本発明は、シートの読取画像に基づいて特定された処理対象の画像に、所定の処理を実行する画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムに関する。
近年、デジタルスチルカメラ(以下、「DSC」という)の普及に伴い、DSCの記憶媒体(メモリカード)に記憶されている写真画像を家庭のプリンタで印刷するシステムが一般的である。また、プリンタ、スキャナ、カードスロット、FAX機能を備えた複合機(マルチファンクションプリンタ、以下、「MFP」という。)が普及しつつある。
これらによって、ユーザは、撮影した画像が入っているメモリカードを、MFPのカードスロットに挿入すれば、ホストコンピュータ(PC)を介さずに、所望の印刷を直接行うことができる。
また、複合機特有の機能を利用した新たな機能の搭載も行われている(たとえば、特許文献1参照)。つまり、ユーザは、メモリカード内の画像をオーダーフォームとして印刷し、オーダーフォーム上のマークを塗りつぶす。すなわち、印刷したい画像や印刷設定情報に対応するマークを塗りつぶし、MFPのスキャナ部にセットする。プリンタのスキャナが、上記オーダーフォームを読み取り、読み取った情報に基づいて、印刷する。
図21は、従来例の動作を示すフローチャートである。
ユーザからの指令によって、S121で、ナビシートを印刷する。この「ナビシート」は、上記オーダーフォームと等価なシートであり、ユーザが画像を見ながら指定を行うシートである。
図22は、従来のナビシートNS5を示す図である。
ナビシートを印刷する場合、本体内に装着されているメモリカードからナビシートに関する画像を読み込み、メモリカード内の全ての画像または指定された画像を、図22に示すフォーマットで印刷する。
また、本シートでは、画像1から画像8以外にも、そのファイル名(画像1.JPGから画像8.JPG)のマークと、印刷時に使用する設定情報(用紙サイズ、メディア種類、特殊効果)のマークとを合わせて印字する。
次に、S122で、ユーザは、印刷を所望する設定のマークを塗りつぶす。
図23は、従来のナビシートNS5に、ユーザがマークを塗りつぶしたナビシートNS6を示す図である。
S123で、ユーザは、図23に示すように塗りつぶしたナビシートNS6を、本体の読取部に配置し、ナビシートNS6をスキャンする。読み取られたナビシートは、画像処理部において解析処理が施され、用紙サイズ、メディア種類、特殊効果の設定が検出される。図23に示す例では、用紙サイズがL判であり、メディア種類が写真紙であり、特殊効果として、赤目補正と顔明るくの指定がされ、解析部が、これらに関するマークを認識する。
次に、S124で、画像が印刷される。
図24は、指定されたL判、写真紙、特殊効果が施された画像が、印字された結果を示す図である。
ユーザは、L判4枚の印刷結果を取得する。上記のように、ナビシート(オーダーフォーム)を入力媒体とすることによって、ユーザは、所望の画像を印刷することができる。
特開2002−305701公報
一方、家庭での写真印刷ニーズの増加に伴い、その画像に対して様々な特殊処理を施したいというニーズも高まり、上記赤目補正、顔明るく補正等、画像に対する効果/加工処理の機能も提供されている。このために、上記ナビシート(オーダーフォーム)においても、印刷時の紙サイズ、メディア種類のみならず、特殊処理の指定も可能である。
しかし、上記従来例では、ナビシート上で指定する場合、全ての画像に、一意の設定が行われるので、全ての画像に、同様の効果/加工処理がかかり、個別に設定することができないという問題がある。
また、ユーザが画像の特徴を必ずしも把握しているとは限らないので、不要な効果/加工処理を指定することがあり、これによって、印字速度が低下するという問題がある。
たとえば、赤目が存在しない画像に赤目処理を施し、顔のない画像に顔明るく処理を施す等がある。特許文献1記載の発明においても、画像の特性に係わらず、効果/加工処理を施すか否かの指定のみ可能であるので、上記問題が発生する。
