以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、この発明にはこの実施の形態に限定されるものではない。また、この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明の用語はこれに限定されない。
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
図1に、本実施の形態における無線LANシステム1の概略構成図を示す。
無線LANシステム1は、有線又は無線によるネットワークNを介して接続された複数のアクセスポイント2と各アクセスポイント2と無線を介して接続される複数の無線端末装置(以下、端末装置)3を備えている。
図2に、アクセスポイント2の概略構成図を示す。
図2に示すように、アクセスポイント2は、ネットワークI/F(InterFace)部2a、システム制御部2b、通信データ(以下、通信パケット)を受信する受信手段及び通信データを送信する送信手段として機能する無線部2c、アンテナ2d等を備えており、各部は電気的に接続されている。
ネットワークI/F部2aは、所定の通信方式により有線又は無線を用いたネットワークNを介して接続されている他のアクセスポイント2と通信を行うための通信制御を行う通信手段としての機能を実現する。
システム制御部2bは、ネットワークI/F2aと無線部2cと電気的に通信可能な状態に接続されており、処理装置21、記憶装置22等を備えている。
処理装置21は、CPU(Central Processing Unit)等を備え、記憶装置22に記憶されている各種プログラム、各種テーブルやデータの中から指定されたプログラム、テーブルやデータを読み出し、処理装置21又は記憶装置22内のワークエリアに展開し、上記プログラムとの協働によって各種処理を実行し、その処理結果を記憶装置22の所定の領域に格納するとともに、アクセスポイント2内の各部に指示して、アクセスポイント2の動作全般を統括的に制御する。
本実施の形態における処理装置21は、無線部2cにより受信した通信パケットがリアルタイム性を有する通信パケット(本実施の形態においては、VoIP(Voice over IP)パケットとする。)である場合、無線部2cが通信パケットを受信する際の受信感度又は無線部2cが通信パケットを送信する際の送信電力を減少させる制御手段、通信パケット(本実施の形態においては、ビーコンパケットとする。)に受信感度又は送信電力の情報を付加する情報付加手段、としての機能を実現する。
VoIPパケットとは、デジタル符号化された音声データが一定の時間毎に区切ってパケット化されたものである。
ビーコンパケットとは、アクセスポイント2から一定間隔で送信されるパケットであり、無線LANシステム1に接続される端末装置3とアクセスポイント2とを同期させるためのパケットである。
図3(a)に、ビーコンパケットBPの例を示す。
図3(a)に示すように、ビーコンパケットBPは、MAC(Media Access Control)ヘッダ領域B1と、フレーム本体領域B2と、FCS(Frame Check Sequence)領域B3とを有している。
MACヘッダ領域B1は、フレーム制御領域B11、デュレーション/ID領域B12、ビーコンパケットBPの宛先を示すアドレス領域B13、ビーコンパケットBPの送信元を示すアドレス領域B14、BSSID(Basic Service Set Identifier)等を示すアドレス領域B15、シーケンス制御領域B16等を含んでいる。
フレーム本体領域B2は、各種パラメータを含む領域であり、本実施の形態におけるフレーム本体領域B2には、アクセスポイント2の送信電力及び受信感度の情報が付加されている。
図3(b)に、フレーム本体領域B2に含まれる送信電力及び受信感度の情報の例を示す。図3(b)に示すように、本実施の形態における送信電力の情報を示す送信電力領域B21では、アクセスポイント2の最大送信電力値に対する割合を示しており、ここではアクセスポイント2の最大送信電力値に対して10%の送信電力である場合を1とし、図3(b)における送信電力の情報示す送信電力領域B21ではアクセスポイント2の最大送信電力値に対して50%の送信電力である場合を示している。
また、本実施の形態における受信感度の情報を示す受信感度領域B22では、アクセスポイント2の最大受信感度に対する割合を示しており、ここではアクセスポイント2の最大受信感度に対して10%の送信電力である場合を1とし、図3(b)における受信感度の情報示す受信感度領域B22ではアクセスポイント2の最大受信感度に対して50%の受信感度である場合を示している。
更に処理装置21は、受信感度又は送信電力を減少させた場合、通信可能な領域内に存在する端末装置3の情報を取得し、記憶装置22に記憶されている端末装置の情報(後述する端末リスト)と当該取得した端末装置3の情報とを比較し、当該比較結果により、端末リストに記憶されている端末装置3の情報が、当該取得した端末装置3の情報に含まれていない場合、ネットワークI/F部2aを介してネットワークNで接続されている他のアクセスポイント2に対して当該取得した端末装置3の情報に含まれていないが端末リストに存在していた端末装置3の検索及び当該端末装置3との通信を確保させる要求指示を行う端末検索要求手段としての機能を実現し、当該端末装置3が発見されないとの検索結果を受信した場合には、減少させた受信感度又は送信電力を減少させる前の状態に復旧させる復旧手段としての機能を実現する。
また、処理装置21は、他のアクセスポイント2からネットワークNを介して端末装置3の検索の指示を受信した場合、無線部2cにより受信している通信パケットがリアルタイム性を有する通信パケットであるか否かを判別する判別手段、当該判別結果に応じて無線部2cが通信パケットを受信する際の受信感度又は無線部2cが通信パケットを送信する際の送信電力を増加させて端末装置3の検索を行う検索手段、当該検索結果を端末装置3の検索の指示を送信してきたアクセスポイント2に送信するよう制御する検索結果送信手段、としての機能を実現する。
