JP4867250B2 - カニューレ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、冠動脈や肋間動脈に液体を注入する際に用いられるカニューレに関する。
近年、動脈硬化病変の発生頻度が高まってきたこと等により大動脈系の疾患が増加している。この大動脈系の疾患のうち、例えば、大動脈弁狭窄症等では大動脈弁手術が行われる。大動脈弁手術では、大動脈を切開しなければならないため心臓の拍動を一時停止させるとともに人工心肺装置を用いて血液を体外循環させる。この心臓の拍動を停止させているときには、心筋を保護しかつ術後の自己心拍の回復を速やかにする目的で、心筋保護液を数十分間隔で心臓の冠動脈に注入することが行われている。
この心筋保護液を冠動脈に注入する際には、大動脈が切開されて冠動脈の中枢側開口部が露出しているので、例えば、特許文献1に開示されているような金属製のカニューレを冠動脈用に形状を変えて用いることや、特許文献2に開示されているような樹脂製のカニューレを同様にして用いることがある。
心筋保護液を冠動脈に注入する際に特許文献1のような金属製のカニューレを用いる場合、冠動脈の中枢側開口部周囲の生体組織に石灰化などがなく生体組織が柔軟なときには、カニューレの先端部を冠動脈の中枢側開口部に挿入することでカニューレの外周面を冠動脈の壁面に密着させて心筋保護液を洩れなく注入することができる。
また、特許文献2の樹脂製のカニューレは、先端部を動脈の内部に挿入した状態で使用されるものであり、カニューレ内に液体を圧送するとその液体の圧力によりカニューレが径方向に膨張するように構成されている。従って、このカニューレにより心筋保護液を注入しているときには、該カニューレの外周面を冠動脈の壁面に密着させて心筋保護液を洩れなく注入することができる。
また、大動脈系の疾患のうち、例えば、胸腹部大動脈瘤や大動脈解離等を治療する際には胸部下行大動脈及び腹部大動脈を人工血管に置換する大動脈置換術が行われる。この大動脈置換術では、肋間動脈を大動脈から切り離した後、人工血管に接続して再建しなければならない。このとき、胸椎レベルT8〜腰椎レベルL2の間にある複数の肋間動脈の中で、脊髄の灌流を主に担っている特定の肋間動脈の血流が減少すると、血液が脊髄に十分に灌流しなくなってしまう。脊髄へ灌流する血液が減ると脊髄が虚血状態になって損傷し、対麻痺を引き起こして患者が下半身不随になることがある。この脊髄の損傷を抑制するために、例えば、特許文献1や2に開示されているようなカニューレを用いて、患者の深部体温よりも低い温度に冷却された生理的食塩水を肋間動脈に注入して脊髄を冷却したり、脊髄保護剤を肋間動脈に注入することが行われている。
特開平7−303697号公報 特開平10−305094号公報
ところが、上記大動脈弁狭窄症等の症例では、各部の動脈に動脈硬化が進行していて冠動脈の中枢側開口部周囲の生体組織が石灰化により変形した状態で硬化していることが多い。このため、特許文献1の金属製のカニューレを用いて冠動脈に心筋保護液を注入する場合には、カニューレの先端部が硬く変形し難いことから該カニューレの外周面を冠動脈の壁面に密着させることができずに、心筋保護液がカニューレと冠動脈との間から洩れてしまうことがある。
また、特許文献2の樹脂製のカニューレを用いて心筋保護液を冠動脈に注入する場合には、カニューレの先端部を冠動脈の中枢側開口部に挿入して膨張させるようにしているので、冠動脈の中枢側開口部周囲の生体組織が石灰化していても心筋保護液を洩れなく注入することができる反面、冠動脈の中枢側開口部が動脈硬化等により狭小化してしまっているときには、カニューレの先端部が中枢側開口部に入らずに心筋保護液の注入が困難になる。さらに、冠動脈が拡張している場合には、カニューレの先端部が冠動脈に深く入り過ぎて該カニューレの開口部が冠動脈の壁面に当たり、該開口部が閉塞された状態になることがある。こうなると、カニューレの内圧が上昇するので、カニューレが過度に膨張して冠動脈の内膜組織が無理に押し拡げられて内膜組織が損傷することが考えられる。