本発明は、印刷対象である複数の画像から所定の処理を実行させる画像を適切に指定して、指定した画像に所定の処理を実行して印刷させることができる画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明の画像処理装置は、印刷対象の画像における、所定の処理を実行するための領域を特定し、特定された当該領域に当該所定の処理を実行する実行手段と、印刷対象である複数の画像に基づき、当該複数の画像のそれぞれに対して、前記実行手段が前記所定の処理を実行するための前記領域が含まれているか判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づき、前記印刷対象である複数の画像のそれぞれに前記領域が含まれているか示す印刷画像であって、ユーザが情報を付加することによって前記所定の処理の実行を当該複数の画像のそれぞれに対して個別に指定するための印刷画像を、シートに印刷させる第1の印刷制御手段と、前記第1の印刷制御手段により印刷されたシートを読取装置が読み取ることで得られた読取画像に基づき、前記印刷対象である複数の画像のうちの前記実行手段により前記所定の処理を実行する画像を特定する特定手段と、前記第1の印刷制御手段により印刷されたシートを読取装置が読み取ることで得られた読取画像に基づき、前記印刷対象である複数の画像を、前記印刷装置に印刷させる第2の印刷制御手段とを有し、前記実行手段は、前記印刷対象である複数の画像のうちの前記特定手段により特定された画像に、前記所定の処理を実行し、前記第2の印刷制御手段は、前記印刷対象である複数の画像のうちの、前記特定手段により特定されて前記実行手段により前記所定の処理が実行された画像と、当該複数の画像のうちの、前記特定手段により特定されず、前記実行手段により前記所定の処理が実行されなかった画像とを、前記印刷装置に印刷させることを特徴とする。
本発明によれば、ユーザは、印刷対象である複数の画像から所定の処理を実行させる画像を適切に指定して、指定した画像に所定の処理を実行して印刷させることができる。
発明を実施するための最良の形態は、次の実施例である。
図1は、本発明の実施例1であるフォトダイレクトプリンタ装置(以下、「MFP」という)を示す概観斜視図である。
MFP100は、ホストコンピュータ(PC)からデータを受信し、印刷する通常のPCプリンタとしての機能を有する。さらに、メモリカード等の記憶媒体に記憶されている画像データを直接読み取って印刷する機能、またはデジタルカメラやPDA等からの画像データを受信し、印刷する機能を有する。また、本装置内の読み取り部を使用し、スキャナとしての機能とコピー機としての機能とを有する。
図1において、MFP100の外殻をなす本体は、表示部1、操作部2、カードインタフェース部3、読取部4、記録部5を有する。
次に、MFP100内の構成について、さらに詳しく説明する。
図2は、MFP100の構成を示すブロック図である。
MFP100は、表示部1、操作部2、カードインタフェース3、読取部4、記録部5、CPU10、ROM11、RAM12、不揮発性RAM13、画像処理部14、駆動部15、センサ部16を有する。
CPU10は、ROM11に格納されているプログラムコードをRAM12にロードし、動作する。また、動作時には、不揮発性RAM13からも以前に保存されている設定情報に基づいて動作することもある。MFP100は、操作部2からユーザの入力を受け、たとえばカードインタフェース3から、画像データの供給を受け、画像処理部14において画像処理を施した後に、記録部5が印字する。また、読取部4が画像をスキャンし、同じく画像処理部14が画像処理を施した後に、記録部5が印字することによって、コピー機能を実現する。駆動部15は、本体を駆動し、また、表示部1は、ユーザインタフェースの表示に使用される。
次に、実施例1において、ナビシートを使用したカードダイレクト印刷の制御についての主要処理について説明する。
図3は、実施例1に係るナビシートシステムの動作を示すフローチャートである。
ユーザからの指令によって、処理が開始され、S1で、印刷対象画像について、本体内に抱える全ての加工/補正処理のプレ処理を実行する。このプレ処理において、実行した加工/補正処理が、対象画像に対して有効であるか否かを決定する。
次に、S2で、ナビシートを印刷する。ナビシートには、メモリカード内の画像と、ファイル名等の付随情報とを合わせて印刷する。
図4は、ナビシートNS1を示す図である。
図4に示すように、各画像に対して加工/補正処理(図内では赤目補正と顔明るく補正)が指定可能なレイアウトである。
次に、S1で、効果が認められると判断された加工/補正処理については、その加工/補正処理マークと説明文字とを黒色で印字し、効果が認められないと判断された加工/補正処理については、グレーで印字する。図4に示す画像1は、両処理に効果が認められると判断された例であり、画像2は、顔明るく補正処理のみに効果があると判断された例である。上記のように、図4に示すナビシートが印刷されることによって、ユーザは、各画像に対して有効となる加工/補正処理を認識することができる。
