(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1に係る認証対象者報知システムの構成について図1〜5を用いて説明する。この認証対象者報知システムは人物の認証を行うものであり、図1に示すように、コントローラ10と顔認証センサ4とを有するサブシステム1と、サブシステム1と接続するホームパネル(統合管理装置)2と、ホームパネル2に接続されるコントロールパネル3とを備えている。
上記サブシステム1のコントローラ10とホームパネル2とコントロールパネル3とは、例えばTCP/IPやUDP、HTTPなどの通信プロトコルを利用した宅内ネットワークを構成している。この宅内ネットワークは、100BASE−TX(IEEE 802.3u)規格に準拠したローカルエリアネットワーク(LAN)であって、ハブに相当するホームパネル2に、ネットワーク端末に相当するサブシステム1のコントローラ10及びコントロールパネル3がLANケーブル20,21を介してスター配線で接続されている。
サブシステム1は、屋外に設置されて対象空間を撮像する顔認証センサ4と、屋内に設置されて顔認証センサ4と電気的に接続するコントローラ10とを備えている。
コントローラ10は、後述のID認証データ及び画像データを顔認証センサ4から受け取る受信機能と、受け取った画像データを所定の圧縮方式(例えば、動画像であればMPEG4、静止画像であればJPEG)で圧縮する圧縮機能と、圧縮した画像データをID認証データとともにホームパネル2を介してコントロールパネル3に転送する転送機能とを有する。
顔認証センサ4は、図2に示すように、対象空間を撮像する撮像機能を有する撮像部40と、撮像部40で撮像された画像から認証対象者Aの顔情報を抽出する特徴量抽出部41と、特徴量抽出部41で抽出された認証対象者Aの顔情報と予め登録されている登録人物の顔情報とを比較して上記認証対象者Aが顔情報に基づく登録人物であるか否かを判断する認証部42とを備えている。
撮像部40は、対象空間に光を照射する発光源43と、発光源43の照射機能を制御する制御回路部44と、対象空間を撮像する光検出素子45と、対象空間と光検出素子45の間に設置された受光光学系46と、光検出素子45の受光出力に基づく振幅画像を生成する画像生成部47とを備えている。
発光源43は、例えば、多数個の発光ダイオードを一平面上に配列したものや、半導体レーザと発散レンズを組み合わせたものなどであり、制御回路部44から出力される所定の変調周波数の変調信号により点灯と消灯を交互に繰り返すように駆動される。ここで、発光源43が点灯と消灯を繰り返す周期を、人の目では認識できない程度の短い周期にする。つまり、発光源43は実際には点灯と消灯を繰り返しているが、人の目には連続して点灯しているように見えることになる。具体的には、変調信号には方形波を用い、変調周波数は10kHz〜100kHzから選択し、デューティは50%としてある。これにより、発光源43は10μs〜100μsの周期で点灯と消灯を同じ時間ずつ交互に繰り返す。なお、これらの数値は一例であり、変調周波数は適宜に設定可能である。
発光源43から放射する光は赤外線又は可視光のどちらでもよい。赤外線を用いれば夜間でも発光源43の点灯に気付かれることがないので、監視カメラとして適した構成になる。一方、可視光を用いれば人が目で見るときの状態に近い画像を得ることができる。
制御回路部44は発光源43に変調信号を出力するとともに、発光源43の点灯期間に後述の感光部450を高感度にした状態で後述の電荷集積部451に集積した電荷を受光出力として取り出す状態と、発光源43の消灯期間に感光部450を高感度にした状態で電荷集積部451に集積した電荷を受光出力として取り出す状態とを繰り返すように、後述の制御電極452への制御電圧の印加パターンを制御する。
