JP4868516B2 - コヒーレント搬送波位相による時間周波数比較方法および装置 - Google Patents

コヒーレント搬送波位相による時間周波数比較方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、時間・周波数標準技術であって、特に、通信衛星中継で双方向時刻比較を行う技術分野に関する。
国際的な時間・周波数の基準としては、各国の標準機関が保有する原子時計を相互比較し、そのデータをメートル条約に基づき設置されている国際度量衡局(BlPM)に集約し、BIPMが各時計の加重平均をとり、更に各国の一次周波数標準器のデータを加味して国際原子時(TAI)が決定される。
我々の日常生活等で利用される時刻は、この国際原子時(TAI)を基にし、地球の自転により決まる世界時(UT1)と0.9秒以内で一致する様に1秒調整(うるう秒調整)を行うことにより定められる協定世界時(UTC)を元にしている。
上述の国際原子時を決定する際、各国の標準機関の間の精密時間周波数比較が不可欠である。
時間周波数比較方法としては、GPS衛星を仲介にする方式や通信衛星を中継する双方向時刻比較方式が用いられている。後者は、現在最高精度を得られる方式の1つであり、時刻比較精度は、0.1ns程度、周波数比較精度は、平均化時間1,000秒で10-13程度、一日平均で10-15程度が実現されている。
一方、原子時計の性能は年々向上し、10−16台の不確かさのものが得られつつあり、更に光周波数標準器では、10−17台のものも近い将来実現が予想されている。
そこで、時刻や周波数比較法に関しても現状よりも高い精度を実現できる方式が必要となりつつある。
この要求に答える方法の一つが、コヒーレント搬送波位相を用いた衛星双方向時間周波数比較システムである。
時間・周波数の比較方法の文献及び本発明の背景となる技術として以下に時間・周波数比較法関連技術(非特許文献1−3および特許文献1参照)を示す。
特許文献1の「衛星双方向時刻比較方法及び同装置」は、異なる擬似雑音系列で周波数拡散変調を行い、複数の局の間で時刻比較を同時に行うことを特徴としたものである。変調信号クロック信号を時刻比較測定に用いており、測定分解能に限界がある。
今江理人「時間・周波数精密比較法」通信総合研究所季報Vol.49.Nos.1/2pp.103−109(2003). 今江、木原「周波数と時刻の精密比較・伝送技術の動向」電学論C、119巻7号、pp.771−776,(平成11年). 今江理人,細川瑞彦,今村國康,湯川博貴,澁谷靖久,栗原則幸,"Two−Way Satellite Time and Frequency Transfer Network in Pacific Rim Region",lEEE trans,Instru.and Meas.,Vol.50,No.2,pp559−562,(2001). 特許第3416735号公報
衛星双方向時間周波数比較法の原理を図1に示す。
図1は衛星双方向時間周波数比較システム1を示す。図1の地上局A局は、モデム(modem)3で、原子時計2からの基準時刻信号aに基づきPN符号発生部でスタート信号を含む周波数拡散用擬似雑音符号(PN符号)を作成し、この周波数拡散用擬似雑音符号に送信データを冗長して冗長信号とし、搬送波にこの冗長信号をのせて送信IF信号とし、この送信IF信号をアップコンバータU/C4を介してアンテナ5から衛星6へ送信する。
衛星6は、同時に送られてきた各地上局の送信データ、例えばB局の送信データbも含めたすべての送信データaとbを各地上局、この例の場合、地上局Aへ戻す。地上局Aで受信した送信データはダウンコンバータD/C7を介した後、モデム3において逆拡散復調され、受信データとして抽出されると共に、PN符号発生部からストップ信号を発生する。モデム3において、送信時のスタート信号と受信時のストップ信号をもとに、同期がとれたときの相手局、例えばB局からの時刻信号の到来時刻を測定する。
ここで図1に基づき、本願発明の時刻比較の原理を説明する。時刻比較を行う対向する地上局A、Bから通信衛星6を介して同時に相手局へ時刻比較用信号を伝送しあい、受信信号と各局の基準時計との間の時間差を測定し、両局の測定結果を比較し、両局の基準時計の時刻差を測定する。
ただし、
δT:局Aの測定値(局Aの基準時計と局Bからの受信信号の時刻差)
