JP4895446B2 - Method for refining chromium-containing molten steel - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、精錬容器内で含クロム溶鋼中に酸素ガスを含むガスを吹き込んで精錬を行う含クロム溶鋼の精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
含クロム鋼、特にステンレス鋼のように11%以上のクロムを含むような含クロム鋼を精錬するに際しては、精錬容器内に収容した溶鋼中に酸素ガス又は酸素ガスと不活性ガスの混合ガスを吹き込むAOD法によって脱炭精錬を行う方法が広く用いられている。AOD法では、脱炭が進行して溶鋼中の[C]濃度が低下してくると[Cr]が酸化されやすくなることから、[C]濃度の低下にともない吹き込みガス中におけるArガス等の不活性ガスの比率を高くし、[Cr]の酸化を抑える方法がとられている。しかし、低[C]濃度域では脱炭速度が低下するために所望の[C]濃度に到達するのに長時間を要し、かつ吹き込みガス中の不活性ガスの比率を高くするため、高価な不活性ガスの消費量が大幅に増加することから、経済的にも不利となる。
【0003】
このような低[C]濃度域における脱炭を促進する方法として、真空精錬法の利用が挙げられる。特開平6−287629号公報においては、吹き込みガスとして酸素ガスまたは酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスを供給し、溶鋼中の[C]濃度が0.5質量%に低下するまでは大気圧下で脱炭処理し、[C]濃度がこの値以下に低下した後は、容器内を200Torr以下に減圧して脱炭処理する方法が開示されている。これにより、比較的高[C]濃度より減圧下での処理を行うとともに、減圧下において酸素ガスとの混合ガスで脱炭処理を行うため、脱炭酸素効率が向上するために同一酸素供給量で脱炭速度の向上が図れ、還元用Si原単位および高価な不活性ガス原単位が低減するとともに、精錬時間を短縮することができる。減圧処理における容器内圧力を200Torr以下とするのは、これより高い圧力では脱炭酸素効率が低下するからであるとしている。
【0004】
特開平9−71809号公報においても、大気中で酸素ガスを含むガスの吹き込みを行って脱炭した後、C濃度が0.7〜0.05重量%まで低下した段階で大気処理から減圧処理に切り替え、200〜15Torrの減圧下で酸素ガスを含むガスを吹き込む精錬方法が開示されている。減圧条件を200Torr以下とするのは、200Torrよりも高い圧力の下では減圧処理を効果的に行うことができないからであるとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
[C]濃度0.5質量%以下、あるいは[C]濃度0.7質量%以下の[C]濃度領域で減圧処理を行い、かつ減圧処理において酸素ガスを含むガスを吹き込むことにより、脱炭速度の向上や高価な不活性ガス使用量の低減を実現することができたが、より一層の精錬時間の短縮や不活性ガス使用量の低減を図ることができれば、製造コストの低減および生産性の向上に寄与するところが大である。
【0006】
本発明は、精錬容器内で含クロム溶鋼中に酸素ガスを含むガスを吹き込んで精錬を行う含クロム溶鋼の精錬方法において、不活性ガスや酸素ガス使用量を低減し、精錬時間の短縮を図ることのできる精錬方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
含クロム溶鋼の減圧精錬において、中炭領域、特に[C]0.2〜0.5%の領域においては、溶鋼の強攪拌を行うことにより、250〜400Torrの圧力でも高い脱炭酸素効率が得られることが明らかになった。さらに、減圧操業の圧力を従来のように200Torr以下とするのではなく250〜400Torrの範囲とすることにより、ダストの発生を抑えることができる点が明らかになった。また、圧力250〜400Torrの範囲とすることにより、底吹きガス吹き込み量の増大を図ることができ、その結果精錬時間の短縮を図ることが可能になる。
【0008】
また、上記250〜400Torrの減圧操業を行う[C]領域よりさらに高い[C]領域においても、精錬容器内の雰囲気としてさらに高い圧力を選択することにより、大気圧操業ではなく減圧操業を採用することが可能になり、高価な不活性ガスの使用量を削減するとともに生産性を向上できることが明らかになった。
【0009】
本発明は以上の知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)精錬容器内で含クロム溶鋼中に酸素ガスを含むガスを吹き込んで精錬を行う精錬方法において、容器内を400Torr〜大気圧範囲の圧力として酸素ガスを含むガスを吹き込む第1ステップと、容器内を250Torr〜400Torrに減圧して酸素ガスを含むガスを溶鋼トン当たり0.4Nm 3 /min以上のガス吹き込み速度で吹き込む第2ステップと、容器内を250Torr以下に減圧してガスを吹き込む第3ステップとを有し、溶鋼中の[C]濃度が0.2〜0.1質量%で第2ステップから第3ステップに切り替えることを特徴とするダスト発生抑制に優れた含クロム溶鋼の精錬方法。
(2)溶鋼中の[C]濃度が0.7〜0.3%で第1ステップから第2ステップに切り替えることを特徴とする上記(1)に記載のダスト発生抑制に優れた含クロム溶鋼の精錬方法。
(3)第1ステップは、その全体を大気圧下で精錬を行う場合、その全体を減圧下で精錬を行う場合、当初大気圧下でその後減圧下で精錬を行う場合のいずれかであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のダスト発生抑制に優れた含クロム溶鋼の精錬方法。
(4)第1ステップにおいて大気圧下で精錬を行うに際し、ガス吹き込みとして上吹きと底吹きを併用することを特徴とする上記(3)に記載のダスト発生抑制に優れた含クロム溶鋼の精錬方法。
(5)第1ステップにおいて大気圧下で精錬を行うに際し、吹き込むガスとして酸素のみを用いることを特徴とする上記(3)又は(4)に記載のダスト発生抑制に優れた含クロム溶鋼の精錬方法。
(6)第3ステップにおいて、さらに溶鋼中の[C]濃度低下に伴って容器内の圧力を順次段階的に低下させることを特徴とする上記(1)に記載のダスト発生抑制に優れた含クロム溶鋼の精錬方法。
(7)第3ステップにおいて、吹き込みガスとして酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスを供給するに際し、さらに溶鋼中のC濃度低下に伴って混合ガス中の酸素ガスの比率を徐々に低下させることを特徴とする上記(1)乃至(6)のいずれかに記載のダスト発生抑制に優れた含クロム溶鋼の精錬方法。
