JP4871442B2 - 緻密な硬質薄膜の形成装置及び硬質薄膜の形成方法 - Google Patents

緻密な硬質薄膜の形成装置及び硬質薄膜の形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ発生装置並びにこの装置を利用して金属材料の上にボロン・ナイトライド膜やボロン・カーボン・ナイトライド膜或いはカーボン・ナイトライド膜やボロン或いはダイヤモンドライクカーボン膜などのような緻密な硬質薄膜を形成する装置及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の緻密な硬質薄膜を形成する技術は、工具、金型コーティング及び磁気ヘッドの保護膜、絶縁膜を必要とする部品に成膜するために広く利用される。
【0003】
この種の緻密な硬質薄膜を形成する技術の従来例として添付図面の図2を参照してボロンナイトライド膜(以下単にBN膜と記載する)の形成について説明する。
従来のBN薄膜形成装置は一般にスパッタリング法を用いて実施されてきた。図2に示す装置において、Aは成膜室であり、真空環境を形成できるように構成されている。すなわち成膜室A排気系ポートA1には仕切バルブB1を介して高真空ポンプC1(例えばターボ分子ポンプ、油拡散ポンプ)が接続され、そしてこの高真空ポンプC1は仕切バルブB2を介して油回転ポンプC2に接続されている。また成膜室Aの別のポートにはリークバルブB3が接続されている。
【0004】
成膜室A内には、基板ホルダーDが配置され、この基板ホルダーD上には成膜すべき試料基板Eが装着されている。成膜室Aはその前方にはターゲット取付け室Fが画定され、このターゲット取付け室F内には、ボロン製の円筒状ターゲットGが成膜室Aとは電気的に絶縁されて配置されている。ターゲットGはターゲット用バイアス電源H(以下、単にバイアス電源と記載する)のマイナス端子に接続され、バイアス電源HFのプラス端子は接地されている。
【0005】
ターゲット取付け室Fの前方にはプラズマ発生室を形成する絶縁体製の放電管Iが設けられている。この絶縁体製の放電管Iの外側には、二つの環状の磁場発生用コイルJが同軸上に設けられている。これらのコイルJには同じ方向の電流を流してミラー磁場型の磁場を形成している。Kはヘリカルコイルであり、絶縁体製の放電管Iの外側に巻回(3ターン)されて取り付けられている。このヘリカルコイルKはマッチングボックスLを介してRF発振器Mに接続されている
【0006】
絶縁体製の放電管Iの先端にはガス導入系統が接続され、すなわち仕切バルブNを介して放電ガス導入系と反応ガス導入系とが接続され、放電ガス導入系はマスフローコントローラO、仕切バルブP、圧力調整器Q及びアルゴンガスボンベRを備えている。一方、反応ガス導入系はマスフローコントローラS、仕切バルブT、圧力調整器U及び窒素ガスボンベVを備えている。各ガス導入系はリークタイトな継ぎ手及びガス配管で接続されている。
【0007】
このように構成した従来装置の動作において、仕切ハルブB1、B2を開状態にし、油回転ポンプC2を作動させて、成膜室Aを0.1Torr程度に真空引きを行った後に、高真空ポンプC1により真空排気をさらに行い、10−7Torr台まで圧力を減圧する。この状態で図示されていない電源よりコイルJを励磁した状態において、放電ガス導入系仕切バルプPを開放し、圧力調整器Qで圧力を1気圧より少し高めに設定し、マスフローコントローラOによりアルゴンガスを3〜4sccm流す。この状態でRF発振器MからRF電力を供給し、さらにマノチングボックスLで反射を低減させるように調整する。それにより、絶縁体製の放電管Iの内部でアルゴンのプラズマが発生する。発振器Mの出力を徐々に高くして約1kWになったところで、バイアス電源Hから接地に対してマイナスの電圧を夕一ゲットGに印加する。
【0008】
