JP4882033B1 - 金属ベローズの製造方法及び金属ベローズ - Google Patents

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Abstract

【課題】充分な伸縮ストロークを確保することができる金属ベローズを拡散接合で製造することが可能な製造方法を提供する。
【解決手段】複数の金属製の円環状薄板3,4の隣接する外周縁3a,4a同士及び内周縁3b,4b同士が交互に接合されて蛇腹状に一体化された金属ベローズ2の製造方法である。予め円環状薄板3,4は外周縁3a,4aと内周縁3b,4bとは板厚方向に間隔を設けて形成されている。そして、円環状薄板3,4の接合する外周縁3a,4a同士及び内周縁3b,4b同士を圧接させるとともに、隣接するが接合されない円環状薄板3,4の間に間隙を設けた状態で、圧接させた外周縁3a,4a同士及び内周縁3b,4b同士を直接拡散接合する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属ベローズの製造方法及び金属ベローズに関する。
従来、円環状薄板(ベローズ板)で構成される金属ベローズは、一般的に、円環状薄板同士の外周縁と内周縁とを交互に溶接して製造されている。しかしながら、溶接スパークによって部分的な欠陥が生じやすいという問題がある。また、金属ベローズの有効長を長くするために円環状薄板の枚数を増やすと、溶接量が多くなり、高コスト化するという問題がある。さらに、円環状薄板の溶接部形状が熱歪で変形し、溶接部近傍の円環状薄板の密着性が悪化するという問題もある。
そこで、金属製ベローズを拡散接合で製造することが提案されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。拡散接合で接合することにより、溶接スパークによる部分的な欠陥の発生、溶接量の増大に応じた高コスト化、接合部形状の熱歪による変形の発生という問題を解消することができる。
特許文献1には、内周縁接合用及び外周縁接合用の狭幅なリングの両表面を円環状薄板に当接させて積層した状態で、円環状薄板とリングとを接合して、金属ベローズを製造することが記載されている。リングの片表面又は両表面にはインサート材が形成され、リングの残りの表面には接合防止用膜が形成されている。
特許文献2には、内周縁及び外周縁の接合用又は剥離用の狭幅なリングの両表面を円環状薄板に当接させて積層した状態で、円環状薄板と接合用リングとを接合して、金属ベローズを製造することが記載されている。接合用リングの両表面にはインサート材が設けられ、剥離用リングの両表面には剥離材が設けられている。
特許文献3には、片表面の内周縁又は外周縁に接合膜を表面の他の部分には接合防止膜を形成した円環状薄板に当接させて積層した状態で、円環状薄板同士を接合膜を介して接合して、金属ベローズを製造することが記載されている。
特開平4−294884号公報 特開平2−309061号公報 特開昭61−105393号公報
しかしながら、金属ベローズは、伸縮させる圧力が印加されたときにその圧力を吸収する機能を有しており、ニュートラル状態(自由状態、非伸縮状態)の形状を用途に応じて設定することが重要である。
上記特許文献1乃至3に記載された製造方法では、最大限に圧縮された状態で拡散接合しているので、接合後に引張成形で伸張させて金属ベローズをニュートラルの形状に形成する必要があり、充分な伸縮ストロークを確保できないという課題がある。即ち、密着時と伸張時との寸法差が小さいので、限られたスペース内で大きな伸縮ストロークが要求される用途での使用には適さない。
また、上記特許文献1乃至3に記載された製造方法では、円環状薄板はリングや接合膜を介して液相拡散接合されるので、圧縮状態における接合部近傍の円環状薄板の密着性が劣る、接合面が多いので気密性に問題が生じるおそれが高いという課題がある。
本発明は、以上の点に鑑み、充分な伸縮ストロークを確保することができる金属ベローズを拡散接合で製造することが可能な製造方法を提供する。また、充分な伸縮ストロークを確保することができ、拡散接合で製造した金属ベローズを提供することを目的とする。
