JP4883839B2 - エル.インファンタム(L.infantum)の4つのタンパク質の抗原決定基をコードするキメラ遺伝子 - Google Patents

エル.インファンタム(L.infantum)の4つのタンパク質の抗原決定基をコードするキメラ遺伝子 Download PDF

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Description

【0001】
(技術分野)
説明
発明の目的
本明細書は、リーシュマニア症、特にイヌのリーシュマニア症の予防または処置に有用なエル.インファンタム(L.infantum)の4つのタンパク質の抗原決定基をコードするDNA配列から形成されるキメラ遺伝子に関する本発明の応用、ならびに該キメラ遺伝子によりコードされるタンパク質に関する。この明らかな目的は、患者の体内に存在しうるリーシュマニア症、特にイヌのリーシュマニア症を予防または処置するための医薬組成物を、例えばワクチンまたはモノクローナル抗体調製物として提供するために、遺伝子配列またはキメラ遺伝子から得られるタンパク質を使用することにある。患者はイヌである必要はなく、免疫抑制が関与する疾患に罹患しているヒトであることもできる。このために、「特別(ad hoc)」に構築されたキメラ遺伝子の「インビトロ」合成から生成されるキメラ生成物から成る4つの異なるタンパク質の抗原決定基の5つを含むPQと呼ばれるタンパク質をコードするキメラ遺伝子を生成する。この生成物は、例えばイヌのリーシュマニア症に対する防護免疫反応を生じるように、あるいはイヌのリーシュマニア症に対する抗体を調製するために高度に感受性が高く、しかも特異的に形成されている。
【0002】
発明の分野
本発明は一般に、医薬品製造を目的とする工業的用途を有する。
発明の背景
リーシュマニア属の寄生性原生動物は、世界中に広く分布し、そして様々な臨床的症状を現すことが特徴である広い範囲の疾患であるリーシュマニア症を引き起こす病原体である。
【0003】
リーシュマニア症の主形態は自然な人獣共通伝染病であり、そしてヒトが2次宿主であると考えられる。
【0004】
多くの地中海沿岸地域に広く分布しているエル.インファンタム(L.infantum)と名付けられた種が、ヒトおよびイヌの内蔵リーシュマニア症(LV)の原因である。
【0005】
実際に、エル.インファンタム(L.infantum)に感染したイヌは、特に臨床的症状が観察できるまでの長い潜伏期間、この寄生生物の主な保因者である。
【0006】
疫学的データは、イヌのリーシュマニア症の有病率とヒトへの寄生生物の伝播との間に直接的な相関があることを示している。この理由から、疾患の広がりを抑えるために行われるキャンペーンの初期に、この疾患または感染を検出するにとが極めて重要である。
【0007】
寄生生物は「サシチョウバエ科(Phlebotominae)」のハエに噛まれることより、宿主の脊椎動物に有べん毛のプロマスティゴートとして伝播し、そして寄生生物は単核ファージの細胞に入り、ここでで分化し、そして食胞融解小体構造内で無鞭毛型として複製する。
【0008】
感染した細胞は特定の組織(主に脾臓、肝臓およびリンパ節)中に集まる。1千500万人の人がリーシュマニア症に感染し、そして世界中で毎年500,000人の新しい症例が世界中、主に未開発および発展途上の国々に現れていると予測される。
【0009】
すでに述べたようにヨーロッパの南西部の国々では、内蔵リーシュマニア症(VL)はエル.インファンタム(L.infantum)種により引き起こされる人獣共通伝染病である。疫学的研究から最近導かれたデータでは、この感染が警報を発する発生数であることを示している。
【0010】
イタリアでは、この地域のVLの発生率について報告されたデータは14.4%〜37%の範囲である。
【0011】
ポルトガルでは、より特にリスボンの周辺の地域で、8.4%の血清陽性率が見いだされ、そして有病率の別の中心であるフランスのマリティーム アルプス地方では、3.2%から17.1%の間で変動することが分かった。
【0012】
スペインでは、リーシュマニア症の有病率は研究したゾーンに依存する。カタロニアでは、9.3%の平均発生率が観察されたが、幾つかのホット−スポットでは最高18%の感染したイヌの有病率が見いだされた。
【0013】
マヨルカ島で発生率は14%、そして他の見いだされた有病率は:ムルシアで2.4%。グラナダで8.8%、サマランカで10〜15%、マドリッド州で5.25%そしてカセルスで14%。
【0014】
エル.インファンタム(L.infantum)により引き起こされるヒトのVLの症例数は比較的少ないと考えられるが、リーシュマニア属により感染した免疫抑制患者の高い割合は、イヌにおけるこの病気の高いレベルと関連させることができた。
【0015】
実際にヨーロッパの南部では、リーシュマニア症に感染した50%の成人が、HIVウイルスに感染した患者でもある。一方で、このようなリーシュマニア属-HIV 同時-感染のデータに従い、(寄生生物による)感染レベルは多数の検出されない感染の存在により、この数よりも1または2オーダーの規模で高くなり得ると予想された。
【0016】
異なる型のリーシュマニア属感染に共通する特徴は、感染が宿主に強力な体液性応答を誘導することである。したがって現在、血清学的技術に基づく診断法が最も広く使用されている。
【0017】
このような抗体は自然な、および実験的感染における疾患の無症状期間中でも検出されると記載された。
【0018】
この方法の感度および特異性は、使用する抗原の型、起源および純度に依存する。現在、商品化されている免疫学的方法では、完全なプロマスティゴートおよびこれらから多少なりとも調製された調製物が抗原の起源として使用されている。この方法は通常、らい病、結核症、アフリカ トリパノソーマ病、シャガス病、マラリアおよび他の寄生生物症に罹患している患者からの血清と交差反応を導く。
【0019】
血清学的方法の感度および特異性は、使用する抗原の型、起源および純度に依存する。過去に多数のリーシュマニア属の抗原が特性決定され、その中にはこの寄生生物に対して特異的なタンパク質であると考えることができるものもある。
【0020】
この寄生生物に対して特異的なタンパク質の中で、表面プロテアーゼGP63、表面グリコプロテインgp46およびリポホスホグリカンが付随したKMP-11タンパク質を挙げる価値がある。
【0021】
リーシュマニア属の抗原のさらなる群は、キネシン、熱で誘導されるタンパク質、アクチンおよびチューブンリンのような進化的に保存されたタンパク質の形態である。
【0022】
リーシュマニア症のイヌのための特異的な血清学的診断システムを開発するための方法の一部として、活性な内蔵リーシュマニア症のイヌの血清を使用した、エル.インファンタム(L.infantum)の遺伝子の発現ライブラリーの免疫−検出調査により、エル.インファンタム(L.infantum)の抗原を同定するための研究室でのプロジェクトが組まれた。
【0023】
この方法により単離された抗原のほとんどが進化の過程で保存されたタンパク質のファミリーに属することが観察された。しかしこのような抗原のBエピトープの同定では、すべての場合で抗原決定基がよく保存されない領域に位置したことを示す。
【0024】
特に、酸性リボソームタンパク質LiP2aおよびLiP2bがVL血清の80%以上で認識される。
【0025】
このようなタンパク質は疾患に特異的な抗原決定基を含み、そしてフラグメントが除去された組換え体タンパク質LiP2aおよびLiP2bはVLとシャガス病との間を区別することができる特異的な道具として使用することができると確認された。
【0026】
また進化的尺度で大変高度に保存されているエル.インファンタム(L.infantum)のPOリボソームタンパク質は、高い割合のVLのイヌの血清により認識されることが示された。さらに抗原決定基はタンパク質のC−末端に、すなわち進化的過程でよく保存されなかった領域中に排他的に見いだされる。
【0027】
VLのイヌの血清の78%で、H2Aタンパク質に対する抗体も存在することが観察され、そして真核生物間のすべてのH2Aタンパク質における配列同一性にもかかわらず、VL血清中のこのタンパク質に対する体液性応答は、リーシュマニア属のタンパク質H2Aに対して特異的な決定基により特に誘起される。
【0028】
VLのイヌの血清により認識される抗原決定基は、H2Aタンパク質の両端でも見いだされる。
【0029】
当該技術分野で現在遭遇する問題の明らかな解決法は、抗原決定基が豊富なタンパク質を構築するという観点でタンパク質LiP2a、LiP2b、LiPOおよびH2Aに対して特異的な抗原決定基をコードするDNA領域を含む合成キメラ遺伝子の集成を可能とする発明である。
【0030】
しかし出願人が知るかぎりでは、所望の目標に到達する観点に於いて理想として記載される特徴を含む発明は現在のところ無い。この目標は、前述のタンパク質に特異的な抗原決定基をコードするDNA領域を含むキメラ合成遺伝子の集成体から生成される抗原決定基が豊富なタンパク質の構築である。
発明の記載
第1の観点では、本発明はイヌのリーシュマニア症を予防または処置するために有用なエル.インファンタム(L.infantum)の4つのタンパク質の抗原決定基をコードするDNA配列により形成されるキメラ遺伝子に関する。
【0031】
さらなる観点では、本発明はキメラ遺伝子によりコードされるエル.インファンタム(L.infantum)の4つのタンパク質の抗原決定基の1以上を含む該キメラ遺伝子によりコードされるタンパク質に関する。
【0032】
本発明はさらに、ヒトまたは動物におけるイヌのリーシュマニア症を予防および/または処置するための方法に関する。この治療的方法では、本発明のキメラ遺伝子またはそれにコードされるタンパク質を使用することができる。また本発明のキメラ遺伝子によりコードされるタンパク質に対する抗体、またはエピトープのようなそれらの抗原性部分を使用することができる。
【0033】
さらなる観点において、本発明はヒトおよび/または動物のリーシュマニア症を予防および/または処置するための医薬組成物に関し、これは本発明のキメラ遺伝子および/またはそれによりコードされるタンパク質、またはそれらの部分から誘導される、またはそれらに対する活性物質を含んで成る。活性物質は好ましくは、リーシュマニア症の処置および/または予防のための医薬組成物中で使用できるものである。
【0034】
特に医薬組成物は、本発明のキメラ遺伝子によりコードされるタンパク質、または本発明のキメラ遺伝子によりコードされるタンパク質の1以上の抗原決定基を含有するそれらの部分を含有するワクチンの状態である。
【0035】
このようにさらなる観点では、本発明は
