JP4870650B2 - レジストパターンの製造条件設定方法および半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
寸法のバラツキ要因は、露光量の変動と焦点位置の変動との2つに大別され、露光量の変動要因としては、半導体ウェハの面内でのレジストの塗布膜厚の分布やレジスト焼成時の温度分布、フォトマスクの寸法誤差、露光域内での照度分布、半導体ウェハの面内での現像液の液盛り量の分布、下地の反射率のバラツキ等がある。
1つのフォトリソグラフィ工程における寸法バラツキを知るためには、実際にフォトリソグラフィ工程を行って、1枚の半導体ウェハ上で、同一のフォトマスクによって得られるレジストパターンの寸法を多数点測定し、その寸法バラツキを評価する方法や、寸法バラツキに代えて、プロセス裕度を指標とする方法がある。
また、フォトリソグラフィ工程における寸法バラツキは、その工程に用いる投影露光装置に起因するバラツキ、例えば、露光量や焦点位置の設定のバラツキやこれらの経時的な変化等によっても生じるため、投影露光装置のバラツキを考慮しないで製造条件の設定を行うと、その設定精度が低下して、予期せぬ製造バラツキが生じ、製造する半導体装置の歩留りを低下させるという問題がある。
本実施例のレジストパターンの製造条件の設定における解析は、パーソナルコンピュータ等の演算装置1を用いて行う。
図1において、2は演算装置1の制御部であり、演算装置1内の各部を制御して製造条件設定処理等を実行する機能を有している。
4は表示部であり、LCD等の表示画面を備えており、各種の入力画面や解析結果画面等を表示する機能を有している。
5は入力部であり、キーボードやマウス等を備えており、工程設計等を担当する担当者からの、各種の測定データや設定値等の入力を受付ける機能を有している。
なお、自由度調整済み決定係数R2 adは、各線幅測定データLとその格子点の焦点位置fと露光量dを用いて算出された線幅計算データWとが、完全に一致する場合が「1」であり、自由度調整済み決定係数R2 adが「1」を超えることはなく、自乗で表されるので、負の値になることもない。
本実施例の2変数(焦点位置fと露光量d)の多重回帰分析における説明関数W(f,d)としては、焦点位置fに関する第1関数F(f)と、露光量dに関する第2関数G(d)と、焦点位置fと露光量dとに関する第3関数H(f,d)とを加えた次式を用いる。
・・・・・・(1)
ここに、
F(f)=a1f+a2f2+a3f3+a4f4 (aは係数)
G(d)=b1/d2+b2log10(d) (bは係数)
H(f,d)=(c1f+c2f2+c3f3+c4f4)log10(d)
+(h1f+h2f2+h3f3+h4f4)/d2 (c、hは係数)
式(1)における第3関数H(f,d)は、第1関数F(f)と第2関数G(d)との各項を1つずつ組合せ、これらを掛け合わせて構成されている。
以下に、図2に示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って本実施例の製造条件設定処理について説明する。
担当者は、新たに製造工程が設置された場合等に、製造条件を設定すべき当該フォトリソグラフィ工程の線幅測定データLijの測定表(図4)および投影露光装置の装置バラツキデータを準備し、演算装置1の入力部5を用いて製造条件設定処理プログラムの立上操作を行う。
S1、製造条件設定処理プログラムが起動すると、制御部2は、記憶部3に保存されている説明関数W(f,d)を読出して、多重回帰分析プログラムの説明関数として設定すると共に、表示部4の画面に線幅測定データ入力画面を表示し、担当者は入力部5により、線幅測定データLijの測定表を参照しながら、各線幅測定データLijを入力し、入力終了操作を行う。
S2、制御部2は、多重回帰分析プログラムにより、記憶部3に保存されている線幅測定データLijを基に、設定された説明関数W(f,d)を用いて、2変数の多重回帰分析を実行し、定数Co、および第1関数F(f)、第2関数G(d)、第3関数H(f,d)の各項の係数a、b、cを求め、得られた定数Coと各計数を代入した重回帰曲線の近似式を決定する。
本実施例の説明関数W(f,d)を用いた第1回目の多重回帰分析における重回帰曲線の自由度調整済み決定係数R2 adは、R2 ad=0.99999(線幅測定データLのデータ数は、1621)になる。
W(f,d)=Co+F(f)+G(d)(Coは定数) ・・・・・・(2)
ここに、
