JP4870006B2 - 光コネクタ清掃工具 - Google Patents
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Description
コネクタ用位置決めハウジングに光コネクタを挿入して突き合わせ接続する際、光コネクタの接合端面にゴミや埃、油分などの汚れが付着していると、着脱時の損傷や、伝送損失の増大などの原因になるため、突き合わせ接続に先立って、接合端面を清掃する必要がある。
また、この種のクリーナーとしては、清掃テープを巻き掛けたテープ押し付け用ヘッドを先端に具備する細長の突出部を、光コネクタアダプタ等の位置決めハウジングに挿入して、前記位置決めハウジング内の光コネクタ(例えば、光コネクタアダプタに、該光コネクタアダプタに挿入したクリーナーの突出部とは反対の側から接続されている光コネクタ(光コネクタプラグ)。光コネクタレセプタクル内に組み込まれているフェルール)の接合端面に清掃テープを接触させ清掃する構成のものが広く提供されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
例えば、特許文献1に開示されたクリーナーは、図26に示すように、清掃テープ102(清掃テープ)が露出される開口部116を先端に有した突出部分110を備え、この突出部分110を光コネクタアダプタ170(光アダプタ)内の空間(コネクタ収容穴172)に挿入することにより、前記テープ102が前記光コネクタアダプタ170に収容された光コネクタプラグ160のフェルール161の接合端面161aと向かい合って当接するように配置され、テープ102の前進送りにより前記光プラグ160の接合端面161aを拭き取り清掃する。このクリーナー101では、光プラグ160の接合端面161aを拭き取り清掃するテープ102が、ピボット111に枢着されたヘッド部112の先端面112a上を通るように設けられており、ピボット111を中心とした枢着回転によりヘッド部112の向きが可変となり、フェルール161の接合端面161aを種々の角度で受け入れることができるようになっている。
これに対して、上述の特許文献5の光コネクタ清掃工具は、光コネクタに対するテープ押し当て用のヘッド部が傾動可能になっていること自体は、特許文献1のクリーナーと同様であるが、ヘッド部は、湾曲成形された板ばね状のばね部によって傾動可能に支持されており、斜め研磨された光コネクタの接合端面に向けてヘッド部を押圧した際のばね部の弾性変形によってヘッド部が傾動する。ヘッド部が傾動しても、光コネクタの接合端面とヘッド部の先端面との中心位置のずれは殆ど(あるいは全く)無く、光コネクタの接合端面とヘッド部の片当たりといった問題は生じない。また、特許文献1の技術に比べて、ヘッド部のテープ押圧面よって光コネクタの接合端面に清掃テープを押し付ける押圧力の偏在を少なくでき、均等化を図れる。
位置決めハウジングにおいては、光コネクタ同士が、コネクタ収容穴(光コネクタ(光コネクタプラグ)が挿入される穴)の中心軸線と平行な光軸(接続光軸。コネクタ収容穴の中心軸線と一致している場合を含む)を以て互いに突き合わせ接続される。光コネクタアダプタにあっては、該光コネクタアダプタを貫通するコネクタ収容穴に両側から挿入された光コネクタ(光コネクタプラグ)同士が、コネクタ収容穴の中心軸線と平行な接続光軸を以て、コネクタ収容穴内にて突き合わせ接続される。光コネクタレセプタクルにあっては、該光コネクタレセプタクル内に組み込まれた光コネクタ(フェルール)と、コネクタ収容穴に挿入された光コネクタ(光コネクタプラグ)とが、コネクタ収容穴の中心軸線と平行な接続光軸を以て突き合わせ接続される。
プラグコンパチブルになっている挿入部は、位置決めハウジングに挿入したときに、コネクタ収容穴内面によって、テープ押し付け用ヘッドのヘッド部のテープ押圧面の中央部が、位置決めハウジング内の光コネクタの中心軸線(接合端面の中心を通り、位置決めハウジングのコネクタ収容穴の中心軸線に平行な軸線)上となるように位置決めされた状態で、ヘッド部が、位置決めハウジング内の光コネクタの接合端面に清掃テープを押し付ける。
このため、光コネクタ清掃工具のプラグコンパチブルの挿入部を位置決めハウジングに挿入したとき、位置決めハウジングにおける挿入部の位置決め誤差によって、位置決めハウジング内の清掃対象の光コネクタに対する、挿入部のヘッド部の位置決め精度にバラツキがある。これに鑑みて、プラグコンパチブルの挿入部を持つ従来の光コネクタ清掃工具では、例えば、特許文献5の図6、図7のように、光コネクタの接合端面に比べて大きめのテープ押圧面を持つヘッド部を採用してあることが一般的である(例えば、特許文献5の図6、図7等)。
しかしながら、例えば、作業者が清掃工具を手動操作時に無理に傾動させてしまったときは、ヘッド部301のテープ押圧面302が清掃テープ311を光コネクタの接合端面321aに押し付ける押圧力の偏在が大きくなったり、ヘッド部301のテープ押圧面302がフェルール322の接合端面321aから僅かに浮き上がる、といったことが生じる可能性がやや高まることが判ってきた。
なお、MPO形光コネクタ等、コネクタ接続時のフェルール同士の突き合わせ力発生用のスプリングを内蔵する光コネクタ(光コネクタプラグ)のフェルールの接合端面の清掃では、一時的に、フェルール322の清掃テープ311の送り移動に追従する変位が発生しても、前記スプリングの弾性によって、フェルール322が元の位置に戻ることになる。
例えば、ファイバ露出領域全体の清掃が可能な範囲で幅寸法を絞り込んだ細い清掃テープを採用すれば、清掃対象の光コネクタ321のフェルール322と清掃テープとの接触抵抗をある程度低減させることができる。しかしながら、清掃テープの幅寸法の縮小には限界がある上、フェルール322の接合端面321a外縁の角部に清掃テープの押圧力が集中することによる接触抵抗の低減効果は小さい。
現状、光コネクタ(上述の例では、詳細にはフェルール)の清掃テープの送り移動に伴う追従変位を抑えることができる、適切な技術が無く、その開発が求められていた。
第1の発明では、光コネクタの接合端面を、清掃テープの送り移動により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、前記清掃テープの供給及び巻き取りを行うテープ送り機構が組み込まれた工具本体と、この工具本体に突設され、光コネクタアダプタあるいは光コネクタレセプタクルであるコネクタ用位置決めハウジングのコネクタ収容穴に挿入されることで、前記光コネクタの前記接合端面に前記清掃テープを押し付けるためのテープ押圧面が形成されたヘッド部材によって、該ヘッド部材に巻き掛けられている前記清掃テープを前記光コネクタの前記接合端面に押し付ける挿入部とを具備し、前記ヘッド部材は、ばね部によって傾動可能に支持して前記挿入部の先端に設けられ、前記挿入部における前記ヘッド部材の位置が、前記挿入部を前記コネクタ用位置決めハウジングのコネクタ収容穴に挿入したときに、前記テープ押圧面の内、前記清掃テープの流れ方向上流側端部を含む部分が前記コネクタ用位置決めハウジング内の光コネクタの接合端面に前記清掃テープを押し付けるように設定されていることを特徴とする光コネクタ清掃工具を提供する。
第2の発明では、光コネクタの接合端面を、清掃テープの送り移動により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、前記清掃テープの供給及び巻き取りを行うテープ送り機構が組み込まれた工具本体と、この工具本体に突設され、光コネクタアダプタあるいは光コネクタレセプタクルであるコネクタ用位置決めハウジングのコネクタ収容穴に挿入されることで、前記光コネクタの前記接合端面に前記清掃テープを押し付けるためのテープ押圧面が形成されたヘッド部材によって、該ヘッド部材に巻き掛けられている前記清掃テープを前記光コネクタの前記接合端面に押し付ける挿入部とを具備し、前記ヘッド部材は、ばね部によって傾動可能に支持して前記挿入部の先端に設けられ、前記挿入部は、前記コネクタ用位置決めハウジングのコネクタ収容穴に挿入したときに、前記ヘッド部材の前記テープ押圧面の前記清掃テープの流れ方向上流側端部と下流側端部とが、前記コネクタ用位置決めハウジングの前記コネクタ収容穴の内の前記挿入部が収容された部分の中心軸線を介して両側に互いに離隔し、しかも、前記下流側端部に比べて前記上流側端部の方が、前記中心軸線からの離隔距離が小さくなるように、前記ヘッド部材の前記テープ押圧面の中心位置が前記コネクタ収容穴の前記中心軸線からずらされていることを特徴とする光コネクタ清掃工具を提供する。
