以下に、本発明の最良の形態を、図1〜図18を参照して説明する。
以下に示した最良の形態は、本発明表示装置を液晶表示装置に適用し、本発明表示方法をこの液晶表示装置に表示される画像の表示方法に適用したものである。
尚、本発明の適用範囲は液晶表示装置及び液晶表示装置に表示される画像の表示方法に限られることはなく、表示部の背面側にバックライトが配置され表示部の画素の開口率が制御されて画像が表示される全ての表示装置及びこの表示装置に表示される画像の表示方法に適用することができる。
液晶表示装置1は、図1に示すように、画像を表示する表示部2と該表示部2の背面側に配置されたバックライト3と該バックライト3及び表示部2に対して各種の制御を行う制御部4とを備えている。
表示部2は液晶パネル5と該液晶パネル5に対して駆動信号を送出するためのソースドライバ6及びゲートドライバ7を有している。液晶パネル5は表示画面が複数の領域、例えば、垂直方向において6個の領域A1〜A6に分割された構成とされている(図2参照)。
バックライト3は複数の光源、例えば、6個の光源8、9、・・・、13によって構成され、該光源8、9、・・・、13がそれぞれ表示画面の6個の領域A1〜A6の真後ろに配置されている。光源8〜13は、例えば、それぞれ複数の発光ダイオード等の発光素子が水平方向に分割されて配置された構成とされている。
光源8〜13を構成する複数の発光ダイオードとしては、例えば、赤色の発光ダイオード、緑色の発光ダイオード、青色の発光ダイオードが用いられ、これらの発光ダイオードを所定の状態で順に配列することにより、各色の混合で白色となるようにしている。各光源8〜13から出射された光は、図示しない散乱板や散乱シートによって拡散されて液晶パネル5の背面に照射される。
尚、表示画面の各領域A1〜A6は、真後ろに位置する光源8〜13のみから出射された光が到達する領域として設定されたものではない。従って、各光源8〜13から出射された光は、後述する散乱板等によって直前に位置する領域以外の領域にも到達する。
また、上記には、説明を簡単にするために、バックライト3の例として、光源8〜13が垂直方向にのみ分割されて配置されたものを示したが、バックライトは、光源が水平方向にのみ分割されて配置されたものであってもよく、また、従来例として示した図19(b)に示すような垂直方向と水平方向の両方向に分割されて配置されたものであってもよい。
制御部4はバックライト3を制御する光源制御回路14と表示部2を制御する液晶パネル制御回路15とを備えている(図1参照)。液晶パネル制御回路15にはメモリ16が接続されている。
メモリ16には、液晶パネル5に入射される各光源8〜13から出射された光の分布状態についてのデータが記憶されている。また、メモリ16には、液晶パネル5の表示ムラを補正するデータも記憶されている。
以上のように構成された液晶表示装置1において、液晶パネル制御回路14に画像信号が入力されると、入力された画像信号に基づいて液晶パネル5における表示駆動を行うための表示駆動信号が液晶パネル制御回路14によって生成される。
生成された表示駆動信号は、液晶パネル5のソースドライバ6及びゲートドライバ7に送出され、該ソースドライバ6及びゲートドライバ7を介して液晶パネル5の各画素に入力される。表示駆動信号の入力は、入力される画像信号のフィールド周期に同期して1フィールド周期で行われる。液晶パネル5の各画素に表示駆動信号が入力される際には、後述する補正処理が行われる。
各光源8〜13に対する制御は、光源制御回路15によって実行される(図1参照)。光源制御回路15には、液晶パネル制御回路14に画像信号が入力されたときに、該液晶パネル制御回路14から光源8〜13ごとの個別の点灯制御信号が入力され、各光源8〜13の発光輝度が1フィールド周期で個別に設定される。
図3は、各光源8〜13の発光輝度の例を示したものである。図3中、横軸は表示画面の垂直方向における位置、縦軸は発光輝度を示し、各光源8〜13を略最大の均一な輝度で発光させた場合の例である。