記憶装置22は、処理装置21により実行される各種プログラム及びこれらプログラムで使用される各種テーブルやデータ等が予め記憶されている領域と、当該プログラムや各種テーブルやデータが展開される領域とを有する記録媒体である。記憶装置22は、磁気的、光学的記録媒体又は半導体等の電気的に消去及び書き換えが可能な不揮発性メモリで構成されており、アクセスポイント2に固定的に設けられたもの又は着脱自在に装着されるものである。例えば、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、MRAM(Magneto resistive Random Access Memory)、OUM(カルコゲニド合金による相変化記録メモリ)等を挙げることができる。
また、記憶装置22は、WLAN(Wireless LAN)プロトコルスタック22a、端末リスト22b、VoIP端末リスト22c、出力レベル設定値22d、受信感度設定値22e、送信電力待避領域22f、受信感度待避領域22gを有する記憶手段としての機能を実現している。
WLANプロトコルスタック22aは、無線LANシステム1に必要とされる各種通信制御プログラムが格納されているプロトコルスタックであり、本実施の形態を実現するための各種プログラムも格納させている。
端末リスト22bは、アクセスポイント2自身の通信可能な領域内に存在する端末装置3の情報が格納されており、VoIP端末リスト22cは、端末リスト22b内の端末装置3であって通信パケットとしてVoIPパケットの通信を行っている端末装置3の情報が格納されている。
出力レベル設定値22dは、アクセスポイント2の送信電力値及び当該送信電力値を設定するための各種データ(例えば、最大送信電力値等)が格納されており、受信感度設定値22eは、アクセスポイント2の受信感度及び当該受信感度を設定するための各種データ(例えば、最大受信感度等)が格納されている。
送信電力待避領域22fは、送信電力値を変更する際に一時的に変更する前の送信電力値(本実施の形態においては、最大送信電力値に対する割合)が格納される領域であり、後述する送信電力及び受信感度初期値設定処理の際に送信電力値を格納する領域Tx(0)と、端末救済処理の際に送信電力値を格納する領域Tx(1)を有している。
受信感度待避領域22gは、受信感度を変更する際に一時的に変更する前の受信感度(本実施の形態においては、最大受信感度に対する割合)が格納される領域であり、後述する送信電力及び受信感度初期値設定処理の際に受信感度を格納する領域Rx(0)と、端末救済処理の際に受信感度を格納する領域Rx(1)を有している。
無線部2cは、MAC制御部23、ベースバンド制御部24、RF(Radio Frequency)回路部25を有しており、アンテナ2dを介して端末装置3との通信パケットの送受信を行う。
MAC制御部23は、システム制御部2bから出力される各種命令に従い、無線部2cを制御する。
ベースバンド制御部24は、通信パケットの変調及び復調を行うと共に、RF回路部25内の出力増幅用の送信アンプをMAC制御部23からの指示(増幅率;ゲイン)に応じて制御して送信電力値を制御し、また、受信信号増幅用の受信アンプをMAC制御部23からの指示(増幅率;ゲイン)に応じて制御して受信感度を制御するゲイン制御部24aを有する。
RF回路部25は、送信アンプ、受信アンプ、周波数フィルタ等を有し、ゲイン制御部24aからの指示に応じて送信電力又は受信感度を調整して通信可能領域の拡大又は縮小を行う。
図4に、端末装置3の概略構成図を示す。
図4に示すように、端末装置3は、システム制御部3a、アクセスポイント2から当該アクセスポイント2が通信パケットを受信する際の受信感度又は送信する際の送信電力の情報を含む通信パケット(ビーコンパケット)を受信する受信手段としての機能を実現する無線部3b、アンテナ3c等を備えており、各部は電気的に接続されている。
システム制御部3aは、無線部3bと電気的に通信可能な状態に接続されており、処理装置31、記憶装置32等を備えている。
処理装置31は、CPU(Central Processing Unit)等を備え、記憶装置32に記憶されている各種プログラム、各種テーブルやデータの中から指定されたプログラム、テーブルやデータを読み出し、処理装置31又は記憶装置32内のワークエリアに展開し、上記プログラムとの協働によって各種処理を実行し、その処理結果を記憶装置32の所定の領域に格納するとともに、端末装置3内の各部に指示して、端末装置3の動作全般を統括的に制御する。
本実施の形態における処理装置31は、アンテナ3cを介して無線部3bにより受信された通信パケット(ビーコンパケット)から受信感度又は送信電力の情報を取得する情報取得手段、当該取得した受信感度又は送信電力の情報に基づいて自身が通信パケットを受信する際の無線部3bの受信感度又は通信パケットを送信する際の無線部3bの送信電力を設定する設定手段、としての機能を実現する。
記憶装置32は、処理装置31により実行される各種プログラム及びこれらプログラムで使用される各種テーブルやデータ等が予め記憶されている領域と、当該プログラムや各種テーブルやデータが展開される領域とを有する記録媒体である。記憶装置32は、磁気的、光学的記録媒体又は半導体等の電気的に消去及び書き換えが可能な不揮発性メモリで構成されており、端末装置3に固定的に設けられたもの又は着脱自在に装着されるものである。例えば、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、MRAM(Magneto resistive Random Access Memory)、OUM(カルコゲニド合金による相変化記録メモリ)等を挙げることができる。