a)被験体(ヒトまたは動物)に投与されるタンパク質キメラQ、または保存されたアミノ酸の修飾もしくは置換を含むこのタンパク質の変異体により、あるいは
b)単離された状態の、または腹腔内、皮下または筋肉内経路による任意の生理学的アジュバントと組み合わされたタンパク質Qにより形成される、ヒトまたは動物のリーシュマニア症の予防および処置のための医薬組成物に関する。
【0036】
また本発明は、
a)被験体(ヒトまたは動物)に投与されるタンパク質キメラQ、またはタンパク質Qとは保存されたアミノ酸が異なるこのタンパク質の変異体により、あるいは
b)単離された状態の、または腹腔内、皮下または筋肉内経路による生理学的アジュバントと組み合わされたタンパク質Qにより形成される、リーシュマニア属の寄生生物を認識する抗体の生産を刺激することができるワクチンに関する。
【0037】
さらに本発明は、
a)完全なまたは断片化したタンパク質LiHsp70と組み合わさった、被験体(ヒトまたは動物)に投与されるタンパク質Q、または保存されたアミノ酸の修飾もしくは置換を含むこのタンパク質の変異体により、あるいは
b)単離された状態の、または腹腔内、皮下または筋肉内経路による生理学的アジュバントと組み合わされたタンパク質Qにより形成される、ヒトまたは動物のリーシュマニア症の予防および処置のための医薬組成物に関する。
【0038】
さらに別の観点では、本発明は
a)被験体(ヒトまたは動物)に投与されるタンパク質キメラQをコードする配列、またはその配列の保存されたアミノ酸をコードするヌクレオチドの修飾もしくは置換を含む変異体を担持する任意のDNAベクターにより、あるいは
b)腹腔内、皮下または筋肉内経路により投与される、生理学的アジュバントと組み合わされたタンパク質Qを含むDNAベクターにより形成される、ヒトまたは動物のリーシュマニア症の予防および処置のための医薬組成物に関する。
【0039】
本発明の別の観点は、
a)
1)タンパク質キメラQをコードする配列、またはこの配列の保存されたアミノ酸をコードするヌクレオチドの修飾もしくは置換を含む変異体、および
2)被験体(ヒトまたは動物)に投与される、タンパク質 LiHsp 70をコードするヌクレオチドの配列または保存されたアミノ酸に関して異なるそれらの変異体、を担持する任意のDNAベクターにより、あるいは
b)腹腔内、皮下または筋肉内経路による、生理学的アジュバントと投与されたa)で定めたようなタンパク質QをコードするDNA配列を含む任意のベクターにより形成される、ヒトまたは動物のリーシュマニア症の予防および処置のための医薬組成物に関する。
【0040】
さらなる態様では、本発明の医薬組成物は本発明のキメラ遺伝子によりコードされるタンパク質またはそれらの一部に対する抗体を含んで成る。
【0041】
本発明の医薬調製物は、医薬組成物および/またはワクチン用の、それ自体は既知のすべての既知のアジュバント、溶媒、バッファー等をさらに含んでよい。
【0042】
さらなる観点では、本発明は本発明による医薬組成物またはワクチン、あるいは本発明のキメラ遺伝子によりコードされるタンパク質に対する抗体を含んで成る調製物を使用したリーシュマニア症の処置または予防法に関する。
【0043】
この方法は一般に、キメラ遺伝子またはタンパク質に対する活性物質をヒトまたはイヌのような動物に、特に医薬的に活性な量で投与することを含んで成る。
【0044】
リーシュマニア症の予防にはキメラ遺伝子、すなわち1以上の抗原決定基を含んで成る該タンパク質の1以上の部分をコードするキメラ遺伝子によりコードされるタンパク質を含んで成るワクチンを、防御免疫反応を誘導するヒトに投与する。
【0045】
本発明の調製物、抗体および/またはワクチン投与は、経口的に、筋肉内に、静脈内に、皮下に、(点滴)注入法等によるようなそれ自体は既知の様式で行うことができる。好ましくは調製物またはワクチンは注射され、一方抗体調製物では、注入が使用され得る。
【0046】
本明細書で本発明のキメラ遺伝子について言及する時、この用語は中程度または緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、以下に述べる配列とハイブリダイズすることができる核酸配列も包含することに注意されたい。
【0047】
これに関連して、ヘテロロガスなハイブリダイゼーション条件は以下の通りであり得る:6×SSC(1000mlあたり20×SSC:175.3gのNaCl、107.1gのクエン酸ナトリウム・5H2O、pH 7.0)、0.1% SDS、0.05%ピロリン酸ナトリウム、5★デンハーツ溶液(500mlあたり100×デンハーツ溶液:10gのFicoll-400、10gのポリビニルピロリドン、10gのウシ血清アルブミン(ペンタッタス 画分V))および20μg/mlの変性したニシン精子DNA中で、56℃で18〜24時間インキューベーション、続いて30分間ずつ2回、5×SSC、0.1% SDS中にて56℃で洗浄、そして30分間ずつ2回、2×SSC、0.1% SDS中にて56℃で洗浄。
【0048】
例えば以下に述べる配列とハイブリダイズすることができる配列には、以下に述べる配列によりコードされるタンパク質と同じ生物活性を持つタンパク質をコードする突然変異体DNA配列を含む。そのような突然変異体配列は以下に述べる配列に1以上のヌクレオチド欠失、置換および/または付加を含んで成ることができる。好ましくは突然変異体配列は以下に与える配列と少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは90%以上のヌクレオチド相同性を有する。
【0049】
本明細書で使用する用語であるキメラ遺伝子は、以下に述べる配列の1以上の部分を含んで成る核酸配列も包含する。好ましくはそのような配列は、以下に与えるヌクレオチド配列の少なくとも10%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%を含んで成る。そのような配列は以下に述べる配列の連続的フラグメント、あるいは1つのDNA配列中に組み合わされた、かつ/または取り込まれた以下に与える配列の2以上のフラグメントを含んで成ることができる。
【0050】
本明細書で本発明のキメラ遺伝子によりコードされるタンパク質について言及する時、この用語は同じ生物学的機能を未だ本質的に有する突然変異体タンパク質も含むことに注意されたい。そのような突然変異体タンパク質は、以下に述べる配列によりコードされるタンパク質に比べて、1以上のアミノ酸欠失、置換および/または付加を含んで成ることができる。好ましくは突然変異体タンパク質は以下に与える配列と少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは90%以上のアミノ酸相同性を有する。
【0051】
また用語タンパク質は、本発明のキメラ遺伝子によりコードされるタンパク質のフラグメントも含む。そのようなフラグメントは、好ましくは完全なタンパク質の生物活性を未だ表す。好ましくはそのようなタンパク質は完全なタンパク質のアミノ酸配列の少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%を含んで成る。または本発明のキメラ遺伝子によりコードされる完全なタンパク質の2以上のフラグメントを組み合わせて1つのタンパク質を形成してもよい。
【0052】
さらに具体的には本発明は、薬理学的目的、特にリーシュマニア症、特にイヌのリーシュマニア症の予防および/または処置のために有用なタンパク質をコードする、エル.インファンタム(L.infantum)の4つのタンパク質の抗原決定基をコードするDNA配列により形成されるキメラ遺伝子、および最終生成物または選択した抗原決定基のすべてを含むポリペプチドをコードするキメラ遺伝子の構築物を得ることに関し、これはタンパク質rLiPO-Ct-Qを発現するクローンを最初のベクターとして使用し、そしてこのベクターに適当な制限部位の使用によりタンパク質LiP2a-Q、LiP2b-Q、LiH2A-Ct-Q、LiH2A-Nt-QをコードするDNAのフラグメントを連続して加え、そしてクローニングの各段階の後、各々の挿入物の正しい方向が推定され、そして発現生成物のサイズ、pMalベクター中で発現した最終融合タンパク質であるpPQVのアミノ酸の完全な推定配列は:

【0053】
【表2】
Figure 0004883839
【0054】
であることが特徴である。
【0055】
また本発明は、
a−タンパク質キメラQ、または被験体(ヒトまたは動物)に投与される保存されたアミノ酸の修飾もしくは置換を含むこのタンパク質の変異体により、あるいは
b−単離された状態の、または腹腔内、皮下または筋肉内経路を介する任意の生理学的アジュバントと一緒に形成される、ヒトまたは動物のリーシュマニア症の予防および処置のための医薬組成物に関する。
【0056】
または本発明は、
a−タンパク質キメラQ、または被験体(ヒトまたは動物)に投与される保存されたアミノ酸がタンパク質Qとは異なるこのタンパク質の変異体により、あるいは
b−腹腔内、皮下または筋肉内経路を介して単離された状態で、または生理学的アジュバントと一緒に形成される、リーシュマニア属の寄生生物を認識する抗体の生産を刺激することができるワクチン。
【0057】
本発明の別の観点は、
a−被験体(ヒトまたは動物)に投与される、完全なまたは断片化したタンパク質LiHsp70と結合したタンパク質キメラQ、またはこのタンパク質の保存されたアミノ酸の修飾もしくは置換を含む変異体により、あるいは
b−単離された状態の、または腹腔内、皮下または筋肉内経路を介する生理学的アジュバントと一緒に形成される、ヒトまたは動物のリーシュマニア症の予防および処置のための医薬組成物を含んで成る。
【0058】
さらに
a−被験体(ヒトまたは動物)に投与されるタンパク質キメラQをコードする配列、またはこの配列の保存されたアミノ酸をコードするヌクレオチドの修飾もしくは置換を含む変異体を持つ任意のDNAベクターにより、あるいは
b)筋肉または皮下経路による、ヒトまたは動物のリーシュマニア症の予防および処置のための本発明の医薬組成物が形成され得る。
【0059】
別の観点では、本発明は
a− 1−タンパク質キメラQをコードする配列、または保存されたアミノ酸をコードするヌクレオチドの修飾もしくは置換を含むこの配列の変異体、および
2−被験体(ヒトまたは動物)に投与された、タンパク質 LiHsp 70をコードする配列または保存されたアミノ酸に関して異なるその変異体、
を持つ任意のDNAベクターにより、あるいは
b−筋肉内、皮下または腹腔内経路により形成される、ヒトまたは動物のリーシュマニア症の予防および処置のための医薬組成物に関する。
【0060】