δT:局Bの測定値(局Bの基準時計と局Aからの受信信号の時刻差)
uA:局Aからの信号の通信衛星までの伝搬時間
dA:通信衛星から局Aまでの信号伝搬時間
:通信衛星内における局Aからの伝搬時間
uB:局Bからの信号の通信衛星までの伝搬時間
dB:通信衛星から局Bまでの信号伝搬時間
:通信衛星内における局Bからの伝搬時間
tA:局Aの送信系の衛星地球局局内遅延
rA:局Aの受信系の衛星地球局局内遅延
tB:局Bの送信系の衛星地球局局内遅延
rB:局Bの受信系の衛星地球局局内遅延
ΔT:局Aと局Bの基準時計の時刻差
とする。
両局の受信信号は図2のようになる。
すなわち、図2のタイムチヤートのδT、並びにδTが各々の局で測定されるものである。△TをA地点とB地点の基準時計の時刻差とすると、
Figure 0004868516
Figure 0004868516
数23と数24より、

Figure 0004868516
かかる原理を図1の形態に適用してみる。即ち、地上局Aは、通信衛星6上で重畳された各地上局A、Bの信号を受信する。そして受信系チャネル1はB局からの信号に対して動作し、チャネル1の時間間隔計はA局の基準時計とB局からの受信信号の時間差を測定する。この動作はすべて同時に行われる。また、A局以外に他の局があった場合においても、同時にA局と同様の動作が行われ、各々の局の装置の複数のチャネルで測定が行われる。
これらのすべての局における測定結果は、すべての参加している局間でデータ交換が行われ、その結果、すべての組合せの時刻比較が同時に実施されることになる。
このときに、A地点、B地点の衛星地球局局内遅延(TtA、TrA及びTtB、TrB)はアップリンク、ダウンリンクで別経路を通るため別途評価が必要であるが、地上一衛星間のアップリンクとダウンリンクの信号(図中のTuA,TdA並びにTuB,TdB)がほぼ同一の経路を通るため相殺され、高精度の比較を行うことができる。
従来は、比較用の信号としては、変調信号を用いていたため、比較精度が変調信号の帯域幅で制限され、0.1ns程度が限界であった。さらに、双方向伝送で途中の伝搬路上の伝搬媒質の影響がほぼ相殺されるが、厳密には、アップリンクとダウンリンクの搬送波周波数が異なるため、電離層の影響がわずかに相殺されず残り、高精度比較のための課題となっていた。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、高精度比較ができるコヒーレント搬送波位相による時間周波数比較方法および装置を提供することにある。
前記課題を解決するために本発明においては、従来の変調用拡散符号生成クロック信号に加え、搬送波位相を用いて比較を行う。Ku帯(14GHz/12GHz)の場合、搬送波の1波長は、2〜3cm、1周期は、70〜80psに相当する。この位相を周期の1/100〜1/1000程度の精度で測定できれば、0.8〜0.08psの精度で時刻比較に供することが可能となる。
搬送波位相を時刻比較に使用するに際して、下記の課題がある。
(1)波長が短いことにより多重解が発生する、
(2)衛星中継器の周波数変換用ローカル信号源により、位相回転が発生する、
(3)衛星通信の上下回線の周波数の違いにより、電離層遅延の影響が発生する、
(4)多数の参加局間の同時比較の問題が発生する。
上記(4)に関しては、従来の技術であるCDMA方式を用い、参加局毎に異なるPN符号(擬似拡散符号)を用いて搬送波を周波数拡散変調して送受信することにより、多数の局間での比較が可能となる。
上記(1)と(2)に関しては、周波数拡散変調する搬送波に主搬送波と△fだけ周波数をずらせたコヒーレントな副搬送波を用い、その位相を比較対象の基準時計の時刻信号に同期させることにより、多重解の除去を容易にする。
上記(2)に関しては、通常、中継器のローカル信号位相による位相回転により、位相情報が不確定になってしまうが、(1)で記した主搬送波と副搬送波の搬送波の位相関係は、これらの周波数関係とローカル信号の位相項分で決定される位相回転を生ずるが、2波の位相差から一義的に解くことができる。また、時刻比較を行うすべての局の信号が同一の位相回転をローカル信号により受けるようにし、最終的な時刻比較結果には影響なく時刻比較ができるようにする。
