JP4882168B2 - 通気性を改善した焼結鉱の製造方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はドワイトロイド型焼結機等の下方吸引式焼結機による鉄鉱石の焼結鉱製造プロセスにおいて、焼結原料ベッド下部の通気性を制御することにより焼成時間を短縮し、焼結鉱の生産量増大を図る技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉用原料として使用される鉄鉱石の焼結鉱は、一般に次のようにして製造される。先ず、本船から荷揚げされた鉄鉱石を銘柄毎に粉鉱ヤードに山積みする。次いで、山積みされた各種粉鉱石、含CaO副原料、含SiO2副原料、鉄分を含むダスト、及び炭材等を所定の割合ベッディング法により混合しブレンディング粉とする。このブレンディング粉、単味の粉粒状鉄鉱石、石灰石、珪石、粉コークス及び返鉱等の各原料をそれぞれの配合槽から切り出し、配合原料にミキサーで水分を添加し、調湿造粒する。こうして造粒された擬似粒子形態の焼結原料を下方吸引式焼結機のパレットに連続的に500〜700mm程度の高さの層厚に供給して、充填層の形態の原料層を形成する。こうして形成された原料ベッドの表層原料中の炭材に点火炉で点火し、原料ベッドの上層から下方に空気を吸引しながら原料中に混合してある粉コークスを順次燃焼させながら、燃焼帯を上層から下層に向かって移動させつつ、焼結及び溶融反応を起こさせて焼結原料を焼結、塊成化する。こうして焼成された焼結ケーキを冷却後、破砕し、整粒して3〜50mmのものを成品焼結鉱として高炉用原料として使用する。
【0003】
上記焼結鉱の製造工程において、多くの焼結機操業においては、パレットへの原料装入に際して、焼結原料である擬似粒子の細粒部分を原料ベッドの上部へ偏析させ、一方、粗粒部分を原料ベッドの下部に偏析させた装入を行なっている。原料ベッド内の粒度分布をこのように調整することにより、燃焼帯が原料ベッドの上部にある間は比較的燃焼帯の降下速度を遅くすることにより焼結及び溶融反応を促進させ、原料ベッド上部から進入してくる空気の冷却に起因する焼結鉱歩留の低下を防ぐ。一方、燃焼帯が下部に下がってきた時点では、粗粒子原料間の空隙率の増大により通気性を上げて、焼成終了の加速を図っている。しかし、下方吸引式焼結機においては、原料ベッド上部の焼成で蒸発した水分は、燃焼帯の下の乾燥帯よりさらに下部の低温部分に運ばれると冷却され、通気中に含まれていた水分がここに凝縮され、所謂水分の凝縮層が乾燥帯の下部に形成される。ここでは、水滴が原料粒子間の空隙率を低下させて、ガス流を抑制する。
【0004】
一般に、下方吸引式焼結機において原料ベッドの連続的焼成を継続させるためには、水分の蒸発、凝縮による原料ベッド内部における熱伝達の制御が重要であり、水分凝縮層が全く無くなると、その領域におけるガスフローが速くなり過ぎて、燃焼帯より下部に存在する原料粒子への熱伝達が追いつかなり、コークスの燃焼が停止してしまう。従って、燃焼帯が原料ベッド上部にある場合は、コークスの正常な燃焼伝播を確保するために、水分凝縮層の存在が必要である。しかし、燃焼が終了に近づく原料ベッド下部においては、水分凝縮層存在の必要性は低下し、むしろ水分凝縮層が存在することにより、燃焼帯降下速度の増大が抑制されて、焼結鉱の生産性向上が阻害されることになる。特に、鉄鉱石に含有されている結晶水は、約400〜500℃において分解・脱水するので、焼結原料中の高結晶水鉱石の配合比率が増大すると、焼成中に結晶水が脱水して原料ベッド内に水蒸気が付加的に発生して、水分凝縮層の拡大が促進される。そこで、原料ベッド下部での水分凝縮層の厚さを薄くしたり、もしくはその水分凝縮層を解消するための技術が開発されている。
【0005】
先ず、特開昭57−140835号公報には、原料ベッド内(焼結原料層内)の通気性を改善する方法として、モミガラや短く刻んだワラ等の粒度5mm程度以下の有空隙物質を、原料ベッドの下部領域で上側から75%程度の位置よりも下側に集中的に、原料に対して0.05〜2wt%程度装入分布させて焼成する方法が開示されている(以下、「先行技術1という」。当該方法によれば、特に原料ベッド下部領域における水分凝縮に伴なう通気性悪化を抑制するのに極めて効果的である(例えば、同公報第2頁右下欄、第4〜6行及び第15〜17行参照)。
【0006】
しかしながら、先行技術1では、有空隙物質の粒度が、焼結原料である擬似粒子の一般的粒径と同水準ないしそれよりも小さいことと、有空隙物質としての望ましい材料としてのモミガラや短く刻んだワラ等の状態では、上層原料の重量による圧力で押し潰され易い。通気性改善効果として十分とはいえない。
【0007】
一方、特開平7−18344号公報には、焼結原料に古紙を0.01〜3kg/焼結原料tを配合して焼結する方法が開示されている。同公報によれば、焼結原料に古紙を配合すると、(1)古紙自体により原料ベッドを構成する充填層が粗充填になることと、(2)古紙により原料中の水分が吸収されるので、原料の水分が低減し、焼結過程で蒸発する水分が減少するため、焼結中の下層水分凝縮体(湿潤帯)の水分が低下して湿潤帯の通気性が改善されることとにより、焼結速度が速くなり、焼結時間を短くして生産性を高めることができるとしている(以下、「先行技術2」という)。
