JP4888182B2 - 移動体の制御装置及びそれを備えた移動体 - Google Patents

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Description

本発明は、障害物を避けながら移動体を自律走行させるための移動体の制御装置およびそれを備えた移動体に関する。
従来、移動体に障害物回避をさせるには、従来技術1:現在位置から目標位置までを有限区間に分割し分割した区間毎に障害物有無を確認して回避経路を探索する方法(例えば、特許文献1)や、従来技術2:目標位置からは引力が、障害物からは斥力が、それぞれ発生するようなポテンシャル場を移動環境中に仮想的に設定し、ポテンシャル場の傾きに沿うように移動体を誘導制御する方法(例えば、特許文献2)、などがあった。
しかし、従来技術1、2は何れも目標位置までの障害物情報が既知である必要があるため、移動体に搭載した外界センサで逐次環境を計測しながら目標位置に向かう移動体にはそのまま適用することはできない。
これに対して特許文献3では、移動体側面に配設した一または複数の指向性センサにより水平面内で移動体進行方向を中心とした放射状に環境表面までの距離を取得し、取得した距離とその方角の軌跡から導出した多項式近似式の極大点に対応する方角を一時的な回避進行方向に逐次設定することで予期せぬ障害物を安定的に回避する方法が開示されている。
図8は特許文献3における障害物回避アルゴリズムの流れ図である。図において、S1は移動体の進行方向を中心として、水平面内で放射状に複数の検出距離を取得するステップ、S2は予め設定しておいた有効範囲外の検出データを除去するステップ、S3は取得した検出距離の何れも障害物を検出しないか否かを判別するステップ、S4は初期の到達目標に向けて走行を続行するステップ、S5は全検出距離が予め設定した閾値より小さいか否かを判別するステップ、S6は障害物を回避不可として移動体を停止するとともに警告手段により外部へ警告を発信するステップ、S7は各検出方位角に対する検出距離からなるデータ点列より多項式近似式を導出するステップ、S8は前記導出した多項式近似式から極大点を抽出し移動体の回避進行方位として設定するステップ、S9は前記設定された回避進行方位に重み付け係数を掛けるステップ、S10は回避指令により回避進行方位を修正し修正した回避進行方位により一時的な目標位置を設定し該目標位置に向けて走行するステップである。
本方法は、各検出方位角に対する検出距離を多項式にて近似することにより、検出距離を取得していない方位を補間することを特徴としている。不規則に分布する検出データ列であっても多項式近似で補間することにより移動体周囲の走行環境を大まかに取得することができる。このようにして導出した多項式近似式から極大点を抽出し、移動体の回避進行方位として設定するのである。
図9はセンサ群により取得した各検出距離を示しており、その近似処理を説明するための図である。図において901は移動体、902はセンサで取得した検出距離、903はステップS7で導出した多項式近似式に相当する多項式近似曲線、904は前記多項式近似式の極大点、905はステップS8で得られる回避進行方位である。障害物が存在しない領域は多項式近似した検出距離が他と比べて非常に大きくなるため、これを回避進行方位とすれば障害物を回避し得る。
特開平07−64633号公報(第6頁、図1) 特開2001−154706号公報(第4頁、図1) 特開2005−316759号公報(第11頁、図1、図4)
特許文献1や特許文献2のような方法で移動体に障害物回避をさせる移動体の制御装置は、目標位置までの障害物情報が既知であることを前提としているため、未知の障害物が存在する環境では適用できないという問題がある。
特許文献3の方法は、多項式近似式の極大点のみを回避進行方向決定の指針としているため、例えば袋小路状の環境に入り込んで停止状態に陥る危険性が高いという問題がある。図9において回避進行方位905は検出距離の多項式近似式の極大点と同一方向に設定されているが、該方位には障害物による袋小路が存在している可能性が高く、一旦袋小路に陥ってしまうと検出距離が全てステップS5の閾値を下回るため、ステップS6で回避不可能として停止せざるを得ない。特許文献3の方法は必ずしも適切な回避経路を与えるものではないのである。
