以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した画像処理システム(システムとは、複数の装置が論理的に集合した物をいい、各構成の装置が同一筐体中にあるか否かは問わない)の一実施の形態の構成例を示している。
撮影装置1は、例えば、いわゆるビデオカメラであり、ユーザの操作に応じて撮像を行って、その結果得られる画像(画像データ)と、画像を再生するときに用いられるパラメータである再生パラメータを、記録媒体4に記録する。
再生装置2は、記録媒体4に記録された画像と再生パラメータとを再生し、再生パラメータに基づいて、記録媒体4から再生した画像から、所定の領域(の画像)を抽出し、表示装置3に供給する。
表示装置3は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などで構成され、再生装置2からの画像を表示する。
記録媒体4は、例えば、磁気テープや、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどで、撮影装置1および再生装置2に対して着脱可能になっている。なお、記録媒体4は、撮影装置1に内蔵させることができ、この場合、撮影装置1において、記録媒体4に記録された画像等を再生して、再生装置2に伝送することができる。また、記録媒体4は、再生装置2に内蔵させることができ、この場合、撮影装置1で得られた画像等は、撮影装置1から再生装置2に伝送し、再生装置2において記録媒体4に記録することができる。
次に、図2は、図1の撮影装置1の構成例を示している。
通常カメラ部11は、一般的なビデオカメラが有する光学系や、光電変換素子(例えば、CCD(Charge Coupled Device) やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージャなど)などを内蔵し、コントローラ17からの制御にしたがい、そこに入射する光を光電変換して、画像(データ)を出力する。
なお、通常カメラ部11は、例えば、光学的なズーム機構を有しており、コントローラ17は、操作部15がズームイン操作またはズームアウト操作されると、そのズームイン操作またはズームアウト操作に応じて、通常カメラ部11のズーム機構を制御する。通常カメラ部11は、コントローラ17からの制御にしたがって、内蔵する光学系を駆動し、これにより、狭いまたは広い画角の範囲を撮像し、その画角の画像を出力する。
ここで、通常カメラ部11が撮像を行って出力する画像を、以下、適宜、通常画像という。
通常カメラ部11が出力する通常画像は、通常信号処理部12とコントローラ17に供給されるようになっている。通常信号処理部12は、通常カメラ部11からの通常画像に対し、コントローラ17からの制御にしたがった信号処理を施し、表示部13に供給する。
ここで、通常信号処理部12で行われる信号処理としては、例えば、ノイズリダクションや、手ぶれ補正などがある。通常信号処理部12で行われる信号処理は、例えば、操作部15を操作することによって設定することができ、コントローラ17は、その設定に応じて、通常信号処理部12を制御する。
表示部13は、通常カメラ部11で撮像されている画像(通常画像)を、ユーザが確認するためのモニタ(あるいは、ファインダ)で、通常信号処理部12から供給される通常画像(通常信号処理部12で信号処理された通常画像)を表示する。
広角カメラ部14は、コントローラ17からの制御にしたがい、そこに入射する光を光電変換して、画像(データ)を、コントローラ17と記録部18に出力する。
なお、広角カメラ部14は、通常カメラ部11が撮像する通常画像よりも広角で高解像度の画像であり、かつ通常画像に映っている範囲全体が少なくとも映っている画像(以下、適宜、大容量画像という)を出力するようになっており、そのような大容量画像を撮像することができる光学系や光電変換素子などを内蔵している。
ここで、通常画像よりも広角の画像を得る方法としては、例えば、広角カメラ部14の光学系として、魚眼レンズなどの広角レンズを採用する方法や、広角カメラ部14として、全方位カメラを採用する方法がある。その他、通常カメラ部11と同様のカメラ部を複数用意して、各カメラ部を、撮像方向が少しずつ異なるように配置し、各カメラ部で得られる画像をつなぎ合わせることによっても、通常画像よりも広角の画像を得ることができる。
また、通常画像よりも高解像度の画像を得る方法としては、例えば、広角カメラ部14の光電変換素子として、通常カメラ部11の光電変換素子よりも画素が小さく、画素数が多い光電変換素子を採用する方法がある。
さらに、大容量画像を、通常画像に映っている範囲全体が少なくとも映っている画像とするには、通常カメラ部11において最も広角の画像を撮像したときに、その画像に映っている範囲全体を、広角カメラ部14でも、少なくとも撮像することができるように、通常カメラ部11と広角カメラ部14を、撮影装置1に配置するようにすれば良い。
なお、例えば、広角カメラ部14として、全方位カメラを採用し、その全方位カメラによって広角の大容量画像を撮像した場合、その広角の大容量画像は、環状の画像(丸画像)になっているので、広角カメラ部14は、その環状の画像を、遠視投影した画像(パノラマ画像)に変換して出力する。広角カメラ部14において、魚眼レンズを用いて広角の大容量画像を得た場合も同様である。
また、大容量画像は、通常画像に比較して、できるだけ広角で高解像度の画像であることが望ましい。
操作部15は、例えば、記録媒体4への画像の記録の開始や、その停止、さらには、通常カメラ部11におけるズームインやズームアウトなどを指令するときに、ユーザによって操作され、その操作に対応した操作信号を、コントローラ17に供給する。ここで、ズームインまたはズームアウトを指令する操作部15の操作が、それぞれ、ズームイン操作またはズームアウト操作である。また、以下、適宜、ズームイン操作とズームアウト操作を、まとめて、ズーム操作という。
センサ16は、例えば、加速度センサで、撮影装置1の動きの情報をセンシングし、コントローラ17に供給する。
コントローラ17は、CPU(Central Processing Unit)17A,RAM(Random Access Unit)17B,EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)17Cなどで構成され、CPU17Aが、EEPROM17Cに記憶されたプログラムを実行することにより、撮影装置1の各部を制御する。
即ち、CPU17Aは、EEPROM17Cに記憶されたプログラムを、RAM17Bにロードして実行し、これにより、各種の処理を行う。RAM17Bは、CPU17Aが実行するプログラムや、CPU17Aの動作上必要なデータを一時記憶する。EEPROM17Cは、CPU17Aが実行するプログラムや、撮像装置1の電源がオフされた後も保持しておく必要があるデータなどを記憶する。
