本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
(A)潜像を担持するための像担持体と、(B)規則的に配置された凹部を表面に備え、現像剤を担持するための回転可能な現像剤担持体であって、該現像剤担持体に担持された現像剤で前記潜像の現像を行う現像剤担持体と、(C)前記現像剤担持体の前記表面に当接しており、該現像剤担持体の回転に伴い振動するゴム弾性体からなる当接部材と、(D)前記現像剤担持体の回転を開始させてから、該現像剤担持体の回転速度を、該現像剤担持体が回転する際の前記表面の移動速さが、前記凹部の、該現像剤担持体の周方向のピッチと、前記当接部材の損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が最大になるときの該当接部材の振動数と、の積よりも大きくなる第一回転速度、まで上昇させ、前記現像剤担持体の回転速度が前記第一回転速度になった後、前記現像剤担持体の回転速度を、前記移動速さが前記積よりも小さくなる第二回転速度、まで下降させ、該第二回転速度で回転する前記現像剤担持体に前記潜像の現像を行わせるコントローラと、(E)を有することを特徴とする画像形成装置。
このような画像形成装置によれば、画像の画質の劣化が適切に防止される。
また、前記潜像の現像のために現像バイアスを前記現像剤担持体に印加する現像バイアス印加部を有し、前記コントローラは、前記現像剤担持体の回転速度が前記第一回転速度になった後、前記現像剤担持体の回転速度を、該第一回転速度から、前記移動速さが前記積と等しくなる第三回転速度を経由して、前記第二回転速度まで下降させ、かつ、前記現像剤担持体の回転速度が前記第三回転速度になった後に、前記現像バイアス印加部による前記現像バイアスの印加を開始させることとしてもよい。
かかる場合には、フィルミングが適切に回収されることとなる。
また、前記コントローラは、前記現像剤担持体の回転速度が前記第三回転速度になってから、前記現像剤担持体の表面のうちの、前記現像剤担持体の回転速度が前記第三回転速度になったときに前記当接部材が当接する部分が、前記現像剤担持体のさらなる回転に伴って前記像担持体に対向する位置まで移動する時間が経過した時点、よりも後に、前記現像バイアス印加部による前記現像バイアスの印加を開始させることとしてもよい。
かかる場合には、フィルミングがより一層適切に回収されることとなる。
次に、(A)潜像を担持するための像担持体と、(B)規則的に配置された凹部を表面に備え、現像剤を担持するための回転可能な現像剤担持体であって、該現像剤担持体に担持された現像剤で前記潜像の現像を行う現像剤担持体と、(C)前記現像剤担持体の前記表面に当接しており、該現像剤担持体の回転に伴い振動するゴム弾性体からなる当接部材と、(D)前記現像剤担持体が回転する際の前記表面の移動速さが、前記凹部の、該現像剤担持体の周方向のピッチと、前記当接部材の損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が最大になるときの該当接部材の振動数と、の積よりも小さくなる第五回転速度、で回転する前記現像剤担持体に前記潜像の現像を行わせ、該潜像の現像を終了させてから、前記現像剤担持体の回転速度を、前記移動速さが前記積よりも大きくなる第四回転速度、まで上昇させ、前記現像剤担持体の回転速度が前記第四回転速度になった後、前記現像剤担持体の回転を停止させるコントローラと、(E)を有することを特徴とする画像形成装置。
このような画像形成装置によれば、画像の画質の劣化が適切に防止される。
また、前記潜像の現像のために現像バイアスを前記現像剤担持体に印加する現像バイアス印加部を有し、前記コントローラは、前記潜像の現像を終了させてから、前記現像剤担持体の回転速度を、前記第五回転速度から、前記移動速さが前記積と等しくなる第三回転速度を経由して、前記第四回転速度まで上昇させ、かつ、前記現像剤担持体の回転速度が前記第三回転速度になってから、前記現像剤担持体の表面のうちの、前記現像剤担持体の回転速度が前記第三回転速度になったときに前記当接部材が当接する部分が、前記現像剤担持体のさらなる回転に伴って前記像担持体に対向する位置まで移動する時間が経過した時点、よりも前に、前記現像バイアス印加部による前記現像バイアスの印加を終了させることとしてもよい。
かかる場合には、フィルミングが適切に回収されることとなる。
また、前記現像剤担持体の回転速度が前記第三回転速度になる前に、前記現像バイアス印加部による前記現像バイアスの印加を終了させることとしてもよい。
かかる場合には、フィルミングがより確実に回収されることとなる。
また、前記現像剤担持体の前記表面に接触して、前記現像剤担持体から前記現像剤を剥ぎ取るための剥ぎ取り部材を有し、前記コントローラは、前記現像剤担持体の回転速度が前記第四回転速度になった後、前記現像剤担持体の回転を停止させる際に、前記現像剤担持体の回転速度が前記第三回転速度になってから、前記現像剤担持体の表面のうちの、前記現像剤担持体の回転速度が前記第三回転速度になったときに前記当接部材が当接する部分が、前記現像剤担持体のさらなる回転に伴って前記剥ぎ取り部材が接触する位置まで移動する時間が経過した時点、よりも後に、前記回転を停止させることとしてもよい。
かかる場合には、フィルミングが、現像剤担持体が停止する前に、剥ぎ取り部材により適切に剥ぎ取られる。
また、コンピュータ、及び、このコンピュータに接続可能な画像形成装置であって、潜像を担持するための像担持体と、規則的に配置された凹部を表面に備え、現像剤を担持するための回転可能な現像剤担持体であって、該現像剤担持体に担持された現像剤で前記潜像の現像を行う現像剤担持体と、前記現像剤担持体の前記表面に当接しており、該現像剤担持体の回転に伴い振動するゴム弾性体からなる当接部材と、前記現像剤担持体の回転を開始させてから、該現像剤担持体の回転速度を、該現像剤担持体が回転する際の前記表面の移動速さが、前記凹部の、該現像剤担持体の周方向のピッチと、前記当接部材の損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が最大になるときの該当接部材の振動数と、の積よりも大きくなる第一回転速度、まで上昇させ、前記現像剤担持体の回転速度が前記第一回転速度になった後、前記現像剤担持体の回転速度を、前記移動速さが前記積よりも小さくなる第二回転速度、まで下降させ、該第二回転速度で回転する前記現像剤担持体に前記潜像の現像を行わせるコントローラと、を有する画像形成装置、を具備することを特徴とする画像形成システムも実現可能である。
このような画像形成システムによれば、画像の画質の劣化が適切に防止される。
また、コンピュータ、及び、このコンピュータに接続可能な画像形成装置であって、潜像を担持するための像担持体と、規則的に配置された凹部を表面に備え、現像剤を担持するための回転可能な現像剤担持体であって、該現像剤担持体に担持された現像剤で前記潜像の現像を行う現像剤担持体と、前記現像剤担持体の前記表面に当接しており、該現像剤担持体の回転に伴い振動するゴム弾性体からなる当接部材と、前記現像剤担持体が回転する際の前記表面の移動速さが、前記凹部の、該現像剤担持体の周方向のピッチと、前記当接部材の損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が最大になるときの該当接部材の振動数と、の積よりも小さくなる第五回転速度、で回転する前記現像剤担持体に前記潜像の現像を行わせ、該潜像の現像を終了させてから、前記現像剤担持体の回転速度を、前記移動速さが前記積よりも大きくなる第四回転速度、まで上昇させ、前記現像剤担持体の回転速度が前記第四回転速度になった後、前記現像剤担持体の回転を停止させるコントローラと、を有する画像形成装置、を具備することを特徴とする画像形成システムも実現可能である。
このような画像形成システムによれば、画像の画質の劣化が適切に防止される。
また、規則的に配置された凹部を表面に備え、現像剤を担持するための回転可能な現像剤担持体であって、該現像剤担持体に担持された現像剤で像担持体に担持された潜像の現像を行う現像剤担持体、の回転を開始させてから、該現像剤担持体の回転速度を、該現像剤担持体が回転する際の前記表面の移動速さが、前記凹部の、該現像剤担持体の周方向のピッチと、前記現像剤担持体の前記表面に当接しており該現像剤担持体の回転に伴い振動するゴム弾性体からなる当接部材、の損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が最大になるときの該当接部材の振動数と、の積よりも大きくなる第一回転速度、まで上昇させるステップと、前記現像剤担持体の回転速度が前記第一回転速度になった後、前記現像剤担持体の回転速度を、前記移動速さが前記積よりも小さくなる第二回転速度、まで下降させるステップと、該第二回転速度で回転する前記現像剤担持体に前記潜像の現像を行わせるステップと、を有することを特徴とする画像形成方法も実現可能である。