第3の発明では、前記挿入部は、前記ヘッド部材と、前記工具本体に突設された突出部に取り付けられて前記ヘッド部材を支持するヘッド支持部とを有するテープ押し付け機構を具備し、前記テープ押し付け機構の前記ヘッド支持部は、前記工具本体の前記突出部に取り付けられる支持部本体と、この支持部本体の前記光コネクタへの押圧方向前端に突設され、前記ばね部として機能する、円弧状あるいは波形の傾動用ばねとを具備し、前記ヘッド部材を、前記傾動用ばねの前記支持部本体からの突出先端に、前記傾動用ばねの弾性変形によって傾動可能に支持していることを特徴とする第1又は第2の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第4の発明では、前記ヘッド部材は、前記傾動用ばねの前記支持部本体からの突出先端から、前記傾動用ばねの前記ヘッド部材に最も近い湾曲頂部の側であるばね頂部側とその反対の側であるばね裏側とに張り出すように延出され、前記前記テープ押圧面は、前記ヘッド部材の前記ばね頂部側の端部からばね裏側の端部に行くにしたがって、前記光コネクタへの押圧方向前側となるように傾斜されていることを特徴とする第3の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第5の発明では、前記テープ押圧面の傾斜角度が、前記光コネクタの斜め研磨された接合端面の傾斜角度と同じか、それよりも大きいことを特徴とする第4の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第6の発明では、前記ヘッド部材には、前記清掃テープが、前記ヘッド部材の前記ばね裏側がばね頂部側に比べて前記清掃テープの流れ方向上流側となるように、巻き回されていることを特徴とする第4又は第5の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第7の発明では、前記ヘッド部材の、前記テープ押圧面を介してばね頂部側及びばね裏側の端部に、前記清掃テープの幅方向のずれを防ぐガイド溝が形成されており、前記清掃テープの前記テープ押圧面を介して流れ方向の上流側および下流側の部分が前記ガイド溝に収容されていることを特徴とする第6の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第8の発明では、前記支持部本体は、前記突出部に固定される取付部と、この取付部と前記傾動用ばねとの間に設けられ前記ヘッド部材を前記光コネクタの前記接合端面に押圧する押圧力によって押し縮められる圧縮用ばねとを具備することを特徴とする第3〜第7のいずれかの発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第9の発明では、前記圧縮用ばねは波形に形成されており、2つ並列に設けられた前記圧縮用ばねによって、前記取付部と前記傾動用ばねとの間を橋絡する弾性橋絡部が構成されていることを特徴とする第8の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第10の発明では、前記テープ押し付け機構が、前記ヘッド部材と前記ヘッド支持部とが一体に形成された合成樹脂製の一体成形品であることを特徴とする第3〜第9のいずれかの発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第11の発明では、前記傾動用ばねが円弧板状あるいは波板状であることを特徴とする第3〜第10のいずれかの発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第12の発明では、前記コネクタ用位置決めハウジングは、光コネクタが挿脱可能に挿入される前記コネクタ収容穴と、該コネクタ収容穴内面に該コネクタ収容穴の中心軸線方向に沿って延在する溝状に形成され、前記光コネクタの側部に突設されているキーが挿入されるキー溝とを具備することを特徴とする第1〜第11のいずれかの発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第13の発明では、前記挿入部が、前記コネクタ用位置決めハウジングの前記コネクタ収容穴及び前記キー溝の内、前記コネクタ収容穴のみに挿入される構成であり、しかも、前記挿入部は、前記キー溝側と前記キー溝とは反対の側とが対称の断面形状になっている前記コネクタ収容穴に対して、表裏反転による正逆の2つの挿入方向で挿入可能な、表裏対称の断面外形になっていることを特徴とする第12の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
その結果、清掃能力の安定性を高めることができる。
図1〜図22は、本発明の光コネクタ清掃工具(以下、単に「清掃工具」ともいう)の一実施の形態を示す図である。
以下の説明では、光プラグ60のフェルール61の扁平形状の短辺側に対応する方向(図19の上下方向)を厚さ方向、長辺側に対応する方向を幅方向(図19の左右方向)ということがある。また、フェルール61の厚さ方向および幅方向に対応して、このフェルール61をハウジング62に収容した光プラグ60、ならびに光アダプタ70に挿入される清掃工具1の挿入部20(後述)についても同様に、厚さ方向および幅方向ということがある。
図16(a)、(b)、図17等に示すように、光プラグ60のフェルール61が、斜め研磨された接合端面61aを持つフェルールである場合も、図19の上下方向が厚さ方向、図19の左右方向が幅方向に対応しているものとして説明する。
なお、光ファイバ63としては、当該光プラグで成端するのに適したものであれば特に限定はなく、例えば単心または多心の光ファイバ心線、この光ファイバ心線をチューブに収容した光ファイバコードなどが採用可能である。
なお、本発明でいう光アダプタ70とは、両側の光プラグ60を位置決めして接続固定する中継器具を総称する。従って、光アダプタ70に接続される両側の光プラグ60は、互いに同形状のものに限定されることはない。形状が異なる光プラグを接続可能であっても、光アダプタと称する。
この種の光コネクタ60では、フェルール61は、光アダプタ70内で嵌合されたとき、ハウジング62に内蔵されたスプリング(図示せず)により付勢され、フェルール61同士に押圧力が作用するようになっている。
光プラグ60のハウジング62の外周には、前記係合爪と係合凹所とを係合したときに、前記弾性係合片を外側から押さえ、前記係合凹所との係合の離脱を防止するためのカップリング68が装着されており、周知のスライドロック機構を構成する。
両方の光プラグ60を光アダプタ70に挿入した状態では、光アダプタ70内でフェルール61に固定保持された光ファイバ63aの端面同士が突き合わされ、これにより、各フェルール61に成端されている光ファイバ63同士が光接続されるようになっている。
ヘッドユニット4は、接合端面61aに清掃テープ2を押し当てるためのヘッド部材23を具備している。清掃テープ2は、このヘッド部材23に巻き回されている。
工具本体10に突設された突出部19と、突出部19の先端部19Aに組み込まれたヘッドユニット4とは、光アダプタ70のコネクタ収容穴72に挿入可能に形成された挿入部20を構成している。
