JP4893532B2 - 放電ランプおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放電ランプおよびその製造方法に関し、更に詳しくは、光産業分野、半導体デバイスの製造分野などに用いられる、箔封止構造を有する放電ランプおよびその放電ランプの製造方法に関する。
従来、ショートアーク型水銀放電ランプなどの放電ランプは、例えば半導体デバイスの製造分野などにおいて、ワーク(光照射対象体)に対して紫外線を照射する露光装置の光源などとして広く用いられている。
放電ランプの或る種のものは、発光管12と、その両端に連設されて管軸方向外方に伸びる直管状の封止管13A、13Bとを備えてなる石英ガラス製の放電容器11内に、一対の電極(具体的には陽極27および陰極26)が配置されてなる構成を有する(図18参照)。
このような構成の放電ランプ97は、図17に示すような構成の電極マウント98を予め作製し、この電極マウント98を、放電容器11の封止管13A内に挿入し、所定の位置に配置した後、当該封止管13Aを加熱して収縮させることにより、当該放電容器11を電極マウント98における封止用ガラス部材21に複数の金属箔18を介して気密に溶着し、気密封止部を形成する封止工程を経て製造される(例えば、特許文献1参照。)。 図17において、電極マウント98は、封止用ガラス部材21と、当該封止用ガラス部材21の外周面に沿ってその長手方向に伸びるよう配置された複数枚の金属箔18と、封止用ガラス部材21の内端面(図17において左端面)21Aから突出して伸びる内部リード棒25と、当該内部リード棒25の先端に設けられた電極(図17には、具体的に陽極27が図示されている)とを備えてなるものである。同図において、14は金属板、15は保持用筒体、16は金属キャップ、17は外部石英管、29は外部リード棒である。
而して、封止工程に供する放電容器11の封止管13A、13B、すなわち封止前の封止管13A、13Bは、電極マウント98を挿入することができる内径を有するものであることが必要とされる。また、得られる放電ランプ97においては、放電容器11の封止管13A、13Bの径、すなわち封止後の封止管13A、13Bは、保持用筒体15および封止用ガラス部材21の外径によって定められることとなる。
近年、半導体デバイスの製造分野に用いられる露光装置においては、光照射対象体である半導体ウエハの大口径化および高スループット化に伴い、半導体ウエハの光照射対象面における単位時間当たりの光照射量(露光量)の増大化を図ることが要請されている。
この要請に応じるべく、露光装置の光源を構成する放電ランプの光放射量を大きくするためには、当該放射ランプに対する入力電力を大きくすることが必要となるが、入力電力を大きくすることに伴って放電ランプに供給される電流値も大きくなり、陽極の負担が大きくなるため、陽極を大きくすべく、大径に設計することが必要となる。
放電ランプにおいて、陽極を大径とするためには、その製造上、放電容器として、陽極の外径よりも大径の内径の封止管を有するものを用意する必要がある。また、得られる放電ランプにおいては、陽極の外径との関係から、保持用筒体および封止用ガラス部材もその外径が大径のものとなることから、当該放電ランプの陽極に係る封止管は大径となる。
しかしながら、光照射対象体に対して紫外線を照射するための露光装置においては、図18に示すように、放電ランプ97と共に、当該放電ランプ97からの光を集光し、効率的に利用する目的で楕円鏡61よりなる凹面反射鏡が備えられている。この楕円鏡61は、その一次焦点に放電ランプ97のアーク中心が位置し、かつ二次焦点に光が集光するよう、放電ランプ97の管軸と光軸が略一致した状態で当該放電ランプ97を取り囲むよう配置される。従って、光放射方向側(図18における上方側)に配置される放電ランプ97の封止管13Aが大径であると、当該封止管13Aの一部が楕円鏡61の反射光の光軸方向に伸びる光路が形成されるべき領域内に位置し、一部の光路の形成が阻害され、楕円鏡61の反射光の一部が遮断されることとなるため、照射対象面における照度が小さくなってしまう、という問題がある。
図18には、楕円鏡61の反射光の光路が形成されるべき領域Bを網を付して示し、また、放電ランプ97の封止管13Aにおける楕円鏡61の反射光の光路を阻害する部分Cを斜線で示す。
特許第2650200号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、放電容器の封止管の小径化を図り、大きな光放射量を得ることができる放電ランプを提供することにある。
