JP4868258B2 - 反射率推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は反射率推定方法に関し、詳しくはカラー・シフト塗装色の反射特性を調べるのに適した反射率推定方法に関する。
自動車の車体に塗られる塗装色は、色と明るさが見る方向によって変化する。こうした塗装の見栄えは塗装面の反射特性、すなわち反射率によって数値化することができる。このため、塗装色の反射率を測定することによって、塗装色の製造工程や検査工程において品質を管理したり、塗る前にコンピュータ・グラフィクス(CG)で塗装色を検討したりすることが可能になる。したがって、塗装色の反射率を測定することは重要である。そして、塗装面の反射率を測定する際の条件をどのように設定するかが重要な課題となる。
車体に塗られる一般的な塗装色の反射特性は、一つの入射面内において、入射角度60度で入射した光を略10度(10度±数度)、略18度(18度±数度)、略28度(28度±数度)、略40度(40度±数度)、略90度(90度±数度)の代表5変角で受光したときの反射率を求めることによって、十分に把握できることがわかっている(例えば、特許文献1参照)。
なお、この特許文献1では、被測定面上の入射点Pに入射角θで入射した光が入射面A内において反射角θで正反射するとき、その正反射方向を変角0度として、正反射方向から入射点Pにおける被測定面の法線側に向かう角度(正反射方向から法線に向かう側が正となり、法線とは反対の被測定面に向かう側が負となる)を変角としている。
この5角度法では、一つの入射面内における代表5変角で受光した反射率を求めて補間する。これにより、ソリッドの他に、メタリックやパールマイカなどの複雑な塗装色についても、その反射率を簡便に測定することができる。
特開2003−307456号公報
ところで、近年、自動車業界における市場ニーズの多様化・差別化に対応するために、マジョーラ(日本ペイント社)のようなカラー・シフト塗装色(特殊塗装色)が開発されて市場に徐々に浸透しつつある。このため、カラー・シフト塗装色の反射特性を定量化しうる反射率の測定方法が必要となっている。
しかし、カラー・シフト塗装色は、光源の位置が変わるに連れて色の見え方が著しく異なるという特性を有する。このため、カラー・シフト塗装色の反射光に関しては、入射面に含まれない方向についても考慮する必要がある。したがって、一つの入射面内における代表5変角で受光する前記従来の5角度法によっては、カラー・シフト塗装色の反射率を正確に測定することができなかった。
以下、前記従来の5角度法によっては、カラー・シフト塗装色の反射率を正確に測定できないことを具体的に示す。
前記従来の5角度法は、一つの入射面内における代表5変角で受光したときの反射率を測定するもので、測定しようとする塗装色が下記(a)及び(b)の2条件を満たすことを前提としている。
(a)入射角が変化しても変角特性が変わらない(入射角依存性がない)。
(b)変角の正又は負によって変角特性が変わらない(変角0度での変角特性の対称性がある)。
しかしながら、以下に示す本発明者の研究調査により、カラー・シフト塗装色は前記2条件を満たすものではなく、したがって、カラー・シフト塗装色については、前述した従来の5角度法を使うことができないことが明らかとなった。
カラー・シフト塗装色の特性について、入射角依存性があるか否かという観点及び変角0度での変角特性の対称性があるか否かという観点から、本発明者が研究調査した結果を以下に示す。
なお、以下に示す研究調査の結果においては、一つの入射面において、入射角θで光を入射させ、その入射面内の変角αにおける塗装色をL値で表し、c(θ,α)=(L θ(α),a θ(α),b θ(α))と表記する。
(入射角依存性)
ある一つのカラー・シフト塗装色(日本ペイント社製の773(エメラルドSS))を含む194種類のサンプル塗装色について、入射角θが60度、45度及び50度であるときのc(60,α)、c(45,α)及びc(50,α)をそれぞれ求めた。
そして、各サンプル塗装色について、入射角θが60度である場合と入射角θが45度である場合との変角毎の色差の平均値(60度及び45度間における平均色差)を、下記(1)のように定義して求めた。
同様に、各サンプル塗装色について、入射角θが60度である場合と入射角θが50度である場合との変角毎の色差の平均値(60度及び50度間における平均色差)を、下記(2)のように定義して求めた。
なお、仮に入射角依存性が全くなければ、下記(1)式で定義される60度及び45度間における平均色差並びに前記(2)式で定義される60度及び50度間における平均色差は、それぞれ0になるはずである。
また、正反射方向近傍で受光したときの測定データは測定誤差を含んでいるため、0≦α≦9の測定データを除いた。
Figure 0004868258
Figure 0004868258
その結果、前記(a)及び(b)の2条件を満たす一般塗装色では、60度及び45度間における平均色差が3.50となり、60度及び50度間における平均色差が2.53となった。これにより、一般塗装色では、入射角が60度から45度に変化したり、あるいは入射角が60度から50度に変化したりしても、変角特性はほとんど変化せず、入射角依存性がほとんどないことがわかった。
これに対し、カラー・シフト塗装色では、60度及び45度間における平均色差が15.60となり、60度及び50度間における平均色差が11.55となった。これにより、カラー・シフト塗装色では、入射角が変化すれば変角特性が変化し、入射角依存性があることがわかった。
(変角0度での変角特性の対称性)
次に、各前記サンプル塗装色について、入射角60度で、光源側の変角αを10〜20度の間で変化させるとともに、被測定面側の変角−αを−10〜−20度の間で変化させ、下記(3)式により、変角の正−負間における色差の平均値を求めた。
なお、仮に変角0度での変角特性の対称性があれば、下記(3)式で定義される変角の正−負間における平均色差は、0になるはずである。
Figure 0004868258
また、各前記サンプル塗装色について、入射角45度、50度においても同様にして、変角の正−負間における平均色差を調べた。
その結果、前記(a)及び(b)の2条件を満たす一般塗装色では、変角の正−負間における平均色差は、入射角45度のときが7.30、入射角50度のときが7.00、入射角60度のときが6.96となった。これにより、一般塗装色では、どの入射角でも、変角の正又は負によって変角特性があまり変わらず、変角0度での変角特性の対称性がほぼあることがわかった。
これに対し、カラー・シフト塗装色では、変角の正−負間における平均色差は、入射角45度のときが33.66、入射角50度のときが54.18、入射角60度のときが65.79となった。これにより、カラー・シフト塗装色では、どの入射角でも、変角の正又は負によって変角特性が大きく変わり、変角0度での変角特性の対称性がないことがわかった。
以上の研究調査により、カラー・シフト塗装色は前記(a)及び(b)の2条件をいずれも満たさず、したがって前記(a)及び(b)の2条件を前提とし、一つの入射面内のみにおいて代表5変角を変化させて反射率を測定する前述した従来の5角度法は、カラー・シフト塗装色には使えないことがわかった。
すなわち、カラー・シフト塗装色については、入射面に含まれない方向に反射する反射光を考慮する必要があり、新規な測定方法を用いない限り、原則、全ての入射角及び反射角について反射率を全点測定する必要があることが判明した。
しかし、全点測定方法は、測定点が膨大となり、多大な測定時間を要するため、非実用的である。仮に、入射角を0〜90度の範囲、反射角を−90〜90度の範囲及び方位角(入射面と反射面とがなす角)を0〜90度の範囲で、例えば入射角を4度毎、反射角を2度毎、方位角を4度毎に変化させて測ったとしても、全部で48139(=23×91×23)点を測る必要がある。一点の測定には通常9〜10秒程度を要するため、1日8時間測定するとして、48139点の測定には約16日間という多大な測定時間を要することになる。
このように、カラー・シフト塗装色については、簡便な反射率の測定方法が未だ確立されていないのが現状である。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、カラー・シフト塗装色についても簡便に反射率を測定することを解決すべき技術課題とするものである。
本発明者は、カラー・シフト塗装色の反射率を測定する際の測定時間を短縮化させるべく、塗装色の反射率の相互性(reciprocity)と反射光分布のモデル化という2つの手法を用いて測定点数を削減することを創案し、これらの手法が有効であることを研究調査により確認して、本発明を完成した。
すなわち、本発明の反射率推定方法は、被測定面上の入射点Pに入射光Lを所定の入射角θで入射させたときに該入射光Lが入射面A内で正反射した正反射光Sと、該入射光Lが該入射点Pで反射して受光される反射光Vとがなす角を変角αとして、該入射面A内及び入射面A外にある任意の変角における反射率を推定する反射率推定方法であって、第1反射率測定工程、第1軌跡取得工程、第2反射率測定工程、第2軌跡取得工程、2交点座標取得工程、モデル式取得工程及び全体軌跡取得工程を備えている。
第1反射率測定工程では、前記入射面A内において前記入射点Pに入射角θで入射光Lを入射させ、該入射面A内における所定の変角α、α、…で受光したときの、該入射面A内に在る第1反射光Va1、Va2、…の該入射光Lに対する第1反射率R(αa1)、R(αa2)、…を測定する。
第1軌跡取得工程では、前記入射光Lと各前記第1反射光Va1、Va2、…との二等分ベクトルをそれぞれ第1二等分ベクトルHa1、Ha2、…とするとともに、前記第1反射率R(α)の大きさを|H|=|R(α)|と定義して、前記第1反射率R(αa1)、R(αa2)、…の測定結果から、前記入射面A内で二次元的に変位する曲線としての、該第1二等分ベクトルHa1、Ha2、…の終点の第1軌跡lを求める。
第2反射率測定工程では、前記入射面A内において前記入射点Pに前記入射角θで前記入射光Lを入射させ、入射面A外における前記変角α、α、…で受光したときの、該入射面A外に在る第2反射光Vb1、Vb2、…の該入射光Lに対する第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する。第2反射光V b1 、V b2 、…は、入射点 Pを頂点とし、かつ該入射点Pにおける前記被測定面の法線たる回転軸としてのz軸と母 線とが前記入射角θ と同一の角度θ をなす円錐面上に在る。