次に、S3で、ユーザは、各画像に対して所望の加工/補正処理を、加工/補正処理マークを塗りつぶすことによって指定する。
図5は、ユーザが指定したナビシートNS2を示す図である。
図5に示す画像1については、赤目補正と顔明るく補正処理、画像3については、何も加工/補正処理を指定しない例である。
次に、S4で、ユーザが原稿台に置いたナビシートNS2がスキャンされる。スキャンされたデータは、本体内に蓄えられる。S5では、S4でスキャンされたナビシート画像を解析する。この解析において、各画像に対してどの加工/補正処理が実行されるかが決定される。S6では、各画像に対して、S5で決定された加工/補正処理が実行された画像を印刷する。
図6は、指定されたL判、写真紙、特殊効果が施された画像が印字された結果を示す図である。
以上が、実施例1に係るナビシートシステムの動作を示すフローチャートの説明であるが、ナビシートを入力媒体とすることによって、ユーザは所望の画像を印刷することができる。
次に、図3に示すS1、S2、S5の動作について、詳細に説明する。
図7は、画像のプレ処理S1の詳細動作を示すフローチャートである。
ユーザがナビシートの印刷を開始すると、S11で、全画像のプレ処理が終了したか否かを判定する。全画像のプレ処理が終了していなければ、S12で、まず赤目処理用のプレ処理を実行する。
次に、S13で、赤目処理用のプレ処理によって、赤目領域が存在するか否かを決定する。赤目領域の検出には、公知の赤目領域の検出技術が使用される。赤目領域が存在する場合、赤目処理の効果があると判断し、S14で、図9に示すリストにその結果を追加する。このリストは、画像番号と加工/補正処理との2次元テーブルであり、処理が有効である場合、ONを設定し、処理が有効でない場合、OFFを設定する。
S14で赤目処理が有効であると判断されているので、対象画像番号の赤目処理リストにONが追加される。一方、S13で処理の効果がないと判断されると、S15で、リストにOFFが設定される。
次に、S16で、顔明るく補正用のプレ処理が実行され、S17で、顔明るく補正処理の効果があるか否かを判定する。顔明るく補正処理用の効果を判断する場合、公知の顔検出技術が使用され、顔が検出された場合、顔明るく補正処理の効果があると判断される。この判断結果は、赤目補正処理と同様に、S18、S19で、リストに追加される。以上の処理が終了した時点で、S11に戻る。
一方、S11で、全画像のプレ処理が終了すると、S20で、後述するナビシートの印刷処理を行う。以上が、図3における画像のプレ処理S1の詳細内容である。
図8は、ナビシートの印刷動作S2を詳細に示すフローチャートである。
この処理は、図7に示すS20のナビシート印刷である。S20におけるナビシート印刷の指令を受け、まずS31で、副走査方向の全画像の印字が終了したか否かを判断する。終了していなければ、S32で、印字対象画像を次の副走査方向の領域に移動する。次に、S33で、主走査方向の全画像を印刷する。図4においては、画像1、画像2、画像3、画像4の画像データと、付随するファイル名とが印字された状態である。
次に、S34で、主走査方向において、全画像のマーク部の印刷が終了したか否かを判断する。マーク部の印刷が終了していれば、副走査方向の全画像の印字が終了したか否かを判断するために、S31に戻る。
図9は、プレ処理結果リストを示す図である。
次に、S34で、全画像のマーク部の印刷が終了していなければ、S35で、図9に示すプレ処理結果リストを検索し、まず、対象画像の赤目補正用結果を参照する。内容がONであれば、赤目補正処理は効果があると判断されていたので、S36で、加工/補正処理マークと処理用文字列とを黒色で印字する。
一方、内容がOFFであれば、赤目補正処理の効果はないと判断されているので、S37で、加工/補正処理マークと処理用文字列とをグレー色で印字する。次に、S38での顔明るく補正処理についても、S38、S39、S40における赤目補正処理と同様の処理が行われ、顔明るく補正処理用の加工/補正処理マークと文字列とが黒色またはグレー色で印字される。
以上で、対象画像の加工/補正処理マーク部の印字が終了したので、S34に戻り、主走査方向の次画像の加工/補正処理マーク部の印刷を判断する。