上記(3)に関しては、中継器の帯域幅を利用し、帯域の両端付近に比較的狭帯域の拡散変調信号を2系統(スロット)送信し、衛星との間の折り返し信号の時間間隔を測定することにより、中継器を使用する占有帯域幅として広帯域を用いることなく電離層遅延を実測値で補正することができるようにする。
具体的には、
本願の第1の技術思想は、コヒーレント搬送波位相による時間周波数比較方法において、送信局Aから周波数fの主搬送波と、該主搬送波とコヒーレントでΔfだけ周波数の離れた副搬送波f(=f+Δf)を同時に同位相で送信し、受信局Bで同時に受信した前記主搬送波と前記副搬送波の位相
Figure 0004868516
および
Figure 0004868516
を測定し、
両局間の距離をρとし、前記主搬送波と前記副搬送波の周期をTとTにしたときの両局間の伝搬時間Δt(=ρ/c)を、
Figure 0004868516
Figure 0004868516
と表すとき、
Figure 0004868516
の関係から周期の数NoおよびNの多重解を求めることを特徴とする。
本願の第2の技術思想は、コヒーレント搬送波位相による時間周波数比較方法において、衛星中継器の帯域幅を利用し、その帯域の両端近くに狭帯域のスロットを設け、比較用の信号を伝送することにより、電離層遅延の原因となる全電子数を評価するとき、
局A→衛星→局Bの経路で、アップリンク周波数fuh、ダウンリンク周波数fdhで信号を伝送した際に受ける電離層遅延の大きさを、局A一衛星間の電離層全電子数をNtA、局B一衛星間の電離局全電子数をNtBとするとき、次式で表わし、
Figure 0004868516
同様に、アップリンク周波数ful、ダウンリンク周波数fdlで伝送した場合には、
Figure 0004868516
と表し、
数31−数32より、2スロットによる測定値の差を、
Figure 0004868516
とする。同様に、
局B→衛星→局Aの経路について、
アップリンク周波数fuh、ダウンリンク周波数fdhの電離層遅延の大きさを、
Figure 0004868516
とし、
アップリンク周波数ful、ダウンリンク周波数fdlの電離層遅延の大きさを、
Figure 0004868516
と表し、
数34−数35より、
Figure 0004868516
とし、数33で表される局Bでの測定値と、数36で表される局Aでの測定値から両局の電離層全電子数を求めることを特徴とする。
本願の第3の技術思想は、コヒーレント搬送波位相による時間周波数比較方法において、上で求めた両局の電離層全電子数から電離層遅延時間を求め、時刻差測定結果を補正することを特徴とする。
本願の第4の技術思想は、コヒーレント搬送波位相による時間周波数比較装置において、送信局Aから周波数fの主搬送波と、該主搬送波とコヒーレントでΔfだけ周波数の離れた副搬送波f(=f+Δf)を同時に同位相で送信し、受信局Bで同時に受信した前記主搬送波と前記副搬送波の位相
Figure 0004868516
および
Figure 0004868516
を測定し、
両局間の距離をρとし、前記主搬送波と前記副搬送波の周期T並びにTとしたときの両局間の伝搬時間Δt(=ρ/c)を、
Figure 0004868516
Figure 0004868516
と表すとき、
Figure 0004868516
の関係から周期の数NoおよびNの多重解を求めることを特徴とする。
本願の第5の技術思想は、コヒーレント搬送波位相による時間周波数比較装置において、衛星中継器の帯域幅を利用し、その帯域の両端近くに狭帯域のスロットを設け、比較用の信号を伝送することにより、電離層遅延の原因となる全電子数を評価するとき、
局A→衛星→局Bの経路で、アップリンク周波数fuh、ダウンリンク周波数fdhで信号を伝送した際に受ける電離層遅延の大きさを、局A一衛星間の電離層全電子数をNtA、局B一衛星間の電離局全電子数をNtBとするとき、次式で表わし、
Figure 0004868516
同様に、アップリンク周波数ful、ダウンリンク周波数fdlで伝送した場合には、
Figure 0004868516
とし、
数42−数43より、2スロットによる測定値の差を、
Figure 0004868516
とし、
局B→衛星→局Aの経路について、
アップリンク周波数fuh、ダウンリンク周波数fdhの電離層遅延の大きさを、
Figure 0004868516
とし、
アップリンク周波数ful、ダウンリンク周波数fdlの電離層遅延の大きさを、
