JP4865550B2 - 外科手術用器具のための位置決め装置 - Google Patents

Description

本発明は、外科手術の位置決めの分野に関していて、詳細には外科手術用器具（外科手術用道具、人工器官又はインプラント）を正確に位置決めするための方法と装置に関する。
本発明は、詳細に、しかし限定するものでなく、寛骨臼の補綴要素を正確に整列するために有用である。

改良された整形外科処置は、関節置換の一般的な方法を作り上げた。全体の股関節部関節形成において、寛骨臼の又は窩の部分のみならず、大腿骨の又は球形状の関節においても補綴インプラントを用いて置き換えられている。幾つかの特許及び非特許の参照文献が、この分野に存在する。
大腿骨ステム（stem）の位置決めは、一般にそれほど複雑でないと考えられている。寛骨臼の構成部分の位置決めははるかに複雑であり、それを改良するような技術は、さらにほとんど開発されていない。現存する技術の幾つかは、複雑さの故に不適当である。調査報告書は、一般的な技術を用いる寛骨臼カップの外科手術中の位置決めを評価して、経験を積んだ外科医でさえも正確さに欠けることを明らかにした。

コンピュータ支援の外科手術のために開発された幾つかの技術は、単に現状のそれら自身の限界があって、患者が利益を得るようになるまでには、しばらく時間が掛かるかもしれない。世界的な利用の可能性は、要求される高い経費及び特別な訓練によって限定される。この分野において、進歩の欠如に対する理由が幾つかある。寛骨臼カップの位置決めは、三つの平面で骨盤の適切な位置決めを必要とする。骨盤の解剖は、疾患によって変更されてもよく、関節交換の場合には、さらに厳格に変更されるかもしれない。現状の機械的な技術は、基準として床面高さ及び手術台の長手方向の軸を使用する。幾つかの装置は気泡式水準器、例えば特許文献1、特許文献2又は特許文献3を参照、を使用していて、それらの内容を参照としてここに包含するものであるが、それらは単に一方向（単軸）に関する指示を提供するだけである。三つの平面（ヨーイング、ローリング及びピッチング）において骨盤の当初の位置は無視され、その結果誤差を導く可能性がある。当初の位置が、外科的な介入の間に著しく変化することもまた知られている。一般的な位置決め装置を用いる二つ目の問題点は、屈曲／伸展における骨盤の位置決めが、手術台の軸に関して常に同一であることを仮定していることである。加えて、一般的な機械的位置決め装置は、視覚による照合に頼って、その結果精度に欠ける。低侵襲手術（MIS）において、手術上の小さな切開は、構成要素の適切な位置決めを得ることをさらにより難しくする。

多くの外科医は、主観的な「感覚」、すなわち最も経験のある手においてでさえ、かなりの不正確さと低い精度になることが文献においても示されている技術を介して、寛骨臼の構成要素の位置決めを行っている。フリーハンド技術と、コンピュータ支援ナビゲーションを備えた一般的な機械式位置決め装置とを比較しているソーボーンモデル（saw bone model）の研究は、両方の技術の正確さの欠如と精度の欠如を明白に示した。
両方の構成要素、すなわち一対としての寛骨臼カップとシャフトとの最適な位置決めの欠如は、構成要素の脱臼、早期の損耗及び弛緩につながる衝突により、運動の範囲の制限に帰結することが示された。

状況は、補綴寛骨臼の移植に関する不完全な技術の使用に導いて、インプラントを装着するために、外科医の手と目の協調にのみ頼る手動で操作される器具類の使用をしばしば伴い、場合によっては目印に頼っている。

研究は、寛骨臼及び大腿骨構成要素の両方の、精度と調和する配置との重要性を確認した。構成要素の位置決めにおける改善された再現性は、（カップ人工器官にインプラントが衝突する前の）改善された運動の範囲、インプラントの長寿命、寛骨臼構成要素の損耗の減少及び脱臼のより低い割合を促進することへの認識を深めている。