このような画像形成方法によれば、画像の画質の劣化が適切に防止される。
また、規則的に配置された凹部を表面に備え、現像剤を担持するための回転可能な現像剤担持体であって、該現像剤担持体に担持された現像剤で像担持体に担持された潜像の現像を行う現像剤担持体、が回転する際の前記表面の移動速さが、前記凹部の、該現像剤担持体の周方向のピッチと、前記現像剤担持体の前記表面に当接しており該現像剤担持体の回転に伴い振動するゴム弾性体からなる当接部材、の損失弾性率を貯蔵弾性率で割った損失正接が最大になるときの該当接部材の振動数と、の積よりも小さくなる第五回転速度、で回転する前記現像剤担持体に前記潜像の現像を行わせるステップと、該潜像の現像を終了させてから、前記現像剤担持体の回転速度を、前記移動速さが前記積よりも大きくなる第四回転速度、まで上昇させるステップと、前記現像剤担持体の回転速度が前記第四回転速度になった後、前記現像剤担持体の回転を停止させるステップと、を有することを特徴とする画像形成方法も実現可能である。
このような画像形成方法によれば、画像の画質の劣化が適切に防止される。
===画像形成装置の全体構成例===
次に、図1を用いて、画像形成装置としてレーザビームプリンタ(以下、プリンタともいう)10を例にとって、その概要について説明する。図1は、プリンタ10を構成する主要構成要素を示した図である。なお、図1には、矢印にて上下方向を示しており、例えば、給紙トレイ92は、プリンタ10の下部に配置されており、定着ユニット90は、プリンタ10の上部に配置されている。
<<<プリンタ10の構成例>>>
本実施の形態に係るプリンタ10は、図1に示すように、潜像を担持するための像担持体の一例としての感光体20の回転方向に沿って、帯電ユニット30、露光ユニット40、YMCK現像ユニット50、一次転写ユニット60、中間転写体70、クリーニングユニット75を有し、さらに、二次転写ユニット80、定着ユニット90、ユーザへの報知手段をなし液晶パネルでなる表示ユニット95、及び、これらのユニット等を制御しプリンタとしての動作を司るコントローラ100を有している。
感光体20は、円筒状の導電性基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図1中の矢印で示すように時計回りに回転する。
帯電ユニット30は、感光体20を帯電するための装置であり、露光ユニット40は、レーザを照射することによって帯電された感光体20上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット40は、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体20上に照射する。
YMCK現像ユニット50は、感光体20上に形成された潜像を、現像装置に収容された現像剤の一例としてのトナー、すなわち、ブラック現像装置51に収容されたブラック(K)トナー、マゼンタ現像装置52に収容されたマゼンタ(M)トナー、シアン現像装置53に収容されたシアン(C)トナー、及び、イエロー現像装置54に収容されたイエロー(Y)トナーを用いて現像するための装置である。
このYMCK現像ユニット50は、前記4つの現像装置51、52、53、54が装着された状態で回転することにより、前記4つの現像装置51、52、53、54の位置を動かすことを可能としている。すなわち、このYMCK現像ユニット50は、前記4つの現像装置51、52、53、54を4つの保持部55a、55b、55c、55dにより保持しており、前記4つの現像装置51、52、53、54は、中心軸50aを中心として、それらの相対位置を維持したまま回転可能となっている。そして、1ページ分の画像形成が終了する毎に選択的に感光体20に対向し、それぞれの現像装置51、52、53、54に収容されたトナーにて、感光体20上に形成された潜像を順次現像する。なお、前述した4つの現像装置51,52,53,54の各々は、プリンタ本体10a(具体的には、YMCK現像ユニット50の前記保持部)に対して着脱可能となっている。また、各現像装置の詳細については後述する。
一次転写ユニット60は、感光体20に形成された単色トナー像を中間転写体70に転写するための装置であり、4色のトナーが順次重ねて転写されると、中間転写体70にフルカラートナー像が形成される。この中間転写体70は、PETフィルムの表面に錫蒸着層を設けさらにその表層に半導電塗料を形成、積層したエンドレスのベルトであり、感光体20とほぼ同じ周速度にて回転駆動される。二次転写ユニット80は、中間転写体70上に形成された単色トナー像やフルカラートナー像を紙、フィルム、布等の媒体に転写するための装置である。定着ユニット90は、媒体上に転写された単色トナー像やフルカラートナー像を媒体に融着させて永久像とするための装置である。
クリーニングユニット75は、一次転写ユニット60と帯電ユニット30との間に設けられ、感光体20の表面に当接されたゴム製のクリーニングブレード76を有し、一次転写ユニット60によって中間転写体70上にトナー像が転写された後に、感光体20上に残存するトナーをクリーニングブレード76により掻き落として除去するための装置である。
コントローラ100は、図2に示すようにメインコントローラ101と、ユニットコントローラ102とで構成され、メインコントローラ101には画像信号及び制御信号が入力され、この画像信号及び制御信号に基づく指令に応じてユニットコントローラ102が前記各ユニット等を制御して画像を形成する。
<<<プリンタ10の動作例>>>
次に、このように構成されたプリンタ10の動作について説明する。
まず、不図示のホストコンピュータからの画像信号及び制御信号がインターフェイス(I/F)112を介してプリンタ10のメインコントローラ101に入力されると、このメインコントローラ101からの指令に基づくユニットコントローラ102の制御により感光体20、及び、中間転写体70が回転する。
感光体20は、回転しながら、帯電位置において帯電ユニット30により順次帯電される。感光体20の帯電された領域は、感光体20の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が該領域に形成される。また、YMCK現像ユニット50は、イエロー(Y)トナーを収容したイエロー現像装置54が、感光体20に対向した現像位置に位置している。感光体20上に形成された潜像は、感光体20の回転に伴って現像位置に至り、イエロー現像装置54によってイエロートナーで現像される。これにより、感光体20上にイエロートナー像が形成される。感光体20上に形成されたイエロートナー像は、感光体20の回転に伴って一次転写位置に至り、一次転写ユニット60によって、中間転写体70に転写される。この際、一次転写ユニット60には、トナーの帯電極性(本実施の形態においては、負極性)とは逆の極性の一次転写電圧が印加される。なお、この間、感光体20と中間転写体70とは接触しており、また、二次転写ユニット80は、中間転写体70から離間している。
上記の処理が、第2色目、第3色目、及び、第4色目について、各々の現像装置毎に順次実行されることにより、各画像信号に対応した4色のトナー像が、中間転写体70に重なり合って転写される。これにより、中間転写体70上にはフルカラートナー像が形成される。
中間転写体70上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写体70の回転に伴って二次転写位置に至り、二次転写ユニット80によって媒体に転写される。なお、媒体は、給紙トレイ92から、給紙ローラ94、レジローラ96を介して二次転写ユニット80へ搬送される。また、転写動作を行う際、二次転写ユニット80は中間転写体70に押圧されるとともに二次転写電圧が印加される。
媒体に転写されたフルカラートナー像は、定着ユニット90によって加熱加圧されて媒体に融着される。一方、感光体20は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット75に支持されたクリーニングブレード76によって、その表面に付着しているトナーが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーは、クリーニングユニット75が備える残存トナー回収部に回収される。
===コントローラの概要===