図3中、実線のデータは、光源8〜13のそれぞれの発光輝度を示している。このデータは表示画面の垂直方向における両端部、即ち、光源8、13側の端部での光の反射による影響は考慮されていない。図3中、一点鎖線で示したデータは、光源8〜13のそれぞれの発光輝度を各位置において加算して算出したトータルの発光輝度を示している。トータルの発光輝度は、表示画面の垂直方向における両端部を除き、垂直方向における任意の位置で略均一とされている。
上記したように、各光源8〜13を略均一な輝度で発光させた場合には、トータルの発光輝度が表示画面の垂直方向における両端部において低下する。しかしながら、表示画面の垂直方向における両端部においては、光の反射の影響により光源8、13の発光輝度が高くなる(図4参照)。従って、液晶表示装置1にあっては、表示画面の垂直方向における両端部におけるトータルの発光輝度の低下が緩和される。
また、液晶表示装置1において、表示画面の垂直方向における両端部におけるトータルの発光輝度の低下を極力回避するために、垂直方向における両端部に位置する光源8、13の最大発光輝度を他の光源8〜13の最大発光輝度より高く設定することも可能である。
さらに、表示画面の垂直方向における両端部におけるトータルの発光輝度の低下を完全に解消するために、例えば、図4に示す点線で囲んだ部分を画像が表示される範囲とすることも可能である。
液晶表示装置1にあっては、各光源8〜13から出射された光が、直前に位置する領域以外の領域に到達しないようにするための仕切り等は設けられていない。従って、各光源8〜13から出射された光は、直前に位置する領域以外の他の領域にも到達し、当該他の領域における表示輝度にも寄与する。
図5は、図4に示した発光輝度を有する各光源8〜13を用いた場合に、出射された光が液晶パネル5に入射されるときの表示画面の各位置に対する各光源8〜13の輝度寄与率を示したものである。横軸は表示画面の垂直方向における位置、縦軸は各光源8〜13から出射された光の表示輝度に対する輝度寄与率を示している。
図5に示すように、各光源8〜13から出射された光の輝度寄与率は、それぞれ光源8〜13の直前に位置する領域A1〜A6において最も高く、領域A1〜A6から離れるに従って徐々に低下する。垂直方向における両端部に配置された光源8、13については、それぞれ直前に位置する領域A1、A6における輝度寄与率が40%程度とされ、中間の位置に配置された光源8〜13ついては、それぞれ直前に位置する領域A2〜A5における輝度寄与率が30%程度とされている。また、光源8〜13とも、それぞれ直前に位置する領域A1〜A6以外の各領域においても表示輝度に寄与して影響を及ぼしている。
このように、液晶表示装置1にあっては、各光源8〜13から出射された光が直前に位置する領域以外の領域にも到達するため、各光源8〜13から出射されたそれぞれの光が、直前に位置する領域A1〜A6のみに各別に照射されることはなく、他の領域にも照射される。
液晶表示装置1にあっては、各光源8〜13の発光輝度が領域A1〜A6の表示輝度に対してどの程度寄与しているのかを予め測定し、この測定値が後述する連立方程式で演算する際のデータとしてメモリ16に記憶されている。従って、メモリ16には、図5に示す輝度寄与率のデータが記憶されている。
次に、図6のフローチャート図を参照して、画面表示に関する制御の処理例について説明する。この制御は、制御部4の液晶パネル制御回路14及び光源制御回路15によって実行され、液晶パネル制御回路14に1フィールドの画像信号が入力されるごとに行われる。
液晶パネル制御回路14に1フィールドの画像信号が入力されると(ステップS1)、入力された画像信号によって生成される1画像(原画像)の表示輝度の分布が液晶パネル制御回路14によって検出される(ステップS2)。従って、各領域A1〜A6の表示輝度が検出される。
