JP4884849B2 - 照明装置 - Google Patents
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Description
一方、固体発光素子としては、白色、または各種単色のLEDが実用化されている。薄膜の発光体としては、比較的古くから無機LEDが知られており、液晶のバックライトや照明装置などの用途で実用化されている。最近では、無機LEDの代わりに有機LEDを使用した照明装置の製品化が進められている。
最近、照明用の白色LED(無機LED)が製品化され効率も30lm/Wと高く、低電圧、長寿命、輝度調整が容易と多くのメリットを持っている。但し完全な点光源であり、自動車のヘッドライト等投射型には良いが、多くの照明は拡散型のため光学系のデザインに工夫が必要となる。
第一の問題は、有機LEDの陽極として使用されるITOなどの透明電極の抵抗値が高いことである。現在得られているITO透明電極の抵抗率は最も低いものでも2×10-4Ω/□程度であり、Alのような金属電極に比べると2桁近く抵抗率が高い。従ってある面積を持った「平面構造(平面基板上に有機LED素子を形成した構造)」とした場合、陽極で有意な電圧降下が起こる。有機LED素子において、輝度と電圧との関係は対数関数で表されるため、ITO透明電極で電圧降下が起こると、有機LED素子で輝度むら(輝度傾斜)が生じる。
また、可撓性のある樹脂基板上に形成した有機LED素子においてはフレキシビリティーがあり曲面への適用が可能となるものの、樹脂基板表面の表面粗さが大きく、低分子有機EL膜を形成する場合その絶縁確保が難しく、発光特性は著しく低下する。さらに、基板自体のガスバリア性が乏しく、封止性の確保も困難である為、寿命特性も低下し、発光体として照明用途に適用しうるレベルに到達しない。
上記の照明装置において、前記可とう性を有する線状の照明要素が、透明絶縁材料製の基板上に、ITOなどの透明電極、有機EL層および陰極電極をこの順に形成させてなるボトムエミッション型の有機LED素子が設けられた照明装置要素であって、
前記基板は、断面形状のアスペクト比(幅/厚み)が1.5以上で、厚み400μm〜30μm、幅は0.6mm〜50mmの扁平長尺体からなり、
前記有機LED素子が前記基板の主面上に形成され、かつ前記基板の長手方向に延びており、
前記基板の主面の少なくとも一方の側面には、前記ITOなどの透明電極への通電用電極が形成され、かつ前記基板の長手方向に延びており、
前記基板、前記有機LED素子および前記通電用電極は、透明保護膜によって被覆されており、
前記基板の両端部には、前記有機LED素子への通電用端子が設けられていることが好ましい。
本発明の照明装置要素は、透明絶縁材料製の基板上にITOなどの透明電極、有機EL層および陰極電極をこの順に形成させてなるボトムエミッション型の有機LED素子が設けられた照明装置要素である。図1は、ボトムエミッション型の有機LED素子の一般的な構成を示した模式図である。図1において、1はガラス、プラスチック等の透明絶縁材料製の基板である。ボトムエミッション型の有機LED素子5では、基板1の主面1a上に、陽極電極であるITO透明電極2、有機EL層3および陰極電極4をこの順に積層されている。以下、本明細書において、基板の有機LED素子を形成する側の面を主面といい、該主面との位置関係で他の面(裏面、側面)を示す。
ボトムエミッション型の有機LED素子5からの発光は、透明絶縁材料製の基板1内部を透過して、該基板1の裏面1b側から外部に放出される。図1において、有機EL層3は、バッファ層3−1、正孔輸送層3−2、発光層3−3、電子輸送層3−4およびバッファ層3−5を有しており、低分子型の有機EL層として広く用いられている構成である。但し、有機EL層の構成は、高分子型の場合、2層構成のものがある等、材料により多くのバリエーションがある。
図2は、本発明の照明装置要素を長手方向に対して垂直に切断した断面図である。図2において、基板1は、断面形状が扁平な略矩形形状であり、そのアスペクト比(長径(幅):短径(厚さ))は20(20:1)である(長径(幅)2mm(2000μm)、短径(厚さ)0.1mm(100μm))。なお、図示の照明装置要素は、10W蛍光灯対応(有効長300mm)を想定しており、扁平長尺体からなる基板1の長さは330mmである。
図2において、基板1の断面形状は扁平な略矩形形状であるが、基板1の断面形状は上記のアスペクト比および長径を満たす扁平長尺体である限り特に限定されず、例えば楕円形状であってもよい。
図2において、ITO膜2は、成膜が容易であることから、基板1の主面1aのみではなく、基板1の全周にわたって形成されている。但し、本発明の照明装置要素において、ITO透明膜2は、有機LED素子5を形成できるように基板1の主面1a上に存在しており、かつ基板1の側面1c,1d上に形成される通電用電極6,6’と電気的に接続していればよい。なお、本明細書において、ITO透明電極2といった場合、基板1上に形成されたITO膜のうち、基板1の主面1a上に形成されており、有機LED素子5を構成する部分を指す。一方、ITO膜2と言った場合、該ITO透明電極2を含めた基板1上に形成されたITO膜全体を指す。
但し、通電用電極6,6’形成による効果(ITO透明電極2の低抵抗化)を得るためには、ITO膜2は、基板1の側面1c,1dまで広がっていることが好ましい。なお、ITO透明電極2への通電用電極6,6’形成による具体的な効果については後述する。