【0008】
しかしながら、先行技術2の発明では古紙を原料中、もしくは擬似粒子間に均質に分散させるので、古紙と擬似粒子は多くの箇所で接触することになり、焼結機に原料を装入する前後の時点で、古紙が毛細管現象や古紙繊維の親水性に起因して周囲の原料擬似粒子中の水分を吸い取る現象を生じることになる。
【0009】
ところで、鉄鉱石の粉体を主とする焼結原料に対しては、原料ベッドの通気性を向上させるために焼結機への装入に先立つ事前処理として、バインダーとしての水分を添加して擬似粒子を形成させ、焼結原料粒子間の空隙率を増大させている。従って、先行技術2におけるように、原料中の水分が古紙に吸収されて擬似粒子中が粒子形態を保持するのに必要な水分よりも少なくなると、この粒子より上層の原料の重量と下方吸引による圧力に屈して粒子崩壊を起こす。このため、粉化した鉱石粒子が、残留する原料粒子の空隙を閉塞することになり、原料ベッドの通気性が悪化する。特に近年においては、原料コスト低減のために、豪州系の安価な高結晶水鉱石の使用比率が上昇傾向にあり、これらの鉱石は、鉄鉱石粒子内部に存在する空隙や、微粉分比率上昇による比表面積増大により、上述した原料事前処理時の造粒に必要な水分が、従来の鉱石に比べてより多く必要であるという性質を有する。従って、焼成以前の時点において、原料ベッド全体の擬似粒子が古紙にその水分を吸収されるのは、焼成完了までの間、原料が擬似粒子の形態を維持するためには、極めて都合が悪いと言わざるを得ない。
【0010】
更に問題となるのは、古紙に吸収された水分は、燃焼帯で古紙自体が燃焼すれば、やはり吸収していた水分は蒸発してベッド下方に送られるので、ベッド下部での水分凝縮帯に供給される水分量は結局、全く減らないということである。このように、上述した先行技術2における問題点は、古紙をベッド全体に行き渡らせたことに起因するものである。
【0011】
また、特開平9−184022号公報には、焼結原料ベッドの通気性改善のために、スリット状の通気制御板(以下、「スリット板」という)を原料装入部の原料ベッド下部相当位置に装着し、原料がパレットと共に移動する際、原料ベッド下部に空隙率の高い部分を垂直方向のスリット状に形成させて残留させるという方法が開示されている。この方法によれば、原料ベッド上部で蒸発した水分がこの下部に形成されたスリット状の高空隙率部分から抜けていくので、原料ベッド下部での水分凝縮が無くなり、通気性が向上する。この通気性向上により燃焼帯降下を促進して焼結時間を短縮すると、焼結機全体としてパレットスピードを上げることができ、焼結鉱の生産性が向上する(以下、「先行技術3」という)。
【0012】
しかしながら、先行技術3の方法によると、スリット板の装入により、ライン方向原料装入部位から原料ベッド内に高空隙率部分が形成されているので、原料ベッド内を通気するガスがそこに選択的に偏流してしまい、所謂ガス抜けが発生する。その結果、燃焼帯の形状がベッド内の偏流に従ってスリット状高空隙率部分に吸い込まれるように変形し、スリット状高空隙率近傍のみが速く焼け落ちる。ところが、原料ベッド内での高温保持時間が短いと、一般的に焼結鉱歩留や強度が低下する。従って、先行技術3においても、焼成が過度に速い原料ベッド部分においては、焼結鉱歩留や強度が低下し、生産性向上に寄与しない部分が増大することになる。また、スリット状部の空隙率が高すぎるとガス流速が速くなり過ぎ、熱伝達が追いつかなくって未焼になる部分を生じる。
【0013】
一方、スリット状高空隙率部分へのガスの偏流により、スリット状部分間の原料部においては通気ガス量が低下し、燃焼帯降下が遅延することになる。これに対してスリット枚数を増やせば、ガス抜けがパレット全面に分散され、燃焼帯降下速度のパレット幅方向断面でのバラツキは緩和される。しかし、原料装入部位でスリット板の間に原料を十分に且つ均一に装入するためには、スリットの間隔を一定値以下に狭くすることはできない。例えば、CAMP−ISIJ Vol.9(1996)p.736の記載によれば、スリット板の間隔をxとすると、(スリット板の高さ)≦0.5xを満たすようにスリット板の間隔xを確保する必要がある。
【0014】
また、実操業においてはスリット板に原料が付着して、スリット板の厚みが実質的に厚くなったものを使用すると、高空隙率部分の容積が設計値よりも大きくなり、過剰に空気が抜ける部位が発生する。このような原料ベッド内の高空隙率部分の変動を防ぎ、空隙率制御を維持するためには頻繁なスリット板の清掃が必要であり、スリット板に加えて清掃装置を狭い原料装入部空間に設置しなくてはならなくなる。
【0015】
上述した先行技術3における問題点は、原料装入部位でスリット板を原料層中に配備し、原料装入当初から焼結原料ベッドに高空隙率部を形成させようとするために生じるものである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