なお、CPU17Aに実行させるプログラムは、EEPROM17Cにあらかじめインストールしておく他、後述するリムーバブル記録媒体111に、一時的あるいは永続的に格納(記録)し、リムーバブル記録媒体111からEEPROM17Cにインストールすることができる。また、プログラムは、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、撮影装置1に無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、撮影装置1に有線で転送し、撮影装置1では、そのようにして転送されてくるプログラムを、図示せぬ通信I/F(Interface)で受信し、EEPROM17Cにインストールすることができる。
ここで、以上のように、CPU17Aがプログラムを実行することにより、コントローラ17は、通常カメラ部11や、広角カメラ部14、記録部18などを制御する。
また、コントローラ17は、広角カメラ部14からの大容量画像から、通常カメラ部11からの通常画像に映っている範囲が映っている領域(以下、適宜、通常画像に対応する領域という)を検出して、その領域を表す情報を少なくとも含む再生パラメータを生成し、記録部81に出力する。
即ち、コントローラ17は、通常画像と大容量画像とのマッチングを、通常画像のサイズを変えるとともに、通常画像とマッチングする大容量画像上の位置を変えながら行う。
そして、コントローラ17は、通常画像と大容量画像とが最もマッチングする、通常画像のサイズと大容量画像上の位置、具体的には、例えば、通常画像の各画素と、その画素と同一位置の大容量画像の画素との画素値の絶対値差分の総和等が最小になる通常画像のサイズと大容量画像上の位置を求め、そのサイズと位置で特定される大容量画像の領域を、通常画像に対応する領域として検出する。
なお、コントローラ17は、通常カメラ部11と広角カメラ部14との位置関係等から、大容量画像における通常画像に対応する領域のおおよその位置を求めるとともに、通常カメラ部11のズーム機構の状態に基づいて、大容量画像における通常画像に対応する領域のおおよそのサイズを求め、そのおおよその位置とサイズを基準として、通常画像の位置とサイズを変えながら、通常画像と大容量画像とのマッチングを行う。
また、コントローラ17では、センサ16からの情報に基づいて、撮影装置1がパン(pan)、あるいはチルト(tilt)されたことを認識し、コントローラ17が生成する再生パラメータには、大容量画像における通常画像に対応する領域の情報の他、撮影装置1がパン、あるいはチルトされたといった情報、さらには、通常カメラ部11のズーム機構の状態を表す情報(例えば、倍率など)なども含めることができる。
記録部18は、コントローラ17の制御にしたがい、広角カメラ部14からの大容量画像と、コントローラ17からの再生パラメータを、記録媒体4に出力して記録する。
次に、図3のフローチャートを参照して、図2の撮影装置1の動作について説明する。
ユーザが、撮影装置1の操作部15を操作して、電源をオンにすると、通常カメラ部11と広角カメラ部14が撮像を開始し、これにより、通常カメラ部11は、撮像によって得られた通常画像の出力を開始し、広角カメラ部14は、撮像によって得られた大容量画像の出力を開始する。
通常カメラ部11が出力する通常画像は、通常信号処理部12とコントローラ17に供給され、広角カメラ部14が出力する大容量画像は、コントローラ17と記録部18に供給される。通常信号処理部12は、通常カメラ部11からの通常画像に信号処理を施し、表示部13に供給する。これにより、表示部13では、通常画像が、いわゆるスルー画として表示される。ユーザは、例えば、表示部13に表示された通常画像を見て、撮影しようとする対象を特定する。
その後、ステップS1において、コントローラ17は、記録部18を制御することにより、広角カメラ部14が出力する大容量画像の、記録媒体4への記録(出力)を開始させ、ステップS2に進む。
ステップS2では、コントローラ17は、操作部15が、ユーザによって、録画(記録)を開始するように操作(録画操作)されたかどうかを判定する。ステップS2において、録画操作が行われていないと判定された場合、ステップS3に進み、コントローラ17は、操作部15が、ユーザによって、電源をオフにするように操作(電源オフ操作)されたかどうかを判定する。
ステップS3において、電源オフ操作がされていないと判定された場合、ステップS2に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS2において、録画操作が行われたと判定された場合、即ち、ユーザが、表示部13に表示された通常画像を見て、その通常画像に映っているシーンを録画するために録画操作を行って撮影(録画)を開始した場合、ステップS4に進み、コントローラ17は、通常カメラ部11が出力する通常画像、および広角カメラ部14が出力する大容量画像などを用いた再生パラメータの生成を開始する。
即ち、コントローラ17は、広角カメラ部14からの大容量画像から、通常カメラ部11からの通常画像に対応する領域を検出し、その領域を表す情報と、通常信号処理部12において通常画像に施されている信号処理の内容を表す情報等を含む再生パラメータを生成する。
その後、ステップS5に進み、コントローラ17は、ステップS4で生成を開始した再生パラメータの、記録媒体4への記録を開始させる。即ち、コントローラ17は、記録部18を制御することにより、自身が生成する再生パラメータの、記録媒体4への記録(出力)を開始させる。
なお、ここでは、説明を簡単にするために、通常カメラ部11が出力する通常画像と、広角カメラ部14が出力する大容量画像とのフレームレートが同一であり、かつ、同一のタイミング(位相)で、通常画像と大容量画像のフレーム(の画像データ)が出力されるものとすると、再生パラメータは、フレームごとに生成され、そのフレームごとの再生パラメータが、記録媒体4に記録される。
ステップS5において再生パラメータの記録が開始されると、ステップS6に進み、コントローラ17は、操作部15が、ユーザによって、録画(記録)を停止するように操作(停止操作)されたかどうかを判定する。ステップS6において、停止操作が行われていないと判定された場合、ステップS7に進み、コントローラ17は、操作部15が、ユーザによって電源オフ操作されたかどうかを判定する。
ステップS7において、電源オフ操作がされていないと判定された場合、ステップS6に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS6において、停止操作が行われたと判定された場合、ステップS8に進み、コントローラ17は、ステップS4で開始した再生パラメータの生成と、ステップS5で開始した再生パラメータの記録とを停止する。そして、ステップS8からステップS2に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
一方、ステップS3またはS7において、電源オフ操作がされたと判定された場合、ステップS9に進み、コントローラ17は、記録部18を制御することにより、ステップS1で開始した大容量画像の記録を停止させ、さらに、通常カメラ部11と広角カメラ部14による撮像を停止させて、処理を終了する。