本発明の照明装置要素において、有機LED素子5は、扁平長尺体からなる基板1の長手方向に延びている。
図2において、基板1の両側面1c,1dに通電用電極6,6’が形成されているが、該通電用電極6,6’形成による効果(ITO透明電極2の低抵抗化)が得られる限り、側面1c,1dのうち、一方の側面にのみ形成してもよい。
図3、図4に示すように、照明装置要素の両端部には、通電用端子10,10’が形成されている。ここで、端子10は陽極用の端子であり、端子10’は陰極用の端子である。端子10は、透明絶縁膜7の一部を除去してITO透明電極2を露出させた部分に半田用下地金属多層膜11(ここではTi−Ni−Au膜)を形成し、その上に半田層12を形成したものである。端子10’は、透明絶縁膜7の一部を除去して基板1の主面1aを露出した部分に半田用下地金属多層膜11’(ここではTi−Ni−Au膜)を形成し、その上に半田層12’を形成したものである。
本発明の照明装置要素では、有機LED素子5が形成された基板1の主面1aの両側面にITO透明電極2への通電用電極6,6’を設け、ITO透明電極2を低抵抗化することにより、ITO透明電極2での電圧降下を低減し、電圧降下による有機LED素子5の輝度むらを防止する。
一方、基板1の両側面1c,1dにそれぞれ通電用電極6,6’として幅0.1mm、膜厚3μm、長さ300mmのCu等の金属膜を形成した場合、該Cu膜とITO膜とを合わせた部分の抵抗値は30Ω以下まで下がり、上記の条件で有機LEDを点灯した際のITO透明電極の電圧降下は約0.12Vとなり、輝度むらのない良好な点灯特性を得ることができた。
白色発光の本発明の照明装置の最も簡単な構成としては、白色発光の本発明の照明装置要素を2つ以上並列配置したものが挙げられる。
図6は、白色発光の本発明の照明装置要素における有機LED素子の構成を示している。図6において、基板1の主面1aに形成されたITO透明電極2の厚みは100nmである。ITO透明電極2上には、低分子型の有機EL層3が形成されている。ここで、有機EL層3は、NPDとV2O5の共蒸着層(厚み200nm)、TBPD層(厚み600nm)、BH−2とYDの共蒸着層(厚み50nm)、BH−2とsty−NPDの共蒸着層(厚み450nm)、BCP層(厚み50nm)およびBCPとCsの共蒸着層(厚み50nm)の順に積層させた多層膜構造である。有機EL層3上に形成された陰極電極(Al電極)は厚み800nmである。
青色発光の照明装置要素21と、黄色発光の照明装置要素22と、はそれぞれ別々に共通端子41,41’,42,42’に接続されている。ここで、共通端子41,41’は青色発光の照明装置要素21の共通端子であり、共通単位42,42’は黄色発光の照明装置要素22の共通端子である。共通端子41,41’、および共通端子42,42’は、電源・制御回路を接続されており、独立に制御可能である。これにより、好みの色温度を実現することができる。
また、並列配置する照明装置要素同士を柔軟性をもたせて結合することで、照明装置を幅方向(照明装置要素の幅方向)に可とう性を持たせることができる。また、照明装置要素に使用する基板を石英ガラス長繊維のような可とう性を有する材料を用いることで、照明装置の縦方向(照明装置要素の長手方向)にも可とう性を持たせることができる。したがって、本発明の照明装置は、平面形状、すなわち、二次元形状の照明装置のみならず、曲面をもった三次元形状の照明装置とすることもできる。図9に曲面をもった3次元形状の照明装置の構成例を示す。
1a:主面
1b:裏面
1c,1d:側面
2:ITO透明電極
3:有機EL層
3−1:バッファ層
3−2:正孔輸送層
3−3:発光層
3−4:電子輸送層
3−5:バッファ層
4:陰極電極
5:有機LED素子
6,6’:ITO透明電極への通電用電極
7:透明絶縁膜
8:透明保護膜
10:通電用端子(陽極用端子)
10’:通電用端子(陰極用端子)
11,11’:半田用下地金属多層膜
12,12’:半田層
21,22:照明装置要素
30:ダイオード(有機LED素子)
31:陽極端子
32:陰極端子
33:電源接続用端子
34:入力端子
41,41’,42,42’:共通端子
43:透明保護膜
Claims (5)
- 透明絶縁材料製の基板上に、ITOなどの透明電極、有機EL層および陰極電極をこの順に形成させてなるボトムエミッション型の有機LED素子が設けられた照明装置要素であって、前記基板は、幅が0.6mm〜50mmの扁平な主面を有し、断面形状のアスペクト比(幅/厚み)が1.5以上で、厚み400μm〜30μmの長尺体からなり、前記有機LED素子が前記基板の主面上に形成され、かつ前記基板の長手方向に延びており、前記基板の主面に対する少なくとも一方の側面には、前記ITO透明電極への通電用電極が形成され、かつ前記基板の長手方向に延びており、前記基板、前記有機LED素子および前記通電用電極は、透明保護膜によって被覆されており、前記基板の両端部には、前記有機LED素子への通電用端子が設けられていることを特徴とする照明装置要素。
- 前記基板はガラスからなる請求項1に記載の照明装置要素。
- 請求項1または2に記載の照明装置要素を2つ以上並列配置してなる照明装置。
- 請求項1または2に記載の照明装置要素をテープFPC上に配置し、駆動制御回路チップを接続した表示装置。
- 請求項1または2に記載の照明装置要素を2つ以上立体的に配置してなる照明装置。
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