先行技術1〜先行技術3には、上述した通りの問題点がある。即ち、先行技術1では、有空隙物質の性状に起因する問題点として、原料ベッド内に形成させる空隙維持の安定性に問題があり、本発明者等の目指す原料ベッド内の通気性改善目標に照らして十分ではない。先行技術2では、擬似粒子中のバインダー機能を有する水分が古紙に吸収され、外力で粒子崩壊を起こした鉱石粒子が、原料ベッドの通気性を悪化させたり、古紙に吸収された水分は燃焼帯で蒸発し、水分凝縮帯に供給される水分量が全く減少しなかったりする。また、先行技術3では、原料ベッド内に発生するガスの偏流に伴なうガス抜けによる焼結鉱歩留や強度の低下により、その生産性向上が行われなかったり、スリット板の保守管理に新たなコストがかかったりする。
【0017】
そこで、本発明においては、下方吸引式焼結機における焼結鉱製造プロセスにける上述した先行技術1〜先行技術3における問題点を含め、原料ベッド内の通気性改善により焼結鉱の歩留を低下させることなく、生産性を向上させようとする場合の問題点を解決することにした。そのために、焼結ベッド中に空隙を形成させる部位とタイミングとを適切に調節すると共に、その空隙の形成手段を適切化することにより、ベッド下部での通気状態を改善し、水分凝縮層の形成を制御することが可能となる方法を創案することを課題とした。更に、高結晶水鉱石を多配合した焼結原料を使用した場合の、焼成過程における水分発生量が増加した条件下においても、上記課題を解決し得る方法を創案することにした。
【0018】
かくして、本発明の目的は、上記課題を解決することにより、焼結歩留を低下させずに生産性を向上させるための焼結鉱の製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記観点から検討を重ね、下記着想を得た。
下方吸引式焼結機における原料ベッド下部での通気状態を改善し、水分凝縮層の形成を制御することは、下記事項の実施により可能である。即ち、原料ベッド内の通気性を改善しようとする高さ方向領域に、空隙形成用成形体を、設定した空隙率が確保されるように、原料ベッドの擬似粒子間に装入分布させる。その際、その空隙形成用成形体は、次の機能を有すると共に、その材料に対して次の作用・効果を発揮させる。
【0020】
▲1▼当該材料は、原料ベッド内の通気性を良好に維持すると共に、通気分布が均等であって、偏流を発生させず、水平面帯状の燃焼帯形状の形成により、焼結原料の未焼が発生しないこと、
▲2▼当該材料は、燃焼帯が原料ベッド内を上部から下部に向かって降下進行していく過程において、その燃焼帯前面が到着するできるだけ直前まで、焼失したり、消失したり、あるいは粉化したりせず、そして、当初装入時の分布形状を維持することにより、上層部からの脱水水分は、装入時に形成された空隙をガス流と共に通過し、過度の水分凝縮層が形成されないこと、しかも、燃焼帯前面が到着した時点においては、原料に混合されたコークス等燃料よりも早期にしかも速やかになくなって、当該焼失等後の空間領域に通気用の空隙が形成され、上層部からの脱水水分による過度の水分凝縮層が形成されないこと、
▲3▼当該材料からなる成形体は、上記消失時までは上層部分からの重量に耐え得るだけの強度を有し、崩壊しないこと。
【0021】
この発明は、上記着想及びこの着想の有効性を検証するための試験研究結果に基づきなされたものであり、その要旨は下記の通りである。
【0022】
本件第1の発明に係る焼結鉱の製造方法は、下方吸引式焼結機を用いる焼結鉱の製造において、原料ベッド内の燃焼帯の降下による昇温により、焼結原料中に混合された燃料よりも早期に焼失又は消失する材料で構成された成形体を、原料ベッド底面から上層側に向かって原料ベッド厚さ3分の2以下の所定層厚の領域に装入・分布させて焼成することに特徴を有するものである。
【0023】
ここで、焼結原料中に混合された燃料としては、通常焼結原料として配合されるコークス粉を主とする固体燃料の他に、焼結原料配合で使用される高炉で発生回収される高炉ダスト等雑原料中に含まれる粉コークス等の可燃性物質を含んでいてもよい。また、原料ベッド底面から上層側に向かって原料ベッド厚さ3分の2以下の所定層厚の領域とは、通常、焼結機パレット上面に一定層厚で、床敷き鉱が装入されるので、この床敷き鉱の層上面から上方に向かって原料ベッド厚さの3分の2程度までの領域を指す。なお、床敷き鉱を他の手段で代用する場合には、その代替物質層の上面を基準とする。
【0024】
本件第2の発明に係る焼結鉱の製造方法は、下方吸引式焼結機を用いる焼結鉱の製造において、原料ベッド内の燃焼帯の降下による昇温により、焼結原料中に混合された燃料よりも早期に焼失又は消失する材料で構成された成形体を、原料ベッド底面から上層側に向かって原料ベッド厚さ4分の1以下の所定層厚の領域に装入・分布させて焼成することに特徴を有するものである。
【0025】
本件第3の発明に係る焼結鉱の製造方法は、本件第1又は本件第2の発明において、上記成形体を構成する材料が古紙、容器包装紙由来の廃棄物等の紙類物質、木綿布や綿製品あるいはその廃棄物由来の繊維物質、おがくず、ドライアイス等であることに特徴を有するものである。
【0026】
本件第4の発明に係る焼結鉱の製造方法は、本件第1から本件第3のいずれかの発明において、上記成形体の大きさが、上記原料ベッドを構成している原料(擬似粒子)の粒径よりも大きいことに特徴を有するものである。