次に、コントローラ100の構成について図2を参照しつつ説明する。コントローラ100のメインコントローラ101は、インターフェイス112を介してホストコンピュータと電気的に接続され、このホストコンピュータから入力された画像信号を記憶するための画像メモリ113を備えている。ユニットコントローラ102は、装置本体の各ユニット(帯電ユニット30、露光ユニット40、YMCK現像ユニット50、一次転写ユニット60、クリーニングユニット75、二次転写ユニット80、定着ユニット90、表示ユニット95)と電気的に接続され、それらが備えるセンサからの信号を受信することによって、各ユニットの状態を検出しつつ、メインコントローラ101から入力される信号に基づいて、各ユニットを制御する。
===現像装置について===
次に、図3〜図8を用いて、現像装置の構成例及び動作例について説明する。図3は、現像装置の概念図である。図4は、現像装置の主要構成要素を示した断面図である。図5は、現像ローラ510の斜視模式図である。図6は、現像ローラ510の正面模式図である。図7は、溝部512の断面形状を示した模式図である。図8は、図6の拡大模式図であり、溝部512及び頂面515を表した図である。なお、図4に示す断面図は、図3に示す長手方向に垂直な面で現像装置を切り取った断面を表したものである。また、図4においては、図1同様、矢印にて上下方向を示しており、例えば、現像ローラ510の中心軸は、感光体20の中心軸よりも下方にある。また、図4では、イエロー現像装置54が、感光体20と対向する現像位置に位置している状態にて示されている。また、図5〜図8においては、図を分かりやすくするために、溝部512等のスケールが実際のものと異なっている。
YMCK現像ユニット50には、ブラック(K)トナーを収容したブラック現像装置51、マゼンタ(M)トナーを収容したマゼンタ現像装置52、シアン(C)トナーを収容したシアン現像装置53、及び、イエロー(Y)トナーを収容したイエロー現像装置54が設けられているが、各現像装置の構成は同様であるので、以下、イエロー現像装置54について説明する。
<<<現像装置の構成例>>>
イエロー現像装置54は、現像剤担持体の一例としての現像ローラ510、上シール520、トナー収容体530、ハウジング540、剥ぎ取り部材の一例としてのトナー供給ローラ550、当接部材の一例としての規制ブレード560、ホルダー526等を有している。
現像ローラ510は、トナーTを担持して感光体20と対向する現像位置に回転することにより搬送し、該トナーT(現像ローラ510に担持されたトナーT)で感光体20に担持された潜像の現像を行う。この現像ローラ510は、アルミ合金、鉄合金等からなる部材である。
現像ローラ510は、図5及び図6に示すように、トナーTを適切に担持させるためにその中央部510aの表面に凹部の一例としての溝部512を有している。本実施の形態においては、当該溝部512として、互いに巻き方向の異なる2種類の螺旋状の溝部512、すなわち、第一溝部512a及び第二溝部512b、が設けられている。図6に示すように、第一溝部512a及び第二溝部512bの、現像ローラ510の周方向に対する傾斜角度、は互いに異なっており、また、第一溝部512aの長手方向と現像ローラ510の軸方向との成す鋭角の大きさと、第二溝部512bの長手方向と前記軸方向との成す鋭角の大きさは、共に、約45度である。また、図7に示すように、第一溝部512aのX方向の幅及び第二溝部512bのY方向の幅は約42μm、溝部512の深さは約7μm、溝角度(図7において、記号αで表される角度)は約90度である。
さらに、溝部512は、底面514と側面513とを備えており、本実施の形態においては、側面513の傾斜角度は、約45度である(図7参照)。
このように構成された2種類の螺旋状の溝部512は、図5、図6及び図8に示すように、現像ローラ510の中央部510aの表面に、規則的に配置され、かつ、互いに交差して格子形状をなしている。したがって、溝部512に四方を囲われた菱形(正方形)の頂面515が、前記中央部510aに、網目上に多数形成されていることとなる。
前述したとおり、本実施の形態においては、第一溝部512aの長手方向と前記軸方向との成す鋭角の大きさと、第二溝部512bの長手方向と前記軸方向との成す鋭角の大きさが、共に、約45度であるため、頂面515は、正方形の平面形状を有しており、かつ、当該頂面515が有する2本の対角線のうちの一方(他方)が現像ローラ510の周方向(軸方向)に沿っている。
なお、正方形の頂面515の一辺の長さは、図7に示すように、約38μmであり、また、溝部512の、周方向のピッチ(図8に示す幅L1)は、約113μmである。
さらに、現像ローラ510は、中心軸を中心に回転可能であり、図4に示すように、感光体20の回転方向(図4において時計方向)と逆の方向(図4において反時計方向)に回転する。なお、本実施の形態において、前記潜像の現像が行われるときに現像ローラ510が回転する際の現像ローラ510の表面の移動速さ(すなわち、現像ローラ510の表面における、現像ローラ510の線速度)は、約320mm/sである。また、前記潜像の現像が行われるときに感光体20が回転する際の感光体20の表面の移動速さ(すなわち、感光体20の表面における、感光体20の線速度)は、約200mm/sとなっており、現像ローラ510の感光体20に対する周速比は約1.6である。
また、イエロー現像装置54が感光体20と対向している状態で、現像ローラ510と感光体20との間には空隙が存在する。また、プリンタ10には、潜像の現像のために現像ローラ510に現像バイアス(本実施の形態においては、直流電圧に交流電圧が重畳されている現像電圧)を印加するための現像バイアス印加部121(図2)が設けられている。そして、現像バイアスが現像ローラ510に印加されることにより、前記空隙に交番電界が形成される。この交番電界によって現像ローラ510上のトナーTが感光体20に移動し、この結果、感光体20上の潜像が現像される。
ハウジング540は、一体成型された複数の樹脂製のハウジング部、すなわち、上ハウジング部542と下ハウジング部544、とを溶着して製造されたものであり、その内部に、トナーTを収容するためのトナー収容体530が形成されている。トナー収容体530は、内壁から内方へ(図4の上下方向)突出させたトナーTを仕切るための仕切り壁545により、二つのトナー収容部、すなわち、第一トナー収容部530aと第二トナー収容部530bと、に分けられている。また、図4に示すように、ハウジング540(すなわち、第一トナー収容部530a)は下部に開口572を有しており、現像ローラ510が、この開口572に臨ませて設けられている。
トナー供給ローラ550は、前述した第一トナー収容部530aに設けられ、当該第一トナー収容部530aに収容されたトナーTを現像ローラ510に供給するとともに、現像後に現像ローラ510に残存しているトナーTを、現像ローラ510から剥ぎ取る。このトナー供給ローラ550は、ポリウレタンフォーム等からなり、弾性変形された状態で現像ローラ510に当接している(現像ローラ510の表面に接触している)。トナー供給ローラ550は、第一トナー収容部530aの下部に配置されており、第一トナー収容部530aに収容されたトナーTは、該第一トナー収容部530aの下部にてトナー供給ローラ550によって現像ローラ510に供給される。トナー供給ローラ550は、中心軸を中心として回転可能であり、その中心軸は、現像ローラ510の回転中心軸よりも下方にある。また、トナー供給ローラ550は、現像ローラ510の回転方向(図4において反時計方向)と逆の方向(図4において時計方向)に回転する。
上シール520は、現像ローラ510にその軸方向に沿って当接して、現像位置を通過後に現像ローラ510上に残留しているトナーTのハウジング540内への移動を許容し、かつ、ハウジング540内のトナーTのハウジング540外への移動を規制する。この上シール520は、ポリエチレンフィルム等からなるシールである。上シール520は、上シール支持板金522によって支持されている。また、上シール520の現像ローラ510側とは反対側には、モルトプレーン等の弾性体からなる上シール付勢部材524が圧縮した状態で設けられている。この上シール付勢部材524は、その付勢力で上シール520を現像ローラ510側へ付勢することにより、上シール520を現像ローラ510に押しつけている。なお、上シール520が現像ローラ510に当接する当接位置は、現像ローラ510の中心軸よりも上方である。
規制ブレード560は、現像ローラ510の軸方向一端部から他端部に亘って現像ローラ510の表面に当接して、現像ローラ510に担持されたトナーTの層厚を規制し、また、現像ローラ510に担持されたトナーTに電荷を付与する。この規制ブレード560は、図4に示すように、当接部材の一例としてのゴム部562と、ゴム支持部564と、を有している。