また本発明は、薬理学的目的、特にリーシュマニア症、特にイヌのリーシュマニア症の予防および/または処置に有用なヌクレオチド配列およびタンパク質に関し、この配列はベクターpQ31で発現される以下に示すようなDNAおよびアミノ酸配列を有する。アミノ酸配列は、ベクターからのフラグメントを含む(AA1-37)。アミノ酸配列の残りは、MBP部分および最初の7つのアミノ酸(AA 1-7)を除き配列番号3のアミノ酸配列と同一であり:
【0061】
【表3】
Figure 0004883839
【0062】
【表4】
Figure 0004883839
【0063】
【表5】
Figure 0004883839
【0064】
あるいはリーシュマニア症に対してヒトまたは動物に防御免疫応答を生ぜしめるために使用することができるそれらの突然変異体またはフラグメント、ならびリーシュマニア症のヒトおよび動物に防御免疫応答を生じるために使用することができるこのタンパク質またはそれらの突然変異体またはフラグメントを含んで成るヒトまたは動物のリーシュマニア症の予防および処置のための医薬組成物。このタンパク質は発現ベクターpQE31中の遺伝子PQVの挿入に由来する。ここで該キメラ遺伝子は好ましくは分子量38kDおよび等電点7.37で生成するポリペプチドをコードする。
【0065】
また本発明は、上記のタンパク質またはヒトおよび動物においてリーシュマニア症に対する防御免疫反応を生ぜしめるために使用することができるそれらの突然変異体またはフラグメントを含んで成る、リーシュマニア属の寄生生物を認識する抗体の生産を刺激することができるワクチンに関する。
【0066】
本発明のさらなる観点は、上記タンパク質またはそれらの突然変異体またはフラグメントに対する抗体を含んで成り、好ましくはエピトープのような1以上の抗原決定基を含む、ヒトまたは動物のリーシュマニア症の予防および処置のための医薬組成物を包含する。
【0067】
本発明はさらに、ヒトまたは動物に上記の医薬組成物を投与することを含んで成る、ヒトまたは動物におけるリーシュマニア症の予防または処置法、あるいはヒトまたは動物に上記のワクチンを投与することを含んで成る、ヒトまたは動物におけるリーシュマニア症の予防法に関する。
【0068】
本発明が提案するリーシュマニア症の予防および/または処置に有用なエル.インファンタム(L.infantum)の4つのタンパク質の抗原決定基をコードするDNA配列により形成されるキメラ遺伝子および得られるタンパク質は、本発明により本来的にその応用分野において明らかな新規性を構成し、タンパク質LiP2a、LiP2b、LiPOおよびH2Aに特異的な抗原決定基をコードするDNA領域を含む合成のキメラ遺伝子が集成により得られる時、これは抗原決定基が豊富なタンパク質を構成する。得られたキメラ遺伝子は、大腸菌(Escherichia.coli)中で発現させ、そして産物がその抗原性について分析された。その結果からこのキメラタンパク質が元のタンパク質のすべての抗原決定基を維持し、そして80%〜93%の間で振れる感度および96%〜100%の間の特異性を持つイヌのVLのための関連する医薬的に有用な要素を構成することが確認される。
【0069】
より詳細には、エル.インファンタム(L.infantum)の4つのタンパク質の抗原決定基をコードするDNA配列により形成されるキメラ遺伝子およびそれにコードされるタンパク質は、イヌのリーシュマニア症の予防および/または処置に有用であり、そして本発明の目的で得られるタンパク質は、以下の工程により生成される、すなわち:
−キメラ遺伝子の構築。方法論。
【0070】
クローニング法
ヒストンのタンパク質H2Aの抗原決定基をコードするDNA配列のクローニング。
【0071】
rLiP2a-QおよびrLiP2b-Qをコードする配列のクローニング。
【0072】
配列rLiPO-Qのクローニング。
【0073】
キメラ遺伝子のクローニング。
−中間産物の構成物からのキメラ遺伝子の構築。
【0074】
エル.インファンタム(小児リーシュマニア)抗原に特異的なエピトープのクローニング
−最終産物の構築
すべての選択した抗原決定基を含むポリペプチドをコードするキメラ遺伝子の構築
−このようにして得られた配列の随意の発現
−最終産物の評価
血清
タンパク質の精製
タンパク質の電気泳動および免疫学的分析
FAST ELISAによる測定
−最終産物の評価
抗原的性質
イヌVLの血清診断におけるキメラタンパク質CPの感度および特異性
選択された抗原決定基のそれぞれ1個をコードするDNA配列のクローニングが後に続く戦略は、すべての場合に同様であり、そして第一段階では、関係する配列をPCRによりそして最末端で制限酵素の標的を含む特異性オリゴヌクレオチドを用いて増幅する。
【0075】
クローニング段階では、増幅された産物は、適当な制限酵素により指令され、そしてプラスミドpUC18の相当する制限部位内に挿入される。
【0076】
DNAを配列決定した後、挿入物を回収しそしてpMAL−c2と名付けた変性プラスミドの相当する制限部位にサブクローニングする。変性は、pMa1−c2のポリリンカー内の標的HindIIIの下流側に終止コドンを挿入して作製され、得られたプラスミドをpMAL−c2’と呼ぶ。
【0077】
ヒストンタンパク質H2Aの抗原決定基をコードするDNA配列のクローニングに関して、エル.インファンタムのヒストンH2AをコードするクローンcL71のcDNAをPCR反応の鋳型として使用し、そしてヒストンH2A、さらに正確にはrLiH2A−Nt−QのN−末端領域をコードするDNAの増幅のために、下記のオリゴヌクレオチドが使用されることを指摘しなければならない:センス 5’−CCTTTAGCTACTCCTCGCAGCGCCAAG−3’(配列cL71の位置84−104)、アンチセンス 5’−CCTGGGGGCGCCAGAGGCACCGATGCG−3(配列cL71の位置204−224の逆で相補的)。
【0078】
クローニングのためのオリゴヌクレオチド内に含まれそして親配列cL−71内には含まれない配列を太字で表す。
【0079】
増幅されたDNA断片は、pMAI−c2’の制限部位XmnIから直接クローニングされる。
【0080】
断片は、イニシエーター#1234 malEを用いて配列決定され。そしてヒストンH2Aの抗原C−末端領域、具体的にはrLiH2A−Ct−Qは、下記のオリゴヌクレオチドを用いて増幅される。これらは下記である。
センス 5’−GAATTCTCCGTAAGGCGGCCGCGCAG−3’(配列cL71の位置276−296)、
アンチセンス 5’GAATTCGGGCGCGCTCGGTGTCGCCTTGCC−3’(プラスミドcL71の位置456−476の逆で相補的)。
【0081】
プロリンをコードするトリプレット(下線を付した文字の後にGGGとして示される)が、アンチセンスオリゴヌクレオチド内に含まれ、クローニングのための両方のオリゴヌクレオチド内に含まれる制限部位EccRIを下線で示す。
【0082】
rLiP2a−Qをコードする配列のクローニングに関して、関係する領域は、LiP2aおよびLiP2bをコードするcDNAからのPCRにより増幅されることを指摘しなればならない。
【0083】
発現クローンLiP2a−Qを構築するために使用されるオリゴヌクレオチドは、下記である。
【0084】
センス 5’−GTCGACCCCATGCAGTACCTCGCCGCGTAC−3’、
アンチセンス 5’−GTCGACGGGGCCCATGTCATCATCGGCCTC−3’。
【0085】
オリゴヌクレオチドの5’最末端に付加されたSalI制限部位を下線付けしたことを指摘しなければならない。
【0086】
発現クローンLiP2b−Qを構築する場合に、使用されたオチゴヌクレオチドは下記である。
【0087】
センス5’−TGTAGACCCGCCATGTCGTCGTCTTCCTCGCC−3’、
アンチセンス TCTAGAGGGGCCATGTCGTCGTCGGCCTC−3’。
【0088】
オリゴヌクレオチドの5’最末端に酵素XbaI(下線部)に対する制限部位が含まれ、そしてクローニングの必要性から、プロリン残基をコードする追加のトリプレットが制限部位の下流側に含まれる。
【0089】
配列LiPO−Qのクローニングに関して、エル.インファンタムのタンパク質POのC−末端領域のDNA配列のクローニングが、L27と呼ばれ、下記の配列を有するcDNAのクローンを増幅することにより行われることを指摘しなければならない。
【0090】
センス5’−CTGCAGCCCGCCGCTGCCGCGCCGGCCGCC−3’(L27cDNAの位置1−24)、およびpUC18配列のイニシエーター(#1211)、増幅されたDNAは、酵素PstI+HindIIIにより指令され、その後プラスミドpMAL−c2内に挿入される。
【0091】
得られたクローンをpPQIと呼び、そして制限部位PstIがセンス方向でヌクレオチド内に含まれ(下線付き配列)そして制限標的HindIIIがcDNAL27内に存在することに注意しなければならない。
【0092】
キメラ遺伝子のクローニングに関して、5個の抗原決定基をコードするDNA配列が一個のキメラ遺伝子に構築され、そしてこの構築はクローンpPQI上で行われ、これに抗原領域LiP2a−Qに対するコード化領域が、3’方向に順番に(クローニングpPQIIの結果の名称)、LiP2b−Q(クローンpPQIII)、LiH2a−Ct−Q(クローンpPQIV)およびLiH2A−Nt−Q(クローンpPQV)に付加されることを指摘しなければならない。
【0093】
最後に、最終クローンpPQVのSacI+HindIII消化後に得られる挿入物は、pQE31発現プラスミド内に挿入され、得られたクローンをpPQと名付ける。
【0094】
【発明の好ましい態様】
イヌリーシュマニア症の血清学的診断のために使用できるエル.インファンタムの4種のタンパク質の抗原決定基をコードするDNA配列から形成されたキメラ遺伝子および提出する得られたタンパク質は、中間産物の構築物から構成される。第一の例では、エル.インファンタムの抗原に特異性のエピトープのクローニングを行い、これはエル.インファンタムの4種のタンパク質抗原(LiP2a、PiPO、LiP2b、LiH2a)の抗原性に関する以前の研究に基づいて構成され、これはこれらのタンパク質に対して特定されるBエピトープの存在を許容し、そしてこれはVLのイヌ血清により特異的に認識される。
【0095】
エル.インファンタムのタンパク質に関するこれらの抗原の抗原的特異性を改善する観点をもって、特異性抗原決定基をこれらのタンパク質からクローニングする。これらのタンパク質の一定の領域を除いた後、これらは、VLおよびその他の種々の疾患のキャリヤーである動物からの血清により認識できる。
【0096】