【0027】
本件第5の発明に係る焼結鉱の製造方法は、本件第1から本件第4のいずれかの発明において、上記焼結鉱製造用原料の主原料が鉄鉱石であって、結晶水を4mass%以上含有する鉄鉱石の割合が、上記原料ベッド中の全鉄鉱石の35mass%以上であることに特徴を有するものである。
【0028】
本件第6の発明に係る焼結鉱の製造装置は、下方吸引式焼結機の床敷槽と原料装入装置との間であってパレット上方部に、原料ベッド底面から上層側に原料ベッド厚さ3分の2以下の所定層厚の領域に空隙形成用成形体を装入分布させるための、空隙形成用成形体の装入ホッパーが配設されていることに特徴を有するものである。
【0029】
本件第7の発明に係る焼結鉱の製造装置は、本件第6の発明において、上記原料装入装置には焼結原料の粒度偏析装入機構が設けられており、上記空隙形成用成形体の装入ホッパーが、当該粒度偏析装入機構と上記床敷槽との間に設けられていることに特徴を有するものである。
【0030】
本件第8の発明に係る焼結鉱の製造装置は、本件第6の発明において、上記原料装入装置には焼結原料の粒度偏析装入機構が設けられており、上記空隙形成用成形体の装入ホッパーの切出し口が、その粒度偏析装入機構における粒度分級機能を有する部分に向けてその空隙形成用成形体を供給することができる部位に設けられていることに特徴を有するものである。
【0031】
次に、この発明における特徴的作用・効果について述べる。
【0032】
先ず、この発明においては、燃焼帯が原料ベッド内を降下してこれを昇温させる過程において、コークスよりも早期に燃焼して消滅する(焼失する)成形体、あるいは加熱されて分解・消失したり、あるいは昇華する性質を有する物質からなる成形体を、パレットへ原料を装入するときに原料ベッド下部に、原料と混じるように装入・分布させる。そのとき、成形体の粒度として、原料粒径よりも大き目のものを用いる。
【0033】
従って、燃焼帯が原料ベッド内を上部から下部へ降下して来るまでは、その原料ベッド内部にはその原料装入時における通常の充填状態が保持される。その結果、▲1▼空気が原料ベッド内部を局所的に流れる(偏流する)といった現象は発生しない。また、▲2▼成形体はベッド下部に存在させるので、これが実質的には混入していないベッド上層では擬似粒子から水分が吸収される事態を無視することができ、ベッド上層の擬似粒子の強度に何ら影響を与えないのも明らかである。よって、実際の焼結操業において原料ベッドへの上記成形体の装入・分布の制御において、不可避的に原料ベッドの上部に混入する程度の量であれば、その混入の有無を問題にする必要はない。
更に、▲3▼上記成形体が燃失等するまでは、原料ベッド内の下方吸引や上部原料層の自重による圧密化を下から支えることにより、原料ベッドの空隙率の低下を防ぐ。
【0034】
次いで、燃焼帯が原料ベッド下部に降下して成形体が存在するレベルに到達すると、周囲の燃料より早期に且つ速やかに焼失等して空隙を形成し、一気に原料ベッド下部の通気性を向上させる。その結果、原料ベッド下部の一定層厚分だけの燃焼が促進されて、焼結が促進される。このような焼成の短時間化に起因する焼結鉱の強度低下領域を、従来熱過剰から過剰に強固な焼結鉱となりがちな部分である原料ベッドの下部に限定することができる。
【0035】
ここで、原料ベッド下部とは、前述した通り、原料ベッド底面から上層側に向かって原料ベッド厚さ3分の2以下の所定層厚の領域を指す。この3分の2以下の所定層厚の領域の決定は、焼結機操業に固有の原料ベッドの層厚(高さ)の大小及び焼結操業条件により異なり、厳密に一定範囲内に限定することは困難である。しかしながら、下層部原料ベッド厚さ2分の1の領域に上記成形体が分布することが望ましく、本発明者等がポット炉を用いた焼結機の実機を想定して行なった試験によれば、特に、原料ベッドの最下層部底面から、約100〜150mmまでの所定厚さの領域に分布していることが重要であり、これを焼結機実機における原料ベッド厚さに対する割合でみると、原料ベッドの層厚さが各焼結機に固有の値として定められるので、厳密に特定することは困難であるが、原料ベッド厚さの約4分の1に相当する。
【0036】
但し、成形体の分布層厚が、原料ベッドの最下層部底面から約30mm以下まで薄くなると、上述したこの発明における作用・効果が低下傾向を示す。そして、成形物を床敷鉱上面に接して配置し、上記の通り成形物を装入分布させることにより、焼結鉱の強度低下は、最も熱過剰となるベッド最下端部に限定できる。こうして、焼結鉱の歩留低下を回避しつつ生産性を向上させることが可能となる。
【0037】
この発明の方法あるいは装置によれば、焼失等する成形体を原料ベッドの下部に均一に分散させることができるので、形成された空隙によって通気改善された領域がごく近い間隔でパレット全幅に渡って配置されることとなり、空隙間の部位でも周囲の空隙に向けて流れるガス量が増大して、空隙形成部と空隙間部の通気性格差が低減する結果、例えば、鉛直方向スリット状溝のように溝の位置だけ通気が抜けるということがなく、燃焼帯降下をパレット全幅で均一に促進することができる。そのためパレットスピード制御が容易となり、且つ、スリット板設置時にスリット板間の中間部での燃焼遅延により発生しやすい焼結ケーキ未焼分がクーラーに排出される量が、本発明では低減するので返鉱量の増加が抑制されて、焼結鉱歩留の低下が回避されつつ、生産率は向上する。