本発明の他の目的は、放電容器の封止管が小径の放電ランプを高い歩留まりで得ることのできる放電ランプの製造方法を提供することにある。
本発明の放電ランプは、発光管の両端に封止管が連設されてなる放電容器と、前記発光管の内部に配置された電極と、前記封止管の内部に配置された封止用ガラス部材とを備え、前記封止用ガラス部材の外周面に金属箔が配置された放電ランプにおいて、
前記封止用ガラス部材が、外端側にテーパ部を有し、前記テーパ部が径方向断面において二重構造を有することを特徴とする。
本発明の放電ランプの製造方法は、外端側の端面に環状凹部が形成された封止用ガラス部材と、前記封止用ガラス部材の外周面に配置された金属箔と、電極とを備える電極マウントを、発光管の両端に封止管が設けられた放電容器に挿入し、前記封止管を加熱することにより、前記金属箔を前記封止用ガラス部材と前記封止管との間に密着させた後、さらに前記封止用ガラス部材の外周面にテーパ部を形成し、当該封止用ガラス部材のテーパ部を二重構造にする工程を有することを特徴とする。
本発明の放電ランプによれば、封止用ガラス部材が外端側にテーパ部を有するものではあるが、その製造上、当該テーパ部は、封止工程に供される前に予め形成されたものではなく、封止工程において変形されて形成されたものであり、このことに由来して、このテーパ部において径方向断面に二重構造を有している。このようなテーパ部を有する封止用ガラス部材を用いて気密封止部を形成することにより、封止管を、発光管側の内端部分が大径であっても、当該内端部分に連設する外端部分が先細りのテーパ状の外周面を有する形状とし、これにより、小径化することができる。その結果、大きな光放射量を得ることができると共に、製造上の弊害を伴わずに放電容器の封止管の小径化を図ることができる。
本発明の放電ランプの製造方法によれば、外端部分に先細りのテーパ状の外周面を有する形状の封止管に気密封止部を形成するための電極マウントとして、テーパ状の外周面を有さず、環状凹部が形成されてなる柱状の封止用ガラス部材を備えたものを用い、金属箔を封止用ガラス部材と前記封止管との間に密着させた後、当該封止用ガラス部材形の環状凹部が形成されている外端側をテーパ状に変形させ、これにより気密封止部を形成する。従って、気密封止部を形成する工程において、電極マウントにおける金属箔の被延設面の状態、あるいは金属箔が過熱されること、および金属箔に局所的に応力が加えられることに起因して金属箔に生じる箔しわ、箔切れなどの弊害を伴うことなく、外端部分に先細りのテーパ状の外周面を有する形状の封止管に気密封止部を形成することができるため、高い歩留まりで放電ランプを得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の放電ランプの構成の一例を示す説明図である。
この放電ランプ10は、発光管12と、当該発光管12の両端に連設されて管軸方向外方に伸びる封止管13A、13Bとを備えてなり、例えば石英ガラスなどの光透過性材料よりなる放電容器11を有している。この放電容器11の封止管13A、13B内には、その外周面に沿って長手方向(図1において上下方向)に伸びるよう、複数枚(例えば5枚、図5参照)の帯状の金属箔18が延設された封止用ガラス部材21、30が配設されている。当該封止管13A、13Bの内周面と、封止用ガラス部材21、30の外周面とが複数枚の金属箔18を介して気密に溶着されることにより、この封止管13A、13Bにおいて気密封止部が形成されている。
この図の例において、放電容器11の封止管13A、13B内には、封止用ガラス部材21、30と共に、当該封止用ガラス部材21、30の内端面21A、30Aに配置された、当該内端面21A、30Aに適合する形状を有する輪状の金属板14が設けられており、また当該金属板14を介してその外端面15Bが封止用ガラス部材21、30の内端面21A、30Aに対向するように、ガラス製の円筒状の保持用筒体15が設けられている。さらに、この封止管13A、13B内には、封止用ガラス部材21、30の外端面21B、30Bに金属キャップ16を介して配置された、当該外端面21B、30Bの外径に適合した外径を有する円筒状の外部石英管17も設けられている。また、同図において、19は、口金である。
放電容器11においては、一方(図1における上方)の封止管13Aに係る封止用ガラス部材30の内端面30Aから管軸方向内方に突出して伸びる内部リード棒25の先端に形成された、例えばタングステンよりなる陽極27と、他方(図1における下方)の封止管13Bに係る封止用ガラス部材21の内端面21Aから管軸方向内方に突出して伸びる内部リード棒25の先端に形成された、例えばタングステンよりなる陰極26とが、発光管12に囲繞された放電空間内において互いに対向する状態とされている。
