JP4884786B2 - 携行型拘束網展開装置 - Google Patents

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Description

本発明は、携行型拘束網展開装置に係り、詳しくは、拘束網を瞬時に展開させて、例えば人為的に他人に危害を及ぼそうとしている犯罪嫌疑者の犯罪行為を未然に防止するため、あるいは逃亡時の逃亡時間を遅らせ、犯罪嫌疑者を拘束・捕獲するための拘束網噴出噴出部を棒の先端に取り付けた制圧棒に関する。
従来、警棒と携行型拘束網展開装置とを組み合わせた装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1では、高圧ガスボンベを装置内に取り付け、起動ボタンを押すことにより、高圧ガスボンベの封板にピンを刺し、高圧ガスを一気に放出し、このガス圧で拘束網と錘の両方を押し出し、拘束網を展開させることができる。高圧ガスボンベと拘束網噴出部を交換すれば繰り返し使用できる。
米国特許第5326101号明細書
しかし、特許文献1による警棒に拘束網展開装置を付加した装置では、警棒形状であるため、一般向けではなく、警察官しか使用できないという問題がある。また、棒の部分が短いので、操作者と犯罪嫌疑者との間隔が狭く、操作者が犯罪嫌疑者から危害を加えられる虞があるという問題もあった。
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、操作者と犯罪嫌疑者との間隔を確保し、拘束網を噴出後には先端部で犯罪嫌疑者を取り押さえることが可能な携行型拘束網展開装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、錘部を有する拘束網を収容し、錘部とともに拘束網をガス圧力で噴出する拘束網噴出部と、拘束網噴出部を起動する作動スイッチを設け、拘束網噴出部に連結される長尺の取手部と、拘束網噴出部を囲繞するように、取手部に取り付けられる制圧部とを備え、拘束網噴出部は、取手部を取り付けるための連結部を有し、連結部は、一端に設けた回り止め用の突起および抜け止め用の突起と、他端に設けた係止用の穴とを有する筒状の接続具と、接続具を挿通する穴と、穴の周囲に設けた回り止め用の突起を係止する凹部とを有するカップ形状の留め具とで構成され、接続具と留め具とは、留め具の穴に接続具を挿通し、穴の凹部に回り止め用の突起を係止するとともに穴の端部に抜け止め用の突起を係止した状態で、拘束網噴出部に配されるとともに留め具側から拘束網噴出部にネジ止めすることによって拘束網噴出部と一体化されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の携行型拘束網展開装置において、拘束網噴出部は、拘束網と、拘束網の周縁上に所定間隔をもって配設される複数個の錘と、錘を所定角度をもって噴出する複数の噴出口を形成するとともに錘を収容する錘収容部と、拘束網を収容する拘束網収容部と、燃焼性物質の燃焼によってガス圧を発生させる火工式点火器を有し、錘と拘束網とを火工式点火器のガス圧力で噴出する噴出手段とを備えことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1記載の携行型拘束網展開装置において、拘束網噴出部は、拘束網と、拘束網の周縁上に所定間隔をもって配設される複数個の錘と、錘を所定角度をもって噴出する複数の噴出口を形成するとともに錘を収容する錘収容部と、拘束網を収容する拘束網収容部と、錘と拘束網とをガス圧力で噴出する噴出手段とを備えことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3記載の携行型拘束網展開装置において、取手部は、噴出手段にガス圧力を供給するガスボンベとカット装置とメカニカルバルブとを有することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項4の何れか記載の携行型拘束網展開装置において、取手部は、連結部への取付時に接続具に設けた係止用の穴と重なる位置に係止用の穴を有し、連結部への取付時に係止用の穴同士をネジによって固定されることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、錘部を有する拘束網を収容し、錘部とともに拘束網をガス圧力で噴出する拘束網噴出部と、拘束網噴出部を起動する作動スイッチを設けた長尺の取手部と、拘束網噴出部を囲繞するように、取手部に取り付けられる制圧部と、拘束網噴出部と取手部とを着脱自在に連結するアダプターとを備え、拘束網噴出部は、外側部に突起部を有する接合部を備え、取手部は、外側部に抜け止め用の突起部と回り止め用の突起部を有する接合部を備え、アダプターは、拘束網噴出部の接合部の突起部を軸長方向に導く溝部と、溝部と直交して設けられ、拘束網噴出部の接合部の突起部を軸長方向と直交する方向に導く横溝部と、横溝部と直交して溝部の入口方向に設けられ、拘束網噴出部の接合部の突起部を軸長方向に導く係止溝部とを有する穴部から成る第一連結部と、第一連結部側に配される仕切部材と、仕切部材を拘束網噴出部方向へ押圧する弾性部材を有する穴部から成る接続部と、取手部の接合部を挿入するとともに抜け止め用の突起部と回り止め用の突起部とをそれぞれ係合する凹部を有する穴部から成る第二連結部とから成り、第一連結部において、溝部内に挿入された突起部を横溝部を介して係止溝部に導き、接続部において、第一連結部内に挿入された突起部を係止溝部内に押圧し、第二連結部において、挿入された取手部の抜け止め用の突起部と回り止め用の突起部とを凹部に係止することを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項6記載の携行型拘束網展開装置において、拘束網噴出部は、拘束網と、拘束網の周縁上に所定間隔をもって配設される複数個の錘と、錘を所定角度をもって噴出する複数の噴出口を形成するとともに錘を収容する錘収容部と、拘束網を収容する拘束網収容部と、燃焼性物質の燃焼によってガス圧を発生させる火工式点火器を有し、錘と拘束網とを火工式点火器のガス圧力で噴出する噴出手段とを備えことを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項6記載の携行型拘束網展開装置において、拘束網噴出部は、拘束網と、拘束網の周縁上に所定間隔をもって配設される複数個の錘と、錘を所定角度をもって噴出する複数の噴出口を形成するとともに錘を収容する錘収容部と、拘束網を収容する拘束網収容部と、錘と拘束網とをガス圧力で噴出する噴出手段とを備えことを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項記載の携行型拘束網展開装置において、アダプターは、拘束網噴出部と取手部とを接合する連結部と、火工式点火器に火工式点火器の起動電源および作動スイッチを連絡する接続部とを有することを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項8記載の携行型拘束網展開装置において、アダプターは、拘束網噴出部と取手部とを接合する連結部と、ガスボンベからのガスを拘束網噴出部の噴出手段に導くガス通路とを有することを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項記載の携行型拘束網展開装置において、拘束網噴出部は、外側部に突起部を有するとともに端部に火工式点火器の導線に連なるピンを有する接合部を備え、アダプターは、仕切部材にピンに接触する接点部を設けるとともに、火工式点火器の起動電源および作動スイッチと連絡する導線を接点部に取り付けていることを特徴とする。
請求項12に係る発明は、請求項記載の携行型拘束網展開装置において、拘束網噴出部は、外側部に突起部を有する接合部と、接合部の端部から導出する火工式点火器の導線とを備え、アダプターは、仕切部材に導線を挿通する穴を設けていることを特徴とする。
請求項13に係る発明は、請求項1ないし請求項12の何れか記載の携行型拘束網展開装置において、制圧部は、取手部に設けたネジ部に螺着するネジ部を備えた接続用の環状部と、取手部に連絡する拘束網噴出部を囲繞するように接続用の環状部に取り付けられる複数のステーと、複数のステーを介して拘束網噴出部の前方側を覆う制圧用の環状部とを備えることを特徴とする。
請求項14に係る発明は、請求項1ないし請求項12の何れか記載の携行型拘束網展開装置において、制圧部は、取手部に設けたネジ部に螺着するネジ部を備えた接続用の環状部と、取手部に連絡する拘束網噴出部を囲繞するように接続用の環状部に取り付けられる刺股形状の制圧棒とを備えることを特徴とする。
請求項15に係る発明は、請求項1ないし請求項12の何れか記載の携行型拘束網展開装置において、制圧部は、取手部に設けたネジ部に螺着するネジ部を備えた接続用の環状部と、取手部に連絡する拘束網噴出部を囲繞するように接続用の環状部に取り付けられる複数のステーと、複数のステーを介して拘束網噴出部の前方側を覆う制圧用の環状部と、ステーおよび制圧用の環状部を囲繞するように接続用の環状部に取り付けられる刺股形状の制圧棒とを備えることを特徴とする。
請求項16に係る発明は、錘部を有する拘束網を収容し、錘部とともに拘束網をガス圧力で噴出する拘束網噴出部と、拘束網噴出部を起動する作動スイッチを設け、拘束網噴出部に連結される長尺の取手部と、拘束網噴出部を囲繞するように、取手部に取り付けられる制圧部と を備え、制圧部は、取手部への取付部と、取手部に連絡する拘束網噴出部を囲繞するように取付部に取り付けられる複数のステーと、複数のステーを介して拘束網噴出部の前方側を覆う制圧用の環状部とを備えることを特徴とする。
請求項17に係る発明は、錘部を有する拘束網を収容し、錘部とともに拘束網をガス圧力で噴出する拘束網噴出部と、拘束網噴出部を起動する作動スイッチを設け、拘束網噴出部に連結される長尺の取手部と、拘束網噴出部を囲繞するように、取手部に取り付けられる制圧部と、拘束網噴出部と取手部とを着脱自在に連結するアダプターと を備え、制圧部は、取手部への取付部と、取手部に連絡する拘束網噴出部を囲繞するように取付部に取り付けられる複数のステーと、複数のステーを介して拘束網噴出部の前方側を覆う制圧用の環状部とを備えることを特徴とする。
請求項18に係る発明は、錘部を有する拘束網を収容し、錘部とともに拘束網をガス圧力で噴出する拘束網噴出部と、拘束網噴出部を起動する作動スイッチを設け、拘束網噴出部に連結される長尺の取手部と、拘束網噴出部を囲繞するように、取手部に取り付けられる制圧部と を備え、制圧部は、取手部に設けたネジ部に螺着するネジ部を備えた接続用の環状部と、取手部に連絡する拘束網噴出部を囲繞するように接続用の環状部に取り付けられる複数のステーと、複数のステーを介して拘束網噴出部の前方側を覆う制圧用の環状部と、ステーおよび制圧用の環状部を囲繞するように接続用の環状部に取り付けられる刺股形状の制圧棒とを備えることを特徴とする。
請求項19に係る発明は、錘部を有する拘束網を収容し、錘部とともに拘束網をガス圧力で噴出する拘束網噴出部と、拘束網噴出部を起動する作動スイッチを設け、拘束網噴出部に連結される長尺の取手部と、拘束網噴出部を囲繞するように、取手部に取り付けられる制圧部と、拘束網噴出部と取手部とを着脱自在に連結するアダプターとを備え、制圧部は、取手部に設けたネジ部に螺着するネジ部を備えた接続用の環状部と、取手部に連絡する拘束網噴出部を囲繞するように接続用の環状部に取り付けられる複数のステーと、複数のステーを介して拘束網噴出部の前方側を覆う制圧用の環状部と、ステーおよび制圧用の環状部を囲繞するように接続用の環状部に取り付けられる刺股形状の制圧棒とを備えることを特徴とする。
(1) 警備員や警察官または一般の人でも十分に持ち運びが可能である。拘束網噴出部を所定長さの棒から成る取手部の先端に取り付け、さらに拘束網噴出部を制圧部で保護しているので、犯罪嫌疑者との間に十分な距離を取ることができ、棒の長さ分、拘束網の飛距離を稼ぐことができ、余裕を持った拘束網の展開が可能で、拘束の確率が高くなる。
(2) また、例えば、棒の全長が1.6mのとき、学校の廊下等の比較的狭い所でも十分に取り回すことが可能な長さとして用いることができる。
(3) また、取手部は伸縮自在式とすることにより、任意の長さに設定することが可能となるので、保管時や使用時の自由度が増すこととなる。
(4) また、拘束網噴出部は、取手部とアダプターを介して、電気的に接続され、交換が容易にできる。従って、拘束網噴出部を使用した後、新しい拘束網噴出部を取り付けることにより、直ぐに待機状態とすることができ、迅速に防犯体制を整えることが可能である。
(5) 取手部の先端の拘束網噴出部を保護している制圧部により、犯罪嫌疑者を押え付けることが可能である。また、制圧部を円錐形状にすることで、当該部を犯罪嫌疑者に掴まれても、操作側に力が伝わり難く、力負けし、操作側が危険にさらされる可能性が低減する。さらに、制圧部は、取手部とねじにより締結される構造としているので、制圧部は、任意の形状の物を取手部に容易に装着可能となる。
