JP4887278B2 - 魚釣用スピニングリール - Google Patents

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本発明は、ハンドルに連動して回転するロータに、釣糸案内部を有する支持部材を釣糸巻取位置と釣糸放出位置とに反転自在に支持した魚釣用スピニングリールに関する。
魚釣用スピニングリールは、ロータの支持アームの前部に釣糸案内部を有する支持部材を反転可能に支持するとともに、この支持部材を釣糸巻取位置と釣糸放出位置に振り分けて付勢して保持する振り分け機構を備え、また、釣糸放出位置にある支持部材を釣糸巻取位置に自動復帰させる反転機構や釣糸放出操作時のロータの不用意な回転による誤復帰やロータの破損、損傷を防止するために、ロータの釣糸巻き取り方向の回転を規制する回転規制機構を備えたものが例えば特許文献1に開示されている。
特開2002−281873号公報
魚釣用スピニングリールには、一般的にロータの回転を逆転防止状態(ON)と正回転および逆回転可能な正逆転可能状態(OFF)との切換え可能な逆転防止機構及び切換レバーを備えており、魚釣操作(釣糸巻き取り操作)時には、通常、逆転防止機構はONの状態に設定される。
釣糸を放出操作する前に、例えば釣人は竿先からの仕掛けの垂らし長さを調節するために、逆転防止機構を正逆転可能状態(切換レバーがOFFの位置)に切換えた後、ロータを正回転または逆回転させて適切な垂らし長さに調節する。
釣糸が放出される連続的な作業の中で、釣人はうっかりしてロータの正逆回転可能状態(切換レバーがOFFの位置)でベールを起こして釣糸の放出操作を行ってしまうことがあり、釣糸の振り下ろし時の勢いやハンドル位置の影響等によりロータが勢い良く逆回転して釣糸を放出してロータやリール本体に非常に大きな力が作用して回転規制機構や反転復帰機構等にダメージを与えてしまい、リールの寿命を短くしてしまう可能性がある。
本発明は前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、ベールの支持部材を釣糸放出位置に反転したときに、正逆転可能状態にある逆転防止機構を逆転防止状態に強制的に切換えることが可能な魚釣用スピニングリールを提供することにある。
上記課題を解決するために、この発明に係る魚釣用スピニングリールは、リール本体に設けられたハンドルの回転操作に連動して回転するロータのアーム部に釣糸巻取位置と釣糸放出位置とに反転可能に支持された釣糸案内部を有する支持部材と、前記ロータが逆回転するのを防止する逆転防止状態と前記ロータが正回転および逆回転可能な正逆転可能状態とに切換え可能な切換レバーを有する逆転防止機構とを備えている。そして、前記逆転防止機構が正逆転可能状態にあるときに、前記支持部材を釣糸巻取位置から釣糸放出位置に反転させたときに、前記逆転防止機構を前記逆転防止状態に強制的に切換える自動切換手段をさらに備えていることを特徴とする。
また、自動切換手段は、前記逆転防止機構が前記逆転防止状態と前記正逆転可能状態とに切換えられるのに伴って移動する第1の移動部材と、前記支持部材が前記釣糸巻取位置と前記釣糸放出位置とに切換えられるのに伴って前記第1の移動部材に対して接離可能に移動する第2の移動部材とを備え、前記逆転防止機構が前記正逆転可能状態にあるときに、前記支持部材が前記釣糸放出位置に反転されると、前記第2の移動部材で前記第1の移動部材を係合移動させて前記逆転防止機構を前記正逆転可能状態から前記逆転防止状態に切換え、前記逆転防止機構が前記逆転防止状態にあるときに、前記支持部材が前記釣糸放出位置に切換えられたときには、前記第1および第2の移動部材は非係合状態で前記逆転防止状態を維持するようにしたことが好適である。
本発明の魚釣用スピニングリールによれば、ベールの支持部材を釣糸放出位置に反転したときに、正逆転可能状態にある逆転防止機構を逆転防止状態に強制的に切換えることができる。すなわち、正逆転可能状態での誤った釣糸放出操作を確実に回避することができて、釣糸の振り下ろし時の勢いやハンドル位置の影響等によりロータが勢い良く逆回転することを防止することができるので、ロータやリール本体に非常に大きな力を与えてしまうことを防止し、リールの長寿命化を図ることができる。
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール10の全体構成に主要部の構成を合わせた部分断面図を示す。
