JP4884849B2 - 照明装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ボトムエミッション型の有機LED素子が設けられた照明装置要素、および該照明装置要素を用いた照明装置要素に関する。
照明装置における発光体のうち、白熱灯、蛍光灯等は古くから確立された技術である。前者はタングステンフィラメントの電流加熱による発光であり、後者は水銀蒸気を封入した低圧放電灯の一種で電子によって励起された水銀の紫外線スペクトルによって蛍光体が可視光を発光するものである。この他工業用にアーク灯、高圧水銀灯等があるが白熱灯、蛍光灯含めて全て真空管球であり、形状、サイズに制限がある。また用途として白色発光が主体である。
一方、固体発光素子としては、白色、または各種単色のLEDが実用化されている。薄膜の発光体としては、比較的古くから無機LEDが知られており、液晶のバックライトや照明装置などの用途で実用化されている。最近では、無機LEDの代わりに有機LEDを使用した照明装置の製品化が進められている。
蛍光灯は現行照明装置の中では効率が最も高い。例えば一般照明に用いる蛍光灯の場合、20W白色蛍光灯の効率は43〜80lm/Wであり、輝度は0.53cd/cm2と、晴天での空の輝度0.8cd/cm2に近い値であり、演色性もコントロールが可能であるため、かなり理想に近い光源といえる。しかし一般用の熱陰極蛍光灯は円筒断面の真空管であり、形状は直管またはリング状のものが多い。最近ではネオボール(登録商標)、ユーライン(登録商標)と言った商品名で知られる電球形状の商品、四角形となる様に曲げられた蛍光灯等が発売されているが、いずれもデザイン上の制約は大きい。冷陰極管の場合かなりの高輝度が実現され、LCDのバックライトとして広く用いられている。形状も管径内径1.4mm(外径1.8mm)の細管まで製品化されているが、画面が大きくなるに従い管径は大きくなり、従って消費エネルギー、厚み、重量も増す。さらに蛍光灯の場合は、管内に含まれている水銀は1本では微量ではあるが、廃棄される蛍光灯に含まれる水銀の総量として見た場合、環境に悪影響を及ぼす。
一方、白熱灯は発光のエネルギー利用効率が低く大きな比率で熱が放出される。例えばガス入り100W単コイルのタングステン電球は、効率14lm/W、最大輝度は652cd/cm2であり、細くて短い線条が高い輝度で光る。従って点光源に近いがやや広がりを持っており、色温度も蛍光灯よりは心理的に受け入れられる面がある。白熱灯はこの様にエネルギー効率が悪く寿命も短いので、本来もっと蛍光灯への置き換えが進められるはずであるが、電球状の形状にも関わらず未だに蛍光灯と白熱灯の売り上げは同程度である。一つには単価が安い面があるが、心理的好みの面の方が強い様である。例えば欧州の家庭では蛍光灯は日本程には使われていない。
最近、照明用の白色LED(無機LED)が製品化され効率も30lm/Wと高く、低電圧、長寿命、輝度調整が容易と多くのメリットを持っている。但し完全な点光源であり、自動車のヘッドライト等投射型には良いが、多くの照明は拡散型のため光学系のデザインに工夫が必要となる。
この様に現在の照明装置は、面発光的な蛍光灯と点光源的な白熱灯、白色LEDを用途に応じて使い分けているが、前二者は真空管球という形状により制約があり、白色LEDは完全点光源であることからデザイン上の制約がある。即ちこれら主流の照明体は必ずしも理想的な商品特性を持つものではない。現在照明は都市、家庭における居住・空間デザインにとって重要な因子となってきており、そのデザインは大きな社会的なニーズとなってきている。この観点に立つと、照明装置のデザイン上の制約は大きな問題である。
このような動向に対して、現行の照明発光体は全て上述の様に何らかの制約がある。一方、有機LEDは拡散光源であり、基板によって薄型なものにすることもできる。即ち蛍光灯的な機能を薄膜で実現でき、蛍光灯が有する問題点、特に水銀による問題を解決することができる等、有利な点が多い。現状では、効率、演色性、輝度、寿命、価格等全ての面において蛍光灯に及ばないが、化学ドーピング、励起三重項、マルチフォトン等の材料、デバイス技術等により、原理的には効率、演色性等において、蛍光灯を超えることが可能と見られている。寿命に関しては輝度と寿命の積がほぼ一定という現象を踏まえて、有機LED材料の改善のみならず、発光デバイスとしての光利用効率を上げることにより改善が試みられている。近い将来には108Hr−cd/m2、即ち、104cd/m2で1万時間という蛍光灯なみの性能が実現されると予想されている。