本発明の金属ベローズの製造方法は、複数の金属製の環状薄板の隣接する外周縁同士及び内周縁同士が交互に接合されて蛇腹状に一体化された金属ベローズの製造方法であって、前記環状薄板の外周縁と内周縁とは板厚方向に前記金属ベローズが自由状態であるときと同等の間隔を設けて形成されており、前記環状薄板の接合する外周縁同士及び内周縁同士を圧接させるとともに、隣接するが接合されない前記環状薄板の間に間隙を設けた状態で、前記圧接させた外周縁同士及び内周縁同士を直接拡散接合することを特徴とする。
本発明の金属ベローズの製造方法によれば、予め環状薄板の外周縁と内周縁とは板厚方向に間隔を設けて形成されており、拡散接合時に隣接するが接合されない環状薄板の間に間隙を設けて接合される。これにより、金属ベローズは接合状態を基準として伸縮可能となるので、充分な伸縮ストロークを確保することができる。よって、密着時と伸張時との寸法差が大きいので、限られたスペース内で大きな伸縮ストロークが要求される用途での使用にも適している。
なお、押圧力を印加せずに環状薄板を自然に積み重ねた状態で、換言すれば、予め環状薄板の外周縁と内周縁とは板厚方向に設けた間隔を保った状態で、環状薄板を接合することが好ましい。
さらに、上記特許文献1及び2に記載されたようなリングを介することなく、直接接合されるので、圧縮状態における接合部近傍の環状薄板の密着性が良好となり、接合面が少ないので気密性に優れた金属ベローズを製造することができる。
また、本発明の金属ベローズの製造方法において、隣接するが接合されない前記環状薄板の間の間隙は、前記金属ベローズが自由状態であるときの隙間と同等である。
この場合、接合時の金属ベローズの形状が接合後(完成時)の金属ベローズの自由状態(ニュートラル状態)の形状と同等であるので、充分な伸縮ストロークを確保することができる。なお、同等とは、同じである場合の他、数十%の相違を含むものである。
また、本発明の金属ベローズの製造方法において、前記環状薄板の隣接するが接合されない外周縁及び内周縁の間に型を介在させることにより、前記間隙を設けたことが好ましい。
この場合、型を用いることにより、前記間隙を精度良く確実に設けることができるとともに、環状薄板の接合する外周縁同士及び内周縁同士を確実に圧接することが可能となる。
なお、前記型は、前記外周縁の間に介在する外型と、前記内周縁の間に介在する内型とからなり、前記外型の前記外周縁と当接する表面及び前記内型の前記内周縁と当接する表面に剥離手段が設けられていることが好ましい。
この場合、型を用いて容易に環状薄板の隣接する外周縁同士及び内周縁同士を交互に接合することができる。なお、剥離手段は、例えば、剥離層を形成して、又は剥離材を塗布して設ければよい。
前記環状薄板は、当該金属ベローズの縮小状態時に互いに密着することも好ましい。
この場合、圧縮状態における接合部近傍の環状薄板の密着性がさらに良好となる。そして、これにより、金属ベローズをポンプとして用いた場合、伸縮時の流体の吐出力、吐出容量が正確となる。
本発明の金属ベローズは、複数の金属製の環状薄板の隣接する外周縁同士及び内周縁同士が交互に直接固相拡散接合されて蛇腹状に一体化されたことを特徴とする。
本発明の金属ベローズによれば、上記特許文献1乃至3に記載されたようなリングや接合膜を介することなく、環状薄板同士が直接固相拡散接合されるので、圧縮状態における接合部近傍の環状薄板の密着性が良好であり、接合面が少ないので気密性に優れる。
また、本発明の金属ベローズにおいて、前記接合された外周縁の内側端部から内側方向に向う前記環状薄板のなす角度、及び前記接合された内周縁の外側端部から外側方向に向う前記環状薄板のなす角度がともに0度である。
この場合、金属ベローズの繰り返し伸縮による撓みに対する耐久性が優れたものとなる。接合された外周縁の内側端部及び接合された内周縁の外側端部に0度でない角度がある場合、金属ベローズの繰り返し伸縮による撓みによって、これら接合端部が応力集中により破損するおそれが高い。