また、上記胸腹部大動脈瘤や大動脈解離等の症例では、大動脈や該大動脈から分岐する動脈の内膜組織が粥状硬化していたり外膜組織から解離して、脆弱化していることが多い。従って、脊髄の損傷を抑制するための各種液体を特許文献1の金属製のカニューレを用いて肋間動脈に注入する場合には、カニューレの先端部が硬く変形し難いことから、該先端部が肋間動脈の内膜組織に接触したときに該内膜組織に損傷を与えてしまうことがある。さらに、脊髄の損傷を抑制するための各種液体を特許文献2の樹脂製のカニューレを用いて肋間動脈に注入する場合には、カニューレが膨張したときに肋間動脈の内膜組織に損傷を与えてしまうことがある。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、冠動脈や肋間動脈等の動脈に液体を注入する場合に用いるカニューレにおける液体流れ方向の下流端部の構造に工夫を凝らし、カニューレと動脈との間から液体を洩れ難くするとともに、動脈の損傷を抑制することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、液体が導入される管部材の液体流れ方向の下流端部に、動脈の中枢側開口部周囲の生体組織に接触する接触部材を設けてカニューレを構成し、接触部材を弾性材からなるものとした。
具体的には、請求項1の発明では、動脈の中枢側端部の開口部から該動脈の内部に液体を注入する際に用いられるカニューレを対象とする。
そして、上記液体が導入される管部材と、上記管部材の液体流れ方向の下流端部に全周に亘って設けられ、動脈の中枢側端部の開口部周囲の生体組織に接触する接触部材とを備え、上記接触部材は、発泡樹脂製の弾性材からなるとともに、上記管部材の液体流れ方向の下流端部に連通する貫通孔を有する円環状をな、該接触部材の外径は上記動脈の中枢側端部の開口部の内径よりも大きく設定されている構成とする。
この構成によれば、例えば、心臓の拍動を一時停止させたときに心筋保護液を冠動脈に注入する際には、接触部材を冠動脈の中枢側開口部周囲の生体組織に接触させることで、管部材と冠動脈とが接触部材の貫通孔を介して連通する。このとき、接触部材は弾性材からなるものなので、例えば冠動脈の中枢側開口部周囲の生体組織が石灰化により変形した状態で硬化していても、接触部材は生体組織の形状に沿うように容易に変形して冠動脈の中枢側開口部周囲の生体組織に全周に亘って密着する。これにより、管部材と冠動脈との間がシールされる。その結果、管部材に導入された心筋保護液を冠動脈に注入する際に心筋保護液が管部材と冠動脈との間から洩れ難くなる。
また、接触部材を生体組織に接触させることで管部材と冠動脈とを連通させているので、心筋保護液を冠動脈に注入するにあたり管部材を冠動脈に挿入せずにすむ。これにより、冠動脈の中枢側開口部が狭小化している場合にも管部材から接触部材の貫通孔を介して冠動脈に心筋保護液を注入することが可能になる。さらに、そのように管部材を冠動脈に挿入せずにすみ、しかも、接触部材が弾性材からなるものなので、管部材及び接触部材が冠動脈の内膜組織に損傷を与えるのを抑制することが可能になる。
また、例えば、大動脈置換術の際に脊髄の損傷を抑制するための液体を肋間動脈に注入する際には、上記した場合と同様に接触部材を肋間動脈の中枢側開口部周囲の生体組織に接触させることで、脊髄の損傷を抑制するための液体が管部材と肋間動脈との間から洩れ難くなる。さらに、管部材を肋間動脈の中枢側開口部に挿入せずにすみ、しかも、接触部材が弾性材からなるものなので、管部材及び接触部材が肋間動脈の内膜組織に損傷を与えるのを抑制することが可能になる。
尚、冠動脈や肋間動脈に注入する液体は血液等であってもよい。また、冠動脈や肋間動脈以外の動脈にも同様にして必要な液体を注入することが可能である。
また、動脈に注入する液体や、生体組織から浸出した浸出液及び血液等が接触部材の気泡に入り込んで該接触部材の重量が重くなる。この接触部材は管部材の液体流れ方向の下流端部に設けられているので、例えば管部材に導入された液体に脈動が生じた場合に、その液体の脈動によって管部材の液体流れ方向の下流端部が変位しようとするのを抑制することが可能になる。