工具本体10は、テープ送り機構3が組み込まれたケース状の送り機構組込部10Aと、この送り機構組込部10Aから外側へ突出された細長筒状の前記突出部19とを具備し、送り機構組込部10Aから突出部19に向かって先細り形状となっている。ヘッドユニット4は、工具本体10先端部の細長筒状の突出部19の先端(先端部19A。図1(a)の左側の端)に設けられている。
図2,図3に示すように、ケース半体11,12は、例えば、第1のケース半体11および第2のケース半体12の内側に、対向配置されて形成された嵌合ピン13a〜13dおよび嵌合穴14a〜14dの嵌合により、一体化できるように構成されている。
図2,図3,図21に示すように、工具本体10の一部である突出部19も、ケース半体11,12にそれぞれ突設されている突片である突出部半体19a,19bによって構成された二つ割り構造になっており、ケース半体11,12の開閉によって開閉される。
なお、このような工具本体10の構成は一例に過ぎず、本発明を特に限定することを意図するものではない。
本実施の形態の清掃工具は、POMやPSなどの可燃性材料から、ネジなどの金属部品を用いることなく組み立てて製造することができるので、使用後は分解することなく焼却処分することができる。
このテープ送り機構3は、清掃テープ2を巻装した供給リール30と、使用後の清掃テープ2を巻き取って回収する巻取リール31と、清掃テープ2の送り移動を操作する操作ダイヤル34とを備え、工具本体10の外側に一部露出して設けられている操作ダイヤル34の回転操作によって、巻取リール31を回転させて清掃テープ2を巻き取ることができ、これにより、供給リール30からの清掃テープ2の巻き出しも行われる。
なお、図示例の清掃工具1のテープ送り機構3の詳細については、後に詳述する。
前記ヘッドユニット4の前記ヘッド部材23には、供給リール30と巻取リール31との間に引き出された清掃テープ2が巻き回されている。清掃テープ2は、前記ヘッド部材23の前端面であるテープ押圧面24に巻き掛けるようにして、ヘッド部材23に巻き回されている。
清掃テープ2は、筒状の突出部19内に通して、供給リール30と巻取リール31との間にて、前記ヘッドユニット4の前記ヘッド部材23のテープ押圧面24を経由するようにして、張り回されている。
ヘッドユニット4の前端のヘッド部材23は、突出部19の先端に開口された開口部26から僅かに前側に突出した状態に設けられている。
挿入部20を光アダプタ70のコネクタ収容穴72に挿入すると、清掃テープ2の、ヘッド部材23のテープ押圧面24に配置された部分を、光プラグ60の接合端面61aに対して押し付けるようにして当接させることができる。
但し、この挿入部20については、光アダプタ70のコネクタ収容穴72のみに挿入される外形になっており、光アダプタ70内側に形成されているキー溝72aに挿入される突部は存在しない。つまり、MPO形光コネクタプラグのハウジング62の側面62aに突設されているキー62aに相当する突起の突設を省略している。
また、突出部先端部19Aの外面の幅方向両側には、当該突出部19を光アダプタ70に挿入した際に、該光アダプタ70の弾性係合片の係合爪(上述)との干渉を避けるための凹溝21(図21参照)が形成されており、光アダプタ70の弾性係合片と係合しないようになっている。なお、凹溝21は、特に必須のものではない。
このため、挿入部20は、コネクタ収容穴72に対する挿入方向に、表裏(厚さ方向両側)反転による正逆が存在する。
但し、コネクタ収容穴72の断面形状は、キー溝72a側とその反対側とで対称になっており、挿入部20の断面外形も厚さ方向両側が対称になっているため、挿入部20はコネクタ収容穴72に対して、正逆いずれの向きでも挿入できる。
図10、図11、図13(a)、(b)、図14(a)、(b)、図15(a)〜(d)等に示すように、突出部19を含む清掃工具の先端部には、清掃テープ2をフェルール61の接合端面61aに当接させるためのヘッド部材23を有するヘッドユニット4が装着されている。
ヘッドユニット4は、清掃時に清掃すべき光プラグ60の接合端面61aに向かい合うテープ押圧面24を有するヘッド部材23と、該ヘッド部材23から前記テープ押圧面24に対する逆側であるヘッド部材23の裏面23bの側に連結され、ヘッド部材23を支持するヘッド支持部40とを具備して構成されている。
本明細書では、このヘッドユニット4について、図10(a)、(c)の左側,図11の紙面左手前側,図13(a)、(b)の左側を「前」、反対側を「後」、として説明する。また、図10(b)−(d)、図11、図13(b)、図15、図16(a)、(b)、図17において、上側を上、下側を下として説明する。
ヘッドユニット4は、ヘッド部材23よりも供給リール30側である清掃テープ2の上流部2bと、ヘッド部材23よりも巻取リール31側である清掃テープ2の下流部2cとの間に配置されている。このため、ヘッドユニット4が清掃テープ2の送り運動を阻害することはない。
下側のガイド溝25Aに、ヘッド部材23に巻き回された清掃テープ2のテープ押圧面24から送り方向の上流側、上側のガイド溝25Bに下流側が収容される。
このように、清掃テープ2がガイド溝25A、25B内に配置されることにより、ヘッド部材23が傾動しても、清掃テープ2の位置がずれたり、ヘッド部材23から外れたりすることが抑制される。
図10(c)、図11、図14(b)等に示すように、ヘッド部材23の上下両端の突起状の脱落防止片25aは、ヘッド部材23の前側(テープ押圧面24が形成されている側)から後側(ヘッド部材23におけるテープ押圧面24とは反対の面(背面)の側)に行くに従って、ヘッド部材23からの上下方向の突出寸法が次第に増大する傾斜壁25bを前側に具備している。傾斜壁25bは、挿入部20を光アダプタ70のコネクタ収容穴72に挿入する作業を円滑に行えるようにする機能を果たす。これにより、脱落防止片25aが挿入作業の障害とならない。
このヘッド支持部40は、傾動用ばね41以外の部分、すなわち、傾動用ばね41から後側の部分が、本発明に係る支持部本体44に相当する。
また、取付部43の、一対の取付凹部29に嵌め込まれる両端部の片方には、両取付凹部29のうちの一方に形成された嵌合溝29aに嵌合する略半円筒状の嵌合部43aが突設されており、一対の取付凹部29に対する嵌め込み可能な向きが決まっている。
ヘッドユニット4は、取付部43を突出部19に組み付けて、突出部19に組み込むことで、該ヘッドユニット4の前後方向が、突出部19の工具本体10からの突出方向、より具体的には、筒状の突出部19の中心軸線に沿った方向に揃えられる。
一対の圧縮用ばね42は、それぞれ、前端が連結板42cに繋がっており、後端が取付部43に繋がっている。
2つ並列に設けられた前記圧縮用ばね42と、連結板42cとは、前記取付部43と前記傾動用ばね41との間を橋絡する弾性橋絡部45を構成している。
弾性橋絡部45は、全体が、概略細長板状になっている。
このため、弾性橋絡部45は、突出部19内にて、長手方向を、突出部19の中心軸線方向(換言すれば、工具本体10からの突出方向)に沿わせて延在配置される。
ヘッドユニット4は、弾性橋絡部45の前端部(具体的には連結板42cと一対の圧縮用ばね42の前端部)とが、突出部19の幅方向両側の内壁に設けられた一対のスライド溝28に収容されている。スライド溝28は、突出部19の挿入離脱の方向(図13(a),(b)の左右方向)に延びているとともに、突出部19の先端側(図13(a),(b)の左側)の端部を閉じる端部壁28aを有する。
ヘッド部材23のテープ押圧面24に押圧力が作用しないときには、圧縮用ばね42は、自身の弾発力により、連結板42cをスライド溝28の端部壁28aに付勢して当接させている。連結板42cは、圧縮用ばね42の伸縮により、スライド溝28に沿って、突出部19の中心軸線方向に沿った両方向にスライド可能である。
この傾動用ばね41は、円弧板状であり、支持部本体44の前端とヘッド部材23とを橋絡するアーチ状になっている。ヘッド部材23は、支持部本体44の前端からアーチ状に延出する傾動用ばね41の前記支持部本体44からの突出先端411に繋がっている。