また、本発明の金属ベローズにおいて、前記各環状薄板には、その一方の周縁に沿って波打ち、該一方の周縁に沿った山状又は谷状の各波が当該一方の周縁から他方の周縁に向かって漸次幅が狭くなるひだが形成されていることが好ましい。
この場合、金属ベローズの圧縮に伴い各環状薄板の一方の周縁に生じる撓みがひだで吸収されるので、環状薄板の周方向に無理な力が生じない。よって、金属ベローズの繰り返し伸縮による耐久性が優れたものとなる。
(a)は本発明の実施形態に係る金属ベローズの半断面図であり、(b)は(a)のB部分の拡大図。 実施例の一例である型を用いて円環状薄板を積層させた状態を示す断面図。 本発明の実施形態に係る変形に係るひだが形成された円環状薄板の説明図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のB−B線断面図。 本発明の実施形態に係る別の変形に係るひだが形成された円環状薄板を説明する上面図。
本発明の実施形態に係る金属ベローズの製造方法について説明する。本製造方法は、図1(a)に示す金属ベローズ部品1の金属ベローズ2を製造するものである。
金属ベローズ部品1は、複数の金属製の円環状薄板3,4の隣接する外周縁3a,4a同士及び内周縁3b,4b同士が交互に接合されて蛇腹状に一体化された金属ベローズ2と、金属ベローズ2の両端部に溶接で接合されたフランジ部材5,6とから構成されている。
円環状薄板3,4は、冷間加工などにより薄板状に圧延され後に、プレス成形などによって形成されている。円環状薄板3,4の板厚は、一般的には0.05〜0.5mm程度、好ましくは0.1〜0.2mmである。ただし、金属ベローズ2を構成する円環状薄板3,4の枚数などに応じては、さらに厚い板厚であってもよい。
金属ベローズ2は繰り返し伸縮される。そのため、円環状薄板3,4は、適宜な強度と適宜な結晶粒度を備えるとともに、拡散接合に適した材質からなる必要があり、例えば、ステンレス鋼から形成される。円環状薄板3,4は、特にSUS316Lなどのオーステナイト系ステンレス鋼から形成されることが好ましい。ただし、円環状薄板3,4は、ステンレス鋼から形成されることに限定されず、鉄、アルミニウム、銅、チタン、及びこれらを主成分とする合金などから形成されるものであってもよい。
円環状薄板3,4は、外周縁3a,4a及び内周縁3b,4bが平らであり、その中間部3c,4cは断面同心波形状である。円環状薄板3,4は、予め外周縁3a,4aと内周縁3b,4bとは板厚方向に間隔(ピッチ)を設けて形成されている。この間隔は、板厚の1.5〜20倍程度であり、好ましくは板厚の3〜5倍である。なお、円環状薄板3,4の間隔は、同じでも異なっていてもよい。
そして、第1の円環状薄板3は、外周縁3aから内周縁3bにかけて同心波形を描いて凹凸に波打ちながら,全体として板厚方向の一方向(図1の下方向)に向かっている。他方、第2の円環状薄板4は、外周縁4aから内周縁4bにかけて同心波形を描いて凹凸に波打ちながら,全体として板厚方向の他方向(図1の上方向)に向かっている。
なお、金属ベローズ2の縮小状態時に、円環状薄板3,4は、互いに重なり合い、その波形断面の複数の環状ひだが互いに密着することも好ましい。この場合、金属ベローズ2をポンプとして用いた場合、伸縮時の流体の吐出力、吐出容量が正確となる利点がある。ただし、この場合も、円環状薄板3,4は完全に重なり合う必要はなく微小な隙間があってもよい。
円環状薄板3,4は、外周縁3a,4aの内側端部から内側方向に水平に延出し、内周縁3b,4bの外側端部から外側方向に水平に延出している。
また、波数は限定されず、波数が1つのS字であってもよく、波形状がなく平らなものであっても、波形状の代わりに又は波形状に加えて溝形状などが形成されているものであってもよい。
フランジ部材5,6は、円環状薄板3,4と接合可能な材料で形成されていればよく、円環状薄板3,4と同等の材料でも形成されていても、異なる材料で形成されていてもよい。また、金属ベローズ2とフランジ部材5,6との間に継管などを介在させてもよい。