特異性オリゴヌクレオチドを用いそして遺伝子LiP2a、LiP2b、POおよびH2Aに特異性の領域のPCR増幅により、組換えタンパク質rLiPO−Ct−Q、rLiP2a−Q、rLiP2b−Q、rLiH2A−Ct−QおよびrLiH2A−Nt−Qを発現する数種のクローンが構築され、これらはクローニングの詳細が記載されている方法に関する本発明の説明の部分に詳細に記載されている。
【0097】
使用された組換えタンパク質は、下記である。
−rLiPO−Ct−Q、これはリボソームタンパク質LiPOの30個のC−末端残基に相当する。
−rLiP2a−QおよびrLiP2b−Q、これらはそれぞれリボソームタンパク質LiP2aおよびrLiP2bから誘導される。
−ヒストンH2Aの2個のサブ領域、これらは46個のN−末端残基(xLiH2A−Nt−Q)および67個のC−末端残基(残基(xLiH2A−Ct−Q))に相当する。
【0098】
マルトース結合タンパク質(MBP)に融合した組換えタンパク質のそれぞれは、大腸菌(E. coli) 内で発現され(図1Aに図示)、そしてこれらはアミロースカラムB上でアフィニティークロマトグラフィーにより精製された。精製工程の後、組換えタンパク質に関して電気泳動を行った(レーン1〜5)。
【0099】
組換えタンパク質がVLイヌ血清により認識されたかどうかを分析する目的で、3種のVLイヌ血清の混合物内の組換えタンパク質を含むウエスタンブロットをインキュベーションした。これらのタンパク質すべてが血清により認識された場合には、親タンパク質中に存在する抗原決定基は、組換えタンパク質(C)中に維持されていると結論される。
【0100】
組換えタンパク質の抗原性を、FAST ELISAを用いて26個のVLイヌ血清のコレクションに対して試験して、親抗原の抗原決定基と比較し(図1Dに示す)、そして血清が選択された領域および相当する完全タンパク質の両方に対して類似した反応性値を示すという事実は、クローニング操作の間に抗原エピトープへの改変が起きていないことを確認する。
【0101】
最終産物、さらに正確には選択された抗原決定基すべてを含むポリペプチドをコードするキメラ遺伝子の構築に関して、クローニング戦略が図2のAに示されていることを指摘しなければならない。プロセスの間に産生した中間産物を示す。
【0102】
タンパク質rLiPO−Ct−Q(pPQI)を発現するクローンは、初期ベクターとして使用され、そしてタンパク質rLiPO−Ct−Q、rLiP2a−Q、rLiP2b−Q、rLiH2A−Ct−QおよびrLiH2A−Nt−QをコードするDNA断片を適当な制限部位を用いて順番に付加する。
【0103】
それぞれのクローニング段階の後に、それぞれ挿入物の正確な方向を発現産物の大きさから導出し、そして最終的に最終クローンpPQVの完全ヌクレオチド配列を決定しそしてアミノ酸配列は図3中に記載した配列から導出する。
【0104】
産生したポリペプチドは、分子量38kDa、等電点7.37を有し、図3で下線を付したプロリンをコードするスペーサー配列を有する。これを行う目的は、抗原ドメインを効率的に分離しそして最終産物の安定性および抗原性に妨害となる可能性があると考えられる三次構造を避けるためである。
【0105】
中間産物それぞれの発現および回収を、図4のボックスAおよびBに示す。予想されるように、それぞれの付加の後に、ベクターpMAL内の発現産物の大きさは、80kDaに達するまで段々と増加し、精製の間にある程度の破壊が観察される。
【0106】
キメラ遺伝子も、最末端のN−末端における6ヒスチジンの断片を用いるタンパク質の発現を許容するベクターであるプラスミドpQE内にクローニングした。得られたクローンおよび組換えタンパク質は、それぞれpPQおよびPQと呼ぶ。
【0107】
pPQプラスミドを用いて形質転換した細菌内のタンパク質の発現のレベルおよび精製したタンパク質を図4で特にDと呼ぶ部分に示し、変性した条件でアフィニティクロマトグラフィーにより精製したタンパク質PQは、図4のボックスD、レーン2内に示す組換えタンパク質pPQVより安定である。
【0108】
最終産物を評価するために、一連の材料および以下に記載する明らかに幾つかの技術を使用した。
【0109】
種々の起源のイヌから得たVLの血清を使用した。動物は適切な研究所、一般的には寄生虫学部において臨床的および解析的に評価し、そしてすべての陽性血清を間接免疫蛍光法(IIF)により試験した。
【0110】
これらの動物の寄生虫のアマスチゴートの存在は、膝窩およびプリースカピュラー(pleescapular)リンパ節の直接観察により確認し、そして他の領域に起源するVLの33個の血清の第二の群は、寄生虫の全タンパク質抽出物に対するELISAおよび/またはIIFにより陽性診断が与えられた。
【0111】
VLではない種々の疾患により冒されたイヌの血清を種々の起源から入手した。この群の中で、下記の感染からの血清が見いだされた。
【0112】
中擬条虫属(Mesocestoides spp.)
ディフィリディウム・カニヌム(Dyphylidium caninum)
狭頭鉤虫(Uncinaria stenocephala)
イヌ回虫(Toxocara canis)
ディペタロネーマ・ドラヌンクロイデス(Dipetalonema dranunculoides)
イヌ・ニキビダニ(Demodex canis)
イヌ・バベシア(Babesia canis)
イヌ・エールリヒア(Ehrlichia canis)
リケッチア(Ricketsia ricketsiae)
残りの血清は、いかなる感染過程にも関連がない種々の臨床症状を示すイヌから得て、そして血清対照は、15頭の注意深く養育した健康な動物から得た。
【0113】
クローニングしたpMA1−c2により発現された組換えタンパク質の精製は、アミロースカラム上のアフィニティクロマトグラフィーにより行い、そしてクローンpPQにより発現された組換えタンパク質の精製は、変性条件におけるNi−NTA樹脂カラム上で行った(キアジェン(Qiagen))。
【0114】
タンパク質分析のために、SDSの存在下での10%ポリアクリミドゲル上の電気泳動を標準条件下で行った。電気泳動で分離されたタンパク質の免疫学的分析は、タンパク質を移行させたニトロセルロース膜上で行った。移行したタンパク質を、0.5%ツイーン(Tween) 20を含むPBS緩衝液中の乾燥5%脱脂乳を用いてブロックした。
【0115】
ブロッキング溶液内で一次および二次抗血清にフィルターを順番に接触させ、そしてペルオキシダーゼで標識した免疫複合体を第二抗体として用い、ECLシステムを用いて特異性結合を可視化した。図4Eはタンパク質PQのウエスタンブロットを示す。
【0116】
従来のELISAの代わりにFast−ELISAを用い、そして抗原の増感は、12時間、室温で行った。
【0117】
すべての場合に濃度が2μg/mlである抗原100μlを用いて平板を増感した。
【0118】
ウエル増感の後、平板を1時間、ブロッキング溶液(PBS−0.5%ツイーン20中に溶かした0.5%脱脂粉乳、そして血清をブロッキング溶液中で300倍に希釈した)と一緒にインキュベーションした。
【0119】
ウエルを血清と一緒に2時間、室温でインキュベーションし、そして抗体に暴露した後、ウエルをPBS−ツイーン20を用いて洗浄した。
【0120】
ペルオキシダーゼで標識した抗体を希釈度1:2000で第二抗体として使用し、そして反応物の色を基質オルトフェニレンジアミンを用いて発色させ、450nmにおける吸光を測定した。
【0121】
最終産物の評価に関して、キメラタンパク質に対しておよび「ウエスタンブロット」アッセイにおける中間産物のそれぞれに対してVLイヌ血清の反応性の適切な試験により、抗原性を決定したことを指摘しなければならない。すべての中間産物が、全クローニングプロセスの間、その抗原性を維持し同様に最終pPQV産物も維持した(図4C)。
【0122】
pPQプラスミドにより発現された組換えタンパク質は、VL血清により認識されたことも指摘しなければならない。さらに高い精度を有する分析を考慮して、キメラタンパク質および中間産物の抗原性、VLイヌの各種の反応性の分析は、組換えタンパク質に対するFast−ELISAにより行われ、これを図4のFに示す。クローニングの種々の中間産物の感度は、各付加段階ごとに上昇することが強調できる。タンパク質pQIが大部分のVL血清により認識され、そしてタンパク質PQIIが同様に大部分の血清により認識されたことも指摘しなければならない。この比率はタンパク質PQIIIの方が大きく、そしてタンパク質PQIV、PQVおよびPQは、実際的にすべての血清により認識される。
【0123】
上記の考察に従って、血清により示された認識の割合は、キメラタンパク質PQVおよびPQのアッセイの場合と、組換えタンパク質rLiPO−Ct−Q、rLiP2a、rLiP2bおよびrLiH2Aの混合物をアッセイした両者で同様であった。5種の選択した抗原領域のそれぞれの抗原性は、PQ発現産物中に存在し、従ってこの産物は個別に発現した抗原の混合物の代わりに診断に使用できることが分かった。
【0124】
キメラタンパク質がイヌVL血清診断に使用できるかどうかを決定する見解に関し、そしてこのタンパク質に対するイヌ血清の種々の適切な分析に従って、動物の臨床特性に従ってイヌ血清は3群に分類できることに注意すること。第一の群は、真のエル.インファンタム感染を有するイヌからの血清から成っていた。第二の群は、リーシュマニアとは異なる寄生虫に感染したイヌを含み、リーシュマニアに感染していないが種々の臨床症状を有するイヌ、およびリーシュマニア症の間に観察される症状と混同するような臨床症状を示すイヌの血清から成っていた。
【0125】
第三の群は、健康な犬を起源とする対照血清から成っていた。
【0126】
図5には、反応性の平均値を血清のそれぞれの群に対して示し、VL血清の反応性は、0.8の平均反応性値に達している(標準偏差=0.4)。
【0127】
この群内で、12個の血清の反応性は、陽性ではあるが0.35未満であり、一方10個の血清の反応性は0.35〜0.5の間の値に達する。23個の血清の反応性は、0.5〜10の間にあり、そして14個の血清は1.0を越える反応性を示すことが観察された。
【0128】
第二の群、すなわち、リーシュマニア寄生虫とは異なる寄生虫に感染している群の血清の平均吸光値は、0.2(標準偏差=0.05)であり、そして対照血清、すなわち第三群の反応性は、0.1(標準偏差=0.003)であった。群2からの血清2個だけが0.35〜0.4の反応性を示した。
【0129】
上記のデータは、カットオフ値を群2に標準偏差の3倍を加えて平均反応性値と定義すると(すなわち0.35)、FAST ELISAにおけるキメラタンパク質PQは、VL診断に対して80%の感度を有することを示す。