第2軌跡取得工程では、前記入射光Lと各前記第2反射光Vb1、Vb2、…との二等分ベクトルをそれぞれ第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…とするとともに、前記第2反射率R(α)の大きさを|H|=|R(α)|と定義して、前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…の測定結果から、前記入射面A外で三次元的に変位する曲線としての、該第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…の終点の第2軌跡mを求める。
2交点座標取得工程では、互いに直交し前記入射点Pを原点として共有するx軸、y軸及びz軸を有するとともに、前記被測定面がxy平面となり且つ該入射点Pを含むxz平面が前記入射面Aとなる空間内の直交座標P−xyzを想定したとき、z軸に垂直な平面z=zと前記第1軌跡l及び前記第2軌跡mとの交点Qli(xli,0,z)及びQmi(xmi,ymi,z)を求める。
モデル式取得工程では、前記交点Qli及びQmiから、前記平面z=z上における二等分ベクトルHの終点の軌跡n(x,y,z)を、該交点Qli及びQmiを通るなめらかな曲線を示す数式で近似してモデル化した、近似モデル式を求める。
ここに、前記なめらかな曲線とは、微分不可能な点がない曲線のことである。本発明において、前記交点Qli及びQmiを通り、z軸を中心とするなめらかな曲線は、次数が2次の曲線の一つである楕円である。
全体軌跡取得工程では、z=0〜∞として、前記近似モデル式から、前記第1反射光V及び前記第2反射光V以外の反射光V’と前記入射光Lとの二等分ベクトルH’の終点全体の全体軌跡n’(x,y,z)を近似的に求める。
前記変角α、α、…は、0〜90度の範囲内で定められたN(1≦N≦89)個の代表N変角から選ばれる少なくとも一つを含む。
そして、本発明の反射率推定方法では、前記第1反射率測定工程、前記第1軌跡取得工程、前記第2反射率測定工程、前記第2軌跡取得工程、前記2交点座標取得工程、前記モデル式取得工程及び前記全体軌跡取得工程を、0〜90度の範囲内にある複数の入射角θ=θ、θ、…についての入射光L=L、L、…毎に繰り返す。
ここに、本発明の反射率推定方法における前記変角αとは、前述のとおり被測定面上の入射点Pに入射光Lを所定の入射角θで入射させたときに該入射光Lが入射面A内で正反射した正反射光Sと、該入射光Lが該入射点Pで反射して受光される反射光Vとがなす角をいうが、この変角αには、前記入射面A内における変角と、前記入射面A外における変角とが含まれる。
また、変角αが前記入射面(直交座標P−xyzにおけるx軸とz軸とで張られるxz平面)A内における変角である場合、変角αは、正反射方向から入射点における被測定面(直交座標P−xyzにおけるx軸とy軸とで張られるxy平面)の法線(直交座標P−xyzにおけるz軸)に向かう側が正となり、正反射方向から被測定面に向かう側が負となる。一方、変角αが前記入射面A外における変角である場合、変角αは、二等分ベクトルのx座標及びy座標が共に0より大きくなる場合が正となり、二等分ベクトルのy座標が0以上でかつx座標が0より小さくなる場合が負となる。
また、前記二等分ベクトルとは、入射光ベクトルと反射光ベクトルとがなす角の半分の角度方向を向くベクトル(ハーフウェイベクトル)をいう。
本発明の反射率推定方法では、第1反射率測定工程及び第1軌跡取得工程により、入射面A内における第1反射光Vの反射率R(α)の第1軌跡lを求めるとともに、第2反射率測定工程及び第2軌跡取得工程により、入射面A外における第2反射光Vの反射率R(α)の第2軌跡mを求める。このとき、反射率の相互性を利用して、変角αが負になる測定点については反射率を測定しない。また、原則的には、変角αが所定の代表N変角になる測定点についてのみ反射率を測定する。代表N変角以外の変角についての反射率は、主成分分析、重回帰分析や時系列分析で得られた主成分ベクトル(固有ベクトル)の外挿処理や曲線補間法等により補間することができる。そして、2交点座標取得工程、モデル式取得工程及び全体軌跡取得工程により、第1軌跡l及び第2軌跡mから反射光分布をモデル化して、三次元的な反射光分布を求める。
したがって、本発明の反射率推定方法では、三次元的な反射光分布を求めることができるので、入射面A内にある変角αのみならず、入射面A外を含む三次元における変角αについても、その反射率を推定することが可能となる。
しかも本発明の反射率推定方法では、反射率の相互性と反射光分布のモデル化とを利用することで、全ての入射角及び全ての反射角を変化させて測定する全点測定方法等と比べて、測定点の削減により測定時間を短縮することができ、カラー・シフト塗装色であっても簡便に反射率を測定することが可能となる。
本発明の反射率推定方法において、前記第2反射率測定工程では、前記入射点Pを頂点とし、かつ該入射点Pにおける前記被測定面の法線たる回転軸としてのz軸と母線とが前記入射角θと同等の角度をなす円錐面上に在る前記第2反射光Vb1、Vb2、…の前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定することが好ましい。
このように、z軸と角度θをなす円錐面上に第2反射光Vを採れば、測定方法が単純となるので、入射面A外における第2反射光Vの反射率R(α)を測定する際に測定漏れ等のミスを減らすことができる。
本発明の反射率推定方法において、前記第2反射率測定工程では、前記入射面Aたるxz平面と方位角φ=90度、φ=(90−e)度、φ=(90−2e)度、…をなし、かつ前記入射点Pにおける前記被測定面の法線たるz軸を含む平面B、B、B、…を想定したとき(前記eは任意の正の数)、前記代表N変角のうちの角度の小さい方からできるだけ多くを採れる範囲内で、前記平面B内に前記第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…が在るような前記第2反射光Vb1、Vb2、…の前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する第1工程を実施し、かつ、直前の第(f−1)工程では、平面Bf−1内に前記第2二等分ベクトルが在るようには前記代表N変角の少なくとも一部を採れないために、前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…の少なくとも一部を測定できなかったときは、該第(f−1)工程で採れなかった該代表N変角の少なくとも一部のうちの角度の小さい方からできるだけ多くを採れる範囲内で、前記平面Bf−1内ではなく平面B内に前記第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…が在るような前記第2反射光Vb1、Vb2、…の前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する第f工程を、第2工程、第3工程、…として繰り返し実施することにより、前記代表N変角における前記第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…が前記平面B、B、B、…内のいずれかに在るような前記第2反射光Vb1、Vb2、…の前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定することが好ましい。
このように第2反射率測定工程で入射面A外における第2反射光Vの反射率R(α)を測定すれば、第2軌跡取得工程で得られる第2軌跡mを第1軌跡lから離すのに有利となるため、反射光分布を示す楕円等の数式をより正確に特定することができ、反射率の推定をより高精度に行うことが可能となる。
ここに、本発明の反射率推定方法において、前記変角α、α、…は、測定点数の削減による測定時間の短縮化を図る観点より、0〜90度の範囲内で定められたN(1≦N≦89)個の代表N変角から選ばれる少なくとも一つを含む。
この代表N変角の角度及び数は特に限定されないが、本発明方法により推定した反射率の精度を高めて信頼性を向上させる観点より、略10度と略90度とが少なくとも含まれていることが好ましく、例えば代表N変角は、略10度(10度±数度)、略18度(18度±数度)、略28度(28度±数度)、略40度(40度±数度)及び略90度(90度±数度)の代表5変角であることが好ましい。
また、代表N変角として負の変角αを考えないのは、反射率の相互性を利用できるからである。反射率の相互性によれば、例えば、入射角θaが30度で、入射面A内における変角αが−40度(受光角(=入射角−変角)θbが70度)であるときの反射光の反射率R(30,70)と、入射角θaが70度で、入射面A内における変角αが40度(受光角θbが30度)であるときの反射光の反射率R(70,30)とは等しくなる(R(30,70)=R(70,30))。このため、入射角θaが30度で、入射面A内における変角αが−40度(受光角θbが70度)であるときの反射光の反射率R(30,70)は、入射角θaが70度で、入射面A内における変角αが40度(受光角θbが30度)であるときの反射光の反射率R(70,30)として測定していることになるので、測定する必要がない。
なお、反射率を測定する際の測定機によっては、機構上の制約により、被測定面となす角度(被測定面からの仰角)が所定値よりも小さくなる角度範囲(測定不可能範囲)内に入射光又は反射光が入るときは、測定が不可能になるものがある。この場合、測定不可能範囲内に入る入射光又は反射光の反射率については、測定可能なものでなるべく近いものの反射率を代用することができる。
例えば、被測定面となす角度が10度未満になる範囲が測定不可能範囲であるような測定機を使用する場合において、入射角が80度を超えるとその入射光は測定不可能範囲に入るので、反射率の測定が不可能となる。このため、このような場合は、入射角が80度を超える入射光についての反射率は、測定することなく、例えば入射角が80度であるときの入射光についての反射率を代わりに採用することができる。