複数の円環状薄板3,4は、型を用いて、金属ベローズ2の伸縮方向(図1(a)の上下方向)に同軸上に積み重ね、交互に重ね合わせて積層された状態で接合される。これにより、円環状薄板3,4の接合する外周縁3a,4a同士及び内周縁3b,4b同士を圧接させるとともに、隣接するが接合されない円環状薄板3,4の間に間隙を設けた状態となる。
そして、隣接するが接合されない円環状薄板3,4の間の間隙は、金属ベローズ2がニュートラル状態であるときの隙間と同等である。
型は、外周縁3a,4aの間に介在する外型と、内周縁3b,4bの間に介在する内型(中子型)を含んでいる。
外型は、積層された円環状薄板3,4の外側に配置され、外周縁3a,4aと当接する表面に剥離手段が設けられている。剥離手段は、例えば、剥離層を形成して、又は剥離材を塗布して設けられる。円環状薄板3,4がステンレス鋼から形成されている場合、外型本体の材質は例えばSUS304、SUS316などのステンレス鋼であり、剥離層又は剥離材の材質は、例えばアルミナ又はシリカであることが好ましい。
内型は、積層された円環状薄板3,4の内側の孔を挿通した状態で配置され、内周縁3b,4bと当接する表面に、外型と同様の剥離手段が設けられている。円環状薄板3,4がステンレス鋼から形成されている場合、内型本体の材質は例えばSUS304、SUS316などのステンレス鋼であり、剥離層又は剥離材の材質は、例えばアルミナ又はシリカであることが好ましい。
型を用いて交互に積層された状態の円環状薄板3,4は、加熱炉内に配置される。加熱炉内は高真空雰囲気、あるいは高純度不活性ガス雰囲気である。そして、シリンダなどの図示しない加圧装置によって積層方向に0.5〜20MPaの加圧力を印加した状態で、加熱して保持する。円環状薄板3,4がステンレス鋼から形成されている場合、700〜1200℃、より好ましくは800〜950℃に加熱して、10〜60分間保持する。これにより、当接された外周縁3a,4a及び内周縁3b,4bは固相拡散接合で接合される。
外型及び内型は割型構造であり、接合後に型を取り外すことにより、ニュートラルの状態での金属ベローズ2が形成される。
以上のように、型を用いて交互に積層された状態の円環状薄板3,4は、外周縁3a,4a同士及び内周縁3b,4b同士が交互に接合されて蛇腹状に一体化され、全体として略円筒状の金属ベローズ2が製造される。そして、この金属ベローズ2の両端部にフランジ部材5,6を溶接で接合することより、金属ベローズ部品1が得られる。
金属ベローズ2は、拡散接合時にニュートラル状態の形状に形成されているので、充分な伸縮ストロークを確保することができる。よって、密着時と伸張時との寸法差が大きいので、限られたスペース内で大きな伸縮ストロークが要求される用途での使用にも適している。
また、円環状薄板3,4は、上記特許文献1及び2に記載されたようなリングを介することなく、直接接合されるので、圧縮状態における接合部近傍の円環状薄板3,4を密着させることも可能となる。また、金属ベローズ2は、接合面が少ないので気密性に優れたものとなる。
ところで、接合された外周縁の内側端部及び接合された内周縁の外側端部に0度でない角度がある場合、金属ベローズの繰り返し伸縮による撓みによって、これら接合端部が応力集中により破損するおそれが高い。
そこで、金属ベローズ2では、接合された外周縁3a,4aの内側部分及び内周縁3b,4bの外側部分が接合されていない。これにより、接合された外周縁3a,4aの内側端部から内側方向に向う円環状薄板3,4のなす角度、及び接合された内周縁3b,4bの外側端部から外側方向に向う円環状薄板3,4のなす角度がともに0度となっている。よって、金属ベローズ2の繰り返し伸縮による撓みに対する耐久性が優れたものとなる。
以下、実施例の一例である型10について説明する。
型10は、図2に示すように、複数の外子11〜11からなる外型11と、複数の中子12〜12からなる内型12と、外型11の外周と嵌合する筒状の筒型13と、内型12の内周と嵌合する円柱状の芯型14と、外型11、内型12、筒型13及び芯型14を受ける受型15と、外型11及び内型12に押圧力を付与する押型16とから構成されている。
