JP4874124B2 - サッカロマイセス・セレビジエにおける組換え遺伝子の産生 - Google Patents

サッカロマイセス・セレビジエにおける組換え遺伝子の産生 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
(技術分野)
本発明は、一般に、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)における組換えDNA配列を産生および検出する方法、ならびに、本発明の方法を行うために用いられるプラスミドおよびエス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞に関する。
これらの方法に関連するDNA配列は、タンパク質をコードしている配列および非翻訳配列を含む;それらはまた、生合成経路に属するような、介在する非翻訳配列を有する1以上の翻訳領域を含む、より大きな連続した範囲から構成されるものであってもよい。
(背景技術)
酵素や他のタンパク質などの物質の微生物的および酵素的な生産は、重要な経済的論題である。酵素は生体触媒として活性なタンパク質であり、天然の化合物および生体の代謝に責任を負うだけでなく、天然および非天然化合物の工業的な生産にも用いられている。酵素または酵素の助けにより生産されるこれらの化合物は、薬剤、化粧品、食品などの製造に用いることができる。しかしながら、酵素の工業的な使用は、それらの標的特異性とそれらが機能することができる特異的な条件のために大いに妨げられている。他のタンパク質は、ヒトおよび動物の健康の領域において治療上の効果を有する。医療上重要なタンパク質の重要なクラスに、サイトカイニンおよび成長因子がある。
新規なまたは改良された機能および特性を有するタンパク質、酵素および経路は、大部分が知られていない天然の種を調べたり、現在知られている天然のタンパク質や酵素を改良したりすることにより得ることができる。後者の試みは、天然の進化の過程が選択されそうにない性質を創作するのにより適しているであろう。
このような新規な望ましい特性を作り、酵素、他のタンパク質、非翻訳配列または経路を再設計するための有望な一つの戦略は、定方向分子進化を用いることである。従来法では、DNA配列の定方向進化は、部位特異的変異導入法、多部位またはカセット変異導入法、ランダム変異導入法およびエラープローンPCRなどの手法により達成されてきた。近年、酵素やタンパク質の性質を最適化または調整する遺伝子シャッフリングのアプローチが大いに注目されている。これらの定方向進化技術は、既存の技術を改良することができ、新しい製品を作ることができ、合成化学の能力を広げることができる酵素を製造することができる。
ランダム変異導入法、部位特異的変異導入法、オリゴヌクレオチドカセット変異導入法またはエラープローンPCRによるポイント変異導入法などの多くの異なる変異導入法が存在する。例えばランダム変異導入法は、亜硝酸、ヒドラジンなどの化学薬品で処理することによって、クローン化DNA断片中にランダムに分布するヌクレオチドの置換変異が多数生成する。エラープローンPCRはランダムポイント変異をクローン化DNAに導入するために開発された。PCR反応の正確さを減少させる変更には、MgCl濃度を増加させること、MnClの添加または4つのdNTPの相対的な濃度を変化させることがある。
これらの従来の変異導入法は、別々の選択できる表現型を有する遺伝子の最適化に焦点を合わせている。一般的な戦略は、遺伝子をクローン化し、その遺伝子について個々の機能を特定し、それによりモニターすることができる測定法を確立し、遺伝子の選択した位置に変異を導入し、その遺伝子の既知の機能を改良するための遺伝子の変異体を選択する。改良された機能を有する変異体は、その後望まれる細胞型において発現されうる。
望ましい酵素特性を得るために変異導入法のサイクルを繰り返し行うことができる。
これらの従来の各アプローチは、間接的な配列探索戦略を持っている。配列探索の上記の技術において用いられるその戦略は、非常に異なっている。飽和している部位特異的変異導入法探索を行うことは、興味のある部位に全ての可能な変更をインストールする工程を含む。タンパク質に関しては、この手順は興味ある部位のアミノ酸を19の他の全てのアミノ酸で置換すること、および、改良された変異体のために結果として生じるライブラリーを調査することからなる。配列空間の点からは、これは、非常に小さな領域を徹底的に調べることを意味する。比較すると、カセット変異導入法は、任意のポリペプチド配列をタンパク質の特定の部位に挿入し、配列空間のより広い、限定された範囲の徹底的でないサンプリングを与える。エラープローンPCRは、配列を繰り返し複製し、少ないが重要な数の誤りを導入する。この場合、配列空間のあまり限定されない領域のまばらなサンプリングが達成される。これらの各戦略において、選択の各ラウンドにおいて得られた最も良い変異体が、次のラウンドを開始するために用いられる。
しかしながら、酵素における新しい性質を進化させるための伝統的な変異導入法のアプローチは、多くの限界を有している。第一に、それらはクローン化され、機能的に特徴づけられた遺伝子または配列にのみ適用することができる。第二に、これらのアプローチは通常個別的な機能を有する遺伝子に対してのみ適用することができる。それゆえ、協同して一つの表現型を与える複数の遺伝子は、通常この方法では最大限に利用することができない。最後に、これらのアプローチは、単一の遺伝子に対してさえ、変更の総数のなかの非常に限られた数しか調べることができない。これらの限界の観点から、従来の変異導入アプローチは、多くの有益な特性に関して細胞のゲノムを改良させるために適当でない。例えば、タンパク質を発現する細胞の能力を改良するためには、転写効率、翻訳および翻訳後修飾、遺伝子産物の分泌またはタンパク質分解を変化させる必要がある。このため、新たな性質を有するタンパク質を発現させるためには、これらの細胞メカニズムにおいて1または2以上の役割を有するさらなる遺伝子を改造する必要があるであろう。このような機能を有する全ての遺伝子を個々に最適化しようとしても、事実上不可能な作業であろう。
従来の変異導入アプローチに関する多くの問題点は、遺伝子シャッフリングのアプローチによって解決される。遺伝子シャッフリングは、機能性遺伝子の異なる配列のランダムな組換えを伴い、天然と同様のまたはランダムに変異された遺伝子の分子混合を可能にする。DNAもしくは遺伝子シャッフリングまたはこれらの技術の変形は、酵素の活性、安定性、折りたたみおよび基質認識特性を向上するために用いられてきた。従来の変異導入法のアプローチと遺伝子シャッフリングとを比較すると、改良された表現型を有する変異体を得られる可能性が著しく高い。遺伝子シャッフリングは、コンビナトリアル方法において好ましい変異体を組換える点において根本的に従来の戦略と異なっている。したがって、機能性配列の作製に向かって、非常にまばらな配列空間のはるかに広い領域を探索する。それはまた、配列情報が1より多い出所から与えられるのを許容するので、選択の各ラウンドからのより有益な変異が次のラウンドで保有されるのを許容する。従来の戦略はまた、ネガティブ変異の固定を許容するが、これは遺伝子シャッフリングアプローチにはあてはまらない。それゆえ、遺伝子シャッフリング戦略が非常に多くの劇的な結果を生み出していることは驚くべきことではない。
(発明の開示)
DNAまたは遺伝子シャッフリングアプローチは、ある相同性を有する部位間のまたは同一の範囲間の組換え現象に基づいている。真核生物における遺伝子組換えを調べるための実験で用いられる重要な生物は、出芽酵母のサッカロマイセス・セレビジエである。単純な単細胞生物におけるこれらの過程の研究は、DNA配列の操作が容易であるという明白な利点と、細胞の大部分において同時に誘導される特異的な組換え現象を研究できる可能性を有する。さらに、先の数十年に渡って発酵技術およびこの生物の基礎的な遺伝子学における専門知識の財産が蓄積されてきた。そしてこれは、現在分子レベルで最も良く研究されている真核生物である。その非病原性の性質、その分泌の技量およびそのグリコシル化の潜在能力によって、エス・セレビジエは遺伝子クローニングおよび遺伝子発現のための好ましいホスト(宿主)生物である。それゆえ、本発明の基礎を成す技術的な問題は、サッカロマイセス・セレビジエにおける組換えモザイク遺伝子の産生のための方法および手段を提供することである。
本発明は、この根底にある技術的な問題を、
サッカロマイセス・セレビジエにおける組換えDNA配列の産生および検出方法であって、
a)ゲノムの定められた遺伝子座に、少なくとも第一のおよび第二のマーカー配列に隣接する組換えられるべき第一のDNA配列を含む第一の組換えカセット、および、対立遺伝子座に、少なくとも第三のおよび第四のマーカー配列に隣接する組換えられるべき第二のDNA配列を含む第二の組換えカセットを有している第一の二倍体エス・セレビジエ細胞を産生する工程、
b)a)で得られた第一の二倍体細胞の胞子形成を誘導する工程、および、
c)そこにおいて第一の組換えDNA配列が少なくとも第一のおよび第四のマーカー配列に隣接する組換えカセットを含む一倍体細胞、および、そこにおいて第二の組換えDNA配列が少なくとも第二のおよび第三のマーカー配列に隣接する組換えカセットを含む一倍体細胞を単離する工程:
を含む、方法を提供することにより解決する。
本発明は、少なくとも2つの異なるDNA配列間の組換え現象を調べるための酵母を基礎としたシステムを提供する。このシステムは、一倍体期と二倍体期とが交互に起こるエス・セレビジエの有性生殖を基礎としている。本発明の方法の第一の工程では、二倍体エス・セレビジエ細胞が産生され、そしてそれらはこれらの組換え基質に対してヘテロ接合性である。組換えられるべきDNA配列は、二倍体エス・セレビジエのゲノム中で対立遺伝子座に組み込まれる。
組換えられるべき各DNA配列は組換えカセットの形態に組み込まれ、そしてそれはこのDNA配列に隣接する少なくとも2つのマーカー配列を、このDNA配列の近くに含み、これによってこの2つの組換えカセットは少なくとも4つの異なるマーカー配列を含む。
このように得られたヘテロ接合性の二倍体細胞を、次いで減数分裂および胞子形成の過程を誘導する環境下で生育させる。減数分裂は、遺伝子組換えの頻度を高めることが一般的な特徴であり、そしてそれは、減数分裂I分裂前期において早期に誘導される二重鎖切断(DSB)の成立およびそれに続く修復を経て開始される。酵母の減数分裂細胞はそれゆえ特に興味深い。なぜなら、ゲノム全体にわたるDSBの誘導の結果、高レベルの組換えを経験するからである。このように、減数分裂の第一ラウンドの産物は、各減数分裂現象について親の二倍体細胞により産生された4つの一倍体細胞または胞子であるが、2つの異なるDNA配列間の組換えによる組換えられたDNA配列を含みうる。
減数分裂の間に起こる2つの異なるDNA配列間の組換えは、フランキング(隣接する)マーカー配列の交換をも導く。したがって、本方法は組換え基質に隣接するマーカー配列の交換が起こった個々の細胞又は分子を選択することによって、敏速で簡単に組換えDNA配列の確認をすることができる。したがって、減数分裂の第一ラウンドの後得られた組換え体は、第一の組換えカセットの少なくとも1つのマーカー配列および第二の組換えカセットの少なくとも1つのマーカー配列を含む、および/または、発現するという特徴を有する。特に、組換え胞子は、第一の組換えカセットの第一のマーカー配列および第二の組換えカセットの第四のマーカー配列、または、第一の組換えカセットの第二のマーカー配列および第二の組換えカセットの第三のマーカー配列を含むことがであり、それにより、両方の型の組換え胞子はこの異なるマーカーの組合せの近くに、異なる組換えDNA配列をも含む。組換え配列を含む両方の型の胞子は、減数分裂の間の組換えにより産生された新しい組換えマーカーの配置の選択を可能とする条件下で容易に選択され、区別される。
本発明の方法は野生型(wild−type)またはミスマッチ(不適正塩基対)修復欠損エス・セレビジエ細胞のいずれにおいても行うことができる。損傷したDNAが修復される過程および遺伝子組換えのメカニズムは深く関わっており、ミスマッチ修復の仕組みは、異なる配列間の組換え頻度に対して、すなわち相同的組換え(homeologous recombination)に対して阻害効果のあることが知られている。したがって、ミスマッチ修復システムの変異は、酵母における組換えの全体的な頻度を大いに高める。一方、野生型のエス・セレビジエ細胞は、ミスマッチ修復依存の組換え機構をもっており、それは、2つの組換え基質中に離れて位置するミスマッチを基礎とするものである。組換えられるべきDNA配列によるが、野生型またはミスマッチ修復欠損エス・セレビジエ細胞のいずれも、組換え配列を得るために用いることができる。