(6) 取手部先端に取り付けた拘束網噴出部の火工式点火器(ガス発生部)は非火薬品のイニシエータであり、高圧ガス保安法、火薬類取締法などの法規上の規制を受けず、警察官などの特定な人以外でも誰でも使用することができる。このイニシエータを用いることで、電気的に作動できるため、脚線の長さの調整だけで、長い棒の先端などに容易に取り付けることが可能である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図37は、本発明の第1実施形態に係る携行型拘束網展開装置1を示す。
本実施形態に係る携行型拘束網展開装置1は、人体を拘束する拘束網31、錘部30およびイニシエータ10を収容するとともに拘束網31と錘部30とを噴出させる拘束網噴出部1Aと、拘束網噴出部1Aを起動させるための作動スイッチ76を有し、かつ携行型拘束網展開装置1の握り部を形成する長尺の取手部1Bと、取手部1Bの先端部に取り付けられる制圧部1Cとで構成されている。
拘束網噴出部1Aは、図1〜図16に示すように、拘束網31の周囲に紐部材32により取り付けられた錘33と錘カバー34とで構成された錘部30を、ガス圧で噴出させるための火工式点火器から成るイニシエータ10と、このイニシエータ10の外周に設けたネジ部18にネジ部22を螺合により固定するためのホルダ20と、イニシエータ10からの燃焼生成ガスを一時保持する破裂板25と、この破裂板25を固定および所定面積で破断させるためのスペーサ26と、イニシエータ10からの燃焼生成ガスを冷却、濾過する成型フィルタ27と、この成型フィルタ27を収容してホルダ20の一側に設けたネジ部21にネジ部29を介して螺合するフィルタカップ28と、イニシエータ10から生成されるガスによる圧力で噴出される錘部30と、この錘部30を収容するとともに拘束網31を収容する容器35と、拘束網31を収容した容器35の蓋となる拘束網収容蓋50と、容器35にカップ形状の留め具60を介して筒状の接続具68を取り付けることによって形成される連結部1aとで構成されている。
イニシエータ10は、図6、図7に示すように、ヘッダ12に固定された発熱部11と、発熱部11に連通するとともに外部からの電気信号を接続する導線13と、発熱部11に当接する着火薬14と、管体16に充填されて着火部金具17に組み付けられるガス発生剤15とで構成されている。導線13には、図7に示すように、端部に接続用のコネクタ13aが取り付けられている。
着火薬14は、ボロン、チタン、鉄粉、珪素、銅、ニッケルまたはマンガンから成る少なくとも1種類の剤と、酸化ビスマス、二酸化鉛、酸化チタン、五酸化バナジウム、酸化クロム、二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛または酸化モリブデンから成る少なくとも1種類の剤との混合物を有する非火薬組成物が使用されている。
また、ガス発生剤15は、アジ化ナトリウム、明礬または5アミノテトラゾールから成る少なくとも1種類の剤と、酸化鉄、酸化チタン、五酸化バナジウム、酸化クロム、二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛または酸化モリブデンから成る少なくとも1種類の剤との混合物を有する非火薬組成物が使用されている。
本実施形態では、着火薬14として、ボロン、酸化ビスマスおよび二酸化鉛の組成物を用いた。また、ガス発生剤15として、アジ化ナトリウムと酸化鉄の組成物を用いた。
着火薬14ならびにガス発生剤15は、火薬類取締法の適用を受ける火薬類でも良いが、好適には法律の適用を受けない非火薬組成物が好ましい。また、着火薬14はガス発生剤15に確実に着火させることができるエネルギーを有し、ガス発生剤15は窒素ガスなどの比較的無害なガスを発生させる組成物であり、ガス発生剤15のグラム当たりのガス発生量は200ml以上、好ましくは300ml以上である物が使用される。
ホルダ20は、図3、図5、図7に示すように、ステンレス製で中空の円筒体から成り、一側の内側と他側の内側にネジ部21,22が設けられており、さらに、一側は第一容器35Aの筒部36内に貫入され、第二容器35Bの筒部42にて固定されるように、他側より外径を広径に形成される段部23を有する。また、中空の内径部には破裂板25を支える内側段部24が設けられている。
ホルダ20の内側段部24に支えられた破裂板25は、図3〜図5、図7に示すように、スペーサ26によって固定され、さらにフィルタカップ28の外周に設けたネジ部29とホルダ20の一側に設けたネジ部21との螺合によって固定される。破裂板25は、イニシエータ10からのガスを一時保持し、ガス発生剤15の燃焼を完結させ、所望の発生ガス量を得るために用いられる。破裂板25は、例えば厚さ0.4mmのアルミニウムが用いられ、保持されたガス圧力によりスペーサ26の貫通孔26aから破断する。
スペーサ26は、図3〜図5、図7に示すように、例えば破裂板25側が直径8mm、フィルタカップ28側が直径13mmの漏斗状の貫通孔26aを設けている。スペーサ26は、ステンレスが用いられるが、ガス圧力に耐えられる強度を有していれば鉄を始めとする金属や合成樹脂などを用いることも可能である。
フィルタカップ28は、図3〜図5、図7に示すように、例えばスペーサ26側が直径13mm、他側が直径10mmの貫通孔28aを設け、直径13mmの成型フィルタ27が脱落せず保持できるように段部28bを、また、外側にホルダ20と螺合するためのネジ部29を有する。スペーサ26を通過した発生ガスは、ガス発生剤15の燃焼残渣を含み、フィルタカップ28に収容された成型フィルタ27を通過する際に冷却、濾過され、容器35内へ流入する。フィルタカップ28は、ステンレスが用いられるが、ガス圧力に耐えられる強度を有していれば鉄を始めとする金属を用いることも可能である。
成型フィルタ27は、金網を圧縮成型した成型体が使用され、フィルタカップ28に圧入、収容される。成型フィルタ27は、ガス発生剤15の燃焼残渣を冷却、濾過し、携行型拘束網展開装置1から火炎が噴出しないように最適な成型密度を有する必要があり、例えば3.4〜3.5g/cm3に設定される。また、効率良く燃焼残渣を濾過するため、金網は線径が細い物が適しており、例えば直径0.2mmを使用する。
錘部30は、図14〜図16に示すように、拘束網31の周囲に取り付けられた紐部材32と、この紐部材32により取り付けられた錘33と、錘カバー34とで構成されている。
紐部材32は、例えばポリエステル製で直径0.7mmの紐を用いており、一側が錘33と連結するとともに他側が拘束網31と連結している。連結された錘33と拘束網31との間の紐部材32の長さは80mmである。そして、この紐部材32は、容器35から錘部30が飛び出すとともに容器35から拘束網31を展開するときの力にも耐える材質としている。
錘33は、例えばステンレス製で、全長23mm、外径11mmの円柱である。錘33は、そのおよそ中央部に錘カバー34を被せた後に錘33が抜け出さないようにするために、例えば幅2mm、深さ0.5mmの溝33aと、一側先端には紐部材32を通すための穴33bを設けている。ここでは、材質はステンレスとしているが、耐腐食性の優れた材質であれば使用することが可能である。
錘カバー34は、例えばゴム材を使用し、イニシエータ10から発生するガスによる圧力をロスなく受け止め、かつ錘部30が人体や器物へ衝突した際の安全性を確保するために錘33に被せられる。錘カバー34は、例えば全長27mm、外径14mm、内径11mmの略コップ状を為しており、一側は紐部材32を通すための直径2mmの貫通孔34aを有しており、他側は前述の通り、イニシエータ10から発生するガスを受けた時に開口面端部が容器の内面に向かって広がり、密着するように内外縁に半径1mmの環状体34bを設けている。この形状により、図16(b)に示すように、ガスを逃さず受け止め、確実に錘部30を噴出させることが可能である。また、貫通孔34a側端面から8mmの位置の外面に、容器35外からの異物の入り込みを防止する目的で、例えば断面が高さ0.3mm、底辺0.5mmの三角形の突起34cを、同端面から17mmの位置の内面に錘33の抜け出し防止用の、断面が高さ0.3mm、半径1.5mmの扇状の凸部34dを有している。
錘33と錘カバー34との組立は、図15に示すように、紐部材32の一端を錘33の先端側の穴33bに通し、紐部材32が穴33bで折り返すようにした後、紐部材32を錘カバー34の貫通孔34aを通し、錘カバー34内面の凸部34dと錘33の溝33aとが嵌合するまで挿入することによって行われる。そして、紐部材32は、拘束網31に結び付けられる。
拘束網31は、図14に示すように、例えばポリエステル製またはケブラー製で、4m×4mの正方形、または4m×3mの長方形、または3m×3mおよび4m×4mの八角形などで構成されている。また、目幅は全展開面積の約半分を中心部付近から20cm角で形成し、残り半分を10cm角で形成してもよい。また、目幅については全展開面積で中心部から、内側網目と外側網目とを均等に形成することでも良い。
本実施形態では、図14に示すように、8個の錘部30を、拘束網31の角部と各辺の中点とに紐部材32を介して連結する。錘部30は、容器35内にコンパクトに収容された拘束網31を完全に展張させる目的と、捕捉対象者に拘束網31を被せた後に錘部30が拘束網31の網目に入り込み、拘束網31を絡ませ拘束効果を高める二つの目的がある。そのため、錘部30の個数は、第一の目的を達成するために、拘束網31を2軸方向(縦・横)へ展開させる必要があり、拘束網31の外周の対称点に等間隔に少なくとも4個は必要となり、また、第二の目的のためには、錘部30同士が干渉せずに網目に入り込む範囲で、4個以上が必要となる。
容器35は、図3〜図5に示すように、第一容器35Aと、第一容器35Aの内側に重ね合わされる第二容器35Bとで構成されている。
第一容器35Aは、例えばPOM樹脂材(ジュラコン)から成る略漏斗形状を為す容器で、中央部から突出する筒部36と、この筒部36の付け根から円形に拡張して形成された傾斜面37と、筒部36と連なるリング部38と、傾斜面37に沿って八方向に分岐するとともにリング部38の外側に開口する半円状の8つの流路39と、半円状の8つの流路39の端部の周囲を囲むようにリング部38に形成されるとともにリング部38の外周に沿って対向する壁面に形成した拘束網収容蓋50の舌部51の先端部を係止するための一対の係止溝40aを形成した凹部40と、傾斜面37と対向する裏面側に設けたカップ形状の留め具60から挿入される4つのネジ66を等間隔でそれぞれ螺着するネジ孔41aと第二容器35Bに4つのネジ59を等間隔でそれぞれ螺着するネジ孔41bとを有する。ネジ孔41aとネジ孔41bとは、第一容器35Aを貫通している。また、凹部40は、リング部38の頂部を基点としてリング部38を8等分した地点にリング部38の頂点を基点として設けられ、頂点に位置する凹部40には、拘束網31の上辺の中点に位置する錘部30を噴出口に収容するための目印40bが設けられている。なお、凹部40を、リング部38の頂部からリング部38の縁部に沿ってマイナス22.5度またはプラス22.5度ずらした点を基点としてリング部38を8等分した地点に設け、マイナス22.5度ずらした点に対応して拘束網31の上辺の左端部に位置する錘部30を錘噴出口49aに収容するための目印40bを設け、プラス22.5度ずらした点に対応して拘束網31の上辺の右端部に位置する錘部30を錘噴出口49aに収容するための目印40bを設けることもできる。
筒部36には、ホルダ20を介してイニシエータ10が取り付けられ、イニシエータ10の取り出しを防止するためのプラグ52を筒部36の端部に形成された環状溝36a内に端部を挿入してカップ形状の留め具60によって固定されている。
筒部36と8つの流路39との接合部は、筒部36と8つの流路39とがそれぞれ連通するように、筒部36の付け根と8つの傾斜面37との接合部よりも筒部36の開口端側に位置する隙間39aを形成するように筒部36から略直角に突出する張り出し部39bを有する。8つの流路39は、張り出し部39bの先端から傾斜面37と平行する半円形状の壁面39cを有する。張り出し部39bと壁面39cとの境目に錘部30を当接する段部39dを形成している。
第二容器35Bは、筒部42が底付きであり、かつ8つの切り込み部43を有する点と、傾斜面44の先端に円筒形状の蓋取付部47を設けた点で、第一容器35Aと異なっている。