より詳しくは、図示例のヘッドユニット4は、傾動用ばね41の突出先端411が、ヘッド部材23の上下方向中央部と繋がっており、ヘッド部材23に、ヘッドユニット4の前側から後方への押圧力が作用することで、傾動用ばね41が弾性変形されるようになっている。また、傾動用ばね41の弾性変形によって、ヘッド部材23の傾動が可能である。
また、ヘッド部材23の裏面23bには、傾動用ばね41の突出先端411を収容する凹所27が形成されており、ヘッド部材23は、この凹所27内に収容された傾動用ばね41の突出先端411に支持されている。
本明細書では、ヘッドユニット4について、板状の弾性橋絡部45及びその延長上を基準として、傾動用ばね41の湾曲頂部412が存在する側、つまり、図10(b)〜(d)、図11、図13(b)、図15(a)〜(d)において上側を「ばね頂部側」、反対側(下側)を「ばね裏側」と呼ぶこととする。
但し、ヘッド部材23は、テープ押圧面24がヘッドユニット4の前後方向に垂直となる向き(例えば、特許文献5等参照)ではなく、テープ押圧面24が、ヘッドユニット4の前後方向に延在する弾性橋絡部45の延在方向に対する垂直面(仮想垂直面S。図13(b)参照)から若干傾斜された向きで、前記傾動用ばね41の突出先端411に支持されている。垂直面に対する傾斜角度θ1は、ここでは、8度(あるいは7〜9度)であるが、これに限定されない。
傾動用ばね41の突出先端411に支持されたヘッド部材23のテープ押圧面24は、ばね頂部側からばね裏側に行くにしたがって前側、となるように傾斜されている。
図10(d)等に示すように、取付部43の上下両端には、清掃テープが挿通されるテープ溝43bが設けられている。各テープ溝43bには、ヘッド部材23の上流側のテープ2bと下流側のテープ2cが挿通される。
但し、図10(c)に示すように、ヘッド部材23は、テープ押圧面24の下端縁24b(テープ流れ方向上流側端部)と上端縁24a(テープ流れ方向下流側端部)との間の中央(両端縁24a,24bから等距離の位置)に位置する、テープ押圧面24の中心位置66が、挿入部20の中心軸線(ここでは、板状の弾性橋絡部45の厚みの中央の基準面Ds)の延長上からばね頂部側に若干ずらされている。
前記光アダプタ70では、コネクタ収容穴72に両側から挿入した光プラグ60のフェルール61同士が、アダプタ半体73,74同士の接合境界75付近で突き合わせ接続される。光アダプタ70のコネクタ収容穴72に清掃工具1の挿入部20を挿入して、光アダプタ70の片側(一方のアダプタ半体73)に接続された光プラグ60のフェルール61の接合端面61aを清掃する場合も、ヘッド部材23による接合端面61aへの清掃テープ2の押し付けが、一対のアダプタ半体73,74の接合境界75付近で実現される。
なお、ここでは、前記基準面Dsは、挿入部20の中心軸線(ここでは、工具本体の突出部19の中心軸線。アダプタ半体74の中心軸線と一致する軸線)上に位置している(重なっている)ため、挿入部20の中心軸線も、光アダプタ70の前記中心軸線76と一致している。
図16(a)は、図17の状態における、ヘッド部材23,清掃テープ2、フェルール61の関係を模式的に示した拡大図である。
また、清掃工具1の挿入部20のヘッドユニット4は、前記基準面Dsが図16(a),図17における上下方向に垂直の向きになっている。図17のように、光プラグ60の中心軸線が光アダプタ70のコネクタ収容穴72の中心軸線76に一致しているとき、光プラグ60のフェルール61の一対のガイドピン穴61cの中心軸線は、前記基準面Dsの延長上に位置する(基準面Dsと重なっている)。
このため、ヘッド部材23のテープ押圧面24の中心位置は、光アダプタ70の前記中心軸線76と一致せず、シフト量Δsを以て中心軸線76からずれている。図16(a)、図17においては、上側にずれている。
但し、上述のように、テープ押圧面24の中心位置が挿入部20中心軸線から上側にずらされている。このため、テープ押圧面24の下端縁24bの方が上端縁24aに比べて、光アダプタ70の前記中心軸線76からの離隔距離が小さくなっている。
そして、清掃工具1におけるヘッド部材23の位置は、図16(a)、図17の状態において、テープ押圧面24の下端縁24bの図17の上下方向の位置が、接合端面61aの下端(接合端面61aの外周部の一部。図16(a)、図17、図19における接合端面61aの下端)よりも上、接合端面61aの中央部のファイバ露出領域66aに露出する光ファイバ63aよりも下、であるように設定されている。
但し、挿入部20におけるヘッドユニット4の組み込み位置は、図16(a)、図17の状態において、テープ押圧面24の下端縁24bの図16(a)、図17の上下方向の位置が、接合端面61aの下端よりも上、接合端面61aの中央部のファイバ露出領域66aに露出する光ファイバ63aよりも下、となるように設定することは言うまでも無い。
図12,図18に示すように、ガイドキャップ50は、プラスチックなどにより、略スリーブ状(筒状)に形成されたガイド本体51と、該ガイド本体51の一端にヒンジ56によって連結された蓋55とを有する。蓋55には、ガイド本体51に突設された突起51aと嵌合する嵌合穴55aが形成されており、ヒンジ56を屈曲して、ガイド本体51の突起51aと蓋55の嵌合穴55aを嵌合させることにより、蓋55を閉じた状態を維持できるようになっている。
ガイド本体51の蓋55側の一端には、光プラグ60が挿入されるコネクタ挿入口52(プラグ挿入口)が開口し、このプラグ挿入口52と対向する他端には、清掃工具1の挿入部20が挿入される挿入部挿入口53が開口している。プラグ挿入口52と挿入部挿入口53とは、ガイドキャップ50の内部空間54(コネクタ収容穴)により連通している。
ガイド本体51のプラグ挿入口52側の内壁には、光プラグ60のハウジング62外面に突設されたキー62aと嵌合しうるキー溝57aが設けられている。また、ガイド本体51の挿入部挿入口53側の内壁には、特許文献5のような、工具本体からの突出部側面にキーが突設されている挿入部の挿入に対応するためのキー溝57bが設けられているが、本実施形態で例示した清掃工具1の挿入部20はキーの突設を省略しているため、ガイドキャップ50としてもキー溝57bを省略した構成を採用可能である。キー溝57bを省略したガイドキャップ50であれば、清掃工具1の挿入部20を収容した際に、ガイドキャップ内壁面と挿入部20外周面との密着性を高めることができ、ガイドキャップ内の防塵性の向上に寄与する。
清掃工具1の挿入部20は、ガイドキャップ50に対して、光アダプタ70の場合と同様に、正逆いずれの向きでも挿脱可能に挿入できる。
次に、図示例の清掃工具1のテープ送り機構3の詳細を説明する。
但し、テープ送り機構としては、清掃テープ2の送り移動を実現できるものであれば良く、本実施形態のものに限定されず、様々な構成のものを採用できることは言うまでも無い。
ここでは、供給リール支持軸32および巻取リール支持軸33は、一方のケース半体11と一体に形成されている。そして、該支持軸32,33の先端を、他方のケース半体12に設けられた嵌合穴32a,33aに挿入することにより、収容空間35内で両ケース半体11,12をつないで橋絡し、供給リール30および巻取リール31を脱落なく保持することができるようになっている。
供給リール支持軸32および巻取リール支持軸33の外周には、これらリール支持軸32,33の軸線方向に延びるラチェット溝32c,33cが周設されている。これらのラチェット溝32c,33cは、それぞれ、後述する供給リール30および巻取リール31のラチェットアームの突条と係合できるようになっている。
巻芯部31aには、巻芯部31aの外周面31gに臨んで開口した挿通穴31h(貫通穴)が形成されており、該挿通穴31hは狭窄部31kを含んでいる。清掃テープの端部を巻取リール31に取り付ける方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、図8に示すように、巻取リール31の挿通穴31hに挿通した清掃テープ2Aの一端に団子状の結び目2dを作り、該結び目2dを狭窄部31kからの抜け止めとする方法が挙げられる。