Figure 0004868516
とし、
数45−数46より、
Figure 0004868516
とし、数8で示される局Bでの測定値と、数11で示される局Aでの測定値から両局の電離層全電子数を求めることを特徴とする。
本発明の効果を図1等を用いて説明する。同図は、衛星通信で最も一般的なKu帯(14/12GHz帯)の例である。
従来技術では、周波数拡散変調用PN符号のクロック周波数が比較のための信号として用いられており、その周波数は2MHz〜20MHzが用いられている。
クロック周波数が高いと比較精度は向上できるが、衛星中継器の占有帯域幅として広帯域を必要とするため、多額の衛星回線費を要し、経済性に欠ける。逆にクロック周波数が低い場合には、衛星回線費は比較的安価で済むが、高い比較精度を実現することは不可能である。
本発明では、使用周波数の帯域がKu帯の場合、搬送波位相の1周期が数十psであり、その1/100程度の精度で位相を測定できれば、1psよりも優れた精度での比較が可能となる。このとき、用いる搬送波周波数が高く、搬送波の周期毎に発生する多重解のため、図2のタイミングチャートで模式的に記したタイミング同定が困難であるが、図3に示す様に主搬送波とその近接帯域にコヒーレントな副搬送波を設けて信号送信を行うことにより、図4に例示する様に、2つの搬送波の位相関係から多重解を解くことが容易になる。
送信局Aから周波数fの主搬送波と、該主搬送波とコヒーレントでΔfだけ周波数の離れた副搬送波f(=f+Δf)を同時に同位相で送信し、受信局Bで同時に受信した前記主搬送波と前記副搬送波の位相
Figure 0004868516
および
Figure 0004868516
を測定し、
図4で送信端(A局)から周波数fの主搬送波と、該主搬送波とコヒーレントでΔfだけ周波数の離れた副搬送波(f=f+Δf)をt=tに同位相で送信する。受信端(B局)では、t=tに受信した主搬送波と副搬送波の位相
Figure 0004868516
および
Figure 0004868516
を測定する。
このときのA局とB局の間の距離ρ或いは、両地点間の伝搬時間は、△t(=ρ/c)は、主搬送波、副搬送波の周期T(=1/f)並びにT(=1/f)を用いて

Figure 0004868516
Figure 0004868516
と表すことができる。
ここで、周期の数NとNを多重解として解く必要があるが、fとfの間の最大公約周波数の周期の数で概略の伝搬時間が推定でき、その概略値は、拡散変調のコードクロック位相から容易に知ることができる。例えば、fを10GHz,Δfを1MHzとすると、fとfの最大公約周波数は、1MHzとなるので、1μs毎に同じ状態を繰り返す。その繰り返し数は、拡散変調を行うコードクロック位相より求めることが容易に可能である(図5参照)。
最大公約周波数の周期よりも短い部分に関するδN、δNは、当該部分における周波数fとfの周期の数であり、最大で1周期分だけの違いであることから、δN=δNとして、上記式より次式の様に解くことができる。
Figure 0004868516
以上により、多重解を求めることができる。
さらに、衛星中継器内の周波数変換用ローカル信号による位相回転が誤差要因としてあげられるが、局Aと局Bからの信号が同様の位相回転を受けることから、両局の測定結果の差をとる際に影響が相殺される。
即ち、局Aからfとfでコヒーレント(位相差ゼロ)で送信したとする。
Figure 0004868516
Figure 0004868516
局A一衛星間の伝搬時間をtuAとすると、衛星中継器入力端での信号は、
Figure 0004868516
Figure 0004868516
と表される。
衛星中継器内ローカル信号をy(t)=sin(ωt+ψ)とすると、中継器での周波数変換後の信号は、
Figure 0004868516
Figure 0004868516
として表される。
同信号が衛星一局B間の伝搬時間tdB後に局Bに到達するため、局Bでの受信信号は、
Figure 0004868516
Figure 0004868516
と表すことができる。
一方、局B一衛星→局Aの信号も同様に考えることができ、局Aでの受信信号は、
Figure 0004868516
Figure 0004868516
と表される。
