JP4887495B2 - 超音波画像生成方法、生体組織の選択的造影方法、及び脳組織の選択的造影方法 - Google Patents

超音波画像生成方法、生体組織の選択的造影方法、及び脳組織の選択的造影方法 Download PDF

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Description

本発明は、超音波を利用して生体組織を可視化するための超音波画像生成方法、生体組織の選択的造影方法、及び脳組織の選択的造影方法に関するものである。
従来、生体組織の観察は、光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いて行われてきた。近年では、光学顕微鏡と同等レベルの解像度を有する超音波顕微鏡が実用化されており、超音波顕微鏡を用いることにより、生体組織を細胞レベルで観察することができるようになってきている。超音波顕微鏡を用いる場合、測定した音響パラメータ(組織音速や音響インピーダンスなど)に基づいてカラー変調処理を行うことにより、パラメータ値に応じて色分けされたカラー画像として超音波像(音速像や音響インピーダンス像など)が表示される。その結果、光学顕微鏡で観察する場合のように、染色剤を用いて生体組織を染色しなくても生体組織の構造を観察することができる。
本発明者らは、パルス励起型の超音波顕微鏡を用いて生体組織の組織音速を算出し、その組織音速に応じた音速像を表示する装置をすでに提案している(例えば、特許文献1や非特許文献1参照)。さらに、本発明者らはパルス励起型の超音波顕微鏡を利用して生体組織の音響インピーダンス像を表示する装置も提案している(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−291827号公報 特開2006−78408号公報 「医用超音波:パルス励起型超音波音速顕微鏡」(「超音波TECHNO」VOL.15 No.6(2003.11〜12)(101〜105頁)日本工業出版社発行)
ところで、超音波顕微鏡を用いて生体組織における微細な構造(例えば、神経細胞の層構造など)を観察する際には、測定される音響パラメータの差が小さく、鮮明な音響インピーダンス像を得ることが困難となる場合がある。しかしながら、従来の超音波顕微鏡は、染色剤を用いなくてもそのままの状態で観察できることをメリットとして、製品開発が進められてきた。そのため、超音波顕微鏡を用いた観察方法において、染色剤に相当する何らかの薬剤を処理して生体組織における微細構造を見やすくするといった技術は、従来全く検討されてこなかった。ましてや、このような薬剤処理を選択的に行って生体組織における特定部位の微細構造を見やすくするといった発想は、従来全くなかった。
因みに、光学顕微鏡以外に、透過型電子顕微鏡などにおいても、生体組織を染色して観察する手法が採用されている。この手法は、一般的に生体組織の全体を染色するものであって、生体組織の所定部位を選択的に染色しうるものではない。よって、超音波顕微鏡で観察する場合に仮にその染色方法を採用したとしても、生体組織全体の音響パラメータが一律に変化するだけであり、生体組織における微細な構造を鮮明に表示させることはできない。
また、超音波診断装置を用いてBモード画像(断層画像)を表示することで生体内の胎児や臓器などを観察する手法が知られている。この方法においては、生体内の血管に微小気泡(マイクロバブル)を投与して、超音波像の造影を図る技術が実用化されている。これは、生体組織よりも軽いマイクロバブルを超音波造影剤として用い、比較的広範囲の領域を造影するものである。そのため、その技術を用いた場合でも、生体組織の微細な構造を的確に造影することはできず、組織構造を正確に観察することはできない。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波像を造影して、生体組織の構造をより正確に観察することができる超音波画像生成方法、生体組織の選択的造影方法、及び脳組織の選択的造影方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、カドミウムイオンを含む超音波造影剤を用い、生体組織の表面に分布するL型カルシウムチャネルに前記カドミウムイオンを選択的に付着させる選択的造影ステップと、前記生体組織に超音波を照射し、得られた反射波に基づいて、前記生体組織の音響パラメータを算出する算出ステップと、前記音響パラメータに基づいて、前記生体組織の超音波像を生成するための画像処理を行う画像生成ステップとを含むことを特徴とする超音波画像生成方法をその要旨とする。
請求項1に記載の発明によれば、生体組織の所定領域に重金属イオンの一種であるカドミウムイオンが選択的に付着することにより、その所定領域の音響パラメータを他の領域と異ならせることができる。具体的には、生体組織は、水を多く含みその比重が1に近く、比重が大きな重金属イオンをほとんど含まない。そのため、生体組織の所定領域に選択的にカドミウムイオンを付着させることにより、その所定領域は、密度が大きくなるとともに硬くなる。その結果、所定領域の音響パラメータが変化して超音波の反射強度が強くなる。従って、超音波の反射波に基づいてその生体組織の超音波像を生成することにより、カドミウムイオンが付着した所定領域を他の領域よりも造影した状態で表示させることができるため、生体組織の構造をより正確に観察することができる。