このように、性能に関しては将来の実用化の可能性があるが、現行の有機LEDを使用した照明装置のように、平面基板上に有機LED素子を形成した照明装置には以下に述べる3つの大きな問題がある。
第一の問題は、有機LEDの陽極として使用されるITOなどの透明電極の抵抗値が高いことである。現在得られているITO透明電極の抵抗率は最も低いものでも2×10-4Ω/□程度であり、Alのような金属電極に比べると2桁近く抵抗率が高い。従ってある面積を持った「平面構造(平面基板上に有機LED素子を形成した構造)」とした場合、陽極で有意な電圧降下が起こる。有機LED素子において、輝度と電圧との関係は対数関数で表されるため、ITO透明電極で電圧降下が起こると、有機LED素子で輝度むら(輝度傾斜)が生じる。
第二の問題は製造技術である。有機LEDを使用した照明装置において、有機LED素子の製造時に有機EL層を形成する際、高分子型の有機EL層では塗布、低分子型の有機EL層では蒸着が基本プロセスであり、これらの成膜技術、装置を平面基板に対して用いることになる。平面基板による製造では、製造する照明装置に適合した形状、サイズの基板をベースとなる大形基板から切り出すといった製造形態となる。この場合、低コスト化はベースとなる基板のサイズの拡大、従って装置の大形化となり、特に低分子型の有機EL層を使用する場合には、現行の平面ディスプレイと本質的に同じ状況となる。より性能の良い有機LED素子を製造するためには、nmの精度で膜組成、膜厚等を制御することが必須であり、ベースとなる基板が大面積基板となると蒸着であれ塗布であれ、これを低コストで実現することは非常に困難である。
第三の問題としては規格化された面光源としてデザイン的な自由度が少なくなることである。平面ガラス基板上に形成した有機LED素子においては、規格化された基本サイズの組合せにより発光面積の調整は可能であるが、基本サイズ以下の形態への適用が難しい。また、基板としての剛性がある為、個々の基本サイズの発光素子は平板となり、曲面及びこれらを組み合わせた3次元的な配置も制約が大きい。
また、可撓性のある樹脂基板上に形成した有機LED素子においてはフレキシビリティーがあり曲面への適用が可能となるものの、樹脂基板表面の表面粗さが大きく、低分子有機EL膜を形成する場合その絶縁確保が難しく、発光特性は著しく低下する。さらに、基板自体のガスバリア性が乏しく、封止性の確保も困難である為、寿命特性も低下し、発光体として照明用途に適用しうるレベルに到達しない。
本発明の目的は、平面基板上に有機LED素子を形成した照明装置における上述した技術的問題を解消し、かつ様々なサイズの照明装置に適用可能な有機LED照明装置要素、および該LED照明装置要素を用いた有機LED照明装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達するため、本発明は、透明絶縁材料製の基板上に、ITOなどの透明電極、有機EL層および陰極電極をこの順に形成させてなるボトムエミッション型の有機LED素子が設けられた照明装置要素であって、前記基板は、断面形状のアスペクト比(幅/厚み)が1.5以上で、厚み400μm〜30μm、幅は0.6mm〜50mmの扁平長尺体からなり、前記有機LED素子が前記基板の主面上に形成され、かつ前記基板の長手方向に延びており、前記基板の主面の少なくとも一方の側面には、前記ITO透明電極への通電用電極が形成され、かつ前記基板の長手方向に延びており、前記基板、前記有機LED素子および前記通電用電極は、透明保護膜によって被覆されており、前記基板の両端部には、前記有機LED素子への通電用端子が設けられていることを特徴とする照明装置要素を提供する。
本発明の照明装置要素において、前記基板はガラスからなることが好ましい。
また、本発明は、本発明の照明装置要素を2つ以上並列配置してなる照明装置を提供する。
また、本発明は、本発明の照明装置要素をテープFPC上に配置し、駆動制御回路チップを接続した表示装置を提供する。
また、本発明は、可とう性を有する線状の照明装置要素を2つ以上立体的に配置してなる照明装置を提供する。
上記の照明装置において、前記可とう性を有する線状の照明要素が、透明絶縁材料製の基板上に、ITOなどの透明電極、有機EL層および陰極電極をこの順に形成させてなるボトムエミッション型の有機LED素子が設けられた照明装置要素であって、
