JP4865742B2 - エポキシ化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルケン、シクロアルケンなどの非芳香族性のエチレン結合を有する化合物から対応するエポキシ化合物を製造する方法に関する。
鎖状又は環状のエポキシ化合物は、医薬、香料、染料、有機合成中間体および高分子樹脂原料として重要な化合物である。
エポキシ化合物は、アルケンやシクロアルケンなどの非芳香族性エチレン結合を有する化合物と過酢酸や過安息香酸などの過酸との反応により製造されている。しかし、過酸は不安定であり、取扱いに格別の注意を要する。
また、不飽和化合物に次亜ハロゲン酸を作用させて得られるハロヒドリンをアルカリで処理することによりエポキシ化合物を得る方法も知られている。しかし、この方法は複雑な構造を有するオレフィン類に適用することが困難である。さらに、不飽和化合物に、酸素の存在下、微生物を作用させて対応するエポキシ化合物を製造する方法も知られている。しかし、微生物を用いる方法は、一般に基質濃度を高くできないため、生産性の点で不利である。
エポキシ化合物のなかでも、エポキシ基に隣接する炭素原子にヒドロキシル基が結合した2,3−エポキシアルコール(α−ヒドロキシエポキシ化合物)は、特に医薬品などの付加価値の高い製品の合成中間体として有用である。このような2,3−エポキシアルコールを製造する方法として、ライオンズ,ジェー.イー.[Lyons, J. E.]、テトラヘドロン レターズ[Tetrahedoron Letters]、第2737頁(1974)(非特許文献1)には、シクロヘキセンと酸素とを、バナジウム錯体[C55V(CO)4]の存在下で反応させて、2,3−エポキシシクロヘキサノールを合成する方法が開示されている。また、カネダ,ケー[Kaneda, K.]等、ジャーナル オブ ザ オーガニック ケミストリー[J. Org. Chem.]、第45巻、第3004頁(1980)(非特許文献2)には、シクロアルケンと酸素とを、バナジウム錯体[VO(acac)2]とアゾビスイソブチロニトリルの存在下で反応させて、対応する2,3−エポキシシクロアルカノールを得る方法が開示されている。しかし、これらの方法では、反応成分の転化率が低く、2,3−エポキシアルコールを収率よく製造することができない。
アダム,ダブリュー[Adam, W.]等、テトラヘドロン レターズ[Tetrahedoron Letters]、第2839頁(1986)(非特許文献3)には、チタンテトライソプロポキサイドTi(Oi−Pr)4の存在下、アルケンと一重項酸素とを反応させることにより、対応する2,3−エポキシアルコールを生成させる方法が開示されている。しかし、この方法では、一重項酸素の発生装置が必要となる。
特開平8−38909号公報(特許文献1)には、イミド化合物の存在下、炭化水素を酸化すると、対応するヒドロキシ化合物、アルデヒド化合物、ケトン化合物や有機酸が生成することが記載されている。しかし、この文献には、非芳香族性のエチレン二重結合を有する化合物から対応するエポキシ化合物を製造することについては記載されていない。
特開平8−38909号公報 ライオンズ,ジェー.イー.[Lyons, J. E.]、テトラヘドロン レターズ[Tetrahedoron Letters]、第2737頁(1974) カネダ,ケー[Kaneda, K.]等、ジャーナル オブ ザ オーガニック ケミストリー[J. Org. Chem.]、第45巻、第3004頁(1980) アダム,ダブリュー[Adam, W.]等、テトラヘドロン レターズ[Tetrahedoron Letters]、第2839頁(1986)
従って、本発明の目的は、非芳香族性のエチレン二重結合を有する化合物から、対応するエポキシ化合物、特に2,3−エポキシアルコール(α−ヒドロキシエポキシ化合物)を、簡易な操作で収率よく製造する方法及び触媒を提供することにある。
本発明の他の目的は、非芳香族性のエチレン二重結合を有する化合物から、温和な条件下、酸素によりエポキシ化合物を効率よく製造できる方法及び触媒を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、N−ヒドロキシフタルイミド化合物などのイミド化合物と特定の助触媒とで構成された酸化触媒を用いると、非芳香族性のエチレン二重結合を有する化合物から、酸素により、対応するエポキシ化合物が収率よく生成することを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の製造方法では、芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物と、バナジルアセチルアセトナート、マンガン(II)アセチルアセトナート、マンガン(III)アセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、クロムアセチルアセトナート、モリブデン酸、酢酸マンガン及び酸化タングステンからなる群から選択された少なくとも一種で構成された助触媒とで構成された酸化触媒の存在下、非芳香族性のエチレン結合を有する化合物と酸素とを接触させて、対応するエポキシ化合物を生成させる。