第二容器35Bは、中央部から突出するとともに8つの切り込み部43を長手方向に設けた底40cを有する筒部42と、この筒部42の付け根から円形に拡張して形成された傾斜面44と、筒部42の8つの切り込み部43とそれぞれ連なり、傾斜面44に沿って八方向に分岐するとともに傾斜面44の内側に突出する半円状の8つの流路45と、傾斜面44と対向する裏面側に設けたカップ形状の留め具60からのネジ螺着部46aと、第一容器35Aと第二容器35Bとを取り付けるネジ螺着部46bと、傾斜面44の縁部から突出する円筒形状の蓋取付部47とを有する。
蓋取付部47には、外周壁の外周に等間隔で8つの凹部47aが形成され、各凹部47aには等間隔で拘束網収容蓋50の舌部51を固定するための8個の直径5mmのスリット入り突起部47bを有する。
第一容器35Aと第二容器35Bとは、両者に形成した半円状の8つの流路39と半円状の8つの流路45とが対向するように重ねられた後、第一容器35A側からネジ59を4箇所のネジ孔41bから挿入し、第二容器35Bのネジ螺着部46bと螺合することによって一体化される。容器35を構成する第一容器35Aと第二容器35Bとの組合せ時に、両者に形成した半円状の8つの流路39と半円状の8つの流路45とによって、8つのガス流路49が形成されるとともに、筒部36の端部36c側と筒部42の底40cとの間に8つのガス流路49に連なる錘噴出口49aが形成される。8つのガス流路49の端部に形成される錘噴出口49aには、容器35の周縁部側に錘カバー34を被せるとともに紐部材32を取り付けた錘33が段部39dに当接するまで挿入されて装着される。ここで、傾斜面37,44によって錘部30の噴出角度が決められる。噴出角度は、容器35の横軸線上を0度(水平)としたとき、取手部1Bを地面と水平にして拘束網31を展開させた場合、噴出角度が0度に近いほど、拘束網31は手前で展開し、90度に近いほど距離を隔てて展開する。例えば、暴漢などの捕捉対象者に対し本装置を使用することになるが、あまりにも近距離になるまで展開させないと、起動者自身が危険にさらされることになり、また、恐怖感からあまりにも長距離で起動しても、拘束できる可能性が低くなる。このため、本実施形態では、水平状態からの噴射角度による飛距離と錘の軌跡を測定・分析した。この結果から、起動者自身が恐怖にさらされず、かつ拘束対象者へ高い確率で網による拘束が可能な距離を割り出し噴射角度の設定を行い、噴射角度は30度から75度が好適で、好ましくは35度から65度であることを見出した。さらに80度では拘束網31が展開せず、地上に落下してしまうことも確認した。
拘束網収容蓋50は、拘束網31を第二容器35Bに収容後、拘束網31が脱落せず、かつ拘束網31を展開させる時に容易に容器35から脱落する構造とする。拘束網収容蓋50は、弾性のあるゴム材からなり、外形は略円盤状であり、蓋側面に8つの舌部51を有する。この舌部51には、第二容器35Bの外周壁に突出した8本の突起47bに嵌め込むための直径が8.5mmの小穴51aが各舌部51に設けてあり、これにより、拘束網収容蓋50および拘束網31が脱落しないようにしている。また、舌部51は拘束網31の紐部材32を隠し、8つのガス流路49の錘噴出口49aを閉塞し、錘部30、紐部材32および拘束網31が露出しないための役割も担う。
なお、拘束網31の第二容器35Bへの収容方法としては、図23に示すように、第二容器35Bに手により錘部30を上方へ纏め、拘束網31を螺旋状に拘束網31の中央部から順に収容する方法(収容方法1)と、図24に示すように、展開させた拘束網31の中央部から外側に向かい順に第二容器35Bに手により詰めるように収容する方法(収容方法2)と、図25に示すように、手により錘部30を上方へ纏め、拘束網31を取り外しが可能なカップ140へ拘束網31の中央部から順に収容し、カップ140からカップ141を取り外し、第二容器35Bへ乗せ、カップ底部の金網142をスライドさせ、カップ141内の拘束網31を第二容器35Bへ移し収容する方法(収容方法3)とがある。
次に、収容方法3について詳述する。まず、拘束網31を平面上に展開させ、拘束網31の外周に取り付けられている8個の錘部30を配置順の通り纏め、錘部30を上にして錘部30と拘束網31が絡まないように拘束網31の中央部を垂らす。続いて、拘束網31をコンパクトに纏めるために所定のカップ140に、拘束網31の中央部を垂らし、中央部から順に紐部材32の取り付け部まで錘部30を除いた全ての拘束網31を収容する。カップ140から拘束網31が収容されている部分を取り外し、そのまま第二容器35Bへ取り付け、拘束網31を第二容器35Bへスライドさせ移す。次に、8個の錘部30を容器35の8つのガス流路49の錘噴出口49aへそれぞれ挿入する。その後、拘束網収容蓋50を容器35へ被せ、容器35の開口部端面を塞ぐ。最後に、紐部材32を8ヶ所ある各2本の突起47bの間に設置し、合計16本の突起47bの頭部が舌部51の小穴51aを貫通するまで押し込み、容器35に拘束網収容蓋50を固定する。これにより、直径約100mm、高さ約150mmの徳利状の拘束網噴出部1Aが完成する。
カップ形状の留め具60は、図1〜図4、図8、図10、図11、図13に示すように、容器35の第一容器35Aの傾斜面37とリング部38との間に挿入されるリング部61と、リング部61から縮径するテーパ形状を為し外部から内部に向かって貫通する4つのボス形状のネジ貫通穴63を等間隔で設けた胴部62と、胴部62の中心部を貫通し筒状の接続具68の回り止め用の突起70を装着する受け部65を設けた筒形状の貫通穴64とを有する。
カップ形状の留め具60は、容器35の錘噴出口49aの回転位置を限定し固定する機能がある。例えば、拘束網31の形状が矩形状のものを使用する場合、建物内で拘束網31を効率よく噴出・展開するための重要な要件となる。拘束網31が矩形状を為しているため、拘束網の31の対角線が、建物内の天井と壁、壁と床の隅に位置することで、拘束網31を矩形状に展開することが可能となり、拘束網31の展開が効率よく行える。また、使用者が、操作上、一般的には一番自然に操作できる回転方向位置は、作動スイッチ76の位置が上部に来ているいる時である。そのため、使用する回転方向は必然的に一定になる。さらに、容器35の第一容器35Aのリング部38の一箇所に目印40bを設けているので、拘束網31の対角線がどのような位置で収納されているかを確認することができるようになっている。
筒状の接続具68は、円筒形状を為し、一端側に、カップ形状の留め具60の貫通穴64の内側の端部に係止される抜け止め用の環状の突起69と、カップ形状の留め具60の貫通穴64の受け部65に装着される回り止め用の箱形状の突起70とを設け、他端側に、取手部1Bを係止する2つの穴71を設けている。筒状の接続具68は、回り止め用の箱形状の突起70とカップ形状の留め具60の貫通穴64に設けた受け部65によって回転方向が規制されて固定されるので、捩れに対する強度が保たれる。
筒状の接続具68とカップ形状の留め具60とは、筒状の接続具68をカップ形状の留め具60の貫通穴64に挿通し、貫通穴64に設けた受け部65に回り止め用の箱形状の突起70を係止するとともに貫通穴64の端部に抜け止め用の環状の突起69を係止した状態で、拘束網噴出部1Aの第一容器35Aの背面側に配されるとともにカップ形状の留め具60のネジ貫通穴63からネジ66を第一容器35Aのネジ孔41aに螺着することによって拘束網噴出部1Aと一体化されることによって連結部1aを構成している。
一方、取手部1Bは、図1、図2、図17に示すように、両端が開口する円筒で構成され、取手部1Bを手で握るための取手手段を構成する長尺の制圧棒72と、拘束網噴出部1Aの筒状の接続具68を係合するために制圧棒72の一端部に設けた2つの穴73と、各穴73の内側に設けたナット74と、穴73より後方の制圧棒72の外周に設けたネジ部75と、拘束網噴出部1Aを作動させるために制圧棒72に設けた作動スイッチ76と、制圧棒72内に収容され、作動スイッチ76に連絡する作動用の電源としての電池77と、制圧棒72内で作動スイッチ76に連絡し、端部にコネクタ79を有する導線78と、作動スイッチ76とともに制圧棒72に設けられ、作動スイッチ76と電池77と導線78とを接続し、拘束網噴出部1Aを作動させるための回路基板80と、電池77を出し入れするための制圧棒72の他端部に嵌合されるプラグ81とで構成されている。制圧棒72は、例えばアルミニウム材から成る外径40mm×長さ1400mmの筒体であり、比較的狭い場所でも振り回すことのできる長さである。筒体は、本実施形態では1本の固定された長尺状としているが、伸縮自在方式にすることも可能である。導線78が拘束網噴出部1Aの導線13と接続されると、イニシエータ10、作動スイッチ76および電池77は直列で接続される。
制圧部1Cは、図18、図19に示すように、取手部1Bの制圧棒72のネジ部75に螺着されるネジ部82bを有する接続用の環状部82aと、接続用の環状部82aに複数のステー82dを介して接続される制圧用の環状部82cとで構成されている。
制圧部1Cは、不審者を押え付ける機能と、拘束網噴出部1Aを保護する機能を有している。また、制圧部1Cは、例えばアルミニウム材から成る外径230mmの円錐型であり、不審者を押え付ける際、不審者が制圧部1Cを掴んで抵抗しても、操作側に力が伝わり難い寸法・形状としている。
次に、斯くして構成された本実施形態に係る携行型拘束網展開装置1の作用を説明する。
(組立)
(1)拘束網噴出部1Aの組立について説明する。
先ず、図5、図7に示すように、ホルダ20の内側段部24に破裂板25を挿入する。
次に、ホルダ20に破裂板25を挟むようにスペーサ26を挿入する。
次に、フィルターカップ28に成型フィルタ27を挿入する。
次に、成型フィルタ27が入ったフィルターカップ28をホルダ20のネジ部21に螺入する。
次に、図3、図4に示すように、ホルダ20を第一容器35Aの筒部36から、ホルダ20の段部23が第一容器35Aの段部36bの内面に当たるまで挿入する。
次に、第一容器35Aのネジ孔41bと第二容器35Bのネジ螺着部46bとが一致する位置で合わせ、4本のネジ59をネジ孔41bからネジ螺着部46bへ螺着して固定することによって、容器35が完成する。
次に、図15に示すように、錘33の先端側の穴33bに紐部材32を通し、紐部材32を折り返し、ほぼ同じ長さに二等分する。
次に、紐部材32を錘カバー34の貫通孔34aを通し、錘33の溝33aと錘カバー34の凸部34dが合わさるまで錘33に錘カバー34を被せる(錘部30の完成)。
次に、図14に示すように、錘部30の紐部材32を拘束網31の周囲8ヶ所(8角形ならその角部、4角形なら4ヶ所の角部とその中点)に結び付ける(拘束網31の完成)。
次に、拘束網31を、図23〜図25に示す収容方法に従って容器35の第二容器35Bに移し替え、図10に示すように、錘部30を容器35の8箇所の錘噴出口49aから挿入する。
次に、図11に示すように、拘束網収容蓋50の舌部51の小穴51aと第二容器35Bのスリット入り突起部47bとの位置が一致するように拘束網収容蓋50を容器35に被せる。
次に、図11に示すように、第二容器35Bの各1個のスリット入り突起部47bに紐部材32をセットし、拘束網収容蓋50の舌部51の小穴51aから各スリット入り突起部47bが貫通するまで舌部51を押し込み、次に、舌部51の先端部を凹部40に形成した一対の係止溝40aに差し込んで固定する。これにより、図8に示すように、拘束網収容蓋50の固定が完了する。
次に、第一容器35Aの筒部36から突出したホルダ20にイニシエータ10を螺入する。
次に、第一容器35Aの筒部36の端部に設けた環状溝36aにイニシエータ保護用のプラグ52を接着、固定する。
次に、筒状の接続具68をカップ形状の留め具60の貫通穴64に挿通し、貫通穴64に設けた受け部65に筒状の接続具68の回り止め用の箱形状の突起70を係止するとともに貫通穴64の端部に抜け止め用の環状の突起69を係止する。
次に、筒状の接続具68を装着したカップ形状の留め具60を、拘束網噴出部1Aの第一容器35Aの背面側に重ね合わせた後、カップ形状の留め具60のネジ貫通穴63からネジ66を第一容器35Aのネジ孔41aに螺着することによって、図3に示すように、拘束網噴出部1Aに連結部1aを一体化する。
次に、カップ形状の留め具60の4つのネジ貫通穴63のネジ66のネジ頭を隠すために、キャップ67を貼り付ける(拘束網噴出部1Aが完成)。
(2)取手部1Bの組立について説明する。
制圧棒72に作動スイッチ76を半田付けした回路基板80を固定する。回路基板80には、電池77、導線78が接続されている。電池77は制圧棒72の他端部から挿入され、挿入後にはプラグ81が嵌合され制圧棒72の他端部を閉鎖する。制圧棒72の一端部から導線78に接続するコネクタ79が導出するように調整する。(取手部1Bが完成)。
(3)取手部1Bと制圧部1Cとの組み付けについて説明する。
図20に示すように、取手部1Bの一端部側に制圧部1Cの接続用の環状部82a内に挿入し、接続用の環状部82aに設けたネジ部82bが取手部1Bの制圧棒72のネジ部75に当接したところで、制圧部1Cを回転して両ネジ部75,82bを螺合し、制圧部1Cを取手部1Bの一端部に螺着する。