光検出素子45は、1枚の半導体基板上に設定された2次元正方格子の格子点(例えば100個×100個)上のそれぞれに、電荷を生成する1個の感光部450と電荷を集積して保持する1個の電荷集積部451とで形成された受光素子を配列した構成である。それぞれの受光素子は、不純物が添加されたシリコンからなる半導体層(図示せず)と、半導体層の主表面の全面にわたって設けられたシリコン酸化膜からなる絶縁膜(図示せず)と、半導体層に絶縁膜を介して設けられた複数個の制御電極452とを備えている。この受光素子はMIS素子として知られた構造であるが、1個の受光素子として機能する領域に複数個の制御電極452を備える点で通常のMIS素子とは異なっている。絶縁膜及び制御電極452は、発光源43から対象空間に照射される光と同波長の光が透過するように材料が選択され、絶縁膜及び制御電極452を通して半導体層に光が入射すると、半導体層の内部に電荷が生成される。
このような構造の受光素子では、制御電極452に正の制御電圧が印加されると、半導体層(図示せず)における制御電極452に対応する部位に、電子を集積するポテンシャル井戸(空乏層)(図示せず)が形成される。半導体層にポテンシャル井戸を形成するように制御電極452に制御電圧を印加した状態で半導体層に光が照射されると、ポテンシャル井戸の近傍に生成された電子の一部はポテンシャル井戸に集積され、残りの電子は半導体層の深部での再結合により消滅する。また、ポテンシャル井戸から離れた場所で生成された電子も半導体層の深部での再結合により消滅する。つまり、受光素子に光が照射されると、半導体層は感光部450として機能し、ポテンシャル井戸は電荷集積部451として機能する。
上記のように、ポテンシャル井戸(図示せず)は、制御電圧が印加された制御電極452に対応する部位に形成されるから、制御電圧を印加する制御電極452の個数を変化させることにより半導体層(図示せず)の主表面(受光面)に沿ったポテンシャル井戸の面積を変化させることができる。また、半導体層で生成された電荷のうちポテンシャル井戸に集積される電荷の割合は、ポテンシャル井戸の面積が大きいほど多くなり、その結果、ポテンシャル井戸の面積を大きくするほど感光部450の感度が高くなる。
例えば、それぞれの受光素子において、1列に並んだ5個の制御電極452のうち、内側3個の制御電極452に正の制御電圧を印加し両側2個の制御電極452には電圧を印加しない(0V)場合と、中央1個の制御電極452のみに正の制御電圧を印加し残り4個の制御電極452には電圧を印加しない(0V)場合とでは、3個の制御電極452に正の制御電圧を印加する場合のほうが、電荷集積部451であるポテンシャル井戸の面積が大きくなる。したがって、3個の制御電極452に正の制御電圧を印加した場合のほうが、中央1個の制御電極452のみに正の制御電圧を印加した場合に比べて、同じ光量に対してポテンシャル井戸に集積される電荷の割合が多くなり、実質的に感光部450の感度を高めたことになる。
電荷集積部451に集積した電荷を転送して取り出すための構成として、フレーム転送型のCCDと同様の構成又はインターライン型のCCDと同様の構成を採用することができる。フレーム転送型のCCDと同様の構成を採用する場合、制御電極452に印加する制御電圧の印加パターンを制御することによって電荷を転送することになるから、電荷集積部451に電荷を集積する集積期間とは異なる取出期間において電荷集積部451の電荷を取り出すことができるように制御電極452に印加する制御電圧を制御すればよく、半導体層は制御電極452とともに電荷取出部453としても機能する。
受光光学系46は光検出素子45の各受光素子に対象空間を投影するために設けられている。つまり、受光光学系46は、光検出素子45において受光素子を配列した2次元平面に対象空間である3次元空間をマッピングする。これにより、光検出素子45には受光光学系46を通して光が入射し、光検出素子45から受光光学系46を通して見る視野内に存在する認証対象者Aが受光素子に対応付けられる。
画像生成部47は、光検出素子45の各感光部450からの受光出力を用いて、撮像部40で撮像された画像(動画像又は静止画像)に関する画像データを作成する。上記画像は認証対象者Aの顔画像を含んだものである。この画像データは特徴量抽出部41、後述の類似度演算部421及び人物認識部422を介してコントローラ10に送信される。