また、記憶装置32は、WLANプロトコルスタック32a、出力レベル設定値32b、受信感度設定値32cを有する。
WLANプロトコルスタック32aは、無線LANシステム1に必要とされる各種通信制御プログラムが格納されているプロトコルスタックであり、本実施の形態を実現するための各種プログラムも格納させている。
出力レベル設定値32bは、ビーコンパケットに含まれている送信電力の情報及び設定された端末装置3の送信電力値及び当該送信電力値を設定するための各種データ(例えば、アクセスポイント2の最大送信電力値等)が格納されており、受信感度設定値32cは、ビーコンパケットに含まれている受信感度の情報及び設定された端末装置3の受信感度及び当該受信感度を設定するための各種データ(例えば、アクセスポイント2の最大受信感度等)が格納されている。
無線部3bは、MAC制御部33、ベースバンド制御部34、RF回路部35を有しており、アンテナ3cを介して通信パケットの送受信を行う。
MAC制御部33は、システム制御部3aから出力される各種命令に従い、無線部3bを制御する。
ベースバンド制御部34は、通信パケットの変調及び復調を行うと共に、RF回路部35内の出力増幅用の送信アンプをMAC制御部33からの指示(増幅率;ゲイン)に応じて制御して送信電力値を制御し、また、受信信号増幅用の受信アンプをMAC制御部33からの指示(増幅率;ゲイン)に応じて制御して受信感度を制御するゲイン制御部34aを有する。
RF回路部35は、送信アンプ、受信アンプ、周波数フィルタ等を有し、ゲイン制御部34aからの指示に応じて送信電力又は受信感度を調整して通信可能領域の拡大又は縮小を行う。
次に、図5〜15を参照して本実施の形態の動作を説明する。
以下、図5〜15に示す処理は、送信電力Tx及び受信感度Rxに基づいてアクセスポイント2及び端末装置3の通信可能範囲を変更する処理として説明する。
図5に、端末装置3において実行されるビーコンパケット受信処理のフローチャートを示し、ビーコンパケット受信処理について説明する。なお、図5に示す処理は、端末装置3内の処理装置31と記憶装置32との協働により実行される。
まず、処理装置31は、アンテナ3cを介してアクセスポイント2から送信されるビーコンパケットを受信したか否かを判別し(ステップS1)、ビーコンパケットを受信していないと判別した場合(ステップS1;No)、ビーコンパケットを受信するまで待機する(ステップS1に戻る)。
処理装置31は、ビーコンパケットを受信したと判別した場合(ステップS1;Yes)、受信したビーコンパケットを参照して、この受信したビーコンパケットに付加されている当該ビーコンパケットを送信してきたアクセスポイント2の送信電力Tx及び受信感度Rxの情報を取得し(ステップS2)、取得した送信電力Tx及び受信感度Rxの情報に基づいて、端末装置3の送信電力及び受信感度を設定し(ステップS3)、本処理を終了させる。
なお、ステップS3において、本実施の形態においては、例えば、アクセスポイント2と端末装置3とが無線通信に関する性能が等しい場合には、ビーコンパケットから取得した送信電力Tx及び受信感度Rxの情報が示すそれぞれの値を端末装置3の送信電力値及び受信感度として設定してもよい。また、アクセスポイント2と端末装置3とが無線通信に関する性能が異なる場合には、ビーコンパケットから取得した送信電力Tx及び受信感度Rxの情報と、アクセスポイント2と端末装置3との無線通信に関する性能差を補うデータ又はテーブル等とに基づいて、設定することとしてもよい。
図6に、本実施の形態におけるアクセスポイント2において実行されるメインフローチャートを示す。なお、図6に示す処理は、アクセスポイント2内の処理装置21と記憶装置22との協働により実行される。
処理装置21は、アクセスポイント2を起動させ、送信電力及び受信感度の初期化を行う(ステップS11)。以下、本実施の形態において、送信電力Txを最大送信電力値に対する割合で示し、受信感度Rxを最大受信感度に対する割合で示す。本実施の形態におけるステップS11における初期化の例としては、送信電力Txを最大受信感度の50%、受信感度Rxを最大受信感度の50%に設定する。
処理装置21は、送信電力Tx及び受信感度Rxの初期化の後、送信電力Tx及び受信感度Rxの決定処理を実行し(ステップS12)、送信電力Tx及び受信感度Rxの初期値設定処理を実行する(ステップS13)。なお、ステップS12及びステップS13の処理は、後述する。
処理装置21は、端末装置3から通信パケットの送受信の要求があるか否かを判別し(ステップS14)、通信パケットの送受信の要求があると判別した場合(ステップS14;Yes)、当該送受信の要求がある通信パケットは、VoIPパケットか否かを判別する(ステップS15)。
処理装置21は、通信パケットはVoIPパケットでないと判別した場合(ステップS15;No)、ステップS18に進み、VoIPパケットであると判別した場合(ステップS15;Yes)、アクセスポイント2自身の通信範囲縮小処理を実行し(ステップS16)、端末装置救済要求処理を実行する(ステップS17)。なお、ステップS16及びステップS17の処理は、後述する。
処理装置21は、ステップS15;No後又はステップS17後、従来から行われている通信パケットの送受信処理を実行し(ステップS18)、ステップS14に戻る。
処理装置21は、端末装置3から通信パケットの送受信の要求がないと判別した場合(ステップS14;No)、端末装置3のスキャンを行い、端末装置3を発見したか否かを判別する(ステップS19)。
本実施の形態における端末装置3のスキャンの動作としては、例えば、パッシブスキャンを挙げることができる。このパッシブスキャンは、アクセスポイント2が出力するビーコンパケットを無線通信が有効となった端末装置3が受信し、受信したビーコンパケットに対して端末装置3が応答することによりアクセスポイント2が端末装置3を発見する方法である。
