JP4887557B2 - ギャップ埋め込み部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット輪転印刷機のブランケット胴等の軸方向に存在するギャップに液体、粉体等の不要物が侵入するのを防止するギャップ埋め込み部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、オフセット輪転機のブランケット胴に存在するギャップに洗浄液、インキ、紙粉等が入り、印刷時に洗浄液が飛散して印刷汚れを発生させたり、ブランケットの基布層への洗浄液侵潤による膨潤現象を起こし、印刷中の走行紙断紙または網点再現性低下及びブランケットの寿命短縮等の原因となっていた。これを防止するためにギャップを埋めることが考えられてきた。
従来の技術は、特開平10−202843号の「シリンダギャップに埋設するシリンダ洗浄汚物押込防止体およびその埋設工具」に開示されている。これは、シリンダギャップの巾を越える巾とシリンダギャップの長さにほぼ等しい長さを有し、軽量かつ前記シリンダギャップの巾方向に変形容易であり、変形時に原形復元力を内部に蓄える物性を持つスポンジ状構造体または発泡プラスチック構造体、あるいは繊維質構造体で構成された押込防止体である。
【0003】
図面を用いて説明する。図5はオフセット輪転機のブランケット胴の部分断面説明図(a)と平面説明図(b)である。2はブランケット胴、3はブランケット、4は溝、5はブランケット巻き込み軸、6はギャップである。
図6は上記従来技術のギャップ埋め込み部材(押込防止体)の説明図である。
7は従来のギャップ埋め込み部材(押込防止体)、8は切込みである。材質はスポンジ状構造体または発泡プラスチック構造体、あるいは繊維質構造体であり、ギャップ幅の広い新聞輪転用ではある程度使用可能でも、商業輪転用の狭いギャップ幅ではコシがなく挿入しにくいという問題があった。また、従来のギャップ埋め込み部材(押込防止体)7は挿入(埋設)しにくいため、挿入(埋設)工具を用いるための切込み8が設けてある。さらに、断面形状が長方形のため挿入しにくいという問題もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決すべく、コシがあり挿入も容易であり、印刷中に抜け落ちたりしないギャップ埋め込み部材を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、回転シリンダの軸方向に存在するギャップに不要物が侵入するのを防止するためのギャップ埋め込み部材であって、軸方向のギャップの長さに略等しく、円周方向に対する挿入する側の幅が反挿入側の幅に比べて狭い略クサビ形であり、該クサビ形の少なくとも片方の側面に、該クサビ形の挿入する側から反挿入側に向かうにつれて該クサビ形の幅方向の中心面から離れるように該中心面に対して傾斜した斜面と、該斜面の反挿入側の端辺から該クサビ形の中心面に向かって該中心面に略直交する角度で該中心面に至らない幅の段差面とからなる組が、該クサビ形の挿入する側から反挿入側に向かって複数組反復した形状の、軸方向に延在する断面鋸歯状の抜け落ち防止段差が形成されているゴム弾性を有する部材からなることを特徴とするギャップ埋め込み部材である。このような構成とすることにより、ギャップに挿入しやすく、高速回転での印刷中に抜け落ちることもないギャップ埋め込み部材が得られる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記ゴム弾性を有する部材の硬度が60〜75ビッカースであることを特徴とする請求項1記載のギャップ埋め込み部材である。
このような構成とすることにより適度のコシが得られさらに取り扱い易いギャップ埋め込み部材となる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記ゴム弾性を有する部材がニトリルブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のギャップ埋め込み部材である。このような構成とすることにより、特にガソリン、軽油、アルコールに耐性が強い上記の効果が得られるギャップ埋め込み部材となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明のギャップ埋め込み部材の一実施の形態を示す説明図である。
1はギャップ埋め込み部材、10は抜け落ち防止段差である。サイズの一例としては、挿入側の幅2.5mm、反挿入側の幅3.5、深さ方向10mm、軸方向1050mmである。これは機械メーカーにより若干変わってくるので調整する必要がある。抜け落ち防止段差10により印刷中に脱落するのを防止できる。