魚釣用スピニングリール10は、例えば金属で剛性構造に形成されたリール本体12と、リール本体12の前方に回転可能に配されたロータ14と、このロータ14の回転運動と同期して前後動可能に配設されたスプール16とを有している。このリール本体12は、ロータ14やスプール16が配設された位置から延出された脚部12aの端部に形成された竿取付部12bを介して図示しない釣竿に取り付けられる。
リール本体12内には、ハンドル軸22が回転可能に支持されており、その突出端部には、巻き取り操作されるハンドル24が取り付けられている。ハンドル軸22には、ロータ14を巻き取り駆動するための巻き取り駆動機構が係合されている。この巻き取り駆動機構は、ハンドル軸22に取り付けられ内歯が形成されたドライブギャ32と、このドライブギャ32に噛合し、ハンドル軸22と直交する方向に延出すると共に内部に軸方向に延出する空洞部が形成された筒状のピニオンギャ34とを備えている。ピニオンギャ34は、後述する支持部50に軸受34aを介して回転可能に支持されており、その空洞部には、ハンドル軸22と直交する方向に延出し、先端側にスプール16を取り付けたスプール軸36が軸方向に移動可能に挿通された状態で支持されている。
また、ピニオンギャ34には、スプール軸36を前後動させるオシレーティング機構が係合されている。このオシレーティング機構は、スプール軸36と平行に延出された螺軸38と、この螺軸38の外周面に形成された螺旋溝38aに係合すると共に、スプール軸36の基端部にビス止めして取り付けられた係合子40とを有している。螺軸38の端部には、ピニオンギャ34と噛合する連動歯車42が取り付けられており、螺軸38が、ピニオンギャ34及び連動歯車42を介して回転駆動されることで、スプール軸36は螺旋溝38a内に案内される係合子40の係合ピン40aを介して前後動される。
ピニオンギャ34はスプール16側に向けて延出されており、その先端部において、ナット44を介してロータ14が取り付けられている。また、ピニオンギャ34には、その中間部分に図2(A)に示す転がり式の一方向クラッチ(逆転防止機構)46が取り付けられている。
図2(A)および図4(A)には、リール本体12に配設され、ピニオンギャ34を支える支持部50を示す。この支持部50は、軸受34aの前方に、段部50aを有し、この段部50a内に転がり式一方向クラッチ46を収容し、支持している。この一方向クラッチ46は、ピニオンギャ34の作動部34bに回り止め嵌合された内輪部材52と、前部段部50a内に嵌合された外輪部材56との間に保持器58aで保持されたローラ状の複数の転がり部材58が配設されている。外輪部材56は回り止め部材60により、支持部50内で回り止めされる。
転がり部材58は、内輪部材52の滑らかな円筒状面で形成された外周面と外輪部材56の内周面との間で、楔作用するクラッチ46の作動状態(図2(A)参照)と、図示しないが公知のように自由に回転する非作動状態とに移動される。すなわち、保持器58aは、転がり部材58を自由回転領域と回転規制領域との間で移動することができる。そして、この保持器58aからは、作動アーム58bが径方向外方に突出されている。この作動アーム58bには、リール本体12内を前後に延びる操作軸62aを介して、リール本体12の後端部に配置した切換レバー62(図1参照)が連結されている。
このため、リール本体12の後端部に取り付けられている切換レバー(ストッパ)62を操作することで、操作軸62aを回動させて保持器58aを自由回転領域と回転規制領域との間で移動し、一方向クラッチ46を作動状態(ロータ14が正回転可能な逆転防止状態)(図2(A)参照)と、非作動状態(ロータ14が正回転および逆回転可能な正逆転可能状態)とに切換えるように構成されている。この場合、切換レバー62を逆転防止状態(ON)に切換えることで、ハンドル24(ロータ14)の正転方向の回転(釣糸の巻き取り)を許容し逆転方向の回転(釣糸の放出)が防止され、切換レバー62を正逆転可能状態(OFF)に切換えることで、ハンドル24(ロータ14)の正回転および逆回転が可能となっている。