請求項の発明では、請求項の発明において、管部材の液体流れ方向の下流端部には、該管部材の径方向外側へ向けて延びるフランジが設けられ、上記フランジの液体流れ方向の下流端面に接触部材が設けられている構成とする。
この構成によれば、管部材と接触部材との接触面積を広く確保することが可能になる。
請求項の発明では、請求項1または2の発明において、管部材は、液体流れ方向上流側の第1部材と、液体流れ方向下流側の第2部材とに分割され、上記第1部材は上記第2部材よりも柔軟に構成されている構成とする。
この構成によれば、動脈の中枢側開口部の位置等により管部材を湾曲させて取り廻す必要がある場合に、第1部材を容易に湾曲させることが可能になる。一方、第2部材は比較的柔軟性がなく硬いので、該第2部材により接触部材を生体組織に押し付けてしっかりと接触させることが可能になる。
請求項の発明では、請求項の発明において、第2部材は第1部材に対し着脱可能に結合されている構成とする。
この構成によれば、動脈の中枢側開口部の位置等に応じて第2部材を長さが異なるものに交換することが可能になる。
請求項の発明では、請求項1からのいずれか1つの発明において、管部材には、把持具により把持される把持部が設けられている構成とする。
この構成によれば、術者が管部材を把持具により把持することが可能になる。
請求項1の発明によれば、動脈に注入するための液体が導入される管部材に、動脈の中枢側開口部周囲の生体組織に接触する弾性材からなる接触部材を設けたので、接触部材により管部材と動脈との間をシールすることができて動脈に注入する液体を洩れ難くすることができる。そして、液体を動脈に注入するにあたり管部材を動脈に挿入せずにすみ、しかも、接触部材が生体組織に接触して弾性変形するので、管部材及び接触部材が動脈に損傷を与えるのを抑制することができる。
また、接触部材を発泡樹脂材からなるものとしたので、動脈に注入する液体等が接触部材の気泡に入り込んで接触部材の重量を重くすることができる。これにより、例えば管部材に導入された液体に脈動が生じた場合に、管部材の液体流れ方向の下流端部が変位し難くなって、管部材と動脈との位置ずれを抑制することができる。
請求項の発明によれば、管部材のフランジに接触部材を設けたので、接触部材を管部材に対し安定した状態で一体化することができる。
請求項の発明によれば、管部材を液体流れ方向上流側の第1部材と下流側の第2部材とに分割し、第1部材を第2部材よりも柔軟に構成したので、動脈の中枢側開口部の位置等に応じて第1部材を湾曲させて容易に取り廻すことができる。また、接触部材を第2部材により生体組織に押し付けてしっかりと接触させることができて、動脈に挿入する液体をより一層洩れ難くすることができる。
請求項の発明によれば、第2部材を第1部材に対し着脱可能に結合したので、動脈の中枢側開口部の位置等に応じて第2部材を長さが異なるものに交換することができる。
請求項の発明によれば、管部材を把持具により把持することができるので、術者の手が届き難い箇所で管部材を容易に把持することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係るカニューレ1を示すものであり、このカニューレ1は、動脈に注入する液体が導入される管部材2と、動脈の中枢側開口部周囲の生体組織に接触する接触部材3とを備えている。
上記管部材2は、例えばポリエチレン等の樹脂材を用いて成形されている。管部材2の内部には、該管部材2の長手方向に延びる流路4が形成されており、この流路4は、管部材2の長手方向両端に亘って略同じ断面積を有している。管部材2の中心線方向の長さは、約140mm〜160mmとされている。管部材2の内径は約2mm〜4mmとされ、肉厚は約1mmとされている。管部材2の接続部材3側の端部、即ち液体流れ方向の下流端部には、管部材2の径方向外方へ延出する略円形のフランジ5が設けられている。このフランジ5と管部材2とは別体とされ、互いに接着剤等を用いて一体化されている。このフランジ5の中心と管部材2の流路4の中心とは略一致している。