(8)精錬容器内で含クロム溶鋼中に酸素ガスを含むガスを吹き込んで精錬を行う精錬方法において、容器内を250〜400Torrに減圧して酸素ガスを含むガスを溶鋼トン当たり0.4Nm 3 /min以上のガス吹き込み速度で底吹きで吹き込むステップを有し、溶鋼中の[C]濃度が0.2〜0.1質量%となるまで当該ステップを継続し、その後は容器内を250Torr以下に減圧して底吹きでガスを吹き込むことを特徴とするダスト発生抑制に優れた含クロム溶鋼の精錬方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、減圧精錬を行うに際しては例えば図1(a)に示す精錬容器1が、大気圧精錬を行うに際しては例えば図1(b)に示す精錬容器1が用いられる。精錬容器内で含クロム溶鋼中に底吹き羽口2を通して精錬ガスを吹き込む。また、精錬容器1は着脱可能な排気フード3を有しており、減圧精錬時には図1(a)に示すように精錬容器1に排気フード3を装着し、ガス吸引を行うことにより精錬容器内を減圧する。大気圧精錬時には、図1(b)に示すように排気フード3を装着しないので、吹き込みガスとしては、底吹き羽口2のみならず上吹きランス12を併用してガスを吹き込むことも可能である。
【0011】
本発明は、精錬過程の中において容器内を250〜400Torrに減圧して酸素ガスを含むガスを吹き込むステップを有することを最大の特徴とする。上記(1)においてはこのステップを第2ステップと称する。このステップ(以下総称して「第2ステップ」という。)を[C]濃度0.4質量%前後の中炭領域に配置し、同時に溶鋼を強攪拌することにより、この中炭領域における脱炭酸素効率を高い値に維持することができ、さらにダストの発生を抑制することが可能になる。
【0012】
図2は、[C]濃度0.2〜0.5%の範囲において、底吹きガス吹き込み量を溶鋼トン当たり0.4〜0.9Nm3/minとしたときの、精錬容器内圧力と脱炭酸素効率との関係を示したものである。容器内圧力400Torr以上の領域まで、高い脱炭酸素効率を維持できることがわかる。なお、100Torr以下ではダスト発生量が多く、操業できなかった。
【0013】
図3は、[C]濃度0.2〜0.5%、底吹きガス吹き込み量を溶鋼トン当たり0.4〜0.9Nm3/minとしたときの、精錬容器内圧力とダスト発生量指数との関係を示す図である。ダスト発生量指数は容器内圧力400Torrでのダスト発生量の平均値を1として指数化した値である。精錬容器内圧力を250Torr以上とすることにより、ダスト発生量を大幅に低減できることがわかる。
【0014】
第2ステップにおいて圧力250〜400Torrの範囲とすることにより、底吹きガス吹き込み量の増大を図ることができ、その結果精錬時間の短縮を図ることが可能になる。底吹きガス吹き込み速度は溶鋼トン当たり0.4Nm3/min以上とすると好ましい。これにより、250Torr以上の圧力で高い脱炭酸素効率を得るための強攪拌を実現するとともに、精錬時間を短縮することができ、また、250Torr以上の圧力であれば底吹きガスの吹き込み速度が溶鋼トン当たり0.4Nm3/min以上であってもダスト発生量を低位に抑えることが可能である。底吹きガス吹き込み速度は溶鋼トン当たり0.5Nm3/min超とすると一層好ましい結果を得ることができる。
【0015】
精錬容器内の圧力が400Torr以上である第1ステップから圧力250〜400Torrの第2ステップに移行する時期としては、溶鋼中の[C]濃度が0.7〜0.3%において移行すると好ましい。[C]濃度が0.7%より高い[C]領域においては、減圧精錬を行うにしても圧力を400Torrより高い圧力に設定して酸素ガス吹き込み速度を増大した方が効率的に精錬を行えるからであり、あるいは大気圧精錬を行って上吹き酸素ガス吹き込みを併用した方が高い酸素ガス吹き込み速度を確保して効率的に精錬を行えるからである。もちろん、第2ステップを[C]濃度が0.7%以上の領域、例えば[C]濃度が1.0%から開始することとしても、本発明の効果を発揮することができる。一方、[C]濃度が0.3%より低い[C]領域まで400Torrを超える圧力で精錬を継続すると、脱炭酸素効率の低下をきたし、精錬時間の延長につながるので好ましくない。もちろん、第2ステップを[C]濃度が0.3%以下の領域、例えば[C]濃度が0.2%から開始することとしても、本発明の効果を発揮することができる。最も好ましくは、溶鋼中の[C]濃度が0.5〜0.4%において第2ステップに移行すると良い。
【0016】
精錬容器内の圧力が250〜400Torrである第2ステップから圧力が250Torr以下である第3ステップに移行する時期としては、溶鋼中の[C]濃度が0.4〜0.1%において移行すると好ましい。[C]濃度が0.4%よりも高い[C]領域を250Torr〜400Torrの圧力とすることにより、精錬能率の向上やダスト発生量の低減という本発明の効果を十分に発揮することができるからである。もちろん、[C]濃度0.5%から第3ステップに移行するとしても本発明の効果を発揮することが可能である。一方、[C]濃度が0.1%より低い[C]領域まで250Torrを超える圧力で精錬を継続すると、脱炭酸素効率の低下をきたし、精錬時間の延長をきたすので好ましくない。もちろん、第3ステップを[C]濃度が0.1%以下の領域、例えば[C]濃度が0.05%から開始することとしても、本発明の効果を発揮することができる。
【0017】
第2ステップにおける底吹きガスの吹き込みガス種としては、第2ステップの最初から酸素と不活性ガスの混合ガスとしても良いが、最初は酸素ガス単独吹き込みとし、第2ステップ内で順次不活性ガス比率を増大するパターンとしても良い。
【0018】
第2ステップ内における精錬容器内の圧力は、250〜400Torrの範囲内において一定の圧力を保持することもできるが、高い圧力から低い圧力に順次変化させていくパターンを取ると、不活性ガスの混合なしで、ほぼ一定の高い脱炭酸素効率を維持して脱炭が行えるので、より好ましい結果を得ることができる。
【0019】
第2ステップの前の段階、即ち第1ステップについては、その全体を大気圧下で精錬を行う場合、その全体を減圧下で精錬を行う場合、当初大気圧下でその後減圧下で精錬を行う場合のいずれを採用しても良い。
【0020】
第1ステップにおいて大気圧下で精錬を行うに際しては、精錬容器の上に減圧精錬のための排気フード3を設置しないので、ガス吹き込みとして上吹きと底吹きを併用することができる。また、大気圧下で排ガス処理を行うので、減圧精錬に比較して排ガス吸引能力を増大することも可能である。このような状況下では、底吹きに付加して上吹きを行うことにより、全体の吹き込みガス量を増大して脱炭精錬の進行を促進させることができる。[C]濃度が低くなるほど、溶鋼中[Cr]と平衡するガス中の一酸化炭素分圧PCOが低下する。従って、大気圧下での精錬においては、[Cr]の酸化ロスを防止するため、吹き込みガス中にAr等の不活性ガスを混合し、[C]濃度の低減とともに不活性ガス比率を増大して雰囲気中のPCOの低減を図る必要がある。
【0021】
第1ステップにおいて大気圧下で精錬を行うに際しては、吹き込むガスとして酸素のみを用いることができる。これは第1ステップの[C]範囲0.7〜0.3%以上では溶鋼中[Cr]と平衡するガス中のPCOは0.7atm以上であり、吹き込みガスとして酸素のみを用いても脱炭酸素効率の低下代は小さく、高い脱炭速度が得られる。また、高価な不活性ガスの使用を抑えることが可能である。なお、第1ステップの[C]範囲を0.5%以上とすれば溶鋼中[Cr]と平衡するPCOは0.9atm以上となるためにより高い効果が得られる。