臨床疫学の研究は、臨床診療において重力支援ナビゲーションシステムのような診察又は計測器具に対する偶然誤差（精度の欠如）及び系統誤差（正確さの欠如）の発生源を徹底的に調査した。それらは三つの局面に分けられた。
- 観測者の変動性
- 患者の変動性（患者間の相違）
- 器具の変動性

米国特許発明第６３０２８９０号明細書 米国特許発明第５７００２６８号明細書 米国特許発明第５１２２１４５号明細書 ウィリアムズとウィルキンス（Williams and Wilkins）著、「臨床的な研究をデザインすること、疫学的アプローチ」、ヒューレイ（Hulley）、1988年

従って、使い方が簡単で高価でない器具類及び、側面か又は背面かのいずれかの床ずれにおいて、どのようなタイプの股関節部人工器官も適合させることが出来る技術が必要である。

本発明の目的は、外科手術用道具又は人工器官を保持するようになっている遠位端部と、外科医の手によって又はロボットアームによって保持されるようになっている近位端部とを有するシャフトから作られた、外科手術用器具のための位置決め装置を用いて達成される。
位置決め装置は、以下を包含している。
- 器具に位置決め装置を固定するための器具固定手段
- 患者に固定された少なくとも一つの基準点を指示するための線形位置指示手段、そして、基準点は患者の特定な部分に固定される身体構造上の基準箇所又は目印のいずれかであってもよい。
- 位置決め手段

位置決め装置は、位置決め手段が基準平面を画定するようになっている、言い換えれば位置決め手段が二軸型である、すなわち位置決め手段が二つの方向に沿って器具の位置決めを画定することを可能にし、その結果一つの平面を画定していることによって特徴付けられる。現状において、基準平面は、重力の方向に垂直である。

位置決め手段は、調整可能であってもよい。すなわち位置決めは、患者の骨格及び／又は外科医の希望に従って適合させることが出来る。調整は、一般に使用されるどのような手段によっても、例えば機械式、電気機械式、等々によって成し得る。

好ましくは、器具固定手段が、位置決め装置の器具への迅速な取り付け又は位置決め装置の器具からの迅速な取り外しを可能とするようになっているため、位置決め装置は、器具から容易に取り外しが出来るガイドである。位置決め装置はまた、器具に恒久的に固定されてもよいし、又はそれ自身が器具であってもよい。

線形位置指示手段は、基準点を照準にするようになっている自由遠位端部を有するシャフトから作られてもよい。ガイドシャフトは、ガイドと器具が共に固定される時に、器具シャフトに平行になるようになっている。両方のシャフトによって画定される平面は、ガイドシャフトの自由端部が基準点の方向を指示する時に、器具の位置決めをする外科医の助けとなる。ガイドは、特定の骨格の基準点を使用するために較正することが出来る。骨盤のコンピュータ断層撮影（CT）を使用する発明者によって確認される、所望する基準点である上前腸骨棘（ASIS）は、患者の形態の変異性を評価するために走査される。

本発明の一つの実施形態において、ガイドシャフト自由端部は、器具シャフトとガイドシャフトによって画定される平面に平行な平面に位置決められた、平行な二つの短いシャフトを含む。二つの短いシャフトは、基準点を用いてガイドシャフトの適切な位置決めをするために、外科医の指を支援するように作動する。さらに正確には、外科医の指は、ガイド自由端部と基準点との関係付けを行う。

シャフトの代わりに、線形位置指示手段がレーザビームから作られてもよい。

所望の実施形態において、位置決め手段は電子式である。このようなシステムは、詳細にはレベル表示を処理装置に伝送出来るコンピュータに支援された外科手術において、幾つかの利点を提供する。

もう一つの方法として、位置決め手段は気泡式又は流体式であってもよく、この結果、比較的低価格の装置の使用が可能となる。

ある場合において、位置決め装置が二つの位置決め手段、例えば左側の股関節部に対して位置決めを測定するための物と、右側の股関節部に対して位置決めを測定するための物とを有してもよい。