同様に、被測定面となす角度が10度未満になる範囲が測定不可能範囲であるような測定機を使用する場合において、例えば、入射角が10度未満になると、その入射光の入射面内における変角αが90度となる反射光は測定不可能範囲に入るので、反射率の測定が不可能となる。このため、このような場合は、例えば入射角θが10度未満で入射面内における変角αが90度になる反射光についての反射率は、測定することなく、例えば入射角θが10度未満で入射面内における変角αが(80+θ)度となる反射光についての反射率を代わりに採用することができる。
本発明の反射率推定方法の好適な態様において、前記被測定面にはカラー・シフト塗装色が施されている。すなわち、本発明の反射率推定方法は、カラー・シフト塗装色の反射率を測定するのに好適に利用することができる。
ここに、前記カラー・シフト塗装色とは、光の入射角によって変角特性が変化し(入射角依存性があり)、かつ、変角の正又は負によって変角特性が変わる(変角0度での変角特性の対称性がない)ものをいう。
なお、前記変角特性とは、変角(入射面内で正反射方向に反射する正反射光と、受光する反射光とがなす角度)による反射光の強度変化である。
本発明の反射率推定方法によれば、全ての入射角及び全ての反射角を変化させて測定する全点測定方法等と比べて、測定点の削減により測定時間を短縮することができ、カラー・シフト塗装色であっても簡便に反射率を測定することが可能となる。
本実施形態1において、カラー・シフト塗装色が施された被測定面D上の入射点Pに入射光Lを所定の入射角θで入射させるとともにその反射光Vを受光する様子を説明する説明図である。 本実施形態1において、第1反射率測定工程で、カラー・シフト塗装色が施された被測定面D上の入射点Pに入射角θで入射光Lを入射させ、入射面A内における所定の変角αで受光したときの、該入射面A内に在る第1反射光Vの第1反射率(分光立体角反射率)R(α)を測定する様子を説明する説明図である。 本実施形態1において、第2反射率測定工程で、入射点Pを頂点とし、かつ入射点Pにおける被測定面Dの法線たるz軸と入射角θをなす円錐面上に在る第2反射光Vの第2反射率R(α)を測定する様子を説明する説明図である。 本実施形態1において、2交点座標取得工程で、第1軌跡取得工程で求めた第1軌跡l及び第2軌跡取得工程で求めた第2軌跡mと、平面z=zとの交点を求める様子を説明する説明図である。 本実施形態2において、第2反射率測定工程で、入射面Aたるxz平面と方位角φをなし、かつ入射点Pにおける被測定面Dの法線たるz軸を含む平面B内に在る、入射光Lと第2反射光Vbiとの第2二等分ベクトルHbiを説明する説明図である。 本実施形態2において、第2反射率測定工程で、第2反射光Vbiがxy平面となす角ηの最小値を与えるψの最大値ψmaxと平面Bの方位角φとの関係を示し、方位角φが90度から小さくなる平面Bほど、その平面B内で第2二等分ベクトルHbiが動くことのできる範囲が増大することを説明する説明図である。 本実施形態2において、第2反射率測定工程で、平面Bの方位角φと、その方位角φの平面B内に第2二等分ベクトルHbiが在るような第2反射光Vbiの変角αの最大変角αmaxとの関係を示し、方位角φが小さくなるほど、最大変角αmaxが大きくなることを説明する説明図である。 本実施形態2において、第2軌跡取得工程で求めた、入射面A外で三次元的に変位する曲線としての第2軌跡mの一例を説明する説明図である。 波長が390nmである入射光における反射分布について、微小面の分布により立体表示したもので、上段の3つが入射角20度のもの、中段3つが入射角40度のもの、下段3つが入射角60度のものであり、また、左の列がyz平面、中央の列がzx平面、右の列がxy平面を示す。 (a)は波長が450nmで、入射角θが60度である場合について、反射率の計算値と実測値との比較結果を示し、(b)は各変角αにおける両者の色差を示す。
符号の説明
A…入射面 D…被測定面
L…入射光 V…反射光
S…正反射光 θ…入射角
l…第1軌跡 m…第2軌跡
…第1反射光 V…第2反射光
…第1二等分ベクトル H…第2二等分ベクトル
α…変角
まず、カラー・シフト塗装色の反射率の測定において、測定点数を削減するためには、塗装色の反射率の相互性と反射光分布のモデル化(数式モデル化)という2つの手法が有効であることを、本発明者による研究調査の結果とともに以下に示す。
(塗装色についての反射率の相互性による測定点数の削減)
塗装色についての反射率の相互性とは、入射光と反射光とを逆にしてもその塗装色の反射率が変わらない性質をいう。すなわち、入射光の入射角をθa、反射光の受光角(=入射角−変角)をθbとしたときの反射率R(θa,θb)と、入射光と反射光とを逆にして入射角をθb、受光角をθaとしたときの反射率R(θb,θa)とが等しければ(R(θa,θb)=R(θb,θa))、塗装色の反射率の相互性があることになる。
塗装色についての反射率の相互性が成立するか否かを確認するために、カラー・シフト塗装色を含む194種類の前記サンプル塗装色において、入射面内で入射角と受光角とを入れ換えた場合の色差を計算した。具体的には、R(45,60)とR(60,45)及びR(50,60)とR(60,50)の2組の色差を塗装色毎に計算した。その結果、R(45,60)とR(60,45)との平均色差は2.10と小さく、R(50,60)とR(60,50)との平均色差も1.86と小さかった。
さらに、前記サンプル塗装色において、入射光の入射面内に反射光がない場合について15〜141度の範囲内で入射角と受光角とを入れ換えて反射率を調べることで、反射光が入射面内にない場合についても、塗装色の反射率の相互性が成立することを確認した。
これらの結果より、カラー・シフト塗装色及び一般塗装色のいずれにおいても、反射率の相互性が成立することがわかった。これにより、相互性を利用すれば、測定点数を50%削減できることがわかった。
(反射光分布のモデル化による測定点数の削減)
また、本発明者は、反射光の分布を数式でモデル化することにより測定点数を削減できないかを研究調査した。
反射光の分布を考える際、各入射角についての反射光自体の分布を図示しようとすると、入射角によって反射光の分布の方向が変化するため、各入射角で反射光の分布を比較することが困難となる。
そこで、本発明者は、二等分ベクトルを用いる微小面(方向の異なる微小な面により構成されていると仮想された面で、複数の小素面により構成された面)モデルにより、反射率を考えることとした。この微小面モデルでは、反射光の強度は、入射光と反射光との二等分ベクトルの方向(入射光と反射光とがなす角の半分の角度方向)を向く微小面の数に比例すると便宜的に考えることができる。そうすると、各入射角について微小面の分布を図示したとき、微小面の分布の方向は、入射角にかかわらず常に上方を向くので、それらを比較することが容易となる。
このため、本発明者は、カラー・シフト塗装色について、反射分布を調べるべく、光源の入射角を変化させたときの微小面の分布を図示してみた。図9は、波長が390nmである入射光における反射分布について、微小面の分布により立体表示したもので、上段の3つが入射角20度のもの、中段3つが入射角40度のもの、下段3つが入射角60度のものである。また、図9において、左の列がyz平面、中央の列がzx平面、右の列がxy平面を示す。なお、図9は、受光変角が正であるときの反射光の反射分布を示す。受光変角が負であるときの反射光の反射分布は、相互性の性質により、受光変角が負であるときの反射光と入射光を入れ換えた場合における受光変角が正であるときの反射分布となる。
図9より、カラー・シフト塗装色においては、光源の入射角を変化させたときの微小面の分布が楕円体の一部で近似できることがわかった。この点について詳述すると、互いに直交し前記入射点Pを原点として共有するx軸、y軸及びz軸を有するとともに、前記被測定面がxy平面となり且つ該入射点Pを含むxz平面が前記入射面Aとなる空間内の直交座標P−xyzを想定した場合、受光変角が正であるときについて言えば、光源の入射角を変化させたときの微小面の分布を近似的に示す楕円体の一部は、平面z=zにおいて、入射点Pを中心とし、長軸と短軸を、x軸とy軸(又はy軸とx軸)にもつ楕円の一部となる。
なお、受光変角が負である場合は、光源の入射角を変化させたときの微小面の分布は、受光変角が正である場合と同様、平面z=zにおいて、入射点Pを中心とし、長軸と短軸をx軸とy軸(又はy軸とx軸)にもつ楕円の一部となるような楕円体の一部により近似できるが、反射率の相互性より考えなくてもよい。
また、カラー・シフト塗装色において、微小面の分布が前述のような楕円体になるのは、ランバートの法則による円が、特殊な光輝材と特殊な層構造とによって変形したためと考えられる。一方、カラー・シフト塗装色以外の一般塗装色においては、反射光分布が正反射光に対し回転対称であるため、微小面の分布が表面の法線に対して回転対称の図形になると考えられる。
これにより、カラー・シフト塗装色が施された被測定面に入射光が入射したときの、該入射光とその反射光との二等分ベクトルにより微小面の分布を考えれば、この被測定面で反射する反射光の反射分布を数式でモデル化できることがわかった。すなわち、カラー・シフト塗装色における微小面の分布を近似的に示す入射点を中心とする前記楕円体の一部について、例えば被測定面と平行な平面で切った楕円(被測定面の入射点における法線を中心とする楕円)の一部に着目すれば、その楕円を示す数式により、カラー・シフト塗装色についての反射分布を近似的にモデル化できることがわかった。
ここに、中心がわかっている楕円は、その楕円上の2点の座標がわかれば、数式で特定することができる。例えば、xy座標において、(a,0)及び(0,b)の2点を通り、且つ原点を中心とする楕円は、数式(x/a)+(y/b)=1で特定することができる。
そこで、本発明者は、カラー・シフト塗装色における微小面の分布を近似的に示す入射点を中心とする前記楕円体の一部について、被測定面と平行な平面で切った楕円(被測定面の入射点における法線上に中心がくる楕円)の一部を数式で特定すべく、反射率の大きさをその反射光の二等分ベクトルの長さと定義して、入射面内における反射光の二等分ベクトルの終点の軌跡と、入射面外における反射光の二等分ベクトルの終点の軌跡とを求め、各軌跡と前記平面との交点をそれぞれ求めることを考えた。