ゴム部562は、現像ローラ510の表面に当接して、該現像ローラ510に担持されたトナーTの層厚を規制する層厚規制部材である。このゴム部562は、その長手方向が現像ローラ510の軸方向(図6)に沿うように、かつ、その短手方向の一端(規制ブレード560の先端560a)が現像ローラ510の回転方向上流側に向くように(図4参照)、配置されている。すなわち、ゴム部562は、いわゆるカウンタ当接している。また、ゴム部562の前記一端(規制ブレード560の先端560a)は、現像ローラ510に接触しておらず、ゴム部562の、現像ローラ510の表面に当接する当接部562aは、前記短手方向において前記先端560aから離れている。すなわち、ゴム部562は、現像ローラ510にエッジにて当接しておらず、腹当たりにて当接しており、ゴム部562が有する平面が現像ローラ510に当接することにより、前記層厚を規制する。なお、ゴム部562が現像ローラ510に当接する当接位置は、現像ローラ510の中心軸よりも下方であり、かつ、トナー供給ローラ550の中心軸よりも下方である。また、当該ゴム部562は、現像ローラ510にその軸方向に沿って当接することにより、トナー収容体530からのトナーTの漏れを防止する機能も発揮する。
ところで、上述したゴム部562は、ゴム弾性体からなる。ここで、ゴム弾性体を、ゴム弾性を備える弾性体と定義する。このゴム弾性体は、ゴムと熱可塑性エラストマーとに分類され、前記ゴムは、加熱により流動した状態から固化する弾性体(すなわち、熱硬化性を示す弾性体)であり、熱可塑性エラストマーは、加熱により固化した状態から流動化する弾性体(すなわち、熱可塑性を示す弾性体)である。また、ゴム部562として使用される前記ゴムとして、例えば、ウレタンゴムがある。そして、本実施の形態に係るゴム部562は、その熱可塑性により加工しやすい観点等から、熱可塑性エラストマーからなる。
ゴム支持部564は、薄板564aと薄板支持部564bとから構成されており、その短手方向一端部564d(すなわち、薄板564a側の端部)でゴム部562を支持する。薄板564aは、リン青銅、ステンレス等からなり、バネ性を有している。薄板564aは、ゴム部562を支持しており、その付勢力によってゴム部562を現像ローラ510に押しつけている。薄板支持部564bは、ゴム支持部564の短手方向他端部564eに配置された金属製の板金であり、当該薄板支持部564bは、前記薄板564aの、ゴム部562を支持している側とは逆側の端、を支持した状態で、ハウジング540に取り付けられている。また、薄板支持部564bの現像ローラ510側とは逆側には、モルトプレーン等からなるブレード裏部材570が設けられている。
<<<現像装置の動作例>>>
このように構成されたイエロー現像装置54において、トナー供給ローラ550がトナー収容体530に収容されているトナーTを現像ローラ510に供給する。現像ローラ510に供給されたトナーTは、現像ローラ510の回転に伴って、規制ブレード560の当接位置に至り、該当接位置を通過する際に、層厚が規制されるとともに、負の電荷が付与される(負極性に帯電される)。層厚が規制され、負の電荷が付与された現像ローラ510上のトナーTは、現像ローラ510のさらなる回転によって、感光体20に対向する対向位置(現像位置)に搬送され、該対向位置にて感光体20上に形成された潜像の現像に供される。現像ローラ510の回転によって現像位置を通過した現像ローラ510上のトナーTは、上シール520を通過して、上シール520によって掻き落とされることなく現像装置内に回収される。さらに、未だ現像ローラ510に残存しているトナーTは、前記トナー供給ローラ550によって剥ぎ取られうる。
===現像ローラ510の立ち上げ制御と立ち下げ制御について===
前述したとおり、現像ローラ510は、回転することにより、トナーを現像位置に搬送し、該トナー(現像ローラ510に担持されたトナー)で感光体20に担持された潜像の現像を行う。そして、現像ローラ510が、当該現像を行う際には、一定の回転速度(以下、当該回転速度を、便宜上、現像時回転速度とも呼ぶ)で回転する(本実施の形態においては、現像ローラ510の表面の移動速さが約320mm/sとなる回転速度で回転する。)
したがって、コントローラ100は、現像開始の際に、停止している現像ローラ510の回転を制御して、当該現像ローラ510の回転速度を前記現像時回転速度まで上昇させる必要がある。また、コントローラ100は、現像終了の際に、現像時回転速度で回転している現像ローラ510の回転を制御して、当該現像ローラ510の回転速度を0まで下降させる必要がある(すなわち、当該現像ローラ510の回転を停止させる必要がある)。
ここでは、現像ローラ510が停止状態から現像時回転速度で回転する状態になるまでに、コントローラ100が現像ローラ510の回転をどのように制御するか(以下、かかる制御を、便宜上、現像ローラ510の立ち上げ制御と呼ぶ)、について説明する。また、現像ローラ510が現像時回転速度で回転する状態から停止状態になるまでに、コントローラ100が現像ローラ510の回転をどのように制御するか(以下、かかる制御を、便宜上、現像ローラ510の立ち下げ制御と呼ぶ)、について説明する。
<<<制御の基本的な考え方について>>>
発明が解決しようとする課題の項等で説明したとおり、前記当接部材(本実施の形態においては、層厚規制部材である前記ゴム部562)は、現像ローラ510の表面に当接しており、また、現像ローラ510の当該表面には、規則的に配置された溝部512が設けられている。そのため、現像ローラ510が回転すると、該現像ローラ510がゴム部562に対して摺動することによりゴム部562は振動することとなる。
そして、ゴム部562の振動数(現像ローラ510が回転する際の前記表面の移動速さを、前記溝部512の、該現像ローラ510の周方向のピッチ、で割った値が当該振動数に相当する)が大きくなり過ぎると、ゴム弾性体からなるゴム部562が、ゴム状の性質ではなく、ガラス状の性質を示してしまうことが知られており、したがって、現像が行われる際には、ゴム弾性体からなるゴム部562の機能が適切に発揮されるように、前記振動数が大きくなり過ぎないような(すなわち、ゴム部562がガラス状の性質を示してしまわないような)回転速度で現像ローラ510を回転させる必要がある。
当該事項について、より詳しく説明する。ところで、ゴム弾性体からなるゴム部562等の物質の動的粘弾性を示すものとして、貯蔵弾性率と損失弾性率がある。貯蔵弾性率は、前記物質の弾性的な振る舞いを表し、損失弾性率は、前記物質の粘性的な振る舞いを表す。そして、双方の値は、前記物質が振動する際の該物質の振動数の変化に応じて変動する。また、双方の値が当該振動数の変化に応じて変動するため、損失弾性率G″を貯蔵弾性率G´で割った所謂損失正接tanδも、振動数の変化に応じて変動する。そして、当該損失正接tanδが最大となるときの前記物質の振動数を境界にして(以下、当該振動数を境界振動数fとも呼ぶ)、該物質の性質が変化することが知られている。すなわち、前記物質が振動する際の該物質の振動数が、境界振動数fよりも小さいときには、当該物質がゴム状の性質を示し、境界振動数fよりも大きいときには、当該物質がガラス状の性質を示すことが知られている。
図9は、本実施の形態に係る前記物質(すなわち、ゴム部562)の振動数(以下、便宜上、周波数とも呼ぶ)と、貯蔵弾性率、損失弾性率、及び、損失正接と、の関係を示したグラフである。図9に示されるように、本実施の形態に係るゴム部562についても、貯蔵弾性率G´、損失弾性率G″、及び、損失正接tanδは、ゴム部562の周波数の変化に応じて変動する。そして、当該ゴム部562については、前記境界振動数fが約6700Hzとなっており、したがって、ゴム部562が振動する際の該ゴム部562の振動数が、約6700Hzよりも小さいときには、当該ゴム部562がゴム状の性質を示し、約6700Hzよりも大きいときには、当該ゴム部562がガラス状の性質を示すこととなる。
なお、図9に示すグラフは、以下のような測定によって求められている。本測定の測定機として、TAインスルツルメント製のARESが使用され、測定の際の治具としてトーションタイプのものが使用されている。また、測定モードとして周波数依存性測定モードが選択されており、周波数の印加歪みは、0.1%(一定)である。また、測定の際のゴム部562の温度は、20℃に維持されている。
このように、ゴム部562の振動数が境界振動数fよりも大きくなると、ゴム弾性体からなるゴム部562が、ゴム状の性質ではなく、ガラス状の性質を示してしまう。したがって、現像が行われる際には、ゴム弾性体からなるゴム部562の機能が適切に発揮されるように、前記振動数が境界振動数fよりも大きくならないように(前記振動数が境界振動数fよりも小さくなるように)該振動数を制御する必要がある。