以上のように、撮影装置1では、電源がオンにされている間、大容量画像が記録媒体4に記録され続ける。そして、録画操作が行われると、停止操作が行われるまで、さらに、再生パラメータの記録が行われる。
上述したように、大容量画像は、通常画像に映っている範囲全体が少なくとも映っている広角の画像であるから、通常画像に映っている範囲外の範囲も映っている。さらに、大容量画像は、録画操作がされる前であっても記録され、また、停止操作がされた後であっても記録される。
従って、撮影装置1によれば、ユーザが撮影(録画)したと認識しているシーン(通常画像に映っているシーン)は勿論、それ以外の多数のシーンが映っている大容量画像が、再生パラメータとともに、記録媒体4に記録される。
なお、撮影装置1では、通常画像には、通常信号処理部12において、手ぶれ補正やノイズリダクション等の信号処理が施されるが、大容量画像には、そのような信号処理が施されない。従って、記録媒体4には、そのような信号処理が施されていない大容量画像が記録される。
また、撮影装置1では、録画操作がされから停止操作がされるまでの間は、記録媒体4に、大容量画像と再生パラメータとが記録されるが、大容量画像と再生パラメータとは、例えば、多重化して1つのファイル等として記録しても良いし、別々のファイル等として記録しても良い。
さらに、図3では、撮影装置1の電源がオンにされてからオフにされるまでの間、記録媒体4に大容量画像を記録するようにしたため、記録媒体4の容量が問題となりうるが、今後は、記録媒体4の超大容量化が見込まれるので、記録媒体4の容量は、それほど問題にはならないと考えられる。但し、それでも、記録媒体4の容量には限界があるので、例えば、撮影装置1の電源がオンにされてからオフにされるまでの間のうちの、録画操作がされた時刻の所定時間だけ前の時刻から、停止操作がされた時刻の所定時間だけ後の時刻までの大容量画像を、記録媒体4に記録するようにすることが可能である。これは、電源がオンされた後に記録された大容量画像のうちの、録画操作がされた時刻の所定時間だけ前の時刻より前に記録された部分を削除するとともに、停止操作がされてから所定時間だけ経過した後に記録された大容量画像(次の録画操作がされた時刻から所定時間だけ前の時刻以後に記録された大容量画像を除く)を削除することによって行うことができる。
次に、図4は、図1の再生装置2の構成例を示している。
記録再生部21は、例えば、ユーザによる操作部26の操作に応じて、記録媒体4から大容量画像および再生パラメータを再生して、大容量画像を画像抽出部22に供給し、再生パラメータを再生パラメータ処理部24に供給する。さらに、記録再生部21は、再生パラメータ処理部24から供給される再生パラメータを、記録媒体4に記録する。
画像抽出部22は、再生パラメータ処理部24から供給される再生パラメータに基づいて、記録再生部21から供給される大容量画像から、少なくとも一部の領域の画像を抽出し、その抽出した画像(以下、適宜、抽出画像という)を、信号処理部23に出力する。
即ち、再生パラメータは、大容量画像上の長方形状の領域を表す情報としての、例えば、その長方形状の領域の横および縦の長さと、大容量画像上における左上の点の座標とを含んでおり、画像抽出部22は、再生パラメータに基づいて、そこに含まれる情報が表す長方形状の領域(以下、適宜、抽出ウインドウという)を特定する。そして、画像抽出部22は、大容量画像から、抽出ウインドウ内の画像を、抽出画像として抽出し、信号処理部23に供給する。
なお、図2の撮影装置1において、コントローラ17が生成し、記録媒体4に記録された再生パラメータには、大容量画像における通常画像に対応する領域を表す情報が含まれているが、この再生パラメータについては、その情報が表す領域、つまり、大容量画像における通常画像に対応する領域が、抽出ウインドウとして特定される。
信号処理部23は、再生パラメータ処理部24から供給される再生パラメータに基づいて、画像抽出部22から供給される抽出画像に信号処理を施し、表示装置3に供給する。
これにより、表示装置3では、信号処理部23で信号処理が施された抽出画像が表示される。
再生パラメータ処理部24は、記録再生部21から供給される再生パラメータを、画像抽出部22および信号処理部23に供給する。また、再生パラメータ処理部24は、ユーザによる操作部26の操作に応じて、再生パラメータを生成し、画像抽出部22および信号処理部23に供給する。さらに、再生パラメータ処理部24は、記録再生部21から供給される再生パラメータ、または操作部26の操作に応じて生成した再生パラメータを、再生パラメータ記憶部25に供給して記憶させる。また、再生パラメータ処理部24は、再生パラメータ記憶部25に記憶された再生パラメータを読み出し、記録再生部21に供給して、記録媒体4に記録させる。
再生パラメータ記憶部25は、再生パラメータ処理部24から供給される再生パラメータを一時記憶する。操作部26は、記録媒体4に記録された画像(大容量画像)の再生や編集などを指令するときに、ユーザによって操作され、その操作に対応した操作信号を、記録再生部21または再生パラメータ処理部24に供給する。
次に、図5を参照して、図4の画像抽出部22の処理について説明する。
上述したように、撮影装置1では、ユーザが撮影(録画)したと認識している範囲のシーン(通常画像に映っているシーン)は勿論、それ以外の範囲のシーンが映っている大容量画像が、再生パラメータとともに、記録媒体4に記録される。
撮影装置1において、記録媒体4に記録される再生パラメータを、撮影時再生パラメータということとすると、撮影時再生パラメータには、大容量画像における通常画像に対応する領域を表す情報が含まれており、従って、その情報が表す領域を抽出ウインドウとして、図5に示すように、大容量画像から、抽出ウインドウ内の画像を抽出画像として抽出して表示することにより、通常画像と同一のシーンが映っている画像を表示することができる。
なお、ユーザが、撮影装置1をズームアウト操作して撮影を行った場合、その撮影によって得られる通常画像の画角は広くなるから、大容量画像における通常画像に対応する領域は、図5においてR1で示すようにサイズの大きな領域になり、抽出ウインドウも、そのサイズが大きいものとなる。
また、ユーザが、撮影装置1をズームイン操作して撮影を行った場合、その撮影によって得られる通常画像の画角は狭くなるから、大容量画像における通常画像に対応する領域は、図5においてR2で示すようにサイズの小さな領域になり、抽出ウインドウも、そのサイズが小さいものとなる。
以上のように、抽出ウインドウのサイズは一定であるとは限らないため、画像抽出部22において、そのような抽出ウインドウを用いて、大容量画像から抽出される抽出画像の画素数は一定であるとは限らない。
一方、表示装置3は、所定の画素数の画像を表示するので、画像抽出部22では、大容量画像から抽出した抽出画像を、表示装置3で表示可能な所定の画素数の画像に変換する必要がある。
ここで、ある画素数の抽出画像を、他の画素数の抽出画像に変換する画像変換処理としては、単純に、画素数を間引き、あるいは補間する処理があるが、その他、本件出願人が先に提案しているクラス分類適応処理がある。
