JP4881116B2 - 繊維紡糸用ノズルの洗浄方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、ノズルをカリウムの硝酸塩と亜硝酸塩の融解混合物で処理した後、80℃以下のリン酸で処理する手法が提案されている。これは、付着物が溶解する溶液にノズルを浸すことによりノズルを洗浄する方法として、最も簡便な方法の1つである。
特許文献2には、ノズルに対して加圧した流体を噴射し、ノズルの洗浄を行う手法が提案されている。
特許文献3には、洗浄槽に超音波振動子を内設し、洗浄液中に浸漬したノズルを前記超音波振動子から超音波を放射して洗浄する超音波洗浄方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、孔径が0.3mm以上のノズルには有効であるが、孔径が50μm以下のノズルでは溶液が孔内まで拡散し難く洗浄が困難であった。
また、特許文献2に記載の手法においても、孔径が0.3mm以上のノズルであれば効果はあるが、孔径が50μm以下のノズルに対しては、十分な洗浄効果が得られなかった。
さらに、特許文献3に記載の洗浄方法では、メッキ等でコーティングしたノズルを処理した場合、超音波の衝撃によりコーティングが壊落する等の問題があった。また、孔径が50μm以下のノズルに対しては、十分な洗浄効果が得られないこともあった。
このように、従来技術によるノズルの洗浄方法では、特に孔径が50μm以下の細孔を有するノズルにおいては、十分な洗浄効果が得られにくく、ノズル自体に損傷を与えることもあった。
また、対向する電極が備わる密閉された処理室にて、電極間の放電空間にガスを一方向に通過させながらプラズマ化し、得られたプラズマガスを電極間に配置した繊維紡糸用ノズルに接触させることが好ましい。
さらに、前記繊維紡糸用ノズルを、そのノズル孔が前記ガスの通過方向と平行になるように、配置することが好ましい。
また、一方の電極面に形成されたガス導入孔より処理室内にガスを導入し、発生したプラズマガスにより繊維紡糸用ノズルに付着した有機物をガス化し、生成したガスを他方の電極面に形成されたガス排出孔から処理室の外へ排出することが好ましい。
図1は、本発明の繊維紡糸用ノズルの洗浄方法に用いる洗浄装置の一例を示す概略図である。本発明においては、図示例の洗浄装置10に具備される処理室11内に設けられた、対向する電極12間の放電空間を通過するガスを、プラズマ発生手段13により、プラズマ化し、得られたプラズマガスを用いて、繊維紡糸用ノズル(以下、「ノズル」という。)14に付着した有機物をガス化して除去することにより、ノズル14を洗浄する。
なお、本発明において、反応ガスとは、プラズマ発生手段13によりプラズマ化される前の、処理室11内に導入されるガスのことである。一方、生成ガスとは、プラズマガスによりノズル14に付着した有機物がガス化したものをいう。
なお、反応ガスは、図1に示すように一方の電極12a面に形成されたガス導入孔12a’より上記範囲内において一定の速度で処理室11に導入されるのが望ましい。
ノズル14は、放電空間内であれば配置の仕方に制限はないが、ノズル14が導電材料からなる場合は、電極12との同化を防ぐ目的で、図1に示すように他方の電極12b上にセラミックス等の絶縁体の台座16を設置、その上にノズル14が配置されるのが望ましい。また、ノズル14の孔内にプラズマガスを効率よく通過させるためにノズル14のノズル孔が、反応ガスの通過方向と平行になるように配置されるのが好ましい。
なお、ノズル14の孔内にプラズマガスを効率よく通過させるために、生成ガスは他方の電極12b面に形成されたガス排出孔12b’から上記範囲内の速度で排出されるのが望ましい。
従って、繊維または繊維状の製品を製造する過程で、従来技術と比較してノズル洗浄の精度、効率が向上するので、製品の品質や生産性に寄与できる。