本発明の方法は、反復的である、すなわち、さらなる組換えラウンドを許容するという利点を有する。減数分裂の第一ラウンドの産物、すなわち異なる組換えDNA配列を含む反対の交配型(opposite mating type)の一倍体細胞は、組換えDNA配列にヘテロ接合性の二倍体細胞を得るために再度交配される。このように得られた二倍体細胞において、再度減数分裂が誘導され、それにより組換えDNA配列は、もう一度組換えられ、各組換え基質に隣接する2つのマーカーの交換が再度導かれる。2回目の減数分裂の後得られた新しい一倍体組換え体は、ここで最初の第一の組換えカセット中の第一のDNA配列に隣接するマーカー遺伝子または最初の第二の組換えカセット中の第二のDNA配列に隣接するマーカー遺伝子のいずれかの共発現によって、容易に確認されうる。
したがって本発明の好ましい実施形態においては、第二の二倍体細胞を産生するために、本発明の方法の第一ラウンドで得られた第一の組換えDNA配列を有する組換えカセットを含む一倍体細胞と、本発明の方法の第一ラウンドで得られた第二の組換えDNA配列を有する組換えカセットを含む一倍体細胞とを交配する。このように得られた第二の二倍体細胞において胞子形成が誘導され、結果として一倍体細胞が産生する。次の工程において、
そこにおいて第三の組換えDNA配列が少なくとも第一のおよび第二のマーカー配列に隣接する組換えカセットを含む一倍体細胞、および、そこにおいて第四の組換えDNA配列が少なくとも第三のおよび第四のマーカー配列に隣接する組換えカセットを含む一倍体細胞を単離する。
第三のおよび第四の組換えDNA配列を含む一倍体細胞について、さらなる交配および減数分裂/胞子形成のサイクルを1または2以上行うことにより、さらに組換えDNA配列を産生することができる。組換えの各ラウンドの後、組換え体はそれぞれ第一の組換え基質に隣接する少なくとも1つのマーカー配列および第二の組換え基質に隣接する少なくとも1つのマーカー配列が共に存在することにより、または、出発組換え基質において第一のまたは第二のDNA配列に隣接する2つのマーカーが共に存在することにより確認される。
したがって、本方法の有利な特性は、反復であることである:組換え一倍体の子孫は、個々にまたは全部一緒に選択され、そして互いに交配され、結果として生じた二倍体は再び胞子を形成し、そしてそれらの子孫胞子は、新しい組換え現象を特定するために適切な選択条件にかけられる。
本発明の方法を用いて、組換え変異配列の多量のライブラリーを容易に作製することができ、望まれる機能を有する変異体は、その後適切な選択またはスクリーニングシステムを用いることによって特定される。
本発明の好ましい実施形態においては、上記第一の二倍体エス・セレビジエ細胞が同時にまたは経時に第一の組換えカセットを含むDNA分子および第二の組換えカセットを含むDNA分子を用いて二倍体エス・セレビジエ細胞を形質転換することにより産生されたものであり、この2つの組換えカセットがエス・セレビジエ ゲノムの天然の染色体上の対立遺伝子座に組み込まれてもよい。用いられるDNA分子は、例えば、酵母人工染色体(YAC)であってもよい。
YACは、酵母細胞における安定維持に必要な全ての配列、酵母選択可能マーカーだけでなくセントロメア、DNA複製起点およびテロメアなどを含む線状DNA分子であるのが特徴である。酵母細胞に導入すると、YACは天然の染色体と同じように作用するので、酵母ゲノムの一部とみなすことができる。本発明の文脈において、“ゲノム”の用語は細胞内に存在し、安定に維持され受け継がれる全ての遺伝性構成要素の全体を含む。YACが第一のおよび第二の組換えカセットを二倍体エス・セレビジエ細胞に導入するためのDNA分子として用いられる場合、この2つの組換えカセットを天然の染色体の対立遺伝子座に組み込む必要がない。組換えカセットが天然の染色体に導入される場合、組換えカセットを有する断片を遊離することができるクローニング媒体、例えばプラスミドを用いることができる。好ましくは、上記2つの組換えカセットの2つのマーカー配列それぞれが、エス・セレビジエ ゲノムの定められた遺伝子座と相同の標的配列に隣接することである。また、複製起点を含まないDNA分子を用いることができる。この場合、DNA分子はゲノムの構成要素に組み込まれなければならず、したがってエス・セレビジエ ゲノムの定められた遺伝子座と相同の標的配列を含まなければならない。
本発明の別の好ましい実施形態は、上記第一の二倍体エス・セレビジエ細胞がゲノムの定められた遺伝子座に第一の組換えカセットを有している一倍体細胞と、ゲノムの対立遺伝子座に第二の組換えカセットを有しているエス・セレビジエ一倍体細胞とを融合することにより産生されたものであることである。
本発明のさらに別の好ましい実施形態は、上記第一の二倍体エス・セレビジエ細胞がゲノムの定められた遺伝子座に第一の組換えカセットを有している一倍体細胞とゲノムの対立遺伝子座に第二の組換えカセットを有している反対の交配型の一倍体細胞とを交配することにより産生されたものであることである。
本発明の文脈において、“交配”および“融合”の単語は、異なる組換えカセットを含む2つの一倍体細胞の故意のまたはランダムな結合を意味する。望まれる性質を有する反対の交配型の選択されたおよび/または単離された2つの一倍体細胞を、交配および融合それぞれを刺激する条件下で接触させると、2つの一倍体細胞の故意の交配または融合が起こる。この2つの一倍体細胞は、例えば組換えられるべきDNA配列または既に組換えられたDNA配列を含む細胞の同じライブラリーに由来するものであってもよく、例えば組換えられるべきDNA配列または既に組換えられたDNA配列を含む細胞の異なるライブラリーに由来するものであってもよい。
多数の異なる一倍体細胞を交配および融合それぞれを刺激する条件下で接触させると、2つの一倍体細胞のランダムな交配または融合が起こる。多数の一倍体細胞は、例えば組換えられるべきDNA配列または既に組換えられたDNA配列を含む細胞の同じライブラリーに由来するものであってもよく、例えば組換えられるべきDNA配列または既に組換えられたDNA配列を含む細胞の異なるライブラリーに由来するものであってもよい。
組換えDNA配列を産生および検出する本発明の方法は、2以上の異なる配列を組換えることができるという利点を有する。例えば、4つの異なるDNA配列を組換えならば、本方法の第一の工程において異なる2組の二倍体エス・セレビジエ細胞が生成する。例えば、第一の組の二倍体細胞は、組換えられるべき第一のおよび第二のDNA配列を含む一倍体細胞を交配または融合することにより産生することができ、第二の組の二倍体細胞は、組換えられるべき第三のおよび第四のDNA配列を含む一倍体細胞を交配または融合することにより産生することができる。この2組の二倍体細胞が胞子を形成した後、第一のおよび第二のDNA配列の組換えによる組換えDNA配列を含む第一の二倍体細胞の組から得られた一倍体細胞と、第三のおよび第四のDNA配列の組換えによる組換えDNA配列を含む第二の二倍体細胞の組から得られた適切な一倍体細胞とを交配させる。この交配の産物は、胞子形成後、第一のDNA配列、第二のDNA配列、第三のDNA配列および第四のDNA配列の領域を含む組換えDNA配列を有する一倍体細胞を生じる二倍体細胞である。例えば、3つの異なるDNA配列を組換えるならば、本方法の第一の工程において、例えば、組換えられるべき第一のおよび第二のDNA配列を含む一倍体細胞を交配または融合することにより二倍体エス・セレビジエ細胞が生成する。これらの二倍体細胞が胞子を形成した後、このように得られた第一のおよび第二のDNA配列の組換えによる組換えDNA配列を含む一倍体細胞と、組換えられるべき第三のDNA配列を含む一倍体細胞とを交配または融合することができる。この交配の産物は、胞子形成後、第一のDNA配列、第二のDNA配列および第三のDNA配列の領域を含む組換えDNA配列を有する一倍体細胞を生じる二倍体細胞である。この方法で、5、6またはそれ以上の異なるDNA配列も組換えることができる。
好ましい実施形態では、第一のまたは第二の組換えカセットを有している一倍体エス・セレビジエ細胞が以下により産生されるものである:
a)組換えられるべき第一のDNA配列を、第一のクローニング媒体上に隣接して位置する第一と第二のマーカー配列の間に挿入し、組換えられるべき第二のDNA配列を第二のクローニング媒体上に隣接して位置する第三と第四のマーカー配列の間に挿入し、それにより2つのマーカー配列それぞれが、エス・セレビジエ ゲノムの定められた遺伝子座と相同の標的配列に隣接し、
b)a)で得られたクローニング媒体から隣接する標的配列を有する第一の組換えカセットおよび第二の組換えカセットそれぞれを切り出し、それにより切り出した各断片がそれぞれの2つのマーカー配列および標的配列に隣接する組換えられるべきDNA配列を含み、
c)第一のカセットまたは第二のカセットに対してヘテロ接合性の二倍体細胞を得るために、b)で得られた断片を別々にエス・セレビジエ二倍体細胞に形質転換し、そこで、標的配列がそれらが相同である遺伝子座へのカセットの組み込みに作用し、
d)c)で得られたヘテロ接合性の二倍体細胞の胞子形成を別々に誘導し、および、
e)第一のおよび第二のマーカー配列に隣接する第一のカセットを含む一倍体細胞、および、第三のおよび第四のマーカー配列に隣接する第二のカセットを含む一倍体細胞を別々に単離する。
本発明の好ましい実施形態では、第一のまたは第二のクローニング媒体中の2つのマーカー配列それぞれは、標的配列と隣接するが、この標的配列は、エス・セレビジエ ゲノムの染色体III上のBUD31−HCM1遺伝子座と相同であり、切り出されたカセットのその遺伝子座への組み込みに作用するものである。
本発明の好ましい実施形態では、組換えカセットのクローニングに用いられるクローニング媒体は、プラスミドである。“プラスミド”は、自己複製することができる染色体外の構成要素である。プラスミドは物理的にそれが含まれている細胞のゲノムと非連結である。ほとんどのプラスミドは、二重鎖の環状DNA分子である。他の実施形態では、クローニング媒体がYACである。
特に、第一の組換えカセットがクローンされる第一のクローニング媒体としてプラスミドpMXY9を用いることが好ましい。プラスミドpMXY9は、URA3マーカー遺伝子およびCAN1マーカー遺伝子を含む。このプラスミド中で、これらの2つのマーカー遺伝子は隣接して位置する。
この2つのマーカー配列の間には、組換えられるべきDNA配列を挿入するために、複数の制限部位、特に制限酵素SmaI、XbaI、BglIIおよびPacIの認識部位が配置される。この2つのマーカー配列は、エス・セレビジエ ゲノムの染色体III上のBUD31−HCM1遺伝子座と相同の標的配列に隣接する。
さらに、第二の組換えカセットがクローンされる第二のクローニング媒体としてプラスミドpMXY12を用いることが好ましい。プラスミドpMXY12は、TRP1マーカー遺伝子およびCYH2マーカー遺伝子を含む。このプラスミド中で、これらの2つのマーカー遺伝子は隣接して位置する。この2つのマーカー配列の間には、組換えられるべきDNA配列を挿入するために、複数の制限部位、特に制限酵素SpeI、SmaIおよびPacIの認識部位が配置される。この2つのマーカー配列は、エス・セレビジエ ゲノムの染色体III上のBUD31−HCM1遺伝子座と相同の標的配列に隣接する。
本発明の好ましい実施形態では、切り出された組換えカセットの形質転換に用いられる上記二倍体細胞が少なくとも二つの栄養因子に対する栄養要求性であり、少なくとも2つの抗生物質に耐性である。好ましくは、上記二倍体細胞が該細胞をウラシルおよびトリプトファンそれぞれに対する栄養要求性にするura3−1対立遺伝子およびtrp1−1対立遺伝子に対してホモ接合性である。さらに、形質転換に用いられる上記二倍体細胞が該細胞をカナバニンおよびシクロヘキサミドそれぞれに耐性にするcan1−100対立遺伝子およびcyh2R対立遺伝子に対してホモ接合性であることが好ましい。
特に、対立遺伝子ura3−1、trp1−1、can1−100およびcyh2Rに対してホモ接合性であり、msh2::KanMX変異に対してヘテロ接合性であるエス・セレビジエ菌株MXY47の二倍体細胞が形質転換に用いられることが好ましい。菌株MXY47の二倍体細胞が、組換えカセットおよびそれらに隣接する標的配列を有する切り出された第一のおよび第二の断片を用いた形質転換に用いられると、得られる形質転換体は胞子を形成し、各組換えカセットを有する一倍体の野生型またはmsh2分離個体を産生することができる。
本発明においては、本方法のために機能的ミスマッチ修復システムを有するエス・セレビジエ細胞を用いることが好ましい。ミスマッチ修復システムは、複製におけるDNAポリメラーゼの間違いによる変異を回避するのに最も広く貢献するものに属する。ミスマッチの修復はまた、遺伝子組換えの正確さを校正することにより遺伝的な安定性を増進する。したがって、ミスマッチ修復の仕組みは、異なる配列間の組換えにいくぶん阻害効果を示すことが知られている。しかしながら、正常なエス・セレビジエ二倍体においてミスマッチ修復依存性組換えと呼ばれるミスマッチ修復の別の態様が発見されている(BortsおよびHaber, Science, 237 (1987), 1459-1465)。別の配列におけるような広い範囲にわたるミスマッチのミスマッチ修復は、新たな二重鎖の破壊を導くので、順番に(ミスマッチ修復依存性)組換えの第二ラウンドを刺激すると考えられている。