外子11〜11は、略短筒状であり、それぞれ円環状薄板3,4の接合されない外周縁3a,4aの間に配置されて、これらの位置決めを行う。そして、円環状薄板3,4の接合される外周縁3a,4aは外子11〜11の間に挟まれて接触する。外子11〜11の円環状薄板3,4と当接して位置決めを行う部分の表面には、剥離手段が設けられている。
内子12〜12は、それぞれ、その長さが金属ベローズ2の内径より短くなるように円周方向に分割されており、組み合わされて全体として略短筒状となる。この組み合わされた内子12〜12は、それぞれ円環状薄板3,4の接合されない内周縁3b,4bの間に配置されて、これらの位置決めを行う。そして、円環状薄板3,4の接合される内周縁3b,4bは内子12〜12の間に挟まれて接触する。内子12〜12の円環状薄板3,4と当接して位置決めを行う部分の表面には、剥離手段が設けられている。
この型10を用いて金属ベローズ2を製造する方法について説明する。
まず、受型15に筒型13及び芯型14を嵌め込む。そして、筒型13と芯型14との間に形成される筒状の空間の最下部に最下部用の外子11及び中子12を嵌め込む。そして、これらの上に、円環状薄板3を嵌め込み、その上から、中子12、円環状薄板4、外子11を順次嵌め込む。これにより、円環状薄板3,4の外周縁3a,4aが接触するとともに、円環状薄板3,4の内周縁3b,4bは中子12によって所定の間隔を隔てられる。次に、外子11、円環状薄板3を嵌め込む。これにより、円環状薄板3,4の内周縁3b,4bは接触するとともに、円環状薄板3,4の外周縁3a,4aは外子11によって所定の間隔を隔てられる。
以降、中子12、円環状薄板4、外子11、円環状薄板3を順次嵌め込む。これをkがN−1となるまで繰り返す。最上部用の外子11及び中子12を嵌め込んだ後、押型16を最上部の外子11及び中子12の上面に押し当てる。
この状態で、型10によって積層された円環状薄板3,4を、加熱炉内に配置する。そして、シリンダなどの図示しない加圧装置によって下方向に加圧力を押型16に印加した状態で、加熱して保持する。これによって、円環状薄板3,4の接触した外周縁3a,4a同士及び内周縁3b,4b同士が接合されて、金属ベローズ2が完成する。
接合後、加熱炉内から取り出して、押圧を解除する。そして、押型16、筒型13及び芯型14を取り外した後、外子11〜11及び内子12〜12を順次取り外す。内子12〜12は、その長さが金属ベローズ2の内径より短くなるように分割されているので、金属ベローズ2の内径側から取り外すことができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、金属ベローズ2は2種類の円環状薄板3,4で構成され全体として略円筒状である場合について説明した。しかし、金属ベローズは、2種類を超える円環状薄板で構成され全体として樽状などであってもよい。さらに、金属ベローズは、円環状薄板3,4の代わりに、外形及び中心部の孔が矩形、楕円形、長円形などの金属製薄板で構成されていてもよい。
また、図3(a)に示すように、円環状薄板3A,4Aに、その内周端縁3b,4bに沿って波打ち、該内周縁3b,4bに沿った山状又は谷状の各波が当該内周縁3b,4bから外周端3a,4aに向かって漸次幅が狭くなるひだ17が形成されていることが好ましい。ひだ17は、内周縁3b,4bに沿って複数設けられた略二等辺三角形状の領域に形成されており、各波の頂点を連ねた線を二点鎖線17aで、各波の谷底点を連ねた線を二点鎖線17bで示している。
この場合、図3(b)を参照して、円環状薄板3A,4Aは、金属ベローズ2がニュートラル状態では実線で示す形状であり、伸長状態では円環状薄板3A,4Aのように変形し、縮小状態では円環状薄板3A,4Aのように変形する。同図から分かるように、圧縮させるに伴い、内周縁3b,4bは中心側に移動して、円環状薄板3A,4Aの内径が縮小する。しかし、金属ベローズ2が圧縮されても、ひだ17で内周縁3b,4bの撓みが吸収されるので、円環状薄板3A,4Aの周方向に無理な力が生じない。よって、金属ベローズ2の繰り返し伸縮に対する耐久性が優れたものとなる。なお、ひだ17は、円環状薄板3A,4Aの成形したとき、金属ベローズ2がニュートラル状態であるときの形状に形成される。