入射面内における二等分ベクトルの軌跡は、その入射面内で変角αを変化させたときの反射光の反射率を測定することで求めることができる。このため、前述した従来の5角度法を利用して、入射面内にある代表変角の反射光について反射率を測定して補間しても、ある程度信頼性の高い軌跡を求めることができる。
ところが、入射面外における二等分ベクトルの軌跡を求めることについては、種々の問題があった。
まず、前述した従来の5角度法は、入射面内における代表変角の反射光について反射率を測定するものであるため、入射面外にある代表変角の反射光について反射率を測定して補間した場合に、それがどの程度信頼できるのかが不明であった。
そこで、本発明者は、入射面A内において被測定面上の入射点Pに入射角θで入射光が入射する場合において、被測定面上の入射点Pを頂点とし、かつ入射点Pにおける被測定面の法線たる回転軸としてのz軸と母線とが入射角θと同等の角度をなす円錐面上に在る反射光Vを考えた。なお、入射面Aと反射面とがなす方位角φを用いれば、z軸と角度θをなす円錐面上に在る反射光Vは、V=(sinθcosφ,sinθsinφ,cosθ)となる。そして、入射面A内における正反射光Sと反射光Vとがなす変角αを、10度、18度、28度、40度及び90度の代表5変角として、各代表5変角における反射光Vの反射率R(α)をそれぞれ測定し、その測定結果から補間した反射率の計算値と、各変角αについて実際に測定した反射率の実測値とを比較した。
波長が450nmで、入射角θが60度である場合、反射率の計算値と実測値との比較結果を図10(a)に示し、各変角αにおける両者の色差を図10(b)に示す。図10より、10度以上の変角αにおいて色差が2以下となり、反射率の計算値と実測値とがほぼ等しいことがわかった。他の入射角、波長においても同様に、計算値と実測値とがほとんど一致した。
これにより、前述した従来の5角度法は、入射面外にある代表変角における反射率を測定する場合においても成立することがわかった。
また、楕円を示す数式の信頼性を向上させる観点からは、前記入射面内における反射光の二等分ベクトルの終点の軌跡と、前記入射面外における反射光の二等分ベクトルの終点の軌跡とができるだけ離れていることが望ましい。かかる観点からは、入射面外における反射光の二等分ベクトルは、例えば入射面と垂直な平面、すなわち入射面となす方位角φが90度の平面上に在ることが望ましい。
しかし、後述するように、入射角θを一定とした場合、方位角φが90度のときに、その方位角φが90度の平面上に二等分ベクトルが在るように採ることのできる代表変角の範囲が最も狭くなり、方位角φが90度から減少するに連れて、その方位角φの平面上に二等分ベクトルが在るように採ることのできる代表変角の範囲が広がる。別の言い方をすれば、方位角φが90度の平面では、全ての代表変角における二等分ベクトルがその平面上に在ることになるような入射角θの範囲が狭くなり、方位角φが90度から減少するに連れて、全ての代表変角における二等分ベクトルがその平面上に在ることになるような入射角θの範囲が広くなる。このため、入射面外における反射光の二等分ベクトルの終点の軌跡として、方位角φが90度の平面上に在る二等分ベクトルの終点の軌跡を求めることは、必ずしも有効ではない。
そこで、本発明者は、前記入射面外における反射光の二等分ベクトルの終点の軌跡を求めるために、方位角φが90度の平面上以外で三次元的に変位する曲線としての二等分ベクトルの終点の軌跡を求める2つの手法を創案し、これらが有効であることを確認した。
以上の研究調査の結果を基になされた本発明の反射率推定方法についての実施形態を、以下図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
本実施形態の反射率推定方法では、図1に示されるように、カラー・シフト塗装色が施された被測定面D上の入射点Pに入射光Lを所定の入射角θで入射させるとともにその反射光Vを受光する場合において、該入射光Lが入射面A内で正反射した正反射光Sと、該反射光Vとがなす角を変角αとして、該入射面A内及び入射面A外における任意の変角の反射率を推定する。なお、反射光Vには、入射面A内で反射する反射光及び入射面A外で反射する反射光の双方が含まれる。
なお、入射角θがθ、θ、…=0度、1度、2度…となるように、入射角θを0〜90度の範囲内で1度毎に変化させる場合について以下説明するが、この入射角θを変化させる角度は特に限定されない。
また、測定不可能となる角度範囲が10度未満である測定機を用いる場合について以下説明するが、この角度範囲は特に限定されない。ここに、測定不可能となる角度範囲が10度未満であるとは、被測定面Dとなす角度(被測定面Dからの仰角)が10度未満になる角度範囲(測定不可能範囲)内に入射光L又は反射光Vが入るときは、測定機の機構上の制約により、測定が不可能になることを意味する。
以下、各工程について具体的に説明する。
<第1反射率測定工程>
第1反射率測定工程では、図2に示されるように、カラー・シフト塗装色が施された被測定面D上の入射点Pに入射角θで入射光Lを入射させ、入射面A内における所定の変角αで受光したときの、該入射面A内に在る第1反射光Vの第1反射率(分光立体角反射率)R(α)を測定する。
すなわち、この第1反射率測定工程では、カラー・シフト塗装色が施された被測定面D上の入射点Pに、入射面A内において入射角θで入射光Lを入射させる。そして、該入射面A内における所定の変角α、α、…で受光したときの、該入射面A内に在る第1反射光Va1、Va2、…の該入射光Lに対する第1反射率R(αa1)、R(αa2)、…を測定する。
この第1反射率測定工程で第1反射率R(αa1)、R(αa2)、…を測定するときの測定変角α、α、…として、本実施形態では、表1に示されるように、10度、18度、28度、40度及び90度の代表5変角の他に、(80+θ)度を採用する。そして、入射角θの大きさに応じて測定可能な測定変角がこれらの中から採択される。
すなわち、入射角θが10〜80度(θ=10度、11度、…、80度)であるときは、測定変角α、α、…として、10度、18度、28度、40度及び90度の全ての代表5変角が採択される。
また、入射角θが0〜9度(θ=0度、1度、…、9度)であるときは、測定変角α、α、…として、10度、18度、28度及び40度の代表5変角のうちの4点と、(80+θ)度とが採択される。すなわち、入射角θが0〜9度であるときは、代表5変角としての90度であるときの反射率を測定する代わりに、変角αが(80+θ)度であるときの反射率を測定する。
ここに、入射角θが0〜9度であるときに、測定変角αとして、代表5変角たる90度の代わりに(80+θ)度を採択するのは、入射角θが0〜9度であるときに変角α=90度となるように入射面A内で反射する第1反射光Vは、上記測定不可能範囲内に入ることから、反射率を測定できないからである。
さらに、入射角θが81〜90度(θ=81度、82度、…、90度)であるときは、入射光Lが上記測定不可能範囲内に入ることから、その第1反射光Vの反射率を測定できない。このため、本実施形態では、入射角θが81〜90度の入射光Lについては、その第1反射光Vを測定することなく、入射角θが80度であるときの入射光Lに対する第1反射光Vの反射率をそのまま用いて計算する。
なお、反射率の相互性により、変角αが負になるような測定点については反射率を測定しない。
したがって、本実施形態における第1反射率測定工程で第1反射率R(α)を測定する測定点の合計は、5×81=405(点)となる。
Figure 0004868258
<第1軌跡取得工程>
第1軌跡取得工程では、前記第1反射率測定工程で求めた前記第1反射率R(αa1)、R(αa2)、…の測定結果から、前記入射面A内で二次元的に変位する曲線としての、第1二等分ベクトルHa1、Ha2、…の終点の第1軌跡lを求める。
この第1二等分ベクトルHa1、Ha2、…は、入射面A内に在る各第1反射光Va1、Va2、…と前記入射光Lとの二等分ベクトルである。また、この第1二等分ベクトルHa1、Ha2、…は、各第1反射率R(αa1)、R(αa2)、…の大きさを各第1二等分ベクトルHa1、Ha2、…の長さ、すなわち|Ha1|=|R(αa1)|、|Ha2|=|R(αa2)|、…と定義したものである。
このため、第1二等分ベクトルHa1、Ha2、…の終点の第1軌跡lは、入射面A内で二次元的に変位する曲線となる。また、この第1軌跡lは、各入射角θ毎に、第1反射光Va1、Va2、…の反射分布を近似的に示すものとなる。
ここに、図2に示されるように、被測定面Dをxy平面とし、この被測定面Dの入射点Pにおける法線をz軸とする空間内の直交座標P−xyzを想定すれば、入射面Aはxz平面となる。また、第1軌跡lの一端はz軸上の点(変角α=0度のときの第1二等分ベクトルHの終点)となる。さらに、第1軌跡lの他端が入射光ベクトルL上の点(変角α=2θ度のときの第1二等分ベクトルHの終点)となったり、あるいは第1軌跡lの他端側が入射光ベクトルL上の点(変角α=2θ度のときの第1二等分ベクトルHの終点)を通ったりする。
第1軌跡lを求める際、第1反射率測定工程で反射率を測定した測定点(測定変角)以外の変角についての反射率は、主に主成分分析により補間することができる。
被測定面の反射率は測定変角に応じて変動するが、複数の所定の変角における反射率について主成分分析すれば、反射率についての特徴を求めることができ、その特徴量から所定の変角以外の変角における反射率を推定することができる。すなわち、測定変角における反射率を主成分分析し、その分析結果として得られる主成分を固有値として求め、かつ主成分ベクトルを固有ベクトルとして求め、これら固有値及び固有ベクトル並びに固有ベクトルに乗算するための係数で表した基本式を定めることで、この基本式から測定点以外の変角における反射率を推定することができる。
以下、主成分分析による反射率の推定の原理について、簡単に説明する。
波長λiにおいて、変角α,α,…,αにおける反射率を、下記(4)に示すp個の要素をもつベクトル量Xで表す。
=(ρ ,ρ ,…,ρ …(4)
また、XのサンプルがN個あるとしてj番目のサンプルX を下記(5)とおく。
=(ρ 1j,ρ 2j,…,ρ pj …(5)
そして、N個のサンプルX (j=1,2,…,N)を主成分分析して得られた固有値をl,l,…,l(l>l>…>l)とし、これに対応する固有ベクトルをb ,b ,…,b とする。ここで、b を下記(6)とおく。
=(b 1j,b 2j,…,b pj …(6)