表示輝度の分布が液晶パネル制御回路14によって検出されるときには、入力される画像信号の平坦領域が検出される(ステップS3)。平坦領域とは、画素における一定の範囲内において輝度に関して同一レベルの画像信号が入力された領域である。本例においては、画素における2.5mm角以上の範囲に輝度に関して同一レベルの画像信号が入力されたときに、この画素の範囲が平坦領域として検出される。
具体的には、1画素のサイズが0.5mm角(縦0.5mm、横0.5mmの正方形状の画素)であるとすると、縦横に5画素ずつの合計25画素の範囲に輝度に関して同一レベルの画像信号が入力されたときに、この画素の範囲が平坦領域として検出される。
尚、上記には、例として、画素における2.5mm角以上の範囲を平坦領域の検出範囲としたが、最低限2.5mm角以上の範囲を平坦領域の検出範囲として設定すればよく、画素における2.5mm角よりも大きな範囲を平坦領域の検出範囲として設定することも可能である。
次いで、検出された平坦領域に入力される画像信号に対して、高周波信号が重畳される(ステップS4)。
検出した表示輝度の分布に基づいて、バックライト3を構成する各光源8〜13の発光輝度がそれぞれ設定される(ステップS5)。この発光輝度の設定時には、領域A1〜A6の各表示輝度に対する各光源8〜13の発光輝度の輝度寄与率が考慮される。具体的には、メモリ16に予め記憶されている上記輝度寄与率のデータ(図5参照)を用いた連立方程式により、各光源8〜13の発光輝度が設定される。具体的な連立方程式の例については後述する。
次に、上記のように各光源8〜13の発光輝度を設定した上で、液晶パネル5の表示画面の各部の表示輝度を画像表示の際の最適値にするための各画素に対する補正階調を算出する(ステップS6)。
補正階調の算出は、設定した各光源8〜13の発光輝度と表示画面の各部における表示輝度の最適値とのずれ量に基づいて行う。最適値とは、入力された画像信号に基づいて原画像が表示されるときに表示画面の各部において必要とされる表示輝度である。従って、補正階調は、各光源8〜13から上記のように設定された発光輝度で光が出射されたときに、表示画面の各部において必要とされる表示輝度を得るために各画素において必要とされる開口率を算出するための値である。
補正階調の算出は、上記した高周波信号の重畳に基いても行われ、高周波信号が重畳された入力信号に対する補正階調は、1段階又は2段階の変化となるように設定される。図7は1段階又は2段階の変化に設定された補正階調を示す図であり、横軸は表示画面の位置(画素の位置)を示し、縦軸は補正階調の値を示している。
図7に示すように、2段階の変化は、例えば、補正階調9と補正階調11(範囲A)や補正階調10と補正階調12(範囲C)を往復するように設定され、1段階の変化は、例えば、補正階調10と補正階調11(範囲B)を往復するように設定される。これらの1段階に変化された補正階調と2段階に変化された補正階調は、例えば、交互に連続して設定される。
このように1段階に変化された補正階調と2段階に変化された補正階調を連続して設定することにより、実質的に補正階調の値が増加することになる。上記した例においては、補正階調9と補正階調11(範囲A)を往復するように設定することにより平均値として補正階調10が設定され、補正階調10と補正階調11(範囲B)を往復するように設定することにより平均値として補正階調10.5が設定され、補正階調10と補正階調12(範囲C)を往復するように設定することにより平均値として補正階調11が設定され、補正階調10.5が設定される分、補正階調の値が増加する。
図8は、設定された補正階調を、表示画面の全体の位置において示した図である。尚、本例は、表示画面の全体を略均一の表示輝度で表示しようとする場合に、各光源のうち一部の光源の発光輝度を抑制し、他の光源を当該一部の光源より高い発光輝度で発光させるようにした場合を示し、範囲Tにおいて光源の発光輝度が抑制されている。図8には、入力される画像信号の全体に高周波信号が重畳された例を示してある。
図8に示すように、範囲Tにおいて、補正階調の値が段階的に変化されている。図9は、補正階調の段階的な変化の状態を拡大して示す図である。