なお、本発明における生体組織としては、ヒトを除く動物の体内にある生きた生体組織またはヒトを含む動物から採取された生体組織を挙げることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記算出ステップでは、超音波顕微鏡を利用して超音波を二次元走査しながら前記生体組織に照射し、その生体組織表面からの反射波の強度に基づいて音響インピーダンスを算出することをその要旨とする。
請求項2に記載の発明によれば、超音波顕微鏡を利用して生体組織表面を観察することで、分解能が高い音響インピーダンス像を生成することができる。また、音響インピーダンスは、生体組織を凍結切片にすることなく塊の状態で測定できる。従って、生体組織を生かした状態でその組織構造を迅速に確認することができる。
金属イオンとは、比重が4以上の金属のイオンのことを意味し、具体的には、チタン(Ti、比重=4.54)、バナジウム(V、比重=5.8)、クロム(Cr、比重=7.2)、マンガン(Mn、比重=7.42)、鉄(Fe、比重=7.86)、コバルト(Co、比重=8.8)、ニッケル(Ni、比重=8.85)、銅(Cu、比重=8.93)、亜鉛(Zn、比重=7.12)、イットリウム(Y、比重=5.51)、ジルコニウム(Zr、比重=6.53)、ニオブ(Nb、比重=8.56)、モリブデン(Mo、比重=10.2)、ルテニウム(Ru、比重=12.06)、ロジウム(Rh、比重=12.44)、パラジウム(Pd、比重=12.16)、銀(Ag、比重=10.5)、カドミウム(Cd、比重=8.64)、ハフニウム(Hf、比重=13.3)、タンタル(Ta、比重=16.6)、タングステン(W、比重=19.3)、レニウム(Re、比重=21.2)、オスミウム(Os、比重=22.5)、イリジウム(Ir、比重=22.5)、白金(Pt、比重=21.37)、金(Au、比重=19.3)、水銀(Hg、比重=13.59)のイオンなどを挙げることができる。特に、第12族元素(亜鉛族元素)である亜鉛(Zn)やカドミウム(Cd)のイオンを用いることがよい。亜鉛イオンは、例えば特定の癌組織に集まりやすい性質があるからである。また、カドミウムイオンは、例えば神経細胞膜に分布するイオンチャネルに付着しやすい性質があるからである。
重金属イオンを含む超音波造影剤は、通常、水溶液の形態を採る。超音波造影剤は、上記重金属の塩化物、水酸化物、硫化物などの金属化合物を水に溶かすことにより調製可能である。そして、その水溶液で生体組織を処理することにより所定領域に選択的に重金属イオンを付着させることができる。
また、比重が4よりも小さい軽金属、例えば、ナトリウム(Na、比重=0.97)、マグネシウム(Mg、比重=1.74)、カリウム(K、比重=0.86)、カルシウム(Ca、比重=1.54)は、生体組織とほぼ同じ密度となり、金属イオンとして生体内に比較的多く存在する。従って、軽金属イオンを生体組織に付着できたとしても、超音波像の造影効果を得ることはできない。そのため、軽金属イオンを超音波造影剤として用いることは適切ではない。
さらに、ランタン(La、比重=6.15)、セリウム(Ce、比重=6.8)などのランタノイドや、トリウム(Th、比重=11.7)、ウラン(U、比重=18.7)などのアクチノイドは、レアメタルであり、コスト高になる。特に、アクチノイドは、安定同位体が存在しないことから、崩壊が起こりやすく不安定な金属であるため、取り扱い難く保管が困難である。そのため、ランタノイドやアクチノイドのイオンを超音波造影剤として用いることは好ましくない。
請求項に記載の発明は、生体組織に超音波を照射して超音波像を得る前になされる造影方法であって、カドミウムイオンを含む超音波造影剤を用い、前記生体組織の表面に分布するL型カルシウムチャネルに前記カドミウムイオンを選択的に付着させる生体組織の選択的造影方法をその要旨とする。
請求項に記載の発明によれば、生体組織の所定領域に重金属イオンの一種であるカドミウムイオンが選択的に付着されることにより、その所定領域の音響パラメータを他の領域と異ならせることができる。従って、生体組織の超音波像を生成する場合、カドミウムイオンが付着した所定領域を他の領域よりも造影した状態で表示させることができるため、生体組織の構造をより正確に観察することができる。
請求項に記載の発明は、脳組織に超音波を照射して超音波像を得る前になされる造影方法であって、カドミウムイオンを含む超音波造影剤を用い、前記脳組織の表面に分布するL型カルシウムチャネルに前記カドミウムイオンを選択的に付着させる脳組織の選択的造影方法法をその要旨とする。
図14は発達した小脳101の神経回路を示し、図15は未発達の小脳102の神経回路を示している。図14に示されるように、小脳101の神経回路は、外部から入力を受ける顆粒細胞IGL、小脳からの出力神経であるプルキンエ細胞PL、顆粒細胞IGLの出力ケーブルである平行線維MLが層状に積み重なって構成されている。また、図15に示されるように、生まれたばかりの小脳102の神経回路では、出力ケーブルである平行線維MLは形成されておらず、顆粒細胞IGLも脳表面に分布している。そして、小脳の発達(歩行、首の坐り、視線の安定など)に伴って平行線維MLが形成され、小脳神経回路が完成する。