なお、ここでの操作は、取手部1Bを制圧部1C側へ移動しても、あるいは両者を相互に近づけても良い。また、取手部1Bと制圧部1Cとの螺合も取手部1Bを回転しても、両者を回転しても良い。
(4)拘束網噴出部1Aと取手部1Bとの組み付けについて説明する。
先ず、図21に示すように、制圧部1Cを組み付けた取手部1Bの一端部に向かって拘束網噴出部1Aを連結部1aから近づける。
次に、図22に示すように、拘束網噴出部1Aの導線13に取り付けたコネクタ13aと取手部1Bの導線78に取り付けたコネクタ79とを接続する。
次に、図22に示すように、取手部1Bの制圧棒72を筒状の接続具68とプラグ52との間に挿入する。
次に、図22に示すように、筒状の接続具68の他端部に設けた穴71と取手部1Bの制圧棒72の一端部に設けた穴73との位置合わせを行い、ネジ19を穴71から穴73に向かってねじ込み、穴73の下面側に装着したナット74にネジ19を螺着する。
以上により、本実施形態に係る携行型拘束網展開装置1を得ることができる。
(動作)
次に、本実施形態に係る携行型拘束網展開装置1の動作について説明する。
作動スイッチ76をON操作すると、作動スイッチ76のON信号により導線78を介してイニシエータ10に電気信号が送られ、イニシエータ10の発熱部11が着火薬14を着火しガス発生剤15を着火する。
次に、ガス発生剤15の燃焼に伴うガス圧力が高まり、所定値に達すると破裂板25が破断し、発生ガスがスペーサ26を介してフィルタカップ28内に収容された成型フィルタ27にて冷却、濾過され容器35内に流入する。
次に、容器35内に流入した発生ガスは、容器35の筒部36と筒部42との間に形成されたガス流路39から8つのガス流路49に分かれて流下し、8つのガス流路49の錘噴出口49aにそれぞれ配置した錘部30を容器35の外方に噴出する。
次に、錘部30の噴出に伴って拘束網収容蓋50が取り外されるとともに拘束網31が展開する。
ここで、図14に示すように、矩形状の拘束網31の四隅、各辺の中点にそれぞれ紐部材32を介して錘部30を拘束網31に取り付け、容器35の頂点を基点として容器35を8等分した地点に8箇所の錘噴出口49aを設け、容器35の頂点には、図8に示すように、拘束網31の上辺の中点に位置する錘部30を錘噴出口49aに収容するための目印40bを設けている。
拘束網31が矩形状を為しているため、拘束網31の対角線が、建物内の天井と壁、壁と床の隅に位置することで、拘束網31を矩形状に展開することが可能となり、拘束網31の展開が効率よく行える。
従って、本実施形態に係る携行型拘束網展開装置1を組み立てる際、拘束網31の上辺の中点に位置する錘部30を目印40bに従って錘噴出口49aに挿入し、残りの錘部30を順次錘噴出口49aに挿入するだけに上述の効果を奏することが可能となる。
また、錘噴出口49aが、容器35の頂点から容器35の縁部に沿ってマイナス22.5度またはプラス22.5度ずらした点を基点として容器35を8等分した地点に設けられた場合には、目印40bは、錘噴出口49aの変位に伴って移動され、マイナス22.5度ずらした点に設けられた場合には、拘束網31の上辺の左端部に位置する錘部30を挿入する目印とされ、プラス22.5度ずらした点に設けられた場合には、拘束網31の上辺の右端部に位置する錘部30を挿入する目印とされる。
以上のように、本実施形態によれば、制圧棒となる取手部1Bに拘束網噴出部1Aと制圧部1Cを取り付けたので、警備員や警察官または一般の人でも十分に持ち運びが可能である。また、拘束網噴出部1Aを所定長さの制圧棒となる取手部1Bの先端に取り付け、さらに拘束網噴出部1Aを制圧部1Cで保護しているので、犯罪嫌疑者との間に十分な距離を取ることができ、制圧棒となる取手部1Bの長さ分、拘束網31の飛距離を稼ぐことができ、余裕を持った拘束網31の展開が可能で、拘束の確率が高くなる。
また、例えば、制圧棒となる取手部1Bの全長が1.6mのとき、学校の廊下等の比較的狭い所でも十分に取り回すことが可能な長さとして用いることができる。
また、取手部1Bの制圧棒72は伸縮自在式とすることにより、任意の長さに設定することが可能となるので保管時や使用時の自由度が増すこととなる。
また、拘束網噴出部1Aを保護している制圧部1Cにより、犯罪嫌疑者を押え付けることが可能である。このような円錐形状および大きさにすることで、制圧部1Cを犯罪嫌疑者に掴まれても、操作側に力が伝わり難く、力負けし、操作側が危険にさらされる可能性が低減する。さらに、制圧部1Cは、制圧棒72とねじにより締結される構造としているので、任意の形状の物を取手部1Bに容易に装着可能となる。
また、拘束網噴出部1Aの火工式点火器(ガス発生部)は非火薬品のイニシエータ10であり、高圧ガス保安法、火薬類取締法などの法規上の規制を受けず、警察官などの特定な人以外でも誰でも使用することができる。このイニシエータ10を用いることで、電気的に作動できるため、導線13,78の長さの調整だけで、長い制圧棒の先端などに容易に取り付けることが可能である。なお、長い制圧棒に取り付けるような形態では、圧縮ガスを使用した場合ではガス流路の取り回し等において構造が複雑になる。
なお、本実施形態では、制圧部1Cとして環状部82a,82cをステー82dで連結した形状としたが、これに限らず、例えば図34、図35に示すように、環状部82aに刺股形状の制圧棒82eを設けた制圧部1C′とすれば、刺股としても使用できる。また、図36、図37に示すように、本実施形態に用いた制圧部1Cと刺股形状の制御棒82eを組み合わせた制圧部1C″としても良い。この場合には、本実施形態に用いた制圧部1Cと図34、図39に示す制圧部1C′との機能を併せ持つことが可能である。
(実験)
次に、本実施形態に係る携行型拘束網展開装置1を実験例1〜6により説明する。
(実験例1)
第1実施形態に係る携行型拘束網展開装置1を用い、図26に示すように、架台101に取り付けられた固定治具102で、取手部1Bを挟み固定し、地表と水平になるように高さ1.5mの位置にセットした。噴出角度の異なる拘束網噴出部1Aを用意し、それぞれの噴出角度における錘の軌跡を解析した。解析は、拘束網31の噴出方向に架台から2.5mの位置から垂直方向に5m離れた位置にビデオカメラ103を設置し、拘束網31の噴出開始から拘束網31が地表に落下するまでの間を撮影した画像を動画解析装置にて行った。解析の対象は、画像内の最も上および下に位置する錘部とした。また、拘束網31のサイズは3m×3mの正方形とし、目幅は12.5cmに固定した。なお、拘束網31が上下左右対称であり、錘部30が360度の円周上に等分に配置されているため、錘部30の軌跡により得られる拘束網31の展開の程度は、側面からの解析と正面からの解析は同一となるため、解析は側面からの一方向とした。
この結果を図27に示す。噴出角度が、拘束網噴出部1Aの横軸線上を0度としたとき、噴出角度が小さいほど飛翔距離は短く、大きいほど飛翔距離が長くなることが確認された。また、20度から75度までは、拘束網31の縦方向の最大展開の3mに対し、その90%以上が展開している。これに対し、噴出角度を80度とすると飛翔距離が7〜8mに達するが、拘束網31が目標体(例えば人間)全体を覆うに十分な展開をなさないうちに地上に落下していまうことが確認された。
また、この実験において、イニシエータ10からの発生ガスによる容器35内のガス流路内圧力を測定した。
その結果を図28に示す。圧力の挙動は、作動スイッチ76を押してから0.0346秒後に圧力が上昇を始め、0.0351秒後に1.1MPaの最大圧力を示し、0.038秒後には大気圧に戻る(時間は全て作動スイッチ76を押してからの経過時間である)。
ここで、以下の実験を行うに当たり、目標体(男性大人1.7〜1.8m)と携行型拘束網展開装置1との距離を知覚別に定義してみる(参考文献:朝倉書店発行/人間の許容限界ハンドブック)。
《ケース1》=社会距離=近距離=相手に触れることが難しい距離
このケース1では、目標体が襲いかかってくる、もしくは周囲を襲撃している場合を想定する。
参考文献によれば、相手に触れることが難しい距離は、直視で1.22m〜2.13m、非直視で2.13m〜3.66mとされている。そこで、これらの距離の平均をとり、2.5mと考える。
《ケース2》=公衆距離=遠距離=相手とかかわりにならずにすみ、逃げたり防いだりできる距離
このケース2では、目標体が逃走しようとしている、もしくは周囲を襲撃している場合を想定する。
参考文献によれば、相手とかかわりにならずにすみ、逃げたり防いだりできる距離は、直視で3.66m〜7.62m、非直視で7.62m以上とされている。そこで、その距離を直視距離の平均をとり、5.6mと考える。
(実験例2)
第1実施形態に係る携行型拘束網展開装置1を用いて、噴出角度を50度に設定した。実験例1と同様の測定状況において、拘束網31の展開形状を拘束網31が地上に着地するまので間、計測した結果を図29に示す。
拘束網31は、作動スイッチ76を押してから、0.2秒後に最下部に位置する錘部30が携行型拘束網展開装置1から1.3mの位置に着地し、ほぼそのままの位置に止まり、最上部の錘部30は0.4秒後に最大高さを示した。つまり、0.4秒後に拘束網31は最大の展開を示しているということになる。0.4秒を経過以降の最上部の錘部30は放物線を描きながら、1秒後に携行型拘束網展開装置1から3.8mの位置に着地した。
このことから、目標体が地上に居た場合、錘部30を衝突させることなく拘束網31を被せることができる範囲は、携行型拘束網展開装置1からの距離が1.3m以上であり、前出の社会距離(近距離=1.78m〜3.22m)に目標体が存在する場合に安全を確保できることになる。また、そのときに拘束網31が目標体に被さり始める時間は、前出の社会距離の中点(2.5m)に身長1.75mの目標体が存在したと仮定すると、携行型拘束網展開装置1の作動スイッチ76を押してから、0.6秒後である。
(実験例3)
第1実施形態に係る携行型拘束網展開装置1を用いて、噴出角度を75度に設定した。実験例1と同様の測定状況において、拘束網31の展開形状を拘束網31が地上に着地するまので間、計測した結果を図30に示す。
拘束網は、作動スイッチ76を押してから、0.3秒後に最下部に位置する錘部30が携行型拘束網展開装置1から3.7mの位置に着地し、ほぼそのままの位置に止まり、最上部の錘部30は0.5秒後に最大高さを示した。つまり、0.5秒後に拘束網31は最大の展開を示しているということになる。0.5秒を経過以降の最上部の錘部30は放物線を描きながら、1秒後に携行型拘束網展開装置1から6.6mの位置に着地した。
このことから、目標体が地上に居た場合、錘部30を衝突させることなく拘束網31を被せることができる範囲は、携行型拘束網展開装置1からの距離が3.7m以上であり、前出の公衆距離(遠距離=4.88m〜6.32m)に目標体が存在する場合に安全を確保できることになる。また、そのときに拘束網31が目標体に被さり始める時間は、前出の社会距離の中点(5.6m)に身長1.75mの目標体が存在したと仮定すると、携行型拘束網展開装置1の作動スイッチ76を押してから、0.6秒後である。
(実験例4)
第1実施形態に係る携行型拘束網展開装置1を用いて、噴出角度を20度に設定した。実験例1と同様の測定状況において、拘束網31の展開形状を拘束網31が地上に着地するまので間、計測した結果を図31に示す。
拘束網31は、作動スイッチ76を押してから、0.2秒後に最下部に位置する錘部30が携行型拘束網展開装置1から0.6mの位置に着地し、ほぼそのままの位置に止まり、最上部の錘部30は0.3秒後に最大高さを示した。つまり、0.3秒後に拘束網31は最大の展開を示しているということになる。0.3秒を経過以降の最上部の錘部30は放物線を描きながら、0.9秒後に携行型拘束網展開装置1から2.4mの位置に着地した。
このことから、目標体が地上に居た場合、錘部30を衝突させることなく拘束網31を被せることができる範囲は、携行型拘束網展開装置1からの距離が0.6m以上であり、前出の社会距離(近距離=1.78m〜3.22m)に目標体が存在する場合に安全を確保できることになる。また、そのときに拘束網が目標体に被さり始める時間は、前出の社会距離の最近接点(1.78m)に身長1.75mの目標体が存在したと仮定すると、携行型拘束網展開装置1の作動スイッチ76を押してから、0.6秒後である。
(実験例5)
