JP4895019B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Description
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、DPFに堆積した煤の燃え残りやDPFの破損を防止しつつDPFの強制再生を効率よく実施可能な内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
一般に強制再生手段によりフィルタを昇温させるとフィルタの中心部では温度が高く周辺部ほど温度が低くなる傾向にあり、フィルタへのパティキュレートの堆積量が比較的多いと、フィルタの中心部に堆積したパティキュレートが急激に燃焼してフィルタを急速に昇温させる一方、周辺部に堆積したパティキュレートが燃え残り易いのであるが、このように強制再生の開始直後からはフィルタの入口温度を低めの第1所定温度に保持することでフィルタの中心部に堆積したパティキュレートを徐々に燃焼させてパティキュレートの急速な燃焼によるフィルタの過昇温を防止できる。そして、所定期間が経過しパティキュレートが減少してフィルタの過昇温のおそれが解消された後には、フィルタの出口温度を高めの第2所定温度に保持することで引き続きフィルタの過昇温を防止しつつフィルタの周辺部に堆積したパティキュレートを燃え残りなく確実に燃焼除去することができる。
本発明者等の知見によれば、フィルタの入口温度が低いとパティキュレートの再生速度は遅くなるとともにフィルタの出口温度のピークは発現しにくく、パティキュレートが過堆積状況にあってもフィルタの過昇温が引き起こされにくくなることがわかっている。このようなことから、本発明では、上述の通り、第1段階目では強制再生の開始から所定期間に亘りフィルタの入口温度に基づき低めの第1所定温度(例えば、550〜600℃)に保持することで、パティキュレートが過堆積状況にあってもフィルタの過昇温を確実に防止できるとともに、第2段階目ではフィルタの出口温度に基づき第1所定温度よりも高い第2所定温度(例えば、620〜680℃)となるようにすることで、フィルタの温度を安定的に維持して過昇温を効果的に防止しつつフィルタの周辺部に堆積したパティキュレートを確実に燃焼除去できる。
また、このように効率よく強制再生を実施できることで、従来のようにDPFの温度を全体的に高めに設定してDPFの破損を招かないよう強制再生の実施頻度を多くする必要がなくなり、強制再生のインターバルを長くでき、省エネルギ化を図ることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る排気浄化装置が適用されたエンジン(内燃機関)1の全体構成図を示している。
エンジン1は、例えばコモンレール式直列多気筒のディーゼルエンジンである。エンジン1のシリンダヘッド2には、燃焼室3に臨んで電磁式の燃料噴射ノズル4が気筒毎に設けられている。各燃料噴射ノズル4は高圧パイプ5によりコモンレール6に接続されるとともに、コモンレール6は高圧パイプ7を介して高圧ポンプ8に接続されている。高圧ポンプ8は燃料タンク9に貯留された燃料(軽油)をコモンレール6に供給する機能を有しており、コモンレール6に供給された燃料は高圧の状態で蓄えられ、各燃料噴射ノズル4から燃焼室3内に噴射される。
吸気管12には、吸入空気量を調節する電磁式の吸気絞り弁16と、その上流側に吸気流量を検出するエアフローセンサ17が設けられている。
排気管13には、上流側から順番に、触媒ユニット20、DPF(フィルタ)21が介装されている。触媒ユニット20は、筒状のケースの中に第1の酸化触媒22及び第2の酸化触媒23が収容されて形成されている。第1の酸化触媒22は排気上流側に設けられ、第2の酸化触媒23は第1の酸化触媒22と間隔をおいて下流側に設けられている。第1の酸化触媒22及び第2の酸化触媒23は、通路を形成する多孔質の壁にプラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒貴金属を担持して形成されており、排気中のCO及びHCを酸化させてCO2及びH2Oに変換させるとともに、排気中のNOを酸化させてNO2を生成する機能を有する。
また、第1の酸化触媒22と第2の酸化触媒23との間には、第1の酸化触媒22を通過した直後の排気温度Taを検出する第1の温度センサ25が備えられている。DPF21の下流側には、DPF21通過直後の排気温度Tbを検出する第2の温度センサ26が設けられている。更に、DPF21の上流側と下流側との差圧Pdを検出する差圧センサ27が備えられている。
ECU30の入力側には、上述したエアフローセンサ17、第1の温度センサ25、第2の温度センサ26及び差圧センサ27の他に、エンジン1のクランク角を検出するクランク角センサ31、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセルポジションセンサ32、及び車速を検出する車速センサ33等が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力される。
当該強制再生は、エンジン1の運転時における燃料の主噴射の後の例えば膨張行程以降に燃料のポスト噴射(副噴射)を行い、未燃燃料(HC、CO等)を含んだ排気を排気管13に排出させることによって行われる。排気中に混入された未燃燃料は、第1の酸化触媒22に流入して酸化され、酸化の反応熱によって排気温度を上昇させる。これにより、高温の排気が排気下流側のDPF21に流入して当該DPF21に堆積したPM中の煤を加熱し燃焼させ、DPF21を強制的に再生させることが可能である(強制再生手段)。