クラス分類適応処理では、画像変換処理によって変換する前の画像を第1の画像とするとともに、その変換後の画像を第2の画像とすると、第2の画像の各画素を注目画素として、その注目画素のクラスごとに適切なタップ係数と、第1の画像とを用いて、注目画素(の画素値)が求められる。
即ち、クラス分類適応処理では、例えば、注目画素に対して空間的または時間的に近傍の位置にある第1の画像の画素の画素値を、注目画素の画素値を予測するのに用いる予測タップとして、その予測タップと、学習によって所定のクラスごとに求められる係数であるタップ係数とを用いた所定の予測演算によって、注目画素の画素値(の予測値)が求められる。
いま、所定の予測演算として、例えば、線形1次予測演算を採用することとすると、第2の画像の画素値yは、次の線形1次式によって求められることになる。
但し、式(1)において、xnは、第2の画像の画素(の画素値)yについての予測タップを構成する、n番目の第1の画像の画素の画素値を表し、wnは、n番目の予測タップの画素の画素値と乗算されるn番目のタップ係数を表す。なお、式(1)では、予測タップが、第1の画像のN個の画素(の画素値)x1,x2,・・・,xNで構成されるものとしてある。
ここで、第2の画像の画素(の画素値)yは、式(1)に示した線形1次式ではなく、2次以上の高次の式によって求めるようにすることも可能である。
いま、第2の画像の第k番目の画素の画素値の真値をykと表すとともに、式(1)によって得られるその真値ykの予測値をyk’と表すと、その予測誤差ekは、次式で表される。
いま、式(2)の予測値yk’は、式(1)にしたがって求められるため、式(2)のyk’を、式(1)にしたがって置き換えると、次式が得られる。
但し、式(3)において、xn,kは、第2の画像の第k番目の画素についての予測タップを構成するn番目の画素(の画素値)を表す。
式(3)(または式(2))の予測誤差ekを0とするタップ係数wnが、第2の画像の画素を予測するのに最適なものとなるが、第2の画像のすべての画素について、そのようなタップ係数wnを求めることは、一般には困難である。
そこで、タップ係数wnが最適なものであることを表す規範として、例えば、最小自乗法を採用することとすると、最適なタップ係数wnは、次式で表される自乗誤差の総和Eを最小にすることで求めることができる。
但し、式(4)において、Kは、第2の画像の画素ykと、その画素ykについての予測タップを構成する第1の画像の画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kとのセットのサンプル数(タップ係数wnを求める学習に用いる学習用サンプルの数)を表す。
式(4)の自乗誤差の総和Eの最小値(極小値)は、式(5)に示すように、総和Eをタップ係数wnで偏微分したものを0とするwnによって与えられる。
そこで、上述の式(3)をタップ係数wnで偏微分すると、次式が得られる。
式(5)と(6)から、次式が得られる。
式(7)のekに、式(3)を代入することにより、式(7)は、式(8)に示す正規方程式で表すことができる。
式(8)の正規方程式は、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)などを用いることにより、タップ係数wnについて解くことができる。
クラス分類適応処理では、第1および第2の画像から、第2の画像の画素ykと、その画素ykについての予測タップを構成する第1の画像の画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kとのセットを、学習用サンプルとして多数用意し、その学習用サンプルを用いて、式(8)の正規方程式をクラスごとにたてて解くことにより、最適なタップ係数(ここでは、自乗誤差の総和Eを最小にするタップ係数)wnを、クラスごとに求める学習処理を、あらかじめ行っておき、そのタップ係数を用いた式(1)の予測演算を行うことによって、第1の画像が第2の画像に変換される。
即ち、学習処理では、第2の画像の各画素ykを注目画素として、その注目画素ykが、複数のクラスのうちのいずれかのクラスにクラス分類される。ここで、クラス分類は、例えば、注目画素ykに対して空間的または時間的に近傍の位置にある第1の画像の幾つかの画素の画素値の分布等に基づいて行われる。
さらに、学習処理では、クラスごとに、そのクラスに属する注目画素(の画素値)ykと、その注目画素ykについての予測タップを構成する第1の画像の画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kとを用いて、式(8)の正規方程式がたてられ、学習用サンプルのすべてを用いた式(8)の正規方程式がクラスごとに得られると、そのクラスごとの正規方程式を解くことにより、クラスごとのタップ係数wnが求められる。
そして、クラス分類適応処理において、第2の画像のある画素(の画素値)を求めるときには、その画素を注目画素として、その注目画素を、学習処理における場合と同様にクラス分類することにより、注目画素が属するクラスが求められる。さらに、注目画素が属するクラスのタップ係数wnと、注目画素についての予測タップを構成する第1の画像の画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kとを用いて、式(1)の予測演算が行われ、注目画素の画素値(の予測値)が求められる。
なお、学習処理において用いる第1の画像を、第2の画像の画素を間引いた画像とすることにより、クラス分類適応処理において、画像を、その画像よりも画素数の多い画像に変換するタップ係数wnを求めることができる。また、学習処理において用いる第2の画像を、第1の画像の画素を間引いた画像とすることにより、クラス分類適応処理において、画像を、その画像よりも画素数が少ない画像に変換するタップ係数wnを求めることができる。
その他、学習処理において用いる第1の画像を、第2の画像にノイズを付加した画像とすることにより、クラス分類適応処理において、画像を、その画像からノイズを除去した画像に変換するタップ係数wnを求めることができる。
従って、クラス分類適応処理によれば、学習処理によって求めておくタップ係数wnによって、画像の画素数の変換する他、ノイズ除去(ノイズリダクション)等の信号処理を行うことができる。
また、クラス分類適応処理は、撮影装置1において、上述した環状の画像を、遠視投影した画像に変換するのにも用いることができる。
画像抽出部22は、大容量画像から抽出した抽出画像を、表示装置3で表示可能な所定の画素数の抽出画像に変換する画像変換処理を、例えば、上述のようなクラス分類適応処理を利用して行い、その結果得られる抽出画像を、信号処理部23に供給する。
次に、図6のフローチャートを参照して、図4の再生装置2の動作について説明する。
ユーザが操作部26を操作して、再生装置2の電源をオンにすると、ステップS21において、再生パラメータ処理部24は、再生装置2の動作モードが再生モードであるかどうかを判定する。
ここで、再生装置2の動作モードとしては、例えば、記録媒体4に記録された画像を再生する再生モードと、画像を編集する編集モードとがある。再生装置2の動作モードは、例えば、ユーザが操作部26を操作することによって選択(設定)することができる。