第1実施形態に係る携行型拘束網展開装置1を用いて、噴出角度が20度と30度に設定した。図32に示すように、天井に地表から高さ3mの位置に固定した。この状況において拘束網31の収容方法別(3種類:図23〜図25)に、展開のスピードを解析した。解析は、携行型拘束網展開装置1から水平方向に2mの距離で、高さ1.5mの位置にビデオカメラ103を設置し、拘束網31の噴出開始から拘束網31が地表に落下するまでの間を撮影した画像を動画解析装置にて行った。解析の対象は、画像内の左右両端に位置する錘部30とし、拘束網31は3m×3mの八角形とし、目幅は12.5cmに固定した。なお、拘束網が上下左右対称であり、錘部30が360度の円周上に等分に配置されているため、錘部30の軌跡により得られる拘束網31の展開の程度は、側面からの解析と正面からの解析は同一となるため、解析は側面からの一方向とした。展開のスピードの評価は、拘束網31が一定の基準に展開するまでに要する時間およびその高さで行った。その基準は、拘束網31の90%(展開径2.7m=3m×0.9)に相当する展開を示すポイントとした。
その結果を図33に示す。90%の展開を示す時間が最も早く、また、最も高い位置で展開したのは、噴出角度が20度でも30度でも、収容方法3であった。
(実験例6)
第1実施形態に係る携行型拘束網展開装置1を用いて、拘束網31の一つの目幅を7.5cm、10cm、12.5cm、15cmおよび外側10cm−内側20cmをもって、それぞれ5回づつ実施した。
ここでは、拘束網31から人間がどの程度の時間で網から脱出できるかを、ストップウォッチで脱出時間を測定した。脱出時間の目標を仮に30秒以上とした。
拘束網31の目幅を10cm、12.5cmおよび外側10cm−内側20cmのタイプでは30秒以上掛かったが、7.5cmと15cmでは30秒以上達成したものがなかった。
また、外側10cm―内側20cmのタイプでは、2倍の60秒近いものがあった。
Figure 0004884786
(第2実施形態)
図38〜図43は、本発明の第2実施形態に係る携行型拘束網展開装置2を示す。
本実施形態に係る携行型拘束網展開装置2は、第1実施形態に係る携行型拘束網展開装置1におけるガス発生器による錘部30の噴出をガスボンベ108による錘部30の噴出に代えた点に特徴を有する。
従って、本実施形態における拘束網噴出部2Aは、第1実施形態における拘束網噴出部1Aからイニシエータ10、ホルダ20、プラグ52、破裂板25、スペーサ26、成型フィルター27、フィルターカップ28を取り除いたもので、その他の構成は同じである。従って、下記の説明では、同一構成については同一の符号を付してその説明は省略する。本実施形態における拘束網噴出部2Aは、第一容器35Aの筒部36の端部の環状溝36aに、弾性パッキン104を装着している。弾性パッキン104は、環状溝36a内に挿入される環状の脚部105と、筒部36の端部を覆う環状のボス部106とで構成されている。また、弾性パッキン104には、取手部2Bとの組付時に弾性パッキン104を押圧するブロック部107が取り付けられている。ブロック部107は、穴107aを設けている。
また、連結部2aは、第1実施形態の連結部1aと同一構成である。また、連結部2aを構成する筒状の接続具68およびカップ形状の留め具60は、第1実施形態に用いた筒状の接続具68とカップ形状の留め具60とは同一構成である。従って、下記の説明では、同一構成については同一の符号を付してその説明は省略する。
一方、取手部2Bは、図38、図40〜図43に示すように、第一制圧棒72Aと、第二制圧棒72Bと、ガスボンベ108と、メカニカルバルブ109と、作動スイッチ114とで構成されている。
第一制圧棒72Aは、第1実施形態の取手部1Bと同様に両端が開口する例えばアルミニウム製の長尺の円筒で構成されている。
第一制圧棒72Aの一端部には、拘束網噴出部2Aのブロック部107を装着する空間117を形成するために取り付けられた仕切部116と、拘束網噴出部1Aの筒状の接続具68を係合するために設けた2つの穴73と、各穴73の内側に設けたナット74と、穴73より後方の外周に設けたネジ部75とを設けている。仕切部116には、穴116aを設けている。
第一制圧棒72Aの他端部には、メカニカルバルブ109を備えたメカニカルバルブ用筒体72Cが取り付けられている。メカニカルバルブ用筒体72Cには、メカニカルバルブ109と、メカニカルバルブ109を操作する作動スイッチ114と、作動スイッチ114を取り付ける開口115とを設けている。メカニカルバルブ109は、作動スイッチ114と一体であり、この作動スイッチ114を押すことによって、ガス圧が開放される。また、作動スイッチ114を押さなければ、メカニカルバルブ109が閉じられ、ガス圧を止めることができる。
第二制圧棒72Bは、ガスボンベ取付部118と、ガスボンベ108を収容する空間と、ガスボンベ108の出入口に取り付けられるプラグ81Aとを設けている。
メカニカルバルブ109は、前後にジョイントカプラを備えた配管110,113が左右に取り付けられ、上部に作動スイッチ114が取り付けられている。配管110は、先端が仕切部116の穴116aを挿通し、その差込部110aがブロック部107の穴107a内に連結されている。配管113は、ボンベ取付部118に連結されている。
ボンベ取付部118は、取付部本体118aと取付部本体118aに螺着される口金部122と開封針125とで構成されている。
取付部本体118aは、配管113に備えたジョイントカプラ113aを螺着するネジ穴119と、口金部122を螺着するためにネジ部121を設けた凹部120とを有する。
口金部122は、取付部本体118aのネジ部121と螺合するネジ部122aと、ガスボンベ108の口金108aを螺着するネジ穴122bと、ガス逃げ孔129と、取付部本体118aとの当接部からのガス漏れを防止するためにOリング124を装着する凹溝123とを有する。
開封針125は、ガス流路を有する針126と、針126の一端に設けたフランジ部127と、針126の他端に配したドーナツ形状のパッキン128とで構成し、フランジ部127を取付部本体118aのネジ穴119の開放端にフランジ部127を装着し、パッキン128をガスボンベ108の先端部に装着している。
作動スイッチ114は、第1実施形態における作動スイッチ76と同様に、誤ってスイッチを押して作動してしまわないように、ガードカバー205を設け、封印シールを貼り付けている。
なお、制圧部2Cは、第1実施形態の制圧部1Cと同じであるからその説明は省略する。
次に、斯くして構成された本実施形態に係る携行型拘束網展開装置2の作用を説明する。
ガスボンベ108をプラグ81Aを外した第二制圧棒72Bの開口端から挿入し、ガスボンベ108をボンベ取付部118の口金部122に捩じ込むとネジの作用により徐々に開封針125がガスボンベ108の封部に押し込まれる。
そのため、ネジが最後まで捩じ込まれると、開封針125がガスボンベ108の封部を貫通し開封する。
さらに、封部はドーナツ状のパッキン128に押し当てられるので密着しそこからはガスが漏れなくなる。
従って、ジョイントカプラ113aの流路でないところからはガスが漏れない状態となる。
次に、本実施形態に係る携行型拘束網展開装置2の動作について説明する。
作動スイッチ114をON操作すると、メカニカルバルブ109が配管113と110とを連絡し、ガスボンベ108内のガスを拘束網噴出部2Aに向かって噴出する。その後の作動状態は、ガス発生装置からの生成ガスをガスボンベ108のガスに置き換えただけで、第1実施形態に係る携行型拘束網展開装置1と同様に拘束網31が展開される。
使用後、ガス圧が完全になくなっていれば問題は無いが、残留のガスがあった場合、不用意にガスボンベ108を外しても、ネジの中央部にてガス逃を設けているため、ネジがまだ残っている段階でガスを逃がすので安全に取り外すことができる。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第3実施形態)
図44〜図56は、本発明の第3実施形態に係る携行型拘束網展開装置3を示す。
本実施形態に係る携行型拘束網展開装置3は、拘束網噴出部3Aと取手部3Bとをアダプター3Dで着脱自在に連結するように構成した点で、第1実施形態に係る携行型拘束網展開装置1とは相違する。
本実施形態において、拘束網噴出部3Aは、プラグ52Aをカップ形状の留め具60とともに筒部36に固定した点で、第1実施形態における拘束網噴出部1Aとは相違する。従って、ここではその相違する構成について説明し、同一の構成についてはその説明を省略する。
拘束網噴出部3Aの筒部36には、ホルダ20を介してイニシエータ10が取り付けられ、イニシエータ10の取り出しを防止するためのプラグ52Aを筒部36の外周に接するように挿入してカップ形状の留め具60によって固定されている。プラグ52Aは、底付きのカップで構成され、開口端に形成された外方に張り出すフランジ53と、開口端の外周に形成された外方に膨出する回り止め用の突起部54と、胴部の外周に胴部の軸線に対して直交する位置と両者の中間位置に形成された外方に膨出する3つのガイド用の突起部55と、底部に設けた導通用の2つのピンから成る接触部56と、各ピンから成る接触部56に接続する導線57と、導線57の先端に取り付けたコネクタ58とを有する。コネクタ58は、イニシエータ10に連絡するコネクタ13aと接続される。
取手部3Bは、第1実施形態の取手部1Bに設けた2つの穴73の内、頂部側の穴73のみを残し、同様に内側にナット74を設けている。また、回路基板80に連絡する導線78がコネクタ79を介してアダプター3Dに設けた導線99のコネクタ100に接続される点で、第1実施形態における取手部1Bとは相違する。その他の構成は、第1実施形態における取手部1Bと同じ構成であるからその説明を省略する。
一方、アダプター3Dは、図44〜図46、図50〜図56に示すように、半割状の第一部材83aと第二部材83bとを4個のネジ84cによって結合して成る筒状を為す本体部83と、本体部83の一端部に形成した拘束網噴出部3Aとの第一連結部85と、本体部83の他端部に形成した取手部3Bとの第二連結部86と、イニシエータ10に回路基板80に搭載した各種回路、電池77、作動スイッチ76を連絡する接続部87とを有する。
半割状の第一部材83aは、4個のネジ84cを挿通する4個の穴84aを有し、半割状の第二部材83bは、4個のネジ84cを螺着するネジ穴84bを有する。
第一連結部85は、拘束網噴出部3Aのプラグ52Aの外周に対向して設けた3つの突起部55をそれぞれ軸長方向に導く3つの溝部88と、溝部88と直交して設けられ、拘束網噴出部3Aのプラグ52Aの3つの突起部55をプラグ52Aの軸長方向と直交する方向にそれぞれ導く3つの横溝部89と、横溝部89と直交して溝部88の入口方向に設けられ、拘束網噴出部3Aのプラグ52Aの3つの突起部55をプラグ52Aの軸長方向に導く3つの係止溝部90とを内壁面に有する穴部91から成る。第一連結部85は、溝部88内に挿入された突起部55を横溝部89を介して係止溝部90に導く役割を担う。
接続部87は、第一連結部85側に配される仕切部材92と、この仕切部材92を拘束網噴出部3A方向へ押圧するコイルバネから成る弾性部材93とを配置する穴部94から成る。穴部94は、第一連結部85より大きな径にしてある。仕切部材92は、プラグ52Aの2つのピンから成る接触部56にそれぞれ接触する2つの接点部98と、2つの接点部98とイニシエータ10の各種回路、電池77、作動スイッチ76とを連絡する導線99とを取り付けている。また、仕切部材92には、拘束網噴出部3Aからの押し込み力および弾性部材93によるバネ力によって移動する際に接続部87内を平行移動できるようにするための回り止め用の凹部92aが設けてある。穴部94の第二連結部86側の壁面94a,94bは、弾性部材93を支持固定できる座面を形成できる大きさで、かつ導線99を挿通できる穴を有する仕切壁となっている。穴部94の底面には、仕切部材92を接続部87内で平行移動できるように回り止め用の凹部92aを案内するために、第一連結部85側と壁面94bとを連結する回り止め用の突起部94cが設けてある。接続部87は、第一連結部85内に挿入された突起部55を係止溝部90内に押圧し、第一連結部85内に挿入された突起部55を弾性部材93によるバネ力によって係止溝部90内に係止する役割を担う。また、接続部87は、弾性部材93によるバネ力によって仕切部材92の接点部98をイニシエータ10のピンから成る接触部56に押圧して確実に接触させる役割を担う。導線99にはコネクタ100が取り付けられている。
第二連結部86は、連結管80を介して取手部3Bの先端部に接続される。連結管80は、一端部に形成した環状の抜け止め用の膨出部(突起部)80aと、環状の抜け止め用の膨出部(突起部)80aと連続して形成した抜け止め用の突起部80bと、側壁に形成した係止用の穴80cとを設けている。連結管80の他端部は、取手部3Bの断面形状と一致するように丸断面形状になっている。第二連結部86は、連結管80の抜け止め用の突起部80bを係止する凹部96と、連結管80の抜け止め用の膨出部(突起部)80aを係止する凹部95とを内壁面に有する穴部97から成る。凹部95は、半割状の第一部材83aと第二部材83bとに形成され、凹部96は、半割状の第二部材83bに形成されている。第二連結部86は、挿入された連結管80の回り止め用の突起部80bを凹部96に係止するとともに連結管80の抜け止め用の膨出部(突起部)80aを凹部95に係止する。そして、連結管80内に挿入される取手部3Bの先端部の穴80cに第一部材83aの穴84dからネジ80dを螺着することによって取手部3Bをアダプター3Dに組み付けることができる。