記助触媒の割合は、前記N−ヒドロキシイミド化合物1モルに対して0.001〜0.1モル程度である。前記非芳香族性のエチレン結合を有する化合物には、エチレン結合を有する炭素数2〜20の鎖状炭化水素及び3〜30員のシクロアルケン環を有する化合物などが含まれる。
本発明の酸化触媒は、非芳香族性のエチレン結合を有する化合物と酸素とを接触させて対応するエポキシ化合物を生成させるための酸化触媒であって、前記N−ヒドロキシイミド化合物と、前記助触媒とで構成されている。
なお、本明細書において「非芳香族性のエチレン二重結合を有する化合物」を単に「基質」という場合がある。
本発明の方法では、前記N−ヒドロキシイミド化合物と前記助触媒とで構成された酸化触媒を用いるため、非芳香族性エチレン結合を有する化合物から、簡単な操作により、対応するエポキシ化合物を収率よく生成させることができる。また、温和な条件下であっても、酸素により、エポキシ化合物を生産効率よく製造できる。
[イミド化合物]
酸化触媒は、下記一般式(1)で表されるイミド化合物である。
Figure 0004865742
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1及びR2は互いに結合して二重結合、または芳香族性又は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示し、nは1〜3の整数を示す)。
前記一般式(1)で表される化合物において、置換基R1及びR2のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル基などのC1-10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。好ましいアルキル基としては、例えば、C1-6程度、特にC1-4程度のアルキル基が挙げられる。
アリール基には、フェニル基、ナフチル基などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などが含まれる。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などのC1-10程度、好ましくはC1-6程度、特にC1-4程度のアルコキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのアルコキシ部分がC1-10程度のアルコキシカルボニル基が含まれる。好ましいアルコキシカルボニル基にはアルコキシ部分がC1-6程度、特にC1-4程度のアルコキシカルボニル基が含まれる。
アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基などのC1-6程度のアシル基が例示できる。
前記置換基R1およびR2は、同一又は異なっていてもよい。また、前記一般式(1)において、R1およびR2は互いに結合して、二重結合、または芳香族性又は非芳香族性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水素環である場合が多い。このような環には、例えば、非芳香族性脂環族環(シクロヘキサン環などの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していてもよい芳香族環が含まれる。前記環は、芳香族環で構成される場合が多い。
好ましいイミド化合物には、下記式で表される化合物が含まれる。
Figure 0004865742
(式中、R3〜R6は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。R1、R2およびnは前記に同じ)。
置換基R3〜R6において、アルキル基には、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特にC1-6程度のアルキル基が含まれ、アルコキシ基には、前記と同様のアルコキシ基、特にC1-4程度のアルコキシ基、アルコキシカルボニル基には、前記と同様のアルコキシカルボニル基、特にアルコキシ部分がC1-4程度のアルコキシカルボニル基が含まれる。また、アシル基としては、前記と同様のアシル基、特にC1-6程度のアシル基が例示され、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R3〜R6は、通常、水素原子、C1-4程度のアルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。
前記一般式(1)において、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示し、nは、通常、1〜3程度、好ましくは1又は2である。一般式(1)で表される化合物はエポキシ化反応において一種又は二種以上使用できる。
前記一般式(1)で表されるイミド化合物に対応する酸無水物には、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸などの飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物)、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸1,2−無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性環状多価カルボン酸無水物(脂環族多価カルボン酸無水物)、無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環式多価カルボン酸無水物(脂環族多価カルボン酸無水物)、無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物が含まれる。
