JP4871017B2 - ハンマートーン模様塗装板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、家電製品、家具、建材、自動車部品などの外板に好適に使用することでき、高意匠性を有するハンマートーン模様金属板の製造方法に関するものである。
従来より、金属板の表面をハンマーで叩いたような凹凸感のある模様を表層塗膜により形成した塗装板が提案されている。このようなハンマートーン模様塗装板は通常のベタ面の塗装板に比べて高級感のある外観を呈することから、高意匠性の要望が大きい高級品などに好適に用いられている。
ハンマートーン模様塗装板は、シリコーン油(シリコーン系撥水剤)などのはじき剤を添加した塗料を金属板などの板材の表面に塗装して焼付ける方法で製造することが可能であるが、この場合、シリコーン油が他の塗料に混入して不具合が発生したりシリコーン油が塗装ラインを汚したりするという問題があった。
そこで、ハンマートーン模様塗装板の製造方法として溶剤をスプレーする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、金属板の表面に下塗り塗料を塗布、乾燥後、該下塗り塗料のうえに上塗り塗料を塗布し、該上塗り塗料が未乾燥状態にある間に該上塗り塗料のうえに密度が0.80g/cm以上の溶剤をスプレーしたのち、乾燥・焼付けしてハンマートーン調の模様を形成するものであり、これにより、上記のシリコーン油の配合による問題を生じないようにすることができる。
しかし、上記の方法では、溶剤のスプレーにより凹んだ部分で上塗り塗膜が薄くなるために、ハンマートーン模様塗装板の耐候性等の耐久性が低下しやすいという問題があった。
特開2005−324122号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、意匠性を低下させることなく、耐久性の高いハンマートーン模様を有する塗装板を製造することができるハンマートーン模様塗装板の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明のハンマートーン模様塗装金属板の製造方法は、固形分濃度が30〜70%である表層塗料2を板材1の表面に塗布し、表層塗料2の固形分濃度よりも小さい固形分濃度を有する凹凸形成用塗料3を未硬化状態の表層塗料2にスプレーし、この後、焼き付けすることにより表層塗料2及び凹凸形成用塗料3の硬化塗膜でハンマートーン模様を形成して成ることを特徴とするものである。
本発明にあっては、表層塗料2の溶剤よりも高沸点及び高比重の溶剤を含有する凹凸形成用塗料3を用いる。
また、本発明にあっては、凹凸形成用塗料3の固形分濃度が5〜45%であることが好ましい。
また、本発明にあっては、固形分として骨材と艶消し材の少なくとも一方を含有する凹凸形成用塗料3を用いるのが好ましい。
また、本発明にあっては、固形分として顔料を含有する凹凸形成用塗料3を用いるのが好ましい。
また、本発明にあっては、板材1の表面にはベース塗膜4が形成されており、その光沢が60%以下であることが好ましい。
本発明では、凹凸形成用塗料3として表層塗料2よりも固形分の少ないものを用いるので、凹凸形成用塗料3のスプレーにより形成される板材1上の表層塗料2の凹部に凹凸形成用塗料3の固形分を補充することができ、凹部における表層塗料2の塗膜の厚みが極端に薄くならないようにすることができるものであり、固形分を含まない溶剤のみをスプレーしてハンマートーン模様を形成する場合に比べて、耐久性の高いハンマートーン模様塗膜を有する塗装板を形成することができるものである。
また、凹凸形成用塗料3の溶剤として表層塗料2の溶剤よりも高沸点及び高比重のものを用いることにより、凹凸形成用塗料3の溶剤が表層塗料2の溶剤の沸点及び比重と同等あるいはそれよりも低沸点及び低比重の場合に比べて、表層塗料2の凹部の径及び深さを大きくすることができ、ハンマートーン模様を鮮明にして意匠性を高くすることができるものである。