このような問題点に対し、本発明は、障害物を外界センサで検出してこれを回避せしめ、最終的な目標位置にまで確実に誘導制御させるための移動体の制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のように構成した。
請求項1に記載の発明は、移動体に搭載されて前記移動体の周囲の障害物を複数の測定点で測定し、前記複数の測定点ごとに障害物までの距離と方角とを測定点情報として計測する環境計測部と、前記環境計測部で得られた前記測定点情報を用いて前記移動体が通過可能な領域を探索する経路探索部と、前記通過可能な領域内を通り、与えられた目標位置に到達するよう前記移動体を誘導制御する動作制御部と、を備えた移動体の制御装置において、前記経路探索部は、隣接する測定点間の距離をそれぞれ計算し、計算した当該測定点間距離が予め設定した測定点間閾値dthreshouldよりも小さい場合は、当該2つの測定点は同じ測定点列Ckに属するものと判断し、前記測定点間距離が測定点間閾値dthreshouldよりも大きい場合は、当該2つの測定点はそれぞれ別の測定点列Ckに属するものと判断し、前記測定点列Ckごとに、前記測定点情報に基づいて、障害物と接触することなく走行できる前記移動体の方位角度αk及びβkを求め、前記測定点列Ckごとに求められた全ての前記方位角度αkから前記方位角度βkまでの角度範囲以外を前記通過可能角度領域と判断するものである。
求項に記載の発明は、前記経路探索部が、前記方位角度αk及びβkを求める際、前記移動体を上から見たときの外形を円弧で近似した径を用いるものである。
請求項に記載の発明は、前記経路探索部は、前記測定点情報のうち、前記測定点の前記距離が予め設定した距離閾値よりも小さな前記測定点だけを用いて前記測定点列Ckを判断するものである。
請求項に記載の発明は、前記距離閾値は、前記移動体が停止するまでに必要な制動距離よりも大きな値に設定されるものである。
請求項に記載の発明は、前記経路探索部は、前記通過可能角度領域が探索できなかった場合、前記距離閾値を小さくしてから再度前記通過可能角度領域を探索するものである。
請求項に記載の発明は、前記経路探索部が前記距離閾値を小さくした場合、前記動作制御部は前記移動体が停止するまでに必要な制動距離が短縮されるよう前記移動体の移動速度の最高速度を制限するものである。
請求項に記載の発明は、前記距離閾値は、前記移動体の現在位置から前記目標位置まで目標移動距離に、前記移動体を上から見たときの外半径を足した値よりも小さく設定されるものである。
請求項に記載の発明は、前記動作制御部は、前記目標位置への方向と前記角度領域とを比較し、前記目標位置への方向が前記通過可能角度領域内であれば、前記目標位置に直線的に向かうよう前記移動体を誘導制御するものである。
請求項に記載の発明は、前記動作制御部は、前記目標位置への方向と前記角度領域とを比較し、前記目標位置への方向が前記通過可能角度領域外であれば、前記通過可能角度領域内で前記目標位置への方向に最も近い方向を探索し、該方向に向かうよう暫定的に移動体を誘導制御するものである。
請求項1に記載の発明は、前記動作制御部は、前記経路探索部が前記通過可能角度領域を探索できなかった場合に、前記移動体を減速停止させるものである。
請求項1に記載の発明は、前記動作制御部は、前記移動体が前記通過可能角度領域外に向かっていたら停止させるものである。
請求項1に記載の発明は、前記環境計測部は、レーザーレンジファインダーを含むものである。
請求項1に記載の発明は、前記環境計測部は、超音波センサアレイを含むものである。
請求項1に記載の発明は、前記環境計測部は、三次元視覚センサを含むものである。