また、画像生成部47は、上記画像データの作成とは別に、発光源43の点灯期間の受光出力と消灯期間の受光出力との差分(発光源43から対象空間へ光を照射したときの各感光部450の受光出力と発光源43から対象空間へ光を照射していないときの各感光部450の受光出力との差分)を感光部450ごとに画素値として算出して、振幅画像を生成する。ここでは説明を単純にするために、1回の点灯期間における受光出力Aaを点灯期間の受光出力とし、1回の消灯期間における受光出力Abを消灯期間の受光出力としている。
ここで、発光源43の消灯期間において感光部450に入射する光の強度は環境光の強度に相当する。つまり、環境光の強度は、結果的に消灯期間における受光出力Abに対応する。発光源43の点灯期間の受光出力Aaと消灯期間の受光出力Abとの差分(Aa−Ab)を求めることにより、環境光の影響を除去して発光源43から対象空間に照射された光の成分のみを抽出することができる。この差分(Aa−Ab)を各受光素子の位置に対応付けた画像が振幅画像になる。この差分(Aa−Ab)は、隣接した点灯期間の受光出力Aaと消灯期間(点灯期間の直後の消灯期間)の受光出力Abとから求めており、差分(Aa−Ab)を求める点灯期間と消灯期間を合わせた程度の期間では環境光の強度は実質的に変化がないものとみなしている。したがって、点灯期間と消灯期間とにおける環境光による受光出力は相殺され、発光源43から対象空間に照射されて認証対象者Aで反射された反射光に対応する受光出力のみが残り、結果的に、振幅画像では、認証対象者Aのみを強調した画像を得ることができる。画像生成部47で生成された振幅画像は特徴量抽出部41に与えられる。
特徴量抽出部41は、画像生成部47で生成された振幅画像の振幅値から求められる各画素の微分強度値である振幅微分値を画素値とする振幅微分画像を生成する機能と、この振幅微分画像を規定の閾値で2値化した画像からなる出力画像を生成する機能と、この出力画像から対象空間内に存在する認証対象者Aの顔の特徴量を顔情報として抽出する機能とを有する。
ここで、認証対象者Aの顔の特徴量を抽出する技術について説明すると、振幅画像から振幅微分画像を作成したときに、目、鼻、口などは頬や額などに比べて振幅微分値が大きくなるので、振幅微分画像を2値化した場合、出力画像において、目、鼻、口及び顔の輪郭のみを抽出することが可能となる。したがって、出力画像において目、鼻、口などの各部位の端点を抽出することによって、認証対象者Aの顔の特徴点を抽出することができ、これらの特徴点の位置関係を用いて顔認証を行うことができる。
より具体的に説明すると、振幅画像の画像座標系は、振幅画像の左上を原点として、x軸の正方向(x方向)を水平右方向、y軸の正方向(y方向)を鉛直下方向とする左手系座標系とし、特徴量抽出部41は、マスクサイズが3×3画素のソーベルフィルタ(x方向のソーベルフィルタ及びy方向のソーベルフィルタのそれぞれに振幅画像上の重み係数が設定されている)を振幅画像の全ての画素に適用して局所空間微分を行い、振幅画像の振幅値から求められる各画素の振幅微分値を画素とする振幅微分画像を生成し、この振幅微分画像を閾値で2値化して得られた出力画像から認証対象者Aの顔の特徴量を抽出する。
振幅画像の画素(u,v)における振幅微分値を|G(u,v)|とすれば、振幅微分値|G(u,v)|は、振幅画像における1つの注目画素に隣接する8画素(注目画素の8近傍)の画素値(振幅値)を用いて求められる値である。ここにおいて、注目画素を中心とする3×3画素の局所領域(矩形領域)における各画素の画素値を左上から右方向にa〜c、左中から右方向にd〜f、左下から右方向にg〜iとすれば、振幅微分値|G(u,v)|は、x方向の微分値dx及びy方向の微分値dyを用いて下記の(式1)で表される。
|G(u,v)|={(dx2(u,v)+dy2(u,v)}1/2 (式1)
ただし、
dx(u,v)=(c+2f+i)−(a+2d+g) (式2)
dy(u,v)=(g+2h+i)−(a+2b+c) (式3)
(式1)によって求めた振幅微分値|G(u,v)|を画素値に持つ振幅微分画像においては、振幅画像における振幅差の大きい部位ほど振幅微分値|G(u,v)|が大きくなる。