寛骨臼カップの位置決めにおいて、骨盤の位置決め装置は、ガイドと関連してもよくて、骨盤の位置決め装置は、骨盤の明瞭な二つの部分に接触するための二つの感触器と位置決め手段とを含む。位置決め手段は、感触器の整合を保証することによって、故に垂直方向（重力の方向及び重力に反応する方向）を用いて左右の上前腸骨棘の整合を保証することによって、側面の床ずれにおいて厳密な位置決めを可能にする。背面の床ずれにおける人工股関節全置換（THR）の場合において、三つの感触器を備える位置決め装置は、垂直方向に関して両側の上前腸骨棘及び恥骨よって画定される骨盤の解剖学的平面の方向を調整するために使用することが出来る。

別の実施形態において、位置決め装置は、手術時の骨盤の位置決めウィットネス（witness）として使用される。位置決めウィットネスは、位置決め手段と骨盤にウィットネスを固定するための固定手段とを含む。骨盤の位置決め装置の支援を得て、側面又は背面の床ずれにおける骨盤の方位を調整した後でゼロにセットすると、位置決め手段は、外科的介入の間の骨盤の位置のいかなる変化も検知して、カップ位置決めの時点で当初の位置に戻すことが出来る。

別の実施形態においてガイドは、上前腸骨棘（ASIS）及び股関節中心（HJC）のような基準点の間の角度を測定するための角度測定装置も含む。

寛骨臼カップの整合において方法は、重力の方向から直接的に又は間接的に導かれる方向に関して、寛骨臼カップの所望する位置を保証するために骨盤の適切な位置決めを考慮する。本発明は、概ね股関節部の位置決めに役立つ先行技術の装置とは違って、基準面の使用を介して骨盤に関する装置の精密な位置決めを可能することによって特徴付けられる。
方法はまた、すでに配置されているカップの位置確認の測定も許容する。これは、ガイドをカップに合わせることよって可能となり、上前腸骨棘にピッチポインタを整列させた後で、ゼロに気泡を設定するために、水平保持器は曲げられる。そこで水平保持器は、外転と前傾の両方において方位を測定するための較正装置となることが出来る。電子装置においては、水平保持器の目盛盤を読み取ることになるだろう。

較正装置は、ガイドを用いて測定される恥骨と股関節中心との間の上前腸骨棘で、角度を再現するための角度再現手段を包含してもよい。
この場合に、ガイドと器具とから作られるアセンブリは、好ましくは、前述の角度を測定するための角度測定装置（角度計）を包含する。

カップの構造及び、患者の大腿骨ステムの前傾又は特有な骨盤の屈曲／伸展に依存する、所望する位置決めを保証するために、器具は較正されてもよい。この全ては、運動の衝突を免れる最大の範囲を得るためである。これは、現在の方法で欠如している、特に寛骨臼カップの正確さ及び精度を単純な手段で向上させる。臨床疫学の周知の事実は、精度を向上するためのどのような努力も、正確さを向上させることを示している。

本発明は、器具の変動性を減少することによって向上した精度と正確さを提供するために臨床疫学の観点から、寛骨臼の位置決めの誤差源を調査することに焦点を合わせている（非特許文献1を参照）。

（カップの位置決めのための一般的な機械式ガイドによる）系統誤差の源
・ 器具の変動性（ガイドの使用）
- 使用された器具に由来する相違
・ 二つの相違する面における目の調整
・ 前傾の軸に対するピッチ角を考慮しない（で手術台の位置決めを行うこと）
・ 標準器を用いて較正することができない機械式ガイドの使用

課題を特定したので、測定器具の信頼性を向上するために臨床疫学の標準的な方策に従う解決策として、ガイドが創出された。

精度を向上するための方策（言い換えれば、偶然誤差を避ける；非特許文献1を参照）
・ 客観性を増加することによって、大腿骨と寛骨臼との構成要素の配置方法を標準化すること
・ 標準の技術で外科医を訓練すること：重力支援ナビシステムを用いたガイドは、外科医の訓練を促進し且つ向上する。
・ 患者の位置決めの改善：重力支援ナビシステムを用いたガイドは、患者の位置決めを促進し且つ向上する。
・ 構成要素の位置決めのために使用される器具の精密化：異なる角度から見ることによって使用を可能にし、より容易な使用にする。
・ 器具の自動化（人的なエラーの回避）
・ 測定の繰り返し