処理装置21は、端末装置3を発見したと判別した場合(ステップS19;Yes)、発見した端末装置3の認証処理を実行する(ステップS20)。ステップS20の認証処理は、無線LANシステム1のネットワークドメインに端末装置3を加える処理である。
処理装置21は、認証処理の後(ステップS20後)、発見し認証した端末装置3の情報を端末リスト22bに追加し(ステップS21)、ステップS14に戻る。
処理装置21は、端末装置3を発見できないと判別した場合(ステップS19;No)、ネットワークNを介して接続された他のアクセスポイント2から端末装置救済要求の指示を受信したか否かを判別し(ステップS22)、端末装置救済要求の指示を受信したと判別した場合(ステップS22;Yes)、端末装置救済処理を実行し(ステップS23)、ステップS14に戻る。なお、ステップS23の処理は、後述する。
処理装置21は、端末装置救済要求の指示を受信していないと判別した場合(ステップS22;No)、VoIP端末リスト22cに格納していた端末装置3とアクセスポイント2自身が通信できない状態となった場合、即ち、VoIP端末リスト22c内の端末装置3を見失ったか否かを判別する(ステップS24)。
処理装置21は、VoIP端末リスト22c内の端末装置3を見失ったと判別した場合(ステップS24;Yes)、例えば、アクセスポイント2自身の通信可能範囲外にVoIPパケットを送受信していた端末装置3が移動した場合や当該端末装置3の電源がOFF状態となった場合等、復旧処理を実行し(ステップS25)、ステップS14に戻る。なお、ステップS25の処理は、後述する。
処理装置21は、処理装置21は、端末リスト22b内の端末装置3を見失っていないと判別した場合(ステップS24;No)、電源がOFFされたか否かを判別し(ステップS26)、電源がOFFされていないと判別した場合(ステップS26;No)、ステップS14に戻り、電源がOFFされたと判別した場合(ステップS26;Yes)、本処理を終了する。
図7に、ステップS12及びステップS13において実行される送信電力Tx及び受信感度Rxの決定処理と、送信電力Tx及び受信感度Rxの初期値設定処理のフローチャートを示す。なお、図7に示す処理は、アクセスポイント2内の処理装置21と記憶装置22との協働により実行される。
処理装置21は、割り当てられているチャンネル番号nを初期化(n=1)する(ステップS31)。処理装置21は、チャンネル番号nに他のアクセスポイント2からのビーコンパケットが有るか否か、即ち、チャンネル番号nの状態において他のアクセスポイント2から信号が有るか否かを判別する(ステップS32)。
処理装置21は、チャンネル番号nに他のアクセスポイント2からの信号が有ると判別した場合(ステップS32;Yes)、チャンネル番号nである場合には他のアクセスポイント2と相互に干渉し合うこととなるため、チャンネル番号nに1を加算して新たなチャンネル番号に変更し(ステップS33)、チャンネル番号nは13より大きいか否かを判別する(ステップS34)。
ステップS34は、チャンネル番号nが取り得るチャンネル番号よりも大きいチャンネル番号か否かを判別するステップであり、本実施の形態においては、無線LANの規格IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)のIEEE.11.b又はIEEE.11.gの規格を想定しているためチャンネル番号nは13よりも大きいか否かを判別しているが、現在設定されているチャンネル番号と比較されるチャンネル番号は、適用される無線LANの規格に応じて適宜変更されるものである。
処理装置21は、チャンネル番号nが13以下であると判別した場合(ステップS34;No)ステップS32に戻り、チャンネル番号nが13よりも大きいと判別した場合(ステップS34;Yes)、送信電力Txを設定されている送信電力Txよりも低減させると共に、受信感度Rxを設定されている受信感度Rxよりも低減させ、通信可能範囲を縮小させる(ステップS35)。
ステップS35は、本実施の形態において、最大送信電力値に対する割合及び最大受信感度に対する割合を低減することにより送信電力及び受信感度を低減させることとして説明する。例えば、ステップS35では、設定されている送信出力を最大送信電力値に対する割合の10%低減させると共に、受信感度を最大受信感度に対する割合の10%低減させる。なお、送信電力Txと受信感度Rxとを低減させる割合は、本実施の形態においては同一としているが異ならせてもよい。
処理装置21は、通信可能範囲を縮小させた後(ステップS35後)、送信電力Txは0か否か、本実施の形態においては、最大送信電力値に対する割合が0%か否かを判別し(ステップS36)、送信電力Txが0でないと判別した場合(ステップS36;No)、ステップS31に戻る。
なお、ステップS36は、本実施の形態においては送信電力Txが0か否かを判別するステップとして説明するが、受信感度Rxが0か否か(最大受信感度に対する割合が0%か否か)を判別してもよく、いずれか一方が0か否かを判別することとしてもよい。
処理装置21は、送信電力Txが0であると判別した場合(ステップS36;Yes)、他のアクセスポイント2との干渉が生じない空きチャンネル番号が無いと判別し、空きチャンネル番号無しの旨を外部に報知し(ステップS37)、本処理を終了させ、図6のステップS26に進む。
なお、ステップS37における報知の手段としては、アクセスポイント2に表示装置を備え、当該表示装置により空きチャンネル番号が無い旨を表示させたり、ネットワークNを介して接続された他のアクセスポイント2等に空きチャンネル番号が無い旨を送信させて実現してもよい。