認証部42は、テンプレート作成記憶部420と、類似度演算部421と、人物認識部422とを備えている。
テンプレート作成記憶部420は、通常動作モードとテンプレート作成モードを選択的に設定する動作モード設定部(図示せず)でテンプレート作成モードが設定されている状態において、光検出素子45により対象空間内の人物を撮像したときに、特徴量抽出部41により抽出された人物の顔の特徴量に基づいてテンプレートを作成し、作成したテンプレートを登録人物のテンプレートとしてIDに対応させて登録保持(記憶)する。この動作を繰り返して、複数の登録人物のテンプレートを作成する。例えば、家族の場合、お父さんのテンプレートをID=1に対応させ、お母さんのテンプレートをID=2に対応させて登録保持する。
類似度演算部421は、動作モード設定部(図示せず)で通常動作モードが設定されている状態において、特徴量抽出部41により抽出された認証対象者Aの顔の特徴量をテンプレート作成記憶部420に登録保持されている複数のテンプレートのそれぞれと照合して類似度を算出する。
人物認識部422は、類似度演算部421で算出された類似度が所定値以上になると、光検出素子45により撮像された認証対象者Aがテンプレートに相当する登録人物であることを認証する。逆に、類似度演算部421で算出された類似度が上記所定値未満の場合、人物認識部422は、光検出素子45により撮像された認証対象者Aが登録人物とは認証しない。上記人物認識部422は、図5に示すように、認証したテンプレートのID(図5の例ではID=1)を含むID認証データを作成し、作成したID認証データをコントローラ10(図1参照)に送信する。また、人物認識部422は、画像生成部47で作成された画像データもコントローラ10に送信する。
上記より、図2に示す顔認証センサ4では、登録したい人物のテンプレートを予め作成しておき、その後、通常動作モードにおいて生成された振幅微分画像を規定の閾値で2値化した出力画像とテンプレートとのパターンマッチングを行って類似度を算出し、算出した類似度に基づいて認証対象者Aが登録人物であることを認証することができる。
続いて、ホームパネル2について図1を用いて説明する。ホームパネル2は、LANケーブル20を介してサブシステム1のコントローラ10が接続される第1の通信ポート(図示せず)と、LANケーブル21を介してコントロールパネル3が接続される第2の通信ポート(図示せず)と、2つの通信ポート間で転送されるパケットの破棄及び各通信ポートの遮断や制限などの処理(以下「パケット処理」という)を実行するパケット処理部(図示せず)と、CPUを主構成要素としパケット処理部を制御して伝送経路を切り換えさせる経路切換機能やパケットに対するウイルスチェック、フィルタリングなどを実行するネットワークセキュリティ機能、サブシステム1の構成管理機能などを有する制御部(図示せず)と、コントローラ10やコントロールパネル3のMAC(Media Access Control:媒体アクセス制御)アドレスやネットワークアドレス(プライベートのIPアドレス)、サブシステム1に関する制御情報や監視情報を記憶するための記憶部(図示せず)とを備えている。
それぞれの通信ポート(図示せず)は、LANケーブル20,21の先端に設けられているRJ−45のモジュラプラグが挿抜自在に接続されるモジュラジャックを備えている。また、パケット処理部(図示せず)は多数のスイッチ要素を備え、制御部(図示せず)の経路切換機能によってスイッチ要素が駆動されることにより任意の通信ポートと他の通信ポートとの間の伝送経路を切り換えたり、又は制御部のネットワークセキュリティ機能によって異常(例えば、不正なパケットやネットワークに支障を来すほど大量のパケットの流入又は流出)が生じている通信ポートを遮断又は制限したりするものである。記憶部(図示せず)は不揮発性メモリからなり、通信ポートに接続されているコントローラ10やコントロールパネル3のMACアドレスやネットワークアドレスを各通信ポートと対応させて記憶している。また、コントローラ10やコントロールパネル3のネットワークアドレス、すなわち、プライベートのIPアドレスについては、制御部がDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)を用いて自動的に割り当てるようになっている。