そして、かかる振動数の制御は、現像ローラ510の回転速度を制御することにより実現される。すなわち、ゴム部562の振動数は、前述したとおり、現像ローラ510が回転する際の前記表面の移動速さを、溝部512の該現像ローラ510の周方向のピッチで割った値であるから、当該振動数は、当該移動速さに比例する。そして、当該移動速さは、現像ローラ510の回転速度に比例するから、当該振動数は、現像ローラ510の回転速度に比例することとなる。すなわち、現像ローラ510の回転速度を速くすれば、前記振動数は大きくなり、当該回転速度を遅くすれば、当該振動数は小さくなる。
したがって、現像が行われる際の現像ローラ510の回転速度(前記現像時回転速度)が、前記振動数(すなわち、前記移動速さを前記ピッチで割った値)が前記境界振動数よりも小さくなる回転速度、換言すれば、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも小さくなる回転速度、となるようにすれば、現像が行われる際に、ゴム弾性体からなるゴム部562をゴム状の性質に維持させ、当該ゴム部562の機能を適切に発揮させることが可能となる。
そして、本実施の形態においては、前述したとおり、現像が行われるときの前記移動速さ、前記ピッチ、前記境界振動数は、それぞれ、約320mm/s、約113μm、約6700Hzであり、前記積は757.1mm/sとなるから、現像が行われるときに現像ローラ510が前記現像時回転速度で回転する際の現像ローラ510の表面の移動速さは、前記積よりも小さくなっている。すなわち、本実施の形態に係る前記コントローラ100は、当該ゴム部562の機能を適切に発揮させるために、現像ローラ510の前記現像時回転速度が、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも小さくなる回転速度、となるように、現像ローラ510の回転を制御する。
しかしながら、発明が解決しようとする課題の項等で説明したとおり、ゴム部562がゴム状の性質を示す状態で現像が行われると、当該ゴム状性質に基づくゴム部562のタック性等により、ゴム部562にフィルミングが発生する。
図10は、ゴム部562にフィルミングが発生した様子を示した模式図である。本実施の形態に係るゴム部562は、前述したように、その長手方向が現像ローラ510の軸方向に沿うように、かつ、その短手方向の一端(すなわち、規制ブレード560の先端560a)が該現像ローラ510の回転方向上流側に向くように、現像ローラ510の表面に当接している。また、ゴム部562の、現像ローラ510の表面に当接する当接部562aは、前記短手方向において前記一端(先端560a)から離れている。かかる構成においては、トナーが、現像ローラ510の回転に伴い図10に示す部分D(ゴム部562と現像ローラ510の間の部分)に流入してくるため、ゴム部562の、図10において斜線を施した部分、にフィルミングが発生する。
そして、当該フィルミングが顕著になると、現像が行われて最終的に媒体に形成される画像、の画質を劣化させることとなる。
そこで、本実施の形態に係るコントローラ100は、前記立ち上げ制御及び前記立ち下げ制御の中で一時的に、フィルミングをゴム部562から振り落とすための制御を実行する。
ここで、フィルミングをゴム部562から振り落とすための制御とは、どのような制御であるかについて説明する。既に説明したとおり、ゴム部562は、その振動数に応じて、ゴム状の性質を示したり、ガラス状の性質を示したりする。そして、振動するゴム部562が、ガラス状の性質を示す場合には、ゴム部562の、ゴム状性質に基づく前記タック性、が薄れることとなり、フィルミングがゴム部562から離れ易くなる。また、ゴム部562がガラス状の性質を示すときには、ゴム状の性質を示すときよりも、ゴム部562が硬い性質を示すこととなるから、現像ローラ510が前記当接部562aにてゴム部562に対して摺動する際に当該当接部562aに生ずる振動が、図10において斜線を施したフィルミングが存する部分、に伝わり易くなる(逆に、ゴム部562がゴム状の性質を示すときには、当接部562aに生ずる振動が、フィルミングが存する部分に伝わる過程でゴム部526により吸収されてしまうため、該部分に伝わりにくい)。これらのことから、振動するゴム部562がガラス状の性質を示すときには、離れ易くなっているフィルミングに振動が効果的に伝達されることとなるため、フィルミングがゴム部562から適切に振り落とされることとなる。
一方、前述したとおり、現像ローラ510の回転速度が、前記振動数(すなわち、前記移動速さを前記ピッチで割った値)が前記境界振動数よりも小さくなる回転速度、換言すれば、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも小さくなる回転速度、となれば、振動するゴム部562がゴム状の性質を示し、逆に、現像ローラ510の回転速度が、前記振動数(すなわち、前記移動速さを前記ピッチで割った値)が前記境界振動数よりも大きくなる回転速度、換言すれば、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも大きくなる回転速度、となれば、振動するゴム部562がガラス状の性質を示す。したがって、現像ローラ510の回転速度が、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも大きくなる回転速度、となるように現像ローラ510の回転を制御すれば、フィルミングをゴム部562から適切に振り落とすことが可能となる。
このことに着目して、本実施の形態では、フィルミングをゴム部562から振り落とすために、前記コントローラ100が、前記立ち上げ制御及び前記立ち下げ制御の中で一時的に、現像ローラ510の回転速度が、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも大きくなる回転速度、となるように、現像ローラ510の回転を制御する。
より具体的に説明すると、前記立ち上げ制御において、コントローラ100は、現像ローラ510の回転を開始させてから、現像ローラ510の回転速度を、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも大きくなる回転速度(以下、第一回転速度V1とも呼ぶ)、まで上昇させて、フィルミングをゴム部562から振り落とす。そして、その後(つまり、現像ローラ510の回転速度が、前記第一回転速度V1になった後)、コントローラ100は、現像ローラ510の回転速度を、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも小さくなる回転速度(以下、第二回転速度V2とも呼ぶ)、まで下降させ、該第二回転速度V2で回転する現像ローラ510に前記潜像の現像を行わせる。すなわち、コントローラ100は、ゴム弾性体からなるゴム部562の機能を発揮させる必要のない現像実施前に、現像ローラ510の回転速度を前記第一回転速度V1まで上昇させて、フィルミングをゴム部562から振り落とす。そして、その後、フィルミングが適切に除去された状態で、現像ローラ510に前記潜像の現像を行わせる。
また、コントローラ100は、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも小さくなる回転速度(以下、第五回転速度V5と呼ぶ。本実施の形態においては、第五回転速度V5は、前記第二回転速度V2と等しい)、で回転する現像ローラ510に前記潜像の現像を行わせ、該潜像の現像ローラの現像を終了させてから、前記立ち下げ制御において、現像ローラ510の回転速度を、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも大きくなる回転速度(以下、第四回転速度V4とも呼ぶ。本実施の形態においては、第四回転速度V4は、前記第一回転速度V1と等しい)、まで上昇させ、その後(つまり、現像ローラ510の回転速度が、前記第四回転速度V4になった後)、現像ローラ510の回転を停止させる。すなわち、コントローラ100は、ゴム弾性体からなるゴム部562の機能を発揮させる必要のない現像実施後に、現像ローラ510の回転速度を前記第四回転速度V4まで上昇させて、現像時に発生したフィルミングをゴム部562から振り落とす。
なお、前記第二回転速度V2及び前記第五回転速度V5が、現像ローラ510の表面の移動速さが約320mm/sとなる回転速度であることについては、既に説明したが、本実施の形態において、前記第一回転速度V1及び前記第四回転速度V4は、現像ローラ510の表面の移動速さが約800mm/sとなる回転速度(前記第二回転速度V2及び前記第五回転速度V5の2.5倍)となっている。前述したとおり、前記ピッチと前記境界振動数との積は757.1mm/sとなるから、第一回転速度V1及び第四回転速度V4をこのような回転速度とすると、フィルミングをゴム部562から適切に振り落とすことが可能となる。しかしながら、回転速度の値は、これらの数値に限定されるものではなく、前記ピッチや境界振動数の値に応じて、適宜、決定することができる。