次に、窒素ガス系統の仕切バルブTを開放し、圧力調整器Uで圧力を1気圧より少し高めに設定し、マスフローコントローラSにより窒素ガスを1〜2sccm流す。それにより、絶縁体製の放電管Iの内部に発生したブラズマ中のアルゴンイオンと窒素イオンは、マイナスの電圧の印加されているタ一ゲットGに吸引されて衝突し、ターゲットGの表面からボロンの原子が飛び出し、試料基板Eに付着する。また同時に、窒素イオンやArイオンも試料基板E上に付着し試料基板E上でボロンと窒素が反応し、ボロンナイトライドが生成される。さらにアルゴンイオンもボロンナイトライド膜上に衝突し、運動エネルギーを膜に付与することで緻密なBN膜が形成される。
こうして、ボロンナイトライド膜の形成された試料基板Eは、仕切りバルブB1を閉し、RF発振器Mの出力を停止させ、そしてリ一クバルブB3を開いて空気を導入し成膜室Aを大気圧に戻すことにより成膜室Aから取り出される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のスパッタリング成膜方法では、ダイヤモンドの構造に近い膜つまりSP3構造を多く含んだ膜ができない。すなわち、アシスト照射イオン (Ar、N)と共に、ターゲット材のイオン化あるいは原子状窒素及び窒素イオンの供給がないとsp3構造を多くすることはできないことが実験的に立証されている。そのため、硬質な膜を得ることができないという問題があった。
また上述のように従来の装置においては、絶縁体製の放電管でチャンバーを画定すると共にその外側にヘリカルコイルを設けているため、石英管が大気圧に抗する強度を保つために石英管の冷却が不可欠であり、このために石英管の内面にターゲット材が付着しやすいという問題があった。このため、石英管の汚れにつれてRF電力の吸収効率が悪くなるという問題もあった。
【0010】
そこで、本発明の主目的は、RF電力の吸収効率の低下を防止でき、SP3構造を多く含んだBN膜のような緻密で硬質の膜を形成できる方法及び装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の発明による緻密な硬質薄膜の形成装置は、高真空状態にでき、内部に、緻密な硬質薄膜の形成されることになる基板を配置した成膜室と、成膜室に隣接して設けられたプラズマ発生室を有し、プラズマ発生室には、高周波電力を印加して誘導電界を発生させる高周波アンテナをプラズマ発生室である真空容器の内部に配置し、高周波アンテナの内側に絶縁体製の放電管を配置し、プラズマ発生室の内面と放電管の外側とで囲まれ且つ高周波アンテナの導体表面のすべてが覆われる真空状態の領域に、粉末状、棒状、管状或いは球状の誘電体物質を充填して隙間を生じさせたプラズマ発生装置及び緻密な硬質薄膜を構成する材料のターゲットを成膜室から離れた側のプラズマ発生室の端部に配置し、プラズマ発生室の前記放電管よりターゲット側に放電ガスを導入し、高密度のプラズマを発生し、ターゲットからスパッタされたターゲット材の原子を励起及び電離した状態で基板へ導入するように構成したことを特徴としている。
【0012】
プラズマ発生装置には、反応ガスを供給する反応ガス供給手段が設けられ得る
【0016】
本発明では、プラズマ発生用の高周波アンテナを真空中に設けたことにより、RF電力の吸収効率を上げることができる。また、プラズマ発生室の内部に配置されたプラズマ発生用の高周波アンテナの内側に放電管を配置することにより、放電管の強制冷却が不要となり、放電管を高温に保つことが可能となり、ターゲット材からスパッタされた粒子がプラズマ発生室の内部の放電管の内面に付着するのを低減できる。
【0017】
本発明の第2の発明によれば、内部に硬質薄膜の形成されることになる基板を配置した成膜室を高真空状態にし、成膜室に隣接して設けたプラズマ発生室に高周波アンテナを配置し、該高周波アンテナに高周波電力を印加して誘導電界を発生させ、高周波アンテナの内側に配置した絶縁体製の放電管の外側とプラズマ発生室の内面とで囲まれ且つ高周波アンテナの導体表面のすべてが覆われる真空状態の領域に、粉末状、棒状、管状或いは球状の誘電体物質を充填して隙間を生じさせたプラズマ発生装置を用いて緻密な硬質薄膜を形成する方法において、