好ましいイミド化合物としては、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドなどが挙げられる。特に好ましい化合物は、脂環族多価カルボン酸無水物、なかでも芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物、例えば、N−ヒドロキシフタル酸イミドなどが含まれる。
前記イミド化合物は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンNH2OHとを反応させて酸無水物基を開環した後、閉環してイミド化することにより調製できる。
[助触媒]
触媒は、前記式(1)で表されるイミド化合物と助触媒とで構成してもよい。助触媒には、金属化合物、例えば、周期表2族元素(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど)、遷移元素、周期表13族元素(ホウ素B、アルミニウムAlなど)を含む化合物が含まれる。助触媒は、一種又は二種以上組合わせて使用できる。
前記遷移金属の元素としては、例えば、周期表3族元素(例えば、スカンジウムSc、イットリウムYの外、ランタンLa,セリウムCe、サマリウムSmなどのランタノイド元素、アクチノイドAcなどのアクチノイド元素)、4族元素(チタンTi、ジルコニウムZr、ハフニウムHfなど)、5族元素(バナジウムV、ニオブNb、タンタルTaなど)、6族元素(クロムCr、モリブデンMo、タングステンWなど)、7族元素(マンガンMn、テクネチウムTc、レニウムReなど)、8族元素(鉄Fe、ルテニウムRu、オスミウムOs)、9族元素(コバルトCo、ロジウムRh、イリジウムIr)、10族元素(ニッケルNi、パラジウムPd、白金Ptなど)、11族元素(銅Cu、銀Ag,金Auなど)、12族元素(亜鉛Zn、カドミウムCdなど)などが挙げられる。
好ましい助触媒を構成する元素には、遷移金属の元素(例えば、Ceなどのランタノイド元素、アクチノイド元素などの周期表3族元素、Ti、Zr、Hfなどの4族元素、V、Nb,Taなどの5族元素、Cr、Mo、Wなどの6族元素、Mn、Tc、Reなどの7族元素、Fe、Ru、Osなどの8族元素、Cuなどの11族元素)、Bなどの13族元素が含まれる。中でも、周期表4族元素、5族元素、6族元素、7族元素及び8族元素などが好ましい。助触媒を構成する金属元素の酸化数は、特に制限されず、元素の種類に応じて、例えば、0、+2、+3、+4、+5、+6などであってもよい。
助触媒は、金属単体、金属水酸化物などであってもよいが、通常、前記元素を含む金属酸化物(複酸化物、酸素酸又はその塩も含む)、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、前記金属元素を含む配位化合物(錯体)やポリ酸(ヘテロポリ酸やイソポリ酸)又はその塩などである場合が多い。
ホウ素化合物としては、例えば、水素化ホウ素(例えば、ボラン、ジボラン、テトラボラン、ペンタボラン、デカボランなど)、ホウ酸(オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸など)、ホウ酸塩(例えば、ホウ酸ニッケル、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガンなど)、B23などのホウ素酸化物、ボラザン、ボラゼン、ボラジン、ホウ素アミド、ホウ素イミドなどの窒素化合物、BF3、BCl3、テトラフルオロホウ酸塩などのハロゲン化物、ホウ酸エステル(例えば、ホウ酸メチル、ホウ酸フェニルなど)などが挙げられる。好ましいホウ素化合物には、水素化ホウ素、オルトホウ酸などのホウ酸又はその塩など、特にホウ酸が含まれる。
金属水酸化物には、例えば、Mn(OH)2、MnO(OH)、Fe(OH)2、Fe(OH)3などが含まれる。金属酸化物には、例えば、TiO2、ZrO2、V23、V25、CrO、Cr23、MoO3、W23、MnO、Mn34、Mn23、MnO2、Mn27、FeO、Fe23、Fe34、RuO2、RuO4などが含まれる。複酸化物または酸素酸(又はその塩)としては、例えば、MnAl24、MnTiO3、LaMnO3、K2Mn25、CaO・xMnO2(x=0.5,1,2,3,5);マンガン酸又はその塩[例えば、Na3MnO4、Ba3(MnO4)2などのマンガン(V)酸塩、K2MnO4、Na2MnO4、BaMnO4などのマンガン(VI)酸塩、KMnO4、NaMnO4、LiMnO4、NH4MnO4、CsMnO4、AgMnO4、Ca(MnO4)2、Zn(MnO4)2、Ba(MnO4)2、Mg(MnO4)2、Cd(MnO4)2などの過マンガン酸塩];バナジン酸、ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸、タングステン酸又はこれらの酸素酸の塩などが含まれる。