<<<現像ローラ510の立ち上げ制御の具体例>>>
次に、現像ローラ510の立ち上げ制御の具体例について、図11を用いて説明する。図11は、現像ローラ510の立ち上げ制御が実行される際の、現像ローラ510の回転速度の変遷を示した模式図であり、時間を横軸に、現像ローラ510の回転速度を縦軸にとっている。なお、本項では、潜像の現像を開始させる現像開始タイミング、及び、当該潜像の現像のための現像バイアスの印加、を開始させる印加開始タイミング、についても言及する。
図11において横軸の時間が0のときには、現像ローラ510が停止している。そして、コントローラ100は、時間ta1で、フィルミングをゴム部562から振り落とすために現像ローラ510を前記第一回転速度V1で回転させるための指令を該現像ローラ510に与えて、現像ローラ510の回転を開始させ、現像ローラ510の回転速度を第一回転速度V1へ向けて上昇させる。現像ローラ510の回転速度は、徐々に増加し、0から、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積と等しくなる回転速度(以下、第三回転速度V3と呼ぶ)を時間ta2で経由して、時間ta3で第一回転速度V1となる。
次に、コントローラ100は、時間ta4で、現像実行時にゴム部562の機能を適切に発揮させるために現像ローラ510を前記第二回転速度V2(つまり、前記現像時回転速度)で回転させるための指令を該現像ローラ510に与えて、現像ローラ510の回転速度を第二回転速度V2へ向けて下降させる。現像ローラ510の回転速度は、徐々に下降し、前記第一回転速度V1から、前記第三回転速度V3を時間ta5で経由して、時間ta6で第二回転速度V2となる。なお、本実施の形態においては、時間ta3から時間ta4までの時間、すなわち、現像ローラ510が前記第一回転速度V1で回転している時間が、現像ローラ510が一周する時間(本実施の形態においては、約70msec)よりも長くなるように、時間ta4が設定されている。
また、コントローラ100は、現像ローラ510の回転速度が時間ta5で前記第三回転速度V3になった後、より厳密に言えば、現像ローラ510の回転速度が前記第三回転速度V3になってから、現像ローラ510の前記表面のうちの、現像ローラ510の回転速度が前記第三回転速度V3になったときに前記ゴム部562が当接する部分が、前記現像ローラ510のさらなる回転に伴って前記感光体20に対向する位置まで移動する時間が経過した時点(当該時点を、図11において、時間ta7で示す)、よりも後に、時間ta8で前記現像バイアス印加部121に現像バイアスの印加を開始させる。
現像バイアスの印加開始タイミングをこのようにした理由について説明する。上述したように、コントローラ100は、フィルミングをゴム部562から振り落とすために、現像ローラ510を時間ta3から時間ta4まで前記第一回転速度V1で回転させるが、厳密には、ゴム部562がガラス状の性質を示す期間は時間ta2から時間ta5までの間であるため、当該間にフィルミングがゴム部562から振り落とされる。ところで、フィルミングがゴム部562から振り落とされる際には、フィルミングは重力方向に落下してトナー収容体530により適切に回収されるが、当該フィルミングの一部は現像ローラ510に移って該現像ローラ510の表面に付着する。そして、該表面に付着したフィルミングは、ゴム部562が当接する当接位置から現像ローラ510の回転に伴って移動し、やがて、トナー供給ローラ550が接触する接触位置に至り、当該接触位置にてトナー供給ローラ550により剥ぎ取られてトナー収容体530により適切に回収される。しかしながら、現像ローラ510の表面に付着したフィルミングが、前記当接位置から現像ローラ510の回転に伴って移動して前記感光体20に対向する位置に至った際に、前記現像バイアスが印加されていると、当該フィルミングが感光体20へ移動してしまう可能性がある。そして、当該フィルミングが感光体20へ移動してしまうと、フィルミングのトナー収容体530による適切な回収が阻害されてしまう。
そこで、本実施の形態に係るコントローラ100は、このような問題を回避するため、現像ローラ510の回転速度が時間ta5で前記第三回転速度V3になってから(すなわち、フィルミングが、現像ローラ510の表面に、最後に付着してから)、現像ローラ510の前記表面のうちの、現像ローラ510の回転速度が前記第三回転速度V3になったとき(時間ta5)に前記ゴム部562が当接する部分が、前記現像ローラ510のさらなる回転に伴って前記感光体20に対向する位置まで移動する時間(すなわち、前記表面に最後に付着したフィルミングが、前記当接位置から現像ローラ510の回転に伴って移動して前記感光体20に対向する位置に至るまでの時間)が経過した時点(時間ta7)、よりも後に、時間ta8で前記現像バイアス印加部121に現像バイアスの印加を開始させる。
そして、現像バイアスの印加が時間ta8で開始された後に、コントローラ100は、当該現像バイアスが十分安定する時間を待って時間ta9で、前記第二回転速度V2で回転する現像ローラ510に潜像の現像を行わせる。すなわち、時間ta9において、感光体20上の潜像が現像ローラ510に対向し、当該潜像の現像が開始される。
<<<現像ローラ510の立ち下げ制御の具体例>>>
次に、現像ローラ510の立ち下げ制御の具体例について、図12を用いて説明する。図12は、現像ローラ510の立ち下げ制御が実行される際の、現像ローラ510の回転速度の変遷を示した模式図であり、時間を横軸に、現像ローラ510の回転速度を縦軸にとっている。なお、本項では、潜像の現像を終了させる現像終了タイミング、及び、現像バイアスの印加を終了させる印加終了タイミング、についても言及する。
図12において横軸の時間が0のときには、現像ローラ510が前記第五回転速度V5で回転しており、潜像の現像が行われている。つまり、コントローラ100が、現像実行時にゴム部562の機能が適切に発揮される第五回転速度V5、で回転する現像ローラ510に潜像の現像を行わせている。
そして、コントローラ100は、時間tb1で、潜像の現像を終了させてから、時間tb2で、フィルミングをゴム部562から振り落とすために現像ローラ510を前記第四回転速度V4で回転させるための指令を該現像ローラ510に与えて、現像ローラ510の回転速度を第四回転速度V4へ向けて上昇させる。現像ローラ510の回転速度は、徐々に増加し、前記第五回転速度V5から、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積と等しくなる第三回転速度V3を時間tb4で経由して、時間tb5で第四回転速度V4となる。
ここで、現像バイアスの印加を終了させる印加終了タイミングについて説明する。本実施の形態においては、タイミング制御の誤差に起因して現像終了タイミングより印加終了タイミングが先になってしまう可能性を考慮して、現像終了タイミングと印加終了タイミングを同一タイミングとするのではなく、印加終了タイミングを現像終了タイミングよりも遅らせることとしている。すなわち、コントローラ100は、時間tb1で潜像の現像を終了させた後に、現像バイアス印加部121による現像バイアスの印加を終了させる。さらに、コントローラ100は、現像ローラ510の回転速度が時間tb4で前記第三回転速度V3になる前に、より厳密に言えば、現像ローラ510の回転速度が前記第三回転速度V3になってから、現像ローラ510の前記表面のうちの、現像ローラ510の回転速度が前記第三回転速度V3になったときに前記ゴム部562が当接する部分が、前記現像ローラ510のさらなる回転に伴って前記感光体20に対向する位置まで移動する時間が経過した時点(当該時点を、図12において、時間tb6で示す)、よりも前に、時間tb3で前記現像バイアスの印加を終了させる。
つまり、コントローラ100は、前述した問題、すなわち、現像ローラ510の表面に付着したフィルミングが、前記当接位置から現像ローラ510の回転に伴って移動して前記感光体20に対向する位置に至った際に、前記現像バイアスが印加されていると、当該フィルミングが感光体20へ移動してしまう問題、を回避するため、現像ローラ510の回転速度が時間tb4で前記第三回転速度V3になってから(すなわち、フィルミングが、現像ローラ510の表面に、最初に付着してから)、現像ローラ510の前記表面のうちの、現像ローラ510の回転速度が前記第三回転速度V3になったとき(時間tb4)に前記ゴム部562が当接する部分が、前記現像ローラ510のさらなる回転に伴って前記感光体20に対向する位置まで移動する時間(すなわち、前記表面に最初に付着したフィルミングが、前記当接位置から現像ローラ510の回転に伴って移動して前記感光体20に対向する位置に至るまでの時間)が経過した時点(時間tb6)、よりも前に、時間tb3で前記現像バイアスの印加を終了させる。