F(f)=a1f+a2f2+a3f3+a4f4 (aは係数)
G(d)=b1/d2+b2log10(d) (bは係数)
の場合の第1回目の多重回帰分析における重回帰曲線の自由度調整済み決定係数R2 adは、R2 ad=0.98941になる。
自由度調整済み決定係数R2 adが、回帰精度判定値未満のときは、回帰精度の収束が不十分と判定してステップS5へ移行する。
そして、制御部2は、格子点毎に、線幅計算データWijと線幅測定データLijとの差の絶対値を、線幅測定データLijで除した離間率を求め、その離間率が読出した離間データ判定値(本実施例では、0.1)以上となる線幅測定データLを特定し、特定した線幅測定データLを記憶部3の線幅測定データLから消去して線幅測定データLを更新すると共に、測定数カウントエリアのカウント数から消去した線幅測定データLの数を減じて、多重回帰分析に用いる線幅測定データLのデータ数を更新する。
S7、重回帰分析を行うためのデータ数の不足を判定した制御部2は、表示部4の画面に線幅測定データLのバラツキが過大である旨の文言等を表示した、データ不足警告画面を表示し、担当者は表示内容を確認して入力部5により確認終了操作を行う。
この場合に、担当者はステップS1における誤入力の有無等の確認や、誤入力がない場合の線幅測定データLの数増し、または再測定を行い、再び製造条件設定処理プログラムによる製造条件の設定を行う。
S8、重回帰曲線の収束を判定した制御部2は、表示部4の画面に許容寸法範囲および設定しようとする製造条件(設計点DPという。)の焦点距離fDPと露光量dDPの設計データ入力画面を表示し、担当者は入力部5により、当該フォトリソグラフィ工程の寸法許容範囲の上限値と下限値とを入力すると共に、図3に示す線幅測定データLを参照して設計点DPを入力して入力終了操作を行う。
S9、寸法許容範囲等を保存した制御部2は、表示部4の画面に装置バラツキ入力画面を表示し、担当者は入力部5により、当該フォトリソグラフィ工程に用いる投影露光装置の焦点距離fと露光量dのそれぞれの平均値mf、mdと標準偏差σf、σdとからなる装置バラツキデータを入力して入力終了操作を行う。
S10、制御部2は、分布計算点発生プログラムにより、記憶部3に保存されている設計点DPの焦点距離fDPと露光量dDP、および装置バラツキデータの焦点距離fと露光量dの平均値とその標準偏差を基に、線幅計算データWijの正規分布における平均値と標準偏差を算出するための、設計点DPの焦点距離fDPを平均値とした焦点距離fの正規分布と、露光量dDPを平均値とした露光量dの正規分布とを2次元に組合せた、図6に示す分布計算点T(f,d)を複数(本実施例では、1000点程度)発生させる。
なお、本ステップにおける製造条件の決定においては、許容寸法範囲の上下限値の中央値と、線幅計算データWの平均値mwとが一致している必要はなく、線幅計算データWのmw±3σwの範囲が、許容寸法範囲以内であれば足りる。
担当者は、異なる設計点DPにおける線幅バラツキデータの再計算を行うときは、再計算に用いる新たな設計点DPの焦点距離fDPと露光量dDPを入力部5を用いて入力し、入力終了操作を行う。
S14、制御部2は、新たな設計点DPが入力されたときは、ステップS10へ戻って、新たな設計点DPによる線幅バラツキデータの算出を継続する。
終了コードの入力を認識した場合は、製造条件設定処理を終了させる。この場合に担当者は、当該フォトリソグラフィ工程に設置する投影露光装置を不適と判断して、他の投影露光装置の設置等の検討を行う。
担当者は表示内容を確認して入力部5により確認操作を行い、この確認操作を認識した制御部2は、製造条件設定処理を終了させる。
このようにして、1つのフォトリソグラフィ工程における本実施例のレジストパターンの製造条件設定処理が実行され、担当者は、設置された製造工程の各フォトリソグラフィ工程における製造条件を上記と同様にして決定し、これらの決定された製造条件を用いて半導体装置の製造が行われる。
更に、自由度調整済み決定係数R2 adが回帰精度判定値未満の場合に、線幅測定データLの中で、線幅計算データWから離間率が所定の離間データ判定値以上の線幅測定データLを削除し、線幅測定データLのデータ残存率が所定の残存率判定値未満となったときに、データ不足警告画面を表示して製造条件設定処理を終了させるので、できるだけ多くの線幅測定データLを用いた多重回帰分析により、重回帰曲線の回帰精度を向上させることができると共に、線幅測定データLのデータ数の不足による予想外の重回帰曲線の回帰精度の低下を防止することができる。