この図の例において、内部リード棒25は、後端が封止用ガラス部材21、30の内端面21A、30Aに形成された内部リード棒固定用凹部22、32に挿入されることによって固定されると共に金属板14に溶接され、かつ保持用筒体15の内部リード棒保持用貫通孔15Aを挿通することによって保持されている。また、同図において、29は、外部リード棒であり、この外部リード棒29は、後端が封止用ガラス部材21、30の外端面21B、30Bに形成された外部リード棒固定用凹部23、33に挿入されることによって固定されると共に金属キャップ16に溶接され、かつ外部石英管17の外部リード棒保持用貫通孔17Aを挿通することによって保持されている。
この放電容器11内には、例えば水銀などの発光物質、および例えばキセノンガスなどの始動補助用バッファガスなどの封入物が、各々、所定の封入量で封入されている。
ここに、放電ランプ10の封入物として、発光物質として水銀、始動補助用バッファガスとしてキセノンガスが封入されている場合においては、水銀の封入量は、例えば1〜70mg/cm3 であり、その一例として22mg/cm3 とされ、また、キセノンガスの封入量は、0.05〜0.5MPaであり、その一例として0.1MPaとされる。
放電容器11内に配設されている封止用ガラス部材21、30は、その外周面に、複数枚の金属箔18が、当該封止用ガラス部材21、30の周方向に互いに離間して当該封止用ガラス部材21、30の軸方向に延びるよう平行に延設されている。
この複数の金属箔18の各々は、一端が金属板14に溶接され、他端が金属キャップ16に溶接されることにより、一端には金属板14を介して内部リード棒25が電気的に接続されると共に、他端には金属キャップ16を介して外部リード棒29が電気的に接続されている。
金属箔18としては、例えばタングステン、タンタル、ルテニウム、レニウムなどの高融点金属またはそれらの合金よりなるものを用いることができるが、溶接作業の容易性などの観点から、モリブデンを主成分とする金属よりなるものであることが好ましい。
また、金属箔18の寸法は、例えば厚みが0.02〜0.07mmであって、幅が6〜15mmである。
そして、放電容器11の封止管13A内に配置され、先端に陽極27を有する内部リード棒25を固定している封止用ガラス部材30は、外端側(図1において上方側)に、先細りの外周面を有するテーパ部34が形成されており、当該テーパ部34が径方向断面において二重構造を有する構成のものである。
ここに、本明細書において、「二重構造」とは、中央部分と、当該中央部分を囲繞する、すなわち中央部分の周りに一巡する外方部分とよりなる構造を意味する。
この図の例において、放電容器11の封止管13B内に配置されている封止用ガラス部材21は、二重構造のテーパ部を有しておらず、円柱状であること以外は封止用ガラス部材30同様の構成を有するものである。尚、この封止用ガラス部材21は、封止用ガラス部材30と同様の構成を有するものであってもよい。
この封止用ガラス部材30においては、テーパ部34が、内部リード棒固定用凹部32が形成されている円柱状の円柱部35に連設されるよう設けられている。
このテーパ部34は、中央部に外部リード棒固定用凹部33が形成されている円柱状の中央円柱部分34Aと、当該中央円柱部分34Aを囲むようにして設けられた、外端側、すなわち外部石英管17側に向かうに従って中央円柱部分34A側に傾斜する円筒状の外方円筒部分34Bとにより構成されている。また、テーパ部34の径方向断面は、輪状の外方円筒部分34Bの断面が、円状の中央円柱部分34Aの断面の周りに一巡している環状の二重構造を有している。
ここに、テーパ部34を構成する中央円柱部分34Aと外方円筒部分34Bとは、封止ガラス部材30の外端面30Bにおいて、中央円柱部分34Aの外周面と、外方円筒部分34Bの内周面とが近接していればよく、これらが接合されていなくても、その一部が接合されていても、あるいは完全に接合されていてもよい。
この図の例においては、放電ランプ10の製造上、テーパ部34における中央円柱部分34Aと外方円筒部分34Bとの間には、中央円柱部分34Aを連続的あるいは断続的に囲む空間(以下、「環状空間」ともいう。)が形成されている。
以上の構成を有する放電ランプ10を製造するための方法について説明する。
この製造方法は、封止用ガラス部材30に複数枚の金属箔18を介して放電容器11の封止管13Aを気密に溶着すると共に、封止用ガラス部材30の外端側に、径方向断面において二重構造を有するテーパ部34を形成する工程(以下、「特定封止工程」ともいう。)を有することを特徴とするものである。