ステップS21において、再生装置2の動作モードが再生モードであると判定された場合、ステップS22に進み、以下、再生モードの処理が行われる。
即ち、再生モードの処理では、ステップS22において、再生パラメータ処理部24は、記録媒体4に記録された画像を再生するのに用いるパラメータセットを選択する。
ここで、パラメータセットは、ある一連の再生パラメータのセットであり、撮影装置1で撮影された大容量画像が、記録媒体4に記録されている場合には、その大容量画像の撮影時に撮影装置1(のコントローラ17(図2))で生成された一連の再生パラメータ(撮影時再生パラメータ)のセットであるパラメータセットが、少なくとも、記録媒体4に記録されている。
記録媒体4には、1以上のパラメータセットを記録することができ、ステップS22では、その1以上のパラメータセットから、画像の再生に用いるパラメータセットが選択される。
即ち、例えば、記録媒体4において、パラメータセットが、ファイルとして記録されているとすると、再生パラメータ処理部24は、記録再生部21を制御することにより、記録媒体4に記録されているパラメータセットのファイル名を認識する。さらに、再生パラメータ処理部24は、信号処理部23を制御することにより、記録媒体4に記録されているパラメータセットのファイル名の一覧を、そのうちのいずれか1つの選択を促すメッセージとともに、表示装置3に表示させる。
ユーザが、表示装置3に表示されたファイル名の一覧を見て、操作部26を操作することにより、ファイル名の一覧から、1つのファイル名を選択すると、ステップS22において、再生パラメータ処理部24は、そのファイル名によって特定されるパラメータセットを、画像の再生に用いるパラメータセット(以下、適宜、再生用セットという)として選択する。
その後、ステップS22からステップS23に進み、再生パラメータ処理部24は、記録再生部21を制御することにより、記録媒体4に記録された大容量画像と再生用セットの再生を開始させる。これにより、記録媒体4からは、大容量画像と再生用セットが再生され(読み出され)、大容量画像が、画像抽出部22に供給されるとともに、再生用セットの再生パラメータが、再生パラメータ処理部24に供給される。
ここで、撮影時再生パラメータについて説明したように、再生パラメータは、フレームごとに存在しうる。大容量画像の再生は、特に指定されない限り、再生パラメータが存在する時間的に最も前のフレームから開始される。
再生パラメータ処理部24は、ステップS23において再生用セットの再生パラメータの再生が開始され、これにより、記録再生部21からの再生パラメータの供給が開始されると、その再生パラメータの、画像抽出部22および信号処理部23への供給を開始し、ステップS24に進む。
ステップS24では、画像抽出部22は、記録再生部21から供給される大容量画像からの、再生パラメータ処理部24から供給される再生パラメータに基づく抽出画像の抽出を開始する。
即ち、記録再生部21から画像抽出部22に対しては、大容量画像が、例えばフレーム単位で供給され、画像抽出部22は、記録再生部21から供給される大容量画像のフレームを、順次、注目フレームとして、その注目フレームから抽出画像を抽出し、信号処理部23に供給する。
具体的には、画像抽出部22は、再生パラメータ処理部24から供給される再生パラメータの中に、注目フレームに対する再生パラメータ(以下、適宜、対応パラメータという)が存在する場合、注目フレームから、対応パラメータに含まれる情報によって特定される抽出ウインドウ内の画像を抽出画像として抽出し、さらに、必要に応じて、上述した画素数を変換する画像変換処理を行って、信号処理部23に供給する。
また、画像抽出部22は、再生パラメータ処理部24から供給される再生パラメータの中に、注目フレームの対応パラメータが存在しない場合、注目フレームより前の、対応パラメータが存在するフレームのうちの、注目フレームに最も近いフレームの対応パラメータに基づいて、注目フレームから抽出画像を抽出する。
ステップS24の処理後は、ステップS25に進み、信号処理部23は、画像抽出部22から供給される抽出画像(のフレーム)に対する、再生パラメータ処理部24から供給される再生パラメータ(対応パラメータ)に基づく信号処理を開始する。
即ち、信号処理部23は、画像抽出部22から供給される抽出画像に対して、再生パラメータ処理部24から供給される再生パラメータに含まれる情報が表す内容の信号処理を施し、表示装置3に供給する。
以上のように、再生モードの処理では、再生用セットの再生パラメータに基づいて、大容量画像から抽出画像が抽出され、さらに、再生用セットの再生パラメータに基づいて、抽出画像に信号処理が施されるので、いわば、その再生用セットの再生パラメータに対応した画像コンテンツ(画像のストリーム)が、表示装置3に表示される。
従って、ステップS22において、再生用セットとして、例えば、撮影時再生パラメータのパラメータセットが選択された場合には、通常画像と同様の画像、即ち、ユーザが撮影装置1によって撮影(録画)したと認識している範囲のシーンが映っており、通常画像の画質と同様の画像(撮影時に、撮影装置1の表示部13に表示されていたのと同一の画像)が、表示装置3に表示される。
ステップS25の処理後は、ステップS26に進み、再生パラメータ処理部24は、操作部26が、ユーザによって、再生を停止するように操作(停止操作)されたかどうかを判定する。ステップS26において、停止操作が行われていないと判定された場合、ステップS26に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS25において、停止操作が行われたと判定された場合、ステップS27に進み、再生パラメータ処理部24は、記録再生部21、画像抽出部22、および信号処理部23を制御することにより、ステップS23で開始した大容量画像と再生パラメータの再生、ステップS24で開始した抽出画像の抽出、およびステップS25で開始した抽出画像に対する信号処理をすべて停止させる。そして、ステップS21に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
一方、ステップS21において、再生装置2の動作モードが再生モードでないと判定された場合、ステップS28に進み、再生パラメータ処理部24は、再生装置2の動作モードが編集モードであるかどうかを判定する。
ステップS28において、再生装置2の動作モードが編集モードでないと判定された場合、ステップS21に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS28において、再生装置2の動作モードが編集モードであると判定された場合、ステップS29に進み、以下、編集モードの処理が行われる。
即ち、編集モードの処理では、ステップS29において、再生パラメータ処理部24は、編集の、いわば基準とする画像コンテンツを再生するのに用いるパラメータセット(再生用セット)を、例えば、ステップS22における場合と同様に選択し、ステップS30に進む。