本実施例の演算装置1の記憶部3には、上記実施例1と同様の製造条件設定処理プログラムが予め格納されており、制御部2が実行する製造条件設定処理プログラムのステップにより本実施例の演算装置1のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
本実施例の2変数(焦点位置fと露光量d)の多重回帰分析における説明関数W(f,d)は、上記実施例1の式(1)に示す説明関数W(f,d)の第3関数H(f,d)を変更した次式が用いられる。
・・・・・・(3)
ここに、
F(f)=a1f+a2f2+a3f3+a4f4 (aは係数)
G(d)=b1/d2+b2log10(d) (bは係数)
H(f,d)=c1f2log10(d)+c2f2/d2+c3f/d (cは係数)
なお、第1関数F(f)および第2関数G(d)は、上記実施例1の場合と同様である。
この場合に、ステップS2における2変数の多重回帰分析には、式(3)の説明関数W(f,d)が用いられる。
また、ステップS3において計算される本実施例の説明関数W(f,d)を用いた第1回目の多重回帰分析における重回帰曲線の自由度調整済み決定係数R2 adは、R2 ad=0.99973になる(分析に用いた線幅測定データLは、上記実施例1と同じ。)。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の演算装置1の記憶部3には、上記実施例1と同様の製造条件設定処理プログラムに、説明関数W(f,d)の第3関数H(f,d)の各項の寄与率を算出し、所定の寄与率判定値未満の寄与率の項が存在する場合に、その項を削除して処理計算の高速化を行う高速化処理プログラムが追加された製造条件設定処理プログラムが予め格納されており、制御部2が実行する製造条件設定処理プログラムのステップにより本実施例の演算装置1のハードウェアとしての各機能手段が形成される。
本実施例における寄与率は、上記実施例1の式(1)に示す説明関数W(f,d)を用いた多重回帰分析を行い、これにより決定された定数Coと各係数を用いて、各線幅測定データLの焦点位置fと露光量dとからなる計算条件における線幅計算データWijを算出し、算出された線幅計算データWijとその計算条件の元になった線幅測定データLijとの差Xoの自乗と、同じ計算条件で、第3関数H(f,d)の各項のいずれか一項を除いて計算された線幅計算データWk(k=1〜N、Nは線幅測定データLのデータ数)とその線幅測定データLijとの差Xkの自乗平均とを求め、そのときの寄与率Aを、差Xoの自乗に対する、差Xkの自乗平均の比率として定義すると、
A=(ΣXk2/N)/Xo2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
で表され、寄与率判定値は、0.03として設定されている。
本実施例の基本となる2変数(焦点位置fと露光量d)の多重回帰分析における説明関数W(f,d)としては、上記実施例1の式(1)が用いられ、その説明関数W(f,d)が、実施例1と同様に記憶部3に保存されている。
担当者は、上記実施例1と同様にして、製造条件設定処理プログラムの立上操作を行い、これを認識した演算装置1の制御部2は、製造条件設定処理プログラムを起動する。
SA1、製造条件設定処理プログラムが起動すると、制御部2は、実施例1と同様にして、記憶部3の基本となる説明関数W(f,d)(本実施例では、式(1))を、多重回帰分析プログラムの説明関数として設定すると共に、担当者からの線幅測定データLijの入力を受付け、そのデータの測定総数と各線幅測定データLijを記憶部3に保存すると共に、記憶部3の測定数カウントエリアに測定総数を格納する。
SA4、第3関数H(f,d)の寄与率Aを算出した制御部2は、記憶部3に格納されている寄与率判定値を読出し、算出した各項の寄与率Aと読出した寄与率判定値(本実施例では、0.03)とを比較し、寄与率判定値未満の寄与率Aを有する項を削除して説明関数W(f,d)の項数を減少させ、高速化された新たな説明関数W(f,d)をステップSA5以降の多重回帰分析における説明関数として設定する。
この場合に、ステップSA5における2変数の多重回帰分析には、ステップSA4で設定された新たな説明関数W(f,d)が用いられる。