【0130】
カットオフ値を対照群の反応性値により定義すると、アッセイした群の感度は93%に達する。カットオフ値を上記の群2の血清により定義すると、タンパク質Qは、VL診断に対して特異性96%を有する。健康なイヌの反応性値を考慮すると、アッセイの特異性は100%に達する。
【0131】
使用すべきプロセスは下記である。
【0132】
1.− 緩衝液PBS−0.5%ツイーン20−5%脱脂乳(緩衝液A)内に溶かした抗原の1μg/mlを含む溶液のインキュベーションした100μlによる抗体を用いてマイクロタイター平板を被覆する。
【0133】
インキュベーションは、12時間、室温で行い、次いで平板を3回、抗原を含まない同じ緩衝液を用いて洗浄する。乾燥した抗原平板は室温で保存できる。
【0134】
2.− ウエルの第一インキュベーションは、緩衝液A内で1/200に希釈した動物の血清を用いて行った。インキュベーションは1時間継続する。
【0135】
3.− 1.項記載のようにして、洗浄フラスコを用いて3回、緩衝液Aを用いてウエルを洗浄する。
【0136】
4.− 緩衝液A内で1:2000に希釈した第二抗体(過酸化物で標識したIgG)を用いてこれらをインキュベーションし、インキュベーションは1時間行う。
【0137】
5.− ウエルを、3.項記載のように、すなわち洗浄フラスコを用いて、緩衝液Aを用いて再び3回洗浄する。
【0138】
6.− 基質オルト−フェニレンジアミンを用いて反応性を顕在化させ、そして450nmで吸光を測定する。
【0139】
キメラ遺伝子から抽出された診断のために使用するタンパク質を同定し、そして該タンパク質をコードするヌクレオチドは、下記である。
【0140】
【表6】
Figure 0004883839
【0141】
【表7】
Figure 0004883839
【0142】
【表8】
Figure 0004883839
【0143】
【表9】
Figure 0004883839
【0144】
当該技術分野の熟練者が本発明の範囲およびこれが提供する利益を理解できるようにするためにこの説明をさらに延長する必要はないと考えられる。
【0145】
要素の材料、形状、大きさおよび処理は、本発明の本質を変化させないと考えられる限り、変化が可能である。
【0146】
この開示が記述された内容は、常にその本質に関して広く解釈されるべきであり、そして限定されるものではない。
(リーシュマニアに対するワクチン)
【0147】
【発明の背景】
リーシュマニア属の原生動物の寄生体はリーシュマニア症、本質的に熱帯及び亜熱帯地域のヒト及び動物に感染する症候複合疾患を引き起こす原因である。ヒトの内蔵のリーシュマニア症の新規症例数は500,000の数に達する可能性があり、感染患者は最低数千万人であると算定されている。更に、皮膚及び粘膜皮膚のリーシュマニア症の患者数は毎年2,000,000人の次元である可能性がある(Modabber.,1990)。異なる型のリーシュマニア症に罹る危険性のあるヒトは約3億5千万人と算定できるが無症候性感染の実際の症例の明白な算定がない事実により、そして潜在性感染の存在のために実際に感染した患者数はずっと高い可能性がある。事実、リーシュマニア症は世界的影響をもつ寄生体疾患の位置付けにおいて第4位と第5位の間に位置する、風土性をもつ感染症/疾患として地球的範囲内で考えることができる。
【0148】
リーシュマニア症には3種類の主要な形態が区別される、皮膚、粘膜皮膚及び内臓のもので、それらの特徴は大部分は、寄生体の局在部位、それが属する種及びそれがもたらす臨床症状による。アジア地域及び地中海地域のある地方に分散された種は多くの場合自然治癒する局部的潰瘍を伴う皮膚の形態の存在をもたらす。これらの出現は森林型熱帯リーシュマニア(L.major)及び熱帯リーシュマニア(L.tropica)により誘起される。エチオピアリーシュマニア(L.aethipica)(地中海、アジア、アフリカ)もまた、その発現はより広域であるが、リーシュマニアの皮膚形態を誘発する。米国ではメキシコリーシュマニア(L.mexicana)種が通常自然治癒はしない広域の局在性をもつ皮膚形態をもたらす。ヒトの疾患の粘膜皮膚形態はブラジルリーシュマニア(L.brasiliensis)により誘起され、粘膜の破壊をもたらす口鼻及び咽頭領域における皮膚病巣の存在を特徴とする。米国、欧州、アフリカ及びアジアにおいて、最も頻発する形態のリーシュマニアはシャガシ・リーシュマニア(L.chagasi)、ドノバン・リーシュマニア(L.donovani)及び小児リーシュマニア(l.infantum)により誘起される内臓形態である。この形態のリーシュマニア症は正当な時期に適切に処置されないと致死性の熱、貧血及び強度な肝臓/脾臓腫大を伴う臨床症状を特徴とする。疾患の進行形態においては、宿主は有効な免疫反応を発達させることができない。これらすべてのリーシュマニアの形態はまた事実寄生体の主要な保有物を形成するイヌ類及び幾つかの囓歯類に認められる。地中海沿岸で小児リーシュマニアによりもたらされた健康の問題はイヌに感染/疾患の高い発生率があり、ベクター昆虫が非常に広範であるので深刻である。イヌ類全体の7〜20%がリーシュマニアに感染しており、地方であるスペインの幾つかの地域では30%に達すると計算されている。この事実は、基本的には免疫低下したヒトによる伝染の危険を更に増加させる深刻な家畜の問題を形成する。欧州においてはリーシュマニアによる感染の危険のある約11百万頭のイヌがいる。
【0149】
小児リーシュマニアはその属の残りの種と同様に二相性の生物学的サイクルを有する。中間宿主はチョウバエ科(Psychodidae)、フレボトムス(Phlebotomus)属の昆虫である。欧州の地中海区域においては、ベクターのパパトシサシチョウバエ(P.papatosi)、フレボトムス・ロンギクスピス(P.longicuspis)及びフレボトムス・セルゲンチ(P.serugenti)も存在するが、フレボトムス・アリアス(P.arias)種及びユウガイサシチョウバエ(P.perniciosus)が主要ベクターであることが示された。寄生体が脊椎動物の宿主の血液とともにベクターにより摂取される時に、それは自身を細胞外形態で腸内に入れて、プロマスティゴートに形質転換し、分裂する。感染性形態は咽頭及び鼻の方向に移動し、そこからそれらは新規の脊椎動物の宿主中に植え付けられるであろう。プロマスティゴートはそれらが鞭毛及び長さが約15〜20μmの細長い形態をもち、円い前端及び尖った後方端をもつことを特徴とする。核は中央部に位置しキネトプラストは後方端に位置する。培養液中では寄生体はある程度の形態の変異性を示す。脊椎動物の宿主の皮膚におけるプロマスティゴートの植え付け後の感染の樹立又は非樹立は本質的に2つのファクター、適当な細胞集団−マクロファージ−及び食細胞の単核系の他の細胞の存在並びにこれらの細胞内部における寄生体の生き残り及びそれ自体の複製能力、に左右される。
【0150】
リーシュマニアのマクロファージ中への侵入における第1段階は標的細胞の血漿膜への接近及び付着である。インビトロの研究は、マクロファージ上へのプロマスティゴートの直接の走化性引き付けはないことを示すように見える。組織の環境内では、遊離プロマスティゴーが代替通路により補体を活性化して、画分C5aの濃度勾配の形成をもたらし、それが植え付け部位の方向へマクロファージ及びその他の炎症性細胞を引き付ける。プロマスティゴートが一旦寄生体運搬(parasitophorous)小胞内に入ると、リソソームがそれに融合してファゴリソソームを形成する。他の微生物により誘起される感染においてはファゴリソソームは毒性の酸素ラジカルの生成のような幾つかの機序による、酸化的代謝過程、加水分解性リソソーム酵素の作用、カチオン蛋白質及び低いpHによる分解及び排除の原因となる小器官である。ファゴリソソーム中の寄生体の生き残りは前記の機序に対する抵抗及びそれを回避するその能力の働きである。
【0151】
体液性及び細胞性の両方でリーシュマニアによる寄生に対する免疫反応の存在はその疾患が研究された最初の瞬間から発見され、多数の機会に改定されてきた。体液反応の種類はリーシュマニア症の形態により異なる。皮膚の形態においては体液反応は非常に弱く、一方内臓の形態においては高い抗体反応が認められる。皮膚感染症においては、遅延型過敏症試験(DTH)によりインビボで、並びにリンパ芽球転換試験及びマクロファージ遊走抑制試験によりインビトロでの両方で検出可能な著明な細胞媒介反応がある。これらの場合には血清抗体の滴定は通常低く、過程の重症度と直接関連している。一旦無鞭毛体がマクロファージ内に入ると、感染の消散(resolution)は本質的に細胞媒介免疫機構による。細胞反応はマクロファージ、B細胞、T−細胞の幾つかの亜集団及びそれらすべてにより分泌される異なるリンフォカインの総合作用により決定される。寄生されたマクロファージはリーシュマニア抗原を処理し、クラスIIの主要組織適合試験複合体(MHC−II)により仲介される方法によりその表面上にそれらを発現する。更に、マクロファージはIL−1を分泌し、それがT−リンパ球の第2の活性化信号として働く。ヒトにおいては内臓のリーシュマニア症もしくはカラ−アザール(kala-azar)は遅延過敏症(DTH)の不在及び細胞増殖法の両方により検出可能な弱体化または不在の細胞反応を特徴とする。T−細胞の増殖の不在はコンカナベリンAまたはフィトヘマグルチニンのような分裂促進剤の存在下及び刺激されたT−細胞によるIL−2の生産の阻止下ですら検出される。
【0152】
マウスにおいては、T−リンパ球(CD4表現型)の集団は異質性で、それらが生産するリンフォカインに従って少なくとも2種類の亜集団に分類することができる。これらの細胞は皮膚のリーシュマニア(亜集団Th−1)に対する防御免疫の発達に必須であり、そして同時に防御免疫反応(亜集団Th−2)の抑制に関与する。抵抗性マウスC57BL/6または治癒BALB/cマウスに誘導されたT細胞は主としてTh−1型のものであり、一方治癒しなかったBALB/cマウスの細胞はTh−2型のものである。概してこれらの細胞により分泌されたリンフォカインはそれらを生産する細胞系の発育を好み、他の亜集団の発育に対して拮抗効果をもつ。このようにTh−2細胞により生産されたIL−4及びIL−10は感染の進行に寄与し、この系の発育を好む。更に、それらはその活性化を許さないことによりマクロファージ上に直接作用することができる。しかし、IL−4をコード化する遺伝子の欠乏したリーシュマニア感染に感受性のマウスにおいては、反対の結果が得られた。幾つかの症例においてはこのサイトカインの不在が反応を再誘導して、感染に対する抵抗性を増加させ、一方他の場合には、マウスの感染性の度合に差異は認められないことが発見された。遺伝子的に抵抗性のマウスにおいてはIFN−Yまたはその受容体、CD40またはCD40のリガンドの発現の不在が感染に対する感受性を増加することが認められた。CD40とそのリガンドの相互反応はTh−1に対する反応を方向付けるために必要なサイトカインIFN−Yの生産に必要である。Th−1型の反応を発達させる抵抗性の遺伝子塩基をもつマウスはTh−2型の反応を発達させてIL−12の発現に欠陥性である場合は感受性になる。最近のデータによりIL−12の生産は反応をTh−1に向けるために重要であり、そしてIL−4の不在はTh−2反応を回避することができることが示唆されている。