一方、S31で副走査方向の全画像の印字が終了していれば、S42に進み処理を終了する。
以上が、図3に示すナビシートの印刷動作S2の詳細内容である。
次に、ナビシートの解析動作S5について説明する。
図10は、ナビシートの解析動作S5の動作を説明する図である。
S5で、スキャンしたナビシート画像に対して解析処理を行う。
図10(A)は、スキャンした画像のうちの1画像に対する情報部分を示す図である。
本例では、赤目補正用の加工/補正処理マークがユーザによって塗り潰されている。解析部では、ナビシートのマーク部分を紙面上の絶対位置として記憶し、その部分についてのみ解析する。
図10(B)は、塗り潰されていない状態を示す図である。
図10(C)は、塗り潰された状態を示す図である。
本解析には、公知のパターンマッチング技術を利用できるが、解析部は、図10(D)のX印部分における画素が白であるか否かをチェックする。全ての画素が白でなければ、塗り潰されていると判断するが、一部の画素が白でなければ、塗り潰されているとして判断することによって、認識率を高めることも可能である。
また、Xの周囲の領域についても合わせて判断することによって、認識率を向上させることができる。
以上の処理によって、対象マークが塗り潰されているかどうかを判断することができ、ユーザが対象マークの特殊処理を指定しているか否かを決定することができる。また、対象マークが指定されていることを認識した場合、実印刷時に指定された特殊処理を実行する。
次に、図3におけるナビシートの解析動作について、より詳細に説明する。
図11は、実施例1におけるマーク解析処理部の動作を示すフローチャートである。
まず、ユーザからの印刷指示を受けて処理を開始し、S51で、原稿台にあるナビシートをスキャンし、ナビシートのデジタル画像を入手する。デジタル画像は、1面分であり、メモリ上に蓄積されている。
次に、S52で、副走査方向の全画像のマーク解析処理が終了したか否かを判断する。終了していなければ、S53で、次の副走査方向の特殊効果処理マーク領域にメモリの参照アドレスを移動する。
S54で、主走査方向の全画像に対するマーク解析処理が終了しているか否かを判断する。終了していなければ、S55で、赤目処理のマーク解析処理を行う。メモリの参照アドレスを対象画像の赤目処理マーク部に移動し、縦横固定ドット数の領域切り出す。
図12は、解析用マークと、解析用マークパターンとを示す図である。
実施例1では、7ドット(横)×5ドット(縦)の領域であるが、これは、図12に挙げた各パターンが同サイズであるためであり、任意のサイズを指定可能である。
次に、切り出し領域とマークパターンとのパターンマッチング処理を行う。パターンマッチング処理では、図12に示す解析用マークパターン(塗り潰し後)との比較を行うが、一例としては、図10を用いて概説する。
マークが塗り潰されている場合、図10(C)に示す状態であるので、図10(D)のXエリアに対して、切り出した領域が黒であるかどうかを調べるために比較する。検出率は、上記の通り変更可能である。
次に、S56で、図12に挙げたマークパターン(塗り潰し後)とのマッチングを行う。S57で、パターンが一致すれば、赤目補正処理が指示されていると決定し、S58で、赤目補正処理を対象画像の処理として登録する。一方、マッチングでパターンが一致しなけば、赤目補正が指定されていないと判断し、登録を行わずに、S59に進む。
さらに、顔明るく補正処理についても、S59〜S62において、同様の処理を行い、マッチングでパターンが一致していれば、顔明るく補正処理を、対象画像の処理として登録する。
以上で、赤目補正と顔明るく補正の登録は終了であるが、S63で、次の主走査方向の画像に移動し、S54に戻る。
一方、S54で、主走査方向の全画像に対するマーク解析処理が終了していれば、S52で、副走査方向における全画像のマーク解析処理の終了判断を行う。
また、S52で、副走査方向の全画像のマーク解析処理が終了していれば、処理を終了する。
さらに、上記処理以降、各画像に対して登録されている赤目補正処理または顔明るく補正処理を施し、印刷する。この点についての詳述は割愛する。
以上が、実施例1におけるナビシートNS1の印刷および解析処理である。
なお、実施例1に挙げたナビシートNS1では、各画像に対する指定情報として加工/補正処理のマークのみを表示したが、マーク部分に印刷するか否か、紙サイズ、メディア種類のようなマークを表示することが可能である。また、この表示内容は、加工/補正処理とは異なり、通常のマークとして認識可能である。