尚、上記した補正階調の算出時には、液晶パネル5の表示ムラを補正するデータをメモリ16から読み出し、このデータを考慮して補正階調の算出が行われる。
ステップS5で設定した各光源8〜13の発光輝度に基づいた発光駆動信号を光源制御回路15から各光源8〜13に送出し、該各光源8〜13を設定した発光輝度で発光させる。同時に、ステップS6で算出した補正階調に基づいて補正された表示駆動信号を液晶パネル制御回路14から液晶パネル5の各画素に送出し、各フィールドの画像を表示画面に表示させる(ステップS7)。液晶パネル制御回路14から液晶パネル5の各画素に表示駆動信号が送出されると、各画素が表示駆動信号に基づいた開口率となるように制御され、各光源8〜13から出射された光の各画素に対する透過状態が制御される。
従って、表示画面の各部において、入力された画像信号に応じた表示輝度が得られた状態で画像が表示される。
図10は、表示画面に画像が表示されたときの輝度分布状態を示す図である。図10に示すように、上記したステップS1乃至ステップS7の処理行うことにより、表示画面の全体において略均一な表示輝度が得られる。
以下に、上記したステップS1〜ステップS7(図6参照)において行われる制御の具体的な方法について説明する。
バックライト3の光源数をN(Nは2以上の整数)とすると、本例においてはN=6である。
液晶表示装置1にあっては、上記したように、光源の分割数N(=6)に対応した数で、図2に示すように、表示画面が領域A1〜A6の6つの領域に分割されている。
領域A1〜A6のそれぞれについて、入力される画像信号によって定まる最大表示輝度Ln_max(n=1〜6)を求める。最大表示輝度Ln_maxとは、領域A1〜A6のそれぞれの各部の中で最大の表示輝度となる値を言う。
ここで全白の表示輝度(液晶パネル、バックライト共に白ピーク設定(通常、液晶パネルの開口率100%、バックライトの出力100%)の場合)をL_peakとし、表示画面の各領域A1〜A6について全白の表示輝度L_peakに対する最大表示輝度Ln_maxの比率αn(n=1〜6)を求める。
αn=(Ln_max/L_peak)・・・(1)
比率αnは、領域A1〜A6に対応する光源8〜13の発光輝度を何割抑制することができるかを示すリカバリー限界である。即ち、液晶パネル5の表示輝度は「液晶パネル(偏光板を含む)の開口率×バックライトの発光輝度」で定まるが、リカバリー限界とは、それ以上バックライトの発光輝度を下げると液晶パネルの開口率を100%に設定しても最大表示輝度Ln_maxが得られなくなる値である。
尚、上記には、各領域A1〜A6の最大表示輝度Ln_maxに基づいてリカバリー限界αnの値を求めるようにしたが、画像内容によっては各領域A1〜A6の平均表示輝度Ln_aveに基づきαn′=(Ln_ave/L_peak)によりリカバリー限界αn′の値を求めて輝度制御を行うことも可能である。リカバリー限界αn′の値を求めて制御を行う場合には、完全な原画像を再現することは困難であるが、見た目に影響の少ない範囲で原画像を再現することが可能である。
各領域A1〜A6の表示輝度には、上記したように、それぞれ領域A1〜A6の直後に位置する光源8〜13の発光輝度以外に他の光源8〜13の発光輝度も寄与するため、各領域A1〜A6の真後ろに位置する光源8〜13の発光輝度を領域A1〜A6のリカバリー限界αnに応じて各別に制御するだけでは、領域A1〜A6の直後に位置しない光源8〜13の発光輝度を考慮した制御を行うことができない。
そこで、領域A1〜A6の直後に位置しない光源8〜13の発光輝度をも考慮して光源8〜13ごとの発光率βn(n=1〜6)を求める。発光率βnとは、各光源8〜13の最大発光輝度(白ピーク設定時)に対する実際の各光源8〜13の発光輝度の割合を示す値であり、0≦βn≦1の範囲で求められる。
発光率βnの算出は、各領域A1〜A6に対する各光源8〜13の輝度寄与率KX、Y(図5参照)を用いて行う。図5に示した光源8〜13の輝度寄与率のデータは、上記したように、予めメモリ16に記憶されており、発光率βnの算出時にメモリ16に記憶された光源8〜13の輝度寄与率のデータが読み出される。