アクリル繊維の製造に使用した後のノズル(孔径Φ:30μm)を紡糸機から取り外し、水洗いした後に水分を拭き取り、乾燥空気を吹きつけてノズル孔内の水を除去した。光学顕微鏡にて異物が付着しているノズル孔(異物付着孔)の数をカウントした。
次いで、洗浄装置としてプラズマ装置(ヤマト科学株式会社製、「V1000」)を用いて、下記の洗浄条件に基き、ノズルの洗浄を行った。洗浄後のノズルを光学顕微鏡にて観察し、異物付着孔の数をカウントした。結果を表1に示す。
また、洗浄前(水洗いのみの場合)の観察で異物が確認された孔の総数に対する、洗浄後に異物が除去された孔の割合を異物除去率(%)として、表1に合わせて示す。
反応ガス:酸素
反応ガス導入量:6.6ml/分(処理室の内容積1000cm3当たりの量)
RF電源の出力:800W
処理時間:180分
孔径が50μmと60μmのノズルを使用した以外は実施例1−1と同様にしてノズルの洗浄を行い、洗浄前後での異物付着孔の数をカウントした。結果を表1に示す。
アクリル繊維の製造に使用した後のノズル(孔径Φ:30μm、50μm、60μm)を紡糸機から取り外し、水洗いした後に水分を拭き取り、乾燥空気を吹きつけてノズル孔内の水を除去した。
次いで、ジメチルアセトアミド中にノズルを浸漬し、100℃で180分間熱して、ノズルの洗浄を行った。
洗浄前後における、異物付着孔の数を光学顕微鏡にてカウントし、異物除去率を求めた。結果を表1に示す。
アクリル繊維の製造に使用した後のノズル(孔径Φ:30μm、50μm、60μm)を紡糸機から取り外し、水洗いした後に水分を拭き取り、乾燥空気を吹きつけてノズル孔内の水を除去した。
次いで、水を張った超音波洗浄機中にノズルを浸漬し、180分間超音波洗浄を行った。
洗浄前後における、異物付着孔の数を光学顕微鏡にてカウントし、異物除去率を求めた。結果を表1に示す。
実施例によるノズルの洗浄方法にて洗浄したノズルは、孔径が50μmおよび60μmの場合、異物は観察されず、本発明のノズルの洗浄方法により完全に異物を除去することができた。さらに、孔径が30μmのノズルであっても、2箇所の孔で異物が観察されたものの、大部分の孔では異物が除去されていた。従って、本発明のノズルの洗浄方法は、洗浄性が悪い孔径が30μmのノズルにおいても効果を発揮することができる。
一方、比較例1の洗浄方法にて洗浄したノズルは、孔径がいずれの大きさの場合でも、多くの孔に異物が見られ、さらに、閉鎖孔も多数観察された。特に孔径が30μmのノズルにおいては異物除去率が低く、洗浄性が悪かった。
また、比較例2の洗浄方法にて洗浄したノズルは、比較例1よりは異物除去率が高いものの、実施例と比べると異物が残存している孔が多数あり、異物除去率も低かった。
11 処理室
12 電極
12a 電極
12b 電極
12a’ ガス導入孔
12b’ ガス排出孔
13 プラズマ発生手段
14 繊維紡糸用ノズル
15 RF電源
16 台座
Claims (4)
- 対向する電極間の放電空間を通過するガスをプラズマ化し、得られたプラズマガスを孔径が30〜60μmである繊維紡糸用ノズルに接触させる工程を有することを特徴とする繊維紡糸用ノズルの洗浄方法。
- 対向する電極が備わる密閉された処理室にて、電極間の放電空間にガスを一方向に通過させながらプラズマ化し、得られたプラズマガスを電極間に配置した繊維紡糸用ノズルに接触させることを特徴とする請求項1に記載の繊維紡糸用ノズルの洗浄方法。
- 前記繊維紡糸用ノズルを、そのノズル孔が前記ガスの通過方向と平行になるように、配置することを特徴とする請求項1または2に記載の繊維紡糸用ノズルの洗浄方法。
- 一方の電極面に形成されたガス導入孔より処理室内にガスを導入し、発生したプラズマガスにより繊維紡糸用ノズルに付着した有機物をガス化し、生成したガスを他方の電極面に形成されたガス排出孔から処理室の外へ排出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維紡糸用ノズルの洗浄方法。
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