請求項1に記載の発明は、周囲の環境を計測しながら与えられた目標位置まで到達するよう自律移動する移動体において、前記移動体に搭載されて前記移動体の周囲の障害物を複数の測定点で測定し、前記複数の測定点ごとに障害物までの距離と方角とを測定点情報として計測する環境計測部と、前記環境計測部で得られた前記測定点情報を用いて前記移動体が通過可能な領域を探索する経路探索部と、前記通過可能な領域内を通り、与えられた目標位置に到達するよう前記移動体を誘導制御する動作制御部と、を備え、前記経路探索部は、隣接する測定点間の距離をそれぞれ計算し、計算した当該測定点間距離が予め設定した測定点間閾値dthreshouldよりも小さい場合は、当該2つの測定点は同じ測定点列Ckに属するものと判断し、前記測定点間距離が測定点間閾値dthreshouldよりも大きい場合は、当該2つの測定点はそれぞれ別の測定点列Ckに属するものと判断し、前記測定点列Ckごとに、前記測定点情報に基づいて、障害物と接触することなく走行できる前記移動体の方位角度αk及びβkを求め、前記測定点列Ckごとに求められた全ての前記方位角度αkから前記方位角度βkまでの角度範囲以外を前記通過可能角度領域と判断するものである。
請求項1に記載の発明は、前記動作制御部が前記移動体を誘導制御する際の状態を表示する状態通知部を備えたものである。
請求項1に記載の発明は、前記環境計測部の計測結果と前記通過可能角度領域とを画面表示する計測結果表示装置を前記移動体の外周面に備えたものである。
請求項1に記載の発明は、前記環境計測部が、前記移動体の上から見た中心の位置に設置されているものである。
請求項19に記載の発明は、前記環境計測部が、前記移動体の上から見た中心から偏心した位置に搭載されているとき、前記環境計測部は、前記偏心の量に基づいて、前記測定点を前記移動体の中心からの前記距離と方角に計算してから出力するものである。
請求項2に記載の発明は、前記環境計測部は、前記偏心の量を入力可能なインターフェースを備えたものである。
請求項1記載の発明により、移動体の通過可能領域を正しく探索し、移動体を障害物に接触させることなく目標位置にまで確実に誘導制御させることができる。また、障害物に接触せずに通行可能な領域を正しく簡潔に表現し出力する経路探索部を提供できる。また、通過可能な角度領域を簡単に求めることができる。
求項記載の発明により、移動体は未知障害物が出現した場合でも障害物に接触することなく安全に停止可能となる。
請求項記載の発明により、前記経路探索部は広大な空間では無駄な動作が少なく済むような通過可能領域のみを探索出力し、狭隘路においては可能な限り多くの通過可能領域を探索出力できる。
請求項記載の発明により、狭隘路であっても障害物に接触することなく安全に移動体を誘導制御できる。
請求項記載の発明により、探索に要する計算量を制限できる。
請求項記載の発明により、移動体を最短で目標位置に到達させることができる。
請求項記載の発明により、移動体は障害物を確実に回避しつつ与えられた目標位置に最も早く到達することができる。
請求項1記載の発明により、回避不可能な障害物が存在した場合でも該障害物との接触を未然に防ぎ、安全に減速停止させられる。
請求項1記載の発明により、未知障害物が出現した場合に移動体を速やかに減速停止させ、該障害物との接触を未然に防げる。
請求項1記載の発明により、移動体周囲の環境表面までの距離と方角を広範囲にわたって正確かつ子細に取得できる。
請求項1記載の発明により、移動体周囲の環境表面が透明な物体である場合でも確実に検出できる。
請求項1記載の発明により、移動体周囲の環境を広範囲にわたって三次元的に計測でき、レーザーレンジファインダーの計測範囲外にある障害物、例えば壁面から突出あるいは浮遊している障害物など、を確実に検出できる。
請求項1記載の発明により、通過可能領域を正しく探索し、移動体を障害物に接触させることなく目標位置にまで確実に到達する移動体を提供できる。また、環境計測部、経路探索部および動作制御部を個別に設計、開発および製造できるため、移動体の構成自由度が高まるばかりか、構成に要する労力を軽減できる。
請求項1記載の発明により、移動体管理者は常に移動体が障害物を回避中か否かを監視できる。また、移動体管理者は回避不可能な障害物の出現を検知し、これに対応できる。
請求項1記載の発明により、移動体管理者は移動体周囲の状況を視覚的にとらえられる。