次に、斯くして構成された本実施形態に係る携行型拘束網展開装置3の作用を説明する。
(組立)
(1)拘束網噴出部3Aの組立について説明する。
先ず、図49に示すように、ホルダ20の内側段部24に破裂板25を挿入する。
次に、ホルダ20に破裂板25を挟むようにスペーサ26を挿入する。
次に、フィルターカップ28に成型フィルタ27を挿入する。
次に、成型フィルタ27が入ったフィルターカップ28をホルダ20のネジ部21に螺入する。
次に、ホルダ20を第一容器35Aの筒部36から、ホルダ20の段部23が第一容器35Aの段部36bの内面に当たるまで挿入する。
次に、第一容器35Aのネジ孔41bと第二容器35Bのネジ螺係部46bとが一致する位置で合わせ、4本のネジ59をネジ孔41bからネジ螺係部46bへ螺着して固定することによって、容器35が完成する。
次に、図15に示すように、錘33の先端側の穴33bに紐部材32を通し、紐部材32を折り返し、ほぼ同じ長さに二等分する。
次に、紐部材32を錘カバー34の貫通孔34aを通し、錘33の溝33aと錘カバー34の凸部34dが合わさるまで錘33に錘カバー34を被せる(錘部30の完成)。
次に、図14に示すように、錘部30の紐部材32を拘束網31の周囲8ヶ所(8角形ならその角部、4角形なら4ヶ所の角部とその中点)に結び付ける(拘束網31の完成)。
次に、拘束網31を、図23〜図25に示す収容方法に従って容器35の第二容器35Bに移し替え、図10に示すように、錘部30を容器35の8箇所の錘噴出口49aから挿入する。
次に、図11に示すように、拘束網収容蓋50の舌部51の小穴51aと第二容器35Bのスリット入り突起部47bとの位置が一致するように拘束網収容蓋50を容器35に被せる。
次に、図11に示すように、第二容器35Bの各1個のスリット入り突起部47bに紐部材32をセットし、拘束網収容蓋50の舌部51の小穴51aから各スリット入り突起部47bが貫通するまで舌部51を押し込み、次に、舌部51の先端部を凹部40に形成した一対の係止溝40aに差し込んで固定する。これにより、拘束網収容蓋50の固定が完了する。
次に、第一容器35Aの筒部36から突出したホルダ20にイニシエータ10を螺入する。
先ず、図48に示すように、イニシエータ10の導線13に取り付けたコネクタ13aと、プラグ52Aのピンから成る接触部56に接続する導線57に取り付けたコネクタ58とを接続する。
次に、プラグ52Aをピンから成る接触部56側からカップ形状の留め具60の中心にある貫通穴64内に挿入し、プラグ52Aの突起部54にカップ形状の留め具60の受け部65が引っ掛るとともに環状のフランジ53が貫通穴64の縁部に当接するまでプラグ52Aを移動する。
次に、カップ形状の留め具60の円周上にある4つのネジ貫通穴63からネジ66を挿入し第一容器35Aのネジ孔41aを通し第二容器35Bのネジ螺係部46aと螺合する。
次に、カップ形状の留め具60の4つのネジ貫通穴63のネジ66のネジ頭を隠すために、キャップ67を貼り付ける(拘束網噴出部3Aが完成)。
(2)取手部3Bの組立について説明する。
制圧棒72に作動スイッチ76を半田付けした回路基板80を固定する。回路基板80には、電池77、導線78が接続されている。電池77は制圧棒72の他端部から挿入され、挿入後にはプラグ81が嵌合され制圧棒72の他端部を閉鎖する。制圧棒72の一端部から導線78に接続するコネクタ79が導出するように調整する。(取手部1Bが完成)。
(3)取手部1Bと制圧部1Cとの組み付けについて説明する。
図53、図56に示すように、取手部3Bの一端部側に制圧部3Cの接続用の環状部82a内に挿入し、接続用の環状部82aに設けたネジ部82bが取手部3Bの制圧棒72のネジ部75に当接したところで、制圧部3Cを回転して両ネジ部75,82bを螺合し、制圧部3Cを取手部3Bの一端部に螺着する。
なお、ここでの操作は、取手部3Bを制圧部3C側へ移動しても、あるいは両者を相互に近づけても良い。また、取手部3Bと制圧部3Cとの螺合も取手部3Bを回転しても、両者を回転しても良い。
(4)アダプター3Dによる拘束網噴出部3Aと取手部3Bとの組み付けについて説明する。
先ず、図53に示すように、取手部3B内から導線78を引き出し、コネクタ79を弾性部材93内を挿通する導線99に取り付けたコネクタ100と接続する。
次に、図51に示すように、仕切部材92と弾性部材93を穴部94内に配置する。この際、仕切部材92の回り止め用の凹部92aを穴部94の回り止め用の突起部94cに嵌め込む。これによって、仕切部材92は、軸方向に移動するが、径方向に回転することがない。従って、仕切部材92に設けた2つの接点部98は、図56に示すように、アダアプター3Dの半割状の第二部材83bに対して垂直方向に立設された状態で保持される。
次に、連結管80の回り止め用の突起部80bを半割状の第二部材83bに形成されている凹部96と位置合わせを行いながら、連結管80の抜け止め用の膨出部(突起部)80aを半割状の第二部材83bに形成されている凹部95に係止する。
次に、半割状の第一部材83aを半割状の第二部材83bに最中合わせのように重ね合わせ、ネジ80dを半割状の第一部材83aの穴84dから連結管80の穴80cに挿通し内側なナット74に螺着し、連結管80を介してアダプター3Dに取手部3Bを接続する。また、アダプター3Dは、4つのネジ84cによって結合する。
以上によって、アダプター3Dの第二連結部86に取手部3Bを取り付けることができる。
次に、図54〜図56に示すように、拘束網噴出部3Aのプラグ52Aを、その外周に設けた3つの突起部55a,55b,55cをアダプター3Dの第一連結部85の溝部88a,88b,88cに沿って挿入し、プラグ52Aを第一連結部85内に挿入する。プラグ52Aを所定の長さ挿入すると、プラグ52Aの先端部が仕切部材92に当接し、弾性部材93を圧縮し、移動が阻止されたところで、プラグ52Aを回転し、突起部55a,55b,55cを横溝部89に沿ってアダプター3Dの軸長方向と直交する方向に移動する。プラグ52Aが所定量回転されると、係止溝部90の壁面90aに当接し、移動が阻止される。その時点で、プラグ52Aをフリーにすると、圧縮されていた弾性部材93が復元力で仕切部材92を介してプラグ52Aを第一連結部85の挿入口方向へ押し戻し、それに伴って突起部55a,55b,55cが係止溝部90内に押し込まれる。また、拘束網噴出部3Aのプラグ52Aに設けた2つのピンから成る接触部56が仕切部材92に設けた2つの接点部98と接触した状態で保持される。
以上によって、アダプター3Dの第一連結部85に拘束網噴出部3Aを取り付けることができる。
以上により、本実施形態に係る携行型拘束網展開装置3を得ることができる。
(動作)
次に、本実施形態に係る携行型拘束網展開装置3の動作について説明する。
作動スイッチ76をON操作すると、作動スイッチ76のON信号により導線78を介してイニシエータ10に電気信号が送られ、イニシエータ10の発熱部11が着火薬14を着火しガス発生剤15を着火する。
次に、ガス発生剤15の燃焼に伴うガス圧力が高まり、所定値に達すると破裂板25が破断し、発生ガスがスペーサ26を介してフィルタカップ28内に収容された成型フィルタ27にて冷却、濾過され容器35内に流入する。
次に、容器35内に流入した発生ガスは、容器35の筒部36と筒部42との間に形成されたガス流路39から8つのガス流路49に分かれて流下し、8つのガス流路49の錘噴出口49aにそれぞれ配置した錘部30を容器35の外方に噴出する。
次に、錘部30の噴出に伴って拘束網収容蓋50が取り外されるとともに拘束網31が展開する。
ここで、図14に示すように、矩形状の拘束網31の四隅、各辺の中点にそれぞれ紐部材32を介して錘部30を拘束網31を取り付け、容器35の頂点を基点として容器35を8等分した地点に8箇所の錘噴出口49aを設け、容器35の頂点には、図8に示すように、拘束網31の上辺の中点に位置する錘部30を錘噴出口49aに収容するための目印40bを設けている。
拘束網31が矩形状を為しているため、拘束網31の対角線が、建物内の天井と壁、壁と床の隅に位置することで、拘束網31を矩形状に展開することが可能となり、拘束網31の展開が効率よく行える。
従って、本実施形態に係る携行型拘束網展開装置3を組み立てる際、拘束網31の上辺の中点に位置する錘部30を目印40bに従って錘噴出口49aに挿入し、残りの錘部30を順次錘噴出口49aに挿入するだけに上述の効果を奏することが可能となる。
また、錘噴出口49aが、容器35の頂点から容器35の縁部に沿ってマイナス22.5度またはプラス22.5度ずらした点を基点として容器35を8等分した地点に設けられた場合には、目印40bは、錘噴出口49aの変位に伴って移動され、マイナス22.5度ずらした点に設けられた場合には、拘束網31の上辺の左端部に位置する錘部30を挿入する目印とされ、プラス22.5度ずらした点に設けられた場合には、拘束網31の上辺の右端部に位置する錘部30を挿入する目印とされる。
次に、拘束網31を展開した拘束網噴出部3Aをアダプター3Dから取り外す。
この際、係止溝部90内に係止されている突起部55a,55b,55cを抜き出すために、プラグ52Aをアダプター3D方向へ押圧し、プラグ52Aの先端が仕切部材92を介して弾性部材93を圧縮し、移動が阻止されると、プラグ52Aを回転し、突起部55a,55b,55cを横溝部89に沿って移動し、突起部55a,55b,55cが溝部88の壁面に当接して移動が阻止されたところで、プラグ52Aをフリーにすると、圧縮されていた弾性部材93の復元力で仕切部材92を介してプラグ52Aを第一連結部85の挿入口方向に押圧し、突起部55a,55b,55cを溝部88に沿って移動しながら第一連結部85の挿入口から抜き出し、アダプター3Dによる拘束網噴出部3Aのプラグ52Aに対する拘束力を解除する。従って、拘束網噴出部3Aはアダプター3Dとは反対方向に容易に引き出すことができる。
次に、新たな拘束網噴出部3Aをアダプター3Dに取り付ける。
この操作は、上述したアダプター3Dの第一連結部85に対する拘束網噴出部3Aの取付と同様に行われる。
このように、本実施形態においては、拘束網噴出部3Aを使用した後で、使用済みの拘束網噴出部3Aをアダプター3Dから取り外し、新たな拘束網噴出部3Aを容易に取り付けることができる。
以上のように、本実施形態によれば、制圧棒となる取手部3Bに制圧部3Cを取り付けるとともにアダプター3Dを介して拘束網噴出部3Aを取り付けたので、警備員や警察官または一般の人でも十分に持ち運びが可能である。また、拘束網噴出部3Aを所定長さの制圧棒となる取手部3Bの先端に取り付け、さらに拘束網噴出部3Aを制圧部3Cで保護しているので、犯罪嫌疑者との間に十分な距離を取ることができ、制圧棒となる取手部3Bの長さ分、拘束網31の飛距離を稼ぐことができ、余裕を持った拘束網31の展開が可能で、拘束の確率が高くなる。
また、例えば、制圧棒となる取手部3Bの全長が1.6mのとき、学校の廊下等の比較的狭い所でも十分に取り回すことが可能な長さとして用いることができる。
また、取手部3Bの制圧棒72は伸縮自在式とすることにより、任意の長さに設定することが可能となるので保管時や使用時の自由度が増すこととなる。
また、拘束網噴出部3Aを保護している制圧部3Cにより、犯罪嫌疑者を押え付けることが可能である。このような円錐形状および大きさにすることで、制圧部3Cを犯罪嫌疑者に掴まれても、操作側に力が伝わり難く、力負けし、操作側が危険にさらされる可能性が低減する。さらに、制圧部3Cは、制圧棒72とねじにより締結される構造としているので、任意の形状の物を取手部3Bに容易に装着可能となる。
また、拘束網噴出部3Aの火工式点火器(ガス発生部)は非火薬品のイニシエータ10であり、高圧ガス保安法、火薬類取締法などの法規上の規制を受けず、警察官などの特定な人以外でも誰でも使用することができる。このイニシエータ10を用いることで、電気的に作動できるため、導線13,78の長さの調整だけで、長い制圧棒の先端などに容易に取り付けることが可能である。なお、長い制圧棒に取り付けるような形態では、圧縮ガスを使用した場合ではガス流路の取り回し等において構造が複雑になる。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第4実施形態)
図57〜図61は、本発明の第4実施形態に係る携行型拘束網展開装置4を示す。