前記基板は、断面形状のアスペクト比(幅/厚み)が1.5以上で、厚み400μm〜30μm、幅は0.6mm〜50mmの扁平長尺体からなり、
前記有機LED素子が前記基板の主面上に形成され、かつ前記基板の長手方向に延びており、
前記基板の主面の少なくとも一方の側面には、前記ITOなどの透明電極への通電用電極が形成され、かつ前記基板の長手方向に延びており、
前記基板、前記有機LED素子および前記通電用電極は、透明保護膜によって被覆されており、
前記基板の両端部には、前記有機LED素子への通電用端子が設けられていることが好ましい。
本発明では、透明絶縁材料製の扁平長尺体からなる基板上に有機LED素子が形成された照明装置要素を用いることにより、デザイン裕度が高く、低価格の有機LED照明装置を提供することが可能である。
以下、図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。但し、図面は本発明の説明のために、具体的な形状を例示したものであり、本発明はこれに限定されない。
本発明の照明装置要素は、透明絶縁材料製の基板上にITOなどの透明電極、有機EL層および陰極電極をこの順に形成させてなるボトムエミッション型の有機LED素子が設けられた照明装置要素である。図1は、ボトムエミッション型の有機LED素子の一般的な構成を示した模式図である。図1において、1はガラス、プラスチック等の透明絶縁材料製の基板である。ボトムエミッション型の有機LED素子5では、基板1の主面1a上に、陽極電極であるITO透明電極2、有機EL層3および陰極電極4をこの順に積層されている。以下、本明細書において、基板の有機LED素子を形成する側の面を主面といい、該主面との位置関係で他の面(裏面、側面)を示す。
ボトムエミッション型の有機LED素子5からの発光は、透明絶縁材料製の基板1内部を透過して、該基板1の裏面1b側から外部に放出される。図1において、有機EL層3は、バッファ層3−1、正孔輸送層3−2、発光層3−3、電子輸送層3−4およびバッファ層3−5を有しており、低分子型の有機EL層として広く用いられている構成である。但し、有機EL層の構成は、高分子型の場合、2層構成のものがある等、材料により多くのバリエーションがある。
本発明の照明装置要素では、このようなボトムエミッション型の有機LED素子が、断面形状のアスペクト比(幅/厚み)が1.5以上で、厚み400μm〜30μm、幅は0.6mm〜50mmの扁平長尺体からなる基板上に形成されている。
図2は、本発明の照明装置要素を長手方向に対して垂直に切断した断面図である。図2において、基板1は、断面形状が扁平な略矩形形状であり、そのアスペクト比(長径(幅):短径(厚さ))は20(20:1)である(長径(幅)2mm(2000μm)、短径(厚さ)0.1mm(100μm))。なお、図示の照明装置要素は、10W蛍光灯対応(有効長300mm)を想定しており、扁平長尺体からなる基板1の長さは330mmである。
図2において、基板1の断面形状は扁平な略矩形形状であるが、基板1の断面形状は上記のアスペクト比および長径を満たす扁平長尺体である限り特に限定されず、例えば楕円形状であってもよい。
図2において、基板1の主面1aには、ITO透明電極2、有機EL層3および陰極電極(Al電極)4をこの順に積層してなるボトムエミッション型の有機LED素子5が形成されている。有機LED素子5での発光は、透明絶縁材料製の基板1内部を透過して、該基板1の裏面1b側から放出される。
図2において、ITO膜2は、成膜が容易であることから、基板1の主面1aのみではなく、基板1の全周にわたって形成されている。但し、本発明の照明装置要素において、ITO透明膜2は、有機LED素子5を形成できるように基板1の主面1a上に存在しており、かつ基板1の側面1c,1d上に形成される通電用電極6,6’と電気的に接続していればよい。なお、本明細書において、ITO透明電極2といった場合、基板1上に形成されたITO膜のうち、基板1の主面1a上に形成されており、有機LED素子5を構成する部分を指す。一方、ITO膜2と言った場合、該ITO透明電極2を含めた基板1上に形成されたITO膜全体を指す。
但し、通電用電極6,6’形成による効果(ITO透明電極2の低抵抗化)を得るためには、ITO膜2は、基板1の側面1c,1dまで広がっていることが好ましい。なお、ITO透明電極2への通電用電極6,6’形成による具体的な効果については後述する。