輝度寄与率KX、Yにおいて、Xは領域A1〜A6を示し、Yは光源8〜13を示す。例えば、K1、1は領域A1に対する1番上に位置する光源8の輝度寄与率を示し、例えば、K2、3は領域A2に対する上から3番目に位置する光源10の輝度寄与率を示す。図5に示すように、輝度寄与率は光源8〜13ごとに各領域内において一定とされていないが、メモリ16には、輝度寄与率KX、Yとしては、例えば、領域A1〜A6のそれぞれ中央におけるデータが記憶されている。
発光率βnは、下記に示す多元連立方程式(不等式)を解くことによって求められる。
K1、1・β1+K1、2・β2+K1、3・β3+K1、4・β4+K1、5・β5+K1、6・β6≧α1・・・(2)
K2、1・β1+K2、2・β2+K2、3・β3+K2、4・β4+K2、5・β5+K2、6・β6≧α2・・・(3)
K3、1・β1+K3、2・β2+K3、3・β3+K3、4・β4+K3、5・β5+K3、6・β6≧α3・・・(4)
K4、1・β1+K4、2・β2+K4、3・β3+K4、4・β4+K4、5・β5+K4、6・β6≧α4・・・(5)
K5、1・β1+K5、2・β2+K5、3・β3+K5、4・β4+K5、5・β5+K5、6・β6≧α5・・・(6)
K6、1・β1+K6、2・β2+K6、3・β3+K6、4・β4+K6、5・β5+K6、6・β6≧α6・・・(7)
多元連立方程式を用いて発光率βn(0≦βn≦1)を算出すると、この発光率βnを満たすように各光源8〜13の発光輝度を設定する。
尚、上記した多元連立方程式は、バックライトの分割数に応じてnの数が変化するだけであるため、バックライトの構成に拘わらず使用することができる。
また、上記には、光源8〜13ごとにβnを求める例を示したが、例えば、赤、緑、青の原色ごと又はバックライト3の発光色ごとに、各別にβnを算出して輝度制御を行うことも可能である。
図11は、ある画像信号が入力されたときに、上記の方法を用いて発光率βnを算出し、バックライト3の各光源8〜13の発光輝度を制御した状態を示す一例である。
図11中、横軸は表示画面の垂直方向における位置を示す。図11中、上側のグラフは実線で繋いだ各点のデータが各領域A1〜A6におけるリカバリー限界αnを示し、点線で繋いだ各点のデータが各領域A1〜A6における光源8〜13の発光率βnの合計値を示し、下側のグラフは各光源8〜13の輝度寄与率を示す。
図11に示す例においては、領域A4の表示輝度が最も低く、領域A4から離れるに従って表示輝度が高くなり、領域A1の表示輝度が最も高い。光源11の発光輝度は0に近く、光源10、12の発光輝度は低く、光源8、9、13の発光輝度は光源10、11、12の発光輝度より高く設定されている。
図11に示すように、発光率βnはリカバリー限界αnに近い値で設定されており、光源8〜13の発光輝度が効率的に制御されている。
このようにリカバリー限界αn及び輝度寄与率KX、Yを用い、多元連立方程式を解くことによって光源8〜13の発光率βnを求めて各光源8〜13の発光輝度を制御することにより、画像の表示状態に応じて各光源8〜13の発光輝度を抑制することが可能となり、バックライト3の消費電力の低減を図ることができる。
上記のようにして発光率βnを算出し各光源8〜13の発光輝度を設定した後、以下に示すように、液晶パネル5の表示画面の各部の表示輝度を画像表示の際の最適値にするための各画素に対する補正階調を算出する。この補正階調は、上記したように、各光源8〜13から上記のように設定された発光輝度で光が発光されたときに、表示画面の各部において必要とされる表示輝度を得るために各画素に必要とされる開口率を算出するための値である。
補正階調は、図12に示す液晶パネル5の表示輝度特性についてのデータに基づいて算出する。図12中、横軸はバックライト3の出力を100%としたとき(全点灯時)の液晶パネル5の補正階調(電圧)S_dataを示し、縦軸は補正階調S_dataに対する液晶パネル5の表示輝度L_dataを示す。図12に示す表示輝度特性fのデータは予め求められており、メモリ16に記憶されている。