ロータ14は、スプール16のスカート部16a内に位置する筒部(円筒部)14aと、一対のアーム部14ba,14bbを有している。各アーム部14ba,14bb(代表する場合は符号14bとする)の前端部には、第1および第2のベール支持部材14ca,14cb(代表する場合は符号14cとする)が釣糸巻取位置(図2(B)参照)と釣糸放出位置(図3(B)参照)との間で回動自在(反転自在)に支持されている。これらベール支持部材14ca,14cbの間には、釣糸放出状態にある釣糸をピックアップするベール14dが配設されている。この場合、ベール14dの一方の基端部がベール支持部材14caに取り付けられており、他方の基端部がベール支持部材14cbに一体的に設けられた釣糸案内部14eに取り付けられている。
スプール16は、スカート部16aと前側フランジ16bとの間に釣糸が巻回される釣糸巻回胴部16cを備えており、スプール軸36に、ドラグノブ72を介して取り付けられている。
上記した構成により、ハンドル24を正回転方向に巻き取り操作することで、ロータ14がドライブギャ32およびピニオンギャ34を介して回転駆動され、かつ、スプール16がピニオンギャ34およびオシレーティング機構を介して前後動され、釣糸は、釣糸案内部14eを介してスプール16の巻回胴部16cに均等に巻回される。
そして、リール本体12及びロータ14には、ベール14dを釣糸放出位置に配置した際にロータ14が釣糸巻き取り方向に回転することを規制する、ベール14dの反転機構(回転規制機構)80が設けられている。以下、本実施の形態における反転機構80の構成を、図2および図3を参照しながら説明する。
図2(B)および図3(B)は、アーム部14baの外カバー14f(図2(A)参照)を取り外して、復帰用移動部材82を露出させた状態を示す。また、図2(B)は、ベール14dを釣糸巻取位置に回動させた状態を示す図であり、図3(B)は、ベール14dを釣糸放出位置に回動させた状態を示す図である。
反転機構80は、ロータ14の一方のアーム部14ba内に配設され、上下方向に移動可能な復帰用移動部材82と、リール本体12の前部に設けられ、復帰用移動部材82の一部が当接可能な復帰用衝接部84とを備えている。この場合、復帰用衝接部84は、リール本体12の前端面の外周部分(フランジ部12c)に突出形成されたものであり、以下に述べる復帰用移動部材82のボス(当接部)82bが当接して、ロータ14の釣糸巻き取り方向への回転を規制する規制部84aを備えている。
本実施形態における復帰用移動部材82は、アーム部14ba内に延出するようにロッド状に構成されており、その一端側には外側に向けてボス82aが屈曲形成され、他端側にはアーム部14baから円筒部14a内に入り込むようにしてボス(当接部)82bが屈曲形成されている。
アーム部14baに回動可能に支持された第1のベール支持部材14caには、その回動支持部分の近傍に略円弧状の長孔14gが形成されており、この長孔14g内に復帰用移動部材82のボス82a(図2(A)および図3(A)参照)が配設されている。また、アーム部14baの下端部には、上下方向に延出する長孔14hが形成されており、この長孔14h内に復帰用移動部材82のボス82b(図2(A)および図3(A)参照)が配設されている。
上記した構成において、ボス82a,82bが形成された復帰用移動部材82と、各長孔14g,14hとは、以下のような位置関係、及び作動するように構成されている。
図2(B)に示すように、ベール14dの支持部材14cが釣糸巻取位置にあるとき、ボス82aは長孔14gの下側端部14mと係合し、かつ、ボス82bは長孔14hの上方に位置している。このとき、図2(A)および図2(C)に示すように、ボス82bは、リール本体12に形成された復帰用衝接部84と干渉しない位置、すなわち、ロータ14が回転しても、ボス82bは、復帰用衝接部84の規制部84aと当接しないようになっている。
そして、ベール14dを図3(B)に示すように、釣糸放出位置に向けて回動させると、長孔14gの上側端部14nがボス82aと係合し、ボス82a(復帰用移動部材82)を下方に向けて押し下げる。最終的に釣糸放出位置に回動されると、下端側のボス82bは、図3(B)に示すように、長孔14hの下方に位置するようになっている。このとき、ボス82bは、図3(A)および図3(C)に示すように、復帰用衝接部84と干渉する位置にあり、すなわち、ボス82aが釣糸放出位置にあるときにロータ14を正回転させる(ロータ14を釣糸巻き取り方向に回転させる)と、ボス82bが復帰用衝接部84の規制部84aに当接して、その回転が規制されるようになっている。
図2、図3および図6に示すように、上記した構成のスピニングリール10において、リール本体12及びロータ14には、切換レバー62がOFFの位置にあるときに、ベール支持部材14cを釣糸巻取位置から釣糸放出位置に反転させたときに、切換レバー62をONの位置に強制的に切換える自動切換機構(自動切換手段)90が設けられている。