有機酸塩としては、例えば、酢酸マンガン、プロピオン酸マンガン、ナフテン酸マンガン、ステアリン酸マンガンなどのC2-20脂肪酸(又は脂環式カルボン酸)塩、チオシアン酸マンガンや対応するTi塩、Zr塩、V塩、Cr塩、Mo塩、Fe塩、Ru塩などが例示され、無機酸塩としては、例えば、硝酸鉄、硝酸マンガンなどの硝酸塩やこれらに対応する硫酸塩、リン酸塩および炭酸塩(例えば、硫酸鉄、硫酸マンガン、リン酸鉄、リン酸マンガン、炭酸鉄、炭酸マンガン、過塩素酸鉄など)が挙げられる。また、ハロゲン化物としては、例えば、TiCl2、ZrCl2、ZrOCl2、VCl3、VOCl2、MnCl2、MnCl3、FeCl2、FeCl3、RuCl3などの塩化物や、これらに対応するフッ化物、臭素化物やヨウ化物(例えば、MnF2、MnBr2、MnF3、FeF2、FeF3、FeBr2、FeBr3、FeI2、CuBr、CuBr2など)などのハロゲン化物、M1MnCl3、M1 2MnCl4、M1 2MnCl5、M1 2MnCl6(M1は一価金属を示す)などの複ハロゲン化物などが挙げられる。
錯体を形成する配位子としては、OH(ヒドロキソ)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基などのアルコキシ基、アセチル(OAc)、プロピオニルなどのアシル基、メトキシカルボニル(アセタト)、エトキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル基、アセチルアセトナト(AA)、シクロペンタジエニル基、塩素、臭素などのハロゲン原子、CO、CN、酸素原子、H2O(アコ)、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィン)などのリン化合物、NH3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO3(ニトラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合物などが挙げられる。錯体又は錯塩において、同種又は異種の配位子は一種又は二種以上配位していてもよい。好ましい配位子には、例えば、OH、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アセチルアセトナト、ハロゲン原子、CO、CN、H2O(アコ)、トリフェニルホスフィンなどのリン化合物や、NH3、NO2、NO3を含めて窒素含有化合物が含まれる。
好ましい錯体には、前記好ましい遷移金属元素を含む錯体が含まれる。遷移金属元素と配位子は適当に組合わせて錯体を構成することができ、例えば、アセチルアセトナト錯体(例えば、Ce、Sm、Ti、Zr、V、Cr、Mo、Mn、Fe、Ru、Cu、Znなどのアセチルアセトナト錯体や、チタニルアセチルアセトナト錯体TiO(AA)2、ジルコニルアセチルアセトナト錯体ZrO(AA)2、バナジルアセチルアセトナト錯体VO(AA)2など、カルボニル錯体やシクロペンタジエニル錯体(例えば、トリカルボニルシクロペンタジエニルマンガン(I)、ビスシクロペンタジエニルマンガン(II)、ビスシクロペンタジエニル鉄(II)、Fe(CO)5、Fe2(CO)9、Fe3(CO)12など)、ニトロシル化合物(例えば、Fe(NO)4、Fe(CO)2(NO)2など)、チオシアナト錯体(例えば、コバルトチオシアナト、マンガンチオシアナト、鉄チオシアナトなど)、アセチル錯体(例えば、酢酸コバルト、酢酸マンガン、酢酸鉄、酢酸銅、酢酸ジルコニルZrO(OAc)2、酢酸チタニルTiO(OAc)2、酢酸バナジルVO(OAc)2など)などであってもよい。
ポリ酸は、例えば、周期表5族又は6族元素、例えば、V(バナジン酸)、Mo(モリブデン酸)およびW(タングステン酸)の少なくとも一種である場合が多く、中心原子は特に制限されず、例えば、Be、B、Al、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Th、N、P、As、Sb、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、S、Se、Te、Mn、I、Fe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt、Cuなどであってもよい。ヘテロポリ酸の具体例としては、例えば、コバルトモリブデン酸、コバルトタングステン酸、モリブデンタングステン酸、マンガンモリブデン酸、マンガンタングステン酸、マンガンモリブデンタングステン酸、バナドモリブドリン酸、マンガンバナジウムモリブデン酸、マンガンバナドモリブドリン酸、バナジウムモリブデン酸、バナジウムタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンバナドモリブデン酸、リンバナドタングステン酸などが挙げられる。
前記式(1)で表されるイミド化合物、又はこのイミド化合物および前記助触媒で構成される触媒は、均一系であってもよく、不均一系であってもよい。また、触媒は、担体に触媒成分が担持された固体触媒であってもよい。担体としては、活性炭、ゼオライト、シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイトなどの多孔質担体を用いる場合が多い。固体触媒における触媒成分の担持量は、担体100重量部に対して、前記式(1)で表されるイミド化合物0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度である。また、助触媒の担持量は、担体100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜25重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度である。