請求項1記載の発明により、移動体中心まわりの環境情報を簡単に取得でき、計算量を節約できる。
請求項19記載の発明により、移動体の環境計測部の設計自由度を高められる。
請求項2記載の発明により、前記環境計測部の設置位置を変更した場合でも正しく環境情報を取得できる。
続いて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明が提供する移動体の制御装置の構成ブロック図である。図において101が本発明の移動体の制御装置、102が環境計測部、103が経路探索部、104が動作制御部、111が測定点情報信号、112が通過可能領域信号、113が動作制御信号である。
環境計測部102は、移動体中心から移動体周囲の環境表面までの距離と方角を複数点計測し、計測結果を測定点情報信号111として経路探索部103に送信するものであって、本実施例ではレーザーレンジファインダー(LRF)と図示しない計算機1である。経路探索部103は測定点情報信号111を用いて前記移動体が通過可能な領域を探索し、結果を通過可能領域信号112として動作制御部104に出力するものであって、本実施例では計算機1とは異なる図示しない計算機2である。動作制御部104は通過可能領域信号112および移動体の現在状態にもとづいて移動体の動作を決定し、動作制御信号113を生成し出力するものであって、本実施例では。前記計算機1および2とは異なる図示しない計算機3である。計算機3は、決定した動作に応じて通常走行中、回避動作中、回避経路なし、のいずれかの信号を状態通知信号として外部出力する状態通知部としての役割も担う。
図2は本発明が提供する移動体の上視図(a)および側視図(b)である。図において、201は移動体、202はレーザーレンジファインダー(LRF)、210は移動体201の中心点、211は移動体の正面方向、212は移動体201の上視図に対して設定した座標軸x、213は移動体201の上視図に対して設定した座標軸y、214はLRF202の中心点、215は移動体中心210に対するLRF202の中心点214のx座標xs、216は移動体中心210に対するLRF202の中心点214のy座標ys、217はLRF202の計測可能範囲である。LRF202は、その正面方向211まわりの一定角度領域をレーザー光で走査し反射光を検出することで、その中心点214から領域内の複数の測定点までの方位角度φ'と距離ρ'とを取得する。その計測可能範囲217は、計測可能角度と計測可能距離とによって扇形となる。
次に、環境計測部102の図示しない計算機1における処理を説明する。計算機1はLRF202と接続しており、まずLRF202の計測結果をもとに移動体中心210に対する各測定点の方位角度φと距離ρとを計算する。具体的には、以下の計算式1によって(φ、ρ)を計算するのである。なお、xsおよびysは移動体201上の設計にもとづく値を計算機1のメモリ上に予め格納しておく。そして、計算機1にはこの値を変更するための数値モニタと数値キーボードを備える。また、xsおよびysがともに0となるようにLRF202を設置すれば、式1の計算が不要となるため計算量を節約することができる。
図3はLRF202で得られる測定点までの方位角度φ'と距離ρ'および計算機1で得られる移動体中心210に対する各測定点の方位角度φと距離ρとの関係を説明するための図である。煩雑さを避けるため、図2中の移動体201は図示省略されている。図において、301は移動体201周囲の障害物、302は障害物301上の一測定点、303および304は移動体正面方向203を基準としてLRF中心点214からみた測定点302のそれぞれ方位角度φ'と距離ρ'、305および306は移動体正面方向203を基準として移動体中心点210からみた測定点302のそれぞれ方位角度φと距離ρである。式1によって、LRF202によって得られた測定点情報を移動体201の中心点210を基準とした値に変換し、結果は測定点情報信号111として経路探索部103すなわち図示しない計算機2に出力する。