そうすると、X は、主成分分析の原理により、下記(7)に示されるように、主成分分析で得られるベクトルu、固有ベクトルb及び係数kによって再構成される。
=u+k 1j +k 2j +…+k pj …(7)
ここに、ベクトルuは、下記(8)式で示される平均値ベクトルである。
=(u ,u ,…,u …(8)
ただし、
Figure 0004868258
である。
また、固有ベクトルbは、下記(10)式で示される固有方程式を満たすp次元の直交基底である。
=l , j=1,2,…,p …(10)
なお、Rは下記(11)式で示される共分散行列である。
Figure 0004868258
ここに、(11)式中のcは下記(12)式で示される。
Figure 0004868258
さらに、係数k は下記(13)式で表される。
ij=b ij …(13)
前記(7)式は第1主成分から第p主成分までを用いているが、主成分分析ではpより小さなmを用いて第1主成分から第m主成分までで表すことができる。これを要素で表記すると、下記(14)となる。
Figure 0004868258
前記(14)式から理解されるように、任意の変角αの反射率ρは、平均ベクトルu、固有ベクトルb及び係数kにより表現することができる。したがって、被測定面について測定した代表5変角等の反射率を用いて、係数kを求めれば、測定点以外の変角における反射率を前記(14)から導出することができる。この(14)式を係数kについて解けば、下記(15)式が得られる。
Figure 0004868258
ここに、例えば代表5変角に対する反射率をρ 1j,ρ 2j,…,ρ 5jと表記し、前記(7)式において第5主成分までを考えれば、これら5つの変角に対して、下記(16)式が成り立つ。
Figure 0004868258
この(16)式を係数k ,k ,…,k について解けば、下記(17)式が得られる。
Figure 0004868258
これにより、k ,k ,…,k を求め、前記(16)式に代入することによって、代表5変角等の測定点以外の変角における反射率を推定することができる。
また、変角αが0〜9度(α=0度、1度、…、9度)の10個の反射率については誤差が大きいため、測定値に忠実に再現しても、その再現結果は信頼性が低くなる。しかし、CG(コンピュータグラフィクス)等の画像表示をする場合には、全変角における反射率のデータが必要であり、10度未満の変角における反射率のデータも必要となる。このとき、CG等における画像表示の滑らか性を向上させる観点より、変角αが10度未満における反射率のデータについては、変角αが10〜90度における反射率特性の傾向を維持しつつこれに滑らかに連続するような反射率特性となるように推定することが望ましい。
そこで、本実施形態では、変角αが10〜90度における反射率のデータに基づいて、時系列分析することにより、変角αが0〜9度の反射率を推定する。この時系列分析による外挿は、反射率に対して直接行うのではなく、0〜9度の変角における5つの主成分ベクトルに対して行うことが好ましい。0〜9度の変角における5つの主成分ベクトルができれば、前記(16)式から0〜9度の変角における反射率を推定して外挿することができる。
時系列分析においては、t=1,2,…,nに対する時系列データxが与えられたとき、これらの時系列データを分析して定式化することで、t=n+1,n+2,…に対するxを予測することができる。このときの分析には、例えば、定式化を着実に実施できるBox−Jenkins法を利用することができる。
なお、変角αが10度未満における反射率の推定には、前記時系列分析の他に、重回帰分析や曲線補間法等を利用することができる。
また、変角αが90度を超える範囲については、反射率がほとんど変化しないため、反射率を測定せずに、変角αが90度であるときの反射率で近似することができる。
ここに、変角αが0度であるときの第1反射光Vは、入射光Lが入射面A内で正反射方向に反射した正反射光Sである。そして、この正反射光Sたる第1反射光Vの第1二等分ベクトルHの終点は、第1軌跡取得工程で求める第1軌跡lの一端となる。また、変角αが2θ度であるときの第1反射光Vは、入射光Lの入射方向(光の出射側、すなわち再帰反射方向)に反射する反射光となるが、この変角αが2θ度であるときの第1反射光Vの第1二等分ベクトルHの終点は入射光ベクトルL上の点となる。なお、第1軌跡lの一端(変角αが0度であるときの第1反射光Vの第1二等分ベクトルHの終点)は、第2軌跡取得工程で求める第2軌跡mの一端(変角αが0度であるときの第2反射光Vの第2二等分ベクトルHの終点)と一致する。また、入射光ベクトルL上に在る第1軌跡lの一点(変角αが2θ度であるときの第1反射光Vの第1二等分ベクトルHの終点)は、第2軌跡取得工程で求める第2軌跡mの他端(変角αが2θ度であるときの第2反射光Vの第2二等分ベクトルHの終点)と一致する。
<第2反射率測定工程>
第2反射率測定工程では、前記被測定面D上の入射点Pに入射角θで入射光Lを入射させ、入射面A外における所定の変角αで受光したときの、該入射面A外に在る第2反射光Vの第2反射率R(α)を測定する。
すなわち、この第2反射率測定工程では、前記被特定面D上の入射点Pに入射面A内において入射角θで入射光Lを入射させる。そして、入射面A外における所定の変角α、α、…で受光したときの、入射面A外に在る第2反射光Vb1、Vb2、…の該入射光Lに対する第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する。
本実施形態における第2反射率測定工程では、図3に示されるように、前記入射点Pを頂点とし、かつ該入射点Pにおける前記被測定面(xy平面)Dの法線たる回転軸としてのz軸と母線とが前記入射角θ同一の角度θ をなす円錐面上に在る第2反射光V 、Vb2、…の第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する。すなわち、第2反射率測定工程では、z軸と角度θをなす円錐面上に在る第2反射光Vb1、Vb2、…の第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する。
なお、図3に示されるように、z軸と角度θをなす円錐面上に在る第2反射光Vの方位角をφとすれば、第2反射光Vは、V=(sinθcosφ,sinθsinφ,cosθ)と表される。
この第2反射率測定工程で第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定するときの測定変角α、α、…として、本実施形態では、表2に示されるように、10度、18度、28度、40度及び90度の代表5変角の他に、(2θ−1)度を採用する。そして、入射角θの大きさに応じて測定可能な測定変角がこれらの中から採択される。
すなわち、入射角θが46〜80度(θ=46度、47度、…、80度)であるときは、測定変角α、α、…として、10度、18度、28度、40度及び90度の全ての代表5変角が採択される。
また、入射角θが30〜45度(θ=30度、31度、…、45度)であるときは、測定変角α、α、…として、10度、18度、28度及び40度の代表5変角のうちの4点が採択される。
ここに、入射角θが30〜45度であるとき、変角αが代表5変角としての90度となるような反射光は、z軸と角度θをなす円錐面上にくることがない。このため、入射角θが30〜44度であるとき、変角αが代表5変角としての90度となるような反射光の反射率は、第2反射率測定工程では測定しない。ただし、第2軌跡取得工程で第2軌跡mを求める際に、変角αが代表5変角としての90度となる反射光の反射率の代わりに、第1軌跡取得工程で求めた、変角αが2θ度となる反射光の反射率を計算に用いる。
また、入射角θが45度であるとき、変角αが代表5変角としての90度(=2θ度)となる反射光の反射率も、第2反射率測定工程で実際に測定することはしない。そして、第2軌跡取得工程で第2軌跡mを求める際には、変角αが代表5変角としての90度となる反射光の反射率の代わりに、第1軌跡取得工程で求めた、変角αが2θ度となる反射光の反射率を計算に用いる。
さらに、入射角θが1〜29度(θ=1度、2度、…、29度)であるときは、測定変角α、α、…として、1度、2度、…、(2θ−1)度が採択される。すなわち、入射角θが1〜29度であるときは、1〜(2θ−1)度の各角度で全て反射率を測定する。
例えば、入射角θが1度であるときは、測定変角αとして1度が採択され、また、入射角θが2度であるときは、測定変角α、α、…として1度、2度及び3度が採択され、入射角θが3度であるときは、測定変角α、α、…として1度、2度、…及び8度が採択され、…、入射角θが29度であるときは、測定変角α、α、…として1度、2度…及び57度が採択される。
なお、入射角θが1〜29度であるとき、変角が2θとなる反射光の反射率は、前記第1反射率測定工程で測定しているか、あるいは前記第1軌跡取得工程で計算により求めているため、第2反射率測定工程では測定しない。
また、入射角θが81〜90度(θ=81度、82度、…、90度)であるときは、入射光Lが上記測定不可能範囲内に入ることから、その第2反射光Vの反射率を測定できない。このため、本実施形態では、入射角θが81〜90度の入射光Lについては、その第2反射光Vを測定することなく、入射角θが80度であるときの入射光Lに対する第2反射光Vの反射率をそのまま用いて計算する。
さらに、反射率の相互性により、変角αが負になるような測定点については反射率を測定しない。
したがって、本実施形態における第2反射率測定工程で第2反射率R(α)を測定する測定点の合計は、下記(18)式より1080(点)となる。
Figure 0004868258
Figure 0004868258
<第2軌跡取得工程>
第2軌跡取得工程では、前記第2反射率測定工程で求めた前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…の測定結果から、前記入射面A外で三次元的に変位する曲線としての、第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…の終点の第2軌跡mを求める。