【0022】
第1ステップの精錬を当初大気圧下で行い、その後400Torr以上の圧力として減圧下で行うことができる。第1ステップの後半に減圧精錬を採用すると、同じ領域を大気圧下で精錬する場合に比較し、不活性ガスの混合比率を低減するかあるいは全く不活性ガスを用いない酸素ガスのみの吹き込みでもPCOを低く保つことができ、[Cr]の酸化を防止した精錬を行うことが可能になる。大気圧から減圧へ移行する時期としては、[C]濃度0.7〜0.5%の領域で移行すると好ましい。これは、この[C]濃度以下では溶鋼中[Cr]と平衡するPCOが1atm以下となるためにPCOを下げる手段を加えた方が効率的な脱炭が行えるためである。圧力を400Torr以上とする理由は、第1ステップの[C]濃度領域であれば、高炭素なので高い圧力下でも十分に良好な脱炭酸素効率を得ることができるからである。また、この炭素領域では吹き込みガス量を確保して高い精錬能率を確保することが重要であるが、同じ減圧吸引装置を用いるのであれば圧力が高いほど排ガス吸引能力が増大して吹き込みガス量を増大することが可能になるからである。合わせて、高い圧力の方が同じガス吹き込み量でもダストの発生を抑えることができるからである。
【0023】
第2ステップに比べ効果代は小さくなるが、第1ステップでも底吹きからのガス吹き込み速度が大きいほど溶鋼の攪拌力が増大し、脱炭酸素効率を高位に保つことができるので、溶鋼トン当たり0.4Nm3/min以上とすることが好ましい。また、吹き込み速度が大きいほど高い酸素供給速度が得られ、精錬時間を短くすることが可能になる。
【0024】
第1ステップの最初から減圧精錬を実施しても良い。例えば、生産能力に余力があり、精錬時間を延長しても良いような場合には、第1ステップの最初から減圧精錬を実施する。これにより、酸素の供給速度が低下し、精錬時間は延長するが、脱炭酸素効率を精錬全体で高位に保つことが可能になり、例えば、精錬全体の脱炭酸素効率90%以上を確保できるようになる。合わせて、高価な希釈ガスの使用も極力抑えることができるようになる。
【0025】
第2ステップの次の段階、即ち第3ステップについては、容器内を250Torr以下に減圧してガスを吹き込む。溶鋼中の[C]濃度が低下するほど、高い脱炭酸素効率を得るための最適な容器内圧力が低下するので、脱炭が進行した第3ステップにおいては第2ステップより低い圧力を採用することが好ましい。併せて、[C]濃度が低いほど脱炭反応に対する溶鋼攪拌の影響が大きくなる。同一のガス吹き込み速度では容器内圧力が低いほどガスの膨張代が大きくなり、溶鋼攪拌力が増大することから、第2ステップよりも低い圧力とすることが好ましい。
【0026】
第3ステップにおいては、溶鋼中の[C]濃度低下に伴って容器内の圧力を順次段階的に低下させると好ましい。容器内圧力を順次低下し、脱炭精錬の最終段階では容器内圧力を50Torr以下まで低下すると好ましい。[C]濃度の低い領域では、[C]濃度の低下に従い、溶鋼中[Cr]と平衡するPCOが急激に低下する。例えば、[C]0.2%では平衡PCOは約0.3atmであるが、[C]0.1%では0.1atm以下となる。これに対応させて、容器内の圧力を段階的に低下させれば安定して脱炭酸素効率を高位に維持できるようになる。
【0027】
第3ステップにおいては、[C]濃度が十分に低下しているので、吹き込みガスとして酸素ガスを用いずに不活性ガスのみを吹き込むこととしても良い。また、吹き込みガスとして酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスを供給するに際し、さらに溶鋼中のC濃度低下に伴って混合ガス中の酸素ガスの比率を徐々に低下させると好ましい。吹き込みガスが不活性ガスのみに比べ、適度に酸素ガスを混合した場合には酸素の供給速度を確保した上で効率的な脱炭が行えるために精錬時間を短くできる。また、[C]濃度の低下に伴い、溶鋼中[Cr]と平衡するPCOが急激に下降することから、このPCOの下降に合わせ、吹き込みガスの酸素ガス比率を低下させれば、効率的な脱炭が行えることになる。
【0028】
前述したように、[C]濃度が低いほど脱炭反応に対する溶鋼攪拌の影響が大きくなる。第3ステップは第2ステップよりも容器内圧力を低くするが、吹き込みガス量としても、溶鋼トン当たり0.4Nm3/min以上とすることが好ましい。なお、吹き込みガス量が大きすぎると多量のスプラッシュが発生し、操業上の支障をきたすことから、溶鋼トン当たり1.0Nm3/min以下とすることが好ましい。
【0029】
本発明において、第1ステップと第2ステップとの間に、一度容器内圧力を400Torr以下まで下げて再度400Torr以上に上げるパターンを挿入することも可能である。同様に、第2ステップと第3ステップとの間に、一度容器内圧力を250Torr以下まで下げて再度250Torr以上に上げるパターンを挿入することも可能である。いずれも、本発明の効果を損なうものではない。しかし、精錬効率を最大限に確保して本発明の効果を発揮する上では、第1ステップ〜第2ステップ〜第3ステップと順次精錬容器内の圧力を下げていく圧力パターンが最も好ましい。
【0030】
なお、精錬容器内に底吹きガスを供給する場合には、一般に二重管羽口が使用される。二重管羽口では内管に精錬ガス、外管に冷却ガスが流される。本発明で酸素ガス単独の吹き込みを行う場合にも、外管には少量の冷却ガスとして、窒素ないしはArが供給されていることになる。
【0031】
本発明の減圧精錬方法においては、従来の減圧精錬方法に比較して吹き込みガス量が増大するため、精錬容器内を減圧するための真空排気装置についての考慮が必要となる。排気ガス量の増大による発熱量の増大に対しては、図1(a)に示す排気フード3と真空排気装置(蒸気エジェクター10、ウォーターポンプ11)との間の排気配管7に設置するガスクーラー8の台数あるいは1台あたりの冷却能力を増大することにより対処できる。また、排気ガス量の増大によるダスト発生量の増大に対しては、排気フード3と真空排気装置との間の排気配管に設置するバグフィルター9の台数あるいは1台あたりのダスト処理能力を増大することにより対処できる。本発明においては、第2ステップにおける精錬容器内の圧力を従来に比較して高い圧力とした結果としてダスト発生量が低減したので、バグフィルターの増設も最低規模の増設で足りる。
【0032】
【実施例】
図1に示すような溶鋼量60トンのAOD炉において、SUS304ステンレス鋼(8質量%Ni−18質量%Cr)を溶製するに際して本発明を適用した。大気圧精錬においては、図1(b)に示す態様にて底吹きを行うとともに必要に応じて上吹きを併用し、減圧精錬においては図1(a)に示す態様にて精錬容器内を減圧した上で底吹きを行った。溶製開始時の溶鋼中[C]濃度は約1.6%であり、[C]0.04%まで脱炭精錬を行い、その後容器内圧力を大気圧まで戻しながら、脱炭中に酸化したクロムを還元するための還元剤としてFe−Si合金鉄を添加して、Arガスのみの吹き込みにより還元処理を行い、取鍋へ出鋼した。
【0033】
(実施例1)