上記の様に数61、数62と数63、数64で同様の位相回転を受けるため、双方向比較により相殺され、衛星上のローカル信号源の位相の影響は無視できる。
次に、電離層遅延の影響に関しては、衛星双方向時間周波数比較法では、図1、2に示すとおり、地上局と衛星との間をアップリンクの信号とダウンリンクの信号がほぼ同一の経路を通過するため、途中の伝搬媒質の影響は基本的に相殺される。
しかしながら、実際には、アップリンク、ダウンリンクの搬送波周波数が異なるため、途中の電離層の影響が残る。これは、電離層を電磁波が通過する際に受ける遅延時間の影響が電離層内の全電子数に比例し、搬送波周波数の2乗に反比例するため、搬送波周波数が異なると遅延時間の量が異なることに起因する。本発明では、図6に示すように、衛星中継器の帯域幅を利用し、その帯域の両端近くに狭帯域のスロットを用意し、比較用の信号を伝送することにより、電離層遅延の原因となる全電子数を評価して補正するものである。
即ち、
1)局A→衛星→局Bの経路で、ブップリンク周波数fuh、ダウンリンク周波数fdhで信号を伝送した際に受ける電離層遅延の大きさは、局A一衛星間の電離層全電子数をNtA、局B一衛星間の電離局全電子数をNtBとすると、次式で表される。
Figure 0004868516
同様に、アップリンク周波数ful、ダウンリンク周波数fdlで伝送した場合は、
Figure 0004868516
と表される。
数65−数66より、2スロットによる測定値の差は、
Figure 0004868516
となる。
2)局B→衛星→局Aの経路について1)と同様に評価すると、
アップリンク周波数fuh、ダウンリンク周波数fdhの電離層遅延の大きさは、
Figure 0004868516
であり、
アップリンク周波数ful、ダウンリンク周波数fdlの電離層遅延の大きさは、
Figure 0004868516
と表すことができる。
数68−数69より、
Figure 0004868516
と記され、数67で示される局Bでの測定値と数70で示される局Aでの測定値から両局の電離層全電子数を測定することができ、この結果を用いて補正することができる。すなわち、数67と数70で未知数がNtBとNtAの2つで、測定結果が独立に2つ得られることからNtBとNtAを解くことができ、これを用いて補正することができる。
図7は本発明を適用した衛星双方向搬送波位相時間周波数比較装置の基本構成例を示す。局Aと局Bは、同じ構成を有する。なお、便宜上同一の機能を奏する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
本願発明にかかる衛星双方向時刻比較システムは、送受信系を有する地上局AおよびBと、通信衛星とからなる。なお、地上局の数は任意でよい。
送信系は、基準信号発振器11、ローカル信号発生部12、PN符号発生部13、周波数拡散変調部14、電力増幅部15,分波器16、アンテナ17からなる。
この送信系は、基準信号発生器11から時刻比較の対象の基準時刻信号S1を出力する。ローカル信号発生部12は、基準時刻信号S1に基づき、該基準時刻信号S1に同期したクロック信号S2を発生する。PN符号発生部13は、該クロック信号S2により駆動され、周波数拡散用擬似雑音符号(PN符号)S3を発生する。周波数拡散変調部14は、上記PN符号S3をローカル信号発生部12からの主搬送波である14GHz帯搬送波に乗せて、中間周波数帯でスペクトル拡散された送信IF信号S4として電力増幅部15へ出力する。送信IF信号S4は電力増幅器15で送信振幅まで増幅され、分波器16およびアンテナ17を介して送信される。分波器16はU/C(アップコンバータ)やD/C(ダウンコンバータ)等を含む。
受信系では、アンテナ17で受信され、分波器16で分波された受信IF信号は低雑音増幅部18により増幅された受信信号として周波数変換部19に入力される。
周波数変換部19は、受信IF信号を、ローカル信号発生部12からの副搬送波である12GHz帯ローカル信号により周波数変換した受信IF信号として周波数逆拡散復調部20へ入力する。
位相情報計測部21は、主搬送波とコヒーレント副搬送波に基づき伝搬時間を計測する。
周波数逆拡散復調部20は、受信IF信号S11をローカル信号発生部12からの出力符号S12を用いて周波数逆拡散を行ない、受信データに復調する。