本発明の照明装置要素において、有機LED素子5は、扁平長尺体からなる基板1の長手方向に延びている。
図2において、基板1の主面1aの両側面1c,1dには、該両側面1c,1d上に形成されたITO膜2を覆うように、ITO透明電極2への通電用電極6,6’が形成されている。通電用電極6,6’は、扁平長尺体からなる基板1の長手方向に延びている。したがって、基板1の長手方向に延びるITO透明電極2に対して、常に通電用電極6,6’が存在する構成となる。
図2において、基板1の両側面1c,1dに通電用電極6,6’が形成されているが、該通電用電極6,6’形成による効果(ITO透明電極2の低抵抗化)が得られる限り、側面1c,1dのうち、一方の側面にのみ形成してもよい。
図2において、基板1の裏面1b上のITO膜2、および両側面1c,1d上の通電用電極6,6’は、SiO2またはSiNからなる透明絶縁膜7で被覆されている。また、基板1、および該基板1上に形成された構成全体(有機LED素子5、透明絶縁膜7)は、透明保護膜8で被覆されている。透明保護膜8は、有機LED素子5を湿気や酸素から遮断するとともに、照明装置要素全体をほこりや衝撃から保護する機能を有する。したがって、透明保護膜8としては、ガスバリア性を有する透明樹脂膜が好適である。但し、有機LED素子5の部分のみをガスバリア性の透明樹脂膜で被覆し、この上から本発明の照明装置要素全体を別の透明樹脂膜で被覆してもよい。
図3は、本発明の照明装置要素の平面図である。図4は、本発明の照明装置要素の縦断面図である。なお、図3、4では、透明保護膜8は省略されている。また、図3、4において、扁平長尺体からなる基板1は、途中省略して示されている。
図3、図4に示すように、照明装置要素の両端部には、通電用端子10,10’が形成されている。ここで、端子10は陽極用の端子であり、端子10’は陰極用の端子である。端子10は、透明絶縁膜7の一部を除去してITO透明電極2を露出させた部分に半田用下地金属多層膜11(ここではTi−Ni−Au膜)を形成し、その上に半田層12を形成したものである。端子10’は、透明絶縁膜7の一部を除去して基板1の主面1aを露出した部分に半田用下地金属多層膜11’(ここではTi−Ni−Au膜)を形成し、その上に半田層12’を形成したものである。
本発明の照明装置要素において、有機LED素子の発光は電流駆動による。図5に、有機LED1素子に対する原理的な駆動回路構成を示す。図中のダイオード30は有機LED素子を示し、陽極端子31に抵抗電源を接続、陰極端子32を接地する。33には電源接続され、34は入力端子である。電圧Vinが入力されると抵抗Rによって定電流Vin/Rが有機LED素子に流れる。
上記の要領で駆動回路から所定の電流を流した場合であっても、従来の平面基板上に形成した有機LED素子の場合、ITO透明電極での電圧降下によって輝度むらが生じることが問題となっていた。ITO透明電極は、陰極電極として使用する金属導電膜、例えば、Al膜に比べると、抵抗値がはるかに高いため、該ITO透明電極において有意な大きさの電圧降下が起こる。有機LED素子において、輝度と電圧との関係は対数関数で表されるため、ITO透明電極で電圧降下が起こると、有機LED素子で輝度むらが生じる。
本発明の照明装置要素では、有機LED素子5が形成された基板1の主面1aの両側面にITO透明電極2への通電用電極6,6’を設け、ITO透明電極2を低抵抗化することにより、ITO透明電極2での電圧降下を低減し、電圧降下による有機LED素子5の輝度むらを防止する。
図2に示す照明装置要素において、基板1上にHDPE−IP(High Density Plasma−enhanced Evaporation Ion plating)法により形成したITO膜2のシート抵抗は20Ω/□である。幅2mm、厚さ0.1mmの長さ330mmの扁平長尺体からなる基板上に長さ300mmにわたってITO膜2を形成した場合、該ITO膜2の抵抗値は約2kΩとなる。一方、陰極電極として幅0.8mm、膜厚0.2μm、長さ300mmのAl膜を形成した場合、該Al膜の抵抗値は30Ωである。ここで有機LED素子の点灯時の最大電流密度を10mA/cm2、発光面積は2.4cm2とした場合、ITO透明電極2での電圧降下は5V以上となり、有機LED素子5で輝度むらが生じると考えられる。