【0153】
本質的に「ウエスタンブロット(Western Blot)分析法」を特徴とする抗原性特徴を有する多数のリーシュマニアの蛋白質が存在する。リーシュマニアに感染した患者及びイヌの血清中には、gp63、gp46、PSA及びKPM−11のような膜蛋白に対する抗体の存在を検知することが可能であった。更に、Hsp70、Hsp83、LIP2a、LIP2b、LILIP0、H2A、H3及び、キネシンに関連した蛋白質、リーシュマニア・シャガシ(L.chagasi)のK39のような細胞質の細胞内に局在の幾つかの抗原が特徴を示された。小児リーシュマニアにより感染されたイヌの血清中に存在する保存蛋白を認識する抗体の反応性はこれらの蛋白の保存の最も少ない領域の方向に向けられる。幾つかの膜蛋白は自然感染に非常に抗原性である。自然感染すべてにおいては、感染過程の期間中に発育した抗体はその中で非常に制約された区域を認識するので、蛋白に対する体液反応において著しい制約がある。IgGのレベルは通常、感染の強度に対応し、寄生による荷重により決定される抗原性刺激の程度及び期間を反映する。Th−2型の早期反応をもたらすC型キナーゼ受容体(LACK)に類似のリーシュマニア抗原が最近説明された。LACK抗原に形質転換し、感染に感受性の遺伝的背景をもつのマウスにおいて、この抗原に対する寛容性の誘導が森林型熱帯リーシュマニア(L.major)による感染に対して防御する。抗リーシュマニア抗体は補体の存在下でインビトロでプロマスチゴートを破壊し、食菌作用を促進し、そしてプロマスチゴート及び無鞭毛体の表面に対する幾つかの粒子の付着を誘導することができる。
【0154】
病理学的反応は寄生されたマクロファージの密度と平行して進行するように見える。内蔵のリーシュマニア症において、マクロファージは概して異なる有機体組織全体に拡散する方法で分散する。炎症の種類は食細胞の増殖とともにリンパ球及び血漿細胞の優勢を伴って重要な細胞浸潤物により構成される。炎症は重篤な全身の変化をもたらす罹患器官の生理学に変化をもたらす。ある場合には、異なる器官に肉芽腫及び微細肉芽腫の外観を伴う局部的肉芽腫性炎症が起こる。これらの肉芽腫はマクロファージ並びに血漿細胞及びリンパ球に囲まれた繊維球増殖体(寄生体により感染されようとされまいと)並びにある場合には繊維芽細胞により形成される。この炎症過程は罹患器官に特徴的な病巣の外観を伴う有機反応を伴う。何人かの著者は実質的に器官全体にアミロイド物質の沈着を発見した。何人かの著者は当該疾患によりもたらされた損傷は病因学的物質に直接起因させることはできず有機反応に引金を引かれるという仮説を作成した。
(リーシュマニア症に対するワクチン)
皮膚のリーシュマニア症からの回復に続く強力な免疫が本疾患に対する予防的ワクチンの開発に大きな影響を与えた。この免疫はマクロファージを活性化し寄生体を破壊する炎症性サイトカインの生産をそれと関連付けたT反応の誘導に由来する。感染の場合の免疫学的記憶は恐らく、付随する免疫として知られた方法で宿主中における寄生体の恒常的存在により維持される。
【0155】
1940年代の10年間のリーシュマニア症に対するワクチン注射に関する第1の研究は免疫原として生存寄生体を使用した。これらの研究はその後の再感染に対する重要な防御をもたらしたワクチンの生産に導いた。しかし、生きた有機体が本当の感染症をもたらし得るという可能性を知ってこのようなワクチン注射計画を長い間実施させないで、その反対に、死亡した寄生体を基礎にしたワクチンに関心が集まった。これらの研究は寄生体の接種による有効なワクチンを生産する可能性に対する第1の証拠を提供した。
【0156】
死亡リーシュマニアのプロマスティゴートによる免疫処理を使用した臨床試験もまた40年代の10年間に開始された。これらのワクチンは集団に応じて0〜82%の間の可能性がある、ある程度の防御が認められたので著明な成功をもたらした。これらのワクチンは生存寄生体のワクチンよりも小さい効果を有した。マウスを感染から防御する森林型熱帯リーシュマニア(L.major)の無毒のクローンの単離は弱毒化されたワクチンが可能であることをも示した。しかし、無毒性の喪失及び無毒性の復帰変異体の生産の危険に導く突然変異体の無視がこの種類のワクチン注射を現在許容できないものにしている。
【0157】
最近、gp63、gp46/M6、PSA−2として知られる後者の抗原に関連した表面の抗原及び蛋白質dp72及びgp70−2、LACK蛋白質及びKmp11のような分子として規定された候補のワクチンの同定の方向に重要な進展があった。特に蛋白質gp63中に存在するTエピトープが同定され、それらの幾つかのみがTh−1及びTh−2の両方のT反応を誘導することができることが見いだされた。これらの抗原はそれらをアジュバントと一緒に投与するとモデル動物に有意な防御を誘導する。リーシュマニアの蛋白質のPSA−2はTh−1反応を誘導することにより森林型熱帯リーシュマニアによる感染に対して防御することができる。ヒトにおけるリーシュマニア症に対するワクチンとしてのこの蛋白質の防御機構を評価するためにT−細胞増殖を誘導するためのその能力をリーシュマニア症を罹患しそれから回復した患者で研究した。当該蛋白質はこれらの被験体のT−細胞の強力な増殖をもたらすことができるが、感染の以前の病歴のない対照においてはそれをもたらさないことが認められた。その反応はサイトカイン誘発パターンにより示されるようなTh−1型のものであった。
【0158】
サブユニットのワクチンはそれらが同定、単離及びクローン形成が容易であるので、蛋白質抗原に強力に焦点をあてられた。しかし、必ずしもすべての可能なワクチン分子が蛋白質である必要はないことを考慮に入れる必要がある。事実、リポホスホグリカン(LPG)は感染の樹立に本質的な役目を果す。LPGのワクチン注射は森林型熱帯リーシュマニアの感染に対して防御することができる。T−細胞は非蛋白性の抗原を認識しないと述べるドグマの存在にもかかわらず、LPG分子は皮膚のランゲルハンス細胞によりT−細胞に提供されるように見える。更に、微生物の糖脂質及び他の非蛋白質の分子はそれらがCD−1経路を通って提供される時に、T−細胞を認識することができることを示した証拠がある。LPGと一緒の蛋白質KMP11が防御反応を誘導する明白な証明はないが、LPGと一緒の蛋白質様画分がT反応及びLFN−Yを誘発することができるが、蛋白質を伴わないLPG画分はそれを誘発することができないことは証明されている。
【0159】
サブユニットのワクチンは防御性ではあるが、短期の免疫を誘発するのみであることは一般に受け入れられている。この問題は、被験体が自然感染症の原因により定期的に増強される(boosted)ことができる地方の領域においては重要ではないかも知れない。サブユニットの使用における主要な問題は、遺伝的に広範囲の集団における単一の抗原に対して単一の反応でない可能性がある事実から起こる可能性がある。B及びT誘導物質を含む抗原の混合物がこの欠点を克服することができる。最近、小児リーシュマニアの膜蛋白質の抽出物を腹腔内注射するとこの寄生体の無毒のプロマスティゴート形態に対する防御を与えることができること及びその蛋白質を陽性に帯電したリポソーム中に封入するとその防御がより大きいことが発表された。アジュバンティシティ及び防御免疫性が陽性に帯電されたリポソーム中に封入されたドノバンリーシュマニア(L.donovani)抗原により与えられた。
【0160】
リーシュマニアの蛋白質をコード化する核酸担持遺伝子のワクチン注射は宿主に対する寄生体の遺伝的材料の投与に関する。このDNAが細胞により取り込まれ、核中に誘導され、そこで転写され、その後細胞質内に翻訳される。この種類のワクチン注射の利点はMHC−I又はMHC−II経路により免疫反応を誘導することができる点である。細胞内で生産された抗原は細胞内で処理され、生成されたペプチドはMHC−I分子と一緒に細胞表面上に提供される。その結果、これらの分子は細胞毒性のT−細胞の誘導を引き起こすであろう。細胞外環境中に生成された抗原は特別に、特殊な抗原提供細胞により取り込まれ、処理され、MHC−II分子に結合されたそれらの表面上に提供され、CD4+細胞の誘導及び活性化をもたらし、それが免疫系の他の細胞のエフェクターを調節するサイトカインを分泌するであろう。
【0161】
ワクチンとして投与することができる最初のDNAベクターはgp63遺伝子を含んでいた。更に、PSA−2遺伝子がプラスミド中に誘導され、そしてそれがTh−1反応及び防御の導入をもたらすことが認められた。Ag−2を含むDNAプラスミドのワクチン注射はTh−1反応を誘発し、森林型熱帯リーシュマニア(L.major)による感染に対して防御するが、刺激性免疫複合体中のAg−2は組み合わせたTh−1及びTh−2反応を誘導しIFN−Yが誘導される事実にもかかわらず防御しない。同様に、サイトメガロウイルスプロモーターの制御下で蛋白質を表現する表現ベクター中でLACK蛋白質をコード化している遺伝子をBALB/cマウスに皮下注射して、森林型熱帯リーシュマニア(L.major)の感染に対する防御を認めた。粒状DNAの皮膚内注射もまたそれがより少量のDNAを要するので探求しなければならないが、DNAを投与したほとんどすべての症例で、投与経路は筋肉注射であった。その他の免疫系はサルモネラ、BCGまたはワクシニアウイルスのようなベクターを使用する。BCG中にgp63遺伝子を含むことが森林型熱帯リーシュマニア(L.major)に対する防御を誘発することができることを認めることは興味深い。
【0162】