このシステムで行われる信号の同期方法は、スペクトル拡散通信方式で一般的に用いられているやりかたで周波数及び位相を同期する。図7に明示していない時間間隔計測手段は、上記PN符号発生部13から出力されるスタート信号と上記周波数逆拡散復調部20から出力されるストップ信号に基づき、同期がとれたとき相手局からの時刻信号の到来時刻を測定する。
通信衛星30は、アンテナ31,受信機32,送信機35、周波数変換部33、ローカル信号発生部34からなり、同時に送られてきた各基地局からのクロック信号をまとめて各基地局へ返送する。
局Aは、図7におけるアンテナ17と基準信号発振器11を除いた構成を時間周波数比較装置10としてコンピュータで構成することができる。コンピュータはマイクロコンピュータから並列処理が可能な大型コンピュータまでを含む。
この時間周波数比較装置10は、図1におけるA局のモデム3、U/C4、D/C7を含む。以上の局Aについての構成の説明は、他の局B等も同じであるので、ここでは省略する。
時間周波数比較装置10は、上で説明した各種処理を全て同じように行う機能および手順を備える。
産業上の利用の可能性
本発明は、主に各国の時間周波数標準に責任を有する国家計量標準機関で国家標準間の比較に用いられる。
また、衛星からの自局の折り返し信号を受信することができれば、高分解能性により、衛星一地上間の距離測定が高精度で行うことができ、衛星の精密管制に応用可能である。
さらに衛星測位システムにおける測位衛星自身の位置精密決定等にも応用できる。
深宇宙探査等においても同様の精密距離測定を行うことを可能とする。
衛星双方向時間周波数比較法の原理図である。 衛星双方向時間周波数比較法のタイミング図である。 多地点同時比較法原理図である。 主搬送波とコヒーレント副搬送波による多重解の除去の原理1を示す図である。 主搬送波とコヒーレント副搬送波による多重解の除去の原理2(大桁の除去)を示す図である。 電離層遅延の影響とその実測による補正を説明する図である。 本発明を適用した比較装置の基本構成図である。
符号の説明
1 衛星双方向時間周波数比較システム
2 原子時計
3 モデム
4 アップコンバータU/C
5 アンテナ
6 衛星
7 ダウンコンバータD/C
10 時間周波数比較装置
11 基準信号発振器
12 ローカル信号発生器
13 PN符号発生器
14 周波数拡散変調器
15 電力増幅器
16 分波器
17 アンテナ
18 低雑音増幅器
19 周波数変換部
20 周波数逆拡散復調部
21 位相情報計測部
30 衛星
31 アンテナ
32 受信機
33 周波数変換器
34 ローカル信号発生器
35 送信機

Claims (5)

  1. 送受信系を構成する地上局AおよびBと、通信衛星からなる衛星双方向時刻比較システムにおいて、
    送信局Aから周波数fの主搬送波と、該主搬送波とコヒーレントでΔfだけ周波数の離れた副搬送波f(=f+Δf)を同時に同位相で送信し、受信局Bで同時に受信した前記主搬送波と前記副搬送波の位相
    Figure 0004868516
    および
    Figure 0004868516
    を測定し、
    両局間の距離をρとし、前記主搬送波と前記副搬送波の周期並びにTとしたときの両局間の伝搬時間Δt(=ρ/c)を、
    Figure 0004868516
    Figure 0004868516
    と表すとき、
    Figure 0004868516
    の関係から主搬送波の期の数Nおよび副搬送波の周期の数の多重解を求めることを特徴とするコヒーレント搬送波位相による時間周波数比較方法。
  2. 請求項1の方法を実行して周期の数N およびN の多重解を求め、その周期の数N およびN の多重解を適用して構成した衛星双方向時刻比較システムにおいて、
    衛星中継器の帯域幅を利用し、その帯域の両端近くに狭帯域のスロットを設け、比較用の信号を伝送することにより、電離層遅延の原因となる全電子数を評価するとき、
    局A→衛星→局Bの経路で、アップリンク周波数fuh、ダウンリンク周波数fdhで信号を伝送した際に受ける電離層遅延の大きさを、局A−衛星間の電離層全電子数をNtA、局B−衛星間の電離層全電子数をNtBとするとき、次式で表わし、
    Figure 0004868516
    同様に、アップリンク周波数ful、ダウンリンク周波数fdlで伝送した場合には、