図16(a)には、正常な小脳の神経回路103を示し、図16(b),(c)には回路異常のある小脳の神経回路104,105を示している。なお、図16(b)は、スタッガーと呼ばれるミュータントの神経回路104であり、図16(c)は、ウイーバーと呼ばれるミュータントの神経回路105である。図16(a)に示されるように、正常な神経回路103では、顆粒細胞IGLとプルキンエ細胞PLとの間に接続部(シナプス)が形成され、神経回路103が十分に発達している。一方、図16(b)の神経回路104では、分子層にある平行線維MLの発達が不十分であり、図16(c)の神経回路105では、平行線維MLがほとんど発達していない。
小脳において神経細胞の発達に伴い平行線維MLが形成されると、神経細胞膜にL型カルシウムチャネルが数多く分布した状態となる。そのため、請求項に記載の発明のように、脳組織の表面に分布するL型カルシウムチャネルにカドミウムイオンを選択的に付着させることにより、その平行線維MLの音響パラメータを他の領域と異ならせることができる。従って、脳組織における平行線維MLを他の部位よりも造影した状態で表示させることができるため、脳細胞の発達状況をより正確に観察することができる。また、脳組織における平行線維MLの発達状況を確認することにより、図16(a)のような正常な脳組織か、図16(b),(c)のような回路異常のある脳組織か、を容易に判別することができる。
以上詳述したように、請求項1〜に記載の発明によると、超音波像を造影して、生体組織の構造をより正確に観察することができる超音波画像生成方法、生体組織の選択的造影方法、及び脳組織の選択的造影方法を提供することができる。
[第1の実施の形態]
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は超音波画像生成装置を示す概略構成図である。図1に示されるように、本実施の形態の超音波画像生成装置1は、パルス励起型超音波顕微鏡2と、パーソナルコンピュータ(パソコン)3とを備える。
パルス励起型超音波顕微鏡2は、試料ステージ4を有する顕微鏡本体5と、試料ステージ4の下方に設置された超音波プローブ6とを備える。そのパルス励起型超音波顕微鏡2の超音波プローブ6がパソコン3と電気的に接続されている。
本実施の形態の試料ステージ4は、ユーザの手動操作により、水平方向(即ちX方向及びY方向)に移動できるように構成されている。この試料ステージ4には、生体組織8を載置した樹脂プレート9が固定されている。なお、生体組織8は、例えば、ラットの小脳から切り出した脳組織であり、300μm〜400μmの厚さを有する。また、樹脂プレート9としては、超音波を透過する部材(透過部材)であるアクリル板などが用いられる。この樹脂プレート9の上面において生体組織8のセット部の周縁にリファレンス部材10が設けられている。
超音波プローブ6は、水などの超音波伝達媒体W1を貯留可能な貯留部11をその先端部に有するプローブ本体12と、プローブ本体12の略中心部に配置される超音波トランスデューサ13と、プローブ本体12を前記試料ステージ4の面方向に沿って二次元的に走査するためのX−Yステージ14とを備える。プローブ本体12の貯留部11は上部が開口しており、その貯留部11の開口側を上向きにした状態で超音波プローブ6が試料ステージ4の下方に設置されている。
超音波トランスデューサ13は、酸化亜鉛の薄膜圧電素子16とサファイアロッドの音響レンズ17とからなり、パルス励起されることで樹脂プレート9の下面側から生体組織8に対して超音波を照射する。超音波トランスデューサ13が照射する超音波は、貯留部11の超音波伝達媒体W1を介して円錐状に収束されて樹脂プレート9の上面(生体組織8の表面)で焦点を結ぶようになっている。なお、超音波トランスデューサ13としては、口径1.2mm、焦点距離1.5mm、中心周波数80MHz、帯域幅50〜105MHz(−6dB)の仕様のものを用いている。
図2は、超音波画像生成装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、超音波プローブ6は、超音波トランスデューサ13と、X−Yステージ14と、パルス発生回路21と、受信回路22と、送受波分離回路23と、検波回路24と、A/D変換回路25と、エンコーダ26と、コントローラ27とを備える。
X−Yステージ14は、超音波の照射点を二次元的に走査させるためのXステージ14X及びYステージ14Yを備えるとともに、それぞれのステージ14X,14Yを駆動するモータ28X,28Yを備えている。これらのモータ28X,28Yとしては、ステッピングモータやリニアモータが使用される。
各モータ28X,28Yにはコントローラ27が接続されており、該コントローラ27の駆動信号に応答してモータ28X,28Yが駆動される。これらモータ28X,28Yの駆動により、Xステージ14Xを連続走査(連続送り)するとともに、Yステージ14Yを間欠送りとなるよう制御することで、X−Yステージ14の高速走査が可能となっている。
また、本実施の形態においては、Xステージ14Xに対応してエンコーダ26が設けられ、エンコーダ26によりXステージ14Xの走査位置が検出される。具体的に、走査範囲(例えば、縦横2mmの走査範囲)を300×300個の測定点(ピクセル)に分割した場合、1回のX方向(水平方向)の走査が300分割される。そして、各測定点の位置がエンコーダ26によって検出されパソコン3に取り込まれる。パソコン3はそのエンコーダ26の出力に同期して駆動制御信号を生成して、その駆動制御信号をコントローラ27に供給する。コントローラ27は、この駆動制御信号に基づいてモータ28Xを駆動する。また、コントローラ27は、エンコーダ26の出力信号に基づきX方向の1ラインの走査が終了した時点でモータ28Yを駆動して、Yステージ14YをY方向に1ピクセル分移動させる。