上記のように、実施例1によれば、以下のような効果がある。
(1)ナビシート印刷前に対象全画像に対して装置内に有する加工/補正処理(特殊処理)が実行され、効果がある加工/補正処理が、ナビシート上に明示されるので、ユーザが不要な処理を指定することを軽減することができる。
(2)ユーザが不要な処理を指定することが軽減されるので、実処理時に不要な処理が実行されることがなく、より高速に印刷することができる。
(3)メモリカード内の画像と、画像に対して有効である加工/補正処理とが、ナビシート上に明示されるので、表示機能を持たないMFP100においても、ユーザが画像の特徴を把握することができる。
(4)ユーザが不要な処理を指定することが軽減されるので、不要な加工/補正処理が指定されることが軽減され、対象画像に対して有効な加工/補正処理のみが実行可能となり、高画質な印字が可能である。
本発明の実施例2は、ナビシート上に印字する特殊効果処理について、効果のある加工/補正処理にのみ、マークと文字列とを印字し、また、個別に設定が指定されていても、全画像に対して強制的に処理を実行する実施例である。
実施例2に係るMFP100のハードウェア構成は、上記実施例1と同様であるので、その説明を省略する。また、実施例2に係るMFP100内の構成についても、上記実施例1と同様であるので、図2、図21を引用し、その説明を省略する。
実施例2に係るナビシートを使用したカードダイレクト印刷の制御に係る主要処理について説明する。
次に、実施例2であるナビシートシステムの動作を、図3を使用して説明する。
ユーザからの指令によって、処理が開始され、まず、S1で、印刷対象画像について、本体内に抱える全ての加工/補正処理のプレ処理を実行する。このプレ処理において、実行した加工/補正処理が、対象画像について有効であるか否かを決定する。
次に、S2で、ナビシートを印刷する。ナビシートには、メモリカード内の画像と、ファイル名等の付随情報とが合わせて印刷される。
図13は、実施例2におけるナビシートNS3を示す図である。
図13に示すように、まず、強制的に全画像に対して加工/補正処理を施すためのマークが、用紙サイズとメディア種類とが共に印刷される。図13内では、特殊処理1、特殊処理2、特殊処理3、特殊処理4、特殊処理5である。
次に、S1で、効果が認められると判断された加工/補正処理について、そのマークと説明文字とを印字し、効果が認められないと判断された加工/補正処理については、マークと説明文字とが印字されない。図13に示す画像1は、特殊処理1、特殊処理2、特殊処理3に効果が認められると判断された例であり、画像2は、いずれの特殊処理も効果が認められないと判断された例である。
以上のように、図13に示すナビシートが印刷されることによって、ユーザは、各画像に対して有効となる加工/補正処理を判断することができる。
次に、S3で、ユーザは、マークを塗りつぶすことによって、各画像に対する所望の加工/補正処理を指定する。
図14は、ユーザが指定したナビシートNS4を示す図である。
画像1については、特殊処理1と特殊処理3とを指定し、画像7については、いずれの特殊処理も指定しない例である。
また、強制実行処理として、特殊処理4も合わせて指定されている。
S4で、ユーザが原稿台に置いたナビシート(図14)をスキャンする。スキャンされたデータは、本体内に蓄えられる。
S5では、S4でスキャンされたナビシート画像を解析する。この解析において、各画像に対してどの特殊処理を実行するかが決定される。強制実行処理として指定されている特殊処理については、画像毎の指定に係わらず、実行される処理として決定される。
S6で、S5で決定された加工/補正処理が実行された画像を印刷する。
指定されたL判、写真紙、特殊効果が施された画像が印字された結果を、図24に示してある。
以上が、実施例2に係るナビシートシステムの動作である。ナビシートを入力媒体とすることによって、ユーザは、所望の画像を印刷することができる。
図3に示すS1、S2、S5について、その内部の動作を詳細に説明する。
図15は、図3における画像のプレ処理S1の動作を示すフローチャートである。
図16は、特殊処理の有無を画像番号毎に示す図である。
ユーザがナビシートの印刷を開始すると、S71で、全画像のプレ処理が終了したか否かを判定する。全画像のプレ処理が終了していなければ、S72で、対象特殊効果処理用のプレ処理を実行する。
