JP4894903B2 - モールド電動機 - Google Patents

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Description

本発明は、主に電気機器に搭載される熱硬化性樹脂で一体的にモールド成形した電動機に関する。
従来、この種の電動機は、ウェルドラインの発生を防止したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
以下、その電動機について図3および図4を参照しながら説明する。
図に示すように、成形型101の下型102に第1の凸部102aを設け、第1の凸部102aの上端部に第2の凸部102bを設け、第2の凸部102bと上型103の内面との間に空隙107を形成する。そして、モールドモータを製造するにあたっては、第1の凸部102aに固定子鉄心104aにコイル104bを装着してなる固定子104の内周面を嵌合するとともに、第2の凸部102bに軸受け支持部材106の内周面を嵌合し、この状態でキャビティ101a内に樹脂をゲート101bより注入して樹脂層108を形成し、その後、樹脂層108に回転子105の回転軸105bが挿通される挿通穴109を機械加工により形成した電動機の構成としている。
また、この種の電動機にはフレームの上側部をテーパ状にし、気泡が滞らないよう形成しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
以下、その電動機について図5を参照しながら説明する。
図に示すように、固定子鉄心111に絶縁体112を被覆して巻線113を巻装し、この巻線113に電気的に接続された電子部品114を実装する回路基板115を固定子116に所定間隔を有して配設し、固定子116および回路基板115をエポキシ樹脂等の電気絶縁性を有する熱硬化性樹脂から成るモールド樹脂117により一体的にモールドしてフレームを形成し、このフレームの上面側にはテーパ状部118を形成した電動機の構成としている。
特開平5−260708号公報 特開平2−250649号公報
このような従来の電動機によれば、ミクロボイドの発生により、モールド樹脂の熱伝導率が低下するので、電子部品114から発生する熱を十分に放熱できなくなり、電動機の効率低下や出力低下を招くという課題があり、高効率、高出力化を実現できるモールド電動機とすることが要求されている。
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、発熱する電子部品近傍のモールド樹脂の密度を高くすることにより、モールド樹脂本来の熱伝導率を維持して、電子部品から発生する熱を十分に放熱させて、高効率化、高出力化したモールド電動機を提供することを目的としている。
本発明のモールド電動機は上記目的を達成するために、固定子鉄心に絶縁体を介して巻装した駆動コイルと、駆動回路用部品を含む電子部品を実装したプリント基板と、このプリント基板と前記固定子鉄心と前記駆動コイルとを電気絶縁性を有する熱硬化性樹脂で射出成形により一体的にモールド成形固化した固定子と、前記固定子鉄心に対向して回転可能に保持された回転子とを備え、モールド成形時に、前記プリント基板に実装された前記電子部品のうち発熱部品の近傍に凸部を設け、この凸部は前記熱硬化性樹脂が硬化する前に潰して、前記発熱部品近傍の樹脂密度を高くしたことを特徴とするモールド電動機の構成としたものである。
この手段により固定子において、発熱する電子部品近傍に位置する凸部を形成する樹脂分が硬化前に潰されることによって、発熱する電子部品近傍の熱硬化性樹脂のミクロボイドを減少させるとともに、密度を高くでき、モールド樹脂本来の熱伝導率を維持して、電子部品から発生する熱を十分に放熱させて、高効率化、高出力化したモールド電動機が得られる。
本発明によれば、電子部品から発生する熱を十分に放熱させて、高効率化、高出力化できるという効果のあるモールド電動機を提供できる。
本発明の実施の形態1におけるモールド電動機を示す断面図 同モールド電動機のモールド成形時の状態を示す断面図 従来の電動機の製造方法に用いる成形金型を示す断面図 同電動機を示す断面図 従来の他の電動機を示す断面図
本発明は、固定子鉄心に絶縁体を介して巻装した駆動コイルと、駆動回路用部品を含む電子部品を実装したプリント基板と、このプリント基板と前記固定子鉄心と前記駆動コイルとを電気絶縁性を有する熱硬化性樹脂で射出成形により一体的にモールド成形固化した固定子と、前記固定子鉄心に対向して回転可能に保持された回転子とを備え、モールド成形時に、前記プリント基板に実装された前記電子部品のうち発熱部品の近傍に凸部を設け、この凸部は前記熱硬化性樹脂が硬化する前に潰して、前記発熱部品近傍の樹脂密度を高くしたことを特徴とするモールド電動機の構成としたものであり、発熱する電子部品近傍に位置する凸部を形成する樹脂分が硬化前に潰されることによって、発熱する電子部品近傍の熱硬化性樹脂のミクロボイドを減少させるとともに、密度を高くするという作用を有する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1および図2に示すように、1はモールド電動機で、複数のスロットを有する珪素鋼板などの薄板鋼板を積層した固定子鉄心10に絶縁材にて形成されたインシュレータ6を介して駆動コイル2を巻装している。