さらに、コントローラ27は、駆動制御信号に同期してトリガ信号を生成してパルス発生回路21に供給する。これにより、パルス発生回路21において、そのトリガ信号に同期したタイミングで励起パルスが生成される。その励起パルスが送受波分離回路23を介して超音波トランスデューサ13に供給される結果、超音波トランスデューサ13から超音波が照射される。
図3には、X−Yステージ14の移動に伴う超音波の走査範囲R1の一例を示している。この例では、走査範囲R1の左上の隅にリファレンス部材10が配置されるようになっており、その位置から走査が開始される。そして、矢印で示すように、生体組織8の表面に沿ってX方向及びY方向に二次元的に走査が順次行われる。
超音波トランスデューサ13の薄膜圧電素子16は、送受波兼用の超音波振動子であり、生体組織8で反射した超音波(反射波)を電気信号に変換する。そして、その反射波の信号は、送受波分離回路23を介して受信回路22に供給される。受信回路22は、信号増幅回路を含んで構成されていて、反射波の信号を増幅して検波回路24に出力する。
検波回路24は、生体組織8からの反射波信号を検出するための回路であり、図示しないゲート回路を含む。本実施の形態の検波回路24は、超音波トランスデューサ13で受信した反射波信号のなかから生体組織8やリファレンス部材10の反射波信号を抽出する。そして、検波回路24で抽出された反射波信号は、A/D変換回路25に供給されてA/D変換された後、パソコン3に転送される。
パソコン3は、CPU31、I/F回路32、メモリ33、記憶装置34、入力装置35、及び表示装置36を備え、それらはバス37を介して相互に接続されている。
CPU31は、メモリ33を利用して制御プログラムを実行し、システム全体を統括的に制御する。制御プログラムとしては、X−Yステージ14による二次元走査を制御するためのプログラム、音響インピーダンスを算出するためのプログラム、音響インピーダンス像を表示するためのプログラムなどを含む。
I/F回路32は、超音波プローブ6との間で信号の授受を行うためのインターフェース(具体的には、USBインターフェース)である。I/F回路32は、超音波プローブ6に制御信号(コントローラ27への駆動制御信号)を出力したり、超音波プローブ6からの転送データ(A/D変換回路25から転送されるデータなど)を入力したりする。
表示装置36は、例えば、LCDやCRTなどのカラーディスプレイであり、生体組織8の画像(音響インピーダンス像)や各種設定の入力画面を表示するために用いられる。入力装置35は、キーボードやマウス装置などであり、ユーザからの要求や指示、パラメータの入力に用いられる。
記憶装置34は、磁気ディスク装置や光ディスク装置などであり、制御プログラム及び各種のデータを記憶している。CPU31は、入力装置35による指示に従い、プログラムやデータを記憶装置34からメモリ33へ転送し、それを逐次実行する。なお、CPU31が実行するプログラムとしては、メモリカード、フレキシブルディスク、光ディスクなどの記憶媒体に記憶されたプログラムや、通信媒体を介してダウンロードしたプログラムでもよく、その実行時には記憶装置34にインストールして利用する。
次に、生体組織8の音響インピーダンスを算出する方法について説明する。
先ず、図4に示すように、樹脂プレート9を介してリファレンス部材10に超音波Sを照射し、リファレンス部材10での反射波Sを測定する。この超音波(入射波)Sと反射波Sとは次式(1)の関係が成り立つ。
ただし、Zは樹脂プレート9の音響インピーダンスであり、Zはリファレンス部材10の音響インピーダンスである。本実施形態において、Z,Zの値は既知であり、それぞれ3.21×10Ns/m,1.67×10Ns/mである。
また、図4に示すように、生体組織8に超音波Sを照射し、生体組織8での反射波Sを測定する。この超音波Soと反射波Sとは次式(2)の関係が成り立つ。
ただし、Zは生体組織8の音響インピーダンスである。
従って、上記式(1),(2)から生体組織8の音響インピーダンスZは、次式(3)により求められる。
なお、樹脂プレート9の音響インピーダンスZやリファレンス部材10の音響インピーダンスZは、既知の値であるため、制御プログラムのデータとして記憶装置34に予め記憶されている。また、上記の式(2)で示されるように、樹脂プレート9の音響インピーダンスZが生体組織8の音響インピーダンスZと等しい場合、生体組織8表面で超音波が反射しなくなる。そのため、樹脂プレート9としては、生体組織8の音響インピーダンスZを考慮してその材料を選択するとよい。そこで、例えば、音響インピーダンスZが生体組織8の3倍程度の大きさの材料を用いる。また、水などの超音波伝達媒体W1との界面となる樹脂プレート9の上面側でも超音波の反射が起こるため、超音波伝達媒体W1の音響インピーダンスも考慮して樹脂プレート9の材料を選択することが好ましい。