なお、放電ランプ10においては、封止管13Bに、封止用ガラス部材21によって気密封止部を形成するための手法としては、従来の方法を用いることができる。
この特定封止工程においては、先ず、図2に示すように、先端に陽極27が形成された内部リード棒25と、金属板14と、保持用筒体15と、複数枚の金属箔18と、金属キャップ16と、外部石英管17と、外部リード棒29と共に、当該特定封止工程において所期の形状に変形されて封止用ガラス部材30とされる、外端面(図2における右端面)30Bに環状凹部47が形成された円柱状の封止用ガラス部材41とを備えた電極マウント40Aを用意する。
この電極マウント40Aを構成する封止用ガラス部材41は、特定封止工程において、外端側(図2における右端側)に径方向断面において二重構造を有するテーパ部34が形成されることにより、図1に示したような形状を有する封止用ガラス部材30とされるものである。
ここに、本明細書においては、特定封止工程に供される前の封止用ガラス部材、すなわち封止前の封止用ガラス部材には「41」の符号を付し、一方、特定封止工程を経ることによって所期の形状に変形された封止用ガラス部材、すなわち封止後の封止用ガラス部材には、「30」の符号を付す。
この電極マウント40Aを構成する封止用ガラス部材41には、図3に示すように、環状凹部47が外部リード棒固定用凹部33を囲むよう形成されている。この環状凹部47は、外端面30Bに垂直、かつ外周面に平行な方向に延び、その深さが外部リード棒固定用凹部33の深さよりも大きいものである。
また、環状凹部47は、特定封止工程において、当該環状凹部47の円筒状の外方部分49が、円柱状の内方部分48に向かって縮径することとなるため、その際に外縁47Aが金属キャップ16に引っ掛かることに起因して弊害が生じることのないよう、その外径が、金属キャップ16の外径よりも小径である、すなわち外縁47Aが、金属キャップ16が配置される領域内に位置することが好ましい。
ここに、封止前の封止用ガラス部材41を構成する円筒状の外方部分49および円柱状の内方部分48は、各々、特定封止工程を経ることにより、外方部分49が外方円筒部分34Bとされ、内方部分48が中央円柱部分34Aとされる。これにより、封止後の封止用ガラス部材30においては、外方円筒部分34Bと中央円柱部分34Aとにより構成されてなるテーパ部34が形成されることとなる。
封止用ガラス部材41においては、環状凹部47の開口幅が1.0〜5.0mmであることが好ましい。
封止用ガラス部材41の寸法の一例としては、外径が27mm、外部リード棒固定用凹部33の深さが10〜15mm、環状凹部47の開口幅が2.5mm、環状凹部47の深さが22mmであり、当該環状凹部47の内方部分48の外径が16mmである。
次いで、特定封止工程に供する、発光管12と封止管13A、13Bとを有する石英ガラス製の放電容器(封止前の放電容器)11を用意し、図4および図5に示すように、当該放電容器11の封止管13A内に、電極マウント40Aを挿入し、所定の位置に配置する。その後、電極マウント40Aを放電容器11の管軸に平行な状態に保持しつつ、当該放電容器11の管軸を中心として、放電容器11および電極マウント40Aを回転(例えば、図4の矢印方向に回転)させながら、当該封止管13Aを、例えばバーナーなどで一次加熱(例えば、一次加熱温度1000〜1600℃)する。
この一次加熱により、図6に示すように、封止管13Aが収縮し、当該封止管13Aの内周面と封止用ガラス部材41の外周面とが複数の金属箔18を介して溶着する。
その後、更に、複数枚の金属箔18を介して封止用ガラス部材41と溶着された封止管13Aを、外端側から発光管12側に向かって、例えばバーナーなどによって一次加熱温度(例えば1000〜1600℃)よりも高い温度(例えば1600〜2200℃)で二次加熱する。
この二次加熱により、図7に示すように、封止管13Aの内周面と封止用ガラス部材41の外周面との密着性が向上すると共に、その外周面に複数枚の金属箔18を介して封止管13Aが密着された状態の環状凹部47の外方部分49が、内方部分48に向かって縮径する。その結果、図1にも示したように、環状凹部27が形成されている領域にテーパ部34が形成され、封止管13Aにおいて気密封止部が形成される。
すなわち、封止用ガラス部材41の環状凹部47が形成されている領域に、外方部分49を収縮させて外方円筒部分34Bとし、テーパ部34を形成することにより、封止用ガラス部材30を得、この封止用ガラス部材30に、複数の金属箔18を介して放電容器11の封止管13Aが気密に溶着されてなる構成の気密封止部を形成する。