また、表層塗料2として固形分濃度が30〜70%のものを用いることによって、凹部における表層塗料2の塗膜の厚みが極端に薄くならないようにすることができ、耐食性などの耐久性を低下しにくくすることができるものである。
また、凹凸形成用塗料3として固形分濃度が5〜45%のものを用いることによって、凹部における表層塗料2の塗膜の厚みが極端に薄くならないようにすると共に凹凸形成用塗料3の固形分で凹部が埋まらないようにすることができ、耐候性などの耐久性を低下しにくくしながら高意匠性を維持することができるものである。
また、骨材や艶消し材を含有する凹凸形成用塗料3を用いることによって、骨材を含有しない凹凸形成用塗料3を用いる場合に比べて、微細な凹凸形状を表層塗料2の表面に形成することができ、表層塗料2の塗膜のベタツキ感を少なくすることができるものである。
また、顔料を含有する凹凸形成用塗料3を用いることによって、凹凸形成用塗料3のスプレーにより形成される表層塗料2の凹部内を顔料で着色することができ、多彩なハンマートーン模様を形成することができるものである。
また、板材1の表面に形成されているベース塗膜4の光沢が60%以下であると、ベース塗膜4の表面の微細な凹凸がアンカー効果となり、表層塗料2や凹凸形成用塗料3で形成される塗膜との層間密着性を向上させることができると共に本発明のハンマートーン模様の表面の耐スクラッチ性を向上させることができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明において、板材1としては建材などとして使用されるものであれば何でも良いが、例えば、金属板などを用いることができる。また、この金属板としてはステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板、塗装鋼板、鉄板、アルミニウム板、チタン板など、使用目的に応じて適宜選択することができる。また、板材1の厚みも使用目的に応じて適宜設定可能であるが、例えば、建材用途のハンマートーン模様塗装板を金属板の板材1で形成する場合、厚み0.25〜1.60mmの板材1を用いることができる。また、板材1としてはその表面にベース塗膜4が形成されたものを用いるのが好ましい。例えば、上記金属板の表面にベース塗料を塗布し、これを乾燥硬化することにより、表面にベース塗膜4を有する板材1を形成することができる。ベース塗料4としては公知の鋼板用の下塗り塗料を使用することができ、硬化後のベース塗膜4の厚みは3〜20μmとすることができるが、これに限定されるものではない。ベース塗膜4の表面光沢度は特に限定されてないが、JIS Z 8741に規定される60度鏡面光沢度が60%以下であることが好ましく、これにより、ベース塗膜4の表面の微細な凹凸がアンカー効果となり、本発明のハンマートーン模様塗装板の塗膜の層間密着性や耐スクラッチ性を向上させることができる。
本発明において、表層塗料2と凹凸形成用塗料3としては従来からPCM用塗料(プレコート金属板用塗料)などとして用いられているものをそのままであるいは希釈して用いることができる。すなわち、表層塗料2と凹凸形成用塗料3は塗膜となる固形分(不揮発成分)と、この固形分を溶解分散するための溶剤(揮発性分)とを含有して調製されるものであって、固形分としてはバインダー樹脂を必須成分とし、この他に任意成分として骨材や艶消し材や顔料などを用いることができる。尚、骨材と艶消し材と顔料とはそれぞれ単独で使用してもよいし、併用しても良い。また、表層塗料2と凹凸形成用塗料3とは互いに相溶性があるのが好ましい。