処理装置21は、チャンネル番号nに他のアクセスポイント2からの信号が無いと判別した場合(ステップS32;No)、図6に示すステップS13の送信電力Tx及び受信感度Rxの初期設定処理の実行を開始し、まず、現在設定されている送信電力Txと受信感度Rxとを記憶装置22の送信電力待避領域22fのTx(0)、受信感度待避領域22gのRx(0)の各領域にそれぞれ格納する(ステップS38)。
処理装置21は、ビーコンパケットに現在設定されている送信電力Txと受信感度Rxの情報を付加し(ステップS39)、送信電力Txと受信感度Rxとの情報が付加されたビーコンパケットの送信を開始し(ステップS40)、本処理を終了させ、図6のステップS14に進む。
図8に、本実施の形態における無線LANシステム1が適用される適用領域100内のアクセスポイント2の通信可能範囲の状態のイメージ図例を示す。
図8に示すように、本実施の形態における無線LANシステム1が適用される予め設定された適用領域100内には、互いに間隔を置いて設定された複数のアクセスポイント2が配置されている。なお、図8に示すアクセスポイント2には、個々のアクセスポイント2を識別するためにA〜Eの識別符号を付している。
図8に示す各アクセスポイント2を中心とした破線及び一点破線の円は、各アクセスポイント2の通信可能範囲を示しており、図6のステップS13が終了した状態の通信可能範囲の例を示している。また、各一点破線の円内のハッチングの種類はチャンネル番号を示しており、同一のチャンネル番号の円が重ならず、電波干渉が生じないように送信電力及び受信感度が設定されている。
図8に示す各アクセスポイント2の通信可能範囲は、最大送信電力値及び最大受信感度の50%に低減された際の通信可能範囲である。例えば、識別符号がBのアクセスポイント2を中心とした破線の円は、送信電力及び受信感度が最大送信電力値及び最大受信感度である場合の通信可能範囲を示しており、当該破線の円の範囲から一点破線の円の範囲に通信可能範囲が縮小され、電波干渉が生じない通信可能範囲、即ち、送信電力及び受信感度が設定される。
図9に、図5に示すフローチャートが実行されることにより、適用領域100内のアクセスポイント2の通信可能範囲が設定された後、ビーコンパケットに基づいて設定された端末装置3の通信可能範囲のイメージ図例を示す。なお、図9に示す各アクセスポイント2を中心とした一点破線の円は各アクセスポイント2の通信可能範囲を示し、識別符号がイの端末装置3を中心とした破線及び実線の円は当該端末装置3の通信可能範囲を示す。
図9に示すように、識別符号がBのアクセスポイント2の通信可能範囲内に識別符号がイの端末装置3が存在した場合、識別符号がイの端末装置3は、識別符号がBのアクセスポイント2から送信されたビーコンパケットを受信し、受信したビーコンパケットに付された識別符号がBのアクセスポイント2の送信電力Tx及び受信感度Rxの情報を取得し、当該取得した送信電力Tx及び受信感度Rxに基づいて自身の送信電力及び受信感度を設定する。
図9に示す本実施の形態の識別符号がイの端末装置3の通信可能範囲は、受信したビーコンパケットを送信してきたアクセスポイント2の送信電力Tx及び受信感度Rxを自身の送信電力及び受信感度に設定した場合の例である。例えば、識別符号がBのアクセスポイント2を中心とした破線の円は、端末装置3の送信電力及び受信感度が最大送信電力値及び最大受信感度である場合の通信可能範囲を示しており、ビーコンパケットを受信する度に、ビーコンパケットに付された送信電力Tx及び受信感度Rxに応じて当該破線の円の範囲から一点破線の円の範囲に通信可能範囲が縮小され、変更される。
図10に、ステップS16において実行される通信範囲縮小処理のフローチャートを示す。なお、図10に示す処理は、アクセスポイント2内の処理装置21と記憶装置22との協働により実行される。
処理装置21は、VoIPパケットの受信レベルを検出し(ステップS41)、現在設定されている送信電力Txと受信感度Rxとを記憶装置22の送信電力待避領域22fのTx(0)、受信感度待避領域22gのRx(0)の各領域にそれぞれ格納する(ステップS42)。
処理装置21は、VoIPパケットを送信してきた端末装置3のスキャンを行い、VoIPパケットを送信してきた端末装置3をVoIP端末リスト22cに追加してVoIP端末リスト22cを更新する(ステップS43)。なお、ステップS43におけるスキャンの動作は、例えば、対象となる端末装置3に対して接続確認のための任意のデータパケットを送信し、当該データパケットの応答を確認する動作である。
処理装置21は、VoIP端末リスト22cを更新した後(ステップS43後)、送信電力Txを設定されている送信電力Txよりも低減させると共に、受信感度Rxを設定されている受信感度Rxよりも低減させ、通信可能範囲を縮小させる(ステップS44)。なお、ステップS44の通信可能範囲の縮小の動作は、ステップS35と同様であるため、説明は省略する。
処理装置21は、通信可能範囲を縮小させた後(ステップS44後)、ビーコンパケットに付加されている送信電力Txと受信感度Rxの情報をステップS44において設定された送信電力Txと受信感度Rxの情報に更新する(ステップS45)。
処理装置21は、送信電力Txと受信感度Rxとの情報が更新されたビーコンパケットの送信を開始し(ステップS46)、VoIPパケットを送信してきた端末装置3に対して接続確認パケットを送信し(ステップS47)、VoIPパケットを送信してきた端末装置3から送信した接続確認パケットに対する応答があるか否かを判別する(ステップS48)。
処理装置21は、VoIPパケットを送信してきた端末装置3から送信した接続確認パケットに対する応答があると判別した場合(ステップS48;No)、ステップS44に戻り、更に通信可能範囲を縮小させる。
即ち、ステップS44〜ステップS48によって、段階的にアクセスポイント2の通信可能範囲が縮小される。