前記一般式(1)で表されるイミド化合物の使用量は、広い範囲で選択でき、例えば、基質1モルに対して0.001モル(0.1モル%)〜1モル(100モル%)、好ましくは0.001モル(0.1モル%)〜0.5モル(50モル%)、さらに好ましくは0.01〜0.30モル程度であり、0.01〜0.25モル程度である場合が多い。
また、助触媒(共酸化剤)の使用量も、反応性および選択率を低下させない範囲で適当に選択でき、例えば、基質1モルに対して0.00001モル(0.001モル%)〜1モル(100モル%)、好ましくは0.00005〜0.7モル、さらに好ましくは0.0001〜0.5モル程度であり、0.0002〜0.1モル(例えば、0.0002〜0.01モル)程度である場合が多い。
なお、助触媒の量が増加するにつれて、イミド化合物の活性が低下する場合がある。そのため、酸化触媒系の高い活性を維持するためには、助触媒の割合は、イミド化合物1モルに対して、有効量以上であって、0.1モル以下(例えば、0.001〜0.1モル、好ましくは0.005〜0.08モル、さらに好ましくは0.007〜0.07モル程度)であるのが好ましい。
ヘテロポリ酸又はその塩を助触媒として使用する場合、基質100重量部に対して0.1〜25重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部程度である。
このような酸化触媒を利用すると、酸化活性が高く、穏和な条件であっても、非芳香族性エチレン結合のエポキシ化反応を触媒的に促進でき、対応するエポキシ化合物を収率よく生成させることができる。
特に、前記イミド化合物と、周期表4族元素、5族元素、6族元素、7族元素または8族元素を含む金属化合物とを組合わせて用いると、高い選択率でエポキシ化合物を得ることができる。特に、基質として、エチレン結合の隣接する部位に炭素−水素結合を有する化合物を用いると、対応する2,3−エポキシアルコールを高い収率で生成できる。
[基質]
基質としての非芳香族性エチレン結合を有する化合物には、(A)エチレン結合を有する鎖状炭化水素、及び(B)シクロアルケン環を有する化合物が含まれ、分子中に複数の非芳香族性エチレン結合を有していてもよい。
エチレン結合を有する鎖状炭化水素(A)としては、直鎖状または分枝鎖状炭化水素、例えば、エテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、3−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテン、2−メチル−2−ブテン、1−ノネン、2−ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセンなどのアルケン;例えば、ブタジエン、イソプレン、1,5−ヘキサンジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、2,6−オクタジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエンなどのアルカジエン;例えば、ウンデカトリエン、ドデカトリエンなどのアルカトリエンなどが挙げられる。これらの鎖状炭化水素は、例えば、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、置換オキシ基(アルコキシ基、アリールオキシ基など)、置換チオ基(アルキルチオ基、アリールチオ基など)、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基など)、オキソ基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、置換アミノ基、スルホ基、芳香族炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。鎖状炭化水素(A)の炭素数は、例えば2〜20程度、好ましくは2〜12程度である。
シクロアルケン環を有する化合物(B)としては、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデセン、シクロウンデセン、シクロドデセンなどのシクロアルケン;例えば、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、1,4−シクロヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン、シクロデカジエン、シクロドデカジエンなどのシクロアルカジエン;例えば、シクロオクタトリエンなどのシクロアルカトリエン;例えば、シクロオクタテトラエンなどのシクロアルカテトラエンなどが挙げられる。