成膜室から離れた側のプラズマ発生室の端部に配置される緻密な硬質薄膜を構成するターゲット材としてボロン材を使用し、
プラズマ発生室に窒素ガスを導入し解離させて生成した原子状窒素及び電離させて生成した窒素イオン及びターゲット材から飛び出したボロン原子を電離させて生成したボロンイオンより成膜室内の基板表面上に硬質なsp3構造の結合を多く含んだボロン・ナイトライド膜を形成すること
を特徴としている。
【0018】
本発明の第3の発明によれば、内部に硬質薄膜の形成されることになる基板を配置した成膜室を高真空状態にし、成膜室に隣接して設けたプラズマ発生室に高周波アンテナを配置し、該高周波アンテナに高周波電力を印加して誘導電界を発生させ、高周波アンテナの内側に配置した絶縁体製の放電管の外側とプラズマ発生室の内面とで囲まれ且つ高周波アンテナの導体表面のすべてが覆われる真空状態の領域に、粉末状、棒状、管状或いは球状の誘電体物質を充填して隙間を生じさせたプラズマ発生装置を用いて緻密な硬質薄膜を形成する方法において、
成膜室から離れた側のプラズマ発生室の端部に配置される緻密な硬質薄膜を構成するターゲット材としてカーボン材を使用し、
ターゲット材から飛び出したカーボン原子を電離させて生成したカーボンイオンより成膜室内の基板表面上に緻密なダイヤモンド・ライク・カーボン膜を形成すること
を特徴としている。
【0019】
本発明の第4の発明によれば、内部に硬質薄膜の形成されることになる基板を配置した成膜室を高真空状態にし、成膜室に隣接して設けたプラズマ発生室に高周波アンテナを配置し、該高周波アンテナに高周波電力を印加して誘導電界を発生させ、高周波アンテナの内側に配置した絶縁体製の放電管の外側とプラズマ発生室の内面とで囲まれ且つ高周波アンテナの導体表面のすべてが覆われる真空状態の領域に、粉末状、棒状、管状或いは球状の誘電体物質を充填して隙間を生じさせたプラズマ発生装置を用いて緻密な硬質薄膜を形成する方法において、
成膜室から離れた側のプラズマ発生室の端部に配置される緻密な硬質薄膜を構成するターゲット材としてカーボン材を使用し、
プラズマ発生室に窒素ガスを導入し解離させて生成した原子状窒素及び電離させて生成した窒素イオン及びターゲット材から飛び出したボロン原子を電離させて生成したボロンイオンより成膜室内の基板表面上に緻密なカーボン・ナイトライド膜を形成すること
を特徴としている。
【0020】
本発明の第5の発明によれば、内部に硬質薄膜の形成されることになる基板を配置した成膜室を高真空状態にし、成膜室に隣接して設けたプラズマ発生室に高周波アンテナを配置し、該高周波アンテナに高周波電力を印加して誘導電界を発生させ、高周波アンテナの内側に配置した絶縁体製の放電管の外側とプラズマ発生室の内面とで囲まれ且つ高周波アンテナの導体表面のすべてが覆われる真空状態の領域に、粉末状、棒状、管状或いは球状の誘電体物質を充填して隙間を生じさせたプラズマ発生装置を用いて緻密な硬質薄膜を形成する方法において、
成膜室から離れた側のプラズマ発生室の端部に配置される緻密な硬質薄膜を構成するターゲット材としてボロンカーバイド材を使用し、
プラズマ発生室に窒素ガスを導入し解離させて生成した原子状窒素及び電離させて生成した窒素イオン及びターゲット材から飛び出したボロン原子を電離させて生成したボロンイオン及びターゲット材から飛び出したカーボン原子を電離させて生成したカーボンイオンより成膜室内の基板表面上に緻密なボロン・カーボン・ナイトイド膜を形成すること
を特徴としている。
【0021】
本発明による方法においては、ヘリコン波を励起して生成したプラズマを閉じこめるための磁場を発生させる磁場発生コイルによりプラズマ発生室の軸線方向に磁力線を発生するようにされる。
【0022】