【0038】
この発明においては、焼失等する成形体の構成物質として古紙その他紙類物質のような水分吸収性を有する材料を用いた場合でも、その成形体の大きさについて、望ましくは焼結原料である擬似粒子に比べて大きい成形体にして装入することにより、擬似粒子との接触面積が相対的に減り、周囲の焼成が始まる以前の段階での擬似粒子からの水分吸収量は減少する。従って、脱水されることによる擬似粒子の崩壊が抑制される。むしろ、水分吸収材料からなる適切な性状の成形体を用いることにより、原料ベッドの上層部で脱水された水分を成形体自身の内部に吸収するので、従来の水分凝縮帯に水分が過剰に供給されて、原料擬似粒子間に過剰に水分が凝縮して通気性が悪化することを防ぐことになる。
【0039】
【発明の実施の形態】
次に、この発明を、図面を参照しながら説明する。
【0040】
図1〜図3に、本発明の通気性を改善した焼結鉱の製造方法及び装置を説明するための縦断面概略図を示す。図1〜図3においてはいずれも、空隙形成用成形体として、古紙成形物を用いた場合の例で説明する。
【0041】
図1は、古紙成形物を原料ベッドの最下部であって床敷鉱の上に装入する場合の焼結鉱製造装置の説明図であり、パレット上面に敷かれた床敷層(床敷鉱が敷かれている層)の上に古紙成形物を分散させて装入し、その上から焼結原料を装入する方式を説明するものである。同図において、1はサージホッパーであって焼結原料を供給するための貯留・切出し装置、2は装入ロール、3は装入シュートであって、1、2及び3で原料装入装置4を構成する。5は擬似粒子状の焼結原料(原料擬似粒子)、6はパレットであって同図中の矢印の方向に移動しており、7は床敷鉱、8は床敷槽であって床敷鉱を供給するための貯留・切出し装置、9は古紙成形物、10は古紙成形物槽であって古紙成形物の貯留・切出し装置、そして、11は原料ベッドである。床敷槽8と原料装入装置4との間に、古紙成形物槽10を設け、床敷鉱7の上に古紙成形物9を分散状態に所定量装入する。次いで擬似粒子状の焼結原料をサージホッパー1から装入・供給し、古紙成形物9の上に充填装入して、原料ベッド11を形成させる。こうして、原料ベッド11の最下部領域に古紙成形物9が所定の体積割合を占めるように当該古紙成形物9を装入・分布させる。なお、図1の古紙成形物槽10の構造は、古紙成形物9の形状がバルク、塊状ないしこれに類似の形状の場合には、常用されている構造のものであればよい。これに対して古紙成形物9の形状が板状、棒状あるいは錐状等の長物形状の場合であって、床敷鉱の上にこれらを立てた状態で配列し、原料中に分布させてもよい。この場合の古紙成形物槽10の構造としては、上記長物形状の古紙成形物を直立状態に保持する機構が付設されているものとする。その直立保持機構で多数の古紙成形物を立てた状態で焼結原料5を装入して原料ベッド最下部に分布させる。長物形状の古紙成形物を分布させたとき、その高さは5〜15cm程度の範囲内であることが望ましく、原料ベッドの高さに応じて必要な通気改善程度を満たすように、その高さを調節する。
【0042】
なお、上述した古紙成形物9の形状において、バルク、塊状ないしこれに類似の形状のものをもちいた場合には、長物形状の場合のように直立させずに床敷鉱の上に均等に分散させるだけで自在のまま、即ち、各々、落下して停止した状態のままでよく、通気性改善効果に対しては長物形状の場合と同様に、ベッド底部のある高さまで影響を及ぼすことができる。この場合の古紙成形物9の大きさは、最大10cm篩を通過する程度までに制限することが望ましい。
【0043】
図2は、古紙成形物を原料ベッドの最下部ないし原料ベッドの下部側に装入・分布させる場合の焼結鉱製造装置の説明図であり、サージホッパーからパレットに古紙成形物と焼結原料とを同時に装入する方式を説明するものである。同図において、12は粒度偏析装入機構の一種であって、ワイヤー型偏析装入シュートである。原料装入装置4のサージホッパー1に古紙成形物9と原料擬似粒子5とを入れ、サージホッパー1から古紙成形物9を原料擬似粒子5と一緒に装入する。ワイヤー型偏析装入シュート12はパレット6の幅方向に平行に張られた複数本のワイヤー12aからなり、ワイヤー12a間の間隔が下方に行くにつれて広く設定されているので、原料擬似粒子5より相対的に大きい古紙成形物9は、ワイヤー12a上を装入シュート12の下部まで滑り落ち、焼結ベッド下部に偏析する。ここで、古紙成形物9の形状としては、小塊、ペレット状(円柱状、角柱状で例えば、径10〜20mm、長さ30mm程度)、小板状等とする。そして、古紙成形物9は、サージホッパー1へ供給される前に原料擬似粒子5と接触する時間は短い方が、原料擬似粒子5からの水分吸収抑制の観点から望ましいので、原料擬似粒子5’と古紙成形物9’とは、サージホッパー1の直前で混合するか、又は原料擬似粒子5’と古紙成形物9”とは、サージホッパー1に同時に供給することが望ましい。
【0044】