上記のバインダー樹脂としては、公知の塗料用のバインダー樹脂を用いることができ、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などを挙げることができる。これらの複数種のバインダー樹脂を併用してもよいし、一種類のバインダー樹脂を単独で用いても良い。また、上記骨材としては、公知の塗料用の骨材を用いることができ、例えば、無機ビーズ、有機ビーズ、ガラス繊維などを挙げることができる。これらの複数種の骨材を併用してもよいし、一種類の骨材を単独で用いても良い。また、上記艶消し材としては、公知の塗料用の艶消し材を用いることができ、例えば、シリカ、有機パウダー(アクリル樹脂パウダー)などを挙げることができる。これらの複数種の艶消し材を併用してもよいし、一種類の艶消し材を単独で用いても良い。さらに、上記顔料としては、公知の塗料用の着色顔料を用いることができ、例えば、カーボンブラック、アルミフレーク、黄鉛、酸化チタン、シアニンブルーなどを挙げることができる。これらの複数種の顔料を併用してもよいし、一種類の顔料を単独で用いても良い。さらに、本発明では、凹凸形成用塗料3には固形分の任意成分として、紫外線吸収剤(UVA)や光安定剤(HALS)やフッ素系樹脂を添加することができる。
また、上記溶剤としては沸点が130〜240℃で、公知の塗料用の溶剤を用いることができ、例えば、キシレン、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、DBE(二塩基酸エステル)、solvesso#100などを挙げることができる。これらの複数種の溶剤を併用してもよいし、一種類の溶剤を単独で用いても良い。
尚、固形分として任意成分を配合する場合は、バインダー樹脂100質量部に対して、骨材0〜50質量部、艶消し材0〜15質量部、顔料0〜70質量部、紫外線吸収剤0〜10質量部、フッ素系樹脂0〜50質量部とすることができる。
本発明において、凹凸形成用塗料3に含有される溶剤は、表層塗料2に含有される溶剤よりも高沸点及び高比重である。凹凸形成用塗料3の溶剤が表層塗料2の溶剤に比べて、沸点と比重のいずれかが同等以下であると、表層塗料2に形成される凹部の径及び深さが小さくなって、ハンマートーン模様を鮮明に形成しにくくなり意匠性が低くなる恐れがある。また、凹凸形成用塗料3の溶剤と表層塗料2の溶剤との沸点の差は0〜100℃(0℃を含まず)であることが好ましく、また、凹凸形成用塗料3の溶剤の比重は表層塗料2の溶剤の比重の1.0〜1.2倍(1.0を含まず)であることが好ましく、これにより、ハンマートーン模様を鮮明に形成しやすくなるものである。尚、表層塗料2及び凹凸形成用塗料3の溶剤として複数の溶剤を混合して調製した混合溶剤を用いる場合は、各溶剤の沸点及び比重をそれぞれ算術平均して表層塗料2及び凹凸形成用塗料3の混合溶剤の沸点及び比重とするものである。
また、本発明において、表層塗料2の固形分濃度は、ロールコータの適正粘度範囲などを考慮して質量比で30〜70%である。すなわち、表層塗料2の固形分濃度が30%未満であると、大きさや厚みの均一な凹み模様が形成しにくくなって意匠性が低下することがあり、表層塗料2の固形分濃度が70%を超えたりすると、均一な厚みの塗膜をロールコート等で形成するのが難しい。
また、本発明において、凹凸形成用塗料3の固形分濃度は質量比で5〜45%であることが好ましい。凹凸形成用塗料3の固形分濃度が5%未満であると、凹凸形成用塗料3の固形分による凹部の塗膜の補強が少なくなり、耐食性などの耐久性が低下する恐れがある。一方、凹凸形成用塗料3の固形分濃度が45%を超えると、常温時の凹凸形成用塗料3の粘度が高くなり過ぎてスプレーにより均一に塗布するのが難しくなり、ハンマートーン模様を形成することができなくなる恐れがある。
そして、ハンマートーン模様塗装板を製造するにあたっては、以下のようにして行うことができる。まず、板材1の表面に形成したベース塗膜4の表面に表層塗料2を均一に塗布する。図1では長尺で帯状の板材1を搬送しながら表層塗料2をロールコータ7で塗布しているが、これに限定されず、例えば、板材1の表面にベース塗膜4が形成されていなくてもよく、また、板材1は短尺であってもよいし、搬送しなくてもよく、また、表層塗料2をカーテンコータやスプレーなどにより塗布しても良い。ここで、表層塗料2の塗布量はハンマートーン模様塗装板の使用目的などに応じて適宜設定可能であるが、耐食性や意匠性などを考慮すると、未硬化状態(ウェット状態)の表層塗料2の膜厚が10〜60μmとなるように塗布するのが好ましい。