この第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…は、入射面A外にあり、z軸と角度θをなす円錐面上に在る第2反射光Vb1、Vb2、…と前記入射光Lとの二等分ベクトルである。また、この第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…は、各第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…の大きさを各第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…の長さ、すなわち|Hb1|=|R(αb1)|、|Hb2|=|R(αb2)|、…と定義したものである。
このため、第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…の終点の第2軌跡mは、入射面A外で三次元的に変位する曲線となる。また、この第2軌跡mは、各入射角θ毎に、第2反射光Vb1、Vb2、…の反射分布を近似的に示すものとなる。
ここに、第2軌跡mの一端はz軸上の点(変角α=0度のときの第2二等分ベクトルHの終点)となる。また、第2軌跡mの他端は入射光ベクトルL上の点(変角α=2θ度のときの第2二等分ベクトルHの終点)となる。
第2軌跡mを求める際、第2反射率測定工程で反射率を測定した測定点(測定変角)以外の変角についての反射率は、前記第1軌跡取得工程と同様に補間することができる。
<2交点座標取得工程>
前述したように、カラー・シフト塗装色が施された被測定面に入射光が入射したときの、該入射光とその反射光との二等分ベクトルにより微小面の分布を考えれば、カラー・シフト塗装色における微小面の分布は入射点Pを中心とする楕円体の一部で近似できる。このため、この入射点Pを中心とする楕円体の一部について、被測定面と平行な平面(z軸に垂直な一つの平面z=z)で切った楕円(被測定面の入射点Pにおける法線たるz軸を中心とする楕円)の一部に着目すれば、その楕円を示す数式により、カラー・シフト塗装色についての反射分布を近似的にモデル化できる。
そこで、2交点座標取得工程では、図4に示されるように、前記直交座標P−xyzにおけるz軸に垂直な平面z=zを想定する。そして、この平面z=zと、前記第1軌跡取得工程で求めた前記第1軌跡lとの交点Qli(xli,0,z)を求める。また、平面z=zと、前記第2軌跡取得工程で求めた前記第2軌跡mとの交点Qmi(xmi,ymi,z)を求める。
こうして求めた交点Qli(xli,0,z)は、平面z=z上における第1二等分ベクトルHの終点である。また、交点Qmi(xmi,ymi,z)は、平面z=zと上における第2二等分ベクトルHの終点である。
<モデル式取得工程>
そして、モデル式取得工程では、図4に示されるように、前記2交点座標取得工程で求めた前記交点Qli及びQmiから、前記平面z=z上における二等分ベクトルHの終点の軌跡n(x,y,z)を、楕円を示す数式で近似してモデル化した、近似モデル式(19)を求める。
(x/a)+(y/b)=1,z=z …(19)
この近似モデル式(19)は、例えば既知の2点を代入して得られる2元連立方程式の解を利用することで、Qli(xli,0,z)及びQmi(xmi,ymi,z)から求めることができる。なお、近似モデル式(19)において、aは、入射面A内における軌跡nのx座標であり、a=xliである。また、近似モデル式(19)において、bは、入射面Aと垂直な平面内における軌跡nのy座標である。
<全体軌跡取得工程>
さらに、全体軌跡取得工程では、z=0〜∞として、前記近似モデル式(19)から、前記第1反射光V及び前記第2反射光V以外の反射光V’と前記入射光Lとの二等分ベクトルH’の終点全体の全体軌跡n’(x,y,z)を近似的に求める。
そして、本実施形態の反射率推定方法では、前記第1反射率測定工程、前記第1軌跡取得工程、前記第2反射率測定工程、前記第2軌跡取得工程、前記2交点座標取得工程、前記モデル式取得工程及び前記全体軌跡取得工程を、0〜90度の範囲内にある複数の入射角θ=θ、θ、…=0度、1度、…、90度についての入射光L=L、L、…、L91毎に繰り返す。ただし、入射角θが81〜90度の入射光Lについては、前述の通り、入射光Lが測定不可能範囲に入るため、反射率の測定はしない。
これにより、本実施形態の反射率推定方法では、三次元的な反射光分布を求めることができるので、入射面A内にある変角αのみならず、入射面A外を含む三次元における変角αについても、その反射率を推定することが可能となる。
また、本実施形態の反射率推定方法では、反射率の測定点の合計が405+1080=1485(点)となる。この測定点の合計(1485点)は、前述した全点測定方法における全測定点数48139(=23×91×23)点の約3%に相当する。よって、本実施形態の反射率推定方法によれば、前述した全点測定方法に対して、約97%分の測定点の削減が可能になった。
さらに、本実施形態では、前記第2反射率測定工程で、z軸と入射角θをなす円錐面上に第2反射光Vを採っているので、測定方法が単純となり、入射面A外における第2反射光Vの反射率R(α)を測定する際に測定漏れ等のミスを減らすことができる。
(実施形態2)
本実施形態の反射率推定方法は、前記実施形態1の反射率推定方法において、第2反射率測定工程を変更したものである。
前記実施形態1における前記第2反射率測定工程のように、z軸と入射角θをなす円錐面上に第2反射光Vを採った場合、変角αが0度であるときに、前記第2軌跡mの一端が、z軸上の一点で、前記第1軌跡lの一端と一致する。また、変角αが2θ度であるときに、前記第2軌跡mの他端が、入射光ベクトルL上の一点で、前記第1軌跡lの一点と一致する。このことは、変角αが0度及び変角αが2θ度では、楕円が作れないことを意味する。また、変角αが0度又は2θ度の近傍にあるときは、楕円を形成するための前記2交点Qli及びQmiが互いに接近することになるため、これら2交点Qli及びQmiから求める楕円の精度が低下する。
ここに、図5に示されるように、前記入射面Aたるxz平面と方位角φ(φ=90度、φ=89度、φ=88度、…)をなし、かつ前記入射点Pにおける前記被測定面(xy面)Dの法線たるz軸を含む平面B(方位角φが90度の平面B、方位角φが89度の平面B、方位角φが88度の平面B、…)を想定する。
前記第1軌跡lと前記第2軌跡mとを極力引き離して、前記楕円を示す数式の信頼性を向上させるという観点からは、第2軌跡mは、方位角φが90度の平面B内で二次元的に変位するものであることが最良であり、該平面B内で二次元的に変位するものになるべく近いものであることが望ましい。
そして、図5に示されるように、入射光Lと第2反射光Vbiとの第2二等分ベクトルHbiが方位角φの平面B内に在るような第2反射光Vbiを考え、この第2二等分ベクトルHbiがz軸となす角をψとし、前記正反射光Sと第2反射光Vbiとがなす角を変角αとしたとき、第2軌跡mが平面B内に在るためには、全ての変角αにおける第2二等分ベクトルHbiが平面B内になければならない。
しかし、以下に説明するように、入射角θを一定とした場合に、方位角φが90度から小さくなる平面Bほど、その平面B内で第2二等分ベクトルHbiが動くことのできる範囲が増大する。すなわち、方位角φが90度の平面B内では、第2二等分ベクトルHbiが動くことのできる範囲が他の平面B、B、…と比べて最小となる。
まず、平面B内に在る第2二等分ベクトルHbiを、下記(20)式で表せば、入射光Lは下記(21)式であるから、第2反射光Vbiは下記(22)式で表される。
bi=(sinψcosφ,sinψsinφ,socψ) …(20)
L=(sinθ,0,cosθ) …(21)
bi=2(L・Hbi)Hbi−L
=2(sinθsinψcosφ+cosθcosψ)・(sinψcosφ,sinψsinφ,cosψ)
−(sinθ,0,cosθ) …(22)
すなわち、第2反射光Vbiのx座標、y座標、z座標をそれぞれV、V、Vとすると、V、V、Vはそれぞれ下記(23)式、(24)式、(25)式で表される。
=2(sinθsinψcosφ+cosθcosψ)・(sinψcosφ)−sinθ …(23)
=2(sinθsinψcosφ+cosθcosψ)・(sinψsinφ) …(24)
=2(sinθsinψcosφ+cosθcosψ)・(cosψ)−cosθ …(25)
よって、第2反射光Vbiのz座標Vは、下記(26)で表される。
Figure 0004868258
ただし、ξは下記(27)式を満たす。
tanξ=cosθ/(sinθcosφ) …(27)
また、第2反射光Vbiがxy平面となす角ηは、下記(28)式で表される。
Figure 0004868258
ここに、第2反射光Vbiは、測定機の機構上の制約から、前記測定不可能範囲内に入ることができないので、第2反射光Vbiがxy平面となす角ηはη≧10となる。そして、η≧10を満たす最小のηを与えるψの最大値をψmaxとする。そうすると、入射角θが一定の場合、ψmaxは方位角φの関数となるが、ψmaxは方位角φが減少するに連れて大きくなる。
この入射角θが一定の場合における、ψmaxと方位角φとの関係は、前記(28)式を用いると、図6のようになる。この図6より、入射角θを一定とした場合に、方位角φが90度から小さくなる平面Bほど、その平面B内で第2二等分ベクトルHbiが動くことのできる範囲が増大することがわかる。
また、図7に示されるように、入射角θが一定である場合、平面Bの方位角φと、その方位角φの平面B内に第2二等分ベクトルHbiが在るような第2反射光Vbiの変角αの最大変角αmaxとの間には、方位角φが小さくなるほど、最大変角αmaxが大きくなるという関係がある。ここに、最大変角αmaxとは、入射光L及び第2反射光Vbiが前記測定不可能範囲内に入らない場合において、平面B内に第2二等分ベクトルHbiが在るような第2反射光Vbiと前記正反射光Sとがなす変角αのうち、最大となる変角をいう。
このため、図7からわかるように、例えば入射角θが60度である場合、方位角φが90度の平面Bでは、最大変角αmaxが約32〜33度であるため、前記代表5変角のうち10度、18度及び28度のみを採ることができ、これら3つの変角における第2反射光Vbiの第2二等分ベクトルHbiが前記平面B内に在ることになる。そして、前記代表5変角の40度を採るためには、最大変角αmaxが約40度以上となるように方位角φを約80度以上としなければならず、また、前記代表5変角の90度を採るためには、最大変角αmaxが約90度以上となるように方位角φを約45度以上としなければならない。