本実施形態に係る携行型拘束網展開装置4は、拘束網噴出部4Aと取手部4Bとをアダプター4Dを介して接続するに当たり、両者をコネクタ接続にした点で、第3実施形態に係る携行型拘束網展開装置3とは相違する。従って、本実施形態に係る携行型拘束網展開装置4の外観は、図44に示す第3実施形態に係る携行型拘束網展開装置3の外観と同じである。そのため、第3実施形態に係る携行型拘束網展開装置3と同じ構成についてはその説明を省略し、本実施形態に係る携行型拘束網展開装置4の特徴部分について説明する。なお、本実施形態においては、仕切部材92Aとアダプター4Dとには、回り止め用の凹部92aおよび突起部94cを設ける必要がないため、省略してある。
本実施形態においては、拘束網噴出部4Aのプラグ52Aは、底部に導線13およびコネクタ13aを導出するための穴部112を設けている。
また、アダプター4Dの仕切部材92Aは、中央部に導線13およびコネクタ13aを挿通するための穴部112を設けている。
次に、本実施形態に係る携行型拘束網展開装置4の作用を説明する。
(1)拘束網噴出部4Aについて説明する。
先ず、第3実施形態に係る携行型拘束網展開装置3の組立において述べた手順に従って、第一容器35Aの筒部36から突出したホルダ20にイニシエータ10を螺入する。
次に、図57、図58、図61に示すように、イニシエータ10の導線13をコネクタ13aとともにプラグ52A内を通して穴部112から引き出す。
次に、プラグ52Aを穴部112側からカップ形状の留め具60の中心にある貫通穴64内に挿入し、プラグ52Aの突起部54にカップ形状の留め具60の受け部65が引っ掛るとともに環状のフランジ53が貫通穴64の縁部に当接するまでプラグ52Aを移動する。
次に、カップ形状の留め具60の円周上にある4つのネジ貫通穴63からネジ66を挿入し第一容器35Aのネジ孔41aを通し第二容器35Bのネジ螺着部46aと螺合する。
次に、カップ形状の留め具60の4つのネジ貫通穴63のネジ66のネジ頭を隠すために、キャップ67を貼り付ける(拘束網噴出部4Aが完成)。
(2)取手部4Bの組立について説明する。
取手部4Bの組立は、第3実施形態に係る携行型拘束網展開装置3と同じである。
(3)取手部4Bと制圧部4Cとの組み付けについて説明する。
取手部4Bと制圧部4Cとの組立は、第3実施形態に係る携行型拘束網展開装置3と同じである。
(4)アダプター4Dによる拘束網噴出部4Aと取手部4Bとの組み付けについて説明する。
先ず、図57、図58、図61に示すように、取手部4B内から導線78を引き出し、コネクタ79を弾性部材93および仕切部材92A内を挿通して拘束網噴出部4Aの導線13に取り付けたコネクタ13aと接続する。
次に、図57、図59、図61に示すように、仕切部材92Aと弾性部材93を穴部94内に配置する。
次に、連結管80の回り止め用の突起部80bを半割状の第二部材83bに形成されている凹部96と位置合わせを行いながら、連結管80の抜け止め用の膨出部(突起部)80aを半割状の第二部材83bに形成されている凹部95に係止する。
次に、半割状の第一部材83aを半割状の第二部材83bに最中合わせのように重ね合わせ、ネジ80dを半割状の第一部材83aの穴84dから連結管80の穴80cに挿通し内側のナット74に螺着し、連結管80を介してアダプター4Dに取手部4Bを接続する。また、アダプター4Dは、4つのネジ84cによって結合する。
以上によって、アダプター4Dの第二連結部86に取手部4Bを取り付けることができる。
斯くして本実施形態に係る携行型拘束網展開装置4を得ることができる。
本実施形態に係る携行型拘束網展開装置4では、第3実施形態に係る携行型拘束網展開装置3と同様に、作動スイッチ76をON操作すると、拘束網噴出部4Aが作動して拘束網31を展開する。
本実施形態によれば、第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第5実施形態)
図62〜図67は、本発明の第5実施形態に係る携行型拘束網展開装置5を示す。
本実施形態に係る携行型拘束網展開装置5は、拘束網噴出部5Aと取手部5Bとをアダプター5Dにて着脱自在に連結するように構成した点で、第2実施形態に係る携行型拘束網展開装置2とは相違する。なお、アダプター5Dを用いた点で、本実施形態に係る携行型拘束網展開装置5の外観は、図44に示す第3実施形態に係る携行型拘束網展開装置3の外観と同じである。そのため、第2実施形態に係る携行型拘束網展開装置2および第3実施形態に係る携行型拘束網展開装置3と同じ構成についてはその説明を省略し、本実施形態に係る携行型拘束網展開装置5の特徴部分について説明する。
拘束網噴出部5Aは、第3実施形態と同様に、プラグ52Aをカップ形状の留め具60とともに容器35に固定している。プラグ52A内には、第一容器35Aの筒部36の端部の溝36aに装着した弾性パッキン104と、弾性パッキン104を押圧する穴あきのブロック部107とが配置されている。
取手部5Bは、第2実施形態における仕切部116を取り除き、配管110の開口端に設けた差込部110aを第一制圧棒72Aの開口端側に配置している。また、第一制圧棒72Aの2つの穴73の内、頂部側の穴73のみを残し、同様に内側にナット74を設けている。その他の構成は、第2実施形態と同じである。
制圧部5Cは、第4実施形態と同じである。
アダプター5Dは、第4実施形態におけるアダプター4Dと同様に、アダプター5Dの仕切部材92の中央部に穴部112を設けている。アダプター5Dには、組付時に、連結管80とともに、接続管130が取り付けられる。接続管130は、配管110の差込部110aを嵌合するための受け部131aを設けた環状の支持板131を一端部に備えている。接続管130は、第二連結部86側から仕切壁94aの穴部94b、弾性部材93、仕切板92の穴部112を挿通して仕切壁94aに当接するとともに、先端部130aが仕切板92の穴部112から突出するように配置される。
次に、本実施形態の動作を説明する。
先ず、図67に示すように、制圧部5Cを第一制圧棒72Aのネジ部75に螺着する。次に、アダプター5Dの組付前に、接続管130および連結管80を配置する。次に、第一制圧棒72Aの先端部をアダプター5D内に配置された連結管80内に挿入し、ネジ80dによって連結管80、第一制圧棒72Aおよびアダプター5Dを連結する。
次に、拘束網噴出部5Aを第3実施形態と同様にしてアダプター5Dに組み付ける。
これによって、図62に示すように、配管110の差込部110aがブロック107の穴107a内に嵌り込み、作動スイッチ114がON操作されると、ガスボンベ108内の高圧ガスが配管110を介して拘束網噴出部5A内に導かれ、拘束網31を錘部30とともに展開することができる。
本実施形態に係る携行型拘束網展開装置5においても、使用後の拘束網噴出部5Aをアダプター5Dから取り外して新たな拘束網噴出部5Aを組み付けることによって、再度使用することができる。
本実施形態によれば、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
本発明に係る携行型拘束網展開装置は、本質的には防犯のため、侵入者が犯罪行為を実行し逃亡を図った際、捕獲して逃亡を遅延させること、また、犯罪行為を未然に防止するため、その犯罪行為の遅延や行為を諦めさせることに使用できる。また、暴漢の鎮圧のための制圧棒としてにも使用ができる。また、護身具としても使用が可能である。
本発明の第1実施形態に係る携行型拘束網展開装置を示す外観図である。 図1の携行型拘束網展開装置の断面図である。 図1の拘束網噴出部の断面図である。 図1の拘束網噴出部を分解して示す外観図である。 図1の拘束網噴出部を分解して示す断面図である。 図1のイニシエータを示す断面図である。 図1のガス発生部組立の断面図である。 図1の拘束網噴出部の外観図である。 図1の拘束網噴出部の拘束網収容蓋の外観図である。 図1の容器の側面から見た外観図である。 図1の拘束網噴出部の組立外観図である。 図1の第一容器の外観図である。 図1のカップ形状の留め具の外観図である。 図1の拘束網の外観図である。 図1の錘部の組立構成図である。 図1の錘カバーが発生ガスを受圧したときの錘カバーの変形を示す断面図である。 図1の取手部の断面図である。 図1の制圧部を示す外観図である。 図18の制圧部の断面図である。 図1の取手部と制圧部との組付状態を示す断面図である。 図1の携行型拘束網展開装置の組付状態を示す断面図である。 図1の携行型拘束網展開装置の組立状態を示す断面図である。 拘束網の収容方法1を示す図である。 拘束網の収容方法2を示す図である。 拘束網の収容方法3を示す図である。 実験例1の測定模式図である。 錘の噴出角度と錘の軌跡の関係を示すグラフである。 ガス流路内の圧力を示すグラフである。 錘の噴出角度が50度の場合の拘束網の展開(錘)軌跡である。 錘の噴出角度が75度の場合の拘束網の展開(錘)軌跡である。 錘の噴出角度が20度の場合の拘束網の展開(錘)軌跡である。 実験例5の測定模式図である。 拘束網の収容方法と90%展開に到達する時間および高さを示すグラフである。 図1の制圧部の変形例を示す外観図である。 図34の制圧部の断面図である。 図1の制圧部の変形例を示す外観図である。 図36の制圧部の断面図である。 本発明の第2実施形態に係る携行型拘束網展開装置を示す断面図である。 図38の拘束網噴出部の断面図である。 図38の取手部の先端部の断面図である。 図38の取手部の後部側の断面図である。 図38の携行型拘束網展開装置の組付状態を示す断面図である。 図38の携行型拘束網展開装置の組立状態を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る携行型拘束網展開装置を示す外観図である。 図44の携行型拘束網展開装置の断面図である。 図44の携行型拘束網展開装置を分解して示す外観図である。 図44の拘束網噴出部の外観図である。 図44の拘束網噴出部の断面図である。 図44の拘束網噴出部を分解して示す外観図である。 図44のアダプターの断面図である。 図44のアダプターを分解して示す外観図である。 図44のアダプターの第一部材を示す外観図である。 図44の携行型拘束網展開装置の組付前の状態を示す断面図である。 図44の拘束網噴出部とアダプターとの組付前の状態を示す外観図である。 図44の拘束網噴出部とアダプターとの組付手順を示す断面図である。 図44の携行型拘束網展開装置の組立状態を示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係る携行型拘束網展開装置を示す断面図である。 図57の携行型拘束網展開装置を分解して示す外観図である。 図57のアダプターの断面図である。 図57のアダプターを分解して示す外観図である。 図57の携行型拘束網展開装置の組付前の状態を示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る携行型拘束網展開装置を示す断面図である。 図62の携行型拘束網展開装置を分解して示す外観図である。 図62の取手部の先端部の断面図である。 図62のアダプターの断面図である。 図62のアダプターを分解して示す外観図である。 図62の携行型拘束網展開装置の組付前の状態を示す断面図である。
符号の説明
1,2,3,4,5 携行型拘束網展開装置
1A,2A,3A,4A,5A 拘束網噴出部
1B,2B,3B,4B,5B 取手部
1C,1C′,1C″,2C,3C,4C,5C 制圧部
3D,4D,5D アダプター
1a 連結部
10 イニシエータ
13,57,78 導線
13a,58,79 コネクタ
30 錘部
31 拘束網
32 紐部材
33 錘
35 容器
35A 第一容器
35B 第二容器
36 筒部
50 拘束網収容蓋
52,52A プラグ
53 フランジ
54,55 突起部
56 接触部
60 カップ形状の留め具
68 筒状の接続具
72 制圧棒
72A 第一制圧棒
72B 第二制圧棒
73 穴
74 ナット
75 ネジ部
76 作動スイッチ
80 連結管
80a 膨出部(突起部)
80b 突起部
80c 穴
80d ネジ
82a 環状部
82b ネジ部
82c 環状部
82d ステー
82e 刺股形状の制圧棒
83a 第一部材
83b 第二部材
85 第一連結部
86 第二連結部
87 接続部
88 溝部
89 横溝部
90 係止溝部
91 穴部
92 仕切部材
93 弾性部材
94 穴部
98 接点部
99 導線
100 コネクタ
104 弾性パッキン
105 脚部
106 ボス部
107 ブロック部
107a 穴
108 ガスボンベ
109 メカニカルバルブ
114 作動スイッチ

Claims (19)

  1. 錘部を有する拘束網を収容し、前記錘部とともに前記拘束網をガス圧力で噴出する拘束網噴出部と、
    前記拘束網噴出部を起動する作動スイッチを設け、前記拘束網噴出部に連結される長尺の取手部と、
    前記拘束網噴出部を囲繞するように、前記取手部に取り付けられる制圧部と
    を備え