表1に示すパターンを採用して精錬を行った。第1ステップを大気圧精錬として上底吹きを行い、底吹きガスは酸素ガス単独とした。[C]濃度0.5%〜0.15%を第2ステップとし、第2ステップ内で容器内圧力を350Torrと250Torrの2段階圧力とし、底吹きガス吹き込み量はそれぞれ0.9、0.5Nm3/minとし、吹き込みガスは酸素ガス単独とした。第3ステップは容器内圧力を100Torr、40Torrの2段階圧力とし、底吹きガス吹き込み量は0.5Nm3/minを維持し、[C]濃度0.04%まで脱炭精錬を行った。
【0034】
第1ステップにおいては、[C]濃度0.5%に到るまで酸素ガス単独吹き込みとしているので、脱炭酸素効率が若干低下して[Cr]の酸化が増大するものの、高価なArガス使用量を削減することができた。なお、第1ステップの[C]濃度0.7〜0.5%の領域において、底吹きガスO2/Ar比を1/0ではなく4/1とすれば、高価なArガス使用量は増大するものの、当該[C]領域における脱炭酸素効率を改善することが可能になる。
【0035】
第2ステップにおいては、底吹きガス吹き込み量を0.9〜0.5Nm3/minまで上げることによって、脱炭酸素効率を維持しつつ容器内圧力を350〜250Torrに上昇させることができ、結果としてダスト発生量の低下を実現するとともに、精錬時間の短縮を実現することができた。
【0036】
第3ステップにおいても、容器内圧力を100Torr、40Torrの条件で底吹きガス吹き込み量0.5Nm3/minを維持することにより、高脱炭酸素効率を維持し、精錬時間の短縮に寄与することができた。
【0037】
【表1】
【0038】
(実施例2)
表2に示すパターンを採用して精錬を行った。第1ステップの最初を大気圧とし、第1ステップの途中で[C]濃度0.7%の段階で容器内圧力500Torrにて減圧精錬を開始した。第2ステップ以降は上記実施例1と同じパターンである。
【0039】
[C]濃度0.7〜0.5%を減圧精錬とした結果として、実施例1と比較し、当該炭素濃度範囲における脱炭酸素効率を向上して[Cr]の酸化を防止することができた。また、前述の表1の第1ステップの[C]濃度0.7〜0.5%領域で底吹きガスO2/Ar比を1/0から4/1に変更した場合と同等の脱炭酸素効率となり、かつ酸素供給速度も大きいので、精錬時間も短くすることができた。
【0040】
【表2】
【0041】
(実施例3)
表3に示すパターンを採用して精錬を行った。第1ステップの最初から減圧精錬を行った。第2ステップ以降は上記実施例1と同じパターンである。
【0042】
大気圧精錬に比較してガス吹き込み速度が低いために精錬時間は延びるものの、大気圧精錬に比較して脱炭酸素効率を高位に保つことができ、精錬全体の脱炭酸素効率90%以上を実現することができた。また、精錬最初より減圧精錬を行うことで、容器内の圧力制御が安定し、操業操作が容易に行えた。
【0043】
【表3】
【0044】
(実施例4)
表4に示すパターンを採用して精錬を行った。上記実施例1と比較すると、第2ステップ開始[C]濃度を0.5%から0.6%に、第2ステップ終了[C]濃度を0.15%から0.2%に変更し、第2ステップの容器内圧力、吹き込みガス量をそれぞれ増大した。その他は実施例1と同じ条件とした。
【0045】
実施例1に比べ、全体の脱炭酸素効率は若干低下するが、ダスト発生量は同等であり、酸素供給速度が大きくなるために、精錬時間の短縮をはかることができた。
【0046】
【表4】
【0047】
(実施例5)
表5に示すパターンを採用して精錬を行った。上記実施例1と比較すると、第3ステップの容器内圧力、吹き込みガス量をそれぞれ増大した。その他は実施例1と同じ条件とした。
【0048】
実施例1に比べ、容器内の圧力は増大するが、吹き込みガス量を増大させると共に、吹き込みガスのO2/Ar比を低下させているために、Arの使用量は若干増加するが、脱炭酸素効率は増加し、精錬時間は短縮できた。
【0049】
【表5】
【0050】
(比較例1)
表6に示すパターンを採用して精錬を行った。[C]濃度1.6〜0.4%を大気圧精錬とし、[C]濃度0.4%以下を減圧精錬とした。大気圧精錬における精錬条件は本発明例1のステップ1と同様である。減圧精錬における底吹きガス吹き込み量を従来並の0.3Nm3/minとしている。底吹きガス吹き込み量が少ないので、脱炭酸素効率の低下を防止し、かつダスト発生量の増加を防止する観点から、容器内圧力は最大でも150Torrとしている。
【0051】
底吹きガス吹き込み量が本発明例に比較して圧倒的に少ないため、精錬時間が大幅に延長し、実施例1に比べ、減圧精錬時間が約2.5倍かかるようになり、全体の精錬時間も約1.8倍要するようになった。このため、連続鋳造でチャージを連続して鋳込む連々鋳が不可能となった。
【0052】
【表6】
【0053】
(比較例2)
表7に示すパターンを採用して精錬を行った。[C]濃度1.6〜0.15%を大気圧精錬とし、[C]濃度0.15%以下を減圧精錬とした。減圧精錬における底吹きガス吹き込み量を従来並の0.3Nm3/minとしている。
【0054】
大気圧精錬後半の[C]濃度0.5〜0.15%の領域においては、脱炭酸素効率の低下を防止するために高価なArガスを多量に使用することとなった。それでも、この領域を減圧精錬とする場合に比較して[Cr]の酸化を防止することはできなかった。
【0055】
【表7】
【0056】
【発明の効果】
本発明は、含クロム溶鋼の減圧精錬において、中炭領域、特に[C]0.2〜0.5%の領域において溶鋼の強攪拌を行うことにより250〜400Torrの圧力で高い脱炭酸素効率の減圧精錬を可能にした。その結果、ダストの発生を抑えることができ、さらに底吹きガス吹き込み量の増大を図ることができるので精錬時間の短縮を図ることが可能になった。
【0057】
本発明はまた、上記250〜400Torrの減圧操業を行う[C]領域よりさらに高い[C]領域においても、精錬容器内の雰囲気としてさらに高い圧力を選択することにより、大気圧操業ではなく減圧操業を採用することが可能になり、高価な不活性ガスの使用量を削減するとともに生産性を向上することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の精錬容器を示す図であり、(a)は減圧精錬時、(b)は大気圧精錬時の状態を示す図である。
【図2】精錬容器内圧力と脱炭酸素効率との関係を示す図である。
【図3】精錬容器内圧力とダスト発生量指数との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 精錬容器
2 底吹き羽口
3 排気フード
4 溶鋼
5 底吹きガス
6 スラグ
7 排気管
8 ガスクーラー
9 バグフィルター
10 蒸気エジェクター
11 ウォーターポンプ
12 上吹きランス[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for refining chromium-containing molten steel in which refining is performed by blowing a gas containing oxygen gas into the chromium-containing molten steel in a refining vessel.