一方、基板1の両側面1c,1dにそれぞれ通電用電極6,6’として幅0.1mm、膜厚3μm、長さ300mmのCu等の金属膜を形成した場合、該Cu膜とITO膜とを合わせた部分の抵抗値は30Ω以下まで下がり、上記の条件で有機LEDを点灯した際のITO透明電極の電圧降下は約0.12Vとなり、輝度むらのない良好な点灯特性を得ることができた。
本発明の照明装置は、上記した照明装置要素を2つ以上並列配置したものである。照明装置において、白色が基本色であるので、白色発光の照明装置を例に本発明の照明装置について説明する。
白色発光の本発明の照明装置の最も簡単な構成としては、白色発光の本発明の照明装置要素を2つ以上並列配置したものが挙げられる。
図6は、白色発光の本発明の照明装置要素における有機LED素子の構成を示している。図6において、基板1の主面1aに形成されたITO透明電極2の厚みは100nmである。ITO透明電極2上には、低分子型の有機EL層3が形成されている。ここで、有機EL層3は、NPDとV25の共蒸着層(厚み200nm)、TBPD層(厚み600nm)、BH−2とYDの共蒸着層(厚み50nm)、BH−2とsty−NPDの共蒸着層(厚み450nm)、BCP層(厚み50nm)およびBCPとCsの共蒸着層(厚み50nm)の順に積層させた多層膜構造である。有機EL層3上に形成された陰極電極(Al電極)は厚み800nmである。
この他白色発光を実現する照明装置としては、青色発光の照明装置要素とその補色(黄、橙)となる発光の照明装置要素と、を交互に並列配置した照明装置。赤色発光、緑色発光、青色発光の3種類の照明装置要素をこの順番に並列配置したRGB発光の照明装置が挙げられる。この内、前者の照明装置の場合、白色の色温度の調節が可能である。後者の照明装置の場合、白色の色温度の調節はもちろん、任意の色調が可能である。これらが可能なのは、細い線状発光体の配列によって色の混合が起こるためで、CRT、液晶の様なディスプレイの場合と同じ原理である。ディスプレイの場合、明視の距離でこのような混合が起こるため、最大画素ピッチは0.2mm程度である。本発明のような照明装置の場合、通常の1〜3mの距離で用いられるので、各照明装置要素における有機LED素子の発光幅は2mm程度まで可能である。
図7(a)は前者の照明装置の1構成例を示した平面図であり、図7(b)はその端面図である。図7(a),(b)に示す照明装置では、青色発光の照明装置要素21と、その補色となる黄色発光の照明装置要素22と、が交互にそれぞれ10本ずつ並列に配置されている。このような照明装置要素の集合体全体を透明保護膜43で被覆することにより、個々の照明装置要素21、22が固定され、かつ保護されている。なお、図7(b)では図面の都合上、照明装置要素の端面形状が円形で示されているが、照明装置要素21、22の端面形状は図2と同様に扁平な略矩形形状である。
青色発光の照明装置要素21と、黄色発光の照明装置要素22と、はそれぞれ別々に共通端子41,41’,42,42’に接続されている。ここで、共通端子41,41’は青色発光の照明装置要素21の共通端子であり、共通単位42,42’は黄色発光の照明装置要素22の共通端子である。共通端子41,41’、および共通端子42,42’は、電源・制御回路を接続されており、独立に制御可能である。これにより、好みの色温度を実現することができる。
上記のようなカラー発光の照明装置要素における有機LED素子の構成例として、緑色発光の照明装置要素における有機LED素子の構成を図8に示す。図8において、基板1の主面1aに形成されたITO透明電極2の厚みは180nmである。ITO透明電極2上に形成された有機EL層3では、陽極バッファ層として銅フタロシアニン(Cu−Pc)膜(最大厚み20nm)、正孔輸送層としてN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)膜またはN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)膜(最大厚み60nm)、電子輸送層および発光層としてトリス−(8−ヒドロキシ−キノリン)−アルミニウム(Alq3)膜(最大厚み40nm)、陰極としてLiF膜(厚み1nm)がこの順に積層されている。有機EL層3上に陰極電極として形成されたAl膜の厚みが180nmである。青色発光の有機LED素子の場合、正孔輸送層と電子輸送層の間にバソクプロイン(BCP)膜(最大厚み20nm)を形成する。赤色発光の有機LED素子の場合、正孔輸送層と電子輸送層の間にAlq3に2,3,7,8,12,13,17,18−オクタデシル−21H,23H−白金ポルフィリン(PtOEP)を6質量%ドープした膜(最大厚み30nm)を形成する。橙色発光の有機LED素子の場合、赤色発光の有機LED素子の場合、ドーパントとしてDCJTを用いる。