また、ひだ17を設けた場合、金属ベローズ2を伸張させると内径が広がるので、前記内子12〜12の外径を伸張時の金属ベローズ2の内径よりも小さくすれば、接合後に金属ベローズ2を伸張させることにより、内子12〜12を取り外すことが可能になる。よって、内子12〜12を分割させる必要がなくなり、型10を用いた金属ベローズ2の製造が容易になる。
さらに、図4に示すように、円環状薄板3B,4Bに、その外周縁3a,4aに沿って波打ち、該外周縁3a,4aに沿った山状又は谷状の各波が当該外周縁3a,4aから内周端3b,4bに向かって漸次幅が狭くなるひだ18が形成されていることが好ましい。ひだ18、外周縁3a,4aに沿って複数設けられた略二等辺三角形状の領域に形成されており、各波の頂点を連ねた線を二点鎖線18aで、各波の谷底点を連ねた線を二点鎖線18bで示している。
この場合も同様に、金属ベローズ2が圧縮されても、ひだ18で外周縁3a,4aの撓みが吸収されるので、円環状薄板3B,4Bの周方向に無理な力が生じない。よって、金属ベローズ2の繰り返し伸縮に対する耐久性が優れたものとなる。なお、ひだ18は、円環状薄板3B,4Bの成形したとき、金属ベローズ2がニュートラル状態であるときの形状に形成される。また、ひだ18を設ける場合、フランジ部材5,6を、円環状薄板3B,4Bの内周縁3b,4bに接合する必要がある。
1…金属ベローズ部品、 2…金属ベローズ、 3,3A,3B…第1の円環状薄板、 4,4A,4B…第2の円環状薄板、 3a,4a…外周縁、 3b,4b…内周縁、 3c,4c…中間部、 5,6…フランジ部材、 10…型、 11…外型、 11〜11…外子、 12…内型、 12〜12…中子、 13…筒型、 14…芯型、 15…受型、 16…押型、 17,18…ひだ。

Claims (7)

  1. 複数の金属製の環状薄板の隣接する外周縁同士及び内周縁同士が交互に接合されて蛇腹状に一体化された金属ベローズの製造方法であって、
    前記環状薄板の外周縁と内周縁とは板厚方向に前記金属ベローズが自由状態であるときと同等の間隔を設けて形成されており、
    前記環状薄板の接合する外周縁同士及び内周縁同士を圧接させるとともに、隣接するが接合されない前記環状薄板の間に前記金属ベローズが自由状態であるときの隙間と同等の間隙を設けた状態で、前記圧接させた外周縁同士及び内周縁同士を直接拡散接合することを特徴とする金属ベローズの製造方法。
  2. 前記環状薄板の隣接するが接合されない外周縁及び内周縁の間に型を介在させることにより、前記間隙を設けたことを特徴とする請求項1に記載の金属ベローズの製造方法。
  3. 前記型は、前記外周縁の間に介在する外型と、前記内周縁の間に介在する内型とからなり、前記外型の前記外周縁と当接する表面及び前記内型の前記内周縁と当接する表面に剥離手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の金属ベローズの製造方法。
  4. 前記環状薄板は、当該金属ベローズの縮小状態時に互いに密着することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の金属ベローズの製造方法。
  5. 求項1からの何れか1項に記載の金属ベローズの製造方法で製造されたことを特徴とする金属製ベローズ。
  6. 複数の金属製の環状薄板の隣接する外周縁同士及び内周縁同士が交互に直接固相拡散接合されて蛇腹状に一体化され、前記接合された外周縁の内側端部から内側方向に向う前記環状薄板のなす角度、及び前記接合された内周縁の外側端部から外側方向に向う前記環状薄板のなす角度がともに0度であることを特徴とする金属ベローズ。
  7. 前記各環状薄板には、その一方の周縁に沿って波打ち、該一方の周縁に沿った山状又は谷状の各波が当該一方の周縁から他方の周端に向かって漸次幅が狭くなるひだが形成されていることを特徴とする請求項6に記載の金属ベローズ。
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