート31にひょうたん型の貫通孔31a,31bを複数設けるので、係合プレート31のスライドにより複数の連結ピン15を同時にロック、アンロックすることができ、複数の連結ピン15のロック、アンロックを短時間で行うことができる。
(4)係合プレート31にスライド方向に沿ってスリット孔31dを設け、スリット孔31dを貫通したボルト32によって係合プレート31を保持するようにした。これにより係合プレート31の上下方向の位置が規制され、貫通孔31a,31bに対し連結ピン15の位置合わせを容易に行うことができる。
(5)係合プレート31をロック状態に保持するロック機構40を設けるので、作業時の振動等によって係合プレート31の位置がずれることを防止でき、連結ピン15の脱落を確実に防止することができる。
(6)係合プレート31にひょうたん型の貫通孔31a,31bを設けたので、係合プレート31の一方向へのスライドのみにより連結ピン15に係合プレート31を係合および離脱することができる。また、係合プレート31を連結ピン15に係合する際は、連結ピン15のほぼ全周に係合プレート31が係合することとなり、連結ピン15を安定してロックすることができる。
なお、上記実施の形態では、連結プレート22を外輪と一体に設けたが、内輪と一体に設けてもよく、旋回体連結部の構成は上述したものに限らない。また、走行体連結部としての支持プレート12の構成も上述したものに限らない。連結ピン15の外周面の全周にわたって溝状の係合部15aを設けたが、単に段付き部を設けて係合部としてもよい。抜け止め部材として係合プレートを周方向に4分割したが、2分割や3分割でもよく、5分割以上としてもよい。また、係合プレート31を周方向に分割しないでリング状に設けてもよい。この場合は、例えば支持プレート12の上方から係合プレート31を挿入すればよい。
係合プレート31にひょうたん型の複数の貫通孔31a,31bを開口し、係合プレート31の貫通孔31bの縁部が連結ピン15に係合するとともに、貫通孔31aにて係合プレート31が連結ピン15から離脱することで、複数の連結ピン15を同時に係合および離脱するようにしたが、ロック部とアンロック部の構成はこれに限らない。また、各連結ピン15毎に係合プレート31を設けてもよく、係合プレート31に一の貫通孔31a,31bのみを開口してもよい。係合プレート31を周方向にスライドさせるようにしたが、周方向以外(例えば上下方向)にスライドさせるようにしてもよい。但し、係合プレート31をスライドする際の労力を考慮すると、周方向にスライドさせることが好ましい。
係合プレート31に貫通孔31a,31bを開口するようにしたが、少なくとも連結ピン15よりも小径の貫通孔31bと連結ピン15よりも大径の貫通孔31aを互いに連なって開口するのであれば、第1の貫通孔と第2の貫通孔の形状は上述したものに限らない。係合プレート31にスリット孔31dを設け、このスリット孔31dを貫通したボルト32で係合プレート31を移動可能に支持たが、係合プレート31をロック位置とアンロック位置とに移動可能に支持するのであれば、支持機構の構成は上述したものに限らない。スリット孔31dを挟むようにロック機構40を設けたが、他のロック機構を設けてもよい。
上記実施の形態は、クレーン(図1)に適用したが、他のクレーンにも同様に適用することができる。また、走行体1上に旋回体2を旋回可能に設けたクレーン以外の建設機械にも同様に適用可能である。すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の旋回体連結装置に限定されない。
本発明の実施の形態に係る旋回体連結装置を有するクレーンの外観側面図。 上部旋回体を下部走行体から分離した状態を示す側面図。 下部フレームを上方から見た図。 図3のIV-IV線断面図。 連結ピンの抜け止め機構を示す斜視図。 図5(a)の矢視VI図。 図6(a)のVII-VII線断面図。
符号の説明
1 下部走行体
2 上部旋回体
12 支持プレート
15 連結ピン
15a 係合部
21 連結プレート
31 係合プレート
31a,31b 貫通孔
31c 切り欠き
31d スリット孔
32 ボルト
40 ロック機構

Claims (4)

  1. 旋回輪もしくはその周囲に設けられた略リング状の旋回体連結部および走行体連結部を互いに連結し、走行体上に旋回体を旋回可能に支持する旋回体連結装置であって、
    前記旋回体連結部および前記走行体連結部を貫通し、前記旋回体連結部または前記走行体連結部の外周面から先端部が突出するとともに、この先端部に係合部が設けられた抜き差し可能な連結ピンと、
    前記係合部に係合および離脱する抜け止め部材と、
    前記係合部に係合して前記連結ピンの抜き差しを禁止するロック位置、および前記係合部から離脱して前記連結ピンの抜き差しを許容するアンロック位置に、前記抜け止め部材を移動可能に支持する支持機構とを備え、
    前記連結ピンは、前記旋回輪の周囲に放射状に複数設けられ、
    前記抜け止め部材は、前記ロック位置で前記複数の連結ピンの係合部に同時に係合するロック部と、前記アンロック位置で前記複数の連結ピンの係合部から同時に離脱するアンロック部とを有することを特徴とする旋回体連結装置。
  2. 請求項1に記載の旋回体連結装置において、
    前記抜け止め部材には、前記連結ピンの外径よりも小径の第1の貫通孔と前記連結ピンの外径よりも大径の第2の貫通孔とが互いに連なって設けられ、
    前記抜け止め部材が前記ロック位置にあるときは、前記連結ピンは前記第1の貫通孔に位置して前記係合部が前記抜け止め部材に係合し、前記抜け止め部材が前記アンロック位置にあるときは、前記連結ピンは前記第2の貫通孔に位置して前記係合部が前記抜け止め部材から離脱することを特徴とする旋回体連結装置。
  3. 請求項1または2に記載の旋回体連結装置において、
    前記支持機構は、
    前記抜け止め部材の移動方向に沿って設けられたスリット孔と、
    このスリット孔を貫通して前記旋回体連結部または前記走行体連結部の外周面に固定される貫通ピンとを有することを特徴とする旋回体制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の旋回体連結装置において、
    前記抜け止め部材を前記ロック位置に拘束するロック機構をさらに備えることを特徴とする旋回体連結装置。
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