    Figure 0004868516
    と表し、
    数6−数7より、2スロットによる測定値の差を、
    Figure 0004868516
    とし、
    局B→衛星→局Aの経路について、
    アップリンク周波数fuh、ダウンリンク周波数fdhの電離層遅延の大きさを、
    Figure 0004868516
    とし、
    アップリンク周波数ful、ダウンリンク周波数fdlの電離層遅延の大きさを、
    Figure 0004868516
    と表し、
    数9−数10より、
    Figure 0004868516
    とし、数8で示される局Bでの測定値と、数11で示される局Aでの測定値から両局の電離層全電子数を求めることを特徴とする請求項1記載のコヒーレント搬送波位相による時間周波数比較方法。
  3. 請求項1の方法を実行して周期の数N およびN の多重解を求め、前記周期の数N およびN の多重解を適用して構成した衛星双方向時刻比較システムに、
    請求項2の方法を実行して両局の電離層全電子数を求め、前記両局の電離層全電子数を適用して構成した衛星双方向時刻比較システムにおいて、
    請求項2で求めた両局の電離層全電子数から電離層遅延時間を求め、前記電離層遅延時間に基づいて原子時計を補正することを特徴とする請求項2記載のコヒーレント搬送波位相による時間周波数比較方法。
  4. 送受信系を構成する地上局AおよびBと、通信衛星からなる衛星双方向時刻比較システムにおいて、
    該システムを構成する時間周波数比較装置は、
    送信局Aから周波数fの主搬送波と、該主搬送波とコヒーレントでΔfだけ周波数の離れた副搬送波f(=f+Δf)を同時に同位相で送信し、受信局Bで同時に受信した前記主搬送波と前記副搬送波の位相
    Figure 0004868516
    および
    Figure 0004868516
    を測定し、
    両局間の距離をρとし、前記主搬送波と前記副搬送波の周期並びにTとしたときの両局間の伝搬時間Δt(=ρ/c)を、
    Figure 0004868516
    Figure 0004868516
    と表すとき、
    Figure 0004868516
    の関係から主搬送波の期の数Nおよび副搬送波の周期の数の多重解を求める手段を有することを特徴とする衛星双方向時刻比較システムにおけるコヒーレント搬送波位相による時間周波数比較装置。
  5. 請求項4の前記手段により周期の数N およびN の多重解を求め、その周期の数N およびN の多重解を適用して構成した衛星双方向時刻比較システムにおいて、
    該システムを構成する時間周波数比較装置は、
    衛星中継器の帯域幅を利用し、その帯域の両端近くに狭帯域のスロットを設け、比較用の信号を伝送することにより、電離層遅延の原因となる全電子数を評価するとき、
    局A→衛星→局Bの経路で、アップリンク周波数fuh、ダウンリンク周波数fdhで信号を伝送した際に受ける電離層遅延の大きさを、局A一衛星間の電離層全電子数をNtA、局B一衛星間の電離層全電子数をNtBとするとき、次式で表わし、
    Figure 0004868516
    同様に、アップリンク周波数ful、ダウンリンク周波数fdlで伝送した場合には、
    Figure 0004868516
    と表し、
    数17−数18より、2スロットによる測定値の差を、
    Figure 0004868516
    とし、
    局B→衛星→局Aの経路について、
    アップリンク周波数fuh、ダウンリンク周波数fdhの電離層遅延の大きさを、
    Figure 0004868516
    とし、
    アップリンク周波数ful、ダウンリンク周波数fdlの電離層遅延の大きさを、
    Figure 0004868516
    と表し、
    数20−数21より、
    Figure 0004868516
    とし、数19式で示される局Bでの測定値と、数22式で示される局Aでの測定値から両局の電離層全電子数を求めることを特徴とする請求項4記載のコヒーレント搬送波位相による時間周波数比較装置。
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