図3は、古紙成形物を原料ベッドの最下部からその上方に所定厚みの原料ベッド内に装入・分布させる場合の焼結鉱製造装置の説明図であり、焼結原料が装入シュートを滑り落ちつつあるときに、この焼結原料に向けて古紙成形物を放出して焼結原料と共に落とし込む方式を説明するものである。12はワイヤー型偏析装入シュートであって粒度偏析装入機構の一種であって、12aはワイヤーであり、10は古紙成形物槽である。古紙成形物槽10の切出し口10aの位置が、ワイヤー型偏析装入シュート12の下端部の斜め上方に設けられいる。そして、古紙成形物槽10から切り出された古紙成形物9を、ワイヤー型偏析装入シュート12下部領域に向けて放出・供給する。一方、原料擬似粒子5は、サージホッパー1から切り出され、ワイヤー12aの上面を滑り落ちてワイヤー12aの間隔が相対的に広くなっているワイヤー型偏析装入シュート12下部領域でその粗粒部分がパレット6上に落下装入される。古紙成形物9の大きさを原料擬似粒子5の粒径よりも大きく調製しておけば、古紙成形物9はワイヤー型偏析装入シュート12下部領域から落下装入された、粗粒部分を多く含む原料擬似粒子に混ざってベッド下部に偏析する。
【0045】
この発明において、原料ベッド内の下部ないし最下部領域に装入分布させる空隙形成用成形体の形状・寸法については、上述したバルク、塊状ないしこれに類似の形状、板状、棒状あるいは錐状等の長物形状(その高さは5〜15cm程度の範囲内が望ましい)、小塊、ペレット状(円柱状、角柱状で例えば、径10〜20mm、長さ30mm程度が望ましい)、及び小板状等、の中に含まれるその他の具体例として、球、立方体、直方体、円錐状、角錐状、円錐台、角錐台等の他、不定形の塊状を呈する物が適している。特に、その寸法については、原料擬似粒子の粒径よりも大きいことが重要であり、原料擬似粒子の粒径と同程度ないしそれよりも小さいと、空隙形成用成形体が原料擬似粒子間に形成される空隙を埋めるようになるので、それは採用できない。
【0046】
この発明において、空隙形成用成形体の原料ベッド内における混合率は、多数の試験結果より、返鉱及びコークス等固体燃料を除く原料中に占める容積割合で、0.5〜10%の範囲内が適当であり、更に望ましくは2〜8%の範囲内であることがよい。この配合率は、この発明において供するのに適した各種の空隙形成用成形体の材質及び形態に対して、上記範囲内であればこの発明の目的を達成することができる。空隙形成用成形体の配合率が10%より多い場合には、当該成形体により原料ベッド層中で原料を排斥する嵩が増大し、焼成速度が上がっても生産性が向上しない。一方、この配合率が0.5%未満の場合には、形成される空隙量が少な過ぎて通気性が改善されず、目的の効果が得られない。
【0047】
この空隙形成用成形体の材質については、加熱により、コークスより早期に且つ速やかに燃焼してなくなる(この明細書において「焼失する」という)か、又はコークスの燃焼よりも早期に燃焼以外の現象により、例えば分解等してなくなる(この明細書において「消失する」という)性質を有することを要する。ここで、空隙形成用成形体を構成する材料は、焼結ベッドの温度・湿度条件下で十分な時間保持され得ること、例えば、ベッド下部においても60℃程度であるが、ここに燃焼帯が降りてくる以前に分解・昇華等しないことも必要であり、またコークスの燃焼性を低下させないことも必要である。しかも、この空隙形成用成形体は、燃焼帯前面が到着するできるだけ直前まで、焼失したり、消失したり、あるいは粉化したりせず、当初装入時の分布形状を維持できる性質を有するものであれば、特に制限しなくてもよい。但し、古紙、容器包装紙由来の廃棄物等の紙類物質、木綿布や綿製品等の廃棄物由来の繊維物質、おがくず、その他、一般廃棄物あるいは産業廃棄物等に含まれているものを活用できるものであれば、一層望ましい。
【0048】
なお、この明細書においては、上記「焼失」及び「消失」を合わせて「焼失等」という。
【0049】
この空隙形成用成形体の成形方法については、上述した形状・寸法、昇温時の消失性に関する所要条件を満たし、且つ原料ベッド内において、上層部原料の重量により実際上押し潰されない強度を付与できる方法であれば、特に限定しない。また、一旦成形後に、所定の粒度、寸法、例えば数cmの塊状等に破砕あるいはせん断等をしてこれを調製してもよい。
【0050】
この空隙形成用成形体の具体的な例として、紙類の成形体があげられる。本発明ではこれを原料ベッド中で焼却すること自体が目的ではなく、適切なタイミングの焼失で発生した空隙を利用して、焼結鉱生産の増大を図ることが目的であるから、空隙形成用成形体の材料としては廃棄物質に限定する必要はなく、コストバランスを考慮して廃棄物以外のものを使用することができる。更に、古紙のように紙としては廃棄物になるようなものでも、成形すれば有効利用が可能となり、一層望ましい。なお、当該成形体が備えるべき性質は、厳密な焼失、分解・消失、あるいは昇華でなくても、焼結鉱の化学成分への影響が軽微なら、少量の灰分が残っても差し支えない。
【0051】