[0002]
[Prior art]
When refining chromium-containing steel, particularly chromium-containing steel containing 11% or more of chromium, such as stainless steel, oxygen gas or a mixed gas of oxygen gas and inert gas is contained in the molten steel contained in the refining vessel. A method of performing decarburization refining by the AOD method to be blown is widely used. In the AOD method, when [C] concentration in molten steel decreases as decarburization progresses, [Cr] is likely to be oxidized. Therefore, as the [C] concentration decreases, Ar gas or the like in the blowing gas A method of increasing the ratio of inert gas and suppressing oxidation of [Cr] is employed. However, in the low [C] concentration region, since the decarburization rate decreases, it takes a long time to reach the desired [C] concentration, and the ratio of the inert gas in the blowing gas is increased. Since the consumption of the inert gas is greatly increased, it is economically disadvantageous.
[0003]
As a method for promoting decarburization in such a low [C] concentration region, use of a vacuum refining method can be mentioned. In JP-A-6-287629, oxygen gas or a mixed gas of oxygen gas and inert gas is supplied as a blowing gas, and atmospheric pressure is maintained until the [C] concentration in the molten steel is reduced to 0.5% by mass. A method of decarburizing by depressurizing the inside of the container to 200 Torr or less after the decarburizing process is performed below and the [C] concentration is reduced below this value is disclosed. As a result, the treatment under reduced pressure is performed at a relatively high [C] concentration, and the decarburization treatment is performed with a mixed gas with oxygen gas under reduced pressure. Thus, the decarburization rate can be improved, the reduction Si basic unit and the expensive inert gas basic unit can be reduced, and the refining time can be shortened. The reason why the pressure in the container in the decompression process is set to 200 Torr or less is that the decarbonation efficiency decreases at a pressure higher than this.
[0004]
Also in Japanese Patent Laid-Open No. 9-71809, after decarburizing by blowing a gas containing oxygen gas in the atmosphere, the atmospheric treatment is reduced to the reduced pressure treatment at a stage where the C concentration is reduced to 0.7 to 0.05 wt%. And a refining method in which a gas containing oxygen gas is blown under a reduced pressure of 200 to 15 Torr is disclosed. The reason why the depressurization condition is 200 Torr or less is that the depressurization process cannot be effectively performed under a pressure higher than 200 Torr.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
[C] Decarburization is performed by performing decompression treatment in the [C] concentration region of 0.5% by mass or less, or [C] concentration of 0.7% by mass or less, and blowing a gas containing oxygen gas in the decompression treatment. Although we were able to improve speed and reduce the amount of expensive inert gas used, if we could further shorten the refining time and reduce the amount of inert gas used, we could reduce manufacturing costs and improve productivity. The place that contributes to the improvement of
[0006]
The present invention relates to a method for refining chromium-containing molten steel in which a gas containing oxygen gas is blown into a chromium-containing molten steel in a refining vessel, thereby reducing the amount of inert gas and oxygen gas and shortening the refining time. It aims at providing the refining method which can do.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In the vacuum refining of chromium-containing molten steel, high decarbonation efficiency is achieved even at a pressure of 250 to 400 Torr by performing strong stirring of the molten steel in the middle charcoal region, particularly in the region of [C] 0.2 to 0.5%. It became clear that it was obtained. Furthermore, it became clear that the generation of dust can be suppressed by setting the pressure of the decompression operation to a range of 250 to 400 Torr instead of 200 Torr or less as in the prior art. Further, by setting the pressure in the range of 250 to 400 Torr, the amount of bottom blowing gas can be increased, and as a result, the refining time can be shortened.
[0008]
Further, even in the [C] region that is higher than the [C] region where the 250 to 400 Torr decompression operation is performed, the decompression operation is adopted instead of the atmospheric operation by selecting a higher pressure as the atmosphere in the refining vessel. It has become possible to reduce the amount of expensive inert gas used and improve productivity.
[0009]
This invention is made | formed based on the above knowledge, and the place made into the summary is as follows.
(1) In a refining method for performing refining by blowing a gas containing oxygen gas into chromium-containing molten steel in a refining vessel, a first step of blowing a gas containing oxygen gas at a pressure in the range of 400 Torr to atmospheric pressure; The inside of the container is depressurized to 250 Torr to 400 Torr, and a gas containing oxygen gas is0.4 Nm per ton of molten steel Three At a gas blowing speed of at least / minA second step of blowing, and a third step of blowing gas by reducing the pressure in the container to 250 Torr or less.Then, when the [C] concentration in the molten steel is 0.2 to 0.1% by mass, the second step is switched to the third step.It is characterized byExcellent dust suppressionMethod for refining chromium-containing molten steel.
(2) From the first step to the second step when the [C] concentration in the molten steel is 0.7-0.3%Switch(1) characterized in that)DescribedExcellent dust suppressionA method for refining chromium-containing molten steel.
(3) The first step is either when refining the whole under atmospheric pressure, when refining the whole under reduced pressure, or when refining under the reduced pressure initially under atmospheric pressure. (1)Or (2)Described inExcellent dust suppressionA method for refining chromium-containing molten steel.
(4) In the first step, when performing refining under atmospheric pressure, the top blowing and the bottom blowing are used in combination as gas blowing.3)Excellent dust suppressionA method for refining chromium-containing molten steel.
(5In the first step, when refining is performed under atmospheric pressure, only oxygen is used as a gas to be blown (above)3Or (4)Excellent dust suppressionA method for refining chromium-containing molten steel.