次に、S73で、対象特殊効果処理用のプレ処理結果を解析し、対象処理の効果があるか否かを決定する。プレ処理結果の解析と判定とは、それぞれの処理に依存するので、説明を割愛するが、実施例1に挙げた赤目補正、顔明るく補正がその例である。
S73で、効果があると判定されると、S74で、図16に示すリストに、その結果を追加する。リストは、画像番号と加工/補正処理との2次元テーブルとして存在し、処理が有効であれば、ON、処理が有効でなければ、OFFを設定する。
S74で、処理が有効であると判断されているので、対象画像番号の対象特殊処理リストにONが追加される。
一方、S73で処理の効果がないと判断されれば、S75で、リストにOFFが設定される。S76で、次の特殊効果処理に移動し、S71に戻る。
一方、S71で全画像のプレ処理が終了した場合、S77で、後述するナビシートの印刷処理に進む。
以上が、図3における画像のプレ処理S1の詳細な内容である。
次に、図3におけるナビシートの印刷動作S2の動作について説明する。
図17は、図3に示すナビシートの印刷動作S2の動作を示すフローチャートである。
本処理は、図15においてはS77におけるナビシート印刷である。ナビシート印刷の指令を受けて、まず、S81で、強制特殊効果処理用マークを印刷する。
次に、S82で、副走査方向の全画像の印字が終了したか否かを判断する。終了していなければ、S83で、印字対象画像を次の副走査方向の領域に移動する。
次に、S84で、主走査方向の全画像印刷する。図13においては、画像1、画像2、画像3、画像4の画像データと、付随するファイル名とが印字された状態である。
次に、S85で、主走査方向において、全画像のマーク部の印刷が終了したか否かを判断する。マーク部の印刷が終了していれば、S82の、副走査方向の全画像の印字が終了したか否かの判断に戻る。
次に、S86で、対象画像の全マーク部の印刷が終了していなければ、S87で、図16のプレ処理結果リストを検索し、まず、対象特殊効果処理の内容を参照する。内容がONであれば、対象特殊効果処理は効果があると判断しているので、S88で、対象特殊効果処理のマークと処理用文字列とを印字する。
図18は、このときに印字されるマークと文字列とであり、各特殊効果処理に依存したマークが一意に決定されている。
一方、内容がOFFであれば、対象特殊効果処理の効果がないと判断されているので、マークと文字列とを印字せずに、S89で、プレ処理結果リストの着目項目を、次に進め、S86に戻る。
一方、S86で、対象画像の全マーク部の印刷が終了していれば、S85に戻り、操作方向における、全画像のマーク部の印刷が終了したか否かを判断する。
一方、S82で、副走査方向の全画像の印字が終了していれば、S90で、処理を終了する。
以上が、図3におけるナビシートの印刷動作S2の詳細内容である。
次に、図3におけるナビシートの解析動作S5について説明する。
S5で、スキャンしたナビシート画像に対して解析処理を行う。
図19は、特殊処理の説明図である。
図19(A)は、スキャンした画像のうちの1画像に対する情報部分を示す図である。
実施例2では、特殊効果処理1用のマークが、ユーザによって塗り潰されている。解析部では、ナビシートのマーク部分を紙面上の絶対位置として記憶し、その部分についてのみ解析を行う。
図19(B)は、塗り潰されていない状態を示す図であり、図19(C)は、塗り潰された状態を示す図である。
本解析には、公知のパターンマッチング技術を利用できるが、解析部は、図19(D)のX部分における画素が白であるか否かをチェックする。全ての画素が白でなければ、塗り潰されていると判断するが、一部の画素が白でなければ、塗り潰されているとして判断することで、認識率を高めることができる。
また、Xの周囲の領域についても、合わせて判断することによって、認識率を向上させることができる。上記処理によって、対象マークが塗り潰されているかどうかを判断することができ、ユーザが対象マークの特殊処理を、ユーザが指定しているか否かを決定することができる。また、対象マークが指定されていることを認識した場合、実印刷時に指定された特殊処理を実行する。
一方、図13の強制実行特殊効果処理のマーク部についても、実施例1で挙げた方法で塗り潰されているか否かを判定することができる。塗り潰されていれば、上記画像個別の設定内容に係わらず、実印刷時に指定された特殊処理を実行する。
次に、図3におけるナビシートの解析動作S5の詳細動作について説明する。
図20は、図3におけるナビシートの解析動作S5の詳細動作を示すフローチャートである。