ラチェットアーム31cの突条31dは、巻取リール31を巻取リール支持軸33に支持させたとき、該巻取リール支持軸33に周設されたラチェット溝33cに係合するようになっている。巻取リール31が回転する際には、ラチェットアーム31cの弾性変形により、突条31dがラチェット溝33cと、係合および離脱を繰り返すことになるので、巻取リール31の回転に対して回転抵抗が付与される。その結果、清掃テープの送り移動に一定の引張り力が必要となり、巻取リール31の滑りが抑制される。つまり、巻取リール31のラチェットアーム31cと、巻取リール支持軸33のラチェット溝33cとが、巻取リール31の回転に回転抵抗を付与する回転抵抗付与機構として機能する。
清掃テープ2の送り移動を許容する前記一定の引張り力としては、テープ送り機構3の引張りによる清掃テープの伸びが清掃に悪影響を及ぼさない程度であり、かつ、例えば清掃工具1を振ったり持ち運んだりなどした程度では、テープが送られないようなものとされる。
また、供給リール30としては、巻取リール31と同様のものを用いることができる。
供給リール30には、巻取リール31と同様に、供給リール支持軸32に周設されたラチェット溝32cに係合する突条を有するラチェットアームが設けられ、上記回転抵抗付与機構が構成されている。
図6,図7に示すように、操作ダイヤル34は、巻取リール支持軸33に貫装されるハブ部34aと、外周にローレット面を有するリム部34cと、このハブ部34aおよびリム部34cを連結する複数のスポーク部34bとが、プラスチックなどから一体に成形されたものである。複数のスポーク部34bの一つには、操作ダイヤル34の周方向に延びるアーム部37aの先端に係止爪37bが突設形成されたラチェットアーム37が設けられている。また、他のスポーク部34bには、操作ダイヤル34の周方向に延びるアーム部38aの先端に打槌部38bが突設形成されたハンマーアーム38が設けられている。
ラチェットアーム37およびハンマーアーム38のアーム部37a,38aは、弾性的に変形可能である。
操作ダイヤル34と巻取リール31とは、操作ダイヤルに設けられたピン34pを巻取リール31に形成された挿通穴31pに嵌合することによって一体となるように連結されている。
操作ダイヤル34の半径は、巻取リール31の半径より大きくなっている。その結果、清掃テープ2が巻取リール31に巻き取られる長さは、操作ダイヤル34の操作量(該操作ダイヤル34の外周に沿った変位量)より、上記半径比の分だけ小さくなる。
このため、清掃テープ2の微小な送り量が容易に達成される。
乗上げ突起17は、図2,図22に示す正面視で、環状壁部16の外周面16aに対して鋭角をなす傾斜面17aを有する。傾斜面17aは、各乗上げ突起17において、巻取リール31の回転方向(図22における反時計回り方法)に対向する側に設けられている。
操作ダイヤル34が回転すると、図22(b),(c)に示すように、打槌部38bが乗上げ突起17の傾斜面17aに沿って頂部17bまで乗り上がる。さらに操作ダイヤル34が回転すると、図22(d)に示すように、乗上げ突起17の支持を失って、ハンマーアーム38は、アーム部38aの弾発力により打槌部38bを環状壁部16の外周面16aに向けて振り下ろし、上記打槌部38bの打撃面38cが上記外周面16aに衝突する結果、打音が生じる。このように、清掃テープ2の送り量が一定量に達するごとに生じる打音により、作業者に清掃テープ2の送り量を報知することができる。
すなわち、本実施の形態の清掃工具1において、環状壁部16の乗上げ突起17と、操作ダイヤル34のハンマーアーム38により、清掃テープ2の送り量を報知する送り量報知機構が構成されている。
なお、1回の打音に相当する清掃テープ2の送り量は、光コネクタの1回の清掃に要する送り量とすることができる。また、複数回の打音が、光コネクタの清掃1回に相当する送り量となるようにすることもできる。光コネクタの汚れ具合に応じて、光コネクタの清掃1回に相当する打音の回数を適宜変えて作業することも差し支えない。
図17に示すように、清掃工具1の挿入部20を光アダプタ70のコネクタ挿入口71から挿入すると、挿入部20は、外面が光アダプタ70の内壁70aにより位置決めされながらコネクタ収容穴72に進入することにより、清掃テープ2は、光プラグ60の接合端面61aの適切な位置(ここでは、光ファイバ穴61bとその周辺)に位置決めされて当接させられる。
光プラグ60の接合端面61aにガイドピン65が突出していた場合でも、ガイドピン65は、ヘッド部材23に設けられたガイドピン挿通凹所23aに収容されるので、挿入部20は、ガイドピン65と干渉することなく、コネクタ収容穴72に収容することができる。
拭き取られた汚れは、清掃テープ2に付着して巻取リール31に巻き取られる方向に移動するので、使用後の清掃テープ(下流部)2cは、もはや突出部19の開口部26から露出されることはなく、汚れが接合端面61aに再び付着するおそれがない。
従って、接合端面61aを極めて清浄に清掃することができる。
清掃後、清掃工具1を挿入したときと反対の方向(離脱方向)に引くことにより、挿入部20を容易に引き抜くことができる。
次に、ガイドキャップ50を用いて、光アダプタ70外の光プラグ60の接合端面61aを清掃する場合の手順の一例を説明する。
図18に示すように、挿入部挿入口53に清掃工具1の挿入部20を挿入しておき、ガイドキャップ50の蓋55を外して開口したプラグ挿入口52に光プラグ60を挿入することにより、光プラグ60は、ハウジング62外面がガイドキャップ50の内壁により位置決めされながら、該ガイドキャップ50の内部空間54に進入する。このようにして光プラグ60を押し込むことにより、清掃テープ2は、光プラグ60の接合端面61aの適切な位置(ここでは、光ファイバ穴61bとその周辺)に位置決めされて当接させられる。
このように、光プラグ60の接合端面61aと挿入部20の清掃テープの当接部2a(ヘッド部材23に巻き回された清掃テープ2において、ヘッド部材23のテープ押圧面24に配置された部分)との突き合わせは、ガイドキャップ50によって適切に案内されるので、ガイドキャップ50内の光プラグ60の接合端面61aの清掃は、上記光アダプタ70内の光プラグ60の接合端面61aの場合と同様に行うことができる。
ガイドキャップ50の蓋55を閉じて挿入部20に装着しておくことにより、使用(清掃作業)しないときには、ガイドキャップ50が、突出部19の開口部26からの清掃テープ2の露出を防ぐキャップとして機能し、清掃工具1の保管や携帯の間に、ガイドキャップ50内部や清掃テープ2等が汚染することを防止できる。
このため、図15(a)〜(d)、図16(a)、(b)、図17等に示すように、ヘッド部材23を光プラグ60の接合端面61aに押し当てたときに、光プラグ60の接合端面61aに対するヘッド部材23の押圧力が必要以上に過剰になることが回避されるとともに、傾動用ばね41及び圧縮用ばね42が、ヘッド部材23を光プラグ60の接合端面61aに弾性付勢する付勢手段として機能する。
また、ゴミが光コネクタ60側のフェルール61等に押し付けられてこびり付くことが抑制され、ゴミを容易に拭き取ることができる。
また、圧縮用ばね42により、ヘッド部材23のテープ押圧面24の後退変位量を確保できるので、例えば、光学的基準面の位置が異なる光プラグや光トランシーバー等の光部品にも適応して、接合端面に清掃テープ2aの位置を合わせて清掃することができる。
挿入部20は清掃中も光アダプタ70のコネクタ収容穴72に位置決めされるので、位置ずれすることなく、清掃テープの当接部2aにより均等な押圧力で接合端面61aを拭き取り清掃することができる。また、挿入部20を、ごく軽い力で、光アダプタ70内に支持することができ、作業性がよい。
ここで、このヘッドユニット4における、ヘッド部材23の傾動について、より詳細に説明する。