制御部(図示せず)は、通信ポート(図示せず)からパケット処理部(図示せず)に入ってくるパケットの送信先のアドレス(MACアドレス)を監視している。また、制御部では、通信ポートを通過するパケットを常時監視し、異常なパケットを破棄したり、パケット処理部を制御して異常が生じている通信ポートを遮断又は制限させたりしている(ネットワークセキュリティ機能)。さらに、制御部はUPnP(ユニバーサル・プラグ・アンド・プレイ)のコントロールポイントの機能を実装しており、UPnPにおいてデバイスの検出を行うSSDP(Simple Service Discovery Protocol)を利用してUPnPのデバイスに相当するコントローラ10を自動的に検出する。
また、ホームパネル2は、合成樹脂成形品からなる箱形のハウジング(図示せず)に上述した各部を収納して構成されているが、このハウジングは住宅内の壁面に設置されている住宅用分電盤(住宅盤)に収納可能となっている。ただし、上記ハウジングの構造は一例であって、必ずしも住宅盤に収納される必要はない。
さらにホームパネル2は、インターネット22に接続するための回線の種類(電話回線、CATV回線、光ファイバ回線など)に応じてADSLモデムやケーブルモデム又はONU(Optical Network Unit)(図示せず)などと接続している。その結果、宅内ネットワークが外部ネットワークのインターネット22に接続される。
続いて、コントロールパネル3について説明する。コントロールパネル3は屋内の壁面に埋込配設されるものであって、図3に示すように、マイコンを主構成要素とするマイコン部30と、宅内ネットワークのLANケーブル21が接続されマイコン部30と宅内ネットワークのインタフェースを行うLANインタフェース部31と、液晶ディスプレイ320(図1参照)及びこのドライバ回路を有する表示部32と、液晶ディスプレイ320の画面上に配設されたタッチパネルや押釦スイッチ(図示せず)を有して操作入力を受け付ける操作部33と、マイコンで実行するプログラムや種々のデータを記憶するメモリ部34と、スピーカ及びこの駆動回路を有するスピーカ部35とを備えている。また、図示は省略しているが、商用電源から所望の直流電源を作成してマイコン部30やその他の各部31〜35に動作電源を供給するための電源回路も備えている。
また、コントロールパネル3は、図1に示すように、矩形箱形の合成樹脂成形品からなるハウジング36の内部に各部30〜35(図3参照)が収納されて構成されており、表示部32の液晶ディスプレイ320の画面がハウジング36前面の中央に配置されている。液晶ディスプレイ320の画面には操作部33が有するタッチパネルが一体に設けられている(図4参照)。ハウジング36前面の左寄りには、スピーカ部35からの音声メッセージをハウジング36の外に放射するための多数の孔360がマトリクス状に並べて貫設されている。また、ハウジング36前面の右寄りには、操作部33が具備する複数の押釦スイッチ(図示せず)を押操作するための操作釦330〜333が縦1列に並べて配設されている。なお、図示は省略するが、ハウジング36の背面にはLANインタフェース部31が有するモジュラジャックの差込口と、商用電源からの電源線が接続される端子部の電線挿入孔とが露出している。
図3に示すメモリ部34には、IDごとにメッセージが記憶されているとともに、メッセージを音声メッセージとして出力するときの音声に関する音声データ、つまり、例えば家族それぞれの声の特徴が圧縮されたパラメータ(HMMなど)である音声データが記憶されている。図5を用いて一例を説明すると、ID=1にはメッセージとして「お父さんが帰宅しました」が記憶され、「お父さん」の声を表現する音声データが記憶されている。ID=2にはメッセージとして「お母さんが帰宅しました」が記憶され、「お母さん」の声を表現する音声データが記憶されている。ID=3以降についても同様である。各音声データは、その人物による実際の発声に基づいて作成されたものである。なお、音声データに代えて、口調に関する口調データを用いてもよい。