上述したこの発明の実施の形態により、下方吸引式焼結機の操業において、焼結原料ベッド下部の通気性を制御することが可能となる。そして、更に、最近の鉄鉱石供給事情における高結晶水鉱石の多量配合による焼結操業において、著しい効果をもたらす。即ち、焼結原料ベッド下部の通気性改善効果は、高結晶水鉱石配合比率が少ない場合でも得られるが、特に原料鉱石中に35mass%を超える高水準で高結晶水鉱石が配合されている場合には、本発明を実施した場合としない場合とでは、原料ベッド内での水分凝縮層の低減効果が大きく現れて、焼成時間が著しく短縮される。
【0052】
【実施例】
この発明を、原料装入部分の内容積が280mmφ×450mm高さのポット炉を用いて、表1に示す原料等の配合条件により、実施試験を行なった(表1中の実施例1、2及び3)。空隙形成用成形体として古紙成形物を用い、上記ポット炉内に古紙成形物が、擬似粒子状焼結原料の内部高さ方向の所定位置に分布するように充填して、原料ベッドを形成した。ポット内原料ベッドへの点火条件は、90秒間で原料ベッド上面温度が900℃に到達するように調節した。引き続き焼成中は、原料ベッドの上下面の大気圧差を、9800N/m2に保持した。なお、比較例の試験として、古紙成形物を焼結原料中に配合・分布させず、それ以外の条件は実施例1、2及び3に準じた条件で原料を焼成した(表1中の比較例1、2)。
【0053】
【表1】
【0054】
表1の配合表において、焼結用ブレンド粉、Y鉱石、石灰石及び生石灰の合計で100mass%とし、返鉱と粉コークスとは外数表示である。そして、実施例1〜3における古紙成形物の配合割合(容積%)の表示は、上記100mass%の内、同表に示した容積%分を古紙成形物で置換したことを示すものである。
【0055】
また、同表中、実施例1〜3における古紙成形物の内、コーン▲1▼は底面の径が5cmで高さ10cmのコーン状の成形物、棒状▲2▼は12mmφ×30mm長さのペレット状の成形物である。なお、この試験はポット炉での試験であることに鑑み、▲1▼、▲2▼の寸法、形状は、焼結機実機への適用を想定して決めた。
【0056】
コーン▲1▼については、図1に示した古紙成形物槽を用いた実操業への適用を想定し、ポット炉の原料ベッド最下部に、高さ方向を鉛直に立てて、当該コーンの高さ1層分だけの厚さで床敷鉱上面に均等分布させた。
【0057】
棒状▲2▼については、図3に示した古紙成形物槽を用いた実操業への適用を想定し、ポット炉の原料ベッド最下部の床敷鉱上面から上方に高さ約225mmまでの範囲内に均等に装入・分布させた。但し、▲1▼、▲2▼共に、古紙成形物が分布する高さ領域における容積%は、上述した表1の説明における定義で、実施例1及び実施例3が1.2%、実施例2が5%である。
なお、原料ベッドの全高さは実施例、比較例のすべてにおいて、450mmである。
【0058】
なお、表1中の焼結用ブレンド粉には、表2に記載した通り、高結晶水鉱石が27.7mass%含まれており、これらの各銘柄鉱石が含有する結晶水は9〜10.4mass%である。
そして、比較例2及び実施例3においては、原料中全鉄鉱石に占める高結晶水鉱石の割合は40.1mass%であり、高結晶水鉱石の高配合率条件下での試験を行なった。
【0059】
表2に、使用した各原料の成分組成を示し、表3に、焼成後の成品焼結鉱の成分組成を示す。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
実施例及び比較例において得られた試験結果を図4〜6に示す。
【0063】
なお、上記試験は、本発明の実機への適用を考慮して、下記試験条件で行なった。
焼結時間:点火開始時点から、ポット炉の原料支持用の目板(ロストル)の直下で測定した排気ガスの温度がピークとなるまでの時間。
歩留:JIS M8711の落下強度試験に用いる落下装置で2m高さから焼結ケーキを1回落下させた後で、呼び寸法10mmの篩上に残留する粒子重量の、落下前ケーキ重量に対する割合。
生産率:上述の歩留で説明した10mm篩上残留分重量を、ポット炉の試料部底面積と上述の焼結時間で除した値
図4は、焼結時間について実施例と比較例とを比較したグラフである。実施例においては、原料ベッド内の下部領域に古紙成形物を装入・分布させることにより、焼結時間が大幅に短縮された。
【0064】
図5は、粒度が+10mmの焼結鉱の成品歩留を示すグラフである。高結晶水鉱石を多配合した比較例2と実施例3とはいずれも歩留水準はやや低目であるが、高結晶水鉱石の配合率の高低によらず、原料ベッド内の下部領域に古紙成形物を装入・分布させた(実施例1〜3)ことの歩留に及ぼす影響は、殆ど見られない(比較例1に対する実施例1、実施例2の歩留、並びに、比較例2に対する実施例3の歩留を参照)。
【0065】
図6は、上記焼結鉱成品の生産率を示すグラフである。実施例1及び実施例2においては、比較例1に対して生産率が大幅に増大した。一方、比較例1と比較例2(高結晶水鉱石の多配合試験)とについて生産率を比較すると明らかなように、高結晶水鉱石を多配合した比較例2において、生産率は低下している。しかし、これに対して、高結晶水鉱石を多配合しても、原料ベッド下部領域に古紙成形物を装入・分布させた実施例3においては、比較例2におけるよりも生産率が著しく上昇し、比較例1における生産率をも上回る程度にまで改善された。
【0066】