次に、コントローラ100は、時間tb5で現像ローラ510の回転速度が前記第四回転速度V4になった後、時間tb7で現像ローラ510の回転速度を下降させ現像ローラ510の回転を停止させ始める。ここで、本実施の形態に係るコントローラ100は、現像ローラ510の回転を停止させる際に、現像ローラ510の回転速度が時間tb8で前記第三回転速度V3になってから、現像ローラ510の表面のうちの、現像ローラ510の回転速度が前記第三回転速度V3になったときに前記ゴム部562が当接する部分が、現像ローラ510のさらなる回転に伴って前記トナー供給ローラ550が接触する接触位置まで移動する時間が経過した時点(当該時点を、図12において、時間tb10で示す)、よりも後に、時間tb12で前記回転を停止させる。
現像ローラ510の停止タイミングをこのようにした理由について説明する。上述したように、コントローラ100は、フィルミングをゴム部562から振り落とすために、現像ローラ510を時間tb5から時間tb7まで前記第四回転速度V4で回転させるが、厳密には、ゴム部562がガラス状の性質を示す期間は時間tb4から時間tb8までの間であるため、当該間にフィルミングがゴム部562から振り落とされる。そして、既述のとおり、フィルミングがゴム部562から振り落とされる際には、当該フィルミングの一部は現像ローラ510に移って該現像ローラ510の表面に付着する。また、該表面に付着したフィルミングは、ゴム部562が当接する当接位置から現像ローラ510の回転に伴って移動し、やがて、トナー供給ローラ550が接触する接触位置に至り、当該接触位置にてトナー供給ローラ550により剥ぎ取られてトナー収容体530により適切に回収される。そして、時間tb4から時間tb8までの間に振り落とされて前記表面に付着したフィルミングは、現像ローラ510が時間tb12で停止する前に、全て、前記接触位置にてトナー供給ローラ550により剥ぎ取られることが望ましい。
そこで、本実施の形態に係るコントローラ100は、このことを考慮して、現像ローラ510の回転を停止させる際に、現像ローラ510の回転速度が時間tb8で前記第三回転速度V3になってから(すなわち、フィルミングが、現像ローラ510の表面に、最後に付着してから)、現像ローラ510の前記表面のうちの、現像ローラ510の回転速度が前記第三回転速度V3になったとき(時間tb8)に前記ゴム部562が当接する部分が、現像ローラ510のさらなる回転に伴って前記トナー供給ローラ550が接触する接触位置まで移動する時間(すなわち、前記表面に最後に付着したフィルミングが、前記当接位置から現像ローラ510の回転に伴って移動して前記接触位置に至るまでの時間)が経過した時点(時間tb10)、よりも後に、時間tb12で前記回転を停止させる。
そして、コントローラ100は、時間tb7で現像ローラ510の回転を停止させ始めた後、前記の事項を実現するために、十分に時間をかけて現像ローラ510を停止させる。より具体的に説明すると、コントローラ100は、時間tb7で、現像ローラ510を前記第五回転速度V5(つまり、前記現像時回転速度)で回転させるための指令を該現像ローラ510に与えて、現像ローラ510の回転速度を第二回転速度V2へ向けて下降させる。現像ローラ510の回転速度は、徐々に下降し、前記第四回転速度V4から、前記第三回転速度V3を時間tb8で経由して、時間tb9で第五回転速度V5となる。そして、暫くの間、当該第五回転速度V5で現像ローラ510を回転させた後に、時間tb11で、現像ローラ510を停止させるための指令を該現像ローラ510に与えて、現像ローラ510の回転速度を0へ向けて下降させる。現像ローラ510の回転速度は、徐々に下降し、前記第五回転速度V5から、時間tb12で0となる(現像ローラ510が停止する)。なお、本実施の形態においては、時間tb5から時間tb7までの時間、すなわち、現像ローラ510が前記第四回転速度V4で回転している時間が、現像ローラ510が一周する時間(本実施の形態においては、約70msec)よりも長くなるように、時間tb7が設定されている。
===本実施の形態に係るプリンタ10の有効性について===
上述したとおり、本実施の形態に係るプリンタ10において、コントローラ100は、現像ローラ510の回転を開始させてから、現像ローラ510の回転速度を、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも大きくなる第一回転速度V1、まで上昇させ、現像ローラ510の回転速度が前記第一回転速度V1になった後、現像ローラ510の回転速度を、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも小さくなる第二回転速度V2、まで下降させ、該第二回転速度V2で回転する現像ローラ510に前記潜像の現像を行わせるため、フィルミングが顕著となるまえに、フィルミングがゴム部562から適切に振り落とされる。したがって、現像が行われて最終的に媒体に形成される画像、の画質の劣化が適切に防止されることとなる。
また、本実施の形態の形態に係るプリンタ10において、コントローラ100は、現像ローラ510の回転速度が前記第一回転速度V1になった後、現像ローラ510の回転速度を、該第一回転速度V1から、前記移動速さが前記積と等しくなる第三回転速度V3を経由して、前記第二回転速度V2まで下降させ、かつ、現像ローラ510の回転速度が第三回転速度V3になった後に、前記現像バイアス印加部121による現像バイアスの印加を開始させることとした。より厳密には、現像ローラ510の回転速度が第三回転速度V3になってから、現像ローラ510の表面のうちの、前現像ローラ510の回転速度が第三回転速度V3になったときに前記ゴム部562が当接する部分が、現像ローラ510のさらなる回転に伴って前記感光体20に対向する位置まで移動する時間が経過した時点、よりも後に、現像バイアスの印加を開始させることとした。そのため、フィルミングが、感光体20へ移動してしまう可能性が低くなり、トナー収容体530により適切に回収されることとなる。なお、現像ローラ510の回転速度が第三回転速度V3になった後に、前記現像バイアス印加部121による現像バイアスの印加を開始させることとすれば、前記時点よりも前に現像バイアスの印加を開始したとしても、一定の前記効果(すなわち、フィルミングがトナー収容体530により適切に回収される効果)が生じるが、当該効果の発生を完全なものとすることを考慮すると、前記時点よりも後に現像バイアスの印加を開始するのが望ましい。
また、本実施の形態に係るプリンタ10において、コントローラ100は、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも小さくなる第五回転速度V5で回転する現像ローラ510に前記潜像の現像を行わせ、該潜像の現像を終了させてから、現像ローラ510の回転速度を、前記移動速さが前記積よりも大きくなる第四回転速度V4まで上昇させ、現像ローラ510の回転速度が第四回転速度V4になった後、現像ローラ510の回転を停止させる。そのため、フィルミングが顕著となるまえに、フィルミングがゴム部562から適切に振り落とされる。したがって、現像が行われて最終的に媒体に形成される画像、の画質の劣化が適切に防止されることとなる。
また、本実施の形態の形態に係るプリンタ10において、コントローラ100は、潜像の現像を終了させてから、現像ローラ510の回転速度を、第五回転速度V5から、前記移動速さが前記積と等しくなる第三回転速度V3を経由して、第四回転速度V4まで上昇させ、かつ、現像ローラ510の回転速度が第三回転速度V3になる前に、前記現像バイアス印加部121による現像バイアスの印加を終了させることとした。より厳密には、現像ローラ510の回転速度が第三回転速度V3になってから、現像ローラ510の表面のうちの、現像ローラ510の回転速度が第三回転速度V3になったときに前記ゴム部562が当接する部分が、現像ローラ510のさらなる回転に伴って感光体20に対向する位置まで移動する時間が経過した時点、よりも前に、現像バイアスの印加を終了させることとした。そのため、フィルミングが、感光体20へ移動してしまう可能性が低くなり、トナー収容体530により適切に回収されることとなる。なお、前記時点よりも前に現像バイアスの印加を終了させることとすれば、前記効果(すなわち、フィルミングがトナー収容体530により適切に回収される効果)が生じるが、当該効果を、マージンをもって確実に生じさせるためには、現像ローラ510の回転速度が第三回転速度V3になる前に、現像バイアスの印加を終了させるのが望ましい。