各画素について、全白の表示輝度L_peakと設定表示輝度L_setの比をγとする。設定表示輝度L_setとは、発光率βnに基づいて発光輝度が設定された光源8〜13から光が出射された場合に画素が開口率100%とされたときの表示輝度を言う。
γ = L_peak/L_set・・・(8)
画像信号が入力されたときに表示される画像(原画像)の補正階調S_dataは、上記したように、図12に示すデータにより表示輝度L_dataに基づいて定められる。
L_data =f(S_data) ・・・(9)
また、設定表示輝度L_setに対する補正階調S_data′は、全白の表示輝度L_peakと設定表示輝度L_setの比γ及び補正階調S_dataに基づいて以下の式によって算出される。補正階調S_data′が、各画素において必要とされる開口率を算出するための補正階調となる。
S_data′=f(γ×L_data)-1・・・(10)
補正階調S_data′となるように各画素の開口率を設定することにより、原画像が所定の表示輝度で再現される。
液晶表示装置1にあっては、上記した各画素に対する補正階調の算出時に、以下のようにして、液晶パネル5の表示ムラを補正する処理が行われる。
液晶パネル5が全白の表示輝度L_peakとされるときには、液晶パネル5において表示ムラが生じる。この表示ムラは液晶パネル5の表示輝度に関与する構成部品、例えば、画素(液晶)や各光源等の成形精度等に起因する。
以下に、表示ムラを防止する方法について説明する(図13及び図14参照)。
図13に示すように、表示画面の各部の表示輝度において、全白の表示輝度L_peakの最小値を均一表示輝度L_flatとする。このとき表示画面の各部において特異的に表示輝度が低い部分がある場合には、その低い表示輝度を無視して均一表示輝度L_flatを設定してもよい。
次に、各画素に対して全白の表示輝度L_peakに対する均一表示輝度L_flatの比H(=L_flat/L_peak)を算出し、この比Hをムラ補正係数としてメモリ16に記憶させる。
図14に、図13の表示輝度の状態に対して算出したムラ補正係数Hを示す。
上記のようにしてムラ補正係数Hを算出し、補正階調S_data′をムラ補正係数Hを含めて以下の計算式によって算出することにより、液晶パネル5の表示ムラを防止することができる。
S_data′=f(H×γ×L_data)-1・・・(11)
以上に記載した通り、液晶表示装置1にあっては、画素における2.5mm角以上の範囲に輝度に関して同一レベルの画像信号が入力されるときに、当該入力される画像信号に高周波信号を重畳して輝度に関して同一レベルの画像信号が入力された範囲において各画素に対する補正階調を1段階の変化又は2段階の変化となるように設定し、補正階調の1段階の変化と2段階の変化を連続させるようにしている。
従って、補正階調の値が実質的に増加するため、画素の開口率に関する制御を高精度に行うことが可能となり、発光輝度を抑制したときの輝度ムラの発生を防止することができ、消費電力の低減を図りつつ画質の向上を図ることができる。
また、表示装置1にあっては、補正階調の1段階の変化と2段階の変化を交互に連続させるようにしているので、補正階調の値が実質的に2倍に増加し、画素の開口率に関する制御をより高精度に行うことが可能となり、消費電力の低減を図りつつ画質の一層の向上を図ることができる。
尚、表示装置1にあっては、バックライト3を構成する各光源8〜13の発光輝度を個別に制御しているが、各光源8〜13からそれぞれ出射される光を仕切る構成としていないため、光量制御を行わない従来の液晶表示装置と同様の簡単な構成とすることができる。
また、液晶表示装置1にあっては、光源8〜13の発光輝度と液晶パネル5の各画素の開口率の制御時に、液晶パネル5が有する表示ムラを補正する処理も行われるため、一層の画質の向上を図ることができる。