図4は本実施例における経路探索部103すなわち本実施例における計算機2内部の処理を示した流れ図である。図においてS100は新しい測定点情報信号111を取得して処理を開始するステップ、S101は該測定点情報の距離ρが距離閾値Dthreshouldよりも小さなものだけを抽出するステップ、S102はS101で抽出された測定点のうち連続するものを測定点列としてまとめて番号付けし格納するステップ、S103は各測定点列について後述する角度αおよびβを計算するステップ、S104は補助整数変数iを1から測定点列の個数であるmまで1ずつ増加させるループの先頭ステップ、S105は補助整数変数jをi+1からmまで1ずつ増加させるループの先頭ステップ、S106は次の論理式2の真偽に応じて次に進むステップを切り替えるステップである。

そして、S107は現在のβiおよびαiを通過可能領域として保存し、ステップS105に始まるループを中断してステップS109に進むステップ、S108はステップS105に始まるループの終端ステップ、S109はステップS104に始まるステップの終端ステップ、ステップS110は通過可能領域探索処理を終了するステップである。
ステップS101により、環境計測部102で得られた測定点のうち移動体中心から距離Dthreshouldよりも遠い測定点は無視される。通過の可否に関係しない遠くの測定点情報を切り捨てることで、以降の計算量を節約するのである。ただし、距離閾値Dthreshouldは移動体201が停止するまでの走行する距離すなわち移動体201の制動距離よりも大きな値とする。この条件は、進行方向に障害物を検出したとき、障害物に接触する前に安全に停止するために必要である。距離閾値Dthreshouldを小さくする場合は、動作制御部104にて移動体201の速度を制限し、前記制動距離を短縮してもよい。
なお、この距離閾値Dthreshouldには移動体201の現在位置から目標位置までの距離に移動体の外半径を足したものに1以上の安全率をかけたものを用いてもよい。この場合、移動体が通過しない領域の情報を選択的に除去でき、通過可能領域探索処理の計算量を軽減できる。
ステップS102の処理内容を説明する。まず、最も方位角度が近い、すなわち隣接する測定点間の距離を計算する。計算した測定点間距離が予め設定した測定点間閾値dthreshouldよりも小さい場合は、該測定点は同じ測定点列に属するものとする。前記測定点間距離が測定点間閾値dthreshouldよりも大きな2測定点は、それぞれ別の測定点列に属するものとする。便宜上、測定点列は方位角度が小さいものから順に1、2、・・・と番号付けして管理する。測定点間閾値dthreshouldはLRF202の距離分解能よりも十分大きな値を適当に設定する。あるいは、移動体201の外半径よりも大きな数値Rvの2倍を設定する。図5は図3で示した例に対しステップS102の処理によって得られる測定点列を示した図である。図において501はk番目の測定点列である測定点列Ck、502はk+1番目の測定点列である測定点列Ck+1、503は測定点列Ck中のi番目の測定点である測定点pk i、504は測定点pk iの移動体中心210まわりの移動体正面方向203に対する方位角度φk i、505は測定点pk iの移動体中心210からの距離ρk i、506は半径Rvを有する移動体近似円である。ここでkは測定点列の番号を示す1以上の整数である。測定点列は、移動体201の周囲に散在する障害物に対応している。
ステップS103の処理内容を図4および図6を用いて説明する。ステップS103では、個々の測定点列に注目し、対応する測定点列に接触することなく進むことができる方角領域を求める。図6において、601は方位角度αk、602は方位角度βk、であって、それぞれ次の式3によって計算される値である。

移動体201の進行方向を方位角度範囲[αk、βk]以外とすれば、図6中の障害物301に接触することなく走行できる。