本発明の照明装置は、扁平長尺体からなる基板上に有機LED素子が形成された照明装置要素を2つ以上並列配置したものであるため、並列配置する照明装置要素の数や、照明装置要素の長さを変えることにより、照明装置の形状を自由に選択することができ、照明装置のデザイン裕度が大幅に広がる。
また、並列配置する照明装置要素同士を柔軟性をもたせて結合することで、照明装置を幅方向(照明装置要素の幅方向)に可とう性を持たせることができる。また、照明装置要素に使用する基板を石英ガラス長繊維のような可とう性を有する材料を用いることで、照明装置の縦方向(照明装置要素の長手方向)にも可とう性を持たせることができる。したがって、本発明の照明装置は、平面形状、すなわち、二次元形状の照明装置のみならず、曲面をもった三次元形状の照明装置とすることもできる。図9に曲面をもった3次元形状の照明装置の構成例を示す。
本発明の照明装置要素を、上記したRGB発光の照明装置と同様の順番で画素表示素子のサイズとなるように並列配置したものを、テープFPC上に配置し、同じくテープFPC上に配置した制御回路チップと接続することで、大型アクティブマトリックスディスプレイ用の、制御回路チップを内蔵した有機LED素子による表示装置とすることもできる。図10は、制御回路チップを内蔵した、有機LED素子による表示装置の構成例を示す。
図1は、ボトムエミッション型の有機LED素子の一般的な構成を示した模式図である。 図2は、本発明の照明装置要素を長手方向に対して垂直に切断した断面図である。 図3は、本発明の照明装置要素の照明装置要素の平面図である。 図4は、図4は、本発明の照明装置要素の縦断面図である。 図5は、有機LED1素子に対する原理的な駆動回路構成を示す。 図6は、白色発光の本発明の照明装置要素における有機LED素子の構成を示している。 図7は、本発明の照明装置の1構成例を示した平面図である。 図8は、緑色発光の照明装置要素における有機LED素子の構成を示している。 図9は、曲面をもった3次元形状の照明装置の構成例を示す。 図10は、制御回路チップを内蔵した、有機LED素子による表示装置の構成例を示す。
符号の説明
1:基板
1a:主面
1b:裏面
1c,1d:側面
2:ITO透明電極
3:有機EL層
3−1:バッファ層
3−2:正孔輸送層
3−3:発光層
3−4:電子輸送層
3−5:バッファ層
4:陰極電極
5:有機LED素子
6,6’:ITO透明電極への通電用電極
7:透明絶縁膜
8:透明保護膜
10:通電用端子(陽極用端子)
10’:通電用端子(陰極用端子)
11,11’:半田用下地金属多層膜
12,12’:半田層
21,22:照明装置要素
30:ダイオード(有機LED素子)
31:陽極端子
32:陰極端子
33:電源接続用端子
34:入力端子
41,41’,42,42’:共通端子
43:透明保護膜

Claims (5)

  1. 透明絶縁材料製の基板上に、ITOなどの透明電極、有機EL層および陰極電極をこの順に形成させてなるボトムエミッション型の有機LED素子が設けられた照明装置要素であって、前記基板は、幅が0.6mm〜50mmの扁平な主面を有し、断面形状のアスペクト比(幅/厚み)が1.5以上で、厚み400μm〜30μmの長尺体からなり、前記有機LED素子が前記基板の主面上に形成され、かつ前記基板の長手方向に延びており、前記基板の主面に対する少なくとも一方の側面には、前記ITO透明電極への通電用電極が形成され、かつ前記基板の長手方向に延びており、前記基板、前記有機LED素子および前記通電用電極は、透明保護膜によって被覆されており、前記基板の両端部には、前記有機LED素子への通電用端子が設けられていることを特徴とする照明装置要素。
  2. 前記基板はガラスからなる請求項1に記載の照明装置要素。
  3. 請求項1または2に記載の照明装置要素を2つ以上並列配置してなる照明装置。
  4. 請求項1または2に記載の照明装置要素をテープFPC上に配置し、駆動制御回路チップを接続した表示装置。
  5. 請求項1または2に記載の照明装置要素を2つ以上立体的に配置してなる照明装置。
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