さらに、液晶表示装置1にあっては、液晶パネル5の表示ムラを補正するデータ、各光源8〜13から出射された光の分布状態についてのデータ、光源8〜13の発光輝度が領域A1〜A6の表示輝度に対してどの程度寄与しているかを示す輝度寄与率のデータ等の異なる種類のデータが一つのメモリ16に記憶されているため、これらの各データを各別に記憶させる複数のメモリを必要とせず、コストの増大を来たすことなく制御動作を行うことができる。
次に、光源8〜13の発光輝度の制御量と各画素に対する補正階調に関してダイナミックレンジを拡大する制御例について説明する(図15及び図16参照)。
上記には、メモリ16に記憶される表示輝度特性のデータとして図12に示すデータを用いたが、メモリ16に記憶される表示輝度特性のデータとして他のデータを用いることによりダイナミックレンジの拡大が可能である。
図12に示したデータは、バックライト3が点灯している状態で黒色(黒レベル)を表現する表示輝度特性fを有するデータであるが、例えば、図15に示すように、バックライト3を消灯させた状態で黒レベルを表現する表示輝度特性f′を有するデータを用いることも可能である。このようなデータを用いることにより、光源8〜13の発光輝度の制御量と各画素に対する補正階調に関してダイナミックレンジを拡大することができる。
図16のフローチャート図を参照して、光源8〜13の発光輝度の制御量と各画素に対する補正階調に関してダイナミックレンジを拡大する際の画面表示に関する制御の処理例について説明する。この制御は、制御部4の液晶パネル制御回路14及び光源制御回路15によって実行され、液晶パネル制御回路14に1フィールドの画像信号が入力されるごとに行われる。
先ず、ステップS11〜ステップS15の処理を順次行う。ステップS11〜ステップS15の処理は、それぞれ図6に示したステップS1〜ステップS5の処理と同じである。
次に、液晶パネル5の表示画面の各部の表示輝度を画像表示の際の最適値にするための各画素に対する補正階調を算出する(ステップS16)。この補正階調の算出は、メモリ16に記憶されている図15に示す表示輝度特性f′を有するデータを読み出して行う。補正階調の算出を、図15に示す表示輝度特性f′を有するデータを用いて行うことにより、光源8〜13の発光輝度の制御量と各画素に対する補正階調に関するダイナミックレンジが拡大される(ステップS17)。
次いで、ステップS16及びステップS17で算出した補正階調に基づいて補正された表示駆動信号を液晶パネル制御回路14から液晶パネル5の各画素に送出し、各フィールドの画像を表示画面に表示させる(ステップS18)。液晶パネル制御回路14から液晶パネル5の各画素に表示駆動信号が送出されると、各画素が表示駆動信号に基づいた開口率となるように制御され、各光源8〜13から出射された光の各画素に対する透過状態が制御される。ステップS18の処理は、図6におけるステップS7の処理と同じである。
上記のように、光源8〜13の発光輝度の制御量と各画素に対する補正階調に関するダイナミックレンジを拡大することにより、画質の向上を図ることができる。尚、ダイナミックレンジの拡大処理は、例えば、赤、緑、青の原色ごと又はバックライト3の発光色ごとに行うことも可能である。
上記には、画像信号に高周波信号を重畳して輝度に関して同一レベルの画像信号が入力された範囲において各画素に対する補正階調を1段階の変化又は2段階の変化となるように設定することにより画質の向上を図るようにした例を示したが、本発明の比較例としては、以下に示すように、隣接する画素に対して輝度に関して同一レベルの画像信号が入力されるときに算出される当該隣接する画素に対する補正階調の少なくとも一方を、画像信号が入力される画素からずれて位置されている画素に対して割り当てる処理を行うことにより画質の向上を図ることができる。
この処理例のフローチャート図を図17に示す。
この処理における制御も、上記した制御と同様に、制御部4の液晶パネル制御回路14及び光源制御回路15によって実行され、液晶パネル制御回路14に1フィールドの画像信号が入力されるごとに行われる。