本発明においては、ターゲット材をプラズマ発生室に設置することで、ターゲット材がスパッタされた後でもそのターゲット材自体をイオン化(電離)させた状態で基板上に付着させることができる。これにより、ダイヤモンドの構造に近い膜つまりsp3構造を多く含んだ緻密な硬質膜を基板上に形成することができるようになる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面の図1を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、図1には便宜上、本発明の1実施例装置の構成が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1には、本発明による高密度ヘリコンプラズマを用いたBN薄膜形成装置の一つの実施の形態を示す。図1において、1は真空チャンバーであり、この真空チャンバー1は成膜室1aと、中間室1bと、プラズマ発生室1cとから成っている。真空チャンバー1の成膜室1aには、仕切りバルブ2と、高真空ポンプ(例えばターボ分子ポンプ、油拡散ポンプ)3と、仕切バルブ4と、油回転ポンプ5とを備えた真空排気系が接続され、真空チャンバー1内を所望の高真空にできるように構成されている。また成膜室1aはリークバルブ6を介して大気に解放できるようにされている。
【0024】
成膜室1a内には、基板ホルダー7が配置され、基板ホルダー7には試料基板8が装着されている。プラズマ発生室1cの端部には、成膜室1a内の試料基板8に対向して、ボロン製の円板状ターゲット9が配置され、この円板状ターゲット9は絶縁体10によりプラズマ発生室1cとは電気的に絶縁されており、そしてターゲット用バイアス電源11のマイナス端子に接続され、バイアス電源11のプラス端子は接地されている。
【0025】
中間室1b及びプラズマ発生室1cの外側には二つの磁場発生用の環状コイル12が配置され、これらのコイル12は、軟磁性体で作られたヨーク13の内側に同軸状に設けられ、そして同じ方向の電流を流すことによりミラー磁場型の磁場を発生する。
プラズマ発生室1cの内部には絶縁体製の放電管14が同軸的に配置され、絶縁体製の放電管14の外側には高周波アンテナとしてヘリカルコイル15が巻回(3ターン)されて取り付けられている。放電管に用いる絶縁体の材質並びに厚さの選択にあたっては、プラズマシースの等価インピーダンスよりも十分(例えば一桁以上)大きいインピーダンスを有することと、プラズマに直接曝されて高温(例えば1000℃)となる場合でも問題を生じない耐熱性、電気絶縁性、化学的安定性を有することを要件とする。このため、石英、高純度アルミナ、ボロンナイトライド等の高抵抗、高絶縁性及び耐熱性を満たすセラミックス誘電体群の材質で、厚みは2〜5mm程度であればよい。なお、本実施例では高純度アルミナ管を用いた。このヘリカルコイル15はマッチングボックス16を介してRF発振器17に接続されている。また、プラズマ発生室1cの内壁と絶縁体製の放電管14との隙間には誘電体物質18が充填されている。充填用の誘電体物質の材質ならびに形状の選択にあたっては、高周波アンテナに発生する高周波電圧により誘電体物質の充填領域での放電を抑止するための電気絶縁性を有することと、プラズマに直接曝されて高温(例えば1000℃)となる放電管に接触した状態でも問題を生じない耐熱性及び化学的安定性を有することを要件とする。このため、石英、高純度アルミナ、ボロンナイトライド等の高絶縁性及び耐熱性を満たすセラミックス誘電体群の材質で、形状は粉末状、棒状、管状或いは球状のいずれでもよい。なお、本実施例では高純度アルミナを材質とする管状のセラミックパイプ及び球形状のセラミックビーズの両方を組み合わせて用いた。
【0026】
中間室1bには、仕切りバルブ19、マスフローコントローラ20、仕切バルブ21、圧力調整器22及び窒素ガスボンベ23を備えた反応ガス導入系が接続されている。また、プラズマ発生室1cには、仕切バルブ24、マスフローコントローラ25、仕切バルブ26、圧力調整器27及びアルゴンガスボンベ28を備えた放電ガス導入系が接続されている。各ガス導入系はリークタイトな継ぎ手及びガス配管で接続されている。