図23(a)は、上述の光コネクタ清掃工具に突設された挿入部130の一例を示す。
図23(a)において、挿入部130は、光コネクタ清掃工具に突設された突出部131に組み付けたヘッド部品121を具備し、このヘッド部品121先端のヘッドプレート125(ヘッド部)に、清掃テープ122を巻き回したものである。
なお、挿入部130について、図23(a)〜(d)において、左側を前、右側を後、上側を上、下側を下として説明する。
ヘッドプレート125は、清掃対象の光コネクタ(フェルール140。図23(b)〜(d)参照)に対面される側の端面(前端面。以下、テープ押圧面126)が、挿入部130の前後方向に対して垂直の向きで、ヘッド支持部123に支持されている。
清掃テープ122は、ヘッドプレート125のテープ押圧面126に接触させるようにして、ヘッドプレート125に巻き回される。
ヘッドプレート125において、前記ばね部124の突出先端124aから、前記ばね部124の湾曲頂部124bの側(図23(a)〜(d)において、突出先端124aから上側の部分)を、以下「ばね頂部側」、反対側(図23(a)〜(d)において、突出先端124aから下側)を、以下「ばね裏側」として説明する。
但し、図23(b)〜(d)では、突出部131の図示を省略している。
図23(b)、(c)は、フェルール140が、斜め研磨された接合端面141aを具備するもの(以下、このフェルールに符号141を付す)である場合、図23(d)は、フェルール140が、フラット研磨された接合端面142a(フェルール140に内蔵された光ファイバ140aの光軸に垂直に研磨されている接合端面)を具備するもの。以下、このフェルールに符号142を付す)である場合を示す。
図23(b)、(c)のフェルール141の接合端面141aは、図23(d)のフェルール142の接合端面142aに比べて、8度傾斜した傾斜面になっている。但し、図23(b)と図23(c)とでは、接合端面141aの傾斜方向が逆になっている。
この原因は、解明すべき不明点があるものの、ヘッド部品121の構造に由来するものと考えられる。
図23(c)の場合は、フェルール141に内蔵されている光ファイバ140aの光軸に対して傾斜された接合端面141aに、前記光軸に対して垂直のヘッドプレート125(以下、このヘッドプレート125の向きを、フェルールの接合端面の傾斜に対して、「フラット」とも言う)を押圧するが、ばね部124全体の変形によって、接合端面141aの傾斜に追従するようにしてヘッドプレート125の向きが変わり、接合端面141aに対するテープ押圧面126からの押圧力の均等化を充分に実現できる。
この場合、ヘッドプレート125のフェルール141の突出先端に対する押圧によって、ヘッドプレート125のばね頂部側が押圧方向後側へ押し込まれていくとともに、ばね部124が変形されて、ヘッドプレート125の向きが、当該ヘッドプレート125のばね頂部側端部とばね裏側端部との間の中央部を中心とする回転の如く変化して行き、フェルール141に内蔵されている光ファイバ140aの光軸に対して垂直の状態から、フェルール141の接合端面141aに沿って傾斜した状態になっていく。
ヘッドプレート125のばね裏側部分は、ヘッドプレート125の向きの変化に伴い、傾動しながら、押圧方向前側へ移動して行く。
ヘッドプレート125のばね裏側部分は、ヘッドプレート125の内、アーチ状のばね部124の突出先端124aからばね裏側へ、ばね部124を延長する如く延出された部分であるため、フェルール141の突出先端によって、ヘッドプレート125のばね裏側部分がばね頂部側部分に対して相対的に後側へ押し込まれれば、ばね部124が湾曲半径を縮小する如く変形されていく。
そして、ばね部124の弾性復帰力が、接合端面141aに対するヘッドプレート125の押圧力として作用する。
このため、図23(b)の場合は、ばね部124の弾性復帰力によって、ヘッドプレート125のばね裏側からフェルール141への押圧力が、ばね頂部側に比べて、弱くなる傾向になるものと考えられる。
しかしながら、作業者が清掃工具を手動操作時に無理に傾動させてしまうことなどによって、ヘッドプレート125からフェルール141の接合端面141aへの押圧力の偏在が増大したり、あるいは、振動等の作用によって、ヘッドプレート125のばね裏側部分がフェルールの接合端面から僅かに浮き上がる、といったことが生じる可能性がある。
このため、作業者による清掃工具の傾動操作や、振動等の外力の作用に対して、接合端面に対する清掃テープの押圧力の均等化を充分に実現できる、技術の開発が求められる。
図17は、この清掃工具1の挿入部20を光アダプタ70のコネクタ収容穴72に挿入して、ヘッドユニット4のヘッド部材23によって、清掃テープ2を、光プラグ60の接合端面61aに押し付けた状態を示す。
また、図15(a)〜(d)は、ヘッドユニット4における、ヘッド部材23及び傾動用ばね41の付近を模式的に示す図である。
挿入部20は、フェルール61に内蔵された光ファイバ63aの光軸を延長した軸線上を移動することで、光アダプタ70のコネクタ収容穴72に対して挿脱される。
図15(b)、(c)の光プラグ60の接合端面61aは、図15(d)の光プラグ60の接合端面61aに比べて、8度傾斜した傾斜面になっている。
ここで、斜め研磨された接合端面61aの、フラット研磨の場合の接合端面に対する傾斜角度θ2(図16(a)参照)は、テープ押圧面24の傾斜角度θ1(図13(b)参照)と一致されている。
図15(b)では、光プラグ60の接合端面61aは、光アダプタ70に挿入した挿入部20のヘッド部材23の、光プラグ60に清掃テープ2を押圧する前のテープ押圧面24と向きが揃っている。
図15(c)では、光プラグ60の接合端面61aの傾斜が、図15(b)と逆向きになっている。
なお、図17も、図15(b)と同じく、光プラグ60の接合端面61aと、光アダプタ70に挿入した挿入部20のヘッド部材23のテープ押圧面24との向きが揃っている場合であり、図15(b)は図17の状態を模式的に示したものである。
ヘッド部材20は、光アダプタ70に挿入した挿入部20の光プラグ60へ向けての押し込みの進行に伴い、傾動用ばね41の弾性変形によって、光プラグ60の接合端面61aに追従するように傾動し、最終的に、光プラグ60の接合端面61aに対して閉じ合わされて、接合端面61aとの間に清掃テープ2を挟み込んだ状態に至る。
また、テープ押圧面24の下端縁24bが、上端縁24aに比べて相対的に後側へ変位することで、ヘッド部材23に、テープ押圧面24の上端縁24aが前側へ変位する向きの変化が生じ、これにより、ばね頂部側のテープ押圧面24が、光プラグ60の接合端面61aに清掃テープ2を押し付けるようになる。
図15(c)、(d)の場合、図23(b)を参照して説明したような現象、すなわち、傾動用ばね41の湾曲頂部412から突出先端411側の部分に、湾曲頂部412に対して突出先端411側を前側へ押し広げて湾曲半径を拡大するような変形が与えられるといった現象は発生しない。このため、傾動用ばね41全体の変形が円滑になされ、接合端面61aに対するテープ押圧面24の追従性を充分に確保できる。
その結果、テープ押圧面24から光プラグ60の接合端面61aへの押圧力の均等化を充分に実現でき、清掃テープ2の内のテープ押圧面24に配置されている部分2a(以下、当接部とも言う)を、接合端面61aに対して均等に押し付けることができ、高い清掃能力が得られる。
テープ送り機構3による清掃テープ2の送り方向は、図15(b)〜(d),図16(a)等に示したように、清掃テープ2を巻き回したヘッド部材23のばね裏側の端部が送り方向上流側、ばね頂部側が送り方向下流側(テープ押圧面24においては、ばね裏側からばね頂部側に向かう送り移動となる)となる方向であることが、高い清掃能力の安定確保の点で好ましい。
本発明に係る清掃工具1では、ヘッド部材23のばね裏側の端部が送り方向上流側、ばね頂部側が送り方向下流側であり、高い清掃能力の安定確保に有利である。