液晶パネル制御回路14に1フィールドの画像信号が入力されると(ステップS21)、入力された画像信号によって生成される1画像(原画像)の表示輝度の分布が液晶パネル制御回路14によって検出される(ステップS22)。従って、各領域A1〜A6の表示輝度、例えば、領域A1〜A6ごとの各部の表示輝度を平均した平均表示輝度が検出される。
検出した表示輝度の分布に基づいて、バックライト3を構成する各光源8〜13の発光輝度がそれぞれ設定される(ステップS23)。この発光輝度の設定時には、領域A1〜A6の各表示輝度に対する各光源8〜13の発光輝度の輝度寄与率が考慮される。具体的には、メモリ16に予め記憶されている上記輝度寄与率のデータ(図5参照)を用いた連立方程式により、各光源8〜13の発光輝度が設定される。発光輝度の設定は上記した連立方程式((2)乃至(7))に基づいて行われる。
次に、上記のように各光源8〜13の発光輝度を設定した上で、液晶パネル5の表示画面の各部の表示輝度を画像表示の際の最適値にするための各画素に対する補正階調を算出する(ステップS24)。
補正階調の算出は、設定した各光源8〜13の発光輝度と表示画面の各部における表示輝度の最適値とのずれ量に基づいて行う。
尚、上記した補正階調の算出時には、液晶パネル5の表示ムラを補正するデータをメモリ16から読み出し、このデータを考慮して補正階調の算出が行われる。
次に、隣接する画素に対して輝度に関して同一レベルの画像信号が入力されるときに算出される当該隣接する画素に対する補正階調の少なくとも一方を、所定量ずれて位置される画素に対して割り当てる処理を行う(図18参照)。
図18は、例として、5つのラインにおいて垂直方向で隣接する画素に対して輝度に関して同一レベルの画像信号が入力される場合を示した図である。ラインA乃至ラインFにおいて垂直方向で隣接する画素に対して輝度に関して同一レベルの画像信号が入力されると、以下の処理を行わない場合には、図18(a)に示すように、連続したパターンが生じ、これが輝度ムラとして認識され得る。
本例においては、各画素に対して設定された補正階調を水平方向においてずれた画素に割り当てる処理を行う(図18(b)参照)。図18(b)は、設定された補正階調を交互に2画素ずつずらして割り当てた例を示すものである。
このように補正階調を水平方向においてずれた画素に割り当てる処理を行うことにより、連続したパターンが垂直方向において不連続となり、輝度ムラとして認識され難くなる。
以上に記載した通り、液晶表示装置1にあっては、隣接する画素に対して輝度に関して同一レベルの画像信号が入力されるときに算出される当該隣接する画素に対する補正階調の少なくとも一方を、画像信号が入力される画素からずれて位置されている画素に対して割り当てる処理を行うことにより、発光輝度を抑制したときの輝度ムラの発生を防止することができ、消費電力の低減を図りつつ画質の向上を図ることができる。
尚、上記した制御における補正階調の割り当ては、垂直方向においてずれた画素に対して行ってもよく、また、ずらす量(画素数)も任意に設定することが可能である。
また、上記には、隣接する画素に対する補正階調の両方を、ずれて位置された画素に対して割り当てる例を示したが、例えば、隣接する画素に対する補正階調の一方のみを、ずれて位置された画素に対して割り当てることも可能である。
尚、上記には、光源の数として6個を例として示したが、光源の数は6個に限られることはなく、光源の数は複数であれば任意である。
さらに、表示画面の領域の分割数も6個に限られることはなく、任意である。
尚、上記には、消費電力の低減を図りつつ画質の向上を図るための方法として、入力される画像信号に高周波信号を重畳し補正階調の1段階の変化と2段階の変化を連続させる方法と、補正階調の少なくとも一方を画像信号が入力される画素からずれて位置されている画素に対して割り当てる処理を行う方法の2つの方法を示したが、これらの2つの方法を両方とも行い、消費電力の低減を図りつつ画質の向上を図るようにすることも可能である。