上記のようにして表層塗料2を塗布した後、板材1上の未硬化状態の表層塗料2に凹凸形成用塗料3をスプレーノズル6からスプレーして塗布する(Wet on Wet塗装)。ここで、凹凸形成用塗料3の塗布量は3〜30g/m(ウェット状態)に設定することが好ましく、スプレー条件としてはノズル口径0.5〜3.0mm、霧化エアー圧0.03〜0.3MPaとすることが好ましいが、これらに限定されるものではない。このように未硬化状態の表層塗料2に凹凸形成用塗料3をスプレーすることにより、凹凸形成用塗料3の液滴が供給された部分を凹部とすることができ、表層塗料2の表面を凹凸形状に形成することができる。
この後、未硬化状態の表層塗料2と凹凸形成用塗料3とを塗布した板材1を乾燥炉5に導入し、表層塗料2と凹凸形成用塗料3とを焼付けにより乾燥硬化させる。ここで、乾燥硬化条件は加熱温度150〜300℃、加熱時間15〜120秒とすることができるが、これに限定されるものではない。このようにして乾燥硬化した表層塗料2と凹凸形成用塗料3により形成される塗膜はその表面がハンマートーン調の凹凸模様を呈しており、この結果、ハンマートーン模様の硬化塗膜を板材1の表面に有するハンマートーン模様塗装板を製造することができる。
本発明で製造されるハンマートーン模様塗装板は、板材1の表面に塗布した後の未硬化の表層塗料2に凹凸形成用塗料3をスプレーしているので、表層塗料2と凹凸形成用塗料3の比重差及び重量差を利用して凹凸形成用塗料3が付着した部分で表層塗料2を押しのけ、この状態で表層塗料2と凹凸形成用塗料3とを硬化させて凹部を形成し、ハンマートーン模様の塗膜を形成するものである。従って、はじき剤や展延性剤などの特殊な添加剤を配合した塗料を使用する必要が無く、塗装ライン設備の汚染や他の塗装板の塗料はじき欠陥の発生を防止することができるものである。特に、顔料としてアルミフレーク(アルミニウム箔を粉砕したもの)などの鱗片状顔料を用いた場合は、凹凸形成用塗料3のスプレーにより表層塗料2の未硬化塗膜を凹凸に形成すると、鱗片状顔料の配向に乱れが生じると共に、濃度・粘度が異なる相で熱対流が発生し、さらに鱗片状顔料の配向に乱れが生じる。これにより、表層塗料2と凹凸形成用塗料3との焼付け後に、物理的な凹凸と鱗片状顔料の配合によりハンマートーン調の模様が発現しやすくなるものである。
また、溶剤のみのスプレーにより表層塗料2の未硬化塗膜を凹凸に形成すると、凹部の底面が膜厚2〜5μmの薄膜となり(他の部分の膜厚は10〜13μm程度)、耐食性などの耐久性が低下する恐れがあるが、本発明では、固形分を含有する凹凸形成用塗料3をスプレーするので、表層塗料2の凹部に凹凸形成用塗料3の固形分を補充することができ、凹部における表層塗料2の塗膜の厚みが極端に薄くならないようにすることができるものであり、ベース塗膜4の無い場合の2コート1ベーク塗装であっても建材用途として好適なハンマートーン模様塗装板を得ることができるものである。もちろん、ベース塗膜4を有する場合の3コート2ベーク塗装ではより耐久性が求められる場合などに好適に用いることができる。しかも、凹凸形成用塗料3として表層塗料2よりも固形分の少ないもの、すなわち、表層塗料2よりも固形分濃度が低い凹凸形成用塗料3をスプレーするので、ハンマートーン模様をスプレー塗装により確実に形成することができるものである。