【0027】
このように構成した図示装置を用いてBN薄膜を形成する実施例について以下説明する。
まず、排気系の仕切バルブ2、4を開状態にし、油回転ポンプ5を作動させて、真空チャンバー1を0.1Torr程度に真空引きを行った後に、高真空ポンプ3により真空排気をさらに行い、10-7Torr台まで圧力を減圧する。次に図示していないコイル電源により磁場発生用コイル12を励磁した状態において放電ガス導入系の仕切バルブ24、26を開放し、圧力調整器27によって圧力を1気圧より少し高めに設定し、マスフローコントローラ25でアルゴンガスボンベ28からのアルゴンガスの流量を3〜4sccmに制御してプラズマ発生室1cへ流す。
【0028】
この状態において、RF発振器17からRF電力を発振させ、そしてマッチングボックス16で反射を低減させるように調整して、ヘリカルコイル15に供給される。これにより、プラズマ発生室1cの絶縁体製の放電管14の内部でアルゴンのプラズマが発生される。バイアス発振器17の出力を徐々に高くして約1kWになったところで、バイアス電源11から接地に対してマイナスの電圧を夕一ゲット9に印加する。
【0029】
次に、窒素ガス導入系の仕切バルブ21を開放し、圧力調整器22により圧力を1気圧より少し高めに設定し、マスフローコントローラ20によって窒素ガスボンベ23からの窒素ガスの流量を1〜2sccmに設定して中間室1bに流す。その結果、プラズマ発生室1cの絶縁体製の放電管14の内部で発生されたプラズマ中のアルゴンイオンと窒素イオンは、ターゲット9にマイナスの電圧が印加されているためターゲット9に吸引されて衝突し、それにより、ターゲット9の表面からボロンの原子が飛び出し、プラズマ発生室1cの絶縁体製の放電管14の内部でアルゴンイオンや電子と衝突し電離する。こうして電離したボロンはプラズマ流又はガス流により成膜室1a内の試料基板8上に付着する。これと同時に、中間室1bに導入された窒素もアルゴンプラズマにより電離され、窒素イオンも成膜室1a内の試料基板8上に付着し、そして試料基板8上でボロンと窒素が反応しボロンナイトライド膜が形成される。この場合、 アルゴンイオンも基板8上のボロンナイトライド膜上に衝突して、運動エネルギーを膜に付与することで緻密なBN膜が形成される。
【0030】
こうして緻密なBN膜の形成された試料基板8は、排気系の仕切りバルブ2を閉にし、RF発振器17の出力を停止させた後、リークバルブ6を開いて空気を導入し成膜室1aを大気圧に戻すことにより成膜室1aから取り出すことができる。
【0031】
本発明の別の実施の形態として、ターゲット9としてグラファイト製のターゲットを使用し、中間室1bに窒素ガス導入系から窒素を導入せずに放電室すなわちプラズマ発生室1cにアルゴンガスだけを導入する。その場合には、試料基板8上には硬質で緻密なダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)膜を形成することができる。
【0032】
本発明のさらに別の実施の形態として、ターゲット9としてグラファイト製のターゲットを使用し、中間室1bに窒素ガス導入系から窒素を導入し、そしてプラズマ発生室1cにアルゴンガスを導入する。この場合には、試料基板8上には硬質で緻密なカーボンナイトライド膜 (CN膜) を形成することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の装置によれば、高真空状態にでき、内部に基板を配置した成膜室に隣接してプラズマ発生室を設け、プラズマ発生室の内部にはプラズマ発生用の高周波アンテナ及び緻密な硬質薄膜を構成する材料のターゲットをそれぞれ配置し、高密度のプラズマを発生し、ターゲットからスパッタされたターゲット材の原子を電離した状態で基板へ導入するように構成し得るので、sp3構造を多く含んだ緻密で硬質の膜を形成することができ、その結果、工具、金型コーティング及び磁気ヘッドの保護膜、絶縁膜を必要とする部品に成膜するのに有利に使用できる。