正確さを向上するための方策（言い換えれば、偏りを避ける、再び非参考文献1を参照）
・ 手術マニュアルで方法を標準化
・ 標準の（言い換えれば再現できる）技術で外科医を訓練すること
・ 患者の位置決めの改善
・ 構成機器位置決めのために使用する器具の精密化
・ 器具を自動化
・ （標準器を用いて）器具及び「患者の位置」の較正

本発明は、以下により詳細な方法で議論される。このために、対応する図と共に、幾つかの例示が使用される。

図1Aに示される位置決め装置は、ガイド２であり、フレーム３５と、寛骨臼の補綴カップ器具４（図5、6、7、9、12、及び13も参照）に固定されるようになっている固定手段１１と、自由端部にポインタを有するガイドシャフト８とを包含する。一つが右９で一つが左１０の指示計から成る気泡式水準器６は、固定手段１１に固定される。気泡式水準器の位置決めは、気泡式水準器の支持部材の変形によって適応（較正）出来る。
ポインタ１２は、上前腸骨棘７（図5、6及び14を参照）を用いてガイドシャフト８を整列するのに役立つ。

図1Bを参照して、レーザポインタ３８は、ポインタ１２の代替である。レーザポインタ３８は、手術者が上前腸骨棘７を示すレーザビームを生ずる。

図2から4は、フレーム３９から作られる骨盤位置決め装置１７を示していて、フレーム３９は、２次元気泡式水準器１９と二つのバー２０とを組込んでいる調整可能な支持部材１８を有し、二つのバー２０は、その自由端部に骨盤感触器２２を有する。気泡式水準器１９は、上前腸骨棘と重力Ｆｇの方向とを基準として使用し、真の側面の床ずれの骨盤を位置決めするのに役立つ。
バー２０は、骨盤の位置の同定を可能にする、例えば中指と薬指を用いた触診を介して、上前腸骨棘７と接触しなければならない。バーの端部のパッド４０は、手術台４１の平面に接して配置された場合に、垂直の位置決めを保証する基準表面を提供する。

図5は、真の側面の床ずれの患者を示す。
ガイド２の正しい位置決めは、気泡式水準器１０がゼロである時に得られる。骨盤の位置決めは、本発明の別の実施形態、腸骨稜１３に固定される固定装置１５に接続される気泡式水準器１６から作られる位置決めウィットネス３（図6も参照）を用いて恒久的に確認さる。固定装置１５は、「シャンツ（SHANZ）」ピン及び「ホフマンII（HOFFMANNII）」（登録商標）手動外部固定装置のクランプから作られても良く、シャンツピン（商品として入手可能）を介して腸骨稜１３に固定することが出来る。
右９と左１０の指示器は、工場で、又は二つの点の基準を考慮して外科医によって予め較正されて、外転と前傾において適切な位置決めを与える重力Ｆｇの方向を精度良く同定する。これら二つの点、例えば上前腸骨棘７及び器具のシャフトの自由端部によって、骨盤の屈曲／伸展すなわち「ピッチング」は考慮される。

図6は、側面の床ずれにおける骨盤１３の位置決めをさらに明確に示していて、カップ１４の前傾を示す軸方向の図を表す。

図7は、ガイド２を使用する時の異なった手術ステップを示す。
A:リアルタイムで骨盤の位置決めの調整
B:上前腸骨棘７を用いてポインタ１２の整列
C:骨盤１３と器具４、３７との位置決めの恒久的な視覚化
D:所望する位置決めが得られたならば、しっかり固定

ガイド２の所望する位置決めは、図8と9で示された較正装置を用いて得られる。気泡式水準器６は、気泡を中央に合せて（曲げることが可能な材料から作られていて）曲げることが出来て、所望する位置決めを記録する。
所望する前傾３２又は「記録された」前傾は、較正装置の端部から読み取られる。
所望する外転３３又は記録された外転は、較正装置の端部から読み取られる。

較正装置においてフォーク間の距離は、患者の所定の角度（例えば、上前腸骨棘で股関節中心と恥骨との間の角度）に対して、較正のために変更できる。この角度が、ある患者とその他の患者で33度から41度の間で変化するかもしれないことについては留意すべきである。