ある環境においては、特に、用いられる2つの組換え基質が広いスペースにわたる塩基の相違を有することが分かっているときには、それゆえ本発明の方法を行うために機能的ミスマッチ修復システムを有するエス・セレビジエ細胞を用いることが有用である。
本発明の別の好ましい実施形態においては、ミスマッチ修復システムを欠損しているエス・セレビジエが用いられる。エス・セレビジエにおいては、いくつかの遺伝子について、その産物がMutSタンパク質の6つの相同体、すなわちMsh1、Msh2p、Msh3p、Msh4、Msh5およびMsh6p、ならびに、MutLタンパク質の4つの相同体、すなわちMlh1p、PJlIh2p、Mlh3pおよびPms1を含むバクテリアのミスマッチ修復タンパク質と相同性を有することが確認されている。特に、PMS1およびMSH2遺伝子は異なる配列の組換えに障害をもたらすことが知られている。したがって、msh2およびpms1変異体では、野生型の細胞における組換え頻度と比較して、異なる配列間の減数分裂の組換えが増加する。
本発明の文脈において“ミスマッチ修復システムにおける欠損”の用語は、細胞のミスマッチ修復システム(MMR)が一過的にまたは持続的に損なわれていることを意味する。細胞または生物体のMMR欠損は、一過的または持続的にミスマッチ修復を損なわせるどのような手段によっても行うことができ、ミスマッチ修復に関わる1または2以上の遺伝子の変異、結果として包括的にミスマッチ修復を損なわせる紫外線のような手段を用いた処理;MMRシステムを一過的に飽和および不活性化するための2−アミノプリンまたは過度の量のミスマッチを含むヘテロ二重鎖のような薬剤による処理、およびミスマッチ修復に関わる1または2以上の遺伝子の誘導的な発現または抑圧、例えば、一過的に不活化できる、すなわち減数分裂の間は不活性化するが、栄養成長の期間は不活性化しない調節可能なプロモーターによるものを含むがこれらに限定されない。
本発明における好ましい実施形態では、エス・セレビジエ細胞のミスマッチ修復の欠損がMMRに関わる少なくとも1つの遺伝子の変異によるものである。好ましい実施形態においては、エス・セレビジエ細胞がMSH2遺伝子を欠損している。好ましくは、二倍体細胞がmsh2対立遺伝子にホモ接合性であり、そこではMSH2をコードしている配列がKanMXコンストラクトにより置換されている。
本発明の文脈において、“組換えカセット”の用語は、少なくとも2つの異なるマーカー配列と隣接している、少なくとも1つの組換え基質を含むDNA配列または組換えられるべきDNA配列を含むDNA配列を意味する。第一のおよび第二の組換えカセットは、組換えられるべきDNA配列およびフランキングマーカー配列が異なるので、組換えカセットのどの一対も、2つの異なる組換えられるべきDNA配列および少なくとも4つの異なるフランキングマーカー配列を含む。
本発明の好ましい実施形態では、第一のおよび第二の組換えカセットはいずれも、それぞれの組換えられるべきDNA配列を、クローニング媒体上に近接して位置する2つのマーカー配列の間に挿入することによって産生され、順番にエス・セレビジエ ゲノムの定められた遺伝子座と相同の標的配列によって取り囲まれる。したがって、標的配列は、この組換えカセットを含む切り出された断片が定められた遺伝子座に組み込まれるように作用する。組換えられるべきDNAの2つのマーカー配列の間への挿入は、遺伝子工学方法によって好適に達成される。本発明の好ましい実施形態において、クローニング媒体中の2つのマーカー配列は、エス・セレビジエ ゲノムの染色体III上のBUD31−HCM1遺伝子座と相同の標的配列に隣接する。したがって、標的配列は組換えカセットを含む切り出された断片のその遺伝子座への組み込みに作用する。
本発明の文脈において、“組換えられるべきDNA配列”および“組換え基質”の用語は、減数分裂の組換え過程の結果として組換えられる2つのDNA配列どれをも意味し、そこでこれらの配列間の組換えは、相同的または非相同的組換えとなる。
いくつかの型の相同的組換え現象は、損傷したDNA分子が相同の相手と塩基対を形成することにより特徴づけられ、そして相互作用の範囲は、ほぼ完全に一致する何百個もの塩基対を含む。“相同性”の用語は、2つの核酸分子の配列間に存在する同一性の度合いを意味する。反対に、非正統的または非相同的組換えは、相補的塩基対を全く共有しないかまたはわずかに共有するDNA末端の接合により特徴付けられる。酵母では、非相同的修復および組換え現象は、相同的組換え現象より非常に低い頻度で起こる。
組換えられるべき第一のおよび第二のDNA配列は配列が異なる、すなわちそれらの配列は同一ではないが、ある程度の相同性を示す。これは、組換えられるべきDNA配列が少なくとも1ヌクレオチド異なるものであることを意味する。好ましくは、組換えられるべきDNA配列が、少なくとも1または2以上の、非常に短くてもよい相同性領域を共有する配列であることである。相同性領域は、少なくとも5−10ヌクレオチド、好ましくは20−30ヌクレオチドより以上、より好ましくは30−40ヌクレオチドより以上、そして最も好ましくは50ヌクレオチドより以上を含む。本発明の好ましい実施形態において、組換えられるべき第一のおよび第二のDNA配列が少なくとも1ヌクレオチド異なるものであり、特に0.1%より以上、好ましくは5%より以上から50%より以上までである。これは、組換えられるべき第一のおよび第二のDNA配列が55%、60%、65%またはさらに多く異なっていてもよいことを意味する。
組換え基質または組換えられるべきDNA配列は、天然または合成由来のものであってもよい。したがって、組換えられるべきDNA配列は、ウイルス、バクテリア、エス・セレビジエを含む菌類、動物、植物および人を含むいかなる天然の出所に由来するものであってもよい。
本発明の好ましい実施形態では、組換えられるべき第一のおよび第二のDNA配列が、エス・セレビジエ以外の生物体由来のものである。
本発明の好ましい実施形態では、組換えられるべきDNA配列がタンパク質をコードしている配列、例えば、天然または非天然化合物の工業的生産に用いることができる酵素をコードしている配列であることである。酵素または酵素の助けにより製造される化合物は、薬剤、化粧品、食品などの製造に使用することができる。タンパク質をコードしている配列はまた、ヒトおよび動物の健康の領域において治療上の効果を有するタンパク質をコードする配列であってもよい。
医療上重要なタンパク質のクラスに、サイトカイニンおよび成長因子がある。タンパク質をコードしている配列が組換えられると、変化した、好ましくは改良された機能および/または新たに獲得した機能を有するタンパク質をコードする新しい変異配列が生成する。この方法において、例えば、タンパク質の熱安定性の改良の達成、タンパク質の基質特異性の変化、その活性の改良、新しい触媒部位の開発および/または2つの異なる酵素からのドメインの融合が可能となる。
タンパク質をコードしている組換えられるべきDNA配列は、自然の状態では類似かまたは同一の機能を有する同じまたは類似するタンパク質をコードする異なる種由来の配列を含んでいてもよい。タンパク質をコードしている組換えられるべきDNA配列は、同じタンパク質または酵素ファミリー由来の配列を含んでいてもよい。タンパク質をコードしている組換えられるべき配列はまた、異なる機能を有するタンパク質の配列、例えば、代謝経路の異なる工程を触媒する酵素をコードしている配列であってもよい。本発明の好ましい実施形態では、組換えられるべき第一のおよび第二のDNA配列はB−ラクタマーゼのOxaスーパーファミリーの遺伝子配列の群から選択されるものである。
本発明の別の好ましい実施形態では、組換えられるべきDNA配列が非翻訳配列、例えば、自然の細胞状態でタンパク質をコードしている配列の発現の調節に関する配列であってもよい。
非翻訳配列の例としては特に限定されず、プロモーター配列、リボゾーム結合部位を含む配列、イントロン配列、ポリアデニル化配列などが挙げられる。このような非翻訳配列の組換えによって、細胞の環境において、結果として細胞の経過の調節を変化させる、例えば、遺伝子発現を変化させる変異配列を発展させることができる。
本発明において、組換え基質または組換えられるべきDNA配列はもちろん1より以上のタンパク質をコードしている配列および/または1より以上の非翻訳配列を含んでいてもよい。例えば、組換え基質として、あるタンパク質をコードしている配列に加えて非翻訳配列、または、種々のタンパク質をコードしている配列および種々の非翻訳配列の組合せを含んでいてもよい。したがって本発明の別の態様では、組換えられるべきDNA配列は非翻訳配列が介在するおよび/または隣接するコード配列の範囲1または2以上を含んでいてもよい。これは、例えば、その5´末端および/または非翻訳の3´領域に調節配列を有する遺伝子配列、または、エクソン/イントロン構造を有する哺乳類の遺伝子配列であってもよいことを意味する。また、本発明の他の実施形態では、組換えられるべきDNA配列は、生合成経路またはオペロンに関するような非翻訳配列が介在する1以上のコード配列を含むより大きな連続した範囲からなるものであってもよい。組換えられるべきDNA配列は、例えば、相同的および/または非相同的組換え現象のような1または2以上の組換え現象を既に経たものであってもよい。
組換え基質は、非変異の野生型DNA配列および/または変異したDNA配列を含んでいてもよい。したがって好ましい実施形態では、新しい変異配列を開発するために既に変異配列が存在する野生型配列を組換えることも可能である。
本発明の文脈において“マーカー配列”の用語は、サッカロマイセス・セレビジエ細胞における組換え基質または既に組換えられたDNA配列の上流または下流に位置する特有のDNA配列を意味する。組換え基質または既に組換えられたDNA配列のようなDNAの同じ分子上のマーカー配列は、組換え基質の他の側に位置する別のマーカー配列と一緒に存在することが好ましく、これにより分子法であろうと遺伝子法であろうと組換え基質または既に組換えられたDNA配列が認識され、選択されることになる。したがって、本発明の好ましい実施形態の一つでは、2つの異なる組換え基質に対してヘテロ接合性の細胞内に全部で少なくとも4つの異なるマーカー配列が存在するように、各組換え基質の上流に1または2以上のマーカー配列があり、各組換え基質の下流に1または2以上のマーカー配列がある必要がある。この配置では、組換え基質が関わる交叉の選択が起こる。また、反復型でさらなる組換えラウンドが行われる。本発明の別の好ましい実施形態では、1以上のマーカーを組換え基質の各側面に置くことができる。
例えば、マーカーを追加すると、選択の厳密性を増進させることができる。
マーカー配列は、タンパク質をコードしているまたは非翻訳のDNA配列を含んでいてもよい。本発明の好ましい実施形態では、タンパク質をコードしているマーカー配列が、栄養マーカー、色素マーカー、抗生物質耐性マーカー、抗生物質感受性マーカー、同じ細胞内で両方またはより多くのサブユニットが発現する場合にのみ機能する酵素の種々のサブユニットをコードしている配列からなる群より選択されるものである。本発明のさらに好ましい実施形態における分子非翻訳マーカー配列としては、プライマー認識部位、すなわちPCRプライマーがアニールし、組換え体を増幅させる配列、イントロン/エクソン境界、プロモーター配列、下流調節遺伝子配列(downstream regulated gene sequence)および制限酵素部位が挙げられるがこれに限定されるものではない。
“栄養マーカー”は、生物または細胞の栄養要求性を補うことができる遺伝子産物をコードするマーカー配列であり、このように栄養要求性の生物または細胞に原栄養性を付与することができる。本発明の文脈において“栄養要求性”の用語は、栄養要求性の生物がそれ自身で合成できない必須栄養成分を含む培地で生物または細胞が生育されなければならないことを意味する。栄養マーカーの遺伝子産物は、栄養要求性細胞において欠損しているこの必須栄養成分の合成を促進する。したがって栄養マーカー遺伝子が発現すると生物や細胞は原栄養性を獲得するので、生物や細胞が生育する培地にこの必須栄養成分を添加する必要はない。
“色素マーカー”は、その遺伝子産物が色素の合成に関わるマーカー遺伝子であり、発現すると、色素マーカーが発現した細胞が染色される。色素マーカーがない細胞は色素を合成しないので、染色されない。したがって色素マーカーを用いると、色素マーカーを含む細胞の敏速な表現型の検出ができる。
“抗生物質耐性マーカー”は、その遺伝子産物が、抗生物質マーカー遺伝子の発現が起こった細胞に、特定の抗生物質が特定濃度で存在する場合に生育できる能力の発現を付与するが、抗生物質耐性マーカーをもたない細胞は生育できない。
“抗生物質感受性マーカー”は、その遺伝子産物が、特定の抗生物質が特定濃度で存在する場合に細胞が生育できる能力の発現を破壊するマーカー遺伝子である。