したがって、方位角φが90度の平面B内でのみ二次元的に変位するような第2軌跡mを求めることはできない。
そこで、本実施形態における第2反射率測定工程では、第2軌跡mを、方位角φが90度の平面B内で二次元的に変位するものになるべく近いものとするために、以下の工程を実施する。
まず、第1工程では、前記代表5変角のうちの角度の小さい方からできるだけ多くを採れる範囲内で、前記平面B内に前記第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…が在るような前記第2反射光Vb1、Vb2、…の前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する。
そして、直前の第(f−1)工程では、平面Bf−1内に前記第2二等分ベクトルが在るようには前記代表5変角の少なくとも一部を採れないために、前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…の少なくとも一部を測定できなかったときは、該第(f−1)工程で採れなかった該代表5変角の少なくとも一部のうちの角度の小さい方からできるだけ多くを採れる範囲内で、前記平面Bf−1内ではなく平面B内に前記第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…が在るような前記第2反射光Vb1、Vb2、…の前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する第f工程を、第2工程、第3工程、…として繰り返し実施する。
すなわち、第1工程では、平面B内に前記第2二等分ベクトルが在るようには前記代表5変角の少なくとも一部を採れないために、前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…の少なくとも一部を測定できなかったときは、該第1工程で採れなかった該代表5変角の少なくとも一部のうちの角度の小さい方からできるだけ多くを採れる範囲内で、前記平面B内ではなく平面B内に前記第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…が在るような前記第2反射光Vb1、Vb2、…の前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する第2工程を実施する。
また、第2工程では、平面B内に前記第2二等分ベクトルが在るようには前記代表5変角の少なくとも一部を採れないために、前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…の少なくとも一部を測定できなかったときは、該第2工程で採れなかった該代表5変角の少なくとも一部のうちの角度の小さい方からできるだけ多くを採れる範囲内で、前記平面B内ではなく平面B内に前記第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…が在るような前記第2反射光Vb1、Vb2、…の前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する第3工程を実施する。
さらに、第3工程では、平面B内に前記第2二等分ベクトルが在るようには前記代表5変角の少なくとも一部を採れないために、前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…の少なくとも一部を測定できなかったときは、前記第3工程と同様にして、第4工程を実施する。
こうして第1工程、第2工程、第3工程、…と順に実施することにより、前記代表5変角における前記第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…が前記平面B、B、B、…内のいずれかに在るような前記第2反射光Vb1、Vb2、…の前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する。
ここに、前記第1工程、第2工程、第3工程、…における測定点(測定変角)は、以下のようにして決定することができる。
光源Lの被測定面Dに対する正反射光Sは、下記(29)式で表されるから、正反射光Sと第2反射光Vbiとがなす変角をαとすれば、下記(30)式より、ψは下記(31)式で与えられる。
S=(sinθ,0,cosθ) …(29)
S・Vbi=1・1・cosα
=2(cosθcosψ−sinθsinψcosφ)−cos2θ …(30)
Figure 0004868258
上記(31)式より、正反射光Sと第2反射光Vbiとがなす変角αと、方位角φとが決まれば、ψが決まる。
<第1工程>
最初は、方位角φをφ=90度として、変角αが0度、1度、2度、…とどこまで採れるかを調べる。与えられた入射角θに対して、図6に示されるように、ψが動くことのできる範囲に注意しながら、前記(31)式を用いて、α=0度、1度、2度、…に対するψを求める。そして、方位角φ=90度での前記最大変角αmax(図7参照)をα90とおく。すなわち、方位角φ=90度では、変角αをα=0度、1度、2度、…、α90とする。
そして、求めた変角αが前記代表5変角たる10度、18度、28度、40度、90度の小さい方からいずれかに一致するかどうかを調べる。もし、方位角φ=90度のとき、変角αが代表5変角のいずれかに一致する(又は近似できる)場合は、そのときの方位角φ=90度、ψ及びα90、並びにそのとき一致する(又は近似できる)代表5変角10度、18度、…の組(φ=90度,ψ,α90,10度、18度、…)を記憶する。この記憶した代表5変角10度、18度、…の組が、前記第1工程で測定する測定点(測定変角)となる。
<第2工程>
次に、方位角φを1度減らし、φ=89度として、上記と同様に、変角αがα=α90+1、α90+2、α90+3、…がどこまで採れるかを調べ、それぞれのαに対応するψを前記(31)式より求める。
そして、φ=89度での前記最大変角αmaxをα89とおく。すなわち、φ=89度では、変角αをα=α90+1、α90+2、α90+3、…α89とする。そして、φ=90度での測定変角とは異なる(φ=90度での測定変角よりも大きな)代表5変角があるかどうかを調べる。もし、そのような代表5変角があれば、そのときの方位角φ=89度、ψ及びα89、並びにそのとき一致する(又は近似できる)代表5変角…、40度、90度の組(φ=89度,ψ,α89,…、40度、90度)を同様に記憶する。なお、そのような代表5変角がなければ何もしない。この記憶した代表5変角…、40度、90度の組が、前記第2工程で測定する測定点(測定変角)となる。
<第3工程、第4工程、…>
さらに、方位角φを1度減らし、φ=88度として、上記と同様に前記第3工程で測定する測定点を求め、以降、方位角φをφ=87度、86度、…、0度と1度ずつ減らして同様の手続を進める。
こうしてすべての方位角φ(φ=0〜90度)に対して、変角αが代表5変角10度、18度、28度、40度、90度に一致する(又は近似できる)まで続ける。
なお、いかなる方位角φ及びψに対しても、測定変角として代表5変角の90度が採れない場合は、方位角φを変化させ、例えば、α=70度となった時点で、α=70度をα=90度の代わりの測定変角とすることができる。
以上の操作は、幾何学的な条件にのみ関係するため、測定機が決まって前記測定不可能範囲が決まれば、測定を実施する前に測定すべき点を全部求めることができる。したがって、すべての入射角θ(θ=0〜90度について、方位角φを変化させながら、前記代表5変角を求めることができる。
こうして方位角φ及びψを変化させて求めたα=0度、1度、2度、…、90度のそれぞれに対する方位角φ及びψが決まる。このため、前記第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…の方向が決まる。したがって、この第2反射率測定工程で求めた、代表5変角10度、18度、28度、40度、90度における第2反射率R(αb1)、R(αb2)、R(αb3)、R(αb4)、R(αb5)から、前記実施形態1と同様にして、すべての変角α(α=0度、1度、2度、…、90度)における第2反射率R(α)を求めることができる。よって、前記実施形態1と同様、前記第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…上に、|H|=|R(α)|となる点をとれば、例えば図8に示されるような、前記入射面A外で三次元的に変位する曲線としての第2軌跡mを求めることができる。
こうして本実施形態で得られた第2軌跡mは、入射面A内の前記第1軌跡lと極力離れることになるため、反射光分布を示す楕円の数式をより正確に特定することができ、反射率の推定をより高精度に行うことが可能となる。
また、計算の効率化と、測定時間の短縮のために、入射角θが前記測定不可能範囲に入るとき、すなわちθ=81度、82度、…、90度のときは、θ=80度のときの反射率を使うことにすると、本実施形態における第2反射率測定工程で第2反射率R(α)を測定する測定点の数は、81×5=405(点)となる。
したがって、本実施形態の反射率推定方法では、前記第1反射率測定工程及び第2反射率測定工程における反射率の測定点の合計は、405+405=810(点)となる。この測定点の合計(810点)は、前述した全点測定方法における全測定点数48139(=23×91×23)点の約2%に相当する。よって、本実施形態の反射率推定方法によれば、前述した全点測定方法に対して、約98%分の測定点の削減が可能になった。
(実施例1)
前記実施形態1で説明した反射率推定方法に準ずる方法により、カラー・シフト塗装色を車体に塗った自動車の塗装面について、測定機として三次元分光光度計(「GCMS−4」、村上色彩製)を用いて、測定した。
その結果、この測定に要した時間は約4時間であった。
また、測定した反射率をLUT(Look Up Table)に記憶し、6CPU(Intel Xeon 3.06GHz)、解像度SXGAのサイズで計算したところ、画像の計算時間は12分24秒であった。
さらに、画像の正確さの評価を行った。これは、前述した全点測定方法による画像を正として、本実施例の方法と、前述した従来の5角度法との差を、画像と数値で比較した。
その結果、全点測定方法と本実施例の方法とでは、差異がほとんどなく、ハイライト近傍(変角10度以内)を除く部位における平均色差が2.76であった。