(6) In the third step, the pressure in the vessel is gradually reduced stepwise as the [C] concentration in the molten steel further decreases.Excellent dust suppressionA method for refining chromium-containing molten steel.
(7) In the third step, when supplying the mixed gas of oxygen gas and inert gas as the blown gas, the ratio of oxygen gas in the mixed gas is gradually decreased as the C concentration in molten steel decreases. (1) to (6)Excellent dust suppressionA method for refining chromium-containing molten steel.
(8) In a refining method in which a gas containing oxygen gas is blown into chromium-containing molten steel in a refining vessel, the inside of the vessel is depressurized to 250 to 400 Torr, and the gas containing oxygen gas is reduced.0.4 Nm per ton of molten steel Three By bottom blowing at a gas blowing speed of at least / minHave a step to blowThen, the step is continued until the [C] concentration in the molten steel becomes 0.2 to 0.1% by mass, and then the pressure in the container is reduced to 250 Torr or less and gas is blown into the bottom.It is characterized byExcellent dust suppressionA method for refining chromium-containing molten steel.
[0010]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
In the present invention, for example, a
[0011]
The present inventionIsIn the refining process, the greatest feature is to have a step of reducing the pressure in the vessel to 250 to 400 Torr and blowing a gas containing oxygen gas. In step (1), this step is referred to as a second step. This step (hereinafter collectively referred to as “second step”) is disposed in the middle charcoal region where the [C] concentration is around 0.4% by mass, and at the same time the molten steel is vigorously stirred, thereby decarboxylation in this middle charcoal region The elementary efficiency can be maintained at a high value, and the generation of dust can be further suppressed.
[0012]
FIG. 2 shows that in the range of [C] concentration of 0.2 to 0.5%, the bottom blowing gas blowing amount is 0.4 to 0.9 Nm per ton of molten steel.ThreeThis shows the relationship between the pressure in the smelting vessel and the decarbonation efficiency when / min. It can be seen that high decarbonation efficiency can be maintained up to a region where the internal pressure of the container is 400 Torr or more. In addition, at 100 Torr or less, there was much dust generation amount and it was not able to operate.
[0013]
FIG. 3 shows a [C] concentration of 0.2 to 0.5% and a bottom blowing gas blowing amount of 0.4 to 0.9 Nm per ton of molten steel.ThreeIt is a figure which shows the relationship between the pressure in a refining container, and a dust generation amount index | exponent when it is set to / min. The dust generation amount index is a value obtained by indexing the average value of the dust generation amount at a container internal pressure of 400 Torr as 1. It can be seen that the amount of dust generated can be greatly reduced by setting the pressure in the refining vessel to 250 Torr or more.
[0014]
By setting the pressure in the range of 250 to 400 Torr in the second step, it is possible to increase the bottom blowing gas blowing amount, and as a result, it is possible to shorten the refining time. Bottom blowing gas blowing speed is 0.4 Nm per ton of molten steelThree/ Min or more is preferable. As a result, strong agitation to obtain high decarbonation efficiency at a pressure of 250 Torr or higher can be achieved, and the refining time can be shortened. If the pressure is 250 Torr or higher, the blowing rate of the bottom blowing gas is molten steel. 0.4 Nm per tonThreeEven if it is at least / min, it is possible to keep the amount of dust generated low. Bottom blowing gas blowing speed is 0.5 Nm per ton of molten steelThreeIf it exceeds / min, a more preferable result can be obtained.
[0015]
As the timing for shifting from the first step in which the pressure in the refining vessel is 400 Torr or more to the second step in which the pressure is 250 to 400 Torr, it is preferable that the [C] concentration in the molten steel shifts at 0.7 to 0.3%. In the [C] region where the [C] concentration is higher than 0.7%, even if the vacuum refining is performed, the refining can be performed more efficiently by setting the pressure to a pressure higher than 400 Torr and increasing the oxygen gas blowing speed. This is because it is possible to perform refining efficiently by securing a high oxygen gas blowing speed by performing atmospheric pressure refining and using oxygen gas blowing together. Of course, the effect of the present invention can also be exhibited by starting the second step from a region where the [C] concentration is 0.7% or more, for example, the [C] concentration is 1.0%. On the other hand, if refining is continued at a pressure exceeding 400 Torr up to the [C] region where the [C] concentration is lower than 0.3%, decarbonation efficiency is lowered and the refining time is extended. Of course, the effect of the present invention can be exhibited even if the second step is started from a region where the [C] concentration is 0.3% or less, for example, the [C] concentration is 0.2%. Most preferably, the process moves to the second step when the [C] concentration in the molten steel is 0.5 to 0.4%.
[0016]
As the time to shift from the second step in which the pressure in the refining vessel is 250 to 400 Torr to the third step in which the pressure is 250 Torr or less, when the [C] concentration in the molten steel shifts at 0.4 to 0.1%, preferable. By setting the [C] region where the [C] concentration is higher than 0.4% to a pressure of 250 Torr to 400 Torr, the effects of the present invention of improving the refining efficiency and reducing the amount of dust generated can be sufficiently exhibited. Because. Of course, the effect of the present invention can be exhibited even when the [C] concentration shifts from 0.5% to the third step. On the other hand, if refining is continued at a pressure exceeding 250 Torr up to the [C] region where the [C] concentration is lower than 0.1%, decarbonation efficiency is lowered and refining time is extended, which is not preferable. Of course, the effect of the present invention can be exhibited even if the third step is started from a region where the [C] concentration is 0.1% or less, for example, the [C] concentration is 0.05%..
[0017]
As the blowing gas type of the bottom blowing gas in the second step, a mixed gas of oxygen and an inert gas may be used from the beginning of the second step, but first, oxygen gas is blown alone, and the inert gas is sequentially introduced in the second step. It is good also as a pattern which increases a ratio.
[0018]
The pressure in the refining vessel in the second step can be maintained at a constant pressure in the range of 250 to 400 Torr. However, if a pattern in which the pressure is gradually changed from a high pressure to a low pressure is taken, the inert gas Since decarburization can be performed without mixing while maintaining a substantially constant high decarbonation efficiency, more favorable results can be obtained.
[0019]
About the stage before the second step, that is, the first stepIsWhen refining the whole under atmospheric pressure, when refining the whole under reduced pressure, or when refining under the reduced pressure initially under atmospheric pressure may be employed.
[0020]
When refining under atmospheric pressure in the first step, the
[0021]
When refining under atmospheric pressure in the first stepInfuseOnly oxygen can be used as the gas. This is because the P in the gas equilibrated with [Cr] in the molten steel in the [C] range of 0.7 to 0.3% or more in the first step.COIs 0.7 atm or more, and even if only oxygen is used as the insufflation gas, the reduction margin of decarbonation efficiency is small, and a high decarburization rate can be obtained. Moreover, it is possible to suppress the use of expensive inert gas. In addition, if the [C] range of the first step is 0.5% or more, P is in equilibrium with [Cr] in the molten steel.COIs 0.9 atm or more, so that a higher effect can be obtained.