    前記拘束網噴出部は、前記取手部を取り付けるための連結部を有し、
    前記連結部は、
    一端に設けた回り止め用の突起および抜け止め用の突起と、
    他端に設けた係止用の穴とを有する筒状の接続具と、
    前記接続具を挿通する穴と、
    前記穴の周囲に設けた前記回り止め用の突起を係止する凹部とを有するカップ形状の留め具と
    で構成され、
    前記接続具と前記留め具とは、前記留め具の穴に前記接続具を挿通し、前記穴の凹部に前記回り止め用の突起を係止するとともに前記穴の端部に前記抜け止め用の突起を係止した状態で、前記拘束網噴出部に配されるとともに前記留め具側から前記拘束網噴出部にネジ止めすることによって前記拘束網噴出部と一体化されている
    ことを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  2. 請求項1記載の携行型拘束網展開装置において、
    前記拘束網噴出部は、
    拘束網と、
    前記拘束網の周縁上に所定間隔をもって配設される複数個の錘と、
    前記錘を所定角度をもって噴出する複数の噴出口を形成するとともに前記錘を収容する錘収容部と、
    前記拘束網を収容する拘束網収容部と、
    燃焼性物質の燃焼によってガス圧を発生させる火工式点火器を有し、前記錘と前記拘束網とを前記火工式点火器のガス圧力で噴出する噴出手段と
    を備えことを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  3. 請求項1記載の携行型拘束網展開装置において、
    前記拘束網噴出部は、
    拘束網と、
    前記拘束網の周縁上に所定間隔をもって配設される複数個の錘と、
    前記錘を所定角度をもって噴出する複数の噴出口を形成するとともに前記錘を収容する錘収容部と、
    前記拘束網を収容する拘束網収容部と、
    前記錘と前記拘束網とをガス圧力で噴出する噴出手段と
    を備えことを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  4. 請求項3記載の携行型拘束網展開装置において、
    前記取手部は、
    前記噴出手段にガス圧力を供給するガスボンベとカット装置とメカニカルバルブとを有する
    ことを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか記載の携行型拘束網展開装置において、
    前記取手部は、前記連結部への取付時に前記接続具に設けた係止用の穴と重なる位置に係止用の穴を有し、前記連結部への取付時に前記係止用の穴同士をネジによって固定される
    ことを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  6. 錘部を有する拘束網を収容し、前記錘部とともに前記拘束網をガス圧力で噴出する拘束網噴出部と、
    前記拘束網噴出部を起動する作動スイッチを設けた長尺の取手部と、
    前記拘束網噴出部を囲繞するように、前記取手部に取り付けられる制圧部と、
    前記拘束網噴出部と前記取手部とを着脱自在に連結するアダプターと
    を備え、
    前記拘束網噴出部は、外側部に突起部を有する接合部を備え、
    前記取手部は、外側部に抜け止め用の突起部と回り止め用の突起部を有する接合部を備え、
    前記アダプターは、
    前記拘束網噴出部の接合部の突起部を軸長方向に導く溝部と、
    前記溝部と直交して設けられ、前記拘束網噴出部の接合部の突起部を前記軸長方向と直交する方向に導く横溝部と、
    前記横溝部と直交して前記溝部の入口方向に設けられ、前記拘束網噴出部の接合部の突起部を前記軸長方向に導く係止溝部とを有する穴部から成る第一連結部と、
    前記第一連結部側に配される仕切部材と、
    前記仕切部材を前記拘束網噴出部方向へ押圧する弾性部材を有する穴部から成る接続部と、
    前記取手部の接合部を挿入するとともに前記抜け止め用の突起部と回り止め用の突起部とをそれぞれ係合する凹部を有する穴部から成る第二連結部とから成り、
    前記第一連結部において、前記溝部内に挿入された前記突起部を前記横溝部を介して前記係止溝部に導き、前記接続部において、前記第一連結部内に挿入された前記突起部を前記係止溝部内に押圧し、前記第二連結部において、挿入された前記取手部の抜け止め用の突起部と回り止め用の突起部とを前記凹部に係止する
    ことを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  7. 請求項6記載の携行型拘束網展開装置において、
    前記拘束網噴出部は、
    拘束網と、
    前記拘束網の周縁上に所定間隔をもって配設される複数個の錘と、
    前記錘を所定角度をもって噴出する複数の噴出口を形成するとともに前記錘を収容する錘収容部と、
    前記拘束網を収容する拘束網収容部と、
    燃焼性物質の燃焼によってガス圧を発生させる火工式点火器を有し、前記錘と前記拘束網とを前記火工式点火器のガス圧力で噴出する噴出手段と
    を備えことを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  8. 請求項6記載の携行型拘束網展開装置において、
    前記拘束網噴出部は、
    拘束網と、
    前記拘束網の周縁上に所定間隔をもって配設される複数個の錘と、
    前記錘を所定角度をもって噴出する複数の噴出口を形成するとともに前記錘を収容する錘収容部と、
    前記拘束網を収容する拘束網収容部と、
    前記錘と前記拘束網とをガス圧力で噴出する噴出手段と
    を備えことを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  9. 請求項記載の携行型拘束網展開装置において、
    前記アダプターは、
    前記拘束網噴出部と前記取手部とを接合する連結部と、
    前記火工式点火器に前記火工式点火器の起動電源および作動スイッチを連絡する接続部と
    を有することを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  10. 請求項8記載の携行型拘束網展開装置において、
    前記アダプターは、
    前記拘束網噴出部と前記取手部とを接合する連結部と、
    前記ガスボンベからのガスを前記拘束網噴出部の噴出手段に導くガス通路と
    を有することを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  11. 請求項記載の携行型拘束網展開装置において、
    前記拘束網噴出部は、外側部に突起部を有するとともに端部に前記火工式点火器の導線に連なるピンを有する接合部を備え、
    前記アダプターは、前記仕切部材に前記ピンに接触する接点部を設けるとともに、前記火工式点火器の起動電源および作動スイッチと連絡する導線を前記接点部に取り付けている
    ことを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  12. 請求項記載の携行型拘束網展開装置において、
    前記拘束網噴出部は、
    外側部に突起部を有する接合部と、
    前記接合部の端部から導出する前記火工式点火器の導線とを備え、
    前記アダプターは、前記仕切部材に前記導線を挿通する穴を設けている
    ことを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  13. 請求項1ないし請求項12の何れか記載の携行型拘束網展開装置において、
    前記制圧部は、
    前記取手部に設けたネジ部に螺着するネジ部を備えた接続用の環状部と、
    前記取手部に連絡する前記拘束網噴出部を囲繞するように前記接続用の環状部に取り付けられる複数のステーと、
    前記複数のステーを介して前記拘束網噴出部の前方側を覆う制圧用の環状部と
    を備えることを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  14. 請求項1ないし請求項12の何れか記載の携行型拘束網展開装置において、
    前記制圧部は、
    前記取手部に設けたネジ部に螺着するネジ部を備えた接続用の環状部と、
    前記取手部に連絡する前記拘束網噴出部を囲繞するように前記接続用の環状部に取り付けられる刺股形状の制圧棒と
    を備えることを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  15. 請求項1ないし請求項12の何れか記載の携行型拘束網展開装置において、
    前記制圧部は、
    前記取手部に設けたネジ部に螺着するネジ部を備えた接続用の環状部と、
    前記取手部に連絡する拘束網噴出部を囲繞するように前記接続用の環状部に取り付けられる複数のステーと、
    前記複数のステーを介して前記拘束網噴出部の前方側を覆う制圧用の環状部と、
    前記ステーおよび前記制圧用の環状部を囲繞するように前記接続用の環状部に取り付けられる刺股形状の制圧棒と
    を備えることを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  16. 錘部を有する拘束網を収容し、前記錘部とともに前記拘束網をガス圧力で噴出する拘束網噴出部と、
    前記拘束網噴出部を起動する作動スイッチを設け、前記拘束網噴出部に連結される長尺の取手部と、
    前記拘束網噴出部を囲繞するように、前記取手部に取り付けられる制圧部と
    を備え、
    前記制圧部は、
    前記取手部への取付部と、
    前記取手部に連絡する前記拘束網噴出部を囲繞するように前記取付部に取り付けられる複数のステーと、
    前記複数のステーを介して前記拘束網噴出部の前方側を覆う制圧用の環状部と
    を備えることを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  17. 錘部を有する拘束網を収容し、前記錘部とともに前記拘束網をガス圧力で噴出する拘束網噴出部と、
    前記拘束網噴出部を起動する作動スイッチを設け、前記拘束網噴出部に連結される長尺の取手部と、
    前記拘束網噴出部を囲繞するように、前記取手部に取り付けられる制圧部と、
    前記拘束網噴出部と前記取手部とを着脱自在に連結するアダプターと
    を備え、
    前記制圧部は、
    前記取手部への取付部と、
    前記取手部に連絡する前記拘束網噴出部を囲繞するように前記取付部に取り付けられる複数のステーと、
    前記複数のステーを介して前記拘束網噴出部の前方側を覆う制圧用の環状部と
    を備えることを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  18. 錘部を有する拘束網を収容し、前記錘部とともに前記拘束網をガス圧力で噴出する拘束網噴出部と、
    前記拘束網噴出部を起動する作動スイッチを設け、前記拘束網噴出部に連結される長尺の取手部と、
    前記拘束網噴出部を囲繞するように、前記取手部に取り付けられる制圧部と
    を備え、
    前記制圧部は、
    前記取手部に設けたネジ部に螺着するネジ部を備えた接続用の環状部と、
    前記取手部に連絡する拘束網噴出部を囲繞するように前記接続用の環状部に取り付けられる複数のステーと、
    前記複数のステーを介して前記拘束網噴出部の前方側を覆う制圧用の環状部と、
    前記ステーおよび前記制圧用の環状部を囲繞するように前記接続用の環状部に取り付けられる刺股形状の制圧棒と
    を備えることを特徴とする携行型拘束網展開装置。
  19. 錘部を有する拘束網を収容し、前記錘部とともに前記拘束網をガス圧力で噴出する拘束網噴出部と、
    前記拘束網噴出部を起動する作動スイッチを設け、前記拘束網噴出部に連結される長尺の取手部と、
    前記拘束網噴出部を囲繞するように、前記取手部に取り付けられる制圧部と、
    前記拘束網噴出部と前記取手部とを着脱自在に連結するアダプターと
    を備え、
    前記制圧部は、
    前記取手部に設けたネジ部に螺着するネジ部を備えた接続用の環状部と、
    前記取手部に連絡する拘束網噴出部を囲繞するように前記接続用の環状部に取り付けられる複数のステーと、
    前記複数のステーを介して前記拘束網噴出部の前方側を覆う制圧用の環状部と、
    前記ステーおよび前記制圧用の環状部を囲繞するように前記接続用の環状部に取り付けられる刺股形状の制圧棒と
    を備えることを特徴とする携行型拘束網展開装置。
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