本発明の好ましい実施形態では、上記第一のおよび第三のマーカー配列の各遺伝子産物がエス・セレビジエ細胞の栄養要求性を補うことができる。好ましくは、上記第一のマーカー配列がURA3であり、その遺伝子産物がウラシル栄養要求性エス・セレビジエ細胞にウラシル原栄養性を付与することができることである。好ましくは、上記第三のマーカー配列がTRP1であり、その遺伝子産物がトリプトファン栄養要求性エス・セレビジエ細胞にトリプトファン原栄養性を付与することができることである。
本発明の別の好ましい実施形態では、上記第二のおよび第四のマーカー配列の遺伝子産物がその抗生物質に耐性のエス・セレビジエ細胞に抗生物質への感受性を付与することができる。好ましくは、上記第二のマーカー配列がCAN1であり、その遺伝子産物がカナバニン耐性エス・セレビジエ細胞にカナバニン感受性を付与することができることである。好ましくは、上記第四のマーカー配列がCYH2であり、その遺伝子産物がシクロヘキサミド耐性エス・セレビジエ細胞にシクロヘキサミド感受性を付与することができることである。
本発明の別の好ましい実施形態では、マーカー配列がPCRプライマーのためのアニーリング部位を含む。好ましくは、第一の、第二の、第三のおよび第四のマーカー配列がプライマーKNS11、KNS28、KNS16およびKNS29により認識される。
本発明の方法の好ましい実施形態では、第一の、第二の、第三のおよび第四のいずれかの組換えDNA配列を有する組換えカセットを含む一倍体細胞が、各マーカーの組合せの存在を検出するためにPCR法により確認される。
本発明の方法の別の好ましい実施形態では、第一の、第二の、第三のまたは第四のいずれかの組換えDNA配列を有する組換えカセットを含む一倍体細胞が、該一倍体細胞をそれぞれのマーカー配列の組合せと同じDNA分子上の存在を選択する培地上に植えられることにより確認される。これは、第一の組換えDNA配列を含む一倍体細胞が、第一のおよび第四のマーカー配列の存在を選択する培地上に植えられることを意味する。第二の組換えDNA配列を含む一倍体細胞が、第二のおよび第三のマーカー配列の存在を選択する培地上に植えられる。第三の組換えDNA配列を含む一倍体細胞が、第一のおよび第二のマーカー配列の存在を選択する培地上に植えられる。第四の組換えDNA配列を含む一倍体細胞が、第三のおよび第四のマーカー配列の存在を選択する培地上に植えられる。
本発明の別の態様は、新規なまたは改良された機能および性質を有する、新規なタンパク質、酵素、経路および非翻訳配列を産生する方法に関し、そこでは、本発明のエス・セレビジエにおける組換えDNA配列の産生または検出方法を用いて、既知のタンパク質をコードしている配列または既知の非翻訳配列について、1または2以上の組換えラウンドを行う。
本発明の別の態様は、プラスミドpMXY9に関する。
プラスミドpMXY9は、隣接するURA3マーカー遺伝子およびCAN1マーカー遺伝子を含む。上記2つのマーカー遺伝子の間に、組み込まれるべきDNA配列を挿入するための数個の制限部位を含むポリリンカー配列が配置される。上記2つのマーカーは、エス・セレビジエ ゲノムの染色体III上のBUD31−HCM1遺伝子座と相同の標的配列に隣接する。
2つのマーカー遺伝子の間のポリリンカー配列は、制限酵素SmaI、XbaI、BglIIおよびPacIの制限部位を含む。
本発明の別の態様は、プラスミドpMXY12に関する。
プラスミドpMXY12は、TRP1マーカー遺伝子およびCYH2マーカー遺伝子を含む。この2つのマーカー遺伝子の間に、組み込まれるべきDNA配列を挿入するための数個の制限部位を含むポリリンカー配列が配置される。上記2つのマーカーは、エス・セレビジエ ゲノムの染色体III上のBUD31−HCM1遺伝子座と相同の標的配列に隣接する。ポリリンカー配列は、制限酵素SpeI、SmaIおよびPacIの制限部位を含む。
本発明はまた、エス・セレビジエ菌株MXY47であって、その二倍体細胞が対立遺伝子ura3−1、trp1−1、can1−100およびcyh2Rに対してホモ接合性であり、msh2::KanMX変異に対してヘテロ接合性であることを特徴とするエス・セレビジエ菌株MXY47に関する。
本発明はまた、プラスミドpMXY9を含むイー・コリ(E.coli)菌株JM101およびプラスミドpMXY12を含むイー・コリ菌株DH5αに関する。
プラスミドpMXY9およびpMXY12およびサッカロマイセス・セレビジエ菌株MXY47は、2005年1月3日にDSMZ(Deutsche Sammiung fur Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Mascheroderweg 1b, 38124 Braunschweig, Germany)にそれぞれ受け入れ番号DSM 17010、DSM 17011およびDSM 17026で預けられている。
本発明の別の態様は、本発明のサッカロマイセス・セレビジエにおける組換えDNA配列の産生および検出の方法を行うために用いられるキットに関する。第一の実施形態では、上記キットは、少なくとも、エス・セレビジエ菌株MXY47の細胞を含む第一のコンテナ、プラスミドpMXY9を含むイー・コリ菌株JM101の細胞を含む第二のコンテナおよびプラスミドpMXY12を含むイー・コリ菌株DH5αを含む第三のコンテナを含む。
第二の実施形態では、上記キットは、少なくとも、エス・セレビジエ菌株MXY47の細胞を含む第一のコンテナ、プラスミドpMXY9のDNAを含む第二のコンテナおよびプラスミドpMXY12のDNAを含む第三のコンテナを含む。
本発明は、以下の配列リスト、図面及び実施例により説明される。
図1は、定められた培地上の組換え体の選択のための選択システムを模式的に示したものである。組換えカセット−ここではURA3およびCAN1遺伝子に隣接する組換え基質A、および、TRP1およびCYH2遺伝子に隣接する組換え基質B−にヘテロ接合性の二倍体親細胞が、減数分裂を起こすように誘導される。胞子は、ウラシル欠乏カナバニン含有(−Ura+Can)培地上およびトリプトファン欠乏シクロヘキサミド含有(−Trp+Cyh)培地上に、組換え型細胞3および4を選択するために植えられた。組換え型細胞3および4では、(+)で示すように、組換え基質AおよびBが関係する交叉が起こっている。親の二倍体および非組換え型の一倍体1および2は、(−)で示すようにこれらのいずれの倍地上でも生育できない。次の減数分裂のラウンドは、新しい二倍体を作製するために組換え体3および4を用いることができる。この新しい二倍体は胞子を形成すると、細胞1および2において示されたのと同じフランキング(隣接する)マーカーの配置を有する新しい組換え型細胞を産生する。これらの配置を有する組換え型胞子のコロニーは、ウラシル欠乏シクロヘキサミド含有(−Ura+Cyh)培地上およびトリプトファン欠乏カナバニン含有(−Trp+Can)培地上でそれぞれ選択される。
図2は、プラスミドpMXY9およびpMXY12を示す(上)。これらは酵母ゲノムの染色体III上のBUD31−HCM1遺伝子座に組換えカセットをターゲティングするために用いられるベクターである。どちらのプラスミドも、URA3およびCAN1マーカー(pMXY9)またはTRP1およびCYH2(pMXY12)マーカーと隣接するこの遺伝子座(5´および3´として示される)と配列相同性を有する。組換え基質をクローニングするための制限部位を有する短い配列がマーカー配列の各組の間に位置している。下は、組換えカセットのBUD31−HCM1遺伝子座への組み込みである。組換え基質Aを有するpMXY9誘導体は、5´および3´標的配列に隣接する組換えカセットを遊離させるためにNotIを用いて消化され、そして消化生成物はMXY47細胞に形質転換される。正確にターゲティングされた挿入断片を含むUra+誘導体は、次に組換えカセットに対してヘテロ接合性の菌株を作製するのに用いるために確認される。TRP1およびCYH2マーカーを有する組換えカセットが、同様にpMXY12において作製され、MXY47に形質転換され、次いでトリプトファン原栄養性に関して選択される。
図3は、Oxa遺伝子間の組換え頻度を野生型とmsh2菌株における配列の同一性の関数として示す。
上は、個々の実験の平均±標準偏差(n)である。下は、これらのデータのグラフ表示である。
以下の菌株が用いられた:MXY60、MXY62、MXY64、MXY66、MXY99およびMXY102。
図4は、msh2の過度の組換え効果を示す。msh2/wt(野生型)比は、共有されるOxa相同性が特定割合である菌株の対についての個々の独立した実験(総数=n)に対して、および、各選択条件に対して計算され、これらの合計値の平均±標準偏差が示される。データは、下にグラフで示した。以下の菌株の対が用いられた:MXY60およびMXY62、MXY64およびMXY66、MXY99およびMXY102。
図5は、78%相同性を共有するOxa配列間の組換えのPCR分析を示す。胞子コロニーは、ウラシル欠乏カナバニン含有培地上、または、トリプトファン欠乏シクロヘキサミド含有培地上での選択により、野生型(MXY99)およびmsh2(MXY102)二倍体から発生した。予想された交叉組換え体と一致する表現型を示す選択された胞子コロニーについて、コロニーPCRが行われた。上は、野生型およびmsh2 Ura+CanR候補それぞれについて2つの反応を行い、一方の反応は親に特異的なプライマー対(KNS16+KNS28、生成物は、各候補についてのレーンの各対の第一番目に示した)を用い、もう一方の反応は組換え体に特異的なプライマー対(KNS16+KNS29、第二レーン)を用いた。下は、同様の反応を野生型およびmsh2 Trp+CyhR候補それぞれについて行い、一方の反応は親に特異的なプライマー対(KNS11+KNS29、第一レーン)を用い、もう一方の反応は組換え体に特異的なプライマー対(KNS11+KNS28、第二レーン)を用いた。
コントロールの反応は、フランキングマーカー配列の既知の配置を含む適当なゲノムDNAテンプレートについて親の(P)または組換え体(R)、DNAがないコントロール(−)のいずれについても行われた。
図6は、第二ラウンドの組換えに関する組換え頻度を示す。MXY64およびMXY66を用いた第一ラウンドの組換えの後得られた野生型およびmsh2一倍体を交配させて、モザイクOxa7−Oxa11組換えカセットを有する野生型(MXY81、MXY82およびMXY83)およびmsh2(MXY86、MXY87およびMXY88)二倍体を作製した。Oxa11組換え基質に対してホモ接合性の野生型(MXY90)およびmsh2(MXY92)二倍体も、MXY60およびMXY62の組換え体子孫から作製された。全ての二倍体は胞子を形成し、胞子はUra+CanRおよびTrp+CyhR組換え体を選択するために倍地上に植えられた。
配列のリストは、以下の配列を含む:
配列番号1および2はそれぞれ、MSH2の増幅に用いられるプライマーMSH2UPおよびMSH2DNの配列を示す。
配列番号3から配列番号6はそれぞれ、MSH2特異的分析プライマーであるプライマーMSH2A1、MSH2A2、MSH2A3およびMSH2A4の配列を示す。
配列番号7および配列番号8はそれぞれ、KanMX特異的分析プライマーであるプライマーK2KANMXおよびK3KANMXの配列を示す。
配列番号9および配列番号10はそれぞれ、LEU2の増幅に用いられるプライマーLEU2UPおよびLEU2DNの配列を示す。
配列番号11および配列番号12はそれぞれ、HIS3の増幅に用いられるプライマーHIS3UPおよびHIS3DNの配列を示す。
配列番号13および配列番号14はそれぞれ、3´標的配列の増幅に用いられるプライマーKNS1およびKNS2の配列を示す。
配列番号15から配列番号17はそれぞれ、5´標的配列の増幅に用いられるプライマーKNS3、KNS4およびKNS6の配列を示す。
配列番号18および配列番号19はそれぞれ、Oxa7の増幅に用いられるプライマーKNS7およびKNS8の配列を示す。
配列番号20および配列番号21はそれぞれ、Oxa11の増幅に用いられるプライマーKNS9およびKNS10の配列を示す。
配列番号22は、BUD31下流分析プライマーであるプライマーKNS12の配列を示す。
配列番号23は、BUD31上流分析プライマーであるプライマーKNS13の配列を示す。
配列番号24は、TRP1特異的分析プライマーであるプライマーKNS14の配列を示す。
配列番号25は、URA3特異的分析プライマーであるプライマーKNS15の配列を示す。
配列番号26および配列番号27は、それぞれCYH2の増幅に用いられるプライマーKNS17およびKNS18の配列を示す。
配列番号28は、シークエンシングプライマーとして用いられるTRP1特異的フォワード(順方向)プライマーであるプライマーKNS30の配列を示す。
配列番号29は、シークエンシングプライマーとして用いられるCAN1特異的リバース(逆方向)プライマーであるプライマーKNS31の配列を示す。