ステップS30では、再生パラメータ処理部24は、ステップS23における場合と同様に、記録再生部21を制御することにより、記録媒体4に記録された大容量画像と再生用セットの再生を開始させる。これにより、記録媒体4からは、大容量画像と再生用セットが再生され(読み出され)、大容量画像が、画像抽出部22に供給されるとともに、再生用セットの再生パラメータが、再生パラメータ処理部24に供給される。
再生パラメータ処理部24は、ステップS30において再生用セットの再生パラメータの再生が開始され、これにより、記録再生部21からの再生パラメータの供給が開始されると、その再生パラメータの、画像抽出部22、信号処理部23、および再生パラメータ記憶部25への供給を開始し、ステップS31に進む。
ステップS31では、再生パラメータ記憶部25は、再生パラメータ処理部24から供給される再生パラメータの記憶を開始し、ステップS32に進む。
ステップS32では、画像抽出部22は、ステップS24における場合と同様に、記録再生部21から供給される大容量画像からの、再生パラメータ処理部24から供給される再生パラメータに基づく抽出画像の抽出を開始して、ステップS33に進む。
即ち、画像抽出部22は、記録再生部21から供給される大容量画像のフレームから、再生パラメータ処理部24から供給される再生パラメータに含まれる情報によって特定される抽出ウインドウ内の画像を抽出画像として抽出し、さらに、必要に応じて、上述した画素数を変換する画像変換処理を行って、信号処理部23に供給する。
ステップS33では、信号処理部23は、ステップS25における場合と同様に、画像抽出部22から供給される抽出画像に対する、再生パラメータ処理部24から供給される再生パラメータに基づく信号処理を開始する。
即ち、信号処理部23は、画像抽出部22から供給される抽出画像に対して、再生パラメータ処理部24から供給される再生パラメータに含まれる情報が表す内容の信号処理を施し、表示装置3に供給する。
以上のように、編集モードにおいては、再生パラメータを、再生パラメータ記憶部25に記憶させる処理(ステップS31の処理)が行われることを除けば、再生モードにおける場合と同様の処理が行われ、これにより、表示装置3において、再生用セットに対応する画像コンテンツが表示される。
編集モードでは、その後、ステップS33からステップS34に進み、再生パラメータ処理部24は、ユーザが、編集を指令するように、操作部26を操作したかどうかを判定する。
ステップS34において、編集操作が行われていないと判定された場合、即ち、ユーザが、編集を指令するように、操作部26を操作していないと判定された場合、ステップS35をスキップして、ステップS36に進む。
また、ステップS34において、編集操作が行われたと判定された場合、即ち、ユーザが、編集を指令するように、操作部26を操作したと判定された場合、ステップS35に進み、再生パラメータ処理部24は、その編集操作が行われたときに注目フレームであった大容量画像の注目フレームの対応パラメータとして、その編集操作に応じた再生パラメータ(新たな再生パラメータ)(以下、適宜、編集パラメータともいう)を生成し、記録再生部21から供給される再生パラメータに代えて、画像抽出部22、信号処理部23、および再生パラメータ記憶部25に供給する。
従って、この場合、画像抽出部22では、大容量画像から、再生パラメータ処理部24からの編集パラメータに含まれる情報によって特定される抽出ウインドウ内の画像が、抽出画像として抽出され、信号処理部23では、画像抽出部22から供給される抽出画像に対して、再生パラメータ処理部24から供給される編集パラメータに含まれる情報が表す内容の信号処理を施し、表示装置3に供給する。その結果、表示装置3では、編集操作にしたがって編集された画像が表示される。
さらに、再生パラメータ記憶部25では、再生パラメータ処理部24から供給される編集パラメータが記憶される。
ここで、図7を参照して、編集操作について説明する。
図6のステップS29において、再生用セットとして、例えば、撮影時再生パラメータのパラメータセットが選択された場合には、撮影時再生パラメータに基づいて、大容量画像から抽出画像が抽出され、さらに、その撮影時再生パラメータに基づいて、抽出画像に信号処理が施されるから、上述したように、通常画像(と同様の画像)が、表示装置3に表示される。
ところで、上述したように、大容量画像は、通常画像に映っている範囲のシーンを含む、通常画像よりも広角の画像であるから、通常画像に映っている範囲以外の範囲のシーンも映っている。
即ち、通常画像に、ある景色が映っているとすれば、大容量画像には、通常画像に映っている景色は勿論、通常画像に映っている景色を実際に見たならば見えるであろう景色であって、通常画像には映っていない景色も映っている。
従って、通常画像を撮影しているときに撮影装置1をパンまたはチルトしたならば、通常画像に映ったであろう景色が、大容量画像には映っており、編集操作としては、このような、いわば疑似的に、撮影装置1をパンまたはチルトするような操作が可能となっている。
例えば、いま、疑似的に、撮影装置1をパンまたはチルトするような編集操作を、それぞれ、疑似パン操作または疑似チルト操作ということとすると、編集操作として、疑似パン操作が行われた場合には、再生パラメータ処理部24は、図7の上から1番目に示すように、対応パラメータによって特定される抽出ウインドウを、疑似パン操作に応じて水平方向に移動した抽出ウインドウを表す情報を含めた再生パラメータとしての編集パラメータを生成する。また、編集操作として、疑似チルト操作が行われた場合には、再生パラメータ処理部24は、図7の上から1番目に示すように、対応パラメータによって特定される抽出ウインドウを、疑似チルト操作に応じて垂直方向に移動した抽出ウインドウを表す情報を含めた再生パラメータとしての編集パラメータを生成する。
画像抽出部22では、このような編集パラメータに基づいて、大容量画像から抽出ウインドウ内の画像が抽出画像として抽出されるので、その抽出画像は、通常画像を撮影しているときに撮影装置1をパンまたはチルトしたならば通常画像に映ったであろう景色が映っているものとなる。
また、編集操作としては、その他、疑似的に、撮影装置1をズームアウト操作またはズームイン操作するような操作が可能となっている。
例えば、いま、疑似的に、撮影装置1をズームアウト操作またはズームイン操作するような編集操作を、それぞれ、疑似ズームアウト操作または疑似ズームイン操作ということとすると、編集操作として、疑似ズームアウト操作が行われた場合には、再生パラメータ処理部24は、図7の上から2番目に示すように、対応パラメータによって特定される抽出ウインドウのサイズを、疑似ズームアウト操作に応じて拡大した抽出ウインドウを表す情報を含めた再生パラメータとしての編集パラメータを生成する。また、編集操作として、疑似ズームイン操作が行われた場合には、再生パラメータ処理部24は、図7の上から3番目(下から1番目)に示すように、対応パラメータによって特定される抽出ウインドウのサイズを、疑似ズームイン操作に応じて縮小した抽出ウインドウを表す情報を含めた再生パラメータとしての編集パラメータを生成する。