図2を参照すると、本発明に係る強制再生制御の制御ルーチンがフローチャートで示されており、以下同フローチャートに沿い説明する。
先ず、ステップS10では、DPF21に捕集されたPMの堆積量を推定する。ここでは、差圧センサ27によって検出されたDPF21の上流と下流間の差圧Pdに基づき推定する。即ち、差圧Pdが大きいほどDPF21の排気抵抗が大きくPM堆積量が多いと推定する。なお、当該ステップS10において改めてPM堆積量の推定を行うようにしているが、当該PM堆積量の推定は当該制御ルーチンの実行中は常時行われるものである。
ここで目標とする第1所定温度T1は、DPF21に堆積したPM中の煤を十分に燃焼させるには若干低い温度に設定されている。このような低めの温度を維持するようにして強制再生を開始するのは、DPF21に堆積したPM中の煤の燃焼を最初は比較的緩やかに進行させ、DPF21に煤が過堆積されているような状況であっても、DPF21が溶損や破損に至るリスクを低減するためであり、以下詳しく説明する。
従って、ここでは、DPF出口温度がピーク値を発現しないような温度となるように、DPF入口温度の目標温度である第1所定温度T1についてある程度低めの温度に設定するようにしている。
これにより、DPF21に堆積したPM中の煤がDPF21を過昇温させることなく比較的緩やかに燃焼することになる。
入口温度Tinが第1所定温度T1となるように強制再生を開始したら、ステップS16において、強制再生開始から所定時間(所定期間)が経過したか否かを判別する。
ステップS18では、先ず第2の温度センサ26により検出された排気温度Tbに基づき、DPF21の出口温度Toutを推定する(出口温度検出手段)。この場合には、排気温度TbはDPF21の出口近傍の排気温度であるため、排気温度Tbをそのまま出口温度Toutとみなすことができる。
上記所定時間が経過していれば、もはやDPF21の温度を高くしてもDPF21が過昇温することはないと考えられる。従って、所定時間の経過後においては、DPF21に堆積したPMの燃焼を促進させるべくDPF21の温度を上昇させるようにする。
また、ここでは特にDPF21の入口温度Tinではなく出口温度Toutを監視し、出口温度Toutが第2所定温度T2を維持するようにしており、このようにすればDPF21の温度を確実に第2所定温度T2を越えない範囲に安定的に維持でき、継続してDPF21の過昇温を防止することができる。
出口温度Toutが第2所定温度T2となるように強制再生を継続したら、ステップS20において、上記推定されたPM堆積量が所定値X0にまで減少したか否かを判別する。判別結果が偽(No)でPM堆積量が未だ所定値X0にまで減少していないと判定された場合にはステップS18に戻り当該判別を繰り返す。一方、判別結果が真(Yes)でPM堆積量が所定値X0にまで減少したと判定された場合には、DPF21に捕集されたPMは十分に燃焼除去されたとみなすことができ、ステップS22において強制再生を終了し、当該ルーチンを抜ける。
例えば、上記実施形態では、DPF21よりも上流側の第1の酸化触媒22と第2の酸化触媒23との間に第1の温度センサ25を設け、当該第1の温度センサ25により検出された排気温度Taに基づいてDPF21の入口温度Tinを推定するようにしたが、DPF21の直上流に温度センサを設け、直接入口温度Tinを検出するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、DPF21の入口温度Tinが第1所定温度T1となるような強制再生から出口温度Toutが第2所定温度T2となるような強制再生に段階的に切り換えるようにしたが、徐々に切り換えるようにしてもよい。例えば、第1所定温度T1を第2所定温度T2に向けて徐々に変更するようにしてもよい。
4 燃料噴射ノズル
13 排気管
21 DPF(フィルタ)
22 第1の酸化触媒
23 第2の酸化触媒
25 第1の温度センサ
26 第2の温度センサ
30 ECU
Claims (2)
- 内燃機関の排気通路に設けられ、排気中のパティキュレートを捕集するフィルタと、
前記フィルタを昇温させて該フィルタに堆積したパティキュレートを燃焼させ、前記フィルタを強制再生させる強制再生手段と、
前記フィルタの入口温度を検出または推定する入口温度検出手段と、
前記フィルタの出口温度を検出または推定する出口温度検出手段と、
前記入口温度検出手段により検出または推定される入口温度が第1所定温度となるように前記強制再生の開始から所定期間に亘り前記強制再生手段をフィードバック制御した後、前記出口温度検出手段により検出または推定される出口温度が前記第1所定温度よりも高い第2所定温度となるように前記強制再生手段をフィードバック制御するフィードバック制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記フィルタの排気上流側に酸化触媒を有し、
前記強制再生手段は、前記酸化触媒に燃料を供給して該燃料を酸化反応させ、該酸化反応により生起される反応熱を利用して前記フィルタを昇温させるものであって、
前記フィードバック制御手段は、前記酸化触媒への燃料の供給量をフィードバック制御することを特徴とする、請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
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