ラットなどの動物において小脳の神経回路が発達すると、顆粒細胞とプルキンエ細胞との間に接続部(シナプス)が形成され、神経回路における情報伝達の際にその接続部に特定の金属イオンが吸着される。従って、本実施の形態では、小脳の神経回路発達期に分布するL型カルシウムチャネルにカドミウムイオン(Cd2+)を付着させ、その音響インピーダンス像を観察することで小脳における神経回路の発達状況を確認した。具体的には、所定量の塩化カドミウム(CdCl)を水に溶かして、所定濃度のカドミウムイオンを含む超音波造影剤を調製する。この場合におけるカドミウムイオンの濃度は、100μmol/L〜10mmol/Lであればよく、好ましくは10mmol/Lにすることがよい。そして、ラットの小脳から切り出した生体組織(脳組織)8を超音波造影剤に浸漬することにより、生体組織8の所定領域、すなわち、細胞膜に数多く分布するL型カルシウムチャネルにカドミウムイオンを選択的に付着させる(選択的造影ステップ)。浸漬時間は特に限定されず、0.5分以上であればよく、好ましくは1分〜10分である。処理温度は特に限定されないが、好ましくは20℃〜35℃であり、特に好ましくは約32℃である。なお、超音波造影剤は、例えば、塗布、噴霧等の手法によって生体組織8に処理されてもよい。つまり、ここで行われる超音波造影剤の処理は、超音波造影剤を生体組織8の深部にまで浸透させることを目的としていないからである。
その後、生体組織8を超音波顕微鏡2の試料ステージ4上に固定して生体組織8の音響インピーダンス像を観察した。
ここで、生体組織8の音響インピーダンス像を生成するためにCPU31が実行する処理例について、図5のフローチャートを用いて説明する。
まず、超音波プローブ6の初期動作として、CPU31からの指示に基づいてコントローラ27によりモータ28X,28Yが駆動され、走査位置がリファレンス部材10に位置するようにX−Yステージ14が移動される。またこのとき、励起パルスがトランスデューサ13に供給されると、図4に示すように、リファレンス部材10に超音波Sが照射され、その反射波Sが検波回路24で検出される。そして、CPU31は、A/D変換回路25で変換されたデジタルデータをI/F回路32を介して取得し、そのデータをリファレンス部材10の反射波のデータとしてメモリ33に記憶する(ステップ100)。
その後、CPU31からの指示に基づいてコントローラ27によりモータ28X,28Yが駆動され、X−Yステージ14による二次元走査が開始される。CPU31は、エンコーダ26の出力に基づいて測定点の座標データを取得する(ステップ110)。そして、図4に示すように、生体組織8に超音波Sが照射され、その反射波Sが検波回路24で検出される。CPU31は、A/D変換回路25で変換されたデジタルデータをI/F回路32を介して取得し、そのデータを生体組織8の反射波のデータとして座標データに関連付けてメモリ33に記憶する(ステップ120)。
その後、CPU31は、得られたリファレンス部材10及び生体組織8での反射波S,Sの強度と、リファレンス部材10及び樹脂プレート9の音響インピーダンスZ,Zとを用いて、上記の式(3)に対応した演算処理を行い測定点での音響インピーダンスZを算出する(算出ステップ)。そして、CPU31は、算出された音響インピーダンスZを測定点の座標データに関連付けてメモリ33に記憶する(ステップ130)。
その後、CPU31は、算出した音響インピーダンスZに基づいて音響インピーダンス像を生成するための画像処理を行う(画像生成ステップ)。詳しくは、CPU31は、音響インピーダンスZを用いてカラー変調処理を行い、音響インピーダンスZの大きさに応じた画像データを生成し、該画像データをメモリ33に記憶する(ステップ140)。これの具体例を挙げると、音響インピーダンスZの値が大きくなるほど赤色系の色調を強くし、音響インピーダンスZの値が小さくなるほど青色系の色調を強くするような画像処理を行う。
CPU31は、全ての測定点での処理が終了し、1画面分の画像データが取得されたか否かを判断する(ステップ150)。ここで、全データが取得されていない場合、CPU31は、ステップ110に戻って、ステップ110〜150の処理を繰り返し実行する。そして、全データが取得された場合には、該データを表示装置36に転送して、図6に示すような音響インピーダンス像41を表示させた後、図5の処理を終了する。なお、図6の音響インピーダンス像41では、生体組織8における音響インピーダンスの違いを色の濃淡で示しているが、実際には、音響インピーダンスの値に応じて色分けされたカラー画像として表示される。
図6の音響インピーダンス像41においては、小脳の各細胞層を構成する顆粒細胞IGL、プルキンエ細胞PL、分子層の平行線維MLを確認することができる。また、図7には、カドミウムイオンを付着させていない生体組織8の音響インピーダンス像42を比較例として示す。この音響インピーダンス像42においては、平行線維MLが途切れ途切れの状態で確認されている。これに対して、図6の音響インピーダンス像41では、カドミウムイオンが平行線維MLに付着しているため、その平行線維MLが連続的につながった状態で確認されている。
なお、図6の音響インピーダンス像41は、生後22日目のラットから切り出した生体組織8を観察したものであり、生後7日目、生後14日目、生後36日目のラットからそれぞれ切り出した生体組織8の音響インピーダンス像43,44,45を図8、図9、及び図10に示す。なお、図8〜図10においてもカドミウムイオンを付着させた状態の生体組織8を観察した。