画像抽出部22では、このような編集パラメータに基づいて、大容量画像から抽出ウインドウ内の画像が抽出画像として抽出されるので、その抽出画像は、通常画像を撮影しているときに撮影装置1をズームアウト操作またはズームイン操作したならば通常画像に映ったであろう景色が映っているものとなる。
即ち、疑似ズームアウト操作によれば、抽出ウインドウが拡大されるので、画像抽出部22では、その抽出ウインドウによって、大容量画像から広い範囲の画像が抽出画像として抽出され、その結果、撮影装置1をズームアウト操作して撮影したかのような広角の画像(抽出画像)が、表示装置3に表示される。また、疑似ズームイン操作によれば、抽出ウインドウが縮小されるので、画像抽出部22では、その抽出ウインドウによって、大容量画像から狭い範囲の画像が抽出画像として抽出され、その結果、撮影装置1をズームイン操作して撮影したかのような画角の狭い画像(抽出画像)、つまり、被写体をクローズアップした画像が、表示装置3に表示される。
なお、抽出画像の画素数は、抽出ウインドウのサイズに応じて変化し、抽出ウインドウのサイズが小さいほど少なくなる。従って、疑似ズームイン操作によって抽出ウインドウが縮小されると、表示装置3に表示される抽出画像の解像度が劣化することになる。但し、上述したように、大容量画像は、通常画像よりも高解像度であり、抽出ウインドウがある程度縮小されても、その抽出ウインドウによって大容量画像から抽出される抽出画像の解像度を、ある程度(例えば、通常画像と同程度)以上に維持することができる解像度の画像になっている。
編集操作として、疑似パン操作や、疑似チルト操作、疑似ズームアウト操作が行われた場合には、表示装置3には、通常画像に映っていない範囲のシーンが映っている画像が表示される。従って、撮影装置1で撮影を行ったユーザは、その撮影中に見逃したシーンがあったとしても、大容量画像に映っていれば、見ることができる。
編集操作としては、上述したような抽出ウインドウを変更する操作の他、抽出画像に対して施す信号処理を指定する操作を行うことが可能となっている。
即ち、撮影装置1(図2)においては、大容量画像は、通常信号処理部12が通常画像に施す信号処理が施されずに、記録媒体4に記録される。
そして、再生装置2において、再生用セットとして、撮影時再生パラメータのパラメータセットが選択された場合には、撮影時再生パラメータに基づいて、大容量画像から抽出画像が抽出され、さらに、その撮影時再生パラメータに基づいて、抽出画像に信号処理が施される。従って、抽出画像には、通常信号処理部12が通常画像に施す信号処理と同一の信号処理が施され、その結果、通常画像と同様の画像が、表示装置3に表示される。
一方、ユーザが、抽出画像に対して施す信号処理を指定する編集操作を行うと、再生パラメータ処理部24は、その編集操作に応じた信号処理の内容を表す情報を含む再生パラメータとしての編集パラメータを生成し、信号処理部23に供給する。信号処理部23は、再生パラメータ処理部24から編集パラメータが供給されると、その編集パラメータに含まれる情報によって表される内容の信号処理を施す。
ここで、通常信号処理部12で通常画像に施される信号処理としては、例えば、ノイズリダクションや手ぶれ補正などの様々な種類の信号処理(MPEG等の符号化処理も含む)があり、さらに、例えば、ノイズリダクションを行う信号処理にしても、様々な方法(アルゴリズム)のものがある。従って、通常信号処理部12で行われる信号処理の種類が、ユーザにとって適切(最適)なものであるとは限らず、さらに、仮に、信号処理の種類が適切であったとしても、その方法が適切であるとは限らない。
そして、画像に対して、例えば、ノイズリダクションなどの信号処理が施された場合、そのノイズリダクションによって、画像に含まれるノイズ成分が除去される他、多少の信号成分が失われることがある。従って、撮影装置1において、広角カメラ部14で撮像した大容量画像に信号処理を施して、記録媒体4に記録してしまうと、再生装置2では、記録媒体4に記録された大容量画像を対象としてしか信号処理を行うことができないため、撮影装置1で行われた信号処理によって多少の信号成分が失われた大容量画像を対象として信号処理をせざるを得ないことになる。
しかしながら、多少であっても、信号成分が失われた大容量画像を対象に信号処理を行うと、その信号処理結果には、その失われた信号成分に応じた影響が生じる。
そこで、撮影装置1では、再生装置2で行われる信号処理に、そのような影響が生じるのを防止するため、通常信号処理部12が通常画像に施すような信号処理を施さずに、大容量画像を、記録媒体4に記録するようになっている。
従って、再生装置2では、撮影装置1の広角カメラ部14で撮像された大容量画像の信号成分のすべてを有効に利用して信号処理を行うことが可能となる。
図6に戻り、ステップS35において、編集パラメータが、画像抽出部22、信号処理部23、および再生パラメータ記憶部25に供給された後は、ステップS36に進み、再生パラメータ処理部24は、操作部26が、ユーザによって、再生を停止するように操作(停止操作)されたかどうかを判定する。ステップS36において、停止操作が行われていないと判定された場合、ステップS34に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS36において、停止操作が行われたと判定された場合、ステップS37に進み、再生パラメータ処理部24は、記録再生部21、画像抽出部22、および信号処理部23を制御することにより、ステップS30で開始した大容量画像と再生パラメータの再生、ステップS32で開始した抽出画像の抽出、およびステップS33で開始した抽出画像に対する信号処理をすべて停止させるとともに、ステップS31で開始した再生パラメータ記憶部25における再生パラメータの記憶も停止させる。
そして、ステップS37からS38に進み、再生パラメータ処理部24は、再生パラメータ記憶部25に記憶された再生パラメータの集合であるパラメータセットを、記録媒体4に新たに記録(保存)するかどうかを判定する。
即ち、再生パラメータ処理部24は、信号処理部23を制御することにより、新たなパラメータセットを保存するかどうかを問い合わせる問い合わせメッセージを、表示装置3に表示させ、その問い合わせメッセージに対して、ユーザが操作部26を操作するのを待って、再生パラメータ記憶部25に記憶された新たなパラメータセットを、記録媒体4に記録するかどうかを判定する。
ステップS38において、再生パラメータ記憶部25に記憶された新たなパラメータセットを、記録媒体4に記録すると判定された場合、即ち、問い合わせメッセージに対して、ユーザが、新たなパラメータセットを記録するように、操作部26を操作した場合、ステップS39に進み、再生パラメータ処理部24は、再生パラメータ記憶部25に記憶されている新たなパラメータセットを読み出し、さらに、記録再生部21を制御することにより、その新たなパラメータセットを、記録媒体4に記録させ、ステップS40に進む。