蛋白質gp63をコード化する遺伝子はまた弱毒化ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)中のracプロモーターの制御下で遺伝子のデルタaraC中に導入された。形質転換バクテリアの1×109コロニーの経口投与はTh−1及び、gp63を表現する肥満細胞腫細胞に対する細胞毒細胞の両方の範囲内にT反応を誘発する。gp63−ISCOMs複合体の形態の蛋白質gp63は炎症の減少及び病巣の抑制により証明されるようにマウスにおいて防御を誘発する。血清中には、IgG2a型の抗体があり、更にIL−2、IFN−Y及びIL−10の誘導によるTh−1反応を認めることができる。DTH反応は認められなかった。gp63で形質転換されたチフス菌(Salmonella typhi)Nramp1はIL−2及びIFN−Yの誘導によりTh−1反応をもたらし、病巣の強力な消滅が認められる。P−4として知られるピファノ・リーシュマニア(L.pifanoi)の蛋白質はリーシュマニアの感染に対する有意な防御を誘発する。皮膚のリーシュマニアを患うヒトにおける最近の研究によりこの蛋白質またはそれから誘導されたペプチドはT細胞を増殖させることができることが示されている。IFN−Yは誘発されるが、IL−4の誘発はない。経口投与された、IL−2、IFN−Y及びTNF−αで形質転換されたチフス菌のaro−A及びaro−D突然変異体は森林型熱帯リーシュマニア(L.major)による感染に対する治療系として働くことができる。これらの患者においてiNOSのより大きい誘発があることを認めることは興味深い。gp63遺伝子はまたAro−A及びAro−D突然変異体中でクローン化され、経口投与後に、コード化された蛋白質は森林型熱帯リーシュマニアの感染に対して有意な防御を誘発することができることが認められた。この同一蛋白質はサルモネラの特異的変種(GID105及びGID106)中の幾つかのプロモーターに融合させて投与すると防御を誘発させることができる。
【0163】
小児リーシュマニア(L.infantum)の4種の蛋白質(より具体的にはLip2a、Lip2b、P0及びH2A)からの幾つかの抗原フラグメントからなり、抗原として使用された後にイヌのリーシュマニアの診断に対して重要な価値を有することが判明し、感染されていない対照動物の血清と比較すると93%の感受性及び100%の特異性を伴う、Qと名付けられた人工的蛋白質が最近我々のグループにより説明された。同様に、我々のグループは小児リーシュマニアの蛋白質hsp70がこの寄生体による感染により誘起された感染症における免疫反応の重要な標的であることを示した。
【0164】
蛋白質Qがそれ自体でそしてHsp70と組み合わせての両方で、小児リーシュマニアによる感染に対する防御系を計画するために使用することができる可能性を探求する目的をもって、モデルとしてハムスターを使用して3系列の実験を計画した。実験は蛋白質Qによる免疫処置が短期間の感染に対して動物を防御したか否かを検討し、もう1つは免疫処置が長期間においてかれらを防御したか否かを検討し、そして第3に2種類の蛋白質の一緒の免疫処置後にこの防御効果を検討するために計画された。その後に短期間分析並びに長期間分析の両方から、蛋白質Qが大部分の免疫処置動物において小児リーシュマニア感染後に肝臓及び脾臓の両方に寄生体による荷重を減少させる免疫反応を誘発させることができたこと、及び蛋白質Q+Hsp70による免疫処置はまた両方の蛋白質に対して有意な反応を誘発し、大部分の免疫処置動物において寄生体による荷重の有意な減少をもたらしたことが認められた。
【0165】
実施例1:タンパク質Qによる免疫処置
フロインドのアジュバント(Freund’s adjuvant)40μL(マイクロリットル)中に溶解した5μgのタンパク質Qを用いて4匹の動物に免疫処置を施し、タンパク質を含まないPBS塩水溶液40μLで乳化した同量のアジュバントを用い他の4匹の動物に免疫処置を行なった。最初の免疫処置においては、フロインドの完全アジュバントをタンパク質と組み合わせて使用したが、2回目以降の免疫処置においては、フロインドの不完全アジュバントをタンパク質と組み合わせ、タンパク質/アジュバントの比を同じにして使用した。3回の腹腔内での免疫処置は15日の間隔で行なった。各免疫処置を行なった後第2週目から初めて免疫処置の全期間に亙り、血液の試料を採取しエリザ(ELISA)検定法においてタンパク質Qに対する体液性応答を測定した。1回目の免疫処置後二週間で既にタンパク質Qに対する陽性のIgG応答が観測され、この応答は感染後二週間の後に高くなり、免疫処置の時間と共に増加して1/100.000の力価に達した。同様に、タンパク質Qに対する免疫応答はこの寄生虫の感染後も著しくは変更されなかった(図1)。
【0166】
3回目の免疫処置から15日して、感染したハムスターに由来する感染性のアマスティゴート(amastigote)とは異なったプロマティゴート(promastigote)寄生虫を105個投与して動物に感染させた。この接種材料が感染した動物100%に対し強い寄生虫血症を引き起こし、寄生虫投与後4ヶ月間病気を起こさせることを予めチェックしておいた。表1は、対照および予防接種を行なった動物の肝臓および脾臓の両方の組織1mg当たりの寄生虫血症のレベルを示す。予防接種を行なった動物のすべてにおいて、対照の動物に比べ肝臓における寄生虫の負荷が減少しており、このことは動物の75%において極めて顕著に起こっていることが観測できる。脾臓における寄生虫の負荷を調べた場合でも、動物の75%において対照に比べこの負荷は著しく低く、RPLは83〜86%に達することが観測できる。肝臓においてRPLが20%の動物は脾臓においては48%であった。
【0167】
表1.腹腔内の経路を介してタンパク質Qを予防接種したハムスターの肝臓
および脾臓における寄生虫の負荷。
感染4週間後に限界希釈法(limit dilution)(短期間)により寄生虫の負荷を測定した。寄生虫の負荷は組織1mg当たりの寄生虫の数として表す。RPL=寄生虫の負荷の減少率(%)。
【0168】
【表10】
Figure 0004883839
【0169】
対照
4匹のハムスター 14±5 295±30
数は4匹の動物の平均を表す。
【0170】
実施例2
長期間に亙る寄生虫の負荷の減少に関し、他の接種経路を用いタンパク質Qで予防接種を行なう効果を証明するために、40μLのPBS中に溶解した5μgのタンパク質Qを40μLのフロインドのアジュバントと混合して4匹の動物に皮下注射して投与した。第1回の免疫処置ではフロインドの完全アジュバントを使用したが、2回目以降の処置では前述のようにフロインドの不完全アジュバントを用いた。予防接種は15日間隔で3回投与した。三回目の免疫処置後15日して、105個の感染性の寄生虫を接種した。すべての免疫処置の期間および感染の全期間(5ヶ月)を通じて血液を採取し、タンパク質Qに対する体液性応答および寄生虫の全タンパク質に対する体液性応答の種類を測定した。図2には、感染してから第2週目において既に、前の場合と同様に3匹のマウスにおいてタンパク質Qに対する応答は陽性であり、1回目の免疫処理の2週間後にはこのタンパク質対する応答は非常に高かいことが示されている。この応答は、残りの免疫処置後も非常に高い値を維持し、第3回目の免疫処置後の週でも力価は1/75.000に達する。動物の中の1匹ではタンパク質Qに対する応答は時間と共に遅くなったが、実験の末期までにこの応答は他の動物のレベルに達した。従って実施例1および実施例2の両方から導かれるデータから、腹腔および皮下の両方の経路によるこのタンパク質に対する免疫応答の程度は非常に速いが、同じ時間では腹腔の経路の応答の方が高い力価に達する(1/75.000対1/100.000)と結論することができる。図3は対照の動物におけるタンパク質Qに対する応答を示す。このタンパク質に対する反応性は感染後12〜14週目に検出されることを観測することができるが、これは潜在的なリーシュマニア症に起因する最初の症状が感染した動物に検出され始める時である。表2は対照および予防接種した動物の肝臓および脾臓における寄生虫血症のレベルを示す。この表から分かるように、寄生虫血症の減少率が非常に高かった(87〜89%)という意味で、肝臓のレベルにおいては動物の50%が防御された。動物の中の一匹は防御されなかったが、他の動物では寄生虫の負荷の減少率は22%であった。これに対し、脾臓のレベルにおいては寄生虫の負荷の減少は100%の動物の中で98〜99%であった。
【0171】
表2.皮下の経路を介してタンパク質Qを予防接種したハムスターの肝臓
および脾臓における寄生虫の負荷。
感染2週間後に限界希釈法(長期間)により寄生虫の負荷を測定した。寄生虫の負荷は組織1mg当たりの寄生虫の数として表す。RPL=寄生虫の負荷の減少率(%)。
【0172】
【表11】
Figure 0004883839
【0173】
対照
4匹のハムスター
1.8×106±1.2×105 5.2×108±2.6×107
数は4匹の動物の寄生虫負荷の平均を表す。
レーシュマニア・インファンタム(Leishmania infantum)のタンパク質LiHsp70を含む組成物における防御システムを設計するためにタンパク質Qを使用できるかどうかを試験する目的で、Balb/cマウスで実験を行なった。免疫処置を行なった後、肝臓および脾臓の両方において寄生虫負荷は著しく減少し、若干の動物では4桁程度以下(1/1000以下)にまで減少した。
【0174】
実施例3:フロインドのアジュバントの中におけるタンパク質Q+タンパク質Hsp70による免疫処置
40μLのPBS中に5μgのタンパク質Qおよび5μgのタンパク質LiHsp70を溶解し40μLのフロインドのアジュバント中で乳化させた液を、4匹のハムスターのそれぞれに腹腔注射した。上記のように1回目の免疫処置ではフロインドの完全アジュバントを使用したが、2回目以降ではフロインドの不完全アジュバントを用いた。予防接種は15日間隔で3回の投与で行なった。
【0175】
3回目の免疫処置の後15日して、心臓内の経路を介して106個の感染性寄生虫を接種し、22週目に動物を殺した。すべての免疫処置期間および全感染期間を通じて2週間毎に動物から血液を採取し、タンパク質Qおよびタンパク質LiHsp70に対する体液性応答を測定した。
【0176】
Qタンパク質+LiHsp70で免疫処置を行なったマウスの間の相対的な寄生虫負荷を表3に示す。すべての動物は高度に防御され、その幾つかでは脾臓において2桁ないし3桁以下に近い減少率が得られた。
【0177】
表3.感染後4ヶ月でQ+LiHsp70タンパク質で免疫処置を行なった
Balb/cマウスの相対的な寄生虫の負荷
【0178】
【表12】
Figure 0004883839
【0179】
対照
4匹のマウス
5.1×104±2×103 3.2×106±8×104
数は4匹の動物の寄生虫負荷の平均を表す。
表4および5は、実施例1および2のすべての動物が免疫学的にタンパク質Qに対して応答し、免疫処置後2週間から始まってタンパク質Qに対する応答が高くなり、この応答は第2の免疫処置(4週)後も増加していることを示している。表6は、実験の全期間を通じタンパク質LiHsp70に対する応答も陽性であるが、実施例3におけるタンパク質Qに対する応答よりも低いことを示している。
【0180】
表4および5.