図10は、平面支持部材とシャフトとから作られる骨盤の位置決めウィットネス３を示す。平面支持部材は、図3で示されたのと同様な方法で、気泡式水準器を保持するようになっている二つの可撓性要素を有する。

位置決めウィットネス３は（図11参照）、骨盤に固定されるようになっている自由端部を有する固定装置１５に、ピボット的に接続される。

手術において、本発明の実施形態である外科手術用器具に装着されるガイドは、以下の方法で使用される。
1- 真の側面の床ずれ患者１を載せて、恥骨及び仙骨の支持を用いて通常の仕方で骨盤１３を固定する。
2- 上前腸骨棘７が、骨盤位置決め装置１７（図4を参照）を用いて、重力Ｆｇの方向に平行となるよう調整する。これは、「ローリング」及び「ヨーイング」において、骨盤１３の当初の位置を調整する。
3- 消毒を行い四肢を無菌布で覆う。腸骨稜上の2cmの皮膚の切開を介して、シャンツピン１５を埋め込む。
4- ホフマンII外部手動固定装置のクランプを使用して、位置決めウィットネス又はその他のどのような締め付け装置においてもゼロに設定する。ピンが回転しないようにするために腸骨稜で止められなければならない。これらは、手術中に、例えば、寛骨臼の拡孔及びカップの埋伏（図14を参照）時の要所の合間に、重力Ｆｇの方向に関して当初の所望する配置に骨盤１３を再設定することが可能になる。これは、重力Ｆｇ方向に関しては正しい位置を決め、骨盤１３に関しては誤りの可能性を回避する。
5- 最終の拡孔までは通常の外科手術の技術を用いて続ける。骨盤１３が位置決めウィットネス３（図15を参照）を見て当初の所望する配置にあることを確認し、もしも必要ならば、気泡がゼロに設定されるまで、骨盤１３を動かして修正を行う。
6- 工場で予め較正されたガイドに対して、寛骨臼の内側に最終のリーマ３７を配置し、容易に触診できる上前腸骨棘７の上にポインタ１２を配置し、重力Ｆｇの方向を精度良く同定するように、気泡が中央に位置するまでガイド２を動かす。
7- 予め較正された方位（外転及び前傾）に窩（cavity）を得るために、その位置でリーマを作動する。
8- 最終のカップ１４を配置するために、ガイド２及びカップ位置決め装置４を適用して、ステップ５及び６を繰返す。
9- 患者のカップ１４位置決めを測定するために、カップ１４にカップ位置決め装置４を適用し、骨盤１３が位置決めウィットネス３によって適切に位置決められていることを確認して、もしも必要ならば、修正を行う。上前腸骨棘７を用いてポインタ１２を整列し、重力Ｆｇの方向と精度良く一致するように、気泡が中央に位置するまで気泡式水準器６の支持部材を曲げる。
10- 較正装置２３と連携して、カップ方向決め装置４及びガイド２をねじ込む。
11- 上前腸骨棘７の位置をシミュレートするフォーク２８、２９の一つの上にポインタ１２を配置しながら、重力Ｆｇの方向と一致するように気泡が中央に位置するまで、器具の要素４、２の両方を動かして、対応している外転と前傾を円盤２７、３１から読み取る。

本発明は、幾つかの利点を提供する。
第一の利点において、寛骨臼カップ位置決めの正確さと精度を向上させて、リアルタイムな骨盤と寛骨臼とのカップ位置決めを提供することによって、カップの外転と前傾の両方が達成される。

別の利点において、所望する方位で窩の精度良い穴開けを可能にする。

別の利点において本発明は、真の側面の床ずれ又は真の背面の床ずれにおいて、骨盤の所望する位置決めを調整することに役立ち、故にカップ挿入と同時に３つの平面で骨盤の位置を調整する。