図8に示されるように、生後7日目では神経細胞が未発達であり、その音響インピーダンス像43では、平行線維MLをほとんど確認することができない。一方、図9に示されるように、ラットが自立歩行を始める生後14日目では小脳の発達が顕著になり、その音響インピーダンス像44では、平行線維MLを他の細胞層と区別して確認することができる。さらに、図6及び図10に示されるように、生後22日目や36日目では、小脳の神経回路が十分に発達するため、その音響インピーダンス像41,45では、太くはっきりした平行線維MLを観察することができる。なお、図示しないが生後7日目、14日目、36日目の生体組織8についても、カドミウムイオンを付着させない状態で音響インピーダンス像を確認した。それら音響インピーダンス像と比較して、カドミウムイオンを付着させた状態の各音響インピーダンス像43〜45では、平行線維MLの部分が造影され鮮明に表示されることを確認することができた。
また、本発明者らは、生体組織8に他の金属イオンを付着させて音響インピーダンス像を確認した。図11は、重金属イオンの範疇に属するニッケルイオンを付着させた生体組織8の音響インピーダンス像46を示している。図12は、ニッケルイオンを付着させていない生体組織8の音響インピーダンス像47を示している。なお、図11及び図12で観察した生体組織8は、生後14日目のラットの小脳組織である。図11及び図12に示されるように、神経細胞表面にニッケルイオンを付着させることにより、造影効果を確認することができた。ただし、ニッケルイオンによる造影効果に比べてカドミウムイオンによる造影効果のほうが顕著であった。
また、軽金属イオンの範疇に属するカルシウムイオン及びマグネシウムイオンについても、同様に生体組織8に付着させて音響インピーダンス像(図示略)を確認した。カルシウムやマグネシウムは、比較的軽く、生体組織8に多く存在する金属であるため、イオン付着による造影効果はほとんど見られなかった。
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施の形態の場合、小脳の生体組織8において、分子層の平行線維MLに重金属イオンとしてのカドミウムイオンを付着させることにより、平行線維MLの音響インピーダンスが大きくなり、超音波の反射強度が強くなる。そのため、音響インピーダンス像41,43〜45において平行線維MLの領域を選択的に造影することができる。従って、平行線維MLを他の細胞層と区別して観察することができ、成長に伴う平行線維MLの発達を確認することができる。
(2)本実施の形態の場合、パルス励起型超音波顕微鏡2を利用して生体組織8の表面を観察することにより、分解能が高い音響インピーダンス像41〜47を取得することができる。この超音波顕微鏡2において、音響インピーダンスZは、生体組織8を凍結切片にすることなく、ある程度厚みを持った塊の状態で測定できる。また、パルス励起型超音波顕微鏡2は、生体組織8の下方から超音波Sを照射してその組織下面の画像を可視化するよう構成された倒立型の顕微鏡である。この場合、試料ホルダなどの特別な固定部材を設ける必要がなく、樹脂プレート9上面に生体組織8を載せるだけで、その音響インピーダンスZを容易に測定することができる。従って、生体組織8を生かした状態でその組織構造を迅速に確認することができる。言い換えると、生体組織8のありのままの様子を観察することが可能となる。
(3)本実施の形態の場合、脳組織の神経回路を構成する平行線維MLを確認できることから、正常な脳組織か回路異常のある脳組織か否かを容易に判別することができる。
(4)本実施の形態の場合、神経細胞膜表面に分布するL型カルシウムチャネルにカドミウムイオンを付着させているが、L型カルシウムチャネルに対するカドミウムイオンの結合力はそれほど強固なものではない。従って、所定の条件を与えれば、カドミウムイオンは比較的容易にL型カルシウムチャネルから脱離しうる。即ち、観察後において細胞表面を傷つけることなくカドミウムイオンを洗い流すことができる。なおここでは、カドミウムイオンを含まない洗浄液、好ましくは、カルシウムイオンを含んだ洗浄液を用いることにより、カドミウムイオンを効率よく洗い流すことができ、生体組織8の再利用が可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態を図13に基づき説明する。
本実施の形態の超音波画像生成装置51は、超音波プローブユニット52とパソコン3とを備える。この超音波プローブユニット52は、第1の実施の形態におけるパルス励起型超音波顕微鏡2と同等の機能を有する。但し、パルス励起型超音波顕微鏡2が据え置き型の機器であるのに対し、本実施の形態の超音波プローブユニット52は、携帯が可能なハンディタイプの機器である。また、超音波画像生成装置51を構成するパソコン3は、第1の実施の形態と同じ構成である。
超音波プローブユニット52は、超音波プローブ53と、先端部にその超音波プローブ53を着脱可能なハンドピース部54とを備える。この超音波プローブ53は、超音波を二次元走査しながら生体組織に照射して、その生体組織からの反射波を電気信号に変換して出力する機能を有している。ハンドピース部54はいわゆる把持部であって、手で把持可能な長さ及び直径を有している。使用者はハンドピース部54を手で持ち、超音波プローブ53をラット56の小脳(インビボの脳組織)57に直接当てるようにする。