また、表層塗料2として一般的なPCM用塗料を用いる場合と、このPCM用塗料には塗装作業性や塗装外観向上を目的として表面調整剤が配合されている。ここで、表面調整剤とは、塗料の表面張力をコントロールする目的で配合されている薬剤であって、目的により、消泡剤、レベリング剤、ワキ防止剤、色分かれ防止剤などと称されるものであり、適用する塗料との表面張力差によって、効果が異なるものである。表面調整剤はアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂などが主な組成である。PCM用塗料では主にアクリル系樹脂が使用されているが、この場合、樹脂Tg(ガラス転移温度)が0℃以下であることが多く、常温では水飴状となる。そして、PCM用塗料の通常の使用では、表面調整剤の配合量が1〜2%程度であるために特に問題はないが、本発明のように、未硬化状態の表層塗料2に凹凸形成用塗料3をスプレーする場合、表面調整剤がスプレーされた凹凸形成用塗料3に溶媒抽出されたりあるいは界面移行が進んだりして、焼付け後の塗膜の表層部分に表面調整剤が濃化し、ハンマートーン模様塗装板の表層塗膜の表面がべたつくことがあった。尚、表面調整剤はロール塗装時の泡巻き込み防止(消泡剤)、塗装外観品位確保(レベリング剤)などの観点から添加がほぼ必要である。
そこで、本発明では凹凸形成用塗料3に艶消し材や骨材を配合するものであり、これにより、表層塗料2と凹凸形成用塗料3の硬化塗膜の表面に微細な凹凸を形成することができ、指触が面接触とはならず点接触になるためにベタツキ感の低下になるものである。尚、バインダー樹脂を含まない単なる溶剤に骨材や艶消し材を配合してスプレーしても、ベタツキ感の低下を得ることはできない。なぜなら、溶剤に充分な分散状態で混合することができず、また、表層塗料2へのスプレー後に骨材や艶消し材が表層塗料2に馴染まずに剥落が生じるからである。
以下本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
表層塗料は原料塗料を希釈溶剤で希釈することにより調製した。原料塗料は製造会社が日本ファインコーティングス(株)で品番が「NSC360HQ−No.37」(色相:シルバーメタリック)を用いた。この原料塗料はバインダー樹脂としてポリエステル樹脂、艶消し材としてシリカ粉、顔料としてアルミフレークをそれぞれ含有し、溶剤として、キシロール、芳香族炭化水素、ブタノール、イソブタノール、ケトン類、アルコールエステル類を含有するものであり、固形分濃度が質量基準で52%のものである。また、希釈溶剤としては製造会社が日本ファインコーティングス(株)の品番「KS600D」を用いた。「KS600D」は、イソブチルアルコールを22.5質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルを2.5質量%、メチルメトキシブタノールを2.5質量%、solvesso#100を72.5質量%含有するものである。そして、原料塗料と希釈溶剤とを混合することにより、固形分濃度が45%、溶剤の沸点が144℃、溶剤の比重が0.855である表層塗料を得た。
凹凸形成用塗料は、表層塗料と同じ原料塗料を異なる希釈溶剤で希釈することにより調製した。希釈溶剤としては製造会社が大商化成(株)の品番「KS−2D」を用いた。「KS−2D」は、プロピレングリコールモノメチルエーテルを10.0質量%、シクロヘキサンを30.0質量%、DBEを10.0質量%、solvesso#100を50.0質量%含有するものである。そして、原料塗料と希釈溶剤とを体積比で1:10の割合で混合することにより、固形分濃度(質量基準)が5%、溶剤の沸点が175℃、溶剤の比重が0.914である凹凸形成用塗料を得た。
板材としては、長尺で帯状の金属板の表面にベース塗膜を形成したものを用いた。金属板としては日鉄鋼板(株)製造のガルバリウム鋼板(品番JIS−SGLCC、厚み0.35mm)を用いた。ベース塗膜はベース塗料(製造会社が 日本ファインコーティング(株)で品番NSC100HQ−グレーのポリエステル樹脂系塗料)を金属板の表面に塗布し、温度210℃で45秒間焼付けることにより、厚み15μmに形成した。この時のベース塗膜の表面の光沢度は50%であった。