自動切換機構90は、リール本体12の支持部50の外側のフランジ部12cに一端(下端)が支持されたコイルバネ92と、このコイルバネ92の他端(上端)に配設された切換部材94と、この切換部材94の移動を規制する抜け止め部材96とを有する。すなわち、切換部材94は、コイルバネ92と抜け止め部材96との間に配設されている。
切換部材94は、リール本体12の支持部50の外側の前後方向に沿って移動可能なように、略環状(略筒状)に形成されている。この切換部材94には、切換レバー62の操作軸62aが挿通されている。このため、切換部材94は、切換レバー62がONの位置とOFFの位置との間で切換え操作されるのに伴って回動する。さらに、この切換部材94には、復帰用移動部材82のボス82bにより押圧されるフランジ部94aが形成されている。このため、ボス82bにより切換部材94のフランジ部94aが押圧されると、コイルバネ92の付勢力に抗してリール本体12のフランジ部12c側に、リール本体12の支持部50の外側に沿って移動する。
なお、復帰用移動部材82のボス82bは、復帰用衝接部84に配設される位置よりも、切換部材94のフランジ部94aを押圧する位置の方が小径に形成されている。このため、より狭い空間に復帰用移動部材82のボス82bと切換部材94のフランジ部94aとを配設することができる。
切換部材94のうち、切換レバー62の操作軸62aの周囲には、リール本体12のフランジ部12cに向かって突出する突部(第2の移動部材)94bが形成されている。一方、切換レバー62の操作軸62aには、切換部材94の突部94bが接離可能に当接される突部(第1の移動部材)62bが並設された状態に一体的に形成されている。特に、突部62bは、リール本体12のフランジ部12cに対して作動アーム58b側に突出した状態に設けられている。
切換部材94の突部94bおよび操作軸62aの突部62bの対向部には、それぞれ斜面94c,62cが形成されている。これら斜面94c,62cは、互いが当接されたときに互いに対して滑るように例えば平滑面として形成されている。
このため、図4(B)に示すように、切換レバー62を操作すると、操作軸62aが回動するのに伴って操作軸62aに設けられた突起62bの斜面62cが切換部材94の突起94bの斜面94cに対して操作軸62aの軸回り方向に接離する。なお、図4(B)中、実線で示す突部62bは切換レバー62がONの位置であり、破線で示す突部62bは切換レバー62がOFFの位置である。一方、図2(B)、図2(D)、図3(B)、図3(D)に示すように、復帰用移動部材82を移動させて、ベール14dを釣糸巻取位置(図2(B)参照)と釣糸放出位置(図3(B)参照)とに切換えると、切換部材94の突起94bの斜面94cが操作軸62aに設けられた突起62bの斜面62cに対して操作軸62aの軸方向に沿って接離する。
なお、第2のベール支持部材14cbを回動可能に支持するアーム部14bbの内部には、ベール支持部材14cを釣糸巻取位置と釣糸放出位置とに振り分け付勢保持する振り分け機構(反転機構)100が配設されている。具体的には、この振り分け機構100は、支軸102を介してアーム部14bbに揺動可能に取り付けられた筒状の揺動部材104と、ベール支持部材14cbと揺動部材104とを接続し且つ揺動部材104と協働してベール支持部材14cを2つの位置に振り分ける振り分け部材106と、振り分け部材106と揺動部材104との間に介挿された圧縮コイルバネ108とを備えている。
ベール支持部材14cbは、アーム部14bbの内部でピン110aによって回動可能に支持された略半円環状の取付部110を有している。この取付部110は、アーム部14bbの円弧状の内面とピン110aの外周面との間に形成される円弧空間110bによって案内支持されるようになっている。
また、振り分け部材106は、ピン110aの中心から偏心した位置で取付部110に回動可能に係合接続される係合部106bを有する接続端部106aと、揺動部材104の筒状部内に挿入される軸部106cとを有している。また、軸部106cの外周には圧縮コイルバネ108が巻装されており、圧縮コイルバネ108の一端側は、揺動部材104内に挿入されて揺動部材104の底部で受けられているとともに、圧縮コイルバネ108の他端側は、振り分け部材106のバネ受け面106dで受けられている。