また、管部材2のフランジ5と反対側の端部、即ち、液体流れ方向の上流端部には、図示しないが、動脈に注入する液体を圧送する圧送器具が接続されるようになっている。この圧送器具としては、動脈に注入する液体の種類や、該液体を注入する動脈の種類にもよるが、例えば周知のシリンジや電動式のポンプ装置等がある。
上記接触部材3は、例えば軟質発泡ポリウレタン等の発泡樹脂材を用いて成形されている。この接触部材3は、動脈の中枢側開口部周囲の生体組織に軽く押し当てただけで該生体組織の形状に沿うように容易に弾性変形するような柔らかさを有している。接触部材3は、平面視で略円形の厚肉板材の中心部に貫通孔6が形成された円環状をなしている。接触部材3の肉厚は、フランジ5の肉厚よりも厚く設定されている。また、接触部材3の外径は、フランジ5の外径よりも大きく設定され、内径は、管部材2の内径よりも大きく設定されている。上記接触部材3の外径は、本発明のカニューレ1を冠動脈に用いる場合には、右冠動脈洞に収まる程度の約6mm〜8mmとすればよい。
上記接触部材3のフランジ5側の面は、該フランジ5に沿って延びる略平坦面で構成されている。該フランジ5側の面が、フランジ5の液体流れ方向の下流端面に、例えば接着剤等を用いて接着されている。接触部材3のフランジ5と反対側の面は、上記フランジ5側の面と同様に略平坦に延びており、生体組織への接触面7とされている。
上記接触部材3の外周面は、フランジ5側へ行くほど接触部材3の中心に近づき、フランジ5と反対側へ行くほど接触部材3の中心に近づくように形成された円弧面で構成されている。接触部材3の内周面は、フランジ5側へ行くほど接触部材3の中心から離れ、フランジ5と反対側へ行くほど接触部材3の中心から離れるように形成された円弧面で構成されている。
次に、図2に基づいて、大動脈弁手術の際に心臓の拍動を停止させた状態で、上記カニューレ1を用いて冠動脈Aに心筋保護液を注入する場合について説明する。まず、心筋保護液を圧送するための圧送器具と管部材2の液体流れ方向の上流端部とを接続しておく。この圧送装置による心筋保護液の流量は、約50〜300ml/minとされている。
上記大動脈弁手術の際には大動脈Bの起始部が切開されて冠動脈Aの中枢側開口部Cが露出しているので、この中枢側開口部C周囲の生体組織、即ち大動脈Bの内膜組織に接触部材3の接触面7を接触させて押し付ける。このとき、接触部材3の接触面7が大動脈Bの内膜組織の形状に沿うように容易に変形する。従って、例えば冠動脈Aの中枢側開口部C周囲の内膜組織が石灰化により変形した状態で硬化していても、接触部材3の接触面7は、中枢側開口部Cの全周に亘って内膜組織に密着する。これにより、管部材2と冠動脈Aとの間がシールされる。その結果、管部材2に導入された心筋保護液を冠動脈Aに注入する際に心筋保護液が管部材2と冠動脈Aとの間から洩れ難くなる。
上記接触部材3の気泡には、心筋保護液、生体組織から浸出した浸出液、血液等が入り込むので、該接触部材3の重量が重くなる。この接触部材3は管部材2の液体流れ方向の下流端部に設けられているので、例えば、管部材2に導入された心筋保護液に脈動が生じた場合に、その心筋保護液の脈動によって管部材2の液体流れ方向の下流端部が変位しようとするのを抑制することが可能になる。さらに、心筋保護液の注入開始時に流路4内や動脈内に残っている空気を上記接触部材3の気泡に逃がすことが可能になり、このことで、動脈内に空気が注入されてしまうのを抑制することが可能になる。
また、カニューレ1の接触部材2を内膜組織に接触させることで管部材2と冠動脈Aとを連通させているので、心筋保護液を冠動脈Aに注入するにあたり管部材2を冠動脈Aに挿入せずにすむ。これにより、冠動脈Aの中枢側開口部Cが狭小化している場合にも管部材2から接触部材3の貫通孔6を介して冠動脈Aに心筋保護液を注入することが可能になる。さらに、そのように管部材2を冠動脈Aに挿入せずにすみ、しかも、接触部材3が容易に弾性変形するので、管部材2及び接触部材3が冠動脈Aの内膜組織に損傷を与えるのを抑制することが可能になる。