本実施の形態の超音波プローブ53は、プローブケース61と、超音波トランスデューサ62と、第1ロータ部63及び第2ロータ部64と、リファレンス部材65とを備える。プローブケース61は、生体組織とは異なる既知の音響インピーダンスを有し、超音波を透過しうる材料(例えば、アクリル樹脂)を用いて、先端部が略半球形状に形成されている。このプローブケース61の内部には、超音波伝達媒体W1が充填されている。
また、プローブケース61の内部には第1ロータ部63及び第2ロータ部64が収納されており、ケース先端側に設けられた第1ロータ部63の外周面には、超音波トランスデューサ62が設けられている。このトランスデューサ62が照射する超音波は、超音波伝達媒体W1を介して円錐状に収束されてプローブケース61の外表面で焦点を結ぶようになっている。
本実施の形態において、第1ロータ部63は、超音波プローブユニット52の短手方向と平行な回転軸63aを介してハウジング67に回転可能に支持されている。また、第2ロータ部64は、超音波プローブユニット52の長手方向と平行な回転軸64aを介してハウジング67を支持しており、そのハウジング67とともに第1ロータ部63を回転させる。これらロータ部63,64は、回転速度や回転位置が制御可能な周知の電動モータで構成される。
また、プローブケース61の外表面において超音波の照射点が走査される範囲内には、リファレンス部材65(例えば、エポキシ樹脂)が設けられている。本実施形態のリファレンス部材65は、例えば、エポキシ樹脂により形成される。従って、リファレンス部材65は、アクリル樹脂からなるプローブケース61とは異なる既知の音響インピーダンスを有している。
超音波プローブユニット52におけるハンドピース部54内には、各ロータ部63,64を駆動制御するロータ制御回路71、超音波を送受信するための信号処理回路72、電気信号の入出力を行うためのI/F回路73などが設けられている。I/F回路73としては、パソコン等の標準インターフェースであるUSBインターフェースが用いられる。
この超音波画像生成装置51の超音波プローブ53では、プローブケース61を介してリファレンス部材65に超音波Sを照射し、リファレンス部材65での反射波Sを測定する。また、プローブケース61を介して生体組織表面に超音波Sを照射し、生体組織表面での反射波Sを測定する。そして、各反射波S,Sの強度と、リファレンス部材65及びプローブケース61の音響インピーダンスZ,Zとを用いて、上記の式(3)に対応した演算処理を行い生体組織の音響インピーダンスZを算出する。
本実施の形態の超音波画像生成装置51を用いる場合、例えば、ラット56の頭蓋骨を切開して小脳57を露出させる。そして、その露出した小脳57の組織表面に塩化カドミウムを含んだ超音波造影剤を塗りつけることで、平行線維MLにカドミウムイオンを選択的に付着させる。その後、露出した小脳(生体組織)57に超音波プローブ53を直接接触させ、その状態で第1ロータ部63及び第2ロータ部64を駆動させることで、超音波を二次元走査しながら生体組織57に照射する。このとき、生体組織57からの反射波の強度に基づいて、各測定点での音響インピーダンスZを算出する。そして、画像処理を行うことにより各測定点での音響インピーダンスZに対応した画像データが生成され、その画像データに基づいて音響インピーダンス像が表示される。
このように、本実施の形態の超音波画像生成装置51を用いれば、動物の体内にある生きた脳組織を直接観察することができ、成長に伴う平行線維MLの発達を確認することができる。また、本実施の形態では、Bモード画像を表示させる場合のように生体組織8の深部に届くように超音波造影剤を投与するのではなく、組織表面に超音波造影剤を付着させているので、観察後において超音波造影剤を洗い流すことができる。この場合、超音波造影剤に含まれるカドミウムイオンが生体内に取り込まれるリスクも少なく、生体への影響を最小限に抑えることができる。
なお、本発明の各実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記第1の実施の形態では、生体組織8の下方から超音波を照射する倒立型の超音波顕微鏡2を用いるものであったが、生体組織8の上方から超音波を照射する超音波顕微鏡を用いてもよい。
・上記各実施の形態では、生体組織表面での音響インピーダンス像41〜47を生成する超音波画像生成装置1,51に具体化したが、それ以外に生体組織8内部のBモード画像(断層像)を表示する超音波画像生成装置に具体化してもよい。なおこの超音波画像生成装置を用いる場合、注射器などにより超音波造影剤を動物の体内に直接注入した後、その注入部位に超音波プローブを接触させることで内部のBモード画像を取得する。このようにしても、生体組織の内部構造を正確に観察することができ、実用上好ましいものとなる。
・上記各実施の形態では、小脳の神経細胞表面に分布するカルシウムチャネルにカドミウムイオンやニッケルイオンを付着させるものであったが、カルシウムチャネル以外のイオンチャネル(例えばナトリウムチャネルなど)に、他の重金属イオン(例えば亜鉛のイオンなど)を付着させてもよい。具体例を挙げると、例えば精巣癌組織などは亜鉛を多く取り込むことが知られている。従って、亜鉛イオンを含む超音波造影剤を用いて生体組織の音響インピーダンス像を造影することにより、精巣における癌組織の有無を容易に確認することができる。さらに、細胞膜に分布するイオンチャネル以外に、トランスポーターやレセプタ(受容体)などの微小器官に重金属イオンを付着させてもよい。