図7(A)は、第2のベール支持部材14cbが圧縮コイルバネ108の付勢力によって釣糸巻取位置に振り分け保持された状態を示している。この状態において、圧縮コイルバネ108は、ベール支持部材14cに対しこれを図7(A)中反時計回りに回転させる方向で付勢力を付与し、ベール支持部材14cbの取付部110の端部110cをアーム部14bbの突き当て部112に当て付かせている。この釣糸巻取位置から、手動でベール14dの第2のベール支持部材14cbを圧縮コイルバネ108の付勢力に抗して図7(A)中時計回り方向に回動させる(この時、ベール14dを介して第2のベール支持部材14cbと接続する第1のベール支持部材14caも図中時計回り方向に回動する)と、第2のベール支持部材14cbに係合接続された振り分け部材106は、第2のベール支持部材14cbと共に移動しながら、係合部106bを中心に第2のベール支持部材14cbに対して反時計回りに相対的に回動するとともに、揺動部材104内に受けられたその軸部106cによって揺動部材104を支軸102を中心に反時計回りに揺動させる。また、この時、振り分け部材106は、その軸部106cが揺動部材104内に入り込むことにより、揺動部材104との間に介挿された圧縮コイルバネ108を圧縮する。そして、振り分け機構100のデッドポイントを越える領域まで第2のベール支持部材14cbが時計回りに回動された時点で、圧縮コイルバネ108は、第2のベール支持部材14cbに対しこれを図中時計回りに回転させる方向(釣糸放出位置へ回動させる方向)で付勢力を付与するようになり、その後、第2のベール支持部材14cbは、圧縮された圧縮コイルバネ108の付勢力によって、釣糸放出位置に保持される。その状態が図7(B)に示されている。
また、この図7(B)に示される釣糸放出位置から、手動で第2のベール支持部材14cbを圧縮コイルバネ108の付勢力に抗して図中反時計回り方向に回動させると、第2のベール支持部材14cbに係合接続された振り分け部材106は、第2のベール支持部材14cbと共に移動しながら、係合部106bを中心として第2のベール支持部材14cbに対して時計回りに相対的に回動するとともに、その軸部106cによって揺動部材104を支軸102を中心に時計回りに揺動させる。そして、振り分け機構100のデッドポイントを越える領域まで第2のベール支持部材14cbが反時計回りに回動された時点で、圧縮コイルバネ108は、第2のベール支持部材14cbに対しこれを図中反時計回りに回転させる方向(釣糸巻取位置へ回動させる方向)で付勢力を付与するようになり、その後、第2のベール支持部材14cb(および、ベール14dを介して第2のベール支持部材14cbと接続する第1のベール支持部材14ca)は、手動によらず、伸長する圧縮コイルバネ108の付勢力によって、釣糸巻取位置へと回動されて、この位置(図7(A)の位置)で保持される。
以下、上述したような魚釣用スピニングリール10の作用について説明する。
通常、釣糸の放出(仕掛けの投擲)に際しては、切換レバー62を逆転防止状態のONの位置に配置し、第1および第2のベール支持部材14ca,14cb(ベール14d)を、釣糸巻取位置(図2(A)〜図2(D)、図7(A)参照)から振り分け機構100によって、釣糸放出位置(図3(A)〜図3(D)、図7(B)参照)に反転操作して、釣糸を釣糸案内部14eから外した状態とし、釣竿を振り下ろすことで成される。
ベール14dを図2(B)に示す釣糸巻取位置から振り分け機構100によって図3(B)に示す釣糸放出位置に回動させると、復帰用移動部材82は、上端側のボス82aに当て付く長孔14gの上側端部14nによって押し下げられ、図3(B)に示す位置に移動される。これにより下端側のボス82bは、復帰用衝接部84の規制部84aに当接可能な位置に入り込む。このため、復帰用移動部材82の下端側のボス82bは、図2(C)に示す釣糸巻取位置のように復帰用衝接部84の規制部84aに離れた状態から、図3(C)に示す釣り糸放出位置のように復帰用衝接部84の規制部84aに当て付け可能な位置に配置される。
このように、復帰用移動部材82の下端側のボス82bが図2(B)に示す状態から図3(B)に示す状態に下げられると、切換部材94のフランジ部94aがボス82bにより図2(A)に示す位置から図3(A)に示す位置に下側に押圧されて下げられる。