配列番号30は、シークエンシングプライマーとして用いられるCYH2特異的リバースプライマーであるプライマーKNS33の配列を示す。
配列番号31および配列番号32はそれぞれ、Oxa5の増幅に用いられるプライマーKNS36およびKNS37の配列を示す。
配列番号33は、シークエンシングプライマーとして用いられるURA3特異的フォワードプライマーであるプライマーKNS38の配列を示す。
実施例−サッカロマイセス・セレビジエ ミスマッチ修復変異体におけるモザイク遺伝子の生成
1. 材料および方法
1.1 培地
標準的なリッチ培地YPD(Bio101社)を通常の生育のために用い、合成のドロップアウト培地(Bio101社)を遺伝子マーカーのチェックおよび組換え体の選択のために用いた。胞子形成のため、細胞をSPS(50mMリン酸カリウム、pH5.0、0.5%酵母抽出物(Difco社)、1%バクトペプトン(Difco社)、0.17%酵母窒素塩基、1%酢酸カリウム、0.5%硫酸アンモニウム)に必要な栄養成分を添加した中で終夜前培養し、洗浄し、1%酢酸カリウムに栄養成分を添加した中に再懸濁し、2日間振とうしながらインキュベートした。全ての操作を30℃で行った。四分子分析のため、子嚢をエスカルゴ(Helix pomatia)B−グリコシダーゼ(Sigma社)を用いて消化し、TDM400マイクロマニュピュレーター(微調整装置)(Micro Video Instruments社)を備えたNikon Eclipse E400 microscopeを用いて詳しく調べた。
他の遺伝子的手法は、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology (1998),John Wiley and Sons, Inc., New Yorkに記載されているように行った。全ての酵母の形質転換は、Agatepら、Technical Tips On-line (http://tto.trends.com)に従うLiAc法を用いて行った。
1.2 酵母菌株
本研究において用いられたまたは作製された全ての酵母の菌株を、表1および表2に一覧にした。全ての酵母菌株は、速やかに胞子を形成するW303から出た同質遺伝子的な誘導体である。組換えカセットを用いる形質転換のホストとして役立つ二倍体MXY47が、以下のように形質転換および遺伝子の交叉により作製された。一倍体D184−1B(S. Gangloff、CEA、フランス、の寄贈品)は、配列リストに載っているLEU2断片(プライマー対LEU2UP/LEU2DNを用いたW303菌株U474の予備的なPCRにより得られた)を用いて形質転換され、Leu+一倍体MXY13が生じた。一倍体D184−1C(S. Gangtoffの寄贈品)は、HIS3断片(プライマー対HIS3UP/HIS3DNを用いたORD4369−25Dの予備的なPCRにより得られた)を用いて形質転換され、His+一倍体MXY25が生じた。一倍体MXY18およびMXY22は、それぞれD184−1BおよびD184−1Cの劣性シクロヘキサミド耐性(cyh2R)誘導体で、10μg/mlシクロヘキサミド上で選択された;シクロヘキサミド耐性を与えるCYH2遺伝子座への変異地図の存在は、配列決定(2つの異なるヌクレオチドの変化が、グルタミン38をリジンに変化させる)および分離解析によって確認された。二倍体MXY29を得るためにMXY18およびMXY25を交雑させた;二倍体MXY33を得るためにMXY13およびMXY22を交雑させた。MXY38を得るために一倍体分離個体MXY29−6DおよびMXY33−8Cを交雑させた。MXY38はleu2−3、112およびhis3−11、15マーカーに対してヘテロ接合性であり、cyh2R変異に対してホモ接合性である。MXY38は、RBT348(R. Borts, University of Leicesterの寄贈品)からプライマーMSH2UPおよびMSH2DNを用いたPCRにより増幅したmsh2::KanMXカセットを用いて形質転換され、MXY47を生じた。形質転換体は200μg/mlG418(Invitrogen社)上で選択され、マーカーの分離を確かめるために、プライマーMSH2A1、MSH2A2、MSH2A3およびMSH2A4を用いるコロニーPCR(下記を参照)および四分子分析、すなわち4つの胞子の分析により確認された。
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1.3 プラスミドの作製
クローニングのホストとして、バクテリア菌株XL1−Blue MRF´(ΔmcrA)183(mcrCB−hsdSMR−mrr)173 endA1 supE44 thi−1 recA1 gyrA96 relA1 lac [F´ proAB laclZΔM15 Tn10 (Tet´)])およびJM110(rpsL [Str´] thr leu thi−1 lacY galk galT ara tonA tsx dam dcm supE44 Δ[lac−proAB][F´ traD36 proAB laclZΔM15])が用いられた。プラスミドの作製には、標準的な方法を用いた(Ausubelら)。この実験で用いられたまたは作製されたすべてのプラスミドを、表3に一覧にして示す。クローニングに用いられた制限酵素、T4 DNAリガーゼおよびその他の酵素は、New England BioLabs社から購入した。DNA断片およびプラスミドは、Qiagen社およびMacherey−Nagel社により供給されたキットを用いて精製した。
BUD31遺伝子座に相当する上流(“5’ターゲット”)配列を、プライマー対KNS3/KNS4を用いて予備的なPCRによりW303ゲノムDNAから増幅させ、pMXY1を作製するためにKpn1/Xho1断片としてKpn1/Xho1消化pKSII(+)(Stratagene社)にクローン化した。;下流(“3’ターゲット”)標的配列を同様にプライマー対KNS1/KNS2を用いて増幅させ、pMXY2を作製するためXba1/Not1断片としてXba1/Not1消化pKSII(+)(Stratagene社)中にクローン化した。TRP1マーカーは、pJH53(R.Bortsの寄贈品)からBglII/EcoRI断片として切り出され、pMXY3を作製するためにBamHI/EcoRI消化pMXY1と連結され、URA3マーカーはXhoI/HinDIII消化pRED316(R. Bortsの寄贈品)から切り出され、pMXY4を作製するためにXhoI/HinDIII消化pMXY1と連結された。CAN1マーカーは、pRED316からSma1断片として単離され、pMXY5を作製するためにHpa1消化pMXY2と連結された。pMXY3およびpMXY4中の5´標的配列は、プライマー対KNS4/KNS6を用いてゲノムDNAから再度増幅された配列で置換され、pMXY7およびpMXY6を作製するためにKpn1/Xho1断片としてそれぞれKpn1/Xho1消化プラスミド中に連結された。この工程は、クローニングの後の工程で必要となる制限部位がプライマーKNS3にないのを調整するために行われた。5´ターゲットおよびURA3マーカーを含むpMXY6のKpnI−SmaI断片は、URA3−CAN1組換えカセットベクターpMXY9を作製するためにKpnI/SmaI消化pMXY5と連結された。5´ターゲットおよびTRPIマーカーを含むpMXY7のKpnI/SpeI断片は、pMXY11を作製するためにKpnI/SpeI消化pMXY2と連結された。最後に、CYH2マーカーを、プライマー対KNS17/KNS18を用いて予備的なPCRによりW303ゲノムDNAから増幅させ、BamHIおよびPvuIで消化し、TRP1−CYH2組換えカセットベクターpMXY12を作製するためにBglII/PacI消化pMXY11と連結した。すべてのプラスミドコンストラクトは、電気穿孔法(エレクトロポーレーション)によりバクテリアのホストに導入され、制限分析により確認され、そしてpMXY9およびpMXY12は、さらにすべてのクローニング接合部を配列決定することにより確認された。
B−ラクタマーゼ組換え基質は、Oxa5(目録X58272)に対してKNS36/KNS37、Oxa7(目録X75562)に対してKNS7/KNS8、Oxa11(目録Z22590)に対してKNS9/KNS10をプライマー対に用いて、予備的なPCRによりホストプラスミド(W. Schoenfeldから提供された)から増幅させた。Oxa7およびOxa11PCR産物をPacIで消化し、pMXY13およびpMXY14それぞれを作製するためにSmaI/PacI消化pMXY9と連結させた。またOxa11PCR産物を、SpeIおよびPacIで消化し、pMXY22を作製するためにSpeI/PacI消化pMXY12と連結させた。Oxa5PCR産物をBamHIおよびPacIで消化し、pMXY24を作製するためにBglII/PacI消化pMXY9と連結させた。すべてのコンストラクトは、制限分析で確かめられた。
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1.4 組換え体の選択および特徴づけ
組換えの第一ラウンドのために、組換えカセットを有するプラスミドをNot1で消化し、すべての消化生成物をMXY47の形質転換に用いた。ウラシル(pMXY9誘導体用)またはトリプトファン(pMXY12誘導体用)原栄養株が選択され、コンストラクトの導入によるBUD31−HCM遺伝子座の2つの染色体の複製物のうちの1つのターゲティングが、無傷のまたは破壊されたBUD31−HCM1遺伝子座からの断片を増幅させるプライマー、URA3−CAN1誘導体に対してプライマーKNS12/KNS13/KNS15を、TRP1−CYH2誘導体に対してプライマーKNS12/KNS13/KNS14を用いたコロニーPCRにより確認された。形質転換されたヘテロ接合体は胞子を形成し、組換えカセットを有する野生型またはmsh2一倍体を同定するために四分子分析を行った。反対の交配型(opposite mating type)の適切な一倍体をYPDプレート上に撒き、終夜生育させ、同じYPDプレート上で混合し、そして終夜交配させた。交配プレートは、二倍体を選択するためにUra−Trp培地に対してレプリカプレートとし、後日補助栄養素を添加したSPSに多量に接種され、終夜培養された。前培養を遠心沈殿し、洗浄し、そして細胞を1%酢酸カリウムに補助栄養素を添加した中に再懸濁し、2日間インキュベートした。
胞子を形成した細胞は集められ、定量され、すべてのマーカーが適当に分離したかを調べるために分析された。胞子を遊離させるためにザイモリエース(zymolyase)20T(ICN Biomedicals社)を用いて子嚢を消化し、胞子の懸濁液を超音波処理し(Branson社 Model 250 Digital Sonifier)、適当な希釈液を、細胞の生存率を決定するためにYPD上に、Ura+CanR組換え体を選択するために60μg/mlカナバニン(SIGMA社)を含むウラシルドロップアウト培地上に、Trp+CyhR組換え体を選択するために3μg/mlシクロヘキサミド(SIGMA社)を含むトリプトファンドロップアウト培地上に植えた。各培地上に生じた胞子コロニーを計測し、それらが真の組換え体であるかどうかを決定するために表現型および分子テストを行った。表現型分析のために、候補組換え体の代表的な番号を選択のために用いたのと同じ倍地上に再度スロリークし、その後−Ura(ウラシル)、−Trp(トリプトファン)、シクロヘキサミド(10μg/ml)、カナバニン(60μg/ml)、および交配型テスタープレートにレプリカプレートとした。
胞子も、各胞子調製物について二倍体の発生頻度を決定するために−Ura−Trp培地上に植えられ、それはほとんどの場合生存可能な全細胞の4%未満であった。分子分析のために、ゲノムのDNAすべてについて、親または組換え断片を特異的に増幅させる適切なプライマーを用いる分析PCR(下記を参照)を行った。特定の選択に対する組換えの発生頻度は、特定の選択培地上の生存可能な細胞の発生頻度として表され、偽陽性表現型を示す非組換え体の存在に対して修正された。
多くの場合、このような偽陽性は、分析PCRにより示唆されるように変異によるCANまたはCYH2マーカーの不活性化により生じる。
組換えの第二ラウンドのために、組換えの第一ラウンドから生じた適当な組換え体を交配し、そしてUra+Trp+二倍体が選択された。胞子が、YPD上、Ura+CyhR組換え体を選択するためにシクロヘキサミドを含むウラシルドロップアウト培地上、Trp+CanR組換え体を選択するためにカナバニンを含むトリプトファンドロップアウト倍地上に植えられたことを除いて、組換えの第一ラウンドと同じ胞子形成方法が次いで行われた。候補組換え体について、同様に表現型および分子分析を行った。
1.5 分子法