処理装置21は、VoIPパケットを送信してきた端末装置3から送信した接続確認パケットに対する応答がないと判別した場合(ステップS48;Yes)、送信電力Tx及び受信感度Rxを増加させ通信可能範囲を1段階前の通信可能範囲に戻し、ビーコンパケットに付加されている送信電力Txと受信感度Rxの情報をステップS48において設定された通信可能範囲における送信電力Txと受信感度Rxの情報に更新する(ステップS49)。
ステップS49は、ステップS44〜ステップS48が繰り返されることにより、段階的に通信可能範囲が縮小されることから、その1段階前の通信可能範囲に戻す処理である。例えば、ステップS44〜ステップS48が1回実行されることにより、最大送信電力値に対する割合が10%低減されると共に最大受信感度に対する割合が10%低減されて通信可能範囲が縮小される場合、ステップS49では、設定されている送信電力Txの割合を最大送信電力値に対する割合の10%を増加させると共に、設定されている受信感度Rxの割合を最大受信感度に対する割合の10%を増加させる。なお、送信電力Txと受信感度Rxとを増加させる割合は、ステップS44〜ステップS48における減少の割合に応じて適宜設定されるものであり、これに限らない。
処理装置21は、通信可能範囲を1段階前の通信可能範囲に戻した後(ステップS49後)、送信電力Txと受信感度Rxとの情報が更新されたビーコンパケットの送信を開始し(ステップS50)、本処理を終了させ、図6のステップS17に進む。
図11(a)〜(c)に、図10に示すフローチャートが実行されることにより、適用領域100内のアクセスポイント2の通信可能範囲が変更され、ビーコンパケットに基づいて設定された端末装置3の通信可能範囲が変更された状態のイメージ図を示す。なお、図11(a)〜(c)に示す各アクセスポイント2を中心とした一点破線の円は各アクセスポイント2の通信可能範囲を示し、識別符号がロの端末装置3を中心とした実線の円は当該端末装置3の通信可能範囲を示す。
図11(a)には、識別符号がロの端末装置3が識別符号がEのアクセスポイント2に接続された状態のイメージ図を示しており、この状態では、識別符号がロの端末装置3は通信パケットとしてVoIPパケットは送信していない状態である。
図11(b)には、図11(a)の状態から識別符号がロの端末装置3からVoIPパケットが送信された状態のイメージ図を示しており、識別符号がロの端末装置3を通信可能範囲に有する識別符号がEのアクセスポイント2が、送信電力Tx及び受信感度Rxを減少させて通信可能範囲を縮小させた状態である。
図11(c)には、図11(b)の状態から通信可能範囲の設定変更が終了した識別符号がEのアクセスポイント2が自身の送信電力Tx及び受信感度Rxの情報を更新したビーコンパケットの送信を開始した状態のイメージ図を示しており、識別符号がロの端末装置3は、識別符号がEのアクセスポイント2から受信したビーコンパケットに付されている送信電力Tx及び受信感度Rxに基づいて自身の送信電力Tx及び受信感度Rxを減少させ、実線の円で示した通信可能範囲を縮小させている。
図12に、ステップS17において実行される端末装置救済要求処理のフローチャートを示す。なお、図12に示す処理は、アクセスポイント2内の処理装置21と記憶装置22との協働により実行される。
処理装置21は、端末装置3のスキャンを行い現在の通信可能範囲内に存在する端末装置3の情報を取得し(ステップS51)、端末リスト22b内の端末装置3の情報とステップS51において取得した端末装置3の情報とを比較し、当該比較結果により端末リスト22b内の端末装置3の情報が当該取得した端末装置3の情報に含まれているか否か、即ち、ステップS16における通信可能範囲縮小処理が実行されたことにより、通信ができなくなった端末装置3の存在の有無、即ち、端末リスト22b内の端末装置3を見失ったか否かを判別する(ステップS52)。
処理装置21は、端末リスト22b内の端末装置3を見失っていないと判別した場合(ステップS52;No)、本処理を終了し、図6のステップS18に進む。
処理装置21は、端末リスト22b内の端末装置3を見失ったと判別した場合(ステップS52;Yes)、ネットワークN上の起動している他のアクセスポイント2を検索し(ステップS53)、ネットワークN上の他のアクセスポイント2から応答があるか否かを判別する(ステップS54)。
処理装置21は、ネットワークN上の他のアクセスポイント2から応答がないと判別した場合(ステップS54;Yes)、送信電力Txを記憶装置22の送信電力待避領域22fのTx(0)の領域に格納されていた送信電力に設定し、受信感度Rxを記憶装置22の受信感度待避領域22gのRx(0)の領域に格納されていた受信感度に設定することにより、ステップS16において実行された通信可能範囲の縮小を解除し、ステップS16の前の段階の通信可能範囲に戻す(ステップS55)。
処理装置21は、ステップS55後、ビーコンパケットに付加されている送信電力Txと受信感度Rxの情報をステップS55において設定された通信可能範囲における送信電力Txと受信感度Rxの情報に更新し、送信電力Txと受信感度Rxとの情報が更新されたビーコンパケットの送信を開始し(ステップS56)、本処理を終了させ、図6のステップS18に進む。
処理装置21は、ネットワークN上の他のアクセスポイント2から応答があると判別した場合(ステップS54;No)、応答したネットワークN上のアクセスポイント2に対し、順次、失った端末装置3の検索を指示とする端末装置救済要求の指示を送信する(ステップS57)。
処理装置21は、ステップS54により応答したネットワークN上のアクセスポイント2のいずれかのアクセスポイント2から失った端末装置3を発見した旨の通知を受信したか否かを判別し(ステップS58)、応答したネットワークN上の全てのアクセスポイント2から失った端末装置3を発見した旨の通知を受信しなかったと判別した場合(ステップS58;No)、ステップS55に進む。