このとき、切換部材94の突部94bの斜面94cは、切換部材94のフランジ部94aが下げられるのに伴って下げられるが、図3(D)に示すように操作軸62aの突部62bの斜面62cとは非接触状態に離間し、釣糸放出位置への反転を許容する。そして、実釣時の釣糸放出前の作業の中で操作軸62aの突部62bが図5に実線で示す位置(切換レバー62がOFFの位置)にあるときに、ベール支持部材14ca,14cbを釣糸巻取位置から釣糸放出位置に反転操作した時は、切換部材94の突起94bの斜面94cで操作軸62aに設けられた突起62bの斜面62cを押圧する。このため、操作軸62aは斜面94c,62cによる変換作用でその軸周り方向に力を受けて、操作軸62aの突部62bが図5に破線で示す位置(切換レバー62がONの位置)に移動する。すなわち、ベール14dを釣糸放出位置に起こすと、切換レバー62が強制的にONの位置に切換えられる。
一方、切換レバー62がONの位置に切換えられた状態でベール14dを起こすと、切換部材94の突部94bはリール本体12の支持部50の外側に沿って下げられるが、この突部94bに対して操作軸62aの突部62bが離れた位置に配設されているので、切換部材94の突部94bの斜面94cと操作軸62aの突部62bの斜面62cとが当接されることはない。このため、切換レバー62がONの位置にあるときは、自動切換機構90に係合することなく、釣糸放出位置への反転操作が可能となる。
また、切換レバー62がONの位置にあるときもベール14dを起こすと、復帰用移動部材82のボス82bでロータ14の正回転を防止する。
すなわち、ベール14dを起こして仕掛けを投擲する際には、転がり式一方向クラッチ46の逆回転防止作用、及び反転機構80の正回転防止作用によって、ロータ14が固定される。
そうすると、釣竿の振り下ろし時にロータ14が回転することが防止されるので、釣竿の振り下ろし時の勢いやハンドル24の位置の影響等により、ロータ14が不意に勢い良く逆回転して、ロータ14やリール本体12の反転機構80、アーム部14b等に大きな力が加えられることが防止される。
また、切換レバー62がOFFの位置でベール14dが図2(B)に示すように釣糸巻取位置にあるときには、切換レバー62をONの位置に切換えても、図4(B)に示すように、操作軸62aの軸回り方向に近接するだけで、切換部材94の突部94bの斜面94cと、操作軸62aの突部62bの斜面62cとが当接することはない。
そして、仕掛け投擲後に、ベール14dを図2(B)に示す釣糸巻取位置に回動させると、図2(A)から図2(C)に実線で示すように、復帰用移動部材82の下端側のボス82bは、復帰用衝接部84と干渉しない位置に移動される。したがって、ロータ14は正回転方向に自由に回転可能な状態となる。
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
ベール14dを釣糸巻取位置から釣糸放出位置に反転させたときに、正逆転可能状態のOFFの位置にある切換レバー62を強制的にONの位置に切換えることができる。このため、仮に、切換レバー62がOFFの位置にある状態である場合の釣糸放出操作を誤って行うことを確実に防止することができる。したがって、例えば釣糸放出時などにロータ14が高速回転したり、アーム部14bに大きな力が加えられたりすることを防止することができる。このため、リール10の寿命を長寿命化することができる。
なお、この実施の形態では、スプール軸36を中心として同心状に1つのコイルバネ(大径のコイルバネ)92が配設されたものとして説明したが、複数のコイルバネ(小径のコイルバネ)が切換部材94が配置された位置に適当な間隔をおいて配設されていることも好適である。また、切換部材94を図2(A)および図3(A)中の上側に向かって付勢することができるのであれば、付勢手段はコイルバネ92に限らず、種々のバネや弾性体を用いることができる。
また、この実施の形態では切換部材94を略環状(略円筒状)であるものとして説明したが、環状ではなく、復帰用移動部材82のボス82bを押圧可能な範囲だけに形成されていることも好適である。
これまで、一実施形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、反転機構80、逆転防止機構46、自動切換機構90、振り分け機構100等は、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