このような製造方法においては、特定封止工程において、下記の(A)〜(D)の理由から、当該封止管13Aを構成する複数の金属箔18に箔しわ、箔切れなどが生じることないため、放電ランプ10を高い歩留まりで得ることができる。
(A)電極マウント40Aを構成する封止用ガラス部材41は、特定封止工程において変形されることによってテーパ部34が形成され、封止用ガラス部材30とされるものであるため、その外周面がテーパ面を有さず、その管軸に平行に延びているものである。その結果、金属箔18をテーパ面に延設する場合に比して、当該金属箔18に撓みが生じることが抑制されるため、特定封止工程において、封止用ガラス部材41に金属箔18が弛緩した状態で設けられていることに起因して箔しわが生じることを抑制することができる。 ここに、電極マウントを構成する封止用ガラス部材の外端部分を先細りのテーパ状とした場合には、当該封止用ガラス部材が外周面にテーパ面を有するものであるため、この封止用ガラス部材に対して金属箔を延設する際には、金属箔に撓みが生じるやすくなる。封止工程においては、金属箔が弛緩した状態で設けられていることに起因して箔しわが生じるおそれがある。
(B)一次加熱によっては、複数枚の金属箔18が延設されている封止用ガラス部材41が変形されることがなく、封止管13Aのみが収縮されることとなる。その結果、金属箔18が加熱によるガラスの変形に伴って引っ張られることがないことから、当該金属箔18に箔しわおよび箔切れが生じることがない。
(C)また、この一次加熱においては、形成すべき放電ランプ10の設計上、複数の金属箔18が延設されている封止用ガラス部材41の外周面と、封止管13Aの内周面との離間距離(落とし込み距離)が大きくならない。その結果、一次加熱に要する処理時間、すなわち金属箔18を介して封止用ガラス部材41に封止管13Aを溶着するのに要する時間が長時間とならないため、金属箔18が長時間高温雰囲気に曝されることがなく、当該金属箔18が過熱されることによって伸長し、その後、冷却されるなどして収縮することに起因して箔しわおよび箔切れが生じることがない。
(D)二次加熱によっては、複数枚の金属箔18を介して封止管13Aが溶着された封止用ガラス部材41が変形されることとなるが、金属箔18は一面が封止管13Aに密着し、かつ他面が封止用ガラス部材41に密着している状態とされていることから、この変形に際して、当該複数枚の金属箔18に対して局所的に応力が加えられることがないため、局所的に応力が加えられることに起因する箔しわおよび箔切れが生じることがない。
以上の放電ランプ10においては、封止用ガラス部材30は、外端側にテーパ部34を有するものであるが、当該テーパ部34が特定封止工程に供される前に予め形成されたものではなく、特定封止工程において変形されて形成されたものであり、このことに由来して、このテーパ部34において径方向断面に二重構造を有している。従って、封止用ガラス部材30によって大径の陽極27に係る封止管13Aにおいて気密封止部を形成することにより、製造上の弊害を伴うことなく、この封止管13Aを、発光管12側の内端部分が大径であっても、当該内端部分に連設する外端部分が先細りのテーパ状の外周面を有する形状とし、これにより、小径化することができる。その結果、大きな光放射量を得ることができると共に、製造上の弊害を伴わずに放電容器11の封止管13Aの小径化を図ることができる。
このような放電ランプ10は、光源としての放電ランプと、当該放電ランプの管軸と光軸が略一致した状態で当該放電ランプを取り囲むよう配置される、例えば楕円鏡よりなる凹面反射鏡とを備えてなる構成の露光装置(図18参照)の光源として好適に用いることができる。
放電ランプ10が凹面反射鏡と共に備えられてなる構成の露光装置においては、光源である放電ランプ10が大きな入力電力の供給が可能な大径の陽極27を備えてなるものであることから、大きな放射量を得ることができると共に、当該放電ランプ10の封止管13Aを小径化することによって凹面反射鏡の反射光の光路の形成が阻害されることを防止することができる。従って、凹面反射鏡によって放電ランプ10からの光を集光し、高い効率で利用することができ、高い光利用率が得られるため、光照射対象面に対して高い照度を得ることができる。
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、放電ランプを製造するために用いる電極マウントは、下記(1)〜(5)に示すような構成を有するものであってもよい。