11はブラケットで軸受け16を保持している。3はプラスチックマグネットを射出成形時に極配向させてシャフト9と一体成形して形成した磁石回転子であり、固定子鉄心10内周側に回転自在に配置されている。4は磁石回転子3の磁極位置を検知するホール素子で、15はホール素子4の出力信号に基づいて駆動コイル2への通電を制御するスイッチング素子を内蔵する駆動ICである。14はホール素子4、駆動IC15、その他電子部品を実装したプリント基板で、モールド電動機1に内蔵されている。固定子鉄心10、インシュレータ6、駆動コイル2、プリント基板14は不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂12にて一体的にモールド成形されて外被12aを形成して、固定子5を構成しており、17は外被12aをモールド成形する際に成形機ノズル18から熱硬化性樹脂12を射出注入するゲートで、7はゲート17から最も遠い位置に位置するウェルド部であり、凸部8を形成している。凸部8は成形機ノズル18から熱硬化性樹脂12の射出が終了し、ゲートシールするタイミングで、成形機の押し出し機構(図示せず)を利用して成形金型の上型に配置された押し出しピン19にて押し潰されている。また、発熱部品であるスイッチング素子を内蔵する駆動IC15の近傍にも凸部13を形成し、ウェルド部7の凸部8と同様に、この凸部13も押し潰した構成である。
このような本発明のモールド電動機1によれば、熱硬化性樹脂12のウェルド部7に凸部8を設け、この凸部8を形成する樹脂分が硬化前に潰されることによって、ウェルド部7のミクロボイドを減少させるとともに、樹脂密度を高くできるので、低圧射出成形しても機械的強度が高く、クラック等の発生がない高品質のモールド電動機を実現できる。
また、発熱するスイッチング素子を内蔵する駆動IC15の近傍に凸部13を設け、この凸部13を形成する樹脂分が硬化前に潰されることによって、発熱する電子部品(駆動IC15)近傍の熱硬化性樹脂のミクロボイドを減少させるとともに、樹脂密度を高くできるので、低圧射出成形しても熱硬化性樹脂本来の熱伝導率を維持して、電子部品から発生する熱を十分に放熱させて、高効率化、高出力化したモールド電動機が実現できる。
なお、実施の形態1では固定子の内周側に配置された回転子が回転する内転型のモールド電動機としたが、固定子の外周側に配置された回転子が回転する外転型のモールド電動機としても良く、その作用効果に差異を生じない。
また、実施の形態1では駆動回路を内蔵するモールド電動機の構成としたが、駆動回路を内蔵しないセンサレス型のモールド電動機としても良く、ウェルド部の機械的強度を高くするという作用効果に差異を生じない。
また、実施の形態1では回転子に永久磁石を配した直流電動機の構成としたが、永久磁石を使用しない誘導電動機や、リラクタンスモータとしても良く、その作用効果に差異を生じない。
また、実施の形態1では凸部8および凸部13を潰した後に、図に示すように、若干、凸となるように形成したが、凹となるように形成しても、平坦になるように形成しても良く、十分な樹脂密度になるよう凸部を設けて潰すことにより、その作用効果に差異を生じない。
また、潰す前の凸部の高さと潰す高さは、凸部8と凸部13とも同じにすることが成形金型の構造を簡単にできるので、同じにすることが望ましい。仮に、潰す樹脂量を変えたい場合には、径を変更するなど、断面積を変更して対応することで可能になる。
以上のように、発熱する電子部品近傍に凸部を設け、この凸部を形成する樹脂分が硬化前に潰されることによって、発熱する電子部品近傍の熱硬化性樹脂のミクロボイドを減少させるとともに、樹脂密度を高くでき、モールド樹脂本来の熱伝導率を維持して、電子部品から発生する熱を十分に放熱させて、高効率化、高出力化したモールド電動機が得られることから、換気装置など24時間連続運転する機器への搭載や、ファンヒータなど高温下での使用や、冷凍・冷蔵機器など低温下での使用や、エアコンなど高耐久性を必要とする機器への搭載が有用である。
1 モールド電動機
2 駆動コイル
3 磁石回転子
4 ホール素子
5 固定子
6 インシュレータ
7 ウェルド部
8 凸部
9 シャフト
10 固定子鉄心
11 ブラケット
12 熱硬化性樹脂
12a 外被
13 凸部
14 プリント基板
15 駆動IC
16 軸受け
17 ゲート
18 成形機ノズル
19 押し出しピン

Claims (1)

  1. 複数のスロットを有する固定子鉄心と、
    この固定子鉄心に絶縁体を介して巻装した駆動コイルと、
    駆動回路用部品を含む電子部品を実装したプリント基板と、
    このプリント基板と前記固定子鉄心と前記駆動コイルとを電気絶縁性を有する熱硬化性樹脂で射出成形により一体的にモールド成形固化した固定子と、
    前記固定子鉄心に対向して回転可能に保持された回転子とを備え、
    モールド成形時に、前記プリント基板に実装された前記電子部品のうち発熱部品の近傍に凸部を設け、
    この凸部は前記熱硬化性樹脂が硬化する前に潰して、前記発熱部品近傍の樹脂密度を高くしたことを特徴とするモールド電動機。
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