本発明の一実施の形態に係る魚釣用スピニングリールの全体構成に主要部の構成を合わせた部分断面図。 (A)は一実施の形態に係る魚釣用スピニングリールの図1に示す断面図の拡大図であって復帰用移動部材を釣糸巻取位置に配置した図、(B)は復帰用移動部材を釣糸巻取位置に配置した図、(C)は図2(A)中の2C−2C線に沿う概略的な断面図、(D)は図2(A)中の2D−2D線に沿う概略的な断面図。 (A)は一実施の形態に係る魚釣用スピニングリールの図1に示す断面図の拡大図であって復帰用移動部材を釣糸放出位置に配置した図、(B)は復帰用移動部材を釣糸放出位置に配置した図、(C)は図3(A)中の3C−3C線に沿う概略的な断面図、(D)は図3(A)中の3D−3D線に沿う概略的な断面図。 (A)は図2(A)中の4A−4A線に沿う概略的な断面図、(B)は切換レバーを操作したときに移動する操作軸の突部の動きを示す概略的な部分断面図。 図2に示す位置のベールを図3に示す位置に移動させたときに移動する切換部材の突部が操作軸の突部に向かって移動して、操作軸の突部を押圧して移動させて、正逆転可能状態にあった切換レバーを逆転防止状態に切換える状態を示す概略的な部分断面図。 (A)は図2(A)および図3(A)中の6A−6A線に沿う概略的な断面図、(B)は図6(A)中の操作軸を含む部分を拡大して示す概略的な断面図。 (A)はアーム部の内部に設けられた振り分け機構の、釣糸巻取位置のときの断面図、(B)はアーム部の内部に設けられた振り分け機構の、釣糸放出位置の断面図。
符号の説明
10…魚釣用スピニングリール、12…リール本体、12a…脚部、12b…竿取付部、14…ロータ、14a…筒部、14b…アーム部、14c…ベール支持部材、14d…ベール、14e…釣糸案内部、14f…外カバー、14g…長孔、14h…長孔、14m…下側端部、14n…上側端部、16…スプール、16a…スカート部、16b…前側フランジ、16c…釣糸巻回胴部、22…ハンドル軸、24…ハンドル、32…ドライブギャ、34…ピニオンギャ、34a…軸受、34a…作動部、36…スプール軸、38…螺軸、38a…螺旋溝、40…係合子、40a…係合ピン、42…連動歯車、44…ナット、46…一方向クラッチ、50…支持部、50a…前部段部、52…内輪部材、54…保護キャップ、56…外輪部材、58…転がり部材、58a…保持器、58b…作動アーム、60…回り止め部材、62…切換レバー、62a…操作軸、62b…突部、62c…斜面、72…ドラグノブ、80…反転復帰機構、82…復帰用移動部材、82a…ボス、82b…ボス、84…復帰用衝接部、84a…規制部、90…自動切換機構、92…コイルバネ、94…切換部材、94a…フランジ部、94b…突部、94c…斜面、96…抜け止め部材。

Claims (2)

  1. リール本体に設けられたハンドルの回転操作に連動して回転するロータのアーム部に釣糸巻取位置と釣糸放出位置とに反転可能に支持された釣糸案内部を有する支持部材と、
    前記ロータが逆回転するのを防止する逆転防止状態と前記ロータが正回転および逆回転可能な正逆転可能状態とに切換え可能な切換レバーを有する逆転防止機構と
    を具備する魚釣用スピニングリールにおいて、
    前記逆転防止機構が正逆転可能状態にあるときに、前記支持部材を釣糸巻取位置から釣糸放出位置に反転させたときに、前記逆転防止機構を前記逆転防止状態に強制的に切換える自動切換手段をさらに具備することを特徴とする魚釣用スピニングリール。
  2. 自動切換手段は、
    前記逆転防止機構が前記逆転防止状態と前記正逆転可能状態とに切換えられるのに伴って移動する第1の移動部材と、
    前記支持部材が前記釣糸巻取位置と前記釣糸放出位置とに切換えられるのに伴って前記第1の移動部材に対して接離可能に移動する第2の移動部材と
    を備え、
    前記逆転防止機構が前記正逆転可能状態にあるときに、前記支持部材が前記釣糸放出位置に反転されると、前記第2の移動部材で前記第1の移動部材を係合移動させて前記逆転防止機構を前記正逆転可能状態から前記逆転防止状態に切換え、
    前記逆転防止機構が前記逆転防止状態にあるときに、前記支持部材が前記釣糸放出位置に切換えられたときには、前記第1および第2の移動部材は非係合状態で前記逆転防止状態を維持するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
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