ステップS104からS109は、ステップS103で求めた測定点列k毎の角度αk、βkを統合することで通過可能領域を求める処理である。通過可能領域は、検出された全ての障害物に接触しないで走行可能な方位角度領域(βi、αj)として求められる。ここで方位角度領域(β、α)とは、方位角度がβより大きくαより小さい領域を指す。また、方位角度領域は移動体周囲の障害物配置によって複数求まる場合、1つも求まらない場合、があり得る。図7は求まった通過可能領域の例である。図において701、702は測定点列Ckについて求めたそれぞれαk、βk、703、704は測定点列Ck+1について求めたそれぞれαk+1、βk+1、705は通過可能領域に相当する方位角度領域(βk、αk+1)である。移動方向が方位角度領域705の内部であれば、移動体201は全ての障害物に接触することなく移動を継続することができる。求めた方位角度領域は通過可能領域信号112として動作制御部104すなわち計算機3に送信する。
続いて動作制御部104すなわち計算機3での処理について説明する。計算機3は移動体201の目標位置と経路探索部103から受信した通過可能領域信号112を用いて移動体201の動作制御信号113および状態通知信号を生成し出力する。まず、計算機3は通過可能領域信号112すなわち通過可能方位角度領域と目標位置方向とを比較する。前記目標位置方向が通過可能方位角度領域内であれば、動作制御信号113として目標位置に直線的に向かう指令を、状態通知信号として通常走行中を示す信号を、それぞれ生成し出力する。前記目標位置方向が通過可能方位角度領域外であれば、通過可能方位角度領域内で目標位置方向に最も近い方位角度を探索し、動作制御信号113として探索した方位に暫定的に向かう指令を、状態通知信号として回避動作中を示す信号を、それぞれ生成し出力する。ただし、通過可能方位角度領域が1つも求まらなかった場合、動作制御信号113として減速停止する指令を、状態通知信号として回避経路なし信号を、それぞれ生成し出力する。なお、移動体201の現在速度の向きが通過可能方位角度領域外であった場合には、動作制御信号113として減速停止する指令を、状態通知信号として回避動作中を示す信号を、それぞれ生成し出力する。
以上の処理を環境計測部102で測定点情報が得られる度に実行することにより、移動体201は常に障害物と接触しない通過可能領域に向かうように移動する。回避の結果目標位置に至る経路が通過可能領域に入れば、その後は目標位置に直線的に向かう。また、障害物が出現して当初の移動方向が通過可能領域外となった場合や通過可能領域が全く求まらなかった場合は、障害物との接触を防止するため減速停止する。このように、本発明によって移動体201を障害物を回避しつつ目標位置に向かうように移動体201を誘導制御できるのである。
また、状態通知部から状態通知信号を出力することで移動体の管理者あるいは操作者が移動体のおかれた状況を把握でき、特に回避動作中や回避経路なしの信号を受けた際には、障害物の除去や目標位置の変更などの適切な措置をとることができる。
本発明が従来技術と異なる部分は、移動体が各測定点側方まで移動したときに該測定点と移動体とが接触しない方角領域を通過可能領域として求める点である。少ない計算量で障害物回避に最低限必要な情報を有する通過可能領域情報が得られる。
また、本実施例では環境計測部にレーザーレンジファインダーと計算機1を用いたが、これに代えて超音波センサアレイや3次元視覚センサあるいはこれらの組み合わせを用いるような構成としてもよい。
更に、前記測定点情報信号111と通過可能領域信号112および動作制御信号113をそれぞれ無線出力し、測定点位置、通過可能領域、動作指令の向き、をそれぞれ外部モニタに重ねて表示させてもよい。管理者が表示によって移動体周囲の状況や移動体の動作状況を視覚的に確認できるのである。
障害物を回避しながら目標位置まで安全に到達することが求められるあらゆる移動体、例えば、物品搬送ロボットやサービスロボット、自動運転車両などに広く適用可能である。
本発明の移動体の制御装置の基本構成図 本発明の第1実施例を示す移動体の上視図(a)および側視図(b) 本発明の環境計測部における測定点情報の例を示した図 第1実施例の経路探索部における処理を示した流れ図 第1実施例の経路探索部における測定点列情報を示した図 第1実施例の経路探索部における測定点列Ckに対するαk、βkを示した図 第1実施例の経路探索部における通過可能領域算出法を示した図 従来の障害物回避アルゴリズムの流れ図 従来の障害物回避のためのセンサ群により取得した各検出距離を示した図