【0034】
また、プラズマ発生室の内部に配置されたプラズマ発生用の高周波アンテナの内側に放電管を配置することにより、放電管を高温に保っても問題を生じないため、ターゲット材からスパッタされた粒子がプラズマ発生室の内部の放電管の内面に付着するのが低減され、その結果、長期間に亘って安定した成膜動作が保証される。
【0035】
本発明の方法によれば、ターゲット材を成膜室から離れた側のプラズマ発生室の端部に配置して設置しているので、ターゲット材がスパッタされた後でもそのターゲット材自体をイオン化させた状態で基板上に付着させることができ、SP3構造を多く含んだ緻密で硬質の膜を形成することができるようになる。そして使用するターゲット材及び反応ガスを選択することにより、硬質なSP3構造の結合を多く含んだボロン・ナイトライド膜、緻密なダイヤモンド・ライク・カーボン膜或いは緻密なカーボン・ナイトライド膜ないしボロン・カーボン・ナイトライド膜のような緻密で硬質の薄膜を形成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高密度ヘリコンプラズマ用いたBN成膜装置の一実施の形態を示す概略線図。
【図2】スパッタリングによるBN成膜装置の従来例を示す概略線図。
【符号の説明】
1:真空チャンバー
1a:成膜室
1b:中間室
1c:プラズマ発生室
2:仕切りバルブ
3:高真空ポンプ
4:仕切バルブ
5:油回転ポンプ
6:リークバルブ
7:基板ホルダー
8:試料基板
9:ターゲット
10:絶縁体
11:ターゲット用バイアス電源
12:磁場発生用の環状コイル
13:ヨーク
14:放電管
15:ヘリカルコイル
16:マッチングボックス
17:RF発振器
18:誘電体物質
19:仕切りバルブ
20:マスフローコントローラ
21:仕切バルブ
22:圧力調整器
23:窒素ガスボンベ
24:仕切バルブ
25:マスフローコントローラ
26:仕切バルブ
27:圧力調整器
28:アルゴンガスボンベ

Claims (7)

  1. 高真空状態にでき、内部に、緻密な硬質薄膜の形成されることになる基板を配置した成膜室と、成膜室に隣接して設けられたプラズマ発生室を有し、プラズマ発生室には、高周波電力を印加して誘導電界を発生させる高周波アンテナをプラズマ発生室である真空容器の内部に配置し、高周波アンテナの内側に絶縁体製の放電管を配置し、プラズマ発生室の内面と放電管の外側とで囲まれ且つ高周波アンテナの導体表面のすべてが覆われる真空状態の領域に、粉末状、棒状、管状或いは球状の誘電体物質を充填して隙間を生じさせたプラズマ発生装置及び緻密な硬質薄膜を構成する材料のターゲットを成膜室から離れた側のプラズマ発生室の端部に配置し、プラズマ発生室の前記放電管よりターゲット側に放電ガスを導入し、高密度のプラズマを発生し、ターゲットからスパッタされたターゲット材の原子を励起及び電離した状態で基板へ導入するように構成したことを特徴とする緻密な硬質薄膜の形成装置。
  2. 請求項1に記載の緻密な硬質薄膜の形成装置において、
    前記プラズマ発生装置に、反応ガスを供給する反応ガス供給手段が設けられていることを特徴とする緻密な硬質薄膜の形成装置。
  3. 内部に硬質薄膜の形成されることになる基板を配置した成膜室を高真空状態にし、成膜室に隣接して設けたプラズマ発生室に高周波アンテナを配置し、該高周波アンテナに高周波電力を印加して誘導電界を発生させ、高周波アンテナの内側に配置した絶縁体製の放電管の外側とプラズマ発生室の内面とで囲まれ且つ高周波アンテナの導体表面のすべてが覆われる真空状態の領域に、粉末状、棒状、管状或いは球状の誘電体物質を充填して隙間を生じさせたプラズマ発生装置を用いて緻密な硬質薄膜を形成する方法において、