そして、図1に示す塗装ラインを用いてハンマートーン模様塗装板を形成した。すなわち、まず、ベース塗膜4を形成した板材1をラインスピード60m/分で搬送しながら、ベース塗膜4の表面に表層塗料2をロールコータ7により厚み28μm(wet膜)で塗布した。次に、未硬化状態の表層塗料2の塗膜に凹凸形成用塗料3をスプレーにより塗布した。この時のスプレーノズル6としては製造会社が旭サナック(株)で品番T2925(ノズル口径2.0mm)のものを用い、塗布量10g/m(wet膜)、霧化エアー圧0.12MPaとした。この後、スプレーされた板材1を乾燥炉5に通して温度210℃で時間50秒で焼付けした。このようにして表層塗料2と凹凸形成用塗料3の乾燥硬化塗膜を有するハンマートーン模様塗装板を形成した。
(実施例2〜6、参考例7、実施例8〜13及び比較例1〜11)
表1に示す固形分濃度になるように原料塗料と希釈溶剤とを混合して表層塗料及び凹凸形成用塗料を作成した。この後、実施例1と同様にして板材1に塗装してハンマートーン模様塗装板を形成した。尚、比較例9の凹凸形成用塗料は希釈溶剤のみを用い、比較例11の表層塗料は原料塗料から余剰の溶剤を除去して所定の固形分濃度とした。
実施例1〜6、参考例7、実施例8〜13及び比較例1〜11で得られたハンマートーン模様塗装板について、意匠性、模様の平均粒径、凹み部分の最低膜厚、促進耐候性試験(SWOM試験(2000hr時の色差ΔE)、JIS A 6909)に基づく変色の程度を計測した。
「意匠性」は、外観を目視により観察して官能評価した。
「凹み模様の平均直径」は、10個の凹み模様(ドット)の大きさを定規で計測して算術平均した値である。
「凹み模様部分の最低膜厚」は、凹み模様部分(ドット部)の断面を電子顕微鏡で観察して測定した。
Figure 0004871017
比較例9は、凹凸形成用塗料が溶剤のみで固形分が配合されていないであるために、意匠性は確保されるが、凹み模様部分での膜厚が薄くなるために促進耐候性試験での評価は低かった。一方、比較例1〜8、10、11は凹凸形成用塗料に固形分が配合されており、凹み模様部分での膜厚が厚くなるために促進耐候性試験の評価は良好であったが、意匠性は低くなった。
実施例1〜6、参考例7、実施例8〜13は比較例9と意匠性の評価がほぼ同等か比較例9よりも良好で、促進耐候性試験の評価も比較例9よりも良くなった。また、実施例1〜6、参考例7、実施例8〜13は比較例2〜8、10、11よりも促進耐候性試験の評価が低くなる場合もあるが、実用上の問題の無い耐候性を有するものであり、意匠性に関しては実施例1〜6、参考例7、実施例8〜13は比較例1〜11と同等以上で良好であった。
本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 板材
2 表層塗料
3 凹凸形成用塗料

Claims (5)

  1. 固形分濃度が30〜70%である表層塗料を板材の表面に塗布し、表層塗料の固形分濃度よりも小さい固形分濃度を有し、且つ表層塗料の溶剤よりも高沸点及び高比重の溶剤を含有する凹凸形成用塗料を未硬化状態の表層塗料にスプレーし、この後、焼き付けすることにより表層塗料及び凹凸形成用塗料の硬化塗膜でハンマートーン模様を形成して成ることを特徴とするハンマートーン模様塗装板の製造方法。
  2. 凹凸形成用塗料の固形分濃度が5〜45%であることを特徴とする請求項1に記載のハンマートーン模様塗装板の製造方法。
  3. 固形分として骨材と艶消し材の少なくとも一方を含有する凹凸形成用塗料を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のハンマートーン模様塗装板の製造方法。
  4. 固形分として顔料を含有する凹凸形成用塗料を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハンマートーン模様塗装板の製造方法。
  5. 板材の表面にはベース塗膜が形成されており、その光沢が60%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のハンマートーン模様塗装板の製造方法。
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