(1)図8に係る電極マウント71は、当該電極マウント71を構成する封止用ガラス部材72に形成されている環状凹部73が、底面73Aに向かうに従って階段状に幅が小さくなっているものであること以外は図2に係る電極マウント40Aと同様の構成を有するものである。
このような構成の電極マウント71を用いることにより、図9に示すような構成の放電ランプを得ることができる。この図9に係る放電ランプは、放電容器11の封止管13Aにおいて、電極マウント71における封止用ガラス部材72よりなる封止用ガラス部材74によって気密封止部が形成されていること以外は図1に係る放電ランプ10と同様の構成を有するものである。
すなわち、先端に陽極27を有する内部リード棒25を固定している封止用ガラス部材74は、外端側(図9において右方側)に、先細りの外周面を有するテーパ部74Aが形成されており、当該テーパ部74Aが径方向断面において、円柱状の中央円柱部分74Bと、当該中央円柱部分74Bの周りに一巡する外方円筒部分74Cとよりなる二重構造を有している。この封止後の封止用ガラス部材74のテーパ部74Aは、封止前の封止用ガラス部材72を構成する環状凹部73の円筒状の外方部分72Bおよび円柱状の内方部分72Aが、各々、特定封止工程を経ることにより、外方部分72Bが外方円筒部分74Cとされ、内方部分72Aが中央円柱部分74Bとされることによって形成されてなるものである。
図9の例においては、図1に係る放電ランプ10に比して、その製造上において封止用ガラス部材74に形成される環状空間が小さくなっている。
(2)図10に係る電極マウント75は、当該電極マウント75を構成する封止用ガラス部材76に形成されている環状凹部77が、底面77Aに向かうに従って傾斜的に幅が小さくなっており、その断面がV字状のものであること以外は図2に係る電極マウント40Aと同様の構成を有するものである。
このような構成の電極マウント75を用いることにより、図11に示すような構成の放電ランプを得ることができる。この図11に係る放電ランプは、放電容器11の封止管13Aにおいて、電極マウント75における封止用ガラス部材76よりなる封止用ガラス部材78によって気密封止部が形成されていること以外は図1に係る放電ランプ10と同様の構成を有するものである。
すなわち、先端に陽極27を有する内部リード棒25を固定している封止用ガラス部材78は、外端側(図11において右方側)に、先細りの外周面を有するテーパ部78Aが形成されており、当該テーパ部78Aが径方向断面において、円柱状の中央円柱部分78Bと、当該中央円柱部分78Bの周りに一巡する外方円筒部分78Cとよりなる二重構造を有している。この封止後の封止用ガラス部材78のテーパ部78Aは、封止前の封止用ガラス部材76を構成する環状凹部77の円筒状の外方部分76Bおよび円柱状の内方部分76Aが、各々、特定封止工程を経ることにより、外方部分76Bが外方円筒部分78Cとされ、内方部分76Aが中央円柱部分78Bとされることによって形成されてなるものである。
図11の例においては、図1に係る放電ランプ10に比して、その製造上において封止用ガラス部材78に形成される環状空間が小さくなっている。
(3)図12に係る電極マウント81は、当該電極マウント81を構成する封止用ガラス部材82に形成されている環状凹部83が、一端面に対して外周面に向かう方向に傾斜して伸びるよう形成されているものであること以外は図2に係る電極マウント40Aと同様の構成を有するものである。
このような構成の電極マウント81を用いることにより、図13に示すような構成の放電ランプを得ることができる。この図13に係る放電ランプは、放電容器11の封止管13Aにおいて、電極マウント81における封止用ガラス部材82よりなる封止用ガラス部材84によって気密封止部が形成されていること以外は図1に係る放電ランプ10と同様の構成を有するものである。
すなわち、先端に陽極27を有する内部リード棒25を固定している封止用ガラス部材84は、外端側(図13において右方側)に、先細りの外周面を有するテーパ部84Aが形成されており、当該テーパ部84Aが径方向断面において、円柱状の中央円柱部分84Bと、当該中央円柱部分84Bの周りに一巡する外方円筒部分84Cとよりなる二重構造を有している。この封止後の封止用ガラス部材84のテーパ部84Aは、封止前の封止用ガラス部材82を構成する環状凹部83の円筒状の外方部分82Bおよび円柱状の内方部分82Aが、各々、特定封止工程を経ることにより、外方部分82Bが外方円筒部分84Cとされ、内方部分82Aが中央円柱部分84Bとされることによって形成されてなるものである。