まず、ユーザからの印刷指示を受け、処理を開始し、S101で、原稿台にあるナビシートをスキャンし、ナビシートのデジタル画像を入手する。デジタル画像は、1面分であり、メモリ上に蓄積されている。
次に、S102で、副走査方向の全画像のマーク解析処理が終了したか否かを判断する。終了していなければ、S103で、次の副走査方向の特殊効果処理マーク領域にメモリの参照アドレスを移動する。
次に、S104で、主走査方向の全画像に対するマーク解析処理が終了しているか否かを判断する。終了していなければ、S105で、対象特殊効果処理のマーク解析処理を行う。まず、メモリの参照アドレスを、対象画像のマーク部に移動し、縦横固定ドット数を領域切り出す。本実施例では、7ドット×7ドットの領域とするが、これは図18に挙げた各パターンが同サイズであるためであり、任意のサイズが指定可能である。
次に、切り出し領域と特殊効果処理パターンとのパターンマッチング処理を行う。パターンマッチング処理では、図18に挙げた全パターンと比較するが、一例として、図19を用いて概説する。マークが塗り潰されている場合、図19(C)の状態になっているので、図19(D)のXエリアに対して、切り出した領域が黒であるかどうか比較する。
検出率は、上記のように変更可能である。次に、S106で、図18に挙げた全パターンに対し、マッチングでヒットしたものがあれば、その特殊効果処理が指示されているとして決定する。S107で特殊効果処理が決定されていれば、S108で、対象処理を対象画像の処理として登録する。一方、マッチングでヒットしたものがなければ、登録を行わずに、S109で、メモリの参照アドレスを次のマーク領域に移動する。
一方、S104で主走査方向の全画像に対するマーク解析処理が終了していれば、S102で、副走査方向における全画像のマーク解析処理の終了判断を行う。
また、S102で副走査方向の全画像のマーク解析処理が終了していれば、S110で、メモリ上の参照アドレスを、強制特殊効果処理の領域に移動する。
次に、S111で、全ての強制特殊効果処理についてマーク解析処理を行う。本解析には、上記手法が使用可能である。S112で、全ての強制特殊効果処理のうちで塗り潰されているマークの処理を登録し、処理を終了する。本登録は、画像個別設定情報を上書きするものである。
さらに、上記処理以降、各画像に対して登録された特殊効果処理を施し、印刷が行われる。この点についての詳述は割愛する。
以上が、本実施例におけるナビシート部の印刷および解析処理である。
なお、本実施例に挙げたナビシートでは、各画像に対する指定情報として加工/補正処理のマークのみを表示したが、マーク部分に印刷するか否か、紙サイズ、メディア種類のようなマークを表示することが可能である。また、この表示内容は、加工/補正処理とは異なり、通常のマークとして認識可能である。
実施例2によれば、以下の効果がある。
(1)ナビシート印刷前に、対象全画像に対して装置内に有する加工/補正処理(特殊処理)が実行され、効果がある加工/補正処理がナビシート上に明示されるので、ユーザが不要な処理を指定することを軽減することができる。
(2)ユーザが不要な処理を指定することが軽減されるので、実処理時に不要な処理が実行されることがなく、より高速に印刷が可能となる。
(3)メモリカード内の画像と、画像に対して有効である加工/補正処理とがナビシート上に明示されるので、表示機能を持たないMFP100においても、ユーザが画像の特徴を把握することができる。
(4)ユーザが不要な処理を指定することが軽減されるので、不要な加工/補正処理が指定されることが軽減され、対象画像に対して有効な加工/補正処理のみを実行可能であり、高画質な印字が可能となる。
(5)ナビシート印刷前に、対象全画像に対して装置内に有する加工/補正処理(特殊処理)が実行され、効果がある加工/補正処理のみがナビシート上に印字されるので、不要な処理のマークと説明文字との印字を不要とし、インクを節約することができる。
(6)対象全画像に対して装置内に有する加工/補正処理(特殊処理)が実行された結果に係わらず、強制的に特殊効果処理を施す手段を有するので、全ての画像に対して、ユーザが所望する処理を行うことができる。