予備的なまたは分析PCRのためのテンプレートとして用いられるゲノムのDNAは、Ausubelらの標準的なミニプレップ手順に従って、終夜のYPD培養物から調製された。クローニングまたは配列決定で用いられる断片の予備的なPCRが、テンプレートとしてOxaプラスミドDNA(約50pg)または酵母ゲノムのDNA(約0.5μg)を用いて、2.5UのHerculase polymerase (Stratagene社)、1x Herculase 反応バッファー、0.2mMの各dNTPおよび100ngの各プライマーを含む50μlの反応液中で行われた。増幅は、以下のように行われた:94℃ 2分;94℃ 10秒、55℃ 30秒、72℃ 30秒を30サイクル;68℃ 10分。組換えカセットがBUD31遺伝子座に組み込まれたことを確認するために、変更したコロニーPCRを以下の増幅条件で行った(http://www.fhcrc.org/labs/hahn/methods/mol bio meth/pcr yeast colony. html)。:Oxaの挿入断片を特徴づけるための分析PCRは、候補組換え体およびコントロール菌株から調製された約0.5μgのゲノムのDNA、1.5UのTaqポリメラーゼ(Roche社)、1x反応バッファー、0.2mMの各dNTPおよび100ngの各プライマーを含む100μlの反応体積で、伸長反応を68℃で2分行う以外はコロニーPCRと同じ増幅条件で行った。
すべての増幅反応は、Mastercycler gradient 5331(Eppendorf社)を用いて行った。
組換えOxa挿入断片の配列分析のため、プライマー対KNS16/KNS29(Ura+CanR組換え体に対して)またはKNS11/KNS28(Trp+CyhRに対して)を用いて予備的なPCRを行い、その後Qiaquick PCR kit(Qiagen社)を用いて精製した。プライマーKNS30、KNS31、KNS33またはKNS38を適宜用いて、Genome Express (Meylan社, FR)によってPCR産物の配列を決定した。Clone Manager software (Sci Ed Central社)を用いて組換え配列を整列させ、分析した。PCRおよび配列決定に用いたオリゴヌクレオチド(表3)は、フランスのProligo社から購入した。
2. 結果
2.1 酵母減数分裂の相同的組換え(homeologous recombination)システムの開発
インビボでの異なるDNA配列間の組換えを促進するために酵母サッカロマイセス・セレビジエを利用する戦略を開発した。この戦略の重要な特性は、ゲノムワイドな組換えが高レベルで起こっており、通常は異なる配列間の組換えを制限するミスマッチ修復(MMR)システムが不活化している減数分裂の細胞の使用を含むことである。
組換えられるべき配列、すなわち組換え基質は、組換えカセットを作るために、フランキングマーカー配列も有する2つのベクターのうちの1つに導入された。組換えカセットは、減数分裂において組換えが活性であると知られている領域にある酵母ゲノムの染色体III上の遺伝子座(BUD31−HCM1区間)に導入される。組換えカセットにヘテロ接合性の二倍体は胞子を形成し、胞子は、フランキングマーカーの特異的な配置を有する細胞を選択する倍地上に撒かれ、そこで、組換え基質が関わる交叉が起こった組換え体の選択が行われる(図1)。
2つの一般的な組換えカセットベクターpMXY9およびpMXY12が作製された。これらは、組換え基質の導入に用いることができる制限部位に隣接するURA3およびCAN1、および、TRPIおよびCYH2マーカーをそれぞれ含む(図2)。URA3マーカーはウラシル原栄養性を付与し、CAN1マーカーはカナバニン感受性を付与する。このマーカーがないと、細胞はこの薬剤に耐性である。TRPマーカーはトリプトファン原栄養性を付与し、CYH2マーカーはシクロヘキサミド感受性を付与する。このマーカーがないと、細胞はこの薬剤に耐性である。2つの各組換えカセットは、コンピテントセルの形質転換によってBUD31−HCM1遺伝子座に挿入断片全体をターゲティングする配列に順番に隣接している(図2)。形質転換の最初のホストとして有用である菌株MXY47も作製された(表2)。この二倍体はmsh2::KanMX変異にヘテロ接合性であり、MMRに関しては、表現型的には野生型である。これはまた、ura3−1、trp1−1、can1−100およびcyh2Rマーカーに対してホモ接合性であり、これは組換えカセットマーカーの存在をモニターすることを可能とし、そしてhis3−11、15およびleu2−3、112マーカーに対してヘテロ接合性である。
MXY47は、組換えカセットを有する断片を用いて形質転換された。最初の形質転換体は、Ura+またはTrp+原栄養性として選択され(それぞれMXY9およびMXY12誘導体として)、導入したコンストラクトの範囲内および範囲外の配列を認識するプライマーを用いる分析PCRによってターゲティングが確認される。最初の形質転換体は胞子を形成し、4分子は切断され、組変えカセットを有する野生型かまたはmsh2分離個体かを確認するためにレプリカプレートされた。組換え基質にヘテロ接合性を有するMSH2/MSH2(野生型)およびmsh2/msh2二倍体を産生するために、好適な一倍体を他の一倍体と交配する。組換え体を産生する減数分裂の第一ラウンドにおいて、これらの二倍体は胞子を形成し、フランキングマーカーのURA3−CYH2配置を有する組換え体(Ura+CanR胞子コロニー)を選択するためにウラシル欠乏カナバニン含有培地上に、または、TRI−CANDI配置(Trp+CyhR胞子コロニー)を選択するためにトリプトファン欠乏シクロヘキサミド含有倍地上に、遊離の胞子を植えた。
親の二倍体および非組換え型の一倍体の子孫は、これらの配置で生育することができない。選択培地上に生じる胞子コロニーの発生頻度が測定され、候補の組換え胞子コロニーは試験培地上にレプリカプレートされて表現型的に、および、適当なプライマー対を用いたPCRにより分子的に特徴づけられ、確認された組換え体のサンプルが配列決定のために選択された。
この戦略は、組換え挿入断片を有する細胞が同定され、そして多様性を増大させる減数分裂の組換えのさらなるラウンドが行われる点において反復的である。フランキングマーカーのURA3−GAN1配置を有する組換え体(Ura+CyhR胞子コロニー)を選択するためにウラシル欠乏シクロヘキサミド含有培地上で、または、TRP1−CYH2配置(Trp+CanR胞子コロニー)を選択するためにトリプトファン欠乏カナバニン含有倍地上で、新しい組換え体が選択されることを除いて、第二のラウンドにおいて、Ura+CanRおよびTrp+CyhR一倍体を交配し、胞子形成および選択過程を繰り返す。ここで詳細に記載された戦略は、選択の厳格さを増大させるために更なるマーカーを含むように変更することができる。さらに、組換え体は、フランキング配列に特異的なプライマーを用いるPCRによって直接選択されうる。
2.2 配列の相違が異なるOxa遺伝子対間の組換えに対する表現型の選択
ベータラクタマーゼのOxaスーパーファミリーに属する遺伝子が、組換え体の選択のためのシステムの可能性をテストするための基質として選択された。以下のOxa対間の組換えが、野生型およびmsh2の出のものにおいて評価された:Oxa11−Oxa11、これらは800bp ORF(翻訳領域)の初めから終わりまで100%の相同性を共有する;Oxa7−Oxa11、95%;Oxa5−0xa11、78%。適当な一倍体間の交雑によって生成した二倍体が、減数分裂に入るように誘導された。減数分裂の培地から胞子が調製され、続く希釈物が、細胞の生育能力を測定するためにYPD上に植えられ、組換え体を選択するために、ウラシル欠乏カナバニン含有(−Ura+Can)倍地上およびトリプトファン欠乏シクロヘキサミド含有(−Trp+Cyh)培地上に植えられた。
2.3 配列の相同性が異なるOxa遺伝子間の組換えの頻度
図3に示されるデータは、野生型の出のものにおいて配列の異種性が増加すると、交叉組換えへの強い阻害効果があることを証明しており、そしてこの効果はmsh2変異によって軽減されるが、止めることはできない。一般に、msh2変異は、試験された相違の2つのレベルにおいて野生型菌株で観察されるより組換えの頻度を約1桁増加させる。しかしながら、MSH2のみの不活性化は、より異種性の度合いが高い組換え基質間の組換えの阻害を完全に補うことはできない。例えば、78%の相同性を共有するOxa挿入断片を有するmsh2菌株(MXY102)についての組換え頻度は、100%の相同性のOxa挿入断片を有する野生型菌株(MXY60)について観察されたより、少なくとも10倍(Ura+CanR)および25倍(Trp+CyhR)低い。このことは、MSH2依存性ミスマッチ修復以外の要因が、より相違する配列間の交叉組換えを妨げることを示唆する。78%の相違レベルでmsh2組換え体の出現が、おおよそ2×10−4の頻度であったことは注目すべきであり、より相違が多い基質間でも組換えが達成されたことを示す。
2.4 msh2過組換え効果
相同的組換えおよび相同的組換え(homeologous recombination)におけるmsh2の効果は、まず、各実験の特定の選択の特定の相同性割合について野生型組換え体に対するmsh2組換え体の比率を計算し、そしてその後、このように決定された比率全体の平均および標準偏差を計算して定量化した。データを図4に示す。msh2変異の存在は、相同性95%および78%の相同的組換えの頻度を増加させ、あまり有利な判断は下せないが、依然として100%同一の配列間の組換えの定量可能な増加がある。さらに、相同的組換えのmsh2増加の程度は2つの選択物において異なっている:配列が少し異なる相同配列のOxa挿入断片を有する菌株に関しては、MSH2の不活性化は、Trp+CyhR組換え体の発生頻度を、Ura+CanR組換え体の発生頻度を増加させるより大いに増加させる。原則として、両方の組換え体の型(Ura+CanRおよびTrp+CyhR)の発生頻度は等しいはずであるが、これらの数は、配列の相違の程度における差異と関連して、msh変異によって誘発されるまたは高められるシステムに偏りがあることを示唆している。得られた組換え体の型における、挿入断片およびフランキングマーカー配列の相対的な影響を調べるための実験は、この偏りはフランキングマーカーの特性であることを示すが、減数分裂の組換え現象の結果に作用する組換え基質の影響は、まだ説明できない(データは示さず)。
2.5 選択された組換え体のPCR分析
22%相違のOxa遺伝子を含む野生型およびmsh2二倍体(それぞれMXY99およびMXY102)から生じたUra+CanRおよびTrp+CyhR胞子コロニーに適用された、PCR分析の例を図5に示した。各菌株について、各組換え体の表現型を発現した10のコロニーを分析した。
各コロニーからの抽出物が、親分子を特異的に増幅させるプライマー対および組換え分子を特異的に増幅させるプライマー対を用いる増幅のためのテンプレートとして用いられた。
全ての場合において、予測された組換え挿入断片のみが増幅し、このことは、選択された胞子コロニーが、親のOxa組換え基質間での組換えにより生成した配列を含むことを示唆している。これらの結果はまた、遺伝子選択工程を行わなくても組換え分子が胞子の培地から直接回収できることを証明する。ここで、UPA3、CAN1、TRP1およびCYH2遺伝子中に位置するプライマー認識部位は、各組換え基質に隣接する分子マーカー配列に相当する。
2.6 第一ラウンドの減数分裂における相同的組換えの配列分析:5%および22%の相違
野生型およびmsh2二倍体(それぞれMXY64およびMXY66)から生じたOxa7−0xa1減数分裂の組換え体、これらは95%の相同性を共有する組換え基質を含むが、これらの組換え体のうち表現型および分子(PCR)試験を満たすものが配列分析にかけられた。