上述した通り、原料ベッドの下部領域に、古紙成形物を適切に装入・分布させることにより、歩留低下をきたすことなく生産性の向上がなされることが確認された。ここで、空隙形成用成形体として使用した古紙成形物は、原料ベッド内を燃焼帯が降下してその温度が上がると、焼結原料中に混合されたコークス等の燃料よりも早期に焼失する。上記実施例で得られた結果は、古紙成形物と類似の燃焼・焼失挙動及び強度を示す性質を有するものを空隙形成用成形体として使用しても、同様に得られることが容易に推定される。
【0067】
【発明の効果】
この発明によれば、下方吸引式焼結機による鉄鉱石の焼結鉱製造プロセスにおいて、焼結ベッド中に空隙を形成させる部位とタイミングとを適切に調節すると共に、その空隙の形成手段を適切化することにより、ベッド下部での通気状態を改善し、水分凝縮層の形成を制御することが可能となる。即ち、焼結原料ベッド下部の通気性を制御することが可能となり、焼結鉱の成品歩留を低下させることなく、焼成時間を短縮して、焼結鉱の生産量増大を図ることが可能となる。更に、高結晶水鉱石を多配合して、焼成過程における水分発生量が一段と増加した条件下においても、同様に焼結原料ベッド下部の通気性を制御することが可能となり、焼結鉱の成品歩留を低下させることなく、焼成時間を短縮して、焼結鉱の生産量増大を図ることが可能となる。この発明によれば、このような効果が発揮される、下方吸引式焼結機の操業における通気性を改善した焼結鉱の製造方法及び装置を提供することができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、古紙成形物を原料ベッドの最下部であって床敷鉱の上に装入する場合の焼結鉱製造装置例の説明図である。
【図2】本発明において、古紙成形物を原料ベッドの最下部ないし原料ベッドの下部側に装入・分布させる場合の焼結鉱製造装置例の説明図である。
【図3】本発明において、古紙成形物を原料ベッドの最下部からその上方に所定厚みの原料ベッド内に装入・分布させる場合の焼結鉱製造装置例の説明図である。
【図4】焼結時間について実施例と比較例とを比較したグラフである。
【図5】焼結鉱の成品歩留について実施例と比較例とを比較したグラフである。
【図6】焼結鉱成品の生産率について実施例と比較例とを比較したグラフである。
【符号の説明】
1 サージホッパー
2 装入ロール
3 シュート
4 原料装入装置
5、5’ 擬似粒子状原料(原料擬似粒子)
6 パレット
7 床敷鉱
8 床敷鉱
9、9’、9” 古紙成形物
10 古紙成形物槽
10a 切出し口
11 原料ベッド
12 ワイヤー型偏析装入シュート
12a ワイヤー
Claims (7)
- 下方吸引式焼結機を用いる焼結鉱の製造において、焼結原料中に混合された燃料よりも早期に焼失又は消失する材料である古紙、容器包装紙由来の廃棄物の紙類物質、木綿布や綿製品あるいはその廃棄物由来の繊維物質、おがくずで構成された成形体を、原料ベッド底面から上層側に原料ベッド厚さ3分の2以下の所定層厚の領域に装入分布させて焼成することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
- 下方吸引式焼結機を用いる焼結鉱の製造において、焼結原料中に混合された燃料よりも早期に焼失又は消失する材料である古紙、容器包装紙由来の廃棄物の紙類物質、木綿布や綿製品あるいはその廃棄物由来の繊維物質、おがくずで構成された成形体を、原料ベッド底面から上層側に原料ベッド厚さ4分の1以下の所定層厚の領域に装入分布させて焼成することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
- 前記成形体の大きさは、前記原料ベッドを構成する焼結原料である擬似粒子粒径よりも大きいことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の焼結鉱の製造方法。
- 前記焼結原料の主原料である鉄鉱石のうち結晶水を4mass%以上含有する鉄鉱石の割合が、前記原料ベッド中の全鉄鉱石中の35mass%以上であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の焼結鉱の製造方法。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載の焼結鉱の製造方法に用いる下方吸引式焼結機であって、下方吸引式焼結機の床敷槽と原料装入装置との間であってパレット上方部に、原料ベッド底面から上層側に空隙形成用の前記成形体を装入分布させるための、空隙形成用成形体の装入ホッパーが配設されていることを特徴とする下方吸引式焼結機。
- 前記原料装入装置には焼結原料の粒度偏析装入機構が設けられていることを特徴とする、請求項5記載の下方吸引式焼結機。
- 前記原料装入装置には焼結原料の粒度偏析装入機構が設けられており、前記空隙形成用成形体の装入ホッパーの切出し口は、当該粒度偏析装入機構における粒度分級機能部分に当該空隙形成用成形体を供給し得る部位に設けられていることを特徴とする、請求項5記載の下方吸引式焼結機。
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