別の利点において本発明は、外科医が特定の視点からガイドを見る必要が無くて、容易な使用を提供する。気泡又は標的の水準を見れば、位置を決定するのに十分である。

別の利点において、本発明は低コストであり、訓練はほとんど必要としなくて、開発途上国でさえ外科医が利用できる。

別の利点において、本発明は最小限の侵襲性外科手術用技術（MIS）に役立つ。

別の利点において、既存の技術で用いるよりも、多くの時間を必要としない。

さらに別の利点において、本発明は、外科医が所望する方位（外転及び前傾）に、彼の器具を較正することを可能にする。

さらに別の利点において本発明は、もはや現場においてガイドを用いて信頼性の高い測定が出来て、寛骨臼カップの位置決めを可能にする。

別の利点において本発明は、背面の床ずれの、側面の床ずれの、セメントで結合された、セメントで結合されない、前外側の又は後外側のアプローチにおいて、既存の付属部品及び現在の外科手術の技術に適用が可能である。

気泡式水準器を使用する代わりに、重力の方向を同定する電子装置が、述べられた器具全てに適用されても良い。

さらに患者の基準点を指示する代わりに、本発明は、患者に関連する基準点、例えば患者に装着する装置上の点で指示する（それによって、患者の点を間接的に指示する）ようにすることが可能である。

さらに本記述において、先行技術についての議論及び本発明の詳細な記述が、寛骨臼の補綴要素の位置決めに限定されている。しかしながら、本発明の目的及び請求された内容が、この特定の用途に限定されるものでないことは留意すべきである。

多様な変更及び改良が、ここに述べられた本発明の実施形態において可能である。本発明のある例証となる実施形態がここに示され述べられているが、幅広い範囲の改良、変更、及び置換が、前述の開示に意図されている。場合によっては本発明のある特徴が、その他の特徴と無関係な用途に使用されてもよい。よって先の記述が、図解及び例示として与えられていると広く解釈し、理解することが適切であり、本発明の精神と範囲は、添付の請求項のみにより限定される。

図1Aは、本発明に従うガイドの実施形態を示す。 図1Bは、レーザポインタを備えた、ガイドの別の実施形態を示す。 図2は、骨盤位置決め装置を示す。 図3は、気泡式水準器を備えた、図2の骨盤位置決め装置を上部から示した写真である。 図4は、骨盤に近接して配置されている図2の骨盤位置決め装置を示した写真である。 図5は、使用中の図1のガイドを示す。 図6は、使用中の図1のガイドの拡大図である。 図7は、図1のガイドを使用する場合の異なる手術行為を図示す。 図8は、較正装置の組立分解図である。 図9は、図1のガイドを用いて使用中の、図8の較正装置を示す。 図10は、気泡式水準器を備えていない骨盤位置決めウィットネスを示す。 図11は、骨盤固定装置に接続された骨盤位置決めウィットネスを示した写真である。 図12は、互いに分離したガイドと器具を示した写真である。 図13は、互いに固定された図12のガイドと器具を示した写真である。 図14は、上前腸骨棘に関してガイドを配置する方法を示した写真である。 図15は、ガイドと器具と骨盤位置決めウィットネスとのそれぞれの関係を示した写真である。

符号の説明

１ 真の側面の床ずれの患者
２ 位置決め装置／ガイド
３ 位置決め装置／ウィットネス
４ 寛骨臼補綴カップ器具
５ 寛骨臼
６ ガイドの気泡式水準器
７ 上前腸骨棘
８ ガイドシャフト
９ 右の指示計
１０ 左の指示計
１１ 固定手段
１２ ポインタ
１３ 骨盤／腸骨稜
１４ 補綴カップ
１５ 骨盤ウィットネス固定装置／フレーム
１６ 骨盤ウィットネス位置決め手段
１７ 骨盤位置決め装置
１８ 支持部材
１９ 骨盤位置決め装置の位置決め手段
２０ バー
２１ 長さの調整手段
２２ 骨盤感触器
２３ 較正装置
２４ 基盤
２５ 気泡式水準器
２６ 高さ調整器
２７ ジンバル機構で装着された前傾を測定するための計器
２８ 右股関節部の較正フォーク
２９ 左股関節部の較正フォーク
３０ 前傾のための回転軸
３１ 外転のための計器
３２ 外転のための回転軸
３３ 円盤の端部で読み取られるようになっている外転及び前傾
３４ カップ位置決め装置を固定するためのネジが切られた穴
３５ ガイドフレーム
３６ ネジ式固定手段
３７ 外科手術用器具
３８ レーザポインタ
３９ 骨盤位置決め装置のフレーム
４０ （手術台上にある）骨盤位置決め装置のパッド
４１ 手術台（平面）