ヘッド部材23は、テープ送り機構3の操作によって清掃テープ2が送り移動されたときに、該ヘッド部材23に巻き回されている清掃テープ2との接触抵抗により、清掃テープ2に追従するようにして、清掃テープ2の送り方向下流側への変位力を受ける。これにより、傾動用ばね41に変形力が与えられる。
ここで、実際に、ヘッド部材23のばね裏側端部に、傾動用ばね41の突出先端411を中心とする前側への回転変位を生じるには、図23(b)を参照して説明したような現象、すなわち、アーチ状の傾動用ばね41の湾曲頂部412から突出先端411側の部分に、湾曲頂部412に対して突出先端411側を前側へ押し広げて湾曲半径を拡大するような変形が与えられて、湾曲頂部412に対して相対的に突出先端411がフェルール61への押圧方向前側へ変位するといった現象を伴う。
然るに、清掃テープ2の送り方向が、ヘッド部材23においてばね裏側からばね頂部側に向かう方向であれば、テープ押圧面24による接合端面61aへの清掃テープ2の均等な押圧状態を安定に維持でき、高い清掃能力を安定に得ることができる。
ヘッド部材23のばね裏側部分は、傾動用ばね41及び圧縮用ばね42の弾性変形によって、ヘッドユニット4後側への変位が可能である。このため、清掃テープ2の送り移動によって、ヘッド部材23のばね裏側端部に、ヘッドユニット4後側への強い変位力が作用すると、傾動用ばね41及び圧縮用ばね42の弾性変形によって、ヘッドユニット4後側への変位が生じ得る。
このとき、ヘッド部材23のばね頂部側部分は、前側への変位が、光プラグ60の接合端面61aによって規制されている。ヘッド部材23のばね裏側部分のヘッドユニット4後側への変位は、ヘッド部材23のばね頂部端部を中心とする、ヘッド部材23の回転変位によって生じる。
図20(b)〜(d)の光プラグ60の接合端面61aの向きは、図15(b)〜(d)に対応させてある。
既述の通り、本発明に係る清掃工具1では、図16(a)、図17の状態、すなわち、各アダプタ半体73、74のコネクタ収容穴73a、74aの中心軸線と、光プラグ60の中心軸線と、挿入部20の弾性橋絡部45の基準面Dsとが、光アダプタ70のコネクタ収容穴72を貫通する1本の直線である中心軸線76上に位置する状態において、テープ押圧面24の下端縁24bの、図16(a)、図17の上下方向の位置が、フェルール61の接合端面61aの下端よりも上、接合端面61aの中央部のファイバ露出領域66aに露出する光ファイバ63aよりも下、になっている。
テープ押圧面24の下端縁24bが、フェルール61の接合端面61aに清掃テープ2を押し付ける構成であれば、図27(a)、(b)に例示したように、ヘッド部材23のテープ押圧面24によってフェルール61の接合端面61a下端の角部に清掃テープ2が押し付けられる構成に比べて、送り移動される清掃テープ2とフェルール61との接触抵抗を格段に低減することができる。したがって、送り移動される清掃テープ2とフェルール61との接触抵抗によるフェルール61の変位を防止できるため、高い清掃能力の安定確保に有効に寄与する。
したがって、例えば、図16(a)、図17の状態において50〜60μm程度の前記ずれ量Δtを確保できるように、挿入部20におけるヘッド部材23の位置を設定しておけば、テープ押圧面24の下端縁24bがフェルール61の接合端面61aに清掃テープ2を押し付ける状態を、ほぼ確実に確保できることとなる。
なお、挿入部20におけるヘッド部材23の位置設定によって、図16(a)、図17の状態において確保されるずれ量Δtを、以下、基準ずれ量とも言う。
基準ずれ量は、接合端面61a下端とは反対の側へのヘッド部材23の位置ずれに対応して、ヘッド部材23のテープ押圧面24の下端縁24bによるフェルール61の接合端面61aに対する清掃テープ2の押し付け位置が上流端押し付け領域61dの範囲に入るようにするための対応幅を充分に確保する点では、ファイバ露出領域66aに露出する光ファイバ63aからテープ押圧面24の下端縁24bまでの距離を充分に確保できるように、大きすぎない寸法に設定することは言うまでも無い。
前記基準ずれ量が、ヘッド部材23のフェルール61に対する接合端面61a下端側への前記位置ずれ(誤差Δd)に対応して、ヘッド部材23のテープ押圧面24の下端縁24bによるフェルール61の接合端面61aに対する清掃テープ2の押し付け位置を、上流端押し付け領域61d内に保つための、ずれ吸収幅として機能する。このため、例えば、作業者の手動操作による清掃工具の無理な傾動や、振動の作用等による前記位置ずれ(誤差Δd)の拡大にも幅広く対応できるようになり、高い清掃能力の安定確保に有効に寄与する。
(1) 前記基準ずれ量を確保して、この基準ずれ量が、ヘッド部材のフェルールに対する接合端面下端側への前記位置ずれ(誤差Δd)に対応して、ヘッド部材のテープ押圧面の下端縁によるフェルールの接合端面に対する清掃テープの押し付け位置を、上流端押し付け領域内に保つための、ずれ吸収幅として機能させる構成は、図23(a)〜(d)に例示した構成の挿入部にも適用可能である(図24参照)。
また、その他の、テープ押し付け方式の光コネクタ清掃工具にも幅広く適用できる。
(2) 図6,図7等に示すように、上記実施の形態の清掃工具について、傾動用ばね、圧縮用ばねの弾性変形により、ヘッド部材のテープ押圧面が挿入部の厚み方向(例えば図8でいえば左右方向)に傾動することを説明したが、この清掃工具においては、ヘッド部材は、傾動用ばね、圧縮用ばねの弾性変形により、テープ押圧面が挿入部の幅方向(例えば図8でいえば左右方向)にも傾動しうる。
この場合、挿入部のヘッド部の向きとフェルールの接合端面の向きをよりよく合わせることができ、より良好に接合端面を清掃することができる。
但し、本発明では、テープ押圧面が挿入部の厚み方向(例えば図8でいえば左右方向)のみに傾動するように、ヘッド部材を傾動可能とした構成を排除しない。
(3) 挿入部は、突出方向の複数箇所に、互いに異なるコネクタハウジングへの挿入によってコネクタハウジング内で位置決めされる単位挿入部が形成されており、挿入部の各単位挿入部は、挿入部の突出方向の位置が相対的に後ろ側に位置する単位挿入部を収容することができる全てのコネクタハウジングに、挿入可能であるように形成されているものとすることができる。このような清掃工具によれば、それぞれの単位挿入部により、挿入部を互いに異なるコネクタハウジングに対して位置決めされるように挿入することができ、1つの清掃工具を用いて、コネクタハウジングの異なる複数の種類やサイズなどに対応して、このコネクタハウジング内の光コネクタの接合端面の清掃を行うことができる。
(5) テープを送り移動する駆動機構(テープ送り機構)は、手動により駆動されるものに限定されず、モータやバネなどの動力により駆動されるようにしたものでもよい。
また、手動と動力による駆動とを、併用したり、必要に応じて切り換えられるようにしてもよい。
(7) 送り量報知機構としては、上記実施の形態の構成に限定させず、例えば、清掃テープの送り量に対応して、音やランプの点灯・点滅などの信号を発生させることにより、清掃テープの送り量を報知するような任意の機構を採用することができる。
(9)傾動用ばねとしては、上述の実施形態に例示した円弧板状のものに限定されず、例えば、S字形、波形等のものであっても良い。
湾曲頂部が2以上存在する傾動用ばねについては、傾動用ばねの突出先端を介して両側の内、ヘッド部材から最も近い所に位置する湾曲頂部の側を「ばね頂部側」、反対側を「ばね裏側」と称することとする。
(10)上記実施形態では、ヘッドユニット4を、該ヘッドユニット4の前後方向が、突出部19の工具本体10からの突出方向、より具体的には、筒状の突出部19の中心軸線に沿った方向に揃えた向きで、突出部19に組み込んだ構成の挿入部を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ヘッドユニットを、その前後方向が、該突出部19の中心軸線に対して傾斜させて突出部19に組み込むことで、ヘッド部材のテープ押圧面を突出部19の中心軸線に対して所望角度傾斜させた構成も採用可能である。