マイコン部30は、図5に示すように、顔認証センサ4からのID認証データに含まれているID(図5の例ではID=1)に対応するメッセージ(図5の例では「お父さんが帰宅しました」)及びメッセージの音声を自動で切り替えて音声信号データを作成する。
図3に示すスピーカ部35は、マイコン部30で作成された音声信号データをアナログ音声信号に変換し、スピーカによって、上記アナログ音声信号を再生して、認証対象者Aの音声で音声メッセージを出力する。なお、音声出力をするかしないかは、ユーザが操作部33で設定できるようにしてもよいし、IDごとに予め設定してメモリ部34に記憶させておいてもよい。
上記音声メッセージの報知と同時に、表示部32の液晶ディスプレイ320には、図4に示すように、顔認証センサ4の撮像部40(図2参照)で撮像された認証対象者A(図4の例では「お父さん」)の顔画像が含まれた画像とともに、メッセージ(図4の例では「お父さんが帰宅しました」)が表示される。液晶ディスプレイ320上の「了解」のタッチパネルに触れると、メッセージ及び画像を閉じる。また、予め設定された時間が経過したときも、メッセージ及び画像を閉じる。
上記より、認証対象者Aが顔情報に基づく登録人物であると顔認証センサ4の認証部42が認証した場合に、コントロールパネル3は、上記登録人物に応じたメッセージを報知することができる。
次に、実施形態1の認証対象者報知システムの動作について図5を用いて説明する。ここでは、家族のうちお父さんが帰宅した場合を例にして説明する。まず、顔認証センサ4(図1参照)が認証を行い、認証したテンプレートに対応するID(例えばID=1)をID認証データとして画像データとともにコントローラ10(図1参照)に送信する。コントローラ10は顔認証センサ4からID認証データ及び画像データを取得し、画像データを圧縮し、圧縮した画像データ及びID認証データをコントロールパネル3(図1参照)にホームパネル2(図1参照)を介して送信する。コントロールパネル3では、マイコン部30(図3参照)がID認証データからID(ID=1)を抽出し、抽出したIDに対応するメッセージ(「お父さんが帰宅しました」)を、顔認証センサ4で撮像されたお父さんの顔画像とともに表示部32の液晶ディスプレイ320(図1参照)に表示させ、さらに上記メッセージを音声メッセージとしてスピーカ部35に出力させる。なお、家族の他の登録人物(お母さんなど)が帰宅した場合も同様の動作を行う。
以上、実施形態1によれば、メッセージをコントロールパネル3の液晶ディスプレイ320に表示することによって、認証対象者Aによる認証のための操作を必要とせずに、認証対象者Aが誰であるのかをユーザに視覚的に知らせることができる。また、メッセージをコントロールパネル3のスピーカ部35から音声で出力することによって、ユーザに聴覚的に知らせることができる。これにより、コントロールパネル3から離れた場所にいる人にも、認証対象者Aが誰であるのかを知らせることができる。
また、認証対象者Aは顔認証センサ4に接触する必要がないので、認証対象者Aが顔認証センサ4から離れた位置にいても認証することができる。これにより、認証対象者Aが指紋認証機器に接触することを必要とする指紋認証の場合より早くメッセージを報知することができる。
さらに、認証対象者Aの顔画像とメッセージの両方をコントロールパネル3で報知することによって、ユーザは、認証対象者Aが誰であるのかをより確実に確認することができる。
(実施形態2)
まず、本発明の実施形態2に係る認証対象者報知システムの構成について図6を用いて説明する。この認証対象者報知システムはインターホンシステムであり、顔認証センサ4aと、屋外に設置されたドアホン子器5と、屋内に設置されてドアホン子器5との間で通話する通話機能及び顔認証センサ4aで撮像された画像を表示する機能を有するインターホン親機3aとを備えている。
顔認証センサ4aはドアホン子器5と接続し、実施形態1の顔認証センサ4(図2参照)と同様の構成を備え、上記顔認証センサ4と同様の動作を行う。