[0022]
The first step of refining can be initially performed under atmospheric pressure, and then under reduced pressure at a pressure of 400 Torr or higher. If vacuum refining is adopted in the latter half of the first step, the mixing ratio of the inert gas is reduced or oxygen gas is blown in without using any inert gas as compared with the case where the same region is refined at atmospheric pressure. PCOCan be kept low, and it becomes possible to perform refining while preventing oxidation of [Cr]. As the timing for shifting from the atmospheric pressure to the reduced pressure, it is preferable to shift in a region where the [C] concentration is 0.7 to 0.5%. This is because P is in equilibrium with [Cr] in the molten steel below this [C] concentration.COP is less than 1 atmCOThis is because it is possible to perform decarburization more efficiently by adding a means for lowering. The reason for setting the pressure to 400 Torr or higher is that, in the [C] concentration region of the first step, sufficiently high decarbonation efficiency can be obtained even under high pressure because of high carbon. In this carbon region, it is important to secure a high refining efficiency by securing the amount of blown gas, but if the same vacuum suction device is used, the higher the pressure, the greater the exhaust gas suction capacity and the greater the amount of blown gas. It is because it becomes possible to increase. In addition, the generation of dust can be suppressed with higher pressure even with the same gas blowing amount.
[0023]
Compared to the second step, the cost of effect is smaller, but even in the first step, the larger the gas blowing speed from the bottom blowing, the greater the stirring power of the molten steel, and the higher the decarbonation efficiency can be maintained. 0.4 NmThree/ Min or more is preferable. Further, the higher the blowing speed, the higher the oxygen supply speed, and the refining time can be shortened.
[0024]
The vacuum refining may be performed from the beginning of the first step. For example, when there is a surplus in production capacity and the refining time may be extended, reduced pressure refining is performed from the beginning of the first step. As a result, the oxygen supply rate is reduced and the refining time is extended, but the decarbonation efficiency can be maintained at a high level throughout the refining, and for example, a decarbonation efficiency of 90% or more of the entire refining can be secured. It becomes like this. In addition, the use of expensive dilution gas can be suppressed as much as possible.
[0025]
In the next stage after the second step, that is, the third step, the inside of the container is depressurized to 250 Torr or less, and gas is blown in. As the [C] concentration in the molten steel decreases, the optimum pressure in the vessel for obtaining a high decarbonation efficiency decreases. Therefore, a pressure lower than that in the second step is adopted in the third step in which decarburization proceeds. It is preferable. In addition, the lower the [C] concentration, the greater the influence of molten steel stirring on the decarburization reaction. At the same gas blowing speed, the lower the pressure in the container, the larger the gas expansion allowance, and the molten steel stirring force increases. Therefore, the pressure is preferably lower than that in the second step.
[0026]
In the third stepIn molten steelIt is preferable to reduce the pressure in the container step by step as the concentration of [C] decreases. It is preferable that the internal pressure of the vessel is sequentially reduced and the internal pressure of the vessel is reduced to 50 Torr or less in the final stage of decarburization refining. In the region where the [C] concentration is low, as the [C] concentration decreases, the P balances with [Cr] in the molten steel.CODecreases rapidly. For example, at [C] 0.2%, the equilibrium PCOIs about 0.3 atm, but at [C] 0.1%, it becomes 0.1 atm or less. Correspondingly, if the pressure in the container is lowered stepwise, the decarbonation efficiency can be stably maintained at a high level.
[0027]
In the third step, since the [C] concentration is sufficiently lowered, only the inert gas may be blown without using oxygen gas as the blown gas. Also, BlowWhen supplying a mixed gas of oxygen gas and inert gas as the gas, it is preferable to further reduce the ratio of oxygen gas in the mixed gas as the C concentration in the molten steel decreases. Compared with the inert gas alone, when the oxygen gas is appropriately mixed, the refining time can be shortened because efficient decarburization can be performed after securing the oxygen supply rate. Moreover, as the [C] concentration decreases, P balances with [Cr] in the molten steel.COSince PCOIf the oxygen gas ratio of the blown gas is lowered in accordance with the lowering of the gas, efficient decarburization can be performed.
[0028]
As described above, the lower the [C] concentration, the greater the influence of molten steel stirring on the decarburization reaction. In the third step, the pressure in the container is made lower than in the second step, but the amount of blown gas is 0.4 Nm per ton of molten steel.Three/ Min or more is preferable. In addition, if the amount of blown gas is too large, a large amount of splash is generated, resulting in operational problems. Therefore, 1.0 Nm per ton of molten steelThree/ Min or less.
[0029]
In the present invention, it is also possible to insert a pattern in which the pressure in the container is once lowered to 400 Torr or lower and again raised to 400 Torr or higher between the first step and the second step. Similarly, a pattern can be inserted between the second step and the third step, once the internal pressure of the container is lowered to 250 Torr or lower and then increased to 250 Torr or higher again. In any case, the effect of the present invention is not impaired. However, the pressure pattern in which the pressure in the refining vessel is sequentially reduced in the first step to the second step to the third step is most preferable for ensuring the refining efficiency to the maximum and exhibiting the effect of the present invention.
[0030]
In addition, when supplying bottom blowing gas in a refining container, a double pipe tuyere is generally used. In the double pipe tuyere, refining gas flows in the inner pipe and cooling gas flows in the outer pipe. Even when oxygen gas alone is blown in the present invention, nitrogen or Ar is supplied to the outer tube as a small amount of cooling gas.
[0031]
In the reduced pressure refining method of the present invention, since the amount of blown gas is increased as compared with the conventional reduced pressure refining method, it is necessary to consider a vacuum exhaust device for reducing the pressure in the refining vessel. A gas cooler installed in the
[0032]
【Example】
In the AOD furnace having a molten steel amount of 60 tons as shown in FIG. 1, the present invention was applied when melting SUS304 stainless steel (8 mass% Ni-18 mass% Cr). In atmospheric pressure refining, bottom blowing is performed in the mode shown in FIG. 1 (b) and top blowing is used as necessary. In vacuum refining, the inside of the refining vessel is depressurized in the mode shown in FIG. 1 (a). Then, bottom blowing was performed. [C] concentration in molten steel at the start of melting is about 1.6%, decarburizing and refining to [C] 0.04%, and then oxidizing during decarburization while returning the pressure in the vessel to atmospheric pressure Fe-Si alloy iron was added as a reducing agent for reducing the chromium, and reduction treatment was performed by blowing only Ar gas, and the steel was taken out into a ladle.