環状凹部83は、傾斜して伸びるように形成されているため、当該環状凹部83の円筒状の外方部分82Bは、底面83Aに向かうに従って傾斜的に幅が小さくなる。従って、環状凹部83の底面83A付近において、外方部分82Bを加熱し易くなる。それゆえに、環状凹部83の幅を全体にわたって略同一としても、図13の例においては、図1に係る放電ランプ10に比して、その製造上において封止用ガラス部材84に形成される環状空間が小さくなっている。
(4)図14に係る電極マウント85は、当該電極マウント85を構成する封止用ガラス部材86が、一端面に大径の円柱状凹部87Aが形成された第1部材87と、当該円柱状凹部87A内に配置される、テーパ状の第2部材88とよりなり、第1部材87の円柱状凹部87A内において形成される第2部材88との間隙によって環状凹部89が形成されているものであること以外は図2に係る電極マウント40Aと同様の構成を有するものである。この電極マウント85においては、第2部材88は、第1部材87の円柱状凹部87Aの底面部分において嵌合されることによって固定されている。
このような構成の電極マウント85を用いることにより、図15に示すような構成の放電ランプを得ることができる。この図15に係る放電ランプは、放電容器11の封止管13Aにおいて、電極マウント85における封止用ガラス部材86よりなる封止用ガラス部材91によって気密封止部が形成されていること以外は図1に係る放電ランプ10と同様の構成を有するものである。
すなわち、先端に陽極27を有する内部リード棒25を固定している封止用ガラス部材91は、外端側(図15において右方側)に、先細りの外周面を有するテーパ部91Aが形成されており、当該テーパ部91Aが径方向断面において、円柱状の中央円柱部分91Bと、当該中央円柱部分91Bの周りに一巡する外方円筒部分91Cとよりなる二重構造を有している。この封止後の封止用ガラス部材91のテーパ部91Aは、封止前の封止用ガラス部材86を構成する第1部材87の円柱状凹部87Aを囲む円筒状部分87Bおよび第2部材88が、各々、特定封止工程を経ることにより、円筒状部分87Bが外方円筒部分91Cとされ、第2部材88が中央円柱部分91Bとされることによって形成されてなるものである。
図15の例においては、図1に係る放電ランプ10に比して、その製造上封止用ガラス部材91に形成される環状空間が小さくなっている。
(5)図16に係る電極マウント92は、当該電極マウント92を構成する封止用ガラス部材93に形成されている環状凹部94が、多角筒状(図16においては五角筒状)であること以外は図2に係る電極マウント40Aと同様の構成を有するものである。
このような構成の電極マウント92を用いることによって得られる放電ランプは、放電容器11の封止管13Aにおいて、電極マウント92における封止用ガラス部材93よりなる封止用ガラス部材(封止後の封止用ガラス部材)によって気密封止部が形成されていること以外は図1に係る放電ランプ10と同様の構成を有するものである。
すなわち、先端に陽極を有する内部リード棒を固定している封止用ガラス部材(封止後の封止用ガラス部材)は、外端側に、先細りの外周面を有するテーパ部が形成されており、当該テーパ部が径方向断面において、五角柱状の中央五角柱部分と、当該中央五角柱部分の周りに一巡する外方筒部分とよりなる二重構造を有している。この封止後の封止用ガラス部材のテーパ部は、封止前の封止用ガラス部材93を構成する環状凹部94の外方部分93Bおよび五角柱状の内方部分93Aが、各々、特定封止工程を経ることにより、外方部分93Bが外方筒部分とされ、内方部分93Aが中央五角柱部分とされることによって形成されてなるものである。
このように、環状凹部94は、断面リング状のみならず、様々な断面形状を取り得る。つまり、外部リード棒29を囲む任意の断面形状の環状凹部94を形成すれば、製造上において封止用ガラス部材93の筒状の外方部分93Bを収縮させ、封止用ガラス部材93に密着する封止管13Aを小径化することができる。