符号の説明
101 移動体の制御装置
102 環境計測部
103 経路探索部
104 動作制御部
111 測定点情報信号
112 通過可能領域信号
113 動作制御信号
201 移動体
202 レーザーレンジファインダー(LRF)
210 移動体201の中心点
211 移動体の正面方向
212 座標軸x
213 座標軸y
214 LRF202の中心点
215 LRF202の中心点214のx座標xs
216 LRF202の中心点214のy座標ys
217 LRF202の計測可能範囲
501 測定点列Ck
502 測定点列Ck+1
503 測定点pk i
504 測定点pk iの方位角度φk i
505 測定点pk iの移動体中心210からの距離ρk i
506 移動体近似円
601、701 方位角度αk
602、702 方位角度βk
703 方位角度αk+1
704 方位角度βk+1
705 方位角度領域(βk、αk+1)
901 移動体
902 センサで取得した検出距離
903 多項式近似曲線
904 多項式近似式の極大点
905 回避進行方位

Claims (20)

  1. 移動体に搭載されて前記移動体の周囲の障害物を複数の測定点で測定し、前記複数の測定点ごとに障害物までの距離と方角とを測定点情報として計測する環境計測部と、前記環境計測部で得られた前記測定点情報を用いて前記移動体が通過可能な領域を探索する経路探索部と、前記通過可能な領域内を通り、与えられた目標位置に到達するよう前記移動体を誘導制御する動作制御部と、を備えた移動体の制御装置において、
    前記経路探索部は、隣接する測定点間の距離をそれぞれ計算し、計算した当該測定点間距離が予め設定した測定点間閾値dthreshouldよりも小さい場合は、当該2つの測定点は同じ測定点列Ckに属するものと判断し、前記測定点間距離が測定点間閾値dthreshouldよりも大きい場合は、当該2つの測定点はそれぞれ別の測定点列Ckに属するものと判断し、
    前記測定点列Ckごとに、前記測定点情報に基づいて、障害物と接触することなく走行できる前記移動体の方位角度αk及びβkを求め、
    前記測定点列Ckごとに求められた全ての前記方位角度αkから前記方位角度βkまでの角度範囲以外を前記通過可能角度領域と判断する
    ことを特徴とする移動体の制御装置。
  2. 前記経路探索部が、前記方位角度αk及びβkを求める際、前記移動体を上から見たときの外形を円弧で近似した径を用いる
    ことを特徴とする請求項1記載の移動体の制御装置。
  3. 前記経路探索部は、前記測定点情報のうち、前記測定点の前記距離が予め設定した距離閾値よりも小さな前記測定点だけを用いて前記測定点列Ckを判断する
    ことを特徴とする請求項1記載の移動体の制御装置。
  4. 前記距離閾値は、前記移動体が停止するまでに必要な制動距離よりも大きな値に設定されている
    ことを特徴とする請求項記載の移動体の制御装置。
  5. 前記経路探索部は、前記通過可能角度領域が探索できなかった場合、前記距離閾値を小さくしてから再度前記通過可能角度領域を探索する
    ことを特徴とする請求項記載の移動体の制御装置。
  6. 前記経路探索部が前記距離閾値を小さくした場合、前記動作制御部は前記移動体が停止するまでに必要な制動距離が短縮されるよう前記移動体の移動速度の最高速度を制限する
    ことを特徴とする請求項記載の移動体の制御装置。
  7. 前記距離閾値は、前記移動体の現在位置から前記目標位置まで目標移動距離に、前記移動体を上から見たときの外半径を足した値よりも小さく設定されている
    ことを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の移動体の制御装置。
  8. 前記動作制御部は、前記目標位置への方向と前記角度領域とを比較し、前記目標位置への方向が前記通過可能角度領域内であれば、前記目標位置に直線的に向かうよう前記移動体を誘導制御する