[0033]
Example 1
The pattern shown in Table 1 was used for refining. Top bottom blowing was performed using the first step as atmospheric pressure refining, and the bottom blowing gas was oxygen gas alone. [C] Concentration of 0.5% to 0.15% is set as the second step, and the internal pressure of the container is set to a two-stage pressure of 350 Torr and 250 Torr within the second step, and the bottom blowing gas blowing amount is 0.9, 0.00, respectively. 5NmThree/ Min, and the blown gas was oxygen gas alone. In the third step, the internal pressure of the container is set to a two-stage pressure of 100 Torr and 40 Torr, and the bottom blowing gas blowing amount is 0.5 Nm.Three/ Min, and decarburization refining was performed to a [C] concentration of 0.04%.
[0034]
In the first step, oxygen gas alone is blown until the [C] concentration reaches 0.5%, so that decarbonation efficiency is slightly reduced and oxidation of [Cr] is increased, but expensive Ar gas is used. The amount could be reduced. In the first step [C] region of 0.7 to 0.5% concentration, the bottom blowing gas O2If the / Ar ratio is 4/1 instead of 1/0, the amount of expensive Ar gas used is increased, but the decarbonation efficiency in the [C] region can be improved.
[0035]
In the second step, the bottom blowing gas blowing amount is 0.9 to 0.5 Nm.Three/ Min can increase the pressure in the vessel to 350 to 250 Torr while maintaining the decarbonation efficiency, resulting in a reduction in dust generation and a reduction in refining time. did it.
[0036]
Also in the third step, the bottom blowing gas blowing amount is 0.5 Nm under the conditions of the container internal pressure of 100 Torr and 40 Torr.ThreeBy maintaining / min, it was possible to maintain high decarbonation efficiency and contribute to shortening of the refining time.
[0037]
[Table 1]
[0038]
(Example 2)
The pattern shown in Table 2 was adopted for refining. At the beginning of the first step, the atmospheric pressure was set, and in the middle of the first step, reduced pressure refining was started at a [C] concentration of 0.7% at a vessel internal pressure of 500 Torr. The second and subsequent steps are the same pattern as in the first embodiment.
[0039]
[C] As a result of reduced pressure refining at a concentration of 0.7 to 0.5%, the decarbonation efficiency in the carbon concentration range can be improved and oxidation of [Cr] can be prevented as compared with Example 1. did it. Further, the bottom blown gas O in the [C] concentration range of 0.7 to 0.5% in the first step of Table 1 described above.2Since the decarbonation efficiency was the same as when the / Ar ratio was changed from 1/0 to 4/1, and the oxygen supply rate was large, the refining time could be shortened.
[0040]
[Table 2]
[0041]
(Example 3)
The pattern shown in Table 3 was used for refining. Vacuum refining was performed from the beginning of the first step. The second and subsequent steps are the same pattern as in the first embodiment.
[0042]
Although the refining time is extended because the gas blowing speed is low compared to atmospheric refining, the decarbonation efficiency can be maintained at a high level compared to atmospheric refining, and the decarbonization efficiency of the entire refining is 90% or more. Could be realized. In addition, by performing vacuum refining from the beginning of refining, the pressure control in the vessel was stabilized, and the operation operation was easy.
[0043]
[Table 3]
[0044]
Example 4
The pattern shown in Table 4 was used for refining. Compared to Example 1 above, the second step start [C] concentration was changed from 0.5% to 0.6%, and the second step end [C] concentration was changed from 0.15% to 0.2%. The pressure in the container and the amount of blown gas in the second step were increased. The other conditions were the same as in Example 1.
[0045]
Compared with Example 1, the overall decarbonation efficiency was slightly reduced, but the amount of dust generated was the same and the oxygen supply rate was increased, so that the refining time could be shortened.
[0046]
[Table 4]
[0047]
(Example 5)
The pattern shown in Table 5 was used for refining. Compared to Example 1, the container internal pressure and the amount of blown gas in the third step were increased. The other conditions were the same as in Example 1.
[0048]
Although the pressure in the container is increased as compared with Example 1, the amount of the blown gas is increased and the blown gas O is increased.2Since the / Ar ratio was lowered, the amount of Ar used increased slightly, but the decarbonation efficiency increased and the refining time could be shortened.
[0049]
[Table 5]
[0050]
(Comparative Example 1)
The pattern shown in Table 6 was used for refining. [C] Concentration of 1.6 to 0.4% was atmospheric pressure refining, and [C] concentration of 0.4% or less was reduced pressure refining. The refining conditions in the atmospheric pressure refining are the same as in
[0051]
Since the bottom blowing gas blowing amount is overwhelmingly smaller than the example of the present invention, the refining time is greatly extended, and the reduced pressure refining time is about 2.5 times that of Example 1, and the entire refining It took about 1.8 times as much time. For this reason, continuous casting in which the charge is continuously cast by continuous casting becomes impossible.
[0052]
[Table 6]
[0053]
(Comparative Example 2)
The pattern shown in Table 7 was adopted for refining. [C] Concentration of 1.6 to 0.15% was atmospheric pressure refining, and [C] concentration of 0.15% or less was reduced pressure refining. The bottom blowing gas blowing amount in vacuum refining is 0.3Nm, which is the same level as conventionalThree/ Min.
[0054]
In the [C] concentration range of 0.5 to 0.15% in the latter half of the atmospheric pressure refining, a large amount of expensive Ar gas was used to prevent a decrease in decarbonation efficiency. Nevertheless, the oxidation of [Cr] could not be prevented as compared with the case where this region was smelted under reduced pressure.
[0055]
[Table 7]
[0056]
【The invention's effect】
The present invention provides a high decarbonation efficiency at a pressure of 250 to 400 Torr by vigorously stirring molten steel in a medium charcoal region, particularly in a region of [C] 0.2 to 0.5% in vacuum refining of chromium-containing molten steel. Made it possible to smelt the reduced pressure. As a result, the generation of dust can be suppressed, and the amount of bottom blowing gas can be increased, so that the refining time can be shortened.
[0057]
In the present invention, even in the [C] region which is higher than the [C] region where the 250 to 400 Torr decompression operation is performed, the decompression operation is performed instead of the atmospheric operation by selecting a higher pressure as the atmosphere in the refining vessel. It was possible to reduce the amount of expensive inert gas used and improve productivity.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a view showing a refining vessel of the present invention, wherein (a) shows a state during reduced pressure refining and (b) shows a state during atmospheric pressure refining.
FIG. 2 is a graph showing the relationship between the pressure in the refining vessel and the decarbonation efficiency.
FIG. 3 is a diagram showing the relationship between the pressure in the refining vessel and the dust generation amount index.
[Explanation of symbols]
1 Refining vessel
2 Bottom-blown tuyere
3 Exhaust hood
4 Molten steel
5 Bottom blowing gas
6 Slag
7 Exhaust pipe
8 Gas cooler
9 Bug filter
10 Steam ejector
11 Water pump
12 Top blowing lance
Claims (8)
Priority Applications (13)
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---|---|---|---|
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