次に、胸部下行大動脈及び腹部大動脈を人工血管に置換する大動脈置換術を行う際に、上記カニューレ1を用いて肋間動脈に脊髄の損傷を抑制するための液体を注入する場合について説明する。脊髄の損傷を抑制するための液体としては、例えば患者の深部体温よりも低い温度に冷却された生理的食塩水や脊髄保護剤等の薬剤がある。まず、これら液体のうち1つを圧送するための圧送器具と管部材2の液体流れ方向の上流側端部とを接続しておく。
この大動脈置換術を行う際には、図示しないが、肋間動脈が、該肋間動脈の中枢側開口部周囲の生体組織、即ち大動脈の一部の組織と一緒に大動脈から切り離される。これにより、肋間動脈の中枢側開口部が露出する。この中枢側開口部周囲の生体組織である大動脈の内膜組織に接触部材3の接触面7を接触させて押し付けると、上記した心筋保護液を注入する場合と同様に管部材2と肋間動脈との間がシールされる。その結果、肋間動脈に注入する液体が管部材2と肋間動脈との間から洩れ難くなる。
また、カニューレ1の接触部材3を内膜組織に接触させることで管部材2と肋間動脈とを連通させているので、液体を肋間動脈に注入するにあたり管部材2を肋間動脈に挿入せずにすみ、しかも、接触部材3が弾性材からなるものなので、管部材2及び接触部材3が肋間動脈の内膜組織に損傷を与えるのを抑制することが可能になる。
また、上記大動脈置換術では、複数の肋間動脈を大動脈から切り離した後、人工血管に接続して再建する必要がある。胸椎レベルT8〜腰椎レベルL2の間にある肋間動脈の中で、脊髄に連絡して脊髄の灌流を主に担っている肋間動脈(Adamkiewicz動脈と呼ばれている)があるが、この肋間動脈を損傷してしまったり、再建しないと、血液が脊髄に十分に灌流しなくなって対麻痺を引き起こし患者が下半身不随になることがある。従って、上記脊髄に連絡した肋間動脈を正確に特定して温存する必要がある。この脊髄に連絡する肋間動脈を特定する場合に、脊髄を超音波造影装置(図示せず)で画面に描出しておき、上記カニューレ1を用いて、胸椎レベルT8〜腰椎レベルL2の間の肋間動脈に順に生理的食塩水や超音波用の造影剤等の液体を注入していくことが可能である。このようにして脊髄に連絡した肋間動脈に上記液体が注入されると、その液体が脊髄に流れる様子が画面に描画されるので、これに基づいて脊髄に連絡している肋間動脈を特定することが可能になる。つまり、脊髄に連絡している肋間動脈を特定するために各肋間動脈に液体を注入する際にも、液体が管部材2と肋間動脈との間から洩れ難くなるとともに、肋間動脈の内膜組織に損傷を与えるのを抑制することが可能になる。
以上説明したように、各動脈に注入するための液体が導入される管部材2に、該動脈の中枢側開口部周囲の生体組織に接触する接触部材3を設け、この接触部材3を弾性材からなるものとしたので、接触部材3により管部材2と動脈との間をシールすることができて動脈に注入する液体を洩れ難くすることができる。そして、動脈に液体を注入するにあたり管部材2を動脈に挿入せずにすみ、しかも、接触部材3が弾性変形するので、管部材2及び接触部材3が動脈に損傷を与えるのを抑制することができる。
また、接触部材3を発泡樹脂材からなるものとしたので、動脈に注入する液体等が接触部材3の気泡に入り込んで接触部材3の重量が重くなる。これにより、例えば管部材2に導入された液体に脈動が生じた場合に、管部材2の液体流れ方向の下流端部が変位し難くなって、管部材2と動脈との位置ずれを抑制することができる。
また、管部材2のフランジ5に接触部材3を設けたので、管部材2と接触部材3との接触面積を広く確保することができて、接触部材3を管部材2に対し安定した状態で一体化することができる。
尚、図3に示す変形例1のように管部材2を液体流れ方向上流側の第1部材10と、下流側の第2部材11とで構成してもよい。第1部材10は、第2部材11よりも柔軟な樹脂材を用いて成形されている。第2部材11は、フランジ5の延出方向に対し略直交する方向に真っ直ぐに延びており、その長手方向の長さは、約10mm〜20mmに設定されている。第1部材10は、第2部材11の外側に嵌るように該第2部材11よりも大径に形成されている。第1部材10と第2部材11とは着脱可能に結合されている。