これらの化合物は、シクロアルケン環に、例えば、アルキル基(例えば、C1-4アルキル基など)、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、置換オキシ基(アルコキシ基、アリールオキシ基など)、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基など)、置換チオ基(アルキルチオ基、アリールチオ基など)、オキソ基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、シアノ基、アミノ基、置換アミノ基、ニトロ基、スルホ基、芳香族炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。好ましい化合物(B)には、3〜30員環(例えば、3〜20員環)、好ましくは3〜16員環、特に5〜12員環(例えば、5〜10員環)を有する化合物が含まれる。
これらの非芳香族性エチレン結合を有する化合物を本発明の方法により酸化すると、温和な条件であっても、エチレン結合がエポキシ化されると共に、エチレン結合の隣接部位に炭素−水素結合を有する化合物では、前記エチレン結合の隣接部位の炭素原子にヒドロキシル基が導入され、対応するエポキシド及び/又は2,3−エポキシアルコールを効率よく生成できる。特に、シクロアルケン環を有する化合物を用いると、2,3−エポキシアルコールを容易に生成できる。
[エポキシ化反応]
非芳香族性エチレン結合を有する化合物のエポキシ化に利用される酸素は、活性酸素であってもよいが、分子状酸素を利用するのが経済的に有利である。分子状酸素は特に制限されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素を使用してもよい。操作性及び安全性のみならず経済性などの点から、空気を使用するのが好ましい。
酸素の使用量は、基質の種類に応じて選択でき、通常、基質1モルに対して、0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50モル程度である。基質に対して過剰モルの酸素を使用する場合が多く、特に空気や酸素などの分子状酸素を含有する雰囲気下で反応させるのが有利である。
本発明の方法は、通常、反応に不活性な有機溶媒中で行なわれる。有機溶媒としては、例えば、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。なお、過剰量の基質を用いることにより、基質を反応溶媒として利用してもよい。溶媒としては、酢酸などの有機酸、アセトニトリルなどのニトリル類、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素を用いる場合が多い。
本発明の方法は、比較的温和な条件であっても円滑にエポキシ化反応が進行するという特色がある。反応温度は、基質の種類などに応じて適当に選択でき、例えば、0〜300℃、好ましくは30〜250℃、さらに好ましくは40〜200℃程度であり、通常、50〜150℃程度(例えば50〜90℃程度)で反応する場合が多い。また、反応は、常圧または加圧下で行なうことができ、加圧下で反応させる場合には、通常、1〜100atm(例えば、1.5〜80atm)、好ましくは2〜70atm、さらに好ましくは5〜50atm程度である場合が多い。反応時間は、反応温度及び圧力に応じて、例えば、30分〜48時間、好ましくは1〜36時間、さらに好ましくは2〜24時間程度の範囲から適当に選択できる。なお、基質の種類、触媒や助触媒の種類などに応じ、反応温度、反応時間をコントロールすることにより、副生成物(例えばケトン類など)の生成を抑制し、エポキシ化合物を選択性よく生成させることができる。
反応は、前記触媒の存在下、基質と酸素とを接触させればよく、分子状酸素の存在下又は分子状酸素の流通下、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行なうことができる。反応終了後、反応生成物は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組合せた分離手段により、容易に分離精製できる。
本発明の方法では、アルケンやシクロアルケンなどの非芳香族性エチレン結合を有する化合物から医薬、香料、染料、食品、有機合成中間体および高分子樹脂原料の中間化合物として使用できるエポキシ化合物を得ることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
シクロヘキセン3ミリモル、シクロヘキセンに対して1.25モル%のN−ヒドロキシフタルイミド、シクロヘキセンに対して0.05モル%のバナジルアセチルアセトナートVO(AA)2、1,2−ジクロロエタン5mlの混合物を、酸素雰囲気下、70℃で4時間攪拌した。反応液中の生成物をガスクロマトグラフィー分析により調べたところ、シクロヘキセンの転化率70%で、2,3−エポキシシクロヘキサノール(選択率66%)と、シクロヘキセンオキシド(選択率11%)とが得られた。なお、上記化合物のほかに、2−シクロヘキセン−1−オン(選択率15%)と、2−シクロヘキセン−1−オール(選択率4%)とが生成していた。
実施例2
N−ヒドロキシフタルイミドをシクロヘキセンに対して5モル%用いる以外、実施例1と同様に反応させたところ、シクロヘキセンの転化率95%で、2,3−エポキシシクロヘキサノール(選択率56%)と、シクロヘキセンオキシド(選択率10%)とが得られた。なお、上記化合物のほかに、2−シクロヘキセン−1−オン(選択率21%)と、2−シクロヘキセン−1−オール(選択率2%)とが生成していた。