Claims (10)

1. 寛骨臼の補綴カップを取り付けるカップ位置決め装置又はリーマを含む外科手術用器具（４，３７）と、外科手術用器具（４，３７）を方向付けるガイド（２）と、骨盤の向きを定める骨盤位置決め装置（１７）とを備える外科手術の組合せ器具であって、
   前記ガイド（２）は、シャフト（８）と、
   外科手術用器具（４，３７）を固定するための器具固定手段（１１）と、
   前記シャフト（８）と前記器具固定手段（１１）との間に位置するフレーム（３５）と、
   前記シャフト（８）の遠位端部に配置され、前記シャフト（８）を上前腸骨棘に向けて方向づける位置指示手段（１２，３８）と、
   重力の方向に垂直な基準平面を画定するように配置され、前記シャフト（８）を方向づける第１の水準器（９，１０）とを含み、
   骨盤位置決め装置は、左右の上前腸骨棘が重力方向に並ぶように骨盤の向きを調整可能に形成されている第２の水準器を含み、
   前記第１の水準器は、二つの気泡式水準器（９，１０）を含み、
   左右の上前腸骨棘が重力方向に並ぶように骨盤の向きを調整した状態において、前記ガイドのシャフトを上前腸骨棘に向けて方向付け、更に第１の水準器が水平を示すまで前記ガイドを動かすことにより、補綴カップ又はリーマの位置決めが行なわれるように、前記ガイドの第１の水準器が患者の骨格に合わせて予め校正可能であることを特徴とする、外科手術の組合せ器具。
2. 前記位置指示手段が、前記シャフト（８）の方向に関して、角度で位置決めされる一対の平行シャフト（１２）を具備する、請求項１に記載の外科手術の組合せ器具。
3. 前記位置指示手段が、レーザビーム（３８）を具備する、請求項１に記載の外科手術の組合せ器具。
4. 前記第１の水準器（９，１０）は、向きの調整が可能である、請求項１から３のいずれか一項に記載の外科手術の組合せ器具。
5. 一つの気泡式水準器（９）が、右股関節部に関して前記ガイド（２）に固定される器具（４，３７）を位置決めするようになっていて、他の気泡式水準器（１０）が、左股関節部に関して前記器具（４，３７）を位置決めするようになっている、請求項１に記載の外科手術の組合せ器具。
6. 前記器具固定手段（１１）は、前記ガイド（２）の器具（４，３７）への迅速な取り付け又は前記ガイド（２）の器具（４，３７）からの迅速な取り外しを可能にするように形成されている、請求項１から５のいずれか一項に記載の外科手術の組合せ器具。
7. 外科手術用器具（４，３７）は、シャフトと、シャフトの近位端部に配置されているハンドルとを含み、シャフトは、リーマ又はカップ位置決め装置のいずれかを受容するようになっている遠位端部を有する、請求項１から６のいずれか一項に記載の外科手術の組合せ器具。
8. 前記骨盤位置決め装置（１７）は、それぞれに感触器（２２）を有する二つのアーム（２０）及び位置決め手段（１９）を有する、請求項１から７のいずれか一項に記載の外科手術の組合せ器具。
9. 骨盤の位置決めウィットネス（３）を更に備え、
   前記骨盤の位置決めウィットネスは、骨盤（１３）に前記骨盤の位置決めウィットネス（３）を固定するための骨盤固定手段（１５）及び位置決め手段（１６）を含む、請求項１から８のいずれか一項に記載の外科手術の組合せ器具。
10. 上前腸骨棘と股関節中心との間の角度を測定するための角度測定装置を更に備える、請求項１から９のいずれか一項に記載の外科手術の組合せ器具。

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