・上記各実施の形態において、ラット56の小脳における生体組織8,57を観察するものであったが、ラット56以外の動物の生体組織を観察してもよい。また、小脳以外の脳(大脳、間脳、中脳など)の組織や、脳以外の神経組織や、神経組織以外の臓器(心臓、肺、肝臓、腎臓、脾臓など)の組織を観察してもよい。
・上記各実施の形態において、パソコン3を用いて超音波画像生成装置1,51を構成したが、それ以外にワークステーションなどのコンピュータを用いてもよい。また、音響インピーダンス像を表示するための表示装置36は、パソコン3に一体的に設けられるものであったが、パソコン3と別体で設けてもよい。
・上記実施の形態の超音波画像生成装置1では、カラー変調による画像を得るものであったが、それ以外に輝度変調した画像として可視化してもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した各実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記生体組織は、ヒトを除く動物の体内にある生きた生体組織またはヒトを含む動物から採取された生体組織であることを特徴とする超音波画像生成方法。
(2)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記重金属イオンは、第12族元素の金属イオンであることを特徴とする超音波画像生成方法。
(3)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記超音波顕微鏡は、前記被検査物の下方から超音波を照射してその被検査物における下面の画像を可視化するよう構成された倒立型の顕微鏡であることを特徴とする超音波画像生成方法。
(4)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記画像生成ステップでは、カラー変調して画像表示するための画像データを生成することを特徴とする超音波画像生成方法。
(5)請求項1において、超音波プローブを有する超音波生成装置を用いて前記被検査物の内部のBモード画像を取得することを特徴とする超音波画像生成方法。
本発明を具体化した第1の実施の形態の超音波画像生成装置を示す概略構成図。 超音波画像生成装置の電気的な構成を示すブロック図。 超音波の走査範囲を示す説明図。 リファレンス部材及び生体組織での超音波の反射波を示す説明図。 音響インピーダンス像の生成処理を示すフローチャート。 カドミウムイオンが付着した生体組織の音響インピーダンス像を示す説明図。 カドミウムイオンが付着していない生体組織の音響インピーダンス像を示す説明図。 カドミウムイオンが付着した生体組織の音響インピーダンス像を示す説明図。 カドミウムイオンが付着した生体組織の音響インピーダンス像を示す説明図。 カドミウムイオンが付着した生体組織の音響インピーダンス像を示す説明図。 ニッケルイオンが付着した生体組織の音響インピーダンス像を示す説明図。 ニッケルイオンが付着していない生体組織の音響インピーダンス像を示す説明図。 本発明を具体化した第2の実施の形態の超音波画像生成装置を示す概略構成図。 発達した小脳における神経回路を示す断面図。 未発達の小脳における神経回路を示す断面図。 (a)は正常な小脳の神経回路、(b),(c)は回路異常のある小脳の神経回路を示す説明図。
符号の説明
1,51…超音波画像生成装置
2…パルス励起型超音波顕微鏡
8,57…生体組織
41,43〜46…超音波像としての音響インピーダンス像
…超音波
…反射波
…音響インピーダンス

Claims (5)

  1. カドミウムイオンを含む超音波造影剤を用い、生体組織の表面に分布するL型カルシウムチャネルに前記カドミウムイオンを選択的に付着させる選択的造影ステップと、
    前記生体組織に超音波を照射し、得られた反射波に基づいて、前記生体組織の音響パラメータを算出する算出ステップと、
    前記音響パラメータに基づいて、前記生体組織の超音波像を生成するための画像処理を行う画像生成ステップと
    を含むことを特徴とする超音波画像生成方法。
  2. 前記算出ステップでは、超音波顕微鏡を利用して超音波を二次元走査しながら前記生体組織に照射し、その生体組織表面からの反射波の強度に基づいて音響インピーダンスを算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波画像生成方法。
  3. 前記生体組織は脳組織であることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波画像生成方法。
  4. 生体組織に超音波を照射して超音波像を得る前になされる造影方法であって、
    カドミウムイオンを含む超音波造影剤を用い、前記生体組織の表面に分布するL型カルシウムチャネルに前記カドミウムイオンを選択的に付着させる生体組織の選択的造影方法。
  5. 脳組織に超音波を照射して超音波像を得る前になされる造影方法であって、
    カドミウムイオンを含む超音波造影剤を用い、前記脳組織の表面に分布するL型カルシウムチャネルに前記カドミウムイオンを選択的に付着させる脳組織の選択的造影方法。
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