材質は、天然ゴム、ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム等が使用可能であるが、特にニトリルブタジエンゴムが耐溶剤性、耐油性等を考慮すると好ましい。
硬度は60〜75ビッカースが適性使用範囲であるが、これ以上硬いと挿入しにくくなり、柔らか過ぎるとコシがなくまた取り扱いにくい。約70ビッカースが最適である。
【0010】
本発明のギャップ埋め込み部材1の製造方法として一例を挙げると、溶融したゴムを圧力を加えて口金(断面形状)より押し出して成形する。軸方向の長さは任意にできる。
【0011】
図2は本発明のギャップ埋め込み部材1の別の一実施の形態を示す説明図である。図3は本発明のギャップ埋め込み部材1のさらに別の一実施の形態を示す説明図である。抜け落ち防止段差10をクサビ形の両側面に設けたものである。片面のものよりさらに抜け落ち防止効果が出る。
抜け落ち防止段差は軸方向に連続している方が好ましいが、不連続部があっても液体が入らない配置であれば構わない。
【0012】
図4は本発明のギャップ埋め込み部材1をブランケット胴2のギャップ部に挿入した状態を示す部分断面説明図(a)と平面説明図(b)ある。クサビ形であるので容易に挿入でき、挿入後は抜け落ち防止段差により抵抗ができ高速で回転印刷しても抜け落ちない。
【0013】
【実施例】
本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
A横判4色(4色×4色)輪転印刷機において、図1に記載のギャップ埋め込み部材を用いた。サイズは挿入側2.5mm、反挿入側3.5mm、高さ(深さ)10mm、軸方向1050mmとした。これを図4に示すようにブランケット胴に挿入し、600万通し印刷した。ブランケット基布層への洗浄液のしみ込みは発生していない。また、抜け落ち等の事故も発生しなかった。ブランケットの寿命まで使用できそうである。
【0014】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、ギャップに挿入しやすく、高速回転での印刷中に抜け落ちることもないギャップ埋め込み部材が得られる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、適度のコシが得られ、さらに取り扱い易いギャップ埋め込み部材となる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、特にガソリン、軽油、アルコールに耐性が強い上記の効果が得られるギャップ埋め込み部材となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すギャップ埋め込み部材の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す別のギャップ埋め込み部材の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す、さらに別のギャップ埋め込み部材の説明図である。
【図4】本発明のギャップ埋め込み部材を挿入した状態を示す部分断面説明図(a)と平面説明図(b)である。
【図5】オフセット輪転印刷機の版胴の部分断面説明図(a)と平面説明図(b)である。
【図6】従来技術のギャップ埋め込み部材(押込防止体)を挿入した状態を示す部分断面説明図(a)と平面説明図(b)である。
【符号の説明】
1…ギャップ埋め込み部材 2…ブランケット胴 3…ブランケット 4…溝5…ブランケット巻き込み軸 6…ギャップ 7…従来のギャップ埋め込み部材 8…切込み 10…抜け落ち防止段差
Claims (3)
- 回転シリンダの軸方向に存在するギャップに不要物が侵入するのを防止するためのギャップ埋め込み部材であって、軸方向のギャップの長さに略等しく、円周方向に対する挿入する側の幅が反挿入側の幅に比べて狭い略クサビ形であり、該クサビ形の少なくとも片方の側面に、該クサビ形の挿入する側から反挿入側に向かうにつれて該クサビ形の幅方向の中心面から離れるように該中心面に対して傾斜した斜面と、該斜面の反挿入側の端辺から該クサビ形の中心面に向かって該中心面に略直交する角度で該中心面に至らない幅の段差面とからなる組が、該クサビ形の挿入する側から反挿入側に向かって複数組反復した形状の、軸方向に延在する断面鋸歯状の抜け落ち防止段差が形成されているゴム弾性を有する部材からなることを特徴とするギャップ埋め込み部材。
- 前記ゴム弾性を有する部材の硬度が60〜75ビッカースであることを特徴とする請求項1記載のギャップ埋め込み部材。
- 前記ゴム弾性を有する部材がニトリルブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のギャップ埋め込み部材。
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