本発明の放電ランプの構成の一例を示す説明図である。 図1の放電ランプを製造するために用いる電極マウントの構成を示す説明図である。 図2の電極マウントを構成する封止用ガラス部材の構成を示す斜視図である。 図2の電極マウントが放電容器内に挿入された状態(封止前の状態)を示す説明図である。 図4におけるA−A’線断面を示す断面図である。 図4の電極マウントが挿入された状態の放電容器が一次加熱された状態(封止中の状態)を示す説明図である。 図6の一次加熱された放電容器が更に二次加熱された状態(封止後の状態)を示す説明図である。 本発明の放電ランプを製造するために用いる電極マウントの構成の第1の他の例を示す説明図である。 図8の電極マウントの封止用ガラス部材に金属箔を介して放電容器の封止管が気密に溶着された状態(封止後の状態)の気密封止部が形成されてなる、本発明の放電ランプの構成の第1の他の例を示す説明図である。 本発明の放電ランプを製造するために用いる電極マウントの構成の第2の他の例を示す説明図である。 図10の電極マウントの封止用ガラス部材よりなる封止用ガラス部材に金属箔を介して放電容器の封止管が気密に溶着された状態(封止後の状態)の気密封止部が形成されてなる、本発明の放電ランプの構成の第2の他の例を示す説明図である。 本発明の放電ランプを製造するために用いる電極マウントの構成の第3の他の例を示す説明図である。 図12の電極マウントの封止用ガラス部材よりなる封止用ガラス部材に金属箔を介して放電容器の封止管が気密に溶着された状態(封止後の状態)の気密封止部が形成されてなる、本発明の放電ランプの構成の第3の他の例を示す説明図である。 本発明の放電ランプを製造するために用いる電極マウントの構成の第4の他の例を示す説明図である。 図14の電極マウントの封止用ガラス部材よりなる封止用ガラス部材に金属箔を介して放電容器の封止管が気密に溶着された状態(封止後の状態)の気密封止部が形成されてなる、本発明の放電ランプの構成の第4の他の例を示す説明図である。 本発明の放電ランプを製造するために用いる電極マウントの構成の第5の他の例を、当該電極マウントが放電容器内に挿入された状態(封止前の状態)で示す説明用断面図である。 従来の放電ランプの構成の一例を示す説明図である。 従来の光源装置の構成の一例を示す説明図である。
符号の説明
10 放電ランプ
11 放電容器
12 発光管
13A、13B 封止管
14 金属板
15 保持用筒体
15A 貫通孔
15B 外端面
16 金属キャップ
17 外部石英管
17A 外部リード棒保持用貫通孔
17B 内端面
18 金属箔
19 口金
21 封止用ガラス部材
21A 内端面
21B 外端面
22 内部リード棒固定用凹部
23 外部リード棒固定用凹部
25 内部リード棒
26 陰極
27 陽極
29 外部リード棒
30 封止用ガラス部材
30A 内端面
30B 外端面
32 内部リード棒固定用凹部
33 外部リード棒固定用凹部
34 テーパ部
34A 中央円柱部分
34B 外方円筒部分
35 円柱部
40A 電極マウント
41 封止用ガラス部材
47 環状凹部
47A 外縁
48 内方部分
49 外方部分
61 楕円鏡
71 電極マウント
72 封止用ガラス部材
72A 内方部分
72B 外方部分
73 環状凹部
73A 底面
74 封止用ガラス部材
74A テーパ部
74B 中央円柱部分
74C 外方円筒部分
75 電極マウント
76 封止用ガラス部材
76A 内方部分
76B 外方部分
77 環状凹部
77A 底面
78 封止用ガラス部材
78A テーパ部
78B 中央円柱部分
78C 外方円筒部分
81 電極マウント
82 封止用ガラス部材
82A 内方部分
82B 外方部分
83 環状凹部
83A 底面
84 封止用ガラス部材
84A テーパ部
84B 中央円柱部分
84C 外方円筒部分
85 電極マウント
86 封止用ガラス部材
87 第1部材
87A 円柱状凹部
87B 円筒状部分
88 第2部材
89 環状凹部
91 封止用ガラス部材
91A テーパ部
91B 中央円柱部分
91C 外方円筒部分
92 電極マウント
93 封止用ガラス部材
93A 内方部分
93B 外方部分
94 環状凹部
97 放電ランプ
98 電極マウント

Claims (2)

  1. 発光管の両端に封止管が連設されてなる放電容器と、前記発光管の内部に配置された電極と、前記封止管の内部に配置された封止用ガラス部材とを備え、前記封止用ガラス部材の外周面に金属箔が配置された放電ランプにおいて、
    前記封止用ガラス部材が、外端側にテーパ部を有し、前記テーパ部が径方向断面において二重構造を有することを特徴とする放電ランプ。
  2. 外端側の端面に環状凹部が形成された封止用ガラス部材と、前記封止用ガラス部材の外周面に配置された金属箔と、電極とを備える電極マウントを、発光管の両端に封止管が設けられた放電容器に挿入し、前記封止管を加熱することにより、前記金属箔を前記封止用ガラス部材と前記封止管との間に密着させた後、さらに前記封止用ガラス部材の外周面にテーパ部を形成し、当該封止用ガラス部材のテーパ部を二重構造にする工程を有することを特徴とする放電ランプの製造方法。
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