また、本実施の形態の形態に係るプリンタ10において、コントローラ100は、現像ローラ510の回転速度が第四回転速度V4になった後、現像ローラ510の回転を停止させる際に、現像ローラ510の回転速度が第三回転速度V3になってから、現像ローラ510の表面のうちの、現像ローラ510の回転速度が第三回転速度V3になったときに前記ゴム部562が当接する部分が、現像ローラ510のさらなる回転に伴って前記トナー供給ローラ550が接触する位置まで移動する時間が経過した時点、よりも後に、前記回転を停止させることとしたため、フィルミングが、現像ローラ510が停止する前に、トナー供給ローラ550により適切に剥ぎ取られることとなる。
===現像ローラ510の製造方法===
ここでは、現像ローラ510の製造方法について、図13A〜図13E、図14を用いて説明する。図13A〜図13Eは、現像ローラ510の製造工程における、現像ローラ510の変遷を示した模式図である。図14は、現像ローラ510の転造加工を説明するための説明図である。
先ず、図13Aに示すように、現像ローラ510の基材としてのパイプ材600を準備する。当該パイプ材600の肉厚は0.5〜3mmである。次に、図13Bに示すように、当該パイプ材600の長手方向両端部にフランジ圧入部602を作る。当該フランジ圧入部602は、切削加工により作られる。次に、図13Cに示すように、当該フランジ圧入部602にフランジ604を圧入する。フランジ604のパイプ材600への固定を確実にするために、フランジ604の圧入後、フランジ604をパイプ材600へ接着又は溶接するようにしてもよい。次に、図13Dに示すように、フランジ604が圧入されたパイプ材600の表面にセンタレス研磨を施す。当該センタレス研磨は、当該表面の全面に亘って実施され、センタレス研磨後の当該表面の十点平均粗さRzは、1.0μm以下となる。次に、図13Eに示すように、フランジ604が圧入されたパイプ材600に、転造加工を施す。本実施の形態においては、2つの丸ダイス650、652を用いた所謂スルーフィード転造(歩み転造、通し転造とも呼ばれている)加工が実施される。
すなわち、図14に示すように、ワークとしての前記パイプ材600を挟むように配置された二つの丸ダイス650、652、を当該パイプ材600に所定の圧力(当該圧力の方向を、図14中記号Pで示す)で押し付けた状態で、当該二つの丸ダイス650、652を同方向(図14参照)に回転させる。スルーフィード転造においては、丸ダイス650、652が回転することにより、パイプ材600が丸ダイス650、652の回転方向とは逆方向(図14参照)に回転しながら、図14中記号Hで示した方向に移動する。丸ダイス650、652の表面には、溝680を形成するための凸部650a、652aが備えられており、当該凸部650a、652aがパイプ材600を変形させることにより、パイプ材600に溝680が形成される。
そして、転造加工の終了後に、前記中央部510aの表面にメッキを施す。本実施の形態においては、当該メッキとして無電解Ni−Pメッキを用いるが、これに限定されるものではなく、例えば、硬質クロームメッキや電気メッキを用いてもよい。
===その他の実施の形態===
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係る画像形成装置等を説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
上記実施の形態においては、画像形成装置として中間転写型のフルカラーレーザビームプリンタを例にとって説明したが、本発明は、中間転写型以外のフルカラーレーザビームプリンタ、モノクロレーザビームプリンタ、複写機、ファクシミリなど、各種の画像形成装置に適用可能である。
また、プリンタ10には、使用温度域(例えば、プリンタ10を使用する際に問題が生じないことが保証される温度の範囲)が設定されているが、当該使用温度域内のどの温度でプリンタ10が使用されるとしても、現像ローラ510の回転速度を前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも大きくなる第一回転速度V1や第四回転速度V4まで上昇させるようにするのが望ましい。
前記境界振動数の値は、前記ゴム部562の温度の変化に応じて、微小に変動することが知られている。したがって、プリンタ10が前記使用温度域内のどの温度で使用されるかに応じて、前記境界振動数の値が僅かに変わることとなる。そのため、現像ローラ510の回転速度を所定の回転速度としたときに、前記使用温度域内の一部の温度範囲においては、当該所定の回転速度が、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも大きくなる回転速度となり、前記使用温度域内の他の一部の温度範囲においては、当該所定の回転速度が、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも小さくなる回転速度となる場合があり得る。
そして、現像ローラ510の回転速度を、前記使用温度域内の一部の温度範囲において、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも大きくなる第一回転速度V1や第四回転速度V4まで上昇させるようにしたとしても、前記効果(すなわち、画像の画質の劣化が適切に防止される効果)が十分に生ずるが、現像ローラ510の回転速度を、前記使用温度域内の全温度範囲において、前記移動速さが前記ピッチと前記境界振動数との積よりも大きくなる第一回転速度V1や第四回転速度V4まで上昇させるようにすることが望ましい。
===画像形成システム等の構成===
次に、本発明に係る実施の形態の一例である画像形成システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図15は、画像形成システムの外観構成を示した説明図である。画像形成システム700は、コンピュータ702と、表示装置704と、プリンタ706と、入力装置708と、読取装置710とを備えている。コンピュータ702は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置704は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ706は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置708は、本実施形態ではキーボード708Aとマウス708Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置710は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置710AとCD−ROMドライブ装置710Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magneto Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
図16は、図15に示した画像形成システムの構成を示すブロック図である。コンピュータ702が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ802と、ハードディスクドライブユニット804等の外部メモリがさらに設けられている。
なお、以上の説明においては、プリンタ706が、コンピュータ702、表示装置704、入力装置708、及び、読取装置710と接続されて画像形成システムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、画像形成システムが、コンピュータ702とプリンタ706から構成されても良く、画像形成システムが表示装置704、入力装置708及び読取装置710のいずれかを備えていなくても良い。また、例えば、プリンタ706が、コンピュータ702、表示装置704、入力装置708、及び、読取装置710のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ706が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
このようにして実現された画像形成システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。