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の移動体の制御装置。
  9. 前記動作制御部は、前記目標位置への方向と前記角度領域とを比較し、前記目標位置への方向が前記通過可能角度領域外であれば、前記通過可能角度領域内で前記目標位置への方向に最も近い方向を探索し、該方向に向かうよう暫定的に移動体を誘導制御する
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の移動体の制御装置。
  10. 前記動作制御部は、前記経路探索部が前記通過可能角度領域を探索できなかった場合に、前記移動体を減速停止させる
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の移動体の制御装置。
  11. 前記動作制御部は、前記移動体が前記通過可能角度領域外に向かっていたら停止させる
    ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の移動体の制御装置。
  12. 前記環境計測部は、レーザーレンジファインダーを含む
    ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の移動体の制御装置。
  13. 前記環境計測部は、超音波センサアレイを含む
    ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の移動体の制御装置。
  14. 前記環境計測部は、三次元視覚センサを含む
    ことを特徴とする請求項1 〜13のいずれか1項に記載の移動体の制御装置。
  15. 周囲の環境を計測しながら与えられた目標位置まで到達するよう自律移動する移動体において、
    前記移動体に搭載されて前記移動体の周囲の障害物を複数の測定点で測定し、前記複数の測定点ごとに障害物までの距離と方角とを測定点情報として計測する環境計測部と、前記環境計測部で得られた前記測定点情報を用いて前記移動体が通過可能な領域を探索する経路探索部と、前記通過可能な領域内を通り、与えられた目標位置に到達するよう前記移動体を誘導制御する動作制御部と、を備え、
    前記経路探索部は、隣接する測定点間の距離をそれぞれ計算し、計算した当該測定点間距離が予め設定した測定点間閾値dthreshouldよりも小さい場合は、当該2つの測定点は同じ測定点列Ckに属するものと判断し、前記測定点間距離が測定点間閾値dthreshouldよりも大きい場合は、当該2つの測定点はそれぞれ別の測定点列Ckに属するものと判断し、
    前記測定点列Ckごとに、前記測定点情報に基づいて、障害物と接触することなく走行できる前記移動体の方位角度αk及びβkを求め、
    前記測定点列Ckごとに求められた全ての前記方位角度αkから前記方位角度βkまでの角度範囲以外を前記通過可能角度領域と判断する
    ことを特徴とする移動体。
  16. 前記動作制御部が前記移動体を誘導制御する際の状態を表示する状態通知部を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の移動体。
  17. 前記環境計測部の計測結果と前記通過可能角度領域とを画面表示する計測結果表示装置を前記移動体の外周面に備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の移動体。
  18. 前記環境計測部が、前記移動体の上から見た中心の位置に設置されている
    ことを特徴とする請求項1記載の移動体。
  19. 前記環境計測部が、前記移動体の上から見た中心から偏心した位置に搭載されているとき、前記環境計測部は、前記偏心の量に基づいて、前記測定点を前記移動体の中心からの前記距離と方角に計算してから出力する
    ことを特徴とする請求項1記載の移動体。
  20. 前記環境計測部は、前記偏心の量を入力可能なインターフェースを備えた
    ことを特徴とする請求項19記載の移動体。
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