処理装置21は、応答したネットワークN上のアクセスポイント2のいずれかのアクセスポイント2から失った端末装置3を発見した旨の通知を受信しと判別した場合(ステップS58;Yes)、端末リスト22bから応答したネットワークN上のアクセスポイント2により発見された端末装置3の情報を削除し(ステップS59)、本処理を終了させ、図6のステップS18に進む。
図13に、ステップS23において実行される端末装置救済処理のフローチャートを示す。なお、図13に示す処理は、アクセスポイント2内の処理装置21と記憶装置22との協働により実行される。
処理装置21は、ネットワークNを介して接続されている他のアクセスポイント2から端末装置救済要求の指示を受信した場合(ステップS22;Yes)、現在設定されている送信電力Txと受信感度Rxとを記憶装置22の送信電力待避領域22fのTx(1)、受信感度待避領域22gのRx(1)の各領域にそれぞれ格納する(ステップS61)。
処理装置21は、自身のアクセスポイント2はVoIPパケットを送受信している端末装置3と接続状態にあるか否かを判別し(ステップS62)、VoIPパケットを送受信している端末装置3と接続状態であると判別した場合(ステップS62;No)、本処理を終了させ、図6のステップS14に進む。
処理装置21は、VoIPパケットを送受信している端末装置3と接続状態でないと判別した場合(ステップS62;Yes)、端末装置救済要求の指示を受理し(ステップS63)、ビーコンパケットの送信を開始し(ステップS64)して、端末装置3のスキャンを行い現在の通信可能範囲内に存在する端末装置3の情報を取得する(ステップS65)。
処理装置21は、ステップS65において取得した端末装置3の情報に、ステップS22において要求された端末装置3の情報の有無を判別し、要求された端末装置3の情報が含まれているか否かを判別することにより要求された端末装置3を発見できたか否かを判別する(ステップS66)。
処理装置21は、要求された端末装置3を発見できたと判別した場合(ステップS66;Yes)、当該端末装置3を発見した旨の通知を端末装置救済要求の指示を送信してきたアクセスポイント2に送信して(ステップS67)、端末リスト22bに発見した端末装置3の情報を追加し(ステップS68)、本処理を終了させ、図6のステップS14に進む。
処理装置21は、要求された端末装置3を発見できないと判別した場合(ステップS66;No)、送信電力Txを設定されている送信電力Txよりも増加させると共に、受信感度Rxを設定されている受信感度Rxよりも増加させ、通信可能範囲を拡大させる(ステップS69)。
ステップS69は、本実施の形態において、最大送信電力値に対する割合及び最大受信感度に対する割合を低減することにより送信電力及び受信感度を増加させることとして説明する。例えば、ステップS69では、設定されている送信電力を最大送信電力値に対する割合の10%増加させると共に、受信感度を最大受信感度に対する割合の10%増加させる。なお、送信電力Txと受信感度Rxとを増加させる割合は、本実施の形態においては同一としているが異ならせてもよい。
処理装置21は、通信可能範囲を拡大させた後(ステップS69後)、送信電力Txは最大送信電力値よりも大きい否か、本実施の形態においては、最大送信電力値に対する割合が100%よりも大きいか否かを判別し(ステップS70)、送信電力Txが最大送信電力値以下であると判別した場合(ステップS70;No)、ステップS64に戻る。
なお、ステップS70は、本実施の形態においては送信電力Txが最大送信電力値よりも大きいか否かを判別するステップとして説明するが、受信感度Rxが最大受信感度よりも大きいか否か(最大受信感度に対する割合が100%よりも大きいか否か)を判別してもよく、いずれか一方が最大値よりも大きいか否かを判別することとしてもよい。
処理装置21は、送信電力Txが最大送信電力値よりも大きいと判別した場合(ステップS70;Yes)、処理装置21は通信可能範囲を拡大させることにより要求のあった端末装置3の検索を行うことができないため、端末装置3が発見できなかった旨の通知を端末装置救済要求の指示を送信してきたアクセスポイント2に送信する(ステップS71)。
処理装置21は、送信電力Txを記憶装置22の送信電力待避領域22fのTx(1)の領域に格納されていた送信電力に設定し、受信感度Rxを記憶装置22の受信感度待避領域22gのRx(1)の領域に格納されていた受信感度に設定することにより、ステップS69において実行された通信可能範囲の拡大を解除し、ステップS22の前の段階の通信可能範囲に戻す(ステップS72)。
処理装置21は、ステップS72後、ビーコンパケットに付加されている送信電力Txと受信感度Rxの情報をステップS72において設定された通信可能範囲における送信電力Txと受信感度Rxの情報に更新し、送信電力Txと受信感度Rxとの情報が更新されたビーコンパケットの送信を開始し(ステップS73)、本処理を終了させ、図6のステップS14に進む。
図14(a)〜(c)に、図12及び図13に示すフローチャートが実行されることにより、他のアクセスポイント2により端末リスト22b内の見失われた端末装置3が救済されるイメージ図例を示す。なお、図14(a)〜(c)に示す各アクセスポイント2を中心とした一点破線の円は各アクセスポイント2の通信可能範囲を示し、識別符号がロ、ハの端末装置3をそれぞれ中心とした実線の円は当該それぞれの端末装置3の通信可能範囲を示す。
図14(a)には、識別符号がEのアクセスポイント2が、通信可能範囲内にVoIPパケットを送受信する識別符号がイの端末装置3が発生したことにより、図11(c)の状態の通信可能範囲に縮小が行われ、識別符号がハの端末装置3が識別符号がEのアクセスポイント2の通信可能範囲外となってしまった状態のイメージ図を示している。