組換え断片は、フランキングマーカーに特異的なプライマーを用いて増幅され、翻訳開始および終結部位にごく近いプライマーを用いて配列決定された。全部で、Oxa7−Oxa11二倍体の一倍体の子孫から生じた55の組換え体の配列が分析された:MXY64からの14のUra+CanRおよび13のTrp+CyhR組換え体、MXY66からの14のUra+CanRおよび14のTrp+CyhR組換え体。配列決定されたサンプルの型について、いくつかの観察がなされた。1)野生型およびmsh2組換え体両方について、交叉が起こった位置はコード領域の全体におよび、特定の区間に対する明白な優先はなかった。5´領域で起こった交叉は、3´領域と同じぐらい起こりそうであった。また特定の菌株について、−Ura+Canによるまたは−Trp+Cyhによる選択で得られた胞子コロニーについて、交叉部位の分布における明白な差異はなかった。2)交叉区間における中断されていない相同性の長さもまた、重要でない:交叉は、2つの最も広く間隔をあけて位置している多形(ポジション163−265、例えばMXY66 Trp+CyhR #15)の間だけでなく、2つのごく近い間隔に位置している多形(MXY66 Trp+CyhR #7、#8および#13に関してポジション543−552、ここで、ポジション1は、ATG翻訳開始部位のアデノシン残基を表す。)の間でも検出された。3)野生型およびmsh2出の両方から単離された組換え体Oxa挿入断片は、新しい機能性Oxaタンパク質をコードする潜在的能力を有する完全長の組換え配列を含んでいた。つまり、全ての交叉は、無傷のORFを保つような態様で、交叉区間においてまたはその他の区間において、ヌクレオチドの正味の挿入または欠失なしに起こった。4)ほとんどの組換え配列の構造は、相同性の局部領域における2つのOxa配列間の単純な交叉と一致しているが、msh2の出のものにおいて単離されたいくつかの組換え体は非常な複雑性を示した。4つの組換え体(MXY66 Ura+CanR #16および#31、および、MXY66 Trp+CyhR #5および#9)から生じた配列は、それらが1つ以上の交叉現象により生成したかのように、高度のモザイク性を示した。事実、これらの組換え体のうちの2つの分析は困難であった。なぜなら電気泳動図を調べると、配列決定した領域内の複数の部位で2つの重なり合うピークが存在することが明らかになったからであり、その各部位は、Oxa7−Oxa11遺伝子多形に対応した。この観察結果は、配列決定された分子の集団が不均一(異種性)であることを示唆しており、それに対する最も適当な説明は、msh2組変え体胞子中に存在する、修復されないまたは部分的に修復されたヘテロ二重鎖の存在である。この解釈は、msh2変異によって引き起こされる減数分裂後の分離(post−meiotic segregation)(PMS)の、周知の頻度の増加と一致している。これらの2つのケース、MXY66 Ura+CanR #16および#31では、1または2以上の修復部位が修復されていないヘテロ二重鎖の範囲に隣接し、Cric、GluckおよびFabre(EMBO J. 19:3408)により示唆されるように、msh2の出のものにおけるショートパッチ(short−patch)ミスマッチ修復活性のアンマスキングと一致する。ショートパッチミスマッチ修復に関係ないPMSのいくつかの他の例も、msh2組換え配列について観察されており、この別のミスマッチ修復システムは、ヘテロ二重鎖DNAにおけるミスマッチの修正に高度に効率がよいのではないらしいことが示唆される。配列の電気泳動図から判断すると、正されなかったヘテロ二重鎖の範囲は、約50ntの短い領域から全ORFをほとんどカバーする領域まで変動する。PMSまたはショートパッチミスマッチ修復が野生型組換え体配列で見つかった証拠はない。概して、これらの発見は、msh2減数分裂において作られた多様性の程度は、野生型減数分裂におけるものより大きいことを示唆している。
減数分裂の組換え体はまた、78%の相同性を共有する組換え基質を含む野生型およびmsh2二倍体(それぞれMXY99およびMXY102)から生じた。Oxa5−Oxa11二倍体の組換え体子孫由来の全部で24の組換え配列が分析された:MXY99から、5つのUra+CanRおよび3つのTrp+CyhR組換え体、および、MXY102から9つのUra+CanRおよび7つのTrp+CyhR組換え体。これらの配列を調べると、いくつかの傾向が示唆された。1)−Trp+CyhR上での選択により野生型およびmsh2菌株両方において得られた組換えOxa配列は、ORFのすみずみにわたる異なる位置での交叉を示し、共有される相同の全領域の中央の250bp領域(nt333−nt573)に向かう傾向がわずかにあるようであった。対照的に、−Ura+CanR上での選択により野生型およびmsh2菌株両方において得られた組換え体は、交叉ポジションにおいて明確な偏りを示した:5の野生型のうちの3において、および9のmsh2配列のうちの8において、交叉は、共有される相同性領域の最後の80ntの範囲、すなわちORFの最後の10%において起こった。2)交叉が同定された完全に相同な区間は、−Trp+Cyh選択については11から20ntに渡っており、このことは、これらの比較的広い配列同一の範囲に対して優先的であることを示している。対照的に−Ura+Can選択については交叉区間は短く、3から17nt(これらの13/14は13ntかより短い区間を含む)にわたる。3)95%相同性を共有する配列を含む組換え体に関しては、得られる新規な配列も無傷の(完全な)ORFから構成され、そして潜在的に新規なOxaタンパク質をコードしている。4)電気泳動図の観察から判断されるように、PMSが野生型組換え体について観察された例はないが、修復されていないヘテロ二重鎖の非常に短い断片が、7のTrp+CyhR組換え体のうちの3を含む数個のmsh2組換え体について発見された。これらの領域は高々67ntであり、Oxa7−Oxa11組換え体に関して観察されたいくつかの広がりよりも短い。要約すると、これらの観察は、組換え配列が少なくとも22%異なる投入組換え基質から選択されうること、およびこれらの配列は新規なタンパク質をコードしていることを示唆している。
2.7 Oxa7−Oxa11第二ラウンド組換え体の配列分析
配列の多様性を増やす反復方式の酵母のシステムの能力を、減数分裂の第一ラウンドで生成したOxa7−Oxa11組換え一倍体から二倍体を作製することによってテストし、そしてこれらの新たな二倍体を減数分裂の第二ラウンドにかけた。
配列の相同性の全体的なレベルが再び95%である新しい二倍体の作製のために、MXY64およびMXY66の配列決定されたUra+CanRおよびTrp+CyhR子孫の中で、同じ区間に交叉を有する適当な組換え体の対が選択された。3つの野生型(MXY81、MXY82およびMXY83)および3つのmsh2(MXY86、MXY87およびMXY88)二倍体が作製された。Oxa11配列挿入断片のみを有するコントロールの野生型およびmsh2二倍体もMXY60およびMXY62の適当な組換え体子孫から作製し、MXY90およびMXY92が生成した。これらの二倍体は胞子を形成し、第二ラウンドの組換え体の選択のため、胞子をウラシル欠乏シクロヘキサミド含有(−Ura+Cyh)培地上およびトリプトファン欠乏カナバニン含有(−Trp+Can)倍地上に植えた。図6に示すように、これらのすべての菌株について観察された−Ura+CyhRおよびTrp+CanR胞子コロニーの発生頻度は、MSH2遺伝子の抗組換え効果と一致していた。野生型ホモ接合型MXY90の子孫の中に、10−3の生存頻度で両方の型のコロニーが見つかったが、この生存頻度は、異種のOxa挿入断片を有する野生型二倍体(MXY81、MXY82およびMXY83)の子孫では5から10倍少なかった。異なるOxa挿入断片を有する二倍体(MXY86、MXY87およびMXY88)におけるMSH2遺伝子の不活性化は、Ura+CyhRおよびTrp+CanR胞子コロニーの発生頻度を2から6倍増加させ、同一のOxa挿入断片を有するmsh2二倍体(MXY92)について見られたのと同様のレベルであった。用いられた培地は、第一ラウンドの組換えに用いられたものと異なるが、野生型およびmsh2の第二ラウンドの組換え体が選択された生存頻度は、第一ラウンドの組換え体のそれと同等であった。
野生型(MXY81およびMXY83)およびmsh2(MXY86)の出の両方におけるUra+CyhRおよびTrp+CanR胞子コロニーが、配列決定のために選択された。全部で14の野生型および7のmsh2Oxa挿入断片の配列が決定された。ほとんどの場合、第二ラウンドの組換えの間、交叉は新規な区間において起こり、再び、位置または区間サイズに関して明確な偏りはなかった:異なる区間を含む交叉が、Oxa ORFのいたるところに見られ、それらは101nt程大きい区間、そして5nt程小さい区間に起こった。ある場合(MXY83 Trp+CyhR一倍体)、第二ラウンドの交叉が第一ラウンドの交叉区間において起こり、したがって全Oxa11配列が回復した。msh2二倍体から作られた組換え体は、野生型菌株から作られたものより多様であった。msh2二倍体MXY86に関して、広範囲にわたるPMSを示すいくつかの胞子コロニーと、配列のモザイク現象が観察され、組換え中間体におけるヘテロ二重鎖の長断片の形成と一致した。さらに、ミスマッチの中にはヘテロ二重鎖域において修復されるものがあり、再びショートパッチミスマッチ修復活性と一致した。要約すると、msh2の出のものにおける第二ラウンドの組換えは、生成する配列の多様性に関して(例えば、交叉区間の分布およびPMSの影響)定性的に、および、配列が少し異なる相同配列どうしの(5%相違)組換えの全体的な頻度の増加に関して定量的に、両方において第一ラウンドの組換えと同じくらい効率的であった。
所定の培地上の組換え体を選択するための選択システムの模式図ある。 上図はプラスミドpMXY9およびpMXY12を示す。下図は組換えカセットのBUD31−HCM1遺伝子座への組み込みを示す。 Oxa遺伝子間の組換え頻度を野生型とmsh2菌株における配列の同一性の関数として示す。 msh2の過度の組換え効果を示す。 78%相同性を共有するOxa配列間の組換えのPCR分析を示す。 第二ラウンドの組換えに関する組換え頻度を示す。

Claims (44)

  1. サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)における組換えDNA配列の産生および検出方法であって、
    a)ゲノムの定められた遺伝子座に、第一のおよび第二のマーカー配列の間に位置する組換えられるべき第一のDNA配列を含む第一の組換えカセットを有し、かつ該ゲノムの定められた遺伝子座の対立遺伝子座に、第三のおよび第四のマーカー配列の間に位置する組換えられるべき第二のDNA配列を含む第二の組換えカセットを有している第一の二倍体エス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞を産生する工程、
    b)a)で得られた第一の二倍体細胞の胞子形成を誘導する工程、および、
    c)該組換えられるべき第一のDNA配列と該組換えられるべき第二のDNA配列との間の交叉によって形成される第一の組換えDNA配列が第一のおよび第四のマーカー配列の間に位置する組換えカセットを含む一倍体細胞、および、該組換えられるべき第一のDNA配列と該組換えられるべき第二のDNA配列の間の交叉によって形成される第二の組換えDNA配列が第二のおよび第三のマーカー配列の間に位置する組換えカセットを含む一倍体細胞を単離する工程:
    を含む、方法。
  2. さらに、
    a)請求項1のc)で得られた第一の組換えDNA配列を含む一倍体細胞と請求項1のc)で得られた第二の組換えDNA配列を含む一倍体細胞とを交配することにより第二の二倍体細胞を産生する工程、
    b)a)で得られた第二の二倍体細胞の胞子形成を誘導する工程、および、
    c)請求項1のc)で得られた第一の組換えDNA配列と請求項1のc)で得られた第二の組換えDNA配列との間の交叉によって形成される第三の組換えDNA配列が第一のおよび第二のマーカー配列の間に位置する組換えカセットを含む一倍体細胞、および、請求項1のc)で得られた第一の組換えDNA配列と請求項1のc)で得られた第二の組換えDNA配列との間の交叉によって形成される第四の組換えDNA配列が第三のおよび第四のマーカー配列の間に位置する第四の組換えカセットを含む一倍体細胞を単離する工程:
    を含む請求項1に記載の方法。
  3. 請求項2のc)で得られた一倍体細胞を、少なくとも一度他の一倍体細胞と共に別の交配サイクルを行い、得られた二倍体細胞の胞子形成を誘導し、組換えDNA配列を有する一倍体細胞を、2つのマーカー配列間の分子連鎖に基づき単離することにより、さらに組換えDNA配列を産生する請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記第一の二倍体細胞が同時にまたは経時に第一の組換えカセットを含むDNA分子および第二の組換えカセットを含むDNA分子を用いて二倍体エス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞を形質転換することにより産生されたものであり、この2つの組換えカセットがエス・セレビジエ(S. cerevisiae)ゲノムの対立遺伝子座に組み込まれてもよい、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第一のまたは第二の組換えカセットを含むDNA分子が酵母人工染色体(YAC)である請求項4に記載の方法。
  6. 第一のまたは第二の組換えカセットを含むDNA分子がクローニング媒体であり、そこで2つのマーカー配列それぞれが、組換えられるべき第一のまたは第二のDNA配列に隣接する側とは反対側において、エス・セレビジエ(S. cerevisiae)ゲノムの定められた遺伝子座と相同の標的配列に隣接する請求項4に記載の方法。