ドアホン子器5は、通話用のマイクロホン及びスピーカ(図示せず)と、呼出釦(図示せず)とを備え、呼出釦が押操作されたときに通話線50を介してインターホン親機3aに呼出信号を送信する呼出機能と、マイクロホンで集音した通話音声をインターホン親機3aに伝送するとともにインターホン親機3aから通話線50を介して伝送される通話音声をスピーカから出力させる通話機能と、顔認証センサ4aからのID認証データ及び画像データをインターホン親機3aに伝送する認証データ伝送機能とを有している。
インターホン親機3aは、実施形態1のコントロールパネル3と同様に、マイコン部と、LANインタフェース部と、液晶ディスプレイ320を有する表示部と、操作部と、メモリ部と、スピーカを有するスピーカ部とを備えている。また、インターホン親機3aは、矩形箱形の合成樹脂成形品からなるハウジング36の内部に上記各部が収納されて構成されており、表示部の液晶ディスプレイ320の画面がハウジング36前面の中央に配置されている。液晶ディスプレイ320の画面には操作部が有するタッチパネルが一体に設けられている。ハウジング36前面の右上寄りには、スピーカ部からの音声メッセージをハウジング36の外に放射するための多数の孔360がマトリクス状に並べて貫設されている。また、ハウジング36前面の右下寄りには、操作部が具備する複数の押釦スイッチ(図示せず)を押操作するための操作釦334〜336が配設されている。
このような構成のインターホン親機3aは、ドアホン子器5から呼出信号を受信したときにスピーカから呼出音を出力する機能と、呼出音の出力中又は出力後の一定時間内に応答釦が押操作されたときにドアホン子器5との間で通話音声を授受する通話機能と、顔認証センサ4aで撮像されてドアホン子器5から伝送された画像データ及びID認証データを受け取り、上記画像データを周波数復調し、画像及びメッセージを液晶ディスプレイ320に表示する機能と、留守録設定中に呼出信号を受信した場合に通話線50を介して顔認証センサ4aから伝送された画像データ及びID認証データ並びにドアホン子器5から伝送された通話音声を半導体メモリに記録する機能とを有している。
次に、実施形態2の認証対象者報知システムの動作について図6を用いて説明する。まず、来訪者がドアホン子器5の呼出釦を押操作すると、通話線50を介して呼出信号がインターホン親機3aに伝送され、インターホン親機3aのスピーカから呼出音が出力される。同時に、顔認証センサ4aが来訪者を撮像し、撮像した画像から算出したID認証データを画像データとともにインターホン親機3aに出力する。顔認証センサ4aで撮像された画像がインターホン親機3aの液晶ディスプレイ320に表示される。このとき、インターホン親機3aはID認証データからメッセージを選択し、選択したメッセージを液晶ディスプレイ320に表示し、さらにスピーカで音声メッセージとして出力する。
以上、実施形態2によれば、メッセージをインターホン親機3aの液晶ディスプレイ320に表示することによって、認証対象者による認証のための操作を必要とせずに、認証対象者が誰であるのかをユーザに視覚的に知らせることができる。また、メッセージをインターホン親機3aのスピーカから音声で出力することによって、ユーザに聴覚的に知らせることができる。これにより、インターホン親機3aから離れた場所にいる人にも、認証対象者が誰であるのかを知らせることができる。
また、認証対象者は顔認証センサ4aに接触する必要がないので、認証対象者が顔認証センサ4aから離れた位置にいても認証することができる。これにより、認証対象者が指紋認証機器に接触することを必要とする指紋認証の場合より早くメッセージを報知することができる。
さらに、認証対象者の顔画像とメッセージの両方をインターホン親機3aで報知することによって、認証対象者が誰であるのかをユーザは確実に確認することができる。
なお、実施形態2の変形例として、顔認証センサ4aをドアホン子器5に内蔵した構成であってもよい。このような構成にしても、実施形態2と同様に、認証対象者による認証のための操作を必要とせずに、認証対象者が誰であるのかをユーザに知らせることができる。