この場合も、突出部19の中心軸線に沿う方向を基準として、ヘッド部材のばね裏側が、ばね頂部側に比べて相対的に前側(光コネクタ等の光部品の端面への押圧方向前側)となるように傾斜させる。
光ファイバアレイとしては、光ファイバが、基板に形成された1本または並設された複数のV溝等の位置決め溝に保持され、前記位置決め溝は、該基板の少なくとも一端まで延在しており、前記基板の一端に前記光ファイバの端面が配置されることにより、端面とされたものなどが挙げられる。基板型光導波路を有した光部品も種々の構成が知られている。本発明の光部品清掃工具によれば、光部品の端面がハウジングなどの凹所に配置されている場合でも、光コネクタの接合端面の代わりに、他の光部品の端面、つまり、光ファイバの端面や基板等の端面を、ヘッドに巻き掛けられた清掃テープによって清掃することができる。
Claims (13)
- 光コネクタ(60、61)の接合端面(61a)を、清掃テープ(2)の送り移動により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、
前記清掃テープの供給及び巻き取りを行うテープ送り機構(3)が組み込まれた工具本体(10)と、この工具本体に突設され、光コネクタアダプタあるいは光コネクタレセプタクルであるコネクタ用位置決めハウジング(70、200)のコネクタ収容穴(72)に挿入されることで、前記光コネクタの前記接合端面に前記清掃テープを押し付けるためのテープ押圧面(24)が形成されたヘッド部材(23)によって、該ヘッド部材に巻き掛けられている前記清掃テープを前記光コネクタの前記接合端面に押し付ける挿入部(20)とを具備し、
前記ヘッド部材は、ばね部(41)によって傾動可能に支持して前記挿入部の先端に設けられ、
前記挿入部における前記ヘッド部材の位置が、前記挿入部を前記コネクタ用位置決めハウジング(70、200)のコネクタ収容穴(72)に挿入したときに、前記テープ押圧面の内、前記清掃テープの流れ方向上流側端部(24b)を含む部分が前記コネクタ用位置決めハウジング(70、200)内の光コネクタ(60)の接合端面(61a)に前記清掃テープを押し付けるように設定されていることを特徴とする光コネクタ清掃工具(1)。 - 光コネクタ(60、61)の接合端面(61a)を、清掃テープ(2)の送り移動により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、
前記清掃テープの供給及び巻き取りを行うテープ送り機構(3)が組み込まれた工具本体(10)と、この工具本体に突設され、光コネクタアダプタあるいは光コネクタレセプタクルであるコネクタ用位置決めハウジング(70、200)のコネクタ収容穴(72)に挿入されることで、前記光コネクタの前記接合端面に前記清掃テープを押し付けるためのテープ押圧面(24)が形成されたヘッド部材(23)によって該ヘッド部材に巻き掛けられている前記清掃テープを前記光コネクタの前記接合端面に押し付ける挿入部(20)とを具備し、
前記ヘッド部材は、ばね部(41)によって傾動可能に支持して前記挿入部の先端に設けられ、
前記挿入部は、前記コネクタ用位置決めハウジング(70、200)のコネクタ収容穴(72)に挿入したときに、前記ヘッド部材の前記テープ押圧面の前記清掃テープの流れ方向上流側端部(24b)と下流側端部(24a)とが、前記コネクタ用位置決めハウジング(70、200)の前記コネクタ収容穴(72)の内の前記挿入部が収容された部分の中心軸線(74b)を介して両側に互いに離隔し、しかも、前記下流側端部に比べて前記上流側端部の方が、前記中心軸線からの離隔距離が小さくなるように、前記ヘッド部材の前記テープ押圧面の中心位置が前記コネクタ収容穴(72)の前記中心軸線からずらされていることを特徴とする光コネクタ清掃工具(1)。 - 前記挿入部は、前記ヘッド部材(23)と、前記工具本体に突設された突出部(19)に取り付けられて前記ヘッド部材を支持するヘッド支持部(40)とを有するテープ押し付け機構(4)を具備し、
前記テープ押し付け機構(4)の前記ヘッド支持部は、前記工具本体の前記突出部(19)に取り付けられる支持部本体(44)と、この支持部本体の前記光コネクタへの押圧方向前端に突設され、前記ばね部として機能する、円弧状あるいは波形の傾動用ばね(41)とを具備し、前記ヘッド部材を、前記傾動用ばねの前記支持部本体からの突出先端に、前記傾動用ばねの弾性変形によって傾動可能に支持していることを特徴とする請求項1又は2記載の光コネクタ清掃工具。 - 前記ヘッド部材は、前記傾動用ばねの前記支持部本体からの突出先端(411)から、前記傾動用ばねの前記ヘッド部材に最も近い湾曲頂部(412)の側であるばね頂部側とその反対の側であるばね裏側とに張り出すように延出され、前記前記テープ押圧面は、前記ヘッド部材の前記ばね頂部側の端部からばね裏側の端部に行くにしたがって、前記光コネクタへの押圧方向前側となるように傾斜されていることを特徴とする請求項3記載の光コネクタ清掃工具。
- 前記テープ押圧面(24)の傾斜角度(θ1)が、前記光コネクタ(60)の斜め研磨された接合端面(61a)の傾斜角度(θ2)と同じか、それよりも大きいことを特徴とする請求項4記載の光コネクタ清掃工具。
- 前記ヘッド部材には、前記清掃テープが、前記ヘッド部材の前記ばね裏側がばね頂部側に比べて前記清掃テープの流れ方向上流側となるように、巻き回されていることを特徴とする請求項4又は5記載の光コネクタ清掃工具。
- 前記ヘッド部材の、前記テープ押圧面を介してばね頂部側及びばね裏側の端部に、前記清掃テープの幅方向のずれを防ぐガイド溝(25A,25B)が形成されており、前記清掃テープの前記テープ押圧面を介して流れ方向の上流側および下流側の部分が前記ガイド溝に収容されていることを特徴とする請求項6記載の光コネクタ清掃工具。
- 前記支持部本体は、前記突出部に固定される取付部(43)と、この取付部と前記傾動用ばねとの間に設けられ前記ヘッド部材を前記光コネクタの前記接合端面に押圧する押圧力によって押し縮められる圧縮用ばね(42)とを具備することを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の光コネクタ清掃工具。
- 前記圧縮用ばね(42)は波形に形成されており、2つ並列に設けられた前記圧縮用ばねによって、前記取付部(43)と前記傾動用ばねとの間を橋絡する弾性橋絡部が構成されていることを特徴とする請求項8記載の光コネクタ清掃工具。
- 前記テープ押し付け機構(4)が、前記ヘッド部材(23)と前記ヘッド支持部(40)とが一体に形成された合成樹脂製の一体成形品であることを特徴とする請求項3〜9のいずれかに記載の光コネクタ清掃工具。
- 前記傾動用ばねが円弧板状あるいは波板状であることを特徴とする請求項3〜10のいずれかに記載の光コネクタ清掃工具。
- 前記コネクタ用位置決めハウジングは、光コネクタが挿脱可能に挿入される前記コネクタ収容穴(72)と、該コネクタ収容穴内面に該コネクタ収容穴の中心軸線方向に沿って延在する溝状に形成され、前記光コネクタの側部に突設されているキー(62a)が挿入されるキー溝(72a)とを具備することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の光コネクタ清掃工具。
- 前記挿入部(20)が、前記コネクタ用位置決めハウジングの前記コネクタ収容穴及び前記キー溝の内、前記コネクタ収容穴のみに挿入される構成であり、しかも、前記挿入部は、前記キー溝側と前記キー溝とは反対の側とが対称の断面形状になっている前記コネクタ収容穴に対して、表裏反転による正逆の2つの挿入方向で挿入可能な、表裏対称の断面外形になっていることを特徴とする請求項12記載の光コネクタ清掃工具。
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