タンパク質Qを5μg腹腔内に注射した4匹のハムスターにおける免疫応答(表4−実施例1、短期間)、およびタンパク質Qを5μg皮下注射した4匹のハムスターに おける免疫応答(表5−実施例2、長期間)
【0181】
【表13】
Figure 0004883839
【0182】
表5:実施例2、長期間
Qタンパク質で免疫処置を行なったマウス(長期間)
Qタンパク質に対する免疫応答
【0183】
【表14】
Figure 0004883839
【0184】
光学密度3を示す血清(1/200に希釈)は1/45.000よりも高い力価をもっている。
対照のマウス
Qタンパク質に対する免疫応答(長期間)
【0185】
【表15】
Figure 0004883839
【0186】
血清は1/200に希釈した。
【0187】
表6
5μgのタンパク質Qおよび5μgのタンパク質LiHsp70を腹腔内に注射した
4匹のハムスターにおける免疫応答(実施例3、長期間)
Qタンパク質+Hsp70で免疫処置を行なったマウス
Qタンパク質に対する免疫応答
【0188】
【表16】
Figure 0004883839
【0189】
血清は1/800に希釈した。
対照のマウス
Qタンパク質に対する免疫応答
【0190】
【表17】
Figure 0004883839
【0191】
血清は1/200に希釈した。
Qタンパク質+Hsp70で免疫処置を行なったマウス
Hsp70タンパク質に対する免疫応答
【0192】
【表18】
Figure 0004883839
【0193】
血清は1/800に希釈した。
対照のマウス
Hsp70タンパク質に対する免疫応答
【0194】
【表19】
Figure 0004883839
【0195】
血清は1/200に希釈した。
【0196】
実施例4:Balb/cマウスにおけるタンパク質Q+BCGでの免疫処置
40μLのPBSに溶解した5μgのタンパク質Qおよび106個ののBCG(bacille Calmette Guerin)のコロニー形成単位(CFU)をを用い4匹のBalb/cマウスに対しそれぞれ腹腔内注射を行なった。免疫処置は15日の間隔を置いて3回行なった。3回目の免疫処置後15日して心臓内の経路によりエル.インファンタムのBCN150の感染性寄生虫を105個接種した。免疫処置期間および感染した全期間を通じて2週間毎にマウスから血液試料を採取し、タンパク質Qに対する体液応答の程度を試験した。感染後8週目に動物を殺した。
【0197】
表7(aおよびb)は、免疫処置した動物が第2週から始まってタンパク質Qに対して陽性に応答し、多くの場合この応答は400,000の値に達するまで次第に増加することを示している。表8は、予防接種された動物と対照の動物の肝臓および脾臓の間における寄生虫負荷の差を示している。
【0198】
表7; 5μgのタンパク質Qと106個のBCGのCFUで免疫処置を行なった
Balb/cマウスにおけるタンパク質Qに対する免疫応答
マウス 1、2、3、4 免疫処置を施したマウス
マウス 5、6、7、8 免疫処置を施さなかった対照
【0199】
【表20】
Figure 0004883839
【0200】
数3は測定システムにおけるオーバーフローに相当する。
【0201】
指示したそれぞれの週の始めに血清を採取した。
【0202】
第1回目の免疫処置は0日目に行ない、2回目は15日目に、3回目は30日目に行なった。
【0203】
表8. タンパク質Q+106個のBCGを皮下に予防接種した
Balb/cマウスの肝臓および脾臓における感染後8週目の寄生虫の負荷
寄生虫負荷は7000個の核をもった細胞を含む種々の部分を測定することにより組織の印像(tissue impression)を光学顕微鏡により測定した。寄生虫の負荷は組織1mg当たりの寄生虫の量として表される。この値は1000個の核をもった細胞当たり1個の寄生虫が組織1mg当たり210個の寄生虫に相当すると予め計算されている。RPB=寄生虫の負荷の減少率(%)
【0204】
【表21】
Figure 0004883839
【0205】
対照
4匹の動物 平均 400±15 4155±30
n.d.=5000個の核をもった細胞中に寄生虫が検出されなかった。
【配列表】
【表22】
Figure 0004883839
【表23】
Figure 0004883839
【表24】
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【表25】
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【表26】
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【表27】
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【表28】
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【表29】
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【表30】
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【表31】
Figure 0004883839

【図面の簡単な説明】
本発明の特徴の理解を助ける目的で行った記載を補完するために、本開示には、それと一体の部分として、制限的ではない説明的な性質の一組の図面を添付する。下記が記載されている。
【図1】 図1は、マルトース結合タンパク質に融合した組換えタンパク質のそれぞれに対する発現(A)、アミロースカラム中の精製(B)および抗原性(C:ウエスタンブロット、D:ELISA)に相当する。Dの図は、完全なタンパク質に対する組換えタンパク質のそれぞれのELISA内における反応性も示す。
【図2】 本発明の目的のキメラ遺伝子を得ると考えられる種々のベクターのグラフ図示であり、これからリーシュマニア症の症状を示す動物またはヒトに対する正確な診断を行う目的に対して適切なタンパク質が抽出される。
【図3】 図3は、その調製が図2に示されるMBPタンパク質に融合されたキメラ遺伝子から得られるタンパク質の同定に相当する。
【図4】 図4は、マルトース結合タンパク質(PQI−PGV)に融合した中間体および最終キメラ遺伝子タンパク質の発現(A)、アミロールカラム中の精製(B)および抗原性(C:ウエスタンブロット、F:ELISA)に相当する。この図は、キメラ遺伝子の発現(Dレーン1)、Ni−Ntアガロースカラム内の精製(Dレーン2)およびVL血清に対する精製タンパク質の抗原性(E:ウエスタンブロット)および血清のコレクションに対する精製タンパク質の抗原性(F:ELISA中のPQ)も示す。
【図5】 図5は、最後に、3群に分類した広範な各種のイヌ血清の反応性の集約図である。第一群は、L.インファンツムによる真の感染を有する動物を含む。第二群は、種々の臨床症状は有するがリーシュマニアには感染していないイヌから得た血清を含み、そして第三群は、健康なイヌからの15個の血清から成っている。この図は、VLの血清学的診断を行うための本発明の価値を確認する。

Claims (8)

  1. a)配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するか、または(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するタンパク質を有効成分として含んで成る、ヒトまたは動物のリーシュマニア症を予防または処置するための医薬組成物。
  2. さらに腹腔内、皮下または筋肉内投与に適する生理学的アジュバントを含んで成る、請求項に記載の医薬組成物。
  3. さらに完全なまたは断片化したタンパク質LiHsp70、またはそれらの変異体を含んで成る、請求項またはに記載の医薬組成物。
  4. 配列番号1に示されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドまたは該ポリヌクレオチドの変異体であって、保存されたアミノ酸をコードするヌクレオチドの修飾若しくは置換を含む変異体を含んで成る、ヒトまたは動物のリーシュマニア症を予防または処置するための医薬組成物。
  5. 組成物がワクチンである請求項ないしのいずれかに記載の医薬組成物。
  6. ヒトまたは動物被験体のリーシュマニア症を予防または処置に使用するための請求項ないしおよびのいずれかに記載の医薬組成物。
  7. a)配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するか、または(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するタンパク質を有効成分として含んでなるヒトまたは動物のリーシュマニア症に対して免疫応答を生じさせるため医薬組成物。
  8. 請求項ないし6およびのいずれかに記載の医薬組成物の、ヒトまたは動物のリーシュマニア症の予防または処置用の医薬を製造するための使用。
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