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、予め説明関数の第3関数H(f,d)の各項の線幅計算データLに対する寄与率Aを算出し、その寄与率Aが所定の寄与率判定値未満のときに、その項を削除するようにしたことによって、多重回帰分析に用いる説明関数W(f,d)の項の数を減少させて、投影露光装置のバラツキを考慮するための多数の分布計算点T(f,d)における線幅計算データWの計算時間を更に短縮することができる。
これにより、計算速度の更なる高速化を図ることができる。
また、上記各実施例においては、第1関数F(f)は、4次の多項式であるとして説明したが、5以上の次数の多項式であってもよい。
G(d)=b1/d2+b2log10(d)+b3(log10(d))2 (bは係数)
・・・・・・(5)
等であってもよい。
2 制御部
3 記憶部
4 表示部
5 入力部
Claims (5)
- 1つのフォトリソグラフィ工程における、焦点位置と露光量とをそれぞれ独立に変化させたときのレジストパターンの複数の寸法測定データを測定するステップと、
当該フォトリソグラフィ工程に用いる投影露光装置の焦点位置と露光量の正規分布における装置バラツキデータを測定するステップと、
前記寸法測定データを基に、焦点位置と露光量とを変数とした説明関数を用いて、2変数の多重回帰分析を行い、重回帰曲線の近似式を決定するステップと、
前記多重回帰分析により決定された重回帰曲線の自由度調整済み決定係数と、所定の回帰精度判定値とを比較するステップと、
前記自由度調整済み決定係数が、前記所定の回帰精度判定値以上のときに、前記装置バラツキデータと、所定の設計点の焦点位置および露光量とを基に、前記設計点を平均値とした正規分布の分布形を有する分布計算点を発生させるステップと、
前記分布計算点毎に、前記決定された重回帰曲線の近似式を用いて寸法計算データを算出するステップと、
前記寸法計算データの正規分布における平均値と標準偏差を算出するステップと、
前記算出された寸法計算データの標準偏差の3倍が、前記平均値の両側で許容寸法範囲以内のときに、前記所定の設計点を当該フォトリソグラフィ工程におけるレジストパターンの製造条件として決定するステップと、を具備することを特徴とするレジストパターンの製造条件設定方法。 - 請求項1において、
前記2変数を構成する焦点位置をf、露光量をdとし、焦点位置fに関する第1関数をF(f)、露光量dに関する第2関数をG(d)、焦点位置fと露光量dとに関する第3関数をH(f,d)としたときに、
前記多重回帰分析に用いる説明関数W(f,d)を、
W(f,d)=Co+F(f)+G(d)+H(f,d) (Coは定数)
ここに、
F(f)=a1f+a2f2+a3f3+a4f4 (aは係数)
G(d)=b1/d2+b2log10(d) (bは係数)
H(f,d)=(c1f+c2f2+c3f3+c4f4)log10(d)
+(h1f+h2f2+h3f3+h4f4)/d2 (c、hは係数)
としたことを特徴とするレジストパターンの製造条件設定方法。 - 請求項1において、
前記2変数を構成する焦点位置をf、露光量をdとし、焦点位置fに関する第1関数をF(f)、露光量dに関する第2関数をG(d)、焦点位置fと露光量dとに関する第3関数をH(f,d)としたときに、
前記多重回帰分析に用いる説明関数W(f,d)を、
W(f,d)=Co+F(f)+G(d)+H(f,d) (Coは定数)
ここに、
F(f)=a1f+a2f2+a3f3+a4f4 (aは係数)
G(d)=b1/d2+b2log10(d) (bは係数)
H(f,d)=c1f2log10(d)+c2f2/d2+c3f/d (cは係数)
としたことを特徴とするレジストパターンの製造条件設定方法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記説明関数の各項の寄与率を算出するステップと、
前記寄与率が、所定の寄与率判定値未満のときに、当該項を削除するステップと、を具備することを特徴とするレジストパターンの製造条件設定方法。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のレジストパターンの製造条件設定方法を用いて、各フォトリソグラフィ工程におけるレジストパターンの製造条件を決定したことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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