また、ステップS38において、再生パラメータ記憶部25に記憶された新たなパラメータセットを、記録媒体4に記録しないと判定された場合、即ち、問い合わせメッセージに対して、ユーザが、新たなパラメータセットを記録しないように、操作部26を操作した場合、ステップS39をスキップして、ステップS40に進み、再生パラメータ処理部24は、再生パラメータ記憶部25に記録された新たなパラメータセットを削除(消去)して、ステップS21に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
なお、編集モードの処理において記録媒体4に記録された新たなパラメータセットは、再生用セットとして選択することができ、従って、その新たなパラメータセットの再生パラメータに対応した画像コンテンツを、表示装置3に表示することが可能となる。
また、図6のフローチャートにしたがった処理は、操作部26が、ユーザによって電源をオフにするように操作されると終了する。
以上のように、ユーザが編集操作を行うことにより、その編集操作に応じて、編集パラメータ(新たな再生パラメータ)が生成され、その編集パラメータに基づいて、抽出画像や信号処理が行われる。従って、ユーザにとって最適な画像を提供することができる。
さらに、記録媒体4に記録された大容量画像に対しては、複数のパラメータセットが存在しても良く、従って、ユーザは、様々な編集操作を行って、様々なパラメータセットを生成することにより、その様々なパラメータセットそれぞれに対応した、様々な画像コンテンツを制作することができる。
また、記録媒体4には、通常画像に施されるような信号処理が施されていない大容量画像が記録されているので、ユーザは、再生装置2において、編集操作を、いわゆる試行錯誤で行い、ユーザ自身にとって最適な画像コンテンツを得ることができる。
次に、再生装置2で行われる一連の処理は、専用のハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
そこで、図8は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク105やROM103に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体111に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体111は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体111からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを、通信部108で受信し、内蔵するハードディスク105にインストールすることができる。
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)102を内蔵している。CPU102には、バス101を介して、入出力インタフェース110が接続されており、CPU102は、入出力インタフェース110を介して、ユーザによって、キーボードや、マウス、マイク等で構成される入力部107が操作等されることにより指令が入力されると、それにしたがって、ROM(Read Only Memory)103に格納されているプログラムを実行する。あるいは、また、CPU102は、ハードディスク105に格納されているプログラム、衛星若しくはネットワークから転送され、通信部108で受信されてハードディスク105にインストールされたプログラム、またはドライブ109に装着されたリムーバブル記録媒体111から読み出されてハードディスク105にインストールされたプログラムを、RAM(Random Access Memory)104にロードして実行する。これにより、CPU102は、図6のフローチャートにしたがった処理、あるいは図4のブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU102は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース110を介して、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される出力部106から出力、あるいは、通信部108から送信、さらには、ハードディスク105に記録等させる。
ここで、本明細書において、コンピュータに各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
また、プログラムは、1のコンピュータにより処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
なお、本実施の形態では、撮影装置1の広角カメラ部14において、その広角カメラ部14で撮像した広角の画像を、遠視投影した画像に変換するようにしたが、この変換は、撮影装置1ではなく、再生装置2で行うようにすることができる。
また、撮影装置1は、再生装置2と一体的に構成することが可能である。
さらに、本実施の形態では、記録媒体4への大容量画像の記録は、録画操作がされる前も、録画操作に対する停止操作がされた後も行われるので、即ち、大容量画像は、ユーザが録画がされていないと認識している時刻のシーンも含んでいるので、そのようなシーンを取り込むような編集操作も可能である。
また、本実施の形態では、通常画像と大容量画像のフレームレートを同一としたが、大容量画像のフレームレートは、通常画像のフレームレートよりも高フレームレートとすることが可能である。
さらに、本実施の形態では、撮影装置1において、通常カメラ部11と広角カメラ部14とを設け、通常画像と大容量画像との両方を撮像するようにしたが、撮影装置1は、通常カメラ部11を設けずに構成し、広角カメラ部14において、大容量画像だけを撮像するようにすることができる。この場合、撮影装置1(のコントローラ17)では、ユーザによる撮影装置1のパン操作や、チルト操作、ズーム操作に応じて、抽出ウインドウを設定し、その抽出ウインドウによって、大容量画像から抽出画像を抽出して、その抽出画像に対して、通常信号処理部12で信号処理を施して、表示部13に供給することにより、表示部13において、通常画像と同様の画像(抽出画像)を表示することができる。
また、本実施の形態では、撮影装置1において、大容量画像と再生パラメータを記録媒体4に記録するようにしたが、その他、例えば、大容量画像と再生パラメータとは、テレビジョン放送番組として、放送局から放送し、再生装置2で受信して記録媒体4に記録するようにすること等も可能である。
1 撮影装置, 2 再生装置, 3 表示装置, 4 記録媒体, 11 通常カメラ部, 12 通常信号処理部, 13 表示部, 14 広角カメラ部, 15 操作部, 16 センサ, 17 コントローラ, 17A CPU, 17B RAM, 17C EEPROM, 18 記録部, 21 記録再生部, 22 画像抽出部, 23 信号処理部, 24 再生パラメータ処理部, 25 再生パラメータ記憶部, 26 操作部, 101 バス, 102 CPU, 103 ROM, 104 RAM, 105 ハードディスク, 106 出力部, 107 入力部, 108 通信部, 109 ドライブ, 110 入出力インタフェース, 111 リムーバブル記録媒体