実施例3
N−ヒドロキシフタルイミドをシクロヘキセンに対して10モル%、バナジルアセチルアセトナートVO(AA)2をシクロヘキセンに対して0.5モル%用い、25℃で18時間反応させた以外、実施例1と同様に反応させたところ、シクロヘキセンの転化率71%で、2,3−エポキシシクロヘキサノール(選択率48%)と、シクロヘキセンオキシド(選択率15%)とが得られた。なお、上記化合物のほかに、2−シクロヘキセン−1−オン(選択率15%)と、2−シクロヘキセン−1−オール(選択率4%)とが生成していた。
実施例4
バナジルアセチルアセトナートVO(AA)2に代えて、マンガン(II)アセチルアセトナートMn(AA)2をシクロヘキセンに対して0.05モル%用いる以外、実施例1と同様に反応させたところ、シクロヘキセンの転化率67%で、2,3−エポキシシクロヘキサノール(収率60%)が得られた。
実施例5
バナジルアセチルアセトナートVO(AA)2に代えて、マンガン(III)アセチルアセトナートMn(AA)3をシクロヘキセンに対して0.05モル%用いる以外、実施例1と同様に反応させたところ、シクロヘキセンの転化率66%で、2,3−エポキシシクロヘキサノール(収率62%)が得られた。
実施例6
バナジルアセチルアセトナートVO(AA)2に代えて、モリブデン酸H2MoO4をシクロヘキセンに対して0.05モル%用いる以外、実施例1と同様に反応させたところ、シクロヘキセンの転化率58%で、2,3−エポキシシクロヘキサノール(収率52%)が得られた。
実施例7
バナジルアセチルアセトナートVO(AA)2に代えて、鉄アセチルアセトナートFe(AA)3をシクロヘキセンに対して0.05モル%用いる以外、実施例1と同様に反応させたところ、シクロヘキセンの転化率52%で、2,3−エポキシシクロヘキサノール(収率50%)が得られた。
実施例8
バナジルアセチルアセトナートVO(AA)2に代えて、酢酸マンガンMn(OAc)2をシクロヘキセンに対して0.05モル%用いる以外、実施例1と同様に反応させたところ、シクロヘキセンの転化率71%で、2,3−エポキシシクロヘキサノール(収率66%)が得られた。
実施例9
バナジルアセチルアセトナートVO(AA)2に代えて、クロムアセチルアセトナートCr(AA)3をシクロヘキセンに対して0.05モル%用いる以外、実施例1と同様に反応させたところ、シクロヘキセンの転化率74%で、2,3−1−シクロヘキサノール(収率71%)が得られた。
実施例10
バナジルアセチルアセトナートVO(AA)2に代えて、酸化タングステンW23をシクロヘキセンに対して0.05モル%用いる以外、実施例1と同様に反応させたところ、シクロヘキセンの転化率51%で、2,3−エポキシシクロヘキサノール(収率47%)が得られた。
比較例1
N−ヒドロキシフタルイミドを用いることなく、バナジルアセチルアセトナートVO(AA)2をシクロヘキセンに対して0.5モル%用いる以外、実施例1と同様に反応させたところ、シクロヘキセンの転化率は5%未満であり、シクロヘキセンオキシド(選択率1%未満)が僅かに生成していたに過ぎず、2,3−エポキシシクロヘキサノールは全く生成していなかった。

Claims (3)

  1. 香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物と、バナジルアセチルアセトナート、マンガン(II)アセチルアセトナート、マンガン(III)アセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、クロムアセチルアセトナート、モリブデン酸、酢酸マンガン及び酸化タングステンからなる群から選択された少なくとも一種で構成された助触媒とのみからなる酸化触媒の存在下、非芳香族性のエチレン結合を有する化合物と酸素とを接触させて、対応するエポキシ化合物を生成させるエポキシ化合物の製造方法であって、前記助触媒の割合が、前記N−ヒドロキシイミド化合物1モルに対して0.001〜0.1モルである製造方法
  2. 非芳香族性のエチレン結合を有する化合物が、エチレン結合を有する炭素数2〜20の鎖状炭化水素または3〜30員のシクロアルケン環を有する化合物である請求項1記載のエポキシ化合物の製造方法。
  3. 芳香族性のエチレン結合を有する化合物と酸素とを接触させて対応するエポキシ化合物を生成させるための酸化触媒であって、芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物と、バナジルアセチルアセトナート、マンガン(II)アセチルアセトナート、マンガン(III)アセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、クロムアセチルアセトナート、モリブデン酸、酢酸マンガン及び酸化タングステンからなる群から選択された少なくとも一種で構成された助触媒とのみからなる酸化触媒であって、前記助触媒の割合が、前記N−ヒドロキシイミド化合物1モルに対して0.001〜0.1モルである酸化触媒
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