これに対し、全点測定方法と前述した従来の5角度法とでは、大きな差があり、ハイライト近傍(変角10度以内)を除く部位における平均色差が20.50であった。
また、本実施例の方法で色再現した画像は、色合いや明暗の変化が全点測定方法のものと類似しており、前述した従来の5角度法と比べても格段と改善されていた。
よって、本実施例の方法によれば、前述した従来の5角度法では表現できなかったカラー・シフト塗装色についても、良好に色再現することが可能になった。

Claims (4)

  1. 被測定面上の入射点Pに入射光Lを所定の入射角θで入射させたときに該入射光Lが入射面A内で正反射した正反射光Sと、該入射光Lが該入射点Pで反射して受光される反射光Vとがなす角を変角αとして、該入射面A内及び入射面A外にある任意の変角における反射率を推定する反射率推定方法であって、
    前記入射面A内において前記入射点Pに入射角θdで入射光Ldを入射させ、該入射面A内における所定の変角α1、α2、…で受光したときの、該入射面A内に在る第1反射光Va1、Va2、…の該入射光Ldに対する第1反射率R(αa1)、R(αa2)、…を測定する第1反射率測定工程と、
    前記入射光Ldと各前記第1反射光Va1、Va2、…との二等分ベクトルをそれぞれ第1二等分ベクトルHa1、Ha2、…とするとともに、前記第1反射率R(αa)の大きさを|Ha|=|R(αa)|と定義して、前記第1反射率R(αa1)、R(αa2)、…の測定結果から、前記入射面A内で二次元的に変位する曲線としての、該第1二等分ベクトルHa1、Ha2、…の終点の第1軌跡lを求める第1軌跡取得工程と、
    前記入射面A内において前記入射点Pに前記入射角θdで前記入射光Ldを入射させ、入射面A外における前記変角α1、α2、…で受光したときの、該入射面A外に在る第2反射光Vb1、Vb2、…であって、且つ前記入射点Pを頂点とし、かつ該入射点Pにおける前記被測定面の法線たる回転軸としてのz軸と母線とが前記入射角θdと同一の角度θdをなす円錐面上に在る前記第2反射光Vb1、Vb2、…の該入射光Ldに対する第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する第2反射率測定工程と、
    前記入射光Ldと各前記第2反射光Vb1、Vb2、…との二等分ベクトルをそれぞれ第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…とするとともに、前記第2反射率R(αb)の大きさを|Hb|=|R(αb)|と定義して、前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…の測定結果から、前記入射面A外で三次元的に変位する曲線としての、該第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…の終点の第2軌跡mを求める第2軌跡取得工程と、
    互いに直交し前記入射点Pを原点として共有するx軸、y軸及びz軸を有するとともに、前記被測定面がxy平面となり且つ該入射点Pを含むxz平面が前記入射面Aとなる空間内の直交座標P−xyzを想定したとき、z軸に垂直な平面z=ziと前記第1軌跡l及び前記第2軌跡mとの交点Qli(xli,0,zi)及びQmi(xmi,ymi,zi)を求める2交点座標取得工程と、
    前記交点Qli及びQmiから、前記平面z=zi上における二等分ベクトルHiの終点の軌跡n(x,y,zi)を、該交点Qli及びQmiを通り、z軸を中心とする楕円を示す数式で近似してモデル化した、近似モデル式を求めるモデル式取得工程と、
    i=0〜∞として、前記近似モデル式から、前記第1反射光Va及び前記第2反射光Vb以外の反射光V’と前記入射光Ldとの二等分ベクトルH’の終点全体の全体軌跡n’(x,y,z)を近似的に求める全体軌跡取得工程と、を備え、
    前記変角α1、α2、…は、0〜90度の範囲内で定められたN(1≦N≦89)個の代表N変角から選ばれる少なくとも一つを含み、
    前記第1反射率測定工程、前記第1軌跡取得工程、前記第2反射率測定工程、前記第2軌跡取得工程、前記2交点座標取得工程、前記モデル式取得工程及び前記全体軌跡取得工程を、0〜90度の範囲内にある複数の入射角θd=θ1、θ2、…についての入射光Ld=L1、L2、…毎に繰り返すことを特徴とする反射率推定方法。
  2. 被測定面上の入射点Pに入射光Lを所定の入射角θで入射させたときに該入射光Lが入射面A内で正反射した正反射光Sと、該入射光Lが該入射点Pで反射して受光される反射光Vとがなす角を変角αとして、該入射面A内及び入射面A外にある任意の変角における反射率を推定する反射率推定方法であって、
    前記入射面A内において前記入射点Pに入射角θ d で入射光L d を入射させ、該入射面A内における所定の変角α 1 、α 2 、…で受光したときの、該入射面A内に在る第1反射光V a1 、V a2 、…の該入射光L d に対する第1反射率R(α a1 )、R(α a2 )、…を測定する第1反射率測定工程と、
    前記入射光L d と各前記第1反射光V a1 、V a2 、…との二等分ベクトルをそれぞれ第1二等分ベクトルH a1 、H a2 、…とするとともに、前記第1反射率R(α a )の大きさを|H a |=|R(α a )|と定義して、前記第1反射率R(α a1 )、R(α a2 )、…の測定結果から、前記入射面A内で二次元的に変位する曲線としての、該第1二等分ベクトルH a1 、H a2 、…の終点の第1軌跡lを求める第1軌跡取得工程と、
    前記入射面A内において前記入射点Pに前記入射角θ d で前記入射光L d を入射させ、入射面A外における前記変角α 1 、α 2 、…で受光したときの、該入射面A外に在る反射光を第2反射光V b1 、V b2 、…とし、
    前記入射光L d と各前記第2反射光V b1 、V b2 、…との二等分ベクトルをそれぞれ第2二等分ベクトルH b1 、H b2 、…とするとともに、前記第2反射率R(α b )の大きさを|H b |=|R(α b )|と定義し、
    前記変角α 1 、α 2 、…は、0〜90度の範囲内で定められたN(1≦N≦89)個の代表N変角から選ばれる少なくとも一つを含み、
    前記入射面Aたるxz平面と方位角φ1=90度、φ2=(90−e)度、φ3=(90−2e)度、…(eは任意の正の数)をなし、かつ前記入射点Pにおける前記被測定面の法線たるz軸を含む平面B1、B2、B3、…を想定したとき、
    前記代表N変角のうちの角度の小さい方からできるだけ多くを採れる範囲内で、前記平面B1内に前記第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…が在るような前記第2反射光Vb1、Vb2、…の前記入射光L d に対する第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する第1工程を実施し、かつ、
    直前の第(f−1)工程では、平面Bf-1内に前記第2二等分ベクトルが在るようには前記代表N変角の少なくとも一部を採れないために、前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…の少なくとも一部を測定できなかったときは、該第(f−1)工程で採れなかった該代表N変角の少なくとも一部のうちの角度の小さい方からできるだけ多くを採れる範囲内で、前記平面Bf-1内ではなく平面Bf内に前記第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…が在るような前記第2反射光Vb1、Vb2、…の前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する第f工程を、第2工程、第3工程、…として繰り返し実施することにより、
    前記代表N変角における前記第2二等分ベクトルHb1、Hb2、…が前記平面B1、B2、B3、…内のいずれかに在るような前記第2反射光Vb1、Vb2、…の前記第2反射率R(αb1)、R(αb2)、…を測定する第2反射率測定工程と、
    前記第2反射率R(α b1 )、R(α b2 )、…の測定結果から、前記入射面A外で三次元的に変位する曲線としての、前記第2二等分ベクトルH b1 、H b2 、…の終点の第2軌跡mを求める第2軌跡取得工程と、
    互いに直交し前記入射点Pを原点として共有するx軸、y軸及びz軸を有するとともに、前記被測定面がxy平面となり且つ該入射点Pを含むxz平面が前記入射面Aとなる空間内の直交座標P−xyzを想定したとき、z軸に垂直な平面z=z i と前記第1軌跡l及び前記第2軌跡mとの交点Q li (x li ,0,z i )及びQ mi (x mi ,y mi ,z i )を求める2交点座標取得工程と、
    前記交点Q li 及びQ mi から、前記平面z=z i 上における二等分ベクトルH i の終点の軌跡n(x,y,z i )を、該交点Q li 及びQ mi を通り、z軸を中心とする楕円を示す数式で近似してモデル化した、近似モデル式を求めるモデル式取得工程と、
    i =0〜∞として、前記近似モデル式から、前記第1反射光V a 及び前記第2反射光V b 以外の反射光V’と前記入射光L d との二等分ベクトルH’の終点全体の全体軌跡n’(x,y,z)を近似的に求める全体軌跡取得工程と、を備え、
    前記第1反射率測定工程、前記第1軌跡取得工程、前記第2反射率測定工程、前記第2軌跡取得工程、前記2交点座標取得工程、前記モデル式取得工程及び前記全体軌跡取得工程を、0〜90度の範囲内にある複数の入射角θ d =θ 1 、θ 2 、…についての入射光L d =L 1 、L 2 、…毎に繰り返すことを特徴とする反射率推定方法。
  3. 前記代表N変角は、略10度(10度±数度)、略18度(18度±数度)、略28度(28度±数度)、略40度(40度±数度)及び略90度(90度±数度)の代表5変角である請求項1又は2に記載の反射率推定方法。
  4. 前記被測定面にはカラー・シフト塗装色が施されている請求項1乃至3のいずれか一つに記載の反射率推定方法。
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