本発明の目的は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体をシステムまたは装置に提供することである。このシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が、記憶媒体に格納されているプログラムコードを読み出し、実行することによっても達成される。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が、上記実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は、本発明を構成する。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、たとえば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM,CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等がある。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することによって、上記実施例の機能が実現される。加えてそのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上記実施例の機能が実現される場合も含まれる。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに設けられているメモリに書き込まれた場合にも実現される。そのプログラムコードの指示に基づいて、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって、上記実施例の機能が実現される場合も含む。
上記実施例によれば、ナビシート印刷前に、対象全画像について、装置内に有する加工/補正処理(特殊処理)が実行され、効果がある加工/補正処理がナビシート上に明示されるので、ユーザが不要な処理を指定することを減少させることができる。
また、上記実施例によれば、ユーザが不要な処理を指定することが減少するので、より高速に印刷することができる。
さらに、上記実施例によれば、メモリカード内の画像と、画像に対して有効である加工/補正処理がナビシート上に明示されるので、表示機能を持たないMFP100においても、ユーザが画像の特徴を把握することができる。
そして、上記実施例によれば、ユーザが不要な処理を指定することが減少するので、不要な加工/補正処理が指定されることが減り、対象画像に対して有効な加工/補正処理のみが実行可能であり、高画質な印字が可能になる。
また、上記実施例によれば、加工/補正処理(特殊処理)が実行された結果に加え、強制的に加工/補正処理を実行する手段を設ければ、ユーザが所望する印刷結果を得ることができる。
本発明の実施例1であるフォトダイレクトプリンタ装置(以下、「MFP」という)を示す概観斜視図である。
MFP100の構成を示すブロック図である。
実施例1に係るナビシートシステムの動作を示すフローチャートである。
ナビシートNS1を示す図である。
ユーザが指定したナビシートNS2を示す図である。
指定されたL判、写真紙、特殊効果が施された画像が印字された結果を示す図である。
画像のプレ処理S1の詳細動作を示すフローチャートである。
ナビシートの印刷動作S2を詳細に示すフローチャートである。
プレ処理結果リストを示す図である。
ナビシートの解析動作S5の動作を説明する図である。
実施例1におけるマーク解析処理部の動作を示すフローチャートである。
解析用マークと、解析用マークパターンとを示す図である。
実施例2におけるナビシートNS3を示す図である。
ユーザが指定したナビシートNS4を示す図である。
図3における画像のプレ処理S1の動作を示すフローチャートである。
特殊処理の有無を画像番号毎に示す図である。
図3に示すナビシートの印刷動作S2の動作を示すフローチャートである。
このときに印字されるマークと文字列とであり、各特殊効果処理に依存したマークが一意に決定されている。
特殊処理の説明図である。
図3におけるナビシートの解析動作S5の詳細動作を示すフローチャートである。
従来例の動作を示すフローチャートである。
従来のナビシートNS5を示す図である。
従来のナビシートNS5に、ユーザがマークを塗りつぶしたナビシートNS6を示す図である。
指定されたL判、写真紙、特殊効果が施された画像が、印字された結果を示す図である。
符号の説明
100…MFP、
1…表示部、
2…操作部、
3…カードインタフェース、
4…読取部、
5…記録部、
10…CPU、
16…センサ部、
NS1〜NS4…フォトナビシート。