図14(a)に示すように、識別符号がEのアクセスポイント2は、通信可能範囲の縮小により自身の端末リスト22b内にある識別符合がハの端末装置3を見失ったと判別し、ネットワークN上の識別符号がA〜Dのアクセスポイント2に対し、順次、見失った端末装置3の検索を指示とする端末装置救済要求の指示を送信することとなる。
図14(b)には、識別符号がCのアクセスポイント2による端末救済処理を行っている状態のイメージ図を示している。識別符号がCのアクセスポイント2は、ネットワークNを介して接続された識別符号がEのアクセスポイント2からの端末装置救済要求の指示に対し、自身の送信電力Tx及び受信感度Rxを増加させて通信可能範囲を段階的に拡大させ、識別符号がハの端末装置3を検索している。
図14(b)に示すように、識別符号がCのアクセスポイント2による端末救済処理により、識別符号がCのアクセスポイント2の通信可能範囲内に識別符号がハの端末装置3が存在することとなり、識別符号がハの端末装置3は識別符号がCのアクセスポイント2から送信されるビーコンパケットを受信可能となる。しかし、この状態では識別符号がハの端末装置3の通信可能範囲が狭いため、識別符号がハの端末装置3が送信する信号の強度が弱いため、識別符号がCのアクセスポイント2と安定した通信接続を確保することができない。
図14(c)には、識別符号がハの端末装置3が、識別符号がEのアクセスポイント2から受信したビーコンパケットに付されている送信電力Tx及び受信感度Rxに基づいて自身の送信電力Tx及び受信感度Rxを増加させ、実線の円で示した通信可能範囲を拡大させている状態のイメージ図を示している。
図14(c)に示すように、識別符号がハの端末装置3の通信可能範囲が拡大されることにより、識別符号がハの端末装置3が送信する信号の強度が強まり、識別符号がCのアクセスポイント2と安定した通信接続を確保することができることとなる。
図15に、ステップS52において実行される復旧処理のフローチャートを示す。なお、図15に示す処理は、アクセスポイント2内の処理装置21と記憶装置22との協働により実行される。
処理装置21は、VoIP端末リスト22c内の端末装置3を見失ったと判別した場合(ステップS24;Yes)、VoIP端末リスト22cから見失った端末装置3の情報を削除する(ステップS81)。
処理装置21は、送信電力Txを記憶装置22の送信電力待避領域22fのTx(0)の領域に格納されていた送信電力に設定し、受信感度Rxを記憶装置22の受信感度待避領域22gのRx(0)の領域に格納されていた受信感度に設定することにより、VoIPパケットを送受信する端末装置3と接続状態になる前の段階の通信可能範囲に復旧させる(ステップS82)。
処理装置21は、ステップS82後、ビーコンパケットに付加されている送信電力Txと受信感度Rxの情報をステップS83において設定された通信可能範囲における送信電力Txと受信感度Rxの情報に更新し、送信電力Txと受信感度Rxとの情報が更新されたビーコンパケットの送信を開始し(ステップS83)、本処理を終了させ、図6のステップS14に進む。
本実施の形態によれば、リアルタイム性を有するVoIPパケットを扱う際、受信感度Rx及び送信電力Txを減少させることによりアクセスポイント2の通信可能範囲を縮小させることができるため、通信パケットのトラフィック量を減少させ、伝送遅延の発生の低減を図り、無線LANシステム1の通信品質の低下を防止することができる。
また、アクセスポイント2は、端末装置3にアクセスポイント2の受信感度Rx及び送信電力Txの情報が付加されたビーコンパケットを送信することができるため、端末装置3に対してアクセスポイント2の通信可能範囲を通知することができる。
更に、アクセスポイント2は、受信感度Rx及び送信電力Txを減少することにより通信可能範囲を縮小した場合、通信ができなくなった端末装置3を他のアクセスポイント2と通信を確保させる要求指示を行うことができるため、通信できなくなった端末装置3を他のアクセスポイント2により通信ができるように救済させることができる。
そして、ネットワークNを介して接続された他のアクセスポイント2の要求指示に応じて、受信感度Rx及び送信電力Txを増加させることにより通信可能範囲を拡大させて他のアクセスポイント2が通信できなくなった端末装置3を検索することができ、要求指示を送信してきたアクセスポイント2と通信ができなくなった端末装置3を救済することができる。
ネットワークNを介して接続された他のアクセスポイント2全てが通信ができなくなった端末装置3を発見できない場合には、受信感度Rx及び送信電力Txを減少させて通信可能範囲を縮小していた状態を元の状態に復旧させて通信ができなくなった端末装置3を救済することができる。
また、端末装置3は、アクセスポイント2から送信される受信感度Rs及び送信電力Txの情報を含むビーコンパケットに基づいて、自身の受信感度及び送信電力を設定することができるため、アクセスポイント2との安定した通信接続状態を確保することができる。
なお、本実施の形態においては、送信電力Tx及び受信感度Rxに基づいてアクセスポイント2及び端末装置3の通信可能範囲を変更する処理として説明したが、送信電力Txのみ又は受信感度Rxのみに基づいてアクセスポイント2及び端末装置3の通信可能範囲を変更する処理としてもよい。例えば、送信電力Txのみに基づいてアクセスポイント2及び端末装置3の通信可能範囲を変更する場合には、処理対象の値を送信電力Txに着目して実行し、受信感度Rxについては考慮せず、受信感度Rxのみに基づいてアクセスポイント2及び端末装置3の通信可能範囲を変更する場合には、処理対象の値を受信感度Rxに着目して実行し、送信電力Txについては考慮しない処理を実行することとしてもよく、本実施の形態の効果と同様の効果を得られるものである。