    成膜室から離れた側のプラズマ発生室の端部に配置される緻密な硬質薄膜を構成するターゲット材としてボロン材を使用し、
    プラズマ発生室に窒素ガスを導入し解離させて生成した原子状窒素及び電離させて生成した窒素イオン及びターゲット材から飛び出したボロン原子を電離させて生成したボロンイオンより成膜室内の基板表面上に硬質なsp3構造の結合を多く含んだボロン・ナイトライド膜を形成すること
    を特徴とする緻密な硬質薄膜の形成方法。
  4. 内部に硬質薄膜の形成されることになる基板を配置した成膜室を高真空状態にし、成膜室に隣接して設けたプラズマ発生室に高周波アンテナを配置し、該高周波アンテナに高周波電力を印加して誘導電界を発生させ、高周波アンテナの内側に配置した絶縁体製の放電管の外側とプラズマ発生室の内面とで囲まれ且つ高周波アンテナの導体表面のすべてが覆われる真空状態の領域に、粉末状、棒状、管状或いは球状の誘電体物質を充填して隙間を生じさせたプラズマ発生装置を用いて緻密な硬質薄膜を形成する方法において、
    成膜室から離れた側のプラズマ発生室の端部に配置される緻密な硬質薄膜を構成するターゲット材としてカーボン材を使用し、
    ターゲット材から飛び出したカーボン原子を電離させて生成したカーボンイオンより成膜室内の基板表面上に緻密なダイヤモンド・ライク・カーボン膜を形成すること
    を特徴とする緻密な硬質薄膜の形成方法。
  5. 内部に硬質薄膜の形成されることになる基板を配置した成膜室を高真空状態にし、成膜室に隣接して設けたプラズマ発生室に高周波アンテナを配置し、該高周波アンテナに高周波電力を印加して誘導電界を発生させ、高周波アンテナの内側に配置した絶縁体製の放電管の外側とプラズマ発生室の内面とで囲まれ且つ高周波アンテナの導体表面のすべてが覆われる真空状態の領域に、粉末状、棒状、管状或いは球状の誘電体物質を充填して隙間を生じさせたプラズマ発生装置を用いて緻密な硬質薄膜を形成する方法において、
    成膜室から離れた側のプラズマ発生室の端部に配置される緻密な硬質薄膜を構成するターゲット材としてカーボン材を使用し、
    プラズマ発生室に窒素ガスを導入し解離させて生成した原子状窒素及び電離させて生成した窒素イオン及びターゲット材から飛び出したボロン原子を電離させて生成したボロンイオンより成膜室内の基板表面上に緻密なカーボン・ナイトライド膜を形成すること
    を特徴とする緻密な硬質薄膜形成方法。
  6. 内部に硬質薄膜の形成されることになる基板を配置した成膜室を高真空状態にし、成膜室に隣接して設けたプラズマ発生室に高周波アンテナを配置し、該高周波アンテナに高周波電力を印加して誘導電界を発生させ、高周波アンテナの内側に配置した絶縁体製の放電管の外側とプラズマ発生室の内面とで囲まれ且つ高周波アンテナの導体表面のすべてが覆われる真空状態の領域に、粉末状、棒状、管状或いは球状の誘電体物質を充填して隙間を生じさせたプラズマ発生装置を用いて緻密な硬質薄膜を形成する方法において、
    成膜室から離れた側のプラズマ発生室の端部に配置される緻密な硬質薄膜を構成するターゲット材としてボロンカーバイド材を使用し、
    プラズマ発生室に窒素ガスを導入し解離させて生成した原子状窒素及び電離させて生成した窒素イオン及びターゲット材から飛び出したボロン原子を電離させて生成したボロンイオン及びターゲット材から飛び出したカーボン原子を電離させて生成したカーボンイオンより成膜室内の基板表面上に緻密なボロン・カーボン・ナイトイド膜を形成すること
    を特徴とする緻密な硬質薄膜の形成方法。
  7. 請求項3〜請求項6のいずれか一項に記載の緻密な硬質薄膜の形成方法において、
    ヘリコン波を励起して生成したプラズマを閉じこめるための磁場を発生させる磁場発生コイルにより、プラズマ発生室の軸線方向に磁力線を発生するようにしたことを特徴とする緻密な硬質薄膜の形成方法。
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