従って、この変形例では、動脈の中枢側開口部の位置等により管部材2を湾曲させて取り廻す必要がある場合に、第1部材10を第2部材11に対し容易に湾曲させて取り廻すことができる。一方、第2部材11は比較的柔軟性がなく硬いので、該第2部材11により接触部材3を生体組織に押し付けてしっかりと接触させることができて、動脈に注入する液体をより一層洩れ難くすることができる。
また、変形例では、例えば、動脈の中枢側開口部の位置等に応じて第2部材11を長さが異なるものに交換することが可能になる。
また、同図に示すように、管部材2の液体流れ方向の下流端部には、把持具Sにより把持される把持部12が設けられている。これにより、術者が管部材2を把持具Sにより把持することが可能になるので、術者の手が届き難い箇所でも管部材2を容易に把持しておくことができる。
また、図4に示す変形例2のように管部材2を第1部材10と第2部材11とで構成する場合に、第1部材10を第2部材11の内側に嵌めるようにしてもよい。この第1部材10は、一般に医療現場で用いられているエクステンションチューブで構成されている。また、第2部材11の内周面は第1部材10側へ行くほど僅かに拡径するテーパ面で構成されており、第1部材10を挿入した状態で抜け難くなっている。
さらに、この変形例2では、接触部材3の貫通孔6の径L1は約3mmとされ、また、接触部材3の環部の厚み寸法L2も約3mmとされている。また、フランジ5の肉厚も約1mmとされている。これら各部の寸法は、上記した各構造のものにも適用することが可能である
以上説明したように、本発明に係るカニューレは、例えば、拍動を一時停止させた心臓の冠動脈に心筋保護液を注入する場合や、大動脈置換術の際に肋間動脈に脊髄の損傷を抑制する液体を注入する場合に用いることができる。
本発明の実施形態に係るカニューレを示し、(a)は斜視図であり、(b)は側面図であり、(c)は接触面側から見た図である。 カニューレの使用状態を説明する断面図である。 実施形態の変形例1に係る図1(b)相当図である。 実施形態の変形例2に係る図1(b)相当図である。
1 カニューレ
2 管部材
3 接触部材
4 流路
5 フランジ
6 貫通孔
7 接触面
10 第1部材
11 第2部材
12 把持部
A 冠動脈
B 大動脈
C 中枢側開口部

Claims (5)

  1. 動脈の中枢側端部の開口部から該動脈の内部に液体を注入する際に用いられるカニューレであって、
    上記液体が導入される管部材と、
    上記管部材の液体流れ方向の下流端部に全周に亘って設けられ、動脈の中枢側端部の開口部周囲の生体組織に接触する接触部材とを備え、
    上記接触部材は、表面に気孔が開口した発泡樹脂製の弾性材からなるとともに、上記管部材の液体流れ方向の下流端部に連通する貫通孔を有する円環状をな、該接触部材の外径は動脈の中枢側端部の開口部の内径よりも大きく設定されていることを特徴とするカニューレ。
  2. 請求項に記載のカニューレにおいて、
    管部材の液体流れ方向の下流端部には、該管部材の径方向外側へ向けて延びるフランジが設けられ、
    上記フランジの液体流れ方向の下流端面に接触部材が設けられていることを特徴とするカニューレ。
  3. 請求項1または2に記載のカニューレにおいて、
    管部材は、液体流れ方向上流側の第1部材と、液体流れ方向下流側の第2部材とに分割され、
    上記第1部材は上記第2部材よりも柔軟に構成されていることを特徴とするカニューレ。
  4. 請求項に記載のカニューレにおいて、
    第2部材は第1部材に対し着脱可能に結合されていることを特徴とするカニューレ。
  5. 請求項1からのいずれか1つに記載のカニューレにおいて、
    管部材には、把持具により把持される把持部が設けられていることを特徴とするカニューレ。
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