  7. 前記第一の二倍体細胞がゲノムの定められた遺伝子座に第一の組換えカセットを有している一倍体エス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞と、該ゲノムの定められた遺伝子座の対立遺伝子座に第二の組換えカセットを有している一倍体エス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞とを融合することにより産生されたものである請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記第一の二倍体細胞がゲノムの定められた遺伝子座に第一の組換えカセットを有している一倍体エス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞と、該ゲノムの定められた遺伝子座の対立遺伝子座に第二の組換えカセットを有している一倍体エス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞とを交配することにより産生されたものである請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  9. 第一のまたは第二の組換えカセットを有している一倍体細胞が:
    a)組換えられるべき第一のDNA配列を、第一のクローニング媒体上において隣接して位置する第一と第二のマーカー配列の間に挿入し、組換えられるべき第二のDNA配列を第二のクローニング媒体上において隣接して位置する第三と第四のマーカー配列の間に挿入し、それにより2つのマーカー配列それぞれが、組換えられるべき第一のまたは第二のDNA配列に隣接する側とは反対側において、エス・セレビジエ(S. cerevisiae)ゲノムの定められた遺伝子座と相同の標的配列に隣接し、
    b)a)で得られたクローニング媒体から第一の組換えカセットおよび第二の組換えカセットそれぞれを有している断片を切り出し、それにより各カセットがそれぞれの2つのマーカー配列の間に位置する組換えられるべきDNA配列を含み、そして各カセットが標的配列に隣接し、
    c)第一のカセットまたは第二のカセットに対してヘテロ接合性の二倍体細胞を得るために、b)で得られた組換えカセットとフランキング標的配列とを有している断片を別々にエス・セレビジエ(S. cerevisiae)二倍体細胞に形質転換し、それにより該標的配列がカセットのその配列が相同である遺伝子座への組み込みに作用し、
    d)c)で得られたヘテロ接合性の二倍体細胞の胞子形成を別々に誘導し、および、
    e)第一のカセットを含み、第一のおよび第二のマーカー配列を発現する一倍体細胞、および、第二のカセットを含み、第三のおよび第四のマーカー配列を発現する一倍体細胞を別々に単離する
    ことにより産生されるものである請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記第一のクローニング媒体がプラスミドpMXY9(DSM 17010)であり、第二のクローニング媒体がプラスミドpMXY12(DSM 17011)である請求項9に記載の方法。
  11. 形質転換に用いられる前記二倍体エス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞が少なくとも二つの栄養因子に対して栄養要求性である請求項4から6、9または10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記二倍体細胞がura3−1対立遺伝子およびtrp1−1対立遺伝子に対してホモ接合性であり、該遺伝子が該細胞をウラシルおよびトリプトファンそれぞれに対して栄養要求性にする請求項11に記載の方法。
  13. 形質転換に用いられる前記二倍体細胞が少なくとも2つの抗生物質に対して耐性である請求項4から6または9から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記二倍体細胞がcan1−100対立遺伝子およびcyh2R対立遺伝子に対してホモ接合性であり、該遺伝子が該細胞をカナバニンおよびシクロヘキサミドそれぞれに対して耐性にする請求項13に記載の方法。
  15. 対立遺伝子ura3−1、trp1−1、can1−100およびcyh2Rに対してホモ接合性であり、msh2::KanMX変異に対してヘテロ接合性であるエス・セレビジエ(S. cerevisiae)菌株MXY47(DSM 17026)の二倍体細胞が形質転換に用いられる請求項4から6または9から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記エス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞が機能的ミスマッチ修復システムを有するものである請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記エス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞が一過的にまたは持続的にミスマッチ修復システムを欠損しているものである請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記一過的または持続的なミスマッチシステムの欠損が、ミスマッチ修復システムに関わる1または2以上の遺伝子の変異および/または誘導的な発現または抑圧、ミスマッチ修復システムを飽和させる薬剤を用いた処理および/または包括的にミスマッチ修復を損なわせる薬剤を用いた処理によるものである請求項17に記載の方法。
  19. 前記第一のおよび第二の組換えカセットがエス・セレビジエ(S. cerevisiae)ゲノムの染色体III上のBUD31−HCM1遺伝子座に組み込まれている請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記組換えられるべき第一のおよび第二のDNA配列が少なくとも1個のヌクレオチドで異なるものである請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記組換えられるべき第一のおよび第二のDNA配列が、エス・セレビジエ(S. cerevisiae)以外の生物体およびエス・セレビジエ(S. cerevisiae)を含む生物体由来のものである請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記組換えられるべき第一のおよび第二のDNA配列が、1または2以上の非翻訳配列および/または1または2以上のタンパク質をコードしている配列を含む請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記マーカー配列が、栄養マーカー、色素マーカー、抗生物質耐性マーカー、抗生物質感受性マーカー、プライマー認識部位、イントロン/エクソン境界、酵素の特定のサブユニットをコードしている配列、プロモーター配列、下流調節遺伝子配列および制限酵素部位からなる群より選択されるものである請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記第一のおよび第三のマーカー配列が栄養マーカーであり、その遺伝子産物がエス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞の栄養要求性を補うことができる請求項23に記載の方法。
  25. 前記第一のマーカー配列がURA3であり、その遺伝子産物がウラシル栄養要求性エス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞にウラシル原栄養性を付与することができる請求項24に記載の方法。
  26. 前記第三のマーカー配列がTRP1であり、その遺伝子産物がトリプトファン栄養要求性エス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞にトリプトファン原栄養性を付与することができる請求項24に記載の方法。
  27. 前記第二のおよび第四のマーカー配列が抗生物質感受性マーカーであり、その遺伝子産物がその抗生物質に耐性のエス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞に抗生物質への感受性を付与することができる請求項23に記載の方法。
  28. 前記第二のマーカー配列がCAN1であり、その遺伝子産物がカナバニン耐性エス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞にカナバニン感受性を付与することができる請求項27に記載の方法。
  29. 前記第四のマーカー配列がCYH2であり、その遺伝子産物がシクロヘキサミド耐性エス・セレビジエ(S. cerevisiae)細胞にシクロヘキサミド感受性を付与することができる請求項27に記載の方法。
  30. 第一の、第二の、第三のまたは第四の組換えDNA配列のいずれかを有する組換えカセットを含む一倍体細胞が、各マーカーの組合せの存在を検出するためにPCR法により確認される請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 第一の、第二の、第三のまたは第四の組換えDNA配列のいずれかを有する組換えカセットを含む一倍体細胞が、それぞれのマーカー配列の組合せと同じDNA分子上の分子連鎖を選択する培地上に植えられることにより確認される請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
  32. 第一の組換えDNA配列を含む一倍体細胞が、第一のおよび第四のマーカー配列と同じDNA分子上の分子連鎖を選択する培地上に植えられる請求項31に記載の方法。
  33. 第二の組換えDNA配列を含む一倍体細胞が、第二のおよび第三のマーカー配列と同じDNA分子上の分子連鎖を選択する培地上に植えられる請求項31に記載の方法。
  34. 第三の組換えDNA配列を含む一倍体細胞が、第一のおよび第二のマーカー配列と同じDNA分子上の分子連鎖を選択する培地上に植えられる請求項31に記載の方法。
  35. 第四の組換えDNA配列を含む一倍体細胞が、第三のおよび第四のマーカー配列と同じDNA分子上の分子連鎖を選択する培地上に植えられる請求項31に記載の方法。
  36. 隣接するURA3マーカー遺伝子およびCAN1マーカー遺伝子を含み、組換えられるべきDNA配列を挿入するためのポリリンカー配列が該2つのマーカー遺伝子配列の間に位置し、該2つのマーカー遺伝子配列が、該ポリリンカー配列に隣接する側とは反対側において、エス・セレビジエ(S. cerevisiae)ゲノムの染色体III上のBUD31−HCM1遺伝子座と相同の標的配列に隣接するプラスミドpMXY9(DSM 17010)
  37. 前記ポリリンカー配列が制限酵素SmaI、XbaI、PacIおよびBglIIの制限部位を含む請求項36に記載のプラスミドpMXY9(DSM 17010)
  38. 隣接するTRP1マーカー遺伝子およびCYH2マーカー遺伝子を含み、組換えられるべきDNA配列を挿入するためのポリリンカー配列が該2つのマーカー遺伝子配列の間に位置し、該2つのマーカー遺伝子配列が、該ポリリンカー配列に隣接する側とは反対側において、エス・セレビジエ(S. cerevisiae)ゲノムの染色体III上のBUD31−HCM1遺伝子座と相同の標的配列に隣接するプラスミドpMXY12(DSM 17011)
  39. 前記ポリリンカー配列が制限酵素SmaI、SpeIおよびPacIの制限部位を含む請求項38に記載のプラスミドpMXY12(DSM 17011)
  40. エス・セレビジエ(S. cerevisiae)菌株MXY47(DSM 17026)であって、その二倍体細胞が対立遺伝子ura3−1、trp1−1、can1−100およびcyh2Rに対してホモ接合性であり、msh2::KanMX変異に対してヘテロ接合性であることを特徴とするエス・セレビジエ(S. cerevisiae)菌株MXY47(DSM 17026)
  41. プラスミドpMXY9(DSM 17010)を含むイー・コリ(E.coli)菌株JM101。
  42. プラスミドpMXY12(DSM 17011)を含むイー・コリ(E.coli)菌株DH5α。
  43. 少なくとも、エス・セレビジエ(S. cerevisiae)菌株MXY47(DSM 17026)の細胞を含む第一のコンテナ、プラスミドpMXY9(DSM 17010)を含むイー・コリ(E.coli)菌株JM101の細胞を含む第二のコンテナおよびプラスミドpMXY12(DSM 17011)を含むイー・コリ(E.coli)菌株DH5αを含む第三のコンテナを含むキット。
  44. 少なくとも、エス・セレビジエ(S. cerevisiae)菌株MXY47(DSM 17026)の細胞を含む第一のコンテナ、プラスミドpMXY9(DSM 17010)のDNAを含む第二のコンテナおよびプラスミドpMXY12(DSM 17011)のDNAを含む第三のコンテナを含むキット。
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